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JP6533030B2 - シリコンウエハ用洗浄剤組成物 - Google Patents

シリコンウエハ用洗浄剤組成物 Download PDF

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Description

本発明は、洗浄剤組成物に関するものであり、特にシリコンウエハの洗浄に適した洗浄剤組成物に関するものである。
太陽電池などの半導体用途に用いられるシリコンウエハは、その表面に残存する不純物を可能な限り低減することが求められている。
例えば、シリコンインゴットをスライスしてシリコンウエハを製造する工程では、切削液(クーラント)、シリコン粉又は砥粒などを含有するスラリーが切削物に付着するため、これを効率的に除去する必要がある。また、近年、固定砥粒を用いたワイヤソー方式が実施されるようになり、スライス時に発生する微細な亀裂(ソーマーク)に付着したスラリーの除去、ダイヤモンド砥粒とシリコン硬質表面との摩擦熱によって生じる加工変質層の除去が求められている。また、洗浄後のすすぎが容易であることも必要である。
さらに、太陽電池用途のシリコンウエハでは、エネルギー変換効率を向上させるために、シリコンウエハ表面にテクスチャー構造と呼ばれるピラミッド構造がエッチングにより形成され、特に単結晶シリコンウエハにおいては、水酸化ナトリウムなどを含むエッチング液が用いられる。従って、テクスチャー形成工程においては、これらのエッチング液も十分に除去する必要がある。
上記のようなシリコンウエハ製造時の洗浄に用いられる洗浄剤としては、アルカリ金属水酸化物、界面活性剤、キレート剤などを含むものが用いられている(例えば、特許文献1〜3)。
しかしながら、洗浄性や加工変質層の除去性とすすぎ性とは相反する関係になり易く、上記のような従来の洗浄剤でも同様であり、シリコンウエハ製造時の洗浄に用いた場合に、これら全ての点で満足できる洗浄剤は未だ得られていないのが現状である。
特開2010−285612号公報 特開2008−150460号公報 特開2003−313584号公報
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、シリコンウエハの製造時の洗浄に適した洗浄剤であって、洗浄性、加工変質層の除去性及びすすぎ性のいずれにも優れる洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
本発明のシリコンウエハ用洗浄剤組成物は、(a)アルカリ金属水酸化物、(b)アルカリ金属珪酸塩、(c)非イオン界面活性剤、(d)可溶化剤、及び水を含有してなる洗浄剤組成物であって、(a)アルカリ金属水酸化物100質量部に対し、上記(b)アルカリ金属珪酸塩を1〜100質量部含有し、上記(a)アルカリ金属水酸化物100質量部に対し、(c)非イオン界面活性剤1〜50質量部を含有し、上記(c)非イオン界面活性剤が、下記一般式(1)で示されるものとする。
R−O−(AO)−H ・・・(1)
但し式(1)中、Rは炭素数6〜13の脂肪族炭化水素基であり、AOはオキシアルキレン基であり、nは平均付加モル数であって1〜50の数である。
本発明のシリコンウエハの洗浄方法は、上記本発明の洗浄剤組成物を用いるものとする。
本発明の洗浄剤組成物は、洗浄性、加工変質層の除去性及びすすぎ性のいずれにも優れたものとなる。従って、例えばシリコンウエハの洗浄全般に用いることができ、洗浄効果と効率を従来より大きく向上させることができる。
本発明の洗浄剤組成物は、(a)アルカリ金属水酸化物、(b)アルカリ金属珪酸塩及び(c)非イオン界面活性剤を必須成分として含有する。
本発明で用いる(a)アルカリ金属水酸化物は特に限定されないが、例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。中でも、入手が容易で洗浄効果が高い点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
次に(b)アルカリ金属珪酸塩の例としては、オルソ珪酸リチウム、メタ珪酸リチウムなどの珪酸リチウム塩、オルソ珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウムなどの珪酸ナトリウム塩、オルソ珪酸カリウム、メタ珪酸カリウムなどの珪酸カリウム塩などが挙げられる。上記の中でも、入手が容易で洗浄効果が高い点から、珪酸ナトリウム塩が好ましい。
(c)非イオン界面活性剤も特に限定されず、種々の洗浄剤組成物に用いられている化合物を広く使用することができるが、アルコールにアルキレンオキサイドを付加したものが好ましく、下記一般式(1)で示されるものがより好ましい。
R−O−(AO)n−H (1)
洗浄性及びすすぎ性の点から、式(1)中、Rは炭素数6〜18が好ましく、8〜13であることがより好ましい。また、Rは脂肪族炭化水素基であることが好ましく、アルキル基又はアルケニル基であることがより好ましい。
Rがアルキル基の場合の具体例としては、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等が挙げられ、Rがアルケニル基の場合、ヘキセニル基、ヘプセニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、イソデセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基等が挙げられる。
また、式(1)中の(AO)で表されるオキシアルキレン基に関し、これを形成するためのアルキレンオキサイドの例としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられる。平均付加モル数nは、洗浄性及びすすぎ性をより向上させるために、1〜50の範囲が好ましく、2〜20の範囲がより好ましい。
上記の中でもエチレンオキサイドを含むことが好ましく、エチレンオキサイドの平均付加モル数は、2〜30モルが好ましく、3〜20モルがより好ましく、5〜15モルがさらに好ましい。
本発明の洗浄剤組成物には、安定性向上のために、必要に応じて(d)可溶化剤をさらに含有させることができる。(d)可溶化剤は特に限定されないが、例としては、有機酸及び有機酸の塩、アルキルポリグルコシドが挙げられる。
有機酸の例としては、クメンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ジメチルベンゼンスルホン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸等が挙げられる。有機酸の塩としては、上記有機酸のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等などの金属イオンの塩も用いられ、またアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、エチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタノールアミンなどのオニウムイオンの塩等も用いられる。アルキルポリグルコシドの例としては、プロピルポリグルコシド、ブチルポリグルコシド、ヘキシルポリグルコシド、オクチルポリグルコシド、ノニルグルコシド、デシルグルコシド、デシルマルトシド、ドデシルマルトシド、トリデシルマルトシド等が挙げられる。これらのうち、すすぎ性が優れることから、有機酸及び有機酸の塩が好ましい。
本発明の洗浄剤組成物には、洗浄効果をより向上させるために、必要に応じて(e)金属イオン封止剤をさらに配合することもできる。金属イオン封止剤の種類も特に限定されないが、好ましい例としては、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、ニトリロトリメチレンホスホン酸(NTMP)、3−カルボキシ−3−ホスホノヘキサン二酸(PBTC)、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸、L−グルタミン酸二酢酸、メチルグリシン二酢酸、グルコン酸、グリコール酸、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチレンジアミンテトラアミン六酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、クエン酸、リンゴ酸及びこれらの塩などが挙げられる。
本発明の洗浄剤組成物には、上記各成分以外に、(a)アルカリ金属水酸化物及び(b)アルカリ金属珪酸塩以外のアルカリ剤、消泡剤、防腐剤、防錆剤、酸化防止剤、pH調整剤等の公知の添加剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の公知の界面活性剤を、本発明の目的に反しない範囲で適宜配合することもできる。
上記(a)アルカリ金属水酸化物及び(b)アルカリ金属珪酸塩以外のアルカリ剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、第二リン酸ナトリウム、第二リン酸カリウム、第三リン酸ナトリウム、第三リン酸カリウム、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、エチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、トリイソパノールアミンなどが挙げられる。
消泡剤としては、シリコーン系、高級アルコール系、ポリグリコール系、鉱物油系など、種々の公知のものを使用することができる。
上記(a)〜(c)成分の配合割合は、(a)アルカリ金属水酸化物100質量部に対して、(b)アルカリ金属珪酸塩は1〜200質量部が好ましく、10〜100質量部がより好ましい。上記範囲内とすることにより、洗浄性及び加工変質層の除去性がより優れたものとなる。また、テクスチャー形成後の洗浄に使用した場合は、ウエハ表面形状保持効果にも優れたものとなる。
また、(c)非イオン界面活性剤は、(a)アルカリ金属水酸化物100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、10〜50質量部がより好ましい。上記範囲内とすることにより、加工変質層の除去性がより優れたものとなる。また、テクスチャー形成後の洗浄に使用した場合は、ウエハ表面形状保持効果も優れたものとなる。
また(d)可溶化剤を使用する場合の配合割合は、(a)アルカリ金属水酸化物100質量部に対して、10〜500質量部が好ましく、30〜300質量部がより好ましく、50〜200質量部が更に好ましい。さらに、(c)非イオン界面活性剤100質量部に対しては、5〜1000質量部が好ましく、10〜800質量部がより好ましく、50〜600質量部が更に好ましい。上記範囲内とすることにより、洗浄剤組成物を高濃度で含む水溶液の作製が可能となり、保存安定性に優れ、使用時に水による希釈がより容易になる。また、すすぎ性がより優れる。
本発明の洗浄剤組成物は、上記(a)〜(c)各成分と、必要に応じて用いられる(d)成分及び/又は(e)成分と、残部の水とを混合することにより得られ、使用目的に応じて広範囲の濃度で使用することができる。従って、洗浄剤組成物中の上記(a)〜(e)各成分の配合量(濃度)を一律に示すことはできないが、一例を以下に示す。
上記(a)アルカリ金属水酸化物の配合量は0.05〜30質量%が好ましく、0.1〜25質量%がより好ましく、0.2〜20質量%がさらに好ましい。上記範囲内とすることにより、洗浄性がより優れたものとなる。
上記(b)アルカリ金属珪酸塩の配合量は、0.05〜30質量%が好ましく、0.1〜25質量%がより好ましく、0.2〜20質量%がさらに好ましい。上記範囲内とすることにより、洗浄性及び加工変質層の除去性がより優れたものとなる。また、テクスチャー形成後の洗浄においてはウエハ表面形状保持効果がより優れたものとなる。
上記(c)非イオン界面活性剤の配合量は、0.05〜15質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、0.5〜5質量%が更に好ましい。上記範囲内とすることにより、加工変質層の除去性がより優れたものとなる。また、テクスチャー形成後の洗浄に使用した場合は、ウエハ表面形状保持効果も優れたものとなる。
上記(d)可溶化剤を使用する場合の配合量は0.05〜40質量%が好ましく、0.1〜30質量%がより好ましく、0.2〜20質量%が更に好ましい。上記範囲内とすることにより、水による希釈がより容易になり、また、すすぎ性がより優れる。
上記(e)金属イオン封止剤を使用する場合の配合量は、0.01〜20質量%が好ましく、0.05〜15質量%がより好ましく、0.1〜10質量%がさらに好ましい。上記範囲内とすることにより、シリコンウエハ表面に残存する金属量をより低減でき、またすすぎ性もより優れるものとなる。
本発明の洗浄剤組成物は、上記の通り、シリコンウエハの洗浄全般、すなわちシリコンウエハスライス工程後の粗洗浄及び仕上げ洗浄のいずれにも好適に用いることができ、またエッチングによるテクスチャー形成後の洗浄においても用いることができるが、必要に応じて、それ以外の種々の洗浄対象にも用いることができる。
本発明の洗浄剤組成物を用いてシリコンウエハを洗浄する際には、配合量(濃度)の例として示した上記のものをそのまま使用することもでき、これを原液として水で希釈して使用することもできる。上記配合量のものを水で希釈する場合は100倍以下(但し、体積基準とする。以下同様。)に希釈して使用するのが好ましい。
洗浄方法は特に限定されず、従来公知の洗浄方法を適宜用いることができる。例えば、浸漬洗浄、超音波洗浄、ブラシ洗浄、スクラブ洗浄、噴流洗浄、スプレー洗浄、マイクロバブル洗浄、手拭き洗浄、及びこれらの組み合わせが挙げられる。但し、本発明の洗浄剤組成物は洗浄効果が高いため、浸漬等の簡易な手段でも十分な洗浄効果を得ることができる。
洗浄後は、使用目的に応じて、そのまま乾燥させることもでき、水等ですすいだのち乾燥させることもできる。
次に、本発明を実施例及び比較例に基づいて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、以下において「部」又は「%」とあるときは、特にことわらない限り質量基準である。
表に記載の原料をこれらの表に示した配合量で混合することにより、各洗浄剤組成物を調製し、下記の評価を行った。原料の詳細は以下の通りである。
(a)アルカリ金属水酸化物
a−1)水酸化ナトリウム
a−2)水酸化カリウム
(b)アルカリ金属珪酸塩
(b−1)オルソ珪酸ナトリウム
(b−2)メタ珪酸ナトリウム
(b−3)オルソ珪酸カリウム
(c)非イオン界面活性剤
(c−1)イソデシルアルコールにエチレンオキサイド12モルとプロピレンオキサイド2モルをランダム付加した化合物
(c−2)イソデシルアルコールにエチレンオキサイド7モルを付加した化合物
(c−3)2−エチルヘキシルアルコールにエチレンオキサイド7モルを付加した化合物
(c−4)ドデシルアルコールにエチレンオキサイド8モルとプロピレンオキサイド2モルをランダム付加した化合物
(c−5)トリデシルアルコールにエチレンオキサイド8モルを付加した化合物
(d)可溶化剤
(d−1)メタキシレンスルホン酸ナトリウム
(d−2)パラトルエンスルホン酸ナトリウム
(e)金属イオン封止剤
(e−1)グルコン酸ナトリウム
(e−2)エチレンジアミン四酢酸ナトリウム
(f)その他の原料(比較例)
(f−1)水酸化テトラメチルアンモニウム
(1)洗浄剤組成物における評価
(製品安定性)
表1の各洗浄剤組成物を調製後すぐに40℃の恒温槽に静置し、1日後及び30日後に、分離、濁り及び沈殿の有無を目視で確認し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
◎:30日後に、分離、濁り及び沈殿が見られない
○:30日後に、分離、白濁又は沈殿が見られる
×:1日後に、分離、白濁又は沈殿が見られる
(2)シリコンウエハ製造工程における評価
(間隙洗浄性)
ワイヤーソーオイル(パレス化学株式会社製、PS−DWS−8)とシリコン粉(平均粒子経1μm)とを質量比90:10で混合したものを洗浄対象物のモデルとした。これを固定砥粒方式でスライスされた単結晶シリコンウエハ(サイズ:156mm×156mm)2枚の間にセットし、ウエハ間の間隔を150μmで固定したものをテストピースとした。
表1に示した組成を有する各実施例及び比較例の洗浄剤の水20倍希釈品を調製し、50℃に調温して上記テストピースを浸漬し、38KHz、300Wの条件で10分間超音波を照射した。さらにそのテストピースを25℃のイオン交換水に10分間浸漬し、38KHz、300Wの条件で10分間超音波を照射した。
上記処理後、2枚のウエハを開け、それぞれウエハ表面の洗浄対象物の除去面積率(%)を求め、その平均値を間隙洗浄性の評価として表1に示した。数値が大きいほど、間隙洗浄性が優れることを示す。なお、除去面積は、ウエハと同じサイズの碁盤状の枠(10×10マス)を作成し、これを洗浄後のウエハに当てはめて、マス目を数えることにより求めた。
(仕上げ洗浄性)
ワイヤーソーオイル(パレス化学株式会社製、PS−DWS−8)とシリコン粉(平均粒子経1μm)とを質量比90:10で混合したものを洗浄対象物のモデルとした。固定砥粒方式でスライスされた単結晶シリコンウエハ(サイズ:156mm×156mm)1枚を上記洗浄対象物のモデル液に完全に浸漬し、引き上げたものをテストピースとした。
表の各洗浄剤組成物の水10倍希釈品を調製し、50℃に調温して上記テストピースを浸漬し、38KHz、300Wの条件で20分間超音波を照射した。続いて、そのテストピースを40℃のイオン交換水に浸漬し、38KHz、300Wの条件で10分間超音波を照射した。さらに、そのテストピースを25℃のイオン交換水に浸漬し、38KHz、300Wの条件で10分間超音波を照射した後、テストピースを80℃乾燥機にて20分間乾燥した。
それぞれウエハ表面の洗浄対象物の除去面積率(%)を求め、その平均値を仕上げ洗浄性の評価として表1に示した。数値が大きいほど、仕上げ洗浄性が優れることを示す。なお、面積は、ウエハと同じサイズの碁盤状の枠(10×10マス)を作成し、これを洗浄後のウエハに当てはめてマス目を数えることにより求めた。
(加工変質層の除去性)
固定砥粒方式でスライスされた単結晶シリコンウエハ(サイズ:156×156mm)を王水(硝酸:塩酸=1:3)に完全に浸漬し、さらにイオン交換水ですすぎ、乾燥したものをテストピースとし、その重量を測定した。
表の各洗浄剤組成物の水20倍希釈品を調製し、50℃に調温して上記テストピースを浸漬し、38KHz、300Wの条件で20分間超音波を照射した。続いて、そのテストピースを40℃のイオン交換水に浸漬し、38KHz、300Wの条件で10分間超音波を照射した。さらに、そのテストピースを25℃のイオン交換水に浸漬し、38KHz、300Wの条件で10分間超音波を照射した後、テストピースを80℃乾燥機にて20分間乾燥し、その重量を測定し、試験前後におけるテストピースの重量の減少量(mg)を算出し、加工変質層の除去性の評価として表に示した。数値が大きいほど、加工変質層の除去性が優れることを示す。
また、試験後のテストピース表面を目視で確認し、シリコンウエハ表面のムラの発生の有無を以下の基準で評価した。ムラの発生は、洗浄剤による作用が部分により不均一であったことを示す。その結果を表1に示す。
○:シリコンウエハ表面にムラが見られない
×:シリコンウエハ表面にムラが見られる
(すすぎ性)
固定砥粒方式でスライスされた単結晶シリコンウエハ(サイズ:156×156mm)を王水(硝酸:塩酸=1:3)に完全に浸漬し、さらにイオン交換水ですすぎ、乾燥したものをテストピースとした。
表の各洗浄剤組成物の水10倍希釈品を調製し、50℃に調温して上記テストピースを浸漬し、38KHz、300Wの条件で20分間超音波を照射した。続いて、そのテストピースを40℃のイオン交換水に浸漬し、38KHz、300Wの条件で10分間超音波を照射した。さらに、そのテストピースを25℃のイオン交換水に浸漬し、38KHz、300Wの条件で10分間超音波を照射した後、テストピースを80℃乾燥機にて20分間乾燥し、その重量を測定した。
ウエハ表面の有機成分(洗浄剤残渣)をウエハ加熱脱離−ガスクロマトグラフ−質量分析法(株式会社島津製作所、GCMS−QP2010 Plus)で分析し、ウエハ片面(約243cm当たり)に残存する有機成分をヘキサデカン換算量で算出し、すすぎ性の評価として表1に示した。数値が小さいほど、すすぎ性が優れることを示す。
(3)テクスチャー形成工程における評価
アルカリウエットエッチング方法にてテクスチャー形成された単結晶シリコンウエハ(サイズ:156×156mm)を王水(硝酸:塩酸=1:3)に完全に浸漬し、さらにイオン交換水ですすいだものをテストピースとした。
表の各洗浄剤組成物の水20倍希釈品を調製し、50℃に調温して上記テストピースを浸漬し、38KHz、300Wの条件で20分間超音波を照射した。続いて、そのテストピースを40℃のイオン交換水に浸漬し、38KHz、300Wの条件で10分間超音波を照射した。さらに、そのテストピースを25℃のイオン交換水に浸漬し、38KHz、300Wの条件で10分間超音波を照射した後、テストピースを80℃乾燥機にて20分間乾燥した。
(ウエハ表面形状)
走査電子顕微鏡(日本電子株式会社、JSM−6380LV)を用いて、ウエハ表面のテクスチャー形状を観察した。評価は、ウエハの四隅、ウエハの中心点及びウエハ各辺の中点の合計9箇所について、洗浄前のテストピースと比較し、以下の基準で行った。その結果を表1に示す。
○:テクスチャー構造が保持されている
×:テクスチャーのサイズ変化や消滅が見られる
(表面反射率)
紫外・可視分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ、U−3900H)を用いて、波長600nmにおける試験片の反射率を測定した。その結果を表に示す。テストピースの反射率は12%であり、反射率が高いのはウエハ表面のテクスチャー形状が変化したことを示す。
Figure 0006533030
表1に示された結果から、本発明の洗浄剤組成物によれば、(a)アルカリ金属水酸化物、(b)アルカリ金属珪酸塩、及び(c)非イオン界面活性剤を組み合わせて使用したことにより、シリコンウエハの洗浄における洗浄効果が従来より顕著に向上し、また加工変質層の除去性及びすすぎ性にも優れ、さらにテクスチャー形成後の洗浄に使用した場合のウエハ表面形状保持効果にも優れることが分かる。

Claims (2)

  1. (a)アルカリ金属水酸化物、(b)アルカリ金属珪酸塩、(c)非イオン界面活性剤、(d)可溶化剤、及び水を含有してなる洗浄剤組成物であって、
    前記(a)アルカリ金属水酸化物100質量部に対し、前記(b)アルカリ金属珪酸塩を1〜100質量部含有し、
    前記(a)アルカリ金属水酸化物100質量部に対し、前記(c)非イオン界面活性剤を1〜50質量部含有し、
    前記(c)非イオン界面活性剤が、下記一般式(1)で示されるものである
    ことを特徴とする、シリコンウエハ用洗浄剤組成物。
    R−O−(AO)−H ・・・(1)
    但し式(1)中、Rは炭素数6〜13の脂肪族炭化水素基であり、AOはオキシアルキレン基であり、nは平均付加モル数であって1〜50の数である。
  2. 請求項1に記載の洗浄剤組成物を用いることを特徴とする、シリコンウエハの洗浄方法。
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