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JP6525274B2 - 風向調整装置 - Google Patents

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JP6525274B2 JP2016133905A JP2016133905A JP6525274B2 JP 6525274 B2 JP6525274 B2 JP 6525274B2 JP 2016133905 A JP2016133905 A JP 2016133905A JP 2016133905 A JP2016133905 A JP 2016133905A JP 6525274 B2 JP6525274 B2 JP 6525274B2
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Description

本発明は、冷暖設備や空調設備等において、空気導入口から空気吹出口側に向かう空気の流れを複数のフィンにより可変調整可能にした風向調整装置に関する。
図11(a),(b)は特許文献1に開示されたものである。この風向調整装置(同文献ではレジスタ)は、例えば、自動車のインストルメントパネルに設けられる空調吹出口を構成しており、複数のフィン23、及び各フィンの向きを調整可能にする操作部6やギア機構5を配設している筐体(同文献ではフレーム)20と、筐体20を内部に配置しているケース(同文献ではリテーナ)1とを備えたタイプである。
同図において、各フィン23は、筐体内周側の外側支軸24及び筐体中心軸線側に設けられた中央軸支部3の軸支部4を支点として回動可能に支持されている。ギア(ベベルギア)機構5は、軸支部4と嵌合している各フィン基端側筒部27に設けられたギア部(同文献ではベベルギア片)25、及び操作部6と一体に回転されて各フィンのギア部25と噛み合っている歯車(同文献ではベベルギア部)51からなる。歯車51は、軸部52を介して操作部6と連結されており、操作部6の回転により同方向に回転される。また、中央軸支部3は、背面側を開口した空洞に配された弾性体からなる荷重付与部材7と、五角形の各面に突設した軸支部4と、前面に突設した中央軸31とを有している。この中央軸支部31は、ケース1の後側支持枠12に保持されたボールジョイント8のボール81が荷重付与部材7に嵌合した状態に支持され、ボール81を支点として上下左右の任意の角度に自在に可変される。各軸支部4は対応するフィンの筒部27と嵌合されている。中央軸31は歯車51の軸部52内に嵌入されている。
そして、同(a)は、各フィン23が筐体の中心軸線S1に対し略平行に配置された通常通風状態である。各フィン23は、操作部6の回転操作により歯車51が回転されると共に、各フィン23が歯車51と噛み合っているギア部25を介して回転されて、中心軸線S1に対し略斜めに配置された拡散通風状態や略直角に配置された閉鎖状態に切り換えられる。また、筐体2は、ケース1に対してボールジョイントのボール81を支点として上下左右の任意の向きに可変調整可能となっている。
一方、図12(a),(b)は、以上の筐体をケースに対し上下左右の任意の向きに可変調整する場合の他の従来例として、特許文献2のものを示している。この構造において、ケース1には、部分凹状球面11が内周面に設けられると共に、内周面の対向位置に1対の摺動溝12,13が中心線と略平行に形成される。筐体3には、部分凸状球面3aが外周面に設けられると共に、外周面にあって摺動溝12,13に嵌合される支軸28,29及びケース内周面に接触可能な突起34,35が形成されている。以上の構造において、筐体3を上下左右任意の方向に回動操作したとき、支軸28,29を中心に筐体3が回動すると共に、支軸28,29が摺動溝12,13内で移動し、筐体全体が中心線上の中心点を中心に回動する。
特開2014−88115号公報 特開2014−172549号公報
上記特許文献1の構造では、空気が各フィンの角度に応じた向き、或いは旋回流として空気吹出口から吹き出されるためそれなりにマイルドな風当たりが得られるが、以下のような点から未だ満足できないものとなっている。
(a)、筐体2としては、前側部分21及び後側部分22に分割されて部品数が多く組付け工数も必要となる。この対策として、筐体2を単一部品として簡略化した場合、今度は各フィン26を中央軸支部3に支持した状態で筐体内に組み込むことが難しくなる。すなわち、各フィン26は、中央軸支部3に対して筒部27と軸支部4の嵌合を介して組付けた状態で、中央軸支部3と共に筐体2の内側に押し込んで各フィンの外周の支軸24を筐体内周面の対応する凹部又は軸穴に嵌合しなければならない。しかし、各支軸24は、筐体内周面の対応する凹部又は軸穴に嵌合しようとしても、筐体対応部分が外側へ変位し難いため不可能か組立作業性が悪くなる。
(b)、筐体2は、ケース1に対してボールジョイントのボール81を支点として上下左右の任意の向きに可変調整可能となっている。この支持構造については、筐体2とケース1内面が非接触で、ボールジョイントの先端ボール81を中心に傾動するので、従来装置のように外枠の内側球体と内枠の外側球面の接触による回動支持に比べて寸法誤差に起因した操作荷重のばらつきやゴリゴリ感が発生せず、安定した滑らかな操作フィーリングが得られると説明されている。しかし、この支持構造では、ボールジョイント8を支える後側支持枠12が空気流路の中央にあるため通風状態を乱す要因となるだけではなく、剛性確保が難しい。剛性が不足すると、筐体を上下左右に傾動する首振り操作時に回転の動き以外に軸振れの動きがでて質感が劣る。また、筐体を少しの角度だけ首振り操作しようとすると、回転せずに軸振れ分だけ動いてしまう虞がある。
(c)、なお、特許文献2の支持構造において、摺動部としてがたつきなく、かつ適度な抵抗を持たせて滑らかな作動を実現するためには、ケース内周面の摺動溝12,13と筐体外周面の支軸28,29、ケース内周面と筐体外周面の突起34,35について相当高度な寸法管理が必要となる。また、初期は滑らかであっても経年変位によりがたつきが発生する虞もある。
本発明の目的は、以上のような課題を解消して、風向調整に優れるだけではなく、筐体を分割することなく、フィンが多数枚であっても軸支部材と共に筐体内への組込操作性を良好に維持できるようにすることにある。他の目的は、ケースに対する筐体の支持構造として、特許文献2に比べ滑らかな作動を実現しながら寸法管理を多少なりとも緩和できるようにすることにある。更に他の目的は以下の内容説明のなかで明らかにする。
上記目的を達成するため本発明は、形態例を参照して特定すると、回動可能に支持された複数のフィン(4)、及び前記フィンの向きを調整可能にする操作部(6)やギア機構を配設している概略円筒状の筐体(1)と、前記筐体を内側に配置しているケース(2)とを備えた風向調整装置において、前記フィン(4)は、筐体内周側の外側枢支部(44)及び筐体中心軸線(N)側の内側枢支部(45)を支点として回動可能に支持されると共に、前記内側枢支部(45)付近に設けられたギア部(46)を有し、前記ギア機構は、前記操作部(6)とシャフト(5)を介して一体に回転されて前記各フィンのギア部と噛み合っている歯車(50)を有し、前記筐体(1)は、筐体中心軸線上に設けられて、前記各フィンの内側枢支部(45)と嵌合する連結部(73)、前記シャフト(5)を串差し状に挿通する貫通孔(71)とを形成している軟質の軸支部材(7)を有していることを特徴としている。
以上の本発明において、『フィン』は、筐体内周側の外側枢支部(44)及び筐体中心軸線側の内側枢支部(45)を支点として回動可能、つまりラジアル方向の枢軸線を支点として回動可能となっていればよい。フィンの枚数は2以上にて構成されている。また、『軟質の軸支部材』とは、軸支部材がフィン、シャフト、操作部よりも軟質ないしは柔らかくなっている構成であり、材質的には形態例で採用した軟質樹脂成形体に限られず、ゴム成形体等でも差し支えない。『嵌合』とは、互いに回転ないしは回動可能に嵌り合っている関係をいう。
以上の本発明は、請求項2〜8で特定したように具体化されることがより好ましい。
(1)、前記筐体の外周面は、概略凸状球面に形成されると共に、前記凸状球面の周囲を略等分する箇所に突設された複数の突起(17)を有し、前記ケースの内周面は、一部が前記凸状球面に対応した概略凹状球面に形成されると共に、前記突起に対応して設けられた凹所(23a,23b)及び前記凹所に配設されて前記突起と摺動可能に嵌合する凹状の溝(31)を区画形成している軟質のスペーサ(3A,3B)を有しており、前記筐体が前記突起を前記スペーサの溝に嵌合した状態で前記ケースに対し上下左右に傾動調整される構成である(請求項2)。なお、『軟質のスペーサ』とは、スペーサがケースよりも軟質ないしは柔らかくなっている構成であり、材質的には軟質樹脂成形体に限られず、ゴム成形体等でも差し支えない。
(2)、前記軸支部材の連結部は軸部(73)であり、前記フィンの内側枢支部は前記軸部と嵌合可能であると共に周囲に前記ギア部(46)を形成している筒部45からなる構成である(請求項3)。
(3)、 前記操作部(6)及び前記軸支部材(7)の対向端面には、一方側に設けられた凸部(75)と、他方側に設けられて前記凸部と係脱する複数の係合部(65a,65b,65c)とが設けられており、前記操作部の回転により前記凸部と係合する前記係合部を切り換えて前記フィンの向き可変する構成である(請求項4)。
(5)、前記係合部は、前記各フィンが前記筐体中心軸線(N)に対し、略平行に配置されたときに前記凸部と係合する第1係合部(65a)、略斜めに配置されたときに前記凸部と係合する第2係合部(65b)、略直角に配置されたときに前記凸部と係合する第3係合部(65c)を有している構成である(請求項5)。ここで、各係合部は、形態例のごとく3つで構成して、操作部を回転して凸部と係合する係合部を順に切り換えることにより、各フィンを図8の通常通風状態と図9の拡散通風状態の間で切り換えたり、更に図9の拡散通風状態と図10の閉鎖状態の間で切り換えることが操作の簡明性の点から好ましい。
(6)、前記軸支部材を前記操作部側へ付勢している付勢部材(8)を有している構成である(請求項6)。
(7)、前記凹所(23a,23b)及び前記スペーサ(3A,3B)は、周囲略等分した4箇所に設けられており、前記凹状の溝の溝幅寸法が異なる2種のものからなる構成である(請求項7)。
(8)、前記ケース(2)は、前ケース(25)及び後ケース(20)に分割されており、前記凹所及び前記スペーサが前記前後ケースを跨いで配置されている構成である(請求項8)。
請求項1の発明では、特に、図5に例示されるごとく筐体の中心軸線上に設けられる軸支部材を有し、その軸支部材が軟質に形成されると共に、各フィンの内側枢支部と嵌合する連結部及びシャフトを串差し状に挿通する貫通孔を形成していることにより、各フィン及び軸支部材の筐体内への組付け操作性を良好にでき、組立後はがたつきを抑えたり不用意な外れを解消できる。すなわち、各フィン及び軸支部材は、図5(b)のごとく連結部及び内側軸支部の嵌合状態で筐体内に組付けられる。その際は、軸支部材が貫通孔の存在で撓んで筐体内に比較的容易に組み込まれる。その後、軸支部材は、シャフトが貫通孔に挿通されると撓み難くなり、各フィンのがたつきが抑えられて外れ難くなる。
請求項2の発明では、筐体が筐体外周の突起及びケース内周面の溝の嵌合を介してケースに対し上下左右に傾動調整される構造において、ケース内周面に設けられた凹所に配設されて突起と摺動可能に嵌合する凹状の溝を区画形成している軟質のスペーサを有していることにより、突起の当て荷重が均一化し易くなったり当て荷重に偏りが少なくなって傾動調整操作を滑らかにでき、傾動作動特性を向上できる。勿論、軟質のスペーサをケースに後付けするため、ケース自体を軟質にする場合に比べ剛性確保が容易となり、良好な質感を維持できる。
請求項3の発明では、各フィンが内側枢支部として筒部を有し、該筒部の周囲部分にギア部を形成することでギア部を精度よく形成容易となる。また、軸支部材の連結部である軸部と筒部との嵌合も簡明なものとなる。
請求項4の発明では、操作部の回転操作により凸部と係合する係合部を切り換えてフィンの向きを可変するため、回転操作時の節度感やクリック感が得られ、それにより回転操作性が良好となり高級感を付与できる。
請求項5の発明では、請求項4の発明において、各フィンが図8の通常通風状態、図9の拡散通風状態、図10の閉鎖状態と順に切り換えられたり、逆に図10の閉鎖状態、図9の拡散通風状態、図8の通常通風状態に順に切り換えられることから通風状態の選択切り換えを簡明にできる。
請求項6の発明では、軸支部材を操作部側へ付勢している付勢部材により操作部と軸支部材との間の遊びを吸収してがたつきをなくしたり、付勢部材として最適な付勢力のもを選ぶことで操作部の回転力や当たりを最適化し易くなる。
請求項7の発明では、フィン等を内蔵した筐体が形態例のごとく4箇所の突起がケース内周面の対応する軟質からなるスペーサの溝に沿って摺動されることで、図7に例示したごとく初期姿勢状態、上下首振り状態、左右首振り状態に切り換えられる。この場合、各スペーサが凹状の溝幅寸法を突起と嵌合する狭いものと、突起と遊嵌する広いものとで構成されることにより、溝幅寸法が広い分に対応した多様な傾動状態が得られる。
請求項8の発明では、請求項2のごとく筐体外周面が凸状球面であり、ケース内周面がその凸状球面に対応した凹状球面になっていると、ケースを前後に分割しないと筐体をケース内に組込不可能となる。ケースを前後に分割した場合は、凹所及びスペーサを前後ケースを跨いで配置すると、境界の段差がスペーサにより吸収されて良好な作動を維持できる。
本発明形態の風向調整装置をフィンの通常通風状態で示し、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は(a)のB−B線断面図である。 上記風向調整装置をフィンの拡散通風状態で示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。 上記風向調整装置をフィンの閉鎖状態で示し、(a)は正面図、(b)は(a)のA1−A1線断面図、(c)は(a)のB1−B1線断面図である。 上記風向調整装置を構成しているフィン等を内蔵した筐体とケースとの関係を示す概略分解図である。 上記フィン等を内蔵した筐体の構成を示し、(a)はフィンと軸支部材及び歯車等の関係を示す分解図、(b)は筐体とフィン等の関係を示す分解図である。 上記風向調整装置を構成している軸支部材と操作ノブの関係を示す分解図、(b)は操作ノブを回転してフィン状態を切り換える前後の状態を示す構成図である。 上記ケースに対してフィン等を内蔵した筐体を傾動したときの態様を示し、(a)は筐体の初期姿勢状態を示し、(b)は筐体の上下首振り状態を示し、(c)は筐体の左右首振り状態を示す作動説明図である。 上記風向調整装置をケースを省略した通常通風状態で示し、(a)はその斜視図、(b)は筐体を省略した斜視図、(c)は筐体を省略した側面図である。 上記風向調整装置をケースを省略した拡散通風状態で示し、(a)はその斜視図、(b)は筐体を省略した斜視図、(c)は筐体を省略した側面図である。 上記風向調整装置をケースを省略した閉鎖状態で示し、(a)はその斜視図、(b)は筐体を省略した斜視図、(c)は筐体を省略した側面図である。 (a)と(b)は特許文献1に開示の装置構造(同文献1の図4と図7)を示している。 (a)と(b)は特許文献2に開示の装置構造(同文献2の図1と図3)を示している。
以下、本発明の形態例について添付した図面を参照しながら説明する。この説明では、風向調整装置の構造、組立要領を明らかにした後、主な作動に言及する。
(構造)形態例の風向調整装置は、図1から図5に示されるごとく、回動可能に支持される複数(この例では4枚)のフィン4、及び各フィン4の向きを調整可能にする操作部である操作ノブ6やギア機構(46,50)、並びに軟質の軸支部材7等を内側に配設している概略円筒状の筐体1と、後ケース20及び前ケース25並びに化粧枠28にて区画される内側空間に筐体1を傾動調整可能に配置しているケース2と、前ケース25及び後ケース(20)の各内周面に跨いで設けられて筐体外周面の突起17と嵌合したり遊嵌する凹状の溝31を形成している軟質のスペーサ3A,3Bとを備えている。
各部材を概説する。各フィン4は、外周側に設けられた外側枢支部である軸部44及び内周側に設けられた内側枢支部である筒部45を支点として回動可能に支持されると共に、筒部45の周囲部分に設けられたギア部46を有している。ギア機構は、そのギア部46と、操作ノブ6に連結されるシャフト5の先端に設けられて各フィンのギア部46と噛み合っている歯車50を有している。軸支部材7は、筐体の中心軸線N上に保持されて、各フィンの筒部45と嵌合する連結部である軸部73、シャフト5を回動自在に串差し状に挿通する貫通孔71等を形成している。また、シャフト5の軸周りに支持された状態で軸支部材7と歯車50との間に設けられた付勢部材8を有している。以下、これらの細部を明らかにする。
まず、各部材の材質は、筐体1、ケース2を構成している前後ケース25,20及び化粧枠28、スペーサ3A,3B、各フィン4、歯車50付きシャフト5、操作ノブ6、軸支部材7は全て樹脂成形体である。このうち、スペーサ3A,3B及び軸支部材7は、軟質の樹脂成形体であり、他の部材(硬質系の樹脂成形体)に比べ軟質ないしは柔らかくなっている。付勢部材8は金属製である。
筐体1は、図1と図5及び図6に示されるごとく、内前端側が空気吹出口1aで、内後端側が空気導入口1bに設定されていると共に、外周が略凸状球面で、内周が各フィン4が共通する筐体中心軸線Nを支点として回動可能な略凹状球面となっている。筐体1には、筐体外周にあって、径大となった前後略中間の周囲を等分する箇所に突出された4つの円柱状の突起17と、突起17より後側周囲を等分する箇所に貫通された外側枢支部である軸穴18とが設けられている。筐体内には、前側中央部に配置された筒状の軸支部14と、軸支部14の後端面側に一体化した軸支部14より一回り径小な筒状の軸支部15と、軸支部14と筐体内周面との間に介在された格子部12,13,16と、後側内周面に突出されてフィン4の回動範囲を規制する規制突起19(図1と図3の各(b)を参照)とが設けられている。
軸支部14は、操作ノブ6の筒部62を差し込む略円筒状となっている。軸支部15は、図1(b),(c)に示されるごとく軸支部材の筒部71をこの筒内に挿入し抜け止めした状態で軸支部材7を回動自在に保持する。格子部12は、軸支部14の筒状より一回り大きなリング状となっており、筐体1の内周面との間に設けられた複数の棒状格子部13により支持されている。軸支部14は、格子部12の内周面との間に設けられた複数の棒状格子部16により支持されている。軸支部14の筒内には、後述する操作ノブ6の筒部62形状に対応して設けられた隙間を吸収する断面略三角形の内壁14aが筒方向に設けられている。
ケース2は、図1〜図3及び図4に示されるごとく、前ケース25が後ケース20に係合連結されると共に、化粧枠28が前ケース25に係合連結される。このうち、後ケース20は、後側が円形筒部20で、前側が前ケース25と連結される球形筒部21となっている。球形筒部21は、内周面にあって周囲等分する箇所でそれぞれ一対づつ設けられた凹所23a,23bと、各凹所23a,23bに設けられて対応するスペーサ3A,3Bを取り付ける係止穴24aと、端面の周囲等分する箇所に突出された4つの舌片に設けられた係止穴24bと、各凹所23a,23bに対応して設けられた張出部21a,21bとを有している。凹所23a同士及び凹所23b同士は対向している。凹所23a及び張出部21aは、凹所23b及び張出部21bに比べ幅寸法が小さい。
前ケース25は、筒部21に対応した球形となっており、内周面にあって周囲等分する箇所でそれぞれ一対づつ設けられた凹所26a,26bと、各凹所26a,26bに対応して設けられた張出部25a,25bとを有している。凹所26a同士及び凹所26b同士は対向している。凹所26a及び張出部25aは、凹所26b及び張出部25bに比べ幅寸法が小さい。また、外周には、張出部25aと張出部25bの間に設けられた対の係止凸部27bと、係止凸部27b同士の間に突設されて後ケースの係止穴24bに係合する係合凸部27aとを有している。各凹所26a,26bは、前後ケース25,20が係合凸部27aと係止穴24bの係合により連結された状態で、後ケース20の対応する凹所23a,23bと接続される。
化粧枠28は、図1に示されるごとく前内側に設けられた略V形の受入部28aと、後端面にあって周囲等分する箇所に突設された合計4つの略逆T形の連結片29とを有している。そして、化粧枠28は、前ケース25に対して各連結片29が係止凸部27b同士の間に係合されて前ケース前端側を覆った状態に取り付けられる。この取付操作は、前ケース25を後ケース20に連結する前でも後でもよい。
スペーサ3A,3Bは軟質の樹脂成形体からなる。スペーサ3Aは凹所23a及び凹所26aに対応した大きさ、スペーサ3Bは凹所23b及び凹所26bに対応した大きさにそれぞれ形成されている。各スペーサ3A,3Bは、筒部21及び前ケース25の内面に対応して湾曲した板片を用い、該板片の内面に周囲壁30を設けた状態で凹状の溝31を区画形成している。スペーサ3Aの溝31は、突起17が溝方向に摺動自在に嵌合する溝幅寸法となっている。これに対し、スペーサ3Bの溝31は、スペーサ3Aに比べて幅広になっており、突起17が溝方向及び溝幅方向に摺動自在に遊嵌する溝幅寸法となっている。また、スペーサ3A,3Bは、一端側中間に突設された小突起32と、外面の略中間に突設されたリブ33とを有している。
次に、筐体1の内部構造を明らかにする。筐体1内に配置される各フィン4は、図5及び図10に示されるごとく、外周面40が筐体1の内周面に対応した略円弧状に形成され、内周面41が略直線状に形成されており、筐体中心軸線Nに対して略直角に配置されると筐体1内を4枚で閉鎖状態にする形状となっている。また、外周面40には、軸穴18に嵌合する円柱状の突起44が設けられている。内周面41には、筒部45が設けられると共に筒部周囲(この例では筒部の略半周)にギア部46が形成されている。そして、各フィン4は、軸部44が筐体1の軸穴18に嵌合され、筒部45が筐体中心軸線N上に配置される軸支部材7の軸部73に嵌合された状態で回動可能に支持される。
軸支部材7は、図1と図5及び図6に示されるごとく、立方体ないしは六面体である本体70と、本体70の一面に突設された円筒状の筒部71とからなる。本体70には、筒部71の内孔と連続するよう設けられた貫通孔72と、上下及び前後の四面に突設された軸部73とを有している。筒部71は、外径が上記筐体の軸支部15の筒状に嵌合保持される大きさであり、突出端側に設けられた半円状の切欠部73と、突出端外周囲に突設された突起74と、突出端面に突設された凸部75とを有している。
各フィンのギア部46には、ギア機構を構成している歯車50が噛み合わされる。歯車50は、軸支部材の貫通孔72に回動自在つまり串差し状態に挿通されるシャフト5の先端に設けられている。シャフト5は、後端51側が所定長さ断面半円状ないしは蒲鉾状に形成されていると共に、図1(c)に示されるごとく蒲鉾状の平板部52に突設された爪部53を有している。そして、シャフト5は、後端51側が爪部53を介して操作ノブ6に係合連結される。なお、以上の歯車50とギア部46とは、交わる2軸間に回転運動を伝達する関係であればよい。通常は、タイマ歯車、ハスバカサ歯車、斜交歯車等のかさ歯車により構成される。
操作ノブ6は、図1及び図6に示されるごとく手で掴む摘部60及び摘部60の内側から突設された筒部62からなる。摘部60は、有底筒状となっており、軸支部14の突出端と回動自在に当接する。筒部62は、内部66が断面略半円状であり、蒲鉾状の平板部63を有している。平板部63には、シャフトの爪部53が係合される係止穴64(図1と図3の各(c)を参照)が設けられている。また、筒部62は、平板部63を除いた突出端面が円弧端面となっており、該円弧端面に係合部65a〜65cが設けられている。
各係合部65a〜65cは、シャフト側の凸部75と共に操作ノブ6を回転したときに節度感やクリック感を得られるようにするクリック手段を構成する。この例では、各フィン4が筐体中心軸線Nに対し、略平行に配置されたときに凸部75と係合する第1係合部65aと、略斜めに配置されたときに凸部75と係合する第2係合部65b、略直角に配置されたときに凸部75と係合する第3係合部65cを有している。
(組立)以下、以上の各部材の組立手順の一例について説明する。この例では、筐体1に対し軸支部材7に各フィン4を保持した状態で組み込まれた後、シャフト5と操作ノブ6とが組み込まれる。その後、筐体1がケース2に保持操作されることになる。細部は以下の通りである。
まず、各フィン4は、軸支部材7に対し軸部73に筒部45を嵌合した状態で保持される。そして、軸支部材7はフィン4付きの状態で筐体1内に組み込まれる。その場合、フィン付き軸支部材7は、図5(b)に示す状態で、筐体1内に押入しようとすると、各軸部44が途中で筐体後端に当たる。そこで、各軸部44を、本体70側へ押圧し、貫通孔72側への本体70の縮径変位を伴って筐体内周に押入し、更に対応する軸穴18に嵌合させる。この過程では、図1(b),(c)に示すごとく筒部71が軸支部15の筒内に挿入され、突起74を縮径しながら軸支部15の筒内から筒外、つまり軸支部14の筒内に突出して元の状態に復元される。これにより、軸支部材7は、軸支部14に対し筒部の突起74により抜け止めされた状態で保持される。各フィン4は、筐体1内にあって軸部44と軸部73を支点として回動自在に保持されている。
上記したシャフト5及び操作ノブ6は、筐体1に対し前記したフィン付き軸支部材7を組み込んだ後、シャフト5が筐体1の後側より軸支部材の貫通孔72に串差し状に差し込まれ、操作ノブの筒部62が筐体1の前側から軸支部14の筒状内に差し込まれる。その際、シャフト5の軸周りには付勢部材8であるコイルバネが配置される。付勢部材8は、シャフト5に保持された状態で歯車50と軸支部材の本体70との間に圧縮状態で配置される。それにより、付勢部材8は、シャフト5が操作ノブの係止穴64に係合連結された状態で、軸支部材7を操作ノブ6側へ付勢している。このため、この構造では、操作ノブ6が回転操作されて、例えば凸部75と係合している係合部65aを係合解除して次の係合部65bに係合すべく切り換えたり、更に係合部65bを係合解除して次の係合部65cに係合すべく切り換えたるときに節度感やクリック感を付与できる。
次に、以上のフィン4等を内蔵した筐体1をケース2に組み込む。この操作では、上記したスペーサ3A,3Bが後ケース20及び前ケース25に組付けられる。組立手順は、スペーサ3A,3Bが後ケース20に対し組み込まれた後、筐体1を後ケース20内に配置し、次に後ケース20に前ケース25を係合連結することになる。すなわち、まず、スペーサ3A,3Bは、小突起32を係止穴24aに係合すると共に後ケース20の凹所23a,23bに嵌め込まれる。その後、筐体1は、上記したごとく各フィン4等を内蔵した状態で後ケース20内に組み込まれる。
その際は、筐体の各突起17が対応するスペーサ3A又は3Bの溝31に嵌合されたり遊嵌される。次に、前ケース25が後ケース20に対し小突起27aを対応する係止穴24bに係合することで係合連結される。同時に、各スペーサ3A,3Bの凹所23a,23bから突出した部分が、前ケース25の対応する凹所26a,26bに嵌め込まれる。これにより、フィン4等を内蔵した筐体1は、ケース2に対し突起17が各スペーサの溝31に嵌合ないしは遊嵌した状態で組み付けられ、図1〜図3及び図7に示される風向調整装置として完成される。
(作動)以下、以上の風向調整装置の主な作動ないしは利点について言及する。
(1)、この装置組立作業においては、上述したごとく図5に示されるごとく筐体中心軸線N上に設けられる軸支部材7が軟質であると共にシャフト挿通用の貫通孔72の存在で撓み易くなっているため、軸支部材7がフィン4付きの状態、つまり軸支部材7が各フィン4を軸部73と筒部45の嵌合を介して支持した状態で筐体1内に組み込み容易となり、筐体1内への組付け操作性を良好にできる。また、軸支部材7はシャフト5が貫通孔72に挿通されると撓み難くなるため、各フィン4が不用意に外れたりがたつきの虞も抑えられる。
(2)、装置特徴1としては、ケース2の内周面に設けられた凹所23a,26a及び凹所23b,26bに配設されて突起17と摺動可能に嵌合する凹状の溝31を区画形成している軟質のスペーサ3A,3Bを有している。このため、この構造では、以上の風向調整装置が図7に例示されるごとく車体の設置部9に装備された状態において、フィン4等を内蔵した筐体1がケース2に対し同(a)の初期姿勢状態から、操作ノブ6を摘んで下又は上へ動かすと同(b)の例のごとく上下首振り状態に傾動調整したり、操作ノブ6を摘んで左又は右へ動かすと同(c)の例のごとく左右首振り状態に傾動調整することができる。こられの傾動調整では、突起17が軟質のスペース3A,3Bの溝31内を動くことに起因して、突起17の当て荷重が均一化し易くなったり当て荷重に偏りが少なくなって傾動調整操作を滑らかにでき、傾動作動特性を向上できる。なお、この構造では、軟質のスペーサ3A,3Bをケース2に後付けするため、ケース自体を軟質にする場合に比べ剛性確保が容易となり、良好な質感を維持できる。
(3)、装置特徴2としては、各フィン4を内蔵した筐体1が4箇所の突起17がケース内周面の対応する軟質からなるスペーサ3A,3Bの溝31に沿って摺動されることで、上記したように初期姿勢状態、上下首振り状態、左右首振り状態に切り換えられる。この場合、各スペーサ3A,3Bの溝31が凹状の溝幅寸法を突起と嵌合する狭いものと、突起と遊嵌する広いものとで構成されることにより、溝幅寸法が広い分に対応した多様な傾動状態が得られる。更に、筐体1外周面が凸状球面であり、ケース2内周面がその凸状球面に対応した凹状球面になっていると、ケース2を前後に分割しないと筐体1をケース2内に組込不可能となる。このようにケース2を前後に分割した場合は、凹所23a,26a及び凹所23b,26b及びスペーサ3A,3Bを前後ケース25,20を跨いで配置すると、境界の段差がスペーサ3A,3Bにより吸収されて良好な作動を確実に維持できる。
(4)、装置特徴3としては、各フィン4が内側枢支部として筒部45を有し、該筒部45の周囲部分にギア部46を形成するようにしたため、ギア部46を形態例のごとく精度よく形成容易となる。また、軸支部材7の軸部73と筒部45との嵌合も簡明なものとなり、また軟質の軸部73が筒部45に嵌合しているため各フィン4の回動特性も良好となる。
(5)、装置特徴4としては、操作ノブ6の回転操作により軸支部材の凸部75と係合する係合部65a〜65cを切り換えて各フィン4の向きを可変するため、回転操作時の節度感やクリック感が得られ、それにより回転操作性が良好となり高級感を付与できる。すなわち、各フィン4は図1と図8の通常通風状態、図2と図9の拡散通風状態、図3と図10の閉鎖状態と順に切り換えられたり、逆に前記閉鎖状態、前記拡散通風状態、前記通常通風状態に順に切り換えられることから通風状態の選択切り換えを簡明にできる。以上の係合部65a〜65cは、形態例のごとく3つで構成したが、例えば、係合部を6つで構成して、操作ノブ6を回転して凸部75と係合する係合部を順に切り換えることにより、各フィン4をより多様な状態に切換可能にしてもよい。
(6)、装置特徴5としては、軸支部材7を操作ノブ6へ付勢している付勢部材8により、操作ノブ6と軸支部材7との間の遊びを吸収してがたつきをなくしたり、付勢部材8として最適な付勢力のもを選ぶことで操作ノブ6の回転力や当たりを最適化し易くなる。
なお、本発明の風向調整装置は、請求項1で特定される構成を備えておればよく、細部は以上の説明を参考にして変更したり展開可能なものである。その例として、ケースとしては化粧枠を廃止したり前ケースに化粧枠部分を一体に形成することである。付勢部材は省略したり、軸支部材と歯車形成部との対向部分に付勢力を発生する弾性部分を設けるようにすることである。凸部及び係合部はクリック手段を構成するものであるが、廃止して簡略化してもよい。また、クリック手段としては、凸部を操作ノブに設け、凸部と係脱する係合部を軸支部材に設けるようにしてもよい。スペーサは、凹状の溝の溝幅寸法が異なる2種のもので構成したが、同じ溝幅寸法のもので構成するようにしても差し支えない。
1・・・・・・・筐体(1aは空気吹出口、1bは空気導入口)
2・・・・・・・ケース(20は後ケース、25は前ケース、28は化粧枠)
3A,3B・・・スペーサ(30は周囲壁、31は溝、32は小突起)
4・・・・・・・フィン(40は外周面、41は内周面)
5・・・・・・・シャフト(51は後端、53は爪部)
6・・・・・・・操作ノブ(操作部、60は摘部)
7・・・・・・・軸支部材(70は本体、71は筒部、72は貫通孔)
8・・・・・・・付勢部材
9・・・・・・・車体の設置部
17・・・・・・突起
18・・・・・・軸穴(外側枢支部)
23a・・・・・凹所
23b・・・・・凹所
44・・・・・・軸部(外側枢支部)
45・・・・・・筒部(内側枢支部)
46・・・・・・ギア機構を構成しているフィン側のギア部
50・・・・・・ギア機構を構成しているシャフト側の歯車
62・・・・・・筒部
63・・・・・・平板部(64は係止穴)
65a・・・・・第1係合部(係合部)
65b・・・・・第2係合部(係合部)
65c・・・・・第3係合部(係合部)
73・・・・・・軸部(連結部)
74・・・・・・突起
75・・・・・・凸部

Claims (8)

  1. 回動可能に支持された複数のフィン、及び前記フィンの向きを調整可能にする操作部やギア機構を配設している概略円筒状の筐体と、前記筐体を内側に配置しているケースとを備えた風向調整装置において、
    前記フィンは、筐体内周側の外側枢支部及び筐体中心軸線側の内側枢支部を支点として回動可能に支持されると共に、前記内側枢支部付近に設けられたギア部を有し、
    前記ギア機構は、前記操作部とシャフトを介して一体に回転されて前記各フィンのギア部と噛み合っている歯車を有し、
    前記筐体は、筐体中心軸線上に設けられて、前記各フィンの内側枢支部と嵌合する連結部、及び前記シャフトを串差し状に挿通する貫通孔を形成している軟質の軸支部材を有していることを特徴とする風向調整装置。
  2. 前記筐体の外周面は、概略凸状球面に形成されると共に、前記凸状球面の周囲を略等分する箇所に突設された複数の突起を有し、
    前記ケースの内周面は、一部が前記凸状球面に対応した概略凹状球面に形成されると共に、前記突起に対応して設けられた凹所及び前記凹所に配設されて前記突起と摺動可能に嵌合する凹状の溝を区画形成している軟質のスペーサを有しており、
    前記筐体が前記突起を前記スペーサの溝に嵌合した状態で前記ケースに対し上下左右に傾動調整されることを特徴とする請求項1に記載の風向調整装置。
    調整装置。
  3. 前記軸支部材の連結部は軸部であり、前記フィンの内側枢支部は前記軸部と嵌合可能であると共に周囲に前記ギア部を形成している筒部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の風向調整装置。
  4. 前記操作部及び前記軸支部材の対向端面には、一方側に設けられた凸部と、他方側に設けられて前記凸部と係脱する複数の係合部とが設けられており、前記操作部の回転により前記凸部と係合する前記係合部を切り換えて前記フィンの向きを可変することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の風向調整装置。
  5. 前記係合部は、前記各フィンが前記筐体中心軸線に対し、略平行に配置されたときに前記凸部と係合する第1係合部、略斜めに配置されたときに前記凸部と係合する第2係合部、略直角に配置されたときに前記凸部と係合する第3係合部を有していることを特徴とする請求項4に記載の風向調整装置。
  6. 前記軸支部材を前記操作部側へ付勢している付勢部材を有していることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の風向調整装置。
  7. 前記凹所及び前記スペーサは、周囲略等分した4箇所に設けられており、前記凹状の溝の溝幅寸法が異なる2種のもので構成されていることを特徴とする請求項2から6のいずれかに記載の風向調整装置。
  8. 前記ケースは、前ケース及び後ケースに分割されており、前記凹所及び前記スペーサが前記前後ケースを跨いで配置されていることを特徴とする請求項2から7のいずれかに記載の風向調整装置。
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