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JP6510933B2 - 光デバイスウエーハの加工方法 - Google Patents

光デバイスウエーハの加工方法 Download PDF

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JP6510933B2 JP2015163967A JP2015163967A JP6510933B2 JP 6510933 B2 JP6510933 B2 JP 6510933B2 JP 2015163967 A JP2015163967 A JP 2015163967A JP 2015163967 A JP2015163967 A JP 2015163967A JP 6510933 B2 JP6510933 B2 JP 6510933B2
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Description

本発明は、サファイア基板の表面に発光層が形成され格子状の複数の分割予定ラインによって区画された複数の領域に光デバイスが形成された光デバイスウエーハを分割予定ラインに沿って個々の光デバイスに分割する光デバイスウエーハの加工方法に関する。
光デバイス製造工程においては、略円板形状であるサファイア基板の表面に窒化ガリウム系化合物半導体からなる発光層が積層され格子状に形成された複数の分割予定ラインによって区画された複数の領域に発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスを形成して光デバイスウエーハを構成する。そして、光デバイスウエーハを分割予定ラインに沿って切断することにより光デバイスが形成された領域を分割して個々の光デバイスを製造している。
上述した光デバイスウエーハの分割予定ラインに沿った切断は、通常、ダイサーと呼ばれている切削装置によって行われている。この切削装置は、被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削するための切削手段と、チャックテーブルと切削手段とを相対的に移動せしめる切削送り手段とを具備している。切削手段は、回転スピンドルと該スピンドルに装着された切削ブレードおよび回転スピンドルを回転駆動する駆動機構を含んでいる。切削ブレードは円盤状の基台と該基台の側面外周部に装着された環状の切れ刃からなっており、切れ刃は例えば粒径3μm程度のダイヤモンド砥粒を電鋳によって基台に固定し厚さ20μm程度に形成されている。
しかるに、光デバイスウエーハを構成するサファイア基板はモース硬度が高いため、上記切削ブレードによる切断は必ずしも容易ではない。更に、切削ブレードは20μm程度の厚さを有するため、デバイスを区画する分割予定ラインとしては幅が50μm程度必要となる。このため、分割予定ラインの占める面積比率が高くなり、生産性が悪いという問題がある。
上述した問題を解消するために、光デバイスウエーハを分割予定ラインに沿って分割する方法として、サファイア基板に対して吸収性を有する波長のパルスレーザー光線を分割予定ラインに沿って照射することにより破断の起点となるレーザー加工溝を形成し、この破断の起点となるレーザー加工溝が形成された分割予定ラインに沿って外力を付与することにより割断する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかるに、光デバイスウエーハを構成するサファイア基板の表面に形成された分割予定ラインに沿ってレーザー光線を照射してレーザー加工溝を形成すると、発光ダイオード等の光デバイスの外周がアブレーションされてデブリと呼ばれる溶融物が付着するため輝度が低下し、光デバイスの品質が低下するという問題がある。
このような問題を解消するために、発光層(エピ層)が形成されていないサファイア基板の裏面側からサファイア基板に対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点を内部に位置付けて分割予定ラインに沿って照射し、サファイア基板の内部に分割予定ラインに沿って改質層を形成することにより、サファイア基板を改質層が形成されることによって強度が低下せしめられた分割予定ラインに沿って分割する加工方法が下記特許文献2に開示されている。
しかるに、サファイア基板の内部に分割予定ラインに沿って改質層を形成すると、光デバイスの外周が改質層で覆われ光デバイスの抗折強度が低下するとともに、裏面から表面に亘って垂直に分割することはできないという問題がある。
このような問題を解消するために、パルスレーザー光線を集光する集光レンズの開口数(NA)を単結晶基板の屈折率(N)で除した値が0.05〜0.2の範囲で集光レンズの開口数(NA)を設定し、この集光レンズによって集光したパルスレーザー光線を照射して単結晶基板に位置付けられた集光点とパルスレーザー光線が入射された側との間に細孔と該細孔をシールドする非晶質とを成長させてシールドトンネルを形成するレーザー加工方法が下記特許文献3に開示されている。
特開平10−305420号公報 特許第3408805号公報 特開2014−221483号公報
上記特許文献3に記載されたレーザー加工方法によってサファイア基板からなる光デバイスウエーハに分割予定ラインに沿ってレーザー加工を施すことにより、サファイア基板の裏面から表面に亘って細孔と該細孔をシールドする非晶質とを成長させてシールドトンネルを形成することができるため、光デバイスウエーハを分割予定ラインに沿って垂直に分割することができるとともに、光デバイスの品質および抗折強度の低下を防ぐことができる。
しかるに、本発明者らの実験によると、サファイア基板からなる光デバイスウエーハにおいては、結晶方位を表すオリエンテーションフラットに平行な方向に形成された分割予定ラインとオリエンテーションフラットに直交する方向に形成された分割予定ラインに対して同じ加工条件でシールドトンネルを形成すると、オリエンテーションフラットに平行な方向に形成された分割予定ラインの方がオリエンテーションフラットに直交する方向に形成された分割予定ラインより割れにくいという問題があることが判った。
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、サファイア基板からなる光デバイスウエーハを、オリエンテーションフラットに平行な方向に形成された分割予定ラインとオリエンテーションフラットに直交する方向に形成された分割予定ラインとが均一な力で分割することができる光デバイスウエーハの加工方法を提供することである。
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、結晶方位を表すオリエンテーションフラットが形成されたサファイア基板の表面に発光層が形成され格子状の複数の分割予定ラインによって区画された複数の領域に光デバイスが形成された光デバイスウエーハを個々の光デバイスに分割する光デバイスウエーハの加工方法であって、
サファイア基板に対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線の集光点をサファイア基板の裏面側から内部に位置付けて分割予定ラインに沿って照射し、細孔と該細孔をシールドする非晶質とを成長させてシールドトンネルを分割予定ラインに沿って形成するシールドトンネル形成工程と、
該シールドトンネル形成工程が実施された光デバイスウエーハに外力を付与し、光デバイスウエーハを分割予定ラインに沿って個々の光デバイスに分割する分割工程と、を含み、
該シールドトンネル形成工程は、オリエンテーションフラットに平行な方向に形成された分割予定ラインに対して実施する際にはシールドトンネルの端部をサファイア基板の裏面に露出させないでシールドトンネルの端部からサファイア基板の裏面に至るクラックが生成されるようにパルスレーザー光線の集光点を内部に位置付けて実施する第1のシールドトンネル形成工程と、オリエンテーションフラットに直交する方向に形成された分割予定ラインに対して実施する際にはシールドトンネルの端部をサファイア基板の裏面に露出させるようにパルスレーザー光線の集光点をサファイア基板の内部に位置付けて実施する第2のシールドトンネル形成工程と、を含んでいる、
ことを特徴とする光デバイスウエーハの加工方法が提供される。
本発明によるレーザー加工方法においては、サファイア基板に対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線の集光点をサファイア基板の裏面側から内部に位置付けて分割予定ラインに沿って照射し、細孔と該細孔をシールドする非晶質とを成長させてシールドトンネルを分割予定ラインに沿って形成するシールドトンネル形成工程は、オリエンテーションフラットに平行な方向に形成された分割予定ラインに対して実施する際にはシールドトンネルの端部をサファイア基板の裏面に露出させないでシールドトンネルの端部からサファイア基板の裏面に至るクラックが生成されるようにパルスレーザー光線の集光点を内部に位置付けて実施する第1のシールドトンネル形成工程と、オリエンテーションフラットに直交する方向に形成された分割予定ラインに対して実施する際にはシールドトンネルの端部をサファイア基板の裏面に露出させるようにパルスレーザー光線の集光点をサファイア基板の内部に位置付けて実施する第2のシールドトンネル形成工程とを含んでいるので、外力の付与によって割れにくいオリエンテーションフラットに平行な方向に形成された第1の分割予定ラインにはシールドトンネルと該シールドトンネルの端部から裏面に至るクラックが生成され割れやすくなっているため、シールドトンネルだけが形成されたオリエンテーションフラットに直交する方向に形成された第2の分割予定ラインと略同じ力で分割することができる。従って、光デバイスウエーハを均一な力で個々の光デバイスに分割することができる。
本発明による光デバイスウエーハの加工方法によって加工されるウエーハの斜視図および要部を拡大して示す断面図。 図1に示す光デバイスウエーハを環状のフレームの内側開口部を覆うように外周部が装着されたダイシングテープの表面に貼着した状態を示す斜視図。 本発明による光デバイスウエーハの加工方法におけるシールドトンネル形成工程を実施するためのレーザー加工装置の要部斜視図。 本発明による光デバイスウエーハの加工方法における第1のシールドトンネル形成工程の説明図。 本発明による光デバイスウエーハの加工方法における第2のシールドトンネル形成工程の説明図。 本発明によるレーザー加工方法における分割工程を実施するための分割装置の斜視図。 本発明によるレーザー加工方法における分割工程の説明図。
以下、本発明による光デバイスウエーハの加工方法について添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
図1の(a)および(b)には、本発明による光デバイスウエーハの加工方法によって個々の光デバイスに分割される光デバイスウエーハの斜視図および要部を拡大して示す断面図が示されている。図1の(a)および(b)に示す光デバイスウエーハ2は、厚みが500μmの単結晶基板であるサファイア基板20の表面20aに窒化物半導体からなる厚みが10μmの発光層(エピ層)21が積層されている。光デバイスウエーハ2を構成するサファイア基板20には、結晶方位を表すオリエンテーションフラット201が形成されている。このように形成されたサファイア基板20の表面に積層された発光層(エピ層)21は、表面21aにオリエンテーションフラット201に平行な方向に形成された複数の第1の分割予定ライン221とオリエンテーションフラット201に直交する方向に形成された複数の第2の分割予定ライン222とによって複数の領域が区画され、この区画された複数の領域に発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイス23が形成されている。
上述した光デバイスウエーハ2を第1の分割予定ライン221および第2の分割予定ライン222に沿って分割するには、図示の実施形態においては先ず、光デバイスウエーハ2を環状のフレームに装着されたダイシングテープの表面に貼着するウエーハ支持工程を実施する。即ち、図2に示すように、環状のフレーム3の内側開口部を覆うように外周部が装着されたダイシングテープ4の表面に光デバイスウエーハ2を構成する発光層(エピ層)21の表面21aを貼着する。従って、ダイシングテープ4の表面に貼着された光デバイスウエーハ2は、サファイア基板20の裏面20bが上側となる。
上述したウエーハ支持工程を実施したならば、サファイア基板20に対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線の集光点をサファイア基板20の裏面側から内部に位置付けて分割予定ラインに沿って照射し、細孔と該細孔をシールドする非晶質とを成長させてシールドトンネルを分割予定ラインに沿って形成するシールドトンネル形成工程を実施する。このシールドトンネル形成工程は、オリエンテーションフラット201に平行な方向に形成された第1の分割予定ライン221に対して実施する際にはシールドトンネルの端部をサファイア基板の裏面に露出させないでシールドトンネルの端部からサファイア基板20の裏面に至るクラックが生成されるようにパルスレーザー光線の集光点を内部に位置付けて実施する第1のシールドトンネル形成工程と、オリエンテーションフラット201に直交する方向に形成された第2の分割予定ライン222に対して実施する際にはシールドトンネルの端部をサファイア基板20の裏面に露出させるようにパルスレーザー光線の集光点をサファイア基板20の内部に位置付けて実施する第2のシールドトンネル形成工程と、を含んでいる。
上記第1のシールドトンネル形成工程および第2のシールドトンネル形成工程は、図3に示すレーザー加工装置5を用いて実施する。図3に示すレーザー加工装置5は、被加工物を保持するチャックテーブル51と、該チャックテーブル51上に保持された被加工物にレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段52と、チャックテーブル51上に保持された被加工物を撮像する撮像手段53を具備している。チャックテーブル51は、被加工物を吸引保持するように構成されており、図示しない加工送り手段によって図3において矢印Xで示す加工送り方向(X軸方向)に移動せしめられるとともに、図示しない割り出し送り手段によって図3において(Y軸方向)で示す割り出し送り方向に移動せしめられるようになっている。
上記レーザー光線照射手段52は、実質上水平に配置された円筒形状のケーシング521を含んでいる。ケーシング521内には図示しないパルスレーザー光線発振器や繰り返し周波数設定手段を備えたパルスレーザー光線発振手段が配設されている。上記ケーシング521の先端部には、パルスレーザー光線発振手段から発振されたパルスレーザー光線を集光するための集光レンズ522aを備えた集光器522が装着されている。この集光器522の集光レンズ522aは、開口数(NA)が次のよう設定されている。即ち、集光レンズ522aの開口数(NA)は、開口数(NA)をサファイア(Al)基板の屈折率で除した値が0.05〜0.2の範囲に設定される。従って、サファイア(Al)基板の屈折率が1.7であるので、集光レンズ522aの開口数(NA)は0.085〜0.34の範囲に設定されている。なお、上記レーザー光線照射手段52は、集光器522の集光レンズ522aによって集光されるパルスレーザー光線の集光点位置を調整するための集光点位置調整手段(図示せず)を備えている。
上記レーザー光線照射手段52を構成するケーシング521の先端部に装着された撮像手段53は、可視光線によって撮像する通常の撮像素子(CCD)の外に、被加工物に赤外線を照射する赤外線照明手段と、該赤外線照明手段によって照射された赤外線を捕らえる光学系と、該光学系によって捕らえられた赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成されており、撮像した画像信号を図示しない制御手段に送る。
上述したレーザー加工装置5を用いて、上記シールドトンネル形成工程の第1のシールドトンネル形成工程を施すには、先ず、上述した図3に示すレーザー加工装置5のチャックテーブル51上に光デバイスウエーハ2を構成する発光層(エピ層)21の表面が貼着されたダイシングテープ4側を載置する。そして、図示しない吸引手段を作動することにより、ダイシングテープ4を介して光デバイスウエーハ2をチャックテーブル51上に保持する(ウエーハ保持工程)。従って、チャックテーブル51に保持された光デバイスウエーハ2は、サファイア基板20の裏面20bが上側となる。このようにして、光デバイスウエーハ2を吸引保持したチャックテーブル51は、図示しない加工送り手段によって撮像手段53の直下に位置付けられる。
チャックテーブル51が撮像手段53の直下に位置付けられると、撮像手段53および図示しない制御手段によって光デバイスウエーハ2のレーザー加工すべき加工領域を検出するアライメント作業を実行する。即ち、撮像手段53および図示しない制御手段は、光デバイスウエーハ2のオリエンテーションフラット201に平行な方向に形成された第1の分割予定ライン221と、第1の分割予定ライン221に沿ってレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段52の集光器522との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、レーザー光線照射位置の第1のアライメントを遂行する(第1のアライメント工程)。この第1のアライメント工程は、第1の分割予定ライン221がX軸方向と平行となるように調整する。また、光デバイスウエーハ2のオリエンテーションフラット201に直交する方向に形成された第2の分割予定ライン222対しても同様にレーザー光線照射位置のアライメントが遂行する(第2のアライメント工程)。この第2のアライメント工程は、第2の分割予定ライン222がX軸方向と平行となるように調整する。このとき、光デバイスウエーハ2の第1の分割予定ライン221および第2の分割予定ライン222が形成されている光デバイスウエーハ2を構成する発光層(エピ層)21の表面21aは下側に位置しているが、撮像手段53が上述したように赤外線照明手段と赤外線を捕らえる光学系および赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成された撮像手段を備えているので、光デバイスウエーハ2を構成するサファイア基板20の裏面20bから透かして第1の分割予定ライン221および第2の分割予定ライン222を撮像することができる。
上述した第1のアライメント工程および第2のアライメント工程を実施したならば、図4の(a)で示すようにチャックテーブル51をレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段52の集光器522が位置するレーザー光線照射領域に移動し、所定の第1の分割予定ライン221を集光器522の直下に位置付ける。このとき、図4の(a)で示すように光デバイスウエーハ2は、第1の分割予定ライン221の一端(図4の(a)において左端)が集光器522の直下に位置するように位置付けられる。そして、集光器522の集光レンズ522aによって集光されるパルスレーザー光線LBの集光点Pが光デバイスウエーハ2を構成するサファイア基板20の厚み方向の所望の位置に位置付けられるように図示しない集光点位置調整手段を作動して集光器522を光軸方向に移動する(位置付け工程)。なお、図示の実施形態においては、パルスレーザー光線の集光点Pは、光デバイスウエーハ2を構成するサファイア基板20におけるパルスレーザー光線が入射される上面(裏面20b)から内部に100μmの位置に設定されている。
上述したように位置付け工程を実施したならば、レーザー光線照射手段52を作動して集光器522からパルスレーザー光線LBを照射して光デバイスウエーハ2を構成するサファイア基板20に位置付けられた集光点P付近から下面(表面20a)に向けて細孔と該細孔をシールドする非晶質とを形成させてシールドトンネルを形成するとともにシールドトンネルの端部をサファイア基板の裏面に露出させないでシールドトンネルの端部からサファイア基板20の裏面に至るクラックを生成する第1のシールドトンネル形成工程を実施する。即ち、集光器522から光デバイスウエーハ2を構成するサファイア基板20に対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線LBを照射しつつチャックテーブル51を図4の(a)において矢印X1で示す方向に所定の送り速度で移動せしめる(第1のシールドトンネル形成工程)。そして、図4の(b)で示すようにレーザー光線照射手段52の集光器522の照射位置に分割予定ライン221の他端(図4の(b)において右端)が達したら、パルスレーザー光線の照射を停止するとともにチャックテーブル51の移動を停止する。
なお、上記第1のシールドトンネル形成工程は、次に示す加工条件に設定されている。
波長 :1030nm
繰り返し周波数 :50kHz
パルス幅 :10ps
平均出力 :3W
スポット径 :10μm
加工送り速度 :500mm/秒
集光レンズの開口数 :0.25
上述した第1のシールドトンネル形成工程を実施することにより、光デバイスウエーハ2を構成するサファイア基板20の内部には、図4の(c)に示すようにパルスレーザー光線LBの集光点P付近から下面(表面20a)に向けて細孔251と該細孔251の周囲に形成された非晶質252が成長し、第1の分割予定ライン221に沿って所定の間隔(図示の実施形態においては10μmの間隔(加工送り速度:500mm/秒)/(繰り返し周波数:50kHz)で非晶質のシールドトンネル25が形成される。このシールドトンネル25は、図4の(d)および(e)に示すように中心に形成された直径がφ1μm程度の細孔251と該細孔251の周囲に形成された直径がφ10μmの非晶質252とからなり、図示の実施形態においては互いに隣接する非晶質252同士がつながるように形成される形態となっている。そして、上述した第1のシールドトンネル形成工程においては、パルスレーザー光線LBの集光点Pが光デバイスウエーハ2を構成するサファイア基板20におけるパルスレーザー光線が入射される上面(裏面20b)から100μmの位置に設定されているので、サファイア基板20におけるパルスレーザー光線が入射される上面(裏面20b)側には、シールドトンネル25の上端から裏面20bに至るクラック26が生成される。
以上のようにして、所定の第1の分割予定ライン221に沿って上記第1のシールドトンネル形成工程を実施したならば、チャックテーブル51を矢印Yで示す方向に光デバイスウエーハ2を構成する発光層(エピ層)21の表面21aに形成された第1の分割予定ライン221の間隔だけ割り出し移動し(割り出し工程)、上記第1のシールドトンネル形成工程を遂行する。このようにしてオリエンテーションフラット201に平行に形成された全ての第1の分割予定ライン221に沿って上記第1のシールドトンネル形成工程を実施したならば、チャックテーブル51を90度回動せしめ、オリエンテーションフラット201に直交する方向に形成された第2の分割予定ライン222に対してシールドトンネルの端部をサファイア基板20の裏面に露出させるようにパルスレーザー光線の集光点をサファイア基板20の内部に位置付けて実施する第2のシールドトンネル形成工程を実施する。
第2のシールドトンネル形成工程を実施すには、図5の(a)で示すようにチャックテーブル51をレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段52の集光器522が位置するレーザー光線照射領域に移動し、所定の第2の分割予定ライン222を集光器522の直下に位置付ける。このとき、図5の(a)で示すように光デバイスウエーハ2は、第2の分割予定ライン222の一端(図5の(a)において左端)が集光器522の直下に位置するように位置付けられる。そして、集光器522の集光レンズ522aによって集光されるパルスレーザー光線LBの集光点Pが光デバイスウエーハ2を構成するサファイア基板20の厚み方向の所望の位置に位置付けられるように図示しない集光点位置調整手段を作動して集光器522を光軸方向に移動する(位置付け工程)。なお、図示の実施形態においては、パルスレーザー光線の集光点Pは、光デバイスウエーハ2を構成するサファイア基板20におけるパルスレーザー光線が入射される上面(裏面20b)から内部に10μmの位置に設定されている。
上述したように位置付け工程を実施したならば、レーザー光線照射手段52を作動して集光器522からパルスレーザー光線LBを照射して光デバイスウエーハ2を構成するサファイア基板20に位置付けられた集光点P付近から下面(表面20a)に向けて細孔と該細孔をシールドする非晶質とを形成させるとともにシールドトンネルの端部をサファイア基板20の裏面に露出させる第2のシールドトンネル形成工程を実施する。即ち、集光器522から光デバイスウエーハ2を構成するサファイア基板20に対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線LBを照射しつつチャックテーブル51を図5の(a)において矢印X1で示す方向に所定の送り速度で移動せしめる(第2のシールドトンネル形成工程)。そして、図5の(b)で示すようにレーザー光線照射手段52の集光器522の照射位置に分割予定ライン222の他端(図5の(b)において右端)が達したら、パルスレーザー光線の照射を停止するとともにチャックテーブル51の移動を停止する。
なお、上記第2のシールドトンネル形成工程の加工条件は、上述した第1のシールドトンネル形成工程の加工条件と同一に設定されている。
上述した第2のシールドトンネル形成工程を実施することにより、光デバイスウエーハ2を構成するサファイア基板20の内部には、図5の(c)に示すようにパルスレーザー光線LBの集光点P付近から下面(表面20a)に向けて細孔251と該細孔251の周囲に形成された非晶質252が成長し、上述した第1のシールドトンネル形成工程と同様に第2の分割予定ライン222に沿って10μmの間隔で非晶質のシールドトンネル25が形成されるとともに、パルスレーザー光線LBの集光点Pが光デバイスウエーハ2を構成するサファイア基板20におけるパルスレーザー光線が入射される上面(裏面20b)から近い10μmの位置に設定されているのでシールドトンネル25の上端部がサファイア基板20の裏面20bに露出せしめられる。
以上のようにして、所定の第2の分割予定ライン222に沿って上記第2のシールドトンネル形成工程を実施したならば、チャックテーブル51を矢印Yで示す方向に光デバイスウエーハ2を構成する発光層(エピ層)21の表面21aに形成された第2の分割予定ライン222の間隔だけ割り出し移動し(割り出し工程)、上記第2のシールドトンネル形成工程を遂行する。このようにしてオリエンテーションフラット201に直交する方向に形成された全ての第2の分割予定ライン222に沿って上記第2のシールドトンネル形成工程を実施する。
以上のようにして第1のシールドトンネル形成工程および第2のシールドトンネル形成工程を実施したならば、光デバイスウエーハ2に外力を付与し、光デバイスウエーハ2をシールドトンネル25およびクラック26が形成された第1の分割予定ライン221およびにシールドトンネル25が形成された第2の分割予定ライン222沿って個々の光デバイスに分割する分割工程を実施する。この分割工程は、図6に示す分割装置6を用いて実施する。図6に示す分割装置6は、上記環状のフレーム3を保持するフレーム保持手段61と、該フレーム保持手段61に保持された環状のフレーム3に装着された光デバイスウエーハ2を拡張するテープ拡張手段62と、ピックアップコレット63を具備している。フレーム保持手段61は、環状のフレーム保持部材611と、該フレーム保持部材611の外周に配設された固定手段としての複数のクランプ612とからなっている。フレーム保持部材611の上面は環状のフレーム3を載置する載置面611aを形成しており、この載置面611a上に環状のフレーム3が載置される。そして、載置面611a上に載置された環状のフレーム3は、クランプ612によってフレーム保持部材611に固定される。このように構成されたフレーム保持手段61は、テープ拡張手段62によって上下方向に進退可能に支持されている。
テープ拡張手段62は、上記環状のフレーム保持部材611の内側に配設される拡張ドラム621を具備している。この拡張ドラム621は、環状のフレーム3の内径より小さく該環状のフレーム3に装着されたダイシングテープ4に貼着される光デバイスウエーハ2の外径より大きい内径および外径を有している。また、拡張ドラム621は、下端に支持フランジ622を備えている。図示の実施形態におけるテープ拡張手段62は、上記環状のフレーム保持部材611を上下方向に進退可能な支持手段623を具備している。この支持手段623は、上記支持フランジ622上に配設された複数のエアシリンダ623aからなっており、そのピストンロッド623bが上記環状のフレーム保持部材611の下面に連結される。このように複数のエアシリンダ623aからなる支持手段623は、図7の(a)に示すように環状のフレーム保持部材611を載置面611aが拡張ドラム621の上端と略同一高さとなる基準位置と、図7の(b)に示すように拡張ドラム621の上端より所定量下方の拡張位置の間を上下方向に移動せしめる。
以上のように構成された分割装置6を用いて実施するウエーハ分割工程について図7を参照して説明する。即ち、光デバイスウエーハ2が貼着されているダイシングテープ4が装着された環状のフレーム3を、図7の(a)に示すようにフレーム保持手段61を構成するフレーム保持部材611の載置面611a上に載置し、クランプ612によってフレーム保持部材611に固定する(フレーム保持工程)。このとき、フレーム保持部材611は図7の(a)に示す基準位置に位置付けられている。次に、テープ拡張手段62を構成する支持手段623としての複数のエアシリンダ623aを作動して、環状のフレーム保持部材611を図7の(b)に示す拡張位置に下降せしめる。従って、フレーム保持部材611の載置面611a上に固定されている環状のフレーム3も下降するため、図7の(b)に示すように環状のフレーム3に装着されたダイシングテープ4は拡張ドラム621の上端縁に接して拡張せしめられる(テープ拡張工程)。この結果、ダイシングテープ4に貼着されている光デバイスウエーハ2には放射状に引張力が作用するため、シールドトンネル25およびクラック26が形成された第1の分割予定ライン221およびシールドトンネル25が形成された第2の分割予定ライン222に沿って個々の光デバイス23に分割されるとともに光デバイス23間に間隔Sが形成される。このとき、外力の付与によって割れにくいオリエンテーションフラット201に平行な方向に形成された第1の分割予定ライン221にはシールドトンネル25と該シールドトンネル25の上端から裏面20bに至るクラック26が生成され割れやすくなっているので、シールドトンネル25だけが形成されたオリエンテーションフラット201に直交する方向に形成された第2の分割予定ライン222と略同じ力で分割することができる。従って、光デバイスウエーハ2を均一な力で個々の光デバイス23に分割することができる。
次に、図7の(c)に示すようにピックアップコレット63を作動して光デバイス23を吸着し、ダイシングテープ4から剥離してピックアップし、図示しないトレーまたはダイボンディング工程に搬送する。なお、ピックアップ工程においては、上述したようにダイシングテープ4に貼着されている個々の光デバイス23間の隙間Sが広げられているので、隣接する光デバイス23と接触することなく容易にピックアップすることができる。
2:光デバイスウエーハ
20:サファイア基板
201:オリエンテーションフラット
21:発光層(エピ層)
221:第1の分割予定ライン
222:第2の分割予定ライン
23:光デバイス
25:シールドトンネル
26:クラック
3:環状のフレーム
4:ダイシングテープ
5:レーザー加工装置
51:レーザー加工装置のチャックテーブル
52:レーザー光線照射手段
522:集光器
6:分割装置

Claims (1)

  1. 結晶方位を表すオリエンテーションフラットが形成されたサファイア基板の表面に発光層が形成され格子状の複数の分割予定ラインによって区画された複数の領域に光デバイスが形成された光デバイスウエーハを個々の光デバイスに分割する光デバイスウエーハの加工方法であって、
    サファイア基板に対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線の集光点をサファイア基板の裏面側から内部に位置付けて分割予定ラインに沿って照射し、細孔と該細孔をシールドする非晶質とを成長させてシールドトンネルを分割予定ラインに沿って形成するシールドトンネル形成工程と、
    該シールドトンネル形成工程が実施された光デバイスウエーハに外力を付与し、光デバイスウエーハを分割予定ラインに沿って個々の光デバイスに分割する分割工程と、を含み、
    該シールドトンネル形成工程は、オリエンテーションフラットに平行な方向に形成された分割予定ラインに対して実施する際にはシールドトンネルの端部をサファイア基板の裏面に露出させないでシールドトンネルの端部からサファイア基板の裏面に至るクラックが生成されるようにパルスレーザー光線の集光点を内部に位置付けて実施する第1のシールドトンネル形成工程と、オリエンテーションフラットに直交する方向に形成された分割予定ラインに対して実施する際にはシールドトンネルの端部をサファイア基板の裏面に露出させるようにパルスレーザー光線の集光点をサファイア基板の内部に位置付けて実施する第2のシールドトンネル形成工程と、を含んでいる、
    ことを特徴とする光デバイスウエーハの加工方法。
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