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JP6507744B2 - 塩化ビニル系食品包装用フィルム - Google Patents

塩化ビニル系食品包装用フィルム Download PDF

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Description

本発明は、包装適性と寸法安定性に優れた塩化ビニル系食品包装用フィルムに関する。
食品包装、特に精肉、鮮魚、青果等を包装する生鮮食品の包装には、透明性、柔軟性に優れたストレッチフィルムが広く使用されており、この種のフィルムとしては、ポリ塩化ビニル系樹脂にアジピン酸エステル系可塑剤と各種防曇剤などを配合したポリ塩化ビニル系樹脂組成物からなるフィルムが一般的に使用されている。
近年、トレイ包装の普及に伴いストレッチフィルムがトレイをオーバーラッピングしてトレイの下で重なり合い自己粘着性で密封される食品包装用途に広く用いられ、中でも、包装の効率化を図るためトレイ包装時に横展開機で幅方向にフィルムを引き伸ばして使用することにより、トレイサイズにより幅の異なるフィルムに置き換える必要の無い、高ストレッチ自動包装機による包装が急速に増加している。
そのため、その包装用フィルムには、透明性、防曇性、機械特性などの特性だけでなく、高ストレッチ自動包装機に対する適性も要求されている。つまり、フィルムロールからフィルムを円滑に巻き出すことができ、トレイとの滑り性が良好であり、かつストレッチした際にフィルムが破れることなく包装できる必要がある。さらに、時間が経過しても、寸法安定性に優れていることが要求される。
このような種々の特性を満足させるため、特許文献1には、重合度1300〜1450の塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、グリセリン脂肪酸エステル30〜45質量部、及び、エポキシ化植物油10〜20質量部などを配合したストレッチフィルムが開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、自動包装機における包装適性には優れるものの、防曇剤としてグリセリン脂肪酸エステルを多量に添加するため、フィルムロールの寸法安定性が劣ってロール端部のせり出し量が多くなるため、実用上十分な技術とは言い難い。また、フィルム幅350mm当たりの解反力が200〜500gfと大きく、近年の自動包装機の高速化においては、よりスムーズにフィルムを引き出せるように解反力をさらに低減させることが求められている。
尚、ここで述べる解反力とは、ロールからフィルムを巻き出す時に要する荷重であり、大き過ぎるとフィルムを巻き出せなくなる。一方、小さ過ぎると、自動包装機内のフィルム担持具からフィルムが外れ易くなる。
また、高ストレッチ自動包装機に適したフィルムとして、特許文献2では、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、アジピン酸ジアルキルエステル及び平均分子量が1000〜3000のアジピン酸系ポリエステルから選ばれる1種以上を0〜15重量部と、分子両端それぞれに特定のエステル基を有するトリエチレングリコール化合物を10〜30重量部と、エポキシ化植物油を10〜20重量部含むストレッチフィルムが開示されている。
しかしながら、このようなフィルムは、可塑剤として使用しているトリエチレングリコール化合物が過剰にフィルム表面にブリードアウトし、剥離性には優れるものの寸法安定性に劣るものである。
特開2010−100681号 WO/2011/021400号
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、高ストレッチ自動包装適性と寸法安定性に優れた塩化ビニル系食品包装用フィルムを提供することにある。
すなわち、本発明の要旨は、ポリ塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して、アジピン酸ジ直鎖アルキル(n−C13、n−C17、n−C1021の混合物)化合物(B)を20質量部以上35質量部以下、化合物(B)を除く重量平均分子量1,000未満の脂肪族二塩基酸エステル化合物(C)を5質量部以上20質量部以下、エポキシ化植物油(D)を5質量部以上20質量部以下をそれぞれ含有してなり、(B)、(C)、(D)の配合量の合計が35質量部以上55質量部以下であり、かつ(B)の配合質量部に対する(C)の配合質量部の割合が0.20以上0.45以下であることを特徴とする食品包装用フィルムに存する。
本発明が提案する塩化ビニル系食品包装用フィルムは、高ストレッチ自動包装機における包装適性と寸法安定性の両方に優れるため、高速かつトラブルなく横展開機で幅方向にフィルムを引き伸ばして自動包装が行えるので、包装工程の効率化を可能にする。
以下、本発明の実施形態の一例としての食品包装用フィルムについて説明する。ただし、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
<塩化ビニル系樹脂(A)>
本発明に用いる塩化ビニル系樹脂(A)としては、任意の平均重合度の塩化ビニル系樹脂を用いることができる。好ましくは、塩化ビニル系樹脂(A)の平均重合度は、1,000〜1,500である。平均重合度が1,000以上であれば、十分な機械強度を得ることができる。一方、平均重合度が1,500以下であれば、溶融粘度の増加に伴う発熱が生じることなく、分解による着色の発生を無くすことができる。
よって、このような観点から、塩化ビニル系樹脂(A)の平均重合度は、前述の範囲の中でも特に1,100以上あるいは1,450以下であるのがより一層好ましく、その中でも1,200以上あるいは1,350以下であるのがさらに好ましい。
塩化ビニル系樹脂(A)としては、塩化ビニルの単独重合体(「塩化ビニル系単独重合体」と称する)のほか、塩化ビニルと共重合可能な単量体との共重合体(以下、「塩化ビニル系共重合体」とする)、この塩化ビニル系共重合体以外の重合体に塩化ビニルをグラフト共重合させたグラフト共重合体(以下、塩化ビニル系グラフト共重合体)などを挙げることができる。
塩化ビニル系単独重合体、および、塩化ビニル系共重合体は、任意の方法、例えば乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法などで重合することができる。
塩化ビニル系共重合体は、共重合体中の塩化ビニル以外の構成単位の含有量が多くなると機械的特性が低下するため、塩化ビニル系共重合体中に占める塩化ビニルの割合が60〜99質量%であることが好ましい。
塩化ビニルと共重合可能な単量体としては、分子中に反応性二重結合を有するものであればよい。例えばエチレン、プロピレン、ブチレンなどのα−オレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類; アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸類、アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸フェニルなどのアクリル酸またはメタクリル酸のエステル類、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル類、塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのN−置換マレイミド類などを挙げることができ、これらは単独、または、2種以上の組み合わせで用いることができる。
塩化ビニル系共重合体以外の重合体としては、塩化ビニルをグラフト共重合できるものであればよい。例えばエチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート・一酸化炭素共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどを挙げることができ、これらを単独、または、2種以上の組み合わせで用いることができる。
<アジピン酸ジ直鎖アルキル化合物(B)>
本発明のフィルムは、アジピン酸ジ直鎖アルキル化合物(B)を配合することにより、フィルムの寸法安定性と解反力のバランスを最適化することができる。
化合物(B)の直鎖アルキルは、n−C13、n−C17、n−C1021の混合物であることが好ましい。また、その混合比率は、n−C13が40~60モル%、n−C17が10〜30モル%、n−C1021が20〜40モル%が好ましく、n−C13が45〜55モル%、n−C17が15〜25モル%、n−C1021が25〜35モル%がより好ましい。
<脂肪族二塩基酸エステル化合物(C)>
本発明のフィルムは、前記化合物(B)を除く重量平均分子量が1,000未満の脂肪族二塩基酸エステル化合物(C)を配合することで、フィルム表面に適度にブリードアウトし、フィルムの解反力を低減することで優れた包装適性を発現することができる。
化合物(C)の重量平均分子量は、ブリードアウトの観点から1,000未満が適しており、800以下が好ましく、500以下がより好ましい。
化合物(C)の具体例としては、アジピン酸ジメチル(DMA)、アジピン酸ジブチル(DBA)、アジピン酸ジイソブチル(DIBA)、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル(DOA)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、アジピン酸ジイソデシル(DIDA)、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル(DOZ)、セバシン酸ジメチル(DMS)、セバシン酸ジブチル(DBS)、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル(DOS)等が挙げられる。
<エポキシ化植物油(D)>
本発明のフィルムは、エポキシ化植物油(D)を配合することにより、過剰なブリードアウトを生じることなく、ポリ塩化ビニル系樹脂(A)の柔軟化と熱安定性の向上を図ることができる。
エポキシ化植物油(D)の具体例としては、例えばエポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化綿実油、エポキシ化落花生油、エポキシ化紅花油、エポキシ化ブドウ種子油、エポキシ化オリーブ油等を挙げることができ、これらを単独、又は、2種類以上の混合物として使用することができる。この中でも特に塩化ビニル系樹脂との相溶性の点から、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油を用いることが好ましい。
<各成分の配合割合>
本発明に用いる各成分の配合割合としては、ポリ塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して、前記化合物(B)を20質量部以上35質量部以下の割合で配合することが好ましく、下限は、22質量部以上であることがより好ましく、25質量部以上であることがさらに好ましい。一方、上限は、33質量部以下であることがより好ましく、30質量部以下であることがさらに好ましい。かかる範囲で前記化合物(B)を配合することにより、ラップフィルムの寸法安定性と解反力のバランスを最適化することができる。
また、前記化合物(C)の配合量としては、ポリ塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して、前記化合物(C)を5質量部以上20質量部以下の割合で配合することが好ましく、下限は、7質量部以上であることがより好ましく、9質量部以上であることがさらに好ましい。一方、上限は、17質量部以下であることがより好ましく、15質量部以下であることがさらに好ましい。かかる範囲で前記化合物(C)を配合することにより、フィルム表面に適度にブリードアウトし、フィルムの解反力を低減することで優れた包装適性を発現することができる。
また、エポキシ化植物油(D)の配合量としては、塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して5質量部以上20質量部以下の割合で配合することが好ましく、下限は、7質量部以上であることがより好ましく、10質量部以上であることがさらに好ましい。一方、上限は、18質量部以下であることがより好ましく、15質量部以下であることがさらに好ましい。かかる範囲でエポキシ化植物油(D)を配合することにより、過剰なブリードアウトを生じることなく、ポリ塩化ビニル系樹脂(A)の柔軟化と熱安定性の向上を図ることができる。
加えて、前記塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対する前記(B)、(C)、(D)の配合量の合計が35質量部以上55質量部以下であることが重要であり、下限は、37質量部以上であることがより好ましく、40質量部以上であることがさらに好ましい。一方、上限は、53質量部以下であることがより好ましく、50質量部以下であることがさらに好ましい。前記(B)、(C)、(D)の配合量の合計をかかる範囲内とすることで、包装適性と寸法安定性の双方に優れた食品包装用フィルムを提供することができる。
さらに、下記式(1)に示す、(B)の配合質量部に対する(C)の配合質量部の割合
(化合物(C)の配合質量部)/(化合物(B)の配合質量部) 式(1)
が、0.20以上0.45以下であることが重要である。下限は、0.23がより好ましく、0.25がさらに好ましい。一方、上限は、0.43がより好ましく、0.40がさらに好ましい。
式(1)の値が0.20以下、つまり、化合物(B)に対して化合物(C)の配合量が少な過ぎる場合、化合物(B)が十分にフィルム表面に露出することができないため、十分な解反力が得られない場合がある。一方、式(1)の値が0.45以上、つまり、化合物(B)に対して化合物(C)の配合量が多過ぎる場合、化合物(C)のフィルム表面へのブリードアウトが過剰となり、フィルムの寸法安定性を損なう場合がある。
<その他の成分>
<熱安定剤>
本発明のフィルムは、製造工程での熱安定性を向上させるため、熱安定剤を配合することが好ましく、中でも、有害重金属を含まない観点からCa−Zn系安定剤が好ましい。 Ca−Zn系安定剤とは、カルシウムの脂肪酸塩と亜鉛の脂肪酸塩の混合物である。脂肪酸の具体例としては、ベヘニン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リシノール酸、安息香酸等があげられ、目的に応じて2種以上組み合わせて使用することも可能である。
また、カルシウムと亜鉛の比率は、質量比で1:1〜1:5が好ましく、1:1.5〜1:4がより好ましく、1:2〜1:3が更に好ましい。亜鉛のカルシウムに対する比率が1より少ないとカルシウム塩特有の赤味が出てしまい、一方、亜鉛の比率がカルシウムに対して5よりも多いと、成形加工中に生成する塩化亜鉛が塩化ビニル系樹脂の分解触媒となり、「亜鉛焼け」と呼ばれる急激な黒化、分解が生じる。
Ca−Zn系安定剤の添加量としては、塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して、0.1質量部以上2.0質量部以下であることが好ましく、0.3質量部以上1.8質量部以下がより好ましい。0.1質量部未満の場合、熱安定性の付与効果が十分でない場合があり、一方、2.0質量部を越える場合、「亜鉛焼け」と呼ばれる急激な黒化、分解を生じることがある。
<防曇剤>
また、本発明のフィルムは、防曇性を付与するために、多価アルコールと脂肪酸とのエステル化合物を添加することが好ましい。例えば、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンアルキルエーテル等を挙げることができ、単独若しくは2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
モノグリセリン脂肪酸エステルとしては、炭素原子数が12〜18の飽和または不飽和脂肪酸のモノグリセリンエステルが好ましい。具体的にはモノグリセリンラウレート、モノグリセリンミリステート、モノグリセリンパルミテート、モノグリセリンステアレート、モノグリセリンオレート、モノグリセリンリノレートなどを挙げることができる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、炭素原子数が12〜18の飽和または不飽和脂肪酸のポリグリセリンエステルが好ましい。具体的にはポリグリセリンラウレート、ポリグリセリンミリステート、ポリグリセリンパルミテート、ポリグリセリンステアレート、ポリグリセリンオレート、ポリグリセリンリノレートなどを挙げることができる。
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、炭素原子数が12〜18の飽和または不飽和脂肪酸のソルビタンエステルが好ましい。具体的にはソルビタンラウレート、ソルビタンミリステート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレート、ソルビタンリノレートなどを挙げることができる。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、炭素数が12〜18の飽和アルコールのポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましく、より好ましくは、エチレンオキサイドの付加モル数が3〜7であるポリオキシエチレンアルキルエーテルである。具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンパルミチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどを挙げることができる。
多価アルコールと脂肪酸とのエステル化合物の添加量は、ポリ塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上4.5質量部以下であることがより好ましく、1.0質量部以上3.5質量部以下であることがさらに好ましい。
エステル化合物の添加量が0.1質量部以上であれば、十分な防曇性を発現させることでき、例えば食品容器等を包装して保存した際にフィルムに水滴が発生し、内容物の確認が出来なくなるという不具合を無くすことができる。他方、5.0質量部以下であれば、フィルム表面への多価アルコールと脂肪酸とのエステル化合物の過剰なブリードアウトを抑えることができ、包装適性を満足させることができる。
<他の添加剤>
さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、本樹脂組成物に対して、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、抗菌・防かび剤、帯電防止剤、滑剤、顔料、染料等の添加剤を配合することができる。
<製造方法>
本発明のフィルムの製造方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂(A)、アジピン酸ジ直鎖アルキル(n−C6,8,10の混合)化合物(B)、前記化合物(B)を除く分子量1,000未満の脂肪族二塩基酸エステル化合物(C)、エポキシ化植物油(D)、及び、その他添加剤を、V型ブレンダー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサーなどの混合機により混合する方法や、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー、ニーダなどの混練機によりそれを混練する方法、あるいは、混合機と混練機を組み合わせて、それを混合・混練した後、例えば、Tダイ法やインフレーション法などによりフィルムを製造することができる。
本発明のフィルムの厚みは、5μm以上20μm以下であり、8μm以上18μm以下がより好ましく、10μm以上15μm以下が更に好ましい。5μm未満ではキュウリやカニ等の様な突き出た形状物を包装する際に強度が破れる可能性があり、20μmを超えるとフィルムが引き伸ばし難くなり包装適性が悪化する。
<解反力>
本発明のフィルムの解反力は、フィルム幅350mmあたり80gf以上190gf以下であることが好ましい。解反力の下限としては、90gf以上であることがより好ましく、100gf以上であることがさらに好ましい。一方、上限としては、180gf以下であることがより好ましく、170gf以下であることがさらに好ましい。解反力がかかる範囲内であれば、自動包装機で食品等を包装する際、フィルムの巻出し性が良好であり、生産性に優れる。
フィルムの解反力は、下記の方法(以下、解反力測定法と略記する)で測定することができる。
先ず、ロール巻き管に芯棒を水平に通してロールが自由回転できる状態とし、そのフィルム端をロールの垂直上方に引き上げフィルム全幅均等に固定担持してセットする。その後、ロールを垂直下方へ降下させ、フィルムがロールから解反する力を測定する。
本発明においては、幅350mmのフィルムロールをセットし、ストログラフ式、もしくはオートグラフ式引張試験機を用い、500mm/分の速度で500mmの距離を降下させた間の解反する力の強弱変化を計測し、その力が強くなったときの値、すなわち、計測グラフ上の各頂点の値の平均値を解反力とした。
以下に実施例を示すが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、本明細書中に表示される原料及び試験片についての種々の測定値及び評価は次のようにして行った。
<評価方法>
(1)包装適性
ポリプロピレン製のトレイにシシャモ8尾を盛り付け、(株)イシダ製Wmini−UNI機により雰囲気温度23℃、包装速度35パック/分で包装し、包装適性を以下の基準で判定した。
○:シワ及び破れがなく包装できた
×:シワ、破れ、張り不足の何れかが発生した
(2)寸法安定性(せり出し)
紙管に巻いた350mm幅1000m長のフィルムロールを雰囲気温度40℃、相対湿度60%の恒温恒湿槽にフィルムロールを立てて10日間保管した後のフィルムの幅方向への寸法変化値を測定し、以下の基準で判定した。
○:変化なし、または10mm以下
×:10mmよりも大
(3)解反力
解反力測定法を用い、幅350mmのフィルムロールをセットし、オートグラフ式引張試験機を用い、500mm/分の速度で500mmの距離を降下させた間の解反する力の強弱変化を計測し、その力が強くなったときの値、すなわち、計測グラフ上の各頂点の値の平均値を算出した。
<使用した材料>
[塩化ビニル系樹脂(A)]
(A)−1:塩化ビニル単独重合体、平均重合度1300
[アジピン酸ジ直鎖アルキル化合物(B)]
(B)−1:アジピン酸ジ直鎖アルキル、アルキルの混合モル比n−C13:n−C17:n−C1021=48:23:29
[分子量1,000未満の脂肪族二塩基酸エステル化合物(C)]
(C)−1:アジピン酸ジイソノニル、分子量:398
[エポキシ化植物油(D)]
(D)−1:エポキシ化大豆油
[安定剤(E)]
(E)−1:脂肪酸Ca塩と脂肪酸Zn塩の混合物、Ca:Zn質量比=1:2
(実施例1)
(A)−1を100質量部、(B)−1を30質量部、(C)−1を10質量部、(D)−1を10質量部、(E)−1を1質量部の割合でスーパーミキサーに投入した後、攪拌しながら材料温度を常温から130℃まで昇温し、加熱混合した後、70℃まで冷却した時点で取り出して樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を、Tダイ(幅350mm、ギャップ0.4mm)を装着したΦ40mm単軸押出機(L/D=20)にて、樹脂温度200℃で押出成形して、厚み0.01mmのフィルムを得た。
得られたフィルムについて包装適性、寸法安定性、及び、解反力の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、(C)−1の割合を7質量部とした以外は実施例1と同様の方法でフィルムの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、(B)−1の割合を28質量部、(C)−1の割合を12質量部とした以外は実施例1と同様の方法でフィルムの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
参考例1
実施例1において、(B)−1の割合を23質量部、(D)−1の割合を15質量部とした以外は実施例1と同様の方法でフィルムの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、(B)−1の割合を35質量部、(C)−1の割合を3質量部とした以外は実施例1と同様の方法でフィルムの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1において、(B)−1の割合を15質量部、(C)−1の割合を25質量部とした以外は実施例1と同様の方法でフィルムの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006507744

表1より、実施例1〜4は、塩化ビニル系樹脂(A)に対し、特定の配合を採用したことにより、自動高速包装性、寸法安定性が良好であった。
一方、比較例1は、化合物(B)に対する化合物(C)の配合質量部が少なく、フィルムの巻き出しに力を要し、ロールからのフィルム巻出し時に安定性を欠き、包装時にトラブル発生した。比較例2は、化合物(C)の配合量が多く、寸法安定性が劣る結果となった。
本発明のフィルムによれば、高速自動包装に適するフィルム巻き出し特性、高ストレッチ自動包装機に適する幅方向のフィルム引き伸ばし特性と、ロール保管時の寸法安定性に優れるため、食品の包装工程の効率化に大きく貢献することが出来る。

Claims (4)

  1. ポリ塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して、アジピン酸ジ直鎖アルキル(n−C13、n−C17、n−C1021の混合物)化合物(B)を2質量部以上35質量部以下、化合物(B)を除く重量平均分子量1,000未満の脂肪族二塩基酸エステル化合物(C)を5質量部以上20質量部以下、エポキシ化植物油(D)を5質量部以上20質量部以下をそれぞれ含有してなり、(B)、(C)、(D)の配合量の合計が35質量部以上55質量部以下であり、かつ(B)の配合質量部に対する(C)の配合質量部の割合が0.20以上0.45以下であることを特徴とする食品包装用フィルム。
  2. 前記化合物(B)の直鎖アルキルの割合が、n−C13が40〜60モル%、n−C17が10〜30モル%、n−C1021が20〜40モル%である請求項1に記載の食品包装用フィルム。
  3. 解反力がフィルム幅350mm当たり80gf以上190gf以下である請求項1または2に記載の食品包装用フィルム。
  4. 化合物(C)が、アジピン酸ジイソノニルである請求項1〜3の何れかに記載の食品包装用フィルム。
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