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JP6506038B2 - 連結構造 - Google Patents

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JP6506038B2 JP2015022481A JP2015022481A JP6506038B2 JP 6506038 B2 JP6506038 B2 JP 6506038B2 JP 2015022481 A JP2015022481 A JP 2015022481A JP 2015022481 A JP2015022481 A JP 2015022481A JP 6506038 B2 JP6506038 B2 JP 6506038B2
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Description

本発明は、木造建築において、柱や梁などの部材同士を一体化するための連結構造に関する。
木造建築の骨格となる部材同士の連結方法は様々だが、位置精度や剛性を確保するため、ホゾをホゾ穴に嵌め込み、部材同士を強固に拘束することが多い。しかしホゾとホゾ穴の嵌め込みは、部材の加工や施工時の労力が増大するほか、断面欠損による強度低下などの課題があり、近年は各種金物を使用することも多い。金物は、部材に加工した丸穴やスリットなどに埋め込むため、断面欠損が必要最小限に抑制され、強度に優れる。また工作機械で製材を行い、あらかじめ金物を部材に取り付けておくことで、精度が向上するほか、施工時の作業時間も短縮する。
本願発明と関連する技術の例として、後記特許文献が挙げられる。特許文献1では、大規模な木造建築において、縦材と横材の二部材を一体化する連結金物が開示されている。この連結金物は、縦材に取り付ける基本金物と、横材に取り付ける付属金物を用い、それぞれの金物の端部には、テーパ部と受部を設け、一方のテーパ部を相手方の受部に差し込み、両金物を密着させる。なお両金物は、ラグスクリューとボルトを介し、縦材または横材に取り付ける。
特許文献2では、複数の部材を一体化する連結具が開示されている。この連結具は、ラグスクリューと埋設具とスタッドボルトなどで構成され、一方の部材にラグスクリューを埋め込み、他方の部材に埋設具を埋め込み、ラグスクリューと埋設具をスタッドボルトで引き寄せ、部材同士を一体化する。施工の際は、一方の部材にラグスクリューを埋め込み、次にスタッドボルトを介し、埋設具をラグスクリューに密着させ、埋設具を一方の部材から突出するように配置する。そして突出する埋設具に接着剤を塗布し、この埋設具を他方の部材に差し込み、接着剤を乾燥させ、両材を連結する。この連結具は、部材の表面に何らの痕跡も残らず、美観に優れる。
特開2007−132168号公報 特開2012−77545号公報
近年は、地場産品の販売所や飲食店など、大規模な商業施設に木造建築を導入するケースが増えており、その室内は、自然な雰囲気を醸し出すため、柱や梁などの部材を露出させることが多い。ただし部材同士の連結には、前記特許文献1のような大形金物を使用しているため、室内から容易に金物を視認することができ、自然な雰囲気を損ねている。この点については、前記特許文献2で開示した連結具のように、全体を部材の中に埋め込むことで解消できるが、特許文献2の連結具は用途が限られ、汎用性に乏しい。しかも接着剤を使用するため、施工時の手間も増大する。
そのほか、金物を部材と一体化するには、別途にボルトやネジ釘やドリフトピンなどが必要になる。ボルトは、部材の表面を押圧するため、ワッシャを組み込むなどの対策を講じるが、経年によるワッシャの陥没で緩みを生じる恐れがある。またドリフトピンについても、周囲の木材を押し広げ、緩みを生じる恐れがある。さらにボルトとネジ釘のいずれも、時間の経過と共に各部が徐々に変形し、その頭部が緩み、連結構造の剛性が低下しやすい。
本発明はこうした実情を基に開発されたもので、金物などの露出がなく美観に優れるほか、経年変形による緩みも抑制可能な連結構造の提供を目的としている。
前記の課題を解決するための請求項1記載の発明は、一方材と他方材とをつなぐ連結構造であって、一方材に取り付ける留置具と、該留置具と面接触するように配置し且つ他方材に取り付ける密着具と、前記留置具と前記密着具を引き寄せ一体化するボルトと、前記留置具および前記密着具を取り付けるネジ釘と、を用い、前記留置具には、前記ボルトの軸部を差し込む中孔を設け、また前記密着具には、該ボルトと螺合するメネジを設け、前記留置具と前記密着具のいずれとも、前記ネジ釘の軸部を差し込む釘孔と、該ネジ釘の頭部を収容するザグリを設け、前記一方材には、前記中孔と同心で両面を貫通する工具孔を設け、該工具孔の前記留置具側には、前記ボルトの頭部を収容する大径穴を設け、前記ボルトの軸部は、前記中孔を経て前記メネジに螺合し、前記一方材と前記他方材を連結し、前記ネジ釘の頭部は、その浮き上がりを防止するため、前記密着具または前記留置具または他のネジ釘の頭部で押圧してあり、前記留置具と前記密着具との接触面での滑りを防ぐため、この面の一方の側には凹部を設けてあり、他方の側には該凹部に嵌まり込む凸部を設けてあることを特徴とする連結構造である。
本発明は、住宅や商業施設などの木造建築において、骨格となる部材同士を連結するためのもので、あらゆる箇所での使用を想定しており、連結される二部材のうち、一方を一方材と称し、残る一方を他方材を称するものとする。なお一方材や他方材には、天然木のほか、各種集成材を用いることもできる。また、一方材と他方材の配置は自在で、二部材をT字状やL字状につなぐ場合のほか、平行に並ぶ二本の棒材を一体化し、大断面化することもできる。ただし構造上、二本の棒材の端面同士を一体化することはできない。
留置具と密着具は、二部材の境界に配置する一対の金属板である。そして留置具は一方材に固定し、対する密着具は他方材に固定し、留置具と密着具の表面同士を接触させ、双方を一体化することで二部材を連結する。したがって対になる留置具と密着具の外形は、原則として同一に揃える。ただし留置具と密着具の外形自体は、諸要因に応じて自在に決めることができ、丸形のほか長方形などでも構わない。なお一方材や他方材の表面には、留置具や密着具を埋め込むため、保持溝を加工することもある。
ボルトは、留置具と密着具を一体化し、双方の表面同士を隙間なく接触させるためのもので、留置具から密着具に向けて差し込む。したがって留置具には、ボルトの軸部を差し込むため、両面を貫通する中孔を形成し、対する密着具には、中孔と同心となる位置にメネジを形成する。なおボルトは、留置具と密着具だけに接触するため、締め付け後も部材を押圧することはない。そのほかボルトは、二部材の連結を実質的に担う部品で、要求される強度に応じ、一対の留置具と密着具に複数個使用することもある。
ネジ釘は、留置具や密着具を一方材や他方材に取り付けるためのもので、汎用品をそのまま使用して構わない。ただし強度を要求される箇所では、大径のものを用いる。なおネジ釘を差し込むため、留置具や密着具には、両面を貫通する釘孔を形成するほか、釘孔の入り口には、ネジ釘の頭部を収容するザグリを形成する。そのほかネジ釘は、一個の留置具や密着具に対し、複数本差し込むことを前提としており、さらにネジ釘の差し込み方向を意図的に変化させ(例えば「ハ」の字状)、引き抜き強度を向上させることもできる。
工具孔は、留置具と密着具を一体化するボルトを締め付ける工具を差し込むためのもので、一方材の両面を貫通する。本発明では、留置具から密着具に向けてボルトを差し込むため、必然的にボルトの頭部は、一方材の内部に食い込んでしまう。したがって一方材には、ボルトと同心になる位置に工具孔を加工し、そこに工具を差し込み、ボルトを締め付ける。なお工具孔の内径を必要最小限に留めるため、ボルトについては、その頭部に六角穴などのクボミを設けた物を用い、工具には棒レンチの使用が好ましい。
大径穴は、ボルトの頭部を収容するため、一方材の内部に加工する空洞で、工具孔の両端のうち、留置具と接触する方に配置する。本発明では、ボルトを一方材に埋め込むため、大径穴が必要不可欠だが、その大きさは、美観や部材の断面欠損を考慮し、必要最小限に留める。ただし施工時、ボルト先端を留置具の内部に引き込ませるため、一定の延長は必要である。
ネジ釘は、留置具や密着具から一方材や他方材に向けて差し込むが、その頭部は、密着具または留置具または他のネジ釘に接触させ、ネジ釘の浮き上がりを防止する。これを実現するため、ネジ釘の頭部は、留置具や密着具の表面と段差なく並ぶよう、ザグリの深さなどを調整する。なお、留置具や密着具の表面に対し、釘孔が斜方向に形成されている場合、その頭部を対向する密着具や留置具で押圧することは難しい。このような場合、対向するネジ釘を背中合わせで配置し、双方の頭部同士を接触させる。
このように、留置具や密着具をネジ釘で一方材や他方材に取り付けた上、留置具と密着具をボルトで引き寄せ、一方材と他方材を一体化することで、留置具と密着具とボルトとネジ釘の各部品が部材の内部に埋め込まれ、金属部品が外部に一切露出しないため、美観に優れる。しかも、ネジ釘の頭部を密着具などに接触させ、ネジ釘の浮き上がりを防止することで、経年などによる連結構造の緩みを抑制できる。
そのほか、留置具と密着具との間での滑りを防止するため、双方の接触面に何らかの凹凸を設ける。この凹凸は、せん断荷重の伝達に寄与するほか、留置具と密着具を一本のボルトだけで引き寄せる場合、留置具と密着具の回転を防ぐ役割も果たす。当然ながら、凹凸の形状や配置は、ネジ釘の差し込みなどに支障のない範囲で、自在に決めて構わない。
請求項1記載の発明のように、一方材と他方材との連結構造として、留置具と密着具とボルトとネジ釘を用い、留置具と密着具をネジ釘で一方材や他方材に取り付け、さらに留置具と密着具をボルトで引き寄せ、一方材と他方材を一体化することで、留置具と密着具とボルトとネジ釘の各部品を部材の内部に埋め込むことができ、金属部品が外部に一切露出しないため、美観に優れる。なお工具孔は、施工時に支障のない範囲で小さくすることで、美観に影響を与えることはなく、仮に工具孔に木片を詰め込むならば、痕跡を完全に消し去ることもできる。
さらにネジ釘の頭部は、密着具または留置具または他のネジ釘に接触させ、ネジ釘の緩みを防いでいる。そのため、経年による部材の収縮や、ネジ釘の軸部の伸びなどにより、留置具と一方材との境界や、密着具と他方材との境界に隙間が生じた場合でも、双方は緩みなく一体化した状態を維持する。この特性により、経年変形を生じた後や過大な荷重が作用した後も、連結構造の剛性低下が抑制され、安全性に優れている。加えて、留置具と密着具との接触面に凹部と凸部を設けることで、一方材と他方材が一体化した際、凹部に凸部が嵌まり込み、せん断荷重が大きい場合でも、滑りを防止することができる。
本発明による連結構造の具体例を示す斜視図で、木造建築の骨格となる一方材および他方材と称する二部材をL字状に連結することを想定している。 図1の留置具を柱に取り付け、さらに密着具を梁に取り付けた状態を示す斜視図である。 図2の柱と梁を連結した状態を示す斜視図で縦断面図である。 斜方向に伸びる登り梁の下端を柱に取り付ける連結構造を示す斜視図である。 図4の留置具を柱に取り付け、さらに密着具を登り梁に取り付けた状態を示す斜視図である。 図5の柱と登り梁を連結した状態を示す斜視図と縦断面図である。 図4と同様、斜方向に伸びる登り梁の下端を柱に取り付ける連結構造を示す斜視図だが、より大荷重が作用する箇所での使用を想定したものである。 図7の柱と登り梁を連結した状態を示す斜視図と縦断面図である。 本発明による連結構造を用い、木造トラスを組み上げる場合を示す斜視図である。 図9の連結構造の詳細を示す斜視図である。 本発明による連結構造を用い、平行に並ぶ二本の木材を一体化した接合材を構築する場合を示す斜視図である。 図11の連結構造の詳細を示す斜視図である。
図1は、本発明による連結構造の具体例で、木造建築の骨格となる一方材および他方材と称する二部材をL字状に連結することを想定している。なお一方材は直立する柱41で、対する他方材は水平に伸びる梁51で、双方を留置具11と密着具21とボルト31とネジ釘60で一体化する。そのうち留置具11と密着具21は、円形の金属板で直径や厚さは等しく、同心で配置し表面同士を接触させる。またボルト31は、留置具11と密着具21を一体化するために使用する。そしてネジ釘60は、留置具11と密着具21をそれぞれ柱41と梁51に取り付けるために使用する。
留置具11と密着具21は、柱41や梁51の内部に埋め込み可能な大きさで、柱41の側面には、留置具11を埋め込むための保持溝46を加工してあり、同様に梁51の端面には、密着具21を埋め込むための保持溝56を加工してある。いずれの保持溝46、56ともその深さは、埋め込まれる留置具11や密着具21の厚さと等しく、留置具11と密着具21が接触した際は、柱41の側面と梁51の端面も接触する。なお保持溝46、56の内径は、埋め込まれる留置具11や密着具21の外径より大きくしても構わないが、強度上の観点から、同一に揃えることもできる。
ネジ釘60は、保持溝46、56に埋め込まれた留置具11や密着具21を柱41や梁51と一体化するために用いる。当然ながらネジ釘60は、想定される荷重に基づき大きさや本数を決め、ここでは、留置具11と密着具21のいずれも、二本差し込んでいる。これに対応し、留置具11や密着具21には、ネジ釘60の軸部を差し込む釘孔33を形成してあり、釘孔33の一端には、ネジ釘60の頭部を収容するザグリ36を形成してある。ザグリ36により、差し込まれたネジ釘60の頭部は、留置具11や密着具21の表面と段差なく並ぶ。
留置具11と密着具21は、一本のボルト31で一体化する。そのため留置具11には、ボルト31の軸部を差し込むため、中孔37を形成するほか、密着具21には、ボルト31と螺合するメネジ34を形成してある。なおこの図のボルト31は、六角穴付の物を使用しており、六角断面の棒レンチ39で回転させる。また中孔37とメネジ34のいずれも、留置具11や密着具21の中心に位置している。そしてボルト31の頭部を収容するため、柱41の保持溝46の奥面中心には、ボルト31の頭部を収容する大径穴48を加工してある。
大径穴48は、ボルト31の回転を妨げない内径で、しかも締め付け作業を考慮し、ボルト31の先端を中孔37に収容できる奥行きを確保してある。そして大径穴48の奥面中央には、棒レンチ39を差し込むため、工具孔47を加工してある。工具孔47は必然的に保持溝46の反対面に貫通するが、その内径は、棒レンチ39を差し込むだけの必要最小限として、美観の悪化を防いでいる。したがって内径の異なる工具孔47と大径穴48が同心で並ぶ。
そのほか、柱41と梁51の相対的なねじれを防止するため、留置具11と密着具21との接触面には、計四組の凹部38と凸部35を形成してある。なお凹部38は留置具11側で、凸部35は密着具21側である。凹部38と凸部35が嵌り込むことで、ねじれを防止するほか、せん断荷重の伝達を担う。この図の留置具11は、釘孔33が上下二箇所に並び、そこから離れた位置に凹部38を形成してある。対して密着具21は、釘孔33が左右二箇所に並び、且つ凹部38と揃う位置に凸部35を形成してある。
図2は、図1の留置具11を柱41に取り付け、さらに密着具21を梁51に取り付けた状態を示している。図1の柱41と梁51を連結するのに先立ち、この図のように、留置具11と密着具21をそれぞれの保持溝46、56に埋め込み、これらをネジ釘60で固定する。なお留置具11に差し込むネジ釘60は上下二本で、密着具21に差し込むネジ釘60は左右二本である。またボルト31は、留置具11を柱41に取り付ける前、その頭部を大径穴48に収容し、軸部を中孔37に差し込む。
留置具11や密着具21の取り付けを終えると、留置具11の表面は、柱41の側面と段差なく並び、その中心の中孔37からボルト31の先端が突出している。ただしこの先端は、容易に押し込み可能で、全体を中孔37に入り込ませることもできる。また密着具21の表面は、梁51の端面と段差なく並ぶ。ただし四箇所の凸部35だけは、表面から突出する。そしてネジ釘60の頭部は、留置具11や密着具21の表面と段差なく並ぶ。そのため柱41側のネジ釘60の頭部は、密着具21の表面に接触し、梁51側のネジ釘60の頭部は、留置具11の表面に接触する。
図3は、図2の柱41と梁51を連結した状態を示す。留置具11と密着具21は、柱41や梁51に完全に埋め込まれ、これらが一本のボルト31で引き寄せられ、柱41の側面と梁51の端面が接触している。そして柱41に差し込まれたネジ釘60の頭部は、縦断面図のように、密着具21に接触し拘束されている。そのため留置具11とネジ釘60は、変位不能に一体化しており、ネジ釘60や部材が経年変形した場合でも、連結構造に緩みが生じない。なお梁51に差し込まれたネジ釘60の頭部についても、同様に留置具11に接触し拘束されている。そのほか凸部35と凹部38が嵌り込み、せん断荷重を伝達するため、ボルト31の負荷が軽減される。
留置具11や密着具21の取り付けは、製材所などで行うことを想定しており、現地では柱41と梁51を接近させ、凸部35と凹部38を嵌め込み、ボルト31を締め付けると柱41と梁51の連結が完了し、作業性は良好である。なおボルト31の締め付けは、図のようなL字形の棒レンチ39のほか、各種電気工具も使用できる。そのほか、工具孔47に柱41と同種の木材を詰め込み、内部構造を完全に覆い隠すことも可能で、美観に優れる。
図4は、斜方向に伸びる登り梁52の下端を柱41に取り付ける連結構造を示している。この図においても、先の図1と同様、留置具12や密着具22は円形で、留置具12を柱41に取り付け、密着具22を登り梁52に取り付け、留置具12と密着具22をボルト31で引き寄せる。ただし登り梁52の長手方向にネジ釘60を差し込むため、密着具22の釘孔33は、密着具22の表面に対し交角を有する。そのためネジ釘60を締め付けると、その頭部の約半分は、ザグリ36から突出する。これに対応するため、留置具12の釘孔33についても、密着具22側と交角を揃えてあり、しかも双方の釘孔33は同心で揃い、背中合わせで対向するネジ釘60の頭部同士が接触する。
留置具12と密着具22のいずれとも、その釘孔33は、三個を横並びで配置してある。そのため、ボルト31が差し込まれる中孔37とメネジ34は、上方一箇所に配置してあるほか、せん断荷重を伝達する凸部35と凹部38は、下方に一組配置してある。なお凸部35と凹部38は、図1とは逆の配置で、留置具12の方が凸部35となっている。このように凸部35と凹部38は、せん断荷重の伝達を担うならば、詳細は自在である。そのほか柱41に加工する工具孔47や大径穴48は、中孔37やメネジ34の配置に対応するため、保持溝46の中心ではなく、上方に偏っている。
図5は、図4の留置具12を柱41に取り付け、さらに密着具22を登り梁52に取り付けた状態を示している。図4の柱41と登り梁52を連結するのに先立ち、留置具12と密着具22を保持溝46、56に埋め込み、これらをネジ釘60で固定する。全てのネジ釘60は、登り梁52の長手方向に伸びるため、釘孔33は、留置具12や密着具22の表面に対し交角を有する。なおザグリ36については、ネジ釘60の頭部の半分だけが表面から突出するよう、深さを調整してある。したがって柱41に差し込んだネジ釘60の頭部は、その下半分が留置具12の表面から突出し、対して登り梁52に差し込んだネジ釘60の頭部は、その上半分が密着具22の表面から突出する。
ネジ釘60は、登り梁52に沿って斜方向に伸びている。しかしボルト31は、水平方向に配置するほか、凸部35は水平方向に突出する。そのため、ボルト31や凸部35がネジ釘60と接触しないよう、各部の配置を決めている。さらに、ネジ釘60が工具孔47を塞いではならない。そのほか留置具12は、柱41の側面と段差なく並び、ネジ釘60の頭部と凸部35だけが突出する。同様に密着具22は、登り梁52の端面と段差なく並び、ネジ釘60の頭部だけが突出する。
図6は、図5の柱41と登り梁52を連結した状態を示す。留置具12と密着具22は、柱41や登り梁52に完全に埋め込まれ、これらが一本のボルト31で引き寄せられ、柱41の側面と登り梁52の端面が接触している。そしてネジ釘60は、縦断面図のように、柱41側と登り梁52側が背中合わせで一直線に並び、双方の頭部が接触している。そのため、柱41と登り梁52に作用する圧縮荷重は、留置具12や密着具22のほか、ネジ釘60でも受け止められ、登り梁52の端面が柱41の側面に陥没することを防止している。
図7は、図4と同様、斜方向に伸びる登り梁52の下端を柱41に取り付ける連結構造を示しているが、より大荷重が作用する箇所での使用を想定している。この図の留置具13と密着具23は、上下に伸びた長方形で、それぞれ釘孔33は六箇所としてある。またボルト31は、上下に二本使用する。そのため、工具孔47やメネジ34などは、上下に二組設けてある。そのほか、せん断荷重を伝達する凸部35と凹部38は、釘孔33から離れた位置に四組設けてある。なおネジ釘60は、先の図6と同様、柱41側と登り梁52側が背中合わせで一直線に並び、双方の頭部同士が接触する。
留置具13や密着具23は、保持溝46、56に埋め込まれ、施工後は完全に覆い隠される。またボルト31を二本使用することで、引張荷重に対する強度が一段と向上するほか、曲げモーメントにも対抗できる。そのほか、ネジ釘60がボルト31などと接触しないよう、中孔37やメネジ34は、留置具13や密着具23の中心線上に配置し、釘孔60は中心線から離して配置してある。
この図では、留置具13や密着具23を保持溝46、56に埋め込んでいるが、美観や結露などの問題が生じない場合、保持溝46、56を省略し、柱41の側面や登り梁52の端面にそのまま留置具13や密着具23を取り付けても構わない。ただしその場合でも、ネジ釘60の頭部を何らかに接触させ、その浮き上がりを防止する点や、ボルト31全体を内部に埋め込み、工具孔47を介して締め付ける点は、変更できない。
図8は、図7の柱41と登り梁52を連結した状態を示す。留置具13と密着具23は、柱41や登り梁52に完全に埋め込まれ、これらが上下二本のボルト31で引き寄せられ、柱41の側面と登り梁52の端面が接触している。なおこの図では一部省略しているが、ネジ釘は、柱41側と登り梁52側に六本ずつ差し込まれ、それらは図6の縦断面図と同様、対向する二本が背中合わせで一直線に並び、双方の頭部同士が接触している。本発明は、ネジ釘60やボルト31の本数を調整することで、様々な大きさの部材の連結に使用でき、汎用性や柔軟性にも優れる。
図9は、本発明による連結構造を用い、木造トラスを組み上げる場合を示している。この図の木造トラスは、二本の柱41を平行に配置し、その間を結ぶように複数の水平材53を等間隔で並べ、さらに柱41と水平材53で区画された中に斜材54を取り付けた形状である。そして、水平材53や斜材54の端面を柱41の側面に取り付けるため、本発明による連結構造を用いている。図9上方には、木造トラスの連結構造を拡大して描いてあり、ここでは水平材53と斜材54が上下に重なり、両材の端面が柱41の側面に接触している。
図9の連結構造において、柱41の側面には、水平材53と斜材54の端面が接触しており、水平材53と斜材54のそれぞれに一個の密着具24、25を取り付けてある。これらに対応し、柱41の側面には、留置具14、15を上下に並べて取り付けてある。さらに、対になる留置具14、15と密着具24、25は、上下とも一本のボルト31で引き寄せる。そのため柱41の側面には、上下二箇所に工具孔47を加工してある。そのほか、柱41と水平材53の連結に用いるネジ釘60は、水平材53の長手方向に沿って差し込むが、柱41と斜材54の連結に用いるネジ釘60は、斜材54の長手方向に沿って差し込み、双方で角度が異なる。
図10は、図9の連結構造の詳細を示している。柱41と水平材53は、いずれも円形の留置具14と密着具24を介して一体化する。この留置具14の中心には、ボルト31を差し込む中孔37を形成してあり、これを挟むように上下二箇所に釘孔33を形成してあるほか、左右二箇所に凹部38を形成してある。対する密着具24の中心には、ボルト31と螺合するメネジ34を形成してあり、これを挟むように上下二箇所に釘孔33を形成してあるほか、左右二箇所に凸部35を形成してある。そのため留置具14側と密着具24側のネジ釘60は、背中合わせで一直線に並び、双方の頭部同士が接触する。また凸部35と凹部38が嵌り込むことで、せん断荷重が伝達される。
次に柱41と斜材54は、いずれも円形の留置具15と密着具25を介して一体化する。この留置具15の中心には、ボルト31を差し込む中孔37を形成してあり、これを挟むように左右二箇所に釘孔33を形成してあるほか、上下二箇所に凹部38を形成してある。対する密着具25の中心には、ボルト31と螺合するメネジ34を形成してあり、これを挟むように左右二箇所に釘孔33を形成してあるほか、上下二箇所に凸部35を形成してある。なお、柱41と斜材54の連結に用いるネジ釘60は、斜材の長手方向に沿って差し込む。そのため各釘孔33は、留置具15や密着具25の表面に対し交角を有するが、ネジ釘60が背中合わせで一直線に並び、双方の頭部同士が接触する点は、これまでと同じで、凸部35と凹部38が嵌り込む点も、これまでと同じである。
柱41と水平材53の連結に用いるネジ釘60は、柱41の中心線上に差し込む。対して柱41と斜材54の連結に用いるネジ釘60は、柱41の中心線から左右に離れた位置に差し込む。これは、差し込み方向の異なるネジ釘60が柱41の内部で接触することを防止するほか、斜方向に伸びるネジ釘60が工具孔47を通過することを防ぐためである。そのほか、留置具14、15と密着具24、25をボルト31で引き寄せる点などは、これまでと同じである。
図11は、本発明による連結構造を用い、平行に並ぶ二本の木材を一体化した接合材を構築する場合を示している。この図の接合材は、同一断面の前棒45と後棒55の側面同士を接触させ、本発明による連結構造で一体化したもので、一定の間隔で一対の留置具16と密着具26を配置する。この留置具16と密着具26は、上下に伸びた長方形で、前棒45と後棒55の接触面に加工された保持溝46、56に埋め込み、ネジ釘60で取り付ける。ネジ釘60は、一個の留置具16や密着具26に対し、六本差し込むが、抜け防止のため、前棒45と後棒55の接触面に対し、斜方向に差し込む。またボルト31を締め付けるための工具孔47は、前棒45の側面に加工してある。そのほかネジ釘60は、これまでの各図と同様、前棒45側と後棒55側が背中合わせで一直線に並び、双方の頭部同士が接触している。
図12は、図11の連結構造の詳細を示している。ここで使用する留置具16と密着具26のいずれとも長方形で、それぞれ六箇所に釘孔33を形成してある。釘孔33は、前棒45や後棒55の側面に対し交角を有し、しかも半数の方向を反転させ、ネジ釘60をハの字状に差し込む構成で、引き抜き強度に優れている。また一対の留置具16と密着具26に対し、ボルト31は二本使用しており、凸部35と凹部38は四組設けてある。そしてこの連結構造においても、外部に露出するのは工具孔47だけで、美観に優れている。
これまでの各図に示すように、本発明は木造建築を構成するあらゆる部材同士の連結に使用可能で、留置具や密着具の形状は自在である。また留置具や密着具を取り付けるネジ釘60は、その頭部を何らかの手段で押圧し、浮き上がりを防止できるならば、使用数や差し込み方向などは自在である。同様に、留置具と密着具を引き寄せるボルト31についても、全体を内部に埋め込み、一方材に加工した工具孔47から回転させるならば、使用数や配置などは自在である。
11 留置具(丸形・凹部が四箇所)
12 留置具(丸形・釘孔が左右三箇所)
13 留置具(長方形・釘孔が六箇所で同一方向)
14 留置具(丸形・釘孔が上下二箇所)
15 留置具(丸形・釘孔が左右二箇所)
16 留置具(長方形・釘孔が六箇所で二方向)
21 密着具(丸形・凸部が四箇所)
22 密着具(丸形・釘孔が左右三箇所)
23 密着具(長方形・釘孔が六箇所で同一方向)
24 密着具(丸形・釘孔が上下二箇所)
25 密着具(丸形・釘孔が左右二箇所)
26 密着具(長方形・釘孔は六箇所で二方向)
31 ボルト
33 釘孔
34 メネジ
35 凸部
36 ザグリ
37 中孔
38 凹部
39 棒レンチ
41 柱(一方材)
45 前棒(一方材)
46 保持溝
47 工具孔
48 大径穴
51 梁(他方材)
52 登り梁(他方材)
53 水平材(他方材)
54 斜材(他方材)
55 後棒(他方材)
56 保持溝
60 ネジ釘

Claims (1)

  1. 一方材(41又は45)と他方材(51乃至55)とをつなぐ連結構造であって、
    一方材(41又は45)に取り付ける留置具(11乃至16)と、
    該留置具(11乃至16)と面接触するように配置し且つ他方材(51乃至55)に取り付ける密着具(21乃至26)と、
    前記留置具(11乃至16)と前記密着具(21乃至26)を引き寄せ一体化するボルト(31)と、
    前記留置具(11乃至16)および前記密着具(21乃至26)を取り付けるネジ釘(60)と、
    を用い、
    前記留置具(11乃至16)には、前記ボルト(31)の軸部を差し込む中孔(37)を設け、また前記密着具(21乃至26)には、該ボルト(31)と螺合するメネジ(34)を設け、
    前記留置具(11乃至16)と前記密着具(21乃至26)のいずれとも、前記ネジ釘(60)の軸部を差し込む釘孔(33)と、該ネジ釘(60)の頭部を収容するザグリ(36)を設け、
    前記一方材(41又は45)には、前記中孔(37)と同心で両面を貫通する工具孔(47)を設け、該工具孔(47)の前記留置具(11乃至16)側には、前記ボルト(31)の頭部を収容する大径穴(48)を設け、
    前記ボルト(31)の軸部は、前記中孔(37)を経て前記メネジ(34)に螺合し、前記一方材(41又は45)と前記他方材(51乃至55)を連結し、
    前記ネジ釘(60)の頭部は、その浮き上がりを防止するため、前記密着具(21乃至26)または前記留置具(11乃至16)または他のネジ釘(60)の頭部で押圧してあり、
    前記留置具(11乃至16)と前記密着具(21乃至26)との接触面での滑りを防ぐため、この面の一方の側には凹部(38)を設けてあり、他方の側には該凹部(38)に嵌まり込む凸部(35)を設けてあることを特徴とする連結構造。
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