以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺や縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
なお、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「導電性パターンシート」は板やフィルムと呼ばれ得るような部材をも含む概念であり、したがって、「導電性パターンシート」は、「導電性パターン板(基板)」や「導電性パターンフィルム」と呼ばれる部材と、呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
また、「シート面(板面、フィルム面)」とは、対象となるシート状(板状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材(板状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1〜図16は、本発明による一実施の形態を説明するための図である。以下においては、導電性パターンが、デフロスタ装置の発熱板に組み込まれた例について説明する。図1は、導電性パターンが組み込まれた発熱板を備えた自動車を概略的に示す図であり、図2は、発熱板をその板面の法線方向から見た図であり、図3は、図2の発熱板の横断面図である。
図1に示されているように、乗り物の一例としての自動車1は、フロントウィンドウ、リアウィンドウ、サイドウィンドウ等の窓ガラスを有している。ここでは、フロントウィンドウ5が発熱板10で構成されているものを例示する。また、自動車1はバッテリー等の電源7を有している。
この発熱板10をその板面の法線方向から見たものを図2に示す。また、図2の発熱板10のIII−III線に対応する横断面図を図3に示す。図3に示された例では、発熱板10は、一対のガラス板11,12と、一対のガラス板11,12の間に配置された導電性パターンシート20と、ガラス板11,12と導電性パターンシート20とを接合する接合層13,14とを有している。なお、図1および図2に示した例では、発熱板10は湾曲しているが、図3では、図示の簡略化および理解の容易化のために、発熱板10およびガラス板11,12を平板状に図示している。
導電性パターンシート20は、シート状の基材30と、基材30上に形成された導電性パターン40と、導電性パターン40に通電するための配線部15と、導電性パターン40と配線部15とを接続する接続部16(バスバーあるいはバスバー電極とも呼称される)と、を有している。
図2および図3に示した例では、バッテリー等の電源7から、銅線等からなる配線部15および接続部16を介して導電性パターン40に通電し、導電性パターン40を抵抗加熱により発熱させる。導電性パターン40で発生した熱は接合層13,14を介してガラス板11,12に伝わり、ガラス板11,12が温められる。これにより、ガラス板11,12に付着した結露による曇りを取り除くことができる。また、ガラス板11,12に雪や氷が付着している場合には、この雪や氷を溶かすことができる。したがって、乗員の視界が良好に確保される。なお、図示は省略するが、通常は、配線部15は電源7と導電性パターン40の接続部(バスバー)16との間に開閉器が挿入(直列に接続)される。そして、発熱板10の加熱が必要な時のみ開閉器を閉じて導電性パターン40に通電する。
ガラス板11,12は、特に自動車のフロントウィンドウに用いる場合、乗員の視界を妨げないよう可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。このようなガラス板11,12の材質としては、ソーダライムガラス(青板ガラス)、硼珪酸ガラス(白板ガラス)、石英ガラス、ソーダガラス、カリガラス等が例示できる。ガラス板11,12は、可視光領域における透過率が90%以上であることが好ましい。ここで、ガラス板11,12の可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV−3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。なお、ガラス板11,12の一部または全体に着色するなどして、可視光透過率を低くしてもよい。この場合、太陽光の直射を遮ったり、車外から車内を視認しにくくしたりすることができる。
また、ガラス板11,12は、1mm以上5mm以下の厚みを有していることが好ましい。このような厚みであると、強度および光学特性に優れたガラス板11,12を得ることができる。
ガラス板11,12と導電性パターンシート20とは、それぞれ接合層13,14を介して接合されている。このような接合層13,14としては、種々の接着性または粘着性を有した材料からなる層を用いることができる。また、接合層13,14は、可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。典型的な接合層としては、ポリビニルブチラール(PVB)からなる層を例示することができる。接合層13,14の厚みは、それぞれ0.15mm以上0.7mm以下であることが好ましい。
なお、発熱板10には、図示された例に限られず、特定の機能を発揮することを期待されたその他の機能層が設けられても良い。また、1つの機能層が2以上の機能を発揮するようにしてもよいし、例えば、発熱板10のガラス板11,12、接合層13,14や、後述する導電性パターンシート20の基材30の少なくとも1つに機能を付与するようにしてもよい。発熱板10に付与され得る機能としては、一例として、反射防止(AR)機能、耐擦傷性を有したハードコート(HC)機能、赤外線遮蔽(反射)機能、紫外線遮蔽(反射)機能、偏光機能、防汚機能等を例示することができる。
次に、導電性パターンシート20について説明する。導電性パターンシート20は、シート状の基材30と、基材30上に形成された導電性パターン40と、導電性パターン40に通電するための配線部15と、導電性パターン40と配線部15とを接続する接続部16とを有している。導電性パターンシート20は、ガラス板11,12と略同一の平面寸法を有して、発熱板10の全体にわたって配置されてもよいし、運転席の正面部分等、発熱板10の一部にのみ配置されてもよい。
シート状の基材30は、導電性パターン40を支持する基材として機能する。基材30は、可視光線波長帯域の波長(380nm〜780nm)を透過する一般に言うところの透明である電気絶縁性の基板である。図2および図4に示された例では、基材30は、ガラス板11,12と略同一の寸法を有して、略台形状の平面形状を有している。
基材30は、例えば、可視光透過性を有する樹脂を含むことができる。基材30に含まれる樹脂としては、可視光を透過し、導電性パターン40を適切に支持し得るものであればいかなる樹脂でもよいが、好ましくは熱可塑性樹脂を用いることができる。この熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アモルファスポリエチレンテレフタレート(A−PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース(三酢酸セルロース)等のセルロース系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート樹脂、AS樹脂等を挙げることができる。とりわけ、アクリル樹脂やポリ塩化ビニルは、エッチング耐性、耐候性、耐光性に優れており、好ましい。
また、基材30は、導電性パターン40の保持性や、光透過性等を考慮すると、0.03mm以上0.3mm以下の厚みを有していることが好ましい。
なお、基材30は、導電性パターン40側の面に、基材本体と導電性パターン40との接合性を向上させる機能を有する保持層を有していてもよい。すなわち、基材30は、基材本体と、基材本体の導電性パターン40側の面上に設けられた保持層と、を有していてもよい。保持層は、例えば、透明な電気絶縁性の樹脂シートを基材本体上に積層して形成することもできるし、基材本体上に樹脂材料を塗布することにより形成することもできる。このような保持層としては、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)、2液硬化性ウレタン接着剤、2液硬化性エポキシ接着剤等を用いることができる。また、保持層の厚さは、光透過性や、基材本体と導電性パターン40との接合性等を考慮して、1μm以上100μm以下とすることができる。好ましくは、保持層の厚さを1μm以上15μm以下とすることができる。
次に、図4を参照して、導電性パターン40について説明する。図4は、導電性パターンシート20をそのシート面の法線方向から見た平面図である。
導電性パターン40は、バッテリー等の電源7から、配線部15および接続部16を介して通電され、抵抗加熱により発熱する。そして、この熱が接合層13,14を介してガラス板11,12に伝わることで、ガラス板11,12が温められる。
図4に、導電性パターン40のパターン形状の一例を示す。図4に示された例では、導電性パターン40は、多数の開口領域43を画成するメッシュ状のパターンで配置された導電性細線41を含んでいる。また、導電性細線41は、2つの分岐点42の間を延びて、開口領域43を画成する複数の接続要素44を含んでいる。すなわち、導電性パターン40の導電性細線41は、両端において分岐点42を形成する多数の接続要素44の集まりとして構成されている。ここで、導電性細線41の「分岐点」とは、1本の接続要素44から2本以上の接続要素44に分岐する箇所を意味する。言い換えると、導電性細線41の「分岐点」とは、3本以上の接続要素44が集まり互いに接続されている箇所である。
図4に示された例では、導電性パターン40の多数の開口領域43は、単位格子の配列が繰返し規則性(周期的規則性)を有しない形状およびピッチで配列されている。とりわけ図示された例では、多数の開口領域43が、隣接母点間距離がある上限値および下限値内に分布するランダム2次元分布した母点から生成されるボロノイ図における各ボロノイ領域と一致するように配列されている。言い換えると、導電性パターン40の各接続要素44は、特定ボロノイ図におけるボロノイ領域の各境界と一致している。また、導電性パターン40の各分岐点42は、ボロノイ図におけるボロノイ点と一致している。なお、このボロノイ図は、例えば特開2012−178556号公報、特開2013−238029号公報等に開示されているような公知の方法によって得られるので、ここではボロノイ図の作成方法についての詳細な説明は省略する。
導電性パターンが、正方格子配列やハニカム配列等の、繰返し規則性(周期的規則性)を有する形状およびピッチで配列された多数の開口領域を有する場合、この多数の開口領域の配列の繰返し規則性に起因して、光芒が視認されることがある。光芒とは、例えば自動車のフロントウィンドウに対向車のヘッドライトの光が入射した場合等、発熱板に対して観察者と反対側から光が入射したときに、発熱板上で筋状等の所定のパターンに当該光が分散されて観察される現象であり、とりわけ導電性パターンの多数の開口領域が繰返し規則性を有する形状およびピッチで配列されている場合に、光芒が目立ちやすくなる傾向がある。そして、この光芒がドライバー等の観察者に視認されることは、観察者による発熱板を介した視認性を悪化させる。一方、図4に示されているような、繰返し規則性(周期的規則性)を有しない形状およびピッチで配列された多数の開口領域43を有する導電性パターン40によれば、発熱板10に光芒が生じることを効果的に抑制することができる。
このような導電性パターン40を構成するための材料としては、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウム、クロム、モリブデン、ニッケル、チタン、パラジウム、インジウム、タングステン等の金属、および、ニッケル−クロム合金、真鍮、青銅等のこれら例示の金属の合金中から選択した二種以上の金属の合金の一以上を例示することができる。
図5は、図4のA−A線に対応する断面図であって、導電性細線41の断面形状の一例を示す図である。基材30上に、導電性パターン40をなす複数の導電性細線41が形成されている。図示された例では、導電性細線41は、基材30側の面41a、基材30と反対側の面41bおよび側面41c,41dを有し、全体として略矩形の断面を有している。導電性細線41の幅Wa、すなわち、基材30のシート面に沿った幅Waは2μm以上20μm以下とし、高さ(厚さ)Ha、すなわち、基材30のシート面への法線方向に沿った高さ(厚さ)Haは1μm以上60μm以下とすることが好ましい。このような寸法の導電性細線41によれば、その導電性細線41が十分に細線化されているので、導電性パターン40を効果的に不可視化することができる。
次に、図6〜図9を参照して、導電性パターン40を有する導電性パターンシート20の製造方法について説明する。図6〜図9は、導電性パターンシート20の製造方法の一例を順に示す断面図である。
まず、図6に示すように、基材30と、基材30上に設けられた導電性金属層81と、導電性金属層81の基材30と反対側に設けられたレジスト層82と、を有する積層体80を準備する。この積層体80は、例えば、シート状の基材30上に導電性金属層81およびレジスト層82をこの順に設けることにより作製することができる。
基材30としては、例えば可視光線波長帯域の波長(380nm〜780nm)を透過する一般に言うところの透明である電気絶縁性の樹脂基材を用いることができる。
導電性金属層81は、上述したように、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウム、クロム、モリブデン、ニッケル、チタン、パラジウム、インジウム、タングステン等の金属、および、ニッケル−クロム合金、真鍮、青銅等のこれら例示の金属の合金中から選択した二種以上の金属の合金の一以上からなる層である。導電性金属層81は、公知の方法で基材30上に形成され得る。例えば、銅箔等の金属箔を接着剤や粘着剤を用いて貼着する方法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法(PVD法)、化学的気相成長法(CVD法)、めっき法等の液相成長法、またはこれらの2以上を組み合わせた方法を採用することができる。
レジスト層82は、例えば、公知のポジ型またはネガ型のフォトレジスト材料を、スピンコート法等により導電性金属層81上に塗布し、フォトレジスト材料中に含まれる有機溶剤を加熱等により除去することにより形成することができる。ここで、ポジ型のフォトレジスト材料とは、後述のレジスト層82を現像する工程において、露光された領域に存在する材料が除去され、露光されていない領域に存在する材料が残存するようになるフォトレジスト材料である。また、ネガ型のフォトレジスト材料とは、現像工程において、露光された領域に存在する材料が残存し、露光されていない領域に存在する材料が除去されるようになるフォトレジスト材料である。以下の説明においては、レジスト層82のフォトレジスト材料として、ポジ型のフォトレジスト材料を用いる例について述べる。
次に、積層体80のレジスト層82をフォトマスク50を介して、特定波長域の光、例えば紫外線を照射することにより露光する。フォトマスク50を介した露光は、例えば、フォトマスク50を積層体80のレジスト層82に密着させてフォトマスク50の積層体80と反対側から露光するコンタクト露光、フォトマスク50を積層体80のレジスト層82から離間して配置してフォトマスク50の積層体80と反対側から露光するプロキシミティ露光、フォトマスク50と積層体80との間にレンズや鏡等の光学装置が配置されフォトマスク50を透過した光が当該光学装置を介して積層体80のレジスト層82に投影されるプロジェクション露光等により行うことができる。図7には、プロキシミティ露光により積層体80のレジスト層82を露光する例を示している。
レジスト層82のフォトレジスト材料として、ポジ型のフォトレジスト材料を用いる場合、フォトマスク50の遮光パターン52は、後に形成されるべき導電性パターン40のパターンに対応したパターンで形成される。これにより、レジスト層82における、後に形成されるべき導電性パターン40のパターンに対応する箇所は遮光パターン52により遮光され、他の箇所は露光される。このフォトマスク50の遮光パターン52の形状の詳細については後述する。
次に、図8に示されているように、レジスト層82を現像してレジストパターン90を形成する。例えば、スプレー法、浸漬法、パドル法等の公知の方法により、有機溶剤や有機アルカリ水溶液等の現像液をレジスト層82に接触させ、レジスト層82の露光された領域または露光されていない領域に存在するレジスト層82を、溶解・除去し、純水等のリンス液ですすぐ。図8に示された、レジスト層82のフォトレジスト材料として、ポジ型のフォトレジスト材料を用いる例では、レジスト層82の露光された領域に存在するレジスト層82が、溶解・除去される。これにより、フォトマスク50の遮光パターン52のパターンに対応したパターンを有するレジストパターン90が形成される。とりわけ、レジストパターン90は、フォトマスク50の遮光パターン52のパターンと同一のパターンを有する。
次に、図9に示されているように、レジストパターン90をマスクとして、レジストパターン90から露出した導電性金属層81をエッチング(腐食)除去し、レジストパターン90に覆われ残留した導電性金属層81から導電性パターン40を形成する。エッチング方法は特に限られないが、例えば、浸漬法、スプレー法、スピン法等を用いたウェットエッチング法を採用することができる。ウェットエッチング法によるエッチング工程では、エッチング液による導電性金属層81のエッチングは、いわゆるサイドエッチングにより、導電性金属層81のシート面への法線方向(以下、厚み方向とも呼ぶ)だけでなく、厚み方向と直交する方向、すなわち導電性金属層81のシート面に沿った方向、にも進む。このため、図9、さらには、後に言及する図15からも理解できるように、導電性パターン40の平面視における輪郭は、レジストパターン90の平面視における輪郭からずれる。とりわけ、導電性パターン40の平面視における輪郭は、レジストパターン90の平面視における輪郭よりも、レジストパターン90の内側にずれる。言い換えると、導電性パターン40の幅、すなわち基材30のシート面に沿った幅、はレジストパターン90の幅よりも狭くなる。このサイドエッチング量は、導電性金属層81の厚さ、エッチング液の種類、濃度もしくは温度、または、エッチング時間等により調整することができる。
その後、導電性パターン40上に残留しているレジストパターン90を、有機溶剤や酸による溶解処理やアッシング処理等により除去(剥離)する。これにより、図5に示した、導電性パターン40を有する導電性パターンシート20が作製される。
発熱板10は、ガラス板11、接合層13、導電性パターンシート20、接合層14、ガラス板12をこの順に重ね合わせ、加熱・加圧することにより製造される。例えば、まず、接合層13をガラス板11に、接合層14をガラス板12に、それぞれ仮接着する。次に、ガラス板11,12の接合層13,14が仮接着された側が、それぞれ導電性パターンシート20に対向するようにして、接合層13が仮接着されたガラス板11、導電性パターンシート20、接合層14が仮接着されたガラス板12をこの順に重ね合わせ、加熱・加圧する。これにより、ガラス板11、導電性パターンシート20およびガラス板12が、接合層13,14を介して接合され、図3に示す発熱板10が製造される。
次に、図10〜図14を参照して、上述の導電性パターンシート20に含まれる導電性パターン40の製造方法で用いられるフォトマスク50について説明する。図10は、フォトマスク50を、フォトマスク50の板面への法線方向から見て示す平面図である。図11は、図10のフォトマスク50のメッシュパターン60の一部を拡大して示す図である。
フォトマスクは、その遮光領域の性質や遮光層の形成方法等から種々のものに分類され得る。例えば、遮光領域の性質によって、遮光パターンが形成され光を遮蔽する遮光領域と、遮光領域以外の光を透過させる光透過領域とを有するバイナリマスクや、光を遮蔽する遮光領域と、光を半透過させる半透過領域と、光を透過させる光透過領域とを有するハーフトーンマスク等に分類され得る。また、遮光層の形成方法によって、クロム等の金属からなる膜をエッチングすることにより遮光パターンを形成するハードマスクや、ハロゲン化銀の微粒子を分散させた感光性材料に光を照射して析出した金属銀により遮光パターンを形成するエマルジョンマスク等に分類され得る。
以下の説明においては、フォトマスクとして、透明基材上にクロム等の金属からなる遮光パターンが形成され、遮光領域と光透過領域とを有するバイナリマスクを用いた例について述べる。図10および図12に示された例では、フォトマスク50は、透明基材51と、透明基材51上に形成された遮光パターン52と、を有している。
透明基材51は、遮光パターン52を支持する機能を有する。透明基材51の材料は、光透過性を有するものであれば特に限られないが、例えば、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス等のガラス材料を好適に用いることができる。透明基材51の厚さは、遮光パターン52を支持しつつ良好な光透過性を確保する観点から、0.1mm以上8mm以下であることが好ましい。
遮光パターン52は、上述の導電性パターン40の製造工程において、導電性金属層81上に形成されたレジスト層82に向けて照射される光を、所定のパターンで遮蔽する機能を有する。遮光パターン52の材料は、少なくとも特定波長域の光を遮光することができる材料であれば特に限られないが、例えば、クロム、モリブデンシリサイド(MoSi)等の金属材料を用いることができる。また、遮光パターン52は単層で形成されたものに限られず、クロム層の片面または両面に酸化クロム層を設けたもののように、複数層で形成されたものであってもよい。
次に、フォトマスク50の遮光パターン52の形状について説明する。フォトマスク50の遮光パターン52は、形成されるべき導電性パターン40のパターン形状に対応したパターン形状を有している。とりわけ図10および図11に示された例では、フォトマスク50の遮光パターン52は、図4に示された、ランダムに配列された多数の開口領域43を画成するメッシュ状のパターンを含む導電性パターン40のパターン形状に対応した、メッシュパターン60を含んでいる。
ところで、上述の導電性パターン40の製造工程において、レジスト層82として、ポジ型のフォトレジスト材料から形成されるレジスト層82を用いる場合、フォトマスク50の遮光パターン52は、導電性パターン40が形成されるべき箇所に対応して設けられる。この場合は、遮光パターン52が形成された箇所がメッシュパターン60をなし、遮光パターン52が形成されない箇所が後述の開口領域63をなす。一方、レジスト層82として、ネガ型のフォトレジスト材料から形成されるレジスト層82を用いる場合、フォトマスク50の遮光パターン52は、導電性パターン40が形成されない箇所に対応して設けられる。この場合は、遮光パターン52が形成されていない箇所がメッシュパターン60をなし、遮光パターン52が形成された箇所が後述の開口領域63をなす。以下の説明においては、レジスト層82として、ポジ型のフォトレジスト材料から形成されるレジスト層82を用いる例、すなわち、フォトマスク50の遮光パターン52が、導電性パターン40が形成されるべき箇所に対応して設けられ、遮光パターン52が形成された箇所がメッシュパターン60をなす例、について述べる。
図10および図11に示された例では、遮光パターン52は、導電性パターン40のパターン形状に対応して、多数の開口領域63を画成するメッシュパターン60をなしている。また、メッシュパターン60は、2つの分岐点62の間を延びて、開口領域63を画成する複数の接続要素64を含んでいる。すなわち、メッシュパターン60は、両端において分岐点62を形成する多数の接続要素64の集まりとして構成されている。ここで、メッシュパターン60の「分岐点」とは、1本の接続要素64から2本以上の接続要素64に分岐する箇所を意味する。言い換えると、メッシュパターン60の「分岐点」とは、3本以上の接続要素64が集まり互いに接続されている箇所である。
図10および図11に示された例では、メッシュパターン60の多数の開口領域63は、単位格子の配列が繰返し規則性(周期的規則性)を有しない形状およびピッチで配列されている。とりわけ図示された例では、多数の開口領域63が、隣接母点間距離がある上限値および下限値内に分布するランダム2次元分布した母点から生成されるボロノイ図における各ボロノイ領域と一致するように配列されている。言い換えると、メッシュパターン60の各接続要素64は、特定ボロノイ図におけるボロノイ領域の各境界と一致している。また、メッシュパターン60の各分岐点62は、ボロノイ図におけるボロノイ点と一致している。なお、上述のように、このボロノイ図は公知の方法によって得られるので、ここではボロノイ図の作成方法についての詳細な説明は省略する。
図12は、図10のB−B線に対応して、フォトマスク50の断面形状を示す横断面図である。透明基材51上に、メッシュパターン60をなす複数の接続要素64が形成されている。図示された例では、接続要素64は、全体として略矩形の断面を有している。接続要素64の幅Wb、すなわち、透明基材51のシート面に沿った幅Wbは、上述のレジストパターン90をマスクとして導電性金属層81をエッチングし、導電性金属層81から導電性パターン40を形成する工程において導電性パターン40の導電性細線41に生じ得るサイドエッチングの分だけ、導電性細線41の幅Waよりも大きくすることが好ましい。また、接続要素64の高さ(厚さ)Hb、すなわち、透明基材51の板面への法線方向に沿った高さ(厚さ)Hbは0.01μm以上6μm以下とすることが好ましい。
このようなフォトマスク50は、例えば、フォトリソグラフィー技術を用いて以下のようにして作製され得る。まず、透明基材51上にクロム等の金属材料からなる遮光膜を形成したマスクブランクスを準備し、マスクブランクスの遮光膜上にフォトレジスト材料からなるレジスト層を形成する。次に、レジスト層にレーザ光等でパターンを描画して露光させ、その後現像して、レジスト層からレジストパターンを形成する。このレジストパターンをマスクとして遮光膜をエッチングし、遮光膜から遮光パターン52を形成する。最後に、遮光パターン52上のレジストパターンを剥離する。
図13は、メッシュパターン60に含まれる1つの分岐点62の近傍を拡大して示す図である。図示された例では、各開口領域63を画成する複数の接続要素64のうち1つの分岐点62で接続する2つの接続要素64は、それぞれ各開口領域63の周縁の一部をなす内側縁65を有し、2つの接続要素64の各内側縁65が互いに接続する位置に切欠き70が形成されている。例えば、図13に示された例において、開口領域631を画成する複数の接続要素64のうち1つの分岐点62で接続する2つの接続要素641,642は、それぞれ開口領域631の周縁の一部をなす内側縁651a,652aを有し、2つの接続要素641,642の各内側縁651a,652aが互いに接続する位置に切欠き701が形成されている。
図13に示された例では、切欠き70は、最深部71から各内側縁65へ向かって拡開している。言い換えると、切欠き70は、最深部71から対応する開口領域へ向かうにつれて、その幅が大きくなるように変化している。とりわけ、切欠き70は、最深部71から対応する開口領域へ向かうにつれて、その幅が大きくなるようにのみ変化している。なお、図13に示された例では、切欠き70は、その境界部72が、最深部71から各内側縁65へ向かう2本の直線で形成されているが、これに限られず、切欠き70の境界72は、曲線や折れ線、または、これらの組み合わせで形成されてもよい。
このようなメッシュパターン60を有するフォトマスク50を介してレジスト層82を露光することにより、現像後に形成されるレジストパターン90は、フォトマスク50のメッシュパターン60のパターンに対応したパターンを有する。とりわけ、レジストパターン90は、フォトマスク50のメッシュパターン60のパターンと同一のパターンを有する。すなわち、レジストパターン90は、ランダムに配列された多数の開口領域93を画成するメッシュパターンを有し、メッシュパターンは、2つの分岐点92の間を延びて開口領域93を画成する複数の接続要素94を含み、各開口領域93を画成する複数の接続要素94のうち1つの分岐点92で接続する2つの接続要素94は、それぞれ各開口領域93の周縁の一部をなす内側縁95を有し、2つの接続要素94の各内側縁95が互いに接続する位置に切欠き96が形成されている。このような形状を有するレジストパターン90をマスクとして導電性金属層81をエッチングすると、レジストパターン90の2つの接続要素94の各内側縁95が互いに接続する位置に形成された切欠き96内にエッチング液が入り込むようになる。
従来技術においては、図14(b)に二点鎖線で示すように、レジストパターン190に含まれる1つの分岐点192で接続する2つの接続要素194の各内側縁195は、単に互いに接続していた。このような従来技術では、レジストパターン190に含まれる2つの接続要素194の各内側縁195が互いに接続する箇所においてエッチング液が滞留し、これにより導電性パターン140の導電性細線141の分岐点142に向かうサイドエッチングが抑制されていた。結果として、導電性パターン140の導電性細線141に含まれる分岐点142が太り、導電性パターン140が観察者から視認されやすくなっていた。
本実施の形態では、上述のように、レジストパターン90の2つの接続要素94の各内側縁95が互いに接続する位置に形成された切欠き96内にエッチング液が入り込む。そして、レジストパターン90の切欠き96内に入り込んだこのエッチング液により、導電性パターン40の導電性細線41の分岐点42に向かってサイドエッチングが進行し、図14(a)に示すように、導電性パターン40の導電性細線41に含まれる分岐点42が太ることが抑制され得る。これにより、導電性パターン40の不可視性が向上する。
ここで、本件発明者らは、レジストパターン90の切欠き96の寸法が一定であると、分岐点92での2つの接続要素94の接続角度により、導電性パターン40の導電性細線41の分岐点42に向かうサイドエッチング量にばらつきが生じることを知見した。そして、本件発明者らによるさらなる研究により、レジストパターン90の切欠き96の最適な寸法は、分岐点92での2つの接続要素94の接続角度によって変化することが知見された。
図13に示された例では、フォトマスク50の切欠き70の最深部71と、2つの接続要素64の各内側縁65の延長線の交点Pとの距離を、くびれ深さKとし、各内側縁65の、切欠き70によって削り取られた内側縁65の長さを、くびれ長さHとすると、くびれ深さKは、2つの接続要素64がなす角度θに応じて変化し、くびれ長さHは、2つの接続要素64がなす角度θに応じて変化している。すなわち、図13に示された例では、3つの切欠き70について、各切欠き70のくびれ深さKは、切欠き70に隣接する2つの接続要素64がなす角度θに応じた深さとなっている。また、各切欠き70のくびれ長さHは、切欠き70に隣接する2つの接続要素64がなす角度θに応じた長さとなっている。例えば、図13に示された例において、切欠き701の最深部711と、2つの接続要素641,642の各内側縁651a,652aの延長線の交点Pとの距離を、くびれ深さKとし、各内側縁651a,652aの、切欠き701によって削り取られた内側縁651a,652aの長さを、くびれ長さHとすると、くびれ深さKは、2つの接続要素641,642がなす角度θに対応した深さを有し、くびれ長さHは、2つの接続要素641,642がなす角度θに対応した長さを有している。なお、図13に示した例では、1つの切欠き70に対応する2つのくびれ長さHは、互いに等しい長さを有している。
ここで、図13に示された例では、2つの接続要素64の各中心線(一点鎖線で示す)がなす角度を、2つの接続要素64がなす角度θとしている。なお、これに限られず、2つの接続要素64の各内側縁65がなす角度を、2つの接続要素64がなす角度θとしてもよい。
上述のように、レジストパターン90は、フォトマスク50のメッシュパターン60のパターンに対応したパターンを有する。とりわけ、レジストパターン90は、フォトマスク50のメッシュパターン60のパターンと同一のパターンを有する。したがって、図14に示された例では、レジストパターン90の切欠き96の最深部97と、2つの接続要素94の各内側縁95の延長線の交点Pとの距離を、くびれ深さKとし、各内側縁95の、切欠き96によって削り取られた内側縁95の長さを、くびれ長さHとすると、くびれ深さKは、2つの接続要素94がなす角度θに応じて変化し、くびれ長さHは、2つの接続要素94がなす角度θに応じて変化している。
フォトマスク50のメッシュパターン60において、分岐点62で接続する2つの接続要素64がなす角度θに対する、対応する切欠き70の適切なくびれ深さKおよびくびれ長さHは、実験により求めることができる。具体的には、θ=0°からθ=180°までの間に含まれる複数の異なる角度について、導電性パターン40の導電性細線41(接続要素44)の所定の幅Waを確保しつつ、導電性パターン40の導電性細線41(接続要素44)の交点の太りを十分に低減させることができるくびれ深さKおよびくびれ長さHを実験により求める。これにより、θ=0°からθ=180°までのくびれ深さKおよびくびれ長さHと、角度θとの関係を求めることができる。図15に、くびれ深さKおよびくびれ長さHと、角度θとの関係の一例を示す。図15に示された例では、分岐点62で接続する2つの接続要素64がなす角度θが大きくなるにつれて、対応する切欠き70における最適なくびれ深さKは、小さくなるように変化している。また、分岐点62で接続する2つの接続要素64がなす角度θが大きくなるにつれて、対応する切欠き70における最適なくびれ長さHは、小さくなるように変化している。とりわけ図15に示された例では、分岐点62で接続する2つの接続要素64がなす角度θが大きくなるにつれて、対応する切欠き70における最適なくびれ深さKおよびくびれ長さHは、いずれも小さくなるように変化している。なお、現実的には、θ=0°の場合は考える必要はなく、θ=180°の場合は、K=0とすることができる。
図15に示すような、切欠き70のくびれ深さKおよびくびれ長さHと、この切欠き70に隣接する2つの接続要素64がなす角度θと、の関係が求められていれば、2つの接続要素64がなす角度θ1から、2つの接続要素64の各内側縁が互いに接続する位置に形成されるべき切欠き70のくびれ深さK1およびくびれ長さH1を算出することができる。これにより、メッシュパターン60に含まれる各分岐点62に対応した各切欠き70について、くびれ深さKおよびくびれ長さHをオペレータがそれぞれ個別に決定していく必要はなく、コンピュータを用いて切欠き70を含むメッシュパターン60の具体的形状を自動的に決定することができる。したがって、メッシュパターン60の設計において、大幅な省力化を図ることができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。
上述した実施の形態では、フォトマスク50に含まれる複数の接続要素64は、それぞれフォトマスク50のシート面への法線方向から見て直線状(直線分)をなしていたが、これに限らず、複数の接続要素64のうちの少なくとも一部が、フォトマスク50のシート面への法線方向から見て直線状以外の形状、例えば曲線状または折れ線状の形状を有してもよい。具体的には、円弧状、放物線状、波線状、ジグザグ状、曲線と直線との組み合わせ等の形状を有してもよい。この場合、1つの分岐点62で接続する2つの接続要素64がなす角度は、当該分岐点62の近傍の所定の領域において2つの接続要素64がなす角度としてもよい。
このような、直線(直線分)以外の形状の接続要素64を含むフォトマスク50を用いて作製された導電性パターン40によれば、フォトマスク50のメッシュパターン60に対応して形成され、曲線状、折れ線状等の形状を有する接続要素44の側面に入射した光は、当該側面で乱反射する。これにより、当該接続要素44の側面に一定の方向から入射した光(対向車のヘッドライトの光や太陽光等)が、その入射方向に対応して当該側面で一定の方向に反射することが抑制される。したがって、この反射光がドライバー等の観察者に視認されて、接続要素44を有する導電性パターン40が観察者に視認されることを、抑制することができる。
他の変形例として、導電性細線41の延在方向(長手方向)に直交する断面において、導電性細線41の基材30側の面41a、基材30と反対側の面41bおよび側面41c,41dのいずれかの面に、暗色層が設けられていてもよい。暗色層としては、種々の既知の層を用いることができる。導電性金属層81をなす材料の一部分に暗色化処理(黒化処理)を施して、導電性金属層81をなしていた一部分から、金属酸化物や金属硫化物からなる暗色層を形成してもよい。また、暗色材料の塗膜や、ニッケルやクロム等のめっき層等のように、導電性金属層81上に暗色層を設けるようにしてもよい。また、ここで用いる暗色層とは、暗色化(黒化)された層のみでなく、粗化された層も含む。
このような暗色層が設けられた導電性細線41によれば、高い光反射率を有する金属材料からなる導電性細線41の表面で生じる意図しない反射光によって、導電性細線41を有する導電性パターンが観察者から視認されることを、効果的に抑制することができる。
また、フォトマスク50、このフォトマスク50を用いた導電性パターン40の製造方法を、デフロスタ装置の発熱パターンの作製以外の用途、例えば、タッチパネル用電極基板、透明アンテナ、電磁波遮蔽材(電磁波遮蔽シート)等における導電性パターンの製造に適用することも可能であり、この場合においても、上述の実施の形態で説明した作用効果を得ることができる。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
以下に説明する実施例および比較例に係る導電性パターンを実際に作製して、導電性パターンの導電性細線の分岐点における配線太りの大きさについて確認した。フォトマスクとしては、上述の実施の形態で説明したフォトマスクと同様に、ランダムに配列された多数の開口領域を画成するメッシュパターンを有し、メッシュパターンは、2つの分岐点の間を延びて開口領域を画成する複数の接続要素を含むものとした。具体的には、フォトマスクとして、厚さ5mmのソーダガラスからなる透明基材上に、ランダムに配列された多数の開口領域を画成する幅10μm、高さ(厚さ)5.5μmの多数の接続要素を含むメッシュパターンを有するフォトマスクを用いた。
導電性パターンは、上述の実施の形態で説明した導電性パターンの製造方法と同様の工程で作製した。具体的には、厚さ0.1mmのポリエチレンテレフタレート(PET)からなる基材上に、厚さ12μmの銅からなる導電性金属層を銅箔の貼合により形成し、この導電性金属層上にネガ型のドライフィルムレジストを貼合することによりレジスト層を形成し、基材、導電性金属層およびレジスト層を含む積層体を作製した。次に、この積層体のレジスト層に、上述のフォトマスクを介して紫外線(UV光)を照射し、レジスト層を露光させた。その後、炭酸ソーダ系現像液で現像し、レジスト層からレジストパターンを形成した。次に、このレジストパターンをマスクとして銅からなる導電性金属層をエッチングし、導電性金属層から導電性パターンを形成した。エッチング液としては、塩化鉄系エッチング液を用い、温度45℃で20秒エッチングを行った。その後、レジストパターンを剥離した。
(実施例)
実施例では、フォトマスクとして、メッシュパターンに含まれる各分岐点で接続する2つの接続要素の各内側縁が互いに接続する位置に、下記のくびれ深さKおよびくびれ長さHを有する切欠きを形成したものを用いた。
フォトマスクのメッシュパターンに含まれる1つの分岐点における接続要素の各接続角度θは、
θ1=50°
θ2=102°
θ3=78°
θ4=130°
とした。
各接続角度θに対応する切欠きのくびれ深さKおよびくびれ長さHは、
θ1に対応する切欠き:K1=8μm、H1=30μm
θ2に対応する切欠き:K2=5μm、H2=10μm
θ3に対応する切欠き:K3=6μm、H3=15μm
θ4に対応する切欠き:K4=4μm、H4=5μm
とした。なお、すべての切欠きについて、1つの切欠きに対応する2つのくびれ長さHは、それぞれ同じ長さとした。
このフォトマスクを用いて作製された導電性パターンの1つの分岐点の近傍を拡大した光学顕微鏡写真を、図16(a)に示す。この分岐点は、本実施例で用いたフォトマスクのメッシュパターンに含まれる上述の分岐点に対応している。作製された導電性パターンにおける導電性細線(接続要素)の幅の平均値は、15.7μmであった。
(比較例)
比較例では、フォトマスクとして、メッシュパターンに含まれる各分岐点で接続する2つの接続要素の各内側縁が互いに接続する位置に、切欠きを設けないものを用いた。
フォトマスクのメッシュパターンに含まれる1つの分岐点における接続要素の各接続角度θは、
θ5=50°
θ6=102°
θ7=78°
θ8=130°
とした。
このフォトマスクを用いて作製された導電性パターンの1つの分岐点の近傍を拡大した光学顕微鏡写真を、図16(b)に示す。この分岐点は、本比較例で用いたフォトマスクのメッシュパターンに含まれる上述の分岐点に対応している。作製された導電性パターンにおける導電性細線(接続要素)の幅の平均値は、24.7μmであった。
作製した実施例に係る導電性パターン、および、比較例に係る導電性パターンについて、導電性パターンの分岐点における、接続要素の接続角度θ3,θ7に対応する、分岐点の中心から、接続角度θ3,θ7をなす2つの接続要素を含む複数の接続要素によって画成される開口領域の周縁までの最短距離L1,L2について比較した。実施例に係る導電性パターンにおける、分岐点の中心から、接続角度θ3をなす2つの接続要素を含む複数の接続要素によって画成される開口領域の周縁までの最短距離L1は、15.7μmであった。一方、比較例に係る導電性パターンにおける、分岐点の中心から、接続角度θ7をなす2つの接続要素を含む複数の接続要素によって画成される開口領域の周縁までの最短距離L2は、24.7μmであった。これにより、実施例に係る導電性パターンにおいて、導電性細線の分岐点における配線太りが抑制されていることを確認した。