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JP6599629B2 - アンテナ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、移動無線端末との間で無線通信するのに好適なアンテナ装置に関する。
従来、物品に付与されたRFIDタグから無線送信される識別情報を、アンテナ装置を介して読み取ることで、物品の管理対象領域からの持ち去り(盗難)を検出したり、管理対象領域内での物品の位置を検出したりするように構成されたRFIDシステムが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2004−295599号公報 特開2012−221100号公報
この種のRFIDシステムでは、アンテナ装置を介してRFIDタグから識別情報を読み取ることから、アンテナ装置に対するRFIDタグの向きが変化する環境下では、RFIDタグから識別情報を正確に読み取ることができないことがあった。
これは、RFIDタグに内蔵されたアンテナ(内蔵アンテナ)が直線偏波であり、RFIDタグが付与された物品が自由に持ち運ばれて、任意の向きに置かれる環境下では、内蔵アンテナから放射される電波の偏波面が変化するためである。
つまり、RFIDタグから識別情報を読み取るアンテナ装置は、所定の監視位置に固定されるので、通信に適した偏波面の向きも一定になる。このため、RFIDタグの向きによっては、内蔵アンテナからの送信電波を上手く受信できず、識別情報を読み取ることができないとか、或いは、識別情報を誤って読み取ってしまう、という問題が生じるのである。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、RFIDタグ等の移動無線端末の向きが変化しても、移動無線端末との無線通信を正常に行うことのできるアンテナ装置を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載のアンテナ装置は、
所定の間隔を空けて配列され、配列方向と直交する方向に円偏波の電波を放射する複数のアンテナ素子と、
前記複数のアンテナ素子に接続された給電経路と、
前記給電経路に設けられ、前記複数のアンテナ素子間の位相差を調整するための位相調整部と、
を備えたことを特徴とする。
また、請求項2に記載のアンテナ装置は、請求項1に記載のアンテナ装置において、
前記複数のアンテナ素子は、同一基板上に間隔を空けて形成されたパッチアンテナであることを特徴とする。
また、請求項3に記載のアンテナ装置は、請求項1又は請求項2に記載のアンテナ装置において、
前記位相調整部を介して前記位相差を変化させることで、当該アンテナ装置の指向特性を複数段階に切り換える制御部、
を備えたことを特徴とする。
また、請求項4に記載のアンテナ装置は、請求項3に記載のアンテナ装置において、
前記複数のアンテナ素子の少なくとも一つは、前記円偏波の旋回方向を変更するための旋回方向切換部を備え、
前記制御部は、前記位相調整部及び前記旋回方向切換部を介して、前記位相差及び前記円偏波の旋回方向を変化させることで、当該アンテナ装置の指向特性を複数段階に切り換えることを特徴とする。
請求項1に記載のアンテナ装置によれば、所定の間隔を空けて配列され、配列方向と直交する方向に円偏波の電波を放射する複数のアンテナ素子を備え、その複数のアンテナ素子に接続された給電経路には、複数のアンテナ素子間の位相差を調整するための位相調整部が設けられている。
これは、円偏波のアンテナ素子においては、円偏波のアンテナ素子間で給電時の位相差を変化させると、アンテナ装置全体で直線偏波に対する指向特性、を変化させることができるからである。
つまり、本発明では、位相調整部にて、複数のアンテナ素子間の位相差を調整できるようにすることにより、通信相手となるアンテナが直線偏波で、その偏波面が変化する環境下であっても、アンテナ装置自身の指向特性を変化させることで、通信相手となるアンテナとの間で、無線通信を良好に実施できるようにしているのである。
このため、本発明のアンテナ装置によれば、上述したRFIDタグのように、直線偏波のアンテナを内蔵した移動無線端末との間で無線通信を行う際に、アンテナ装置自体の指向特性を変化させることで、移動無線端末の向きによって通信不良が発生するのを防止することができる。
ここで、本発明のアンテナ装置を構成する複数のアンテナ素子は、請求項2に記載のように、基板上に間隔を空けて形成されたパッチアンテナにて構成するとよい。つまり、このようにすれば、複数のアンテナ素子を同一基板上に組み込むことができるので、簡単且つ安価に本発明のアンテナ装置を実現できることになる。
また、位相調整部を利用してアンテナ装置の指向特性を変化させるのは、使用者が手動操作で実施するようにしてもよいが、このようにすると、アンテナ装置の指向特性を、移動無線端末との通信に適した指向特性に設定するのに時間がかかる。
そこで、本発明のアンテナ装置は、請求項3に記載のように、位相調整部を介して位相差を変化させることで、当該アンテナ装置の指向特性を複数段階に切り換える制御部を設け、この制御部にてアンテナ装置の指向特性を自動で切り換えるようにするとよい。
また、アンテナ装置の指向特性は、アンテナ素子から放射される円偏波の旋回方向を変更することによっても変化させることができる。
このため、本発明のアンテナ装置は、請求項4に記載のように、複数のアンテナ素子の少なくとも一つには、円偏波の旋回方向を変更するための旋回方向切換部を設け、制御部は、位相調整部とこの旋回方向切換部とを利用して、位相差及び円偏波の旋回方向を変化させることで、アンテナ装置の指向特性を複数段階に切り換えるように構成してもよい。
実施形態のアンテナ装置全体の構成を表す説明図である。 アンテナ装置の電波の放射方向を表す説明図である。 同旋回、位相差0でのアンテナ装置の指向特性を表す説明図である。 同旋回、位相差90°でのアンテナ装置の指向特性を表す説明図である。 同旋回、位相差180°でのアンテナ装置の指向特性を表す説明図である。 逆旋回、位相差0でのアンテナ装置の指向特性を表す説明図である。 逆旋回、位相差90°でのアンテナ装置の指向特性を表す説明図である。 逆旋回、位相差180°でのアンテナ装置の指向特性を表す説明図である。 アンテナ素子の円偏波の旋回方向を切り換える際の回路構成を表す説明図である。 アンテナ素子の配置パターンの変形例を表す説明図である。
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
本実施形態のアンテナ装置2は、例えば、管理対象となる物品に添付されたRFIDタグから識別情報を読み取るのに利用されるものであり、基板4上に所定の間隔を空けて配列された2つのアンテナ素子6a、6bと、この2つのアンテナ素子6a、6bに接続されて、共通の端子から信号を入出力するための給電経路8と、を備える。
アンテナ素子6a、6bは、裏面にグランドパターンが形成された基板4の表面に、矩形の2つの導電体パターンを形成することにより、パッチアンテナとして構成されており、給電経路8は、そのパッチアンテナに対して同一方向から給電できるように基板4の表面に形成された導電体パターンにて構成されている。
また、アンテナ素子6a、6bは、略正方形であり、一方の対角線上の角部を切り欠いた形状となっている。
これは、この角部の長さによって、アンテナ素子6a、6bから放射される円偏波の旋回方向を右旋又は左旋に設定できるからであり、図1に示すように、本実施形態では、アンテナ素子6a、6bにおいて角部が同一位置に設けられているので、アンテナ素子6a、6bの円偏波の旋回方向も同一方向となる。
なお、以下の説明では、円偏波の旋回方向が同一方向であることを「同旋」、逆方向であることを「逆旋」ともいう。
また、この給電経路8は、アンテナ素子6a、6bの配列方向と直交する方向に給電点から引き出された2つの経路と、アンテナ素子6a、6bの配列方向に平行で、給電点から引き出された2つの経路同士を接続する接続用の経路と、この接続用の経路の中間点から基板4の外周まで引き出された信号入出力用の経路とから構成されている。
そして、その接続用の経路のアンテナ素子6a側には、入出力される信号の位相を調整するための位相調整部10が設けられている。
このため、本実施形態のアンテナ装置2によれば、2つのアンテナ素子6a、6bに対し給電経路8を介して給電される信号の位相差を、位相調整部10を介して任意に設定できる。
なお、位相調整部10は、所謂可変移相器であり、信号経路を切り換えることで経路長を変化させるように構成されていてもよく、信号を遅延させる遅延回路によって構成されていてもよい。
また、位相調整部10には、位相調整部10による移相量を変化させ、アンテナ素子6a、6b間の位相差を、例えば、0°、90°、180°、270°というように、所定周期で段階的に切り換えることで、アンテナ装置2全体の指向特性を変化させる、制御部12が接続されている。
そして、この位相調整部10からは、アンテナ装置2を介してRFIDタグとの間で無線通信を行う通信回路14に、切換タイミングを表す信号が出力され、通信回路14は、その信号を受ける度に、RFIDタグとの通信を開始する。
なお、これは、アンテナ装置2に対するRFIDタグの向きによって、RFIDタグから識別情報を取得可能な直線偏波の偏波面が変化するからである。
つまり、本実施形態では、制御部12により周期的にアンテナ装置2の指向特性を変化させ、その変化の度に通信回路14による通信を開始させることで、RFIDタグから識別情報を取得できるようにしているのである。
ここで、本実施形態のように、アンテナ素子6a、6b間の位相差を切り換えることで、偏波面の方向が異なる直線偏波の電波を送受信できるようになるのは、直線偏波の偏波面に対するアンテナ装置2の指向特性が、図3〜図8に示すように変化するからである。
すなわち、図3〜図8は、図2に示すように、アンテナ装置2の基板面上で、アンテナ素子6a、6bの配列方向をY軸、Y軸に直交する方向をX軸とし、基板面に直交する方向をZ軸としたときの、Y−Z軸面上での直線偏波の偏波面の方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)に対する指向特性を表している。
なお、図3〜図8においては、各指向特性の上下方向がZ軸方向、左右方向がY軸方向となっている。
そして、図3は、アンテナ素子6a、6bの円偏波の旋回方向を同旋、位相差を0°としたときの指向特性を表し、図4は、同じく同旋、位相差90°としたときの指向特性を表し、図5は、同じく同旋、位相差180°としたときの指向特性を表している。
また、図6は、アンテナ素子6a、6bの円偏波の旋回方向を逆旋、位相差を0°としたときの指向特性を表し、図7は、同じく逆旋、位相差90°としたときの指向特性を表し、図8は、同じく逆旋、位相差180°としたときの指向特性を表している。
図3〜図8から明らかなように、アンテナ素子6a、6bの円偏波の旋回方向が同旋であっても、逆旋であっても、アンテナ素子6a、6b間の位相差を変化させれば、アンテナ装置2の直線偏波に対する指向特性が変化することがわかる。
従って、本実施形態のように、制御部12を設けて、位相調整部10による移相量を調整することで、アンテナ装置2の指向特性を周期的に変化させれば、アンテナ装置2に対する向きが変化するRFIDタグから、確実に識別情報を取得できるようになる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて、種々の態様をとることができる。
例えば、上記実施形態では、制御部12は、位相調整部10による移相量を調整することで、アンテナ装置2の指向特性を変化させるものとして説明した。
しかし、図3〜図5と、図6〜図8とから明らかなように、アンテナ装置2の直線偏波に対する指向特性は、アンテナ素子6a、6bの円偏波の旋回方向を同旋から逆旋に切り換えても、変化させることができる。
そこで、上記実施形態のアンテナ装置2においては、2つのアンテナ素子6a、6bの内の一方を、図9に示すように、円偏波の旋回方向を、旋回方向切換部30を介して切り換えることができるように構成してもよい
そして、このように構成すれば、制御部12から、位相調整部10及び旋回方向切換部30に周期的に切換信号を出力することで、アンテナ素子6a、6bの位相差と、アンテナ素子6a又は6bの円偏波の旋回方向を変化させることができるようになり、アンテナ装置2の指向特性をより細かく切り換えることができるようになる。
なお、図9において、円偏波の旋回方向を切り換えることができるようにするため、アンテナ素子6は略正方形に形成され、その4つの角部には、それぞれ、直流電流の通電により高周波信号を通過させることのできる半導体素子(例えばPINダイオード)20の一端(図9ではアノード)が接続されている。
また、基板4には、アンテナ素子6の4つの角部に対し、それぞれ、所定の間隔を空けてランド9が形成されており、各ランド9には、対応する角部に接続された半導体素子20の他端(図9ではカソード)が接続されている。
また、各ランド9は、高周波信号遮断用のコイル22、電流制限用の抵抗24、及び、スイッチ26を介して、直流電源の負極側に接地されており、アンテナ素子6には、高周波信号遮断用のコイル28を介して、直流電源の正極側から直流電圧Vdが印加されている。
そして、旋回方向切換部30は、アンテナ素子6の2つの対角線上の角部をそれぞれ一対として、対となる角部に対応する2つのスイッチ26をオン状態し、他の2つのスイッチ26をオフ状態にすることで、対となる角部の長さを伸長(スイッチオン)又は退縮(スイッチオフ)させる。
この結果、アンテナ素子6の旋回方向(右旋/左旋)が切り換えられることになり、他のアンテナ素子の旋回方向に対し同旋又は逆旋となる。
また次に、上記実施形態では、アンテナ装置2には、2つのアンテナ素子6a、6bが設けられるものとして説明したが、アンテナ素子6は間隔を空けて一列に配列されていればよく、例えば、図10(a)に例示するように3つのアンテナ素子6a〜6cにて構成してもよく、図10(b)に例示するように4つのアンテナ素子6a〜6dにて構成してもよい。またアンテナ素子6の数は、5個以上であってもよいし、アンテナ素子6の配列を2列、3列、…と増加させてもよい。
但し、このようにしても、隣接するアンテナ素子間の位相差を可変できるように、給電経路8上に位相調整部10を設ける必要はある。
2…アンテナ装置、4…基板、6,6a〜6d…アンテナ素子、8…給電経路、9…ランド、10…位相調整部、12…制御部、14…通信回路、20…半導体素子、22,28…コイル、24…抵抗、26…スイッチ、30…旋回方向切換部。

Claims (2)

  1. 所定の間隔を空けて配列され、配列方向と直交する方向に円偏波の電波を放射する複数のアンテナ素子を備えたアンテナ装置であって、
    前記複数のアンテナ素子に接続された給電経路と、
    前記給電経路に設けられ、前記複数のアンテナ素子間の位相差を調整するための位相調整部と、
    当該アンテナ装置の指向特性を複数段階に切り換える制御部と、
    を備え、
    前記複数のアンテナ素子の少なくとも一つは、前記円偏波の旋回方向を変更するための旋回方向切換部を備え、
    前記制御部は、前記位相調整部を介して前記位相差を変化させると共に、前記旋回方向切換部を介して前記複数のアンテナ素子の円偏波の旋回方向を同一方向にするか逆方向にするかを切り換えることで、当該アンテナ装置の指向特性を複数段階に切り換えることを特徴とするアンテナ装置。
  2. 前記複数のアンテナ素子は、同一基板上に間隔を空けて形成されたパッチアンテナであることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
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