<第1実施例>
図1はこの発明の第1実施例の表示装置10の電気的な構成を示すブロック図である。この図1を参照して、表示装置10は、CPU30を含み、CPU30はバス32を介して、RAM34、EEPROM36、通信部38、表示駆動部40、映像信号入力部44、操作部46および電源制御部48に接続される。また、表示駆動部40には、表示部42が接続される。
CPU30は、表示装置10の全体的な制御を司る。RAM34は、CPU30のワーク領域およびバッファ領域として用いられる。EEPROM36は、EEPROMのような不揮発性のメモリであり、表示装置10を制御するための制御プログラムおよび表示装置10の各種情報についてのデータを記憶したりする。ただし、EEPROM36に代えて、フラッシュメモリまたはHDDなどの他の不揮発性のメモリが設けられても良い。
通信部38は、USBメモリまたは他のコンピュータと通信するためのインターフェイスであり、たとえば、有線LAN、RS−232C、USB、DDC/CI(Display Data Channel Command Interface)、HDMI−CEC(High Definition Multimedia Interface Consumer Electronics Control)などを用いることができる。
ただし、他のコンピュータは、PC102またはこれとは別のコンピュータ或いは他の表示装置10を意味する。
また、後述する図2のマルチディスプレイシステム(ネットワークシステム)100では、複数の表示装置10は、PC102とハブ104を介して接続されるようにしてあるが、複数の表示装置10はデイジーチェーン接続されてもよい。かかる場合には、通信部38には、入力ポートおよび出力ポートが設けられる。
また、他の実施例として、通信部38は、無線LANによって実現されてもよい。
表示駆動部40は、表示部42に表示される映像ないし画像を生成および出力するためのコントローラである。表示部42は、表示パネルおよびバックライトを含み、表示駆動部40から与えられる映像または画像についてのデータを出力する。
映像信号入力部44は、他のコンピュータから与えられる映像または画像についてのデータを入力するためのインターフェイスであり、DisplayPort、HDMI(登録商標)、DVIおよびD−SUBなどが利用される。ただし、映像または画像のデータのみならず、音声についてのデータも入力することができる。
操作部46は、表示装置10に設けられる各種の操作ボタン(操作キー)およびリモコン受信部であり、ユーザによる操作入力を受け付けたり、リモコン(図示せず)から送信されるリモコン信号(赤外線信号)を受信したりする。たとえば、操作部46は、表示装置10の電源をオンしたり、表示装置10についての各種の情報を設定および変更(調整)したりする場合に使用される。各種の情報としては、輝度、明度、コントラスト、色温度、水平位置および垂直位置などが該当する。
電源制御部48は、CPU30の指示の下、電源(電圧)を各コンポーネントに供給および停止するための回路(スイッチ回路)である。図示は省略するが、電源制御部48には、商用電源からの交流電圧が適宜降圧および整流(ノイズ除去)された直流電圧(直流電源)が印加される。
図2は、図1に示した表示装置10を複数用いて構成したマルチディスプレイシステム(以下、単に「システム」という)100の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、システム100はPC102を含み、PC102は、ハブ104を介して、複数の表示装置10の各々に通信可能に接続される。たとえば、PC102および複数の表示装置10の各々は、LANケーブルを用いてハブ104に接続される。ただし、PC102は、複数の表示装置10の各々と無線LANで通信可能に接続されてもよい。または、複数の表示装置10はデイジーチェーン接続され、一方または他方の端部に配置される表示装置10が有線LANまたは無線LANでPC102に直接接続されるようにしてもよい。
このようなシステム100において、マルチディスプレイを構成する場合には、まず、このマルチディスプレイの配列が決定される。次に、このマルチディスプレイに用いられる複数の表示装置10の各々の配置位置が開発者ないし設計者等によって決定される。これは、複数の表示装置10の間で、輝度または/および色に個体差(ばらつき)があるからである。したがって、たとえば、マルチディスプレイに用いられる複数の表示装置10の各々の配置位置が決定されると、各表示装置10の製造番号に対応付けて、決定された配置位置を記載した情報が、当該マルチディスプレイの設置担当者に与えられる。設置担当者は、決定された配置位置を記載した情報に従ってマルチディスプレイ(各表示装置10)を設置する。
通常、配置位置を記載した情報は、表データまたはそれを印字した紙媒体であり、設置担当者は、梱包された複数の表示装置10の各々を開封し、各表示装置10に貼り付けられたラベルを見て製造番号を確認し、各表示装置10を、配置位置を記載した情報に従って設置する。
このため、各表示装置10は、マルチディスプレイを構成するためのフレームに固定されるまでの間、開封された状態で待機場所に置かれることがあるため、表示部42(表示パネル)の表示面に傷が入るなどの不都合が発生してしまう虞がある。
また、たとえば、5×5の配列を有するマルチディスプレイを、その表示面が水平面(床面ないし地面)に対して垂直または略垂直になるように設置する場合には、最上段の表示装置10の高さは4mを越えることがある。このため、特に、最上段の表示装置10については、製造番号を記載したラベルを目視で確認するのは困難である。したがって、実際に画像または映像を表示するまでは、各表示装置10が正しい配置位置に配置(設置)されているかどうかを確認することができない。
このような不都合を回避するため、この第1実施例では、表示面の色差を軽減するためのRGBコントラスト値、輝度調整値、入力モード(画像または映像の入力インターフェイス)などの各種情報の設定に加えて、各表示装置10にマルチディスプレイにおける配置位置および配置する向きの情報も予め設定しておき、梱包された表示装置10を開封する前および配置位置に配置された後であっても、容易に配置位置を確認できるようにしてある。
この第1実施例では、表示装置10は、他のコンピュータからの所定のコマンド(テキストで記載されたコマンド)に応じた処理(動作)を実行する機能を有している。ただし、一部のコマンドについては、表示装置10に装着されたUSBメモリから送信されてもよい。
この第1実施例では、所定のコマンドは、電源オンの指示コマンド、設置情報の指定コマンドおよび表示情報の設定コマンドである。また、所定のコマンドには、上述したRGBコントラスト値、輝度調整値、入力モードなどの各種情報を設定するためのコマンドも含まれるが、これらのコマンドは本願発明の本質的な内容とは異なるため、この明細書においては説明を省略することにする。
電源オンの指示コマンドは、表示装置10の電源をオンさせるためのコマンドである。表示装置10は、電源オンのコマンドを受信すると、当該コマンドに従って自身の電源をオンする。ただし、表示装置10は、操作部46に含まれる電源ボタンが操作されることに応じて、自身の電源をオンする場合もある。
設置情報の指定コマンドは、この第1実施例では、表示装置10にマルチディスプレイ50における配置位置を示す位置情報および配置する向き(天面となる側面を指示する向き)を示す設置向き情報を設定させるためのコマンドである。表示装置10は、設置情報の指定コマンドを受信すると、当該コマンドに従って位置情報および設置向き情報(以下、これらをまとめて「設置情報」と呼ぶことがある)を設定する。つまり、表示装置10は、設置情報の指定コマンドに従って、当該コマンドに記述された位置情報および設置向きの情報を不揮発性のメモリ(この第1実施例では、EEPROM36)に記憶する。
表示情報の設定コマンドは、この第1実施例では、天面となる側面を指示する矢印の向きの情報(矢印向き情報)を設定するとともに、設置情報の表示を制限するための制限情報を設定するためのコマンドである。表示装置10は、表示情報の設定コマンドを受信すると、当該コマンドに従って、設置向き情報から矢印の向きを決定し、矢印の向き情報をEEPROM36に記憶するとともに、当該コマンドに記述された制限情報をEEPROM36に記憶する。この第1実施例では、制限情報は、残り表示回数(最大表示回数)および表示期限(年月日および時間)の情報を含む。ただし、設置向き情報は、上述したように、設置情報の指定コマンドに従ってEEPROM36に記憶されている。
設置情報、矢印の向き情報および制限情報が設定された後では、表示装置10の電源がオンされると、当該表示装置10の表示部42(表示パネル)には、マルチディスプレイ50における設置情報、すなわち位置情報および配置向き情報(矢印の向き情報)が表示される。
このように、制限情報を設定するのは、位置情報および天面となる側面を指示する矢印を表示装置10(表示部42)に表示するのは、マルチディスプレイ50の導入時であり、マルチディスプレイ50を導入した後においては表示されるべきでないからである。
図3は図2に示したシステム100において、9台の表示装置10を用いて構成したマルチディスプレイ50の一例を正面から見た図解図である。ただし、図3においては、PC102およびハブ104等は省略してある。
図3に示すように、マルチディスプレイ50において、9台の表示装置10が縦方向および横方向にそれぞれ3台ずつ並べられる。つまり、9台の表示装置10の配列は3×3である。
このような配列のマルチディスプレイ50を正面から見た場合において、各表示装置10の位置情報を行列と同様に、行と列の要素で表現すると、図3に示す例では、左上(上段の左)に配置された表示装置10の位置情報が(1,1)に設定される。また、上段の真ん中に配置された表示装置10の位置情報は(1,2)に設定される。さらに、右上(上段の右)に配置された表示装置10の位置情報は(1,3)に設定される。
中段の左に配置された表示装置10の位置情報は(2,1)に設定される。また、中段の真ん中に配置された表示装置10の位置情報は(2,2)に設定される。さらに、中段の右に配置された表示装置10の位置情報は(2,3)に設定される。
左下(下段の左)に配置された表示装置10の位置情報は(3,1)に設定される。また、下段の真ん中に配置された表示装置10の位置情報は(3,2)に設定される。さらに、右下(下段の右)に配置された表示装置10の位置情報は(3,3)に設定される。
このように、行列に従えば、各表示装置10に設定される位置情報は、行数は上から下に向かうに従って増加し、列数は左から右に向かうに従って増加する。つまり、行数および列数の各々は、一定の方向に向かうに従って増加する。以下、この明細書においては、マルチディスプレイ50において配置位置が決定された複数の表示装置10に対して、行数および列数の各々が、一定の方向に向かうに従って増加するように位置情報を設定する方法を配置パターン1と呼ぶ。
の第1実施例では、9台の表示装置10が3×3で配列されたマルチディスプレイ50を正面から見た場合に、行列と同様に、各表示装置10の位置情報を設定した場合について示してあるが、これに限定される必要はない。これは、配列されたマルチディスプレイ50を見る方向が常に一定とは限らず、また、各表示装置10に設定する位置情報の並び順も常に一定とは限らないからである。
たとえば、図3に示すマルチディスプレイ50を左側から見る場合には、上記の3×3の行列を右方向(時計回り)に90度回転させて、各表示装置10の位置情報が設定される。この場合、位置情報として(1,1)が設定される位置(以下、開始位置という)に配置されているのは、図3においては、右上の表示装置10である。また、他の表示装置10の位置情報は、配置パターン1に従えば、行数については右からから左に向かうに従って増加するように設定され、列数については上から下に向かうに従って増加するように設定される。
また、マルチディスプレイ50において配置位置が決定された複数の表示装置10の配置パターンは、配置パターン1に限定される必要はない。たとえば、行数を一定の方向に従って増加させ、列数を増加させる方向を列毎に入れ替えるようにしてもよい。かかる場合には、図3に示したマルチディスプレイ50の中段に配置されている3台の表示装置10の位置情報は、右から左に向かって、(2,1)、(2,2)、(2,3)に設定される。以下、この明細書においては、行数を一定の方向に従って増加させ、列数を増加させる方向を列毎に入れ替えるように位置情報を設定する方法を配置パターン2と呼ぶことにする。
さらに、配置パターン1および配置パターン2は、左右の方向が反転されてもよい。配置パターン1および配置パターン2では、左右の方向が反転されても、行数が増加する方向は変化しないが、列数が増加する方向が各行において逆向きになる。以下、この明細書においては、配置パターン1および配置パターン2の方向は、開始位置から列数が左から右に向かうに従って増加する場合を時計回り(右回り)の方向といい、開始位置から列数が右から左に向かうに従って増加する場合を反時計回り(左回り)の方向という。
したがって、マルチディスプレイ50の設計者ないし開発者は、マルチディスプレイ50の配列(サイズ)を決定し、マルチディスプレイ50に使用する各表示装置10の配置位置を決定すると、開始位置、配置パターンおよび配置パターンの方向を決定して、各表示装置10の位置情報を設定する。
ここでは、各表示装置10が設置される向きについての説明は省略するが、各表示装置10は配置位置のみならず、その4つの側面のうち、マルチディスプレイ50を正面から見た場合に、上側の面(天面)となる側面も決定される。
また、図3に示すマルチディスプレイ50の例では、各表示装置10の表示部42には、自身の位置情報(配置位置)を示す文字列が表示されるとともに、表示装置10の側面のうち、天面となる側面を指示する向きを示す矢印が表示される。ただし、図3からも分かるように、表示装置10の位置情報を示す文字列は、表示部42の表示面の中央またはほぼ中央と、その上部の二箇所に表示される。また、この第1実施例では、中央またはほぼ中央に表示される位置情報を示す文字列(以下、説明の都合上「第1文字列」と言うことがある)60は、その上部に表示される位置情報を示す文字列(以下、説明の都合上「第2文字列」と言うことがある)62よりも大きくされる(図4(C)参照)。これは、第1文字列60と第2文字列62の役割が異なるためである。また、天面となる側面を指示する向きを示す矢印64は、第2文字列62の近傍に表示される(図4(C)参照)。
たとえば、第1文字列60は、マルチディスプレイ50を設置した後で、このマルチディスプレイ50を構成する各表示装置10が正しい配置位置に配置されているかどうかを設置担当者等に確認させる役割を有する。また、第2文字列62および矢印64は、たとえば、各表示装置10を設置する前において、当該各表示装置10を配置するべき配置位置および天面となる側面を指示する向きを設置担当者等に確認させる役割を有する。ただし、第2文字列62は、マルチディスプレイ50を設定した後でも見ることができるため、第1文字列60と同様の役割も果たす。
図4(A)は表示装置10の梱包箱200の一例を正面から見た図解図であり、図4(B)は表示装置10の梱包箱200の一例を背面から見た図解図である。また、図4(C)は表示装置10の表示例および天面となる側面を指示する向きを説明するための図解図である。ただし、図4(A)および図4(B)では、表示装置10が梱包箱200内に入っているものとする。
詳細な説明は省略するが、たとえば、梱包箱200は段ボールで形成され、表示装置10は、表示部42(表示パネル)の表示面を養生され、緩衝材を用いて梱包箱200の内部に封入(梱包)される。
図4(A)に示すように、梱包箱200の表面(正面)には、開口200aが設けられる。この開口200aは、図4(C)に示すように、第2文字列62および矢印64が表示される位置ないし範囲に対応して形成される。したがって、第2文字列62および矢印64が表示される位置ないし範囲は各表示装置10において同じであり、また、梱包箱200に梱包される際の各表示装置10の向きは一定である。ただし、開口200aは、表示装置10を設置場所に搬送するまでの間は、閉じた状態であってもよい。これは搬送時に表示装置10に傷が入るなどの不都合を防止するためである。このことは、後述する開口200bについても同じである。
また、図4(B)に示すように、梱包箱200の裏面(背面)には、開口200bが設けられる。この開口200bは、梱包箱200内の表示装置10に電源を供給するとともに、表示装置10にコマンドを送信するために設けられる。したがって、開口200bは、表示装置10の電源ケーブルおよび通信部38に接続される端子が設けられる位置に対応して形成される。
ただし、マルチディスプレイ50に使用される複数の表示装置10の各々に上記の各種情報、位置情報、配置向き情報および制限情報を設定する場合には、個別に他のコンピュータを接続すれば良いため、これらの情報の設定時には、図2に示したようなシステム100を構成する必要はない。
このように、開口200aおよび開口200bを設けるので、設置情報の指定および表示情報の設定は、表示装置10が梱包される前または開封された後のみならず、梱包されている状態においても行うことができる。
ただし、上述したように、配置位置情報には、製造番号に対応して配置位置が記載されているため、表示装置10の製造番号が梱包箱200の表面に記載されたり、製造番号が記載されたラベルを開口200bを通して見える位置に貼り付けたりして、表示装置10を開封せずに、製造番号を確認できるようにしておく必要がある。または、製造番号を表示装置10のEEPROM36に記憶しておき、表示装置10に接続したコンピュータから製造番号の送信コマンドをこの表示装置10に送信して、表示装置10から読み出すようにしてもよい。
また、設置情報の指定および表示情報の設定を終えた後においては、第1文字列60、第2文字列62および矢印64を表示することもできる。このため、開口200aを通して、第2文字列62および矢印64を視認することができる。したがって、表示装置10が梱包された状態において、この表示装置10の配置位置およびマルチディスプレイ50を正面から見た場合に天面となる側面を知ることができる。
ただし、設置向き情報は、図4(C)に示すように、表示装置10を正面から見た場合に、その上側面の方向を[1]とし、その左側面の方向を[2]とし、その下側面の方向を[3]とし、その右側面の方向を[4]として設定することにより、数字を用いて設定される。
また、図4(C)では、第1文字列60の表示方向は、表示装置10の上側面が天面となる場合の例を示してある。上述したように、第1文字列60は、マルチディスプレイ50を設置した後に、配置位置を確認するために表示されるため、マルチディスプレイ50を正面から見た場合に、数字を正しい方向で見ることができる向きで表示される。したがって、たとえば、表示装置10の左側面が天面となる場合には、第1文字列60は、図4(C)に示す状態から左方向の90度回転した状態で表示される。
なお、第2文字列62は、上述したように、表示装置10が梱包された状態で配置位置を確認するために表示されるため、天面となる側面の方向に拘わらず、図4(C)に示す状態から変化することはない。
図5は図1に示した表示装置10のRAM34のメモリマップ300の一例を示す図解図である。図5に示すように、RAM34は、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304を含む。プログラム記憶領域302は、表示装置10で実行される表示制御プログラムを記憶し、表示制御プログラムは、通信プログラム302a、画像取得プログラム302b、画像生成プログラム302c、画像表示プログラム302d、起動処理プログラム302e、設置情報設定プログラム302fおよび表示情報設定プログラム302gなどで構成される。この表示制御プログラムは、EEPROM36から読み出され、RAM34に記憶される。
通信プログラム302aは、USBメモリまたは他のコンピュータと通信するためのプログラムである。
画像取得プログラム302bは、通信可能に接続されたコンピュータ(第1実施例では、PC102)から送信される画像データまたは映像データを取得するためのプログラムであり、映像信号入力部44に入力された画像データまたは映像データを受信して、後述する画像データバッファ304bに一時記憶する。
画像生成プログラム302cは、上記の第1文字列60、第2文字列62および矢印64を含む表示画面の画面データを生成するためのプログラムである。ただし、画像生成プログラム302cは、各種の情報を設定する場合に表示部42に表示される表示画面の画面データを生成するためのプログラムでもある。ただし、画面データは、表示駆動部40に内蔵されるGPUが後述する画像生成データ304cを用いて、表示駆動部40に内蔵されるVRAM上に生成される。
画像表示プログラム302dは、画像取得プログラム302bに従って取得された画像データまたは映像データに対応する画像または映像を表示部42に表示するためのプログラムであり、表示駆動部40を制御して、画像データバッファ304bに記憶された画像データまたは映像データを表示部42に出力する。また、画像表示プログラム302dは、画像生成プログラム302cに従って生成された画面データに対応する表示画面を表示部42に表示するためプログラムであり、表示駆動部40を制御して、VRAM上に生成された画面データを表示部42に出力する。
起動処理プログラム302eは、表示装置10の電源をオンしたときに起動処理を実行するためのプログラムである。簡単に説明すると、起動処理は、表示装置10の電源がオンされたときに、設置情報を表示するための処理である。
設置情報設定プログラム302fは、通信可能に接続された他のコンピュータから送信される設置情報の指定コマンドに従って設置情報を設定するためのプログラムであり、たとえば、設置情報のデータが、EEPROM36などの不揮発性のメモリに記憶される。表示情報設定プログラム302gは、通信可能に接続された他のコンピュータから送信される表示情報の設定するコマンドに従って当該表示情報を設定するためのプログラムであり、表示情報のデータは、EEPROM36などの不揮発性のメモリに記憶される。ただし、表示情報は、天面となる側面を指示する矢印の向きを示す矢印向き情報および設置情報の表示制限についての制限情報を含む。
図示は省略するが、プログラム記憶領域302には、上記のプログラムの他に、ユーザの指示(操作ないし入力)を検出するためのプログラムや他のコマンドに応じて処理を実行するためのプログラムなど、表示装置10で実行される他のプログラムも記憶される。
また、データ記憶領域304には、送受信バッファ304aおよび画像データバッファ304bが設けられる。また、データ記憶領域304には、画像生成データ304c、位置情報データ304d、矢印向き情報データ304eおよび表示制限データ304fが記憶される。さらに、データ記憶領域304には、表示フラグ304gが設けられる。
送受信バッファ304aは、USBメモリまたは他のコンピュータとの間で送受信されるデータおよび他のコンピュータから受信したコマンドを一時記憶するためのバッファである。画像データバッファ304bは、通信可能に接続された他のコンピュータや表示装置10に装着された外部メモリから入力された(受信した)画像データまたは映像データを一時記憶するためのバッファである。画像生成データ304cは、文字列60、62および矢印64を含む表示画面などの各種画面を生成するためのデータであり、ポリゴンデータやテクスチャデータなどを含む。この画像生成データ304cは、EEPROM36から読み出され、RAM34に記憶される。
位置情報データ304dは、マルチディスプレイ50における自身の表示装置10の配置位置(位置情報)についてのデータであり、EEPROM36から読み出され、RAM34に記憶される。矢印向き情報データ304eは、マルチディスプレイ50における自身の表示装置10の天面となる側面を指示する向きに応じて決定された矢印64の向きのデータであり、EEPROM36から読み出され、RAM34に記憶される。表示制限データ304fは、残り表示回数および表示期限についてのデータであり、EEPROM36から読み出され、RAM34に記憶される。また、残り表示回数は、起動処理が実行される度に1ずつ減算され、EEPROM36に記憶された残り表示回数のデータは更新される。
表示フラグ304gは、配置位置(位置情報)を表示するか否かを判断するためのフラグである。この表示フラグ304gは、残り表示回数が0になる、または、表示期限が経過するとオフされるが、オフされるまではオンの状態が維持される。
データ記憶領域304には、表示制御プログラムを実行するために必要な他のデータも記憶され、また、当該制御プログラムを実行するために必要なカウンタ(タイマ)および他のフラグなども設けられる。
図6は図1に示したCPU30の起動処理の一例を示すフロー図である。表示装置10は、電源ボタンが操作されることにより電源オンが指示されたり、他のコンピュータから送信される電源オンの指示コマンドを受信したりすると、これに応じて、図6に示すように、起動処理を開始する。CPU30は、起動処理を開始すると、ステップS1で、表示フラグ304gがオンかどうかを判断する。ただし、表示装置10の電源がオンされたとき、EEPROM36から表示制御プログラム(302a〜302gなど)、画像生成データ304c、表示制限データ304fおよび表示フラグ304gが読み出され、RAM34に記憶される。また、表示装置10では、CPU30は、電源ボタンの操作を受け付けたり、電源オンコマンドを受信したりすると、電源制御部48を指示して、すべてのコンポーネントへの電源供給を開始する。
なお、表示装置10には、商用電源が供給されているが、電源がオフであるスタンバイ状態においては、電源制御部48はCPU30、通信部38および操作部46にのみ電源を供給する。
ステップS1で“NO”であれば、つまり表示フラグ304gがオフであれば、そのまま起動処理を終了する。一方、ステップS1で“YES”であれば、つまり表示フラグ304gがオンであれば、ステップS3で、残り表示回数が0以下であるかどうかを判断する。このとき、CPU30は、表示制限データ304fを参照して、残り表示回数が0以下であれるかどうかを判断する。
ステップS3で“YES”であれば、つまり残り表示回数が0であれば、表示制限を満たすと判断して、ステップS13で、表示フラグ304gをオフして、起動処理を終了する。一方、ステップS3で“NO”であれば、つまり残り表示回数が1以上であれば、ステップS5で、現在時刻が表示期限以内であるかどうかを判断する。ここでは、CPU30は、表示装置10内部に設けられるRTC(図示は省略)から現在時刻(年月日を含む)を取得し、表示制限データ304fが示す表示期限についての時刻(年月日を含む)以内(以前)であるかどうかを判断する。
ステップS5で“NO”であれば、つまり現在時刻が表示期限を越えている場合には、表示制限を満たすと判断して、ステップS13に進む。一方、ステップS5で“YES”であれば、つまり現在時刻が表示期限以内であれば、ステップS7で、位置情報および矢印向き情報を読み込む。ここでは、CPU30は、EEPROM36から位置情報データ304dおよび矢印向き情報データ304eを読み出し、RAM34のデータ記憶領域304に記憶する。続いて、ステップS9で、残り表示回数を1減算し、ステップS11で、表示駆動部40を制御して、位置情報に応じた第1文字列60および第2文字列62と、矢印の向き情報に応じた矢印64を含む表示画面を表示部42に表示して、起動処理を終了する。ただし、矢印64は、第2文字列62の近傍に表示される。
図7は図1に示したCPU30の設置情報設定処理の一例を示すフロー図であり、図8は図1に示したCPU30の表示除法設定処理の一例を示すフロー図である。この設置情報設定処理および表示情報設定処理がユーザからの指示に従って事前に実行されることにより、図6に示した起動処理において、表示装置10の配置情報を示す第1文字列60、第2文字列62および矢印64を含む表示画面が表示部42に表示される。
ユーザが他のコンピュータを用いて設置情報の指定コマンドを送信すると、表示装置10(CPU30)はこの指定コマンドを受信し、これに応じて、図7に示すように、設置情報設定処理を開始する。CPU30は、設置情報設定処理を開始すると、ステップS31で、配置情報の指定コマンドが指定する位置情報をEEPROM36に記憶し、ステップS33で、配置情報の指定コマンドが指定する設置向き情報をEEPROM36に記憶して、設置情報設定処理を終了する。
また、他のコンピュータを用いて表示情報の設定コマンドを送信すると、表示装置10(CPU30)はこの設定コマンドを受信し、これに応じて、図8に示すように、表示情報設定処理を開始する。CPU30は、表示情報設定処理を開始すると、ステップS51で、設置情報設定処理でEEPROM36に記憶された設置向き情報を読み込み、ステップS53で、設置向きを示す矢印の向きを決定する。次のステップS55で、決定した矢印の向きに対応する矢印向き情報をEEPROM36に記憶する。そして、ステップS57で、表示情報の設定コマンドが示す残り表示回数および表示期限をEEPROM36に記憶して、表示情報設定処理を終了する。
この第1実施例によれば、表示装置10の電源がオンされると、表示制限を満たす前においては、マルチディスプレイ50における位置情報を示す第1文字列60および第2文字列62が表示部42表示されるとともに、天面となる側面を指示する矢印64が表示部42に表示されるので、表示装置10の配置位置および配置する向きを事前に知ることができ、表示装置10を設置した後においても、正しい配置位置に正しい配置向きで設置されているかどうかを容易に確認することができる。
また、この第1実施例によれば、梱包箱200に設けた開口200aから表示装置10の配置位置および配置向きを確認することができるので、設置前の準備段階で表示装置10を開封する必要が無い。したがって、設置前において表示部42の表示面に傷が入るなどの不都合を出来る限り防止することができる。
なお、この第1実施例では、矢印64も表示するようにしたが、矢印64は表示しなくてもよい。かかる場合には、たとえば、第2文字列62も、第1文字列60と同様に、マルチディスプレイ50を正面から見た場合に、数字が正しい方向で見える態様で表示すればよい。
また、この第1実施例では、制限情報は、残り表示回数および表示期限の情報を含むようにしてが、いずれか一方の情報を含むようにしてもよい。かかる場合には、起動処理において、ステップS3またはステップS5が削除される。
さらに、この第1実施例では、表示制限が満たされる場合に、表示フラグ304gをオフするようにしたが、各表示装置10の位置情報および配置向きの確認を終えた場合には、表示制限が満たされる前に、表示フラグ304gをオフするコマンドを表示装置10に送信して、表示フラグ304gをオフするようにしてもよい。
さらにまた、この第1実施例では、起動処理を開始した後に、表示フラグ304gがオンかどうかを判断するようにしてあるが、起動処理が開始される前に、表示フラグ304gがオンかどうかを判断し、表示フラグ304gがオンの場合に、起動処理を実行し、表示フラグ304gがオフの場合に、起動処理を実行しないようにしてもよい。
<第2実施例>
第2実施例では、表示装置10の電源をオンする指示が与えられてから表示部42(バックライト)をオン(駆動)するまでの時間(遅延時間)を設定し、この遅延時間だけ表示部42がオンされるのを遅延(パワーオンディレイ)させるようにした以外は、第1実施例の表示装置10と同じであるため、重複した説明は省略する、または、簡単に説明することにする。
このように、各表示装置10で表示部42をオンさせるタイミングをずらすことにより、たとえば、マルチディスプレイ50を構成する複数の表示装置10の表示部42を配置パターン1または配置パターン2に従う順番でオンさせることができる。したがって、設置担当者等は、表示装置10の表示部42がオンされる順場を見ることにより、各表示装置10が正しい配置位置に配置されているかどうかを確認することもできる。
ただし、配置パターン1または配置パターン2に従う順番は、開始位置の位置情報を先頭に、行数および列数が次第に増加する順番である。具体的には、3×3の配列で9台の表示装置10が配置されるマルチディスプレイ50では、(1,1)、(1,2)、(1,3)、(2,1)、(2,2)、(2,3)、(3,1)、(3,2)、(3,3)の順番である。
また、第1実施例で説明したように、開発者等がマルチディスプレイ50における複数の表示装置10の配置位置を決定する場合に当該マルチディスプレイ50を見る方向と、実際に設置されたマルチディスプレイ50を見る方向とは一致しない場合もある。
したがって、第2実施例では、開発者等が複数の表示装置10を配置する場合に、マルチディスプレイ50を見る方向および配置位置を固定的に決定し、固定的に決定した配置位置(以下、「基準の配置位置」という)において、実際に設置されたマルチディスプレイ50を見る方向等に応じて、開始位置、配置パターンおよび配置パターンの方向を設定した場合における各表示装置10に設定される位置情報について説明し、配置パターン1または配置パターン2に従って各表示装置10の表示部42がオンされる順番を図示する。
図9(A)は、3×3で配列したマルチディスプレイ50を構成する9台の表示装置10についての基準の配置位置を示す。図9(B)は、基準の配置位置において、左上の位置を基準位置として選択し、配置パターン1を選択し、配置パターン1の方向として時計回りを選択した場合に設定される各表示装置10の位置情報および各表示装置10の表示部42がオンされる順番を示す。図9(C)は、基準の配置位置において、左上の位置を基準位置として選択し、配置パターン2を選択し、配置パターン2の方向として時計回りを選択した場合に設定される各表示装置10の位置情報および各表示装置10の表示部42がオンされる順番を示す。
図9(A)に示すように、基準の配置位置では、各配置位置に番号を付してある。この第2実施例では、左上の配置位置に「1」が付され、上段の真ん中の配置位置に「2」が付され、右上の配置位置に「3」が付される。また、中段の左の配置位置に「4」が付され、中段の真ん中の配置位置に「5」が付され、中段の右の配置位置に「6」が付される。そして、左下の配置位置に「7」が付され、下段の真ん中の配置位置に「8」が付され、右下の配置位置に「9」が付される。
このような基準の配置位置において、開始位置が左上に選択され、配置パターン1が選択され、時計回りの方向が選択されると、図9(B)に示すように、「1」の位置の表示装置10の表示情報が(1,1)に設定され、「2」の位置の表示装置10の位置情報が(1,2)に決定され、「3」の位置の表示装置10の位置情報が(1,3)に決定される。また、「4」の位置の表示装置10の位置情報が(2,1)に決定され、「5」の位置の表示装置10の位置情報が(2,2)に決定され、「6」の位置の表示装置10の位置情報が(3,2)に決定される。さらに、「7」の位置の表示装置10の位置情報が(3,1)に決定され、「8」の位置の表示装置10の位置情報が(3,2)に決定され、「9」の位置の表示装置10の位置情報が(3,3)に決定される。
したがって、図9(B)の矢印で示すように、基準の配置位置に配置された各表示装置10は、配置パターン1に従う順番で、その表示部42をオンされる。以下、他の場合についても同様であるため、重複した説明は省略する。
また、基準の配置位置において、開始位置が左上に選択され、配置パターン2が選択され、時計回りの方向が選択されると、図9(C)に示すように、「1」の位置の表示装置10の表示情報が(1,1)に設定され、「2」の位置の表示装置10の位置情報が(1,2)に決定され、「3」の位置の表示装置10の位置情報が(1,3)に決定される。また、「6」の位置の表示装置10の位置情報が(2,1)に決定され、「5」の位置の表示装置10の位置情報が(2,2)に決定され、「4」の位置の表示装置10の位置情報が(3,2)に決定される。さらに、「7」の位置の表示装置10の位置情報が(3,1)に決定され、「8」の位置の表示装置10の位置情報が(3,2)に決定され、「9」の位置の表示装置10の位置情報が(3,3)に決定される。
ただし、図9(B)および図9(C)に示す場合には、開発者等がマルチディスプレイ50を見る方向と、実際に設置されたマルチディスプレイ50を設置者等が見る方向とは一致している。つまり、マルチディスプレイ50を図9(A)に示す下側から見ている。
また、基準の配置位置において、開始位置が左上に選択され、配置パターン1が選択され、反時計回りの方向が選択されると、図10(A)に示すように、「1」の位置の表示装置10の表示情報が(1,1)に設定され、「4」の位置の表示装置10の位置情報が(1,2)に決定され、「7」の位置の表示装置10の位置情報が(1,3)に決定される。また、「2」の位置の表示装置10の位置情報が(2,1)に決定され、「5」の位置の表示装置10の位置情報が(2,2)に決定され、「8」の位置の表示装置10の位置情報が(3,2)に決定される。さらに、「3」の位置の表示装置10の位置情報が(3,1)に決定され、「6」の位置の表示装置10の位置情報が(3,2)に決定され、「9」の位置の表示装置10の位置情報が(3,3)に決定される。
ただし、図10(A)に示す場合には、設置者等は、実際に設置されたマルチディスプレイ50を図9(A)において右側から見ることになる。つまり、図9(A)に示すマルチディスプレイ50の左端が設置者等が実際に見る場合の上端となり、図9(A)に示すマルチディスプレイ50の右端が設置者等が実際に見る場合の下端となり、図9(A)に示すマルチディスプレイ50の上端が設置者等が実際に見る場合の右端となり、そして、図9(A)に示すマルチディスプレイ50の下端が設置者等が実際に見る場合の左端となる。以下同様である。
また、基準の配置位置において、開始位置が右上に選択され、配置パターン1が選択され、反時計回りが選択されると、図10(B)に示すように、「3」の位置の表示装置10の表示情報が(1,1)に設定され、「2」の位置の表示装置10の位置情報が(1,2)に決定され、「1」の位置の表示装置10の位置情報が(1,3)に決定される。また、「6」の位置の表示装置10の位置情報が(2,1)に決定され、「5」の位置の表示装置10の位置情報が(2,2)に決定され、「4」の位置の表示装置10の位置情報が(2,3)に決定される。さらに、「9」の位置の表示装置10の位置情報が(3,1)に決定され、「8」の位置の表示装置10の位置情報が(3,2)に決定され、「7」の位置の表示装置10の位置情報が(3,3)に決定される。
ただし、図10(B)に示す場合には、開発者等がマルチディスプレイ50を見る方向と、実際に設置されたマルチディスプレイ50を設置者等が見る方向とは一致している。
さらに、基準の配置位置において、開始位置が右下に選択され、配置パターン1が選択され、反時計回りが選択されると、図10(C)に示すように、「9」の位置の表示装置10の表示情報が(1,1)に設定され、「6」の位置の表示装置10の位置情報が(1,2)に決定され、「3」の位置の表示装置10の位置情報が(1,3)に決定される。また、「8」の位置の表示装置10の位置情報が(2,1)に決定され、「5」の位置の表示装置10の位置情報が(2,2)に決定され、「2」の位置の表示装置10の位置情報が(2,3)に決定される。さらに、「7」の位置の表示装置10の位置情報が(3,1)に決定され、「4」の位置の表示装置10の位置情報が(3,2)に決定され、「1」の位置の表示装置10の位置情報が(3,3)に決定される。
ただし、図10(C)に示す場合には、設置者等は、実際に設置されたマルチディスプレイ50を図9(A)において左側から見ることになる。
また、基準の配置位置において、開始位置が左上に選択され、配置パターン2が選択され、反時計回りが選択されると、図11(A)に示すように、「1」の位置の表示装置10の表示情報が(1,1)に設定され、「4」の位置の表示装置10の位置情報が(1,2)に決定され、「7」の位置の表示装置10の位置情報が(1,3)に決定される。また、「8」の位置の表示装置10の位置情報が(2,1)に決定され、「5」の位置の表示装置10の位置情報が(2,2)に決定され、「2」の位置の表示装置10の位置情報が(2,3)に決定される。さらに、「3」の位置の表示装置10の位置情報が(3,1)に決定され、「6」の位置の表示装置10の位置情報が(3,2)に決定され、「9」の位置の表示装置10の位置情報が(3,3)に決定される。
ただし、図11(A)に示す場合には、設置者等は、実際に設置されたマルチディスプレイ50を図9(A)において左側から見ることになる。
また、基準の配置位置において、開始位置が右上に選択され、配置パターン2が選択され、反時計回りが選択されると、図11(B)に示すように、「3」の位置の表示装置10の表示情報が(1,1)に設定され、「2」の位置の表示装置10の位置情報が(1,2)に決定され、「1」の位置の表示装置10の位置情報が(1,3)に決定される。また、「4」の位置の表示装置10の位置情報が(2,1)に決定され、「5」の位置の表示装置10の位置情報が(2,2)に決定され、「6」の位置の表示装置10の位置情報が(2,3)に決定される。さらに、「9」の位置の表示装置10の位置情報が(3,1)に決定され、「8」の位置の表示装置10の位置情報が(3,2)に決定され、「7」の位置の表示装置10の位置情報が(3,3)に決定される。
ただし、図11(B)に示す場合には、開発者等がマルチディスプレイ50を見る方向と、実際に設置されたマルチディスプレイ50を設置者等が見る方向とは一致している。
さらに、基準の配置位置において、開始位置が左下に選択され、配置パターン2が選択され、時計回りが選択されると、図11(C)に示すように、「7」の位置の表示装置10の表示情報が(1,1)に設定され、「4」の位置の表示装置10の位置情報が(1,2)に決定され、「1」の位置の表示装置10の位置情報が(1,3)に決定される。また、「2」の位置の表示装置10の位置情報が(2,1)に決定され、「5」の位置の表示装置10の位置情報が(2,2)に決定され、「8」の位置の表示装置10の位置情報が(2,3)に決定される。さらに、「9」の位置の表示装置10の位置情報が(3,1)に決定され、「6」の位置の表示装置10の位置情報が(3,2)に決定され、「3」の位置の表示装置10の位置情報が(3,3)に決定される。
ただし、図11(A)に示す場合には、設置者等は、実際に設置されたマルチディスプレイ50を図9(A)において左側から見ることになる。
また、この第2実施例では、電源オンの指示が入力されてから表示部42がオンされるまでの時間が表示順に従って所定時間(たとえば、1秒)ずつ遅延される。したがって、図10(B)に示した場合には、図12(A)に示すように、「3」の位置の表示装置10から配置パターン1に従う順番(図中の矢印に従う順番)で、「7」の位置の表示装置10まで、遅延時間が0秒、1秒、…、8秒に設定される。
また、図11(B)に示した場合には、図12(B)に示すように、「3」の位置の表示装置10から配置パターン2に従う順番(図中の矢印に従う順番)で、「7」の位置の表示装置10まで、遅延時間が0秒、1秒、…、8秒に設定される。
図示は省略するが、他の場合についても同様に遅延時間が設定される。
この第2実施例では、遅延時間(PONDLY)は、数1に従って算出される。ただし、数1において、M_SIZE_Xは、実際に設置されたマルチディスプレイ50を正面から見た場合における横方向に並べられた表示装置10の数(総数)である。また、M_POS_xは、実際に設置されたマルチディスプレイ50を正面から見た場合において、遅延時間を算出する対象である表示装置10の横方向の配置位置(列数)であり、具体的には、当該表示装置10の位置情報の右側の要素が示す数である。さらに、M_POS_yは、実際に設置されたマルチディスプレイ50を正面から見た場合において、遅延時間を算出する対象である表示装置10の縦方向の配置位置(行数)であり、具体的には、当該表示装置10の位置情報の左側の要素が示す数である。また、Tは、配置パターン1または2に従う順番において、直前の表示装置10の表示部42がオンさせてから自身の表示装置10の表示部42をオンさせるまでの遅延時間であり、この第2実施例では、1秒に設定される。
[数1]
PONDLY={(M_POS_x-1)+(M_POS_y-1)×M_SIZE_X}×T
したがって、図12(A)に示す例では、「5」の位置の表示装置10の遅延時間は、数1を用いると、数2に示すように算出される。ただし、「5」の位置の表示装置10の位置情報は(2,1)である。
[数2]
PONDLY4={(1-1)+(2-1)×3}×1=3
上述したように、第2実施例では、各表示装置10について、遅延時間が算出されるため、設定情報の指定コマンドには、設置情報として、マルチディスプレイ50の配列(サイズ)の情報も含まれる。ただし、この配列は、実際に設置されたマルチディスプレイ50を正面から見た場合の配列(縦方向の表示装置10の数×横方向の表示装置10の数)である。また、パワーオンディレイを実行するかどうかについての情報は、表示情報の設定コマンドに含まれる。したがって、第2実施例では、図13に示すように、表示制御プログラムには、表示情報の設定コマンドに応じて遅延時間(パワーオンディレイ時間)を設定するためのプログラム(パワーオンディレイ設定プログラム)302hがさらに含まれる。このパワーオンディレイ設定プログラム302hは、遅延時間の情報を算出するとともに、後述する遅延フラグ304iをオンする。ただし、算出された遅延時間の情報についてのデータ(遅延時間情報データ)304hは、EEPROM36などの不揮発性のメモリに記憶され、必要に応じて、EEPROM36から読み出され、RAM34に記憶される。
また、データ記憶領域304には、遅延時間情報データ304hがさらに記憶されるとともに、遅延フラグ304iおよびタイマ304jが設けられる。遅延時間情報データ304hは、上述した遅延時間の情報を示すデータであり、EEPROM36から読み出され、RAM34に記憶される。遅延フラグ304iは、パワーオンディレイを実行するかどうかを判断するためのフラグであり、遅延時間の情報が設定された場合にオンされ、遅延時間の情報が設定されていない場合にまたは設定担当者等の指示(コマンド)に従ってオフされる。また、タイマ304jは、遅延時間をカウントするためのタイマであり、起動処理が開始されるとカウントを開始する。
図14は第2実施例におけるCPU30の起動処理を示すフロー図である。この第2実施例の起動処理は、図6に示した第1実施例の起動処理において、ステップS1の前に、ステップS101、ステップS103およびステップS105の処理を設けた以外は、第1実施例の起動処理と同じである。ただし、第2実施例では、表示装置10の電源がオンされたときに、EEPROM36から遅延時間の情報が読み出される。また、図示は省略するが、第2実施例では、遅延時間の情報が記憶されていない場合を除いて、遅延時間を経過するまでは、CPU30の指示の下、表示駆動部40が、表示部42のバックライトをオフする。ただし、表示駆動部40が表示部42のバックライトをオフすることに代えて、CPU30の指示の下が、電源制御部48が、遅延時間が経過するまで、表示部42のバックライトに電源を供給しないようにしてもよい。
図14に示すように、CPU30は起動処理を開始すると、ステップS101で、遅延フラグ304iがオンであるかどうかを判断する。つまり、パワーオンディレイを行うかどうかが判断される。ステップS101で“NO”であれば、つまり遅延フラグ304iがオフであれば、そのままステップS1に進む。
一方、ステップS101で“YES”であれば、つまり遅延フラグ304iがオンであれば、ステップS103で、遅延時間を経過したかどうかを判断する。このステップS103では、CPU30は、タイマ304jのカウント値が遅延時間以上になったかどうかを判断する。ただし、タイマ304jは、起動処理を開始したとき、または、ステップS101で“YES”となったときにカウントを開始する。
ステップS103で“NO”であれば、つまり遅延時間を経過していなければ、同じステップS103に戻る。一方、ステップS103で“YES”であれば、つまり遅延時間を経過すれば、ステップS105で、バックライトをオンして、ステップS1に進む。
図15は、第2実施例におけるCPU30の設置情報設定処理を示すフロー図である。この第2実施例の設置情報設定処理は、図7に示した第1実施例においてステップS31の処理の前にステップS111を設けた以外は同じである。
図15に示すように、CPU30は、設置情報の指定コマンドに応じて設置情報設定処理を開始すると、ステップS111で、この指定コマンドが指定するマルチディスプレイ50の配列情報(サイズ)をEEPROM36に記憶し、ステップS31に進む。
図16は、第2実施例におけるCPU30のパワーオンディレイ設定処理を示すフロー図である。このパワーオンディレイ設定処理がユーザからの指示に従って事前に実行されることにより、図14に示した起動処理において、パワーオンディレイが実行される。
他のコンピュータからパワーオンディレイを実行することを示す情報を含む表示情報の設定コマンドを送信すると、表示装置10(CPU30)はこの設定コマンドを受信し、これに応じて、図16に示すように、パワーオンディレイ設定処理を開始する。ただし、上述したように、表示情報の設定コマンドに従って、表示情報設定処理も実行されるため、パワーオンディレイ設定処理は、この表示情報設定処理と並列に実行される。
CPU30は、パワーオンディレイ設定処理を開始すると、ステップS71で、配列情報および位置情報を、取得済みかどうかを判断する。ここでは、CPU30は、配列情報および位置情報がEEPROM36に記憶されているかどうかを判断する。
ステップS71で“NO”であれば、つまり配列情報および位置情報の少なくとも一方を取得していなければ、ステップS79で、遅延時間を0秒に設定し、設定した遅延時間をEEPROM36に記憶して、ステップS81に進む。
一方、ステップS71で“YES”であれば、つまり配列情報および位置情報を取得済みであれば、ステップS73で、配列情報および位置情報を読み込み、ステップS75で、数1に従って遅延時間を算出する。続くステップS77では、算出した遅延時間をEEPROM36に記憶して、ステップS81に進む。
ステップS81では、EEPROM36に記憶される遅延フラグ304iをオンに設定して、パワーオンディレイ設定処理を終了する。
第2実施例によれば、表示装置10をオンする時間を遅延させるので、たとえば、マルチディスプレイ50を構成する複数の表示装置10の表示部42の各々を配置パターン1または配置パターン2に従う順番でオンすることができる。したがって、表示される位置情報のみならず、オンされる順番によって表示装置10が正しい配置位置に配置されているかどうかを判断することができる。
また、第2実施例によれば、複数の表示装置10が一度に全部オンにされることが無いため、供給する電源が急激に増大することにより、ブレーカーが落ちるなどの不都合を回避することができる。
なお、この第2実施例では、位置情報から遅延時間を算出するようにしたが、マルチディスプレイ50の設計者等が位置情報に応じて遅延時間を設定するようにしてもよい。
たとえば、図17に示すような決定画面400を用いて、各表示装置10の遅延時間を決定することもできる。
遅延時間を決定するためのプログラムが、任意のコンピュータで実行されると、図17に示す決定画面400が当該コンピュータに接続されたモニタに表示される。決定画面400には、配置パターンを選択するためのメニュー402、開始位置を選択するためのメニュー404、方向を選択するためのメニュー406が表示されるとともに、各表示装置10の表示部42がオンされる順番を示すパネル画像408が表示される。また、決定画面400には、パネル画像408の下方に、ボタン410およびボタン412が表示される。ただし、パネル画像408の各パネルに表示された数字は、表示装置10の表示部42をオンさせる順番を示す。
たとえば、開発者等は、基準の配置位置に配置した各表示装置10について位置情報を決定した後に、その配置に従って、メニュー402、404、406で、配置パターン、開始位置および方向をそれぞれ選択する。すると、選択された配置パターン、開始位置および方向に応じて、表示部42をオンする順番にパネル画像408が並べ変えられる。ここで、ボタン410がオンされると、パネル画像408が示す順番で表示部42をオンするように、基準の配置位置に従って配置された各表示装置10の遅延時間が決定される。ただし、遅延させる時間は、予め設定されている。
図17に示す例では、基準の配置位置において、「9」の位置に配置された表示装置10の遅延時間が0秒に決定され、「6」の位置に配置された表示装置10の遅延時間が1秒に決定され、「3」の位置に配置された表示装置10の遅延時間が2秒に決定され、「8」の位置に配置された表示装置10の遅延時間が3秒に決定され、「5」の位置に配置された表示装置10の遅延時間が4秒に決定され、「2」の位置に配置された表示装置10の遅延時間が5秒に決定され、「7」の位置に配置された表示装置10の遅延時間が6秒に決定され、「4」の位置に配置された表示装置10の遅延時間が7秒に決定され、そして、「1」の位置に配置された表示装置10の遅延時間が8秒に決定される。
<第3実施例>
第3実施例の表示装置10は、位置情報および配置向き情報を表示するのみならず、位置情報に応じて決定された色(表示色)で背景を表示するようにした以外は、第1実施例の表示装置10と同じであるため、重複した説明は省略する、または、簡単に説明することにする。また、第2実施例において既に説明した内容と同じ内容についても同様である。
第3実施例では、マルチディスプレイ50を構成する複数の表示装置10の各々で背景の表示色を変化させることにより、この変化によって、各表示装置10の配置位置が正しいかどうかを確認することもできる。
たとえば、表示色は、所定の順番に従って次第に変化されたり、所定の順番に従ってその輝度が変化されたりする。この実施例では、表示色が表示装置10の配置される順番に従って変化される。この実施例では、表示色(RGB)は、配列情報および位置情報を用いて数3に従って算出される。ただし、M_SIZE_Yは、実際に設置されたマルチディスプレイ50を正面から見た場合における縦方向に並べられた表示装置10の数(総数)である。
[数3]
R=255-M_POS_y÷M_SIZE_Y×200
G=255-(M_POS_x-1)÷M_SIZE_X×200
B=255
ただし、これは一例であり、上述したように、単に輝度を変化させるようにしてもよい。また、この第3実施例では、表示色を算出するようにしてあるが、所定の順番に従って予め決定された色が設定されてもよい。
この第3実施例では、背景の表示色を算出するため、設置情報の指定コマンドには、第2実施例で説明したように、マルチディスプレイ50の配列情報(サイズ)も含まれる。また、表示情報の設定コマンドには、表示色を設定する旨の指示も含まれる。
したがって、第3実施例では、図18に示すように、表示制御プログラムには、表示色を設定するためのプログラム(表示色設定プログラム)302jがさらに含まれる。この表示色設定プログラム302jは、表示色を算出するとともに、算出した表示色についてのデータ(表示色情報データ)304kを、EEPROM36などの不揮発性のメモリに記憶する。EEPROM36に記憶された表示色情報データ304kは、必要に応じてEEPROM36から読み出され、RAM34に記憶される。
また、データ記憶領域304には、表示色情報データ304kがさらに記憶される。表示色情報データ304kは、上述した表示色の情報を示すデータであり、EEPROM36から読み出され、RAM34に記憶される。
図19は第3実施例におけるCPU30の起動処理を示すフロー図である。この第3実施例の起動処理は、図6に示した第1実施例の起動処理において、ステップS7およびステップS11の処理が変更された以外は、第1実施例の起動処理と同じである。ただし、第3実施例では、表示装置10の電源がオンされたときに、EEPROM36から表示色の情報が読み出される。
図19に示すように、ステップS5で“YES”であれば、ステップS7aで、位置情報、矢印の向き情報および表示色の情報を読み込み、ステップS9で、残り表示回数を1減算した後、ステップS11aで、表示駆動部40を制御して、位置情報が示す配置位置、矢印の向き情報に応じた矢印および表示色の情報が示す表示色の背景を表示部42に表示して、起動処理を終了する。
図20は第3実施例における表示情報設定処理を示すフロー図である。ただし、第3実施例では、図15に示した第2実施例の設置情報設定処理と同じ処理が事前に実行されているものとする。
この第3実施例の表示情報設定処理は、図8に示した第1実施例の表示設定処理において、ステップS51とステップS53の間に、ステップS121、ステップS123およびステップS125の処理が実行される以外は、第1実施例の表示情報設定処理と同じである。
図20に示すように、ステップS51で、設置向き情報を読み込むと、ステップS121で、配列情報および位置情報を読み込む。次のステップS123で、読み込んだ配列情報および位置情報を用いて、数3に従って表示色を算出する。そして、ステップS125で、算出した表示色の情報を設定し、ステップS53に進む。このステップS125では、CPU30は、表示色情報データ304kをEEPROM36に記憶する。
第3実施例によれば、表示装置10に位置情報を表示する場合に、その背景の表示色を各表示装置10間で異ならせるので、たとえば、マルチディスプレイ50を構成する複数の表示装置10を配置した順番に従って表示色を変化させることができる。したがって、表示される位置情報のみならず、表示色の変化によって表示装置10が正しい配置位置に配置されているかどうかを判断することができる。
なお、第2実施例の変形および第3実施例の変形は、同時に採用することもできる。この場合、第3実施例の図19に示した起動処理において、ステップS1の前に、図14に示したステップS101〜ステップS105の処理が実行される。また、第3実施例において、図15に示した設置情報設定処理が実行されるとともに、図16に示したパワーオンディスプレイ設定処理が実行される。
また、上述の各実施例で挙げた画面および具体的な数値等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。また、同じ効果が得られる場合には、フロー図に示した各ステップの順番は適宜変更されてもよい。