以下、図面を参照しながら、本発明の信号通過支援装置の実施形態について説明する。以下では、本発明の信号通過支援装置の実施形態が適用された車両1を用いて説明を進める。
(1)車両1の構成
はじめに、図1のブロック図を参照しながら、本実施形態の車両1の構成について説明する。図1に示すように、車両1は、センサ12と、GPS(Global Positioning System)処理部13と、信号通過支援装置14とを備えている。
センサ12は、搭乗者の運転操作の内容及び車両1の状態の夫々を検出する検出機器である。センサ12の検出結果を示す検出情報は、運転支援装置14に対して適宜出力される。センサ12は、搭乗者によるアクセルペダルの操作量を検出するアクセル開度センサを含む。センサ12は、搭乗者によるブレーキペダルの操作量を検出するブレーキペダルセンサを含む。センサ12は、車両1の速度(車速)Vを検出する車速センサを含む。センサ12は、車両1の加速度Aを検出する加速度センサを含む。センサ12は、車両1の横加速度(横G)を検出する加速度センサを含む。センサ12は、その他の情報(例えば、車両1の前後加速度や、車両1のヨーレート等)を検出する任意のセンサを含んでいてもよい。
GPS処理部13は、GPS衛星から送信されるGPS電波を受信する。GPS処理部13は、受信したGPS電波に基づいて、車両1の現在位置(以降、“車両位置”と称する)を算出する。GPS処理部13が算出した車両位置を示す車両位置情報は、信号通過支援装置14に対して適宜出力される。
信号通過支援装置14は、車両1の進行方向に位置する信号機2を車両1が通過する(つまり、信号機2が設置された交差点を車両1が通過する)ことを支援する信号通過支援動作を実行する。車両1の進行方向に位置する信号機2が複数存在する場合には、信号通過支援装置14は、原則として、車両1に最も近い信号機2(つまり、車両1が最も早く通過する交差点に設置された信号機2)を車両1が通過することを支援する信号通過支援動作を実行する。以下では、特段の説明がない場合には、“信号機2”は、信号通過支援動作の対象となる信号機2を意味するものとする。
信号通過支援動作を実行するために、信号通過支援装置14は、「取得手段」の一具体例である情報受信部141と、「生成手段」の一具体例である通過支援部142と、状態判定部144と、「報知手段」の一具体例であるディスプレイ145とを備えている。
情報受信部141は、センサ12の検出結果である検出情報及びGPS処理部13の算出結果である車両位置情報を取得する。情報受信部141は、取得した検出情報及び車両位置情報を、通過支援部142に出力する。情報受信部141は、取得した検出情報を、状態判定部144に出力する。
情報受信部141は、更に、信号機2に関する情報である信号情報を受信する。情報受信部141は、信号機2が備える情報送信部21が送信する信号情報を受信する。但し、情報受信部141は、信号機2が備える情報送信部21が送信した情報を中継するサーバ(或いは、中継器)から、信号情報を受信してもよい。情報受信部141は、受信した信号情報を、通過支援部142に出力する。
信号情報は、信号機2の位置を示す信号位置情報を含む。信号情報は、更に、信号機2の灯色が変化するタイミング(時刻)を示すタイミング情報を含む。例えば、タイミング情報は、信号機2の現在の灯色が第1の色(例えば、赤色)である場合には、信号機2の灯色が第1の色から第2の色(例えば、青色)に変わるタイミング、第2の色に変わった信号機2の灯色が第3の色(黄色)に変わるタイミング、及び、第3の色に変わった信号機2の灯色が第1の色に変わるタイミング等を示す情報である。
通過支援部142は、現在の車速Vが維持された場合に、車両1が停止することなく信号機2を通過することができるか否かを判定する。具体的には、通過支援部142は、信号位置情報及び車両位置情報に基づいて、車両1と信号機2との間の距離Lを算出する。その後、通過支援部142は、検出情報が示す車速V及び算出した距離Lに基づいて、現在の車速Vが維持された場合に車両1が信号機2に到達する時刻tを算出する。その後、通過支援部142は、タイミング情報及び算出した時刻tに基づいて、時刻tにおける信号機2の灯色を特定する。特定した灯色が赤色又は黄色(或いは、その他車両1の進行を禁止又は制限する灯色)であった場合には、通過支援部142は、車両1が停止することなく信号機2を通過することができないと判定する。他方で、特定した灯色が青色(或いは、その他車両1の進行を許可する灯色)であった場合には、通過支援部142は、車両1が停止することなく信号機2を通過することができると判定する。
通過支援部142は、車両1が停止することなく信号機2を通過することができると判定した場合には、現在の車速Vで車両1が停止することなく信号機2を通過することができる旨を搭乗者に報知するための支援情報を生成する。この支援情報は、現在の車速Vを維持するための運転操作(つまり、車速維持操作)を行うことを搭乗者に推奨する支援情報である。
通過支援部142は、車両1が停止することなく信号機2を通過することができないと判定した場合には、車両1が停止することなく信号機2を通過するために搭乗者が行うことが推奨される運転操作を示す支援情報を生成する。車両1が加速することで車両1が停止することなく信号機2を通過可能となる場合には、通過支援部142は、車両1を加速させるための運転操作(つまり、加速操作)を行うことを搭乗者に推奨する支援情報を生成する。或いは、車両1が減速することで車両1が停止することなく信号機2を通過可能となる場合には、通過支援部142は、車両1を減速させるための運転操作(つまり、減速操作)を行うことを搭乗者に推奨する支援情報を生成する。
車両1が加速又は減速したとしても車両1が停止することなく信号機2を通過することができない場合には、通過支援部142は、現在の車速Vで車両1が停止することなく信号機2を通過することができない旨を搭乗者に報知するための支援情報を生成する。この場合、車両1が停止することなく信号機2を通過することができないがゆえに、支援情報は、車両1を停止させるための運転操作(つまり、停止操作)を行うことを搭乗者に推奨する支援情報である。
状態判定部144は、情報受信部141が受信した検出情報に基づいて、通過支援部142が生成する支援情報をディスプレイ145が表示するべきであるか否かを判定する。具体的には、状態判定部144は、検出情報が所定条件を満たす場合に、ディスプレイ145が支援情報を表示するべきであると判定する。他方で、状態判定部144は、検出情報が所定条件を満たさない場合に、ディスプレイ145が支援情報を表示するべきでないと判定する。本実施形態では特に、状態判定部144は、支援情報の内容(具体的には、支援情報が推奨する運転操作の内容)に応じて異なる所定条件を用いる。つまり、状態判定部144は、支援情報の内容に応じて所定条件を変更する。尚、所定条件については、後に詳述する(図2参照)。
ディスプレイ145は、ディスプレイ145が支援情報を表示するべきであると状態判定部144が判定した場合には、通過支援部142が生成した支援情報を表示する。一方で、ディスプレイ145は、ディスプレイ145が支援情報を表示するべきでないと状態判定部144が判定した場合には、通過支援部142が生成した支援情報を表示しない。
(2)信号通過支援動作の流れ
続いて、図2を参照しながら、信号通過支援装置14が行う信号通過支援動作について説明する。尚、信号通過支援装置14は、信号通過支援動作を実行可能な実行条件が成立した場合に、信号通過支援動作を行う。実行条件自体は公知な実行条件が用いられてもよい。実行条件の一例として、車両1と信号機2との間の距離が一定距離以下である(具体的には、車両1が、信号機2から信号情報を取得可能な範囲に位置している)という条件があげられる。
図2に示すように、情報受信部141は、信号機2から信号情報を取得する(ステップS11)。更に、情報受信部141は、GPS処理部13から車両位置情報を取得する(ステップS12)。更に、情報受信部141は、センサ12から検出情報を取得する(ステップS13)。
その後、通過支援部142は、ステップS11で取得された信号情報(特に、信号位置情報)、ステップS12で取得された車両位置情報、及び、ステップS13で取得された検出情報(特に、車速V)に基づいて、第1時間Tc1、第2時間Tc2及び第3時間Tc3を算出する(ステップS21)。
第1時間Tc1は、現在の車速Vが維持された場合に車両1が信号機2に到達するために要する時間である。通過支援部142は、数式1を用いて、第1時間Tc1を算出する。尚、数式1中の「V0」は、現在の車速V(つまり、ステップS13で取得した検出情報が示す車速V)である。また、数式1中の「L」は、上述したように、車両1と信号機2との間の現在の距離L(つまり、ステップS11で取得した信号情報及びステップS12で取得した車両位置情報から算出される距離L)である。
第2時間Tc2は、車両1が所定加速度Gxaccで加速し続けた場合に車両1が信号機2に到達するために要する時間である。通過支援部142は、数式2を用いて、第2時間Tc2を算出する。尚、所定加速度Gxaccは、予め定められた又は通過支援部142が適宜設定可能な定数である。
但し、車両1が所定加速度Gxaccで加速し続けると、車速Vもまた増加していく。しかしながら、車速Vには、様々な制約(例えば、車両1が走行している道路の制限速度等)によって上限が存在する。本実施形態では、「Vmax」を、車速Vの上限とする。尚、上限Vmaxは、予め定められた又は通過支援部142が適宜設定可能な定数である。この場合、所定加速度Gxaccで加速し続ける車両1が信号機2に到達する前に、車速Vが上限Vmaxに到達する可能性がある。具体的には、数式2を用いて算出された第2時間Tc2が数式3を満たす場合には、所定加速度Gxaccで加速し続ける車両1が信号機2に到達する前に、車速Vが上限Vmaxに到達することになる。なぜなら、数式3の右辺は、所定加速度Gxaccで加速し続ける車両1の車速Vが上限Vmaxに到達するまでに要する時間を示すからである。この場合には、通過支援部142は、数式4を用いて、第2時間Tc2を算出する。尚、数式4の右辺の第1項は、車両1が所定加速度Gxaccで加速し続けた場合において車速Vが上限Vmaxに到達するまでに要する時間に相当する。数式4の右辺の第2項は、車速Vが上限Vmaxに到達してから車両1が信号機2に到達する(但し、車速Vが上限Vmaxのまま維持)までに要する時間に相当する。
第3時間Tc3は、車両1が所定減速度Gxdecで減速し続けた場合に車両1が信号機2に到達するために要する時間である。通過支援部142は、数式5を用いて、第3時間Tc3を算出する。尚、所定減速度Gxdecは、予め定められた又は通過支援部142が適宜設定可能な定数である。
但し、車両1が所定減速度Gxdecで加速し続けると、車速Vもまた減速していく。しかしながら、車速Vには、様々な制約(例えば、車両1が周囲の車両の円滑な交通を妨げないという制約等)によって下限が存在する。本実施形態では、「Vmin」を、車速Vの下限とする。尚、下限Vminは、予め定められた又は通過支援部142が適宜設定可能な定数である。この場合、所定減速度Gxdecで減速し続ける車両1が信号機2に到達する前に、車速Vが下限Vminに到達する可能性がある。具体的には、数式5を用いて算出された第3時間Tc3が数式6を満たす場合には、所定減速度Gxdecで減速し続ける車両1が信号機2に到達する前に、車速Vが下限Vminに到達することになる。なぜなら、数式6の右辺は、所定減速度Gxdecで減速し続ける車両1の車速Vが下限Vminに到達するまでに要する時間を示すからである。この場合には、通過支援部142は、数式7を用いて、第3時間Tc3を算出する。尚、数式7の右辺の第1項は、車両1が所定減速度Gxdecで減速し続けた場合において車速Vが下限Vminに到達するまでに要する時間に相当する。数式7の右辺の第2項は、車速Vが下限Vminに到達してから車両1が信号機2に到達する(但し、車速Vが下限Vminのまま維持)までに要する時間に相当する。
尚、数式8が満たされる場合においても、通過支援部142は、数式7を用いて、第3時間Tc3を算出する。なぜならば、所定減速度Gxdecが負の加速度(=負の値)であるがゆえに数式8の左辺がゼロ未満になる(つまり、負の値になってしまう)可能性があるところ、数式8の左辺がゼロ未満になる(つまり、数式8が満たされる)場合には数式5の右辺が複素数になってしまう(つまり、第3時間Tc3が複素数になってしまう)からである。
その後、通過支援部142は、ステップS11で取得された信号情報(特に、タイミング情報)及びステップS21で算出した第1時間Tc1に基づいて、第1時間Tc1が経過した時点で信号機2の灯色が青色であるか否かを判定する(ステップS22)。
ステップS22の判定の結果、第1時間Tc1が経過した時点で信号機2の灯色が青色であると判定される場合には(ステップS22:Yes)、車両1は、停止することなく信号機2を通過することができる。このため、通過支援部142が生成する支援情報は、車速維持操作を行うことを搭乗者に推奨する支援情報となる。この場合には、状態判定部144は、ステップS13で取得された検出情報が第1条件を満たしているか否かを判定する(ステップS41)。
第1条件は、車両1を加速させる程度に搭乗者がアクセルペダルを操作していない(具体的には、アクセルペダルの操作量が第1閾値以下である)という条件#11を含む。尚、第1閾値は、予め定められた又は状態判定部144が適宜設定可能な定数である。第1条件は、更に、車両1が加速していない(具体的には、車両1の加速度Aがゼロより大きくない)という条件#12を含む。第1条件は、更に、車両1の横加速度が第2閾値以下である(つまり、横Gがそれほど大きくない)という条件#13を含む。尚、第2閾値は、予め定められた又は状態判定部144が適宜設定可能な定数である。第1条件は、更に、車両1の車速Vが、車両1の周囲に存在する他の車両の車速と比較して過度に遅くない(具体的には、他の車両の車速に基づいて設定される第3閾値V1min以上である)という条件#14を含む。第1条件は、更に、車両1の車速Vが、車両1の周囲に存在する他の車両の車速と比較して過度に速くない(具体的には、他の車両の車速に基づいて設定される第4閾値V1max以下である)という条件#15を含む。
状態判定部144が条件#14及び#15を設定するために、状態判定部144は、他の車両の車速を取得することが好ましい。例えば、状態判定部144は、道路交通情報(例えば、プローブ情報)を取得し、当該道路交通情報から他の車両の車速を取得してもよい。例えば、センサ12が車両1の前方又は後方を走行している他の車両の車速を検出可能である場合には、状態判定部144は、検出情報から他の車両の車速を取得してもよい。状態判定部144は、車両1が走行している道路の制限速度を、他の車両の車速として取得してもよい。状態判定部144は、車両1の過去の走行履歴から、他の車両の車速を取得(実質的には、推定)してもよい。その後、状態判定部144は、取得した他の車両の車速から所定の第1マージンを減算することで得られる値を、第3閾値V1minに設定してもよい。状態判定部144は、取得した他の車両の車速に対して所定の第2マージンを加算することで得られる値を、第4閾値V1maxに設定してもよい。
ステップS41の判定の結果、検出情報が第1条件を満たしていると判定された場合には(ステップS41:Yes)、状態判定部144は、ディスプレイ145が支援情報を表示するべきであると判定する。従って、この場合には、ディスプレイ145は、車速維持操作を行うことを搭乗者に推奨する支援情報を表示する(ステップS25)。他方で、ステップS41の判定の結果、検出情報が第1条件を満たしていないと判定された場合には(ステップS41:No)、状態判定部144は、ディスプレイ145が支援情報を表示するべきでないと判定する。従って、この場合には、ディスプレイ145は、車速維持操作を行うことを搭乗者に推奨する支援情報を表示しない。
第1条件のうち車両1を加速させる程度に搭乗者がアクセルペダルを操作していないという条件#11が満たされない場合には、搭乗者は、車両1を更に加速させようとしている意思を有している可能性が相対的に高い。このような場合に車速維持操作を推奨する支援情報が表示されると、搭乗者は、搭乗者自身の意思に応じた運転操作に反した運転操作を推奨する支援情報の表示に対して煩わしさを感じる可能性がある。このため、本実施形態では、条件#11が満たされない場合には、搭乗者自身の意思に応じた運転操作に反した車速維持操作を推奨する支援情報が表示されない。その結果、搭乗者が感じる煩わしさが低減される。尚、車速Vが維持される場合に車両1が停止することなく信号機2を通過可能であることを考慮すると、仮に搭乗者が車両1を加速させ続けても、車両1は、停止することなく信号機2を通過することができる可能性が相対的に高い。
第1条件のうち車両1が加速していないという条件#12が満たされない場合にも、搭乗者は、車両1を更に加速させるという意思を有している可能性が相対的に高い。従って、本実施形態では、条件#12が満たされない場合には、搭乗者自身の意思に応じた運転操作に反した車速維持操作を推奨する支援情報が表示されない。その結果、搭乗者が感じる煩わしさが低減される。
第1条件のうち横加速度が第2閾値以下であるという条件#13が満たされない場合には、車両1の横加速度が第2閾値以下でない場合と比較して、車両1が旋回中である可能性が相対的に高い。従って、搭乗者は、安全確保のために車両1を減速させる(或いは、加速させない)という意思を有している可能性がある。このような場合に車速維持操作を推奨する支援情報が表示されると、搭乗者は、搭乗者自身の意思に応じた運転操作に反した運転操作を推奨する支援情報の表示に対して煩わしさを感じる可能性がある。従って、本実施形態では、条件#13が満たされない場合には、搭乗者自身の意思に応じた運転操作に反した車速維持操作を推奨する支援情報が表示されない。その結果、搭乗者が感じる煩わしさが低減される。
第1条件のうち車速Vが他の車両の車速と比較して過度に遅くないという条件#14が満たされない場合には、車速維持操作を推奨する支援情報が表示されると、搭乗者は、支援情報に従って、車速維持操作を行う可能性がある。しかしながら、支援情報が表示された時点で車速Vが既に相対的に遅いがゆえに、車両1は、車両1の周辺に位置する他の車両の円滑な交通を阻害してしまう可能性がある。従って、本実施形態では、条件#15が満たされない場合には、他の車両の円滑な交通を阻害する可能性がある車速維持操作を推奨する支援情報が表示されない。その結果、他の車両の円滑な交通が阻害されにくくなる。
第1条件のうち車速Vが他の車両の車速と比較して過度に速くないという条件#15が満たされない場合には、車速維持操作を推奨する支援情報が表示されると、搭乗者は、支援情報に従って、車速維持操作を行う可能性がある。しかしながら、支援情報が表示された時点で車速Vが既に相対的に速いがゆえに、車両1は、車両1の周辺に位置する他の車両の円滑な交通を阻害してしまう可能性がある。従って、本実施形態では、条件#15が満たされない場合には、他の車両の円滑な交通を阻害する可能性がある車速維持操作を推奨する支援情報が表示されない。その結果、他の車両の円滑な交通が阻害されにくくなる。
他方で、ステップS22の判定の結果、第1時間Tc1が経過した時点で信号機2の灯色が青色でないと判定される場合には(ステップS22:No)、通過支援部142は、ステップS11で取得された信号情報(特に、タイミング情報)及びステップS21で算出した第2時間Tc2に基づいて、第2時間Tc2が経過した時点で信号機2の灯色が青色であるか否かを判定する(ステップS23)。
ステップS23の判定の結果、第2時間Tc2が経過した時点で信号機2の灯色が青色であると判定される場合には(ステップS23:Yes)、車両1は、加速することで停止することなく信号機2を通過することができる。このため、通過支援部142が生成する支援情報は、加速操作を行うことを搭乗者に推奨する支援情報となる。この場合には、状態判定部144は、ステップS13で取得された検出情報が、上述した第1条件とは異なる第2条件を満たしているか否かを判定する(ステップS42)。
第2条件は、搭乗者がブレーキペダルを操作していない(具体的には、ブレーキペダルの操作量がゼロである)という条件#21を含む。第2条件は、更に、車両1が減速していない(つまり、車両1の加速度Aがゼロ未満でない)という条件#22を含む。第2条件は、更に、車両1の横加速度が第5閾値以下である(つまり、横Gが大きくない)という条件#23を含む。尚、第5閾値は、予め定められた又は状態判定部144が適宜設定可能な定数である。第2条件は、更に、車両1の車速Vが、車両1の周囲に存在する他の車両の車速と比較して過度に速くない(具体的には、他の車両の車速に基づいて設定される第6閾値V2max以下である)という条件#24を含む。尚、第6閾値V2maxは、上述した第4閾値V1maxの設定態様と同様の設定態様で設定されてもよい。
ステップS42の判定の結果、検出情報が第2条件を満たしていると判定された場合には(ステップS42:Yes)、状態判定部144は、ディスプレイ145が支援情報を表示するべきであると判定する。従って、この場合には、ディスプレイ145は、加速操作を行うことを搭乗者に推奨する支援情報を表示する(ステップS26)。他方で、ステップS42の判定の結果、検出情報が第2条件を満たしていないと判定された場合には(ステップS42:No)、状態判定部144は、ディスプレイ145が支援情報を表示するべきでないと判定する。従って、この場合には、ディスプレイ145は、加速操作を行うことを搭乗者に推奨する支援情報を表示しない。
第2条件のうち搭乗者がブレーキペダルを操作していないという条件#21が満たされない場合には、搭乗者は、車両1を減速させようとしている意思を有している可能性が相対的に高い。このような場合に加速操作を推奨する支援情報が表示されると、搭乗者は、搭乗者自身の意思に応じた運転操作に反した運転操作を推奨する支援情報の表示に対して煩わしさを感じる可能性がある。このため、本実施形態では、条件#21が満たされない場合には、搭乗者自身の意思に応じた運転操作に反した加速操作を推奨する支援情報が表示されない。その結果、搭乗者が感じる煩わしさが低減される。
第2条件のうち車両1が減速していないという条件#22が満たされない場合にも、搭乗者は、車両1を減速させるという意思を有している可能性が相対的に高い。従って、本実施形態では、条件#22が満たされない場合には、搭乗者自身の意思に応じた運転操作に反した加速操作を推奨する支援情報が表示されない。その結果、搭乗者が感じる煩わしさが低減される。
横加速度が第5閾値以下であるという条件#23が満たされない場合には、上述したように、搭乗者は、安全確保のために車両1を減速させる(或いは、加速させない)という意思を有している可能性が相対的に高い。従って、本実施形態では、条件#23が満たされない場合には、搭乗者自身の意思に応じた運転操作に反した加速操作を推奨する支援情報が表示されない。その結果、搭乗者が感じる煩わしさが低減される。
車速Vが第6閾値V2max以下であるという条件#24が満たされない場合には、加速操作を推奨する支援情報が表示されると、搭乗者は、支援情報に従って、加速操作を行う可能性がある。しかしながら、支援情報が表示された時点で車速Vが既に相対的に速いがゆえに、車両1は、車両1の周辺に位置する他の車両の円滑な交通を阻害してしまう可能性がある。従って、本実施形態では、条件#24が満たされない場合には、他の車両の円滑な交通を阻害する可能性がある加速操作を推奨する支援情報が表示されない。その結果、他の車両の円滑な交通が阻害されにくくなる。
他方で、ステップS23の判定の結果、第2時間Tc2が経過した時点で信号機2の灯色が青色でないと判定される場合には(ステップS23:No)、通過支援部142は、ステップS11で取得された信号情報(特に、タイミング情報)及びステップS21で算出した第3時間Tc3に基づいて、第3時間Tc3が経過した時点で信号機2の灯色が青色であるか否かを判定する(ステップS24)。
ステップS24の判定の結果、第3時間Tc3が経過した時点で信号機2の灯色が青色であると判定される場合には(ステップS24:Yes)、車両1は、減速することで停止することなく信号機2を通過することができる。このため、通過支援部142が生成する支援情報は、減速操作を行うことを搭乗者に推奨する支援情報となる。従って、ディスプレイ145は、減速操作を行うことを搭乗者に推奨する支援情報を表示する(ステップS27)。
他方で、ステップS24の判定の結果、第3時間Tc3が経過した時点で信号機2の灯色が青色でないと判定される場合には(ステップS24:Yes)、車両1は、停止することなく信号機2を通過することができない。このため、通過支援部142が生成する支援情報は、停止操作を行うことを搭乗者に推奨する支援情報となる。従って、ディスプレイ145は、減停止作を行うことを搭乗者に推奨する支援情報を表示する(ステップS28)。
その後、通過支援部142は、信号通過支援動作を終了するか否かを判定する(ステップS29)。例えば、信号通過支援動作を実行可能な実行条件が成立しなくなった場合には、通過支援部142は、信号通過支援動作を終了すると判定する。例えば、搭乗者が信号通過支援動作の終了を要求している場合には、通過支援部142は、信号通過支援動作を終了すると判定する。
ステップS29の判定の結果、信号通過支援動作を終了すると判定される場合には(ステップS29:Yes)、信号通過支援装置14は、図2に示す信号通過支援動作を終了する。この場合、信号通過支援装置14は、所定期間が経過した後に、図2に示す信号通過支援動作を再度開始してもよい。他方で、ステップS29の判定の結果、信号通過支援動作を終了しないと判定される場合には(ステップS29:No)、信号通過支援装置14は、ステップS111以降の動作を再度繰り返す。
以上説明したように、本実施形態では、車速維持操作を推奨する支援情報を表示するべきか否かを判定するために用いられる第1条件は、加速操作を推奨する支援情報を表示するべきか否かを判定するために用いられる第2条件とは異なる。従って、車速維持操作を推奨する支援情報を表示するべきか否かを判定するために用いられる第1条件が、加速操作を推奨する支援情報を表示するべきか否かを判定するために用いられる第2条件と同一である比較例の信号通過支援装置と比較して、支援情報の表示に対して搭乗者が感じる煩わしさが低減される。或いは、表示された支援情報に従って走行する車両1が、当該車両1の周囲に位置する他の車両の円滑な交通を阻害してしまう可能性が小さくなる。
上述した実施形態では、支援情報は、ディスプレイ145によって画像として表示される。しかしながら、支援情報は、スピーカによって音声として出力されてもよい。或いは、支援情報は、搭乗者が支援情報を認識することが可能な任意の出力態様で出力されてもよい。
上述した実施形態では、状態判定部144は、支援情報が車速維持操作又は加速操作を行うことを推奨する場合に、検出情報が所定条件(つまり、第1又は第2条件)を満たすか否かを判定している。しかしながら、状態判定部144は、支援情報が減速操作を行うことを推奨する場合(つまり、図2のステップS24においてYesと判定される場合)に、検出情報が所定条件の一具体例である第3条件を満たすか否かを判定してもよい。この場合に、ディスプレイ145は、検出情報が第3条件を満たす場合に支援情報を表示する一方で、検出情報が第3条件を満たさない場合に支援情報を表示してなくてもよい。同様に、状態判定部144は、支援情報が停止操作を行うことを推奨する場合(つまり、図2のステップS24においてNoと判定される場合)に、検出情報が所定条件の一具体例である第4条件を満たすか否かを判定してもよい。この場合に、ディスプレイ145は、検出情報が第4条件を満たす場合に支援情報を表示する一方で、検出情報が第4条件を満たさない場合に支援情報を表示してなくてもよい。
上述した所定条件(つまり、第1及び第2条件)はあくまで一例である。従って、状態判定部144は、ディスプレイ145が支援情報を表示するべきであるか否かを判定するために、検出情報が上述した所定条件とは異なる他の条件を満たすか否かを判定してもよい。
上述した実施形態では、センサ12は、搭乗者の運転操作の内容及び車両1の状態の夫々を検出している。従って、第1及び第2条件の夫々もまた、搭乗者の運転操作の内容及び車両1の状態の双方に関連する条件である。しかしながら、センサ12は、搭乗者の運転操作の内容及び車両1の状態のうちの一方を検出する一方で、搭乗者の運転操作の内容及び車両1の状態のうちの他方を検出しなくてもよい。この場合、第1及び第2条件の夫々もまた、搭乗者の運転操作の内容及び車両1の状態のうちの一方に関連する条件であってもよい。
尚、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う信号通過支援装置もまた本発明の技術思想に含まれる。