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JP6590457B2 - 車両駆動制御装置及び車両駆動制御方法 - Google Patents

車両駆動制御装置及び車両駆動制御方法 Download PDF

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JP6590457B2 JP2015148062A JP2015148062A JP6590457B2 JP 6590457 B2 JP6590457 B2 JP 6590457B2 JP 2015148062 A JP2015148062 A JP 2015148062A JP 2015148062 A JP2015148062 A JP 2015148062A JP 6590457 B2 JP6590457 B2 JP 6590457B2
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Description

本発明は、回転電機と電力変換器とを搭載した車両の駆動を制御する、車両駆動制御装置及び車両駆動制御方法に関する。
電気自動車やハイブリッド自動車等には、車両を駆動するための回転電機と、該回転電機を駆動するための電力変換器が搭載されている。電力変換器においては、スイッチング素子のスイッチングに伴い、機器とグランドとの間にコモンモードノイズが発生する。このコモンモードノイズを抑制するために、特許文献1に記載の電力変換器は、グランドとの間に、ノイズ吸収用コンデンサを接続している。
特開2007−12769号公報
しかしながら、発生するコモンモードノイズが大きいと、ノイズ吸収用コンデンサの容量を大きくする必要があり、大型化、高コスト化が必要となる。それゆえ、発生するコモンモードノイズ自体の大きさを抑制することが求められる。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、コモンモードノイズを抑制することができる車両駆動制御装置及び車両駆動制御方法を提供しようとするものである。
本発明の第1の態様は、走行する車両の駆動を制御する車両駆動制御装置であって、
回転子と固定子とを備えた、車両駆動用の回転電機と、
直流電力を交流電力に変換して上記回転電機を駆動する電力変換器と、
該電力変換器を制御する制御部と、を有し、
上記制御部は、少なくとも、上記車両の始動時において、上記固定子における電気コイルに流す電流のうち、上記回転子のd軸方向の磁束を発生させるd軸電流と、上記回転子のq軸方向の磁束を発生させるq軸電流とを、上記d軸電流の絶対値が上記q軸電流の絶対値以上となるように、上記電力変換器を制御するよう構成されており、
上記制御部は、少なくとも、上記車両の始動時において、上記d軸電流の絶対値が上記q軸電流の絶対値以上となる始動時q軸電流抑制期間を設けるように、上記電力変換器を制御するよう構成されている、車両駆動制御装置にある。
本発明の第2の態様は、走行する車両の駆動を制御する車両駆動制御装置であって、
回転子と固定子とを備えた、車両駆動用の回転電機と、
直流電力を交流電力に変換して上記回転電機を駆動する電力変換器と、
該電力変換器を制御する制御部と、を有し、
上記制御部は、少なくとも、上記車両の停止時において、上記固定子における電気コイルに流す電流のうち、上記回転子のd軸方向の磁束を発生させるd軸電流と、上記回転子のq軸方向の磁束を発生させるq軸電流とを、上記d軸電流の絶対値が上記q軸電流の絶対値以上となるように、上記電力変換器を制御するよう構成されており、
上記制御部は、少なくとも、上記車両の停止時において、上記d軸電流の絶対値が上記q軸電流の絶対値以上となる停止時q軸電流抑制期間を設けるように、上記電力変換器を制御するよう構成されている、車両駆動制御装置にある。
本発明の第3の態様は、回転子と固定子とを備えた回転電機と、直流電力を交流電力に変換して上記回転電機を駆動する電力変換器とを搭載し、上記回転電機によって走行する車両の駆動を制御する方法であって、
少なくとも、上記車両の始動時において、上記固定子における電気コイルに流す電流のうち、上記回転子のd軸方向の磁束を発生させるd軸電流と、上記回転子のq軸方向の磁束を発生させるq軸電流とを、上記d軸電流の絶対値が上記q軸電流の絶対値以上となるように、上記電力変換器を制御し、
少なくとも、上記車両の始動時において、上記d軸電流の絶対値が上記q軸電流の絶対値以上となる始動時q軸電流抑制期間を設けるように、上記電力変換器を制御する、車両駆動制御方法にある。
本発明の第4の態様は、回転子と固定子とを備えた回転電機と、直流電力を交流電力に変換して上記回転電機を駆動する電力変換器とを搭載し、上記回転電機によって走行する車両の駆動を制御する方法であって、
少なくとも、上記車両の停止時において、上記固定子における電気コイルに流す電流のうち、上記回転子のd軸方向の磁束を発生させるd軸電流と、上記回転子のq軸方向の磁束を発生させるq軸電流とを、上記d軸電流の絶対値が上記q軸電流の絶対値以上となるように、上記電力変換器を制御し、
少なくとも、上記車両の停止時において、上記d軸電流の絶対値が上記q軸電流の絶対値以上となる停止時q軸電流抑制期間を有するように、上記電力変換器を制御する、車両駆動制御方法にある。
上記車両駆動制御装置において、上記制御部は、車両の始動時及び停止時の少なくとも一方において、d軸電流の絶対値がq軸電流の絶対値以上となるように、上記電力変換器を制御する。これにより、車両の始動時及び停止時の少なくとも一方における、回転電機のトルクを小さく抑制しつつ、回転電機へ供給する電流を大きく維持することができる。その結果、電力変換器における複数のスイッチングのタイミングを分散することができる。これにより、スイッチングに起因するコモンモードノイズを低減することができる。
なお、上記の作用効果については、後述する実施形態の説明において詳述する。
以上のごとく、上記態様によれば、コモンモードノイズを抑制することができる車両駆動制御装置及び車両駆動制御方法を提供することができる。
実施形態1における、車両駆動制御装置の概念図。 実施形態1における、回転電機の説明図。 実施形態1における、制御部の説明図。 実施形態1における、キャリア波及び信号波と、ノイズ電流の発生タイミングとを表す線図。 一般的な制御における、キャリア波及び信号波と、ノイズ電流の発生タイミングとを表す線図。 一般的な制御における、始動時及び停止時の電流制御の説明図。 実施形態1における、始動時及び停止時の電流制御の説明図。 実施形態2における、始動時及び停止時の電流制御の説明図。 実施形態3における、始動時及び停止時の電流制御の説明図。
(実施形態1)
車両駆動制御装置及び車両駆動制御方法の実施形態につき、図1〜図7を用いて説明する。
本実施形態の車両駆動制御装置1は、図1、図2に示すごとく、回転子21と固定子22とを備えた車両用の回転電機2と、直流電力を交流電力に変換して回転電機2を駆動する電力変換器3と、電力変換器3を制御する制御部4とを有する。
制御部4は、車両の始動時及び停止時の少なくとも一方において、d軸電流Idの絶対値がq軸電流Iqの絶対値以上となるように、電力変換器3を制御するよう構成されている。d軸電流Idは、固定子22における電気コイル23に流す電流のうち、回転子21のd軸方向の磁束を発生させる電流である。また、q軸電流Iqは、固定子22における電気コイル23に流す電流のうち、回転子21のq軸方向の磁束を発生させる電流である。
本実施形態の車両駆動制御装置1は、電気自動車やハイブリッド自動車等の駆動に用いられる。すなわち、回転電機2は、車両駆動用の回転電機である。なお、車両駆動制御装置1をハイブリッド自動車に適用する場合、特に、回転電機(モータ)のみによる車両始動が可能なハイブリッド自動車に、車両駆動制御装置1は適用される。
また、回転電機2は、三相交流の回転電機である。図2に示すごとく、回転電機2の回転子21は、磁性体からなるロータコア211に、複数の永久磁石212が埋め込まれている。すなわち、回転電機2は、埋込磁石同期モータ(IPMSM:Interior Permanent Magnet Synchronous Motor)である。
各永久磁石212は、回転子21の軸方向から見た形状が略長方形であり、その長辺部分の面が磁極面となっている。そして、隣り合う一対の永久磁石212は、それらの外周側の磁極面同士が互いに鈍角をなすように配置されている。
互いの一端部を近接させて配置された一対の永久磁石212同士は、同じ磁極(N極、S極)の磁極面同士がそれぞれ外周側と内周側との同じ側を向くように、配置してある。この一対の永久磁石212(磁石対)が、8対、回転子21の周方向に配列されている。また、複数の磁石対は、外周側の磁極が交互にN極とS極となるように配置されている。また、これら複数の磁石対は、等間隔で周状に配列されている。ロータコア21は、磁石対を構成する一対の永久磁石212の間の間隔よりも、隣り合う磁石対の間の間隔が大きくなっている。
そして、回転子21の中心を通り、磁石対を構成する一対の永久磁石212の間を通る直線がd軸である。また、回転子21の中心を通り、隣り合う磁石対の間を通過する直線がq軸である。図2において、符号dを付した軸がd軸であり、符号qを付した軸がq軸である。d軸は、磁石対が作る磁束の方向を向く軸であり、q軸は、電気的、磁気的にd軸に直交する軸である。なお、d軸及びq軸は、それぞれ複数本(本実施形態においては各8本)存在し、符号d、qを付した直線以外にも、d軸、q軸は存在する。
回転電機2の固定子22は、磁性体からなるステータコア221と、該ステータコア221に形成された複数のスロット222に挿通されながら巻回された電気コイル23とを有する。電気コイル23としては、互いに電気的に独立した、U相の電気コイル23uと、V相の電気コイル23vと、W相の電気コイル23wとがある。これらの電気コイル23は、いわゆる分布巻きの状態で、ステータコア221に巻かれている。なお、電気コイル23の巻き方は、いわゆる集中巻きであってもよい。
図1に示すごとく、電力変換器3は、直流電源11の直流電力を、三相交流電力に変換して回転電機2へ供給するインバータである。電力変換器3は、少なくとも6個のスイッチング素子31を備えている。電力変換器3は、2個のスイッチング素子31を直列接続して構成されたアームを3つ有する。各アームは、直流電源11の正極に接続された高電位配線321と、直流電源11の負極に接続された低電位配線322との間に、それぞれ接続されている。そして、各アームにおける2つのスイッチング素子31の間と、回転電機2とを、3本の出力配線33がそれぞれ接続している。スイッチング素子31は、例えばIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)、MOSFET(MOS型電界効果トランジスタ)等によって構成することができる。また、各スイッチング素子31には、フライホイールダイオード35が逆並列接続されている。
また、直流電源11と電力変換器3との間には、平滑コンデンサ12が、高電位配線321と低電位配線322との間に懸架されるように接続されている。なお、直流電源11と平滑コンデンサ12との間には、昇圧コンバータ(図示略)を設けてあってもよい。
3本の出力配線33は、それぞれ、回転電機2の3種類の電気コイル23に接続されている。すなわち、出力配線33u、33v、33wは、それぞれ、U相の電気コイル23u、V相の電気コイル23v、W相の電気コイル23wに接続されている。また、各出力配線33u、33v、33wには、各出力配線33u、33v、33wに流れる電流を検出する電流センサ34が取り付けられている。電流センサ34によって測定された電流値Iu、Iv、Iwの信号は、制御部4に送られるよう構成されている。
制御部4は、電力変換器3を制御する。すなわち、制御部4は、ECU(電子制御ユニット:図示略)からのトルク指令値Tと、電流センサ34から得られる電流値Iu、Iv、Iwと、回転電機2の回転角センサ24から得られる回転子21の回転角θとに基づき、電力変換器3を通じて回転電機2をベクトル制御にて制御する。
ベクトル制御は、回転電機2の固定子22の全体に供給される電流(以下、モータ電流という。)を、d軸電流とq軸電流とに分解し、d軸電流とq軸電流とを独立に制御する制御方法である。ここで、d軸電流は、上述の回転子21を基準としたd軸方向に磁束を生じさせる電流成分である。また、q軸電流は、上述の回転子21を基準としたq軸方向に磁束を生じさせる電流成分である。
具体的には、図3に示すごとく、制御部4は、トルク指令値Tに基づき、回転電機2に所定のトルクを生じさせるように、回転電機2に流す電流の大きさや流し方を決める。すなわち、トルク指令値Tに基づき、必要とするトルクを生じさせるにあたっての理想のd軸電流Id0及びq軸電流Iq0の値を決定する。
また、制御部4は、検出された電流値Iu、Iv、Iwを座標変換することで、d軸電流及びq軸電流に変換する。すなわち、3相の電流値Iu、Iv、Iwを2相に変換(いわゆるクラーク変換)した後、さらに、回転角θを用いて回転座標変換(いわゆるパーク変換)を行う。これにより、検出された電流値Iu、Iv、Iwから、実際のd軸電流Id1及びq軸電流Iq1が得られる。
次いで、制御部4は、Id1、Iq1を、それぞれ理想とするId0、Iq0と比較して、PI制御を行い、d軸電圧Vd、q軸電圧Vqを得る。ここで、PI制御は、Id1、Iq1と、Id0、Iq0との比較に基づき、比例制御と積分制御とを行うことにより、モータ電流の大きさを調整する制御である。
このようにして得られた、d軸電圧Vd、q軸電圧Vqを、座標変換(いわゆる逆パーク変換)した後、空間ベクトル変換することで、電圧指令値Vu、Vv、Vwを得る。電圧指令値Vu、Vv、Vwは、それぞれ、図4に示すように、互いに120°の位相差をもって正弦波を描くように時間変化する。これらの正弦波を、信号波Eu、Ev、Ewという。
また、図3に示すごとく、制御部4は、キャリア波生成部41を備える。キャリア波生成部41において、図4の符号Cに示すキャリア波が生成される。
そして、制御部4は、各時点において、キャリア波Cの値と信号波Eu、Ev、Ewの値(電圧指令値Vu、Vv、Vw)とを比較する。この比較の結果に基づき、各スイッチング素子31に、適宜、オンオフのスイッチング制御信号Su+、Su−、Sv+、Sv−、Sw+、Sw−を送信する。
具体的には、プラス側においてVuの絶対値がキャリア波Cの値の絶対値よりも大のとき、電力変換器3におけるU相の上アームがスイッチオンとなるように、スイッチング素子31へスイッチング制御信号Su+を送る。また、マイナス側においてVuの絶対値がキャリア波Cの値の絶対値よりも大のとき、電力変換器3におけるU相の下アームがスイッチオンとなるように、スイッチング素子31へスイッチング制御信号Su−を送る。つまり、図4のプラス側(L0の上側)において、キャリア波Cよりも信号波Euが上側のときと下側のときとで、U相の上アームのスイッチを、それぞれ、オン、オフとなるようにする。また、図4のマイナス側(L0の下側)において、キャリア波Cよりも信号波Euが下側のときと上側のときとで、U相の下アームのスイッチを、それぞれ、オン、オフとなるようにする。
Vv、Vwについても同様に、キャリア波Cとの比較をすることにより、制御部4は、V相アーム、W相アームにおけるスイッチング素子31に、適宜スイッチング制御信号Sv+、Sv−、Sw+、Sw−を送る。このように、スイッチング素子31をPWM(Pulse Width Modulation)制御することで、回転電機2を駆動制御する。
上記のような制御であるため、図4に示す信号波Eu、Ev、Ewとキャリア波Cとの交点において、スイッチング素子31のスイッチング(すなわち、オンオフの切り替え)が行われることとなる。それゆえ、この信号波Eu、Ev、Ewとキャリア波Cとが交差するタイミングにおいて、スイッチングに伴うコモンモードノイズ(以下、適宜、ノイズともいう。)が発生することとなる。このノイズは、回転電機2の3種の電気コイル23u、23v、23wに、それぞれノイズ電流iv、iv、iwとして流れるが、タイミングが重なると、これらが重畳してスパイク状の大きなノイズとなり得る。
図4に示すごとく、電圧指令値Vu、Vv、Vwがある程度大きく、信号波Eu、Ev、Ewの振幅がある程度大きいとき、すなわち、電力変換器3の変調率がある程度大きいときは、U相アーム、V相アーム、W相アームのそれぞれのスイッチングに伴うノイズが時間的に分散している。
しかし、車両の始動時及び停止時は、回転電機2の回転数が低く、誘起電圧が小さいうえに、トルク指令値Tを小さくすることとなる。車両の急発進、急停止を防ぐためである。このとき、通常の制御を行う場合には、図5に示すごとく、変調率が小さくなる。そうすると、信号波Eu、Ev、Ewとキャリア波Cとが交差するタイミングが、U相、V相、W相の間で極めて近くなり、ノイズ電流iv、iv、iwが重なってしまうことがある。その結果、スパイク状の大きなノイズ電流が流れるおそれがある。この大きなノイズ電流に起因して、大きな電磁ノイズがラジオノイズとして放射され、他の機器に影響を与えるおそれがある。
本実施形態の車両駆動制御装置1は、このような事態が生じないように、車両の始動時及び停止時において、トルク指令値Tを小さくしても、電力変換器3の変調率が低下しないような制御を行う。すなわち、信号波Eu、Ev、Ewが、図5ではなく図4に示すような、振幅の大きい波形となるような制御を行う。このことにつき、以下に説明する。
まず、回転電機2のトルクは、磁石トルクとリラクタンストルクとの和となる。磁石トルクは、回転子21における永久磁石212(磁石対)による磁束と、固定子22における電気コイル23に流すq軸電流Iqとの積に比例する。また、リラクタンストルクは、固定子22における電気コイル23に流すd軸電流Idとq軸電流Iqとの積に比例する。また、回転電機2全体に供給されるモータ電流は、d軸電流Idとq軸電流Iqの二乗和の平方根に比例する。電圧指令値Vu、Vv、Vwの大きさは、モータ電流の大きさが大きいほど、大きい。
したがって、モータ電流のうち、d軸電流Idよりもq軸電流Iqの方が、回転電機2のトルクには大きく寄与する。つまり、q軸電流Iqの絶対値を小さく抑えつつ、d軸電流Idの絶対値を大きくすることにより、トルクを小さく抑制しつつモータ電流を大きくすることができる。ECUから制御部4が受けるトルク指令値Tが小さくなっても、モータ電流をある程度大きい値に設定することは可能である。したがって、q軸電流Iqの絶対値を小さく抑えつつ、d軸電流Idの絶対値を大きくすることにより、電圧指令値Vu、Vv、Vwを大きく設定することができ、電力変換器3の変調率を大きく保つことができる。
その結果、図4に示すごとく、キャリア波Cと信号波Eu、Ev、Ewとの交点を分散させることができ、ノイズ電流が重なることを防ぐことができる。
上述のように、d軸電流Idよりもq軸電流Iqの方が、回転電機2のトルクには大きく寄与するため、一般的な制御では、電力効率を考慮して、図6に示すごとく、|Id|<|Iq|として、d軸電流Idを抑えつつ、q軸電流Iqを大きくする。図6において、T0〜T7は、車両の始動時において経時的に変化するトルク指令値を表しており、T0からT7に向かうにつれて、徐々にトルクが大きくなる。そして、図6のグラフにおいて、T0〜T7の各プロットの座標が、各トルク指令値に対するd軸電流Idの値およびq軸電流Iqの値を示す。すなわち、各プロットの横軸座標がd軸電流Idの値を示し、縦軸座標がq軸電流Iqの値を示す。
同図から分かるように、一般的な制御の場合、q軸電流Iqがd軸電流Idよりも大きくなるように、ベクトル制御を行っている。すなわち、ベクトル制御にあたっては、上述のId0とIq0とを、|Id0|<|Iq0|となるように決定するのが、一般的な制御となる。なお、図6において、T0は、トルク指令値がゼロであり、回転電機2への通電開始前の状態である。
これに対し、本実施形態の制御を、図7に示す。この制御では、始動時のトルク指令値T1〜T4に対しては、|Id|>|Iq|としている。すなわち、ベクトル制御にあたっては、上述のId0とIq0とを、|Id0|>|Iq0|となるように決定する。
なお、「始動時」とは、車両が停止している状態から発進するときのことであり、車両が動き始めた時点からの所定の時間をいう。そして、この時間は特に限定されるものではないが、例えば3秒間程度である。また、後述する「停止時」とは、車両が走行状態から停止するときのことであり、車両が停止した時点までの所定の時間をいう。そして、この時間も特に限定されるものではないが、例えば3秒間程度である。
上記のように、制御部4は、車両の始動時において、d軸電流Idの絶対値がq軸電流Iqの絶対値以上となる始動時q軸電流抑制期間を有するように、電力変換器3を制御するよう構成されている。つまり、トルク指令値がT1からT4までの間は、少なくとも、上記始動時q軸電流抑制期間となっている。
ただし、トルク指令値T5以降のトルク指令値に対しては、|Id|<|Iq|となっている。つまり、制御部4は、始動時q軸電流抑制期間の後に、q軸電流Iqの絶対値がd軸電流Idの絶対値よりも大きいd軸電流抑制期間を設けるように、電力変換器3を制御するよう構成されている。
これにより、電力効率を高めることができる。つまり、トルク指令値がある程度大きくなれば、モータ電流も大きくなり、電力変換器3の変調率が充分に大きくなる。それゆえ、敢えて|Id|>|Iq|としなくても、変調率を確保でき、ノイズが重なることもなくなる。したがって、ある程度トルク指令値が大きくなった段階では、|Id|<|Iq|とするd軸電流抑制期間とすることにより、電力消費を抑えることができる。つまり、トルクに寄与しやすいq軸電流Iqの割合を大きくすることで、電力効率の高い運転を可能とする。
制御部4は、車両の停止時においても、|Id|>|Iq|となるように、d軸電流Idとq軸電流Iqとを制御している。すなわち、車両の停止時にも、回転電機2のトルクが徐々に小さくなるように、トルク指令値Tを、徐々に小さくする。つまり、例えば、図6、図7において、T7からT6、T5、T4、T3、T2、T1を経て、T0に至るように、トルク指令値を徐々に小さくすることとなる。この場合も、一般的な制御は、図6に示すように、|Id|<|Iq|となる状態で、d軸電流Idとq軸電流Iqとを制御する。しかし、本実施形態の車両駆動制御装置1においては、車両の停止時においても、図7に示すごとく、|Id|>|Iq|となるように、d軸電流Idとq軸電流Iqとを制御している。
このように、制御部4は、車両の停止時においても、d軸電流Idの絶対値がq軸電流Iqの絶対値以上となる停止時q軸電流抑制期間を有するように、電力変換器3を制御するよう構成されている。
また、制御部4は、停止時q軸電流抑制期間の前に、q軸電流Iqの絶対値がd軸電流Idの絶対値よりも大きいd軸電流抑制期間を設けるように、電力変換器3を制御するよう構成されている。つまり、本実施形態の車両駆動制御装置1による制御は、車両の始動から停止に至るまでの間、始動時q軸電流抑制期間、d軸電流抑制期間、停止時q軸電流抑制期間の順に切り替わることとなる。
上述のように、上記車両駆動制御装置1において、制御部4は、車両の始動時及び停止時において、|Id|≧|Iq|となるように、電力変換器2を制御する。これにより、車両の始動時及び停止時における、回転電機3のトルクを小さく抑制しつつ、回転電機3へ供給する電流を大きく維持することができる。その結果、電力変換器2における複数のスイッチングのタイミングを分散することができる。これにより、スイッチングに起因するコモンモードノイズを低減することができる。
これに伴い、コモンモードノイズを吸収するコンデンサを小さくしたり、場合によってはなくしたりすることもできる。その結果、車両駆動制御装置の小型化、低コスト化も可能となる。
以上のごとく、本実施形態によれば、コモンモードノイズを抑制することができる車両駆動制御装置及び車両駆動制御方法を提供することができる。
(実施形態2)
本実施形態は、図8に示すごとく、始動時q軸電流抑制期間及び停止時q軸電流抑制期間における、d軸電流Id及びq軸電流Iqの値の変化のさせ方を変更した例である。
なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
本実施形態においては、始動時及び停止時において、d軸電流Idをプラス側に大きくしている。つまり、実施形態1においては、図7に示すごとく、d軸電流Idをマイナス側に大きくするようにしているが、本実施形態においては、図8に示すごとく、プラス側にd軸電流Idを大きくしている。その他は、始動時及び停止時において|Id|>|Iq|としている点を含め、実施形態1と同様である。
本実施形態においても、実施形態1と同様の作用効果を得ることができる。
(実施形態3)
本実施形態は、図9に示すごとく、始動時q軸電流抑制期間及び停止時q軸電流抑制期間において、d軸電流の絶対値をq軸電流Iqの絶対値と同等とした実施形態である。
すなわち、始動時q軸電流抑制期間又は停止時q軸電流抑制期間において、|Id|=|Iq|としている。その他は、実施形態1と同様である。
本実施形態の場合には、始動時及び停止時におけるモータ電流中のd軸電流の割合が、実施形態1、実施形態2に比べて小さいため、電力変換器3の変調率が比較的小さくなるが、一般的な制御(図6)に比べれば、変調率を大きくすることができ、コモンモードノイズを低減することができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。例えば、|Id|≧|Iq|となるような制御を、始動時のみ、又は停止時のみに行うよう構成することもできる。特に、コモンモードノイズは車両始動時に生じやすいという傾向があるため、始動時のみに、|Id|≧|Iq|となるような制御を行うことは、有効であるといえる。
1 車両駆動制御装置
2 回転電機
21 回転子
212 永久磁石
3 電力変換器
4 制御部

Claims (8)

  1. 走行する車両の駆動を制御する車両駆動制御装置(1)であって、
    回転子(21)と固定子(22)とを備えた、車両駆動用の回転電機(2)と、
    直流電力を交流電力に変換して上記回転電機を駆動する電力変換器(3)と、
    該電力変換器を制御する制御部(4)と、を有し、
    上記制御部は、少なくとも、上記車両の始動時において、上記固定子における電気コイル(23)に流す電流のうち、上記回転子のd軸方向の磁束を発生させるd軸電流(Id)と、上記回転子のq軸方向の磁束を発生させるq軸電流(Iq)とを、上記d軸電流の絶対値が上記q軸電流の絶対値以上となるように、上記電力変換器を制御するよう構成されており、
    上記制御部は、少なくとも、上記車両の始動時において、上記d軸電流の絶対値が上記q軸電流の絶対値以上となる始動時q軸電流抑制期間を設けるように、上記電力変換器を制御するよう構成されている、車両駆動制御装置。
  2. 上記制御部は、上記始動時q軸電流抑制期間の後に、上記q軸電流の絶対値が上記d軸電流の絶対値よりも大きいd軸電流抑制期間を設けるように、上記電力変換器を制御するよう構成されている、請求項に記載の車両駆動制御装置。
  3. 走行する車両の駆動を制御する車両駆動制御装置(1)であって、
    回転子(21)と固定子(22)とを備えた、車両駆動用の回転電機(2)と、
    直流電力を交流電力に変換して上記回転電機を駆動する電力変換器(3)と、
    該電力変換器を制御する制御部(4)と、を有し、
    上記制御部は、少なくとも、上記車両の停止時において、上記固定子における電気コイル(23)に流す電流のうち、上記回転子のd軸方向の磁束を発生させるd軸電流(Id)と、上記回転子のq軸方向の磁束を発生させるq軸電流(Iq)とを、上記d軸電流の絶対値が上記q軸電流の絶対値以上となるように、上記電力変換器を制御するよう構成されており、
    上記制御部は、少なくとも、上記車両の停止時において、上記d軸電流の絶対値が上記q軸電流の絶対値以上となる停止時q軸電流抑制期間を設けるように、上記電力変換器を制御するよう構成されている、車両駆動制御装置。
  4. 上記制御部は、上記停止時q軸電流抑制期間の前に、上記q軸電流の絶対値が上記d軸電流の絶対値よりも大きいd軸電流抑制期間を設けるように、上記電力変換器を制御するよう構成されている、請求項に記載の車両駆動制御装置。
  5. 回転子と固定子とを備えた回転電機と、直流電力を交流電力に変換して上記回転電機を駆動する電力変換器とを搭載し、上記回転電機によって走行する車両の駆動を制御する方法であって、
    少なくとも、上記車両の始動時において、上記固定子における電気コイルに流す電流のうち、上記回転子のd軸方向の磁束を発生させるd軸電流と、上記回転子のq軸方向の磁束を発生させるq軸電流とを、上記d軸電流の絶対値が上記q軸電流の絶対値以上となるように、上記電力変換器を制御し、
    少なくとも、上記車両の始動時において、上記d軸電流の絶対値が上記q軸電流の絶対値以上となる始動時q軸電流抑制期間を設けるように、上記電力変換器を制御する、車両駆動制御方法。
  6. 上記始動時q軸電流抑制期間の後に、上記q軸電流の絶対値が上記d軸電流の絶対値よりも大きいd軸電流抑制期間を設けるように、上記電力変換器を制御する、請求項に記載の車両駆動制御方法。
  7. 回転子と固定子とを備えた回転電機と、直流電力を交流電力に変換して上記回転電機を駆動する電力変換器とを搭載し、上記回転電機によって走行する車両の駆動を制御する方法であって、
    少なくとも、上記車両の停止時において、上記固定子における電気コイルに流す電流のうち、上記回転子のd軸方向の磁束を発生させるd軸電流と、上記回転子のq軸方向の磁束を発生させるq軸電流とを、上記d軸電流の絶対値が上記q軸電流の絶対値以上となるように、上記電力変換器を制御し、
    少なくとも、上記車両の停止時において、上記d軸電流の絶対値が上記q軸電流の絶対値以上となる停止時q軸電流抑制期間を有するように、上記電力変換器を制御する、車両駆動制御方法。
  8. 上記停止時q軸電流抑制期間の前に、上記q軸電流の絶対値が上記d軸電流の絶対値よりも大きいd軸電流抑制期間を設けるように、上記電力変換器を制御する、請求項に記載の車両駆動制御方法。
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