JP6558572B2 - ステアリング装置 - Google Patents
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Description
なお、上記において、括弧内の数字などは、後述する実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
図1は、本発明の一実施形態に係るステアリング装置1の概略構成を示す側面図である。図1において、紙面左側が、ステアリング装置1が取り付けられる車体2の前側であり、紙面右側が車体2の後側であり、紙面上側が車体2の上側であり、紙面下側が車体2の下側である。
ステアリングシャフト3では、その後端である一端3Aに、ステアリングホイールなどの操舵部材11が連結される。ステアリングシャフト3において、その前端である他端3Bは、自在継手12、インターミディエイトシャフト13および自在継手14を順に介して、転舵機構15のピニオン軸16に連結されている。
ステアリングシャフト3は、車体2の前後方向に延びている。以下では、ステアリングシャフト3が延びる方向を、ステアリングシャフト3の軸方向Xという。軸方向Xは、他端3Bが一端3Aよりも低くなるように水平方向に対して傾斜している。軸方向Xにおいて一端3A側である後側には、符号X1を付し、軸方向Xにおいて一端3Aとは反対側である前側には、符号X2を付す。
なお、図1以外の各図において図1の軸方向X、後側X1、前側X2、左右方向Y、右側Y1、左側Y2、上下方向Z、上側Z1および下側Z2に対応する方向には、図1と同じ符号を付している。
アッパーシャフト20は、ロアーシャフト21よりも後側X1に位置し、ロアーシャフト21に対して同軸状に配置されている。アッパーシャフト20の後端20Aが、ステアリングシャフト3の一端3Aである。ロアーシャフト21の前端21Aが、ステアリングシャフト3の他端3Bである。ロアーシャフト21の後端部21Bは、アッパーシャフト20において円筒状に形成された前端部20Bに対して前側X2から挿入されている。
アッパージャケット22は、ロアージャケット23よりも後側X1に位置している。アッパージャケット22の前端部22Aが、ロアージャケット23の後端部23Aに対して後側X1から挿入されている。この状態のアッパージャケット22は、ロアージャケット23に対して軸方向Xに相対移動できる。アッパージャケット22がロアージャケット23に対して相対移動することによって、コラムジャケット4の全体が軸方向Xに沿って伸縮可能である。
互いに連結されたアッパーシャフト20およびアッパージャケット22は、ロアーシャフト21およびロアージャケット23に対して軸方向Xに移動可能である。これにより、コラムジャケット4は、ステアリングシャフト3とともに伸縮可能である。ここでのステアリングシャフト3およびコラムジャケット4の伸縮をテレスコといい、テレスコによるステアリングシャフト3の一端3A(つまり、一端3Aに連結される操舵部材11)の軸方向Xでの位置調整をテレスコ調整という。
なお、ロアージャケット23は、ロアーブラケット5を介して車体2に連結されることによって軸方向Xに移動できないので、テレスコ調整の際には、アッパージャケット22が実際に移動する。
第1押圧部51は、左右方向Yに薄い板状であり、左右方向Yから見て略四角形状である。左右方向Yから見たときの第1押圧部51の略中央には、第1押圧部51を左右方向Yに貫通する円形状の貫通穴51Aが形成されている。第1押圧部51の右側面を第1押圧面54という。
移動部材43のボス部53は、左側Y2の側板30のチルト溝32に挿通されている。ボス部53において軸方向Xの両側の端面53Aのそれぞれは、チルト溝32においてチルト方向Cに沿って平行に延びる一対の縁部32Aに沿っている(図4参照)。そのため、チルト溝32内での移動部材43の空転や、チルトボルト40との移動部材43の共回りが防止されている。
チルトボルト40のねじ溝40Cには、ナット44が取り付けられている。ナット44と右側Y1の側板30との間には、移動部材45と、環状の針状ころ軸受46およびスラストワッシャ47とが、左側Y2からこの順に並んでいる。
チルトボルト40の右端部は、移動部材45、針状ころ軸受46およびスラストワッシャ47のそれぞれに対して挿通されている。移動部材45の貫通穴51Aには、チルトボルト40の右端部が、若干の遊びを持って挿通されている。移動部材45のボス部53は、右側Y1のチルト溝32に挿通されている。移動部材43と同様に、チルト溝32内での移動部材45の空転や、チルトボルト40との移動部材45の共回りが防止されている。移動部材45の第2押圧部52の第2押圧面55は、右側Y1の側板30の右側面においてチルト溝32の周辺部分に右側Y1から接触している。
ロック状態のステアリング装置1において、操作部材41を操作して先程とは逆方向へ回転させると、カム42が移動部材43に対して相対的に回転するので、カム42および移動部材43における互いのカム突起56の乗り上げが解除される。これにより、移動部材43がチルトボルト40に沿ってロック位置から左側Y2に移動する。移動部材43の移動に連動して、移動部材45は、チルトボルト40に沿って右側Y1へ移動する。これにより、移動部材43と移動部材45との間隔が広がり、移動部材43と移動部材45との間での一対の側板30の締め付けが解除される。この状態では、各側板30と延設部34との間、および、ロアージャケット23とアッパージャケット22との間の摩擦保持が解除されるので、コラムジャケット4の回動および伸縮が可能となり、操舵部材11がチルト方向Cおよび軸方向Xに移動可能となる。そのため、テレスコ調整やチルト調整が再び可能となる。
テレスコロック機構8は、筒状のロック部材57と、伝達部材58と、ロックプレート59とを含む。テレスコロック機構8は、ロック部材57の外周面の歯60とロックプレート59の歯61との噛み合いによって軸方向Xにおけるアッパージャケット22の位置を強固にロックしたり、噛み合いの解除によってアッパージャケット22のロックを解除したりする。ロック状態のステアリング装置1では、位置調整機構7によって摩擦力を用いて軸方向Xにおけるアッパージャケット22の位置がロックされるが、歯60と歯61との噛み合いによって、このロックがさらに強固になる。
図4を参照して、左側Y2のチルトロック機構9は、前述した移動部材43と、左側Y2の側板30に設けられたツース係合部65と、ツース部材66と、弾性部材67と、スペーサ68とを含む。
本体部74は、左右方向Yに薄い板状であって、チルト方向Cに長手の略矩形状である。本体部74の右側面は、軸方向Xおよびチルト方向Cに平坦な係合面74Aである。
一対のばね部77のそれぞれは、上下方向Zに本体部74から離れるようにリブ76から突出する支持部83と、支持部83によって支持されて左右方向Yに弾性変形可能な変形部84とを有する。一対のばね部77のうち、上側Z1のばね部77の支持部83は、上側Z1のリブ76の後端部76Aから上側Z1に延びていて、下側Z2のばね部77の支持部83は、下側Z2のリブ76の前端部76Bから下側Z2に延びている。支持部83は、左右方向Yに薄い板状である。上側Z1のばね部77の変形部84は、支持部83の前端部から前側X2かつ右側Y1へ傾斜して延びている。下側Z2のばね部77の変形部84は、下側Z2の支持部83の後端部から後側X1かつ右側Y1へ傾斜して延びている。各変形部84の先端部には、右側Y1へ向けて押し出された凸状の接触部84Aが形成されている。
弾性部材67は、たとえば皿ばねである。弾性部材67は、図6では右側Y1へ向かうにつれてチルトボルト40の径方向に広がる略円環状であるが、左側Y2へ向かうにつれて径方向に広がる略円環状であってもよい。
まず、ステアリング装置1をロック状態にする際のチルトロック機構9の動作について説明する。図5および図6では、前述したロック状態にあるステアリング装置1が示されている。なお、以下の説明では、特に言及がない限り、ステアリング装置1をロック状態にする前の段階では、第1歯列71の第1歯72と第2歯列75の第2歯82とは、位相の一致によって、左右方向Yから見て互いに重ならない位置関係にあるものとする。
歯先角度αと歯先角度βとが異なることにより、一対の第1歯列71と一対の第2歯列75とが1つずつ噛み合った状態において、分力Fx1と分力Fx2とに差が生じる。これにより、ツース部材66が軸方向Xにおいて付勢される。そのため、第1歯72と第2歯82との間のガタが詰まるので、第1歯72と第2歯82とが強固に噛み合う。この結果、第1歯72と第2歯82との噛合強度の向上、換言すればポジティブロックの強度向上を図れる。
歯先角度αが歯先角度βよりも小さいことにより、第2歯82が第1歯列71Aの第1歯72から受ける軸方向Xの分力Fx1は、第2歯82が第1歯列71Bの第1歯72から受ける軸方向Xの分力Fx2よりも小さくなる。これにより、分力Fx1と分力Fx2との差によって、ツース部材66が軸方向Xにおいて中心軸5C側(前側X2)へ付勢される。そのため、第1歯列71Aの第1歯72と第2歯列75Aの第2歯82との間のガタが詰まるので、これらの第1歯72と第2歯82とが強固に噛み合う。この結果、第1歯列71Aの第1歯72と第2歯列75Aの第2歯82との噛み合い率が向上するので、これらの第1歯72と第2歯82との噛合強度の向上を図れる。
なお、歯先角度βが歯先角度αよりも大きく設定されていることから、後側X1の第1歯列71Bの第1歯72と第2歯列75Bの第2歯82との接触領域は比較的大きいので、これらの第1歯72と第2歯82との噛合強度は十分に確保されている。
操作部材41を操作してステアリング装置1を解除状態にする際、移動部材43は、ロック位置から左側Y2に移動する。移動部材43の左側Y2への移動に伴って、ツース部材66と移動部材43の第1押圧部51との間隔が広がるので、左右方向Yにおける弾性部材67の圧縮量が徐々に小さくなる。図8に示すようにステアリング装置1が解除状態になると、弾性部材67は、圧縮されていない状態になる。
図9は、図5において第2歯列75が第1歯列71に乗り上げた状態を示した図である。次に、第2歯列75が第1歯列71に乗り上げた状態で、使用者がステアリング装置1をロック状態にするために操作部材41を操作した場合を想定する。第2歯列75が第1歯列71に乗り上げた状態では、図9に示すように、左右方向Yから見て第1歯72と第2歯82とが位相の不一致によって互いに重なっている。そのため、第1歯列71と第2歯列75とが噛み合わずに、第2歯列75が第1歯列71に乗り上げる、いわゆるツースオンツースが発生している。ツースオンツースが発生しているときのステアリング装置1の状態をツースオンツース状態という。
たとえば、第1歯列71は、前述した実施形態では、ツース係合部65の一部としてアッパーブラケット6の側板30に一体形成されることにより、アッパーブラケット6によって支持されているが、側板30とは別に形成されてもよい。また、第2歯列75を有するツース部材66は、移動部材43や移動部材45と一体化されてもよい。これらに関するチルトロック機構9の第1変形例〜第3変形例について以下に説明する。なお、以下の説明では、左側Y2のチルトロック機構9について説明するが、右側Y1のチルトロック機構9も左側Y2のチルトロック機構9と構造が同じである。
第1変形例では、側板30とは別の部品として、ツース部材85が設けられている。ツース部材85は、左右方向Yから見て略矩形状であり、左右方向Yに薄い金属板である。左右方向Yから見たときのツース部材85の略中央部には、ツース部材85を左右方向Yに貫通するガイド溝85Aが形成されている。ガイド溝85Aはチルト方向Cに沿って延びている。一対の第1歯列71は、ガイド溝85Aを軸方向Xにおける両側から縁取るようにツース部材85に一体形成されている。前述した実施形態と同様に、それぞれの第1歯列71では、複数の第1歯72がチルト方向Cに沿って等間隔で並んでいる。
ツース部材85において軸方向Xにおけるガイド溝85Aの両外側には、上下方向Zに沿って直線的に延びつつツース部材85を左右方向Yに貫通する挿通溝85Bが1つずつ形成されている。
第1変形例においても、一対の第1歯列71のうち、前側X2の第1歯列71Aにおける各第1歯72の歯先角度αは、後側X1の第1歯列71Bにおける各第2歯82の歯先角度βと異なる。好ましくは、歯先角度αは、歯先角度βよりも小さくなるように設定されるとよい。これにより、二次衝突などの際には、移動部材43が前側X2へ付勢されることによって、第1歯列71Aの第1歯72と第2歯列75Aの第2歯82との間のガタが詰まるので、前述したようにこれらの第1歯72と第2歯82との噛合強度の向上を図れる。
第2変形例においても、前側X2の第1歯列71Aにおける各第1歯72の歯先角度αは、後側X1の第1歯列71Bにおける各第2歯82の歯先角度βと異なる。好ましくは、歯先角度αは、歯先角度βよりも小さくなるように設定されるとよい。ただし、第2変形例の場合には、噛み合った状態における第1歯列71と第2歯列75との前後の位置関係が、前述した実施形態や第1変形例とは逆になるので、二次衝突などの際には、前述した分力Fx1(図7参照)が前側X2を向き、前述した分力Fx2(図7参照)が後側X1を向く。歯先角度αが歯先角度βよりも小さい場合には分力Fx1が分力Fx2よりも小さくなるので、第2変形例では、移動部材43が後側X1へ付勢される。この場合でも、第1歯列71Aの第1歯72と第2歯列75Aの第2歯82との間のガタが詰まるので、前述したようにこれらの第1歯72と第2歯82との噛合強度の向上を図れる。
第1ツース部材88は、左右方向Yから見て略矩形状であり、左右方向Yに薄い金属板である。左右方向Yから見たときの第1ツース部材88の略中央部には、第1ツース部材88を左右方向Yに貫通するガイド溝88Aが形成されている。ガイド溝88Aは、上下方向Zに沿って直線的に延びている。ガイド溝88Aは、軸方向Xにおいてチルト溝32よりも狭い。ガイド溝88Aには、チルトボルト40が挿通される。
第3変形例においても、前側X2の第1歯列71Aにおける各第1歯72の歯先角度αは、後側X1の第1歯列71Bにおける各第1歯72の歯先角度βと異なる。好ましくは、歯先角度αは、歯先角度βよりも小さくなるように設定されるとよい。二次衝突などの際には、第2変形例の移動部材43と同様に、第2ツース部材89が後側X1へ付勢される。これにより、第1歯列71Aの第1歯72と第2歯列75Aの第2歯82との間のガタが詰まるので、前述したようにこれらの第1歯72と第2歯82との噛合強度の向上を図れる。
また、チルトロック機構9は、テレスコロック機構8を有さないステアリング装置や、テレスコ調整できないステアリング装置にも適用可能ある。
また、チルトロック機構9は、カプセル(図示せず)によってアッパーブラケット6の連結板31(図2参照)と車体2(図1参照)とを連結した構成のステアリング装置1にも適用可能である。二次衝突時には、カプセルおよび連結板31に跨って挿入された樹脂ピン(図示せず)が破断されることによって、アッパーブラケット6が車体2から離脱する。
また、ステアリング装置1は、操舵部材11の操舵が補助されないマニュアルタイプのステアリング装置に限らず、電動モータによって操舵部材11の操舵が補助されるコラムアシストタイプの電動パワーステアリング装置であってもよい。
Claims (2)
- 一端に操舵部材が連結されるステアリングシャフトと、
前記ステアリングシャフトを保持し、前記ステアリングシャフトの軸方向において前記一端とは反対側の支点まわりに回動可能なコラムジャケットと、
車体に固定され、前記コラムジャケットを回動可能に支持するブラケットと、
前記ブラケットに対する前記コラムジャケットの回動を可能および不能とするために操作される操作部材と、
前記軸方向および前記軸方向に対して上下に交差する交差方向の両方に対する直交方向に延びる歯筋を有して前記交差方向に沿って並ぶ複数の第1歯で構成され、前記ブラケットによって支持されており、前記軸方向に並ぶ一対の歯列と、
前記直交方向に延びる歯筋を有し、前記軸方向に離れた2箇所に少なくとも1つずつ設けられ、前記一対の歯列に噛み合い可能な第2歯を有し、前記コラムジャケットとともに回動可能であり、前記操作部材の操作に応じて前記直交方向に移動可能なツース部材とを含み、
前記一対の歯列のうち、一方の歯列における前記第1歯の歯先角度は、前記一方の歯列よりも前記支点から離れた他方の歯列における前記第1歯の歯先角度と異なる、ステアリング装置。 - 前記一方の歯列における前記第1歯の歯先角度は、前記他方の歯列における前記第1歯の歯先角度よりも小さい、請求項1に記載のステアリング装置。
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