[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP6541449B2 - 振動型駆動装置及び医用システム - Google Patents

振動型駆動装置及び医用システム Download PDF

Info

Publication number
JP6541449B2
JP6541449B2 JP2015114697A JP2015114697A JP6541449B2 JP 6541449 B2 JP6541449 B2 JP 6541449B2 JP 2015114697 A JP2015114697 A JP 2015114697A JP 2015114697 A JP2015114697 A JP 2015114697A JP 6541449 B2 JP6541449 B2 JP 6541449B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
vibration
electrodes
drive device
type drive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015114697A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017005795A (ja
JP2017005795A5 (ja
Inventor
安倫 有満
安倫 有満
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2015114697A priority Critical patent/JP6541449B2/ja
Priority to CN201610373130.9A priority patent/CN106253739B/zh
Priority to US15/168,586 priority patent/US10363105B2/en
Publication of JP2017005795A publication Critical patent/JP2017005795A/ja
Publication of JP2017005795A5 publication Critical patent/JP2017005795A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6541449B2 publication Critical patent/JP6541449B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02NELECTRIC MACHINES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H02N2/00Electric machines in general using piezoelectric effect, electrostriction or magnetostriction
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B34/00Computer-aided surgery; Manipulators or robots specially adapted for use in surgery
    • A61B34/30Surgical robots
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/05Detecting, measuring or recording for diagnosis by means of electric currents or magnetic fields; Measuring using microwaves or radio waves 
    • A61B5/055Detecting, measuring or recording for diagnosis by means of electric currents or magnetic fields; Measuring using microwaves or radio waves  involving electronic [EMR] or nuclear [NMR] magnetic resonance, e.g. magnetic resonance imaging
    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02NELECTRIC MACHINES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H02N2/00Electric machines in general using piezoelectric effect, electrostriction or magnetostriction
    • H02N2/0005Electric machines in general using piezoelectric effect, electrostriction or magnetostriction producing non-specific motion; Details common to machines covered by H02N2/02 - H02N2/16
    • H02N2/005Mechanical details, e.g. housings
    • H02N2/0055Supports for driving or driven bodies; Means for pressing driving body against driven body
    • H02N2/006Elastic elements, e.g. springs
    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02NELECTRIC MACHINES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H02N2/00Electric machines in general using piezoelectric effect, electrostriction or magnetostriction
    • H02N2/10Electric machines in general using piezoelectric effect, electrostriction or magnetostriction producing rotary motion, e.g. rotary motors
    • H02N2/16Electric machines in general using piezoelectric effect, electrostriction or magnetostriction producing rotary motion, e.g. rotary motors using travelling waves, i.e. Rayleigh surface waves
    • H02N2/163Motors with ring stator
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N30/00Piezoelectric or electrostrictive devices
    • H10N30/80Constructional details
    • H10N30/87Electrodes or interconnections, e.g. leads or terminals
    • H10N30/875Further connection or lead arrangements, e.g. flexible wiring boards, terminal pins
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B90/00Instruments, implements or accessories specially adapted for surgery or diagnosis and not covered by any of the groups A61B1/00 - A61B50/00, e.g. for luxation treatment or for protecting wound edges
    • A61B90/36Image-producing devices or illumination devices not otherwise provided for
    • A61B90/37Surgical systems with images on a monitor during operation
    • A61B2090/374NMR or MRI

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Surgery (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medical Informatics (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Robotics (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • High Energy & Nuclear Physics (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Radiology & Medical Imaging (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Description

本発明は、振動体と被駆動体とを加圧接触させて振動体に振動を励振させることによって振動体と被駆動体とを相対的に移動させる振動型駆動装置と、振動型駆動装置を備える医用システムに関する。
近年、磁気共鳴イメージング診断装置(以下「MRI診断装置」という)を用いて被検者(患者)の診断画像を取得しながら、被検者に対して医療行為を行うための医療支援ロボットの研究開発が盛んに行われている。また、開口部の大きなガントリーやガントリーの中央部に広い空間を持つ開放型のMRI診断装置が普及し、医療支援ロボットや医師によるMRI診断内部への介入の可能性が大きく広がりつつある。
MRI診断装置で発生させる静磁場の大きさは1.5[T]〜3.0[T]程度と非常に強い。そして、MRI診断装置では、被検者の診断画像を取得する際の3次元位置情報を高精度に決定するために、磁場精度を非常に高精度に管理して、3軸方向に時間的に変動する傾斜磁場を発生させている。したがって、MRI診断装置のガントリー近傍又は内部に持ち込む医療支援ロボットやその他の医療器具に閉ループを形成する導電性材料を用いる際には、変動磁場により発生するローレンツ力や変動磁場に対する影響をなくすことが求められる。
高精度に管理される変動磁場環境において用いられるアクチュエータとして、圧電セラミックス等に代表される電気−機械エネルギ変換素子を用いた振動型駆動装置がある。振動型駆動装置は、電磁モ−タとは異なり、振動体に励振させた振動によって被駆動体を摩擦駆動する。そのため、振動型駆動装置は、低速域において高い推力又はトルクを発生し、応答性が高く、ギヤやベルト等の機械的伝達手段を用いることなく直接に被駆動体を駆動することができるという特徴を有する。また、振動型駆動装置は、電源の非投入時においては、振動体と被駆動体との間には摩擦による保持力又は保持トルクが発生するため、ブレ−キ等の制動手段を用いる必要がないという利点もある。
振動型駆動装置として、金属等からなる弾性体に圧電素子を接合して振動体を形成し、圧電素子に位相の異なる交流電圧を印加することによって振動体にある特定の振動モードを励振するものがある。このような振動型駆動装置では、弾性体における被駆動体との接触面に楕円運動を生じさせることによって、振動体と被駆動体とを相対的に回転移動させ或いは直進移動させている。
一例として、特許文献1には、円環状の振動体を用いた振動型駆動装置が開示されており、共振先鋭度が大きな金属材料(例えば、ステンレス等の鉄鋼材)からなる弾性体を用いた円環状の振動体が開示されている。圧電素子に曲げ振動等の撓み振動を発生させるためには、圧電素子を構成する圧電体(圧電セラミックス)に電位差を生じさせる必要がある。そのため、特許文献1では、圧電素子のGND部(グランド部(接地部))と弾性体とを、ハンダ等の導電性材料からなる導電接合部によって電気的に接続して弾性体を接地することで、弾性体の導電性を利用して圧電素子のGND電位への接続を実現している。
特開2007−159211号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されているような共振先鋭度の大きな金属材料を用いてなる振動体を備える振動型駆動装置を、MRI診断装置のガントリー内又はその近傍に設置した場合には、例えば、次のような3つの問題が生じる。
第1点は、MRI診断装置の高精度に管理された磁場に乱れが生じるおそれがあることである。即ち、導電性材料から成る部材が環状で閉ループ部を有する場合には、この閉ループを貫く磁束の時間変動に起因し発生する誘導起電力によって、この閉ループ部内を流れる変動電流が新たな変動磁場を生成する。したがって、導電性材料から成る閉ループ部を有する部材は、MRI診断装置の空間座標のエンコードに必要な、高精度に管理された磁場を乱す可能性がある。
2点目は、診断画像にノイズが乗るおそれがあることである。即ち、マックスウェル−アンペールの法則により、導電性材料から成る部材が閉ループ部を有する場合、この閉ループを貫く全磁束の時間変動に起因して誘導起電力が発生する。こうして発生した誘導起電力によって、閉ループ部を流れる変動電流に起因した電磁波が発生し、この電磁波が電磁ノイズとなって各種信号に重畳するおそれがある。したがって、導電性材料から成る閉ループ部を有する部材は、MRI診断装置とその周辺機器に対するノイズの発生源となり得る。
3点目は、不要な機械振動が発生するおそれがあることである。即ち、導電性材料から成る部材が閉ループ部を有する場合に、この閉ループを貫く磁束が時間的に変動すると、上述した誘導起電力により、時間的に変動する電流が閉ループ部内を流れる。これにより、閉ループ部には、電流ベクトルをI、磁束ベクトルをBとすると、時間的に変動するローレンツ力Fが、ベクトル積I×Bの方向にかかることで、不要な機械振動を引き起こすおそれがある。したがって、導電性材料から成る閉ループ部を有する部材は、振動型駆動装置及び医療支援ロボットの性能に影響を与える可能性がある。
このような問題を回避するため、振動型駆動装置の被駆動体や弾性体等の構成部材に、エンジニアリングセラミックス、エンジニアリングプラスチック又は複合材料(例えば、FRP)等の、非磁性で誘電性(絶縁性)の材料を用いることが考えられる。しかし、例えば、弾性体が誘電性である場合には、特許文献1に記載されているように、弾性体を介して圧電素子のGND部を接地することはできない。
本発明は、磁場環境下での使用に適した振動型駆動装置と、この振動型駆動装置を備える医用システムを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、振動体と被駆動体を備える振動型駆動装置であって、前記振動体は、主成分が電気的に絶縁性、誘電性または半導電性の材料からなり、前記被駆動体と接触する弾性体と、前記弾性体と接合される電気−機械エネルギ変換素子と、を有し、前記電気−機械エネルギ変換素子は、圧電体と、前記圧電体において前記弾性体と接合される面に設けられ開ループ構造を有する第1の電極と、前記圧電体を介して前記第1の電極と対向するように設けられた少なくとも2つの第2の電極と、前記圧電体を介して前記第1の電極と対向するように設けられた少なくとも1つの第4の電極と、前記第1の電極と前記少なくとも1つの第4の電極とを電気的に接続する少なくとも1つの第1の導通路と、を有し、前記第1の電極は第1の間隙部を備え、前記少なくとも2つの第2の電極の間に第2の間隙部が設けられ、前記振動体が前記被駆動体に対して押圧される方向から見たときに、前記第1の間隙部の幅は前記第2の間隙部の幅よりも狭いことを特徴とする振動型駆動装置、である。
本発明によれば、変動磁場環境に適した振動型駆動装置を実現することができる。例えば、振動型駆動装置を備えるマニピュレータをMRI診断装置のガントリー近傍又は内部に設置しても、MRI診断装置とその周辺機器へのノイズや振動の影響を軽減することができる。
本発明の実施形態に係る振動型駆動装置の概略構成を示す断面図、部分拡大図、振動型駆動装置を構成する弾性体の概略構成を示す斜視図である。 図1に示す振動型駆動装置が備える圧電素子の第1の構成例と第2の構成例を示す平面図である。 図1に示す振動型駆動装置が備える圧電素子の第3の構成例を示す平面図である。 図2及び図3に示す圧電素子に対して印加される交流電圧の一例と、電極間の電位差の一例を示す図である。 図1に示す振動型駆動装置が備える圧電素子の第1の電極構造を示す部分断面図である。 図1に示す振動型駆動装置が備える圧電素子の第2の電極構造を示す部分断面図である。 図1に示す振動型駆動装置が備える圧電素子の第3の電極構造を示す部分断面図である。 図1に示す振動型駆動装置が備える圧電素子の第4の電極構造を示す部分断面図である。 図1に示す振動型駆動装置が備える圧電素子の第5の電極構造及びその変形例に係る部分断面図である。 図1に示す振動型駆動装置が備える圧電素子の第6の電極構造及びその変形例に係る部分断面図である。 図1に示す振動型駆動装置を有するマニピュレータを備えるMRI診断装置の概略構成を示す斜視図と、マニピュレータの概略構成を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1(a)は、本発明の実施形態に係る振動型駆動装置1の概略構成を示す断面図である。図1(b)は、図1(a)中に破線で示す領域Cの拡大断面図である。図1(c)は、振動型駆動装置1を構成する弾性体2の概略構成を示す斜視図である。振動型駆動装置1の構成について、便宜上、互いに直交するx方向、y方向及びz方向を図1(a)に示す通りに定める。
振動型駆動装置1は、弾性体2、被駆動体3、防振ゴム4、回り止め部材5、ハウジング6、支持部材7、フランジ8、出力軸9、予圧部材10、押圧部材11、コイルバネ12、転がり軸受13M,13N、締結部材14、不織布16及び圧電素子30を備える。
2つの転がり軸受13M,13Nはそれぞれ、内輪13aと、外輪13bと、内輪13aと外輪13bに圧接して挟持されるボール13cとを有しており、外輪13bは筒状のハウジング6の内周側に嵌合されており、内輪13aは出力軸9に嵌合されている。出力軸9の軸受13N側の側面には雄ネジ部が設けられ、この雄ネジ部が環状の予圧部材10の内孔に設けられた雌ネジ部と螺合することにより螺合部S2が形成されている。予圧部材10は、転がり軸受13M,13Nの内輪13aを互いにz方向に引き寄せるように予圧を与えている。こうして、2つの転がり軸受13M,13Nのボール13cの転がりによって、ハウジング6と出力軸9とは、一点鎖線で示す回転中心として、ガタなく滑らかに、相対的に移動させることができる。本実施形態では、支持部材7(又はハウジング6)は不図示の支持部材に固定され、出力軸9がハウジング6に対して回転移動するものとする。
出力軸9の一端には、ネジやボルト等の締結部材14によってフランジ8が取り付けられている。フランジ8には環状の防振ゴム4が貼り付けられており、防振ゴム4は、出力軸9に嵌合された円板環状の被駆動体3と摩擦接触している。防振ゴム4の摩擦係数は大きいため、被駆動体3とフランジ8とは、防振ゴム4を介して滑ることなく一体的に回転することができ、一方で、防振ゴム4によって被駆動体3からフランジ8への不要な振動の伝達を抑制することができる。
ハウジング6を囲むように、環状の弾性体2と環状の圧電素子30とからなる振動体が配置されている。ハウジング6の外周に回り止め部材5が固定されており、回り止め部材5の側面においてラジアル方向に突出した爪部5aが弾性体2に設けられた溝2aに挿入されることによって、弾性体2の周方向での回転が規制されている。
弾性体2の裏面2bには電気−機械エネルギ変換素子である圧電素子30が接着剤によって接合されており、弾性体2と圧電素子30により振動体が形成されている。圧電素子30には、圧電素子30に電圧を供給するフレキシブル基板15が接着剤によって貼り付けられている。
振動体を被駆動体3に対してz方向に押圧し、弾性体2と被駆動体3とを加圧接触させるための環状の押圧部材11は、ハウジング6の側面に配置された環状の支持部材7に支持されている。支持部材7の内周側面には雌ネジ部が設けられ、この雌ネジ部がハウジング6の外周側面に設けられた雄ネジ部と螺合して螺合部S1が形成されることにより、支持部材7はz方向で位置決めされ、ハウジング6に固定される。
押圧部材11には、z方向に延出する複数の棒状の突起部11bが周方向に等間隔に設けられている。また、支持部材7には、突起部11bが挿入される孔部7bが設けられている。突起部11bと孔部7bは、押圧部材11をz方向にガイドするガイドの役割を担う。複数の突起部11bにはそれぞれコイルバネ12が挿入されており、支持部材7のz方向位置を調節することによっコイルバネ12の圧縮長を調整することができ、これにより被駆動体3に対する弾性体2の押圧力を調節することができる。押圧部材11とフレキシブル基板15との間には、緩衝材としての不織布16が配置されている。
なお、被駆動体3に対して弾性体2を押し付ける手段として、ここではコイルバネ12を用いているが、これに限定されず、バネ性を有する種々の部品、例えば、皿バネ、ウェーブワッシャ、バネ座金、板バネ等を用いることもできる。
次に、振動型駆動装置1の各構成部品に適用される材料について説明する。弾性体2の主成分となる材料としては、金属のような良導体ではなく、電気的に絶縁性、誘電性又は半導電性である材料、具体的には、高靭性セラミックス、エンジニアリングプラスチック、半導体等が挙げられる。本実施形態において、部材Aの主成分とは、その部材Aを構成している物質のうち、半分以上を占める材料を指し、単物質でなくてもよい。したがって、弾性体2の主成分が電気的に絶縁性、誘電性又は半導電性の材料である、とは、弾性体2を構成する材料のうち半分以上が、電気的に絶縁性、誘電性又は半導電性の材料のいずれか1つ又は複数であればよいことを意味する。また、電気的に絶縁性、誘電性又は半導電性の材料からなる、とは、不純物として他の物質を含有する場合を含む。
高靭性セラミックスの一例として、部分安定化ジルコニア(PSZ)がある。エンジニアリングプラスチックの一例として、30重量%程度の炭素繊維を含有するポリエーテルエーテルケトン(PEEK−CF30)等の繊維強化プラスチック(FRP)がある。半導体の一例として、炭化ケイ素(SiC)が挙げられる。
さらに、弾性体2が、電気的に絶縁性、誘電性、または半導電性の材料からなる場合、弾性体2を用いたFPCの電極との導通がより困難となるため、本願発明の効果はより顕著となる。ここで、電気的に絶縁性、誘電性、または半導電性の材料からなる、とは、不純物として他の物質を含有する場合を含む。
被駆動体3は、弾性体2との摩擦摺動において安定した摺動特性と耐摩耗特性を有することが望ましい。被駆動体3には、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)や窒化ケイ素(Si)等のエンジニアリングセラミックス、上述したPEEK−CF30等のエンジニアリングプラスチックや部分安定化ジルコニア等が用いられる。なお、弾性体2と被駆動体3との間の摩擦状態を良好とするために、別途、不図示の摩擦部材を弾性体2と被駆動体3の少なくとも一方の摺動面上に設けてもよい。
防振ゴム4には、例えば、ブチルゴムが用いられる。不織布16は、羊毛等のフェルトやグラスウール等からなるものを用いることができる。フレキシブル基板15は、ポリイミド(PI)フィルムベースに、銅箔によって電気回路を形成したものであり、電気回路の露出部位は、酸化抑制のためにメッキ処理(例えば、金メッキ)されていることが望ましい。コイルバネ12は、一般的なバネ鋼材からなるものを用いることができるが、部分安定化ジルコニアや窒化ケイ素等のエンジニアリングセラミックスからなるものを用いることもできる。なお、その他の構成要素には、金属や樹脂、セラミックス等から選択された材料が、適宜、用いられるが、金属の適用にあたっては、導電性の閉ループを形成しないよう設計するのが望ましい。
次に、圧電素子30の構成例について説明する。圧電素子30は、圧電体の対向する一対の面(例えば、表裏面)に電極が形成された構造を有し、ここでは、圧電体は圧電セラミックスであるとして説明する。但し、圧電体は、圧電セラミックスに限定されるものではない。
図2(a),(b)は、圧電素子30の第1の構成例を示す平面図であり、図2(c),(d)は、圧電素子30の第2の構成例を示す平面図である。図3(a),(b)は、圧電素子30の第3の構成例を示す平面図である。ここでは、圧電素子30として、弾性体2の周方向に7波長(7λ)分の正弦波状の波を形成する面外変形モードの振動を励振させる構成を取り上げる。図4(a)〜(c)は、図2及び図3に示す圧電素子に対して印加される交流電圧の例を示す図であり、図4(d)は、圧電素子の電極間に生じる電位差の例を示す図である。
最初に、図2(a),(b)に示す第1の構成例に係る圧電素子30Aの構成について説明する。圧電素子30Aは、平板環状の圧電セラミックスの表面と裏面のそれぞれに電極が形成された構造を有する。圧電セラミックスには、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等が用いられる。圧電素子30Aにおいて、圧電セラミックスの裏面には、間隙部39を挟んで電極31(第1の電極),31A(第3の電極)が形成され、圧電セラミックスの表面には、間隙部55を挟んで電極32,33,34,35,36,37(第2の電極)が形成されている。これらの電極31,31A,32,33,34,35,36,37は、金属薄膜であって、圧電セラミックスに、銀(Ag)やニッケル(Ni)等の金属を蒸着や印刷する等の周知の技術を用いて形成することができる。
ここでは、電極31として、間隙部39(電極31の一端と別の一端との間の隙間となる領域)により開ループ構造を有するものを示している。また、図2(c)を参照して後述するように、1つの間隙部39を設けることにより電極31,31Aを導通させて、C型の開ループ構造が形成されるようにしてもよい。本実施形態において、部材Aが開ループ構造を有するとは、部材Aが環構造を有さないことを意味する。また、この場合の環構造とは、円環状に限定されず、形状内で始点から一方向に移動した結果、再び始点を通過するような構造であれば、どのような形状でもあってもよい。
電極32,33,34,35,36,37は、隙間である間隙部55を挟んで、独立して形成されている。電極32,33は、間隙部55を含めて半波長(λ/2)に相当する弧長を有し、電極34,35,36,37は、間隙部55を含めて4分の1波長(λ/4)に相当する弧長を有する。圧電素子30Aの圧電セラミックスにおいて電極32,34,36に対応する領域は、z方向の正方向(電極32,34,36から電極31へ向かう方向)に分極されている。また、圧電素子30Aの圧電セラミックスにおいて電極33,35,37に対応する領域は、z方向の負方向(電極31から電極33,35,37へ向かう方向)に分極されている。
圧電素子30Aには、圧電セラミックスの表裏面に形成された電極を電気的に接続するために、圧電セラミックスを貫通するように3カ所に貫通孔38が設けられている。貫通孔38は、圧電素子30Aにおいて相対的に歪みが小さい内径側に設けることが好ましく、例えば、圧電素子30Aの内外径の中心円Dの内側に設けられる。但し、中心円Dの外部に設けることも可能である。
貫通孔38は、可能な限り小さく形成されることが好ましく、具体的には、機械加工によって貫通孔38を設ける場合には、圧電セラミックスの厚さが0.5[mm]程度であれば、直径を1[mm]以下(例えば、直径が0.5[mm])とすることが望ましい。
3つの貫通孔38のうちの1つは、電極37と電極31Aに対して設けられており、残りの2つはそれぞれ、電極34,36と電極31に対して設けられている。電極31と電極34,36とは、共通電極109及び非駆動電極110に置き換えて図5を参照して後述する通り、貫通孔38に充填された導電体112を利用して電気的に接続される。同様に、電極37と電極31Aもまた、貫通孔38に充填された導電体112を利用して電気的に接続される。なお、貫通孔38を、円筒状の穴として圧電セラミックスの外形に対して精度良く形成することにより、貫通孔38を圧電セラミックスの表裏に設ける電極、間隙部55及び間隙部39の相対的な位置決め手段として用いることができる。
例えば、電極31と接続された電極34,36のいずれか1つと、電極31Aと接続された電極37をDC基準電位又はGND電位とする。そして、図4(a)に示すA相交流電圧17を電極32に印加し、A相交流電圧17に対して位相がπ/2[rad]だけ遅れたB相交流電圧18を電極33に印加する。これにより、弾性体2に進行波が形成され、弾性体2の先端部(被駆動体3との接触面)に楕円運動が生じることにより、被駆動体3を摩擦駆動して回転させることができる。また、A相交流電圧17を電極33に印加し、B相交流電圧18を電極32に印加することにより、被駆動体3の回転方向を反転させることができる。
電極35は、振動検出用の電極として用いられる。振動体の歪みの大きさに比例して発生する電極31と電極35との電位差を、電極31と接続された電極34,36のいずれかとの電位差として取得することにより、振動体の振動状態を検出することができる。
続いて、図2(c),(d)に示す第2の構成例に係る圧電素子30Bの構成について説明する。第2の構成例に係る圧電素子30Bは、上述した第1の構成例に係る圧電素子30Aとは、電極パターンのみが異なるため、この相違点についてのみ説明し、共通する説明を省略する。
圧電素子30Bにおいて、圧電セラミックスの裏面には、1つの間隙部39が設けられることによって、C型の開ループ構造を有する電極31(第1の電極)が形成されている。また、圧電セラミックスの表面には、間隙部55を挟んで、電極41,42,43,44,45,46,47,48(第2の電極)が形成されている。電極41〜48は、間隙部55を含めて、4分の1波長(λ/4)に相当する弧長を有する。圧電素子30Bの圧電セラミックスにおいて電極41〜48に対応する領域は、z方向の正方向に分極されているが、z方向の負方向に分極されていてもよい。
圧電素子30Bの内外径の中心円Dの内側において、電極45,48には貫通孔38が設けられている。電極31と電極45,48とは、共通電極109及び非駆動電極110に置き換えて後述する通り、貫通孔38に充填された導電体112を利用して電気的に接続される。圧電素子30Bでは、電極31を共通電極とし、図4(b)に示されるA(+)相交流電圧19を電極41に印加し、A(+)相交流電圧19に対して位相がπ/2[rad]だけ遅れたB(+)相交流電圧20を電極42に印加する。また、B(+)相交流電圧20に対して位相がπ/2[rad]だけ遅れたA(−)相交流電圧21を電極43に、A(−)相交流電圧21に対して位相がπ/2[rad]だけ遅れたB(−)相交流電圧22を電極44に印加する。これにより、弾性体2に進行波が形成され、弾性体2の先端部(被駆動体3との接触面)に楕円運動が生じることにより、被駆動体3を摩擦駆動して回転させることができる。なお、A(+)相交流電圧19とA(−)相交流電圧21とを印加する電極を入れ替えることにより、被駆動体3の回転方向を反転させることができる。
電極46,47は、振動検出用電極として用いられる。振動体の歪みの大きさに比例して発生する電極31と電極46,47との電位差を電極31と接続された電極45,48のいずれかの電極との電位差として取得することにより、振動体の振動状態を検出することができる。電極46,47は、互いに空間的に4分の1波長(λ/4)分だけシフトしているため、電極31をDC基準電位又はGND電位に接続することで2つの電極46,47間の電位を取得することができ、こうして、振動体のより詳細な振動情報を得ることができる。
なお、圧電素子30Bでは、電極41〜48の全てについての領域で圧電セラミックスを同一方向に分極する構成について説明した。しかし、これに限られず、圧電セラミックスにおいて電極41,42,45,46に対応する領域と電極43,44,47,48に対応する領域とで、分極方向を逆にしてもよい。この場合、電極41,43には図4(a)に示すA相交流電圧17を、電極42,44には図4(a)に示すB相交流電圧18をそれぞれ印加することで、同様の進行波を形成することができる。また、圧電素子30Bでは、共通電極である電極31と接続された電極45,48のいずれかを不図示の電圧発生手段のGND電位に接続することが好ましい。これにより、電極31の電位を安定させ、振動検出用の電極46,47からの信号の精度を高めることができる。また、弾性体2が僅かに導電性を有する材料からなる場合でも、弾性体2とこれに接触する部位にGND電位に対する電位差の発生を抑制することができる。
続いて、図3(a),(b)に示す第3の構成例に係る圧電素子30Cの構成について説明する。圧電素子30Cは、扇形状を有する圧電セラミックスの裏面に共通電極としての電極31(第1の電極)が形成され、圧電セラミックスの表面に間隙部55を挟んで、電極41,42,43,44,49,50,51(第2の電極)が形成された構造を有する。電極41〜44,50は、間隙部55を含めて、4分の1波長(λ/4)に相当する弧長を有する。電極49,51は、間隙部55を含めて、8分の1波長(λ/8)に相当する弧長を有する。
圧電素子30Cの圧電セラミックスにおいて電極41〜44,49〜51に対応する領域は、z方向の正方向に分極されているが、z方向の負方向に分極されていてもよい。圧電素子30Cの内外径の中心円Dの内側において、電極49,51には貫通孔38が設けられている。電極31と電極49,51とは、貫通孔38を利用して互いに電気的に接続され、GND電位に接続される。圧電素子30Cへの交流電圧の印加方法は、圧電素子30Bの場合と同じであるので、ここでの説明を省略する。
電極50は、振動検出用電極である。振動体の歪みの大きさに比例する電位を取得することで、振動体の振動状態を検出することができる。圧電素子30Cは、圧電素子30Bと比較して、駆動に用いる電極41〜44の面積が6分の1となっている。そのため、A(+)相交流電圧19、B(+)相交流電圧20、A(−)相交流電圧21及びB(−)相交流電圧22の電位振幅を、適宜、大きく設定することが好ましい。また、複数の圧電素子30Cを弾性体2に接着することによって振動体を構成してもよい。更に、圧電セラミックスにおいて電極41,42に対応する領域と電極43,44に対応する領域とで、分極方向を逆にしてもよい。その場合には、電極41,43にA相交流電圧17を印加し、電極42,44にB相交流電圧18を印加することにより、同様の進行波を形成することができる。
ところで、上記説明では、圧電素子30Aについて、図4(a)に示されるA相交流電圧17を電極32に、B相交流電圧18を電極33にそれぞれ印加し、電極31,31A,34,36,37をGND電位(又は、DC基準電位)に接続するとした。しかし、これに限定されるものではなく、電極31,31A,34,36,37に駆動電圧として交流電圧を印加してもよい。
また、圧電素子30Aは、図4(c)に示すA相交流電圧23、A相交流電圧に対し位相がπ[rad]だけ遅れたB相交流電圧24、A相交流電圧に対し位相がπ/2[rad]だけ進んだC相交流電圧25によって駆動することもできる。この場合、電極32にA相交流電圧23を、電極33にB相交流電圧24を、電極34,36,37にC相交流電圧25をそれぞれ印加してもよい。この場合、電極34,36,37と導通している電極31,31Aは、電極32,33間の共通電極であると同時に、C相交流電圧25を印加するための駆動電極となる。この方法では、電極31,32間の電位差は図4(d)に示すA−C相交流電圧26で示され、電極31,33間に与えられる電位差は、図4(d)に示すB−C相交流電圧27で示される。こうして、A−C相交流電圧26とB−C相交流電圧27との位相差をπ/2[rad]とすることで、弾性体に進行波を形成することができる。
A相交流電圧23,B相交流電圧24,C相交流電圧25の中心電位と振幅が等しいときには、図4(d)に示すように、A相交流電圧23の振幅に対してA−C相交流電圧26とB−C相交流電圧27の振幅は、理論上、A相交流電圧23の21/2倍となる。これにより、入力電圧に制限がある場合であっても、入力電圧を大きくすることなく、圧電素子30Aに生じる電位差を大きくして、振動振幅を大きくすることが可能となる。なお、A−C相交流電圧26とB−C相交流電圧27の位相差が90度となる正弦波の設定方法はこれに限定されず、A相交流電圧23、B相交流電圧24及びC相交流電圧25に複数の周波数成分を重畳させた任意波形を設定する方法を用いることもできる。
また、圧電素子30B,30Cにおいて、電極31は電極45,48を介してGND電位に接続されるとしたが、これに限定されず、電極31は電極45,48を介して時間変動のないDC基準電位に接続してもよい。更に、電極31にその他の任意の波形形状を有する交流電位に接続することも可能であり、その際、電極31は電極41,43間及び電極42,44間の共通電極として機能する。
貫通孔38の形状は、開口面形状が円形である必要はなく、電極31とそれに対向する電極に通じる導通路が形成されていればよい。例えば、圧電素子30A〜30Cのそれぞれの内周面や外周面に、U字状、V字状或いは矩形状に切り欠いた溝部を設け、この溝部に導電体を固着させることによって導電路を形成することもできる。
次に、圧電素子30A〜30Cにおける電極構造について、図5乃至図10を参照して説明する。なお、図5乃至図10の説明では、圧電素子30A〜30Cを総称して、圧電素子30として説明する。そのため、圧電素子30A〜30Cにおいて、圧電セラミックスの裏面に設けられた電極(図2(a),(c)及び図3(a)に示す電極)については、以下に説明する通りに「共通電極」と言い換えることとする。また、圧電セラミックスの表面に設けられた電極(図2(b),(d)及び図3(b)に示す電極)については、以下に説明する通りに、「非駆動電極」及び「駆動電極」と言い換えることとする。
図5(a)は、圧電素子30の第1の電極構造を示す部分断面図である。圧電素子30は、圧電セラミックス等の圧電体30pの表裏面にそれぞれ電極が形成された構造を有する。圧電素子30において、不図示の弾性体2と接合される面(裏面)には、共通電極109が設けられており、不図示のフレキシブル基板15が接合される面(表面)には、非駆動電極110及び駆動電極111が設けられている。
共通電極109は、圧電素子30A〜30Cが備える電極31に相当する。非駆動電極110は、圧電素子30A〜30Cが備える電極34,36,37,45,48,49,51に相当し、GND電位への接続に用いられる。駆動電極111は、圧電素子30A〜30Cが備える電極32,33,35,41,42,43,44,46,47,50に相当し、励振用又は振動検出用の電極として用いられる。共通電極109、非駆動電極110及び駆動電極111と圧電素子30A〜30Cが備える各電極との間のこのような関係は、図6乃至図10を参照して説明する電極構造でも同様である。
共通電極109は、周方向に均一に形成された金属膜であるが、円周方向の一部は間隙部141によって切り欠かれている。間隙部141は、図2(c)に示す電極31を周方向に分断する間隙部39に対応する絶縁部である。間隙部141は、共通電極109を形成する際に予め所定の領域をマスクしておくことにより形成してもよいし、共通電極109をループ状に形成した後にその一部を研磨等の機械加工によって除去することによって形成してもよい。
間隙部141の一方の端Hは、ある駆動電極111の端Jよりもx方向の正方向に位置し、間隙部141の他方の端Iは、端Jとx方向で対向する駆動電極111の端Kよりもx方向の負方向に位置することが望ましい。つまり、間隙部141の幅寸法Wcと間隙部55の幅寸法Weとに“Wc≦We”の関係が成立し、且つ、z方向で見たときに間隙部141全体が間隙部55に収まることが望ましい。
間隙部141は、圧電素子30において電界形成に寄与しない部位である。よって、間隙部141をz方向において間隙部55と対向する位置に設けると共に、間隙部141の幅寸法Wcを間隙部55の幅寸法Weよりも狭くすることにより、間隙部141による電界分布の変化を低減し、励振性能の低下を最小限に抑えることができる。
貫通孔38は、共通電極109と非駆動電極110とを結ぶように1カ所に設けられており、非駆動電極110間に2つの駆動電極111が設けられている。貫通孔38の内部は、銀(Ag)を含有するペースト材等の導電体112によって充填されており、導電体112によって共通電極109と非駆動電極110とは電気的に接続されている。圧電素子30を弾性体2に接合する際に圧電素子30に亀裂等が入らないように、導電体112は、共通電極109よりもz方向の正方向に盛り上がらないように充填されていることが望ましい。
フレキシブル基板15によって非駆動電極110をGND電位に接続することにより、貫通孔38に充填された導電体112を介して共通電極109はGND電位に接続される。したがって、弾性体2が、例えば、絶縁体や半導体、絶縁体又は半導体に導電性材料を含有させた複合材料のいずれかで形成されているために電気抵抗が大きく導電体として機能しない場合でも、共通電極109をGND電位に容易に接続することができる。
なお、共通電極109と非駆動電極110とを導電体112により電気的に接続した後に、露出した導電体112の剥がれ落ち等を防止するために、共通電極109側を速やかに弾性体2との接合を行うか又はポリイミドシート等によって被覆することが望ましい。また、非駆動電極110側には、速やかにフレキシブル基板15を接合することが望ましい。このことは、図6乃至図10を参照して説明する電極構造でも同様である。
図5(a)の電極構造では、共通電極109に対して間隙部141を設けることにより、圧電素子30がループ状に形成されている場合において、共通電極109を開ループ構造とすることができる。これにより、共通電極109に円電流が流れて磁場が発生することを防止することができ、よって、変動磁場環境内に配置された場合でも、変動磁場環境に影響を与えることを回避することができる。即ち、変動磁場環境で使用されたときの信頼性を向上させることができる。この効果は、同様の間隙部を有する後述の図6乃至図10を参照して説明する電極構造であっても、同様に得ることができる。
間隙部141と貫通孔38とを併用することにより、貫通孔38を基準として間隙部141と間隙部55との相対的な位置合わせを行うことができ、例えば、高精度の円形状の貫通孔38を形成することにより、より精密な位置決めを行うことができる。即ち、図2(a)の構成のように、貫通孔38を設けた後に、貫通孔38を基準として共通電極109を形成し、これと同様に、貫通孔38を基準として間隙部55が配置されるように非駆動電極110と駆動電極111を形成する。
間隙部141の位置と幅は、図5に示した形態に限定されない。即ち、z方向で見たときに間隙部141と間隙部55とが一部で重なる形態又は全く重ならない形態や、間隙部141の幅寸法Wcと間隙部55の幅寸法Weとの関係が“Wc>We”となっていても、貫通孔38の機能には影響が及ばない。
貫通孔38を共通電極109と非駆動電極110とを電気的に接続する導通路として用いるための構成は、貫通孔38の内部全体に導電体112が充填された構成に限定されない。図5(b),(c)は、図5(a)中の領域Fの拡大図に相当し、貫通孔38を導通路として用いることができる別の構成を示している。
図5(b)には、貫通孔38の内壁にのみ導電体112を形成して、共通電極109と非駆動電極110とを電気的に接続する構成が示されている。このとき、管状の形状を有する導電体112の内部は、空洞であってもよいし、誘電性(絶縁性)材料の一例である接着剤等の樹脂が充填されていてもよい。
図5(c)には、貫通孔38の内部に棒材又は線からなる固体導体114が挿入されており、固体導体114を用いて共通電極109と非駆動電極110とを電気的に接続する構成が示されている。この場合、固体導体114と貫通孔38の内壁との間に接着剤等の樹脂又は銀ペースト等を、導電体であるか非導電体であるかを問わずに充填することによって、固体導体114を固定することが望ましい。例えば、圧電体30pに貫通孔38を形成した後に共通電極109を形成し、続いて、共通電極109が形成面の反対側の面から固体導体114を貫通孔38に挿入して固定する。その後、非駆動電極110を形成することによって、図5(c)の構造を実現することができる。
図6は、圧電素子30の第2の電極構造を示す部分断面図である。図6の電極構造は、図5(a)の電極構造とは、共通電極109に対して2つの貫通孔38が設けられ、且つ、それぞれの貫通孔38に導電体112が充填されることによって、共通電極109と2つの非駆動電極110とが電気的に接続されている点で異なる。図6の電極構造は、その他の点では図5(a)の電極構造と同じであるため、以下、この相違点についてのみ説明する。
2つの非駆動電極110のそれぞれに貫通孔38が設けられ、それぞれの貫通孔38の内部に導電体112が充填されている。こうして、貫通孔38に充填された導電体112を介して、共通電極109と2つの非駆動電極110とが電気的に接続される。これにより、圧電素子30が弾性体2へ接着されて共通電極109が被覆された後でも、2つの非駆動電極110にテスタのプローブを直接当てることで、共通電極109と非駆動電極110との間の導通検査と電気抵抗の確認を容易に行うことができる。また、共通電極109と非駆動電極110との間の導通検査後に2つの導電体112の一方で導通不良が発生しても、他方の導電体112によって共通電極109を非駆動電極110を介してGND電位に接続することができる。これにより、圧電素子30(振動体)の信頼性を向上させることができる。この効果は、後述する図9及び図10に示す電極構造でも、同様に得ることができる。更に、被駆動体3を駆動するために振動体に振動を励振する際には、閉ループを大きな円電流が流れることはなく、よって圧電素子30が変動磁場環境内に配置されていても、変動磁場環境に与える影響及びノイズ等を軽減することができる。
なお、導電体112が充填されて、共通電極109と非駆動電極110とを電気的に接続する貫通孔38は、2カ所以上設けられていればよく、2カ所に限定されない。また、図6には、貫通孔38が設けられた2つの非駆動電極110の間に2つの駆動電極111が設けられた形態が示されているが、駆動電極111の数に制限はなく、更に、貫通孔38が設けられた非駆動電極110は間隙部55を介して隣接していてもよい。図6に示す圧電素子30の第2の電極構造は、図5(a)を参照して説明した第1の電極構造と同じ効果を奏することは明らかである。
図7は、圧電素子30の第3の電極構造を示す部分断面図である。図7の電極構造は、図5(a)の電極構造における共通電極109に対して設けられた間隙部141が、2つの間隙部172,173の間に電極171が設けられた構成に変更されている点で図5(a)の電極構造と異なっているが、その他の構成は同じである。よって、以下、この相違点についてのみ説明する。
共通電極109は、間隙部172,173及び電極171を除いて、円環状の圧電体30pの全周に亘って形成されている。間隙部172,173は、上述した間隙部141と同様の方法で形成することができ、電極171は共通電極109と同時に形成することができる。電極171は、換言すれば、共通電極109を間隙部172,173により分断した後の電極の1つである。
間隙部172の共通電極109側の端Hは、ある駆動電極111の端Jよりもx方向の正方向に存在し、間隙部173の共通電極109側の端Iは、端Jと対向する駆動電極111の端Kよりもx方向の負方向に位置することが望ましい。つまり、間隙部172,173と電極171を含めた領域の幅寸法Wcと間隙部55の幅寸法Weとに“Wc≦We”の関係が成立し、且つ、z方向で見たときに間隙部172,173と電極171を含めた領域が間隙部55に収まっていることが望ましい。
図7に示す電極構造が、図5(a)の電極構造と同じ効果を奏することは明らかである。加えて、2つの間隙部172,173を設けることにより、共通電極109が開ループを形成しているかを判別するための検査を容易に行うことができる。つまり、2つの間隙部172,173と電極171の領域の幅寸法Wcは間隙部55の幅寸法Weよりも短いことが望ましいため、幅寸法Weが短くなるにしたがって間隙部172,173の幅は狭くなる。このとき、2つの間隙部172,173を形成する際の形成精度によっては、共通電極109が電極171を介して接続することにより閉ループを形成してしまうおそれがある。これに対して、共通電極109と電極171にテスタのプローブを直接当てることで、共通電極109が開ループを形成しているかを否か(導電ループが確実に電気的に切断されているか否か)を容易に検査することができる。
間隙部172,173間にある電極171の電位は不定となるため、突発的な放電を避ける等の安全面から、電極171の全面を弾性体2によって被覆するか、貫通孔38を用いない方法でGND電位に接続することが望ましい。電極171を貫通孔38を用いずにGND電位に接地する方法としては、例えば、電極171と弾性体2との間に薄膜状の金属を挟み、この薄膜状の金属をGND電位に接続する方法がある。また、電極171と電気的に接続可能な導通路を弾性体2に局所的に設ける方法を用いることもできる。
共通電極109が開ループを形成していることが確認された後には、確実に共通電極109と電極171とを絶縁している間隙部172,173の一方を残して、他方にペースト状の導電材料等を塗布することにより、間隙部を1つだけとしてもよい。これによって、電極171が電位不定となる状況をなくすことができる。この方法は、後述する図9(a),(b)に示す構成についても、同様に適用することができる。
図8は、圧電素子30の第4の電極構造を示す部分断面図である。図8の電極構造が図5(a)の電極構造と異なる第1の点は、図5に示す電極構造において共通電極109に対して設けられた間隙部141が、図8では絶縁部である2つの間隙部182,183の間に電極181が設けられた構成に変更されている点である。また、図8の電極構造が図5(a)の電極構造と異なる第2の点は、間隙部182,183の間に設けられた電極181が、貫通孔38に充填された導電体12によって非駆動電極110と電気的に接続されている点である。図8の電極構造は、その他の点では図5(a)の電極構造と同じであるため、以下、この相違点についてのみ説明する。
共通電極109は、間隙部182,183及び電極181を除いて、円環状の圧電体30pの全周に亘って形成されている。間隙部182,183は、図5を参照して説明した間隙部141と同様に形成することができ、電極181は、共通電極109と同時に形成することができる。一方の間隙部182の端Hは、z方向で対向する駆動電極111の端Jよりもx方向の正方向にあることが望ましく、他方の間隙部183の共通電極109側の端Iは、端Jと対向する駆動電極111の端Kよりもx方向の負方向に存在することが望ましい。そして、間隙部182,183及び電極181は、励振のための電界形成に寄与しない非駆動電極110及び間隙部55が形成されている領域とz方向において対向する領域に設けられることが望ましい。
2つの間隙部182,183の間に電極181を設ける構成は、図7を参照して説明した2つの間隙部172,173の間に電極171を設ける構成と同様の機能を有している。よって、図8に示す第4の電極構造もまた、図7に示す第3の電極構造と同じ効果を奏する。また、図8の電極181は非駆動電極110と電気的に接続されてGND電位に維持されるため、不定電位の電極を排除することができる。電位不定電極では、圧電素子30の内部応力の変化に伴って電位が変動することによる逆圧電効果によって、見掛け上の剛性が変化する。部分的な剛性の変化は、振動体に生じる進行波を形成する2つの振動モードの共振周波数を異ならしめるため、振動型駆動装置の性能低下に繋がるため、電極181をGND電位に維持することで、この問題を回避することができる。この効果は、電極171よりも幅の広い電極181についてより顕著に得ることができる。
図9(a)は、圧電素子30の第5の電極構造を示す部分断面図である。図9(a)の電極構造は、図6の電極構造と図7の電極構造を組み合わせた構造を有する。即ち、図9(a)の電極構造は、図5(a)の電極構造とは、共通電極109に対して設けられた間隙部141が2つの間隙部172,173の間に電極171が設けられた構成に変更されている点で異なっている。また、図9(a)の電極構造は、図5(a)の電極構造とは、導電体112が充填された2つの貫通孔38が共通電極109に対して設けられ、共通電極109と2つの非駆動電極110とが導電体112によって電気的に接続されている点で異なっている。
これらの相違点については既に説明済みであるため、ここでの説明を省略する。また、図9(a)の電極構造によって、図6の電極構造が奏する効果と図7の電極構造が奏する効果の両方の効果が得られることは明らかである。
図9(a)の電極構造は、図9(b)に示す電極構造に変形することができる。即ち、間隙部172,173及び電極171の領域を非駆動電極110とz方向において対向する位置に設け、且つ、この非駆動電極110を貫通孔38に充填された導電体112によって共通電極109と電気的に接続した構成としてもよい。
この場合、非駆動電極110の幅寸法Wgと間隙部55の幅寸法Weとの和(=We+Wg)で示される領域とz方向で対向する範囲内に間隙部172,173及び電極171を形成すればよい。つまり、間隙部172,173及び電極171を含む領域を、励振用又は振動検出用に用いる駆動電極111に対向する位置を避けるように配置する。これにより、間隙部172,173を形成する際の寸法精度における誤差許容値を拡大させることができ、また、間隙部172,173及び電極171を含む領域が、駆動のための電界形成に寄与しないことによる励振性能の低下を最小限に抑えることができる。
図10(a)は、圧電素子30の第6の電極構造を示す部分断面図である。図10(a)の電極構造は、図6の電極構造と図8の電極構造を組み合わせた構造を有しており、以下の3つの点で、図5(a)の電極構造と異なる。1点目は、共通電極109に対して導電体112が充填された3つの貫通孔38が設けられ、共通電極109と3つの非駆動電極110とが導電体112を介して電気的に接続されている点である。2点目は、共通電極109に設けられた間隙部141が、2つの間隙部182,183の間に電極181が設けられた構造に変更されている点である。3点目は、電極181は、貫通孔38に充填された導電体112よって非駆動電極110と電気的に接続されている点である。
これらの相違点については既に説明済みであるため、ここでの説明を省略する。また、図10(a)の電極構造によって、図6の電極構造が奏する効果と図8の電極構造が奏する効果の両方の効果が得られることは明らかである。更に、導電体112が充填された3つの貫通孔38による導通路を備えることにより、導通路の導通検査と、共通電極109のループが切断されていることの検査の両方が可能となる。
図10(a)の電極構造は、図10(b)に示す電極構造に変形することができる。具体的には、1つの非駆動電極110を、電気的に独立した幅の狭い2つの非駆動電極180へ変更する。更に、2つの非駆動電極180のうち、一方を貫通孔38に充填された導電体112を介して共通電極109と電気的に接続すると共に、他方を貫通孔38に充填された導電体112を介して電極181と電気的に接続する。その際、間隙部182の幅と間隙部183の幅とを変えて、図10(b)では、間隙部182の端Hが駆動電極111の端Jよりもx方向の正方向に位置するようにしている。
図10(b)の電極構造では、図10(a)の電極構造と同じ効果が得られるだけでなく、図10(a)の電極構造と比べて、電界形成に寄与しない領域を減らすことができる。したがって、励振用又は振動検出用の電極に割り当てる領域の面積を拡大させて、駆動性能や制御性能を高めることが可能になる。
次に、上述した振動型駆動装置1を備える医用システムについて説明する。ここでは、振動型駆動装置1を備える医療用のマニピュレータを、磁場空間を用いて診断や測定、医療処置等を行うMRI診断装置に適用した医用システムを取り上げることとする。
図11(a)は、マニピュレータ80を備えるMRI診断装置70の概略構成を示す斜視図である。図11(b)は、マニピュレータ80の概略構成を示す斜視図である。MRI診断装置70として、ここでは、磁場発生手段である2つの超伝導磁石をダブルドーナッツ型に組み合わせた開放型のMRI診断装置を示している。MRI診断装置70は、円筒形磁石71a,71b、患者を横たわらせるための処置台72、マニピュレータ80を設置するためのマニピュレータ設置台74を有する。MRI診断装置70では、円筒形磁石71a、71bの間に多関節ロボットの一例であるマニピュレータ80を設置しており、被検者の画像情報を取得しながらマニピュレータ80による医療処置を可能としている。
マニピュレータ80は、それぞれが回転1自由度を持つ第1関節部91、第2関節部92、第3関節部93及び第4関節部94を介して、第1アーム83、第2アーム84、第3アーム85及び第4アーム86が接続された4軸垂直多関節アーム構造を有する。第1関節部91は、基台82に取り付けられている。
第1関節部91には振動型駆動装置81aが、第2関節部92には振動型駆動装置81b,81cが、第3関節部93には振動型駆動装置81d,81eが、第4関節部94には振動型駆動装置81f,81gがそれぞれ組み込まれている。これらの振動型駆動装置81a〜81gとして図1を参照して説明した振動型駆動装置1が用いられており、且つ、振動型駆動装置81a〜81gには、図5乃至図10を参照して説明した圧電素子30が用いられている。振動型駆動装置81a〜81gの駆動によって、各関節部は回転運動を行うことができる。
第4アーム86の先端には、穿刺や焼灼、把持等の任意の医療処置を行うエンドエフェクタ87が装着されている。エンドエフェクタ87は、例えば、メス、鉗子、ニードル、プローブ、診断用の器具等が挙げられ、特に限定されるものではなく、医療処置には、手術等の治療だけでなく、診断等も含まれる。
振動型駆動装置81a〜81gはそれぞれ、図1を参照して説明した支持部材7及びフランジ8を備える。振動型駆動装置81aの支持部材7は基台82に固定され、振動型駆動装置81aのフランジ8は第1アーム83に固定されることで、振動型駆動装置81aは第1関節部91回りの回転トルクを第1アーム83に付与する。振動型駆動装置81b,81cの支持部材7は共に第1アーム83に固定され、振動型駆動装置81b,81cのフランジ8は共に第2アーム84に固定されることで、振動型駆動装置81b,81cは第2関節部92回り回転トルクを第2アーム84に付与する。振動型駆動装置81d,81eの支持部材7は共に第2アーム84に固定され、振動型駆動装置81d,81eのフランジ8は共に第3アーム85に固定されることで、振動型駆動装置81d,81eは第3関節部93回り回転トルクを第3アーム85に付与する。振動型駆動装置81f,81gの支持部材7は共に第3アーム85に固定され、振動型駆動装置81f,81gのフランジ8は共に第4アーム86に固定されることで、振動型駆動装置81f,81gは第4関節部94回り回転トルクを第4アーム86に付与する。
このように、各関節部に振動型駆動装置を配置することにより、歯車やベルト等の動力伝達機構を省略することが可能となることにより、マニピュレータ80の応答性を高めることができる。また、関節部に複数の振動型駆動装置を配置することにより、大きな回転トルクと保持トルクを得ることができる。なお、1つの振動型駆動装置で十分な回転トルクと保持トルクが得られる場合には、複数の振動型駆動装置で関節部を構成する必要はない。
マニピュレータ80を構成する振動型駆動装置81a〜81gには、圧電素子30への電圧印加を行うためのフレキシブル基板15における配線材料と圧電素子30の電極材料を除く全ての構成部材において、非磁性材料を用いることが望ましい。そのため、基台82、第1アーム83、第2アーム84、第3アーム85及び第4アーム86は、非磁性材料で構成されている。
また、振動型駆動装置81a〜81gの構成部材には、閉ループが存在しないように構成されていることが好ましい。例えば、環状の被駆動体3に金属材料を用いると、必然的に閉ループが構成されてしまうが、被駆動体3に樹脂やセラミックス等の誘電体を用いることで、閉ループが存在しない構成を実現することができる。また、図5乃至図10を参照して説明したように、振動型駆動装置81a〜81gのそれぞれに用いられている圧電素子30の電極構造は開ループ構造となっている。そのため、マニピュレータ80をMRI診断装置70の円筒形磁石71a,71bの近傍に設置しても、マニピュレータ80によるMRI診断装置70の磁場への影響を最小限に抑えることができる。これにより、MRI診断装置70で取得する画像のアーチファクトやノイズを低減させることができる。
マニピュレータ80をMRI診断装置70の内部に配置した場合には、MRI診断装置70の変動磁場が振動型駆動装置81a〜81gの面(図1のX−Y面)内を貫く可能性がある。しかし、振動型駆動装置81a〜81gの円環状の圧電素子30には導電性の閉ループが形成されていないため、誘導起電力発生に伴って形成される磁場がMRI診断装置70の高精度に管理された磁場を乱すリスクを軽減することができる。また、閉ループを変動磁場が貫くと閉ループを貫く全磁束の時間変動に起因する電磁波が生じるが、開ループとすることでこのような電磁波の発生を抑制し、MRI診断装置70及びその他の周辺機器に対するノイズを軽減させることができる。更に、閉ループを変動磁場が貫くと閉ループを貫く全磁束の時間変動に起因するローレンツ力によってその周囲に機械振動が生じるが、開ループとすることでマニピュレータ80における機械振動の発生を軽減させることができる。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。更に、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
例えば、上記の実施形態では、圧電素子30について、貫通孔38により裏面側の共通電極109を表面側の電極と導通させる場合に、共通電極109をGND電位に配線する形態について説明した。しかし、これに限られず、共通電極109をDC基準電位に配線してもよいし、図4(c)に示したC相交流電圧25やその他の任意の波形を有する駆動電圧に配線してもよい。また、圧電素子30では、非駆動電極110,180をGND電位に接続し、駆動電極111の容量やアドミタンスをインピーダンスアナライザ等により計測することにより、共通電極109と非駆動電極110との間の導通を間接的に検査することができる。
更に、上記実施形態では、MRI診断装置70として、ダブルドーナッツ型且つ開放型のものの内部にマニピュレータ80を設置した例を取り上げたが、これに限らず、その他の構造のものであっても構わない。例えば、マニピュレータ80の適用が可能なMRI診断装置としては、ハンバーガ型且つ開放型のものや、トンネル型のものであってもよい。そして、上記実施形態では、マニピュレータ80として、4軸垂直多関節型構造を有するものを取り上げたが、これに限らず、水平多関節型や平行リンク機構型のものであってもよく、回転自由度や振動型駆動装置の設置場所、個数に制限はない。
また、マニピュレータ80では、回転駆動型の振動型駆動装置1を関節部に直接配置した構成としたが、振動型駆動装置としては、直動駆動型や面内駆動型、球状駆動型のものを用いてもよい。更に、動力伝達機構を用いて関節部へ駆動トルクを付与してもよい。更には、マニピュレータ80の駆動源の全部又は一部を基台82の内部に設け、動力伝達機構を介して各関節部にトルクを付与する構成としてもよい。これにより、マニピュレータ80の可動部を軽量化し、応答性を高めることができる。
1 振動型駆動装置
2 弾性体
3 被駆動体
30 圧電素子
38 貫通孔
39,55,141 間隙部
70 磁気共鳴イメージング診断装置(MRI診断装置)
80 マニピュレータ
109 共通電極
110 非駆動電極
111 駆動電極
112 導電体

Claims (15)

  1. 振動体と被駆動体を備える振動型駆動装置であって、
    前記振動体は、
    主成分が電気的に絶縁性、誘電性または半導電性の材料からなり、前記被駆動体と接触する弾性体と、
    前記弾性体と接合される電気−機械エネルギ変換素子と、を有し、
    前記電気−機械エネルギ変換素子は、
    圧電体と、
    前記圧電体において前記弾性体と接合される面に設けられ開ループ構造を有する第1の電極と、
    前記圧電体を介して前記第1の電極と対向するように設けられた少なくとも2つの第2の電極と、
    前記圧電体を介して前記第1の電極と対向するように設けられた少なくとも1つの第4の電極と、
    記第1の電極と前記少なくとも1つの第4の電極とを電気的に接続する少なくとも1つの第1の導通路と、を有し、
    前記第1の電極は第1の間隙部を備え、
    前記少なくとも2つの第2の電極の間に第2の間隙部が設けられ
    前記振動体が前記被駆動体に対して押圧される方向から見たときに、前記第1の間隙部の幅は前記第2の間隙部の幅よりも狭いことを特徴とする振動型駆動装置。
  2. 前記被駆動体は、電気的に絶縁性、誘電性または半導電性の材料からなることを特徴とする請求項1に記載の振動型駆動装置。
  3. 前記圧電体において前記弾性体と接合される面に設けられた第3の電極を有し、
    前記第3の電極は前記第1の間隙部に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の振動型駆動装置。
  4. 前記少なくとも1つの第4の電極は前記圧電体を介して前記第3の電極と対向するように設けられ、
    前記第3の電極と前記少なくとも1つの第4の電極が第2の導通路によって電気的に接続されていることを特徴とする請求項に記載の振動型駆動装置。
  5. 記第3の電極と電気的に接続された前記少なくとも1つの第4の電極はGND電位に接続されることを特徴とする請求項に記載の振動型駆動装置。
  6. 前記第3の電極は、前記第2の間隙部と対向する位置、または、前記第1の電極と電気的に接続された前記少なくともつの第の電極と対向する位置に設けられていることを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の振動型駆動装置。
  7. 前記第1の電極は、少なくとも2つの前記第1の導通路によって、前記少なくともつの第の電極のうち2つの第の電極と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の振動型駆動装置。
  8. 記第1の電極と電気的に接続された前記少なくとも1つの第4の電極はGND電位に接続されることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の振動型駆動装置。
  9. 前記圧電体において前記少なくとも2つの第2の電極が設けられている面に、前記弾性体の歪みの大きさに応じた電位を示す振動検出用の電極が設けられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の振動型駆動装置。
  10. 前記圧電体において前記少なくとも2つの第2の電極が設けられている面は、電圧を印加するための配線を有するフレキシブル基板によって覆われていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の振動型駆動装置。
  11. 前記第1の導通路は、前記圧電体を貫通するように形成された貫通孔の内部に導電体が配置され、または、前記圧電体の側面に形成された溝部に導電体が固着されることにより形成されていることによって形成されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の振動型駆動装置。
  12. 前記圧電体は、円環状の形状を有し、
    前記第1の導通路は、前記圧電体の内外径の中心円の内側に設けられることを特徴とする請求項11に記載の振動型駆動装置。
  13. 前記弾性体は、電気的に絶縁性の材料からなることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の振動型駆動装置。
  14. 請求項1乃至13いずれか1項に記載の振動型駆動装置と、
    被検者に対して診断または手術を行う多関節ロボットと、を備える医用システムであって、
    前記多関節ロボットは、複数の関節部を有し、
    前記振動型駆動装置は、前記関節部に組み込まれて前記関節部での回転運動を行うことを特徴とする医用システム。
  15. 磁場を発生する磁場発生手段を有し、
    前記磁場発生手段が発生した磁場の内部に前記多関節ロボットが配置されていることを特徴とする請求項14に記載の医用システム。
JP2015114697A 2015-06-05 2015-06-05 振動型駆動装置及び医用システム Active JP6541449B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015114697A JP6541449B2 (ja) 2015-06-05 2015-06-05 振動型駆動装置及び医用システム
CN201610373130.9A CN106253739B (zh) 2015-06-05 2016-05-31 适于在磁场环境中使用的振动致动器以及医疗系统
US15/168,586 US10363105B2 (en) 2015-06-05 2016-05-31 Vibration actuator suitable for use in magnetic field environment and medical system

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015114697A JP6541449B2 (ja) 2015-06-05 2015-06-05 振動型駆動装置及び医用システム

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2017005795A JP2017005795A (ja) 2017-01-05
JP2017005795A5 JP2017005795A5 (ja) 2018-07-19
JP6541449B2 true JP6541449B2 (ja) 2019-07-10

Family

ID=57451150

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015114697A Active JP6541449B2 (ja) 2015-06-05 2015-06-05 振動型駆動装置及び医用システム

Country Status (3)

Country Link
US (1) US10363105B2 (ja)
JP (1) JP6541449B2 (ja)
CN (1) CN106253739B (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6541448B2 (ja) * 2015-06-05 2019-07-10 キヤノン株式会社 振動型駆動装置
JP2018119923A (ja) * 2017-01-27 2018-08-02 セイコーエプソン株式会社 力検出装置およびロボット
CN110772335B (zh) * 2019-04-25 2021-06-01 深圳市精锋医疗科技有限公司 手术器械
CN111969888B (zh) * 2020-08-07 2022-05-31 深圳市汇顶科技股份有限公司 压电电机和芯片的防抖装置
CN114910842B (zh) * 2021-02-10 2024-04-26 清华大学 一种mri图像增强超构表面阵列单元组件
JP2024062199A (ja) * 2022-10-24 2024-05-09 キヤノン株式会社 振動型アクチュエータ、光学機器および電子機器

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0421371A (ja) 1990-05-15 1992-01-24 Canon Inc 振動波モータ
JPH09285151A (ja) * 1996-04-19 1997-10-31 Matsushita Electric Ind Co Ltd 超音波モータ
JPH11252956A (ja) * 1998-03-02 1999-09-17 Star Micronics Co Ltd 積層型圧電素子とこれを用いた超音波モータ
CN1750379A (zh) * 2004-09-17 2006-03-22 德昌电机股份有限公司 超声马达
CN101443572A (zh) 2004-11-09 2009-05-27 东北大学 电流变流体制动及致动装置以及使用该装置的矫形器
JP2008519941A (ja) 2004-11-09 2008-06-12 ノースイースタン ユニバーシティ 電気粘性流体ブレーキ又はアクチュエータ装置及びそれを使用した矯正装置
JP2007159211A (ja) * 2005-12-02 2007-06-21 Nikon Corp 駆動装置、振動アクチュエータ、及び、電子機器
JP2008130767A (ja) * 2006-11-20 2008-06-05 Canon Inc 振動体の製造方法、振動体および振動型駆動装置
JP5459271B2 (ja) 2011-06-22 2014-04-02 株式会社ニコン 振動アクチュエータ、レンズ鏡筒及びカメラ
EP3188266B1 (en) * 2011-06-27 2022-04-06 Canon Kabushiki Kaisha A method for manufacturing a stator for a piezoelectric oscillatory wave motor
JP5984521B2 (ja) * 2012-06-15 2016-09-06 キヤノン株式会社 振動型駆動装置、医療装置、及び医療システム
JP6315883B2 (ja) * 2012-12-26 2018-04-25 キヤノン株式会社 圧電素子、振動波モーター用ステーター
US9289265B2 (en) * 2013-07-10 2016-03-22 The Johns Hopkins University MRI-compatible, integrated force and torque sensors and systems that incorporate the sensors

Also Published As

Publication number Publication date
US10363105B2 (en) 2019-07-30
US20160354167A1 (en) 2016-12-08
CN106253739A (zh) 2016-12-21
CN106253739B (zh) 2019-07-02
JP2017005795A (ja) 2017-01-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6541449B2 (ja) 振動型駆動装置及び医用システム
EP0865151B1 (en) Electrostatic actuator
US8115367B2 (en) Piezoelectric actuator provided with a displacement meter, piezoelectric element, and positioning device
JP2012185153A (ja) 圧電振動型力センサ及びロボットハンド並びにロボットアーム
JP2016213937A (ja) 振動型駆動装置、画像形成装置、位置決めステージ及び医用システム
JP6541448B2 (ja) 振動型駆動装置
JP5984523B2 (ja) 振動波駆動装置
Leng et al. A multi-degree-of-freedom clamping type traveling-wave ultrasonic motor
JP6895200B2 (ja) 圧電モータ、圧電モータ用の摺動材、及び注入機器
JP2017005795A5 (ja)
Zhang et al. Construction of an intravascular ultrasound catheter with a micropiezoelectric motor internally installed
JP7204455B2 (ja) 振動型アクチュエータ、雲台、および電子機器
US9837936B2 (en) Vibration type drive device, medical apparatus, and medical system
Zhao et al. Preliminary Characterization of a Hollow Cylindrical Ultrasonic Motor by Finite Element Modeling and Digital Holographic Interferometry
JP5339851B2 (ja) 変位計付圧電アクチュエータおよび圧電素子ならびにそれを用いた位置決め装置
Hu et al. A piezoelectric spherical motor with two degree-of-freedom
Zhao et al. Characterization and design of a hollow cylindrical ultrasonic motor
Zhao et al. Design and Characterization of MRI-compatible Plastic Ultrasonic Motor
US3359045A (en) Squeeze film bearing
JP7395320B2 (ja) 振動型アクチュエータ、雲台、および電子機器
Nakamura et al. P3M-7 A Multi-degrees-of-freedom ultrasonic motor design for robotics applications
JP2007124840A (ja) 圧電アクチュエータ
JPH0646870B2 (ja) リニアアクチユエ−タ
JPS6389080A (ja) 振動波モ−タ
JP2024540354A (ja) 圧電モータ要素のための取り付け装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180604

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180604

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190226

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190418

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190514

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190611

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6541449

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151