JP6423264B2 - 電力変換装置 - Google Patents
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Description
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、回転電機の巻線に異常が生じた場合であっても、回転電機を駆動可能である電力変換装置を提供することにある。
第1インバータは、巻線の各相に対応して設けられる第1スイッチング素子を有し、巻線の一端および第1電圧源と接続される。
第2インバータは、巻線の各相に対応して設けられる第2スイッチング素子を有し、巻線の他端および第2電圧源と接続される。
インバータ制御手段は、第1インバータおよび第2インバータを制御する。
異常検出手段は、相内短絡異常、相間短絡異常、および、断線異常を含む巻線異常を検出する。相内短絡異常は、巻線の1相内にて短絡する異常である。相間短絡異常は、巻線の2相間が短絡する異常である。断線異常は、巻線の1相が断線する異常である。
インバータ制御手段は、検出された巻線異常に応じ、全相を用いる全相駆動制御、または、巻線異常に係る1相を停止相とし、停止相以外の相を用いる減相駆動制御により、第1インバータおよび第2インバータを制御する。
インバータ制御手段は、巻線異常が相内短絡異常である場合、全相駆動制御、または、短絡相を停止相とする減相駆動制御により、第1インバータおよび第2インバータを制御する。
(一実施形態)
本発明の一実施形態による電力変換装置を図1〜図12に基づいて説明する。
図1に示すように、回転電機駆動システム1は、電力変換装置5、および、モータジェネレータ10を備える。
モータジェネレータ10は、例えば電気自動車やハイブリッド車両等の電動自動車に適用され、図示しない駆動輪を駆動するためのトルクを発生する、所謂「主機モータ」である。モータジェネレータ10は、駆動輪を駆動するための電動機としての機能、および、図示しないエンジンや駆動輪から伝わる運動エネルギによって駆動されて発電する発電機としての機能を有する。本実施形態では、モータジェネレータ10が電動機として機能する場合を中心に説明する。
第1インバータ20は、コイル11〜13への通電を切り替える3相インバータであり、6つのスイッチング素子であるU1上アーム素子21、V1上アーム素子22、W1上アーム素子23、U1下アーム素子24、V1下アーム素子25、および、W1下アーム素子26を有する。以下適宜、U1上アーム素子21、V1上アーム素子22、W1上アーム素子23、U1下アーム素子24、V1下アーム素子25、および、W1下アーム素子26を「(第1)スイッチング素子21〜26」という。
このように、本実施形態では、第1インバータ20および第2インバータ30がコイル11〜13の両側に接続される。
本実施形態では、スイッチング素子21〜26、31〜36は、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)であるが、MOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)やその他の素子を用いてもよい。
第2電源42は、リチウムイオン電池等の充放電可能な直流電源であり、第2インバータ30と接続され、第2インバータ30を経由してモータジェネレータ10と電力を授受可能に設けられる。
本実施形態では、第1電源41にて印加可能な電圧である第1電源電圧Vb1と、第2電源42にて印加可能な電圧である第2電源電圧Vb2とが等しいものとする。
第2コンデンサ44は、高電位側配線48と低電位側配線49とに接続される。第2コンデンサ44は、第2電源42から第2インバータ30側への電流、または、第2インバータ30側から第2電源42側への電流を平滑化する平滑コンデンサである。
第1制御信号生成部61は、トルク指令値trq*や電流指令値Iu*、Iv*、Iw*等のモータジェネレータ10の駆動に係る指令値等に基づき、第1インバータ20のスイッチング素子21〜26のオンオフ作動を制御する第1制御信号を生成し、スイッチング素子21〜26のゲートに出力する。これにより、第1制御信号生成部61は、第1インバータ20を制御する。
制御信号生成部61、62は、第1インバータ20および第2インバータ30を制御することで、モータジェネレータ10の駆動を制御する。
また、巻線異常には、ステータに巻回されている箇所で生じる絶縁異常および断線異常に限らず、コイル11〜13と接続されるケーブルや端子等における絶縁異常や断線異常も含まれるものとする。
異常検出部65は、巻線異常が生じている場合、巻線異常の種類(断線異常、相内短絡異常、または、相間短絡異常)を特定するとともに、異常が生じている相を特定する。第1制御信号生成部61および第2制御信号生成部62では、巻線異常の種類に応じ、第1インバータ20および第2インバータ30を制御する。
巻線異常の種類に応じた駆動制御については、後述する。
第1電源41の電力によりモータジェネレータ10を駆動する第1片側駆動動作では、第2制御信号生成部62は、第2上アーム素子31〜33の全相、または、第2下アーム素子34〜36の全相の一方をオン、他方をオフすることにより、第2インバータ30を中性点化する。また、第1制御信号生成部61は、モータジェネレータ10の駆動に係る指令値に基づき、第1インバータ20をPWM制御により制御する。
また、第1電源電圧Vb1と第2電源電圧Vb2とが等しいので、モータジェネレータ10に印加される電圧は、第1片側駆動動作と第2片側駆動動作とで等しい。そのため、スイッチング素子21〜26、31〜36の熱劣化等に応じ、第1片側駆動動作と第2片側駆動動作とを適宜切り替えてもよい。中性点化しない方のインバータ20、30は、PWM制御に限らず、どのように制御してもよい。他の制御時も同様、PWM制御に限らず、どのような制御としてもよい。
なお、第1電源電圧Vb1と第2電源電圧Vb2とが異なる場合、電圧が低い方で駆動要求を満たせるときには、高電圧側を中性点化し、低電圧側で駆動する。これにより、スイッチング損失を低減することができる。
反転駆動動作では、制御信号生成部61、62は、モータジェネレータ10の駆動要求に応じた第1基本波F1に基づいて第1インバータ20の駆動を制御し、駆動要求に応じた第2基本波F2に基づいて第2インバータ30の駆動を制御する。
なお、第1基本波F1と第2基本波F2との位相差は、180[°]とするが、第1電源電圧Vb1および第2電源電圧Vb2の和に相当する電圧をモータジェネレータ10に印加可能な程度のずれは許容される。
図4に示す例では、U1上アーム素子21、V1下アーム素子25、W1下アーム素子26、V2上アーム素子32、W2上アーム素子33、および、U2下アーム素子34がオンされ、このとき、矢印Y3で示す経路の電流が流れる。
なお、反転駆動動作にて、振幅や波形が異なる場合、各相にてオンされる素子は、第1インバータ20と第2インバータ30とで、必ずしも上下反対にならない。
図3および図4にて示すように、制御信号生成部61、62は、正常時には、U相、V相およびW相を用いる3相駆動制御によりインバータ20、30を制御する。
本実施形態では、モータジェネレータ10に対して2つのインバータ20、30を設けているため、巻線不良が生じた場合であっても、モータジェネレータ10の駆動を継続可能である。
S102では、図2〜図4にて説明した通常制御とする。通常制御においては、モータジェネレータ10の回転数およびトルクに応じ、片側駆動動作、または、両側駆動動作とする。通常制御では、片側駆動動作または両側駆動動作のいずれであっても、全ての相を用いる3相駆動とする。
S104では、巻線異常があるか否かを判断する。巻線異常がないと判断された場合(S104:NO)、S102に戻る。巻線異常があると判断された場合(S104:YES)、S105へ移行する。
S105では、生じている異常が相間短絡異常か否かを判断する。生じている異常が相間短絡異常であると判断された場合(S105:YES)、S108へ移行する。生じている異常が相間短絡異常ではないと判断された場合(S107:NO)、S106へ移行する。
S107では、生じている異常が相内短絡異常か否かを判断する。生じている異常が相間短絡異常であると判断された場合(S107:YES)、S111へ移行する。生じている異常が相間短絡異常ではないと判断された場合(S107:NO)、S113へ移行する。
図7は、2相を用いた反転駆動のスイッチング状態を示している。
図7(a)に示すように、制御信号生成部61、62は、2相駆動時には、停止相であるU相の全てのスイッチング素子21、24、31、34をオフにする。これにより、短絡箇所X1を切り離すことができるので、短絡箇所X1に短絡電流が流れない。
図7(d)、(e)に示すように、第2制御信号生成部62は、第2インバータ30において、V2上アーム素子32とW2上アーム素子33のオンオフが反対となるように、モータジェネレータ10の駆動に係る指令値に基づいて制御する。すなわち、第2制御信号生成部62は、V2上アーム素子32がオンのとき、W2上アーム素子33がオフ、V2上アーム素子32がオフの時、W2上アーム素子33がオンとなるように制御する。
なお、V相およびW相の下アーム素子25、26、35、36は、対応する上アーム素子とオンオフが反対となるように制御される。
図8(a)に示すように、制御信号生成部61、62は、反転駆動時と同様、2相駆動時には、停止相であるU相の全てのスイッチング素子21、24、31、34をオフにする。
図8(b)、(c)に示すように、第1制御信号生成部61は、中性点化する第1インバータ20において、V1上アーム素子22およびW1上アーム素子23をオン、V1下アーム素子25およびW1下アーム素子26をオフにする。
なお、中性点化されるインバータにおいて、オンされるアームを、適宜切り替えてもよい。また、反転駆動とするか、片側駆動とするかは、モータジェネレータ10の回転数およびトルクに応じ、正常時とは別途に設定されるマップに基づいて選択される。後述する断線異常時および相間短絡異常時についても同様である。
なお、3相駆動を行う場合、図9(a)に示すように、全ての相の電流がゼロとなるタイミングがなく、q軸電流Iqの変動は小さい。
図10は、U相コイル11がB1にて断線した場合の例である。U相コイル11が断線した場合、断線相であるU相を停止相とし、制御信号生成部61、62は、停止相であるU相の全てのスイッチング素子21、24、31、34をオフにする。また、制御信号生成部61、62は、断線していないV相およびW相を2相駆動制御する。2相駆動の詳細は、相間短絡異常時と同様であり、2相を用いた片側駆動としてもよいし、反転駆動としてもよい。図10には、2相を用いた反転駆動の例を示しており、例えば、V1上アーム素子22、W1下アーム素子26、W2上アーム素子33、および、V2下アーム素子35がオンのとき、矢印Y5で示す経路の電流が流れる。
これにより、短絡電流を許容できる回転数範囲内において、短絡相を用いることなく、より安全にモータジェネレータ10の駆動を継続することができる。
生じている異常が相間短絡異常、断線異常、または、相内短絡異常のいずれでもない場合(S105〜S107:NO)に移行するS113は、巻線異常の種類が特定できない、あるいは、多重故障が生じている場合であって、退避走行ができないため、全てのスイッチング素子21〜26、31〜36をオフにし、惰性走行とする。
第1インバータ20は、コイル11、12、13の各相に対応して設けられる第1スイッチング素子21〜26を有し、コイル11、12、13の一端111、121、131および第1電源41と接続される。
第2インバータ30は、コイル11、12、13の各相に対応して設けられる第2スイッチング素子31〜36を有し、コイル11、12、13の他端112、122、132および第2電源42と接続される。
制御信号生成部61、62は、第1インバータ20および第2インバータ30を制御する。
異常検出部65は、相内短絡異常、相間短絡異常、断線異常を含む巻線異常を検出する。相内短絡異常は、巻線の1相内にて短絡する異常である。相間短絡異常は、巻線の2相間が短絡する異常である。断線異常は、巻線の1相が断線する異常である。
制御信号生成部61は、検出された巻線異常に応じ、全相を用いる全相駆動制御、または、巻線異常に係る1相を停止相とし、停止相の第1スイッチング素子および第2スイッチング素子を全てオフにし、停止相以外の相を用いる減相駆動制御により、第1インバータ20および第2インバータ30を制御する。
短絡相の1相を停止相とし、停止相のスイッチング素子を全てオフすることで、停止相を切り離しすことができる。また、停止相以外を用いた減相駆動制御とすることで、相間短絡異常が生じた場合であっても、短絡電流を流すことなく、モータジェネレータ10を駆動することができる。
これにより、断線異常が生じた場合であっても、断線相を用いない減相駆動制御とすることで、断線異常が生じた場合であっても、モータジェネレータ10の駆動を継続することができる。
これにより、相内短絡異常が生じた場合であっても、モータジェネレータ10を駆動することができる。
巻線異常が相内短絡異常である場合、短絡電流の通電を停止することができない。そこで本実施形態では、相内短絡時には、モータジェネレータ10の最大回転数Rmaxを制限して、モータジェネレータ10の駆動を継続する。これにより、相内短絡箇所の過熱や異常状態の更なる悪化を抑制することができる。
(ア)異常検出手段
上記実施形態では、電流指令値と電流検出値との比較により、巻線異常の判定を行う。他の実施形態では、巻線異常の判定方法は、電流指令値と電流検出値との比較に限らず、どのような方法としてもよい。
上記実施形態では、第1電源および第2電源は、ともにリチウムイオン電池であり、第1電圧と第2電圧とが等しい。他の実施形態では、第1電源および第2電源の少なくとも一方をリチウムイオンバッテリ以外の鉛蓄電池、燃料電池、または、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタ等のキャパシタであってもよい。また、第1電源および第2電源の種類および電圧は異なっていてもよい。さらにまた、第1電源または第2電源の一方を、エンジン等の駆動源により駆動されて発電する発電機等としてもよい。
上記実施形態では、回転電機はモータジェネレータである。他の実施形態では、回転電機は、発電機の機能を持たない電動機であってもよいし、電動機の機能を持たない発電機であってもよい。また、上記実施形態の回転電機は3相である。他の実施形態では、回転電機は、4相以上としてもよい。また、上記実施形態では、回転電機駆動システムは、グランドと接続されていないが、他の実施形態では、回転電機駆動システムを、グランドと接続してもよい。
また、上記実施形態では、回転電機が電動車両の主機モータである。他の実施形態では、回転電機は、主機モータに限らず、例えばスタータ機能とオルタネータ機能とを併せ持つ、所謂ISG(Integrated Starter Generator)や、補機モータであってもよい。また、電力変換装置を車両以外の装置に適用してもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
10・・・モータジェネレータ(回転電機)
11〜13・・・コイル(巻線)
20・・・第1インバータ
21〜26・・・第1スイッチング素子
30・・・第2インバータ
31〜36・・・第2スイッチング素子
60・・・制御部
61、62・・・制御信号生成部(インバータ制御手段)
65・・・異常検出部(異常検出手段)
Claims (4)
- 複数相の巻線(11、12、13)を有する回転電機(10)の電力を変換する電力変換装置であって、
前記巻線の各相に対応して設けられる第1スイッチング素子(21〜26)を有し、前記巻線の一端(111、121、131)および第1電圧源(41)と接続される第1インバータ(20)と、
前記巻線の各相に対応して設けられる第2スイッチング素子(31〜36)を有し、前記巻線の他端(112、122、132)および第2電圧源(42)と接続される第2インバータ(30)と、
前記第1インバータおよび前記第2インバータを制御するインバータ制御手段(61、62)、および、前記巻線の1相内にて短絡する異常である相内短絡異常、前記巻線の2相間が短絡する異常である相間短絡異常、および、前記巻線の1相が断線する異常である断線異常を含む巻線異常を検出する異常検出手段(65)を有する制御部(60)と、
を備え、
前記インバータ制御手段は、検出された前記巻線異常に応じ、全相を用いる全相駆動制御、または、前記巻線異常に係る1相を停止相とし、前記停止相の前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子を全てオフにし、前記停止相以外の相を用いる減相駆動制御により、前記第1インバータおよび前記第2インバータを制御し、
前記インバータ制御手段は、前記巻線異常が前記相内短絡異常である場合、前記全相駆動制御、または、短絡相を前記停止相とする前記減相駆動制御により、前記第1インバータおよび前記第2インバータを制御することを特徴とする電力変換装置。 - 前記インバータ制御手段は、前記巻線異常が前記相間短絡異常である場合、短絡相のうちの一方を前記停止相とする前記減相駆動制御により前記第1インバータおよび前記第2インバータを制御することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
- 前記インバータ制御手段は、前記巻線異常が前記断線異常である場合、断線相を前記停止相とする前記減相駆動制御により前記第1インバータおよび前記第2インバータを制御することを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
- 前記インバータ制御手段は、前記巻線異常が前記相内短絡異常である場合、前記回転電機の回転数が、前記巻線異常が生じていないときの前記回転電機の最大回転数である正常時最大回転数より小さい異常時最大回転数以下となるように、前記第1インバータおよび前記第2インバータを制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
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