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JP6417274B2 - 建設車両用ラジアルタイヤ - Google Patents

建設車両用ラジアルタイヤ Download PDF

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JP6417274B2 JP2015098750A JP2015098750A JP6417274B2 JP 6417274 B2 JP6417274 B2 JP 6417274B2 JP 2015098750 A JP2015098750 A JP 2015098750A JP 2015098750 A JP2015098750 A JP 2015098750A JP 6417274 B2 JP6417274 B2 JP 6417274B2
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Description

本発明は、建設車両用ラジアルタイヤに関する。
従来、鉱山や建築現場などで使用される大型の車両に装着される建設車両用ラジアルタイヤは、重負荷状態、劣悪路面、及び過酷なトラクション条件の下で使用される。
このため、建設車両用ラジアルタイヤに発生する故障を抑制するための様々な対策が進められている。
例えば、特許文献1には、建設車両用ラジアルタイヤに発生する故障の一つとして、ベルト層のトレッド幅方向の端部に発生するセパレーションを抑制するため、ベルト補強層を追加する構成が開示されている。
特開平9−193607号公報
ところで、建設車両用ラジアルタイヤに発生する故障の一つに、タイヤ内面に設けられるインナーライナーのショルダー部に発生する亀裂(以下、インナーライナー割れ)がある。
このインナーライナー割れは、次のようにして発生する。具体的に、タイヤのトレッド部の外表面が路面に接地する際、トレッド部の外表面が路面に沿って変形する。このとき、インナーライナーもトレッド部の外表面の変形と同じように路面に沿って変形するため、インナーライナーにタイヤ周方向に歪む周方向歪が発生し、この周方向歪によって、インナーライナー割れが発生する。
また、インナーライナーの周方向歪は、トレッド部の外表面のタイヤ径方向の半径と、インナーライナーのタイヤ径方向の半径との差(以下、半径差として示す)が大きいほど、増加する傾向にある。これは、インナーライナーもトレッド部の外表面の変形と同じように路面に略平行に変形することから、上述の半径差が大きいと、インナーライナーのタイヤ周方向への変形量が増加するためである。
従って、乗用車用タイヤやトラックバス用タイヤに比べてトレッド部のゲージ厚の大きい建設車両用ラジアルタイヤでは、上述の半径差が大きくなるため、インナーライナーのショルダー部に大きな周方向歪が生じ、この結果、インナーライナー割れが発生しやすいという問題がある。
特許文献1に開示される技術では、建設車両用ラジアルタイヤのベルト層に発生する故障を抑制することができるものの、上述のようなインナーライナー割れを十分に抑制することができない。このため、インナーライナー割れを抑制することにより、耐久性を向上させるための対策が望まれていた。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、インナーライナー割れを抑制することにより、耐久性を向上させることが可能な建設車両用ラジアルタイヤを提供することを目的とする。
本発明の特徴は、トレッド部から一対のサイドウォール部を介して一対のビード部にわたってトロイド状に延びるカーカス層と、前記カーカス層の内周側に配置されるインナーライナーと、を備え、前記トレッド部の外表面のトレッド幅方向外側端であるトレッド端を通り、前記カーカス層に直交する端法線を規定した場合、前記端法線に沿った前記トレッド端と前記カーカス層間の長さが100mm以上となる建設車両用ラジアルタイヤであって、前記カーカス層は、前記カーカス層を構成するカーカスコードがトレッド幅方向に沿って延在する幅方向延在部と、前記カーカスコードがトレッド幅方向に対して傾斜する方向に延在する傾斜延在部とを有しており、前記トレッド部の外表面においてタイヤ赤道面からトレッド幅方向外側へトレッド幅の3/8倍だけ離れた位置を通り、前記カーカス層に直交する3/8法線を規定した場合、前記傾斜延在部は、少なくとも前記3/8法線と前記端法線との間にわたって配置されることを要旨とする。
本発明の他の特徴は、上記特徴に係り、前記傾斜延在部の延在方向と、トレッド幅方向とのなす角度は、10〜40°の範囲内であることを要旨とする。
本発明の他の特徴は、上記特徴に係り、前記トレッド部には、前記トレッド端からトレッド幅方向内側に向かって延びるラグ溝が形成されており、前記トレッド端において、前記ラグ溝のタイヤ径方向における深さは、100mm以上であることを要旨とする。
本発明の他の特徴は、上記特徴に係り、前記カーカス層と前記インナーライナーとの間に、補強用インナーパッドが設けられており、前記補強用インナーパッドは、少なくとも前記3/8法線と前記端法線との間にわたって配置されることを要旨とする。
本発明に係る建設車両用ラジアルタイヤによれば、インナーライナー割れを抑制することにより、耐久性を向上させることが可能な建設車両用ラジアルタイヤを提供することができる。
図1は、第1実施形態に係る建設車両用ラジアルタイヤの断面斜視図である。 図2は、第1実施形態に係る建設車両用ラジアルタイヤのトレッド幅方向及びタイヤ径方向に沿った断面図である。 図3は、第1実施形態に係る建設車両用ラジアルタイヤのカーカス層を説明するための展開平面図である。 図4は、第1実施形態に係る建設車両用ラジアルタイヤのトレッド幅方向及びタイヤ径方向における一部拡大断面図である。 図5は、建設車両用ラジアルタイヤが路面に接地する際の変形を説明するための説明図である。 図6は、第1実施形態の変形例に係る建設車両用ラジアルタイヤのトレッド幅方向及びタイヤ径方向における一部断面図である。 図7は、比較評価の結果を示すグラフ図である。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る建設車両用ラジアルタイヤについて、図面を参照しながら説明する。
(1)建設車両用ラジアルタイヤ1の概要
図1は、第1実施形態に係る建設車両用ラジアルタイヤ1の断面斜視図である。図2は、第1実施形態に係る建設車両用ラジアルタイヤ1のトレッド幅方向Tw及びタイヤ径方向Tdに沿った断面図である。
図1〜2に示すように、本実施形態に係る建設車両用ラジアルタイヤ1は、路面に接地するトレッド部10と、トレッド部10に連なり、トレッド部10よりもタイヤ径方向Td内側に位置するサイドウォール部20と、サイドウォール部20に連なり、サイドウォール部20よりもタイヤ径方向Td内側に位置するビード部30とを有する。
また、建設車両用ラジアルタイヤ1は、トレッド部10から一対のサイドウォール部20を介して一対のビード部30にわたってトロイド状に延びるカーカス層50と、カーカス層50のタイヤ径方向Td内側に配置されるインナーライナー60と、を備える。
また、建設車両用ラジアルタイヤ1は、トレッド部10の外表面11のトレッド幅方向Tw外側端であるトレッド端TEを通り、カーカス層50に直交する端法線L1を規定した場合、端法線L1に沿ったトレッド端TEとカーカス層50間の長さが100mm以上となる。具体的に、図2に示すように、トレッド幅方向Tw及びタイヤ径方向Td断面において、トレッド端TE上の位置Peを通り、カーカス層50の外表面上の位置Peiに直交する端法線L1を規定した場合、端法線L1に沿ったトレッド端TE上の位置Peとカーカス層50の外表面上の位置Peiとの距離は、100mm以上である。
ここで、本実施形態において、トレッド端TEとは、建設車両用ラジアルタイヤ1を正規リムに組み付け、正規内圧を付加し、かつ、無負荷状態とした基準状態において、トレッド部10の外表面11のトレッド幅方向Tw外側の端部であり、トレッド部10の外表面11とサイドウォール部20の外表面21との境界に位置する。
なお、「正規リム」とは、タイヤのサイズに応じて下記の規格に規定された標準リムをいい、「正規内圧」とは、下記の規格に記載されている、適用サイズにおける単輪の最大負荷能力に対応する空気圧をいう。そして規格とは、タイヤが生産または使用される地域に有効な産業規格であって、たとえば、日本では「日本自動車タイヤ協会」の“JATMA YEAR BOOK”であり、アメリカ合衆国では“THE TIRE AND RIM ASSOCIATION INC.”の“YEAR BOOK”であり、欧州では、“The European Tyre and Rim Technical Organisation”の“STANDARD MANUAL”である。
また、本実施形態では、トレッド部10は、ショルダー部10Sを有する。トレッド部10のショルダー部10Sは、トレッド部10の外表面11においてタイヤ赤道面CLからトレッド幅方向Tw外側へトレッド幅Wの3/8倍だけ離れた位置Psを基準として、当該位置Psよりもトレッド幅方向Tw外側の部位を示す。なお、トレッド幅Wとは、トレッド部10の両側に位置するトレッド端TE,TE間のトレッド幅方向Twにおける長さである。
カーカス層50は、建設車両用ラジアルタイヤ1の骨格を形成し、建設車両用ラジアルタイヤ1のラジアル方向に沿って配置された複数のカーカスコード500(図3参照)を有する。
カーカス層50は、一対のビード部30の内部に埋設されるビードコア40に係止されるカーカス本体部51と、カーカス本体部51から延び、ビードコア40周りに折り返されるカーカス折り返し部52とを有する。
インナーライナー60は、カーカス層50の内周側に配置される。なお、内周側は、トレッド部10では、タイヤ径方向Td内側であり、サイドウォール部20及びビード部30では、トレッド幅方向Tw内側である。内周側は、カーカス層50の厚み方向の内側と言い換えてもよい。
インナーライナー60は、ゴム部材によって構成され、タイヤ内面のガスバリア層として機能する。インナーライナー60のタイヤ径方向Td内側の端部は、ビードコア40よりもタイヤ径方向Td外側で終端してもよいし、ビードトゥまで延びていてもよい。
また、本実施形態では、インナーライナー60は、ショルダー部60Sを有する。インナーライナー60のショルダー部60Sは、タイヤ赤道面CLからトレッド幅方向Tw外側へトレッド幅Wの3/8倍だけ離れた位置Psを通り、カーカス層50に直交する3/8法線L2と、端法線L1との間の部位を示す。なお、3/8法線L2は、カーカス層50の外表面上の位置Psiにおいて、カーカス層50と直交する。
ベルト層70は、カーカス層50のタイヤ径方向Td外側に設けられる。ベルト層70は、複数のベルト71によって構成される交錯ベルトであり、各ベルト71は、複数のベルトコード(不図示)を有する。図2の例では、ベルト層70は、6枚のベルト71によって構成されている。
例えば、ベルト層70では、タイヤ径方向内側から1、2層目のベルト71のベルトコードは、タイヤ周方向に対し、0°〜10°の角度で傾斜して延びており、タイヤ径方向内側から3、4層目のベルト71のベルトコードは、タイヤ周方向に対し、10°〜20°の角度で傾斜して延びており、タイヤ径方向内側から5、6層目のベルト71のベルトコードは、タイヤ周方向に対し、20°〜30°の角度で傾斜して延びている。なお、ベルト71の枚数及びベルトコードの延びる方向は、これに限定されるものではない。
(2)カーカス層の構成
次に、本実施形態に係るカーカス層50の構成について具体的に説明する。図2に示すように、本実施形態に係る建設車両用ラジアルタイヤ1では、カーカス層50は、カーカス層50を構成するカーカスコード500がトレッド幅方向Twに沿って延在する幅方向延在部510と、カーカスコード500がトレッド幅方向Twに対して傾斜する方向に延在する傾斜延在部520とを有する。
傾斜延在部520は、幅方向延在部510,510の間に配置される。また、傾斜延在部520は、タイヤ径方向Tdにおいて、次の位置に配置される。
具体的に、図2に示すように、傾斜延在部520は、トレッド幅方向Tw及びタイヤ径方向Tdに沿った断面において、カーカス層50のトレッド最大幅位置Pmを規定した場合、トレッド最大幅位置Pmとトレッド端TEとのタイヤ径方向Tdにおける長さDmの1/2倍の長さDm/2の位置Phよりも、タイヤ径方向Td外側に配置される。
ここで、図3には、第1実施形態に係る建設車両用ラジアルタイヤ1のカーカス層50を説明するための展開平面図が示されている。また、本実施形態に係る建設車両用ラジアルタイヤ1は、タイヤ赤道面CLを境に対称の構成であるため、図3では、タイヤ赤道面CLを基準として一方側のみを示し、他方側を省略している。
本実施形態では、傾斜延在部520が、3/8法線L2と端法線L1との間にわたって配置されている。具体的に、傾斜延在部520のトレッド幅方向Tw内側の端部521は、3/8法線L2上の位置Psiに位置し、傾斜延在部520のトレッド幅方向Tw外側の端部522は、端法線L1上の位置Peiに位置する。
なお、傾斜延在部520は、少なくとも3/8法線L2と端法線L1との間にわたって配置されていればよい。よって、必ずしも、傾斜延在部520の端部521が3/8法線L2上に位置し、傾斜延在部520の端部522が端法線L1上に位置しなくてもよい。例えば、傾斜延在部520の端部521は、3/8法線L2上の位置Psiよりもトレッド幅方向Tw内側に位置していてもよい。また、傾斜延在部520の端部522は、位置Peiから位置Phまでの間の何れかの位置に配置されていてもよい。つまり、傾斜延在部520の端部522は、位置Phからトレッド幅方向Tw内側(又はタイヤ径方向Td外側)の範囲に位置する。
また、傾斜延在部520の延在方向と、トレッド幅方向Twとのなす角度θは、10°未満でもよい。なお、傾斜延在部520の延在方向と、トレッド幅方向Twとのなす角度θは、10〜40°の範囲内であることが好ましい。
(3)トレッド部に形成されるラグ溝の構成
次に、ラグ溝15の構成について説明する。図4には、本実施形態に係る建設車両用ラジアルタイヤ1のトレッド幅方向Tw及びタイヤ径方向Tdにおける一部拡大断面図が示されている。本実施形態に係るトレッド部10には、トレッド端TEからトレッド幅方向Tw内側に向かって延びるラグ溝15が形成されている。
図4に示すように、本実施形態では、トレッド端TEにおいて、ラグ溝15のタイヤ径方向Tdにおける深さDpは、100mm以上である。なお、ラグ溝15の深さとは、外表面11からラグ溝15の底面15aまでのタイヤ径方向Tdに沿った長さである。また、ラグ溝15の深さDpは、150mm以下である。
ここで、ラグ溝15の深さDpは、ラグ溝15内において、トレッドウェアインジケータ(不図示)が設けられる位置の深さである。つまり、ラグ溝15の深さDpは、外表面11から、トレッドウェアインジケータ近傍の溝底までのタイヤ径方向Tdに沿った長さである。
なお、本実施形態では、トレッド幅方向Twに延びるラグ溝15が形成されている場合を例に挙げて説明するが、トレッド部10には、タイヤ周方向Tcに延びるリブ溝(周方向溝)が形成されていてもよい。
(4)作用・効果
本実施形態に係る建設車両用ラジアルタイヤ1では、カーカス層50が、幅方向延在部510と傾斜延在部520とを有する。傾斜延在部520は、3/8法線L2と端法線L1とにわたって配置される。
ここで、図5には、建設車両用ラジアルタイヤが路面に接地する際の概念図が示されている。図5に示すように、タイヤ接地時において、インナーライナー60は、路面に沿って変形するため、インナーライナー60に周方向歪が発生する。特に、ゲージ厚の大きい建設車両用ラジアルタイヤでは、トレッド部10の外表面11とインナーライナー60との半径差が大きいため、インナーライナー60の周方向歪が大きくなる。また、インナーライナー60のショルダー部60Sは、半径差が増加する部位であるため、インナーライナー60の中でも、タイヤ接地時における周方向歪がより大きく発生する。
本実施形態に係る建設車両用ラジアルタイヤ1では、カーカスコード500を傾斜させた傾斜延在部520が、3/8法線L2と端法線L1とにわたって配置されるため、タイヤ接地時において、傾斜延在部520が、インナーライナー60のタイヤ周方向Tcへの変形を抑制する。すなわち、インナーライナー60のショルダー部60Sに発生する周方向歪を抑制できるため、インナーライナー割れの発生を抑制して、耐久性を向上できる。また、インナーライナー60のショルダー部60Sは、インナーライナー割れの起点となることから、これを抑制することによって、インナーライナー割れを初期段階から抑制できる。
また、傾斜延在部520の延在方向と、トレッド幅方向Twとのなす角度θは、10〜40°の範囲内であることが好ましい。角度θが10°以上であることにより、周方向歪をより確実に抑制できる。一方、角度θが40°以下であることにより、互いに隣接するカーカスコード500間のゴムのセパレーションを抑制することができる。また、角度θが40°以下であることにより、コーナリング時のトレッド幅方向Twへの変形(バックリング変形)に起因するショルダー部10Sの偏摩耗を抑制することができる。
また、本実施形態では、トレッド端TEにおけるラグ溝15の深さDpが、100mm以上である。ここで、トレッド端TEにおけるラグ溝15の深さDpが100mm以上である場合、タイヤ接地時において、ラグ溝15の両側に形成される陸部によって、インナーライナー60をタイヤ径方向Tdに押し上げる力が増大する。このため、インナーライナー60がタイヤ径方向Td内側に突状となる突状部60X(図5参照)が発生するほど、周方向歪みが大きくなる場合もある。
このような構成の建設車両用ラジアルタイヤ1において、カーカスコード500を傾斜させた傾斜延在部520が、3/8法線L2と端法線L1とにわたって配置されることで、インナーライナー60のショルダー部60Sにおける周方向歪をより効果的に抑制できる。すなわち、本実施形態に係る建設車両用ラジアルタイヤ1は、トレッド端TEにおけるラグ溝15の深さが100mm以上である場合、インナーライナー割れを抑制する効果をより発揮できる。
なお、インナーライナー割れを抑制するための手法としては、従来技術のように、ベルト補強層を追加する手法も考えられる。しかしながら、ベルト補強層の追加は、部材追加に伴うコスト向上を招くおそれがあるため、新たな部材を追加する手法は、望ましくない。
一方で、本実施形態に係る建設車両用ラジアルタイヤ1であれば、部材の追加を行うことなく、カーカスコード500に傾斜延在部520を構成するだけで、インナーライナー割れを抑制できるため、コスト向上の抑制という観点からも有益である。
(5)変形例
次に、第1実施形態の変形例に係る建設車両用ラジアルタイヤ1について図面を参照して説明する。図6は、本実施形態に係る建設車両用ラジアルタイヤ1のトレッド幅方向Tw及びタイヤ径方向Tdにおける一部断面図である。なお、本実施形態に係る建設車両用ラジアルタイヤ1は、タイヤ赤道面CLを境に対称の構成であるため、図6では、タイヤ赤道面CLを基準として一方側のみを示し、他方側を省略している。
図6に示すように、本実施形態に係る建設車両用ラジアルタイヤ1は、カーカス層50とインナーライナー60との間に、補強用インナーパッド300が設けられている。補強用インナーパッド300は、カーカス層50のトレッド幅方向Tw内側に沿って配置される。なお、本実施形態では、トレッド幅方向Tw及びタイヤ径方向Tdに沿った補強用インナーパッド300の断面形状が、三日月形状であるが、これに限定されるものではない。
また、本実施形態では、トレッド幅方向Tw及びタイヤ径方向Tdに沿った断面において、補強用インナーパッド300の最大厚さは、トレッド幅Wの0.5〜2.0%である。これは、0.5%未満では、このようなインナーパッドを設けた効果が得られず、また、2.0%を超えると、剛性が高くなり過ぎ、トレッド部10への負荷負担率が増大し、そのためトレッド部10における故障発生につながるおそれがあるからである。
また、本実施形態に係る補強用インナーパッド300は、少なくとも3/8法線L2と端法線L1とにわたって配置されている。
具体的に、補強用インナーパッド300のトレッド幅方向Tw内側の一方の端部301は、3/8法線L2よりもトレッド幅方向Tw内側に位置する。補強用インナーパッド300のトレッド幅方向Tw外側の他方の端部302は、端法線L1よりもトレッド幅方向Tw外側に位置する。なお、補強用インナーパッド300の他方の端部302は、カーカス層50のトレッド最大幅位置Pmよりもタイヤ径方向Td内側に位置してもよい。
上述のように、建設車両用ラジアルタイヤ1に補強用インナーパッド300が設けられる場合、トレッド部10の外表面11とインナーライナー60とのタイヤ径方向Tdにおける厚みが増すため、インナーライナー60のタイヤ周方向Tcにおける半径が小さくなる。このように、インナーライナー60の半径が小さくなると、タイヤ接地時において、インナーライナー60の周方向歪が増加するため、インナーライナー割れがより発生しやすくなる。
特に、補強用インナーパッド300が、3/8法線L2と端法線L1との間にわたって設けられる場合、インナーライナー60のショルダー部60Sの半径が小さくなるため、インナーライナー60のショルダー部60Sにおけるインナーライナー割れが一層発生しやすくなるおそれがある。
本実施形態に係る建設車両用ラジアルタイヤ1によれば、補強用インナーパッド300が、3/8法線L2と端法線L1との間にわたって設けられる場合であっても、カーカスコード500を傾斜させた傾斜延在部520が、3/8法線L2と端法線L1とにわたって配置されることで、インナーライナー60のショルダー部60Sにおける周方向歪をより効果的に抑制できる。すなわち、本実施形態に係る建設車両用ラジアルタイヤ1は、上述の補強用インナーパッド300が設けられている場合、インナーライナー割れを抑制する効果をより発揮できる。
[比較評価]
次に、本発明の効果を更に明確にするために、以下の従来例及び実施例に係る空気入りタイヤを用いて行った比較評価について説明する。具体的には、(1)評価方法、(2)評価結果について説明する。なお、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
(1)評価方法
複数種類の建設車両用ラジアルタイヤを用いて試験を行い、タイヤ周方向Tcに発生する周方向歪について評価をした。まず、従来例に係る建設車両用ラジアルタイヤを有限要素法によりモデル化したもの(以下、従来例として示す)と、実施例1乃至9に係る建設車両用ラジアルタイヤを有限要素法によりモデル化したもの(以下、実施例1乃至9として示す)とを準備した。
ここで、従来例は、カーカス層が傾斜延在部を有していないものを用いた。すなわち、傾斜延在部のトレッド幅方向Twに対する角度θが0°のものを用いた。
一方、実施例1乃至9は、上述した第1実施形態に係る建設車両用ラジアルタイヤ1を用いた。すなわち、実施例1乃至9は、傾斜延在部520を有するものを用いた。なお、実施例1乃至9のそれぞれの傾斜延在部520の角度θについては、下記表1に示す。
また、従来例及び実施例1乃至9のそれぞれには、タイヤサイズが23.5R25(ORRタイヤ)であるものを用いた。なお、従来例及び実施例1乃至9は、上述した構成を除き他の構成は同様である。
また、従来例及び実施例1乃至9のそれぞれを、正規リム(29.00J/6.0)に組み付けて、正規内圧を付与し、正規荷重を付与した状態をシミュレートした。なお、「正規荷重」とは、上述の規格の適用サイズにおける単輪の最大荷重(最大負荷能力)をいうものとする。
そして、それぞれのタイヤ周方向Tcに発生する周方向歪を測定した。具体的には、端法線L1とインナーライナーとの交点に発生する周方向歪みを測定した。
(2)評価結果
従来例及び実施例1乃至9の評価結果について、図7及び表1を参照しながら説明する。なお、図7及び表1に示されるデータは、何れも同様のデータを示している。
また、図7及び表1では、周方向歪は、従来例の結果を基準(100)とした指数値によって示されており、当該指数値が小さいほど、周方向歪が小さいことを示している。また、図7では、従来例の結果がD0で示され、実施例1乃至9の結果が、それぞれD1乃至D9で示されている。
Figure 0006417274
図7及び表1に示すように、従来例及び実施例1乃至9のそれぞれを比較すると、実施例1乃至9は、従来例に係る建設車両用ラジアルタイヤに比べて、周方向歪が抑制されていることがわかる。
以上のように、本実施形態に係る建設車両用ラジアルタイヤによれば、周方向歪を抑制することで、インナーライナー割れを抑制して、耐久性を向上できることが証明された。
[その他の実施形態]
次に、本発明のその他の実施形態について説明する。上述した実施形態では、トレッド端TEは、トレッド部10の外表面11のトレッド幅方向Tw外側の端部としたが、これに限定されない。例えば、トレッド部10の外表面11とサイドウォール部20の外表面21との境界が、角部でなく、傾斜面(テーパー面)を形成することによって面取りした形状である場合、トレッド端TEは、傾斜面のトレッド幅方向Tw内側の端部としてもよい。また、例えば、トレッド端TEは、トレッド幅方向Tw及びタイヤ径方向Tdに沿った断面において、トレッド部10の外表面11に沿った接線と、サイドウォール部20の外表面21に沿った接線とが交差する点としてもよい。
また、上述した実施形態では、建設車両用ラジアルタイヤ1は、タイヤ赤道面CLを境に対称の構成としていたが、傾斜延在部520は非対称であってもよい。
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
1…建設車両用ラジアルタイヤ
10…トレッド部
11…外表面
15…ラグ溝
20…サイドウォール部
30…ビード部
40…ビードコア
50…カーカス層
60…インナーライナー
70…ベルト層
300…補強用インナーパッド
500…カーカスコード
510…幅方向延在部
520…傾斜延在部
TE…トレッド端
W…トレッド幅
L1…端法線
L2…3/8法線L2

Claims (7)

  1. トレッド部から一対のサイドウォール部を介して一対のビード部にわたってトロイド状に延びるカーカス層と、前記カーカス層の内周側に配置されるインナーライナーと、を備え、
    前記トレッド部の外表面のトレッド幅方向外側端であるトレッド端を通り、前記カーカス層に直交する端法線を規定した場合、前記端法線に沿った前記トレッド端と前記カーカス層間の長さが100mm以上となる建設車両用ラジアルタイヤであって、
    前記カーカス層は、前記カーカス層を構成するカーカスコードがトレッド幅方向に沿って延在する幅方向延在部と、前記カーカスコードがトレッド幅方向に対して傾斜する方向に延在する傾斜延在部とを含む1層構造を有しており、
    前記トレッド部の外表面においてタイヤ赤道面からトレッド幅方向外側へトレッド幅の3/8倍だけ離れた位置を通り、前記カーカス層に直交する3/8法線を規定した場合、前記傾斜延在部は、少なくとも前記3/8法線と前記端法線との間にわたって配置されることを特徴とする建設車両用ラジアルタイヤ。
  2. 前記傾斜延在部の延在方向と、トレッド幅方向とのなす角度は、10〜40°の範囲内である
    ことを特徴とする請求項1に記載の建設車両用ラジアルタイヤ。
  3. 前記トレッド部には、前記トレッド端からトレッド幅方向内側に向かって延びるラグ溝が形成されており、
    前記トレッド端において、前記ラグ溝のタイヤ径方向における深さは、100mm以上である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の建設車両用ラジアルタイヤ。
  4. 前記カーカス層と前記インナーライナーとの間に、補強用インナーパッドが設けられており、
    前記補強用インナーパッドは、少なくとも前記3/8法線と前記端法線との間にわたって配置される
    ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の建設車両用ラジアルタイヤ。
  5. 前記カーカス層のタイヤ径方向外側に設けられたベルト層をさらに備え、
    前記ベルト層の、前記タイヤ径方向内側から1、2層目のベルト角度は前記タイヤ周方向に対して0〜10°であり、前記タイヤ径方向内側から3、4層目のベルト角度は前記タイヤ周方向に対して10〜20°であり、前記タイヤ径方向内側から5、6層目のベルト角度は前記タイヤ周方向に対して20〜30°である
    ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の建設車両用ラジアルタイヤ。
  6. 前記傾斜延在部は、トレッド幅方向及びタイヤ径方向に沿った断面において、前記カーカス層のトレッド最大幅位置を規定した場合、前記トレッド最大幅位置と前記トレッド端との前記タイヤ径方向における長さの1/2倍の長さの位置よりも、前記タイヤ径方向外側に配置される
    ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の建設車両用ラジアルタイヤ。
  7. 前記補強用インナーパッドの最大厚さは、トレッド幅の0.5〜2.0%である
    ことを特徴とする請求項4に記載の建設車両用ラジアルタイヤ。
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