JP6411203B2 - ボールペン用油性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン - Google Patents
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Description
更に、前記鱗片状シリカが、インキ組成物全量中0.05〜10重量%の範囲で添加されること、回転粘度計による1rpm時の粘度が500〜10000mPa・s(20℃)の範囲にあることを要件とする。
更には、前記いずれかのボールペン用油性インキ組成物を内蔵したボールペンを要件とし、前記ボールペンが出没式形態であることを要件とする。
葉状二次粒子の厚さが0.001μm未満の場合には、葉状二次粒子の強度が不十分となるため好ましくない。一方、葉状二次粒子の厚さが3μmより大きくなると、真球形状に近づくためインキ漏れ抑制効果が低下してしまう。尚、二次粒子の厚さは、微粉末状のものを走査型電子顕微鏡観察することで測定ができる。また、厚さと平面方向の粒径は、透過型電子顕微鏡により撮影した粒子像サイズのスケール計測等により区別できる。
前記三次凝集粒子は、例えば特開平11−29317号や特開2000−72432号に開示される方法で製造される薄片一次粒子の凝集体であり、複数の葉状二次粒子が略放射状に不規則に間隙を有するように集合した三次凝集体構造である。そのため、インキ流通路が不用意に広がった場合にも封鎖でき、更に筆記時にはボールの回転によって変形や解砕することで確実にインキを塗布することができる構造となっている。尚、前記葉状二次粒子はこの三次凝集粒子を解砕して得ることができる。
前記有機溶剤は一種又は二種以上を混合して、インキ組成中40〜95重量%の範囲で用いられる。
前記染料としては、例えば、カラーインデックスにおいてソルベント染料として分類される有機溶剤可溶性染料が挙げられる。
前記ソルベント染料の具体例としては、バリファストブラック3806(C.I.ソルベントブラック29)、同3807(C.I.ソルベントブラック29の染料のトリメチルベンジルアンモニウム塩)、スピリットブラックSB(C.I.ソルベントブラック5)、スピロンブラックGMH(C.I.ソルベントブラック43)、バリファストレッド1308(C.I.ベーシックレッド1の染料とC.I.アシッドイエロー23の染料の造塩体)、バリファストイエローAUM(C.I.ベーシックイエロー2の染料とC.I.アシッドイエロー42の染料の造塩体)、スピロンイエローC2GH(C.I.ベーシックイエロー2の染料の有機酸塩)、スピロンバイオレットCRH(C.I.ソルベントバイオレット8−1)、バリファストバイオレット1701(C.I.ベーシックバイオレット1とC.I.アシッドイエロー42の染料の造塩体)、スピロンレッドCGH(C.I.ベーシックレッド1の染料の有機酸塩)、スピロンピンクBH(C.I.ソルベントレッド82)、ニグロシンベースEX(C.I.ソルベントブラック7)、オイルブルー613(C.I.ソルベントブルー5)、ネオザポンブルー808(C.I.ソルベントブルー70)等が挙げられる。
前記顔料としては、カーボンブラック、群青、二酸化チタン顔料等の無機顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、スレン顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、スレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリノン系顔料等の有機顔料、アルミニウム粉やアルミニウム粉表面を着色樹脂で処理した金属顔料、透明又は着色透明フィルムにアルミニウム等の金属蒸着膜を形成した金属光沢顔料、フィルム等の基材に形成したアルミニウム等の金属蒸着膜を剥離して得られる厚みが0.01〜0.1μmの金属顔料、金、銀、白金、銅から選ばれる平均粒子径が5〜30nmのコロイド粒子、蛍光顔料、蓄光性顔料、熱変色性顔料、芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料等が挙げられる。
前記着色剤は一種又は二種以上を併用してもよく、インキ組成物中3〜40重量%の範囲で用いられる。
これらの樹脂は一種又は二種以上を混合して用いてもよく、インキ組成中0.5〜40重量%、好ましくは1〜35重量%の範囲で用いられる。0.5重量%未満では筆跡の紙への滲み抑制、定着性向上、堅牢性付与等の充分な効果を発揮できず、40重量%を越えて添加すると、樹脂の溶剤への溶解性が低下し、インキの流動性が低下することがある。
前記添加剤はいわゆる慣用的添加剤と呼ばれるもので、公知の化合物から適宜必要に応じて使用することができる。
酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ノルジヒドロキシトルエン、フラボノイド、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸誘導体、α−トコフェロール、カテキン類等が使用できる。
紫外線吸収剤としては、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル5′−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、p−安息香酸−2−ヒドロキシベンゾフェノン等が使用できる。
消泡剤としては、ジメチルポリシロキサン等が使用できる。
前記剪断減粘性付与剤としては、従来公知の化合物を用いることが可能であり、例えば、架橋型アクリル樹脂、架橋型アクリル樹脂のエマルションタイプ、架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体、非架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体非架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体の水溶液、水添ヒマシ油、脂肪酸アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス等のワックス類、ステアリン酸アルミニウム、パルミチン酸アルミニウム、オクチル酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム等の脂肪酸金属塩、ジベンジリデンソルビトール、デキストリン脂肪酸エステル、N−アシルアミノ酸系化合物、スメクタイト系無機化合物、モンモリロナイト系無機化合物、ベントナイト系無機化合物、ヘクトライト系無機化合物、シリカ等が例示できる。
前記粘度範囲のものは前述した不用意に広がったインキ流通路におけるインキ漏れはもちろんのこと、高温高湿度下で長期経時した際にもインキ漏れが発生し易いため、本発明の構成が特に有効なものとなる。尚、500mPa・sより低いものは筆跡滲みが生じ易くなる。
前記弾発部材は、金属細線のスプリング、前記スプリングの一端にストレート部(ロッド部)を備えたもの、線状プラスチック加工体等を例示できる。
また、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック等からなる汎用のものが適用でき、直径0.1mm〜2.0mm、好ましくは0.2mm〜1.0mmの範囲のものが好適に用いられる。
前記軸筒にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記軸筒とチップを連結してもよい。
前記軸筒内に収容されるインキ組成物は、粘度に応じて軸筒前部にインキ保留部材を装着し、軸筒内に直接インキ組成物を収容する方法と、多孔質体或いは繊維加工体に前記インキ組成物を含浸させて収容する方法を用いることもできる。
尚、前記軸筒は、ボールペン用レフィルの形態として、前記レフィルを外軸内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、前記軸筒内に直接インキを充填してもよい。
出没機構の操作方法としては、例えば、ノック式、回転式、スライド式等が挙げられる。
前記ノック式は、外軸後端部や外軸側面にノック部を有し、該ノック部の押圧により、ボールペンレフィルの筆記先端部を外軸前端開口部から出没させる構成、或いは、外軸に設けたクリップ部を押圧することにより、ボールペンレフィルの筆記先端部を外軸前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記回転式は、外軸に回転部(後軸等)を有し、該回転部を回すことによりボールペンレフィルの筆記先端部を外軸前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記スライド式は、軸筒側面にスライド部を有し、該スライドを操作することによりボールペンレフィルの筆記先端部を外軸前端開口部から出没させる構成、或いは、外軸に設けたクリップ部をスライドさせることにより、ボールペンレフィルの筆記先端部を外軸前端開口部から出没させる構成を例示できる。
尚、前記出没式ボールペンは、外軸内に一本のボールペンレフィルを収容したもの以外に、複数のボールペンレフィルを収容してなる複合タイプの出没式ボールペンであってもよい。また、前記ボールペンレフィルを構成するインキ収容管は樹脂製であってもよいし、金属製であってもよい。
前記インキ逆流防止体としては、液状または固体のいずれを用いることもでき、前記液状のインキ逆流防止体としては、ポリブテン、α−オレフィンオリゴマー、シリコーン油、精製鉱油等の不揮発性媒体が挙げられ、所望により前記媒体中にシリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、脂肪酸アマイド、脂肪酸デキストリン等を添加することもできる。また、固体のインキ逆流防止体としては樹脂成形物が挙げられる。前記液状及び固体のインキ逆流防止体は併用することも可能である。
以下の表に実施例及び比較例のボールペン用油性インキの組成と粘度を示す。尚、表中の組成の数値は重量部を示す。
各実施例、比較例のインキ粘度は、20℃でEMD型回転粘度計〔東機産業(株)製:標準ロータ〕を用いて、1rpmで測定した。
(1)保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:スピロンブラックGMH−S
(2)オリエント化学工業(株)製、商品名:バリファストバイオレット1701
(3)オリエント化学工業(株)製、商品名:バリファストレッド1320
(4)顔料分散剤、積水化学工業(株)製、商品名:エスレックBL−10
(5)日立化成工業(株)製、商品名:ハイラック110H
(6)日本触媒(株)製、商品名:K−90
(7)AGCエスアイテック(株)製、商品名:サンラブリー
(8)AGCエスアイテック(株)製、商品名:サンラブリーC
(9)AGCエスアイテック(株)製、商品名:サンラブリーTZ−824
(10)日光ケミカルズ(株)製、商品名:デカグリン10−O
(11)日本アエロジル(株)製、商品名:アエロジルR812
有機溶剤に各成分を添加して、40℃で、ディスパーにて400rpm、3時間攪拌することで各インキを調製した。
ボールペンレフィルは、先端部に直径0.5mmのボールを回転可能に抱持した切削ボールペンチップ(ボールを前方に弾発するボール押しバネを収容する)と、該ボールペンチップが前部に固着された接続部材と、該接続部材が先端開口部に固着され、且つ、内部にインキ及びインキ逆流防止体が収容されたインキ収容管と、該インキ収容管の後端開口部に固着された尾栓からなる。尚、前記インキ逆流防止体は、基油としてポリブテン、増粘剤として脂肪酸アマイドを用いて混練したインキ逆流防止体である。
出没機構を備えた軸筒の内部に、前記各ボールペンレフィルをバネ(コイルスプリング)により後方付勢状態で収容することで試料ボールペンを得た。前記ボールペンは、軸筒の後端部(ノック操作部)を前方へノック操作することにより、軸筒の先端孔よりボールペンチップが外部に突出する出没式形態である。
垂れ下がり試験
各ボールペンを用いて、ボールペンチップを軸筒から露出させてチップを下向きで保持し、温度20℃、相対湿度90%の雰囲気下に20時間放置した後、チップ先端の外観を目視で観察した。
インキ漏れ試験
各ボールペンのボールペンチップ先端に小傷を付けた後、温度20℃、相対湿度60%の雰囲気下に20時間放置し、チップ先端の外観を目視で観察した。
インキ安定性試験
筆記可能であることを確認した各ボールペンを、2000rpmで10分間、遠心処理した後、JIS P3201筆記用紙Aに手書きで直線を筆記して筆跡の状態を目視により観察した。
垂れ下がり試験
○:インキの垂れ下がりは認められない。
×:チップ先端にインキ滴が認められる。
インキ漏れ試験
○:インキ漏れは認められない。
×:チップ先端からインキが吐出された。
インキ安定性試験
○:一定の濃度及び線幅の筆跡が得られる。
×:筆記不能、又は、筆跡にカスレが生じる。
Claims (6)
- 着色剤と、有機溶剤と、鱗片状シリカとを含んでなり、前記鱗片状シリカは、葉状二次粒子又は三次凝集粒子のいずれかである、ボールペン用油性インキ組成物。
- 前記葉状二次粒子の厚さは0.001〜3μmである、請求項1に記載のボールペン用油性インキ組成物。
- 前記鱗片状シリカがインキ組成物全量中0.05〜10重量%の範囲で添加される、請求項1または2に記載のボールペン用油性インキ組成物。
- 回転粘度計による1rpm時の粘度が500〜10000mPa・s(20℃)の範囲にある前記請求項1乃至3のいずれかに記載のボールペン用油性インキ組成物。
- 前記請求項1乃至4のいずれかに記載のボールペン用油性インキ組成物を内蔵したボールペン。
- 出没式形態である請求項5記載のボールペン。
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