JP6401094B2 - 太陽電池の製造方法 - Google Patents
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Description
太陽電池の製造に使用できるn型半導体基板として、高純度シリコンにリン、ヒ素、又はアンチモンのようなV族(15族)元素をドープし、比抵抗0.1〜5Ω・cmとしたアズカット単結晶{100}n型シリコン基板(以下、単にn型シリコン単結晶基板と呼称することも有る)を用意することができる。n型シリコン単結晶基板は、CZ(Czochralski)法、FZ(Floating Zone)法などの方法によって作製されたものでよい。また、基板は必ずしも単結晶シリコンである必要はなく、多結晶シリコンでもかまわない。
次に、インゴットからスライスされる際及び研削される際にシリコン単結晶基板に形成される表面の機械的ダメージを、濃度5〜60%の水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのような高濃度のアルカリ、又はふっ酸と硝酸の混酸などを用いてエッチングすることができる。ダメージ除去工程は、次工程のテクスチャ形成条件によっては、必ずしも必要ではなく、省略することも可能である。
引き続き、n型シリコン単結晶基板の表面にテクスチャと呼ばれる微小な凹凸形成を行う。テクスチャは太陽電池の反射率を低下させるための有効な方法である。テクスチャは、加熱した水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ溶液(例えば、濃度1〜10%、温度60〜90℃)中に、n型シリコン単結晶基板を10分から30分程度浸漬することで作製できる。上記溶液中に、所定量の2−プロパノールを溶解させ、反応を促進させることが多い。
n型シリコン単結晶基板の表面にテクスチャを形成した後、塩酸、硫酸、硝酸、ふっ酸等、もしくはこれらの混合液の酸性水溶液中で洗浄する。
次に、ホウ素を含む塗布剤をn型シリコン単結晶基板の表面に塗布する。この説明では、半導体基板をn型半導体基板としているため、半導体基板のホウ素を拡散させる表面を受光面とすることができる。塗布剤は、少なくともホウ素源と、溶媒から成るものとできる。ホウ素源としては、メタホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウムなどのホウ酸塩が使用できるが、特にこれらに限定されることは無く、ホウ酸などを使用しても良い。溶媒としては、水、エタノール、又はメタノール等のアルコールが使用できる。さらに、溶媒にポリビニルアルコール等を添加して増粘させてもよい。塗布方法は、n型シリコン単結晶基板の表面に塗布剤を塗布できれば良く、スクリーン印刷や、スピン塗布等のいずれでもよい。また、塗布剤の塗布後、適宜乾燥させても良い。
次に、n型シリコン単結晶基板の塗布剤を塗布した表面上、すなわち太陽電池としたときに受光面となる面上に酸化物系セラミックス微粒子を含むペーストをパターン状に塗布する。酸化物ペーストは酸化物系セラミックス微粒子、有機バインダー、有機溶剤から構成されるものとすることができる。
続いて、パターン状にペーストが塗布されたn型シリコン単結晶基板10を低温熱処理する。本発明における低温熱処理とは、後工程である拡散熱処理の温度よりも低い温度まで昇温し、昇温後に降温する熱サイクルを含む熱処理である。また、昇温後、温度を一定温度に保持した後、降温を行っても良い。
低温熱処理の後、低温熱処理よりも高温の、例えば、900℃〜1000℃の拡散熱処理を施す。これにより、シリカペースト印刷部、すなわち、図1における印刷部11付近のn型シリコン単結晶基板10の受光面となる面の表層部では比較的低濃度のホウ素拡散層が形成される。一方で、シリカペースト非印刷部、すなわち、図1における非印刷部12付近のn型シリコン単結晶基板10の受光面となる面の表層部では比較的高濃度のホウ素拡散層が形成される。
次に、熱処理によって生成した、基板の表面のガラスをふっ酸などで除去する。
次いで、受光面の反射防止膜形成を行う。反射防止膜としては、シリコン窒化膜やシリコン酸化膜が利用できる。シリコン窒化膜を形成する場合は、プラズマCVD(Plasma−enhanced Chemical Vapor Deposition)装置を用い約100nmの膜厚で製膜することが好ましい。シリコン窒化膜の原料となる反応ガスとして、モノシラン(SiH4)及びアンモニア(NH3)を混合して用いることが多いが、NH3の代わりに窒素を用いることも可能である。また、プロセス圧力の調整、反応ガスの希釈のため、反応ガスに水素を混合することもある。シリコン酸化膜を形成する場合は、CVD法でもよいが、熱酸化法により得られるシリコン酸化膜の方が高いセル特性が得られる。
次いで、裏面電極として、例えば、Agを含有するペーストをスクリーン印刷法で形成する。電極形成領域は裏面全面でもよいが、シリコン窒化膜やシリコン酸化膜で裏面全面を被覆し、一部をレーザー等で開口して開口部のみ電極を形成する局在電極方式でもよい。また、裏面電極形成方法はスクリーン印刷に限らず、蒸着やスパッタを用いて形成してもかまわない。
受光面電極形成にはスクリーン印刷法を用いることが好ましく、Ag粉末とガラスフリットを有機物バインダーと混合したAgペーストを印刷することが好ましい。この際、最初に印刷したシリカペースト非印刷部と同じ箇所にAgペーストを印刷する。具体的には、開口が40μm〜100μmであり、シリカペースト印刷部の周期(図1参照)と同じ周期の開口を有するスクリーン製版を用意しておき、シリカペースト非印刷部と受光面電極が重なるよう基板位置を調整して印刷すればよい。受光面電極の形成方法はスクリーン印刷法に限定されることは無く、シリカペースト非印刷部と同じ場所に電極形成できれば、インクジェット法でもよく、また、マスクを用いたスパッタ法や蒸着法でもかまわない。
上記のように準備したホウ酸塗布後の基板を、6枚取り出し、取り出された基板に対し、シリカペーストをパターン印刷した。シリカペーストとして、ポリビニルアルコール23%、シリカ23%、エタノール47%、水7%の混合物を用いた。印刷にはスクリーン印刷機を用いた。シリカペーストの印刷部の幅は1.6mm、周期は2.0mmとした。
上記のホウ酸塗布後の基板のうち実施例1とは別の6枚の基板を取り出して使用し、基本的に実施例1と同様の手順で太陽電池を製造した。ただし、実施例2では実施例1で行ったベルト炉を用いた熱処理を2回行うことで、低温熱処理を2回施した。このように製造した太陽電池の擬似太陽光下での電流電圧特性を、実施例1と同様に測定した。
上記のホウ酸塗布後の基板うち、残りの6枚の基板を使用し、基本的に実施例1と同様の手順で太陽電池を製造した。ただし、比較例1では、基板の表面へのシリカペーストの印刷を行わず、ベルト炉を用いた低温熱処理も行わなかった。
Claims (5)
- 半導体基板の表面にホウ素を含む塗布剤をスピン塗布する工程と、前記半導体基板の前記塗布剤が塗布された表面の表層部に前記ホウ素を拡散させる拡散熱処理を施す工程とを有する太陽電池の製造方法であって、
前記拡散熱処理工程より前に、
前記塗布剤を塗布した表面上に酸化物系セラミックス微粒子を含むペーストをパターン状に塗布する工程と、
前記拡散熱処理の温度よりも低い温度まで昇温し、該昇温後に降温する熱サイクルを含む低温熱処理を、前記ペーストを塗布した後の半導体基板に1回以上施す工程を有し、
前記低温熱処理を1回以上施した後の半導体基板に前記拡散熱処理を施すことを特徴とする太陽電池の製造方法。 - 前記酸化物系セラミックス微粒子を、シリカ微粒子又は酸化アルミニウム微粒子とすることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
- 前記低温熱処理工程における前記熱サイクルの最高温度を300℃以上600℃以下、最低温度を15℃以上300℃未満とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の太陽電池の製造方法。
- 前記半導体基板をn型半導体基板とし、前記半導体基板の前記ホウ素を拡散させた表面を受光面とし、さらに、該受光面上に受光面電極を形成する工程と、前記半導体基板の前記ホウ素を拡散させた表面の反対の表面上に裏面電極を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
- 前記半導体基板をp型半導体基板とし、前記半導体基板の前記ホウ素を拡散させた表面の反対の表面を受光面とし、さらに、該受光面の表層部にn型拡散層を形成する工程と、該n型拡散層上に受光面電極を形成する工程と、前記半導体基板の前記ホウ素を拡散させた表面上に裏面電極を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
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