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JP6400187B2 - 冷凍サイクル装置 - Google Patents

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JP6400187B2
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Description

本発明は、インバータ駆動型の冷媒圧縮機を有する冷凍サイクル装置に関する。
従来、インバータ駆動型の冷媒圧縮機を有する冷凍サイクル装置としては、冷媒によりインバータ放熱部を冷却するために、専用の冷却回路を設けた冷凍サイクル装置が知られている(例えば、特許文献1)。また、膨張手段の制御により、インバータを冷却する冷媒の流量を調整可能な冷凍サイクル装置が知られている(例えば、特許文献2)。
特開2003−021406号公報 特開2008−057875号公報
しかしながら、特許文献1、2の冷凍サイクル装置では、インバータを冷却した冷媒が冷凍サイクルを流れる冷媒と合流して冷媒圧縮機に吸入されるため、冷媒圧縮機に吸入される冷媒の温度はインバータを冷却した冷媒の温度に依存することとなる。したがって、特許文献1、2の冷凍サイクル装置では、冷媒圧縮機に吸入される冷媒が液冷媒又は過熱度の高いガス冷媒となり、冷媒圧縮機の安定した運転状態が確保できない場合がある。以上のことから、特許文献1、2の冷凍サイクル装置では、冷媒圧縮機及びインバータの信頼性、並びに冷凍サイクル装置の効率的な運転が確保できない可能性があるという問題点があった。
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであり、冷媒圧縮機及びインバータの信頼性、並びに冷凍サイクル装置の効率的な運転を確保することを目的とする。
本発明に係る冷凍サイクル装置は、圧縮機構部と電動機とを有する冷媒圧縮機と、凝縮器と、第1の減圧装置と、第1の冷却器とが冷媒配管を介して接続され、内部に冷媒を循環させる冷凍サイクルと、前記電動機に交流電力を供給するインバータと、前記凝縮器と前記第1の減圧装置との間の冷媒配管から分岐し、前記第1の冷却器と前記冷媒圧縮機との間の冷媒配管に連結されるバイパス冷媒配管と、前記バイパス冷媒配管に配置された第2の減圧装置と、前記第2の減圧装置の出口側の前記バイパス冷媒配管に配置され、前記インバータを冷却する第2の冷却器と、前記第1の減圧装置の開度を調整する第1の制御部と、前記第2の減圧装置の開度を制御する第2の制御部とを備え、前記第1の制御部は、前記第1の減圧装置の開度の調整のみにより、前記冷凍サイクルの過熱度を第1の目標値の範囲に制御するものであり、前記第1の減圧装置の開度の調整は、制御量である前記冷凍サイクルの過熱度が前記第1の目標値の上限値以上となった場合に、操作量である前記第1の減圧装置の開度を上げ、制御量である前記冷凍サイクルの過熱度が前記第1の目標値の下限値以下となった場合に、操作量である前記第1の減圧装置の開度を下げることにより行われ、前記第2の制御部は、前記第2の減圧装置の開度の調整により、前記第2の冷却器の冷却温度を第2の目標値の範囲に制御するものである。
本発明によれば、冷凍サイクル装置の過熱度を所定の第1の目標値の範囲に制御し、かつ第2の冷却器の温度を所定の第2の目標値の範囲に制御することができる。したがって、本発明によれば、冷媒圧縮機及びインバータの信頼性、並びに冷凍サイクル装置の効率的な運転が確保された冷凍サイクル装置を提供することができる。
本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置1の一例を示す概略的な冷媒回路図である。 本発明の実施の形態1の冷凍サイクル装置1における、インバータ6の概略的な内部回路図である。 本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置1の第1の制御部300における制御処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置1の第1の制御部300における制御処理の別の一例を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置1の第2の制御部400における制御処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置1の第2の制御部400における制御処理の別の一例を示すフローチャートである。
実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置1について説明する。図1は、本実施の形態1の冷凍サイクル装置1の一例を示す概略的な冷媒回路図である。なお、図1を含む以下の図面では各構成部材の寸法の関係及び形状が、実際のものとは異なる場合がある。また、以下の図面では、同一の又は類似する部材又は部分には、同一の符号を付すか、又は符号を付すことを省略している。
本実施の形態1の冷凍サイクル装置1は、開放型の冷媒圧縮機2と、凝縮器3と、第1の減圧装置4と、第1の冷却器5とが冷媒配管を介して接続され、内部に冷媒を循環させる冷凍サイクルを備える。
開放型の冷媒圧縮機2は、第1の筐体21の内部に収容された圧縮機構部22と、第2の筐体23の内部に収容された電動機24とを有し、第1の筐体21と第2の筐体23とが別体として構成された、周波数可変型の流体機械である。開放型の冷媒圧縮機2においては、電動機24の回転による駆動力が、回転軸、軸継手、ギヤ、スプライン継手、ベルト駆動等の動力伝達機構25によって圧縮機構部22に伝達される。すなわち、開放型の冷媒圧縮機2では、動力伝達機構25によって伝達された電動機24の回転による駆動力によって、圧縮機構部22が駆動され、吸入した低圧冷媒が圧縮され、高圧冷媒として吐出される。電動機24は、例えばDCブラシレスモータとして構成される。
凝縮器3は、冷媒圧縮機2から吐出された高圧冷媒と、外気(例えば、冷凍サイクル装置1が冷凍機である場合は、室外空気)との熱交換を実施し、冷媒から外気に対して熱を放出する熱交換器である。凝縮器3は、例えば、室外ファン(図示せず)によって送られてくる外気に対して熱を放出することができる。凝縮器3は、例えば、伝熱管と複数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器として構成できる。
第1の減圧装置4は、凝縮器3から流出した高圧液冷媒を膨張及び減圧させるものである。第1の減圧装置4としては、例えば、リニア電子膨張弁等の多段階又は連続的に開度を調整可能な電子膨張弁が用いられる。
第1の冷却器5は、第1の減圧装置4によって減圧された冷媒と、空気(例えば、冷凍サイクル装置1が冷凍機である場合は、室内空気)との熱交換を実施し、冷媒によって空気を冷却する熱交換器である。第1の冷却器5は、例えば、室内ファン(図示せず)によって送られてくる外気に対して熱を放出することができる。第1の冷却器5は、例えば、伝熱管と複数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器として構成できる。
次に、本実施の形態1の冷凍サイクル装置1におけるインバータ6について、図1とともに図2を用いて説明する。図2は、本実施の形態1の冷凍サイクル装置1における、インバータ6の概略的な内部回路図である。
図1に示すように、本実施の形態1の冷凍サイクル装置1は、冷媒圧縮機2の電動機24に交流電力を供給するインバータ6を備えている。図2に示すように、インバータ6においては、整流回路61、平滑コンデンサ63、及びインバータ回路64が並列に接続され、整流回路61の陽極側と平滑コンデンサ63の陽極側との間には、直流リアクトル62が接続されている。また、インバータ6においては、抵抗器65及びコンタクタ66が並列に接続されており、整流回路61の陽極側と直流リアクトル62との間に配置されている。
整流回路61は、例えば、整流ダイオード61aを6個ブリッジ接続して構成された三相全波整流器を構成する回路である。なお、整流回路61に交流電圧を供給する交流電源70は、例えばAC200V又はAC400Vの商用の三相交流電源である。
直流リアクトル62は、整流回路61で整流された出力電圧から高周波の交流成分を除去するものである。
平滑コンデンサ63は、整流回路61で整流された出力電圧を平滑化するとともに、整流回路61からの出力電力を充電するものである。
インバータ回路64は、平滑コンデンサ63によって平滑された電圧(直流母線電圧)を、例えば、三相交流電力に変換し、電動機24に供給するものである。インバータ回路64は、例えば、三相ブリッジ接続された6個のインバータ用スイッチング素子64aを備えている。また、各々のインバータ用スイッチング素子64aの両端には、逆向きに流れるモータ電流を環流させ、逆向きに流れるモータ電流からインバータ用スイッチング素子64aを保護するためのインバータ用逆流防止素子64bがそれぞれ並列接続されている。インバータ用逆流防止素子64bには、例えば、整流ダイオード、ショットキーバリアダイオード等のフライホイールダイオードが用いられる。
抵抗器65及びコンタクタ66は、交流電源70からの電力供給開始直後の大きな突入電流の発生により、インバータ6が故障することを防ぐものである。
なお、インバータ6は、第2の筐体23の内部に収容して、電動機24を一体として構成してもよい。
次に、冷媒によりインバータ6を冷却するための冷却機構について図1及び図2を用いて説明する。
図1に示すように、本実施の形態1の冷凍サイクル装置1は、バイパス冷媒配管7と、第2の減圧装置8と、第2の冷却器9とを備えている。
バイパス冷媒配管7は、凝縮器3と前記第1の減圧装置4との間の冷媒配管から分岐し、第1の冷却器5と冷媒圧縮機2との間の冷媒配管に連結される冷媒配管である。
第2の減圧装置8は、バイパス冷媒配管7に配置されており、凝縮器3から流出し、バイパス冷媒配管7を流れる高圧液冷媒を膨張及び減圧させるものである。第2の減圧装置8としては、例えば、リニア電子膨張弁等の多段階又は連続的に開度を調整可能な電子膨張弁が用いられる。なお、第2の減圧装置8は、第1の減圧装置4と同一の構成のものとしてもよいし、異なる構成のものとしてもよい。
第2の冷却器9は、図1、2に概略的に示すように、第2の減圧装置8の出口側のバイパス冷媒配管7に、インバータ6を冷却可能なように配置される。第2の冷却器9は、第2の減圧装置8によって減圧された冷媒と、インバータ6から放出される熱との熱交換を実施し、冷媒によってインバータ6を冷却する熱交換器である。第2の冷却器9は、例えば、伝熱管と複数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器として構成できる。第2の冷却器9は、インバータ6からの熱を効率良く放出可能な任意の位置に配置される。例えば、インバータ6を筐体(図示せず)に接触させて収容した場合、第2の冷却器9は、インバータ6が接触した筐体の部分に配置できる。なお、第2の冷却器9は、第1の冷却器5と同一の構成のものとしてもよいし、異なる構成のものとしてもよい。
次に、本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置1に配置されるセンサについて説明する。
本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置1は、第1の温度センサ100と、圧力センサ150と、第2の温度センサ200とを備える。
第1の温度センサ100は、第1の冷却器5と冷媒圧縮機2との間のバイパス冷媒配管7の連結位置と、冷媒圧縮機2の吸入口との間に位置する冷媒配管に配置され、冷媒圧縮機2に吸入される冷媒の温度を冷媒配管を介して検知する吸入温度センサである。圧力センサ150は、第1の温度センサ100と同様に、第1の冷却器5と冷媒圧縮機2との間のバイパス冷媒配管7の連結位置と、冷媒圧縮機2の吸入口との間に位置する冷媒配管に配置され、冷媒圧縮機2への冷媒の吸入圧力を検知する吸入圧力センサである。第2の温度センサ200は、第2の冷却器9の内部を流れる冷媒の温度(以降、「冷却温度」と称する。)を第2の冷却器9を介して検知する冷却温度センサである。
第1の温度センサ100及び第2の温度センサ200の材料としては、半導体(例えば、サーミスタ)又は金属(例えば、測温抵抗体)等が用いられる。なお、第1の温度センサ100及び第2の温度センサ200は、同一の材料で構成してもよいし、異なる材料で構成してもよい。また、圧力センサ150としては、水晶圧電式圧力センサ、半導体センサ、又は圧力トランスデューサ等が用いられる。
次に、本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置1を制御する制御装置等について説明する。
本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置1は、第1の減圧装置4の開度を調整する第1の制御部300と、第2の減圧装置8の開度を制御する第2の制御部400とを備える。
また、冷凍サイクル装置1は、第1の温度センサ100で検知した吸入温度と、圧力センサ150で検知した吸入圧力とから冷凍サイクルの過熱度を算出する演算部350を備える。
第1の制御部300、演算部350、及び第2の制御部400は、CPU、メモリ(例えば、ROM、RAM等)、I/Oポート等を備えたマイクロコンピュータを有している。なお、第1の制御部300及び第2の制御部400は、相互にデータ通信を行うことができるように構成してもよいし、一体の制御装置として統合して構成してもよい。
第1の制御部300は、第1の減圧装置4の開度の調整により、冷凍サイクルの過熱度を一定(第1の目標値)の範囲、例えば5〜10℃に制御するものである。第1の制御部300は、演算部350で算出された冷凍サイクルの過熱度に基づいて、第1の減圧装置4の開度を調整するフィードバック制御系を構成する。演算部350において、冷凍サイクルの過熱度は、圧力センサ150で検知した吸入圧力から蒸発温度(飽和温度)を換算し、第1の温度センサ100で検知した吸入温度から蒸発温度を減算することにより算出される。なお、演算部350は、第1の制御部300と別体で構成してもよいし、第1の制御部300の内部に構成してもよい。
第2の制御部400は、第2の減圧装置8の開度の調整により、第2の冷却器9の冷却温度を一定(第2の目標値)の範囲、例えば−35〜−25℃に制御するものである。第1の制御部300は、演算部350で算出された冷凍サイクルの過熱度に基づいて、第1の減圧装置4の開度を調整するフィードバック制御系を構成する。
次に、本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置1の動作について、インバータ6の動作とともに説明する。
冷媒圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は、凝縮器3へ流入する。凝縮器3に流入した高温高圧のガス冷媒は、室外空気等の低温の媒体に熱を放出することによって熱交換され、液冷媒となる。凝縮器3で熱交換された液冷媒は、第1の減圧装置4へ流入し、膨張及び減圧されて低温低圧の二相冷媒となる。第1の減圧装置4から流出した低温低圧の気液二相冷媒は、第1の冷却器5に流入する。第1の冷却器5に流入した気液二相冷媒は、室内空気等を冷却(吸熱)し、蒸発して乾き度の高い二相冷媒又は低温低圧のガス冷媒となる。
一方、交流電源70によりインバータ6に供給された交流電圧は、整流回路61で整流され、直流リアクトル62及び平滑コンデンサ63に出力される。整流回路61からの出力電圧は、直流リアクトル62で高周波の交流成分が除去され、平滑コンデンサ63で平滑化されるとともに充電される。平滑コンデンサ63からの出力電圧は、インバータ回路64で任意の周波数の交流電圧に変換され、変換された交流電圧の周波数に応じて電動機24の回転数が制御される。なお、交流電流に変換する際に発生するリップル電流は、平滑コンデンサ63で吸収される。
ここで、インバータ回路64で周波数変換を行う際に整流回路61、平滑コンデンサ63、及びインバータ回路64等で発生する電気損失は、熱となり外部に放出される。また、インバータ6からの出力電力が増加するにつれて、インバータ6における電気損失は増加し、外部に放出される熱量も増加する。
凝縮器3と前記第1の減圧装置4との間の冷媒配管から分岐したバイパス冷媒配管7を流れ、凝縮器3で熱交換された液冷媒は、第2の減圧装置8へ流入し、膨張及び減圧されて低温低圧の二相冷媒となる。第2の減圧装置8から流出した低温低圧の気液二相冷媒は、第2の冷却器9に流入する。第2の冷却器9に流入した気液二相冷媒は、インバータ6を冷却(吸熱)し、蒸発して乾き度の高い二相冷媒又は低温低圧のガス冷媒となる。第2の冷却器9から流出した乾き度の高い二相冷媒又は低温低圧のガス冷媒は、第1の冷却器5から流出したガス冷媒と合流し、冷媒圧縮機2に吸入される。冷媒圧縮機2に吸入された冷媒は圧縮されて、高温高圧のガス冷媒となり、冷媒圧縮機2から吐出される。冷凍サイクル装置1では以上のサイクルが繰り返される。
なお、インバータ6において、コンタクタ66は、交流電源70からの電力供給が停止している場合に開放されており、交流電源70からの電力供給の開始後、突入電流が発生している一定の期間は、抵抗器65を介して電流が流れるように制御されている。また、コンタクタ66は、インバータ6を流れる電流が安定した後(すなわち、突入電流が流れなくなった後)に、コンタクタ66の連結で抵抗器65の両端を短絡することにより、インバータ6全体の抵抗値を低減するように制御されている。
すなわち、交流電源70からの電力供給開始後、突入電流が発生している一定の期間において、インバータ6は、インバータ6全体を流れる電流が小さくなるように制御されている。また、インバータ6を流れる電流が安定した後においては、インバータ6は、インバータ6全体を流れる電流が大きくなるように制御されている。
インバータ6においては、平滑コンデンサ63及びインバータ回路64の抵抗値が小さいため、交流電源70からの電力供給開始時にはインバータ6に大きな突入電流が発生し、インバータ6が破損する可能性がある。しかしながら、インバータ6に抵抗器65及びコンタクタ66を設けることによって、安定かつ効率的な電動機24への電力供給が可能となる。
次に、本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置1の第1の制御部300における制御処理の例を以下の実施例1、2に説明する。
第1の制御部300は、第1の減圧装置4の開度の調整により冷凍サイクルの過熱度を第1の目標値の範囲に制御するものである。実施例1、2では、冷凍サイクルにおける過熱度をSH、過熱度SHの目標値(第1の目標値)の範囲の下限値をSHlower、上限値をSHupper、過熱度SHの現在値をSHnowとする。また、第1の減圧装置4の開度をD1、開度D1の現在値をD1now、下限値をD1lower、上限値をD1upperとする。過熱度SHの下限値SHlower及び上限値SHupper、並びに開度D1のD1lower及び上限値D1upperのデータは、第1の制御部300が参照できるように記憶される。例えば、これらのデータは、第1の制御部300の記憶領域(図示せず)に記憶するようにしてもよいし、第1の制御部300と別に設けた記憶部に記憶するようにしてもよい。
(実施例1)
図3は、本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置1の第1の制御部300における制御処理の一例を示すフローチャートである。図3の制御処理は、常時行うようにしてもよいし、例えば、過熱度SHの変動を検知した際に随時行うようにしてもよい。
ステップS11において、第1の制御部300は、演算部350で算出された過熱度SHの現在値SHnowが過熱度SHの上限値SHupper(例えば、10℃)以上であるか否かを判定する。
過熱度SHの現在値SHnowが過熱度SHの上限値SHupper以上である場合、ステップS12において、第1の制御部300は、第1の減圧装置4の開度D1を現在値D1nowよりも大きくなるように調整し、制御処理を終了する。
過熱度SHの現在値SHnowが過熱度SHの上限値SHupper未満である場合、ステップS13において、第1の制御部300は、過熱度SHの現在値SHnowが過熱度SHの下限値SHlower(例えば、5℃)以下であるか否かを判定する。過熱度SHの現在値SHnowが過熱度SHの下限値SHlowerを超えている場合、制御処理は終了し、開度D1は現在値D1nowで維持される。
過熱度SHの現在値SHnowが過熱度SHの下限値SHlower以下である場合、ステップS14において、第1の制御部300は、第1の減圧装置4の開度D1を現在値D1nowよりも小さくなるように調整し、制御処理を終了する。
(実施例2)
図4は、本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置1の第1の制御部300における制御処理の別の一例を示すフローチャートである。図4の制御処理は、常時行うようにしてもよいし、例えば、過熱度SHの変動を検知した際に随時行うようにしてもよい。
ステップS21において、実施例1のステップS11と同様に、第1の制御部300は、過熱度SHの現在値SHnowが過熱度SHの上限値SHupper以上であるか否かを判定する。
過熱度SHの現在値SHnowが過熱度SHの上限値SHupper以上である場合、ステップS22において、第1の制御部300は、第1の減圧装置4の開度D1の現在値D1nowを下限値D1lowerに設定し、制御処理を終了する。
過熱度SHの現在値SHnowが過熱度SHの上限値SHupper未満である場合、ステップS23において、第1の制御部300は、過熱度SHの現在値SHnowが過熱度SHの下限値SHlower以下であるか否かを判定する。過熱度SHの現在値SH owが過熱度SHの下限値SHlowerを超えている場合、制御処理を終了する。
過熱度SHの現在値SHnowが過熱度SHの下限値SHlower以下である場合、ステップS24において、第1の制御部300は、第1の減圧装置4の開度D1の現在値D1nowを上限値D1upperに設定し、制御処理を終了する。
なお、第1の制御部300は、実施例1及び実施例2の制御処理のいずれか一方のみを行うように構成してもよいし、双方の制御処理を行うように構成してもよい。
次に、本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置1の第2の制御部400における制御処理の例を以下の実施例3、4に説明する。
第2の制御部400は、第2の減圧装置8の開度の調整により、第2の冷却器9の冷却温度を第2の目標値の範囲に制御するものである。実施例3、4では、第2の冷却器9の冷却温度をT、冷却温度Tの目標値(第2の目標値)の範囲の下限値をTlower、上限値をTupper、冷却温度Tの現在値をTnowとする。また、第2の減圧装置8の開度をD2、開度D2の現在値をD2now、下限値をD2lower、上限値をD2 pperとする。冷却温度Tの下限値Tlower及び上限値Tupper、並びに開度D2のD2lower及び上限値D2upperのデータは、第2の制御部400が参照できるように記憶される。例えば、これらのデータは、第2の制御部400の内部に設けられた記憶領域(図示せず)に記憶するようにしてもよいし、第2の制御部400と別に設けた記憶部に記憶するようにしてもよい。
(実施例3)
図5は、本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置1の第2の制御部400における制御処理の一例を示すフローチャートである。図5の制御処理は、常時行うようにしてもよいし、例えば、冷却温度Tの変動を検知した際に随時行うようにしてもよい。
ステップS31において、第2の制御部400は、第2の温度センサ200で検知された冷却温度Tの現在値Tnowが冷却温度Tの上限値Tupper(例えば、−25℃)以上であるか否かを判定する。
冷却温度Tの現在値Tnowが冷却温度Tの上限値Tupper以上である場合、ステップS32において、第2の制御部400は、第2の減圧装置8の開度D2を現在値D2 nowよりも大きくなるように調整し、制御処理を終了する。
冷却温度Tの現在値Tnowが冷却温度Tの上限値Tupper未満である場合、ステップS33において、第2の制御部400は、冷却温度Tの現在値Tnowが冷却温度Tの下限値Tlower(例えば、−35℃)以下であるか否かを判定する。冷却温度Tの現在値Tnowが冷却温度Tの下限値Tlowerを超えている場合、制御処理は終了し、開度D2は現在値D2nowで維持される。
冷却温度Tの現在値Tnowが冷却温度Tの下限値Tlower以下である場合、ステップS34において、第2の制御部400は、第2の減圧装置8の開度D2を現在値D2 nowよりも小さくなるように調整し、制御処理を終了する。
(実施例4)
図6は、本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置1の第2の制御部400における制御処理の別の一例を示すフローチャートである。図6の制御処理は、常時行うようにしてもよいし、例えば、冷却温度Tの変動を検知した際に随時行うようにしてもよい。
ステップS41において、実施例3のステップS31と同様に、第2の制御部400は、冷却温度Tの現在値Tnowが冷却温度Tの上限値Tupper以上であるか否かを判定する。
冷却温度Tの現在値Tnowが冷却温度Tの上限値Tupper以上である場合、ステップS42において、第2の制御部400は、第2の減圧装置8の開度D2の現在値D2 nowを下限値D2lowerに設定し、制御処理を終了する。
冷却温度Tの現在値Tnowが冷却温度Tの上限値Tupper未満である場合、ステップS43において、第2の制御部400は、冷却温度Tの現在値Tnowが冷却温度Tの下限値Tlower以下であるか否かを判定する。冷却温度Tの現在値Tnowが冷却温度Tの下限値Tlowerを超えている場合、制御処理を終了する。
冷却温度Tの現在値Tnowが冷却温度Tの下限値Tlower以下である場合、ステップS44において、第2の制御部400は、第2の減圧装置8の開度D2の現在値D2 nowを上限値D2upperに設定し、制御処理を終了する。
なお、第2の制御部400は、実施例3及び実施例4の制御処理のいずれか一方のみを行うように構成してもよいし、双方の制御処理を行うように構成してもよい。
以下に、本実施の形態1による本発明の効果を説明する。
上述したとおり、本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置1は、第1の筐体21の内部に収容された圧縮機構部22と、第2の筐体23の内部に収容された電動機24とを有し、第1の筐体21と第2の筐体23とが別体として構成された開放型の冷媒圧縮機2と、凝縮器3と、第1の減圧装置4と、第1の冷却器5とが冷媒配管を介して接続され、内部に冷媒を循環させる冷凍サイクルと、電動機24に交流電力を供給するインバータ6と、凝縮器3と第1の減圧装置4との間の冷媒配管から分岐し、第1の冷却器5と冷媒圧縮機2との間の冷媒配管に連結されるバイパス冷媒配管7と、バイパス冷媒配管7に配置された第2の減圧装置8と、第2の減圧装置8の出口側のバイパス冷媒配管7に配置され、インバータ6を冷却する第2の冷却器9と、第1の減圧装置4の開度を調整する第1の制御部300と、第2の減圧装置8の開度を制御する第2の制御部400とを備え、第1の制御部300は、第1の減圧装置4の開度の調整により、冷凍サイクルの過熱度を第1の目標値の範囲に制御し、第2の制御部400は、第2の減圧装置8の開度の調整により、第2の冷却器9の冷却温度を第2の目標値の範囲に制御するものである。
従来、部分負荷効率の向上を目的とした、インバータにより冷媒圧縮機の運転周波数制御を行う冷凍サイクル装置が知られている。このような冷凍サイクル装置では、インバータの出力電力が増加すると、インバータ出力電力の増加に比例して、インバータからの発熱が増加するため、インバータからの発熱を拡散させ冷却する必要がある。
従来のインバータの冷却方法としては、インバータからの発熱を拡散させるために整流回路等にヒートシンク等を取り付け、インバータの周囲の空気をヒートシンク等に送風し、ヒートシンク等を冷却する方法が採用されていた。しかしながら、送風によりインバータを冷却する方法では、冷却風量を確保するために、大きな送風ファンや大きな冷却風路が必要となる。また、冷凍サイクル装置におけるインバータの出力電力が大きくなるにつれて、必要な冷却風量も増加するため、冷凍サイクル装置の設計上の制約も多くなる。
冷凍サイクル装置の設計上の制約を解消する方法としては、冷媒によりインバータを冷却する方法がある。冷媒によりインバータを冷却する方法では、ファンや冷却風路が不要となるため、冷凍サイクル装置の設計上の制約を解消することができる。冷媒によりインバータを冷却する方法としては、減圧装置を制御することによる冷却方法、インバータ冷却のための専用の冷却回路を設けない冷却方法が知られている。
しかしながら、冷媒によりインバータを冷却する従来の方法では、インバータを冷却した冷媒が冷凍サイクルを流れる冷媒と合流して冷媒圧縮機に吸入されるため、冷媒圧縮機に吸入される冷媒の温度はインバータを冷却した冷媒の温度に依存することとなる。したがって、冷媒によりインバータを冷却する従来の方法を採用した冷凍サイクル装置では、冷媒圧縮機に吸入される冷媒が液冷媒又は過熱度の高いガス冷媒となり、冷媒圧縮機の安定した運転状態が確保できない場合があるという問題点があった。
また、中間インジェクション機構等を流れる冷媒によってインバータの冷却を行う、すなわち、冷媒圧縮機が吸入する冷媒によってインバータの冷却を行わない冷凍サイクル装置も知られている。しかしながら、このような冷凍サイクル装置では、インバータを冷却するための制御方法が示されていないため、冷媒の流量不足によるインバータの過熱、又は冷媒の流量過剰によるインバータの結露が発生する場合がある。したがって、このような冷凍サイクル装置では、インバータが損傷する可能性があるという問題点があった。
これに対し、本実施の形態1によれば、第1の制御部300は、第1の減圧装置4の開度を調整することにより、冷媒圧縮機2が吸入する冷媒の流量を調整でき、冷凍サイクルの過熱度を一定の範囲(第1の目標値の範囲)に制御できる。よって、冷凍サイクルの過熱度を第1の目標値の範囲に制御することにより、冷媒圧縮機2の圧縮機構部22が液冷媒を吸入することも、過熱度の大きいガス冷媒を吸入することも回避できる。
また、本実施の形態1によれば、第2の制御部400は、第2の減圧装置8の開度を調整することにより、インバータを冷却する第2の冷却器9を流れる冷媒の流量を調整でき、第2の冷却器9の冷却温度を一定の範囲(第2の目標値の範囲)に制御できる。よって、第2の冷却器9の冷却温度を第2の目標値の範囲に制御することにより、第2の冷却器9を流れる冷媒の流量不足によるインバータ6の過熱も、第2の冷却器9を流れる冷媒の流量過剰によるインバータ6の結露も回避することができる。
したがって、本実施の形態1によれば、冷媒圧縮機2の信頼性が確保でき、冷凍サイクル装置1の効率的な運転ができるとともに、インバータ6の損傷を回避し、信頼性を確保することができる。また、冷凍サイクル装置1の効率的な運転によりエネルギー消費量を削減できるとともに、冷媒圧縮機2及びインバータ6の耐久性を向上させることができる。
また、インバータ6に設けられた平滑コンデンサ63は温度の低下に伴い、吸収可能なリップル電流が増加するという特性を有する。したがって、本実施の形態1において、第2の冷却器9の冷却温度の温度範囲を、例えば−35℃を上限とする低い温度に制御することで、平滑コンデンサ63として容量の小さいものを選定できる。したがって、インバータ6の製造コストを低減し、環境負荷を軽減できるという利点も有する。
また、本実施の形態1の冷凍サイクル装置1は、地球温暖化係数が低く、燃焼性を有する冷媒の使用を考慮した構成となっているため、冷凍サイクル装置1を安全に使用することができるという利点も有する。
近年、昨今の地球温暖化問題に対応して、冷凍サイクル装置で使用する冷媒においては、地球温暖化係数が低い冷媒(以下、「低GWP冷媒」と称する。)を実用化する動きが欧州を皮切りに活発化している。
一方、低GWP冷媒には、CF−CF=CH(HFO1234yf)及びCH (R32)等の燃焼性を有する冷媒がある。燃焼性のある低GWP冷媒を用いる場合、空調装置及び冷凍機等の冷凍サイクル装置においては、安全上の制約から、電動機等の電気機器を冷媒雰囲気内に配置することができない。
これに対して、本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置1は、開放型の冷媒圧縮機2を備えている。すなわち、本実施の形態1の冷媒圧縮機2では、圧縮機構部22を収容した第1の筐体21、及び電動機24を収容した第2の筐体23は、別体として構成されている。したがって、本実施の形態1によれば、燃焼性の低GWP冷媒を用いる場合であっても、冷凍サイクル装置1を安全に使用することができる。
また、本実施の形態1の冷凍サイクル装置1では、第1の減圧装置4の開度の調整は、制御量である冷凍サイクルの過熱度が第1の目標値の上限値以上となった場合に、操作量である第1の減圧装置4の開度を上げ、制御量である冷凍サイクルの過熱度が第1の目標値の下限値以下となった場合に、操作量である第1の減圧装置4の開度を下げることにより行われるように構成される。この構成によれば、第1の温度センサ100が検知した吸入温度、及び圧力センサ150が検知した吸入圧力から算出された冷凍サイクルの過熱度により、第1の減圧装置4の開度の調整が行われ、第1の冷却器5を通過する冷媒の流量が増減される。第1の冷却器5を通過する冷媒の流量の増減によって、冷凍サイクルの過熱度が第1の目標値の範囲内、例えば5〜10℃となるように制御される。したがって、この構成によれば、冷媒の過熱度が過小となり、冷媒圧縮機2の圧縮機構部22に液冷媒が吸入されて冷媒圧縮機2で液圧縮運転が行われることを回避できる。また、この構成によれば、冷媒の過熱度が過剰となり、冷媒圧縮機2の圧縮機構部22に過熱度の高いガス冷媒が吸入されて冷媒圧縮機2で過熱運転が行われることを回避できる。したがって、この構成によれば、圧縮機構部22に吸入される冷媒の過熱度を第1の目標値の範囲に制御することで、冷媒圧縮機2の損傷を防止することができる。また、第1の冷却器5における熱交換が充分になされるため、冷凍サイクル装置1の効率的な運転を行うことができる。
また、本実施の形態1の冷凍サイクル装置1では、制御量である冷凍サイクルの過熱度が第1の目標値の上限値以上となった場合に、操作量である第1の減圧装置4の開度を第1の減圧装置4の開度の下限値として設定し、制御量である冷凍サイクルの過熱度が第1の目標値の下限値以下となった場合に、操作量である第1の減圧装置4の開度を第1の減圧装置4の開度の上限値として設定することにより行われるように構成される。この構成によれば、冷凍サイクルの過熱度により、第1の減圧装置4の開度の下限値又は上限値が設定されるため、第1の冷却器5を通過する冷媒の流量が過剰に増加することも、過剰に減少することも抑制(禁止)することができる。したがって、この構成によれば、冷媒の過熱度が過小となり、冷媒圧縮機2の圧縮機構部22に液冷媒が吸入されて冷媒圧縮機2で液圧縮運転が行われることを回避できる。また、この構成によれば、冷媒の過熱度が過剰となり、冷媒圧縮機2の圧縮機構部22に過熱度の高いガス冷媒が吸入されて冷媒圧縮機2で過熱運転が行われることを回避できる。したがって、この構成によれば、第1の減圧装置4の開度の下限値又は上限値を設定することで、圧縮機構部22の損傷を防止することができるとともに、冷凍サイクル装置1の効率的な運転を行うことができる。
また、本実施の形態1の冷凍サイクル装置1では、第2の減圧装置8の開度の調整は、制御量である冷却温度が第2の目標値の上限値以上となった場合に、操作量である第2の減圧装置8の開度を上げ、制御量である冷却温度が第2の目標値の下限値以下となった場合に、操作量である第2の減圧装置8の開度を下げることにより行われる。この構成によれば、第2の温度センサ200が検知した第2の冷却器9の冷却温度により、第2の減圧装置8の開度の調整が行われ、第2の冷却器9を通過する冷媒の流量が増減される。第2の冷却器9を通過する冷媒の流量の増減によって、第2の冷却器9の冷却温度が第2の目標値の範囲内、例えば−35〜−25℃となるように制御される。したがって、この構成によれば、第2の冷却器9を流れる冷媒の流量が不足し、インバータ6が過熱することを回避できる。また、この構成によれば、第2の冷却器9を流れる冷媒の流量が過剰となり、インバータ6が結露することを回避できる。したがって、この構成によれば、第2の冷却器9の冷却温度を第2の目標値の範囲に制御することで、インバータ6の過熱又は結露に起因する、インバータ6の内部回路の損傷を回避することができる。
また、本実施の形態1の冷凍サイクル装置1では、第2の減圧装置8の開度の調整は、制御量である冷却温度が第2の目標値の上限値以上となった場合に、操作量である第2の減圧装置8の開度を第2の減圧装置8の開度の下限値として設定し、制御量である冷却温度が第2の目標値の下限値以下となった場合に、操作量である第2の減圧装置8の開度を第2の減圧装置8の開度の上限値として設定することにより行われる。この構成によれば、第2の冷却器9の冷却温度により、第2の減圧装置8の開度の下限値又は上限値が設定されるため、第2の冷却器9を通過する冷媒の流量が過剰に増加することも、過剰に減少することも抑制(禁止)することができる。したがって、この構成によれば、第2の冷却器9を流れる冷媒の流量が不足し、インバータ6が過熱することを回避できる。また、この構成によれば、第2の冷却器9を流れる冷媒の流量が過剰となり、インバータ6が結露することを回避できる。したがって、この構成によれば、第2の減圧装置8の開度の下限値又は上限値を設定することで、インバータ6の過熱又は結露に起因する、インバータ6の内部回路の損傷を回避することができる。
実施の形態2.
本発明の実施の形態2では、上述の実施の形態1における、図1の冷媒圧縮機2の圧縮機構部22の変形例について説明する。
本実施の形態2の冷凍サイクル装置1では、圧縮機構部22の圧縮方式が、スクリュー式となるように構成される。また、本実施の形態2の冷凍サイクル装置1では、圧縮機構部22の圧縮方式が、ターボ式となるように構成される。圧縮機構部22の圧縮方式をスクリュー式又はターボ式の圧縮方式とすることにより、例えばレシプロ式の圧縮方式の圧縮機構部22を用いた場合と比較して冷媒圧縮機2における振動を抑制できる。したがって、この構成によれば、冷媒圧縮機2の振動によるインバータ6の損傷の可能性を低減できる。
本実施の形態2の冷凍サイクル装置1では、圧縮機構部22の圧縮方式が、二段圧縮式となるように構成される。二段圧縮式の圧縮機構部22では、クランク軸の偏心部が180度対向した配置となる。本実施の形態2では、圧縮機構部22の圧縮方式を二段圧縮式の圧縮方式とすることにより、軸負荷が小さくなり圧縮機構部22の信頼性を向上させることができる。また、軸負荷が小さくなることにより、圧縮機構部22のトルク変動が小さくなり、回転方向の振動が大幅に低減される。したがって、この構成によれば、冷媒圧縮機2の振動によるインバータ6の損傷の可能性を低減できる。
実施の形態3.
本発明の実施の形態3では、上述の実施の形態1における、図1の冷媒圧縮機2の第2の筐体23の変形例について説明する。
本実施の形態3の冷凍サイクル装置1では、インバータ6は、電動機24とともに第2の筐体23に収容されるように構成される。この構成によれば、インバータ6を収容するために別体の筐体に設ける必要がなくなるため、冷凍サイクル装置1の省スペース化を図ることができる。
また、本実施の形態3の冷凍サイクル装置1では、インバータ6が収容された第2の筐体23は、接地された導電性の全密閉容器として構成される。全密閉容器は、例えばアルミニウム等の金属製の材質のものにできる。インバータ6では、交流を直流に変換する際、及び直流を交流に変換する際に電磁波ノイズが発生する。電磁波ノイズが発生すると、インバータ6周辺の電子機器が誤作動する可能性があるが、この構成によれば、インバータ6は、第2の筐体23の内部に静電遮蔽される。したがって、この構成によれば、第2の筐体23の外部へのインバータ6からの電磁波ノイズの放射を低減することができる。
実施の形態4.
本発明の実施の形態4では、上述の実施の形態1における、図1の第1の減圧装置4及び第2の減圧装置8の変形例について説明する。
本実施の形態4の冷凍サイクル装置1では、前記第1の減圧装置及び前記第2の減圧装置のうちの少なくとも1つが膨張機として構成される。膨張機は、吸入した高圧の液冷媒を膨張機構で膨張(減圧)し、低温低圧の冷媒として吐出し、膨張機構で得た膨張動力を機械的に回収可能な流体機械である。回収された膨張動力は、例えば、冷媒圧縮機2における冷媒の圧縮動力として利用することができる。したがって、この構成によれば、電気入力が減少させ、成績係数(COP)を向上させることができる。
また、本実施の形態4の冷凍サイクル装置1は、前記膨張機によって回収された膨張動力によって発電が行われるように構成してもよい。この構成によれば、発電された電力を用いて冷媒圧縮機2、インバータ6、第1の制御部300、第2の制御部400等の冷凍サイクル装置1の本体電気機器、又は図示しないが、送風機、ポンプ、補機等の他の電気機器を駆動できる。また、この構成によれば、圧縮機(例えば、冷媒圧縮機2)と膨張機とを別体として構成できる。したがって、この構成によれば、膨張機の膨張機構で得られた膨張動力を有効に用いるための圧縮機と膨張機とが一体となった専用の流体機械を設ける必要がなくなり、従来用いられている圧縮機を使用できるため、冷凍サイクル装置1のコスト削減ができる。
なお、第1の減圧装置4又は第2の減圧装置8を膨張機として構成する場合、冷媒の一部が膨張機を流れないバイパス回路を冷凍サイクル装置1に設けてもよい。この構成によれば、冷媒圧縮機2の冷媒と膨張機の冷媒の質量流量が異なる運転が可能となり、低圧が低下した場合等、冷凍サイクル装置1の運転条件が変化した場合であっても成績係数を向上させることができる。
実施の形態5.
本発明の実施の形態5では、上述の実施の形態1における冷凍サイクル装置1の変形例について説明する。
本実施の形態5の冷凍サイクル装置1では、例えば、エゼクタを設けて、吸入圧力の回復を行うように構成される。エゼクタは低圧の冷媒を昇圧する装置である。エゼクタは、例えば、第1の冷却器5と冷媒圧縮機2との間のバイパス冷媒配管7の連結位置と、冷媒圧縮機2の吸入口との間に位置する冷媒配管に配置され、冷媒圧縮機2における吸込圧力の回復を行うものである。この構成によれば、エゼクタにより昇圧される分だけ、第1の冷却器5及び第2の冷却器9を流れる二相冷媒の圧力を低下させることができる。したがって、この構成によれば、第1の冷却器5及び第2の冷却器9を流れる二相冷媒の飽和温度を低下させることができるため、冷凍サイクル装置1の冷却能力を向上させ、成績係数を向上させることができる。
実施の形態6.
本発明の実施の形態6では、上述の実施の形態1における冷媒圧縮機2の変形例について説明する。
本実施の形態6では、微燃性を有しない低GWP冷媒のみを用いる場合を考える。燃焼性を有する低GWP冷媒を用いる場合は、安全上の制約から、電動機24及びインバータ6は、圧縮機構部22と同一の筐体に収容できない。しかしながら、本実施の形態6のように、微燃性を有しない低GWP冷媒のみを用いる場合は、電動機24及びインバータ6を圧縮機構部22と一体に構成することができる。本実施の形態6においては、インバータ6の冷却は冷媒圧縮機2に吸入される冷媒によって行われる。したがって、本実施の形態6におけるインバータ6の冷却は、冷媒圧縮機2に吸入される冷媒の流量を制御することによって行われる。なお、冷媒圧縮機2に吸入される冷媒の流量の制御は、第1の温度センサ100が検知した吸入温度、及び圧力センサ150が検知した吸入圧力から算出された冷凍サイクルの過熱度に基づいて行われる。
その他の実施の形態.
上述の実施の形態に限らず種々の変形が可能である。例えば、上述の実施の形態は、ショーケース、空気調和装置、冷蔵庫等のヒートポンプ装置にも用いることができる。
また、上述の実施の形態は互いに組み合わせて用いることが可能である。
1 冷凍サイクル装置、2 冷媒圧縮機、3 凝縮器、4 第1の減圧装置、5 第1の冷却器、6 インバータ、7 バイパス冷媒配管、8 第2の減圧装置、9 第2の冷却器、21 第1の筐体、22 圧縮機構部、23 第2の筐体、24 電動機、25 動力伝達機構、61 整流回路、61a 整流ダイオード、62 直流リアクトル、63
平滑コンデンサ、64 インバータ回路、64a インバータ用スイッチング素子、64b インバータ用逆流防止素子、65 抵抗器、66 コンタクタ、70 交流電源、100 第1の温度センサ、150 圧力センサ、200 第2の温度センサ、300 第1の制御部、350 演算部、400 第2の制御部。

Claims (12)

  1. 圧縮機構部と電動機とを有する冷媒圧縮機と、凝縮器と、第1の減圧装置と、第1の冷却器とが冷媒配管を介して接続され、内部に冷媒を循環させる冷凍サイクルと、
    前記電動機に交流電力を供給するインバータと、
    前記凝縮器と前記第1の減圧装置との間の冷媒配管から分岐し、前記第1の冷却器と前記冷媒圧縮機との間の冷媒配管に連結されるバイパス冷媒配管と、
    前記バイパス冷媒配管に配置された第2の減圧装置と、
    前記第2の減圧装置の出口側の前記バイパス冷媒配管に配置され、前記インバータを冷却する第2の冷却器と、
    前記第1の減圧装置の開度を調整する第1の制御部と、
    前記第2の減圧装置の開度を制御する第2の制御部とを備え、
    前記第1の制御部は、前記第1の減圧装置の開度の調整のみにより、前記冷凍サイクルの過熱度を第1の目標値の範囲に制御するものであり、前記第1の減圧装置の開度の調整は、制御量である前記冷凍サイクルの過熱度が前記第1の目標値の上限値以上となった場合に、操作量である前記第1の減圧装置の開度を上げ、制御量である前記冷凍サイクルの過熱度が前記第1の目標値の下限値以下となった場合に、操作量である前記第1の減圧装置の開度を下げることにより行われ、
    前記第2の制御部は、前記第2の減圧装置の開度の調整により、前記第2の冷却器の冷却温度を第2の目標値の範囲に制御するものである
    冷凍サイクル装置。
  2. 前記冷媒圧縮機は、
    前記圧縮機構部が第1の筐体の内部に収容され、
    前記電動機が第2の筐体の内部に収容され、
    前記第1の筐体と前記第2の筐体とが別体として構成された開放型の冷媒圧縮機であり、
    前記冷媒が、燃焼性を有し、地球温暖化係数が低い冷媒である
    請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
  3. 前記インバータは、前記電動機とともに前記第2の筐体に収容される請求項2に記載の冷凍サイクル装置。
  4. 前記第2の筐体は、接地された導電性の全密閉容器である請求項3に記載の冷凍サイクル装置。
  5. 前記第1の減圧装置の開度の調整は、
    制御量である前記冷凍サイクルの過熱度が前記第1の目標値の上限値以上となった場合に、操作量である前記第1の減圧装置の開度を前記第1の減圧装置の開度の下限値として設定し、
    制御量である前記冷凍サイクルの過熱度が前記第1の目標値の下限値以下となった場合に、操作量である前記第1の減圧装置の開度を前記第1の減圧装置の開度の上限値として設定することにより行われる
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
  6. 前記第2の減圧装置の開度の調整は、
    制御量である前記冷却温度が前記第2の目標値の上限値以上となった場合に、操作量である前記第2の減圧装置の開度を上げ、
    制御量である前記冷却温度が前記第2の目標値の下限値以下となった場合に、操作量である前記第2の減圧装置の開度を下げることにより行われる
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
  7. 前記第2の減圧装置の開度の調整は、
    制御量である前記冷却温度が前記第2の目標値の上限値以上となった場合に、操作量である前記第2の減圧装置の開度を前記第2の減圧装置の開度の下限値として設定し、
    制御量である前記冷却温度が前記第2の目標値の下限値以下となった場合に、操作量である前記第2の減圧装置の開度を前記第2の減圧装置の開度の上限値として設定することにより行われる
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
  8. 前記圧縮機構部の圧縮方式が、スクリュー式である請求項1〜7のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
  9. 前記圧縮機構部の圧縮方式が、ターボ式である請求項1〜7のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
  10. 前記圧縮機構部の圧縮方式が、二段圧縮式である請求項1〜9のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
  11. 前記第1の減圧装置及び前記第2の減圧装置のうちの少なくとも1つが膨張機である請求項1〜10のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
  12. 前記膨張機によって回収された膨張動力によって発電が行われる請求項11に記載の冷凍サイクル装置。
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