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JP6495816B2 - エラストマーキャップ層を有する印刷版原版、および原版からの印刷版の製造方法 - Google Patents

エラストマーキャップ層を有する印刷版原版、および原版からの印刷版の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、印刷版原版、および原版から印刷版を製造する方法、特に、粒子状物質を含有するエラストマーキャップ層を有する感光性印刷版原版、およびレリーフ表面を有する印刷版を形成するための製造方法に関する。
フレキソ印刷プレートは、段ボール箱、板紙箱、紙の連続ウェブ、およびプラスチックフィルムの連続ウェブなどの包装材料の印刷に広く使用されている。フレキソ印刷プレートは、インクが隆起した画像表面から基材に転写される凸版印刷の印刷版である。フレキソ印刷プレートは、米国特許第4,323,637号明細書および米国特許第4,427,759号明細書に記載されるものなどの光重合性組成物から作製することができる。光重合性の組成物は、一般に、エラストマー性バインダー、少なくとも1種類のモノマー、および光開始剤を含む。感光性要素は、一般に、支持体とカバーシートまたは多層カバー要素との間に挟まれた光重合性組成物の固体層を有する。多層カバー要素は、Grutzmacherらによって米国特許第4,427,749号明細書に開示されているようなバルクの光重合性層と隣接して接触するエラストマー組成物層、すなわちオーバーコート層を含む。
フレキソ印刷版は、化学線に露光すると架橋または硬化する性質を特徴とする。通常、印刷版原版は、指定の量の化学線に、裏側から通過して均一に露光して、すなわちバックフラッシュして、フロアを形成し、その前面から、バックフラッシュ露光に使用したものと同じ化学線を像様露光する。像様露光は、減圧下で光重合性層に密接に接触して維持される写真のネガまたは透過原稿(たとえばハロゲン化銀フィルム)などの画像を有するアートワークまたはフォトツールに通して、いわゆるアナログワークフローで行うことができる。あるいは、像様露光は、光重合性層の上にあらかじめ形成された放射線不透明領域および透明領域を有するin−situマスクに通して、いわゆるデジタルワークフローで行うことができる。原版を紫外(UV)線などの化学線に露光して、光重合性層を選択的に硬化させる。化学線は、透明(または透き通った)領域を通過して感光性要素に入り、透明原稿またはin−situマスクの黒色または不透明の領域によって、光重合性層への侵入が阻止される。化学線に露光する光重合性層の領域は、硬化または固化および架橋が起こる。露光中、フォトツールまたはin−situマスクの不透明領域の下にあった光重合性層の未露光領域は、架橋および硬化(すなわち固化)が起こらない。未硬化領域は、ウォッシュアウト現像中に使用される溶剤に対して可溶性であり、および/または加熱によって溶融、軟化、または流動することができる。次に印刷プレート原版に対して現像ステップが行われ、未露光領域(すなわち、未硬化領域)はウォッシュアウト溶液または熱で処理することによって除去されて、印刷に適した画像を有するレリーフ表面が残る。ウォッシュアウト溶液で処理する場合、プレートによって吸収されうる溶剤を除去するために、後に印刷版またはプレートを乾燥させる。印刷プレートは、UV放射線にさらに露光することで、重合の完了を確実にし、表面の粘着性を除去することができる。すべての所望の処理ステップの後、次にプレートまたは印刷版を印刷プレス上に搭載して、形成されたレリーフ画像を基材に印刷する。
フリーラジカル光重合プロセスにおける露光中に酸素(O)が存在すると、副反応が誘発され、フリーラジカル分子が酸素と反応し、同時に反応性モノマー分子間の主反応が起こることが、当業者によって知られている。この副反応は、重合または架橋分子の形成の速度を低下させるので、阻害(すなわち、酸素阻害)として知られている。アナログワークフローにおいては、原版とフォトツールとの間に密接な接触および真空が存在するので、化学線への像様露光は、酸素の非存在下で起こり、そのため光重合性材料の重合は速い速度で起こり、一般に、マスクの透明領域、すなわち、マスク開口部の寸法と一致する。アナログワークフローによって形成されるドットは、通常円錐形であり、平坦な上部を有する。しかし、原版から画像を有するアートワークの不透明要素は、ネガフィルムによって原版から分離されるので、通常はある程度の解像度の低下が生じる。化学線は、フォトツールマスク要素と原版との間で広がり、それによって可能な解像度が制限される。
アナログワークフローの代案の1つはデジタルワークフローであり、これは独立したフォトツールの作製および使用が不要である。デジタルワークフローにおけるin−situマスクを形成可能な原版としての使用に好適な感光性要素は、米国特許第5,262,275号明細書、米国特許第5,719,009号明細書、米国特許第5,607,814号明細書、米国特許第6,238,837号明細書、米国特許第6,558,876号明細書、米国特許第6,929,898号明細書、米国特許第6,673,509号明細書、米国特許第5,607,814号明細書、米国特許第6,037,102号明細書、および米国特許第6,284,431号明細書に記載されている。原版、または原版を有する集合体は、赤外線に対して感受性であり化学線に対して不透明である層を含む。赤外線感受性層には、レーザー放射線が像様露光され、それによって赤外線感受性材料が、集合体の上に配置されたフィルムから除去されるか、あるいはそのフィルム上への転写、そのフィルムからの転写が起こり、光重合性層に隣接する放射線不透明領域および透明領域を有するin−situマスクが形成される。原版は、(真空は不要なため)大気酸素、すなわち約21%酸素の存在下でin−situマスクを介して化学線に全体露光される。さらに、部分的には、主要な露光中に大気酸素が存在するために、フレキソ印刷版は、アナログワークフローで形成されるレリーフ構造とは異なるレリーフ構造を有する(両方のワークフローで同じサイズのマスク開口部を基準とする)。デジタルワークフローでは、隆起表面領域の異なる構造を有するレリーフ画像が得られる。特に、ドット(すなわち、ハーフトーン画像の個別の要素)の微細隆起表面は、通常、(実際のマスク開口部よりも)小さく、丸みを帯びた上部、および湾曲した側壁断面を有し、多くの場合これはドット先鋭化効果と呼ばれる。in−situマスクは光重合性層の表面と一体となり、マスク要素と原版表面との間での化学線の広がりが回避されるので、印刷版は改善された解像度およびドットゲインを示す。デジタルワークフローによって形成されたレリーフ構造では、白色に退色するより微細な印刷ハイライトドット、印刷可能なトーン範囲の増加、および鮮明なラインワークなどの好都合な印刷特性が得られる。ドットのより小さい微細な隆起表面は、印刷中のエラストマー印刷版の変形の補償にも役立つ。このように、デジタルワークフローは、使用が容易であり、望ましい印刷性能を有するため、フレキソ印刷版の望ましい製造方法の1つとして広く受け入れられている。
しかし、品質に対する要求が高まり続けているので、フレキソ印刷用の現在の最新の凸版印刷版は、希望通りに機能できない。フレキソ印刷版によって、インクの均一で緻密な被覆率を有するベタ領域が印刷されるのが望ましい。特に広い領域での、印刷版から基材への不十分な転写またはレイダウンによって、斑点および粒状性などの印刷の欠陥が生じる。高デュロメーターを有するフレキソ印刷版、すなわちショアAが65を超える印刷版は、不十分なインクレイダウンを示すことが多い。不十分な印刷結果は、溶剤系印刷インク、およびUV硬化性印刷インクを用いる場合に特に得られる。
フレキソ印刷版によって印刷される画像のベタ領域のインク濃度の試行および改善の方法は多数存在する。ベタインク濃度を改善する方法の1つは、印刷版と基材との間の物理的な圧力を増加させることである。これによってベタインク濃度は増加するが、圧力増加によって、より小さなプレート要素が変形して、ドットゲインが増加し、解像度が低下する傾向にある。これは、たとえば箔などの重要な基材上に印刷する場合に特に明らかであり、多数の印刷欠陥を観察することができる。同様に、フレキソ印刷プレートをプレートロールに保持するために使用される取り付けテープを変更することで、プレート表面での圧力の分布の仕方を変化させることでベタインク濃度を増加させることもできる。適切な取り付けテープは、圧力を増加させながらドットゲインの減少をある程度緩和するのに役立ちうるが、2つの競合する特性の間に妥協が依然として存在する。
ベタインク濃度を改善するための別の方法では、凸版印刷版の表面積を増加させることを伴う。粗面を有する凸版印刷版は、平滑面よりも多くのインクを保持することができる。しかし、表面粗さは、インク転写を増加させるのに十分な粗さとなるべきであるが、最終印刷中に望ましくないアーティファクトが生じるので直接印刷にわずかな特徴が生じるほど粗くなるべきではない。Bodeらは国際公開第2003/079114号パンフレットにおいて、光重合性層の上に配置された艶消層を有する感光性要素を開示しており、この艶消層は、ポリマーバインダーと、光重合性層表面中に固定ことができる特殊な艶消剤とを含む。アナログワークフローによってこの感光性要素から作製された印刷版は、首尾よく粗面を維持するが、場合により、従来のデジタルワークフローによって作製した場合には粗面の微細構造がある程度失われることがある。Rudolphらは米国特許出願公開第2004/0234886号明細書において、光重合性層の上に配置された艶消層を有する感光性要素を開示しており、この艶消層は、ポリマーバインダーと、光重合性層の面内にくぼみを形成可能な特殊な艶消剤とを含む。この感光性要素において、艶消層はくぼみを形成し、それによって光重合性層と艶消層との間の界面に粗面が形成される。アナログワークフローによってこの感光性要素から作製された印刷版は、首尾よく粗面を維持するが、場合により、従来のデジタルワークフローによって作製した場合には粗面の微細構造がある程度失われることがある。従来のデジタルワークフローにおいては、大気酸素の存在下で露光が行われるので、界面において光重合性層の一部が硬化しない場合がある。表面に残存する特徴は、デジタルワークフロー画像中の最小の特徴と比べると比較的大きい。この結果、得られる印刷版中で特徴の消失または変形が起こり、それによって印刷欠陥が生じる。
アナログワークフローを促進するため、またはフィラーとして、感光性要素中に少量の粒子を含めることが知られている。Chenらは米国特許第4,369,246号明細書において、非混和性でポリマーまたは非ポリマーの有機または無機のフィラー、たとえば親有機性シリカおよびシリカを、エラストマー性印刷レリーフ要素中の感光層に加えることを開示している。Cushnerは米国特許第5,798,202号明細書および米国特許第5,804,353号明細書において、Kannurpattiらは米国特許第6,737,216号明細書において、そしてHillerらは米国特許第6,935236号明細書において、可撓性支持体上の強化エラストマー層をレーザー彫刻することによるフレキソ印刷プレートの製造方法を開示している。エラストマー層は、シリカおよびシリケートを含む微粉砕された粒子状物質材料などの強化剤をエラストマー層に混入することにより機械的に強化することができる。レーザー彫刻は、レリーフ層から深さ方向でポリマー材料を(高温ガス、蒸気、煙霧、または小さな粒子の形態で分解することによって)除去するのに十分なレーザー放射線を層に直接衝突させることによって、印刷版のレリーフ構造が形成される方法である。レーザーを制御してポリマー材料を選択的に除去できるので、レーザー彫刻ではエラストマー層上にマスクは使用されない。
凸版印刷版のベタインク濃度印刷性能を向上させる別の方法は、Stoltらが米国特許出願公開第2010/0143841号明細書において開示しているように、原版の画像領域のデジタルパターン形成による方法である。Stoltらは、画像マスクを作製するために使用されるハーフトーンデータ中のすべての画像特徴領域にあるパターンを適用し、次にそれを使用して原版を凸版印刷版に変換することを開示している。処理後、印刷版は、レリーフ特徴の表面中のパターンを分解するレリーフ画像を有し、印刷されるベタインク濃度を維持または増加させるベタレリーフ特徴が得られる。この方法および類似の方法に関する問題は、マスクに画像形成する(レーザー)装置への費用のかかる拡張が一般に必要となることである。さらに、効果を得るためには、プロセスがより複雑になる。Samworthは米国特許第6,492,095号明細書において、複数の非常に小さく浅いセルで覆われたベタ画像領域を有するフレキソ印刷プレートを開示している。これらのセルは、網掛けフィルムのハーフトーンネガ、中間フォトマスク、またはマスクとして使用されるプレート上の上部層によって形成される。しかし、デジタルワークフローは酸素の存在下で露光するため、より小さなハーフトーン画像は比較的大きくする必要がある。これは、ある種の印刷用途においては効果的でなくなる場合があり、視覚的なアーティファクトが生じる場合もある。
このため、印刷される基材へのインクの転写を改善し、特にベタ領域をインクの均一で緻密な被覆で印刷するための、印刷品質への高まる要求に適合させるための凸版印刷版への要求が生じている。感光性印刷版原版からの凸版印刷版の作製が単純で比較的迅速であり、ドットゲインおよび/または画像解像度に悪影響を与えずに基材へのインクの転写を改善するレリーフ構造を有する印刷版を得ることができる方法が必要とされている。微細な印刷要素およびハイライトドットの印刷を含めた全階調範囲の印刷が可能なレリーフ構造を印刷版が有し、それによって改善された印刷品質が得られることも望ましい。
本発明によると、光重合性層と、エラストマー層と、in−situマスクを形成可能な化学線不透明材料とを含む印刷版原版が提供される。光重合性組成物の層は、化学線に対して感受性であり、バインダー、モノマー、および光開始剤を含む。化学線に対して感受性である、または感受性となるエラストマー組成物の層は、少なくともエラストマーバインダー、および粒子状物質を含み、エラストマー組成物はある屈折率を有し;粒子状物質は、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、長石、霞石閃長岩、またはガラスの粒子から選択され、粒子状物質が、1〜10ミクロンの平均直径、およびエラストマー組成物の屈折率の±0.04である屈折率を有する。化学線不透明材料は、光重合性層a)とは反対側のエラストマー層b)の上に存在する、隣接する、または上方に配置され、in−situマスクを形成することができる。
本発明の別の一態様によると、凸版印刷版の製造方法であって、I)前述の印刷版原版を提供するステップと;II)化学線不透明層にレーザー放射線を像様露光することによってin−situマスクを形成するステップと;III)in−situマスクを介してステップII)の原版を化学線に全面露光して、光重合性層およびエラストマー層中に重合部分および未重合部分を形成するステップと;IV)III)の原版を処理して未重合部分を除去して、印刷に適したレリーフ表面を形成するステップとを含む方法が提供される。
本発明のさらに別の一態様によると、印刷プレート原版の形成方法であって、A)化学線不透明材料の層を一時的なカバーシート上に塗布することと;エラストマー組成物の層を化学線不透明層上または化学線不透明層に隣接して塗布することとを含み、エラストマー組成物は、化学線に対して感受性である、または感受性となり、少なくともエラストマーバインダー、および粒子状物質を含む、多層カバー要素を形成するステップと;B)化学線に対して感受性であり、バインダー、モノマー、および光開始剤を含む光重合性組成物の層を、エラストマー層が光重合性層と接触するように支持体と多層カバー要素との間に形成するステップとを含み;エラストマー組成物はある屈折率を有し、粒子状物質が、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、長石、霞石閃長岩、またはガラスの粒子から選択され、;粒子状物質が、1〜10ミクロンの平均直径、およびエラストマー組成物の屈折率の±0.04である屈折率を有する、方法が提供される。
本発明は、印刷版原版、および原版から凸版印刷、特にフレキソ印刷における使用に好適な印刷版を製造する方法に関する。印刷版原版は、少なくともバインダー、モノマー、および光開始剤を含む光重合性組成物の層と;光重合性層上に配置された化学線に対して感受性である、または感受性となるエラストマー組成物の層と;エラストマー層の上に存在する、隣接する、または上方に配置され、in−situマスクを形成することができる化学線不透明層とを含む、感光性要素、特に光重合性要素である。印刷版原版は、感光性要素、光重合性要素、感光性原版、または光重合性原版と呼ばれることもある。エラストマー層は、エラストマーバインダーおよび粒子状物質を含む。エラストマー組成物は、粒子状物質を除いた場合に、ある屈折率を有する。粒子状物質は、ポリアミド粒子、ポリメチルメタクリレート粒子、長石粒子、霞石閃長岩粒子、またはガラス粒子から選択される。粒子は、1〜10ミクロンの平均直径を有し、エラストマー組成物の屈折率の±0.04の屈折率を有する。
本発明の印刷版原版はいくつかの利点を有する。エラストマーキャップ層中に粒子状物質画存在することで、印刷品質が改善され、特に、印刷される基材への印刷版からのインクの転写が顕著に改善され、従って基材上のベタインク濃度が顕著に改善される。印刷品質の改善は、印刷プロセス中のインク転写の均一性、ドットゲイン、および微細なテキストの再現性などのいくつかの印刷特性または属性で観察される。インク転写の均一性の改善は、印刷版から基材に転写されたインクの量の増加、および/またはベタインク濃度と呼ぶこともできるベタインク被覆領域における濃度によって決定される基材上のインクのレイダウンの均一性の増加によって求められる。印刷されたドットが、凸版印刷版上の対応するドットよりも大きい場合、印刷されたドットの増大をドットゲインと呼ぶ。ドットゲインが小さいと、印刷された画像の階調再現性が改善されるので、ドットゲインを最小限にすることが望ましい。原版から得られる印刷版は、同じまたは実質的に同じ大きさのドットが印刷される非常に良好なハイライトドット(すなわち、約1〜5%のドット)を有する。さらに、微細なテキストの品質の再現性の改善は、ポジテキストおよびネガテキストの両方、ならびにハイライトドットを形成する微細な特徴において観察される。また、小さな平均直径の粒度、および非常に狭い粒度分布のため、エラストマー層中に粒子が存在することで、レリーフのハイライトドットの微細特徴に対する影響が最小限となる粗面が得られる。さらに、印刷版は、レリーフ表面の摩耗、およびレリーフ表面中のレリーフ要素のドットチッピングに耐える。
感光性の要素または印刷原版であり、特に、光重合性の要素または印刷原版である印刷版原版は、光重合性組成物の少なくとも1つの層を含む。本発明において使用される場合、用語「光重合性」は、光重合性、光架橋性、またはその両方である系を含むことを意図している。組成物層が基材上に2つ以上の光重合性層を含む場合、それぞれの光重合性層の組成は、別の光重合性層のいずれかと同じ場合も異なる場合もある。光重合性層は、バインダーと、モノマーと、光開始剤とを含む組成物から形成される固体エラストマー層である。
光開始剤は化学線に対して感受性である。本明細書全体にわたって、化学線は紫外線および/または可視光を含む。光重合性組成物の固体層は、フレキソ印刷に好適なレリーフを形成するために、1種類以上の溶液および/または熱で処理される。本発明において使用される場合、用語「固体」は、一定の体積および形状を有し、その体積または形状を変化させようとする力に抵抗する層の物理的状態を意味する。光重合性組成物の層は、約5℃〜約30℃の温度である室温において固体である。光重合性組成物の固体層は、重合(光硬化)される場合、未重合の場合、またはその両方の場合がある。
他の記載がなければ、用語「印刷版原版」、「感光性印刷要素」、「フレキソ印刷プレートまたは印刷版」は、限定するものではないが平坦シート、板、継ぎ目のない連続形態、円筒形、スリーブ上の板、キャリアの板などの凸版印刷、特にフレキソ印刷に好適なあらゆる形態の要素または構造を含んでいる。本発明において使用される場合、用語「印刷版」は、印刷のために表面上にインクを塗布するために使用される物体(たとえば、前述のようなあらゆる形態)を意味する。
光重合性組成物は、少なくともバインダー、モノマー、および光開始剤を含む。光重合性組成物のバインダーは、1種類のポリマー、または2種類以上のポリマーの混合物であってよい。バインダーは、一般に、露光前のモノマーおよび光開始剤のマトリックスとして機能し、露光前および露光後の両方のフォトポリマーの物理的性質に寄与する、あらかじめ形成されたポリマーである。バインダーとしては、共役ジオレフィン炭化水素の天然または合成のポリマー、たとえばポリイソプレン、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン、およびブタジエン/アクリロニトリルが挙げられる。ほとんどの実施形態においては、バインダーは、A−B−A型ブロックコポリマー(ここで、Aは、非エラストマーブロック、好ましくはビニルポリマー、最も好ましくはポリスチレンを表し、Bは、エラストマーブロック、好ましくはポリブタジエンまたはポリイソプレンを表す)のエラストマーブロックコポリマーである熱可塑性バインダーである。この種類の好適な熱可塑性エラストマーバインダーとしては、ポリ(スチレン/イソプレン/スチレン)ブロックコポリマー、およびポリ(スチレン/ブタジエン/スチレン)ブロックコポリマー(これらが好ましい)が挙げられる。非エラストマー対エラストマーの比は、好ましくは10:90〜35:65の範囲内である。バインダーは、2種類以上の熱可塑性エラストマーバインダーの混合物であってよい。バインダーが少なくとも2種類の異なるポリ(スチレン/イソプレン/スチレン)ブロックコポリマーである光重合性組成物の一例が、Dudekらによる米国特許第5,972,565号明細書に記載されている。ある実施形態においては、バインダーは1種類以上のポリ(スチレン/イソプレン/スチレン)ブロックコポリマーと1種類以上のポリ(スチレン/ブタジエン/スチレン)ブロックコポリマーとの組み合わせである。バインダーは、光重合性組成物の全重量を基準として約30〜約85重量%で存在する。ある実施形態においては、バインダーは、光重合性組成物の約45〜約70重量%で存在する。別の実施形態においては、バインダーは、光重合性組成物の約60〜約80重量%で存在する。
本発明において使用される場合、バインダーという用語は、米国特許第4,956,252号明細書および米国特許第5,707,773号明細書に開示されるものなどのコアシェルマイクロゲル、およびマイクロゲルとあらかじめ形成された高分子ポリマーとのブレンドを含んでいる。
使用可能な別の好適な感光性エラストマーとしては、ポリウレタンエラストマーが挙げられる。好適なポリウレタンエラストマーの一例は、(i)有機ジイソシアネートと、(ii)1分子当たりに、イソシアネート基と重合可能な少なくとも2つの遊離水素基を有し、少なくとも1つのエチレン系不飽和付加重合性基を有する少なくとも1種類の鎖延長剤と、(iii)500の最小分子量を有し、イソシアネート基と重合可能な少なくとも2つの遊離水素含有基を有する有機ポリオールとの反応生成物である。これらの材料の一部のより徹底的な説明としては、米国特許第5,015,556号明細書が参照される。
光重合性組成物は、透明で濁っていない感光層が製造される程度までバインダーと相溶性である、付加重合可能な少なくとも1種類の化合物を含有する。この付加重合可能な少なくとも1種類の化合物は、モノマーと呼ばれる場合もあり、1種類のモノマーまたは複数のモノマーの混合物であってよい。光重合性組成物中に使用可能なモノマーは、当技術分野において周知であり、そのようなモノマーとしては、少なくとも1つの末端エチレン系基を有する付加重合エチレン系不飽和化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。モノマーは、光重合性組成物にエラストマー性を付与するために当業者によって適切に選択することができる。一般に、モノマーは約30,000未満の分子量を有する。ほとんどの実施形態においては、モノマーは約5000未満の比較的低分子量を有する。少なくとも1種類のモノマーは特に限定されないが、特に、アルコールおよびポリオールのアクリレートモノエステル;アルコールおよびポリオールのアクリレートポリエステル;アルコールおよびポリオールのメタクリレートモノエステル;アルコールおよびポリオールのメタクリレートポリエステル;ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。アルコールおよびポリオールとしては、とえば、アルカノール類、アルキレングリコール類、トリメチロールプロパン、エトキシル化トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ポリアクリロールオリゴマーなどが挙げられる。ポリアクリロールオリゴマーが使用される場合、ある実施形態においては、そのオリゴマーは1000を超える分子量を有する。一官能性および多官能性のアクリレートまたはメタクリレートの混合物を使用することができる。使用に適したモノマーとしては、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、およびトリメチロールプロパントリアクリレートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。アクリル化オリゴマーおよびメタクリル化オリゴマーも好適である。さらに、モノマーとしては、イソシアネート、エステル、エポキシドなどのアクリレートおよびメタクリレート誘導体も挙げることができる。ウレタン−アクリレートおよびポリエステル−アクリレートのオリゴマーもモノマーとしての使用に適している。エラストマー性モノマーも使用に好適であり、それらの例としては、アクリル化液体ポリイソプレン、アクリル化液体ブタジエン、高ビニル含有量の液体ポリイソプレン、および高ビニル含有量の液体ポリブタジエン(すなわち、1−2ビニル基の含有量が20重量%を超える)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。モノマーのさらなる例は、米国特許第4,323,636号明細書、米国特許第4,753,865号明細書、米国特許第4,726,877号明細書、および米国特許第4,894,315号明細書に見ることができる。付加重合可能な化合物(モノマー)は、光重合性組成物の全重量を基準として約5〜25重量%で存在する。ほとんどの実施形態においては、モノマーは光重合性組成物の約5〜15重量%で存在する。別の実施形態においては、モノマーは光重合性組成物の約10〜20重量%で存在する。
光開始剤は、化学線に対して感受性であり、フリーラジカルを発生して、1種類以上のモノマーの重合を開始させるが、過度の停止反応は起こらない、あらゆる1種類の化合物または複数の化合物の組み合わせであってよい。任意の周知の種類の光開始剤、特にフリーラジカル光開始剤、たとえば、キノン類、ベンゾフェノン類、ベンゾインエーテル類、アリールケトン類、過酸化物類、ビイミダゾール類、ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシルアルキルフェニルアセトホン(acetophone)、ジアルコキシアセトフェノン、トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド誘導体、アミノケトン類、ベンゾイルシクロヘキサノール、メチルチオフェニルモルホリノケトン類、モルホリノフェニルアミノケトン類、αハロゲノアセトフェノン類(halogennoacetophenones)、オキシスルホニルケトン類、スルホニルケトン類、オキシスルホニルケトン類、スルホニルケトン類、ベンゾイルオキシムエステル類、チオキサントロン類(thioxanthrones)、カンファーキノン類、ケトクマリン類、ミヒラーケトンを使用することができる。あるいは、光開始剤は、複数の化合物の混合物であってよく、その中の1つが、放射線によって活性化される増感剤が作用する場合に、フリーラジカルを発生する。ほとんどの実施形態においては、開始剤は可視光または紫外線に対して感受性である。光開始剤は、光重合性組成物の重量を基準として一般に0.001%〜10.0%の量で存在する。
場合により、光重合性層は、スペクトル増感剤を含有することができる。一般に、スペクトル増感剤は、反応開始成分、すなわち光開始剤とは異なる波長の放射線を吸収する材料であり、吸収したエネルギーを光開始剤に伝達することができる。したがって、活性化放射線の波長を調節することができる。
光重合性層は、希望する最終特性により他の添加剤を含有することができる。光重合性層への追加の添加剤としては、増感剤、可塑剤、レオロジー改質剤、熱重合阻害剤、着色剤、加工助剤、酸化防止剤、およびオゾン劣化防止剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。加工助剤は、エラストマーブロックコポリマーと相溶性である低分子量ポリマーなどであってよく、たとえば低分子量α−メチルスチレンポリマーまたはコポリマーであってよい。オゾン劣化防止剤としては、炭化水素ワックス、ノルボルネン類、および植物油が挙げられる。好適な酸化防止剤としては、アルキル化フェノール類、アルキル化ビスフェノール類、重合トリメチルジヒドロキノン、およびジラウリルチオプロピノエート(dilauryl thiopropinoate)が挙げられる。
エラストマーのフィルム形成特性を調節するために可塑剤が使用される。好適な可塑剤の例としては、脂肪族炭化水素油、たとえば、ナフテン系油およびパラフィン系油;液体ポリジエン類、たとえば、液体ポリブタジエン;ならびに液体ポリイソプレンが挙げられる。一般に、可塑剤は、約5000未満の分子量を有する液体であるが、最大約30,000の分子量を有することができる。ある実施形態においては、液体可塑剤は3000未満の分子量を有し、別の実施形態においては1500未満の分子量を有する。低分子量を有する可塑剤は、約30,000未満の分子量を含む。
水性、半水性、または有機溶剤の現像液に対して可溶性、膨潤性、または分散性である光重合性組成物から形成(いわゆる湿式現像)されるフレキソ印刷プレートは、加熱によって未硬化の光重合性組成物が液化することでもレリーフ表面を形成できる程度で、熱現像にも好適となりうる。溶剤現像に好適な組成物の例は、たとえば、米国特許第4,323,637号明細書、米国特許第4,427,749号明細書、および米国特許第4,894,315号明細書に開示されている。
光重合性層の厚さは、希望する最終用途の印刷に応じて広範囲にわたって変動することができ、たとえば、約0.010インチ〜約0.250インチ以上(約0.025cm〜約0.64cm以上)であってよい。いわゆる「薄板」の場合、典型的には光重合性層の厚さは約0.010インチ〜約0.067インチ(約0.025cm〜約0.17cm)の範囲であってよい。
光重合性組成物の層は、フレキソ凸版印刷に好適なバルク特性を印刷版に本質的に付与するエラストマー層であるが、本発明の目的では、これは光重合性層、光重合性組成物層、または「バルク光重合性層」と呼ばれる。
印刷版原版は、光重合性層上にエラストマー組成物の層を含む。このエラストマー組成物は、光重合性組成物用の化学線に対して感受性であってよいし、感受性となることもできる。エラストマー層は、本明細書においてエラストマー性キャッピング層またはキャッピング層とも呼ばれる。エラストマー性キャッピング層は、露光状態の光重合性層の弾性率よりも実質的に低くない弾性率を重合状態で有するべきである。像様露光後に、エラストマー性キャッピング層の未露光部分が処理によって除去可能であり、エラストマー性キャッピング層の露光部分が、下にあるバルク光重合性層の光重合部分の上に残存するという点で、エラストマー性キャッピング層は感光層と類似している。本明細書に記載の粒子状物質を光重合性組成物中に含めることが可能なことが考慮されるが、インク転写、したがってベタインク濃度の改善は、粒子状物質がエラストマー性キャッピング層中に含まれる凸版印刷版においてより効果的に実現できると考えられる。粒子状物質は、バルク光重合性層よりも実質的に薄い厚さを有するエラストマー性キャッピング層中により容易に分散させることができ、したがって印刷表面であるエラストマー層の外面により好都合な影響を与えることができる。さらに、エラストマー性キャッピング層は相対的に薄いため、インク転写で同じまたは実質的に同じ効果の改善を得るためにエラストマー組成物中に必要な粒子状物質の量は、バルク光重合性層中の量よりも少なくなる。
エラストマー層の組成物は、少なくともエラストマーポリマーバインダーおよび粒子状物質を含む。場合により、エラストマーキャップ層の組成物は、第2のポリマーバインダー、1種類以上のモノマー、非移行性染料または顔料、および/または光開始剤または光開始系の1つ以上を含むことができる。モノマーまたは光開始剤などの1種類以上の感光性成分と、バインダーおよび粒子状物質とを含むエラストマー組成物は、光重合性組成物に使用される化学線に対してエラストマー組成物が感受性である実施形態の代表例である。モノマーまたは光開始剤などの感光性成分を含まず、バインダーおよび粒子状物質を含むエラストマー組成物は、最も典型的には原版が形成されるときに、下にある光重合性層と接触することによってエラストマー組成物化学線に対して感受性になる実施形態の代表例である。
光重合性組成物に好適な前述のバインダーは、エラストマー組成物層のエラストマーバインダーとしても好適である。ほとんどの実施形態においては、エラストマー組成物中のエラストマーポリマーバインダーは、光重合性層中に存在するバインダーと同じまたは類似している。ほとんどの実施形態においては、エラストマー組成物のエラストマーバインダーは、共役ジオレフィン炭化水素の天然または合成のポリマー、およびA−B−A型ブロックコポリマー(ここで、Aは非エラストマーブロック、好ましくはビニルポリマー、最も好ましくはポリスチレンを表し、Bは、エラストマーブロック、好ましくはポリブタジエンまたはポリイソプレンを表す)のエラストマーブロックコポリマーである熱可塑性バインダーを含む。前述のような光重合性組成物のモノマー、光開始剤は、エラストマー層のモノマーおよび光開始剤としても好適である。ほとんどの実施形態においては、エラストマー性キャッピング層の組成物(存在する粒子状物質以外)は、光重合性層中の成分の部分集合であり、すなわち、エラストマー性キャッピング層および光重合性層は同じバインダーを含有する。別の実施形態においては、エラストマー性キャッピング層の組成物は、隣接する光重合性層の組成物と実質的に同じ場合も異なる場合もある。エラストマー性キャッピング層は、隣接する光重合性層とともに一体構造を一般に形成する固体である。ある実施形態においては、エラストマー性キャッピング層の厚さは約0.0005インチ〜約0.020インチである。別のある実施形態においては、エラストマー性キャッピング層の厚さは約0.001インチ〜約0.010インチ(0.025〜0.25mm)である。さらに別の実施形態においては、エラストマー性キャッピング層の厚さは約0.001インチ〜約0.005インチである。さらに別の実施形態においては、エラストマー性キャッピング層の厚さは約0.004インチ〜約0.015インチである。
エラストマー組成物は、以下の重量部で成分を含有する:
エラストマーバインダー:60〜95部
粒子状物質:5〜40部
第2のバインダー:0〜40部
染料:0〜5部
モノマー(任意選択):0〜20部
光開始剤(任意選択):0〜10部
エラストマーポリマーバインダーに加えて、エラストマー性キャッピング層は、ポリアミド粒子、ポリメチルメタクリレート粒子、長石粒子、霞石閃長岩粒子、またはガラス粒子から選択される粒子状物質を含む。ある実施形態においては、エラストマー性キャッピング層は、エラストマーバインダーおよびポリアミド粒子を含む。別のある実施形態においては、エラストマー性キャッピング層は、エラストマーバインダーおよびポリメチルメタクリレート粒子を含む。別のある実施形態においては、エラストマー性キャッピング層は、エラストマーバインダーおよび長石粒子を含む。さらに別の実施形態においては、エラストマー性キャッピング層は、エラストマーバインダーおよび霞石閃長岩粒を含む。さらに別の実施形態においては、エラストマー性キャッピング層は、エラストマーバインダーおよびガラス粒子を含む。
長石は、ケイ酸ナトリウムアルミニウム、ケイ酸カリウムアルミニウム、ケイ酸カルシウムアルミニウム、およびケイ酸バリウムアルミニウムの群の一般名である。
霞石閃長岩は、無水アルミノケイ酸ナトリウムカリウムである。一実施形態においては、霞石閃長岩は、遊離シリカを含有しない無水アルミノケイ酸ナトリウムカリウムである。発がん物質である遊離シリカが存在しないため、霞石閃長岩は特に好都合な粒子状物質である。ある実施形態においては、長石および霞石閃長岩などの粒子状物質は粉砕方法によって製造される。
屈折率および粒度の制限に適合できるのであれば、ガラス粒子状物質の種類は特に限定されない。ほとんどの実施形態においては、ガラス粒子状物質は、炭酸ナトリウム、石灰、ドロマイト、シリカ、および酸化アルミニウムの混合物で構成されるソーダ石灰ガラスである。
ポリメチルメタクリレート(PMMA)は、メチルメタクリレートモノマーの富化重合によって製造される。重合プロセスを制御することによって、懸濁重合または乳化重合などの技術を使用して、厳密に寸法が制御された慎重な(discreet)粒子を形成することが可能である。これらの技術の詳細は、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,2nd Edition(ISBN 0−471−80944−6,Vol.12,p511)に見ることができる。少量の多官能性コモノマーを加えて架橋PMMA粒子を製造することも可能である。
ポリアミドは、複数のアミド結合で構成されるポリマーである。アミド結合は、アミノ基とカルボン酸または酸塩化物基との縮合反応によって生成される。この種類の一般的な材料としては、ナイロンおよびアラミドが挙げられる。これらの材料の粒度は、PMMAに関して前述した方法と同じ方法で制御することができる。ある実施形態においては、ポリアミドおよびポリメチルメタクリレートなどの重合反応によって調製される粒子状物質では、平均付近で直径粒度の狭い分布を有する粒子状物質が好都合に得られる。
粒子状物質は、エラストマー組成物中に分散され、粒子または粉末の層を形成するために印刷版原版の外面に単に塗布されるのではない。粒子の大きさが維持されるように条件が誘導されるのであれば、粒子状物質は、エラストマー層および原版の製造に好適なあらゆる手段によってエラストマー組成物中に分散させることができる。ある実施形態においては、エラストマーを溶剤中に溶解させ、粒子状物質を低剪断混合または高剪断混合のいずれかによって分散させる。別の実施形態においては、エラストマーを溶融させ、配合機または押出機を用いて混合することによって、溶剤を使用せずに粒子状物質を分散させることも可能である。本発明に記載の範囲内の粒度範囲が維持されるようにこれらの技術を制御することが重要である。たとえば、粒子状物質が高すぎる剪断混合または高すぎる温度にさらされると、粒子状物質の平均直径が変化することがある。
粒子状物質は、エラストマー組成物の全重量を基準とした重量パーセントとして以下の値:5、10、11、12、13、14、15、18、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、32、35、37、および40のいずれか2つの間および場合によりそれら2つの値を含めた量でエラストマー組成物中に存在する。粒子状物質は、エラストマー組成物の全重量を基準として約10〜約40重量%で存在する。ある実施形態においては、粒子状物質は、エラストマー組成物の約20〜約35重量%で存在する。さらに別の実施形態においては、粒子状物質は、エラストマー組成物の約15〜約30重量%で存在する。ほとんどの実施形態においては、エラストマーバインダーは、エラストマー組成物の粒子状物質よりも高い比率で存在する。ある実施形態においては、エラストマーバインダーはエラストマー組成物の約60〜80重量%であり、粒子状物質はエラストマー組成物の40〜20重量%である。別の実施形態においては、エラストマーバインダーはエラストマー組成物の約70〜約95重量%であり、粒子状物質はエラストマー組成物の30〜5重量%である。さらに別の実施形態においては、エラストマーバインダーはエラストマー組成物の約65〜85重量%であり、粒子状物質はエラストマー組成物の15〜35重量%である。
粒子状物質は、平均直径1〜10ミクロンの粒子で構成される。粒子状物質の平均直径は、以下の値:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10ミクロンのいずれか2つの間および場合によりそれら2つの値を含めた値である。デジタルワークフローによって作製される印刷版は30ミクロン未満、さらには15ミクロンの小ささの特徴を有することができるので、粒子は平均直径1〜10ミクロンを有する必要がある。10ミクロンを超える直径の粒子を有する粒子状物質では、露光中に光散乱が生じることがあり、および/またはハイライトドットの微細要素の欠損または破壊が生じることもある。印刷版上に得られるレリーフの最小特徴よりも粒子が小さいので、十分なバインダーが微細特徴内に維持されて、粒子がその場に保持される。1ミクロン未満の直径の粒子を有する粒子状物質は、印刷版原版に別または異なる利点(たとえば補強)が得られるかもしれないが、印刷版によるインク転写の顕著な改善は期待されない。すなわち、1ミクロン未満の平均粒度の粒子状物質を有する印刷版によって、印刷された基材上でのベタインク均一性および/または濃度の増加が起こりうるとは期待されない。粒度測定の好適な方法の1つはレーザーに基づく光散乱分析による方法であるが、他の方法も許容できる。
ほとんどの実施形態においては、粒子状物質は、1〜10ミクロンの粒子の平均直径を有し、10ミクロンを超える直径を有する粒子状物質集団は存在せず、または実質的に存在せず(すなわち5%未満)、5%未満の粒子状物質集団が1ミクロン未満の直径を有する。別の実施形態においては、粒子状物質は、1〜10ミクロンの粒子の平均直径を有し、10ミクロンを超える直径を有する粒子状物質集団は存在せず、または実質的に存在せず(すなわち2%未満)、2%未満の粒子状物質集団が1ミクロン未満の直径を有する。さらに別の実施形態においては、粒子状物質は、1〜10ミクロンの粒子の平均直径を有し、10ミクロンを超える直径を有する粒子状物質集団は存在せず、または実質的に存在せず(すなわち0.5%未満)、2%未満の粒子状物質集団が1ミクロン未満の直径を有する。ある実施形態においては、粒子状物質は、特に従来のデジタルワークフローを使用する方法による印刷版のレリーフ表面上に形成することができる最も微細な隆起構造よりも小さい平均直径粒度を有する。粒子状物質は、ある実施形態においては2〜9ミクロン、ある実施形態においては4〜6ミクロン、別のある実施形態においては5〜8ミクロン、別の実施形態においては6〜9ミクロン、別の実施形態においては2〜8ミクロンの粒子平均直径を有する。
ある実施形態においては、粒子状物質は狭い粒度分布を有し、粒子の直径の少なくとも99.7%が1〜10ミクロンの範囲内の平均粒度の3標準偏差内にある。
別の実施形態においては、粒子状物質は、10ミクロンを超える直径を有する粒子が存在しない、または実質的に存在しない(すなわち0.5〜2%未満)ように調製または処理されている。
粒子状物質は、エラストマー組成物の屈折率と0.04単位未満だけ異なる屈折率を有する粒子で構成される。粒子状物質の屈折率は、エラストマー組成物の屈折率の±0.04である。ある実施形態においては、粒子状物質の屈折率は、エラストマー組成物の屈折率の±0.03である。さらに別の実施形態においては、粒子状物質の屈折率は、エラストマー組成物の屈折率の±0.02である。
エラストマー組成物の屈折率から0.04単位の範囲内の屈折率の粒子状物質を有する印刷版原版は、露光中の内部反射およびさらなる光散乱が回避される、または最小限となる。ある実施形態においては、バルク光重合性層の屈折率が少なくともエラストマーバインダーおよび粒子状物質で構成されるエラストマー層の屈折率から0.04単位以内であることが期待される。
エラストマー組成物の屈折率は、粒子状物質を除いた存在するすべての成分に基づいて求められる。ある実施形態においては、エラストマー組成物は、多層カバー要素中の層を形成するために溶剤溶液としてコーティングされるので、屈折率は、層が形成された後に存在する溶剤(および粒子状物質)を除いて測定される。ほとんどの実施形態においては、エラストマー組成物は、エラストマーバインダーおよび粒子状物質で構成され、そのため粒子状物質の屈折率は、エラストマーバインダーの屈折率の±0.04の範囲内で一致する。エラストマーバインダーがA−B−Aブロックコポリマーの場合のある実施形態においては、屈折率は約1.52〜約1.54である。エラストマー組成物がエラストマーバインダーのみを含むほとんどの実施形態においては、エラストマー性A−B−Aブロックコポリマーの屈折率は1.52〜1.54であり、粒子状物質の屈折率は1.48〜1.58である。エラストマー組成物がエラストマーバインダーのみを含むある実施形態においては、エラストマーA−B−Aブロックコポリマーの屈折率は1.52〜1.54であり、粒子状物質の屈折率は1.49〜1.57である。別の実施形態においては、粒子状物質の屈折率は、エラストマー組成物の屈折率と一致する、または実質的に一致する。別のある実施形態においては、粒子状物質の屈折率は、エラストマー組成物中の主成分または唯一の成分であるエラストマーバインダーの屈折率と一致する、または実質的に一致する。エラストマー組成物が、1種類以上の追加の任意選択成分、たとえばモノマーまたは染料を、バインダーおよび粒子状物質とともに含む別の実施形態においては、エラストマーバインダーはエラストマー組成物の最大比率で存在し、したがってエラストマー組成物の屈折率に対する影響が最大となるので、エラストマー組成物の屈折率は、(エラストマーバインダーおよび粒子状物質のみを有するエラストマー組成物の屈折率とは)異なる場合があるが、顕著に異なるわけではないと予想される。
屈折率は、材料の光学的性質の1つである。材料の屈折率(RI)は、真空中の光速と材料中の光速との比によって定義される。エラストマーバインダーの屈折率は、屈折計を用いて測定される。好適な屈折計の1つは、Metricon2010プリズム結合器(MetriconCorp.,Pennington,NJ)であり、633ナノメートルの波長で測定される。本発明において使用される粒子の屈折率は、製造元より提供されたものである。粒子の屈折率の好適な測定方法の例は、ASTM Test Method E1967−11aである。この方法では、種々の温度における屈折率が既知である油中に粒子を分散させる。油を加熱しながら、位相差顕微鏡で分散液を観察する。次に位相差が最小となる温度を記録する。次に、この温度を使用して油の屈折率を求められ、その屈折率は粒子の屈折率に等しい。
バインダーと粒子状物質との間の屈折率差が大きくなるほど、光散乱が大きくなる。このため、ハーフトーンドットのショルダー角度が増加することがあり、その結果さらなるドットゲインが生じる。この徴候は、以下に示すフレネルの式から見ることができる。
Figure 0006495816
式中、Rは%反射率であり、nはエラストマー組成物の屈折率であり、nは粒子状物質の屈折率である。%反射率が大きいほど、生じる光散乱が大きくなる。
粒子状物質としての使用に好適な材料としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0006495816
本発明における粒子状物質に適していない一般的なフィラーとしては、屈折率が1.46であるシリカ、および屈折率が1.65および1.48である炭酸カルシウムが挙げられる。炭酸カルシウムは、非対称の結晶構造のために2つの屈折率を有する。
エラストマー性キャッピング層は、化学線に対して感受性である、または感受性となるため、化学線に像様露光すると、エラストマー性キャッピング層は、下にあるバルク光重合性層とほぼ同じように機能する。像様露光後、エラストマー層は、重合または架橋が起こった露光部分と、未重合のまま、すなわち未架橋のままである未露光部分とを有する。レリーフ表面を形成するために、印刷版原版を処理することで、エラストマー性キャッピング層の未重合部分が光重合性層の未重合部分とともに除去される。未重合部分を除去する処理の後、化学線に露光したエラストマー性キャッピング層は、光重合性層の重合領域の上に残存し、印刷プレートの実際の印刷面となる。
印刷版原版は、光重合性層a)とは反対側のエラストマー層b)の上に存在する、隣接する、または上方に配置された化学線不透明層を含む。化学線不透明層は、エラストマー層b)上にin−situマスクを形成することができる。化学線不透明層は、光重合性層およびエラストマー層の感受性に対応する化学線に対して実質的に不透明である。in−situマスクは、印刷版原版と一体または実質的に一体である透明領域および化学線不透明領域を含む。ほとんどの実施形態においては、in−situマスクの画像およびグラフィック情報を形成するためにレーザー放射線を使用するデジタル方法によって、マスクが形成される。放射線不透明層に像様露光して感光性要素上にin−situマスクを形成できるのであれば、化学線不透明層を構成する材料、および化学線不透明層を含む構造は特に限定されない。
ほとんどの実施形態においては、化学線不透明層は、赤外レーザー放射線に対しても感受性であり、したがって赤外線感受性層として区別することができる。化学線不透明層は、エラストマー性キャッピング層の上または隣接して存在することができるし、感光性原版とともに集合体を形成する一時的な支持体の上に存在することもできる。化学線不透明層および赤外線感受性層は、デジタルワークフローの技術分野において周知である。化学線不透明層は、赤外レーザー放射線に像様露光することによって、光重合性組成物とは反対側のエラストマー層からアブレーションする(すなわち、蒸発させる、または除去する)ことができる。あるいは、印刷版原版が、赤外線感受性層を有する一時的な支持体とともに集合体を形成する場合、赤外レーザー放射線に像様露光することによって、化学線不透明層を一時的な支持体からエラストマー層の外面(可撓性基材とは反対側)に転写することができる。赤外線感受性層は単独で使用することができるし、他の層、たとえば放出層、加熱層などとともに使用することもできる。
化学線不透明層は、一般に、赤外線吸収材料、放射線不透明材料、および任意選択のバインダーを含む。カーボンブラックおよび黒鉛などの暗色の無機顔料は、赤外線感受性材料および放射線不透明材料の両方の機能を果たす。化学線不透明層を形成する組成物の任意選択のバインダーとして好適な材料としては、ポリアミド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸酪酸セルロース、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマー、酢酸ビニルとビニルアルコールとのコポリマー、酢酸ビニルとピロリドンとのコポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンワックス、ポリアセタール、ポリブチラール、ポリアルキレン、ポリカーボネート、環式ゴム、スチレンと無水マレイン酸とのコポリマー、スチレンとアルコールで部分エステル化した無水マレイン酸とのコポリマー、ポリエステルエラストマー、およびそれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
化学線不透明層の厚さは、化学線に対する感受性および不透明性の両方を最適化する範囲内となるべきである(たとえば、≧2.5の光学濃度を有する)。このような赤外線感受性の光アブレーション性または光転写性の層は、デジタルダイレクト刷版(direct−to−plate)画像技術に使用することができ、これによると、レーザー放射線による露光で赤外線感受性層が除去または転写されて、in−situマスクが感光性要素上に形成される。好適な赤外線感受性組成物、要素、およびそれらの製造は、米国特許第5,262,275号明細書、米国特許第5,719,009号明細書、米国特許第5,607,814号明細書、米国特許第5,506,086号明細書、米国特許第5,766,819号明細書、米国特許第5,840,463号明細書、米国特許第5,925,500号明細書、米国特許第6,606,410号明細書、米国特許第6,238,837号明細書、米国特許第6,558,876号明細書、および米国特許第6,773,859号明細書に開示されている。化学線不透明材料のin−situマスクは処理中に除去可能である。
ほとんどの実施形態においては、化学線不透明層は、原版と一体となっており、原版の外面、すなわち、光重合性層と接触している側とは反対のエラストマー層の表面を実質的に覆う。化学線不透明材料を原版からアブレーションする、または蒸発させるレーザー放射線による像様露光の後、原版から除去されなかった放射線不透明層の部分のみが、原版上に残存してin−situマスクを形成する。別の実施形態においては、原版は、最初は化学線不透明層を含まず、放射線不透明層が原版の外面に隣接するように、放射線不透明層を有する独立した要素が原版とともに集合体を形成する。集合体は、赤外レーザー放射線に像様露光されて、化学線不透明層が選択的に転写されるか、化学線不透明層の接着バランスが選択的に変化することで、エラストマー層の上にある、または上方に配置された画像を形成する。独立した要素を感光性要素から引きはがすまたは剥離することで、in−situマスクを露出させることができる。この化学線不透明層に好適な材料および構造は、Fanらによる米国特許第5,607,814号明細書;ならびにBlanchettによる米国特許第5,766,819号明細書、米国特許第5,840,463号明細書、および欧州特許出願公開第0 891 877A号明細書に開示されている。像様転写プロセスの結果として、放射線不透明層の転写された部分のみが、原版上に存在してin−situマスクを形成する。
さらに別の実施形態においては、インクジェットインクの形態で放射線不透明材料を像様塗布することで、デジタルマスク形成を実施可能なことも考慮される。インクジェットインクの像様塗布は、エラストマー層の直接上に行うことができるし、上方に配置することもできる。インクジェットインクは層を形成しないが、インクジェットインクは、in−situマスクを形成可能な化学線不透明材料であってよい。
本発明の感光性要素は、感光性要素の最上層の上面上に一時的なカバーシートをさらに含むことができる。カバーシートの目的の1つは、保管および取り扱いの間に感光性要素の最上層を保護することである。最終用途に応じて、カバーシートは画像形成の前に除去する場合も除去しない場合もあるが、現像前には除去される。カバーシートに好適な材料は当技術分野において周知である。
支持体は、フレキソ印刷プレートの作製に使用される感光性要素とともに従来使用されるあらゆる可撓性材料であってよい。支持体を通した「バックフラッシュ」露光に対応するため、好ましくは支持体は化学線に対して透明である。好適な支持体材料の例としては、付加ポリマーおよび線状縮合ポリマーによって形成されるものなどのポリマーフィルム、透明フォーム、および布が挙げられる。ある最終使用条件下では、金属支持体は放射線に対して透明ではないが、アルミニウムなどの金属を支持体として使用することもできる。好ましい支持体の1つは、ポリエステルフィルムであり、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。支持体は、シートの形状、またはスリーブなどの円筒形であってよい。スリーブは、可撓性材料の単層または多層から形成することができる。ポリマーフィルムからできた可撓性スリーブが好ましいが、その理由は、通常は紫外線に対して透明であり、そのため円筒形印刷要素のフロアを形成するためのバックフラッシュ露光に対応しているからである。多層スリーブは、可撓性材料の層の間に接着層またはテープを含むことができる。好適な多層スリーブの一例が米国特許第5,301,610号明細書に開示されている。スリーブは、ニッケルまたは繊維強化エポキシなどの不透明の化学線遮断材料でできていてもよい。ほとんどの実施形態においては、支持体は0.002〜0.080インチ(0.0051〜0.203cm)またはそれを超える厚さを有する。ほとんどの実施形態においては、シート形態の厚さは、0.003〜0.016インチ(0.0076〜0.040cm)である。スリーブは、通常、0.008〜0.080インチ(0.02〜0.203cm)またはそれを超える肉厚を有する。ほとんどの実施形態においては、スリーブの肉厚は10〜40ミル(0.025〜0.10cm)である。ある実施形態においては、スリーブの肉厚は0.005〜0.035インチ(0.125〜0.875mm)である。スリーブの肉厚は、種々の直径のスリーブに対応させるために調節することができる。
場合により、本発明の要素は支持体と光重合性層との間に接着層を含むか、光重合性層に隣接する支持体表面が接着促進表面を有する。支持体表面上の接着層は、支持体と光重合性層との間に強い接着性を得るために、接着材料またはプライマーの下塗り層、または米国特許第2,760,863号明細書に開示されるようなアンカー層であってよい。米国特許第3,036,913号明細書に開示される接着剤組成物も有効である。あるいは、光重合性層が上に存在する支持体表面は、支持体と光重合性層との間の接着を促進するために、火炎処理または電子処理、たとえばコロナ処理によって処理することができる。さらに支持体への光重合性層の接着は、Feinbergらの米国特許第5,292,617号明細書によって開示されるように、支持体を通して要素を化学線に露光することによって調節することができる。
ほとんどの実施形態においては、感光性印刷原版は、支持体と、支持体上の光重合性組成物の層と、支持体とは反対側の光重合性層の上のエラストマー組成物の層と、光重合性層とは反対側のエラストマー層の上、またはそれに隣接してin−situマスクを形成可能な化学線不透明材料の層とを含み、エラストマー層は、少なくともエラストマーバインダーと、1〜10ミクロンの平均直径を有しエラストマー組成物(粒子状物質を有さない)の屈折率から0.04の範囲内である屈折率を有する、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、長石、霞石閃長岩、またはガラスの粒子から選択される粒子状物質とを含む。
別の実施形態においては、感光性印刷原版は、光重合性組成物の層と、光重合性層上のエラストマー組成物の層と、光重合性層とは反対側のエラストマー層の上にin−situマスクを形成可能な化学線不透明材料の層とを含み、エラストマー層は、少なくともエラストマーバインダーと、1〜10ミクロンの平均直径を有しエラストマー組成物(粒子状物質を有さない)の屈折率から0.04の範囲内である屈折率を有する、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、長石、霞石閃長岩、またはガラスの粒子から選択される粒子状物質とを含む。
別の実施形態においては、感光性印刷原版は、支持体と、支持体上の光重合性組成物の層と、支持体とは反対側の光重合性層の上のエラストマー組成物の層と、光重合性層とは反対側のエラストマー層の上、またはそれに隣接する化学線不透明材料のin−situマスクとを含み、エラストマー層は、少なくともエラストマーバインダーと、1〜10ミクロンの平均直径を有しエラストマー組成物(粒子状物質を有さない)の屈折率から0.04の範囲内である屈折率を有する、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、長石、霞石閃長岩、またはガラスの粒子から選択される粒子状物質とを含む。
別の実施形態においては、感光性印刷原版は、A−B−Aエラストマーブロックコポリマー、少なくとも1種類のモノマー、および光開始剤を含む光重合性組成物の層と;光重合性組成物中のブロックコポリマーと同じ場合も異なる場合もあるA−B−Aエラストマーブロックコポリマー、および粒子状物質を含む、光重合性層上のエラストマー組成物の層と;光重合性層とは反対側のエラストマー層の上にin−situマスクを形成可能な化学線不透明材料の層とを含み、粒子状物質は、1〜10ミクロンの平均直径を有しエラストマー組成物(粒子状物質を有さない)の屈折率から0.04の範囲内である屈折率を有する、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、長石、霞石閃長岩、またはガラスの粒子から選択される。
さらに別の実施形態においては、感光性印刷原版は、光重合性組成物の層と、光重合性層上のエラストマー組成物の層と、光重合性層とは反対側のエラストマー層の上にin−situマスクを形成可能な化学線不透明材料の層とを含み、エラストマー層は、少なくともエラストマーバインダーと、1〜10ミクロンの平均直径を有しエラストマー組成物(粒子状物質を有さない)の屈折率から0.04の範囲内である屈折率を有する、ポリアミドまたはポリメチルメタクリレートの粒子から選択される粒子状物質とを含む。
さらに別の実施形態においては、感光性印刷原版は、光重合性組成物の層と、光重合性層上のエラストマー組成物の層と、光重合性層とは反対側のエラストマー層の上にin−situマスクを形成可能な化学線不透明材料の層とを含み、エラストマー層は、少なくともエラストマーバインダーと、1〜10ミクロンの平均直径を有しエラストマー組成物(粒子状物質を有さない)の屈折率から0.04の範囲内である屈折率を有する、長石、霞石閃長岩、またはガラスの粒子から選択される粒子状物質とを含む。
さらに別の実施形態においては、感光性印刷原版は、光重合性組成物の層と、光重合性層上のエラストマー組成物の層と、光重合性層とは反対側のエラストマー層の上にin−situマスクを形成可能な化学線不透明材料の層とを含み、エラストマー層は、少なくともエラストマーバインダーと、1〜10ミクロンの平均直径を有しエラストマー組成物(粒子状物質を有さない)の屈折率から0.04の範囲内である屈折率を有するポリアミド粒子状物質とを含む。
さらに別の実施形態においては、感光性印刷原版は、光重合性組成物の層と、光重合性層上のエラストマー組成物の層と、光重合性層とは反対側のエラストマー層の上にin−situマスクを形成可能な化学線不透明材料の層とを含み、エラストマー層は、少なくともエラストマーバインダーと、1〜10ミクロンの平均直径を有しエラストマー組成物(粒子状物質を有さない)の屈折率から0.04の範囲内である屈折率を有するポリメチルメタクリレート粒子状物質とを含む。
さらに別の実施形態においては、感光性印刷原版は、光重合性組成物の層と、光重合性層上のエラストマー組成物の層と、光重合性層とは反対側のエラストマー層の上にin−situマスクを形成可能な化学線不透明材料の層とを含み、エラストマー層は、少なくともエラストマーバインダーと、1〜10ミクロンの平均直径を有しエラストマー組成物(粒子状物質を有さない)の屈折率から0.04の範囲内である屈折率を有する長石粒子状物質とを含む。
さらに別の実施形態においては、感光性印刷原版は、光重合性組成物の層と、光重合性層上のエラストマー組成物の層と、光重合性層とは反対側のエラストマー層の上にin−situマスクを形成可能な化学線不透明材料の層とを含み、エラストマー層は、少なくともエラストマーバインダーと、1〜10ミクロンの平均直径を有しエラストマー組成物(粒子状物質を有さない)の屈折率から0.04の範囲内である屈折率を有する霞石閃長岩粒子状物質とを含む。
さらに別の実施形態においては、感光性印刷原版は、光重合性組成物の層と、光重合性層上のエラストマー組成物の層と、光重合性層とは反対側のエラストマー層の上にin−situマスクを形成可能な化学線不透明材料の層とを含み、エラストマー層は、少なくともエラストマーバインダーと、1〜10ミクロンの平均直径を有しエラストマー組成物(粒子状物質を有さない)の屈折率から0.04の範囲内である屈折率を有するソーダ石灰ガラス粒子状物質とを含む。
感光性印刷版原版は、当技術分野において周知の種々の技術を使用して製造することができる。光重合性層自体は、バインダー、モノマー、開始剤、および他の成分を混合することによる多くの方法で製造することができる。ほとんどの実施形態においては、光重合性組成物から、ホットメルトが形成され、次に所望の厚さまでカレンダー加工される。組成物の溶融、混合、脱気、および濾過の機能を行うために押出機を使用することができる。均一な厚さを実現するために、押出ステップをカレンダー加工ステップと組み合わせることができ、高温混合物が支持体と一時的なカバーシートとの間でカレンダー加工される。一時的なカバーシートは、原版が形成されるときに光重合性層に転写される1つ以上の追加層を含むことができる。ある実施形態においては、一時的なカバーシートは少なくともエラストマー層を含む。ほとんどの実施形態においては、一時的なカバーシートは、エラストマー層と化学線不透明層とを含む多層カバーシートである。あるいは、一時的な支持体の上への材料の押出成形およびカレンダー加工を行い、次に所望の最終支持体に積層することができる。あるいは、光重合性材料を金型中の支持体と一時的なカバーシートとの間に配置することができる。次に、熱および/または圧力を加えることによって、材料の層を平坦または所望の形状にプレスする。Cushnerらにより米国特許第5,798,019号明細書に開示される方法および装置により、円筒形の継ぎ目のない光重合性要素を製造することができる。
ほとんどの実施形態においては、エラストマー性キャッピング層は、通常、多層カバー要素の一部として別個に製造され、これは光重合性層のカレンダー加工中に感光性印刷原版の一部となる。このような多層カバー要素、それらの製造、およびエラストマー性キャッピング層として好適な組成物は、Gruetzmacherらの米国特許第4,427,759号明細書および米国特許第4,460,675号明細書に開示されている。エラストマー性キャッピング層は、形成されたときに光活性成分をかならずしも含有しなくてよいが、光重合性層と接触すると最終的に層は感光性になる。ほとんどの実施形態において、エラストマーキャップ層とバルク光重合性層との間の接触は、多層カバー要素と支持体との間で光重合性組成物をカレンダー加工することによって印刷版原版が製造されるときに起こる。当業者であれば、エラストマー性キャッピング層を有する印刷版原版の他の製造方法を考慮することができる。
in−situマスクの形成に好適な化学線不透明材料の層は、光重合性層のカレンダー加工中に、原版を形成するためのエラストマー層を有する多層カバー要素中に含めることができる。米国特許第5,262,275号明細書、米国特許第5,719,009号明細書、米国特許第5,607,814号明細書、米国特許第5,506,086号明細書、米国特許第5,766,819号明細書、米国特許第5,840,463号明細書、米国特許第5,925,500号明細書、米国特許第6,606,410号明細書、米国特許第6,238,837号明細書、米国特許第6,558,876号明細書、および米国特許第6,773,859号明細書に開示されているように、原版上に化学線不透明層(in−situマスクを形成することができる)を含める別の方法も可能である。
米国特許の米国特許第5,262,275号明細書、米国特許第5,719,009号明細書、米国特許第5,607,814号明細書、米国特許第5,506,086号明細書、米国特許第5,766,819号明細書、米国特許第5,840,463号明細書、米国特許第6,238,837号明細書、米国特許第6,558,876号明細書、および米国特許第6,773,859号明細書に開示されているようなダイレクト刷版画像形成の場合、赤外レーザー露光エンジンを使用してレーザー放射線感受性層を用いて、画像を有するマスクがその場で形成される。像様レーザー露光は、750〜20,000nmの範囲内、好ましくは780〜2,000nmの範囲内で発光する様々な種類の赤外レーザーを使用して行うことができる。ダイオードレーザーを使用することができるが、1060nmで発光するNd:YAGレーザーが好ましい。
in−situマスクを有する感光性印刷版原版を化学線に像様露光する。像様露光後、感光性原版は、光重合性組成物層およびエラストマー層の露光領域中の硬化部分と、光重合性組成物層およびエラストマー層の未露光領域中の未硬化部分とを含む。像様露光は、画像を有するマスクを通して原版を化学線、すなわち紫外線に露光することによって行われる。画像を有するマスクは、化学線不透明材料のレーザー放射によって形成されるエラストマー層上またはエラストマー層に隣接するin−situマスクである。ほとんどの実施形態においては、化学線への像様露光は、大気酸素の存在下、すなわち約21%の酸素濃度において露光が行われる従来のデジタルワークフローである。
別の実施形態においては、化学線への像様露光は、不活性ガスを有し酸素の大気濃度未満の酸素濃度を有する環境中で露光が行われる修正デジタルワークフローである。ある実施形態においては、環境は190,000〜100ppmの酸素濃度を有する。ある実施形態においては、環境は190,000〜10,000ppmの酸素濃度を有する。別のある実施形態においては、環境は190,000〜50,000ppmの酸素濃度を有する。別のある実施形態においては、環境は190,000〜80,000ppmの酸素濃度を有する。不活性ガスは、感光性要素に対する反応速度が0または小さい(すなわち重合反応に対して不活性である)ガスであり、露光環境中の酸素を置換することができる。好適な不活性ガスとしては、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。一実施形態においては、不活性ガスは窒素である。露光すると、マスクの透過性または透明の領域は、付加重合または架橋が起こることができ、化学線不透明領域は未架橋のままとなる。露光は、露光した領域が支持体または背面露光した層(フロア)まで架橋するのに十分な時間行われる。像様露光時間は、通常、バックフラッシュ時間よりもはるかに長く、数分から数十分の範囲である。
化学線源は、紫外線および可視光の波長範囲を含む。個別の化学線源の適性は、感光性原版からの印刷版の製造に使用される開始剤および少なくとも1種類のモノマーの感光性によって左右される。最も一般的な感光性印刷版原版の好ましい感光性は、より良好な室内照明安定性が得られるので、スペクトルのUVおよび深可視光領域に存在する。放射線に露光する組成物層の部分は、化学的な架橋および硬化が起こる。未照射(未露光)の組成物層の部分は硬化せず、溶剤または水性ウォッシュアウト溶液で処理して除去することができるし、未硬化部分は硬化した照射部分よりも溶融温度または液化温度が低いので、熱で処理することによって除去することもできる。次に、像様露光した感光性要素は、光重合性層およびエラストマー層の未重合領域を除去する処理が行える状態であり、それによって画像のレリーフ画像領域が形成される。
支持体側からの全面背面露光、いわゆるバックフラッシュ露光は、支持体に隣接するフォトポリマー層を所定の厚さで重合させるために行うことができる。バックフラッシュ露光は、別の画像形成ステップ、像様露光の前、後、またはさらには最中でも行うことができる。フォトポリマー層のこの重合部分はフロアと呼ばれる。フロアは、光重合性層と支持体との間の接着性を改善し、ハイライトドット解像度に役立ち、プレートレリーフの深度をも確立する。フロアの厚さは、露光時間、露光源などとともに変動する。この露光は、拡散または一定方向で行うことができる。像様露光に好適なあらゆる放射線源を使用することができる。露光は一般に10秒〜30分である。
マスクを介した化学線、すなわちUV放射線への全面露光の後、感光性印刷原版を処理して、光重合性層およびエラストマー層中の未重合領域を除去し、それによってレリーフ画像を形成する。処理ステップでは、光重合性層の化学線に露光していない領域、すなわち、未露光領域または未硬化領域中の少なくとも光重合性層およびエラストマー層が除去される。デジタル方式で形成されたin−situマスクを有する感光性原版の場合、処理ステップで、(化学線に露光した)マスク画像(化学線に露光した)、ならびに下にある光重合性層およびエラストマー層の未露光領域も除去される。
感光性印刷原版の処理は、(1)光重合性層およびエラストマー層を好適な現像溶液と接触させて、未重合領域をウォッシュアウトする「湿式」現像と、(2)原版を現像温度まで加熱し、それによって光重合性層およびエラストマー層の未重合領域を溶融または軟化または流動させ、次に除去する「乾式」現像とを含む。乾式現像は熱現像と呼ばれる場合もある。湿式処理および環式処理の組み合わせを使用してレリーフを形成できることも考慮される。
湿式現像は、通常、室温付近で行われる。現像液は、有機溶剤、水溶液または半水性溶液、ならびに水であってよい。現像液の選択は、主として、除去すべき光重合性材料の化学的性質に依存する。好適な有機溶剤現像液としては、芳香族または脂肪族の炭化水素、ならびに脂肪族または芳香族のハロ炭化水素の溶剤、あるいはそのような溶剤と好適なアルコールとの混合物が挙げられる。別の有機溶剤現像液が、独国特許出願公開第38 28 551号明細書に開示されている。好適な半水性現像液は、通常、水および水混和性有機溶剤およびアルカリ性物質を含有する。好適な水性現像液は、通常、水およびアルカリ性物質を含有する。別の好適な水性現像液の組み合わせが米国特許第3,796,602号明細書に記載されている。
現像時間は変動してよいが、好ましくは約2〜約25分の範囲内である。現像液は、浸漬、吹き付け、刷毛塗り、またはローラー塗布などのあらゆる従来方法で塗布することができる。刷毛塗りの補助を使用して、要素の未重合部分を除去することができる。現像液および機械的刷毛塗り作用を使用する自動処理ユニット中でウォッシュアウトを行うことで、プレートの未硬化部分を除去し、露光した画像およびフロアを構成するレリーフを残すことができる。
溶液中の現像による処理の後、凸版印刷プレートは、一般に吸い取りまたは拭き取りによって乾燥させ、次に強制空気オーブンまたは赤外線オーブン中でより十分に乾燥させる。乾燥の時間および温度は変動してよいが、通常プレートは60℃で60〜120分間乾燥される。高温は、支持体が収縮することがあり、これによって位置合わせの問題が生じうるので、推奨されない。
原版の熱処理は、少なくとも1つの光重合性層およびエラストマーを有する感光性原版を、層の未硬化部分を液化、すなわち、軟化または溶融または流動させるのに十分な温度まで加熱し、未硬化部分を除去することを含む。感光性組成物層およびエラストマー層は、熱現像によって部分的に液化することができる。すなわち、熱現像中、未硬化の組成物は、適度な処理または現像温度で軟化または溶融する必要がある。感光性原版が1つ以上の追加層を含む場合、1つ以上の追加層も、光重合性層およびエラストマー層の許容される現像温度の範囲で除去可能となることが好ましい。光重合性層およびエラストマー層の重合領域(硬化部分)は、未重合領域(未硬化部分)よりも高い溶融温度を有するため、熱現像温度では溶融、軟化、および流動は起こらない。米国特許出願公開第2004/0048199A1号明細書に記載されるような加圧下での空気流または液体流、特開昭53−008655号公報に記載のような真空、ならびに米国特許第3,060,023号明細書、米国特許第3,264,103号明細書、米国特許第5,015,556号明細書、米国特許第5,175,072号明細書、米国特許第5,215,859号明細書、米国特許第5,279,697号明細書、および米国特許第6,797,454号明細書に記載のような吸収材料との接触などのあらゆる手段によって、未硬化部分を、光重合性組成物およびエラストマー層の硬化部分から除去することができる。ほとんどの実施形態においては、未硬化部分を除去するための熱処理方法は、原版の最外面を現像媒体などの吸収剤表面に接触させて、溶融部分を吸収する、または吸い上げる、または吸い取ることによる方法である。
用語「溶融」は、高温にさらされた組成物層(およびエラストマー層)の未照射(未硬化)部分が軟化し、粘度が低下して、吸収材料によって吸収可能となる挙動を表すために使用される。組成物層の溶融可能部分の材料は、通常、固体と液体との間で明確な転移を示さない粘弾性材料であり、そのため、このプロセスは、現像媒体中に吸収するためにある閾値より高い任意の温度に加熱した組成物層を吸収する機能を果たす。したがって、組成物層の未照射部分は、高温にさらされると軟化または液化する。しかし、本明細書全体にわたって、組成物が固体および液体状態の間で明確な転移温度を有しうるかどうかとは無関係に、用語「溶融」、「軟化」、および「液化」は、組成物層の加熱された未照射部分の挙動を表すために使用することができる。広い温度範囲を使用して、本発明の目的のために組成物層を「溶融」させることができる。吸収は、プロセスの順調な作業中に、より低温でより遅く、またはより高温でより速く行うことができる。
印刷版原版を加熱するステップと、原版の最外面を現像媒体と接触させるステップとの熱処理ステップは、同時に行うことができるし、現像媒体と接触させるときに光重合性層およびエラストマー層の未硬化部分が依然として軟らかい、すなわち溶融状態にあるのであれば、連続して行うこともできる。少なくとも1つの光重合性層(およびエラストマー層)は、未硬化部分を溶融させるのに十分であるが、層の効果部分を変形させるほど高くない温度まで、伝導、対流、放射線、またはその他の加熱方法によって加熱される。光重合性層およびエラストマー層の上方に配置される1つ以上の追加層を、軟化または溶融または流動させて、同様に現像媒体で吸収することができる。光重合性層の未硬化部分の溶融または流動を引き起こすために、原版は約40℃を超える表面温度、好ましくは約40℃〜約230℃(104〜446°F)の表面温度まで加熱される。原版の外面、すなわち、未硬化領域中で溶融するエラストマー層および光重合性層との現像媒体のある程度密接な接触を維持することによって、光重合性層およびエラストマー層の未硬化材料の現像媒体への移動が起こる。依然として加熱条件にある間に、支持層に接触する硬化したエラストマー層および光重合性層から現像媒体を引き離すと、レリーフ構造が現れる。光重合性層およびエラストマー層を加熱するステップと、溶融(部分)層を現像媒体に接触させるステップとのサイクルは、未硬化材料を十分に除去して、十分なレリーフ深度を得るために必要なだけ繰り返すことができる。しかし、好適な系の性能のためにはサイクル数を最小限にする事が望ましく、通常、原版は5〜15サイクルで熱処理される。現像媒体の光重合性層(未硬化部分は溶融している)への密接な接触は、層と現像媒体とを互いにプレスすることで維持することができる。
印刷版原版の熱現像に好適な装置が、Petersonらによる米国特許第5,279,697号明細書、およびJohnsonらによる米国特許第6,797,454号明細書に開示されている。すべての実施形態における原版は板の形態である。しかし、当業者であれば、開示される装置のそれぞれが円筒形またはスリーブの形態の原版の取り付けに対応するように修正できることを理解されたい。
現像媒体は、放射線硬化性組成物の未照射または未硬化の部分の溶融または軟化または液化温度よりも高い溶融温度を有し、同じ作業温度で良好な引裂抵抗を有するように選択される。好ましくは、選択された材料が、加熱中の感光性要素の処理に必要な温度に耐える。現像媒体は、本明細書において現像材料、吸収材料、吸収ウェブ、およびウェブと記載する場合もある。現像媒体は、不織材料、紙料、繊維織物材料、オープンセルフォーム材料、空隙容積として含まれる容積がある程度大きな分率である多孔質材料から選択される。現像媒体は、ウェブまたはシートの形態であってよい。現像媒体は、現像媒体1平方センチメートル当たりに吸収可能なエラストマー組成物のミリグラム数で測定される、溶融エラストマー組成物に対する高い吸収性をも有するべきである。現像中に繊維が版の中に付着しないように、繊維含有現像媒体中で繊維を結合させることも望ましい。不織ナイロンおよびポリエステルウェブが好ましい。
処理ステップの後、光重合プロセスの完了を確実にし、それにより形成される凸版印刷版が印刷および保管中に依然として安定となるように、原版を均一に後露光することができる。この後露光ステップは、主要な像様露光と同じ放射線源を使用することができる。さらに、凸版印刷版の表面が依然として粘着性である場合は、粘着性除去処理を行うことができる。このような方法は、「仕上げ」とも呼ばれ、当技術分野において周知である。たとえば、印刷版を臭素または塩素溶液で処理することで粘着性を除去することができる。好ましくは、粘着性除去は、300nm以下の波長を有するUV放射線源に露光することで行われる。このいわゆる「光仕上げ」は欧州特許出願公開第0 017927号明細書および米国特許第4,806,506号明細書に開示されている。種々の仕上げ方法を組み合わせることもできる。通常、後露光および仕上げ露光は、両方の放射線源を有する露光装置を使用して原版上で同時に行われる。
本発明の方法により製造された印刷版(すなわち、露光して処理した感光性印刷版原版)は、約40〜70ショアAのデュロメーターを有することができる。デュロメーターは、材料の硬度を示すいくつかの方法の1つであり、永久くぼみに対する材料の抵抗性として定義される。デュロメーターは、規格化された押針上の特定の力による材料(通常、厚さ0.25インチを有することが指定される)中のくぼみの深さを測定する。デュロメーターにはいくつかのスケールが存在し、ショアAスケールは、通常、より軟質のプラスチックに使用される。各スケールで0〜100の間の値が得られ、値が大きいほど、硬度の高い材料を示す。ショアA デュロメーターは、典型的には、エラストマー印刷原版および印刷版の特性決定にも使用される。しかし、場合によっては、印刷版は、ショアAデュロメーター測定に使用される0.25インチ(0.64cm)の規定の厚さで利用できない。そのためショアAデュロメーターの測定は、67ミル(0.067インチ)(0.17cm)の厚さ(すなわち光重合性層および支持体の厚さ)を有する容易に利用可能な印刷版で行われることが多い。ある実施形態においては、印刷版(光重合性層、エラストマー層、および支持体の全体の厚さ67ミルを有する)は、約50〜80ショアAのデュロメーターを有する。ある実施形態においては、67ミルの厚さを有する印刷版のデュロメーターは50〜65ショアAである。別の実施形態においては、印刷版のデュロメーターは65〜80ショアAである。ショアAデュロメーターは、たとえばThe Shore Instrument & Manufacturing Company,Inc.(Jamaica,New York,USA)製造のShore Durometer Hardness Gauge Type “A−2”を使用して測定することができる。ショアAデュロメーターの別の測定装置を容易に利用可能であり、それらは当業者には周知である。
本発明の方法は、前述の印刷版原版、およびデジタルワークフローを使用した原版からの印刷版の製造方法に関するが、in−situマスクを使用するデジタルワークフローの代わりにフォトツールを使用するアナログワークフローなどの従来の別のフレキソ印刷版製造ステップの方法ステップによって、および/またはレリーフパターンを形成するための光化学的補強およびレーザー彫刻によって、原版を使用して印刷版を製造することも考慮されるが、印刷版はベタインク濃度の増加などの利点を示さない場合がある。
以下の実施例において、他の記載がなければ、すべてのパーセント値は重量を基準としている。CYREL(登録商標)光重合性印刷プレート、CYREL(登録商標) Digital Imager、CYREL(登録商標)露光ユニット、CYREL(登録商標)処理機、およびCYREL(登録商標)CYLOSOL現像溶液のすべては、The DuPont Company(Wilmington,Del.)より入手可能である。
Figure 0006495816
実施例1〜5および比較例1
約65%のVector 4111A、15%のPolyoil、15.75%のHMDA、2%の光開始剤、および2.25%の従来の添加剤(すなわち、酸化防止剤、熱防止剤(thermal inhibitor)、着色染料、およびUV吸収染料)の光重合性混合物を混合した。混合物を押出成形し、カレンダー加工して、5ミル(0.013cm)の支持体および5ミル(0.013cm)ケイ素被覆PETカバーシートである2つのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの間に光重合性層を有する光重合性要素を形成した。これらの予備的感光性要素は、後述のようにさらに使用するために保管した。
これとは別に、以下の混合物のそれぞれをポリエチレンボトル中に秤量し、終夜回転させて、エラストマーバインダー(Vector 4111A)をトルエン溶剤中に溶解させ、粒子状物質を混合物全体に均一に分散させた。
Figure 0006495816
多層カバーシートを以下のように作製した。米国特許第6,238,837号明細書の実施例1に開示されるように、ポリエチレンテレフタレートフィルムに化学線不透明層(赤外レーザー放射線に対して感受性でもある)をコーティングした。各サンプルについて、このコーティングされたフィルムを、次に、化学線不透明層を有する平坦面を上に向けて配置し、前述の混合物の1つを、Multifilmアプリケーターを使用して別々にコーティングして、化学線不透明層の上に配置される混合物層を形成した。次にこのエラストマーバインダーおよび粒子状物質の層を乾燥させて、溶剤を除去した。これによって、エラストマー−粒子状物質混合物の最終コーティング重量が各サンプルで約400mg/dmとなり、エラストマーバインダーは層の75%、粒子状物質は層の25重量%となった。
実施例1〜5および比較例1のそれぞれで、以下の様に予備的感光性要素および多層カバー要素を組み合わせることによって印刷版原版を作製した。前述の予備的感光性要素のケイ素被覆PETカバーシートを除去し、多層カバー要素を、(除去した)カバーシートの位置に積層し、エラストマー層を感光性要素の光重合性層と接触させた。さらに、化学線不透明層を有するが、エラストマー性粒子状物質含有組成物の層は有さないポリエチレンテレフタレートフィルムを、感光性要素の光重合性層に積層することによって、対照サンプルを作製した。対照では、化学線不透明層が光重合性層に接触した。積層は、275°Fの温度に設定したCromalin(登録商標)Laminatorを用いて行った。次に印刷版原版を60℃に設定したオーブンに終夜入れた。
上記原版を、サンプルの支持体側から365nmの紫外線に70秒間露光(1.2ジュール/cm)してフロアを形成し、次にCYREL(登録商標)Digital Imager赤外レーザー放射線露光ユニット(Esko Graphics Imaging GmbH製造のCU Spark 2530、Nd:YAGレーザーを有する(1064nmにおける光波長出力)を3.0ジュール/cmのエネルギー用いて画像化して、化学線不透明層を選択的に除去し、実施例および比較例ではエラストマー性粒子状物質含有層であり、対照では光重合性層である隣接層上にin−situマスク画像を形成した。次に、CYREL(登録商標)露光ユニット上で、それぞれの原版をin−situマスクを介して365nmの紫外線に8分露光した(8.1ジュール/cm2)。
像様露光後、原版をCyrel(登録商標)Processor 1000P中でCylosol(登録商標)を用いて現像した。得られた印刷プレートをCyrel(登録商標)Dryer 1002 D中で60℃において3時間乾燥させ、次にCYREL(登録商標)3248 UNIT中でUV−AおよびUV−C露光を8分間行うことによって同時に仕上げを行った。
すべての印刷プレートの顕微鏡検査から、1%ドットのすべてが十分に形成され存在することが示された。
仕上げを行ったプレートを適切な大きさに切断し、700LPI 2.3bcmのアニロックスロールを180フィート/分で使用してMark Andy 830プレス上で印刷した。印刷は、Avery Dennison白色二軸延伸ポリプロピレンラベルストック上に行った。印刷濃度の読み取り値は、X−Rite 500シリーズの濃度計を使用して求めた。ハーフトーンドット領域の場合、濃度読み取り値は、以下に示すMurray−Davisの式を用いて濃度から%ドットに変換した。
Figure 0006495816
式中、D(t)=フィルムチントの濃度、
D(s)=ベタの濃度、またはD−Max、
D(b)=フィルムベースの濃度
結果を以下の表に示す。示されるベタインク濃度および1%ドット濃度値は、それらの領域から二軸延伸ポリプロピレンの平均濃度を引いた複数の読み取り値によるものである。二軸延伸ポリプロピレン基材の平均濃度は0.06であった。
Figure 0006495816
示された結果のように、エラストマー性粒子状物質含有層を有さない対照と比較して、すべてのプレートでベタインク濃度が増加した。実施例1〜5の1%ドットサイズ読み取り値が、対照の一般的範囲内であったことも注目すべきである。しかし、比較例1では、1%ドットサイズの許容できない増加を示した。独自の説明を妨げるものではないが、特に、実施例1〜5のエラストマーバインダーと粒子状物質との間の屈折率差と比較した場合に、シリカ粒子(n=1.46)とエラストマーバインダー(n=1.52)との間の屈折率差が0.06単位とより大きな差であったため、光散乱が増加し、それが1%ドット構造に悪影響を与えたと推測される。
比較例2
比較例2の別の実験において、エラストマー組成物の層中に含まれる粒子状物質が平均粒度が11μであり屈折率が1.52であるSpheriglass A5000であったことを除けば、実施例1〜5および比較例1に記載の手順と同じ手順で印刷プレートを作製した。前述と同じプレスおよび同じ設定を使用したが、別の機会に印刷した場合、以下の結果が得られた。
Figure 0006495816
これらの結果は、比較例2は、ベタインク濃度の増加を示したが、1%ドットサイズの許容できない増加も存在したことを示している。比較例2の印刷プレートを顕微鏡観察すると、印刷プレート中の1%ドットのかなりの数が顕著な物理的損傷を有することが分かった。独自の説明を妨げるものではないが、本発明の実施例と比較すると、より大きな粒度で1%ドットに物理的損傷が生じると推測される。この物理的損傷によって、最終印刷サンプル中に過度の1%ドットサイズが生じた。
なお、本発明は、特許請求の範囲を含め、以下の発明を包含する。
1.印刷版原版であって:
a)化学線に対して感受性である光重合性組成物の層であって、前記組成物がバインダー、モノマー、および光開始剤を含む層と;
b)前記化学線に対して感受性である、または感受性となるエラストマー組成物の層であって、少なくともエラストマーバインダー、および粒子状物質を含み、前記エラストマー組成物がある屈折率を有し;
前記粒子状物質が、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、長石、霞石閃長岩、またはガラスの粒子から選択され、前記粒子状物質が、平均直径1〜10ミクロンを有し、前記エラストマー組成物の前記屈折率の±0.04である屈折率を有する層と;
c)前記光重合性層a)とは反対側の前記エラストマー層b)の上に存在する、隣接する、または上方に配置され、in−situマスクを形成可能な化学線不透明層と、
を含む、印刷版原版。
2.前記粒子の99.7%が1〜10ミクロンの範囲内となる粒度分布を前記粒子状物質が有する、1に記載の印刷版原版。
3.前記粒子状物質の2%未満が10ミクロンを超える粒度を有する、1に記載の印刷版原版。
4.前記粒子状物質の0.5%未満が10ミクロンを超える粒度を有する、1に記載の印刷版原版。
5.前記粒子状物質の平均直径が2〜9ミクロンである、1に記載の印刷版原版。
6.前記粒子状物質の平均直径が5〜8ミクロンである、1に記載の印刷版原版。
7.前記粒子状物質がポリアミドである、1に記載の印刷版原版。
8.前記粒子状物質がポリメチルメタクリレートである、1に記載の印刷版原版。
9.前記粒子状物質が長石である、1に記載の印刷版原版。
10.前記粒子状物質が霞石閃長岩である、1に記載の印刷版原版。
11.前記ガラス粒子状物質がソーダ石灰ガラスである、1に記載の印刷版原版。
12.前記粒子状物質が霞石閃長岩である、1に記載の印刷版原版。
13.前記粒子状物質が前記エラストマー組成物の5〜40重量%である、1に記載の印刷版原版。
14.前記粒子状物質が前記エラストマー組成物の15〜35重量%であり、前記エラストマーバインダーが前記エラストマー組成物の85〜65重量%である、1に記載の印刷版原版。
15.前記エラストマーバインダーが、エラストマーブロックと非エラストマーブロックとを含む熱可塑性ブロックコポリマーから選択される、1に記載の印刷版原版。
16.前記エラストマー組成物が1.52〜1.54の屈折率を有し、前記粒子状物質が1.48〜1.58の屈折率を有する、1に記載の印刷版原版。
17.前記エラストマー組成物中の前記バインダーが、前記光重合性組成物中の前記バインダーと同じ場合も異なる場合もある、1に記載の印刷版原版。
18.前記エラストマー層が1〜10ミルの厚さを有する、1に記載の印刷版原版。
19.凸版印刷版の製造方法であって:
I)印刷版原版であって:
a)化学線に対して感受性である光重合性組成物の層であって、前記組成物がバインダー、モノマー、および光開始剤を含む層と;
b)前記化学線に対して感受性である、または感受性となるエラストマー組成物の層であって、少なくともエラストマーバインダー、および粒子状物質を含み、前記エラストマー組成物がある屈折率を有し;前記粒子状物質が、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、長石、霞石閃長岩、またはガラスの粒子から選択され、前記粒子状物質が、平均直径1〜10ミクロンを有し、前記エラストマー組成物の前記屈折率の±0.04である屈折率を有する層と;
c)前記光重合性層a)とは反対側の前記エラストマー層b)の上に存在する、隣接する、または上方に配置され、in−situマスクを形成可能な化学線不透明層と、
を含む、印刷版原版を提供するステップと、
II)前記化学線不透明層をレーザー放射線に像様露光することによってin−situマスクを形成するステップと;
III)前記in−situマスクを介して、ステップII)の前記原版を化学線に全面露光して、前記光重合性層および前記エラストマー層の中に重合部分および未重合部分を形成するステップと;
IV)III)の前記原版を処理することで未重合部分を除去して、印刷に好適なレリーフ表面を形成するステップと、を含む方法。
20.前記処理ステップIV)が、
IV1)溶剤溶液、水溶液、半水性溶液、および水からなる群から選択される少なくとも1種類のウォッシュアウト溶液を用いて処理するステップ;または
IV2)前記未重合部分を溶融、流動、または軟化させるのに十分な温度まで要素を加熱して、前記未重合部分を除去するステップ、
から選択される、19に記載の方法。
21.前記in−situマスクを介した前記原版の化学線への前記全面露光が、大気酸素の存在下で行われる、19に記載の方法。
22.前記in−situマスクを介した前記原版の化学線への前記全面露光が、不活性ガスを含み酸素濃度が190,000〜100ppmである環境中で行われる、19に記載の方法。
23.19に記載の方法により製造された凸版印刷版。
24.印刷プレート原版の形成方法であって:
A)化学線不透明材料の層を一時的なカバーシートの上に塗布することと;エラストマー組成物の層を前記化学線不透明層の上または隣接して塗布することとを含み、前記エラストマー組成物が、化学線に対して感受性である、または感受性となり、少なくともエラストマーバインダーおよび粒子状物質を含む、多層カバー要素を形成するステップと;
B)化学線に対して感受性であり、バインダー、モノマー、および光開始剤を含む光重合性組成物の層を、前記エラストマー層が前記光重合性層に接触するように、支持体と前記多層カバー要素との間に形成するステップとを含み;
前記エラストマー組成物がある屈折率を有し、前記粒子状物質が、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、長石、霞石閃長岩、またはガラスの粒子から選択され;
前記粒子状物質が、平均直径1〜10ミクロンを有し、前記エラストマー組成物の前記屈折率の±0.04である屈折率を有する、方法。
25.凸版印刷版の製造方法であって:
I)印刷版原版であって、
a)化学線に対して感受性である光重合性組成物の層であって、前記組成物がバインダー、モノマー、および光開始剤を含む層と;
b)前記化学線に対して感受性である、または感受性となるエラストマー組成物の層であって、少なくともエラストマーバインダー、および粒子状物質を含み、前記エラストマー組成物がある屈折率を有し;前記粒子状物質が、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、長石、霞石閃長岩、またはガラスの粒子から選択され、前記粒子状物質が、平均直径1〜10ミクロンを有し、前記エラストマー組成物の前記屈折率の±0.04である屈折率を有する層と;
c)前記光重合性層a)とは反対側の前記エラストマー層b)の上に存在する、隣接する、または上方に配置され、in−situマスクを形成可能な化学線不透明層と、
を含む、印刷版原版の前記化学線不透明層をレーザー放射線に像様露光することによってin−situマスクを形成するステップと:
II)前記in−situマスクを介して、ステップI)の前記原版に化学線を全面露光することによって、前記光重合性層および前記エラストマー層の中に重合部分および未重合部分を形成するステップと;
III)II)の前記原版を処理することで未重合部分を除去して、印刷に好適なレリーフ表面を形成するステップと、を含む方法。

Claims (4)

  1. 印刷版原版であって:
    a)化学線に対して感受性である光重合性組成物の層であって、前記組成物がバインダー、モノマー、および光開始剤を含む層と;
    b)エラストマー組成物の層であって、少なくともエラストマーバインダー、および粒子状物質を含み、前記エラストマー組成物が、ある屈折率を有し且つ前記化学線に対して感受性であり;前記粒子状物質が、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、長石、霞石閃長岩、またはガラスの粒子から選択され、前記粒子状物質が、平均直径1〜10ミクロンを有し、且つ、前記エラストマー組成物の前記屈折率の±0.04である屈折率を有する層と;
    c)前記光重合性組成物の層a)とは反対側の前記エラストマー組成物の層b)の上に存在する、隣接する、または上方に配置される、in−situマスクを形成可能な化学線不透明層と、
    を含む、印刷版原版。
  2. 凸版印刷版の製造方法であって:
    I)印刷版原版であって:
    a)化学線に対して感受性である光重合性組成物の層であって、前記組成物がバインダー、モノマー、および光開始剤を含む層と;
    b)エラストマー組成物の層であって、少なくともエラストマーバインダー、および粒子状物質を含み、前記エラストマー組成物が、ある屈折率を有し且つ前記化学線に対して感受性であり;前記粒子状物質が、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、長石、霞石閃長岩、またはガラスの粒子から選択され、前記粒子状物質が、平均直径1〜10ミクロンを有し、且つ、前記エラストマー組成物の前記屈折率の±0.04である屈折率を有する層と;
    c)前記光重合性組成物の層a)とは反対側の前記エラストマー組成物の層b)の上に存在する、隣接する、または上方に配置される、in−situマスクを形成可能な化学線不透明層と、
    を含む、印刷版原版を提供するステップと、
    II)前記化学線不透明層をレーザー放射線に像様露光することによってin−situマスクを形成するステップと;
    III)前記in−situマスクを介して、ステップII)の前記原版を化学線に全面露光して、前記光重合性組成物の層および前記エラストマー組成物の層の中に重合部分および未重合部分を形成するステップと;
    IV)III)の前記原版を処理することで未重合部分を除去して、印刷に好適なレリーフ表面を形成するステップと、を含む方法。
  3. 印刷版原版の形成方法であって:
    A)化学線不透明材料の層を一時的なカバーシートの上に塗布することと;エラストマー組成物の層を、前記化学線不透明層の上に塗布する、または、前記化学線不透明層に隣接して塗布することとを含み、前記エラストマー組成物が、化学線に対して感受性である、少なくともエラストマーバインダーおよび粒子状物質を含む、多層カバー要素を形成するステップと;
    B)化学線に対して感受性であり、バインダー、モノマー、および光開始剤を含む光重合性組成物の層を、前記エラストマー組成物の層が前記光重合性組成物の層に接触するように、支持体と前記多層カバー要素との間に形成するステップとを含み;
    前記エラストマー組成物がある屈折率を有し、前記粒子状物質が、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、長石、霞石閃長岩、またはガラスの粒子から選択され;
    前記粒子状物質が、平均直径1〜10ミクロンを有し、且つ、前記エラストマー組成物の前記屈折率の±0.04である屈折率を有する、方法。
  4. 凸版印刷版の製造方法であって:
    I)印刷版原版であって、
    a)化学線に対して感受性である光重合性組成物の層であって、前記組成物がバインダー、モノマー、および光開始剤を含む層と;
    b)エラストマー組成物の層であって、少なくともエラストマーバインダー、および粒子状物質を含み、前記エラストマー組成物が、ある屈折率を有し且つ前記化学線に対して感受性であり;前記粒子状物質が、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、長石、霞石閃長岩、またはガラスの粒子から選択され、前記粒子状物質が、平均直径1〜10ミクロンを有し、且つ、前記エラストマー組成物の前記屈折率の±0.04である屈折率を有する層と;
    c)前記光重合性組成物の層a)とは反対側の前記エラストマー組成物の層b)の上に存在する、隣接する、または上方に配置される、in−situマスクを形成可能な化学線不透明層と、
    を含む、印刷版原版の前記化学線不透明層をレーザー放射線に像様露光することによってin−situマスクを形成するステップと:
    II)前記in−situマスクを介して、ステップI)の前記原版に化学線を全面露光することによって、前記光重合性組成物の層および前記エラストマー組成物の層の中に重合部分および未重合部分を形成するステップと;
    III)II)の前記原版を処理することで未重合部分を除去して、印刷に好適なレリーフ表面を形成するステップと、を含む方法。
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