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JP6493020B2 - ハイブリッド車両のエンジントルク補正装置 - Google Patents

ハイブリッド車両のエンジントルク補正装置 Download PDF

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JP6493020B2 JP2015130591A JP2015130591A JP6493020B2 JP 6493020 B2 JP6493020 B2 JP 6493020B2 JP 2015130591 A JP2015130591 A JP 2015130591A JP 2015130591 A JP2015130591 A JP 2015130591A JP 6493020 B2 JP6493020 B2 JP 6493020B2
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Description

本発明は、動力源としてエンジンおよびモータ/ジェネレータを具え、これらエンジンおよびモータ/ジェネレータ間を第1クラッチにより結合可能となし、モータ/ジェネレータおよび車輪間を第2クラッチにより結合可能となしたハイブリッド車両に関し、
特に、第1クラッチによりエンジンおよびモータ/ジェネレータを相互に結合した状態でモータ/ジェネレータによりエンジンを回転数制御している間におけるエンジントルク補正技術に係わる。
上記のようなハイブリッド車両は、例えば特許文献1に記載のごとく既に周知のものである。
このハイブリッド車両は、エンジンを停止させ、第1クラッチを解放すると共に第2クラッチを締結することによりモータ/ジェネレータからの動力のみによる電気走行(EV)モードを選択可能であり、また、
第1クラッチおよび第2クラッチを共に締結することによりエンジンおよびモータ/ジェネレータの双方からの動力によるハイブリッド走行(HEV)モードを選択可能なものである。
かかるハイブリッド車両においても、一般的な車両用パワートレーンと同様、エンジントルクおよび/またはエンジンフリクションのバラツキによる制御精度の低下を排除するため、これらのバラツキ分だけエンジントルクを補正する必要がある。
車両のエンジントルク補正技術としては従来、ハイブリッド車両のエンジントルク補正技術ではないが、特許文献2に以下のような技術が提案されている。
この提案技術は、停車状態でのエンジンアイドル運転中に、エンジンの初期フリクションやエンジン自体のバラツキによる影響を受けることなく、エンジンが安定したアイドル回転数を保って運転されるようにするエンジントルク補正技術である。
具体的には、エンジンアイドル運転中に人為的なトリガ信号に呼応して、アイドル回転数を維持するために必要としているエンジン吸気量を学習し、この学習吸気量に応じてエンジンアイドル運転時の吸気量を補正するというものである。
特開2009−208700号公報 特開2001−020790号公報
しかし、上記した従来のエンジントルク補正技術は、停車状態でのエンジンアイドル運転中に吸気量を学習補正するものであることから、エンジンが無負荷でアイドル運転されている時しか吸気量(エンジントルク)の学習補正を行うことができず、それ以外の運転中におけるエンジン動作点、特にエンジン運転時間の大多数を占める走行中のエンジン動作点について、エンジントルクの学習補正を行うことができず、学習頻度の低さとも相まって高精度な学習を望み得なかった。
またエンジンは、それ自体の継時劣化やオイルの劣化、そして使用するオイルの種類のような、ユーザ固有の車両使用環境によって、同じエンジン運転状態のもとでも出力トルクの精度に差が出てしまい、特に本発明が前提とするハイブリッド車両では以下のような問題を生ずる。
ハイブリッド車両では、ハイブリッド(HEV)モードでの走行中(HEV走行中)において、エンジン駆動されるモータ/ジェネレータからの発電電力でバッテリへの充電を行うことが要求される場合があり、この時エンジントルクが、不適切なエンジントルクの学習補正に起因し、指令値通りに制御されていないと、バッテリが充電不足になったり、過充電状態になるという問題を生ずる。
逆にモータ/ジェネレータが回生制動時のように負トルクを発生する場合も、この負トルクが、不適切なエンジントルクの学習補正に起因し、指令値通りに制御されていないと、エンジントルクとの協調が予定通りに行われ得ないため、ハイブリッド車両の運転性が悪化するという問題を生ずる。
更に、前記した従来のエンジントルク補正技術では、吸気量補正によるトルク補正であるため、学習補正によるトルク制御応答が悪くて上記の学習制御に長時間を要するという問題も避けられない。
また、学習のためにわざわざエンジンを始動し、当該エンジンを無負荷状態でアイドル運転させる必要があり、エネルギーマネジメントや燃費の悪化を招くだけでなく、上記わざわざのエンジン始動および無負荷アイドル運転が運転者に大いなる違和感を抱かせるという問題があった。
本発明は、前提とするハイブリッド車両の場合、第1クラッチによりエンジンおよびモータ/ジェネレータを相互に結合した状態でモータ/ジェネレータによりエンジンを回転数制御しながら走行するシーンが存在し、この間にエンジントルクの学習補正が可能であって、上記の問題を解消し得るとの観点から、この着想を具体化したハイブリッド車両のエンジントルク補正装置を提供することを目的とする。
この目的のため、本発明によるハイブリッド車両のエンジントルク補正装置は、これを以下のような構成とする。
先ず、前提となるハイブリッド車両を説明するに、これは、
動力源としてエンジンおよびモータ/ジェネレータを具え、これらエンジンおよびモータ/ジェネレータ間を第1クラッチにより結合可能となし、モータ/ジェネレータおよび車輪間を第2クラッチにより結合可能となし、前記第1クラッチおよび第2クラッチの締結・解放制御により、前記エンジンおよびモータ/ジェネレータのうち、モータ/ジェネレータのみによる電気走行を行うか、エンジンおよびモータ/ジェネレータの双方によるハイブリッド走行を行うかを選択可能なものである。
本発明のエンジントルク補正装置は、かかるハイブリッド車両を前提とし、
前記第1クラッチによりエンジンおよびモータ/ジェネレータを相互に結合した状態でモータ/ジェネレータによりエンジンを回転数制御している間、前記モータ/ジェネレータのトルク情報、および前記エンジンのトルク指令情報から、エンジントルクおよび/またはエンジンフリクションのバラツキを推定し、該バラツキに基づきエンジントルクを学習補正するよう構成したものである。
上記した本発明によるハイブリッド車両のエンジントルク補正装置にあっては、
従来のようにエンジン吸気量を介さず、モータ/ジェネレータによるエンジン回転数制御中におけるモータ/ジェネレータトルク情報およびエンジントルク情報から、エンジントルクおよび/またはエンジンフリクションのバラツキを推定し、当該バラツキに基づきエンジントルクを学習補正する構成のため、当該エンジントルクの学習補正を遅滞なく、しかも高精度に行うことができ、エンジントルクをパワートレーンのバラツキやオイルなど車両使用環境の差にかかわらず、常に正確に指令値に一致させ得る。
しかも、上記エンジントルクの学習補正を、エンジンおよびモータ/ジェネレータ間が第1クラッチにより直結された状態でモータ/ジェネレータが回転数制御されている間に行うことから、停車状態でのエンジンアイドル運転中は勿論のこと、それ以外の如何なる走行中でもエンジントルクの学習補正を行い得ることとなり、学習頻度の高さとも相まって高精度な学習を実現することができる。
本発明の一実施例になるエンジントルク補正装置を具えたハイブリッド車両のパワートレーンを示す概略平面図である。 図1に示したパワートレーンの制御システムを示すブロック線図である。 図1における統合コントローラが実行するエンジントルク補正の制御プログラムを示すフローチャートである。 図3に示すエンジントルク補正制御の動作タイムチャートである。
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
<実施例の構成>
図1は、本発明の一実施例になるエンジントルク補正装置を具えたハイブリッド車両のパワートレーンを示す。
このハイブリッド車両は、四輪駆動車両をベース車両とし、これをハイブリッド化したものであり、
図1において、1は、第1動力源としてのエンジンを示し、2L,2Rは左右後輪を示し、3L,3Rは左右前輪を示す。
図1に示すハイブリッド車両のパワートレーンにおいては、エンジン1の車両前後方向後方に自動変速機4をタンデムに配置し、これらエンジン1および自動変速機4間に、第2動力源としてのモータ/ジェネレータ5を介在させる。
このモータ/ジェネレータ5は、モータ(電動機)として作用したり、ジェネレータ(発電機)として作用するもので、ステータ5aと、ロータ5bと、ロータ軸5cとにより構成する。
モータ/ジェネレータ5のロータ軸5cおよびエンジン1(クランクシャフト1a)との間は第1クラッチ6(CL1)により切り離し可能に結合とし、ロータ軸5cは自動変速機4の入力軸4aに結合する。
ここで第1クラッチ6は、伝達トルク容量を連続的もしくは段階的に変更可能なものとし、例えば、比例ソレノイドでクラッチ作動油流量およびクラッチ作動油圧を連続的もしくは段階的に制御して伝達トルク容量を変更可能な湿式多板クラッチで構成する。
モータ/ジェネレータ5と車輪2L,2R,3L,3Rとの間の伝動経路に第2クラッチ7(CL2)を介挿し、この第2クラッチ7によりモータ/ジェネレータ5と車輪2L,2R,3L,3Rとの間を切り離し可能に結合する。
第2クラッチ7も第1クラッチ6と同様、伝達トルク容量を連続的もしくは段階的に変更可能なものとし、例えば、比例ソレノイドでクラッチ作動油流量およびクラッチ作動油圧を連続的もしくは段階的に制御して伝達トルク容量を変更可能な湿式多板クラッチで構成する。
自動変速機4は、無段変速機を含む周知の任意なものでよく、例えば複数の変速摩擦要素(クラッチやブレーキ等)を選択的に締結したり解放することで、これら変速摩擦要素の締結・解放の組み合わせにより伝動経路(変速段)を決定するものとする。
従って自動変速機4は、入力軸4aからの回転を選択変速段に応じたギヤ比で変速して出力軸4bに出力する。
出力軸4bからの回転は、トランスファ8により左右後輪2L,2Rと左右前輪3L,3Rとへ所定のトルク配分下に向かわせ、左右後輪2L,2Rへの回転をプロペラシャフト9および後輪ディファレンシャルギヤ装置10により左右後輪2L,2Rへ伝達し、左右前輪3L,3Rへの回転をプロペラシャフト11および前輪ディファレンシャルギヤ装置12により左右前輪3L,3Rへ伝達することで、ハイブリッド車両を四輪駆動走行可能となす。
ところで図1においては、モータ/ジェネレータ5と車輪2L,2R,3L,3Rを切り離し可能に結合する第2クラッチ7として専用のものを新設するのではなく、自動変速機4内に既存する変速摩擦要素を流用する。
この場合、第2クラッチ7が締結により上記の変速段選択機能(変速機能)を果たして自動変速機4を動力伝達状態にするのに加え、第1クラッチ6の解放・締結との共働により、ハイブリッド車両の後述するモード選択機能を果たし得ることとなり、専用の第2クラッチが不要でコスト的に有利である。
ただし、第2クラッチ7は専用のものを新設してもよく、この場合、第2クラッチ7は自動変速機4の入力軸4aとモータ/ジェネレータ5のロータ軸5cとの間に設けたり、自動変速機4の出力軸4bとトランスファ8との結合部に設ける。
上記した図1に示すハイブリッド車両のパワートレーンにおいては、
停車状態からの発進時などを含む低負荷・低車速時に用いられる電気走行(EV)モードが要求される場合、第1クラッチ6を解放し、第2クラッチ7の締結により自動変速機4を動力伝達状態にする。
なお第2クラッチ7は、自動変速機4内の変速摩擦要素のうち、現変速段で締結させるべき変速摩擦要素であって、選択中の変速段ごとに異なる。
この状態でモータ/ジェネレータ5を駆動すると、当該モータ/ジェネレータ5からの出力回転のみが変速機入力軸4aに達することとなり、自動変速機4が当該入力軸4aへの回転を、選択中の変速段に応じ変速して変速機出力軸4bより出力する。
変速機出力軸4bからの回転はトランスファ8により左右後輪2L,2Rと左右前輪3L,3Rとへ所定のトルク配分下に分配され、後輪2L,2Rへの回転をプロペラシャフト9および後輪ディファレンシャルギヤ装置10により左右後輪2L,2Rへ伝達し、前輪3L,3Rへの回転をプロペラシャフト11および前輪ディファレンシャルギヤ装置12により左右前輪3L,3Rへ伝達することで、ハイブリッド車両を四輪駆動走行させることができる。
高速走行時や大負荷走行時などで用いられるハイブリッド走行(HEV)モードが要求される場合、
第2クラッチ7の締結により自動変速機4を対応変速段選択状態(動力伝達状態)にしたまま、第1クラッチ6も締結させる。
この状態では、エンジン1からの出力回転およびモータ/ジェネレータ5からの出力回転の双方が変速機入力軸4aに達することとなり、自動変速機4が当該入力軸4aへの回転を、選択中の変速段に応じ変速して、変速機出力軸4bより出力する。
変速機出力軸4bからの回転はトランスファ8により左右後輪2L,2Rと左右前輪3L,3Rとへ所定のトルク配分下に分配され、後輪2L,2Rへの回転をプロペラシャフト9および後輪ディファレンシャルギヤ装置10により左右後輪2L,2Rへ伝達し、前輪3L,3Rへの回転をプロペラシャフト11および前輪ディファレンシャルギヤ装置12により左右前輪3L,3Rへ伝達することで、ハイブリッド車両を四輪駆動走行させることができる。
かかるHEVモード走行中において、エンジン1を最適燃費で運転させるとエネルギーが余剰となる場合、この余剰エネルギーによりモータ/ジェネレータ5を発電機として作動させることで余剰エネルギーを電力に変換し、
この発電電力をモータ/ジェネレータ5のモータ駆動に用いるよう後述のバッテリへ蓄電しておくことでエンジン1の燃費を向上させることができる。
図1に示すハイブリッド車両のパワートレーンを成すエンジン1、モータ/ジェネレータ5、第1クラッチ6、および第2クラッチ7は、図2に示すようなシステムにより制御する。
図2の制御システムは、パワートレーンの動作点を統合制御する統合コントローラ20を具え、
パワートレーンの動作点を、目標エンジントルクtTeと、目標モータ/ジェネレータトルクtTmおよび目標モータ/ジェネレータ回転数tNmと、第1クラッチ6の目標伝達トルク容量tTc1と、第2クラッチ7の目標伝達トルク容量tTc2とで規定する。
統合コントローラ20には、上記パワートレーンの動作点を決定するために、
エンジン回転数Neを検出するエンジン回転センサ13からの信号と、
モータ/ジェネレータ回転数Nmを検出するモータ/ジェネレータ回転センサ14からの信号と、
変速機入力回転数Niを検出する入力回転センサ15からの信号と、
変速機出力回転数Noを検出する出力回転センサ16からの信号と、
車両への要求負荷を表すアクセルペダル踏み込み量(アクセル開度APO)を検出するアクセル開度センサ17からの信号と、
モータ/ジェネレータ5用の電力を蓄電しておくバッテリBATの蓄電状態SOC(持ち出し可能電力)を検出する蓄電状態センサ18からの信号と、
運転者が車両の運転準備指令および運転停止指令(エンジン停止指令を含む)を発するために操作するイグニッションスイッチ19からのON,OFF信号と、
運転者が車両の走行形態を指令するために操作するシフターからの駐車(P)レンジ信号、後退走行(R)レンジ信号、中立(N)レンジ信号、および前進走行(D)レンジ信号を入力する。
統合コントローラ20は、上記入力情報のうちアクセル開度APO、バッテリ蓄電状態SOC、および変速機出力回転数No(車速VSP)から、
運転者が希望している車両の要求駆動力を実現可能な運転モード(EVモード、HEVモード)を選択すると共に、当該選択した運転モードのもとで上記の要求駆動力を実現のに必要な目標エンジントルクtTe、目標モータ/ジェネレータトルクtTm、目標モータ/ジェネレータ回転数tNm、目標第1クラッチ伝達トルク容量tTc1、および目標第2クラッチ伝達トルク容量tTc2をそれぞれ演算する。
目標エンジントルクtTeはエンジンコントローラ21に供給され、目標モータ/ジェネレータトルクtTmおよび目標モータ/ジェネレータ回転数tNmはモータ/ジェネレータコントローラ22に供給される。
エンジンコントローラ21は、エンジントルクTeが目標エンジントルクtTeとなるようエンジン1を制御し、
モータ/ジェネレータコントローラ22はモータ/ジェネレータ5のトルクTmおよび回転数Nmが目標モータ/ジェネレータトルクtTmおよび目標モータ/ジェネレータ回転数tNmとなるよう、バッテリBATおよびインバータINVを介してモータ/ジェネレータ5を制御する。
統合コントローラ20は、目標第1クラッチ伝達トルク容量tTc1および目標第2クラッチ伝達トルク容量tTc2に対応したソレノイド電流を第1クラッチ6および第2クラッチ7の締結制御ソレノイド(図示せず)に供給し、第1クラッチ6の伝達トルク容量Tc1が目標伝達トルク容量tTc1に一致するよう、また、第2クラッチ7の伝達トルク容量Tc2が目標第2クラッチ伝達トルク容量tTc2に一致するよう、第1クラッチ6および第2クラッチ7を個々に締結力制御する。
<モード切り替え制御>
統合コントローラ20は、変速機出力回転数No(車速VSP)およびアクセル開度APO(制動時は制動操作力)から予定の目標駆動力マップを用いて求めた目標駆動トルクや、バッテリ蓄電率SOCや、アクセル開度APOや、変速機出力回転数No(車速VSP)などの車両運転状態から、予定の目標運転モード領域マップを基に、前記した電気走行(EV)モードおよびハイブリッド走行(HEV)モードを選択して、目標走行モードと定める。
電気走行(EV)モードでは、前記した通り、エンジン1を停止状態に保ち、第1クラッチ6を解放し、第2クラッチ7の締結、またはスリップ締結により自動変速機4を対応変速段選択状態(動力伝達状態)にして、モータ/ジェネレータ5からの出力回転のみを自動変速機4による変速下で車輪2L,2R,3L,3Rへ伝達する。
ハイブリッド走行(HEV)モードでは、前記した通り、第2クラッチ7の締結により自動変速機4を対応変速段選択状態(動力伝達状態)にしたまま、第1クラッチ6をも締結させ、運転状態にしたエンジン1からの出力回転およびトルク制御されているモータ/ジェネレータ5からの出力回転の双方を自動変速機4による変速下で車輪2L,2R,3L,3Rへ伝達する。
なお、ハイブリッド走行(HEV)モードから電気走行(EV)モードへのモード切り替えに当たっては、第2クラッチ7を完全締結状態からスリップ締結状態にし、モータ/ジェネレータ5によりエンジン1を回転数制御しつつ、第1クラッチ6を解放すると共にエンジン1を停止させることにより、電気走行(EV)モードへの切り替えを完了する。
この時、第2クラッチ7がスリップ締結状態であることにより、ここでモード切り替えショックを吸収して、ショック対策を行うことができる。
電気走行(EV)モードからハイブリッド走行(HEV)モードへのモード切り替えに当たっては、第2クラッチ7のスリップ締結により自動変速機4を対応変速段選択状態(動力伝達状態)にしたまま、第1クラッチ6の締結進行制御およびモータ/ジェネレータ5によるエンジン1の回転数制御により、停止状態のエンジン1をクランキングして始動させ、エンジン1を運転状態となし、ハイブリッド走行(HEV)モードへの切り替えを完了する。
この時、第2クラッチ7がスリップ締結状態であることにより、第2クラッチ7でエンジン始動ショックを吸収して、ショック対策を行うことができる。
かかるエンジン始動を伴うEV→HEVモード切り替えに当たっては、エンジン始動ショック防止用に上記のごとく、第2クラッチをスリップ締結状態にして、第1クラッチ6の締結によりエンジン1を始動させるため、
このエンジン始動でエンジン1が起動した後は第2クラッチ7を上記のスリップ締結状態から完全締結させる必要がある。
<エンジントルクの学習補正>
上記ハイブリッド車両においても、一般的な車両用パワートレーンと同様、エンジントルクおよび/またはエンジンフリクションのバラツキによる制御精度の低下を排除するため、これらのバラツキ分だけエンジントルクを補正する必要がある。
当該エンジントルクの学習補正を本実施例においては、統合コントローラ20が図2に示す制御プログラムの実行により以下のごとくに行うこととする。
まずステップS1において、運転者による外部からの学習開始要求が有ったか否かをチェックし、この学習開始要求が有ったと判定する場合、制御をステップS2〜ステップS6に進める。
ステップS2では、モータ/ジェネレータ5の入力トルクおよびバッテリBATの電力制限状態が、上記学習補正に必要なエンジンのトルク変化および回転数変化を生起させ得る余裕代を持っているか否かにより、モータ/ジェネレータ5およびバッテリBATが上記学習補正を行い得る状態であるか否かをチェックする。
モータ/ジェネレータ5の入力トルクおよびバッテリBATの電力制限状態が上記の余裕代を持たない場合は、上記エンジントルクの学習補正が不正確になるから、ステップS3〜ステップS6を実行することなく制御をそのまま終了させることにより、エンジントルクの学習補正を行わないこととし、上記の余裕代があることを条件としてエンジントルクの学習補正を行うものとする。
ステップS2でモータ/ジェネレータ5の入力トルクおよびバッテリBATの電力制限状態が上記の余裕代を持っていて、モータ/ジェネレータ5およびバッテリBATがエンジントルクの学習補正を行い得ると判定する場合、制御を順次ステップS3〜ステップS6に進めてエンジントルクの学習補正を以下のごとくに行う。
ステップS3においては、第1クラッチ6の締結によりエンジン1を始動させ、当該第1クラッチ6の締結によりエンジン1およびモータ/ジェネレータ5間が結合されている状態でエンジン1をモータ/ジェネレータ5により回転数制御し、当該モータ/ジェネレータ5によるエンジン1の回転数制御状態で、学習が必要なエンジン動作点をエンジントルク指令値とモータ/ジェネレータ回転数指令値(エンジン回転数指令値)とにより規定し、この動作点での運転を指令する。
次のステップS4においては、ステップS3で規定した動作点での運転中におけるモータ/ジェネレータトルクの絶対値と、エンジントルク指令の絶対値との差から、つまりエンジントルク指令値に対するモータ/ジェネレータトルクの絶対値差から、エンジントルクのズレ(バラツキ)およびエンジントルク応答のズレ(バラツキ)を検出する。
図4に基づき説明するに、エンジントルク学習要求が発せられた瞬時t1から所定時間後の瞬時t2までの間において、エンジントルク応答のズレ(バラツキ)を検出し、瞬時t2からエンジントルク学習要求が消失する瞬時t3までの間において、エンジントルクのズレ(バラツキ)を検出する。
ステップS5においては、ステップS4で検出したエンジン動作点(エンジントルク指令値およびエンジン回転数指令値)ごとのエンジントルクのズレ(バラツキ)およびエンジントルク応答のズレ(バラツキ)を記憶する。
次のステップS6においては、対応動作点におけるエンジントルク生成のための空気量を、ステップS5で記憶したエンジントルクのズレ(バラツキ)およびエンジントルク応答のズレ(バラツキ)に応じ、これらのズレ(バラツキ)が解消されるよう補正して、エンジントルクの学習補正を完了する。
ステップS1で運転者による外部からの学習開始要求がなかったと判定する場合、ステップS2およびステップS3に代え、ステップS7〜ステップS9を経由して制御をステップS4〜ステップS6に進めることで、以下のようにエンジントルクの学習補正を遂行する。
ステップS7では、エンジン1が始動状態であり、且つモータ/ジェネレータ5がエンジン回転数制御状態であり、且つステップS2につき前述した通りモータ/ジェネレータ5の入力トルクおよびバッテリBATの電力制限状態が、学習補正に必要なエンジンのトルク変化および回転数変化を生起させ得る余裕代を持っていて、モータ/ジェネレータ5およびバッテリBATが学習補正を行い得る状態であるか否かを判定する。
ステップS7で上記3要件の1つでも満たされない場合は、上記エンジントルクの学習補正を行い得ないか、行い得ても学習補正が不正確になるから、ステップS8、ステップS9、およびステップS4〜ステップS6を実行することなく制御をそのまま終了させることにより、エンジントルクの学習補正を行わないこととする。
ステップS7で上記3要件の全てが満足されて、通常走行中の学習が可能である場合は、以下のようにしてエンジントルクの学習補正を行う。
つまり,まずステップS8において、未だエンジントルクの学習が済んでいない運転領域(動作点)が有るか否かをチェックし、学習未実施領域(動作点)がなければ、制御をそのまま終了させてエンジントルクの学習補正を完了し、学習未実施領域(動作点)があれば制御をステップS9以降に進めて、エンジントルクの学習補正を以下のように行う。
ステップS9においては、エンジン回転数指令値およびエンジントルク指令値をそれぞれ、学習未実施領域(動作点)に符合するエンジン回転数およびエンジントルクへと切り替え、エンジン1を学習未実施領域(動作点)で運転させるようにする。
かようにエンジン1を学習未実施領域(動作点)で運転させた状態で、ステップS4においては、当該学習未実施領域(動作点)での運転中におけるモータ/ジェネレータトルクと、エンジントルク指令値との差から、つまりエンジントルク指令値に対するモータ/ジェネレータトルクの差から、エンジントルクのズレ(バラツキ)およびエンジントルク応答のズレ(バラツキ)を、図4に基づき説明したように検出する。
次のステップS5においては、ステップS4で検出した、学習未実施領域(動作点)のエンジントルクのズレ(バラツキ)およびエンジントルク応答のズレ(バラツキ)を記憶する。
その後ステップS6において、学習未実施領域(動作点)におけるエンジントルク生成のための空気量を、ステップS5で記憶したエンジントルクのズレ(バラツキ)およびエンジントルク応答のズレ(バラツキ)に応じ、これらのズレ(バラツキ)が解消されるよう補正して、エンジントルクの学習補正を完了する。
<実施例の効果>
上記した本発明によるハイブリッド車両のエンジントルク補正装置にあっては、
特許文献2のようにエンジン吸気量を介さず、モータ/ジェネレータ5によるエンジン回転数制御中におけるモータ/ジェネレータトルク値およびエンジントルク指令値から、エンジントルクおよび/またはエンジンフリクションのバラツキを推定し、当該バラツキに基づきエンジントルクを学習補正する構成のため(ステップS3〜ステップS6)、
当該エンジントルクの学習補正を遅滞なく、しかも高精度に行うことができ、エンジントルクをパワートレーンのバラツキやオイルなど車両使用環境の差にかかわらず、常に正確に指令値に一致させることができる。
しかも、上記エンジントルクの学習補正を、エンジン1およびモータ/ジェネレータ5間が第1クラッチ6により直結された状態でモータ/ジェネレータ5がエンジン1を回転数制御している間に行うことから(ステップS3)、停車状態でのエンジンアイドル運転中は勿論のこと、それ以外の如何なる走行中でもエンジントルクの学習補正を行い得ることとなり、学習頻度の高さとも相まって高精度な学習を実現することができる。
また本実施例では上記の通り、エンジントルクの高精度な学習補正が可能であることによって、ハイブリッド車両がハイブリッド(HEV)モードでの走行中エンジン駆動されるモータ/ジェネレータの発電によりバッテリBATへの充電を行う際のエンジントルクも指令値通りに制御し得ることとなり、バッテリBATが充電不足になったり、過充電状態になるのを回避することができる。
更に、特許文献2のエンジントルク補正技術では、吸気量補正によるトルク補正であるため、学習補正によるトルク制御応答が悪くてエンジントルクの学習制御に長時間を要するという問題や、学習のためにわざわざエンジンを始動し、当該エンジンを無負荷状態でアイドル運転させる必要があり、エネルギーマネジメントや燃費の悪化を招くだけでなく、上記わざわざのエンジン始動および無負荷アイドル運転が運転者に大いなる違和感を抱かせるという問題を生ずるが、本実施例のエンジントルク補正技術では、上記したと同じ理由によってこれらの問題を全て解消することができる。
またステップS2につき前述した通り、モータ/ジェネレータ5の入力トルクおよびバッテリBATの電力制限状態が、上記学習補正に必要なエンジンのトルク変化および回転数変化を生起させ得る余裕代を持っていない場合は、エンジントルクの学習補正を行わないこととし、上記の余裕代があることを条件としてエンジントルクの学習補正を行うことから、
上記学習補正を行い得ないのに、これが実行されて誤学習となる弊害を回避することができる。
また、学習未実施領域(動作点)があると判定する場合(ステップS8)、エンジン回転数指令値およびエンジントルク指令値をそれぞれ、学習未実施領域(動作点)に符合するエンジン回転数およびエンジントルクへと切り替え、エンジン1を学習未実施領域(動作点)で運転させるため(ステップS9)、学習未実施領域(動作点)に係わるエンジントルクの学習補正も可能となり、エンジントルクの学習補正が行われる学習実施領域(動作点)の拡大によって、上記の作用効果を広範な領域で享受することができる。
更に、図3に示した本実施例によるエンジントルクの学習補正は、車両の走行中に自動的にエンジン動作点ごとに行われるが、手動操作により学習するエンジン動作点を選択できるようにしておけば、ステップS1での判定時に当該手動選択されたエンジン動作点をも判定することで、停車中にも手動選択されたエンジン動作点ごとにエンジントルクの学習補正を行うことができる。
この場合、車両の走行中にエンジントルクの学習補正が行われなかったとしても、これを、停車中の学習補正によって補うことができる。
また本実施例によれば、ステップS3〜ステップS6につき前述した通り、モータ/ジェネレータ5によるエンジン回転数制御中に、モータ/ジェネレータ5のトルク絶対値と、エンジントルク指令の絶対値との差分を、エンジントルクおよび/またはエンジンフリクションのバラツキとして推定し、この差分をエンジントルクの学習補正値とするため、学習の精度を更に高めて上記の効果を一層顕著なものにすることができる。
更に本実施例では、エンジントルク指令を変化させた場合における、エンジントルク規範応答と、エンジン回転数制御中におけるモータ/ジェネレータのモータトルク応答との差分を、エンジントルクのバラツキとして推定し、この差分をエンジントルクの学習補正値とすることもでき、この場合、トルク応答の規範値に対するズレ(バラツキ)に対する学習補正も可能となって、更に有用である。
1 エンジン
2L,2R 左右後輪
3L,3R 左右前輪
4 自動変速機
5 モータ/ジェネレータ
BAT バッテリ
INV インバータ
6 第1クラッチ
7 第2クラッチ
8 トランスファ
13 エンジン回転センサ
14 モータ/ジェネレータ回転センサ
15 変速機入力回転センサ
16 変速機出力回転センサ
17 アクセル開度センサ
18 蓄電状態センサ
19 イグニッションスイッチ
20 統合コントローラ
21 エンジンコントローラ
22 モータ/ジェネレータコントローラ

Claims (6)

  1. 動力源としてエンジンおよびモータ/ジェネレータを具え、これらエンジンおよびモータ/ジェネレータ間を第1クラッチにより結合可能となし、モータ/ジェネレータおよび車輪間を第2クラッチにより結合可能となし、前記第1クラッチおよび第2クラッチの締結・解放制御により、前記エンジンおよびモータ/ジェネレータのうち、モータ/ジェネレータのみによる電気走行を行うか、エンジンおよびモータ/ジェネレータの双方によるハイブリッド走行を行うかを選択可能なハイブリッド車両において、
    前記第1クラッチによりエンジンおよびモータ/ジェネレータを相互に結合した状態でモータ/ジェネレータによりエンジンを回転数制御している間、前記モータ/ジェネレータのトルク情報、および前記エンジンのトルク指令情報から、エンジントルクおよび/またはエンジンフリクションのバラツキを学習し、該学習したバラツキに基づきエンジントルクを補正するよう構成したことを特徴とするハイブリッド車両のエンジントルク補正装置。
  2. 請求項1に記載のハイブリッド車両のエンジントルク補正装置において、
    前記モータ/ジェネレータの入力トルク、および該モータ/ジェネレータへ電力を供給するバッテリの電力制限状態が、前記バラツキの学習に必要なエンジンのトルク変化および回転数変化を生起させ得る余裕代を持っているか否かを判定し、該余裕代があることを条件として前記バラツキの学習および前記エンジントルクの補正を行うよう構成したことを特徴とするハイブリッド車両のエンジントルク補正装置。
  3. 請求項1または2に記載のハイブリッド車両のエンジントルク補正装置において、
    前記バラツキの学習および前記エンジントルクの補正を、エンジントルク指令値およびエンジン回転数指令値で規定されたエンジン動作点ごとに行い、前記バラツキの学習が未だなされていない未学習エンジン動作点における前記バラツキの学習および前記エンジントルクの補正が生起されるよう、前記モータ/ジェネレータをエンジン回転数制御状態へ切り替えると共に前記エンジントルク指令値およびエンジン回転数指令値を前記未学習エンジン動作点のエンジントルク指令値およびエンジン回転数指令値へ切り替えるよう構成したことを特徴とするハイブリッド車両のエンジントルク補正装置。
  4. 請求項3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両のエンジントルク補正装置において、
    前記バラツキの学習および前記エンジントルクの補正は、車両の走行中に自動的に前記エンジン動作点ごとに行うほか、停車中にも手動操作により選択されたエンジン動作点において行うよう構成したことを特徴とするハイブリッド車両のエンジントルク補正装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のハイブリッド車両のエンジントルク補正装置において、
    前記モータ/ジェネレータによるエンジン回転数制御中における該モータ/ジェネレータのトルク情報絶対値と、前記エンジンのトルク指令情報絶対値との差分を、前記エンジントルクおよび/またはエンジンフリクションのバラツキとして学習し、該差分を前記エンジントルクの補正のための補正値とするよう構成したことを特徴とするハイブリッド車両のエンジントルク補正装置。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のハイブリッド車両のエンジントルク補正装置において、
    前記エンジンへのトルク指令を変化させた場合における、エンジントルク規範応答と、前記エンジン回転数制御中におけるモータ/ジェネレータのモータトルク応答との差分を、前記エンジントルクのバラツキとして学習し、該差分を前記エンジントルクの補正のための補正値とするよう構成したことを特徴とするハイブリッド車両のエンジントルク補正装置。
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