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JP6488069B2 - 感光性熱硬化性樹脂組成物およびフレキシブルプリント配線板 - Google Patents

感光性熱硬化性樹脂組成物およびフレキシブルプリント配線板 Download PDF

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JP6488069B2
JP6488069B2 JP2013225870A JP2013225870A JP6488069B2 JP 6488069 B2 JP6488069 B2 JP 6488069B2 JP 2013225870 A JP2013225870 A JP 2013225870A JP 2013225870 A JP2013225870 A JP 2013225870A JP 6488069 B2 JP6488069 B2 JP 6488069B2
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直之 小池
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Description

本発明は、感光性熱硬化性樹脂組成物およびフレキシブルプリント配線板に関し、詳しくは、アルカリによる現像が可能であり、耐熱性および屈曲性に優れ、かつ、光照射後加熱硬化時の温度・時間管理が容易な感光性熱硬化性樹脂組成物および該感光性熱硬化性樹脂組成物の硬化物を備えたフレキシブルプリント配線板に関する。
近年、スマートフォンやタブレット端末の普及と性能の向上が急速に進行している。これらに代表される情報機器端末は、小型化、薄型化への消費者の要求が高く、その要求に応えるべく、製品内部の回路基板の高密度化、省スペース化が必要となっている。そのため、折り曲げての収納が可能で、回路配置の自由度を高めることのできるフレキシブルプリント配線板の用途が拡大しており、フレキシブルプリント配線板に対する信頼性もこれまで以上に高いものが求められている。
現在、フレキシブルプリント配線板の絶縁信頼性を確保するための絶縁膜として、折り曲げ部(屈曲部)には、ポリイミドをベースとしたカバーレイが用いられ、実装部(非屈曲部)には、感光性樹脂組成物を用いた混載プロセスが広く採用されている(特許文献1、2参照)。ポリイミドは、耐熱性および屈曲性などの機械的特性に優れ、一方、実装部に用いられる感光性樹脂組成物は、電気絶縁性やはんだ耐熱性などに優れ微細加工が可能であるという特性を有する。
従来のポリイミドをベースとしたカバーレイでは、金型打ち抜きによる加工を必要とするため、微細配線には不向きである。そのため、微細配線が必要となるチップ実装部には、フォトリソグラフィーによる加工ができるアルカリ現像型の感光性樹脂組成物(ソルダーレジスト)を部分的に併用することが行われている。フレキシブルプリント配線板の製造においてこのような樹脂組成物の部分的な使い分けをする場合、カバーレイを貼り合わせる工程とソルダーレジストを形成する工程の2つの工程を経ることになり、コストと作業性に劣るという問題があった。
特開昭62−263692号公報 特開昭63−110224号公報
そこで従来から、混載プロセスによらないフレキシブルプリント配線板の絶縁膜の検討がなされている。例えば、ソルダーレジスト用の感光性樹脂組成物をフレキシブルプリント配線板のカバーレイとして適用することが検討されているが、ソルダーレジスト用の樹脂組成物では、カバーレイとしての耐衝撃性や屈曲性などの信頼性が不十分である。ソルダーレジスト用の樹脂組成物では、アクリル系の光重合による硬化収縮も伴うため、フレキシブル配線板の反りなど寸法安定性にも課題があった。
また、アルカリ溶解性と機械特性が両立できる感光性ポリイミドとして、ポリイミド前駆体を利用し、パターニングした後に熱閉環する方法も提案されているが、高温処理を必要とするなど作業性に問題があった。
そこで本発明の目的は、耐衝撃性や屈曲性などの信頼性と加工精度、作業性に優れ、フレキシブルプリント配線板の絶縁膜、特に折り曲げ部(屈曲部)と実装部(非屈曲部)の一括形成プロセスに好適な感光性熱硬化性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂、光塩基発生剤および熱硬化成分を含む樹脂組成物が上記課題を解決しうることを見出した。
即ち、光照射によって光塩基発生剤が活性化し、発生した塩基を触媒としてイミド環を有するアルカリ可溶性樹脂と熱硬化成分とを、加熱によって付加反応させることにより、未露光部分のみをアルカリ溶液によって除去することが可能となることが見出された。これによって、アルカリ現像による微細加工が可能となる一方、信頼性に優れた硬化物を得ることが期待できる。
一方、光照射後の加熱硬化反応において、加熱温度や加熱時間の幅を広げることができれば、より作業性に優れた樹脂組成物となることから、本発明者らは、さらなる検討を重ねた結果、以下のことを見出し本発明を完成するに至った。即ち、イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂、光塩基発生剤および熱硬化成分に加えて、アルカリ可溶性樹脂を含む感光性熱硬化性樹脂組成物とすることにより、上記特性に加えて、より作業性に優れた感光性熱硬化性樹脂組成物を得ることができる。
本発明は、以下の[1]〜[7]である。
[1]イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂、アルカリ可溶性樹脂、光塩基発生剤及び熱硬化成分を含むことを特徴とする感光性熱硬化性樹脂組成物。
[2]前記アルカリ可溶性樹脂が、構造中にウレタン結合、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビフェニル骨格のいずれか1種以上を有することを特徴とする[1]の感光性熱硬化性樹脂組成物。
[3]前記アルカリ可溶性樹脂の含有量が、イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂100質量部に対して10〜70質量部であることを特徴とする[1]または[2]の感光性熱硬化性樹脂組成物。
[4]前記熱硬化成分が、環状エーテル基および環状チオエーテル基のいずれか1種以上を有する化合物であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかの感光性熱硬化性樹脂組成物。
[5][1]〜[4]のいずれかの感光性熱硬化性樹脂組成物を塗布・乾燥してなることを特徴とするドライフィルム
[6][1]〜[4]のいずれかの感光性熱硬化性樹脂組成物または該組成物を塗布・乾燥してなるドライフィルムを硬化して得られることを特徴とする硬化塗膜。
[7][1]〜[4]のいずれかの感光性熱硬化性樹脂組成物または該組成物を塗布・乾燥してなるドライフィルムを硬化して得られる硬化塗膜を有することを特徴とするプリント配線板。
本発明により、アルカリによる現像が可能であり、耐熱性および屈曲性に優れ、かつ、光照射後加熱硬化時の温度・時間管理が容易な感光性熱硬化性樹脂組成物、および、該感光性熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を有するドライフィルム、該感光性熱硬化性樹脂組成物の硬化物を備えたフレキシブルプリント配線板を提供することが可能となる。本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物は、フレキシブルプリント配線板の絶縁膜、特に折り曲げ部(屈曲部)と実装部(非屈曲部)の一括形成プロセスに好適である。
本発明のフレキシブルプリント配線板の製造方法の一例を模式的に示す工程図である。 参考例3、6の結果を示すDSCチャートである。
本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物は、イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂、アルカリ可溶性樹脂、光塩基発生剤及び熱硬化成分を含むことを特徴とするものである。
本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物は、光塩基発生剤から生じる塩基を触媒として、イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂と熱硬化成分とを露光後の加熱によって付加反応をさせ、未露光部分をアルカリ溶液によって除去することによって現像が可能となる樹脂組成物である。
後述するように、イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂以外のアルカリ可溶性樹脂、特に、ウレタン結合、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビフェニル骨格のいずれか1種以上を有するアルカリ可溶性樹脂が存在すると、存在しない場合に比べて、露光後の加熱硬化反応時(下記PEB工程時)において同一の加熱温度下での、付加反応によりアルカリ耐性となるまでの時間を長くすることができる。また、加熱硬化反応時(下記PEB工程時)の加熱温度の選択幅を広げることができる。これらのことから、樹脂組成物の作業性、取扱性が向上する。未露光部がアルカリ耐性となる、いわゆるかぶりの発生を抑制することもできる。
本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物は、フレキシブルプリント配線板の樹脂絶縁層、例えば、カバーレイ、ソルダーレジスト、に好適である。
本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物を用いてフレキシブルプリント配線板の樹脂絶縁層を形成する場合、好適な製造方法は、下記のようになる。即ち、フレキシブルプリント配線板上に本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を形成する工程、パターン状に光を樹脂層に照射する工程、樹脂層を加熱する工程(Post Exposure Bake;PEBとも称する)、及び、樹脂層をアルカリ現像して、パターンを有する樹脂絶縁層を形成する工程を含む製造方法である。必要に応じて、アルカリ現像後、さらなる光照射や加熱硬化(ポストキュア)を行い、樹脂組成物を完全硬化させて信頼性の高い樹脂絶縁層を得る。
このように、本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物は、好適には、選択的な光照射後の加熱処理により、カルボキシル基と熱硬化成分とが付加反応することによって、アルカリ現像によるネガ型のパターン形成が可能となるものである。
得られる硬化物が耐熱性および屈曲性に優れ、かつ、アルカリ現像により微細加工が可能であることから、ポリイミドに対してアルカリ現像型の感光性樹脂組成物を部分的に併用する必要がなく、フレキシブルプリント配線板の折り曲げ部(屈曲部)と実装部(非屈曲部)のいずれにも用いることができ、折り曲げ部(屈曲部)と実装部(非屈曲部)の一括形成プロセスに好適である。
以下、各成分について詳述する。
[イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂]
本発明において、イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基や酸無水物基などのアルカリ溶解性基とイミド環を有し、未硬化の状態ではアルカリ溶液に可溶である樹脂である。
イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂は、イミド環として下記式(1)で表される部分構造を有することが好ましい。式(1)中、Rが芳香環を含むものであることが好ましい。
Figure 0006488069
上記式(1)で表される部分構造は、下記式(2)または(3)で表されるものであることがより好ましい。
Figure 0006488069
Figure 0006488069
カルボキシル基の位置は特に限定されない。上記イミド環もしくはそれと結合する基の置換基としてカルボキシル基が存在してもよく、アミン成分やイソシアネート成分として、カルボキシル基を有するものを用いて合成することによってカルボキシル基をポリイミド樹脂に導入してもよい。
イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂の合成には公知慣用の手法を用いることができる。例えば、カルボン酸無水物成分とアミン成分及び/又はイソシアネート成分とを反応させて得られる樹脂が挙げられる。イミド化は熱イミド化で行っても、化学イミド化で行ってもよく、またこれらを併用して製造してもよい。
カルボン酸無水物成分としては、テトラカルボン酸無水物やトリカルボン酸無水物などが挙げられるが、これらの酸無水物に限定されるものではなく、アミノ基やイソシアネート基と反応する酸無水物基およびカルボキシル基を有する化合物であれば、その誘導体を含め用いることができる。また、これらのカルボン酸無水物成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
テトラカルボン酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3−フルオロピロメリット酸二無水物、3,6−ジフルオロピロメリット酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、2,2’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、および2,2’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’”,4,4’”−クァテルフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3””,4,4””−キンクフェニルテトラカルボン酸二無水物、メチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1−エチニリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、2,2−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,2−エチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,3−トリメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,4−テトラメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,5−ペンタメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−へキサフルオロプロパン二無水物、ジフルオロメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2−テトラフルオロ−1,2−エチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1,3−トリメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロ−1,4−テトラメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロ−1,5−ペンタメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、チオ−4,4’−ジフタル酸二無水物、スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルシロキサン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,3−ビス〔2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン二無水物、1,4−ビス〔2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン二無水物、ビス〔3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕メタン二無水物、ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕メタンニ無水物、2,2−ビス〔3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、2,2−ビス〔3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジメチルシラン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、カルボニル−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、メチレン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,2−エチレン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,1−エチニリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、2,2−プロピリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、オキシ−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、チオ−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、スルホニル−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、3,3’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、9−フェニル−9−(トリフルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(トリフルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ〔2,2,2〕オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシ)フェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシ)フェニル〕フルオレン二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,3−(トリメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,4−(テトラメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,5−(ペンタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,6−(ヘキサメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,7−(ヘプタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,8−(オクタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,9−(ノナメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,12−(ドデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,16−(ヘキサデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,18−(オクタデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)などが挙げられる。
トリカルボン酸無水物としては、例えば、トリメリット酸無水物や核水添トリメリット酸無水物などが挙げられる。
アミン成分としては、脂肪族ジアミンや芳香族ジアミンなどのジアミン、脂肪族ポリエーテルアミンなどの多価アミンを用いることができるが、これらのアミンに限定されるものではない。また、これらのアミン成分は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。
ジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン(PPD)、1,3−ジアミノベンゼン、2,4−トルエンジアミン、2,5−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミンなどのベンゼン核1つのジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどのジアミノジフェニルエーテル類、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン(o−トリジン)、2,2’−ジメチルベンジジン(m−トリジン)、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジメトキシベンジジン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどのベンゼン核2つのジアミン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)−4−トリフルオロメチルベンゼン、3,3’−ジアミノ−4−(4−フェニル)フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジ(4−フェニルフェノキシ)ベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3−ビス〔2−(4−アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(3−アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(4−アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼンなどのベンゼン核3つのジアミン、3,3’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンなどのベンゼン核4つのジアミンなどの芳香族ジアミン、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン等の脂肪族ジアミンが挙げられ、脂肪族ポリエーテルアミンとしては、エチレングリコール及び/又はプロピレングリコール系の多価アミン等が挙げられる。また、下記の様に、カルボキシル基を有するアミンを用いることもできる。カルボキシル基を有するアミンとしては、3,5−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノ安息香酸、3,4−ジアミノ安息香酸等のジアミノ安息香酸類、3,5-ビス(3-アミノフェノキシ)安息香酸、3,5-ビス(4-アミノフェノキシ)安息香酸等のアミノフェノキシ安息香酸類、3,3‘−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4‘−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシビフェニル、4,4‘−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシビフェニル、4,4‘−ジアミノ−2,2’,5,5‘−テトラカルボキシビフェニル等のカルボキシビフェニル化合物類、3,3’−ジアミノ−4,4‘−ジカルボキシジフェニルメタン、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[3−アミノ−4−カルボキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−アミノ−3−カルボキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−カルボキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2‘,5,5’−テトラカルボキシジフェニルメタン等のカルボキシジフェニルメタン等のカルボキシジフェニルアルカン類、3,3‘−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4‘−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4‘−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4‘−ジアミノ−2,2’,5,5‘−テトラカルボキシジフェニルエーテル等のカルボキシジフェニルエーテル化合物、3,3’−ジアミノ−4,4‘−ジカルボキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−3,3‘−ジカルボキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−2,2‘−ジカルボキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−2,2‘,5,5’−テトラカルボキシジフェニルスルフォン等のジフェニルスルフォン化合物、2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−カルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン等のビス[(カルボキシフェニル)フェニル]アルカン化合物類、2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−カルボキシフェノキシ)フェニル]スルフォン等のビス[(カルボキシフェノキシ)フェニル]スルフォン化合物等を挙げることができる。
イソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネート及びその異性体や多量体、脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類及びその異性体などのジイソシアネートやその他汎用のジイソシアネート類を用いることができるが、これらのイソシアネートに限定されるものではない。また、これらのイソシアネート成分は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。
ジイソシアネートとして、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、ジフェニルスルホンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート及びその異性体、多量体、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシシレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類、あるいは前記芳香族ジイソシアネートを水添した脂環式ジイソシアネート類及び異性体、もしくはその他汎用のジイソシアネート類が挙げられる。
イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂はアミド結合を有していてもよい。これはイソシアネートとカルボン酸を反応させて得られるアミド結合であってもよく、それ以外の反応によるものでもよい。さらにその他の付加および縮合からなる結合を有していてもよい。
イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂の合成には、公知慣用のカルボキシル基及び/又は酸無水物基を有するアルカリ溶解性ポリマー、オリゴマー、モノマーを用いてもよく、例えばこれらの公知慣用のアルカリ溶解性樹脂類を単独でもしくは上記のカルボン酸無水物成分と組み合わせて、上記のアミン/イソシアネート類と反応させて得られる樹脂であってもよい。
イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂は、アルカリ現像工程に対応するために、その酸価が20〜200mgKOH/gであることが好ましく、より好適には60〜150mgKOH/gであることが好ましい。この酸価が20mgKOH/g以上の場合、アルカリに対する溶解性が増加し、現像性が良好となり、さらには、光照射後の熱硬化成分との架橋度が高くなるため、十分な現像コントラストを得ることができる。また、この酸価が200mgKOH/g以下の場合には、後述する光照射後のPEB(POST EXPOSURE BAKE)工程でのいわゆる熱かぶりを抑制でき、プロセスマージンが大きくなる。
また、イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂の分子量は、現像性と硬化塗膜特性を考慮すると、質量平均分子量1,000〜100,000が好ましく、さらに2,000〜50,000がより好ましい。
この分子量が1,000以上の場合、露光・PEB後に十分な耐現像性と硬化物性を得ることができる。また、分子量が100,000以下の場合、アルカリ溶解性が増加し、現像性が向上する。
[アルカリ可溶性樹脂]
本発明において、アルカリ可溶性樹脂とは、上記イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂以外のアルカリ可溶性樹脂である。アルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基や酸無水物基などのアルカリ溶解性基を有し、未硬化の状態ではアルカリ溶液に可溶である樹脂である。好ましくは、構造中にウレタン結合、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビフェニル骨格のいずれか1種以上を有する。これらの結合ないし骨格を有するアルカリ可溶性樹脂は、イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂よりも、カルボキシル基の反応性が低く、熱硬化成分との付加反応が比較的遅く進行することから、イミド環を有するもの以外のアルカリ可溶性樹脂が存在すると、存在しない場合に比べて、PEB工程時に加熱時間を長くとることができ、また、PEB工程時に加熱温度の選択幅を広げることが可能となる。
また、加熱時のダレ発生防止効果向上の点から、アルカリ可溶性樹脂が分子中にエチレン性不飽和二重結合を有することが好ましい。エチレン性不飽和二重結合としては、(メタ)アクリル酸もしくは(メタ)アクリル酸誘導体由来のものが好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有することにより、本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物を光照射後の現像に続いて加熱硬化させる際に、加熱によって樹脂が溶け出し、現像により形成されたパターンが崩れるという、いわゆるダレの発生を抑制することができる。
本発明のアルカリ可溶性樹脂は、アルカリ可溶性樹脂、エポキシ当量190g/eqのビスフェノールA型エポキシ樹脂、および、オキシムエステル系光塩基発生剤を混合してなる組成物とした場合の未露光時の反応開始温度が75℃以上のものが好ましい。具体的には、アルカリ可溶性樹脂とエポキシ当量約190g/eq(184〜194g/eq)のビスフェノールA型エポキシ樹脂とが、カルボキシル基とエポキシ基が当量比1:1となるように含まれ、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対してオキシムエステル系光塩基発生剤が10質量部含まれる組成物の未露光時の反応開始温度が75℃以上のものが好ましい。
反応開始温度の測定は、上記のようなアルカリ可溶性樹脂、エポキシ樹脂および光塩基発生剤を含む組成物を感光しないように、DSC(示差走査熱量計)測定容器に採取し、DSCにより25℃から200℃(昇温条件5℃/分)における反応熱を測定することにより行う。このように測定して得られたDSCチャート図で示唆走査熱が最小値となる点の温度を反応開始温度とする。
未露光の状態で、カルボキシル基と、熱硬化成分中のカルボキシル基と反応する官能基との反応開始温度が75℃以上であることで、後述するPEB工程における未露光部のアルカリ溶解性を十分に維持することができ、また、PEB工程における加熱温度の選択幅を大きくとることができる。
アルカリ可溶性樹脂の具体例としては、以下に(1)〜(11)として列挙するような化合物(オリゴマー及びポリマーのいずれでもよい)が挙げられる。
(1)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物及びポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基及びアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(2)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物及びジオール化合物の重付加反応による感光性カルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(3)上記(1)又は(2)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子内に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化した感光性カルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(4)上記(1)又は(2)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子内に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化した感光性カルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(5)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。
(6)2官能又はそれ以上の多官能(固形)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に2塩基酸無水物を付加させた感光性カルボキシル基含有樹脂。
(7)2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させた感光性カルボキシル基含有樹脂。
(8)2官能オキセタン樹脂にジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。
(9)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物と、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシド及び/又はエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状カーボネート化合物を反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸で部分エステル化し、得られた反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(10)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物と、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシド及び/又はエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状カーボネート化合物を反応させて得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(11)上記(5)〜(10)の樹脂にさらに1分子内に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリル基を有する化合物を付加してなる感光性カルボキシル基含有樹脂。
アルカリ可溶性樹脂は、その酸価が20〜200mgKOH/gであることが好ましく、より好適には40〜150mgKOH/gである。酸価が上記の範囲内であると、アルカリ溶解性が良好で、アルカリ現像によるパターニングが容易となる。
また、アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量は、1,000〜100000が好ましく、さらに3,000〜50,000が好ましい。分子量が上記の範囲内であると、アルカリ溶解性が良好で、アルカリ現像によるパターニングが容易となる。
アルカリ可溶性樹脂の含有量は、イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂100質量部に対して10〜70質量部であることが好ましい。上記範囲の含有量であることにより、PEB工程時に加熱時間を十分に長くとることができ、また、PEB工程時に加熱温度の選択幅を十分に広げることが可能となる。
[光塩基発生剤]
本発明において用いられる光塩基発生剤は、紫外線や可視光等の光照射により分子構造が変化するか、または、分子が開裂することにより、カルボキシル基と後述する熱硬化成分の付加反応の触媒として機能しうる1種以上の塩基性物質を生成する化合物である。塩基性物質として、例えば2級アミン、3級アミンが挙げられる。
本発明の樹脂組成物がエチレン性不飽和基を系内に有する場合、光照射によるエチレン性不飽和基の重合反応を開始させることができることから、光塩基発生剤の中でも、光照射による活性化の過程でラジカルを生成する光ラジカル重合開始剤としても機能するものが好ましい。
光塩基発生剤として、例えば、α−アミノアセトフェノン化合物、オキシムエステル化合物や、アシルオキシイミノ基,N−ホルミル化芳香族アミノ基、N−アシル化芳香族アミノ基、ニトロベンジルカーバメイト基、アルコオキシベンジルカーバメート基等の置換基を有する化合物等が挙げられる。なかでも、オキシムエステル化合物、α−アミノアセトフェノン化合物が好ましい。α−アミノアセトフェノン化合物としては、特に、2つ以上の窒素原子を有するものが好ましい。
その他の光塩基発生剤として、WPBG-018(商品名:9-anthrylmethylN,N’-diethylcarbamate),WPBG-027(商品名:(E)-1-[3-(2-hydroxyphenyl)-2-propenoyl]piperidine),WPBG-082(商品名:guanidinium2-(3-benzoylphenyl)propionate), WPBG-140 (商品名:1-(anthraquinon-2-yl)ethyl imidazolecarboxylate)等を使用することもできる。
α―アミノアセトフェノン化合物は、分子中にベンゾインエーテル結合を有し、光照射を受けると分子内で開裂が起こり、硬化触媒作用を奏する塩基性物質(アミン)が生成する。α−アミノアセトフェノン化合物の具体例としては、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン(イルガキュア369、商品名、BASFジャパン社製)や4−(メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン(イルガキュア907、商品名、BASFジャパン社製)、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(イルガキュア379、商品名、BASFジャパン社製)などの市販の化合物またはその溶液を用いることができる。
オキシムエステル化合物としては、光照射により塩基性物質を生成する化合物であればいずれをも使用することができる。かかるオキシムエステル化合物としては、市販品として、BASFジャパン社製のCGI−325、イルガキュアーOXE01、イルガキュアーOXE02、アデカ社製N−1919、NCI−831などが挙げられる。また、特許第4344400号公報に記載された、分子内に2個のオキシムエステル基を有する化合物も好適に用いることができる。
その他、特開2004−359639号公報、特開2005−097141号公報、特開2005−220097号公報、特開2006−160634号公報、特開2008−094770号公報、特表2008−509967号公報、特表2009−040762号公報、特開2011−80036号公報記載のカルバゾールオキシムエステル化合物等を挙げることができる。
このような光塩基発生剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の樹脂組成物中の光塩基発生剤の配合量は、好ましくは熱硬化成分100質量部に対して0.1〜40質量部であり、さらに好ましくは、0.1〜30質量部である。0.1質量部以上の場合、光照射部/未照射部の耐現像性のコントラストを良好に得ることができる。また、40質量部以下の場合、硬化物特性が向上する。
[熱硬化成分]
熱硬化成分は、熱によって、カルボキシル基と付加反応が可能な官能基を有するものである。熱硬化成分としては、例えば、環状(チオ)エーテル基を有する化合物が好ましく、エポキシ樹脂、多官能オキセタン化合物等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂は、エポキシ基を有する樹脂であり、公知のものをいずれも使用できる。分子中にエポキシ基を2個有する2官能性エポキシ樹脂、分子中にエポキシ基を多数有する多官能エポキシ樹脂等が挙げられる。なお、水素添加された2官能エポキシ化合物であってもよい。
多官能エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂又はそれらの混合物;ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、ナフタレン基含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂、CTBN変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
その他の液状2官能性エポキシ樹脂としては、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、(3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル)−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、(3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキシルメチル)−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環族エポキシ樹脂を挙げることができる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、熱硬化成分として、マレイミド化合物、ブロックイソシアネート化合物、アミノ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、カルボジイミド樹脂、シクロカーボネート化合物、エピスルフィド樹脂などの公知慣用の化合物を配合してもよい。
熱硬化成分の配合量としては、上記イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂および上記アルカリ可溶性樹脂との当量比(カルボキシル基:エポキシ基などの熱反応性基)が1:0.1〜1:10であることが好ましい。このような配合比の範囲とすることにより、現像が良好となり、容易に微細パターンを形成できる。上記当量比は、1:0.2〜1:5であることがさらに好ましい。
(光ラジカル重合開始剤)
本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物は、上記光塩基発生剤以外に、光ラジカル重合開始剤を含んでいてもよい。光ラジカル重合開始剤としては、光照射によってラジカルを生成する公知の光ラジカル重合開始剤を用いることができる。例えば、上記した光塩基発生剤として機能しうるα−アミノアセトフェノン系光重合開始剤以外のアルキルフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤等を挙げることができる。
(高分子樹脂)
本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物には、得られる硬化物の可撓性、指触乾燥性の向上を目的に慣用公知の高分子樹脂を配合することができる。高分子樹脂としてはセルロース系、ポリエステル系、フェノキシ樹脂系ポリマー、ポリビニルアセタール系、ポリビニルブチラール系、ポリアミド系、ポリアミドイミド系バインダーポリマー、ブロック共重合体、エラストマー等が挙げられる。上記高分子樹脂は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
(無機充填剤)
本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物には、無機充填剤を配合することができる。無機充填剤は、樹脂組成物の硬化物の硬化収縮を抑制し、密着性、硬度などの特性を向上させるために使用される。無機充填剤としては、例えば、硫酸バリウム、無定形シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ノイブルグシリシャスアース等が挙げられる。上記無機充填剤は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
(着色剤)
さらに、本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物には、着色剤を配合することができる。着色剤としては、赤、青、緑、黄、白、黒などの慣用公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよい。
(有機溶剤)
本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物には、樹脂組成物の調製のためや、基材やキャリアフィルムに塗布するための粘度調整のために、有機溶剤を使用することができる。
このような有機溶剤としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤などを挙げることができる。このような有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
(その他の任意成分)
本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じてさらに、感光性モノマー、メルカプト化合物、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの成分を配合することができる。これらは、電子材料の分野において公知の物を使用することができる。また、上記の樹脂組成物には、微粉シリカ、ハイドロタルサイト、有機ベントナイト、モンモリロナイトなどの公知慣用の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤及び/又はレベリング剤、シランカップリング剤、防錆剤などのような公知慣用の添加剤類を配合することができる。
〔ドライフィルム〕
本発明のドライフィルムは、本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を有することを特徴とする。本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物以外の樹脂組成物からなる層も有する多層構造のドライフィルムであってもよい。
ドライフィルム化に際しては、例えば、本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物を有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整し、コンマコーター等の公知の手法でキャリアフィルム上に均一な厚さに塗布する。その後、通常、50〜130℃の温度で1〜30分間乾燥し、キャリアフィルム上に樹脂層を形成する。
キャリアフィルムとしては、プラスチックフィルムが用いられる。キャリアフィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10〜150μmの範囲で適宜選択される。キャリアフィルム上に樹脂層を形成した後、さらに、樹脂層の表面に剥離可能なカバーフィルムを積層してもよい。
〔フレキシブルプリント配線板及びその製造方法〕
本発明のフレキシブルプリント配線板は、感光性熱硬化性樹脂組成物、又は、ドライフィルムの樹脂層からなる硬化物を有することを特徴とするものである。
本発明のフレキシブルプリント配線板の製造方法は、フレキシブルプリント配線板上に感光性熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を形成する工程、パターン状に光を樹脂層に照射する工程、樹脂層を加熱する工程、及び、樹脂層をアルカリ現像して、カバーレイ及びソルダーレジストのうちの少なくともいずれか一方を形成する工程を含む。
[樹脂層形成工程]
この工程では、フレキシブルプリント配線板上に感光性熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を少なくとも一層形成する。
樹脂層の形成方法としては、塗布法と、ラミネート法が挙げられる。
塗布法の場合、スクリーン印刷等の方法により、感光性熱硬化性樹脂組成物をフレキシブルプリント配線板上に塗布し、乾燥することにより樹脂層を形成する。
ラミネート法の場合、まずは、感光性熱硬化性樹脂組成物を有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整し、キャリアフィルム上に塗布、乾燥して樹脂層を有するドライフィルムを作成する。次に、ラミネーター等により樹脂層が、フレキシブルプリント配線板と接触するように貼り合わせた後、キャリアフィルムを剥離する。
また、樹脂層には、他の層を積層させることができる。他の層は、アルカリ現像型感光性樹脂組成物からなることが好ましい。アルカリ現像型感光性樹脂組成物としては、公知の組成物を使用することができ、例えば、カバーレイ用又はソルダーレジスト用の公知の組成物を使用できる。このように他の層を含めた積層構造とすることにより、さらに耐衝撃性と屈曲性に優れた硬化物を得ることができる。
[光照射工程]
この工程は、ネガ型のパターン状に光照射にて樹脂層に含まれる光塩基発生剤を活性化して光照射部を硬化する。この工程では、光照射部で発生した塩基により、光塩基発生剤が不安定化し、塩基が化学的に増殖することにより、樹脂層の深部まで十分硬化できる。
光照射機としては、直接描画装置、メタルハライドランプを搭載した光照射機などを用いることができる。パターン状の光照射用のマスクは、ネガ型のマスクである。
光照射に用いる活性エネルギー線としては、最大波長が350〜450nmの範囲にあるレーザー光又は散乱光を用いることが好ましい。最大波長をこの範囲とすることにより、効率よく光塩基発生剤を活性化させることができる。この範囲のレーザー光を用いていればガスレーザー、固体レーザーのいずれでもよい。また、その光照射量は膜厚等によって異なるが、一般には100〜1500mJ/cmとすることができる。
[加熱工程]
この工程は、光照射後、樹脂層を加熱することにより光照射部を硬化する。この工程により、光照射工程で発生した塩基により深部まで硬化できる。樹脂層をパターン露光処理した後、露光部のカルボキシル基が熱硬化成分の熱反応性官能基と多く付加反応することで耐アルカリ溶解性を発現し、未露光部のカルボキシル基の大部分が熱硬化成分の熱反応性官能基と反応せず、残存することでアルカリ溶解性を維持しうる条件で加熱温度が設定される。そのような観点から、加熱温度は、好ましくは80〜140℃である。加熱時間は、工業的な量産性や工程管理の面から、10〜100分が好ましく、10分〜60分の範囲がより好ましい。
本発明における感光性熱硬化性樹脂組成物の硬化は、例えば、熱反応によるエポキシ樹脂の開環反応であるため、光ラジカル反応で硬化が進行する場合と比べてひずみや硬化収縮を抑えることができる。
[現像工程]
現像工程は、アルカリ現像により、未照射部を除去して、ネガ型のパターン状の絶縁膜、特に、カバーレイ及びソルダーレジストを形成する。
現像方法としては、ディッピング等の公知の方法によることができる。また、現像液としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、アミン類、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAH)等のアルカリ水溶液またはこれらの混合液を用いることができる。
なお、現像工程の後に、さらに、絶縁膜を光照射してもよい。また、例えば、150℃以上で加熱してもよい。
次に、本発明の樹脂組成物から本発明のフレキシブルプリント配線板を製造する方法の一例を図1の工程図に基づき説明する。なお、図1では、樹脂層が積層構造である場合を示すが、1層のみからなる場合でもよい。
図1の積層工程は、樹脂層3と樹脂層4からなる積層構造体を、銅回路2が形成されたフレキシブルプリント配線基材1に形成する。
樹脂層3は、カルボキシル基を有するウレタン樹脂、カルボキシル基を有する樹脂および光塩基発生剤を含むアルカリ現像型光硬化性熱硬化性樹脂組成物からなる。
樹脂層4は、樹脂層3上に形成され、1分子中に1個以上のイミド環と1個以上のカルボキシル基とを有するアルカリ可溶性樹脂、アルカリ可溶性樹脂、光塩基発生剤、及び熱硬化成分を含む本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物からなる。
図1の光照射工程は、樹脂層4上にマスク5を配置し、ネガ型のパターン状に光照射することにより、各樹脂層に含まれる光塩基発生剤を活性化して光照射部を硬化する工程である。図1の加熱工程は、光照射工程の後、樹脂層を加熱することにより、光照射部を硬化する工程(PEB工程)である。図1の現像工程は、アルカリ性水溶液によって現像することにより、未照射部が除去され、ネガ型のパターン層を形成する工程である。
なお、図1の第2光照射工程は、必要に応じて、残った光塩基発生剤を活性化して塩基を発生させるための工程であり、熱硬化工程は、必要に応じて、パターン層を十分に熱硬化させるための工程である。
以下、実施例、比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例、比較例によって制限されるものではない。
<イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂の合成例>
撹拌機、窒素導入管、分留環、冷却環を取り付けたセパラブル3つ口フラスコに、3,5−ジアミノ安息香酸を12.5g、2,2’−ビス[4―(4―アミノフェノキシ)フェニル]プロパンを8.2g、NMPを30g、γ−ブチロラクトンを30g、4,4’オキシジフタル酸無水物を27.9g、トリメリット酸無水物を3.8g加え、窒素雰囲気下、室温、100rpmで4時間撹拌した。次いでトルエンを20g加え、シリコン浴温度180℃、150rpmでトルエン及び水を留去しながら4時間撹拌してイミド環含有アルカリ可溶性樹脂溶液を得た。
<アルカリ可溶性樹脂の反応開始温度の測定>
各アルカリ可溶性樹脂と、熱硬化成分(エポキシ当量が約190g/eqのビスフェノールA型エポキシ樹脂、製品名:E828、三菱化学社製)とを、カルボキシル基とエポキシ基とが当量比1:1となるように混合し、さらにオキシムエステル系光塩基発生剤(イルガキュアOXE−02、BASF社製)をアルカリ可溶性樹脂100質量部に対して10質量部混合し、試料とした。各試料5mgを感光しないようにDSC測定容器(セイコーインスツル社製 DSC6200)に採取し、25℃から200℃(昇温5℃/min)における反応熱を測定し、カルボキシル基とエポキシ基の反応による発熱反応の開始温度を解析し、示差走査熱の最少値を反応開始温度とした。結果を下記表1に示す。また、アルカリ可溶性樹脂3、アルカリ可溶性樹脂6の測定結果については、図2にDSCチャートを示す。
Figure 0006488069
[実施例1〜7、比較例1〜3]
<樹脂組成物の調製>
下記表2記載の配合に従って、実施例、比較例に記載の材料をそれぞれ配合、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルにて混練し、アルカリ現像型光硬化性熱硬化性樹脂組成物を調製した。表中の値は、特に断りが無い限り固形分(質量部)である。
<樹脂層の形成工程>
銅厚18μmで回路が形成されているフレキシブルプリント配線基材を用意し、メック社CZ−8100を使用して、前処理を行った。その後、前記前処理を行ったフレキシブルプリント配線板に、実施例1〜7、比較例1〜5の樹脂組成物を液状塗布方法にて乾燥後で20μmになるようにコーティングを行った。その後、熱風循環式乾燥炉にて80℃、30分にて乾燥し、樹脂層を形成した。その後、ORC社HMW680GW(メタルハライドランプ、散乱光)にて500mJ/cmの露光量でネガ型のパターン状に光照射した。
<PEB工程の時間管理幅評価>
上記の樹脂層の形成工程により得られた露光後の樹脂層を有する基板を、90℃でそれぞれ20分、30分、40分、50分、60分、70分、80分、90分、100分、110分、120分間の加熱処理を行った。その後、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液中に加熱処理後の基板を浸漬して5分間現像を行い、現像性の可否を評価し、露光部が耐現像性を有する、即ち、膜減りが見られない加熱処理時間Aから、未露光部が現像で完全に除去できなくなる加熱処理時間Bまでの時間幅(B−A)を計算した。数値が多いほど、PEB工程の時間管理幅が大きく、取扱い性に優れる。
<PEB工程の温度による現像性評価>
上記の樹脂層の形成工程により得られた露光後の樹脂層を有する基板を、80℃60分、90℃30分、100℃15分間加熱処理を行った。その後30℃の1質量%の炭酸ナトリウム水溶液中に基板を浸漬して5分間現像を行い、パターン形成の可否を評価した。評価基準は下記の通り。
OK:露光部が耐現像性、未露光部が現像性を示し、パターン形成良好。
NG※1:露光部が現像液に溶解するためパターン形成不可。
NG※2:未露光部が現像液に溶解しないためパターン形成不可。
Figure 0006488069
※イミド環含有アルカリ可溶性樹脂:上記イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂の合成例にて合成したもの。酸価86mgKOH/g、Mw10000
※アルカリ可溶性樹脂1:カルボキシル基含有ポリウレタン(根上工業社製)、酸価50mgKOH/g
※アルカリ可溶性樹脂2:ポリウレタンアクリレート(共栄社化学社製)、酸価47mgKOH/g
※アルカリ可溶性樹脂3:ビスフェノールF型アクリレート樹脂(日本化薬社製)、酸価98mgKOH/g
※アルカリ可溶性樹脂4:ビスフェノールA型アクリレート樹脂(日本化薬社製)、酸価98mgKOH/g
※アルカリ可溶性樹脂5:ビフェニル型アクリレート樹脂(日本化薬社製)、酸価98mgKOH/g
※アルカリ可溶性樹脂6:フェノールノボラック型アクリレート樹脂(日本化薬社製)、酸価98mgKOH/g
※E828:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製)、エポキシ当量190g/eq
※イルガキュアOXE−2:オキシムエステル系光塩基発生剤(BASFジャパン社製)
表1に示す評価結果から明らかなように、実施例1〜7の感光性熱硬化性樹脂組成物は、PEB工程の時間管理幅が大きく、80℃、90℃、100℃のいずれの温度での露光後加熱処理であっても現像性が良好であった。
1 フレキシブルプリント配線基材
2 銅回路
3 樹脂層
4 樹脂層
5 マスク
6 アルカリ可溶性樹脂3+Bis−A エポキシ樹脂
7 アルカリ可溶性樹脂6+Bis−A エポキシ樹脂

Claims (3)

  1. イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂、該イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂以外のアルカリ可溶性樹脂、オキシムエステル系光塩基発生剤及び熱硬化成分を含み、
    前記イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂は、カルボン酸無水物成分とアミン成分及び/又はイソシアネート成分との反応物からなるアルカリ溶解性基を有する樹脂であり、
    前記イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂以外のアルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基を有し、さらに、構造中にウレタン結合、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビフェニル骨格のいずれか1種以上を有するものであり、その含有量は、前記イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂100重量部に対して10〜70重量部であり、
    前記熱硬化成分は、前記イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂及び前記イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂以外のアルカリ可溶性樹脂のカルボキシル基と熱付加反応が可能な官能基を有するものである、感光性熱硬化性樹脂組成物に対し
    光照射によって前記オキシムエステル系光塩基発生剤を活性化し、発生した塩基を触媒として前記イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂及び前記イミド環を有するアルカリ可溶性樹脂以外のアルカリ可溶性樹脂と、前記熱硬化成分とを、加熱によって付加反応させ、その後にアルカリ現像による微細加工をすることを特徴とする感光性熱硬化性樹脂組成物を用いたパターン形成方法
  2. 前記熱硬化成分が、環状エーテル基および環状チオエーテル基のいずれか1種以上を有する化合物であることを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法
  3. 前記感光性熱硬化性樹脂組成物が、フィルム上に塗布・乾燥してなるドライフィルムを構成する樹脂層である請求項1または2記載のパターン形成方法
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