JP6480664B2 - ハイブリッド型トルク伝達機構 - Google Patents

Description

本発明は、トルク伝達システム、特にハイブリッド型トルク伝達システムに関する。

トルク伝達機構は、例えば医療分野において使用される手術用電動カッターのような、多くの用途に用いられる。一般的な伝達機構は、（例えば遊星型ギアボックス）又は電動モータの出力端部に取り付けられて、該ギアボックス又はモータからの動力を、ブレード、送風機、又は車輪のような用途に伝達することができるようにする出力ギアを備える。出力ギアは、該出力ギアをギアボックスの出力端部に連結するための結合特徴部、例えば、１つ又はそれ以上の連結穴を含み、該連結穴は、ギアボックスの出力端部に連結された１つ又はそれ以上の対応する連結柱状体に接合する。

安全性を考慮すると、手術用カッターに使用されているようなトルク伝達機構の出力ギアは、大きな衝撃を受けたときに砕けたり壊れたりすることがないように、高い靭性を有することが望ましい。必要とされる靭性を達成するためには、出力ギアは金属射出成形（ＭＩＭ）を用いて製造することができ、この方法によって形成された出力ギアは、一般的に、内部応力が低いので大きな衝撃に耐えるために必要な靭性を呈する。

しかしながら、ＭＩＭは製造工程において収縮を生じるので、出力ギアをギアボックス又はモータに取り付けるために必要とされる、精密な公差をもつ連結形状（例えば連結穴）の形成が困難になる場合が多い。従って、これらの形状は、一般的に二次的な処理を必要とするため、製造工程が複雑化し、出力ギアの価格が増加することになる。

もしくは、粉末冶金（ＰＭ）法による接続部形状は、二次的な処理を必要とすることなく所望の許容公差の精度をもつことができるので、製造の費用及び複雑さが低減する。しかしながら、粉末冶金法を用いて形成された出力ギアは、多くの場合脆いので、多くの用途において必要とされる靭性が不足する。

したがって、製造が簡単で十分な靭性及び十分な許容公差の精度を備えた、低価格のトルク伝達機構が必要とされている。

幾つかの実施形態は、モータ又はギアボックスからのトルクを用途装置に伝達するためのトルク伝達機構に向けられており、該機構は、トルク入力部品とトルク出力部品とを備える。トルク入力部品は、トルク入力を受けるように形成された第１の軸方向端部と、構造的特徴部を有する第２の軸方向端部とを含む。トルク出力部品は、構造的特徴部を有する第１の軸方向端部と、第２の軸方向端部とを含む。トルク出力部品の第１の軸方向端部上の構造的特徴部は、トルク入力部品の第２の軸方向端部の構造的特徴部に接合するように構成され、トルク入力部品とトルク出力部品とが結合され、両者は同期して回転することができる。幾つかの実施形態において、トルク入力部品及びトルク出力部品は、異なるプロセスで別々に製造される。例えば、トルク入力部品には粉末冶金法を使用するが、トルク出力部品には金属射出成形を用いることができる。

幾つかの実施形態において、トルク出力部品の第２の軸方向端部に隣接する外面の少なくとも一部が複数のギア歯を備える。

幾つかの実施形態において、トルク出力部品の第１の軸方向端部の構造的特徴部と、トルク入力部品の第２の軸方向端部の構造的特徴部とが、非円筒形接合を成す。

幾つかの実施形態において、トルク入力部品の第２の軸方向端部及びトルク出力部品の第１の軸方向端部の一方が突出部を含み、他方が該突出部と嵌合する凹部を含む。突出部は少なくとも１つの平面と、少なくとも１つの弧状面とを備え、凹部は、突出部の少なくとも１つの平面と接合するように構成された少なくとも１つの平面と、突出部の少なくとも１つの弧状面と接合するように構成された少なくとも１つの弧状面とを備える。

幾つかの実施形態において、突出部の少なくとも１つの平面は、凹部の少なくとも１つの平面と隙間嵌めによって接合するように構成され、突出部の少なくとも１つの弧状面は、凹部の少なくとも１つの弧状面と締まり嵌めによって接合するように構成される。

幾つかの実施形態において、突出部は実質的に多角形の断面を有する。

幾つかの実施形態において、突出部は実質的に円筒形部分と非円筒形部分とを有する。

幾つかの実施形態において、トルク入力部品とトルク出力部品とが溶接によって固着される。

幾つかの実施形態において、トルク入力部品の第１の軸方向端部は、トルク入力を受け入れるために、遊星型ギアボックスに結合される。例えば、トルク入力部品の第１の軸方向端部は、遊星型ギアボックスの複数の連結柱状体と接合するように構成された複数の止まり穴を備えることができる。いくつかの実施形態において、遊星型ギアボックスは複数のリングギアを備え、トルク入力部品の第１の軸方向端部の一部が該リングギアの中に嵌合するように構成される。

幾つかの実施形態において、スリーブが、遊星型ギアボックスのリングギアの一部と、該リングギア内に位置するトルク入力部品の第１の軸方向端部の一部との間に嵌合するように構成される。スリーブは、鋼材のカールしたシートからなり、縦スロットを有することができ、スリーブが遊星型ギアボックスのリングギア内に挿入される際に、該スリーブは弾性変形することができる。

幾つかの実施形態は、ハイブリッド型トルク伝達機構の製造方法に向けられており、該方法は、トルクを受け入れるように構成された第１の軸方向端部及び構造的特徴部を有する第２の軸方向端部を有するトルク入力部品を粉末冶金法によって製造する段階と、トルク入力部品の第２の軸方向端部の構造的特徴部と接合するように構成された構造的特徴部を有する第１の軸方向端部と、第２の軸方向端部とを備えるトルク出力部品を、金属射出成形によって製造する段階と、トルク出力部品とトルク入力部品とが同時に回転できるように、トルク入力部品の第２の軸方向端部の構造的特徴部をトルク出力部品の第１の軸方向端部の構造的特徴部と嵌合させることで、トルク出力部品をトルク入力部品に結合させる段階とを含む。

幾つかの実施形態において、トルク入力部品の第１の軸方向端部の少なくとも一部が、遊星型ギアボックスのリングギアを通して挿入される。

幾つかの実施形態において、トルク入力部品の第２の軸方向端部の構造的特徴部をトルク出力部品の第１の軸方向端部の構造的特徴部に嵌合させることによって、トルク出力部品はトルク入力部品に結合され、突出部を、該突出部の非円形断面に対応する非円形断面を有する凹部に嵌合することを含む。

幾つかの実施形態において、突出部の少なくとも１つの平面は、凹部の少なくとも１つの対応する平面と隙間嵌めによって嵌合され、突出部の少なくとも１つの弧状面は、凹部の少なくとも１つの対応する弧状面と締まり嵌めによって嵌合される。

図面は実施形態の設計及び有用性を示すものであり、図において、類似の要素には共通の参照番号が付される。これらの図面は、必ずしも縮尺通りに作成されたものとは限らない。上記及びその他の利点を達成する方法をよりよく理解するために、付随する図面に示された、実施形態のより一般的な説明が与えられる。これらの図面は例示的な実施形態のみを示しており、それによって請求の範囲が限定されると考えるべきではない。図面は以下に列挙される。

幾つかの実施形態による、トルク伝達機構を示す図である。 幾つかの実施形態による、トルク伝達機構を示す図である。 幾つかの実施形態による、トルク伝達機構に用いられるトルク出力部品を示す図である。 幾つかの実施形態による、トルク伝達機構に用いられるトルク出力部品を示す図である。 幾つかの実施形態による、トルク伝達機構に用いられるトルク出力部品を示す図である。 幾つかの実施形態による、トルク伝達機構に用いられるトルク出力部品を示す図である。 幾つかの実施形態による、トルク入力部品及びトルク出力部品を示す図である。 幾つかの実施形態による、トルク入力部品及びトルク出力部品を示す図である。 幾つかの実施形態による、トルク伝達機構及びトルク入力部品を示す図である。 幾つかの実施形態による、トルク伝達機構及びトルク入力部品を示す図である。 幾つかの実施形態による、遊星型ギアボックスと結合されたトルク伝達機構を示す図である。 図５に示された実施形態において使用可能なスリーブ部材を示す図である。

様々な形態が図面を参照して以下に説明される。図面は縮尺通りでないことと、類似する構造及び機構の要素には図面を通して参照番号が付されることが認識されるべきである。また、図面は形状の説明を容易にすることのみを目的としており、１つ又はそれ以上の特定の実施形態において述べられるか、１つ又はそれ以上の特定の請求項に記載されていない限り、図示及び説明目的である。ここで説明されている図面及び説明は、様々な他の実施形態を網羅的に図示し又は説明すること、又は、請求の範囲又は他の実施形態の範囲を限定することを目的としておらず、これは、当業者が本明細書に説明された実施形態を見れば明らかなことである。加えて、図示された実施形態が、示された全ての特徴及び利点を備えるとは限らない。

特定の実施形態に関して説明された特徴又は利点は、必ずしもその実施形態のみに限られるものではなく、特に図示されていないか、又は明確に説明されていない場合であっても、他のどのような実施形態にも使用することができる。加えて、これらの説明において「幾つかの実施形態」又は「他の実施形態」に言及する場合、ある実施形態に関連して説明された特定の形状、構造、材料、製造過程、又は特徴は、少なくとも１つの実施形態に含まれる。従って、本明細書の様々な箇所を通じて現れる「幾つかの実施形態において」、「１つ又はそれ以上の実施形態において」又は「他の実施形態において」という言葉は、必ずしも同一の実施形態を示すわけではない。

図１Ａ及び図１Ｂは、幾つかの実施形態によるハイブリッド型トルク伝達機構１０を示す。トルク伝達機構１０は、トルク入力部品３０及びトルク出力部品５０からなり、これらは取り外し可能に互いに取り付けられているので、トルク出力部品５０はトルク入力部品３０と同期して回転することができる。トルク出力部品５０は高い靱性を示し、トルク入力部品３０は高い許容公差精度を示すものであることが好ましい。幾つかの実施形態において、トルク入力部品３０は粉末冶金（ＰＭ）法を用いて形成され、トルク出力部品５０は金属射出成形（ＭＩＭ）法を用いて形成される。

幾つかの実施形態において、トルク入力部品３０及びトルク出力部品５０は、２つの部品の間に形成された非円筒形インタフェース部によって連結される。例えば、トルク入力部品３０及びトルク出力部品５０の一方が非円筒形断面をもつ突出部を備え、他方が該突出部の断面に適合する凹部を備えることで、該突出部は該凹部内に収容可能となる。図示された実施形態においては、トルク出力部品５０が突出部５２をもつように図示されており、トルク入力部品３０は対応する凹部３２を含む。しかしながら、他の実施形態において、トルク出力部品５０が凹部を含み、トルク入力部品３０が対応する突出部を含むことができることを理解されたい。

幾つかの実施形態において、突出部５２は、少なくとも１つの弧状面と少なくとも１つの平面とを備える。同様に、凹部３２が、該突出部５２上の弧状面及び平面に対応する、少なくとも１つの弧状面及び平面をもつように形成されて、トルク入力部品３０及びトルク出力部品５０が同期して一緒に回転するように構成することができる。幾つかの実施形態において、突出部５２の少なくとも１つの平面と凹部３２の少なくとも１つの平面とが、組み立てを容易にするために隙間嵌めよって接合するように構成される。突出部５２が凹部３２の間に固定された状態で、トルク入力部品３０がトルク出力部品５０から外れるのを防止するために、突出部５２の少なくとも１つの平面と凹部３２の少なくとも１つの平面とが、締まり嵌め（例えば、互いに当接する）によって接合するように構成してもよい。

好ましい実施形態によると、図２Aに示されたように、トルク出力部品５０は、２つの弧状面により結合された２つの実質的に平行な平面５４をもつ突出部５２を含む。本明細書において、「実質的に平行」のような用語における「実質的に」という用語は、何等かの形状を示すために用いられており、正確な形状（例えば完全に平行である状態）、又は、僅かに変位した形状、その他の完全ではない（例えば完全な平行状態から僅かに変位した）形状を指すものとすることができる。

トルク入力部品３０は、対応する凹部を備える。凹部３２の形状は突出部５２の形状と一致しており、突出部５２は、突出部５２の弧状面が凹部３２の対応する弧状面と隙間嵌めによって接合され、突出部５２の平面５４が凹部３２の対応する平面と締まり嵌めによって接合された状態で凹部３２内に挿入可能となっている。

他の実施形態において、異なる形状の突出部及び凹部を使用できることを理解されたい。例えば、図２Ｂは、突出部５２が、単一の平面と単一の弧状面とをもつ実質的にＤ字形に形成されたトルク出力部品５０を示す。他の実施形態において、突出部５２は、少なくとも１つの弧状面と、少なくとも１つの平面とを備える必要がないことを理解されたい。例えば、図２Ｃは、実質的に６角形の突出部５２を備えたトルク出力部品５０を示し、図２Ｄは、実質的に多角形の突出部５２を備えたトルク出力部品５０を示す。図示されたトルク出力部品５０の突出部５２の形状は網羅的なものではなく、単に例示を目的として与えられたものであるということを理解されたい。

幾つかの実施形態においては、トルク出力部品５０の外面の少なくとも一部は、出力ギアを形成する複数の出力歯を備え、トルク伝達機構１０から外部用途装置（例えば、ブレード、羽根、又は他の装置）のギア、又はラック、又は他の構造体にトルクを伝達できる。他の実施形態において、出力ギア５８の代わりに他のトルク伝達手段（例えば、突出部５２のような非円形突出部又はトルク入力部品３０の凹部３２のような非円形凹部）を使用してもよい。

図１Ｂに示されるように、トルク出力部品５０は、軸方向に延びるボア又は穴５９をさらに備えることができる。ボア５９は、トルク出力部品５０の壁厚を減少させるように機能し、それによってＭＩＭ工程において生じる収縮量を減少させて収縮時の不均一を防止し、材料費を削減する。幾つかの実施形態においては、ボア５９は止まり穴であり、他の実施形態において、ボア５９は貫通穴とすることができる。

トルク入力部品３０は、トルク出力部品５０から遠い方の端部上に、モータ又はギアボックスのような動力源の出力部に接合してそこから動力を受けるための複数の構造的特徴部を備える。図１Ｂに示すような幾つかの実施形態において、構造的特徴部は、１つ又はそれ以上の連結柱状体３６の一方の端部と接合するように構成された１つ又はそれ以上の連結穴３４を備える。連結柱状体３６の他方の端部は、例えば、遊星型ギアボックス内の遊星ギアの重心軸のような動力源と接合するように構成することができる。好ましい実施形態において、連結穴３４は止まり穴である。

図３A及び図３Bは、他の実施形態による、トルク入力部品３０及びトルク入力部品５０をそれぞれ示す。この実施形態において、トルク入力部品３０とトルク出力部品５０との間の接合表面は、実質的に円筒形の表面及び非円筒形の表面を備える。幾つかの実施形態において、トルク入力部品３０及びトルク出力部品５０は、円筒形表面において隙間嵌めで、非円筒形表面において締まり嵌めで接合するように構成される。

例えば、図３Ａに示されるように、トルク入力部品３０の凹部３２は、実質的に円筒形の部分３２２及び非円筒形の部分３２４を備える。同様に、図３Ｂに示されるように、トルク出力部品５０の突出部５２は、実質的に円筒形の部分５２２及び非円筒形の部分５２４の２つの部分を備える。幾つかの実施形態において、円筒形部分５２２の半径は、非円筒形部分５２４の最大半径よりも僅かに大きく、非円筒形部分５２４の最大半径は、非円筒形部分５２４の外面の一点と、トルク出力部品５０の中心軸との間の最大距離によって定められる。

トルク伝達機構１０を組み立てる場合、トルク入力部品３０とトルク出力部品５０とを一体に固定するために、突出部５２の円筒形部分５２２は、凹部３２の円筒形部分３２２と締まり嵌めで接合され、突出部５２の非円筒形部分５２４は、凹部３２の非円筒形部分３２４と隙間嵌めによって接合される。トルク入力部品３０の回転がトルク出力部品５０を回転するように駆動し、２つの部品が一緒に回転できるようになる。

図４Ａ及び４Ｂは、さらに異なる実施形態による、溶接によって結合されたトルク入力部品３０とトルク出力部品５０とを備えるトルク伝達機構１０を示す。例えば、図４Ｂに示されるように、トルク入力部品３０は、該部品３０がトルク出力部品５０に接合される場所に隣接する端部表面上に、１つ又はそれ以上の突出部３３を備えることができる。組み立て時に、該突出部３３は、トルク出力部品５０の端部表面上にレーザー溶接することができる。

図５は、幾つかの実施形態による、例えば電動モータのような動力源の回転速度を減速するために使用することができる遊星型ギアボックス７０と接合されたトルク伝達機構１０を示す。幾つかの実施形態において、遊星型ギアボックス７０は、複数の遊星ギア段を収容するリング歯車７２を備える。遊星ギア段の各々は、サンギア７４と遊星ギア７６とを備え、遊星ギア７６はサンギア７４及びリングギア７２と係合する。説明のため、動力源の最も近くに配置されたギアボックス７０の遊星ギア段は、第１ギア段と呼び、また、トルク伝達機構１０の最も近くに配置された遊星ギア段は、最終ギア段と呼ぶ。

幾つかの実施形態において、第１ギア段のサンギア７４は、動力源からの動力を受けるために、例えば電動モータのような動力源の出力軸８０に取り付けること、結合すること、さもなければ固定することができる。第１ギア段の複数の遊星ギアは、サンギア７４の周囲を回動するように構成され、複数のロッド又は柱状体７９によって回転フレーム７８の表面に取り付けられる。幾つかの実施形態において、柱状体７９は、遊星ギア７６の中心軸と接合する（図５を参照、遊星ギアの一部は柱状体７９を示すために切り取られている）。次のギア段のサンギア７４は、回転フレーム７８の反対側の端部に取り付けられる。このようにして、ギア段のサンギア７４の回転は関連する遊星ギア７６に伝達され、さらに回転フレーム７８によって次のギア段に伝達される。

最終ギア段の遊星ギア７６は、回転フレーム７８に結合される代わりに、連結柱状体３６を介してトルク入力部品３０に接合される。例えば、幾つかの実施形態において、外部連結穴３４に延びる連結柱状体３６は、遊星型ギアボックス７０の最終ギア段の遊星ギア７６の中心穴に挿入されるように構成される。従って、動力源から遊星型ギアボックスを経由してトルク入力部品３０及びトルク出力部品５０に動力を伝達することができる。

図５に示されるように、トルク入力部品３０は、動力源の出力軸から遠い方の遊星型ギアボックス７０の内部ギアリング７２の開口端に収容することができる。幾つかの実施形態において、図１Ｂに示されるように、トルク入力部品３０は、大径部３７及び小径部３８を備え、その間には段部３９が形成される。複数のギアボックス７０のリングギア７２は、段部３９に対応する突出部７３（図５に示す）を備えることができ、該突出部は、リングギア７２を、出力軸８０に近い方のリングギア７２側の係合部７２２と、出力軸８０から遠い方のリングギア７２側の延長部７２４とに分割する。段部３９及び突出部７３は、実質的に環状又はリング状であり、段部３９の幅は突出部７３の長さに対応する。係合部７２２の少なくとも一部は、リングギア７２の内部に位置する遊星ギア７６と接合する複数の歯車を備えるが、延長部７２４はギア歯を有しても有さなくてもよい。

組み立て時に、図６に示されたスリーブ６０を延長部７２４に挿入することができる。トルク入力部品３０は出力軸８０に近い方の端部からリングギア７２内に挿入され、段部３９及び突出部７３は互いに隣接するか又は当接し、トルク入力部品３０の小径部３８はスリーブ６０内に収容される。次に、遊星型ギアボックス７０の残りの部品を従来の方法で組み立てる。

スリーブ６０は、ステンレス鋼のカールしたシート等の耐摩耗性材料からなることが好ましい。スリーブ６０の周囲が完全に閉じないようにシートの端部には僅かな隙間が設けることができ、縦方向スロット６２が形成される。スリーブ６０を内部ギアリング７２の延長部７２４に挿入する際に、スリーブ６０の表面は弾性変形できるので、スリーブ６０とギアリング７２の延長部７２４との間の締まり嵌めが可能になる。幾つかの実施形態において、スリーブ６０の内面は、テフロンのような耐摩耗性材料によって被覆することができる。図示された実施形態は、スリーブ６０を用いているが、他の実施形態において、スリーブ６０は必ずしも必要ではないことを理解されたい。

本実施形態において、トルク入力部品３０は粉末冶金法を用いて形成されるので、連結穴３４又は他の連結特徴部は、二次的な処理を必要とせずに所望の許容誤差で形成することができる。このようにして、製造過程が単純化され、材料費が削減される。一方で、トルク出力部品５０は、金属射出成形によって形成され、これによって出力ギア５８に必要な靱性及び高い耐衝撃性がもたらされる。

このトルク伝達機構の各実施形態は、高い安全性を必要とする用途装置に利用することができる。また、各実施形態は、医療分野で使用される臓器摘出用ナイフの駆動機構のような、制限された使用回数の又は使い捨ての用途装置にも適している。

上述の説明において、様々な態様が特定の実施形態を参照して説明されている。しかしながら、ここで説明された様々な実施形態の広い思想及び範囲から外れることなく、様々な改良及び変更を行うことができるということは明白である。例えば、上述されたシステム又はモジュールは、構成部品の特定の配置を参照して説明されている。それにもかかわらず、ここで説明された様々な実施形態の範囲又は作動又は効果に影響を与えることなく、説明された多くの部品の配列順序、又はそれらの空間的関係を変更することができる。加えて、特定の形状が示され説明されているが、これらは請求の範囲又は他の実施形態の範囲を限定することを目的としていないことを理解でき、当業者にはここで説明される様々な実施形態の範囲から逸脱することなく、様々な変更又は改良が可能であるということが明らかである。従って、本明細書及び図面は、厳密な意味というよりは、例示又は説明のためのものであるとみなされるべきである。従って、説明された実施形態は、代替物、改良物、及び均等物を包含することを意図している。

１０ トルク伝達機構
３０ トルク入力部品
３２ 凹部
３４ 連結穴
３６ 連結柱状体
３７ 大径部
３８ 小径部
３９ 段部
５０ トルク出力部品
５２ 突出部
５４ 平面
５８ 出力ギア
５９ ボア
６０ スリーブ
７０ 遊星型ギアボックス
７２ リングギア
７４ サンギア
７６ 遊星ギア
７８ 回転フレーム
８０ 出力軸

Claims (12)

1. トルク入力部品とトルク出力部品とを備えるハイブリッド型トルク伝達機構であって、 前記トルク入力部品が、トルク入力を受けるように構成された第１の軸方向端部と、構造的特徴部を有する第２の軸方向端部とを含み、
   前記トルク出力部品が、第１の軸方向端部と第２の軸方向端部とを含み、
   前記トルク出力部品の前記第１の軸方向端部が、前記トルク入力部品の第２の軸方向端部の構造的特徴部と接合する構造的特徴部を有し、前記トルク入力部品及び前記トルク出力部品は同期して回転するようになっており、
   前記トルク入力部品及び前記トルク出力部品は、前記トルク入力部品が粉末冶金法を用いて製造され、前記トルク出力部品が金属射出成形を用いて製造されるという、異なるプロセスによって別々に製造されることを特徴とする、ハイブリッド型トルク伝達機構。
2. 前記トルク出力部品の前記第１の軸方向端部の構造的特徴部及び前記トルク入力部品の前記第２の軸方向端部の構造的特徴部が、非円筒形接合を成す、請求項１に記載のハイブリッド型トルク伝達機構。
3. 前記トルク入力部品の前記第２の軸方向端部、及び前記トルク出力部品の前記第１の軸方向端部の一方が突出部を含み、他方が前記突出部と嵌合する凹部を含む、請求項２に記載のハイブリッド型トルク伝達機構。
4. 前記突出部が、少なくとも１つの平面と少なくとも１つの弧状面とを備え、前記凹部が、前記突出部の少なくとも１つの平面と接合する少なくとも１つの平面と、前記突出部の少なくとも１つの弧状面と接合する少なくとも１つの弧状面とを備える、請求項３に記載のハイブリッド型トルク伝達機構。
5. 前記突出部の少なくとも１つの平面が、前記凹部の少なくとも１つの平面と隙間嵌めによって接合するように構成され、前記突出部の少なくとも１つの弧状面が、前記凹部の少なくとも１つの弧状面と締まり嵌めによって接合するように構成される、請求項４に記載のハイブリッド型トルク伝達機構。
6. 前記突出部が、実質的に多角形の断面を有する、請求項３乃至５のいずれかに記載のハイブリッド型トルク伝達機構。
7. トルク出力部品の外面の前記第２の軸方向端部に隣接する少なくとも一部が、複数のギア歯を備える、請求項１から請求項６のいずれかに記載のハイブリッド型トルク伝達機構。
8. トルク入力を受け入れるために、前記トルク入力部品の前記第１の軸方向端部が遊星型ギアボックスに結合される、請求項１から請求項７のいずれかに記載のハイブリッド型トルク伝達機構。
9. 前記遊星型ギアボックスがリングギアを備え、前記トルク入力部品の前記第１の軸方向端部の一部が前記リングギア内で嵌合するように構成される、請求項８に記載のハイブリッド型トルク伝達機構。
10. スリーブが、前記リングギアの一部と前記トルク入力部品の前記第１の軸方向端部の一部との間に嵌合するように構成される、請求項９に記載のハイブリッド型トルク伝達機構。
11. 前記スリーブがカールした鋼板であり、縦方向スロットを備え、前記遊星型ギアボックスの前記リングギア内に挿入される際に、前記スリーブが弾性変形できるようになっている、請求項１０に記載のハイブリッド型トルク伝達機構。
12. 前記トルク入力部品の前記第１の軸方向端部は、複数の連結柱状体と接合するように構成され前記複数の連結柱状体からのトルクを受け取る複数の穴を備える、請求項１に記載のハイブリッド型トルク伝達機構。