以下、本発明の炊飯器に係る一実施例について、添付図面を参照して説明する。
炊飯器全体の構成を図1に基づいて説明すると、1は有底状の本体、2は本体1の上面開口を開閉自在に覆う蓋で、これらの本体1と蓋2により炊飯器の外郭が形成される。蓋2の後部には本体1との連結部となるヒンジ3が設けられており、蓋2の前部上面に設けたフックボタン4を押動操作することで、蓋2と本体1との係合が解除され、蓋2がヒンジ3を回転中心として自動的に開く構成となっている。
本体1には、有底筒状で非磁性材料などからなる鍋収容体5が形成され、この鍋収容体5には、米や水などの被調理物を収容する有底筒状の鍋としての内釜6が着脱自在に設けられる。内釜6は、その側面がR状に湾曲し、且つ上端開口よりも中央胴部が広い面積を有するいわゆる丸釜形状となっており、内釜6の上端周囲には、外周側に延出する円環状のフランジ部7が形成される。フランジ部7は、鍋収容体5に内釜6を収容したときに鍋収容体5の上面に載置され、鍋収容体5と内釜6との間に隙間を形成した状態で、内釜6が鍋収容体5に吊設されるようになっている。ここでの内釜6は、熱伝導性の良いアルミニウムを主材料とした母材8の外面に、フェライト系ステンレスなどの磁性金属材料からなる発熱体9を接合して構成される。
11は、内釜6の発熱体8を電磁誘導加熱する加熱コイルである。内釜加熱手段としての加熱コイル11は、内釜6の発熱体8に対向して、導体であるリッツ線を螺旋状に巻回して構成され、鍋収容体5の外面底部に配置された第1コイル部11Aと、鍋収容体5の外面下側部に配置された第2コイル部11Bとにより構成される。これにより、加熱コイル11に高周波電流を供給すると、加熱コイル11から発生する交番磁界によって内釜6の発熱体8が発熱し、炊飯時や保温時に内釜6ひいては内釜6内の被調理物が加熱される。なお、好ましい加熱コイル11の配置については、後ほど別な図を参照して説明する。
鍋収容体5の底部中央に設けた開口部には、内釜6の外面底部と弾発的に接触するように、内釜温度検出手段としての内釜温度センサ12が配置される。内釜温度センサ12は、内釜6の温度を検知するもので、加熱コイル11による内釜6の底部の加熱温度を主に温度管理する構成となっている。
蓋2の上面には、蓋開操作体としてのフックボタン4の他に、表示部15や操作部16を含むパネルとしての操作パネル17や、被調理物への加熱に伴い内釜6内部で発生した蒸気を、炊飯器の外部に放出するための蒸気口19などがそれぞれ配設される。また、蓋2の下側には、蓋2の下部部材としての内蓋組立体21が配設される。内蓋組立体21は、内鍋6の上方開口部とほぼ同径の円盤状を有する金属材料からなる内蓋22と、内釜6と内蓋22との間をシールするために、当該内蓋22の外側全周に設けられる弾性部材としての蓋パッキン23と、内釜6の内圧力を調整する調圧部24とを備えている。環状に形成された蓋パッキン23は、蓋体2を閉じた蓋閉時に、内釜6のフランジ部7上面に当接して、この内釜6と内蓋22との間の隙間を塞ぎ、内釜6から発生する蒸気を密閉する。また、蒸気口19と調圧部24は蓋体2の内部で連通しており、これらの蒸気口18や調圧部24により、内釜6内で発生した蒸気を蒸気口19から外部へ放出する蒸気排出機構が形成される。
調圧部24は、内釜6の内部と蒸気口19との間の蒸気通路25を開閉する調圧弁26が設けられる。この調圧弁26はボール状で、蓋2の内部に設けたソレノイド27と連動し、内釜6内の蒸気を外部へ放出する場合には蒸気通路25を開放し、内釜6内を加圧または減圧状態にする場合には蒸気通路25を閉塞するように、ソレノイド27が調圧弁26を転動させる。
28は、蓋2を本体1に閉じた状態で、内釜6内を通常の大気圧よりも低くするために設けた減圧手段である。この減圧手段28は、蓋2の後部に設けた減圧駆動源としての減圧ポンプ29の他に、蓋2の内部において、減圧ポンプ29と内釜6の内部との間を連通する管状の経路(図示せず)と、その経路を開閉する電磁弁30(図3を参照)とにより構成される。本実施例では、2個の減圧ポンプ29を蓋2の内部に設けているが、減圧ポンプ29を本体1の内部に設けてもよく、またその個数も2個に限定されない。
そして本実施例では、内釜6を鍋収容体5に収容し、蓋2を閉じた状態から減圧ポンプ29を起動させると、電磁弁30により経路を開放して、内釜6内部の空気が経路および減圧ポンプ29を通って本体1の外部に排出され、密閉した内釜6内部の圧力が低下する。また、内釜6内部の圧力が常圧である大気圧よりも一定値下がった場合には、減圧ポンプ29の動作を停止し、電磁弁30により経路を閉塞して、内釜6内部を減圧状態に保っている。さらに、内釜6内部を減圧状態から大気圧に戻す場合には、減圧ポンプ29の動作を停止し、電磁弁30により経路を開放する。つまり、本実施例における減圧手段28は、内釜6内部を減圧状態から常圧に戻す圧力戻し手段31としての構成を兼用している。
内釜6への加熱を行なう内釜加熱手段として、前述した内釜6の主に側面下部から底部を加熱する加熱コイル11の他に、内釜6の側面上部を主に加熱する側部ヒータ33が、鍋収容体5の外面上側部に配置される。また、蓋2の内部には、内蓋22を加熱する蓋加熱手段としての蓋ヒータ34と、蓋ヒータ34による内蓋22の温度管理を行なうためのサーミスタ式の蓋温度センサ35がそれぞれ設けられる。
41は、本体1の内部後方に設けられ、マイクロコンピュータ(マイコン)などを基板に搭載して構成される制御手段である。制御手段41は、加熱コイル11を駆動させるための発熱素子42などを備えている。
図2は、全表示状態の操作パネル17を示したものである。同図において、表示部15は、操作パネル17の略中央部分に配置されるLED表示部51と、このLED表示部51の周辺に配置される表示ランプ52,53,54と、により構成される。LED表示部51は、現在時刻や、予約時刻や、炊飯完了までの時間などを表示する時間/時刻表示部51aと、設定された調理の種類や、内鍋に入れられるお米の種類や、炊き方を表示する設定表示部51bと、により構成される。また、表示ランプ52,53,54は、実際の炊飯器の状態を表示するもので、本実施例では、ecoモードの炊き方で炊飯が行われている時に、表示ランプ52の「ecoモード」が点灯し、保温状態になると表示ランプ52の「保温中」が点灯し、予約設定がされていている時に、表示ランプ53の「予約中」が点灯し、炊飯をしている時に、表示ランプ53の「炊飯中」が点灯し、図示しない減圧手段により内鍋の内部が真空状態になると、表示ランプ53の「真空」が点灯し、炊飯中に内鍋の内部に圧力がかかり始めてから、被炊飯物が炊き上がるまでの間に、表示ランプ53の「圧力」が点灯し、キーロックされている時に、表示ランプ53の鍵の記号が点灯し、後述する切キー63がロックされ、切キー63への操作が長押ししないと受け付けない時に、表示ランプ64の「切3秒押し」が点灯するようになっている。なお、LED表示部51や表示ランプ52,53,54の表示形態は、炊飯器の仕様に併せて適宜変更して構わない。
操作部16は、操作パネル17の下側部分に並んで配置されるホームキー61と、炊飯キー62と、切キー63と、予約キー64と、進むキー65と、戻るキー66の他に、保温再加熱キー67と、調理キー68と、お米キー69と、炊き方キー70がそれぞれ並んで配置される。これらのキー61〜70は、何れも静電容量式のタッチキーで構成され、それぞれのキー61〜70に対応して、操作パネル17の裏面に配設された電極(図示せず)に導電体である人体が近付くと、その静電容量値が変化して制御手段41に操作信号が出力される。また、それぞれのキー61〜70に対応して、操作パネル17の裏面にはLED(図示せず)が配設され、制御手段41からの表示制御信号を受けて、操作パネル17の表面に向けて所望の輝度でキー61〜70を点灯する構成となっている。なお、キー61〜70の構成は、炊飯器の仕様に併せて適宜変更して構わない。
ホームキー61は、他のキー62〜70を操作する前に操作されるもので、制御手段41からの表示制御信号により保温中や予約待機中は減光した状態で点灯され、それ以外の場合は消灯している。この状態でホームキー61をタッチすると、制御手段41はタッチキー61からの操作信号を受け付けて、他のキー62〜70の中で、操作をできるキーに表示制御信号を一定時間送出して、その操作をできるキーを減光せずに明るく点灯させると共に、当該キーからの操作信号を受け付けるようになっている。
炊飯キー62は、炊飯を開始する際に操作されるもので、炊飯キー62が点灯した状態で、その炊飯キー62をタッチすると、制御手段41が炊飯キー62からの操作信号を受け付けて、本体1内の被調理物に対する炊飯を開始する構成となっている。
切キー63は、炊飯や保温をやめる際に操作されるもので、切キー63が点灯した状態で、その切キー63をタッチすると、制御手段41が切キー63からの操作信号を受け付けて、本体1内の被調理物に対する加熱を中止して切状態にする。また本実施例では、不意に切状態となる誤動作を防ぐために、炊飯や調理開始の所定時間(例えば10秒)後に、切キー63が自動的にロックされる。
予約キー64は、予約炊飯を行なう際に操作されるもので、予約キー64が点灯した状態で、その予約キー64をタッチし、予約時刻や炊飯コースを確認した後に、炊飯キー62をタッチすると、制御手段41が予め設定した予約時刻に本体1内の被調理物を炊き上げる構成となっている。
進むキー65や戻るキー66は、予約時刻や現在時刻は調理時間を調整するのに操作されるもので、例えば現在時刻を調整するには、切状態でホームキー61をタッチした後、点灯状態になっている進むキー65または戻るキー66を所定の例えば1秒以上タッチ操作すると、制御手段41は時間/時刻表示部51aに表示される現在時刻を点滅させ、進むキー65や戻るキー66からの操作信号を受け付ける。ここで進むキー65をタッチすれば、現在時刻が1分進み、戻るキー66をタッチすれば、現在時刻が1分戻る。また、進むキー65や戻るキー66をタッチしたままでいると、現在時刻を10分単位で調整することができる。最後に切キー63をタッチすることで、時間/時刻表示部51aにおける現在時刻の点滅が止まり、現在時刻の調整が終了する。また、予約時刻を調整するには、点灯状態になっている予約キー64をタッチした後、進むキー65または戻るキー66をタッチすることで、時間/時刻表示部51aに表示される予約時刻を10分単位で可変設定することができる。
保温キー67は、保温を行なう際に操作されるもので、保温キー67が点灯した状態で、その保温キー67をタッチすると、制御手段41が保温キー67からの操作信号を受け付けて、本体1内の被調理物に対する保温再加熱を開始する構成となっている。
その他、調理キー68と、お米キー69と、炊き方キー70は、調理コースや、お米の種類や、炊き方をそれぞれ設定するのに操作されるもので、調理キー68が点灯した状態で、その調理キー67をタッチする毎に、制御手段41が調理キー68からの操作信号を受け付けて、お米以外の複数の調理コースの中から、特定の調理コースで本体1内の被調理物を調理できるように設定し、お米キー79が点灯した状態で、そのお米キー69をタッチすると、制御手段41がお米キー69からの操作信号を受け付けて、複数のお米の種類の中から、特定のお米で本体1内の被炊飯物を炊飯できるように設定し、炊き方キー70が点灯した状態で、その炊き方キー70をタッチすると、制御手段41が炊き方キー70からの操作信号を受け付けて、複数の炊き方の種類の中から、特定の炊き方で本体1内の被調理物を炊飯できるように設定する構成となっている。
次に、制御手段41の制御系統について、図3を参照しながら説明する。同図において、制御手段41は、内釜温度センサ12や蓋温度センサ35からの各温度検知信号と、操作部16からの操作信号を受けて、炊飯時および保温時に内釜6を加熱する加熱コイル11や側面ヒータ33と、蓋2を加熱する蓋ヒータ34を各々制御すると共に、前述したソレノイド27や、減圧ポンプ29や、電磁弁30の動作を各々制御し、さらには表示部15の表示を制御するものである。特に本実施例の制御手段41は、内釜温度センサ12の検知温度に基いて主に加熱コイル11を制御して内釜6の底部を温度管理し、蓋温度センサ35の検知温度に基いて主に蓋ヒータ34を制御して、内蓋22を温度管理するようになっている。
制御手段41は、記憶手段44に記憶されたプログラムの制御シーケンス上の機能として、操作部16からの炊飯開始の指示を受けて、内釜6に投入した米の吸水を促進させるひたしと、被調理物の温度を短時間に沸騰まで上昇させる加熱と、被調理物の沸騰状態を継続させる沸騰継続と、被調理物をドライアップ状態のご飯に炊き上げる炊き上げと、ご飯を焦がさない程度の高温に維持するむらしの各行程を順に実行して、内釜6内部の被調理物に対する加熱を制御する炊飯制御手段81と、内釜6内部のご飯を所定の保温温度に保つように制御する保温制御手段82と、をそれぞれ備えている。
本実施例の炊飯制御手段81は、ひたし行程の期間中に、内釜6内部の圧力が常圧未満の減圧と常圧とを繰り返すように、減圧手段28と圧力戻し手段31を兼用する減圧ポンプ29や開閉弁30の動作を制御する圧力制御手段としての機能を備えている。また保温制御手段82は、保温温度が安定した状態で、内釜6内部が常圧未満の圧力に維持されるように、減圧ポンプ29や開閉弁30の動作を制御する減圧制御手段としての機能を備えている。
前述した内釜6内部の圧力が減圧と常圧とを繰り返す減圧回数は、記憶手段44に設定記憶されており、炊飯制御手段81はひたし行程の際に記憶手段44から読み出した減圧回数で、内釜6内部の圧力が減圧と常圧とを繰り返すように、減圧ポンプ29や開閉弁30の動作を制御する。また炊飯制御手段81には、記憶手段44に記憶した減圧回数を、操作部16からの操作により設定変更できるモードを、減圧回数設定変更手段85として備えている。減圧回数設定変更手段85による設定変更のモードは、通常の炊飯調理の選択を受け付ける状態(炊飯調理選択状態)から、操作部16の中の特定のキー61〜70を決められた手順で操作した場合にのみ起動し、その設定変更のモードでは、通常の炊飯調理選択状態から設定変更のモードに移行したことを表示部15に表示させると共に、ユーザーが操作部16を操作するのに伴い、表示部15に表示される減圧回数を変化させ、その減圧回数が記憶手段44に上書き更新されるようになっている。
次に、上記構成について、その作用を図4〜図7の各図を参照しながら説明する。図4は、炊飯開始から保温に至るまでの内釜温度センサ12の検知温度と、内釜6を誘導加熱(IH)する加熱コイル11の消費電力と、内釜6内部の気圧の推移をそれぞれ示している。なおこの図では、上述した炊き上げ行程を沸騰継続行程に含めて記載している。
図5は、前述した炊飯調理選択状態における操作パネル17の表示形態を示している。本実施例では、被調理物である米や水を入れた内釜6を鍋収容体5に装着し、蓋2を閉じて図示しない電源プラグをコンセントに差し込んで、操作部16のホームキー61だけが明るく点灯された初期状態にする。ここからユーザーが最初にホームキー71をタッチ操作することで、図5に示す炊飯調理選択状態に移行する。炊飯調理選択状態では、LED表示部51の時間/時刻表示部51aに現在時刻が表示され、設定表示部51bにそれまで記憶手段に記憶された設定状態(例えば、お米の種類は「白米」、炊き方は「ecoモード」)が表示される。また操作部16は、切キー63を除く各キー61,62,64〜70が明るく点灯され、これらの各キー61,62,64〜70からの操作信号を受け付ける。その後、お米の種類や炊き方を変更する場合は、お米キー69や炊き方キー70をタッチ操作した後、炊飯キー62をタッチ操作すると、炊飯制御手段81による炊飯制御が開始する。
炊飯制御手段81は、最初のひたし行程で、加熱コイル11を所定時間通電することで、内釜6を弱く加熱すると共に、内釜6内部の圧力が減圧(例えば、0.6気圧)と常圧(1.0気圧)の間で繰り返し変化するように、減圧ポンプ29や開閉弁30の動作を制御して、内釜6内部における米の吸水を促進させる。特に本実施例では、内釜6内部の圧力を減圧と常圧に繰り返すことで、米の吸水はさらに促進し、米から溶け出る還元糖などのうまみの元となる固形溶出成分が増える。
所定時間(例えば20分)のひたし行程が終了すると、炊飯制御手段81は加熱コイル11を連続通電して内釜6を強加熱する加熱行程に移行する。加熱行程では、ソレノイド27により蒸気通路25を開放するように調圧弁26を動作させ、内釜6内部を常圧に維持する。その後、内釜温度センサ12からの検知温度に基づき、内釜6内が沸騰状態になったと判断すると、炊飯制御手段81はそれまでよりも内釜6への加熱量を低減した沸騰継続行程に移行する。この沸騰継続行程では、加熱コイル11が異なる消費電力で断続的に通電され、且つソレノイド27により蒸気通路25が繰り返し開閉するように調圧弁26を動作させることで、内釜6内部の圧力を常圧と常圧よりも高い圧力との間に変化させる。また、炊飯制御手段81は蓋ヒータ34による蓋加熱を開始させ、加熱した内蓋22の温度を管理する。
そして、内釜温度センサ12からの検知温度が沸騰温度以上に上昇したら、内釜6内部の被調理物がご飯として炊き上がったと判断して、それまでよりも内釜6への加熱量をさらに低減したむらし行程に移行する。むらし行程に移行してから暫くは、引き続き内釜6内部の圧力を常圧と常圧よりも高い圧力との間に変化させるが、その後はソレノイド27により蒸気通路25を開放したままとするように調圧弁26を動作させ、内釜6内部を常圧に維持する。またむらし行程では、蓋温度センサ35の検知温度に基づき蓋ヒータ34を通断電し、内蓋22への露付きを防止すると共に、内釜6内部のご飯が焦げない程度の温度となるように、加熱コイル11を通断電制御する。
所定時間のむらしが終了すると、炊飯制御手段81に代わって保温制御手段82による保温制御に移行する。保温になると、加熱コイル11により内釜6の底部と側面下部を加熱すると共に、内釜6に収容するご飯の温度よりも僅かに高く、蓋ヒータ34により内蓋22を加熱し、さらに内釜6の側面上部を側部ヒータ33でご飯が乾燥せず、且つ露が多量に付着しないように温度管理する。この結果、内釜6内のご飯の温度は70〜76℃に保たれる。また保温制御では、ソレノイド27により蒸気通路25を閉塞するように調圧弁26を動作させ、且つ内釜6内部の圧力を減圧状態に維持するように、減圧ポンプ29と電磁弁30の動作を制御する。
そして、上述した加熱以降の各行程では、ひたし行程の際に米から固形溶出成分が溶け出た炊飯水で炊飯が行なわれるので、甘みのあるおいしいご飯が炊き上がる。
次に、減圧回数設定変更手段85の動作について説明すると、図5で示した炊飯調理選択状態から、例えば通常は操作されない調理キー68と他の点灯しているキー(お米キー69など)を同時にタッチ操作すると、炊飯制御手段81がそのキー入力を受け付けて、減圧回数設定変更手段85による設定変更のモードに移行させる。ここでは、操作部16を決められた手順で操作したときにのみ、減圧回数設定変更手段85による設定変更のモードに移行できる構成となっており、設定変更のモードに移行する条件を制限することで、通常の炊飯や保温の際の操作で、誤って設定変更のモードに移行する誤動作を防止できる。
図6は、その設定変更モードに移行した状態の操作パネル17の表示形態を示しており、ここでは時間/時刻表示部51aに、設定変更モードであることを示す「4」と、記憶手段44から読み出された減圧と常圧の繰り返し回数である「1」(図6(a)を参照)若しくは「2」(図6(b)を参照)が表示され、且つキー操作を受け付け可能なホームキー61と、切キー63と、進むキー65と、戻るキー66と、調理キー68がそれぞれ点灯する。なお本実施例では、設定変更モードであることを表示部15に数字で示しているが、記号やアルファベットなどの文字で表示させてもよく、ユーザーが表示部15を見て通常の炊飯調理選択状態と違いがわかる表示となっている。
そして、図6に示す設定変更モードでは、操作部15の中の特定のキーとして、例えば進むキー65と戻るキー66をユーザーが操作することで、時間/時刻表示部51aに表示される繰り返しの減圧回数が変化し、その減圧回数が記憶手段44に上書き更新される。また、特定のキーとして例えば切キー63をタッチ操作することで、減圧回数設定変更手段85による設定変更モードは終了し、図5に示す通常の炊飯調理選択状態に戻るようになっている。設定変更のモードで設定変更された減圧回数は、設定変更のモードで再度設定変更が行われない限り、記憶手段44に記憶保持される。したがって、炊飯を行なう毎に設定変更のモードを呼び出して、減圧回数を設定する煩わしさがない。なお、設定変更モードで設定できる繰り返し回数は、減圧と常圧の繰り返しを行なわない0回を含め、何回であってもよい。
前述したように、炊飯調理選択状態から炊飯キー62をタッチ操作すると、炊飯制御手段81による炊飯制御が開始する。図7は、炊飯中の操作パネル17の表示形態を示している。同図において、時間/時刻表示部51aには炊き上がりまでの残時間が表示されると共に、炊飯器の動作状態を示すために、表示ランプ53の「炊飯中」と「真空」がそれぞれ点灯する。またここでは、お米の種類を「白米」とし、「ecoモード」での炊き方が選択されているので、設定表示部51bでその旨が表示され、また表示ランプ52の「ecoモード」が点灯する。ここでは、次に操作が可能なホームキー61と、切キー63がそれぞれ明るく点灯し、それ以外の操作不要な炊飯キー62や、予約キー64や、進むキー65や、戻るキー66や、保温再加熱キー67や、調理キー68や、お米キー69や、炊き方キー70を消灯させる。操作に必要なホームキー61や切キー63だけを点灯させることで、必要な情報を表示し、操作性を向上させることができる。
以上のように本実施例では、被調理物を炊飯する炊飯器本体としての本体1と、本体1に配置され、被調理物を収容するための内釜6と、内釜6内部を常圧から常圧未満に減圧する減圧手段28と、内釜6内部を減圧から常圧に戻す圧力戻し手段31と、ひたし時に内釜6内部の圧力を減圧と常圧とに繰り返すように、減圧手段28と圧力戻し手段31を制御する制御手段41とを備え、この制御手段41は、操作部16を使ってひたし行程時における内釜6内部の減圧回数を設定変更できるモードを、減圧回数設定変更手段85として搭載している。
この場合、ひたし行程時に内釜6内部の圧力を減圧と常圧とに繰り返すことで、内釜6に収容した米の吸水率が上がり、短時間で吸水できると共に、米から還元糖などのうまみ成分を多く溶出させ、その溶けた水でおいしくご飯を炊くことが可能になる。また、操作部16を使って、ひたし時における内釜6内部の減圧回数をユーザーが任意に設定変更できることから、ユーザーにとって耳障りな減圧手段28の動作音や内釜6内部への空気の流入音を、ユーザーの意志で低減できる。
また、本実施例の制御手段41は、例えば通常は操作されないような操作部16の複数のキーを同時にタッチ操作するなどして、操作部16を決められた手順で操作したときにのみ、減圧回数設定変更手段85による設定変更のモードに移行できる構成となっている。
この場合、通常の炊飯調理選択状態から、減圧回数設定変更手段85による設定変更のモードに移行する条件を制限することで、通常の炊飯や保温の際の操作では、誤って設定変更のモードに移行せず、誤動作を防止することができる。
また本実施例では、減圧回数設定変更手段85による設定変更のモードで、内釜6内部の減圧回数を設定変更した場合、再度設定変更のモードに移行して減圧回数の設定変更を行なうまでは、その設定した減圧回数を記憶手段44に記憶する構成を有している。
この場合、炊飯の度に毎回設定変更のモードを呼び出して、ひたし時における内釜6内部の減圧回数を設定する必要がなく、炊飯器としての操作性を向上できる。
次に、上述した炊飯器において、選択した炊飯コースの違いにより、炊飯制御手段81が個々にどのような炊飯制御を行なうのかについて、図8〜図10を参照しながら説明する。
図8は、従来から炊飯器に搭載される白米ふつうの炊飯コースを選択して、炊飯制御手段81による炊飯制御を行なった場合に、内釜温度センサ12の検知温度と、内釜6を誘導加熱(IH)する加熱コイル11の消費電力と、内釜6内部の圧力と、真空ポンプである減圧ポンプ29の動作の推移をそれぞれ示している。同図において、白米ふつうの炊飯コースは、食味を良好とする標準の第1炊飯コースとして、前述したようなひたし,加熱,沸騰継続,炊き上げ,むらしの各行程順に炊飯制御が行なわれる。
ひたし行程では、内釜6内部の水温を上げて米への吸水を促進するために、加熱コイル11を所定時間通電して内釜6を加熱し、さらにひたし行程の開始直後から一定時間は、電磁弁30により内釜6の内外を連通する経路を開放した状態で減圧ポンプ29を動作させ、内釜6の内部を常圧未満の減圧状態にする。減圧ポンプ29の動作は一定時間が経過すると停止するが、それ以降は電磁弁30により経路を閉塞することで、内釜6内の減圧状態がスローリークしながらも保たれる。なお、ひたし行程の期間中に、内釜6内部の圧力を常圧と減圧とに繰り返し、さらにその回数を可変設定できるようにするのが好ましいことは、前述したとおりである。こうして、白米ふつうの炊飯コースでは、所定時間である例えば20分のひたし行程が行われる。
次の加熱行程では、炊飯器の定格最大消費電力(例えば1420W)に相当する消費電力が加熱コイル11から出ている。そして、内釜6内部の沸騰到達の検知(沸騰検知)は、内釜温度センサ12の温度変化によって行ない、沸騰検知を完了するまで連続的または断続的に高い消費電力で加熱コイル11を通電して、内釜6内部の被調理物を強加熱する。また加熱行程に移行すると、減圧ポンプ29の動作を停止したまま、電磁弁30により経路を開放し、内釜6内の圧力を常圧に戻す。ここでいう定格最大消費電力とは、加熱行程初期の最大加熱時の電力に相当する。
沸騰検知後は沸騰継続行程に移行し、断続的に加熱コイル11を通電して内釜6への加熱を行ない、一定の温度条件または決められた行程時間完了のどちらかを満たすことで、炊き上げ工程に移行する。炊き上げ工程でも断続的に加熱コイル11を通電して、沸騰継続行程と同様な一定の温度条件または決められた行程時間完了のどちらかを満たすことで、むらし行程に移行する。むらし行程でも断続的に加熱コイル11を通電して、その行程時間が完了すると炊飯制御手段81による炊飯制御も終了する。なお、上記各行程での加熱コイル11の消費電力は、制御手段41に組み込まれたインバータ(図示せず)の制御により、定格最大消費電力を上限として可変できる。
本実施例の炊飯制御手段81は、上述した標準の定格消費電力にまで加熱コイル11の消費電力を上げて被調理物を炊飯する第1炊飯コースの他に、以下に説明する定格消費電力よりも低く加熱コイル11の消費電力を抑えて被調理物を炊飯する第2炊飯コースを備えており、例えば操作部16からの操作入力によって、その何れか一方の炊飯コースを選択して、選択した炊飯コースに基づく炊飯制御を行える炊飯コース選択手段86としての機能を備えている。
図9は、その第2の炊飯コースを選択して、炊飯制御手段81による炊飯制御を行なった場合に、内釜温度センサ12の検知温度と、内釜6を誘導加熱(IH)する加熱コイル11の消費電力の推移をそれぞれ示している。同図において、各行程の推移条件は上述の第1炊飯コースを選択した炊飯制御と同じである。特に第2炊飯コースでは、加熱コイル11の消費電力を定格消費電力(1420W)よりも低く、その半分以下の700Wを上限として設定し、各行程で内釜6内部の被調理物をご飯に炊き上げる炊飯制御を実施している。
より詳細には、加熱行程においては、加熱コイル11の消費電力を上限の700Wとし、行程の開始時から沸騰検知が完了するまで連続して通電出力し続けるようにして、内釜6内部の被調理物を強加熱する。また、沸騰検知完了後の沸騰継続行程以降では、第1炊飯コースを選択した炊飯制御と同じ平均消費電力となるように、加熱コイル11の通電率(単位時間当たりの通電時間の割合)を変更している。これは例えば、第1炊飯コースでは、加熱コイル11を1000Wの消費電力で、7秒通電/3秒断電することで、平均消費電力が700Wとなり、第2炊飯コースでは、加熱コイル11を700Wの消費電力で、7秒通電/0秒断電することで、平均消費電力が第1炊飯コースと等しい700Wとなる。つまり第2炊飯コースでは、加熱コイル11の消費電力が少なくなった分、加熱コイル11の通電率を第1炊飯コースに対して大きくなるように炊飯制御を行えば、炊飯器として電力低減に貢献できると共に、良好な炊き上がりを得ることができる。
また、第1炊飯コースにおけるひたし行程時間は20分であるのに対し、第2炊飯コースにおけるひたし行程時間は15分と短い。これにより、第2炊飯コースにおけるひたしからむらし終了までの炊飯時間も、第1炊飯コースにおけるひたしからむらし終了までの炊飯時間と同等にすることができ、炊飯コース選択手段86で第2炊飯コースを選択した場合には、炊飯器としての電力低減に貢献しながらも、消費電力を低減する前の第1炊飯コースと同等の炊飯時間を実現できる。
以上のように、本実施例の炊飯器は、複数の炊飯コースの中から何れか一つの炊飯コースを選択できる炊飯コース選択手段86と、炊飯コース選択手段86で選択した一つの炊飯コースで炊飯を行なわせる炊飯制御手段81とを備え、前記複数の炊飯コースとして、定格消費電力を上限として内釜6内部の被調理物を加熱炊飯する第1炊飯コースと、定格消費電力よりも低い消費電力を上限として内釜6内部の被調理物を加熱炊飯する第2炊飯コースを少なくとも含んでおり、第2炊飯コースで炊飯を行なう場合の加熱コイル11の平均消費電力量が、第1炊飯コースで炊飯を行なう場合の加熱コイル11の平均消費電力量と同等となるように、炊飯制御手段81を構成している。
この場合、第2炊飯コースを選択した場合は、第1炊飯コースを選択した場合よりも低い消費電力で炊飯制御が行われるが、その炊飯制御における各行程の時間当たりの平均消費電力を同じにすることで、第1炊飯コースと同等の炊上がり食味を実現でき、炊飯器として電力低減に貢献できると共に、炊き上がりが良好なご飯を提供できる。
また、第2炊飯コースを選択した炊飯では、ひたし,沸騰継続,炊き上げ,むらしの各行程の少なくとも何れか一つの通電率が、第1炊飯コースを選択した炊飯に対して大きくなるように、炊飯制御手段81を構成している。
この場合、第2炊飯コースを選択した場合に、ひたし,沸騰継続,炊き上げ,むらしの各行程の通電率を、第1炊飯コースを選択した場合よりも大きくなるように炊飯制御を行なうことで、炊飯器としてご飯の食味を損なわない必要な電力量を確保できる。
また、第2炊飯コースを選択した炊飯では、ひたし行程の時間を前記第1炊飯コースを選択した炊飯よりも短くして、第1炊飯コースと同等の炊飯時間となるように、炊飯制御手段81を構成している。
この場合、第2炊飯コースを選択した場合に、ひたし行程の時間を第1炊飯コースよりも短くして、第1炊飯コースと同等の炊飯時間で炊飯制御を行なうことで、電力低減に貢献できると共に、炊き上がりが良好なご飯を提供でき、さらには消費電力を低減する前のものと同等の炊飯時間を実現できる炊飯コースを設けた炊飯器を提供できる。
図10は別な例として、前述の第2炊飯コースを選択して、炊飯制御手段81による炊飯制御を行なった場合に、内釜温度センサ12の検知温度と、内釜6を誘導加熱(IH)する加熱コイル11の消費電力と、内釜6内部の圧力と、真空ポンプである減圧ポンプ29の動作の推移をそれぞれ示している。同図において、各行程の推移条件は上述の第1炊飯コースを選択した炊飯制御と同じである。特に第2炊飯コースでは、加熱コイル11の消費電力を定格消費電力(1420W)よりも低い900Wを上限として設定し、各行程で内釜6内部の被調理物をご飯に炊き上げる炊飯制御を実施している。
より詳細には、加熱行程においては、加熱コイル11の消費電力を上限の900Wとし、行程の開始時から沸騰検知が完了するまで連続または断続して通電出力し続けるようにして、内釜6内部の被調理物を強加熱する。また、加熱から炊き上げまでの各行程における加熱コイル11の消費電力量(Wh)は、標準の第1炊飯コースを選択した場合の加熱コイル11の消費電力量と同等以下となるようにする。さらに、ひたし行程やむらし行程での加熱コイル11の消費電力量は、標準の第1炊飯コースを選択した場合の加熱コイル11の消費電力量よりも少なくし、且つ米の吸水をより促進するために、ひたし行程時における減圧ポンプ29の動作時間は、第1炊飯コースを選択した場合の減圧ポンプ29の動作時間よりも多くし、内釜6内をより低い圧力に減圧する。図10に示す例では、第1炊飯コースにおけるひたし行程時間が20分であるのに対し、第2炊飯コースにおけるひたし行程時間が21分と長くなっており、減圧ポンプ29の動作時間を多くしたことと相俟って、内釜6内部における米の吸水をさらに効果的に促進できる。また、標準の第1炊飯コースとは別に、炊飯器として電力量の低減に貢献できると共に、ご飯の食味を落とさずに炊飯ができる第2炊飯コースを別に設けることができる。
なお、この第2炊飯コースを選択した場合も、ひたし行程の開始直後から一定時間に、電磁弁30により内釜6の内外を連通する経路を開放した状態で減圧ポンプ29を動作させ、内釜6の内部を常圧未満の減圧状態にして、その後、減圧ポンプ29の動作を停止させつつ、電磁弁30により経路を閉塞することで、内釜6内の減圧状態をスローリークしながら保つ。また、加熱行程に移行すると、減圧ポンプ29の動作を停止したまま、電磁弁30により経路を開放し、内釜6内の圧力を常圧に戻す点は、第1炊飯コースによる制御と共通している。
以上のように本実施例では、複数の炊飯コースの何れかを選択できる炊飯コース選択手段86と、炊飯コース選択手段86で選択した炊飯コースで炊飯を行なわせる炊飯制御手段81とを備え、複数の炊飯コースとして、食味を良好とする標準の第1炊飯コースと、第1炊飯コースよりも加熱コイル11の消費電力量の少ない第2炊飯コースを少なくとも含んでおり、第1炊飯コースを選択した場合は定格消費電力を出し、第2炊飯コースを選択した場合は定格消費電力よりも低い消費電力のみを出して、ひたし行程とむらし行程の消費電力量が第1炊飯コースよりも少なくなるように、炊飯制御手段81を構成している。
この場合、第2炊飯コースを選択した場合に、炊飯制御手段81が行なう炊飯の各行程の中で、特にひたし行程とむらし行程の消費電力量を、第1炊飯コースを選択した場合よりも少なくしながら、第1炊飯コースよりも低い消費電力を上限として炊飯制御を行なうことで、食味を良好とする標準の第1炊飯コースよりも消費電力量を低減しつつ、食味を極度に落とさずに炊飯を実施する第2炊飯コースを、節電をしたいユーザーに提供できる。
また本実施例では、前述の炊飯コース選択手段86や炊飯制御手段81の他に、被調理物を収容する内釜6内部を減圧する減圧手段28を備え、第2炊飯コースを選択した場合には、減圧手段28を構成する減圧ポンプ29の動作時間が、第1炊飯コースを選択した場合よりも多くなるように、炊飯制御手段81を構成している。
この場合、第2炊飯コースを選択した場合に、第1炊飯コースよりも減圧ポンプ29の動作時間を多くして、ひたし行程での米の吸水をより促進させながら、第1炊飯コースよりも少ない消費電力量で炊飯制御を行なうことで、食味を良好とする標準の第1炊飯コースよりも消費電力量を低減しつつ、食味を極度に落とさずに炊飯を実施する第2炊飯コースを、節電をしたいユーザーに提供できる。
さらに、本実施例で第2炊飯コースを選択した場合には、ひたし行程の時間が第1炊飯コースを選択した場合よりも長くなるように、炊飯制御手段81を構成している。
この場合、第2炊飯コースを選択した場合に、第1炊飯コースを選択した場合よりもひたし行程の時間を長くして、米の吸水をさらに促進させることで、炊き上がったご飯の食味を極力落とさないようにすることができる。
次に、好ましい加熱コイル11の配置について、図11を参照して説明する。図1に示す加熱コイル11は、内釜6の底上部に対向する第2コイル部11Bの巻き数を10巻、内釜6の底部に対向する第1コイル部11Aの巻き数を9巻としている。この場合、丸釜形状の内釜6で炊飯を行なうと、内釜6の側面部での熱対流が強く、内釜6の底部での加熱は弱くなるため、炊き上がったご飯の表面中央部が凹み、炊きムラが出る要因となる。
そこで、図11に示すように、第1コイル部11Aの巻き数を14巻とし、第2コイル部11Bの巻き数を7巻として、第1コイル部11Aと第2コイル部11Bの巻き数の比率を2:1とすると共に、内鍋6の高さに対して1/3以上の高さで第2コイル部11Bを配置している。この結果、内釜6の側面部での熱対流を、図1で示したものよりも弱くし、また内釜6の底部での加熱を強くして、炊き上がったご飯の表面中央部が凹み、炊きムラが出る要因を改善できる。つまり、図11に示す炊飯器では、丸釜形状に適した加熱コイル11による電磁誘導加熱を実施しつつも、炊き上がり後のご飯の凹みおよびご飯の炊きムラを改善できる。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。実施例中で例示した数値などはあくまでも一例にすぎず、炊飯器の仕様などに応じて適宜変更して構わない。