以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図26は、本実施の形態に係る紙幣処理機を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による紙幣処理機の構成の概略を示す概略構成図であり、図2乃至図11は、図1に示す紙幣処理機におけるアーム部の構成の詳細を示す図である。また、図12乃至図19は、本実施の形態による紙幣処理機における帯封部の構成の詳細を示す図であり、図20乃至図26は、従来技術の紙幣処理機や本実施の形態による紙幣処理機における出金搬送部の構成を示す図である。
図1に示すように、本実施の形態による紙幣処理機は、図1(a)に示すような紙幣収納ユニット100と、図1(b)に示すような紙幣帯封ユニット200とから構成されている。具体的には、紙幣収納ユニット100および紙幣帯封ユニット200はそれぞれ略直方体形状のものとなっており、これらの紙幣収納ユニット100および紙幣帯封ユニット200が左右に並ぶよう配置されることにより紙幣処理機が構成されている。紙幣収納ユニット100および紙幣帯封ユニット200の各構成要素について以下に説明する。
図1(a)に示すように、紙幣収納ユニット100は略直方体形状の筐体102を有しており、この紙幣収納ユニット100には、外部から筐体102内に紙幣を投入するための紙幣投入部110および筐体102内から外部にバラ紙幣を投出するためのバラ紙幣投出部152がそれぞれ設けられている。紙幣投入部110には紙幣繰出部112が設けられており、外部から紙幣投入部110に投入された紙幣は紙幣繰出部112により1枚ずつ筐体102内に繰り出されるようになっている。また、紙幣繰出部112には入金搬送部114が接続されており、紙幣繰出部112により筐体102内に繰り出された紙幣は入金搬送部114により1枚ずつ搬送されるようになっている。ここで、入金搬送部114には入金識別部116が設けられており、入金搬送部114により搬送される紙幣は入金識別部116によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別されるようになっている。また、入金搬送部114による紙幣の搬送方向における入金識別部116の下流側には表裏反転部118が設けられており、入金識別部116により識別された紙幣は表裏反転部118によりその表裏が整えられるようになっている。具体的には、表裏反転部118に送られた紙幣のうち、例えば裏面が上側となっている紙幣のみの表裏が反転されることにより、この表裏反転部118から出された紙幣は全て表面(おもてめん)が上側となるようになる。また、入金搬送部114には入金リジェクト部120が接続されており、入金識別部116により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣が入金搬送部114から入金リジェクト部120に送られるようになっている。入金リジェクト部120は紙幣収納ユニット100の筐体102の外部からアクセス可能となっており、操作者はこの入金リジェクト部120に集積されたリジェクト紙幣を手動で取り出すことができるようになっている。
また、図1(a)に示すように、入金搬送部114には1つの一括一時保留部130と、複数(例えば4つ)の金種別一時保留部132とがそれぞれ接続されている。ここで、1つの一括一時保留部130および複数の金種別一時保留部132は入金搬送部114や後述する下部搬送部146に対して並列に並ぶよう配設されている。入金搬送部114から一括一時保留部130や各金種別一時保留部132に搬送された紙幣は、これらの一括一時保留部130や各金種別一時保留部132において積層状態で集積されることにより一時的に保留されるようになっている。なお、一括一時保留部130には複数の金種の紙幣が混合状態で一時的に保留されるようになっており、また、各金種別一時保留部132にはそれぞれ特定の金種の紙幣が一時的に保留されるようになっている。また、一括一時保留部130に対応して1つの一括紙幣収納庫140が設けられているとともに、各金種別一時保留部132に対応して複数の金種別紙幣収納庫142が設けられている。一括紙幣収納庫140には、一括一時保留部130から送られた紙幣が積層状態で収納されるようになっている。また、各金種別紙幣収納庫142には、対応する金種別一時保留部132から送られた紙幣が積層状態で収納されるようになっている。なお、一括紙幣収納庫140には複数の金種の紙幣が混合状態で収納されるようになっており、また、各金種別紙幣収納庫142にはそれぞれ特定の金種の紙幣が収納されるようになっている。また、一括紙幣収納庫140および各金種別紙幣収納庫142にはそれぞれ紙幣繰出部144が設けられており、これらの一括紙幣収納庫140および各金種別紙幣収納庫142から紙幣が1枚ずつ紙幣繰出部144により繰り出されるようになっている。
また、図1(a)に示すように、各紙幣繰出部144には下部搬送部146が接続されており、各紙幣繰出部144により一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142から繰り出された紙幣は下部搬送部146により1枚ずつ搬送されるようになっている。ここで、下部搬送部146には出金識別部148が接続されており、下部搬送部146により搬送される紙幣は出金識別部148によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別されるようになっている。また、出金識別部148には出金搬送部150が接続されており、この出金識別部148により識別された紙幣は出金搬送部150により1枚ずつ搬送されるようになっている。
図1(a)に示すように、出金搬送部150にはバラ紙幣投出部152、出金リジェクト部154、2つの整理一時保留部160がそれぞれ接続されており、出金識別部148により識別された紙幣のうち、筐体102の外部に投出されるべき紙幣は出金搬送部150によりバラ紙幣投出部152に送られてこのバラ紙幣投出部152に集積されるようになっている。バラ紙幣投出部152は紙幣収納ユニット100の筐体102の外部からアクセス可能となっており、操作者はこのバラ紙幣投出部152に集積されたバラ紙幣を手動で取り出すことができるようになっている。また、出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は出金搬送部150により出金リジェクト部154に送られるようになっている。また、出金リジェクト部154に集積されたリジェクト紙幣を取り出すにあたり、操作者は紙幣収納ユニット100の筐体102に設けられた扉を開いて出金リジェクト部154内のリジェクト紙幣を取り出すようになっている。また、出金識別部148により識別された紙幣のうち、紙幣帯封ユニット200により帯封されるべき紙幣は出金搬送部150により各整理一時保留部160に送られるようになっている。各整理一時保留部160では、出金搬送部150から送られた紙幣が積層状態で集積されるようになっている。また、図1(a)に示すように、出金識別部148により識別された紙幣を出金搬送部150により表裏反転部118に送ることができるようになっており、出金搬送部150により表裏反転部118に送られた紙幣は入金搬送部114により一括一時保留部130や各金種別一時保留部132に搬送されるようになっている。
図1(a)に示すように、入金搬送部114や出金搬送部150における分岐箇所には分岐部材170がそれぞれ設けられており、これらの分岐部材170により分岐箇所における紙幣の搬送先が決められるようになっている。また、入金搬送部114、下部搬送部146、出金搬送部150には紙幣の検出を行う紙幣検出センサ180が複数設けられている。また、本実施の形態では、出金搬送部150における、出金識別部148と各整理一時保留部160との間には、紙幣厚さ検知センサ182および半券検知センサ184がそれぞれ設けられている。また、半券検知センサ184は、バラ紙幣投出部152への入口部分である出金搬送部150にも設けられている。
図1(b)に示すように、紙幣帯封ユニット200は略直方体形状の筐体202を有しており、この紙幣帯封ユニット200の筐体202内には、整理一時保留部160に集積された紙幣の束を取り出すためのアーム部210と、アーム部210により取り出された紙幣の束を帯封するための帯封部212とがそれぞれ設けられている。アーム部210の構成の詳細については後述する。アーム部210により整理一時保留部160から取り出された紙幣の束は帯封部212に送られて当該帯封部212により帯封されるようになっている。具体的には、帯封部212の近傍にはテープセット部214が設けられており、このテープセット部214から帯封紙が帯封部212に送られることによって、帯封部212において例えば100枚の紙幣の束が帯封紙により帯封されるようになっている。帯封部212には帯封紙幣搬送部216が接続されており、帯封部212により帯封された帯封紙幣は帯封紙幣搬送部216により帯封紙幣投出部218に搬送されるようになっている。帯封紙幣投出部218は紙幣帯封ユニット200の筐体202の外部からアクセス可能となっており、操作者はこの帯封紙幣投出部218に送られた帯封紙幣を手動で取り出すことができるようになっている。
また、図1(b)に示すように、帯封紙幣投出部218には帯封紙幣収納出金用搬送部220やリフト部224が接続されている。帯封紙幣収納出金用搬送部220には帯封紙幣判別部222が設けられており、この帯封紙幣判別部222は、帯封紙幣投出部218から帯封紙幣収納出金用搬送部220に送られた帯封紙幣の金種等の判別を行うようになっている。また、帯封紙幣収納出金用搬送部220には複数の帯封紙幣収納カセット230が接続されており、帯封部212により帯封された帯封紙幣のうち、帯封紙幣投出部218により筐体202の外部に投出されない帯封紙幣は帯封紙幣収納出金用搬送部220により各帯封紙幣収納カセット230に金種別に収納されるようになっている。また、各帯封紙幣収納カセット230にはカセット駆動部232が設けられており、これらのカセット駆動部232により、各帯封紙幣収納カセット230に収納された帯封紙幣が帯封紙幣収納出金用搬送部220に繰り出されるようになっている。各帯封紙幣収納カセット230から帯封紙幣収納出金用搬送部220に繰り出された帯封紙幣は帯封紙幣投出部218に送られ、この帯封紙幣投出部218から筐体202の外部に投出される。また、帯封紙幣搬送部216から帯封紙幣投出部218に送られた帯封紙幣はリフト部224により図1(b)における上下方向に搬送可能となっている。ここで、リフト部224の下部にも回収用の開口が設けられており、リフト部224により下部に搬送された帯封紙幣はこの開口から筐体202の外部に投出可能となっている。
また、図1(a)に示すように、本実施の形態の紙幣収納ユニット100では、一括一時保留部130および4つの金種別一時保留部132により一つの中間ユニット400が構成されており、この中間ユニット400は紙幣収納ユニット100の筐体102から図1における左方向(筐体102の前方)に引き出し可能となっている。なお、この中間ユニット400は紙幣収納ユニット100の筐体102から完全に取り外すことはできず、一括一時保留部130や各金種別一時保留部132が外部に露出すると中間ユニット400を紙幣収納ユニット100の筐体102からこれ以上引き出すことができないようになっている。また、一括紙幣収納庫140、各金種別紙幣収納庫142、下部搬送部146、出金識別部148等により収納ユニット450が構成されている。また、中間ユニット400や収納ユニット450の上方には、紙幣投入部110、入金識別部116、表裏反転部118、入金リジェクト部120、バラ紙幣投出部152、整理一時保留部160等から構成される上部ユニット460が設けられている。本実施の形態では、入金搬送部114や出金搬送部150における、中間ユニット400や収納ユニット450と上部ユニット460との間の継ぎ目は2箇所(具体的には図1(a)における参照符号462、464でそれぞれ示される箇所)となっている。すなわち、入金搬送部114において中間ユニット400と上部ユニット460との間に継ぎ目462が設けられているとともに、出金搬送部150において収納ユニット450と上部ユニット460との間に継ぎ目464が設けられている。
また、図1に示すように、本実施の形態の紙幣処理機には、当該紙幣処理機の紙幣収納ユニット100および紙幣帯封ユニット200の各構成要素の制御を行う制御部10が設けられている。制御部10には紙幣収納ユニット100および紙幣帯封ユニット200の各構成要素がそれぞれ接続されており、紙幣収納ユニット100の入金識別部116や出金識別部148による紙幣の識別結果に係る信号や、紙幣検出センサ180、紙幣厚さ検知センサ182、半券検知センサ184による紙幣の検知結果に係る信号、ならびに帯封紙幣判別部222による帯封紙幣の金種等の判別結果に係る信号等が制御部10に送られるようになっている。また、制御部10は、紙幣収納ユニット100および紙幣帯封ユニット200の各構成要素に指令信号を送ることによりこれらの構成要素の制御を行うようになっている。
次に、本実施の形態の紙幣処理機におけるアーム部210の構成の詳細について図2乃至図11を用いて説明する。ここで、図2および図3は、それぞれ、図1に示す紙幣処理機における整理一時保留部160、帯封部212、アーム部210の配置状態を示す上面図および側面図である。また、図4および図8は、図1に示す紙幣処理機において、アーム部210が整理一時保留部160に進出した第1の進出位置にあるときの状態を示す上面図および斜視図であり、図5および図9は、図1に示す紙幣処理機において、アーム部210(より詳細には、アーム部210の本体部分21に装備された進退部材22(後述)、以下も同じ)が整理一時保留部160から退避した第1の退避位置にあるときの状態を示す上面図および斜視図である。また、図6および図10は、図1に示す紙幣処理機において、アーム部210が帯封部212から退避した第2の退避位置にあるときの状態を示す上面図および斜視図であり、図7および図11は、図1に示す紙幣処理機において、アーム部210が帯封部212に進出した第2の進出位置にあるときの状態を示す上面図および斜視図である。なお、図4乃至図11において、アーム部210により搬送される紙幣の束を参照符号Pで示す。また、図6および図7では、ガイド部30により覆われたハンド支持部材26等を見やすくするために当該ガイド部30を二点鎖線で表示するとともにガイド部30により覆われたハンド支持部材26等の構成を実線で表示している。
前述したように、アーム部210は、各整理一時保留部160に集積された紙幣の束を取り出し、この紙幣の束を帯封部212に送るものである。ここで、本実施の形態の紙幣処理機では、図3に示すように、2つの整理一時保留部160は鉛直方向に沿って並ぶよう配置されており、2つの整理一時保留部160のうち上側の整理一時保留部160の高さレベルと帯封部212の高さレベルとが同一となっている。また、図2に示すように、2つの整理一時保留部160のうち上側の整理一時保留部160と帯封部212とは水平面に沿って並ぶよう配置されている。また、アーム部210の本体部分21は、上下一対の整理一時保留部160のうちいずれかの整理一時保留部160に向き合うような図2の実線で示す位置と、帯封部212に向き合うような図2の二点鎖線で示す位置との間で移動するようになっている。より詳細には、図2や図8乃至図11に示すように、アーム部210の外枠211の後壁には上下に間隔を隔てて2本のスライドレール34が直線状に延びるよう設けられており、これらのスライドレール34に沿ってアーム部210の本体部分21は水平面に沿って移動するようになっている。また、アーム部210の本体部分21には、上下一対の整理一時保留部160の各々に向き合うように上下に移動する上下移動体が設けられており、この上下移動体に後述する進退部材22が設けられている。そして、上方から見て本体部分21が図2の実線に示す位置にあるときに、図3に示すように、進退部材22を含む上下移動体は、上下一対の整理一時保留部160のうち上側の整理一時保留部160に向き合うような図3の実線で示す位置と、下側の整理一時保留部160に向き合うような図3の二点鎖線で示す位置との間で移動するようになっている。
アーム部210の本体部分21には、紙幣の束を上下から挟持することにより把持する把持部材として3つのハンド23、24、25が設けられている。ここで、これらのハンド23、24、25のうち第1のハンド23および第2のハンド24の基端部分(根元部分)は進退部材22に取り付けられており、この進退部材22はアーム部210の本体部分21に対して整理一時保留部160や帯封部212に向かって進出する方向(すなわち、図2や図3の矢印方向)に移動可能となっている。また、進退部材22には、第1のハンド23における紙幣の束を上下から挟持する上下一対のハンド部分のうち上側のハンド部分を下側のハンド部分に対して上下方向に移動させるよう案内するガイドバー23a、および第2のハンド24における紙幣の束を上下から挟持する上下一対のハンド部分のうち上側のハンド部分を下側のハンド部分に対して上下方向に移動させるよう案内するガイドバー24aがそれぞれ設けられている。
また、3つのハンド23、24、25のうち第3のハンド25の基端部分(根元部分)はハンド支持部材26により支持されている。このハンド支持部材26は回転軸27を中心として水平面に沿って回転するよう進退部材22に取り付けられている。また、図2に示すように、ハンド支持部材26には作動ピン28およびガイドバー29がそれぞれ取り付けられている。ハンド支持部材26は、回転軸27に設けられた図示しないねじりバネ等の付勢器具によって図2における反時計回りの方向に常に付勢されており、図示しないストッパ等により第3のハンド25が第1のハンド23や第2のハンド24と平行に延びるような位置に当該ハンド支持部材26が維持されるようになっている。ガイドバー29は、第3のハンド25における紙幣の束を上下から挟持する上下一対のハンド部分のうち上側のハンド部分を下側のハンド部分に対して上下方向に移動させるよう案内するようになっている。作動ピン28は、後述するガイド部30により力が加えられることにより回転軸27を中心としてハンド支持部材26を図2に示す位置から時計回りの方向に回転させるようになっている。このような作動ピン28の構成の詳細については後述する。
また、図2等に示すように、アーム部210の本体部分21には、当該本体部分21に対してスライドレール34の延びる方向(すなわち、図2における上下方向)に沿って移動可能となっている板状のガイド部30が設けられている。より詳細には、図8乃至図11に示すように、本体部分21には、ガイド部30の両側縁部が嵌まり込む一対のガイド部保持部材31が設けられており、これらのガイド部保持部材31により、ガイド部30は、スライドレール34の延びる方向に沿って移動可能となるよう保持されている。なお、一対のガイド部保持部材31はアーム部210の本体部分21に位置固定で取り付けられている。また、ガイド部30における各ハンド23、24、25が設けられた側の側面には、アーム部210の本体部分21に対する進退部材22の移動方向(すなわち、図2における左右方向)に対して傾斜したガイド面32が設けられている。
ここで、ガイド部30には当該ガイド部30を帯封部212側(すなわち、図2における上側)に向かって押圧する押圧機構(図示せず)が設けられており、ガイド部30に外部から何ら力が加えられていないときには、当該ガイド部30は各ハンド23、24、25からやや離れた位置に維持されるようになっている。一方、アーム部210の本体部分21が帯封部212と向き合う位置(図2における二点鎖線の位置)に移動すると、アーム部210の本体部分21の移動スペースを区画する位置固定のフレーム36にガイド部30が衝突することにより、このガイド部30はフレーム36に押されて図2における下方に移動し、各ハンド23、24、25に接近した場所に位置するようになる。このときには、進退部材22が図2の二点鎖線に示す位置から帯封部212に向かって図2における左方向に移動したときに、ハンド支持部材26に設けられた作動ピン28がガイド部30のガイド面32に接触してこの作動ピン28がガイド部30のガイド面32により図2の下方に向かって押圧されるようになる。このように、ガイド部30によって作動ピン28に対して図2における下向きの力が加えられると、この作動ピン28が取り付けられたハンド支持部材26は回転軸27を中心として図2に示す位置から時計回りの方向に回転し、ハンド支持部材26に支持された第3のハンド25は図4乃至図6に示すような紙幣の束を把持する把持位置から図7に示すような当該紙幣の束から離間する離間位置に移動するようになる。
図8乃至図11に示すように、アーム部210の本体部分21をスライドレール34に沿って移動させる駆動モータ38がフレーム36に取り付けられている。また、この駆動モータ38とは別に、鉛直方向に沿って設けられた上下一対の整理一時保留部160の各々に向き合うようアーム部210の本体部分21における進退部材22を含む上下移動体を昇降させる駆動モータ(図示せず)がアーム部210に設けられている。
また、アーム部210の本体部分21には、進退部材22を本体部分21に対して図2における左右方向に移動させる駆動モータ37が設けられている。また、図示していないが、アーム部210の本体部分21におけるガイド部30の下側には、各ハンド23、24、25について、紙幣の束を上下から挟持する上下一対のハンド部分のうち上側のハンド部分を下側のハンド部分に対して上下方向に移動させる駆動モータが設けられている。
次に、このような構成からなるアーム部210により、整理一時保留部160に集積された紙幣の束を取り出して帯封部212に送る動作について述べる。
まず、帯封紙幣を構成すべき所定枚数(例えば100枚)の紙幣が上下一対の整理一時保留部160のうち一方の整理一時保留部160に集積されると、アーム部210の本体部分21がスライドレール34に沿って水平面に沿って図2における上下方向に移動するとともに当該本体部分21に設けられた進退部材22を含む上下移動体が鉛直方向に昇降することにより、この進退部材22は、所定枚数の紙幣が集積された整理一時保留部160に向き合うような場所に位置するようになる。そして、進退部材22が本体部分21に対して整理一時保留部160に向かって進出し、各ハンド23、24、25が整理一時保留部160内に入るようにする。この際に、ガイド部30は各ハンド23、24、25からやや離れた位置に維持されているため、第3のハンド25を支持するハンド支持部材26に設けられた作動ピン28がガイド部30のガイド面32に接触することはなく、3つのハンド23、24、25が全て整理一時保留部160内に入るようになる。このときのアーム部210の位置(状態)を、整理一時保留部160に進出した位置である第1の進出位置(状態)とする。そして、整理一時保留部160内に入った各ハンド23、24、25により、整理一時保留部160に集積されている紙幣の束(図4および図8において参照符号Pで表示)が上下から挟持される。
各ハンド23、24、25により紙幣の束が挟持されると、進退部材22が本体部分21に対して整理一時保留部160から離間するよう図2における右方向に移動し、各ハンド23、24、25は整理一時保留部160の外側に出るようになる。このときのアーム部210の位置(状態)を、整理一時保留部160から退避した位置である第1の退避位置(状態)とする。図5および図9に、アーム部210が第1の退避位置(状態)にあるときを示す。そして、アーム部210が第1の退避位置(状態)に移動した後、当該アーム部210の本体部分21はスライドレール34に沿って図2における上方に移動し、帯封部212と向き合うような図2の二点鎖線で示す場所に位置するようになる。このときのアーム部210の状態を図6および図10に示す。なお、このときのアーム部210の位置(状態)を、帯封部212から退避した第2の退避位置(状態)とする。前述したように、スライドレール34に沿ってアーム部210の本体部分21が帯封部212と向き合う第2の退避位置(図2における二点鎖線の位置)に移動すると、アーム部210の本体部分21の移動スペースを区画する位置固定のフレーム36にガイド部30が衝突することにより、このガイド部30はフレーム36に押されて図2における下方に移動し、各ハンド23、24、25に接近した場所、すなわち作動ピン28に当接することができる場所に位置するようになる。
その後、図2の矢印に示すように進退部材22が本体部分21に対して帯封部212に向かって進出し、第1のハンド23および第2のハンド24が帯封部212内に入るようになる。このときのアーム部210の位置(状態)を、帯封部212に進出した第2の進出位置(状態)とする。図7および図11に、アーム部210が第2の進出位置(状態)にあるときを示す。なお、進退部材22が本体部分21に対して帯封部212に向かって進出したときに(すなわち、アーム部210が図6および図10に示すような第2の退避位置(状態)から図7および図11に示すような第2の進出位置(状態)に移行したときに)、第3のハンド25は紙幣の束を把持する把持位置から当該紙幣の束から離間する離間位置に移動するようになる。より詳細に説明すると、進退部材22が本体部分21に対して帯封部212に向かって進出したときに、図7や図11に示すように、ハンド支持部材26に設けられた作動ピン28がガイド部30のガイド面32に接触してこの作動ピン28がガイド部30のガイド面32により図2の下方に向かって押圧されるようになる。このため、ハンド支持部材26は回転軸27を中心として水平面に沿って図7における時計回りの方向に約80°回転し、このハンド支持部材26により支持される第3のハンド25は帯封部212の外側に退避するようになる。このようにして、アーム部210が第2の進出位置(状態)にあるときに、第3のハンド25は紙幣の束を把持する把持位置から当該紙幣の束から離間する離間位置に移動し、当該第3のハンド25は帯封部212内に入らないようになる。
帯封部212では、アーム部210の第1のハンド23および第2のハンド24により挟持されている紙幣の束について、元々第3のハンド25により挟持されていた箇所(アーム部210が第2の進出位置(状態)に移行したときには第3のハンド25が退避することにより空いている箇所)に対して帯封紙が巻かれるようになる。このことにより、帯封部212において帯封動作が行われる。そして、紙幣の束に帯封紙が巻かれて帯封紙幣が形成されると、第1のハンド23および第2のハンド24は帯封紙幣を解放し、当該帯封紙幣は帯封部212から帯封紙幣搬送部216により搬送されるようになる。第1のハンド23および第2のハンド24が帯封紙幣を解放した後、進退部材22が本体部分21に対して帯封部212から離間するよう図2における右方向に移動し、第1のハンド23および第2のハンド24は帯封部212の外側に出るようになる。このようにして、アーム部210は図6および図10に示すような第2の退避位置(状態)に戻る。なお、図8および図9は、進退部材22が、上側の整理一時保留部160と向き合った場合を示している。
次に、帯封部212の構成の詳細について図12乃至図19を用いて説明する。なお、図12乃至図16は、帯封部212の構成を示す側面図であって、そのうち図12は、アーム部210により紙幣の束が帯封部212に送られる前の待機状態を示す図であり、図13は、アーム部210により紙幣の束が帯封部212に送られたときの状態を示す図である。また、図14乃至図16は、それぞれ、帯封部212により紙幣の束の帯封動作を行うときの途中の状態を示す図である。また、図17は、帯封部212において帯封紙が巻かれた直後の紙幣の束の状態を概略的に示す図である。また、図18(a)は、従来技術の紙幣処理機における、アーム部210により紙幣の束が帯封部212に送られる前の待機状態にあるときのテープホルダ250の位置を示す側面図であり、図18(b)は、本実施の形態の紙幣処理機における、アーム部210により紙幣の束が帯封部212に送られる前の待機状態にあるときのテープホルダ250の位置を示す側面図である。また、図19は、本実施の形態の紙幣処理機のテープホルダ250における下側のテープホルダ部分250bに設けられたスリット250cの構成を示す図である。なお、図12乃至図19において、帯封部212において帯封処理が行われるべき紙幣の束を参照符号Pで示し、帯封紙を参照符号Qで示し、ヒートシール箇所を参照符号Rで示している。
前述したように、帯封部212は、アーム部210により整理一時保留部160から当該帯封部212に送られた紙幣の束に対して、テープセット部214から送られた帯封紙を巻き付けることにより帯封処理を行うようになっている。ここで、図12等に示すように、帯封部212には一対のガイド部(第1のガイド部240および第2のガイド部242)が設けられている。また、アーム部210により紙幣の束が帯封部212に対して図12等における右側から左方向に送られるようになっており、この際にアーム部210の各ハンド23、24、25により挟持されている紙幣の束は一対のガイド部240、242により案内されてこれらのガイド部240、242の間の箇所に位置するようになる。なお、一対のガイド部240、242は、アーム部210から紙幣の束が送られてくる側である図12等における右側に向かって間口が広くなるよう構成されている。また、図12等に示すように、帯封紙を帯封部212に供給するためのテープセット部214にはテープリール215が設けられており、帯封部212にはこのテープリール215から巻き出された帯封紙を後述するテープホルダ250に案内するテープガイド213が設けられている。
また、帯封部212には、テープガイド213により案内される帯封紙の先端部分を保持するテープホルダ250およびこのテープホルダ250を支持するテープホルダ支持部252が設けられている。図17や図18に示すように、テープホルダ250は第1のテープホルダ部分250aおよび第2のテープホルダ部分250bを有しており、第1のテープホルダ部分250aと第2のテープホルダ部分250bとの間で帯封紙の先端部分が保持されるようになっている。テープホルダ支持部252は回転軸252aを中心として図12等における時計回りの方向に回転するようになっており、図13乃至図16に示すように一対のガイド部240、242の間に紙幣の束が位置するときにテープホルダ支持部252が回転軸252aを中心として回転することによりこのテープホルダ支持部252により支持されたテープホルダ250によって紙幣の束に帯封紙が巻かれるようになっている。
テープホルダ250により紙幣の束に帯封紙を巻く動作について図13乃至図16を用いて詳述する。図13に示すように、アーム部210によって一対のガイド部240、242の間の箇所に紙幣の束が送られて当該紙幣の束が停止すると、テープホルダ支持部252が回転軸252aを中心として回転し始める。そして、図14や図15に示すような状態を経て、紙幣の束の底面にテープホルダ250が近接するような位置までテープホルダ支持部252が回転すると、当該テープホルダ支持部252は一旦停止する。その後、図16の矢印に示すように、テープガイド213は帯封紙をテープリール215に巻き戻す方向に引っ張る。このことによって、紙幣の束に巻かれた帯封紙に張力が与えられるようになり、紙幣の束に帯封紙がぴったりと巻かれるようになる。
図17は、テープホルダ250によって帯封紙が巻かれた直後の紙幣の束の状態を分かりやすく概略的に示す図である。図17に示すように紙幣の束に帯封紙が巻かれると、紙幣の束に巻かれた帯封紙は図示しない加熱機構により加熱させられる。このことにより、帯封紙の片面に設けられた粘着層が融解し、図17の参照符号Rで示すヒートシール箇所で帯封紙同士が接着する。その後、テープガイド213からテープホルダ250に向かって送られた帯封紙が図示しないカッター等の切断部により切断される。また、テープホルダ250の各テープホルダ部分250a、250bがそれぞれ図17の紙面に直交する方向に移動して帯封紙から引き抜かれる。このようにして、帯封部212において帯封紙が巻かれた帯封紙幣が形成される。
ここで、アーム部210により一対のガイド部240、242の間に紙幣の束が送られる前の帯封部212の待機状態におけるテープホルダ250の位置(待機位置)について図18を用いて本実施の形態と従来技術とを比較しながら説明する。前述したように、図18(a)は、従来技術の紙幣処理機における、アーム部210により紙幣の束が一対のガイド部240、242の間に送られる前の待機状態にあるときのテープホルダ250の位置を示す側面図であり、図18(b)は、本実施の形態の紙幣処理機における、アーム部210により紙幣の束が一対のガイド部240、242の間に送られる前の待機状態にあるときのテープホルダ250の位置を示す側面図である。なお、図18において、アーム部210により紙幣の束が一対のガイド部240、242の間に送られる方向を矢印で示す。
従来技術の紙幣処理機では、図18(a)に示すように、アーム部210により紙幣の束が一対のガイド部240、242の間に送られる前の待機状態にあるときに、テープホルダ250は紙幣の束の送り方向(図18における矢印方向)における第1のガイド部240の手前側の位置で待機するようになっている。しかしながら、このような位置でテープホルダ250が待機しているときには、紙幣の束を構成する紙幣が使い尽くされてよれよれの状態にあり当該紙幣の束の端部がいわゆる扇状に広がってしまっているときに(図18において参照符号Pで示す紙幣の束を参照)、アーム部210により搬送される紙幣の束の端部が一対のガイド部240、242の間に送られる前にテープホルダ250に接触してしまうおそれがある。この場合、帯封部212に紙幣の束を的確にセットすることができなくなってしまい、帯封部212でエラーが発生してしまうという問題がある。
これに対し、本実施の形態の紙幣処理機では、図18(b)に示すように、アーム部210により紙幣の束が一対のガイド部240、242の間に送られる前の待機状態にあるときに、一対のガイド部240、242およびその延長線(図18(b)において二点鎖線で表示)の間にある領域の外側の位置でテープホルダ250が待機するようになっている。このことにより、紙幣の束を構成する紙幣が使い尽くされてよれよれの状態にあり当該紙幣の束の端部がいわゆる扇状に広がってしまっているときでも、アーム部210により搬送される紙幣の束の端部が一対のガイド部240、242の間に送られる前にテープホルダ250に接触してしまうことはない。また、テープホルダ250が図18(b)に示すような位置で待機しているときには、このテープホルダ250は第1のガイド部240と一体的に、アーム部210により搬送される紙幣の束を案内する機能を有するようになる。
また、帯封部212において図17に示すようにテープホルダ250によって紙幣の束に帯封紙が巻かれると、紙幣の束に巻かれた帯封紙は図示しない加熱機構により加熱させられるが、この際に、図17の参照符号Rで示すヒートシール箇所に加えて、該ヒートシール箇所に近接する参照符号R´で示す箇所において帯封紙の片面(紙幣束を巻いた帯封紙の紙幣束に対面する側の面)に設けられた粘着層が融解することにより当該帯封紙が第2のテープホルダ部分250bの下面に接着してしまう場合がある。帯封紙が第2のテープホルダ部分250bの下面に接着してしまうと、テープホルダ250の各テープホルダ部分250a、250bを図17の紙面に直交する方向に移動させて紙幣の束に巻かれた帯封紙から引き抜く際に、帯封紙も第2のテープホルダ部分250bと一緒に移動してしまい、紙幣の束から帯封紙が外れてしまうおそれがある。従来の紙幣処理機では、帯封紙が第2のテープホルダ部分250bの下面に接着してしまうことを防止するために、この第2のテープホルダ部分250bの下面にテフロンコーティングを行っていた。しかしながら、このようなテフロンコーティングを行うとテープホルダ250の部品費が高額になってしまうという問題があった。
これに対し、本実施の形態の紙幣処理機では、図19に示すように、第2のテープホルダ部分250bの下面にテフロンコーティングを行う代わりに、この第2のテープホルダ部分250bの下面に、紙幣の束に巻き付けられた帯封紙から各テープホルダ部分250a、250bを引き抜く方向(すなわち、図17の紙面に直交する方向であり、図19における矢印で示す方向)に延びるような1または複数(図19に示す例では4つ)のスリット250cを設けている。このことにより、第2のテープホルダ部分250bの下面はスリット250cにより複数の領域に分けられるようになり、各領域の面積が小さくなるため、第2のテープホルダ部分250bの下面に帯封紙が接着しにくくなる。このように、本実施の形態の紙幣処理機では、比較的安価な部品費のテープホルダ250により、帯封紙が第2のテープホルダ部分250bの下面に接着してしまうことを防止することができる。
また、本実施の形態の紙幣処理機では、紙幣収納ユニット100の入金搬送部114や出金搬送部150等において、搬送される紙幣の通過等を検知する光学式のタイミングセンサ等のセンサを、搬送される紙幣で清掃することができるようになっている。より詳細に説明すると、入金搬送部114や出金搬送部150に設けられた光学式のセンサの表面(具体的には、発光素子の表面や受光素子の表面、プリズムの端面等)に埃等が付着すると、当該センサによる紙幣の検知性能が低下してしまうおそれがあり、このため、入金搬送部114や出金搬送部150により搬送される紙幣自体によってセンサの表面を摺ることにより当該センサの表面に付着した埃等を除去するようになっている。
このような入金搬送部114や出金搬送部150に設けられた光学式のセンサを搬送される紙幣で掃除する構成について、図20乃至図26を用いて、出金搬送部150を例に挙げて従来技術と比較しながら説明する。なお、図20は、従来技術の紙幣処理機における出金識別部148を出た直後の出金搬送部150の構成を示す構成図であり、図21は、図20に示す出金搬送部150のA−A矢視による断面図である。また、図22は、本実施の形態における出金搬送部150の構成を示す構成図であり、図23は、図22に示す出金搬送部150のB−B矢視による断面図である。また、図24は、本実施の形態における出金搬送部150の他の構成を示す構成図であって、第1のガイド部150b側の構成を示す図であり、図25は、本実施の形態における出金搬送部150の他の構成を示す構成図であって、第2のガイド部150c側の構成を示す図であり、図26は、図25に示す出金搬送部150のC−C矢視による断面図である。
まず、従来技術の紙幣処理機における出金搬送部150の構成について図20および図21を用いて説明する。図21に示すように、出金搬送部150は一対のガイド部(第1のガイド部150bおよび第2のガイド部150c)を有しており、これらの一対のガイド部150b、150cの間で左右一対の搬送ベルト150aにより紙幣が搬送されるようになっている。ここで、各搬送ベルト150aにより紙幣は図20における矢印方向に搬送されるようになっている。各搬送ベルト150aにより搬送される紙幣を図21において参照符号Sで示す。また、出金搬送部150は、第1のガイド部150bに設けられた発光素子148aおよび受光素子148bと、第1のガイド部150bおよび第2のガイド部150cにそれぞれ設けられた複数のプリズム148cとを有しており、図21の二点鎖線に示すように発光素子148aから発せられた光は各プリズム148cにより向きが変えられて受光素子148bに送られるようになっている。そして、発光素子148aから発せられた光が紙幣により遮られて受光素子148bに到達しないようになると、出金搬送部150は搬送される紙幣の通過を検知するようになる。ここで、図20および図21に示すような出金搬送部150の構成では、第1のガイド部150bに設けられた発光素子148aや受光素子148b、プリズム148cと紙幣(図21において参照符号Sで表示)との間に左右一対の搬送ベルト150aが存在するため、この搬送ベルト150aが妨げになって、第1のガイド部150bに設けられた発光素子148aや受光素子148b、プリズム148cの表面に紙幣が当たらず当該表面に付着した埃等を紙幣によって除去することができないという問題があった。
これに対し、図22および図23に示すような本実施の形態の紙幣処理機における出金搬送部150の構成によれば、第1のガイド部150bにおける発光素子148aや受光素子148b、プリズム148cが設けられた箇所の近傍には各搬送ベルト150aが通過する開口150dが設けられており、発光素子148aや受光素子148b、プリズム148cの近傍において各搬送ベルト150aはこの開口150dに入ることにより一対のガイド部150b、150c間の領域から退避するようになっている。より詳細には、第1のガイド部150bに設けられた開口150d内には各ガイドローラ149a、149b、149cが設けられており、各搬送ベルト150aはこれらのガイドローラ149a、149b、149cにより案内されることによって一対のガイド部150b、150c間の領域から退避するようになる。また、図示していないが、第2のガイド部150cにおける第1のガイド部150bの開口150dに対向する位置には、搬送ベルト150a側に付勢された複数のローラが第2のガイド部150cの表面から突出するよう設けられており、搬送ベルト150aとこれらのローラとの間で紙幣を挟むことにより当該紙幣は搬送されるようになっている。このように、図22および図23に示すような本実施の形態の紙幣処理機における出金搬送部150の構成によれば、発光素子148aや受光素子148b、プリズム148cの近傍において各搬送ベルト150aは開口150dに入ることにより一対のガイド部150b、150c間の領域から退避するため、出金搬送部150により搬送される紙幣によって第1のガイド部150bに設けられた発光素子148aや受光素子148b、プリズム148cの表面に付着した埃等を除去することができるようになる。
また、本実施の形態の紙幣処理機における出金搬送部150の他の構成として、図24乃至図26に示すように、出金搬送部150における一対のガイド部150b、150cのうち第1のガイド部150bにおける発光素子148aや受光素子148b、プリズム148cの近傍に複数のリブ150eを設けるととともに、第2のガイド部150cにおいて、第1のガイド部150bに設けられた各リブ150eに対向するよう凹部150fを設けるようにしてもよい。この場合には、出金搬送部150により搬送される紙幣は各リブ150eにより第2のガイド部150c側に向けられるようになり、当該紙幣によって第2のガイド部150cに設けられたプリズム148cの表面に付着した埃等を除去することができるようになる。また、図24乃至図26では、第1のガイド部150bに複数のリブ150eが設けられるとともに第2のガイド部150cに各リブ150eに対向するよう凹部150fが設けられた態様について図示しているが、他の構成として、第2のガイド部150cに複数のリブ150eを設けるとともに、第1のガイド部150bにおいて、第2のガイド部150cに設けられた各リブ150eに対向するよう凹部150fを設けるようにしてもよい。この場合には、出金搬送部150により搬送される紙幣は各リブ150eにより第1のガイド部150b側に向けられるようになり、当該紙幣によって第1のガイド部150bに設けられた発光素子148aや受光素子148b、プリズム148cの表面に付着した埃等を除去することができるようになる。なお、発光素子や受光素子やプリズムの符号(148a、148b、148c)は、出金搬送部150の出金識別部148を出た直後ものであることを示すために、出金識別部148の関連符号とした。また、図22乃至図26で述べたセンサの清掃方法は、出金搬送部150以外の他の搬送路に用いられているセンサの清掃にも適用することができることはいうまでもない。
次に、このような構成からなる紙幣処理機の動作について説明する。なお、以下に示すような紙幣処理機の動作は、制御部10が当該紙幣処理機の紙幣収納ユニット100および紙幣帯封ユニット200の各構成要素を制御することにより行われるようになっている。
まず、紙幣処理機の紙幣収納ユニット100において入金処理を行う際の動作について説明する。紙幣処理機が待機状態となっているときに、操作者が入金処理開始の指令を筐体102の前面や上面に設けられたタッチパネルやキーボード等の操作部(図示せず)により制御部10に入力するとともに、紙幣投入部110にバラ紙幣を投入すると、紙幣投入部110に投入された紙幣は紙幣繰出部112により1枚ずつ筐体102内に繰り出され、入金搬送部114により搬送されるようになる。そして、入金搬送部114により搬送される紙幣は入金識別部116によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別される。入金識別部116により識別された紙幣は表裏反転部118によりその表裏が整えられる。具体的には、表裏反転部118に送られた紙幣のうち、例えば裏面が上側となっている紙幣のみの表裏が反転されることにより、この表裏反転部118から出された紙幣は全て表面(おもてめん)が上側となるようになる。また、入金識別部116により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は入金搬送部114から入金リジェクト部120に送られる。入金リジェクト部120は紙幣収納ユニット100の筐体102の外部からアクセス可能となっており、紙幣投入部110に投入された紙幣が全て筐体102内に繰り出されると、操作者はこの入金リジェクト部120に集積されたリジェクト紙幣を手動で取り出し、紙幣投入部110に再投入等するようになる。
一方、入金識別部116により正常な紙幣であると識別された紙幣は、入金搬送部114により一括一時保留部130または各金種別一時保留部132に送られ、これらの一時保留部で一時的に保留されるようになる。具体的には、入金識別部116により正常な紙幣であると識別された紙幣は、対応する金種の金種別一時保留部132に送られるが、この対応する金種の金種別紙幣収納庫142が満杯状態である場合には、当該紙幣は一括一時保留部130に送られるようになる。そして、紙幣投入部110に投入された紙幣が全て筐体102内に繰り出され、入金リジェクト部120、一括一時保留部130または各金種別一時保留部132に送られると、操作者に対して入金確定の指令を促すメッセージがモニタ等の表示部(図示せず)に表示される。このときに、操作者が操作部により入金確定の指令を入力すると、一括一時保留部130や各金種別一時保留部132に一時的に保留されている紙幣が、対応する一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に送られ、これらの紙幣収納庫に収納されるようになる。このようにして、紙幣処理機の紙幣収納ユニット100における入金処理に係る一連の動作が完了する。
次に、紙幣処理機の紙幣収納ユニット100によりバラ紙幣の出金処理を行う際の動作について説明する。紙幣処理機が待機状態となっているときに、操作者が出金処理開始の指令および出金すべき紙幣の金種毎の枚数や合計金額等を操作部により制御部10に入力すると、出金すべき金種の紙幣が各金種別紙幣収納庫142から1枚ずつ紙幣繰出部144により下部搬送部146に繰り出される。そして、下部搬送部146により搬送される紙幣は出金識別部148によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別され、出金識別部148により識別された紙幣は出金搬送部150により1枚ずつ搬送される。出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は出金搬送部150から出金リジェクト部154に送られる。なお、紙幣収納ユニット100において出金処理が完了した後に出金リジェクト部154に集積されたリジェクト紙幣を取り出すにあたり、操作者は紙幣収納ユニット100の筐体102に設けられた扉(図示せず)を開いて出金リジェクト部154内のリジェクト紙幣を取り出すこととなる。また、出金識別部148により正常な紙幣であると識別された紙幣は出金搬送部150によりバラ紙幣投出部152に送られ、このバラ紙幣投出部152に集積される。バラ紙幣投出部152は紙幣収納ユニット100の筐体102の外部からアクセス可能となっており、紙幣収納ユニット100において出金処理が完了すると、操作者はこのバラ紙幣投出部152に集積された紙幣を手動で取り出すようになる。このようにして、紙幣処理機の紙幣収納ユニット100における出金処理に係る一連の動作が完了する。
次に、紙幣処理機の紙幣収納ユニット100により精査処理を行う際の動作について説明する。紙幣処理機が待機状態となっているときに、操作者が精査処理開始の指令を操作部により制御部10に入力すると、あるいは金融機関や店舗等の営業時間外の予め設定された時刻になると、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納された紙幣について、これらの一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142から紙幣繰出部144により下部搬送部146に繰り出して出金識別部148により識別および計数を行い、識別および計数が行われた紙幣を当該紙幣が繰り出された一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に戻すような精査処理が行われる。具体的には、一括紙幣収納庫140に収納された紙幣について、当該一括紙幣収納庫140から1枚ずつ紙幣繰出部144により下部搬送部146に繰り出される。そして、下部搬送部146により搬送される紙幣は出金識別部148により識別および計数が行われる。ここで、出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は出金搬送部150から出金リジェクト部154に送られる。また、出金識別部148により正常な紙幣であると識別された紙幣は出金搬送部150から表裏反転部118に送られる。そして、表裏反転部118に送られた紙幣は当該表裏反転部118によりその表裏が整えられた後、一括紙幣収納庫140に対応する一括一時保留部130に送られて当該一括一時保留部130で一時的に保留される。そして、一括紙幣収納庫140から紙幣が全て繰り出されて一括一時保留部130に送られると、一括一時保留部130で一時的に保留されている紙幣が一括紙幣収納庫140に送られる。
より厳密には、一括一時保留部130が一括紙幣収納庫140に比べて容積が小さくなっているので、一括紙幣収納庫140に収納されている紙幣の枚数が多くて、一括一時保留部130に一度に入りきらないときは、一括一時保留部130が満杯になった時点でこの紙幣を一括紙幣収納庫140に送る。一括紙幣収納庫140内は昇降自在のセパレータ(図示せず)で仕切られており、一括一時保留部130から送られた計数済みの紙幣はこのセパレータ上に集積していく。セパレータの下側には精査処理すべき未計数の紙幣が収納されており、計数済みの紙幣と未計数の紙幣が混合することはない。そして空になった一括一時保留部130へ一括紙幣収納庫140から紙幣を計数して送り込む。この動作を繰り返して一括紙幣収納庫140内に収納されていた全ての紙幣の計数を行なう。計数済みの全ての紙幣はセパレータ上に集積される。そしてセパレータが一括紙幣収納庫140の外側へ退避してセパレータ上の紙幣をセパレータの下側の元の位置に戻す。以上の動作は、後述の金種別紙幣収納庫142に収納されている紙幣の精査処理における金種別紙幣収納庫142と金種別一時保留部132との関係についても同じである。
また、各金種別紙幣収納庫142に収納された紙幣について、金種別紙幣収納庫142毎に、金種別紙幣収納庫142から1枚ずつ紙幣繰出部144により下部搬送部146に繰り出される。そして、下部搬送部146により搬送される紙幣は出金識別部148により識別および計数が行われる。ここで、出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は出金搬送部150から出金リジェクト部154に送られる。また、出金識別部148により正常な紙幣であると識別された紙幣は出金搬送部150から表裏反転部118に送られる。そして、表裏反転部118に送られた紙幣は当該表裏反転部118によりその表裏が整えられた後、当該紙幣が繰り出された金種別紙幣収納庫142に対応する金種別一時保留部132に送られて当該金種別一時保留部132で一時的に保留される。そして、金種別紙幣収納庫142から紙幣が全て繰り出されて金種別一時保留部132に送られると、金種別一時保留部132で一時的に保留されている紙幣が金種別紙幣収納庫142に送られる。このような動作は金種別紙幣収納庫142毎に行われる。
次に、紙幣処理機の紙幣収納ユニット100および紙幣帯封ユニット200により帯封紙幣作成処理を行う際の動作について説明する。紙幣処理機が待機状態となっているときに、操作者が帯封紙幣作成処理開始の指令および作成されるべき帯封紙幣の1または複数の金種を操作部により制御部10に入力すると、紙幣帯封ユニット200により作成されるべき帯封紙幣の金種に該当する紙幣が各金種別紙幣収納庫142から1枚ずつ紙幣繰出部144により下部搬送部146に繰り出される。あるいは、一括紙幣収納庫140から紙幣が1枚ずつ紙幣繰出部144により下部搬送部146に繰り出されるようにしてもよい。そして、下部搬送部146により搬送される紙幣は出金識別部148によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別され、出金識別部148により識別された紙幣は出金搬送部150により1枚ずつ搬送される。出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は出金搬送部150から出金リジェクト部154に送られる。また、出金識別部148により正常な紙幣であると識別された紙幣のうち紙幣帯封ユニット200により作成されるべき帯封紙幣の金種に該当する紙幣が出金搬送部150により各整理一時保留部160に送られる。各整理一時保留部160では、出金搬送部150から送られた紙幣が積層状態で集積される。そして、帯封紙幣を構成すべき所定枚数(例えば100枚)の紙幣が各整理一時保留部160に集積されると、各整理一時保留部160に集積された紙幣の束は、紙幣帯封ユニット200のアーム部210によってこれらの整理一時保留部160から取り出され、紙幣帯封ユニット200の帯封部212に搬送される。そして、紙幣帯封ユニット200において、テープセット部214から帯封紙が帯封部212に送られることによって、帯封部212において所定枚数の紙幣の束が帯封紙により帯封される。帯封部212により帯封された帯封紙幣は帯封紙幣搬送部216により帯封紙幣投出部218に搬送される。帯封紙幣投出部218は紙幣帯封ユニット200の筐体202の外部からアクセス可能となっており、操作者はこの帯封紙幣投出部218に送られた帯封紙幣を手動で取り出すことができるようになる。なお、帯封部212により帯封された帯封紙幣のうち、帯封紙幣投出部218により筐体202の外部に投出されない帯封紙幣は帯封紙幣収納出金用搬送部220により各帯封紙幣収納カセット230に金種別に収納される。
なお、本実施の形態の紙幣処理機では、上述した帯封紙幣作成処理を行うにあたり紙幣収納ユニット100において一括紙幣収納庫140に収納された紙幣を各整理一時保留部160に搬送する際に以下に示すような動作が行われるようになっている。まず、比較対象として従来技術の紙幣処理機における一括紙幣収納庫140に収納された紙幣を各整理一時保留部160に搬送する際の動作について説明する。紙幣帯封ユニット200により作成されるべき帯封紙幣の1又は複数の金種を操作者が操作部により制御部10に入力すると、一括紙幣収納庫140から紙幣が1枚ずつ紙幣繰出部144により下部搬送部146に繰り出され、出金識別部148により識別が行われた後、当該出金識別部148により識別された紙幣の金種と操作者が操作部により制御部10に入力した帯封紙幣の金種とが一致する場合には当該紙幣は各整理一時保留部160に送られる。一方、出金識別部148により識別された紙幣の金種と操作者が操作部により制御部10に入力した帯封紙幣の金種とが一致しない場合には当該紙幣は出金搬送部150により表裏反転部118に送られ、この表裏反転部118から一括一時保留部130に送られて当該一括一時保留部130で一時的に保留された後、一括紙幣収納庫140に戻されるようになる。そして、各整理一時保留部160に集積された紙幣の枚数が帯封紙幣を構成すべき所定枚数(例えば100枚)に近づくと、一括紙幣収納庫140から繰り出された紙幣が各整理一時保留部160または一括一時保留部130に送られるまで次の紙幣を一括紙幣収納庫140から繰り出さないような間欠制御が行われるようになる。一括紙幣収納庫140では複数の金種の紙幣が混合状態で収納されており当該一括紙幣収納庫140からどの順番でどの金種の紙幣が繰り出されるか分からないが、上述したような間欠制御を行って紙幣の処理速度を一時的に低下させることにより、操作者が操作部により制御部10に入力した帯封紙幣の金種に対応する紙幣のみを各整理一時保留部160に確実に送ることができるようになる。
しかしながら、従来技術の紙幣処理機では、このような間欠制御を行うことにより、帯封紙幣作成処理において一括紙幣収納庫140から各整理一時保留部160に所定枚数の紙幣を搬送する動作に時間がかかってしまう場合があるという問題があった。例えば、一括紙幣収納庫140において、当該一括紙幣収納庫140から紙幣が繰り出される順に一万円札99枚、千円札200枚、一万円札50枚が収納されていたときに、紙幣帯封ユニット200により作成されるべき帯封紙幣の金種として操作者が操作部により千円札および一万円札の2つの金種を制御部10に入力すると、一万円札99枚が一括紙幣収納庫140から繰り出されて整理一時保留部160に送られた時点で間欠制御が行われるようになり、千円札200枚を一括紙幣収納庫140から整理一時保留部160に送る際に間欠制御がずっと行われるようになるため、非常に時間がかかってしまってしまう。
これに対し、本実施の形態の紙幣処理機では、紙幣帯封ユニット200により作成されるべき帯封紙幣の1又は複数の金種を操作者が操作部により制御部10に入力すると、入力された帯封紙幣の金種の数が1つである場合には、上述した間欠制御を行わないようにし、また、入力された帯封紙幣の金種の数が2つ以上である場合には、紙幣帯封ユニット200により作成されるべき最終の帯封紙幣に対応する紙幣が一括紙幣収納庫140から繰り出されるときには上述した間欠制御を行うようにした。一方、入力された帯封紙幣の金種の数が2つ以上である場合に、最終の帯封紙幣に対応する紙幣が一括紙幣収納庫140から繰り出されるまでは上述した間欠制御を行なわないようにしている。本実施の形態の紙幣処理機では、このような制御を行うことにより、間欠制御が行われる時間を大幅に短縮することができ、よって帯封紙幣作成処理において各金種別紙幣収納庫142から各整理一時保留部160に所定枚数の紙幣を搬送する動作にかかる時間を短縮することができるようになる。
以上のような構成からなる本実施の形態の紙幣処理機によれば、制御部10は、各紙幣収納庫に収納された紙幣について、当該紙幣収納庫から1枚ずつ下部搬送部146に繰り出して当該下部搬送部146から出金搬送部150に搬送される間に出金識別部148により識別および計数を行い、識別および計数が行われた紙幣を当該紙幣が繰り出された紙幣収納庫に直接的に戻すような精査処理を行うようになっている。このように、精査処理において、複数の紙幣収納庫のうち一括紙幣収納庫140に収納された紙幣についても、当該一括紙幣収納庫140から1枚ずつ下部搬送部146に繰り出して当該下部搬送部146から出金搬送部150に搬送される間に出金識別部148により識別および計数を行い、識別および計数が行われた紙幣を当該紙幣が繰り出された一括紙幣収納庫140に直接戻すような動作を行うことにより、一括紙幣収納庫140に収納された紙幣についても短時間で精査処理を行うことができる。
また、従来技術の紙幣処理機では概して入金識別部116の上方に表裏反転部118が設けられるような構成となっていたのに対し、本実施の形態の紙幣処理機では入金識別部116の下方に表裏反転部118が設けられるような構成となっている。また、本実施の形態の紙幣処理機では従来技術の紙幣処理機と比較して、入金搬送部114における紙幣投入部110から入金リジェクト部120までの紙幣の搬送路の湾曲した箇所が少なくなっている。これらの事項により、入金搬送部114における紙幣の搬送路の構成がシンプルとなり、当該搬送路における紙幣のジャム(詰まり)の発生を抑制することができるようになる。また、従来技術の紙幣処理機では、入金搬送部114や出金搬送部150における、中間ユニット400や収納ユニット450と上部ユニット460との間の継ぎ目が3箇所となっていたのに対し、本実施の形態の紙幣処理機では、入金搬送部114や出金搬送部150における、中間ユニット400や収納ユニット450と上部ユニット460との間の継ぎ目の数を2つに減らすことができ、このことによっても入金搬送部114や出金搬送部150の搬送路における紙幣のジャム(詰まり)の発生を抑制することができるようになる。
また、本実施の形態の紙幣処理機においては、前述したように、各紙幣収納庫に対応して複数の一時保留部が設けられており、制御部10は、精査処理を行う際に、出金識別部148により識別および計数が行われた紙幣を、当該紙幣が繰り出された紙幣収納庫に対応する一時保留部に一時的に保留させ、その後、一時保留部に一時的に保留された紙幣を紙幣収納庫に戻すようになっている。また、本実施の形態の紙幣処理機においては、前述したように、複数の紙幣収納庫は、紙幣を金種別に収納する金種別紙幣収納庫142と、複数の金種の紙幣を混合状態で収納する一括紙幣収納庫140とを含むようになっている。
また、本実施の形態の紙幣処理機においては、前述したように、所定枚数の紙幣の束の帯封を行う帯封部212と、出金搬送部150にそれぞれ接続され、互いに高さレベルが異なっており、帯封部212により帯封が行われるべき紙幣が集積される複数の整理一時保留部160と、各整理一時保留部160に集積された紙幣の束を取り出して帯封部212に搬送するアーム部210(搬送機構)とがそれぞれ設けられており、帯封部212の高さレベルは、複数の整理一時保留部160のうち一つの整理一時保留部160の高さレベルと同一となっている。ここで、従来技術の紙幣処理機では、上下一対の整理一時保留部160のうち上側の整理一時保留部160よりも上方に帯封部212が設置されており、このためアーム部210の進退部材22を含む上下移動体における鉛直方向において各整理一時保留部160や帯封部212と向かい合う位置は3箇所となっていた。これに対し、本実施の形態の紙幣処理機では、アーム部210の進退部材22を含む上下移動体における鉛直方向において各整理一時保留部160や帯封部212と向かい合う位置は図3に示すように2箇所となり、当該上下移動体の鉛直方向における移動距離を小さくすることができるため、紙幣処理機全体の小型化を図ることができるとともに、アーム部210により各整理一時保留部160から帯封部212へ紙幣の束を移動させるのに必要な時間を短縮することができるようになる。また、アーム部210の上下移動体における鉛直方向の位置決め制御も2箇所でよく、簡単化できる。
また、本実施の形態の紙幣処理機においては、アーム部210は、紙幣の束を上下から挟持することにより把持する複数のハンド23、24、25を複数有しており、複数のハンド23、24、25のうち第3のハンド25は、特定把持部材として、紙幣の束を把持する把持位置(図4乃至図6参照)と、把持位置から退避して紙幣の束から離間する退避位置(図7参照)との間で移動自在となっている。また、各整理一時保留部160に集積された紙幣の束を取り出す際には第3のハンド25は把持位置に位置し、各ハンド23、24、25により把持された紙幣の束を帯封部212に送る際に第3のハンド25が把持位置から退避位置に移動するようになっている。また、第3のハンド25を把持位置と退避位置との間で移動させる作動ピン28の案内を行うガイド部30が設けられており、アーム部210の本体部分21が帯封部212に接近する際に、作動ピン28がガイド部30に当接して当該ガイド部30により押動されることによって第3のハンド25が把持位置から退避位置に移動するようになっている。
また、本実施の形態の紙幣処理機においては、ガイド部30は、作動ピン28に当接することができる進出位置(図6および図7参照)と、作動ピン28から退避した退避位置(図4および図5参照)との間で移動自在となっており、アーム部210の本体部分21が整理一時保留部160と向き合う位置から帯封部212と向き合う位置に移動したときにガイド部30が退避位置から進出位置に移動するようになっている。ここで、従来技術の紙幣処理機では、作動ピン28を押圧することにより回転軸27を中心として第3のハンド25を回転させるガイド部30は、帯封部212の高さレベルと略同一の高さレベルにおいて位置固定で設けられていた。これに対し、本実施の形態の紙幣処理機では、ガイド部30はアーム部210の本体部分21と一体的に移動するとともに、この本体部分21が整理一時保留部160と向き合う位置と帯封部212と向き合う位置との間で移動すると、ガイド部30は作動ピン28に当接することができる進出位置と作動ピン28から退避した退避位置との間で移動するようになっている。
また、本実施の形態の紙幣処理機においては、前述したように、帯封部212には、帯封紙の先端を挟持して当該帯封紙を紙幣の束に巻き付けるための一対のテープホルダ部分250a、250bを有するテープホルダ250が設けられており、一対のテープホルダ部分250a、250bのうち第2のテープホルダ部分250bの表面には、紙幣の束に巻き付けられた帯封紙から一対のテープホルダ部分250a、250bを引き抜く方向と平行な方向に沿って延びるような1または複数のスリット250cが設けられている。このことにより、第2のテープホルダ部分250bの表面はスリット250cにより複数の領域に分けられるようになり、各領域の面積が小さくなるため、第2のテープホルダ部分250bの下面に帯封紙が接着しにくくなる。このように、本実施の形態の紙幣処理機では、第2のテープホルダ部分250bの表面にシリコンコーティングを行う必要がなくなりテープホルダ250の部材費が比較的安価となり、しかも帯封紙が第2のテープホルダ部分250bの下面に接着してしまうことを防止することができる。
なお、本実施の形態による紙幣処理機は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、紙幣収納ユニット100に設けられる整理一時保留部160の数は2つに限定されることはない。変形例に係る紙幣処理機において、紙幣収納ユニット100に1つの整理一時保留部160が設けられていてもよく、あるいは鉛直方向に沿って並ぶよう紙幣収納ユニット100に3つ以上の整理一時保留部160が設けられていてもよい。この場合でも、1つまたは3つ以上の整理一時保留部160のうちある1つの整理一時保留部160(必ずしも、最も上側にある整理一時保留部160とは限らない)の高さレベルと同一となるよう帯封部212を設置することが望ましい。
また、本発明の紙幣処理機は、必ずしも紙幣収納ユニット100および紙幣帯封ユニット200の両方を備えたものに限定されることはない。本発明の紙幣処理機として紙幣収納ユニット100のみを備えたものが用いられ、このような紙幣収納ユニット100において、制御部10は、各紙幣収納庫に収納された紙幣について、当該紙幣収納庫から1枚ずつ下部搬送部146に繰り出して当該下部搬送部146から出金搬送部150に搬送される間に出金識別部148により識別および計数を行い、識別および計数が行われた紙幣を当該紙幣が繰り出された紙幣収納庫に直接的に戻すような精査処理を行うようになっていてもよい。