以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下では、可動接点と固定接点とが対向する方向を前後方向(X方向)と規定し、固定接点が並設されている方向を幅方向(Y方向)と規定する。そして、可動接点が配置される側を前後方向前側、固定接点が配置される側を前後方向後側と規定する。さらに、外部接続端子の先端が下側を向くように電磁リレーを配置した状態における上側(ケース側)を上下方向(Z方向)上側、下側(外部接続端子側)を上下方向下側と規定する。
また、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
本実施形態にかかる電磁リレー1は、実質的に直方体形状の外側表面を有しており、ケース10、ベース20、電磁石ブロック30、接極子70、可動接点部80および固定接点部90を備えている。ただし、電磁リレー1の外側表面の形状は、いかなるものであってもよい。なお、本明細書において、「実質的に直方体」とは、多少の凹凸があっても、その外表面の大部分を占める面に沿って描かれた仮想の6面体が全体として直方体形状をなすものを意味する。
ケース10は、樹脂で形成されており、下側に開口10aを有する略箱状に形成されている。そして、このケース10の開口周縁壁10bにベース20の周縁部20aを嵌合させることで、実質的に直方体形状の内部空間Sが形成されるようにしている。本実施形態では、図2に示すように、開口周縁壁10bを薄肉となるように形成しており、この薄肉部分にベース20の周縁部20aが嵌め込まれるようにしている。
そして、この内部空間S内には、電磁石ブロック30、接極子70、可動接点部80および固定接点部90が収容されている。ただし、電磁石ブロック30、接極子70、可動接点部80および固定接点部90は、外部接続端子部分(コイル端子56および外部接続端子片93)をベース20の下側(ケース10およびベース20の外部)に突出させた状態で、内部空間S内に収容されている。
このように、ケース10は蓋部材として用いられるものであるが、このケース10は透明であっても不透明であってもよい。
ベース20は、絶縁材料である合成樹脂によって略矩形板状に形成されており、X方向後部におけるY方向両側に、コイル端子56が挿通される挿通孔21がそれぞれ形成されている。この挿通孔21は、Y方向に細長いスリット状をしている。また、X方向後部におけるY方向略中央部(2つの挿通孔21の間)には、後述するコイルボビンを支持する支持孔23が形成されている。
一方、X方向前部におけるY方向両側には、外部接続端子片93が挿通される挿通孔22がそれぞれ形成されている。この挿通孔22は、X方向に細長いスリット状をしている。また、X方向前部におけるY方向略中央部(2つの挿通孔22の間)には、後述する永久磁石100が挿入される挿入孔24が形成されている。
電磁石ブロック30は、継鉄40、コイルブロック50および鉄心60で構成されている。
継鉄40は、略L字状に折り曲げられた形状をしており、鉄心60が挿入支持される取付孔41aが形成された第1壁部41と、後述する復帰バネ71が取り付けられる突起42aが形成された第2壁部42と、を備えている。
そして、継鉄40の第1壁部41には、コイル51をコイルボビン52に巻装することで形成されるコイルブロック50が鉄心60を介して支持されている。
コイルブロック50は、鉄芯60が挿入されるコイルボビン52と、コイルボビン52に巻き付けられているコイル51と、コイル51が接続されるコイル端子56と、を備えている。
コイルボビン52は、前側鍔部53と、後側鍔部54と、前側鍔部53と後側鍔部54とを接続する円柱部55と、を備えている。なお、コイルボビン52は、樹脂製の成形品である。
前側鍔部53には、永久磁石100を保持する磁石保持部53aが形成されている。前側鍔部53は、その前面に下方に開口する略U字状の壁部53bを一体的に突設した形状をしており、略U字状の壁部53bを形成することで磁石保持部53aを形成している。
また、壁部53bの後方には、固定接点部90(本実施形態では、取付片91)を挿入固定する固定部53cが形成されている。本実施形態では、前側鍔部53は、その前面に略S字状の壁部53dが一体に取り付けられた形状をしており、X方向後側がY方向から視た状態で閉断面となるように、略S字状の壁部53dを形成することで挿通孔としての固定部53cを形成している。このとき、X方向前側には、固定接点94が取り付けられる固定片92を収容する接点収容部53eが形成されている。
このように、本実施形態では、Y方向両端の接点収容部53eおよび磁石保持部53aがY方向に並ぶように形成されている。すなわち、Y方向両端に配置される固定接点94の間に、永久磁石100が配置されるようにしている。
さらに、壁部53bの後部には、Y方向に延在するとともにX方向後方に突出する突壁部53fが形成されており、この突壁部53fと固定部53c(略S字状の壁部53dのうち固定部53cの上側を画成する上壁部53g)との間には、Y方向から視た状態で、後方に開口する空間部Dが形成されている。この空間部Dには、後述する板バネ部81のY方向中央部に形成されて前方に突出する突片81aが収容される。そして、空間部Dに突片81aを収容することで、突壁部53fと上壁部53gによって板バネ部81の上下方向の移動を規制するようにしている。
後側鍔部54の下部におけるY方向中央部には、下方に突出する突部54bが形成されており、この突部54bをベース20の支持孔23に圧入(挿入固定)することで、コイルボビン52がベース20の上面に固定される。また、後側鍔部54の下部におけるY方向両端には、一対のコイル端子56の取付片部56aがそれぞれ挿入支持されるコイル端子取付部54aが形成されている。
円柱部55にはコイル51が巻き付けられており、この円柱部55の内側の貫通孔55aには鉄心60の胴部62が挿入される。
一対のコイル端子部56にはコイル絡げ部56aがそれぞれ形成されており、コイル51の端部をそれぞれコイル絡げ部56aに絡げることで、一対のコイル端子部56とコイル51とが電気的に接続されるようになっている。
鉄心60は、胴部62と、胴部62の頭部に配置された鍔状の吸着片61と、を備えており、胴部62をコイルボビン52の筒状部55に通した状態で、継鉄40の第1壁部41の取付孔41aに固定されている。
接極子70は略平板状をしており、接極子70の前面には前方に突出する突起70aが形成されている。
復帰バネ71は略L字状に折曲した形状をしており、第1片71cと第2片71dとを備えている。
そして、継鉄40の第2壁部42のY方向両側に設けられた突起42aを、第1片71cのY方向両側に形成された挿通孔71aに挿入するとともに、接極子70の突起70aを第2片71dのY方向両側に形成された挿通孔71bに挿入することで、接極子70が継鉄40に対して揺動自在に支承されることとなる。この接極子70は、鉄心60の吸着片61に対向する位置に配置されている。
そして、コイル51への非通電時(電磁石ブロック30の非励磁時)には、この復帰バネ71の付勢力(上方への付勢力)によって、接極子70が鉄心60の吸着片61から引き離された状態で保持される。一方、コイル51への通電時(電磁石ブロック30の励磁時)には、鉄心60の吸着片61の磁力が復帰バネ71の付勢力に勝って、接極子70が鉄心60の吸着片61に接触する。
そして、このような接極子70の動作(揺動)に応じて揺動する可動接点部80が、絶縁ホルダ72および復帰バネ71を介して接極子70に取り付けられている。
この可動接点部80には可動接点83が設けられており、可動接点部80の揺動に応じて可動接点83が固定接点部90に設けられた固定接点94と接離することで、接点切換が行われる。
本実施形態では、可動接点部80は、絶縁ホルダ72を介して接極子70に取り付けられる固定片81と、可動接点83がそれぞれ設けられる可動バネ(可動側支持部)82と、を備えている。
本実施形態では、可動接点部80は、固定片81から二股状に分岐するように2つの可動バネ82が延設されるとともに、2つの可動バネ82の間に前方に突出する突片81aが形成された形状をしている。
そして、2つの可動バネ82の先端部にはそれぞれ1つの可動接点83が形成されている。この可動接点83は、可動バネ82の先端部に形成された挿通孔82aに挿入固定することで可動バネ82に固着されている。
可動接点部80は、2つの可動バネ82の先端部の間に磁石保持部53aが配置されるとともに突片81aが空間部Dに収容された状態で、接極子70の動作(揺動)に応じて揺動できるように配置される。
固定接点部90は、固定接点94が1つずつ固着された2個で構成されており、ベース20に取り付けられている。
具体的には、図3,4に示すように、固定接点部90は、固定部53cに挿入固定される取付片91と、固定接点94が挿入固定される挿通孔92aが形成された固定片(固定側支持部)92と、ベース20の挿通孔22に挿通されて外方に突出する外部接続端子片93と、を備えている。
そして、取付片91を固定部53cに挿入しつつ、固定接点94が固着された固定片92を接点収容部53eに収容することで、固定接点部90がコイルボビン52に取り付けられる。
このように、2つの固定接点94が2つの可動接点83にそれぞれ上下方向で対向するように取り付けられている。そして、コイル51への非通電時(電磁石ブロック30の非励磁時)には、互いに対向する固定接点94と可動接点83とが、上下方向に離間して配設されるようにしている。一方、コイル51への通電時(電磁石ブロック30の励磁時)に、可動接点部80が揺動した際には、可動接点83が対向する固定接点94に接近して当接するようになっている。
さらに、本実施形態では、電磁リレー1に、可動接点83と固定接点94とが接離する際に生じるアークを伸長させるアーク伸長空間S1を形成している。
具体的には、図6に示すように、各部材を取り付けたベース20をケース10で覆った際に、ケース10の内側であって、一対の対応する可動接点83および固定接点94(互いに接離する接点)のY方向外側にアーク伸長空間S1がそれぞれ形成されるようにしている。
さらに、電磁リレー1には、可動接点83と固定接点94とが接離する際に生じるアークを、アーク伸長空間S1に導く永久磁石(磁界発生手段)100が設けられている。この永久磁石100は、図4および図5に示すように、Y方向両側に配置された接点(可動接点83および固定接点94)の間に設けられている。そして、可動接点83と固定接点94とが接離する際に生じるアークが、永久磁石100の磁気作用によってアーク伸長空間S1に引き伸ばされるようにしている。
このとき、アーク伸長空間S1内にアーク消弧部を設けるようにしてもよい。このアーク消弧部としては、アークが当接した際に、アーク消弧性ガスを発生しうる絶縁材料(不飽和ポリエステルや、鎖式化合物に金属水酸化物または水和物を添加したもの)を用いることができる。
ここで、本実施形態では、接点ギャップをより大きくしてアーク消弧性能をより向上させることができるようにした。
具体的には、可動接点83の表面83aと固定接点94の表面94aとの間の距離を、アーク伸長空間S1側(Y方向外側)で大きく、アーク伸長空間S1とは反対側(Y方向内側)で小さくなるようにした。
すなわち、アーク伸長空間S1側の方がアーク伸長空間S1とは反対側よりも、可動接点83の表面83aと固定接点94の表面94aとの間の距離が大きくなるようにした。
本実施形態では、図7(b)に示すように、可動接点83と固定接点94とが当接した状態で、可動接点83の表面83aが固定接点94の表面94aに対して傾斜するように、可動接点部80および固定接点部90を構成した。
具体的には、可動接点83および固定接点94のうち少なくともいずれか一方の接点である可動接点83に傾斜面83bが形成されるようにした。なお、固定接点94の表面94aは上方を向くとともに略水平に延在しており、傾斜面83bは、下方を向くとともにY方向外側に向かうにつれて上方に位置するように傾斜している。すなわち、傾斜面83bは、アーク伸長空間S1に向かうにつれて固定接点94の表面94aとの距離が大きくなるように傾斜している。
こうすることで、可動接点83および固定接点94は、アーク伸長空間S1とは反対側(Y方向内側)の周縁部で当接することになり、アーク伸長空間S1側(Y方向外側)の接点ギャップが大きくなる。
なお、可動接点83そのものに傾斜面を設けるのではなく、図8(a)、図8(b)に示すように、通常の可動接点83を、斜めに傾斜させた台座84や台座84Aを介して可動バネ82に固定することで、可動接点83の表面83aを固定接点94の表面94aに対して傾斜させるようにしてもよい。こうすれば、可動接点83の形状を変更することなく接点ギャップを大きくすることができる。すなわち、通常使用される可動接点83を用いて可動接点83の表面83aを固定接点94の表面94aに対して傾斜させることができる。なお、台座84は、導電性を有する材料で形成するのが好ましい。ただし、図8(a)のように、台座84を用いつつ、可動接点83を可動バネ82の挿通孔82aに挿入固定する構成とすれば、台座84が導電性を有している必要はない。
また、台座を用いつつ傾斜面を形成した構成とすることも可能である。
次に、かかる構成の電磁リレー1の接点動作について説明する。
この電磁リレー1は、電磁石ブロック30が非励磁の状態のときには、復帰バネ71が絶縁ホルダ72を上方に付勢しているため、接極子70は図5における時計回り方向に回動している。そのため、接極子70は鉄心60の吸着片61から開離した状態となっている。この状態では、図6に示すように、可動接点83と固定接点94も開離している。
そして、コイル51へ通電して電磁石ブロック30を励磁させると、継鉄40、鉄心60および接極子70を通して、接極子70を鉄心60の吸着片61に吸引する磁力が発生する。このとき、接極子70は、復帰バネ71のばね力(付勢力)に抗して鉄心60の吸着片61に吸引され、接極子70が図5における反時計回り方向に回動する。これにともなって可動接点板83も反時計回り方向に移動し、2つの可動接点83はそれぞれ、対向する固定接点94に接触する(図7参照)。
そして、コイル51への通電を停止すると、逆の動作が行われて、可動接点83と固定接点94が開離する。
このように、コイル51への通電のオン・オフを切り換えることで、可動接点83と固定接点94とが接離することとなる。
ところで、可動接点83と固定接点94とが接離する際には、接点間にアークAが生じる場合がある。
このようなアークAが生じた場合、アークAは、永久磁石(磁界発生手段)100によってアーク伸長空間S1に導かれる。すなわち、可動接点83と固定接点94とが接離する際に生じたアークAは、アーク伸長空間S1に伸長される。このとき、アークAは、可動接点83の表面83aおよび固定接点94の表面94aをなめるように走行して伸長する。すなわち、アークAは、可動接点83の表面83aおよび固定接点94の表面94aに当接しながら伸長する。
ここで、図9(a)に示すように、可動接点83と固定接点94とが当接した状態で、可動接点83の表面83aが固定接点94の表面94aに対して傾斜していない場合、可動接点83および固定接点94は、可動接点83の表面83aおよび固定接点94の表面94aの略中心部で当接し、この中心部がアークAの発弧点Pとなる(図9(a)参照)。そして、発弧点Pで発生したアークAは、発弧点Pからアーク伸長空間S1側に向けて可動接点83の表面83aおよび固定接点94の表面94aをなめるように走行し、アーク伸長空間S1に導かれる。
このとき、図9(a)に示す構成では、アーク伸長空間S1側の接点ギャップがあまり大きくないため、アークAはあまり引き伸ばされない状態でアーク伸長空間S1に導かれることとなる。
一方、本実施形態では、可動接点83と固定接点94とが当接した状態で、可動接点83の表面83aが固定接点94の表面94aに対して傾斜するように構成されている。そのため、可動接点83および固定接点94は、アーク伸長空間S1とは反対側(Y方向内側)の周縁部で当接し、アーク伸長空間S1とは反対側(Y方向内側)の周縁部がアークAの発弧点Pとなる(図9(b)参照)。そして、発弧点Pで発生したアークAは、発弧点Pからアーク伸長空間S1側に向けて可動接点83の表面83aおよび固定接点94の表面94aをなめるように走行し、アーク伸長空間S1に導かれる。
このとき、可動接点83の表面83aと固定接点94の表面94aとの距離(接点ギャップ)は、アーク伸長空間S1に向かうにつれて大きくなるため、アークAはより引き伸ばされた状態でアーク伸長空間S1に導かれることとなる。
このように、本実施形態の電磁リレー1によれば、可動接点83と固定接点94とが接離する際に生じたアークAを、より長く引き伸ばしながらアーク伸長空間S1に導くことができるため、より確実にアークAを消弧させることができるようになる。
以上、説明したように、本実施形態では、電磁リレー1に、可動接点83と固定接点94とが接離する際に生じるアークAを伸長させるアーク伸長空間S1を形成している。
そして、アーク伸長空間S1側の方がアーク伸長空間S1とは反対側よりも、可動接点83の表面83aと固定接点94の表面94aとの間の距離が大きくなるようにした。このように、アーク伸長空間S1側における可動接点83の表面83aと固定接点94の表面94aとの間の距離を大きくすることで、アーク伸長空間S1にアークAを導く際に、アーク長をより長くすることができ、アーク消弧性能(アーク遮断性能)をより高めることができる。
したがって、可動接点83と固定接点94とが接離する際に発生するアークAをより確実に遮断することができる。そのため、接点の信頼性(可動接点83と固定接点94との接触および離間の信頼性)を損ねてしまうのをより確実に抑制することができるようになる。
また、本実施形態では、可動接点83と固定接点94とが当接した状態で、可動接点83の表面83aが固定接点94の表面94aに対して傾斜するように、可動接点部80および固定接点部90を構成した。
このように、可動接点83の表面83aを固定接点94の表面94aに対して傾斜させることで、アーク伸長空間S1に向かうにつれて可動接点83の表面83aと固定接点94の表面94aとの間の距離が徐々に大きくなるため、よりスムーズにアークAを引き伸ばすことができる。
さらに、可動接点83および固定接点94のうち少なくともいずれか一方の接点である可動接点83に傾斜面83bが形成されるようにした。そのため、可動バネ82と固定片92の相対的な位置関係や復帰バネ71のバネ荷重等を変更することなく、接点ギャップを大きくすることができる。
ところで、可動接点83と固定接点94とが接離する際にアークAが生じると、アークAによって接点(可動接点83および固定接点94)の金属成分が気化して金属蒸気Mが発生することがある。この金属蒸気Mは、発弧点Pを覆うように接点(可動接点83および固定接点94)の周辺部に分布しており、この金属蒸気Mが生じると、金属蒸気MによってアークAの消弧作用が妨げられてしまう。
ここで、図9(a)に示すように、可動接点83の表面83aおよび固定接点94の表面94aの略中心部がアークAの発弧点Pとなる場合、アークAが導かれるアーク伸長空間S1側にも金属蒸気Mが存在しやすくなり(金属蒸気Mの濃度が濃くなっており)、アークAの消弧作用が妨げられてしまうおそれがある。
これに対して、本実施形態のように、アーク伸長空間S1とは反対側(Y方向内側)の周縁部がアークAの発弧点Pとなるようにした場合、アークAが導かれるアーク伸長空間S1側に金属蒸気Mが存在してしまうのを抑制することができる。その結果、アークAの消弧作用が妨げられてしまうのを抑制することができる。
なお、図9(b)では、アーク伸長空間S1側に金属蒸気Mが存在していないものを示しているが、アーク伸長空間S1側に金属蒸気Mが存在していてもよい。仮にアーク伸長空間S1側に金属蒸気Mが存在していたとしても、図9(a)の場合と較べ、アーク伸長空間S1側の金属蒸気Mの濃度が薄くなるため、図9(a)の場合よりもアークAの消弧作用が妨げられてしまうのを抑制することができるようになる。
(第2実施形態)
本実施形態にかかる電磁リレー1Aは、上記第1実施形態の電磁リレー1と同様の構成をしている。
すなわち、本実施形態にかかる電磁リレー1Aは、ケース10、ベース20、電磁石ブロック30、接極子70、可動接点部80および固定接点部90を備えている。
そして、本実施形態においても、電磁リレー1Aに、可動接点83と固定接点94とが接離する際に生じるアークAを伸長させるアーク伸長空間S1を形成している。
さらに、本実施形態においても、接点ギャップをより大きくしてアーク消弧性能をより向上させることができるようにしている。
具体的には、可動接点83の表面83aと固定接点94の表面94aとの間の距離を、アーク伸長空間S1側(Y方向外側)で大きく、アーク伸長空間S1とは反対側(Y方向内側)で小さくなるようにしている。
すなわち、アーク伸長空間S1側の方がアーク伸長空間S1とは反対側よりも、可動接点83の表面83aと固定接点94の表面94aとの間の距離が大きくなるようにしている。
また、本実施形態においても、可動接点83および固定接点94のうち少なくともいずれか一方の接点である可動接点83に傾斜面83bを形成することで、アーク伸長空間S1側の方がアーク伸長空間S1とは反対側よりも、可動接点83の表面83aと固定接点94の表面94aとの間の距離が大きくなるようにしている。
ここで、本実施形態では、アーク伸長空間S1を、互いに当接する接点(可動接点83および固定接点94)よりもX方向前方に配置している。
したがって、傾斜面83bは、下方を向くとともにX方向前側に向かうにつれて上方に位置するように傾斜することとなる。このように、本実施形態においても、傾斜面83bは、アーク伸長空間S1に向かうにつれて固定接点94の表面94aとの距離が大きくなるように傾斜している。
こうすることで、可動接点83および固定接点94は、アーク伸長空間S1とは反対側(Y方向内側)の周縁部で当接することになり、アーク伸長空間S1側(Y方向外側)の接点ギャップが大きくなる。
なお、本実施形態においても、図8(a)、図8(b)に示す台座84や台座84Aを用いてアーク伸長空間S1側(本実施形態では、X方向前側)の接点ギャップが大きくなるようにすることが可能である。また、台座を用いつつ傾斜面を形成した構成とすることも可能である。
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
(第3実施形態)
本実施形態にかかる電磁リレー1Bは、上記第1実施形態の電磁リレー1と同様の構成をしている。
すなわち、本実施形態にかかる電磁リレー1Bは、ケース10、ベース20、電磁石ブロック30、接極子70、可動接点部80および固定接点部90を備えている。
そして、本実施形態においても、電磁リレー1Bに、可動接点83と固定接点94とが接離する際に生じるアークAを伸長させるアーク伸長空間S1を形成している。
さらに、本実施形態においても、接点ギャップをより大きくしてアーク消弧性能をより向上させることができるようにしている。
具体的には、可動接点83の表面83aと固定接点94の表面94aとの間の距離を、アーク伸長空間S1側(Y方向外側)で大きく、アーク伸長空間S1とは反対側(Y方向内側)で小さくなるようにしている。
すなわち、アーク伸長空間S1側の方がアーク伸長空間S1とは反対側よりも、可動接点83の表面83aと固定接点94の表面94aとの間の距離が大きくなるようにしている。
ここで、本実施形態では、可動接点83の表面83aが下方を向くとともに略水平に延在しており、固定接点94の表面94aが、上方を向くとともにY方向外側に向かうにつれて下方に位置するように傾斜するようにした。すなわち、可動接点83および固定接点94のうち少なくともいずれか一方の接点である固定接点94に傾斜面94bが形成されるようにした。
こうすることでも、可動接点83および固定接点94を、アーク伸長空間S1とは反対側(Y方向内側)の周縁部で当接させ、アーク伸長空間S1側(Y方向外側)の接点ギャップを大きくすることができる。
なお、本実施形態においても、図8(a)、図8(b)に示すような台座を用いてアーク伸長空間S1側(Y方向外側)の接点ギャップが大きくなるようにすることが可能である。また、台座を用いつつ傾斜面を形成した構成とすることも可能である。
以上の本実施形態によっても、上記第1および第2実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
(第4実施形態)
本実施形態にかかる電磁リレー1Cは、上記第1実施形態の電磁リレー1と同様の構成をしている。
すなわち、本実施形態にかかる電磁リレー1Cは、ケース10、ベース20、電磁石ブロック30、接極子70、可動接点部80および固定接点部90を備えている。
そして、本実施形態においても、電磁リレー1Cに、可動接点83と固定接点94とが接離する際に生じるアークAを伸長させるアーク伸長空間S1を形成している。
さらに、本実施形態においても、接点ギャップをより大きくしてアーク消弧性能をより向上させることができるようにしている。
具体的には、可動接点83の表面83aと固定接点94の表面94aとの間の距離を、アーク伸長空間S1側(Y方向外側)で大きく、アーク伸長空間S1とは反対側(Y方向内側)で小さくなるようにしている。
すなわち、アーク伸長空間S1側の方がアーク伸長空間S1とは反対側よりも、可動接点83の表面83aと固定接点94の表面94aとの間の距離が大きくなるようにしている。
ここで、本実施形態では、可動接点83および固定接点94のうち少なくともいずれか一方の接点である可動接点83に傾斜面83bを形成するとともに、可動接点83および固定接点94のうち少なくともいずれか一方の接点である固定接点94に傾斜面94bを形成している。
すなわち、可動接点83および固定接点94の両方に、傾斜面83bおよび傾斜面94bをそれぞれ形成している。
さらに、本実施形態では、傾斜面83bを、下方を向くとともにY方向外側に向かうにつれて上方に位置するように傾斜させるとともに、傾斜面94bを、上方を向くとともにY方向外側に向かうにつれて下方に位置するように傾斜させている。したがって、アーク伸長空間S1側の接点ギャップをより大きくすることができる。
なお、傾斜面83bおよび傾斜面94bのうちいずれか一方を本実施形態とは逆側に傾斜させるとともに、その傾斜角度を他方の傾斜面の傾斜角度よりも緩くする(より水平に近くする)ことで、結果的に、アーク伸長空間S1に向かうにつれて可動接点83の表面83aと固定接点94の表面94aとの間の距離が徐々に大きくなるようにしてもよい。
また、本実施形態においても、図8(a)、図8(b)に示すような台座を用いて接点表面を傾斜させることが可能である。また、台座を用いつつ傾斜面を形成した構成とすることも可能である。
以上の本実施形態によっても、上記第1〜第3実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
また、本実施形態では、傾斜面83bを、下方を向くとともにY方向外側に向かうにつれて上方に位置するように傾斜させるとともに、傾斜面94bを、上方を向くとともにY方向外側に向かうにつれて下方に位置するように傾斜させている。したがって、アーク伸長空間S1側の接点ギャップをより大きくすることができ、アーク消弧性能(アーク遮断性能)をより一層高めることができるようになる。
(第5実施形態)
本実施形態にかかる電磁リレー1Dは、上記第1実施形態の電磁リレー1と同様の構成をしている。
すなわち、本実施形態にかかる電磁リレー1Dは、ケース10、ベース20、電磁石ブロック30、接極子70、可動接点部80および固定接点部90を備えている。
そして、本実施形態においても、電磁リレー1Dに、可動接点83と固定接点94とが接離する際に生じるアークAを伸長させるアーク伸長空間S1を形成している。
さらに、本実施形態においても、接点ギャップをより大きくしてアーク消弧性能をより向上させることができるようにしている。
具体的には、可動接点83の表面83aと固定接点94の表面94aとの間の距離を、アーク伸長空間S1側(Y方向外側)で大きく、アーク伸長空間S1とは反対側(Y方向内側)で小さくなるようにしている。
すなわち、アーク伸長空間S1側の方がアーク伸長空間S1とは反対側よりも、可動接点83の表面83aと固定接点94の表面94aとの間の距離が大きくなるようにしている。
ここで、本実施形態では、可動バネ(可動側支持部)82および固定片(固定側支持部)92のうち少なくともいずれか一方の支持部である可動バネ(可動側支持部)82を傾斜させている。
具体的には、可動バネ(可動側支持部)82をY方向外側が上方に位置するように屈曲させることで、可動接点83の表面83aを水平面(基準面)に対して傾斜させている。
なお、本実施形態では、固定接点94に傾斜面94bが形成されているものを例示しているが、固定接点94の表面94aは、水平であってもよいし、逆側に傾斜していてもよい。
以上の本実施形態によっても、上記第1〜第4実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
また、本実施形態では、可動バネ(可動側支持部)82および固定片(固定側支持部)92のうち少なくともいずれか一方の支持部である可動バネ(可動側支持部)82を傾斜させている。
このような構成とすることで、通常の可動接点83を用いた場合、可動接点83の位置決めを行うことなく可動接点83の表面83aを水平面(基準面)に対して傾斜させることができるため、より容易に組み付けることができるようになる。
(第6実施形態)
本実施形態にかかる電磁リレー1Eは、上記第1実施形態の電磁リレー1と同様の構成をしている。
すなわち、本実施形態にかかる電磁リレー1Eは、ケース10、ベース20、電磁石ブロック30、接極子70、可動接点部80および固定接点部90を備えている。
そして、本実施形態においても、電磁リレー1Eに、可動接点83と固定接点94とが接離する際に生じるアークAを伸長させるアーク伸長空間S1を形成している。
さらに、本実施形態においても、接点ギャップをより大きくしてアーク消弧性能をより向上させることができるようにしている。
具体的には、可動接点83の表面83aと固定接点94の表面94aとの間の距離を、アーク伸長空間S1側(Y方向外側)で大きく、アーク伸長空間S1とは反対側(Y方向内側)で小さくなるようにしている。
すなわち、アーク伸長空間S1側の方がアーク伸長空間S1とは反対側よりも、可動接点83の表面83aと固定接点94の表面94aとの間の距離が大きくなるようにしている。
ここで、本実施形態では、可動バネ(可動側支持部)82および固定片(固定側支持部)92のうち少なくともいずれか一方の支持部である固定片(固定側支持部)92を傾斜させている。
具体的には、固定片(固定側支持部)92をY方向外側が下方に位置するように屈曲させることで、固定接点94の表面94aを水平面(基準面)に対して傾斜させている。
なお、本実施形態では、可動接点83に傾斜面83bが形成されているものを例示しているが、可動接点83の表面83aは、水平であってもよいし、逆側に傾斜していてもよい。
以上の本実施形態によっても、上記第1〜第5実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
(第7実施形態)
本実施形態にかかる電磁リレー1Fは、上記第1実施形態の電磁リレー1と同様の構成をしている。
すなわち、本実施形態にかかる電磁リレー1Fは、ケース10、ベース20、電磁石ブロック30、接極子70、可動接点部80および固定接点部90を備えている。
そして、本実施形態においても、電磁リレー1Fに、可動接点83と固定接点94とが接離する際に生じるアークAを伸長させるアーク伸長空間S1を形成している。
さらに、本実施形態においても、接点ギャップをより大きくしてアーク消弧性能をより向上させることができるようにしている。
具体的には、可動接点83の表面83aと固定接点94の表面94aとの間の距離を、アーク伸長空間S1側(Y方向外側)で大きく、アーク伸長空間S1とは反対側(Y方向内側)で小さくなるようにしている。
すなわち、アーク伸長空間S1側の方がアーク伸長空間S1とは反対側よりも、可動接点83の表面83aと固定接点94の表面94aとの間の距離が大きくなるようにしている。
ここで、本実施形態では、一対の可動接点83のうち一方の可動接点83に傾斜面83bを形成するとともに、他方の可動接点83を支持する可動バネ(可動側支持部)82を傾斜させている。
なお、本実施形態では、固定接点94の表面94aが水平となっているものを例示しているが、固定接点94の表面94aが水平面に対して傾斜するような構成としてもよい。このとき、上記各実施形態で示した方法を適宜組み合わせた方法で固定接点94の表面94aを傾斜させることができる。
以上の本実施形態によっても、上記第1〜第5実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上記各実施形態では、アーク伸長空間S1に向かうにつれて可動接点83の表面83aと固定接点94の表面94aとの間の距離が徐々に大きくなるようにしたものを例示したが、接点表面を段差状にする等して、接点間距離が段階的に変化するような構成とすることも可能である。
また、1つの接点部(1つの可動接点部や1つの固定接点部)ごとに、表面を水平面等の基準面に対して傾斜させるか否かを設定することも可能である。表面を基準面に対して傾斜させると設定した場合、その表面は、上記各実施形態で示した方法を適宜組み合わせた方法で傾斜させることができる。
また、電磁石ブロック、可動接点部や固定接点部、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。