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JP6466059B2 - フィルム - Google Patents

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JP6466059B2
JP6466059B2 JP2013233864A JP2013233864A JP6466059B2 JP 6466059 B2 JP6466059 B2 JP 6466059B2 JP 2013233864 A JP2013233864 A JP 2013233864A JP 2013233864 A JP2013233864 A JP 2013233864A JP 6466059 B2 JP6466059 B2 JP 6466059B2
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Description

本発明は、4−メチル−1−ペンテン共重合体を含むフィルム、及び前記フィルムを有する表面保護フィルムに関する。
建材用や光学用の樹脂製品、金属製品、ガラス製品等は表面に表面保護フィルムを貼り付け、輸送、保管や加工による表面の傷や異物混入を防ぐのが一般的である。表面保護フィルムには、柔軟性、機械特性等の性質のほか、保護対象、保護目的、使用環境等に応じて種々の特性が求められる。このため様々な観点から表面保護フィルムの開発が進められている。例えば、ポリエチレン成分を主体とした表面保護フィルムや(特許文献1)、ポリプロピレン成分を主体とした4−メチル−1−ペンテンと1−デセンとのオリゴマーを含む樹脂組成物の表面保護フィルムが検討されている(特許文献2)。
また近年、成形前の素材の表面にフィルムを貼り付けた状態で素材を成形する方法が検討されている。フィルムと素材を合わせて成形するため、成形後の素材(以下、部材という)は表面の形状に合わせてフィルムが変形する。このため表面保護フィルムは部材の表面保護性が高く、特に表面形状が複雑な部材の表面保護が求められている。しかし、前記成形時にフィルムも変形させる必要があるため、フィルムの成形加工温度が高すぎると成形時に素材が劣化する恐れがある。また、成形後の部材は、表面のフィルムを剥がして使用されるため、前記フィルムには適度な離型性が必要である。
以上のように、近年では特に、成形可能温度が比較的低く、かつ離型性が良いフィルムの開発が求められていた。
特開2006−116769号公報 特開2010−275340号公報
本発明者らは、離型性に優れるポリ4メチル−1−ペンテンを用いて成形可能温度が比較的低く、かつ離型性が良いフィルムの開発を行った結果、ポリ4メチル−1−ペンテンを含むフィルムの成形可能温度を下げると、前記フィルムの透明性が悪くなることを見出した。
本発明者らは、成形可能温度が低く、離型性に優れ、かつ透明性に優れたフィルム、及び前記フィルムを含む表面保護フィルム、及び前記フィルムの製造に適した改質剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の物性を有する4−メチル−1−ペンテン共重合体を含むフィルムによって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の第一はフィルムに関する。
<1>4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)とを含むフィルムであって、前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の含有量が全質量に対して1質量%以上70質量%未満であり、前記熱可塑性樹脂(B)の含有量が全質量に対して30質量%以上99質量%未満であり、かつ前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)が下記[1]の要件を満たすフィルム。
[1]4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位を97モル%〜80モル%、及び炭素数2から20のα−オレフィンに由来する構成単位を3モル%〜20モル%含む共重合体である(但し、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位と、炭素数2から20のα−オレフィンに由来する構成単位が合計で100モル%である)。
<2>前記フィルムの主面に垂直な切断面のTEM像(撮像範囲のフィルム厚さ方向の距離は50μm、かつ撮像面積は3000μm)で、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)から実質的に構成される相と、熱可塑性樹脂(B)から実質的に構成される相との相分散構造が観察され、かつ熱可塑性樹脂(B)から実質的に構成される相に対する4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A)の相の面積割合が前記フィルムの厚み方向の中心部から主面側に向けて段階的に増加している<1>に記載のフィルム。
<3>前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)が下記[2]ないし[5]のすべての要件を満たす<1>または<2>に記載のフィルム。
[2]135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜5.0dl/gである
[3]ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定する重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5である
[4]密度が825〜860kg/mである
[5]DSCで測定した融点(T)が100℃〜199℃の範囲にある
<4>前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の、DSCで測定した融点(T)が100℃〜160℃の範囲にある<1>ないし<3>のいずれか1項に記載のフィルム。
<5>前記熱可塑性樹脂(B)が、オレフィン系重合体である、前記<1>ないし<4>のいずれか1項に記載のフィルム。
<6>前記熱可塑性樹脂(B)が、前記<1>ないし<5>のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体であるフィルム。
<7>前記<1>〜<6>のいずれか一項に記載のフィルムと、粘着層とを備え、前記フィルムと前記粘着層が少なくとも一部が接している表面保護フィルム。
本発明の第二は改質材に関する。
<8>4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)とを含み、前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の含有量が全質量に対して1質量%以上70質量%未満であり、前記熱可塑性樹脂(B)の含有量が全質量に対して30質量%以上99質量%未満であり、かつ前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)が下記[1]ないし[5]のすべての要件を満たす改質材。
[1]4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位を97モル%〜80モル%、及び炭素数2から20のα−オレフィンに由来する構成単位を3モル%〜20モル%含む共重合体であり(但し、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位と、炭素数2から20のα−オレフィンに由来する構成単位が合計で100モル%である)、
[2]135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜5.0dl/gである
[3]ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定する重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5である
[4]密度が825〜860kg/mである
[5]DSCで測定した融点(T)が100℃〜199℃の範囲にある
本発明によれば、優れた透明性、離型性を有し、また成形性にも優れる。
図1は本発明のフィルムの断面図の一例である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形
態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実
施することができる。
なお本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各
成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する複
数の物質の合計量を意味する。
以下に本発明にかかる4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を含むフィルムについて詳説する。
[フィルム]
本発明のフィルムは、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)と、熱可塑性樹脂(B)を含む。
[4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)]
以下、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)について説明する。
4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)は、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位を97モル%〜80モル%含み、炭素原子数2〜20のオレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から導かれる構成単位を3モル%〜20モル%の割合で含むことを特徴とする。なお、炭素原子数2〜20のオレフィンとしては、1種類に限定されることなく、2種以上を選択してもよく、複数選択した場合、その構成単位の総和として、上記範囲を満たせばよい。
ここで、耐熱性、透明性、成形性の観点から、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の上限として97モル%含まれていることが好ましく、96モル%含まれていることがより好ましく、93モル%含まれていることがさらに好ましい。また4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の下限としては、83モル%含まれていることが好ましく、84モル%含まれていることがより好ましく、88モル%含まれていることがさらに好ましい。
一方、炭素原子数2〜20のオレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から導かれる構成単位の上限として20モル%含まれていることが好ましく、18モル%含まれていることがより好ましく、17モル%含まれていることがさらに好ましい。また、炭素原子数2〜20のオレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から導かれる構成単位の下限として、3モル%含まれていることが好ましく、4モル%含まれていることがより好ましく、7モル%含まれていることがさらに好ましい。ここで、4−メチル−1−ペンテンと炭素原子数2〜20のオレフィンとの構成単位の合計は100モル%である。
4−メチル−1−ペンテンと炭素原子数2〜20のオレフィンとの構成単位の割合が上記範囲内にすることによって、得られる共重合体(A)の融点を上記要件[5]のように調整することができる。そのため、共重合体(A)を含む層からなるフィルムを製造する際、従来使用されている4−メチル−1−ペンテン系の重合体、特に4−メチル−1−ペンテンのホモ重合体に比べて成型温度を下げることができる。さらに構成単位の割合を上記範囲内とすることにより、共重合体(A)の耐熱性を高いレベルで維持することが可能となる。
4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)は、4−メチル−1−ペンテン構造単位連鎖と炭素原子数2〜20のオレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から導き出される構成単位で同種の構成単位が連続したブロックを含むブロック共重合体であってもよい。また透明性、成形性の観点からは、4−メチル−1−ペンテンと炭素原子数2〜20のオレフィンのランダム共重合体が好ましい。
4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)に含まれる炭素原子数2〜20のオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが好適な例として挙げられる。
また共重合性および得られる共重合体の物性の観点からは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセンが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセンがより好ましく、1−オクテン、1−デセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセンがさらに好ましい。これらのうち、炭素原子数2〜4のα−オレフィンが好ましく、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテンが好適な例として挙げられる。
これらの炭素原子数2〜20のオレフィンは、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。さらに共重合性、分散性の観点からは、プロピレンが最も好ましい。
なお、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)は、本発明の目的を損なわない範囲で、4−メチル−1−ペンテンと炭素原子数2〜20のオレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)以外の重合性化合物(以下、重合性化合物ともいう)に由来する構造単位を含んでいてもよい。
前記重合性化合物としては、例えばスチレン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルナン等の環状構造を有するビニル化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル類;無水マレイン酸等の不飽和有機酸またはその誘導体;ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等の共役ジエン類;1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペンル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等の非共役ポリエン類などが挙げられる。
本発明における4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)は、前記重合性化合物から導かれる単位を、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)に含まれる全ての重合性化合物構造単位に対して、10モル%以下含有されていてもよく、5モル%以下、3モル%以下の量で含有していてもよい。
本発明における4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)に含まれる、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位、炭素数2又は3のα−オレフィンに由来する構成単位、及び4−メチル−1−ペンテン以外の炭素数4〜20のα−オレフィンに由来する構成単位の含有率(モル%)は、下記の方法により測定することができる。
〜条件〜
測定装置:核磁気共鳴装置(ECP500型、日本電子(株)製)
観測核:13C(125MHz)
シーケンス:シングルパルスプロトンデカップリング
パルス幅:4.7μ秒(45°パルス)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:1万回以上
溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン(容量比:80/20)混合溶媒
試料濃度:55mg/0.6mL
測定温度:120℃
ケミカルシフトの基準値:27.50ppm
本発明における、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は、0.5〜5.0dL/gであることが好ましい。
ここで、極限粘度[η]は、1.0〜4.0dL/gの範囲であることが好ましく、1.2〜3.5dL/gの範囲であることがさらに好ましい。
上記極限粘度[η]の値は、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を製造する際の、重合時の水素の添加量により調整することが可能である。
極限粘度[η]の値が上記範囲にある4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)は、樹脂組成物製造時や各種成形時において良好な流動性を示し、またポリプロピレンをはじめとする熱可塑性樹脂(B)への分散性が良好となり、外観美麗な成形品が得られる。
上記4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の極限粘度[η]は、ウベローデ粘度計を用い、下記の方法により測定される値である。
約20mgの4−メチル1−ペンテン共重合体(A)をデカリン25mlに溶解させた後、ウベローデ粘度計を用い、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定する。このデカリン溶液にデカリンを5ml加えて希釈した後、上記と同様にして比粘度ηspを測定する。この希釈操作を更に2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度[η](単位:dl/g)として求める(下記の式1参照)。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)・・・式1
本発明における、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定する重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)は1.0〜3.5であることが好ましい。ここで、分子量分布(Mw/Mn)は、1.0〜3.0の範囲であることが好ましく、さらには1.5〜2.5の範囲であることが好ましい。
上記、分子量分布(Mw/Mn)の値は、後述するオレフィン重合用触媒の種類によって調整することが可能である。
分子量分布(Mw/Mn)の値が上記範囲にある4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を含む重合体組成物は、相対的に低い分子量成分の含有率が少ない傾向がある。そのため、前記低分子量体のブリードアウトが少なく、ブロッキング性が低下し、フィルム物性全般、特に機械強度や外観美麗という観点から好ましい。
本発明における、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)は下記のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出される値である。
〜条件〜
測定装置:GPC(ALC/GPC 150−C plus型、示唆屈折計検出器一体型、Waters製)
カラム:GMH6−HT(東ソー(株)製)2本、及びGMH6−HTL(東ソー(株)製)2本を直列に接続
溶離液:o−ジクロロベンゼン
カラム温度:140℃
流量:1.0mL/min
本発明における、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の密度は、825〜860kg/mであることが好ましい。
ここで、密度は、830〜855kg/mの範囲であることが好ましく、830〜850kg/mの範囲であることがより好ましく、830〜845kg/mの範囲であることがさらに好ましい。
上記、密度の値は、4−メチル−1−ペンテンと共に重合する他のα−オレフィンの種類や配合量を選択することにより、調整することが可能である。
密度の値が上記範囲にある4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を含む重合体組成物は、耐熱性と軽量性の観点から好ましい。
上記4−メチル1−ペンテン共重合体(A)の密度は、JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して、測定される値である。
本発明における、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)のDSCで測定した融点(T)は、100〜199℃であることが好ましい。
ここで、融点(T)は、110〜160℃の範囲であることが好ましく、125〜158℃の範囲であることがより好ましく、125〜150℃の範囲であることがさらに好ましい。
上記、融点(T)の値は、重合体の立体規則性ならびに共に重合するα−オレフィン量に依存して変化する値であり、後述するオレフィン重合用触媒を用いて所望の組成に制御調整することが可能である。
融点(T)の値が上記範囲にある4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を含む重合体組成物は、べたつきが少ないことからハンドリング性が良好となるなど成形性の観点から好ましい。
上記4−メチル1−ペンテン系共重合体の融点(Tm)は、示差走査熱量計(DSC: Differential scanning calorimeter)を用い、下記の方法により測定される値である。
約5mgの4−メチル1−ペンテン共重合体(A)を、セイコーインスツル(株)製の示差走査熱量計(DSC220C型)の測定用アルミニウムパン中に密封し、室温から10℃/minで200℃まで加熱する。4−メチル1−ペンテン共重合体(A)を完全融解させるために、200℃で5分間保持し、次いで、10℃/minで−50℃まで冷却する。−50℃で5分間置いた後、10℃/minで200℃まで2度目の加熱を行ない、この2度目の加熱でのピーク温度(℃)を共重合体の融点(Tm)とする。なお、複数のピークが検出される場合には、最も高温側で検出されるピークを採用する。
本発明における4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)は、オレフィン重合用触媒の存在下、4−メチル−1−ペンテンと上述した特定のα−オレフィン、さらに必要に応じて前記重合性化合物を重合することにより得ることができる。
上述オレフィン重合用触媒のうち、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を製造するに当たり、好ましい触媒の態様として、メタロセン触媒を挙げることができる。
好ましいメタロセン触媒としては、国際公開第01/53369号パンフレット、国際公開第01/27124号パンフレット、特開平3−193796号公報、特開平02−41303号公報中あるいは国際公開第06/025540号パンフレット中に記載のメタロセン触媒が挙げられる。
本発明のフィルムにおける4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の含有量は、表面保護フィルムの全質量に対して、1質量%以上70質量%未満が好ましく、2質量%以上65質量%以下がより好ましく、3質量%以上50質量%以下がさらに好ましい。上記範囲にあると、熱可塑性樹脂(B)との親和性が高いため、系中に4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を微分散させることが可能となることから、該熱可塑性樹脂組成物を用いてフィルムを製造した際に、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)が脱落していくことが少なく、長期間にわたり耐ブロッキング性を維持することが可能である。
〔熱可塑性樹脂(B)〕
本発明における熱可塑性樹脂(B)は、例えば、低密度、中密度、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリ3−メチル−1−ブテン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、1−ブテン・α−オレフィン共重合体、環状オレフィン共重合体、スチレン系エラストマー、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸アクリレート共重合体、エチレン・アクリル酸アクリレート共重合体、アイオノマー、フッ素系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および石油樹脂、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリアミノ酸、ポリジメチルシロキサン、ポリテトラメチレングリコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリフェニレンテレフタルアミド、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエチレンオキシド、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリアミドイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリケトン、ポリベンゾイミダゾール、シリコーン樹脂、ポリブタジエン、ABS樹脂、ACS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、セルロース樹脂、およびこれらの重合体の混合物であり、その中でも、オレフィン系重合体を用いることが好ましい。
オレフィン系重合体の中でも特に、プロピレン系重合体を用いることが好ましい。プロピレン系重合体は公知のプロピレンを主体とする重合体であり、そのような例としては、プロピレン単独重合体、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体、例えばプロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体、これらの混合物等を挙げることができる。また、これらの重合体には必要に応じてポリエチレン、ポリ1−ブテン、スチレン系樹脂、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム等のポリオレフィン系重合体を添加することも可能である。
〔その他の樹脂〕
本発明のフィルムは、本発明の目的を損なわない範囲内において、上述の4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)及び熱可塑性樹脂(B)以外のその他の樹脂を含有していてもよい。
〔フィルムの分散構造〕
本発明のフィルムは、比較的結晶性が高い4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)とが相分離しそれぞれが分散している構造(相分散構造)をもつことが好ましい。
具体的には、本発明のフィルムの主面に垂直な切断面のTEM像(撮像範囲のフィルム厚さ方向の距離は50μm、かつ撮像面積は3000μm)で、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)から実質的に構成される相と、熱可塑性樹脂(B)から実質的に構成される相との相分散構造が観察され、かつ熱可塑性樹脂(B)から実質的に構成される相に対する4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A)の相の面積の割合が前記フィルムの厚み方向の中心部から主面側に向けて段階的に増加している相分散構造を有するのが好ましい。
図1は、本発明のフィルムの長さ方向(MD)に平行な断面のTEM画像の一例である。図1に示されるように、MD方向のフィルム断面TEM像には、フィルム表面と平行な方向に伸びた明部、すなわち暗部に比べて電子密度が低い部分が見られる。
このような相分散構造は、本発明のフィルムの断面を薄切片化して観察した透過型電子顕微鏡(TEM)画像により「明暗構造」として観察されうる。図1のTEM画像では、例えば「明部」が、電子密度が相対的に低い4−メチル−1−ペンテン共重合体(A);「暗部」が、電子密度が相対的に高い熱可塑性樹脂(B)であると考えられる。
4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を含んでなる島部と、実質的に熱可塑性樹脂(B)からなる海部と、から構成される海島構造を有する、本発明のフィルムは、透明性かつ離型性を有する。このような効果が奏される理由は明らかではないが、本願発明者らは、以下のように推測している。
本発明のフィルムに含まれる4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)は主に離型性に寄与する。また、低温成形性を付与するために熱可塑性樹脂(B)を添加すると、前記成分(A)の含有量が低下するため、離型性が低下するというトレードオフの関係にある。分散相が、フィルムの長さ方向(MD)に長い楕円状または層状に分散した構造、つまりフィルムの主面に対して広がった構造を有し、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の相の面積割合(S)が前記フィルムの厚み方向の中心部から主面側に向けて段階的に増加している分散構造を形成することで、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)をフィルムの主面に効率よく露出させることができる。これにより、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の含有量が少なくてもフィルムの離型性が維持しやすくなっていると考えられる。また分散構造を形成することで、フィルム中の4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)から実質的になる相と熱可塑性樹脂(B)から実質的になる相の相分離を防ぐことができ、相分離による透明性の低下を抑制することもできると考えている
また、このような相構造にするための方法は、(a)4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の添加量が上記範囲にあること、(b)後述するドライブレンドによる成形を行うこと、が挙げられる。
ここで、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の分散相とは、該分散相中の全成分において4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)が質量的に最も大きい成分であることを意味する。そのため、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)からなる分散相には、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)以外の成分を含んでもよい。
同様に、熱可塑性樹脂(B)の相とは、該連続相中の全成分において熱可塑性樹脂(B)が質量的に最も大きい成分であることを意味する。そのため、熱可塑性樹脂(B)からなる連続相には、熱可塑性樹脂(B)以外の成分、例えば、各種の添加剤など、熱可塑性樹脂(B)以外の各成分を含んでもよい。
フィルムの長さ方向(MD)と厚さ方向の断面において、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)からなる分散相が、前記フィルムの厚み方向の中心部から主面側に向けて段階的に増加している分散構造をとり、かつフィルムの長さ方向に長い楕円状またはフィルムの長さ方向に長い層状に分散した構造をとることで、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)のフィルムの滑り性や耐ブロッキング性への影響を低減し、結果としてフィルムの離型性の向上、更には、透明性の向上が可能である。ここで、「楕円状」、「層状」とは、後述する、透過型電子顕微鏡での観察時に、フィルムの厚さ方向全体が見える倍率で観察した際、長さ方向の両側の端部が観察される場合を「楕円状」、長さ方向の少なくとも片方の端部が観察されない場合を「層状」とする。このような分散構造とするための方法は、前記(a)のほか、(b)4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)とをドライブレンドにより混合し、押出によりフィルム成形することで得られる。
〔樹脂改質剤〕
本発明の樹脂改質剤は、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)とを含み、前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の含有量が全質量に対して1質量%以上70質量%未満であり、前記熱可塑性樹脂(B)の含有量が全質量に対して30質量%以上99質量%未満であり、かつ前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)が下記[1]ないし[5]の要件すべてを満たす改質剤である。
本発明の4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の融点はポリ4メチル−1−ペンテンに比べて低いため、例えばポリプロピレン系樹脂の最適成形温度領域(200〜230℃)でフィルム成形を行っても、熱分解劣化物が大量に発生しにくい。そのため、フィルム中に異物が混入する可能性や、ダイリップに焼け・焦げなどで目ヤニが発生し、成形性が極めて悪くなる可能性が低い。本発明の4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)が樹脂に対して樹脂改質剤として用いられた場合、ポリオレフィンフィルムのAB剤として使用することが可能である。
本発明の樹脂改質剤としての4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)及び熱可塑性樹脂(B)は、それぞれフィルムの項で説明した4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)及び熱可塑性樹脂(B)と同義であり、好ましい態様も同様であるため、ここでは、説明を省略する。
また、本発明の樹脂改質剤としての4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の含有量及び熱可塑性樹脂(B)の含有量についても、それぞれフィルムの項で説明した4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の含有量及び熱可塑性樹脂(B)の含有量と同義であり、好ましい態様も同様であるため、ここでは、説明を省略する。
本発明の樹脂改質剤の改質対象となる樹脂は、特に限定されるものではないが、基材の
剛性、耐熱性、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)との分散状態や離型性の観点から、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、ブテン系重合体等が好ましい。
本発明の樹脂改質剤は、改質対象となる樹脂100質量部に対して、5質量部〜50質
量部配合することが好ましく、10質量部〜45質量部配合することがより好ましい。
〔添加剤〕
本発明の樹脂改質剤は、特定量の4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)と特定量の熱可塑性樹脂(B)とを含有し、更に、本発明の目的を損なわない範囲内において、例えば、耐候安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、核剤、滑剤、顔料、染料、老化防止剤、塩酸吸収剤、無機又は有機の充填剤、有機系又は無機系の発泡剤、架橋剤、架橋助剤、粘着剤、軟化剤、難燃剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
本発明における4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を含む樹脂組成物(以下、熱可塑性樹脂組成物という)には、その成形性をさらに改善させる、すなわち結晶化温度を高め結晶化速度を速めるために、特定の任意成分である核剤が配合されていてもよい。この場合、例えば核剤はジベンジリデンソルビトール系核剤、リン酸エステル塩系核剤、ロジン系核剤、安息香酸金属塩系核剤、フッ素化ポリエチレン、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸ナトリウム、ピメリン酸やその塩、2,6−ナフタレン酸ジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド等であり、配合量は特に制限されないが、該(共)重合体組成物100質量部に対して0.1〜1質量部程度があることが好ましい。配合タイミングに特に制限は無く、重合中、重合後、あるいは成形加工時での添加が可能である。
該熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに必要に応じて、二次抗酸化剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、充填剤、塩酸吸収剤や、他のオレフィン重合体などを配合することができる。配合量は特に制限されないが、該熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、通常0〜50質量部であり、0〜30質量部が好ましく、0〜10質量部がさらに好ましく、0〜1質量部が特に好ましい。
酸化防止剤としては、公知の酸化防止剤が使用可能である。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、イオウ系酸化防止剤、ラクトーン系酸化防止剤、有機ホスファイト化合物、有機ホスフォナイト化合物、あるいはこれらを数種類組み合わせたものが使用できる。
滑剤としては、例えばラウリル酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの飽和または不飽和脂肪酸のナトリウム、カルシウム、マグネシウム塩などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。またかかる滑剤の配合量は、該熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して通常0.1〜3質量部が好ましく、0.1〜2質量部がさらに好ましい。
スリップ剤としては、ラウリル酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、エルカ酸、ヘベニン酸などの飽和または不飽和脂肪酸のアミド、あるいはこれらの飽和または不飽和脂肪酸のビスアマイドを用いることが好ましい。これらのうちでは、エルカ酸アミドおよびエチレンビスステアロアマイドが特に好ましい。これらの脂肪酸アミドは本発明の熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、通常0.01〜5質量部の範囲で配合することが好ましい。
他のオレフィン重合体としては、公知のエチレン系重合体、プロピレン系重合体、プテン系重合体、環状オレフィン共重合体が挙げられる。エチレン系重合体とは、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体、エチレン/オクテン共重合体等の共重合体が、プロピレン系重合体としては、プロピレン/エチレン共重合体、プロピレン/ブテン共重合体、プロピレン/ブテン/エチレン共重合体などの共重合体が、ブテン系重合体とは、ブテン/プロピレン共重合体、ブテン・エチレン共重合体などの共重合体が含まれる。
〔製造方法〕
各成分の混合方法については、種々公知の方法、例えば、多段重合法、プラストミル、ヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラー、ブレンダー、ニーダールーダー等で混合する方法、あるいは混合後、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練後、造粒あるいは粉砕する方法を採用することができる。該方法により、各成分および添加剤が均一に分散混合された高品質の該熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
本発明においては、特に、熱可塑性樹脂(B)100質量部に4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を1〜50質量部程度含むマスターバッチをあらかじめ作製し、それを適宜配合して所定の4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の濃度として用いることもできる。
本発明のフィルムの成形加工温度は、180〜250℃が好ましく、更には180〜230℃が好ましく、190〜220℃の範囲にあることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)または融点(Tm)のうち高い方が、100℃以上の熱可塑性樹脂である。熱可塑性樹脂組成物のTgまたはTmは110℃以上が好ましく、120℃以上であるとさらに好ましい。また、熱可塑性樹脂組成物のTgまたはTmは250℃以下が適切であり、200℃以下であることが好ましい。かかる高いTg、またはTmの熱可塑性樹脂組成物は高温の成形加工温度を必要とし、そのため成形時に素材が劣化する恐れがある。なお、本発明におけるガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)はJIS K7121に規定される方法にて測定されたものである。
本発明のフィルムは、上述した熱可塑性樹脂組成物を、シリンダー温度を通常180〜300℃の範囲で溶融押出して得ることができる。発明のフィルムは、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)が熱可塑性樹脂(B)と親和性高く存在していることから、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)が脱落していくことが少なく、長期間にわたり耐ブロッキング性に優れている。
なお、本発明において「フィルム」とは、熱可塑性樹脂組成物の外観構造を示すための便宜上の名称であって、「フィルム」とは平面上の成形物の総称であり、これにはフィルムの他、シート、膜(メンブレン)、テープなども含む概念である。
本発明のフィルムは、Tダイ押出成形法などによりフィルム、シート状に成形して得た成形品を、さらに一軸延伸あるいは二軸延伸して得たものであることも好ましい。
[積層体]
また、本発明のフィルムは、上述した熱可塑性樹脂組成物から得られる単層フィルムのほか、いずれか一層に熱可塑性樹脂組成物が含まれている積層フィルムであることも好ましい態様である。このような積層フィルムを得る方法については特に制限は無いが、あらかじめT−ダイ成形またはインフレーション成形にて得られた表面層フィルム上に、押出ラミネーション、押出コーティング等の公知の積層法により積層する方法や、複数のフィルムを独立して成形した後、各々のフィルムをドライラミネーションにより積層する方法等が挙げられるが、生産性の点から、複数の成分を多層の押出機に供して成形する共押出成形が好ましい。
[表面層]
本発明の積層体における表面層は、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を含み、かつ、少なくとも一部が熱可塑性樹脂組成物を含む層と接触している。
ここで、「少なくとも一部が熱可塑性樹脂組成物を含む層と接触している」とは、表面層が熱可塑性樹脂組成物を含む層の一部分と接触しているか、或いは、表面層が熱可塑性樹脂組成物を含む層の全体と接触していることを意味し、熱可塑性樹脂組成物を含む層と表面層との接触割合が、熱可塑性樹脂組成物を含む層の総面積に対して、30%〜100%であることが好ましく、50%〜100%であることがより好ましい。
上記好ましい形態としてフィルム表面層に本発明のフィルムを含む多層型の表面保護フィルム、多層型の離型フィルムに対して好適に利用できる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムの厚みは特に限定されないが、通常500μm以下であり、1〜250μmが好ましく、更に好ましくは、2〜100μmである。
このようなフィルムの具体的な用途としては、例えば下記のような一般的なフィルム用途を挙げることができる。包装用フィルム;例えば、食品包装用フィルム、ストレッチフィルム、ラップフィルム、シュリンクフィルム、イージーピールフィルム、アルミ蒸着フィルム、PVDCコートフィルム、などが挙げられる。
通気性フィルム;例えば、紙おむつ、生理用品、手術衣、手術用手袋、サージカルダウン、ハウスラップ(透湿防水シート)、使い捨てカイロ、家庭用除湿剤、乾燥剤、脱酸素剤、鮮度保持剤、堆肥化シート、簡易ジャンバー、などが挙げられる。
防錆フィルム;例えば、自動車部品、ノックダウン用部品、機械・機械部品、鉄・クロム製品、鋼管、線材、ボルトナット、ベアリング、金型、工具、刃物、切削工具、建築用具などの輸送梱包、保管梱包、輸出梱包、などが挙げられる。
防曇フィルム;例えば、青果物用フィルム、加工食品用フィルム、などが挙げられる。
方向性フィルム;菓子類のひねり包装、農業資材、ラミネート基材、コイン包装、電線束ね材、果菜類包装、段ボールカットテープ、洗剤詰め替え容器、おにぎり包装、ピロー包装、スティック包装、ボイル・レトルト包装、水物食品包装、輸液バッグ、などが挙げられる。
セルフクリーニングフィルム;例えば、道路標識、一般標識、看板、窓ガラス、道路資材、サイドミラーなどが挙げられる。
セパレーター;例えば、バッテリーセパレーター、リチウムイオン電池用セパレーター、燃料電池用電解質膜、粘着・接着材セパレーター、
延伸フィルム;例えば、フィルムコンデンサ用フィルム、キャパシターフィルム、燃料電池用キャパシターフィルム、
半導体工程フィルム;例えば、ダイシングテープ・バックグラインドテープ・ダイボンディングフィルム、偏光板用フィルム、
表面保護フィルム;例えば、偏光板用保護フィルム、液晶パネル用保護フィルム、光学部品用保護フィルム、レンズ用保護フィルム、電気部品・電化製品用保護フィルム、携帯電話用保護フィルム、パソコン用保護フィルム、マスキングフィルム、タッチパネル用保護フィルム
電子部材用フィルム;例えば、拡散フィルム、反射フィルム、耐放射線フィルム、耐γ線フィルム、多孔フィルム、
建材フィルム;例えば、建材用ウインドウフィルム、合わせガラス用フィルム、防弾材、防弾ガラス用フィルム、遮熱シート、遮熱フィルム、などが挙げられる。
離型フィルム;例えば、フレキシブルプリント基板用離型フィルム(FPC)、ACM基板用離型フィルム、リジットフレキシブル基板用離型フィルム、先端複合材料用離型フィルム、炭素繊維複合材硬化用離型フィルム、ガラス繊維複合材硬化用離型フィルム、アラミド繊維複合材硬化用離型フィルム、ナノ複合材硬化用離型フィルム、フィラー充填材硬化用離型フィルム、半導体封止用離型フィルム、偏光板用離型フィルム、拡散シート用離型フィルム、プリズムシート用離型フィルム、反射シート用離型フィルム、離型フィルム用クッションフィルム、燃料電池用離型フィルム、各種ゴムシート用離型フィルム、ウレタン硬化用離型フィルム、エポキシ硬化用離型フィルム(金属バットやゴルフクラブなどの製造工程部材など)、などが挙げられる。
グリーンプラフィルム;例えば、農業用マルチフィルム、野菜包装袋、果実包装袋、家庭用ラップフィルム、スクラッチカード、ブリスターパック、溶断シール袋、カップ蓋材、キャラメル包装用フィルム、キャップシール、米飯包装、封筒窓、ポイントカード、ICカード、健康保険証カード、会員カード、ID証、社員証、ネームプレート、カタログ等の表面ラミ、粘着ラベル、テープ、クリアフォルダー、キャリアテープ、ステッカー、ラミネート袋、ティーバッグ、ごみ袋、防草シート、手提げ袋、コンポストバッグ、などが挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例において各物性は以下のように測定した。
〔組成〕
共重合体中の4−メチル−1−ペンテン及びプロピレン(炭素数3のα−オレフィン)の含有率(モル%)は、13C−NMRにより測定した。測定条件は、下記のとおりである。
〜条件〜
測定装置:核磁気共鳴装置(ECP500型、日本電子(株)製)
観測核:13C(125MHz)
シーケンス:シングルパルスプロトンデカップリング
パルス幅:4.7μ秒(45°パルス)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:1万回以上
溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン(容量比:80/20)混合溶媒
試料濃度:55mg/0.6mL
測定温度:120℃
ケミカルシフトの基準値:27.50ppm
〔極限粘度[η]〕
共重合体の極限粘度[η]は、測定装置としてウベローデ粘度計を用い、デカリン溶媒中、135℃で測定した。
具体的には、約20mgの粉末状の共重合体をデカリン25mlに溶解させた後、ウベローデ粘度計を用い、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリンを5ml加えて希釈した後、上記と同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作を更に2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度[η](単位:dl/g)として求めた(下記の式1参照)。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)・・・式1
〔重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)〕
共重合体の重量平均分子量(Mw)、及び重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。測定条件は、下記のとおりである。
〜条件〜
測定装置:GPC(ALC/GPC 150−C plus型、示唆屈折計検出器一体型、Waters製)
カラム:GMH6−HT(東ソー(株)製)2本、及びGMH6−HTL(東ソー(株)製)2本を直列に接続
溶離液:o−ジクロロベンゼン
カラム温度:140℃
流量:1.0mL/min
〔メルトフローレート(MFR)〕
共重合体のメルトフローレート(MFR:Melt Flow Rate)は、ASTM D1238に準拠し、230℃で2.16kgの荷重にて測定した。単位は、g/10min)である。
〔密度〕
共重合体の密度は、JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して、測定した。この密度(kg/m)を軽量性の指標とした。
〔融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg)〕
共重合体の融点(Tm)は、測定装置として示差走査熱量計(DSC220C型、セイコーインスツル(株)製)を用いて測定した。
約5mgの共重合体を測定用アルミニウムパン中に密封し、室温から10℃/minで200℃まで加熱した。共重合体を完全融解させるために、200℃で5分間保持し、次いで、10℃/minで−50℃まで冷却した。−50℃で5分間置いた後、10℃/minで200℃まで2度目の加熱を行なった。この2度目の加熱でのピーク温度(℃)を共重合体の融点(Tm)、ガラス転移に相当する変位点をガラス転移温度(Tg)とした。この共重合体の融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)のうち高い方の温度を耐熱性の指標とした。
[合成例1]4−メチル−1−ペンテン共重合体の製造(A−1)
充分窒素置換した容量1.5リットルの攪拌翼付SUS製オートクレーブに、23℃でノルマルヘキサン300ml(乾燥窒素雰囲気、活性アルミナ上で乾燥したもの)、4−メチル−1−ペンテンを450ml装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し攪拌機を回した。次に、オートクレーブを内温60℃まで加熱し、全圧が0.19MPa(ゲージ圧)となるようにプロピレンで加圧した。続いて、予め調製しておいた、メチルアルミノキサンをAl換算で1mmolとジフェニルメチレン(1−エチル−3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.01mmolとを含むトルエン溶液0.34mlを窒素でオートクレーブに圧入し、重合を開始した。重合反応中、オートクレーブ内温が60℃になるように温度調整した。重合開始60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入し重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。反応溶液にアセトンを攪拌しながら注いだ。
得られた溶媒を含むパウダー状のポリマーを100℃、減圧下で12時間乾燥した。得られたポリマーは44.0gで、ポリマー中の4−メチル−1−ペンテン含量は84.1mol%、プロピレン含量は15.9mol%であった。ポリマーの融点(T)は132℃であり、極限粘度[η]は1.5dl/gであった。各種物性について測定した結果を表1に示す。
[合成例2]4−メチル−1−ペンテン共重合体の製造(A−2)
充分窒素置換した容量1.5リットルの攪拌翼付SUS製オートクレーブに、23℃でノルマルヘキサン300ml(乾燥窒素雰囲気、活性アルミナ上で乾燥したもの)、4−メチル−1−ペンテンを450ml装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し攪拌機を回した。
次に、オートクレーブを内温60℃まで加熱し、全圧が0.40MPa(ゲージ圧)となるようにプロピレンで加圧した。続いて、予め調製しておいた、メチルアルミノキサンをAl換算で1mmolとジフェニルメチレン(1−エチル−3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.01mmolとを含むトルエン溶液0.34mlを窒素でオートクレーブに圧入し、重合を開始した。重合反応中、オートクレーブ内温が60℃になるように温度調整した。重合開始60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入し重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。反応溶液にアセトンを攪拌しながら注いだ。
得られた溶媒を含むパウダー状のポリマーを100℃、減圧下で12時間乾燥した。得られたポリマーは36.9gで、ポリマー中の4−メチル−1−ペンテン含量は72.5mol%、プロピレン含量は27.5mol%であった。ポリマーの融点(T)は観察されず、極限粘度[η]は1.5dl/gであった。各種物性について測定した結果を表1に示す。
[合成例3]4−メチル−1−ペンテン共重合体(A−3)の製造
国際公開2006/054613号パンフレットの比較例7や比較例9の方法に準じ、4−メチル1−ペンテン、1−デセン、水素の割合を変更することによって、表1に示す物性を有する4−メチル−1−ペンテン共重合体(A−3)を得た。各種物性について測定した結果を表1に示す。
<実施例1>
共重合体A−1 5質量部と、プロピレン系重合体(プライムポリプロ(登録商標)F107、プロピレンのホモポリマー、密度:910kg/m、MFR(230℃):7g/10min、(株)プライムポリマー製)95質量部と、を混合(ドライブレンド)した。次いで、得られた混合物を、リップ幅240mmのTダイを設置した20mmφの単軸押出機(単軸シート形成機、(株)田中鉄工所製)のホッパーに投入した。そして、シリンダー温度を230℃、ダイス温度を230℃に設定し、Tダイから溶融混練物を厚み50μmで押し出し、キャスト成形することにより、実施例1のフィルムを得た。
<実施例2>
共重合体A−1 20質量部と、プロピレン系重合体(プライムポリプロ(登録商標)F107、プロピレンのホモポリマー、密度:910kg/m、MFR(230℃):7g/10min、(株)プライムポリマー製)80質量部と、を混合(ドライブレンド)したこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2のフィルムを得た。
<実施例3>
共重合体A−1 40質量部と、プロピレン系重合体(プライムポリプロ(登録商標)F107、プロピレンのホモポリマー、密度:910kg/m、MFR(230℃):7g/10min、(株)プライムポリマー製)60質量部と、を混合(ドライブレンド)したこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例3のフィルムを得た。
<実施例4>
共重合体A−1 60質量部と、プロピレン系重合体(プライムポリプロ(登録商標)F107、プロピレンのホモポリマー、密度:910kg/m、MFR(230℃):7g/10min、(株)プライムポリマー製)40質量部と、を混合(ドライブレンド)したこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例4のフィルムを得た。
<実施例5>
共重合体A−1 5質量部と、プロピレン系重合体(プライムポリプロ(登録商標)F327、(株)プライムポリマー製)95質量部と、を混合(ドライブレンド)したこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例5のフィルムを得た。
<実施例6>
共重合体A−1 20質量部と、プロピレン系重合体(プライムポリプロ(登録商標)F327、(株)プライムポリマー製)80質量部と、を混合(ドライブレンド)したこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例6のフィルムを得た。
<実施例7>
共重合体A−1 40質量部と、プロピレン系重合体(プライムポリプロ(登録商標)F327、(株)プライムポリマー製)60質量部と、を混合(ドライブレンド)したこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例7のフィルムを得た。
<実施例8>
共重合体A−1 20質量部と、エチレン系重合体(エボリュー(登録商標)SP2540、直鎖状低密度ポリエチレン、密度:924kg/m、MFR(190℃):3.8g/10min、(株)プライムポリマー製)80質量部と、を混合(ドライブレンド)したこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例8のフィルムを得た。
<比較例1>
共重合体A−2 40質量部と、プロピレン系重合体(プライムポリプロ(登録商標)F107、(株)プライムポリマー製)60質量部と、を混合(ドライブレンド)したこと以外は、実施例1と同様の方法により、比較例1のフィルムを得た。
<比較例2>
共重合体A−3 30質量部と、プロピレン系重合体(プライムポリプロ(登録商標)F107、(株)プライムポリマー製)70質量部と、を混合(ドライブレンド)したこと以外は、実施例1と同様の方法により、比較例2のフィルムを得た。
<比較例3>
プロピレン系重合体(プライムポリプロ(登録商標)F107、(株)プライムポリマー製)100質量部で実施例1と同様の方法により、比較例3のフィルムを得た。
<比較例4>
エチレン系重合体(エボリュー(登録商標)SP2540、(株)プライムポリマー製)100質量部で実施例1と同様の方法により、比較例4のフィルムを得た。
〔透過型電子顕微鏡(TEM)によるフィルムの観察〕
実施例1〜5及び比較例1〜2のフィルムの厚み50μmの試料片を用意した。この試料片の断面を、マイクロトームにて研削しフィルム断面の超薄切片をトリミングした後、四酸化ルテニウムの蒸気に一定時間晒して一方を選択的に染色させた。それぞれ透過電子顕微鏡(TEM、日立製作所製H−7650(装置名))を用いて、3000倍率でそれぞれ観察した。実施例1〜5及び比較例1〜2のフィルムが、共重合体A−1、共重合体A−2、又は共重合体A−3を含む島部と、実質的にプロピレン系重合体からなる海部と、から構成される海島構造を有していることが確認された。図1は実施例8のフィルムのMD方向に平行な断面図である。
〔評価〕
実施例1〜8及び比較例1〜4のフィルムについて、以下の評価を行なった。評価結果を下記の表2に示す。
〔引張弾性率、引張破断伸び〕
厚みが200μmのフィルムを幅25mm×長さ100mmのダンベル状に切断したものを試験片として用いた。
JIS K6781(1994)に準拠し、引張試験機(万能引張試験機3380、インストロン製)を用いて、チャック間距離50mm、引張速度200mm/min、及び温度23℃の条件で、試験片の引張弾性率(単位:MPa)、引張破断伸び(単位:%)を測定した。
〔全ヘイズ(%)〕
ASTM D−1003に準拠して、日本電色工業(株)製のデジタル濁度計(NDH−20D)にて大気中で測定した。
〔剥離力評価〕
粘着シートの試験方法(JIS Z0237−2000)に準拠して、剥離力を測定した。粘着材としてオレフィン系粘着材(三井化学東セロ株式会社製、ピュアテクト)とアクリル系粘着材(日東電工株式会社製、商品名ニットーテープ31B)を使用した。50mm幅×100mm長さに切った試験フィルムと粘着テープを温度23℃、相対湿度50%の環境下に1時間放置した後、粘着フィルムを約2kgのゴムロールで圧力を加えながら2往復通過させて試験板に貼り付けた。貼り付け後、温度23℃または50℃、相対湿度50%の一定環境下に1日間置いた後、温度23℃相対湿度50%の環境で、180°方向に、速度300mm/分で引き剥がした際の剥離力を測定した。
表2に示されるように、実施例1〜8のフィルムは、機械特性を大きく損なうことがなく、透明性に優れ、かつオレフィンやアクリル粘着テープとの離型性に優れたフィルムであることがわかる。
実施例1に対して、比較例3ポリプロピレン樹脂(B−1)を用いた場合を比較すると、(A−1)を用いることにより透明性が優れ、かつオレフィン粘着テープに対する剥離応力、すなわち離型性がよいことがわかる。
また、実施例3に対して、4−メチル−1−ペンテンの含有量が低く、かつ融点が観測されない4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A−2)を用いた比較例1と比較すると、剥離応力、すなわち離型性が優れることがわかる。
さらに、本発明の4−メチル−1−ペンテンの含有量が高く、かつ融点が高い4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A−3)を用いた比較例2と比較すると、比較例2のフィルムは透明性が悪く、またオレフィン粘着剤への剥離応力が小さすぎてフィルムの密着性がなく、成形性が悪くなる問題を有していることがわかる。
なお、実施例8のフィルムは、図1の断面TEM写真から、相分散構造を有することがわかる。なお前記TEM写真の明部(相対的に淡い灰色の部分)は、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)から実質的になる相、暗部(相対的に濃い黒い部分)は、熱可塑性樹脂(B)とから実質的になる相であると考えられる。
本発明に係るフィルムは、透明性、機械物性、離型性に優れ、また低温成形により得ることが可能である。
これにより光学用途、建材用途、自動車部品用途などの離型フィルム等、特にFPC製造時の表面保護フィルムとして好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. 4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)とを含むフィルムであって、前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の含有量が全質量に対して1質量%以上70質量%未満であり、前記熱可塑性樹脂(B)の含有量が全質量に対して30質量%以上99質量%未満であり、かつ前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)が下記[1]、[2]および[5]の要件を満たすフィルム。
    [1]4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位を97モル%〜80モル%、及びプロピレンに由来する構成単位が3〜20モル%(但し、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位とプロピレンに由来する構成単位との合計は100モル%である)である
    [2]135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が1.2〜5.0dl/gである
    [5]DSCで測定した融点(Tm)が125℃〜158℃の範囲にある
  2. 前記フィルムの主面に垂直な切断面のTEM像(撮像範囲のフィルム厚さ方向の距離は50μm、かつ撮像面積は3000μm2)で、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)から構成される相と、熱可塑性樹脂(B)から構成される相との相分散構造が観察され、かつ熱可塑性樹脂(B)から構成される相に対する4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A)の相の面積の割合が前記フィルムの厚み方向の中心部から主面側に向けて段階的に増加している、請求項1に記載のフィルム。
  3. 前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)が下記[3]ないし[4]の要件をすべて満たす請求項1または2に記載のフィルム。
    [3]ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定する重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5である
    [4]密度が825〜860kg/m3である
  4. 前記熱可塑性樹脂(B)が、オレフィン系重合体である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のフィルム。
  5. 前記熱可塑性樹脂(B)が、プロピレン系重合体である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のフィルム。
  6. 請求項1ないし5のいずれか一項に記載のフィルムと、粘着層とを備え前記フィルムと前記粘着層が少なくとも一部が接している表面保護フィルム。
  7. 4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)とを含み、前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の含有量が全質量に対して1質量%以上70質量%未満であり、前記熱可塑性樹脂(B)の含有量が全質量に対して30質量%以上99質量%未満であり、かつ前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)が下記[1]ないし[5]のすべての要件を満たす樹脂改質剤。
    [1]4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位を97モル%〜80モル%、及びプロピレンに由来する構成単位を3モル%〜20モル%含む共重合体であり(但し、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位と、プロピレンに由来する構成単位が合計で100モル%である)、
    [2]135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が1.2〜5.0dl/gである
    [3]ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定する重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5である
    [4]密度が825〜860kg/m3である
    [5]DSCで測定した融点(Tm)が125℃〜158℃の範囲にある
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