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JP6459900B2 - シリコンウェーハの検査方法 - Google Patents

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本発明は、選択エッチングを行うことなく、ウェーハの酸素析出欠陥領域を高精度で簡易に識別し、環境や人体に安全な方法でシリコンウェーハを検査する方法に関する。
シリコンウェーハを製造するためのシリコン単結晶の育成方法としてチョクラルスキー法(以下、CZ法という。)が広く用いられている。このCZ法では、シリコン単結晶育成時に結晶内部に導入される酸素起因の欠陥の種類及び分布は、結晶の引上げ速度Vと固液界面の温度勾配Gに依存することが知られている。このV/Gの比がある値以上になると、空孔が過剰になり、原子空孔が集まったボイド欠陥であるCOP(Crystal Originated Particle)が発生する。一方、V/Gの比が小さい場合には、格子間シリコン原子が過剰となり、格子間シリコンの凝集体である転移クラスタが発生する。更に、上記COPが発生する領域と転移クラスタが発生する領域の間には、熱処理された場合の挙動が異なる複数の領域が存在する。
COPが発生する領域と転移クラスタが発生する領域の間には、V/Gの比が大きい方から順に、OSF領域、Pv領域、Pi領域の3つの領域が存在する。OSF領域とは、結晶育成後に何の熱履歴も受けていないas-grown状態で酸素積層欠陥(Oxidation induced Stacking Fault、OSF)核を含み、1000℃以上の高温で熱酸化した場合にOSFが顕在化する領域である。Pv領域とは、as-grown状態で酸素析出核が存在し、熱処理を施した場合に酸素析出物が発生する領域である。Pi領域とは、as-grown状態で殆ど酸素析出核が存在せず、熱処理を施されても酸素析出物が発生し難い領域である。上記COP及び転移クラスタは半導体デバイスの特性に大きな影響を与えるため、これらの欠陥が発生しない条件でシリコン単結晶を育成することが望ましい。そのためには、育成したシリコン単結晶の検査を行い、各領域の分布を正確に把握し、結晶育成に対して必要なフィードバックをかけることが重要である。
従来、シリコン単結晶中の各領域を判別する方法としては、Cuデコレーション法(例えば、特許文献1参照。)及び赤外散乱トモグラフィ法(例えば、特許文献2参照。)が広く知られている。Cuデコレーション法は、サンプル表面に付着させたCuを熱処理によりサンプル内部に拡散させた後に急冷によって結晶表面の欠陥を顕在化させる方法である。特許文献1には、Cu又はNiのデコレーション法を行った後に、ライト(Wright)液による選択エッチングや、セコ(Secco)液による選択エッチングを行って、サンプル表面のCu析出物又はNi析出物をピットとして検出することが記載されている。上記ライト液は、HF、HNO、Cr、Cu(NO)、CHCOOH及びHOを含有する。一方上記セコ液は、HF、KCr及びHOを含有する。
また、特許文献2には、赤外散乱トモグラフィ法は、シリコン基板をへき開し、その断面方向からSi結晶を透過する赤外線を照射し、Si結晶中の微小欠陥からの散乱光線をカメラで撮影する方法である旨が記載されている。
特開2001−81000号公報(請求項1、請求項5,段落[0011]、段落[0019]、段落[0025]、段落[0036]、段落[0037]) 特開2000−214099号公報(段落[0004])
特許文献1に記載された方法は、Cu又はNiを熱処理によりサンプル内部に拡散させた後に、サンプルを急冷するため、過飽和なCu又はNiもサンプル内に取り残され、シリコン単結晶の各領域を評価するときに、外乱となる恐れがある。また選択エッチング液であるライト液又はセコ液には、いずれも環境や人体に有害なクロムを含み、エッチング液の処理が煩わしい問題があった。特許文献2に記載された方法は、特許文献1に記載された方法の課題がない代わりに、赤外散乱トモグラフィ装置は高価でかつ測定に長時間を要する問題があった。
本発明の第1の目的は、外乱をなくしてシリコンウェーハ内のCuの再結合ライフタイムを検査する方法を提供することにある。本発明の第2の目的は、選択エッチングを行うことなく、シリコンウェーハの酸素析出欠陥領域を高精度で簡易に識別し、環境や人体に安全な方法でシリコンウェーハを検査する方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために、以下の知見を得て、本発明に到達した。
(1) 特許文献1に示されるCu又はNiのデコレーション法での急峻な冷却では、Cu又はNiの遷移金属が酸素析出物に的確にデコレーションせず、遷移金属単体で結晶中に析出し、それらが遷移金属の再結合ライフタイムに影響を及ぼし、シリコン単結晶のようなサンプルの酸素析出物分布を正確に反映しない。
(2) 遷移金属のサンプルに対する固溶度を基準にし、サンプル内に遷移金属を拡散した後の冷却速度を調整すれば、シリコン単結晶内に取り残される遷移金属の量が低減され、かつ遷移金属はサンプル内ではなくサンプル表面に析出する。それらを更に除去すれば、サンプル内は酸素析出物に遷移金属がデコレーションした領域のみになり、サンプルを検査するときの外乱がなくなり、遷移金属の再結合ライフタイムは酸素析出物を正確に反映する。
(3) 具体的には、サンプルの酸素析出物分布と遷移金属の再結合ライフタイム分布の検量線を予め作成しておき、上記(2)の方法で遷移金属の再結合ライフタイムを測定し、これを上記検量線に照合すれば、特許文献1のような選択エッチングを行って酸素析出物を顕在化させる必要はなく、サンプルの酸素析出物を正確に推定することができる。
本発明の第1の観点は、(i) CZ法により育成された棒状のシリコン単結晶から切り出されたウェーハをサンプルとして準備する工程と、(ii) サンプル内の酸素析出核を酸素析出物に成長させるために前記サンプルを熱処理する工程と、(iii) 前記熱処理したサンプル表面をCuで汚染する工程と、(iv) 前記Cuで汚染したサンプルをサンプル内にCuシリサイドが生成しない300℃を超える第1温度まで昇温して前記Cuをサンプル内に熱拡散させる工程と、(v) 前記Cuをサンプル内に熱拡散させたサンプルを前記第1温度と同じか異なる300℃を超える第2温度で維持して前記サンプル内の酸素起因の結晶欠陥にCuを析出させるとともに前記結晶欠陥に析出させた以外の余剰のCuをサンプル表面に拡散させる工程と、(vi) 前記第2温度で維持したサンプルを室温まで冷却する工程と、(vii) 前記室温まで冷却したサンプル表面を洗浄した後、ケミカルエッチング処理する工程と、(viii) 前記ケミカルエッチング処理したサンプルの前記Cuの再結合ライフタイムを測定する工程とを含むシリコンウェーハの検査方法である。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、前記(v)工程及び前記(vi)工程が、前記サンプルを前記第2温度で30分以上維持し、その後前記第2温度から室温まで放冷するシリコンウェーハの検査方法である。
本発明の第の観点は、第1の観点に基づく発明であって、前記(ii)工程の熱処理が、前記サンプル内の酸素析出物サイズが25nm以上となるように前記サンプルを熱処理するシリコンウェーハの検査方法である。
本発明の第の観点は、第1の観点に基づく発明であって、前記(vii)工程のケミカルエッチング処理が、フッ硝酸水溶液を用いて、JISZ8741に規定された入射角20度としたときのサンプル表面の光沢度を700以上に均一化するエッチングであるリコンウェーハの検査方法である。
本発明の第の観点は、(A) CZ法により育成された棒状のシリコン単結晶から切り出されたウェーハから複数の参照用サンプルを準備する工程と、(B) サンプル内の酸素析出核を酸素析出物に成長させるために前記複数の参照用サンプルを熱処理する工程と、(C) 前記熱処理した複数の参照用サンプルについて赤外散乱トモグラフィにより酸素析出物密度を測定する工程と、(D) 前記熱処理した複数の参照用サンプル表面をCuで汚染する工程と、(E) 前記Cuで汚染した複数の参照用サンプルをサンプル内にCuシリサイドが生成しない300℃を超える第1温度まで昇温して前記Cuをサンプル内に熱拡散させる工程と、(F) 前記Cuをサンプル内に熱拡散させた複数の参照用サンプルを前記第1温度と同じか異なる300℃を超える第2温度で維持して前記サンプル内の酸素起因の結晶欠陥にCuを析出させるとともに前記結晶欠陥に析出させた以外の余剰のCuをサンプル表面に拡散させる工程と、(G) 前記第2温度で維持した参照用サンプルを室温まで冷却する工程と、(H) 前記室温まで冷却した複数の参照用サンプル表面を洗浄した後、ケミカルエッチング処理する工程と、(I) 前記ケミカルエッチング処理した複数の参照用サンプルの前記Cuの再結合ライフタイムを測定する工程と、(J) 前記(I)工程の測定結果と前記(C)工程の測定結果から、再結合ライフタイムと酸素析出物密度との相関直線からなる検量線を作成する工程と、(K) CZ法により育成された棒状のシリコン単結晶から切り出されたウェーハから検査用サンプルを準備する工程と、(L) 前記検査用サンプルを前記(B)工程と同じ条件で熱処理する工程と、(M) 前記熱処理した検査用サンプル表面を前記(D)工程と同じ条件でCuで汚染する工程と、(N) 前記Cuで汚染した検査用サンプルを前記(E)工程と同じ条件で前記Cuをサンプル内に熱拡散させる工程と、(O) 前記Cuをサンプル内に熱拡散させた複数の検査用サンプルを前記(F)工程と同じ第2温度で維持して前記サンプル内の酸素起因の結晶欠陥にCuを析出させるとともに前記結晶欠陥に析出させた以外の余剰のCuをサンプル表面に拡散させる工程と、(P) 前記第2温度で維持した検査用サンプルを室温まで冷却する工程と、(Q) 前記室温まで冷却した検査用サンプル表面を洗浄した後、ケミカルエッチング処理する工程と、(R) 前記ケミカルエッチング処理した検査用サンプルの前記Cuの再結合ライフタイムを測定する工程と、(S) 前記(R)工程の測定結果を前記(J)工程で作成した検量線に照合することにより、前記検査用サンプルの酸素析出物密度を推定する工程とを含むシリコンウェーハの検査方法である。
本発明の第の観点は、第の観点に基づく発明であって、前記(F)工程及び前記(G)工程、又は前記(O)工程及び前記(P)工程が、前記サンプルを前記第2温度で30分以上維持し、その後前記第2温度から室温まで放冷するシリコンウェーハの検査方法である。
本発明の第の観点は、第の観点に基づく発明であって、前記(B)工程又は前記(L)工程の熱処理が前記参照用又は前記検査用サンプル内の酸素析出物サイズが25nm以上となるように前記サンプルを熱処理するシリコンウェーハの検査方法である。
本発明の第の観点は、第の観点に基づく発明であって、前記(H)工程又は前記(Q)工程のケミカルエッチング処理が、フッ硝酸水溶液を用いて、JISZ8741に規定された入射角20度としたときのサンプル表面の光沢度を700以上に均一化するエッチングであるシリコンウェーハの検査方法である。
本発明の第の観点は、第ないし第のいずれかの観点に基づく方法で前記検査用サンプルの酸素析出物密度を推定した結果に基づいて、CZ法によるシリコン単結晶の引上げ条件を決定し、前記決定された引上げ条件で単結晶内の酸素析出物密度を制御してシリコン単結晶を育成する方法である。
本発明の第10の観点は、第ないし第のいずれかの観点に基づく方法で前記検査用サンプルの酸素析出物密度を推定した結果に基づいて、前記検査用サンプルを準備したシリコン単結晶から切り出されたシリコンウェーハの品質を判定する方法である。
本発明の第1の観点の検査方法では、特許文献1の評価方法がCu又はNiを熱処理によりサンプル内部に拡散させた後にサンプルを急冷して、過飽和なCu又はNiも結晶中に取り残すのに対して、熱処理したサンプル表面をCuで汚染したシリコンウェーハのサンプルをサンプル内にCuシリサイドが生成しない300℃を超える第1温度まで昇温することによりCuをサンプル内に熱拡散させた後で、サンプルを前記第1温度と同じか異なる300℃を超える第2温度で維持するため、サンプル内の酸素起因の結晶欠陥にCuを析出させるとともに前記結晶欠陥に析出させた以外の余剰のCuをサンプル表面に拡散させることができる。このサンプル表面をケミカルエッチング処理してサンプル表面のCuを除去すれば、サンプル内には酸素析出物にCuのデコレーションした領域のみにすることができる。こうしたサンプルの銅の再結合ライフタイムは、外乱のない正確な値とすることができる。またケミカルエッチング処理をすることによりサンプルの表面粗さを小さくし、再結合ライフタイムを正確に測定することができる。
本発明の第2の観点の検査方法では、前記(v)工程及び前記(vi)工程が、前記サンプルを前記第2温度で30分以上維持し、その後前記第2温度から室温まで放冷するため、サンプル内の酸素起因の結晶欠陥にCuを析出させるとともに前記結晶欠陥に析出させた以外の余剰のCuをサンプル表面に拡散させ、これによりサンプル内に取り残されるCuの量が低減される。
本発明の第の観点の検査方法では、前記(ii)工程の熱処理が、前記サンプル内の酸素析出物サイズが25nm以上となるように前記サンプルを熱処理するため、Cuを的確にサンプル内の酸素析出物にデコレーションさせることができる。
本発明の第の観点の検査方法では、前記(vii)工程のケミカルエッチング処理が、フッ硝酸水溶液を用いて、JISZ8741に規定された入射角20度としたときのサンプル表面の光沢度を700以上に均一化することにより、サンプルの表面粗さが小さくなり、Cuの再結合ライフタイムを高精度に測定することができる。
本発明の第の観点の検査方法では、参照用サンプルを用いて、サンプルの酸素析出物分布とCuの再結合ライフタイム分布の検量線を予め作成しておき、第1の観点の方法で検査用サンプルのCuの再結合ライフタイムを測定し、これを上記検量線に照合すれば、特許文献1のような選択エッチングを行って酸素析出物を顕在化させる必要はなく、また高価な赤外散乱トモグラフィ装置で長時間費やすことなく、検査用サンプルの酸素析出物を高精度で簡易に推定することができる。
本発明の第の観点の検査方法では、前記(F)工程及び前記(G)工程、又は前記(O)工程及び前記(P)工程が、前記サンプルを前記第2温度で30分以上維持し、その後前記第2温度から室温まで放冷するため、サンプル内の酸素起因の結晶欠陥にCuを析出させるとともに前記結晶欠陥に析出させた以外の余剰のCuをサンプル表面に拡散させ、これによりサンプル内に取り残されるCuの量が低減される。
本発明の第の観点の検査方法では、前記(B)工程又は前記(L)工程の熱処理が、前記サンプル内の酸素析出物サイズが25nm以上となるように前記サンプルを熱処理するため、Cuを的確にサンプル内の酸素析出物にデコレーションさせることができる。
本発明の第の観点の検査方法では、前記(H)工程又は前記(Q)工程のケミカルエッチング処理が、フッ硝酸水溶液を用いて、JISZ8741に規定された入射角20度としたときのサンプル表面の光沢度を700以上に均一化することにより、サンプルの表面粗さが小さくなり、Cuの再結合ライフタイムを高精度に測定することができる。
本発明の第の観点の検査方法では、第ないし第のいずれかの観点に基づく方法で前記検査用サンプルの酸素析出物密度を推定した結果に基づいて、CZ法によるシリコン単結晶の引上げ条件を決定し、前記決定された引上げ条件で単結晶内の酸素析出物密度を制御すれば、COP及び転移クラスタの欠陥がないシリコン単結晶を育成することができる。
本発明の第10の観点の検査方法では、第ないし第のいずれかの観点に基づく方法で前記検査用サンプルの酸素析出物密度を推定した結果に基づいて、前記検査用サンプルを準備したシリコン単結晶から切り出されたシリコンウェーハの品質を判定することができる。
本発明の第1実施形態に係るシリコンウェーハの検査工程を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係るシリコンウェーハの検査工程を示すフローチャートである。 実施例1に係る再結合ライフタイムと酸素析出物密度との相関関係を示す図である。 実施例2に係る再結合ライフタイムと酸素析出物密度との相関関係を示す図である。 比較例1に係る再結合ライフタイムと酸素析出物密度との相関関係を示す図である。 比較例1に係る再結合ライフタイムと酸素析出物密度との相関関係を示す図である。
以下、本発明のシリコンウェーハの検査方法の実施形態について、詳しく説明する。
<第1実施形態>
先ず、本発明の第1実施形態のシリコンウェーハの検査方法を工程順に説明する。図1(i)に示すように、先ずCZ法により育成された棒状のシリコン単結晶から切り出されたウェーハをサンプルとして準備する。次いで、図1(ii)に示すように、サンプル内の酸素析出核を酸素析出物に成長させるためにこのサンプルを熱処理する。熱処理は、700〜1000℃で4〜16時間、乾燥酸素雰囲気で熱処理して、サンプル内の酸素析出物サイズが25nm以上となるようにすることが好ましい。こうすることにより、Cuを的確にサンプル内の酸素析出物にデコレーションさせることができる。次に、図1(iii)に示すように、熱処理したサンプルの表面をCuで汚染する。Cu汚染は、一般的なCuデコレーションと同様に行うことができる。具体的には、例えばサンプルをCu含有溶液中に浸漬した後、この溶液から取り出し所定時間自然乾燥等により乾燥させる。このCu含有溶液としては、硝酸銅水溶液や硝酸銅とフッ酸(HF)との混合溶液等を用いることができる。この溶液中の銅濃度は、Pv領域及びPi領域を均一にデコレーションする観点からは、3×1020atoms/cm以上とすることが好ましい。銅含有溶液の銅濃度が高いほど均一なデコレーションの観点からは好ましく、例えば、溶解度上限まで銅を含有する溶液を使用することも可能である。
次に、図1(iv)に示すように、Cu汚染後のサンプルに対して、Cuの拡散熱処理を行う。具体的には、Cuで汚染したサンプルをサンプル内にCuシリサイドが生成しない300℃を超える第1温度まで昇温してCuをサンプル内に熱拡散させる。この第1温度は、サンプルに対するCuの固溶度が1×1016atoms/cm以上になる温度であることが好ましく、サンプル等に熱的負荷を過剰に付与しないように、第1温度の上限値は700℃が好ましい。続いて、図1(v)に示すように、この熱拡散させたサンプルを第2温度で維持する。具体的には、この第2温度は、サンプル内にCuシリサイドが生成しない300℃を超える温度であって、前記第1温度と同じでも、異なってもよい。この第2温度は、サンプルに対するCuの固溶度が5×1012atoms/cm以下になる温度であることが好ましい。以下の表1に、温度に応じたCuのシリコン中の拡散距離及び固溶度を示す。Cuの固溶度が1×1016atoms/cm以上になる温度とは、692℃以上の温度であり、Cuの固溶度が5×1012atoms/cm以下になる温度とは、その下限はシリコン中でCuがCuシリサイドを形成しない300℃を超える温度であり、その上限は402℃である。
前記(v)工程及び前記(vi)工程における方法は、サンプルを前記第2温度で30分以上維持し、その後前記第2温度から室温まで放冷する方法である。ここで、下限の維持時間を30分とするのは、例えば第2温度を300℃、サンプル(シリコンウェーハ)の厚みを750μmと仮定すれば、30分間でサンプル内全域の酸素起因の結晶欠陥にCuを析出させるのに十分であるからである
上記方法で、維持時間が30分未満の場合、Cuがサンプル内の酸素起因の結晶欠陥に十分に析出しない恐れがある。上記方法により、サンプル内の酸素起因の結晶欠陥にCuを析出させるとともに結晶欠陥に析出させた以外の過飽和で余剰のCuをサンプル表面に拡散させて、これによりサンプル内に取り残されるCuの量を低減することができる。
次に、図1(vii)に示すように、室温まで冷却したサンプル表面を洗浄した後、ケミカルエッチング処理する。具体的には、サンプルを純水で超音波洗浄した後、フッ硝酸水溶液を用いて、JISZ8741に規定された入射角20度としたときのサンプル表面の光沢度を700以上に均一化する。こうすることにより、サンプルの表面粗さが小さくなり、Cuの再結合ライフタイムを高精度に測定することができる。続いて、図1(viii)に示すように、ケミカルエッチング処理したサンプルのCuの再結合ライフタイムを測定する。この測定方法としては、光で励起される少数キャリアのライフタイムを測定するμ−PCD法が簡便で測定精度が高いため、好適である。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態のシリコンウェーハの検査方法を工程順に説明する。
〔参照用サンプルの準備から検量線の作成まで〕
図2(A)に示すように、先ずCZ法により育成された棒状のシリコン単結晶から切り出された複数のウェーハを参照用サンプルとして準備する。次いで、図2(B)に示すように、第1実施形態と同様のこれらの参照用サンプルの熱処理を行う。 次に、図2(C)に示すように、熱処理した複数の参照用サンプルの酸素析出物密度と分布を測定する。この酸素析出物密度と分布の測定は、赤外散乱(IR)トモグラフィ(レイテックス社製MO−441)でLSTD(Laser Scattering Tomograph Defects)密度と分布を測定することが測定精度が高いため、好ましい。次に、図2(D)に示すように、熱処理した参照用サンプルの表面をCuで汚染する。Cu汚染は、第1実施形態と同様に行う。
次に、図2(E)〜(G)に示すように、Cu汚染後の参照用サンプルに対して、第1実施形態と同様に、第1温度までの昇温によるCuの拡散熱処理、第2温度での維持、室温冷却を行う。次に、図2(H)及び(I)に示すように、第1実施形態と同様に、室温まで冷却した参照用サンプルの表面を洗浄した後、ケミカルエッチング処理し、続いて参照用サンプルのCuの再結合ライフタイムを測定する。続いて、図2(J)に示すように、参照用サンプルに関して、よこ軸に得られたCuの再結合ライフタイムを、たて軸に上述した熱処理後に測定したLSTD密度(酸素析出物密度)をプロットし、複数の再結合ライフタイムの値と複数の酸素析出物密度の値から相関直線を作成し、これを検量線とする。
〔検査用サンプルの準備から酸素析出物密度の推定まで〕
図2(K)〜(R)に示すように、検査用サンプルを準備した後、検査用サンプルの酸素析出物密度を測定することなく、検査用サンプルに対して、参照用サンプルと同様に、熱処理、Cu汚染、第1温度までの昇温によるCu拡散熱処理、第2温度での維持、室温冷却、ケミカルエッチング処理、Cuの再結合ライフタイム測定を行う。続いて、図2(S)に示すように、得られた再結合ライフタイムの値を上述した検量線に照合して、検査用サンプルの酸素析出物密度を推定する。この結果、選択エッチングを行って酸素析出物を顕在化させる必要はなく、また高価な赤外散乱トモグラフィ装置で長時間費やすことなく、検査用サンプルの酸素析出物を高精度で簡易に識別することができる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
図2(A)に示すように、CZ法によりCOPや転移クラスタが存在しないPi領域及びPv領域を含むように引上げられた棒状のシリコン単結晶から10枚のシリコンウェーハを切り出した。切り出したウェーハは厚さ1mm、直径300mm、抵抗値10Ω・cm、酸素濃度10×1017atoms/cm(旧ASTM)であった。
これらのウェーハを参照用サンプルとして、図2(B)に示すように、参照用サンプル内の酸素析出物サイズを20nm以上にするために、これらの参照用サンプルを1000℃、16時間、乾燥酸素雰囲気で熱処理した。図2(C)に示すように、熱処理した1枚のサンプルを劈開し、劈開面における参照用サンプルのLSTD(Laser Scattering Tomograph Defects)密度を赤外散乱(IR)トモグラフィ(レイテックス社製MO−441)で測定することにより、参照用サンプルの酸素析出物密度と分布を求めた。
次に、図2(D)に示すように、水1リットルに硝酸銅(II)三水和物Cu(NO)・3HO(硝酸銅含有割合99質量%)100gを溶解した硝酸銅水溶液をCuデコレーション用の銅含有溶液として調製し、この硝酸銅水溶液を上記熱処理した上記参照用サンプルを硝酸銅水溶液に浸漬させた後、サンプルを自然乾燥させることにより、参照用サンプルの表面をCuで汚染した。Cuの汚染量は1.7×1015atoms/cm以上であった。
次に、図2(E)に示すように、Cuの拡散熱処理を行った。具体的には、Cuで汚染した参照用サンプルを大気雰囲気下の電気炉に入れ、10℃/分の速度で昇温し、700℃で5分間維持した。続いて、図2(F)に示すように、これらの参照用サンプルを降温した。具体的には、参照用サンプルを400℃に維持された別の電気炉に入れ、そこで45分間維持した。続いて、図2(G)に示すように、電気炉から参照用サンプルを取り出し、放置することによって、室温まで50℃/分の速度で急冷した。
次に、図2(H)に示すように、上記参照用サンプルをケミカルエッチング処理を行った。具体的には、参照用サンプルを純水で超音波洗浄した後、HF(50質量%):HNO(48質量%)=1:5(体積比)の室温のエッチング液で5分間ミラーエッチングし、次いで10分間の水洗リンスを行った。続いて、図2(I)に示すように、参照用サンプルのCuの再結合ライフタイムをμ−PCD法により測定した。図2(J)に示すように、参照用サンプルに関して、よこ軸に得られたCuの再結合ライフタイムを、たて軸に上述した熱処理後に測定したLSTD密度(酸素析出物密度)をプロットし、50個以上の再結合ライフタイムの値と50個以上の酸素析出物密度の値から相関直線を作成し、これを検量線αとした。この検量線αを図3に示す。この検量線のRは0.9128であり、高い相関関係を示した。
図2(K))〜(R)に示すように、検査用サンプルを準備した後、検査用サンプルの酸素析出物密度を測定することなく、参照用サンプルと同様に検査用サンプルを処理して検査用サンプルのCuの再結合ライフタイムをμ−PCD法により測定した。具体的には、参照用サンプルを準備したシリコン単結晶とは別に、CZ法によりCOPや転移クラスタが存在しないPi領域及びPv領域を含むように引上げられた棒状のシリコン単結晶からシリコンウェーハ(厚さ1mm、直径300mm、抵抗値10Ω・cm、酸素濃度10×1017atoms/cm(旧ASTM))を切り出し、このウェーハを検査用サンプルとした。この検査用サンプルに対して、参照用サンプルと同様に、熱処理、Cu汚染、第1温度までの昇温によるCu拡散熱処理、第2温度での維持、室温冷却、ケミカルエッチング処理、Cuの再結合ライフタイム測定を行った。
図2(S)に示すように、得られた再結合ライフタイムの値を図3に示す検量線αに照合して、検査用サンプルのLSTD密度(酸素析出物密度)を推定した。この検査用サンプルについて、確認のため、赤外散乱トモグラフィ(レイテックス社製MO−441)でLSTD密度を測定したところ、図3のたて軸の値とほぼ同一の値を示した。
<実施例2>
図2(E)に示した実施例1のCuの拡散熱処理を以下に記載するように変更した。即ち、参照用サンプルを700℃で5分間維持した後、同一の電気炉内で300℃まで3℃/分の速度で徐冷した。その後、図2(G)に示すように、電気炉から参照用サンプルを取り出し、放置することによって、室温まで50℃/分の速度で急冷した。それ以外は、図2(A)〜(D)に示すように、実施例1と同様にして、参照用サンプルを準備し、IRトモグラフィにより参照用サンプルの酸素析出物密度を測定し、参照用サンプルをCuで汚染した。
以下、実施例1と同様に、図2(H)〜(I)に示すように、上記参照用サンプルをケミカルエッチング処理、μ−PCD法によるCuの再結合ライフタイム測定を行った。図2(J)に示すように、参照用サンプルに関して、よこ軸に得られたCuの再結合ライフタイムを、たて軸に熱処理後に測定したLSTD密度(酸素析出物密度)をプロットし、50個以上の再結合ライフタイムの値と50個以上の酸素析出物密度の値から相関直線を作成し、これを検量線βとした。この検量線βを図4に示す。この検量線のRは0.9277であり、高い相関関係を示した。
図2(K)〜(R)に示すように、実施例1の検査用サンプルと同様に実施例2の検査用サンプルを準備した後、検査用サンプルの酸素析出物密度を測定することなく、実施例1の参照用サンプルと同様に検査用サンプルを処理して検査用サンプルのCuの再結合ライフタイムをμ−PCD法により測定した。具体的には、参照用サンプルを準備したシリコン単結晶とは別に、CZ法によりCOPや転移クラスタが存在しないPi領域及びPv領域を含むように引上げられた棒状のシリコン単結晶からシリコンウェーハ(厚さ1mm、直径300mm、抵抗値10Ω・cm、酸素濃度10×1017atoms/cm(旧ASTM))を切り出し、このウェーハを検査用サンプルとした。この検査用サンプルに対して、参照用サンプルと同様に、熱処理、Cu汚染、第1温度までの昇温によるCu拡散熱処理、第2温度での維持、室温冷却、ケミカルエッチング処理、Cuの再結合ライフタイム測定を行った。
図2(S)に示すように、得られた再結合ライフタイムの値を図4に示す検量線βに照合して、検査用サンプルのLSTD密度(酸素析出物密度)を推定した。この検査用サンプルについて、確認のため、赤外散乱トモグラフィ(レイテックス社製MO−441)でLSTD密度を測定したところ、図4のたて軸の値とほぼ同一の値を示した。
<比較例1>
図2(E)〜(G)に示した実施例1の第1温度までの昇温によるCu拡散熱処理、第2温度での維持、室温冷却を以下に記載するように変更した。即ち、参照用サンプルを1000℃で5分間維持した後、電気炉から参照用サンプルを取り出し、放置することによって、室温まで50℃/分の速度で急冷した。それ以外は、図2(A)〜(D)に示すように、実施例1と同様にして、参照用サンプルを準備し、IRトモグラフィにより参照用サンプルの酸素析出物密度を測定し、参照用サンプルをCuで汚染した。
以下、実施例1と同様に、図2(H)〜(I)に示すように、上記参照用サンプルをケミカルエッチング処理、μ−PCD法によるCuの再結合ライフタイム測定を行った。図2(J)に示すように、参照用サンプルに関して、よこ軸に得られたCuの再結合ライフタイムを、たて軸に熱処理後に測定したLSTD密度(酸素析出物密度)をプロットし、50個以上の再結合ライフタイムの値と50個以上の酸素析出物密度の値から相関直線を作成し、これを検量線γとした。この検量線γを図5に示す。この検量線のRは0.2507であり、低い相関関係を示した。
図2(K)〜(R)に示すように、実施例1の検査用サンプルと同様に比較例1の検査用サンプルを準備した後、検査用サンプルの酸素析出物密度を測定することなく、実施例1の参照用サンプルと同様に検査用サンプルを処理して検査用サンプルのCuの再結合ライフタイムをμ−PCD法により測定した。具体的には、参照用サンプルを準備したシリコン単結晶とは別に、CZ法によりCOPや転移クラスタが存在しないPi領域及びPv領域を含むように引上げられた棒状のシリコン単結晶からシリコンウェーハ(厚さ1mm、直径300mm、抵抗値10Ω・cm、酸素濃度10×1017atoms/cm(旧ASTM))を切り出し、このウェーハを検査用サンプルとした。この検査用サンプルに対して、降温を行うことなく、参照用サンプルと同様に、熱処理、Cu汚染、Cu拡散熱処理、室温冷却、ケミカルエッチング処理、μ−PCD法によるCuの再結合ライフタイム測定を行った。
図2(S)に示すように、得られた再結合ライフタイムの値を図5に示す検量線γに照合して、検査用サンプルのLSTD密度(酸素析出物密度)を推定した。この検査用サンプルについて、確認のため、赤外散乱トモグラフィ(レイテックス社製MO−441)でLSTD密度を測定したところ、図5のたて軸の値と大きく異なる値を示した。
<比較例2>
図2(E)〜(G)に示した実施例1の第1温度までの昇温によるCu拡散熱処理、第2温度での維持、室温冷却を以下に記載するように変更した。即ち、参照用サンプルを700℃で5分間維持した後、電気炉から参照用サンプルを取り出し、放置することによって、室温まで50℃/分の速度で急冷した。それ以外は、図2(A)〜(D)に示すように、実施例1と同様にして、参照用サンプルを準備し、IRトモグラフィにより参照用サンプルの酸素析出物密度を測定し、参照用サンプルをCuで汚染した。
以下、実施例1と同様に、図2(H)〜(I)に示すように、上記参照用サンプルをケミカルエッチング処理、μ−PCD法によるCuの再結合ライフタイム測定を行った。図2(J)に示すように、参照用サンプルに関して、よこ軸に得られたCuの再結合ライフタイムを、たて軸に熱処理後に測定したLSTD密度(酸素析出物密度)をプロットし、50個以上の再結合ライフタイムの値と50個以上の酸素析出物密度の値から相関直線を作成し、これを検量線δとした。この検量線δを図6に示す。この検量線のRは0.3061であり、低い相関関係を示した。
図2(K)〜(R)に示すように、実施例1の検査用サンプルと同様に比較例1の検査用サンプルを準備した後、検査用サンプルの酸素析出物密度を測定することなく、実施例1の参照用サンプルと同様に検査用サンプルを処理して検査用サンプルのCuの再結合ライフタイムをμ−PCD法により測定した。具体的には、参照用サンプルを準備したシリコン単結晶とは別に、CZ法によりCOPや転移クラスタが存在しないPi領域及びPv領域を含むように引上げられた棒状のシリコン単結晶からシリコンウェーハ(厚さ1mm、直径300mm、抵抗値10Ω・cm、酸素濃度10×1017atoms/cm(旧ASTM))を切り出し、このウェーハを検査用サンプルとした。この検査用サンプルに対して、降温を行うことなく、参照用サンプルと同様に、熱処理、Cu汚染、Cu拡散熱処理、室温冷却、ケミカルエッチング処理、μ−PCD法によるCuの再結合ライフタイム測定を行った。
図2(S)に示すように、得られた再結合ライフタイムの値を図6に示す検量線δに照合して、検査用サンプルのLSTD密度(酸素析出物密度)を推定した。この検査用サンプルについて、確認のため、赤外散乱トモグラフィ(レイテックス社製MO−441)でLSTD密度を測定したところ、図6のたて軸の値と大きく異なる値を示した。
本発明の検査方法を用いれば、検査結果に基づいて、CZ法によるシリコン単結晶の引上げ条件を決定し、この決定された引上げ条件で単結晶内の酸素析出物密度を制御してシリコン単結晶を育成することができる。また検査結果に基づいて、検査用サンプルを準備したシリコン単結晶から切り出されたシリコンウェーハの品質を判定することができる。

Claims (10)

  1. (i) チョクラルスキー法により育成された棒状のシリコン単結晶から切り出されたウェーハをサンプルとして準備する工程と、
    (ii) サンプル内の酸素析出核を酸素析出物に成長させるために前記サンプルを熱処理する工程と、
    (iii) 前記熱処理したサンプル表面をCuで汚染する工程と、
    (iv) 前記Cuで汚染したサンプルをサンプル内にCuシリサイドが生成しない300℃を超える第1温度まで昇温して前記Cuをサンプル内に熱拡散させる工程と、
    (v) 前記Cuをサンプル内に熱拡散させたサンプルを前記第1温度と同じか異なる300℃を超える第2温度で維持して前記サンプル内の酸素起因の結晶欠陥にCuを析出させるとともに前記結晶欠陥に析出させた以外の余剰のCuをサンプル表面に拡散させる工程と、
    (vi) 前記第2温度で維持したサンプルを室温まで冷却する工程と、
    (vii) 前記室温まで冷却したサンプル表面を洗浄した後、ケミカルエッチング処理する工程と、
    (viii) 前記ケミカルエッチング処理したサンプルの前記Cuの再結合ライフタイムを測定する工程と
    を含むシリコンウェーハの検査方法。
  2. 前記(v)工程及び前記(vi)工程が、前記サンプルを前記第2温度で30分以上維持し、その後前記第2温度から室温まで放冷する請求項1記載のシリコンウェーハの検査方法。
  3. 前記(ii)工程の熱処理が、前記サンプル内の酸素析出物サイズが25nm以上となるように前記サンプルを熱処理する請求項1記載のシリコンウェーハの検査方法。
  4. 前記(vii)工程のケミカルエッチング処理が、フッ硝酸水溶液を用いて、JISZ8741に規定された入射角20度としたときのサンプル表面の光沢度を700以上に均一化するエッチングである請求項1記載のシリコンウェーハの検査方法。
  5. (A) チョクラルスキー法により育成された棒状のシリコン単結晶から切り出されたウェーハから複数の参照用サンプルを準備する工程と、
    (B) サンプル内の酸素析出核を酸素析出物に成長させるために前記複数の参照用サンプルを熱処理する工程と、
    (C) 前記熱処理した複数の参照用サンプルについて赤外散乱トモグラフィにより酸素析出物密度を測定する工程と、
    (D) 前記熱処理した複数の参照用サンプル表面をCuで汚染する工程と、
    (E) 前記Cuで汚染した複数の参照用サンプルをサンプル内にCuシリサイドが生成しない300℃を超える第1温度まで昇温して前記Cuをサンプル内に熱拡散させる工程と、
    (F) 前記Cuをサンプル内に熱拡散させた複数の参照用サンプルを前記第1温度と同じか異なる300℃を超える第2温度で維持して前記サンプル内の酸素起因の結晶欠陥にCuを析出させるとともに前記結晶欠陥に析出させた以外の余剰のCuをサンプル表面に拡散させる工程と、
    (G) 前記第2温度で維持した参照用サンプルを室温まで冷却する工程と、
    (H) 前記室温まで冷却した複数の参照用サンプル表面を洗浄した後、ケミカルエッチング処理する工程と、
    (I) 前記ケミカルエッチング処理した複数の参照用サンプルの前記Cuの再結合ライフタイムを測定する工程と、
    (J) 前記(I)工程の測定結果と前記(C)工程の測定結果から、再結合ライフタイムと酸素析出物密度との相関直線からなる検量線を作成する工程と、
    (K) チョクラルスキー法により育成された棒状のシリコン単結晶から切り出されたウェーハから検査用サンプルを準備する工程と、
    (L) 前記検査用サンプルを前記(B)工程と同じ条件で熱処理する工程と、
    (M) 前記熱処理した検査用サンプル表面を前記(D)工程と同じ条件でCuで汚染する工程と、
    (N) 前記Cuで汚染した検査用サンプルを前記(E)工程と同じ条件で前記Cuをサンプル内に熱拡散させる工程と、
    (O) 前記Cuをサンプル内に熱拡散させた複数の検査用サンプルを前記(F)工程と同じ第2温度で維持して前記サンプル内の酸素起因の結晶欠陥にCuを析出させるとともに前記結晶欠陥に析出させた以外の余剰のCuをサンプル表面に拡散させる工程と、
    (P) 前記第2温度で維持した検査用サンプルを室温まで冷却する工程と、
    (Q) 前記室温まで冷却した検査用サンプル表面を洗浄した後、ケミカルエッチング処理する工程と、
    (R) 前記ケミカルエッチング処理した検査用サンプルの前記Cuの再結合ライフタイムを測定する工程と、
    (S) 前記(R)工程の測定結果を前記(J)工程で作成した検量線に照合することにより、前記検査用サンプルの酸素析出物密度を推定する工程と
    を含むシリコンウェーハの検査方法。
  6. 前記(F)工程及び前記(G)工程、又は前記(O)工程及び前記(P)工程が、前記サンプルを前記第2温度で30分以上維持し、その後前記第2温度から室温まで放冷する請求項記載のシリコンウェーハの検査方法。
  7. 前記(B)工程又は前記(L)工程の熱処理が、前記参照用又は前記検査用サンプル内の酸素析出物サイズが25nm以上となるように前記サンプルを熱処理する請求項記載のシリコンウェーハの検査方法。
  8. 前記(H)工程又は前記(Q)工程のケミカルエッチング処理が、フッ硝酸水溶液を用いて、JISZ8741に規定された入射角20度としたときのサンプル表面の光沢度を700以上に均一化するエッチングである請求項記載のシリコンウェーハの検査方法。
  9. 請求項ないしのいずれか1項の記載された方法で前記検査用サンプルの酸素析出物密度を推定した結果に基づいて、チョクラルスキー法によるシリコン単結晶の引上げ条件を決定し、前記決定された引上げ条件で単結晶内の酸素析出物密度を制御してシリコン単結晶を育成する方法。
  10. 請求項ないしのいずれか1項の記載された方法で前記検査用サンプルの酸素析出物密度を推定した結果に基づいて、前記検査用サンプルを準備したシリコン単結晶から切り出されたシリコンウェーハの品質を判定する方法。
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