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JP6457589B2 - 異常診断装置および異常診断方法 - Google Patents

異常診断装置および異常診断方法 Download PDF

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Description

本発明は、複数のモータ駆動装置によって駆動される1つのモータの駆動異常を診断する異常診断装置および異常診断方法に関する。
下記に示す特許文献1には、モータを制御するモータ駆動装置に関わる異常を検出する印字装置が開示されている。簡単に説明すると、印字装置は、複数のモータ相(A相、*A相、B相、*B相)の各々に接続され、モータ相に出力されるパルスに関わる異常発生の検出を行う第1検出回路と、複数のモータ相での過電流発生の検出を行う第2検出回路とを有する複数の相検出回路と、複数の相検出回路からの検出結果を基にモータ駆動装置に関わる異常を示す論理出力を行う論理出力手段と、を備える。
特開2005−102409号公報
しかしながら、上記した特許文献1では、1つのモータ駆動装置で1つのモータを駆動する際のモータ駆動装置に関する異常を検出するものであるため、複数のモータ駆動装置で1つのモータを駆動する際のモータの駆動異常を検出する場合は考慮されていない。
そこで、本発明は、複数のモータ駆動装置によって駆動される1つのモータの駆動異常を診断することができる異常診断装置および異常診断方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、複数のモータ駆動装置によって駆動される1つのモータの駆動異常を診断する異常診断装置であって、前記複数のモータ駆動装置は、数値制御装置から指令される位置指令または速度指令に基づいて複数の電圧指令値を算出し、算出した前記複数の電圧指令値に基づいて、前記モータが有する複数の多相巻線に交流電流を供給することで、前記モータを駆動し、各前記多相巻線における消費電力を算出する消費電力算出部と、前記多相巻線間の消費電力の差、または、前記複数の多相巻線の平均消費電力と前記多相巻線における消費電力との差を算出する電力差算出部と、所定時間継続して、前記差の絶対値が閾値を超えている場合は、異常であると判定する判定部と、を備える。
本発明の第2の態様は、複数のモータ駆動装置によって駆動される1つのモータの駆動異常を診断する異常診断方法であって、前記複数のモータ駆動装置は、数値制御装置から指令される位置指令または速度指令に基づいて複数の電圧指令値を算出し、算出した前記複数の電圧指令値に基づいて、前記モータが有する複数の多相巻線に交流電流を供給することで、前記モータを駆動し、各前記多相巻線における消費電力を算出する消費電力算出ステップと、前記多相巻線間の消費電力の差、または、前記複数の多相巻線の平均消費電力と前記多相巻線における消費電力との差を算出する電力差算出ステップと、所定時間継続して、前記差の絶対値が閾値を超えている場合は、異常であると判定する判定ステップと、を含む。
本発明によれば、簡単な構成で、複数のモータ駆動装置によって駆動される1つのモータの駆動異常を診断することができる。
実施の形態の異常診断システムの概略構成図である。 図1に示すモータ駆動装置の構成を示す図である。 図1に示す異常診断装置の構成を示す図である。 図1に示す異常診断装置の動作を示すフローチャートである。
本発明に係る異常診断装置および異常診断方法について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
図1は、異常診断システム10の概略構成図である。異常診断システム10は、数値制御装置12、複数のモータ駆動装置14、モータ16、回転速度検出部18、電流検出部20、および、異常診断装置22を備える。
なお、本実施の形態では、説明を簡単にするため、モータ駆動装置14の数を2つとし、2つのモータ駆動装置14を用いて、1つのモータ16の回転を制御するものとする。また、2つのモータ駆動装置14を互いに区別するために、一方のモータ駆動装置14を14aで表し、他方のモータ駆動装置14を14bで表す場合がある。
モータ16は、同期モータである。モータ16は、2つのモータ駆動装置14(14a、14b)に対応して、多相巻線17を2つ有する。この多相巻線17は、二相の巻線、三相の巻線であってもよく、四相以上の巻線であってもよい。本実施の形態では、多相巻線17は、U相、V相、W相の三相の巻線とする。モータ駆動装置14aに対応した多相巻線17を第1の多相巻線17aと呼び、モータ駆動装置14bに対応した多相巻線17を第2の多相巻線17bと呼ぶ場合がある。この第1の多相巻線17aおよび第2の多相巻線17bは、モータ16のステータに設けられている。
このように、モータ16に複数の多相巻線17を設けることで、モータ16の出力(回転力)を大きくすることができる。2つのモータ駆動装置14(14a、14b)と2つの多相巻線17(17a、17b)とは、多相の導線L(L1、L2)によって接続されている。なお、本実施の形態では、モータ16を同期モータとしたが、同期モータ以外のモータ(例えば、誘導モータ)であってもよい。
数値制御装置12は、モータ16を制御するために、2つのモータ駆動装置14(14a、14b)に速度指令または位置指令を出力する。本実施の形態では、数値制御装置12は、2つのモータ駆動装置14(14a、14b)に速度指令を出力するものとする。以下、速度指令をVecで表す。この2つのモータ駆動装置14(14a、14b)に出力される速度指令Vecは、同一の速度指令である。
2つのモータ駆動装置14(14a、14b)は、速度指令Vecに基づいて、モータ16の2つの多相巻線17(17a、17b)に電圧を印加することで、2つの多相巻線17に多相の交流電流を供給する。これにより、モータ16が回転(駆動)する。モータ駆動装置14aは、導線L1を介してモータ16の第1の多相巻線17aに多相の交流電流を供給し、モータ駆動装置14bは、導線L2を介してモータ16の第2の多相巻線17bに多相の交流電流を供給する。
モータ駆動装置14の構成については、後で詳しく説明するが、モータ駆動装置14(14a、14b)は、速度指令Vecに基づいて電圧指令値Vc(Vc1、Vc2)を生成(算出)し、生成した電圧指令値Vcに基づいて、多相巻線17(17a、17b)に交流電流を供給する。
回転速度検出部18は、モータ16の回転速度値(回転軸の回転速度値)Vedを検出するセンサである。回転速度検出部18は、エンコーダ等によって構成されている。回転速度検出部18が検出した回転速度値Vedは、2つのモータ駆動装置14(14a、14b)に送られる。
電流検出部20は、各導線L(L1、L2)に設けられ、2つのモータ駆動装置14(14a、14b)の各々からモータ16に供給される多相の電流値(交流電流値)Idを検出する。第1の多相巻線17aに流れる多相の電流値Id(Id1)を検出する電流検出部20を20aで表し、第2の多相巻線17bに流れる多相の電流値Id(Id2)を検出する電流検出部20を20bで表す場合がある。電流検出部20aが検出した電流値Id1は、モータ駆動装置14aと異常診断装置22とに送られ、電流検出部20bが検出した電流値Id2は、モータ駆動装置14bと異常診断装置22とに送られる。
2つのモータ駆動装置14(14a、14b)は、回転速度検出部18が検出した回転速度値Ved、および、電流検出部20(20a、20b)が検出した電流値Id(Id1、Id2)を用いて、モータ16をフィーバック制御する。
異常診断装置22は、モータ16の駆動が正常であるか異常であるかを診断する。モータ16の駆動が異常の場合としては、例えば、多相巻線17が短絡(ショート)している状態でモータ16が駆動している場合、多相巻線17が断線した状態でモータ16が駆動している場合、モータ駆動装置14の回路自体に故障がある場合等がある。
異常診断装置22は、各多相巻線17における消費電力Pcに基づいてモータ16の駆動が正常であるか否かを診断する。異常診断装置22は、速度指令Vecに基づいて2つのモータ駆動装置14(14a、14b)が生成した2つの電圧指令値Vc(Vc1、Vc2)と、2つの電流検出部20(20a、20b)が検出した2つの電流値Id(Id1、Id2)とに基づいて、各多相巻線17における消費電力Pcを算出する。異常診断装置22については、後で詳しく説明する。なお、第1の多相巻線17aにおける消費電力PcをPc1で表し、第2の多相巻線17bにおける消費電力PcをPc2で表す場合がある。
図2は、モータ駆動装置14aの構成を示す図である。なお、モータ駆動装置14bは、モータ駆動装置14aと同一の構成を有するので、代表してモータ駆動装置14aについて説明する。モータ駆動装置14aは、トルク指令生成部30、電流指令生成部32、電圧指令生成部34、および、電力供給部36を備える。
トルク指令生成部30は、数値制御装置12から指令された速度指令Vecに基づいてトルク指令値Tcを生成(算出)する。トルク指令生成部30は、回転速度検出部18が検出したフィードバック値である回転速度値Vedを用いて、トルク指令値Tcを生成する。具体的には、トルク指令生成部30は、速度指令Vecと回転速度値Vedとの差に基づいて、トルク指令値Tcを算出する。トルク指令生成部30は、生成(算出)したトルク指令値Tcを電流指令生成部32に出力する。
電流指令生成部32は、トルク指令生成部30から送られてきたトルク指令値Tcに基づいて、電流指令値Icを生成(算出)する。電流指令生成部32は、生成(算出)した電流指令値Icを電圧指令生成部34に出力する。
電圧指令生成部34は、電流指令生成部32から送られてきた電流指令値Icに基づいて、電圧指令値Vc1を生成(算出)する。電圧指令生成部34は、電流検出部20aが検出したフィードバック値である多相の電流値(U相、V相、W相の各相の電流値)Id1を用いて、電圧指令値Vc1を生成する。
具体的には、電圧指令生成部34は、電流検出部20aが検出した電流値Id1が、電流指令値Icに応じた多相の交流電流となるように、電圧指令値Vc1を生成する。通常、モータ駆動装置14(14a、14b)の回路自体に故障が無く、多相巻線17(17a、17b)がショートしたり断線したりしていない場合は、モータ駆動装置14aで生成される電圧指令値Vc1と、モータ駆動装置14bで生成される電圧指令値Vc2とは同じとなる。電圧指令生成部34は、生成(算出)した電圧指令値Vc1を電力供給部36に出力するとともに、異常診断装置22にも出力する。
電力供給部36は、モータ16を駆動するためのドライバであり、例えば、電源から供給された電流を多相の交流電流に変換するインバータ回路等を含む。電力供給部36は、電圧指令値Vc1に基づいてモータ16の第1の多相巻線17aに電圧を印加することで、第1の多相巻線17aに多相の交流電流を供給する。これにより、モータ16は駆動する。
なお、モータ駆動装置14bの場合は、電圧指令生成部34は、電流検出部20bが検出したフィードバック値である多相の電流値(U相、V相、W相の各相の電流値)Id2を用いて、電圧指令値Vc2を生成する。また、電力供給部36は、電圧指令値Vc2に基づいて、モータ16の第2の多相巻線17bに多相の交流電流を供給する。
図3は、異常診断装置22の構成を示す図である。異常診断装置22は、CPU等のプロセッサと記憶媒体とを有するコンピュータによって構成される。異常診断装置22は、電圧取得部40、電流取得部42、消費電力算出部44、電力差算出部46、判定部48、報知部50、および、駆動停止部52を備える。
電圧取得部40は、モータ駆動装置14aが生成した電圧指令値Vc1と、モータ駆動装置14bが生成した電圧指令値Vc2とを取得する。電圧取得部40は、取得した2つの電圧指令値Vc(Vc1、Vc2)を消費電力算出部44に出力する。
電流取得部42は、電流検出部20aが検出した第1の多相巻線17aを流れる電流値Id1と、電流検出部20bが検出した第2の多相巻線17bを流れる電流値Id2とを取得する。電流取得部42は、取得した2つの電流値Id(Id1、Id2)を消費電力算出部44に出力する。
消費電力算出部44は、各多相巻線17(17a、17b)における消費電力Pc(Pc1、Pc2)を算出する。消費電力算出部44は、取得した2つの電圧指令値Vc(Vc1、Vc2)と、2つの電流値Id(Id1、Id2)とに基づいて、各多相巻線17(17a、17b)における消費電力Pc(Pc1、Pc2)を算出する。
具体的には、消費電力算出部44は、電圧指令値Vc1と電流値Id1とに基づいて第1の多相巻線17aにおける消費電力Pc1を算出し、電圧指令値Vc2と電流値Id2とに基づいて第2の多相巻線17bにおける消費電力Pc2を算出する。これにより、簡単に消費電力を算出することができる。消費電力算出部44は、算出した各多相巻線17(17a、17b)における消費電力Pc(Pc1、Pc2)を電力差算出部46に出力する。
電力差算出部46は、多相巻線17(17a、17b)間の消費電力Pc(Pc1、Pc2)の差ΔPd、つまり、第1の多相巻線17aにおける消費電力Pc1と第2の多相巻線17bにおける消費電力Pc2との差ΔPdを算出する。電力差算出部46は、ΔPd=Pc1−Pc2、の関係式を用いて差ΔPdを求めることができる。
判定部48は、時刻を計時するクロック回路を含む。このクロック回路が所定の周期でカウント値Cをインクリメントすることで、時刻を計時することができる。判定部48は、所定時間継続して、電力差算出部46が算出した差ΔPdの絶対値が閾値TH1を超えている(|ΔPd|=|Pc1−Pc2|>TH1)場合は、異常であると判定する。
差ΔPdの絶対値が閾値TH1を超えているか否かを判断する理由としては、例えば、第1の多相巻線17aの配線が正常であり、第2の多相巻線17bがショートまたは断線している状態においては、第1の多相巻線17aの消費電力Pc1と第2の多相巻線17bの消費電力Pc2との差ΔPdの絶対値は、閾値TH1を超えるからである。また、差ΔPdの絶対値が閾値TH1を超えている状態で、所定時間が経過したかを判断する理由としては、異常の誤判定を防止するためである。
報知部50および駆動停止部52は、判定部48によってモータ16の駆動が異常であると判定されると、アラーム処理を行う。
報知部50は、モータ16の駆動が異常であると判定されると、アラーム処理としてアラームをオペレータに報知する。これにより、モータ16の駆動異常をオペレータは認識することができる。報知部50は、図示しない表示部を備え、表示部にアラームを表示することで報知してもよい。また、報知部50は、図示しないスピーカまたは発光部を備え、音によってアラームを報知してもよいし、光によってアラームを報知してもよい。
また、報知部50は、数値制御装置12の表示部にアラームを表示させてもよい。また、報知部50は、外部に設けられたスピーカを用いてアラームを報知してもよいし、外部に設けられた発光部を発光させることでアラームを報知してもよい。
駆動停止部52は、モータ16の駆動が異常であると判定されると、アラーム処理として、2つのモータ駆動装置14(14a、14b)によるモータ16の駆動を停止させる。これにより、モータ16の駆動異常によってモータ16が壊れてしまうことを防止することができる。
駆動停止部52は、モータ16の駆動が異常であると判定されると、緊急停止信号を2つのモータ駆動装置14(14a、14b)に出力することで、モータ16の駆動を停止させる。2つのモータ駆動装置14(14a、14b)は、緊急停止信号が送られてくると、モータ16への電力供給を停止させる。例えば、電圧指令生成部34が、電圧指令値Vc(Vc1、Vc2)の電力供給部36への出力を禁止することで、モータ16への電力供給を停止させてよい。
なお、本実施の形態では、モータ16の駆動が異常であると判定されると、アラームの報知およびモータ16の駆動停止の両方を行うようにしたが、いずれか一方のみをアラーム処理として行ってもよい。
次に、異常診断装置22の動作を図4に示すフローチャートにしたがって説明する。図4に示す動作は、所定の周期で実行される。また、回転速度検出部18および電流検出部20(20a、20b)は、前記所定の周期以下の周期で回転速度値Vedおよび電流値Id(Id1、Id2)を検出するものとする。そして、電圧指令生成部34は、前記所定の周期以下の周期で電圧指令値Vc(Vc1、Vc2)を生成し、消費電力算出部44は、前記所定の周期以下の周期で消費電力Pc1、Pc2を算出し、電力差算出部46は、前記所定の周期以下の周期で差ΔPdを算出するものとする。
ステップS1で、判定部48は、電力差算出部46が算出した第1の多相巻線17aにおける消費電力Pc1と第2の多相巻線17bにおける消費電力Pc2との差ΔPdの絶対値が閾値TH1を超えているか否かを判断する(|Pc1−Pc2|>TH1?)。
ステップS1で、差ΔPdの絶対値が閾値TH1を超えていないと判断されると、つまり、差ΔPdの絶対値が閾値TH1以下であると判断されると、ステップS2に進む。一方、ステップS1で、差ΔPdの絶対値が閾値TH1を超えていると判断されると、ステップS3に進む。
ステップS2に進むと、判定部48は、カウント値Cをリセットし(C=0、にし)、本動作が終了する。
ステップS3に進むと、判定部48は、カウント値Cをインクリメントする(C=C+1)。
次いで、ステップS4で、判定部48は、現在のカウント値Cが所定値C1より大きいか否かを判断する。所定値C1は、所定時間に対応する値である。したがって、ステップS4では、「ステップS1でYES」の状態で、所定時間が経過したか否かを判断している。
ステップS4で、現在のカウント値Cが所定値C1以下で判断されると、本動作が終了する。一方、ステップS4で、現在のカウント値Cが所定値C1より大きいと判断されると、判定部48は、モータ16の駆動が異常と判定し、ステップS5に進む。
ステップS5に進むと、アラーム処理を行う。具体的には、報知部50がオペレータにアラームを報知するとともに、駆動停止部52が2つのモータ駆動装置14(14a、14b)によるモータ16の駆動を停止させ、本動作が終了する。
このように、異常診断装置22は、モータ16の複数の多相巻線17(17a、17b)間の消費電力Pc(Pc1、Pc2)の差ΔPdを用いて、モータ16の駆動が異常か否かを判定する。したがって、簡易な構成で、2つのモータ駆動装置14(14a、14b)によって駆動される1つのモータ16の駆動異常を診断することができる。
なお、上記実施の形態では、説明をわかり易くするために、2つの多相巻線17を有するモータ16を例に挙げて説明したが、モータ16は、3つ以上の多相巻線17を有してもよい。この場合は、算出される差ΔPdの数も複数となる。したがって、判定部48は、複数の差ΔPdのうち、少なくとも1つの差ΔPdの絶対値が所定時間継続して閾値TH1を超えている場合は、モータ16の駆動が異常であると判定する。
[変形例]
上記実施の形態は、以下のような変形も可能である。
<変形例1>
変形例1では、判定部48は、所定時間継続して、複数の多相巻線17の平均消費電力Paと多相巻線17における消費電力Pcとの差ΔPadの絶対値が閾値TH2を超えている場合は、モータ16の駆動が異常であると判定する。
本変形例1においても、説明をわかり易くするため、モータ駆動装置14の数、および、モータ16の多相巻線17の数を2つとし、上記実施の形態と同様の構成については同一の符号を付す。
変形例1では、電力差算出部46は、差ΔPdに代えて、2つの多相巻線17(17a、17b)の平均消費電力Paと多相巻線17における消費電力Pcとの差ΔPadを算出する。電力差算出部46は、平均消費電力Paと各多相巻線17(17a、17b)における消費電力Pc(Pc1、Pc2)との差ΔPad(ΔPad1、ΔPad2)を算出してもよい。
電力差算出部46は、Pa=(Pc1+Pc2)/2、の関係式を用いて平均消費電力Paを求めることができる。電力差算出部46は、ΔPad1=Pa−Pc1を用いて、平均消費電力Paと消費電力Pc1との差ΔPad1を求めることができる。また、電力差算出部46は、ΔPad2=Pa−Pc2を用いて、平均消費電力Paと消費電力Pc2との差ΔPad2を求めることができる。
判定部48は、所定時間継続して、差ΔPadの絶対値が閾値TH2を超えている場合に、モータ16の駆動が異常であると判定する。判定部48は、電力差算出部46により複数の差ΔPad(ΔPad1、ΔPad2)が算出された場合は、算出された複数の差ΔPadのうち、少なくとも1つの差ΔPadの絶対値が所定時間継続して閾値TH2を超えている場合は、モータ16の駆動が異常であると判定する。
変形例1の異常診断装置22の動作は、図4に示すフローチャートのステップS1以外は、上記実施の形態と同様である。変形例1においては、ステップS1で、差ΔPadの絶対値が閾値TH2を超えているか否かを判断することになる。
<変形例2>
上記実施の形態および変形例1では、数値制御装置12およびモータ駆動装置14とは別個に異常診断装置22を設けたが、異常診断装置22は、数値制御装置12であってもよい。つまり、数値制御装置12に異常診断装置22を設けてもよい。これにより、異常診断装置22を別途設ける必要がなく、コストが低廉となる。
また、異常診断装置22は、モータ駆動装置14であってもよい。つまり、モータ駆動装置14に異常診断装置22を設けてもよい。この場合は、複数のモータ駆動装置14の少なくとも1つに異常診断装置22を設けてもよく、複数のモータ駆動装置14の全てに異常診断装置22を設けてもよい。これにより、異常診断装置22を別途設ける必要がなく、コストが低廉となるとともに、異常診断を迅速に行うことができる。
<変形例3>
上記実施の形態および変形例1、2では、図4の「ステップS1でYES」の状態で、所定時間が経過した場合(ステップS4でYES)に、ステップS5に進むようにしたが、ステップS1でYESになった時点で、ステップS5に進んでもよい。
<変形例4>
上記実施の形態および変形例1〜3では、数値制御装置12は、2つのモータ駆動装置14(14a、14b)に速度指令Vecを出力するようにしたが、いずれか1つのモータ駆動装置14にのみ速度指令Vecを出力してもよい。なお、変形例5の説明では、速度指令Vecが入力されたモータ駆動装置14を14aとし、速度指令Vecが入力されていないモータ駆動装置14を14bとする。
そして、モータ駆動装置14aは、速度指令Vecに基づいて生成したトルク指令値Tc、または、トルク指令値Tcに基づいて生成した電流指令値Icをモータ駆動装置14bに出力する。モータ駆動装置14bにトルク指令値Tcが入力される場合は、モータ駆動装置14bの電流指令生成部32は、入力されたトルク指令値Tcに基づいて電流指令値Icを生成する。また、モータ駆動装置14bに電流指令値Icが入力される場合は、モータ駆動装置14bの電圧指令生成部34は、入力された電流指令値Icとフィードバック値である電流値Id2とに基づいて、電圧指令値Vc2を生成する。
<変形例5>
上記実施の形態および変形例1〜5では、消費電力算出部44は、電圧指令値Vcと電流検出部20が検出した電流値Idとに基づいて多相巻線17における消費電力Pcを算出したが、電圧指令値Vcと電流指令値Icとに基づいて、多相巻線17における消費電力Pcを算出してもよい。また、多相巻線17に印加される電圧を検出する電圧検出部を設け、電圧検出部が検出した電圧値と電流検出部20が検出した電流値Idとに基づいて消費電力Pcを算出してもよい。
〔実施の形態から得られる技術的思想〕
上記実施の形態および変形例1〜5から把握しうる技術的思想について、以下に記載する。
<第1の技術的思想>
異常診断装置(22)は、複数のモータ駆動装置(14)によって駆動される1つのモータ(16)の駆動異常を診断する。複数のモータ駆動装置(14)は、数値制御装置(12)から指令される位置指令または速度指令に基づいて複数の電圧指令値(Vc)を算出し、算出した複数の電圧指令値(Vc)に基づいて、モータ(16)が有する複数の多相巻線(17)に交流電流を供給することで、モータ(16)を駆動する。異常診断装置(22)は、各多相巻線(17)における消費電力(Pc)を算出する消費電力算出部(44)と、多相巻線(17)間の消費電力(Pc)の差(ΔPd)、または、複数の多相巻線(17)の平均消費電力(Pa)と多相巻線(17)における消費電力(Pc)との差(ΔPad)を算出する電力差算出部(46)と、所定時間継続して、差(ΔPd、または、ΔPad)の絶対値が閾値(TH1、または、TH2)を超えている場合は、異常であると判定する判定部(48)と、を備える。
これにより、簡易な構成で、複数のモータ駆動装置(14)によって駆動される1つのモータ(16)の駆動異常を診断することができる。
電力差算出部(46)は、3つ以上の多相巻線(17)間の消費電力(Pc)の差(ΔPd)、または、複数の多相巻線(17)の平均消費電力(Pa)と各多相巻線(17)における消費電力(Pc)との差(ΔPad)を算出してもよい。判定部(48)は、算出された複数の差(ΔPd、または、ΔPad)のうち、少なくとも1つの差(ΔPd、または、ΔPad)の絶対値が所定時間継続して閾値(TH1、または、TH2)を超えている場合は、異常であると判定してもよい。これにより、複数のモータ駆動装置(14)によって駆動される1つのモータ(16)の駆動異常を診断することができる。
異常診断装置(22)は、複数のモータ駆動装置(14)が算出した複数の電圧指令値(Vc)を取得する電圧取得部(40)と、各多相巻線(17)を流れる電流値(Id)を取得する電流取得部(42)と、を備えてもよい。消費電力算出部(44)は、複数のモータ駆動装置(14)が算出した複数の電圧指令値(Vc)と、各多相巻線(17)を流れる電流値(Id)とに基づいて、各多相巻線(17)における消費電力(Pc)を算出してもよい。これにより、簡単に消費電力を算出することができる。
異常診断装置(22)は、判定部(48)によって異常と判定されると、アラームを報知する報知部(50)を備えてもよい。これにより、モータ(16)の駆動異常をオペレータは認識することができる。
異常診断装置(22)は、判定部(48)によって異常と判定されると、複数のモータ駆動装置(14)によるモータ(16)の駆動を停止させる駆動停止部(52)を備えてもよい。これにより、モータ(16)の駆動異常によってモータ(16)が壊れてしまうことを防止することができる。
異常診断装置(22)は、モータ駆動装置(14)に設けられていてもよい。これにより、異常診断装置(22)を別途設ける必要がなく、コストが低廉になるとともに、迅速に異常診断を行うことができる。
<第2の技術的思想>
異常診断方法は、複数のモータ駆動装置(14)によって駆動される1つのモータ(16)の駆動異常を診断する。複数のモータ駆動装置(14)は、数値制御装置(12)から指令される位置指令または速度指令に基づいて複数の電圧指令値(Vc)を算出し、算出した複数の電圧指令値(Vc)に基づいて、モータ(16)が有する複数の多相巻線(17)に交流電流を供給することで、モータ(16)を駆動する。異常診断方法は、各多相巻線(17)における消費電力(Pc)を算出する消費電力算出ステップと、多相巻線(17)間の消費電力(Pc)の差(ΔPd)、または、複数の多相巻線(17)の平均消費電力(Pa)と多相巻線(17)における消費電力(Pc)との差(ΔPad)を算出する電力差算出ステップと、所定時間継続して、差(ΔPd、または、ΔPad)の絶対値が閾値(TH1、または、TH2)を超えている場合は、異常であると判定する判定ステップと、を含む。
これにより、簡易な構成で、複数のモータ駆動装置(14)によって駆動される1つのモータ(16)の駆動異常を診断することができる。
電力差算出ステップは、3つ以上の多相巻線(17)間の消費電力(Pc)の差(ΔPd)、または、複数の多相巻線(17)の平均消費電力(Pa)と各多相巻線(17)における消費電力(Pc)との差(ΔPad)を算出してもよい。判定ステップは、算出された複数の差(ΔPd、または、ΔPad)のうち、少なくとも1つの差(ΔPd、または、ΔPad)の絶対値が所定時間継続して閾値(TH1、または、TH2)を超えている場合は、異常であると判定してもよい。これにより、複数のモータ駆動装置(14)によって駆動される1つのモータ(16)の駆動異常を診断することができる。
異常診断方法は、複数のモータ駆動装置(14)が算出した複数の電圧指令値(Vc)を取得する電圧取得ステップと、各多相巻線(17)を流れる電流値(Id)を取得する電流取得ステップと、を含んでもよい。消費電力算出ステップは、複数のモータ駆動装置(14)が算出した複数の電圧指令値(Vc)と、各多相巻線(17)を流れる電流値(Id)とに基づいて、各多相巻線(17)における消費電力(Pc)を算出してもよい。これにより、簡単に消費電力を算出することができる。
異常診断方法は、判定ステップによって異常と判定されると、アラームを報知する報知ステップを含んでもよい。これにより、モータ(16)の駆動異常をオペレータは認識することができる。
異常診断方法は、判定ステップによって異常と判定されると、複数のモータ駆動装置(14)によるモータ(16)の駆動を停止させる駆動停止ステップを含んでもよい。これにより、モータ(16)の駆動異常によってモータ(16)が壊れてしまうことを防止することができる。
10…異常診断システム 12…数値制御装置
14(14a、14b)…モータ駆動装置 16…モータ
17(17a、17b)…多相巻線 18…回転速度検出部
20(20a、20b)…電流検出部 22…異常診断装置
30…トルク指令生成部 32…電流指令生成部
34…電圧指令生成部 36…電力供給部
40…電圧取得部 42…電流取得部
44…消費電力算出部 46…電力差算出部
48…判定部 50…報知部
52…駆動停止部 Id(Id1、Id2)…電流値
L(L1、L2)…導線 Pa…平均消費電力
Pc…消費電力 TH1、TH2…閾値
Vc(Vc1、Vc2)…電圧指令値 Vec…速度指令
Ved…回転速度値 ΔPd、ΔPad…差

Claims (11)

  1. 複数のモータ駆動装置によって駆動される1つのモータの駆動異常を診断する異常診断装置であって、
    前記複数のモータ駆動装置は、数値制御装置から指令される位置指令または速度指令に基づいて複数の電圧指令値を算出し、算出した前記複数の電圧指令値に基づいて、前記モータが有する複数の多相巻線に交流電流を供給することで、前記モータを駆動し、
    各前記多相巻線における消費電力を算出する消費電力算出部と、
    前記多相巻線間の消費電力の差、または、前記複数の多相巻線の平均消費電力と前記多相巻線における消費電力との差を算出する電力差算出部と、
    所定時間継続して、前記差の絶対値が閾値を超えている場合は、異常であると判定する判定部と、
    を備える、異常診断装置。
  2. 請求項1に記載の異常診断装置であって、
    前記電力差算出部は、3つ以上の前記多相巻線間の消費電力の差、または、前記複数の多相巻線の平均消費電力と各前記多相巻線における消費電力との差を算出し、
    前記判定部は、算出された複数の前記差のうち、少なくとも1つの前記差の絶対値が前記所定時間継続して前記閾値を超えている場合は、異常であると判定する、異常診断装置。
  3. 請求項1または2に記載の異常診断装置であって、
    前記複数のモータ駆動装置が算出した前記複数の電圧指令値を取得する電圧取得部と、
    各前記多相巻線を流れる電流値を取得する電流取得部と、
    を備え、
    前記消費電力算出部は、前記複数のモータ駆動装置が算出した前記複数の電圧指令値と、各前記多相巻線を流れる前記電流値とに基づいて、各前記多相巻線における消費電力を算出する、異常診断装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の異常診断装置であって、
    前記判定部によって異常と判定されると、アラームを報知する報知部を備える、異常診断装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の異常診断装置であって、
    前記判定部によって異常と判定されると、前記複数のモータ駆動装置による前記モータの駆動を停止させる駆動停止部を備える、異常診断装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の異常診断装置であって、
    前記異常診断装置は、前記モータ駆動装置に設けられている、異常診断装置。
  7. 複数のモータ駆動装置によって駆動される1つのモータの駆動異常を診断する異常診断方法であって、
    前記複数のモータ駆動装置は、数値制御装置から指令される位置指令または速度指令に基づいて複数の電圧指令値を算出し、算出した前記複数の電圧指令値に基づいて、前記モータが有する複数の多相巻線に交流電流を供給することで、前記モータを駆動し、
    各前記多相巻線における消費電力を算出する消費電力算出ステップと、
    前記多相巻線間の消費電力の差、または、前記複数の多相巻線の平均消費電力と前記多相巻線における消費電力との差を算出する電力差算出ステップと、
    所定時間継続して、前記差の絶対値が閾値を超えている場合は、異常であると判定する判定ステップと、
    を含む、異常診断方法。
  8. 請求項7に記載の異常診断方法であって、
    前記電力差算出ステップは、3つ以上の前記多相巻線間の消費電力の差、または、前記複数の多相巻線の平均消費電力と各前記多相巻線における消費電力との差を算出し、
    前記判定ステップは、算出された複数の前記差のうち、少なくとも1つの前記差の絶対値が前記所定時間継続して前記閾値を超えている場合は、異常であると判定する、異常診断方法。
  9. 請求項7または8に記載の異常診断方法であって、
    前記複数のモータ駆動装置が算出した前記複数の電圧指令値を取得する電圧取得ステップと、
    各前記多相巻線を流れる電流値を取得する電流取得ステップと、
    を含み、
    前記消費電力算出ステップは、前記複数のモータ駆動装置が算出した前記複数の電圧指令値と、各前記多相巻線を流れる前記電流値とに基づいて、各前記多相巻線における消費電力を算出する、異常診断方法。
  10. 請求項7〜9のいずれか1項に記載の異常診断方法であって、
    前記判定ステップによって異常と判定されると、アラームを報知する報知ステップを含む、異常診断方法。
  11. 請求項7〜10のいずれか1項に記載の異常診断方法であって、
    前記判定ステップによって異常と判定されると、前記複数のモータ駆動装置による前記モータの駆動を停止させる駆動停止ステップを含む、異常診断方法。
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