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JP6447652B2 - リチウム二次電池用集電体及びリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池用集電体及びリチウム二次電池 Download PDF

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JP6447652B2 JP2017062813A JP2017062813A JP6447652B2 JP 6447652 B2 JP6447652 B2 JP 6447652B2 JP 2017062813 A JP2017062813 A JP 2017062813A JP 2017062813 A JP2017062813 A JP 2017062813A JP 6447652 B2 JP6447652 B2 JP 6447652B2
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Description

本発明は、リチウム二次電池用集電体及びリチウム二次電池に関する。
リチウム二次電池は、高容量化を実現することができ、携帯電話やノートパソコン等のモバイルバッテリーから自動車用バッテリーや大型の電力貯蔵用バッテリーまで広く利用されている。
リチウム二次電池は、電極を構成する材料内にリチウムイオンを挿入、脱離することで充放電を行うリチウムイオン二次電池とは異なり、リチウム金属が析出、溶解することで充放電を行う。リチウム金属は極めて卑な電位を有するため、リチウム二次電池は高い理論容量密度を実現できると期待されている。
リチウム二次電池は、充電時に金属リチウムが析出する。金属リチウムは、析出開始点を根として樹上に析出する(デンドライトを形成する)場合がある。樹上に析出した金属リチウムは、リチウム二次電池の放電時に溶解する。樹上に析出した金属リチウムの枝の部分から金属リチウムが順に溶解すれば問題はないが、根元の部分が先に溶解する場合がある。この場合、根元を失った金属リチウムは非水電解質中に浮遊し、導通が取れなくなる。非水電解質中に浮遊する金属リチウムは、導通が取れないため、以降の充放電には寄与することができない。その結果、リチウム二次電池のサイクル特性は低減する。
特許文献1には、集電体の表面に3μm以下の細孔を設けることで、集電体の比表面積を大きくすることで、実効電流密度が低減され、金属リチウムがデンドライトを形成することを抑制できることが記載されている。
特開平8−321310号公報
特許文献1は、デンドライトの形成を容認していない。そのため、デンドライトの形成を防ぐために集電体の比表面積はできる限り大きくすることが好ましいことが記載されている。比表面積が大きくなると、実効電流密度が低減され、細孔が形成されている部分と、その他の部分の電流密度の差が小さくなる。面内の電流密度の差を小さくなれば、デンドライトが形成される確率は下がる。
しかしながら、それでもデンドライトの形成を完全に防ぐことは難しい。リチウム二次電池の動作時には、温度、振動等の外因が加わる。これらの外因は局所的に電流密度が高くなる原因であり、局所的に電流密度が高まるとデンドライトが形成する。
集電体の表面の実効電流密度が平均化した状態で外因が加わると、電流密度が高まる確率はいずれの部分においても均一であり、デンドライトが形成する場所を制御できない。その結果、充放電過程においてデンドライトが形成され、樹上に成長した金属リチウムの根元が溶解する場合がある。つまり、特許文献1に記載の集電体を用いたリチウム二次電池では、サイクル特性が十分とは言えない場合があった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、サイクル特性に優れたリチウム二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、デンドライトが形成されることは容認し、デンドライトが形成しても根元から溶解し難くすることを検討した。そして、表面に形成する細孔の直径及び密度を所定の範囲にすることで、金属リチウムが細孔内に選択的に成長することを見出した。その結果、デンドライトの根元となる部分は細孔内に存在することとなり、デンドライトが形成したとしても、樹上に成長した金属リチウムの根元から溶解が始まることを防ぐことができることを見出した。
すなわち、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)第1の態様にかかるリチウム二次電池用集電体は、表面に複数の細孔が設けられた金属膜であって、前記金属膜の表面における前記細孔の密度は、2×10個/m以上8×1013個/m以下であり、前記細孔の平均直径は、0.02μm以上1μm以下である。
(2)上記態様にかかるリチウム二次電池用集電体において、前記細孔の平均深さは、0.05μm以上3.0μm以下であってもよい。
(3)上記態様にかかるリチウム二次電池用集電体において、前記細孔の平均容積は、1.5×10−4μm以上3.9×10−1μm以下であってもよい。
(4)上記態様にかかるリチウム二次電池用集電体において、前記金属膜が、銅、ニッケル、チタン、ステンレス、白金及びこれらの合金からなる群から選択されるいずれかである構成でもよい。
(5)上記態様にかかるリチウム二次電池用集電体において、前記細孔が内部にイオウ化合物を有してもよい。
(6)第2の態様にかかるリチウム二次電池は、上記態様にかかるリチウム二次電池用集電体を負極として用い、前記負極に対向する正極と、前記負極と前記正極の間のリチウムイオンの伝導を担う電解液と、を備える。
(7)上記態様にかかるリチウム二次電池用において、前記電解液が、前記集電体に含まれる金属のイオン又は錯体を有し、前記電解液が、1質量ppm以上1000質量ppm以下の前記金属を含んでもよい。
上記態様に係るリチウム二次電池用集電体によれば、サイクル特性に優れるリチウム二次電池を得ることができる。
本実施形態にかかるリチウム二次電池の断面模式図である。 本実施形態にかかる集電体の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した画像である。 本実施形態にかかるリチウム二次電池の負極近傍の充放電過程を模式的に示した図である。
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
「第1実施形態」
[リチウム二次電池]
図1は、第1実施形態にかかるリチウム二次電池の断面模式図である。図1に示すリチウム二次電池100は、発電部40と、外装体50と、リード60、62とを備える。外装体50は、発電部40を密閉した状態で収容する。一対のリード60、62の一端は、発電部40に接続され、他端は外装体50の外部まで延在している。また図示されていないが、発電部40とともに電解質が、外装体50内に収容されている。
(発電部)
発電部40は、正極20と負極30とが、セパレータ10を挟んで対向配置されている。図1では、外装体50内に発電部40が一つの場合を例示したが、複数積層されていてもよい。正極20は、板状(膜状)の正極集電体22上に正極活物質層24が設けられている。
<負極>
負極30は、集電体と充放電の過程によって金属リチウムとを有する。充電時には集電体の表面に金属リチウムが析出し、放電時には表面に析出した金属リチウムが溶出する。すなわち、充電時には集電体と金属リチウムとを含むものが負極30となり、放電時には集電体が負極30となる。また充放電に寄与するリチウム量が不足することに備えて、充放電前の初期状態から集電体の一面にリチウム箔を設けてもよい。
図2は、本実施形態にかかる集電体の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した画像である。図2に示すように、集電体31の表面には複数の細孔32が設けられている。
図3は、本実施形態にかかるリチウム二次電池の負極近傍の充放電過程を模式的に示した図である。図3(a)は初期状態を示す。初期状態からリチウム二次電池を充電すると、細孔32内に金属リチウム33が析出する。
図3(b)に示すように、金属リチウム33は、細孔32内に選択的に析出する。細孔32のエッジ部は電圧が集中しやすく、金属リチウムが析出しやすいためと考えられる。細孔32内に金属リチウム33が選択的に析出する描像としては、細孔32のエッジ部で生成した金属リチウム33がエッジ部から細孔32内部に落下し、そこで核成長することで細孔32内部が埋まる描像、細孔32の内面に金属リチウム33が生成し、核成長することで容積の小さい細孔32内部が先に埋まる描像等が考えられる。
そのまま充電を続けると図3(c)に示すように、金属リチウム33が樹状に成長する(デンドライトが形成される)。金属リチウム33が核生成するエネルギーは、金属リチウム33が核成長するエネルギーより大きい。そのため、デンドライトは、細孔32内に成長した金属リチウム33(図3(b))から成長する。
次いで、リチウム二次電池を放電すると、金属リチウム33は溶出する。図3(c)に示すように、金属リチウム33の根元は細孔32を形成する集電体31によって保護される。そのため、放電時に金属リチウム33の根元から溶出が進行することは抑制される。その結果、樹状に成長した金属リチウム33の枝の部分から順に溶出が進行する(図3(d))。
金属リチウム33が根元から溶出すると、根元を失った金属リチウム33は、電解液中に浮遊し、導通が取れなくなる。この金属リチウム33は、導通が取れないため、以降の充放電には寄与することができない。これに対し、金属リチウム33を細孔32内に成長させることで、金属リチウム33の根元が保護され、電解液中に浮遊する金属リチウム量が低減する。つまり、充放電過程で使用できるリチウム量が減少することが抑制され、リチウム二次電池のサイクル特性が向上する。
集電体31の表面における細孔32の密度は、2×10個/m以上8×1013個/m以下であり、7×10個/m以上8×1013個/m以下であることがより好ましい。
上述のように充電時に細孔32内に金属リチウム33が最初に成長することで、金属リチウム33の根元を保護することができる(図3(c)参照)。細孔32の密度が低いと、細孔32以外の部分でも金属リチウム33が析出することが考えられる。細孔32以外の部分に析出した金属リチウム33は根元が露出しているため、根元から溶出が進行し、十分なリチウム二次電池のサイクル特性が得られなくなる。
一方で、細孔32の密度が高いと、集電体31の表面にかかる実効電流密度が平均化される。集電体31の表面を主に構成するものが細孔32となり、平坦部と細孔32との間に形成されていた電流密度差が平均化される。金属リチウム33が細孔32内に選択的に析出するのは、平坦部と細孔32との間に電流密度差があるためである。電流密度が集電体31の表面で均一化されると、金属リチウム33が析出する場所が細孔32内に限られなくなる。その結果、放電時に根元からリチウムが溶出する金属リチウム33が生じ、十分なリチウム二次電池のサイクル特性が得られなくなる。
また集電体31の表面における細孔の平均直径は、0.02μm以上1μm以下であり、0.1μm以上0.8μm以下であることが好ましく、0.3μm以上0.7以下であることがより好ましい。
細孔32の平均直径は、SEMで撮影した画像から求める。まず集電体31の任意の表面の1万倍の画像をSEMで撮影する。そしてその撮影した画像内の細孔32の直径を10カ所測定する。細孔32は、真円ではないので外接円の直径とする。撮影箇所を変えて同様の作業を5回行い、それらの平均を求める。
細孔32の平均直径が1μmを超えると、リチウム二次電池のサイクル特性が低下する。その理由は明確ではないが、以下のような理由が考えられる。
細孔32から成長する金属リチウム33の根元の径が太くなり、樹状に析出する金属リチウム33の長さも長くなる。金属リチウム33の径が太くなることは、放電時に金属リチウム33が途中で切断され難くなり、リチウム二次電池のサイクル特性にとっては有利と考えられる。
しかしながら、金属リチウムは、樹状に析出する際に同じ直径を維持しているわけではなく、場所によって細くなったり太くなったりする。径が細くなった部分は、放電時に切断しやすい。金属リチウム33の長さが長くなると、樹状に析出する金属リチウム33の径が細くなる部分が生じる確率が高まる。そのため、細孔32の平均直径が大きすぎると、樹状に析出する金属リチウム33が溶出時に切断される確率が高まり、サイクル特性が低下すると考えられる。
またリチウム二次電池が充放電する際に負極30の体積は大きく変化する。負極30の体積変化は集電体31に応力を加える。細孔32の平均直径が大きすぎると、応力を受けて集電体31に亀裂や破断が生じる場合が考えられる。集電体31に亀裂や破断が生じると、電子の授受を速やかにできなくなり、電池特性が低下することも考えられる。
一方で、細孔32の平均直径が0.02μm未満の場合も充分なサイクル特性を得ることができない。細孔32の平均直径が小さすぎると細孔32がすぐ金属リチウム33で埋まってしまう。また充電過程をエッジ部で生成した金属リチウム33がエッジ部から細孔32内部に落下し、そこで核成長する描像と考えると、細孔32の平均直径が小さすぎて金属リチウム33がエッジ部から細孔32内部に落下しないことが考えられる。その結果、任意の場所から金属リチウム33が析出し、サイクル特性が低下することが考えられる。
細孔32の平均深さは、0.05μm以上3.0μm以下であることが好ましく、0.1μm以上2.0μm以下であることが好ましく、0.3μm以上1.0μm以下であることがより好ましい。
細孔32の平均深さは、断面SEMで撮影した画像から求める。まず集電体31を任意の箇所で切断し、断面の1万倍の画像をSEMで撮影する。そしてその撮影した画像内に存在する細孔32の深さを測定する。撮影箇所を変えて同様の作業を5回行い、それらの平均を求める。
細孔32の平均深さが浅すぎると、そこから析出する金属リチウム33の根元の保護が十分でなくなる。その結果、放電時に根元からリチウムが溶出する金属リチウム33が生じる確率が高まる。一方で、細孔32の平均深さが深すぎると、集電体31の強度が低下する。集電体31に亀裂や破断が生じると、電子の授受を速やかにできなくなり、電池特性が低下する。
細孔32の平均容積は、1.5×10−4μm以上3.9×10−1μm以下であることが好ましく、9.8×10−3μm以上9.8×10−2μm以下であることがより好ましい。
細孔32の平均容積は、細孔32の平均直径及び平均深さから求められる。細孔32の平均容積が小さいと、細孔32がすぐ金属リチウム33で埋まる。最大限充電した際に析出する金属リチウム33量が一定であるとすると、細孔32内に存在する金属リチウム33の量が少なくなると、相対的に樹状に析出する金属リチウム33の量が増える。樹状に析出した金属リチウム33の量が増えると、それだけ電解液中に浮遊する金属リチウム量が増加する確率が高まる。
集電体31は、電気伝導性に優れる金属膜である。上述のように集電体31の一面には、金属リチウム33が析出する。そのため、集電体31を構成する金属は、リチウムと合金を作りにくい材料であることが好ましい。具体的には、銅、ニッケル、チタン、ステンレス、白金及びこれらの合金からなる群から選択されるいずれかであることが好まく、銅であることが特に好ましい。
また集電体31の細孔32内部には、イオウ化合物を有していてもよい。「イオウ化合物を有する」とは、エネルギー分散型X線分析(EDS分析)においてイオウ元素(S)が検出されることを意味する。
細孔32内部にイオウ元素が存在すると、リチウム二次電池のサイクル特性が向上する。この理由は明確では無いが、例えばイオウ元素と集電体を構成する金属元素とが結合し、集電体を構成する金属元素が腐食することが抑制されていることが考えられる。
<正極>
正極20は、正極集電体22と、その一面に設けられた正極活物質層24とを有する(図1参照)。正極集電体22は、導電性を有する材料により構成されていればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
正極活物質層24に用いる正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンとリチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、PF )とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能な電極活物質を用いることができる。
例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、及び、一般式:LiNiCoMna2(x+y+z+a=1、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0≦a<1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV)、オリビン型LiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素又はVOを示す)、チタン酸リチウム(LiTi12)、LiNiCoAl(0.9<x+y+z<1.1)等の複合金属酸化物、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセンなどが挙げられる。
また正極活物質層24は、導電材を有していてもよい。導電材としては、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。正極活物質のみで十分な導電性を確保できる場合は、正極活物質層24は導電材を含んでいなくてもよい。
また正極活物質層24は、バインダーを含む。バインダーは、公知のものを用いることができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、が挙げられる。
また、上記の他に、バインダーとして、例えば、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴムを用いてもよい。
<セパレータ>
セパレータ10は、電気絶縁性の多孔質構造から形成されていればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの単層体、積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、或いはセルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。
(電解液)
電解液は、発電部40内に含浸される。電解液には、リチウム塩等を含む電解質溶液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する電解質溶液) を使用することができる。ただし、電解質水溶液は電気化学的に分解電圧が低いため、充電時の耐用電圧が低く制限される。そのため、有機溶媒を使用する電解質溶液(非水電解質溶液)であることが好ましい。
非水電解質溶液は、非水溶媒に電解質が溶解されており、非水溶媒として環状カーボネートと、鎖状カーボネートと、を含有してもよい。
環状カーボネートとしては、電解質を溶媒和することができるものを用いることができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネートなどを用いることができる。
鎖状カーボネートは、環状カーボネートの粘性を低下させることができる。例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが挙げられる。その他、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンなどを混合して使用してもよい。
非水溶媒中の環状カーボネートと鎖状カーボネートの割合は体積にして1:9〜1:1にすることが好ましい。
また非水電解質溶液としてイオン液体を用いてもよい。イオン液体は、カチオンとアニオンの組合せによって得られる100℃未満でも液体状の塩である。イオン液体は、イオンのみからなる液体であるため、静電的な相互作用が強く、不揮発性、不燃性と言う特徴を有する。電解質としてイオン液体を用いたリチウム二次電池100は、安全性に優れる。
また電解液は、集電体31に含まれる金属のイオン又は錯体を有することが好ましい。またその含有量は、金属の質量換算で、1質量ppm以上1000質量ppm以下であることが好ましい。
電解液中に集電体31を構成する金属が含まれると、金属のイオン又は錯体と集電体31との化学平衡により、集電体31の腐食が抑制される。
(外装体)
外装体50は、その内部に発電部40及び電解質を密封する。外装体50は、電解質の外部への漏出や、外部からのリチウム二次電池100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。
例えば、外装体50として、図1に示すように、金属箔52を高分子膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔52としては例えばアルミ箔を、高分子膜54としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜54の材料としては融点の高い高分子、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜54の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
「リード」
リード60、62は、アルミ等の導電材料から形成されている。リード60、62を正極20、負極30にそれぞれ溶接し、正極20と負極30との間にセパレータ10を挟んだ状態で、電解質と共に外装体50内に挿入し、外装体50の入り口をシールする。
上述のように、本実施形態にかかるリチウム二次電池は、負極を構成する集電体が所定の密度、所定の平均直径を満たす細孔を有する。そのため、細孔から選択的に金属リチウムが析出し、析出した金属リチウムの根元は細孔を形成する集電体によって保護される。そのため、放電時に金属リチウムの根元から溶出が進行することが抑制され、リチウム二次電池のサイクル特性が向上する。
[リチウム二次電池の製造方法]
本実施形態にかかるリチウム二次電池100の製造方法について説明する。まず正極20及び負極30を作製する。
正極20は、正極集電体22上に正極活物質を含む塗料を塗布、乾燥して作製する。正極活物質を含む塗料は、正極活物質、バインダー及び溶媒を含み、必要に応じて導電材が混合されている。溶媒には、例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン等を用いることができる。
塗料における正極活物質、導電材、バインダーの構成比率は、質量比で80wt%〜98wt%:0.1wt%〜10wt%:0.1wt%〜10wt%であることが好ましい。これらの質量比は、全体で100wt%となるように調整される。塗料を構成する成分の混合方法は特に制限されず、混合順序もまた特に制限されない。
そして作製した塗料を、正極集電体22に塗布する。塗布方法としては、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法が挙げられる。
続いて、正極集電体22に塗布された塗料中の溶媒を除去する。除去方法は特に限定されない。例えば、塗料が塗布された正極集電体22を、80℃〜150℃の雰囲気下で乾燥させればよい。そして、正極集電体22上に正極活物質層24が形成された正極20が得られる。
負極30は、集電体31として用いる金属膜を準備する。金属膜は、市販のものを利用できる。準備した金属膜(集電体31)の表面に細孔32を形成する。細孔32を形成する手段は特に問わない。例えば、金属化合物を還元処理し、化合物を構成する元素を除いてもよい。また金属膜に所定の突起を有するスタンパを押し当てたのち酸処理等を施すことで、細孔32を形成してもよい。また電子線リソグラフィー等の手段を用いて、細孔32を直接描画してもよい。
集電体31の細孔32内部にイオウ化合物を形成する場合は、イオウを含む電解液中に集電体31を浸漬し、集電体31に電圧をかけてイオウを含む電解液を還元分解することで、イオウ元素を集電体31表面に付着させる。
次いで作製した正極20と負極30とを、セパレータ10を介して積層し、電解液と共に、外装体50内に封入する。例えば、正極20と、負極30と、セパレータ10とを積層し、予め作製した袋状の外装体50に、発電部40を入れる。電解液は、外装体50内に注入してもよいし、発電部40内に含浸させてもよい。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
(実施例1)
まず正極を準備した。正極活物質としてNCA(組成式:Li1.0Ni0.78Co0.19Al0.03)、導電材としてカーボンブラック、バインダーとしてPVDFを準備した。これらを溶媒中で混合し、塗料を作製し、アルミ箔からなる正極集電体上に塗布した。正極活物質と導電材とバインダーの質量比は、95:2:3とした。塗布後に、溶媒は除去した。
次いで負極を準備した。負極は、集電体として銅箔を用いた。電子線リソグラフィーを用いて7×10個/mの突起を有するスタンパを作製し、そのスタンパを銅箔表面に押当てた。そしてスタンパを押し当てた後の銅箔に酸処理を施すことで、スタンパにより形成された孔を拡張し、細孔を作製した。
作製した集電体と対向する電極を、チオシアン酸塩溶液中に浸漬し、集電体と対向電極間に電圧を印加した。電圧印加処理後の集電体の表面を洗い、EDS分析を行ったところ、細孔内にイオウ元素が検出された。
そして作製された正極と負極とをセパレータを介して積層し発電部を作製した。正極と負極の積層数は1層とした。セパレータには、ポリエチレンとポリプロピレンの積層体を用いた。得られた発電部を非水電解質に含浸させてから外装体内に封入した。電解液にはN−メチル−N−プロピルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド(P13−FSI)を用い、1mol/Lの濃度となるようにリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Li−TFSI)を溶解させたものを用いた。そして得られたリチウム二次電池の充放電を行い、容量維持率を測定した。リチウム二次電池の容量維持率は、初回の放電時の放電容量に対する100サイクル目の放電時の放電容量の容量比率を意味する。
(実施例2、3及び比較例1、2)
実施例2、3及び比較例1、2では、細孔の直径を変更した点が実施例1と異なる。細孔の直径は、銅箔に酸処理を施す時間を変更することで調整した。その他の条件は実施例1と同じとして、リチウム二次電池の容量維持率を測定した。
(実施例4、5及び比較例3、4)
実施例4、5及び比較例3、4では、細孔の密度を変更した点が実施例1と異なる。細孔の密度は、銅箔に押し付けるスタンパの突起の密度を変えることで変更した。その他の条件は実施例1と同じとして、リチウム二次電池の容量維持率を測定した。
(実施例6及び7)
実施例6及び7では、細孔の密度と細孔の直径を変更した点が実施例1と異なる。その他の条件は実施例1と同じとして、リチウム二次電池の容量維持率を測定した。
(実施例8〜11)
実施例8〜11では、細孔の直径を0.02μm、細孔の密度を2×10個/mに変更し、細孔の深さを変更した点が実施例1と異なる。細孔の深さは、スタンパを銅箔に押し付ける際の圧力を変えることで変更した。その他の条件は実施例1と同じとして、リチウム二次電池の容量維持率を測定した。
(実施例12、13)
実施例12、13では、細孔の直径を0.02μm、細孔の密度を2×10個/mに変更し、電解液中に含まれる銅イオンの量を変更した。銅イオンの含有量は、トリエチレンテトラミン銅錯体の含有量で調整した。その他の条件は実施例1と同じとして、リチウム二次電池の容量維持率を測定した。
実施例1〜13及び比較例1〜4のリチウム二次電池の容量維持率の結果を以下の表1にまとめた。
実施例1〜3と比較例1、2とを比較すると、細孔直径が0.02μm以上1.0μm以下の範囲で容量維持率が優れることが確認された。また実施例1、4、5と比較例2、3とを比較すると、細孔密度が2×10個/m以上8×1013個/m以下の範囲で容量維持率が優れることが確認された。また実施例1、8〜11を比較すると、細孔の深さが所定の範囲内において特に容量維持率が特に優れることが確認された。また実施例1、12、13から電解液中の銅イオン濃度が所定の範囲内にある際に容量維持率が特に優れることが確認された。
10…セパレータ、20…正極、22…正極集電体、24…正極活物質層、30…負極、31…集電体、32…細孔、33…金属リチウム、40…発電部、50…外装体、60,62…リード、100…リチウム二次電池

Claims (7)

  1. 正極と負極と非水電解質とを備え、前記負極は負極集電体を含み充電時に前記負極集電体上にリチウム金属が析出し、放電時にリチウム金属が溶解するリチウム二次電池に用いられる負極集電体であって、
    表面に複数の細孔が設けられた金属膜であって、
    前記金属膜の表面における前記細孔の密度は、2×10個/m以上8×1013個/m以下であり、
    前記細孔の平均直径は、0.02μm以上1μm以下である、リチウム二次電池用負極集電体。
  2. 前記細孔の平均深さは、0.05μm以上3.0μm以下である、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極集電体。
  3. 前記細孔の平均容積は、1.5×10−4μm以上3.9×10−1μm以下である、請求項1又は2に記載のリチウム二次電池用負極集電体。
  4. 前記金属膜が、銅、ニッケル、チタン、白金及びこれらの合金、並びに、ステンレスからなる群から選択されるいずれかである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用負極集電体。
  5. 前記細孔が内部にイオウ化合物を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用負極集電体。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用負極集電体を負極として用い、
    前記負極に対向する正極と、前記負極と前記正極の間のリチウムイオンの伝導を担う電解液と、を備える、リチウム二次電池。
  7. 前記電解液が、前記集電体に含まれる金属のイオン又は錯体を有し、
    前記電解液が、1質量ppm以上1000質量ppm以下の前記金属を含む、請求項6に記載のリチウム二次電池。
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