JP6445822B2 - 強化繊維束、強化繊維束の開繊装置及び強化繊維束の開繊方法 - Google Patents
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Description
前記同径開繊バーはその軸方向に沿う直径が同一の開繊バーであり、
前記異径開繊バーは、その軸方向両端から中央部に向うに従って直径が漸増してなる開繊バーであることを特徴とする、
強化繊維束の開繊装置。
以下、図面を参照して、本発明の一実施例に付き、詳細に説明する。
図1は、本発明の開繊装置100を示す概略図である。図中、2は、強化繊維束で、搬送ローラー4、6により矢印X方向に連続的に搬送されている。8、10は、張力調節ローラーで、このローラー8、10により、開繊する強化繊維束2の張力が制御される。
本発明の強化繊維束は、25℃において固形状の樹脂を不揮発成分として60質量%以上含むサイジング剤が付着した強化繊維束であり、1000Texあたりの幅が8mm以上である強化繊維束である。25℃において固形状の樹脂を不揮発成分として60質量%以上、すなわち主剤として含むサイジング剤が付着した強化繊維束は耐熱性に優れる。更に、1000Texあたりの幅を8mm以上とすることで、マトリクス樹脂の含浸性又はマトリクス樹脂への分散性の優れた強化繊維束となる。
強化繊維束の幅は、金尺を用いて0.5mmの精度で測定した。厚みはマイクロメータを用いて0.01mmの精度で測定した。なお、サンプルは、それぞれのサンプル(繊維束)を各工程から取り出して、平らな場所に静置し無張力の状態で測定を行った。測定本数はそれぞれ10本ずつとし、平均値を用いてそれぞれの値とした。更に、強化繊維束の幅の平均値をその厚みの平均値で除して強化繊維束の扁平率とした。
図1に示す構成の開繊装置を用いて炭素繊維束を開繊した。炭素繊維束は、次のように製造した。すなわち、前駆体繊維であるPAN繊維(単繊維繊度0.7dtex、フィラメント数24000)を、空気中250℃で、繊維比重1.35になるまで耐炎化処理を行い、次いで窒素ガス雰囲気下、最高温度650℃で低温炭素化させた。その後、窒素雰囲気下1300℃で高温炭素化させて製造した炭素繊維束を、10.0質量%の硫酸アンモニウム水溶液を用い、電解酸化により表面処理を行い、実質的に無撚りの炭素繊維束(引張強度4000MPa、引張弾性率240GPa、フィラメント数24000本、単繊維直径7μm、繊度1600Tex)を得た。この炭素繊維束に、サイジング剤として、水溶性ウレタン樹脂(DIC株式会社製 ハイドランAP−30、皮膜流動開始温度110〜115℃)を0.4質量%付与した。炭素繊維束の開繊処理前の幅は9mm(1000Texあたりの幅 5.6mm)、厚みは0.19mmであり、扁平率は45であった。
実施例1と同一条件で炭素繊維束を開繊した。但し、異径開繊バーの代わりに同径開繊バーを用いた。結果を表1に示した。
炭素繊維束の開繊処理後の幅は11mm(1000Texあたりの幅 6.8mm)、厚みは0.16mmであり、扁平率は67であった。得られた炭素繊維束を、6mmの長さに切断し、炭素繊維チョップドストランドを製造した。得られたチョップドストランドのマトリクス樹脂への分散性は不十分なものであった。
開繊バーの表面温度を150℃から100℃に変更した以外は実施例1と同一条件で、炭素繊維束を開繊した。結果を表1に示した。
炭素繊維束の開繊処理後の幅は20mm(1000Texあたりの幅 12.5mm)、厚みは0.09mmであり、扁平率は220であった。
開繊バーの表面温度を150℃から70℃に変更した以外は実施例1と同一条件で、炭素繊維束を開繊した。結果を表1に示した。
炭素繊維束の開繊処理後の幅は13mm(1000Texあたりの幅 8.1mm)、厚みは0.14mmであり、扁平率は94であった。
サイジング剤の付着量を0.4質量%から0.9質量%に変更した以外は実施例1と同一条件で、炭素繊維束を開繊した。結果を表1に示した。
炭素繊維束の開繊処理後の幅は17mm(1000Texあたりの幅 10.6mm)、厚みは0.105mmであり、扁平率は160であった。
異径開繊バーにおける炭素繊維束を、張力0.75g/texから0.3g/texに変更した以外は実施例1と同一条件で、炭素繊維束を開繊した。結果を表1に示した。
炭素繊維束の開繊処理後の幅は13mm(1000Texあたりの幅 8.1mm)、厚みは0.14mmであり、扁平率は94であった。
用いるサイジング剤の種類を水溶性ウレタン樹脂から水分散型ポリエステル系ウレタン樹脂(DIC株式会社製 ボンディック 1230NS、軟化温度170〜175℃)に変更し、開繊バーの表面温度を180℃とした以外は実施例1と同一条件で、炭素繊維束を開繊した。
炭素繊維束の開繊処理前の幅は9mm(1000Texあたりの幅 5.6mm)、厚みは0.19mmであり、扁平率は45であった。
炭素繊維束の開繊処理後の幅は23mm(1000Texあたりの幅 14.3mm)、厚みは0.08mmであり、扁平率は305であった。
用いるサイジング剤の種類を水溶性ウレタン樹脂からエポキシ樹脂(三菱化学株式会社製 JER 1009、軟化温度144℃、分子量3800)に変更した以外は実施例1と同一条件で、炭素繊維束を開繊した。
炭素繊維束の開繊処理前の幅は9mm(1000Texあたりの幅 5.6mm)、厚みは0.19mmであり、扁平率は45であった。
炭素繊維束の開繊処理後の幅は23mm(1000Texあたりの幅 14.3mm)、厚みは0.08mmであり、扁平率は305であった。
2 強化繊維束
4、6 搬送ローラー
8、10 張力調節ローラー
12a、12b、12c、22 同径熱開繊バー
14、24 異径熱開繊バー
16 ワインダーローラー
18 巻取り装置
48、54 他端側
50、56 案内溝
52、58 底部
58a、58b 両端部
60 幅方向中央
80 開繊バー
82 強化繊維束
84 接触開始箇所
86 強化繊維束が離れる箇所
α 中心角
R1 直径
R2 直径
X 矢印
Claims (12)
- 強化繊維束の搬送方向に沿って、順次配設された少なくとも2本の同径開繊バーと、その後段に配設された少なくとも1本の異径開繊バーとからなり、強化繊維束を前記同径開繊バー、次いで異径開繊バーに巻掛けて搬送させることにより、前記強化繊維束を開繊する強化繊維束の開繊装置であって、
前記同径開繊バーはその軸方向に沿う直径が同一の開繊バーであり、
前記異径開繊バーは、その軸方向両端から中央部に向うに従って直径が漸増してなる開繊バーであり、
前記同径開繊バー及び/又は前記異径開繊バーが、その軸方向に沿って回転不能に支持されており、
前記同径開繊バー及び/又は前記異径開繊バーの表面粗度が、Ra0.2〜0.4μmであることを特徴とする、
強化繊維束の開繊装置。 - 前記同径開繊バーの直径及び前記異径開繊バーの最大直径が、それぞれ10〜200mmである請求項1に記載の開繊装置。
- 前記同径開繊バー及び/又は前記異径開繊バーに案内溝が形成されている請求項1に記載の開繊装置。
- 前記同径開繊バー及び/又は前記異径開繊バーが、その内部にヒーターを備えてなる請求項1に記載の開繊装置。
- 前記強化繊維束が、炭素繊維束である請求項1に記載の開繊装置。
- 強化繊維束を、少なくとも2本の同径開繊バーと、その後段に配設された少なくとも1本の異径開繊バーとを、これらの上面を跨ぎ、又は下面を潜ることを交互に繰返して搬送させる強化繊維束の開繊方法であって、前記同径開繊バーはその軸方向に沿う直径が同一の開繊バーを用い、異径開繊バーはその軸方向両端から中央部に向うに従って直径が漸増してなるとともに、
前記同径開繊バー及び/又は前記異径開繊バーが、その軸方向に沿って回転不能に支持されており、
前記同径開繊バー及び/又は前記異径開繊バーの表面粗度が、Ra0.2〜0.4μmである開繊バーを用いる強化繊維束の開繊方法。 - 前記同径開繊バー及び/又は前記異径開繊バーの表面温度が、100〜250℃である請求項6に記載の強化繊維束の開繊方法。
- 前記同径開繊バー及び/又は前記異径開繊バーと前記強化繊維束との接触角が、30〜180°である請求項6に記載の強化繊維束の開繊方法。
- 前記同径開繊バー及び/又は前記異径開繊バーと前記強化繊維束との接触時間の合計が、0.5〜120秒である請求項6に記載の強化繊維束の開繊方法。
- 前記強化繊維束に0.5〜5g/texの張力を付与しながら前記異径開繊バーに摺接させる請求項6に記載の強化繊維束の開繊方法。
- 25℃において固形状であって、軟化温度又は流動開始温度が100〜300℃である樹脂を不揮発成分として60質量%以上含むサイジング剤が付着した強化繊維束であり、1000Texあたりの幅が8mm以上である強化繊維束。
- 扁平率が250〜500である請求項11に記載の強化繊維束。
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