以下、本発明の本実施形態に係る運転評価装置100を図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明に係る運転評価装置を車載の運転評価装置100に適用し、他の車載装置を含む運転評価システム1000を例にして説明する。
本実施形態の運転評価装置100は、交差点を通過する際の車両情報から、一又は複数の車両の運転が適切であるか否か、又は適切さの程度を評価する。例えば、運転評価装置100は、車両の最低速度、停止時間、停止位置(交差点中心から最低速度となる位置までの距離)を用いて、一時停止が必要な交差点で一時停止を正しく行ったか否かを診断する。一般に、最低速度については小さいほど、停止時間については長いほど、停止位置については交差点からの距離が大きいほど適切な運転であると評価する。また、運転評価装置100は、横方向の最大加速度、最大ヨーレート、旋回時の最大速度を用いて、右左折をする際の旋回(運転)が適切であるか否かを評価する。一般に、加速度、ヨーレート、速度が小さいほど適切な旋回であると評価できる。これらの運転の評価の基準は、予め実験的に標準的な評価基準値を設定できる。制御装置10は、評価基準値との比較結果から右左折の運転が適切であるか否かを評価する。本運転評価装置100により出力される運転行動評価結果は、運転者の運転スキルの評価や、運転の癖の抽出、安全運転傾向の評価に用いることができる。
図1は、本実施形態に係る運転評価装置100を含む運転評価システム1000のブロック構成図である。図1に示すように、本実施形態の運転評価システム1000は、運転評価装置100と、車両コントローラ20と、ナビゲーション装置30と、各種センサ40と、出力装置50とを備える。これらの各装置は、CAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続され、相互に情報の授受を行う。
なお、本実施形態の運転評価システム1000は、車載されていない外部装置60を備えることができる。外部装置60は、制御装置61、記憶装置62、路側装置63を有する。制御装置61は、遠隔のサーバであり、車載の運転評価装置100に運転評価処理を実行させる。この場合に制御装置61は、後述する運転評価装置100の制御装置10と同様の動作を行う。記憶装置62は、各車両に搭載された運転評価装置100の評価結果を収集し、記憶する。路側装置63は、ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)を構成する装置であり、通信装置14を介して車両側の運転評価装置100に交差点の位置情報などを提供することができる。
以下、運転評価システム1000が備える各装置について説明する。
本実施形態の車両コントローラ20は、車両の各種情報を管理し、動作を制御するECUを備える。本実施形態の車両コントローラ20は、後述する各種センサが検知した車両の車速、操舵角、ヨーレート、車両前後方向の加速度(以下、前後加速度ともいう)、車両左右方向の加速度(以下、横加速度ともいう)を含む車両情報21を取得する。車両コントローラ20は、本願出願時に知られた自動運転制御装置を適宜に用いることができる。
本実施形態のナビゲーション装置30は、GPS(Global Positioning System)を有する現在位置検出装置31を備える。ナビゲーション装置30は、地図情報32を参照し、現在位置から目的地に至る経路を探索する。また、ナビゲーション装置30は、交差点情報33を参照して、探索された自車両の走行する経路上の交差点を検出する。ナビゲーション装置30は現在位置検出装置31が検出した現在位置と、自車両が走行する経路上において接近しつつある交差点を検出する。検出する交差点は、車両のドライバが通過する交差点である。
検出した現在位置は、運転評価装置100へ送出する。本実施形態のナビゲーション装置30は、本願出願時に知られたナビゲーション装置を適宜に利用することができる。
本実施形態の各種センサ40は、車速センサ41、加速度センサ42と、操舵センサ43と、ヨーレートセンサ44とを有する。車速センサ41は車両の車速を検出する。加速度センサ42は、車両の前後加速度、横加速度を検出する。操舵センサ43は、車両の操舵量を検出する。ヨーレートセンサ44は、車両のヨーレート、車両のヨー角を検出する。本実施形態の各種センサ装置41〜44は、本願出願時に知られた各種センサ装置を適宜に利用することができる。
本実施形態の出力装置50は、運転の評価結果を出力する。出力装置50は、ディスプレイ51、スピーカ52を備える。出力装置50は通信装置53を備える。通信装置53は、外部の記憶装置62に評価結果を出力できる。記憶装置62は、複数の車両の評価結果を収集できる。通信装置53は、車載の車両コントローラ20に評価結果を出力できる。車両コントローラ20は、評価結果を用いた走行支援、車両制御を行う。
図1に示すように、本実施形態の運転評価装置100は、制御装置10を備える。本実施形態の運転評価装置100は、通信機能14を用いて、外部装置60と情報を授受できる。
本実施形態の運転評価装置100の制御装置10について説明する。本実施形態の制御装置10は、交差点における運転を評価するプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)12と、このROM12に格納されたプログラムを実行することで、運転評価装置100として機能させる動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)11と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)13と、を有する。
以下、運転評価装置100の制御装置10が実現する各機能についてそれぞれ説明する。図2は、各機能の情報の流れを示す図である。
本実施形態に係る運転評価装置100の制御装置10は、交差点位置取得機能1.1と、車両情報取得機能1.2と、評価区間設定機能1.3と、運転評価機能1.4とを有する。本実施形態の制御装置10は、上記機能を実現するためのソフトウェアと、上述したハードウェアの協働により各機能を実行するコンピュータである。先述したように、本コンピュータは車載されたコンピュータ、又は通信を介して情報の授受が可能な外部のコンピュータである。
まず、本実施形態の制御装置10の交差点位置取得機能1.1について説明する。本実施形態の制御装置10は、交差点のGPS座標などの位置情報を取得する。本実施形態の制御装置10は、各交差点が一時停止を求めるか否かの情報を取得する。評価の対象となる交差点は、車両が走行する経路上の交差点である。車両が走行する経路は、現在位置検出装置31の検出した位置情報から特定できる。制御装置10は、走行中の交差点の位置を逐次取得してもよいし、これから走行する予定の交差点の位置を前もって取得してもよいし、すでに走行した交差点の位置を取得してもよい。車両が走行する経路は、ナビゲーション装置30により探索する。また、探索された経路上の交差点の位置は、交差点情報33を参照して求める。また、外部の路側装置63から走行中に交差点の位置情報を取得してもよい。
次に、本実施形態の制御装置10の車両情報取得機能1.2について説明する。制御装置10は、交差点を通過する車両の位置及び車両情報を取得する。制御装置10は、車両の位置と、その位置を走行する時に検出された各種検出データを含む車両情報を取得する。制御装置10は、車両情報と位置情報とは対応づけて少なくとも一時的に記憶する。制御装置10は、車両の位置は現在位置検出装置31から取得する。制御装置10は、各種センサ40から車両情報を取得する。車両情報21は、車両の車速、操舵角、ヨーレート、ヨー角、車両前後方向の加速度(以下、前後加速度ともいう)、車両左右方向の加速度(以下、横加速度ともいう)を含む。
制御装置10の車両情報取得機能1.2は、自車両が交差点を通過した場合に、その交差点情報と取得した検出データ(車両情報)から評価に用いられる車両情報を出力する。車両情報取得機能1.2は、交差点の上流側の所定区間と交差点の下流側の所定区間、つまり交差点通過前後の検出データを、評価用の車両情報として出力する。
図3Aは、車両が通過する経路Rと、交差点Xを含む所定領域Xereaとを示す。車両は経路RをStartからEndへ走行する。以下には、交差点Xの処理について説明するが、制御装置10は、経路R上に存在する交差点Yf1,Yf2,Yb1,Yb2についても同様の処理を行う。
図3Bは、図3Aに示す所定領域Xereaを含む領域Aを拡大して示す図である。図3Bに、交差点Xの中心座標(交差点座標)と、交差点Xに対応する第1位置S1と、第1位置S1から上流側に所定距離b[m]の地点Pbの間である上流側の評価区間dpbと、第1位置S1から下流側に所定距離f[m]の地点Pfの間である下流側の評価区間dpbとを示す。上流側の評価区間及び下流側の評価区間(Pb−S1−Pfの区間)において検出された車両情報が、車両が交差点を通過する際の運転評価に用いられる。図3A、図3Bに示す評価区間dpb(Pb−S1−Pfの区間)内に交差点Xは一つのみが存在する。
ここで、第1位置S1は、評価対象となる交差点Xの位置に対応する位置である。第1位置S1は、車両が第1交差点Xの位置を基準として定義された近接領域Xarea以内に進入し、最初に取得された車両の現在位置である。また、近接領域Xareにおいて、交差点Xの中心位置に最も近接した車両の現在位置としてもよい。近接領域Xareaは、交差点Xの中心座標から所定半径r[m]以内の領域である。所定半径rの値は、交差点の規模に応じて適宜に定義できる。交差点Xの中心座標は、車両が実際に通過する経路上にはなく、車両の走行地点(現在位置の履歴地点)とずれが生じている場合がある。第1位置S1をこのように定義することにより、評価対象となる第1交差点Xの位置を実際の走行位置と合致させることができ、より適切な評価区間を設定できる。
制御装置10の車両情報取得機能1.2は、交差点情報と検出された現在位置から交差点通過の有無を判断する。図3A,図3Bに示す交差点Xの中心座標(交差点座標)から所定半径r [m]内に現在位置(走行位置)が含まれた場合に、車両が交差点Xを通過すると判断する。この場合において、第1位置S1から上流側に所定距離b[m]の上流側の評価区間dpbと、第1位置S1から下流側に所定距離f[m]の下流側の評価区間dpbにおいて検出された車両情報を評価用の車両情報を抽出し出力する。この車両情報が、評価対象用の車両情報である。
いずれの交差点Xの中心座標から所定半径r[m]内に現在位置(走行位置)が検出されない場合は、交差点Xを通過していないとして以後の処理は行わない。また、交差点Xの中心と最も近接する走行地点(現在位置)を基準に上流側に所定距離b[m]及び下流側に所定距離f[m]に現在位置(走行位置)が検出されない場合に、交点通過が完了していないと判断し、車両情報の出力を行わないようにする。
続いて、本実施形態の制御装置10の評価区間設定機能1.3について説明する。
以下、運転の評価の対象となる交差点Xを第1交差点と称し、この第1交差点と隣接する交差点を第2交差点と称する。
図3A,図3Bに示すように、制御装置10は、評価対象となる第1交差点の位置を基準に定義された第1位置S1と、この第1位置S1から所定距離bの位置にある第2位置Pbとの間を上流側の評価区間dbpとして設定する。
同様に、制御装置10は、第1交差点Xに対応する位置として、評価対象となる第1交差点の位置を基準に定義された第1位置S1と、この第1位置S1から所定距離fの位置にある第2位置Pfとの間を上流側の評価区間dbpとして設定する。つまり、第2位置は、地点Pbと地点Pfとの二つが存在する。以下、これらを総称して第2位置Pとも称する。図3A、図3Bに示す例において、本実施形態における評価区間は、PbからS1を経由してPfまでの区間である。
ところで、図4A及び図4Bは交差点が近接して設けられている場合における交差点と所定領域を説明するための図である。図4A、図4Bに示すように、評価対象となる第1交差点Xの近傍に、別の第2交差点Yf1が存在する場合がある。第1交差点Xの位置Xと第2交差点Yf1の位置Yとの差d(X−Y)は、所定値以下である。本実施形態の所定値は、評価区間を定義する際に用いられる所定距離f[m]又はb[m]を用いることができる。先述したように、評価区間は、第1交差点Xに最も近い走行位置S1から上流側にf[m]の区間と、走行位置S1から下流側にb[m]の区間である。図4Bに示すように、第1交差点Xの位置と第2交差点Yf1(第2交差点を総称してYとも称する)の位置との差d(X−Y)がf[m]よりも小さいd(X−Y)<f[m]である場合には、第1交差点Xの運転を評価するために得た評価区間の車両情報には、第2交差点Yf1を通過する際の車両情報が含まれてしまう。このような状況下において、評価区間の車両情報に基づいて第1交差点Xを評価すると、第2交差点Yf1を通過する際の車両情報までをも評価対象としてしまう。その結果、第1交差点Xを通過するための運転を正確に評価できない。
このため、本実施形態の運転評価装置100の制御装置10は、評価対象である第1交差点Xとこの第1交差点Xに隣接する他の第2交差点Yとの距離が所定距離以下である場合には、所定距離が第1交差点と第2交差点との距離よりも短くなるように第2位置Pb,Pfを変更した評価区間dpb,dpfを設定する。本実施形態において所定距離は、評価区間を定義する第1位置S1から第2位置Pb,Pfまでの距離である。
図4Bの例で説明すると、通常の処理において、制御装置10は第1位置S1から所定距離b[m]の上流側の区間と第1位置S1から所定距離f[m]の下流側の区間とを評価区間として設定し、第1交差点Xと第2交差点Yf1との距離が所定距離b[m]又は所定距離f[m]よりも近い場合には、第2位置であるPb,Pfを第1位置S1に近い位置に変更し、新たな評価区間を設定する。具体的に図4Bの下流側の評価区間を一端となる第2位置Pfを、第1位置S1に近い位置Qfに変更する。制御装置10は、第1位置S1と下流側の変更後の第2位置Qfとの区間と、第1位置S1と上流側の第2位置Pbの間の区間とを評価区間として設定する。
ここでは、第1位置S1の下流側の評価区間を例に説明したが、第1位置の上流側の評価区間についても同様である。第1位置S1の上流側であって、第2位置S1から所定距離b[m]以内に第2交差点Yb1が存在する場合に、第1交差点Xの位置と第2交差点Yb1の位置との差d(X−Y)がb[m]よりも小さいd(X−Y)<b[m]である場合には、第2位置Pbを第1位置S1により近い位置に変更する。
これにより、第1交差点Xと第2交差点Yの距離が評価区間を定義する所定距離よりも短い場合であっても、第1交差点Xを通過するためだけの運転が行われる評価区間を定義できる。これにより、第1交差点Xを通過する際の車両情報に、第2交差点Yを通過する際の車両情報を含まれないようにすることができる。
また、本実施形態の制御装置10は、第1交差点Xと第2交差点Yとの交差点間距離が短いほど所定距離b[m]、f[m]が第1交差点Xと第2交差点Yとの交差点間距離よりも短くなるように評価区間dpb、dpfを設定する。つまり、第1交差点Xと第2交差点Yとの交差点間距離が短いほど、第2位置Pfを第1位置S1又は第1交差点Xに接近させる。これにより、第2交差点Yを通過するための運転による車両情報が、第1交差点Xを通過するための運転による車両情報に含まれないようにすることができる。つまり、評価対象である第1交差点Xを通過する際の運転の評価に、第2交差点Yを通過する際の運転が与える影響をより低減できる。
なお、第1交差点Xと第2交差点Yf1との距離が所定距離以下であるか否かの判断処理は、走行位置のうち第1交差点Xと最も近い第1位置S1と、走行位置のうち第2交差点Yf1と最も近い経路上の地点との距離が所定距離以下であるか否かを判断することにより行ってもよい。
図5及び図6に基づいて、交差点の近傍の車両情報から交差点の範囲を判断して評価区間を設定する手法を説明する。図5及び図6は距離と速度との関係及び距離とヨーレートとの関係を示す。
図5は、第1交差点Xの近傍に他の交差点が存在しない場合における、距離−速度の関係及び距離−ヨーレートの関係を示す。上述したように、このように、評価対象となる第1交差点Xの評価区間内に他の交差点が存在しない場合には、第1位置S1から上流側にb[m]の区間及び下流側にf[m]の区間をデフォルトの評価区間として設定する。
図6は、第1交差点Xの近傍に他の第2交差点Y(Yb,Yf)が存在する場合における、距離−速度の関係、距離−操舵角の関係、及び距離−ヨーレートの関係を示す。同図に示すように、第1交差点Xのみならず、他の第2交差点Y(Yb,Yf)の車両情報が検出されている。
図6に示される、第1交差点Xと第2交差点Yとが評価区間内に共存する場合において、本実施形態の制御装置10は、評価対象となる第1交差点Xを通過するための車両情報のみを収集するために評価区間を調整する。
以下、本実施形態の制御装置10の評価区間の調整手法について説明する。
第1の手法として、制御装置10は、第1交差点Xと第2交差点Ybとの距離の中点T1から第1交差点X1までの区間と、第1交差点X1と第2交差点Yfとの距離の中点T2から第1交差点X1までの区間を評価区間とする。第1交差点Xは道路の中央であり、車両の走行位置(現在位置履歴)とは、ずれが生じる。このずれ量を考慮して、第1交差点Xの位置に対応する第1位置S1を基準としてもよい。制御装置10は、第1位置S1と第2交差点Ybと最も近い走行位置S2bとの中点T1´から第1位置S1までの区間と、第1位置S1と第2交差点Yfと最も近い走行位置S2fとの中点T2´から第1位置S1までの区間とを評価区間としてもよい。本手法によれば、車両の走行状況に関わらず評価区間を設定することができる。車両情報を考慮しないので、設定処理の負荷が軽く、処理を迅速に行うことができる。
なお、この第1の手法は、図5、6に示す経時的に取得された車両情報の極大又は極小に対応する位置が、第1位置S1の近傍の所定領域、第2位置Pb,Pfの近傍の所定領域、又は第1位置と第2位置の中点T1、T2の近傍の所定領域に存在しないと場合に、採用してもよい。さらに、この第1手法を用いる場合に、第1交差点Xと第2交差点Yとの距離が短いほど、評価区間の長さが短くなるように設定する。
これにより、車速などの車両情報に基づいて評価区間を設定できない場合であっても、交差点間の距離に基づいて評価区間を設定できるので、運転行動や走行状況に想定外のことが発生した場合であっても評価不能となることを防ぐことができる。
次に第2の手法を説明する。本実施形態の制御装置10は、経時的に取得された車両情報の極大又は極小に対応する位置であって、かつ、第1交差点Xと第2交差点Yの中点の近傍領域内の位置を第2位置Pb、Pfとし、第1位置S1から左右の第2位置Pb、Pfまでを評価区間として設定する。第1交差点Xの上流側及び下流側に隣接する二つの第2交差点Yの両方が所定距離以下の位置に存在する場合には、第2位置Pbから第1位置S1を通って第2位置Pfまでが評価区間となる。第1交差点Xと第2交差点Yの中点の近傍領域内に、複数の車両情報の極大又は極小に対応する位置が存在する場合には、中点に最も近い車両情報の極大又は極小に対応する位置を選択する。
また、異なる観点によれば、第2の手法を車両情報の安定度に基づいて実施できる。具体的に、本実施形態の制御装置10は、経時的に取得された車両情報の変化量が所定値以下の値を示す位置であって、かつ、第1交差点Xと第2交差点Yの中点に最も近い経路上の位置を第2位置Pb、Pfとし、第1位置から第2位置までを評価区間として設定する。第1位置S1、第2位置Pb,Pfは、車両の走行した位置、つまり検出された現在位置の履歴に含まれる位置とすることができる。
図6に示す車両情報を例にして説明する。図6の上側のグラフでは、距離−速度の関係を等間隔の破線で示し、距離−操舵角の関係を一点鎖線で示す。本実施形態の制御装置10は、第1交差点X(又は第1位置S1)と第2交差点Yb(又は第2交差点に最も近い走行位置)の中点の近傍領域内であって、かつ車速(破線)が極大を示す地点Qbと、第1交差点X(又は第1位置S1)と第2交差点Yf(又は第2交差点に最も近い走行位置)の中点に最も近い車速(破線)が極大を示す地点Qfとの間の区間を評価区間DQとして設定する。中点の近傍領域は、中点の位置と、そこからの距離によって予め設定できる。近傍領域を定義する距離は、第1交差点と第2交差点との間の距離が短いほど、短くすることができる。
図6の上側に示す距離−速度の関係によれば、車速(破線)が極大を示す地点は、車速(破線)の変化量が所定値以下である地点として抽出してもよい。本実施形態の制御装置10は、第1交差点X(又は第1位置S1)と第2交差点Yb(又は第2交差点に最も近い走行位置)の中点の近傍領域内であって、かつ車速(破線)の変化量が所定値以下の値を示す地点Qbと、第1交差点X(又は第1位置S1)と第2交差点Yf(又は第2交差点に最も近い走行位置)の中点に最も近い車速(破線)の変化量が所定値以下の値を示す地点Qfとの間の区間を評価区間DQとして設定する。
なお、車速を用いて評価区間を設定する場合においては、第1交差点X(又は第1位置S1)と第2交差点Yb(又は第2交差点に最も近い走行位置)の中点に最も近い車速が極大を示す地点により評価区間を定義できる。これにより、最適な評価区間を定義できる。
図6に示すように、第1交差点X(又は第1位置S1)と、ここから所定距離だけ離隔した第2位置Pb、Pfにより一律に定義された評価区間S1−Pb,S1−Pfにおける車両情報(車速、操舵角、ヨーレート)には、評価対象となる交差点Xのみならず、隣接する交差点Yb、Yfを通過する際の車両情報の変化も現れている。このような場合に、デフォルトの評価区間S1−Pb,S1−Pfの車両情報から評価対象である第1交差点Xを通過する際の運転の評価を正確に行うことは困難である。
これに対し、本実施形態の運転評価装置100が、複数の交差点の距離が所定距離以下である場合に設定した評価区間DQには、評価対象となる第1交差点Xを通過する際の車両情報のみが現れている。このように、車両情報の変化の特徴に応じて評価区間を定義することにより、単一の交差点を通過するための車両操作区間を抽出できる。また、近接した交差点間では、駐車車両の存在、歩行者の横断、渋滞の発生などによって走行状況が変化し、これに伴い車両情報の特徴が現れる区間が異なる可能性がある。第2の手法では車両情報の値の変化を考慮するので、第1の手法に比べて、評価対象となる第1交差点Xへの進入速度、同第1交差点Xからの離脱速度を安定して求めることができる。また、車両情報の変化の特徴に応じて評価区間を設定することにより、第1交差点への進入速度及び第1交差点からの離脱車速などの第1交差点を通過する際の運転を評価するために必要な情報の欠損を防止できる。
上述した例では、車速の極大を用いた例を示すが、操舵角、ヨーレート、ヨー角、加速度の値を用いて評価区間を設定してもよい。異なる車両情報を用いた場合には、評価区間の端点Qb,Qfは若干ずれる。例えば、図6の上側の図に示すように、制御装置10は、第1交差点X(又は第1位置S1)と第2交差点Yb(又は第2交差点に最も近い走行位置)の中点の近傍領域内で操舵角(一点鎖線)が極大を示す地点Qbの近傍地点と、第1交差点X(又は第1位置S1)と第2交差点Yf(又は第2交差点に最も近い走行位置)の中点の近傍領域内で操舵角(一点鎖線)が極小を示す地点Qfの近傍地点との間の区間相当を評価区間DQとして設定する。また、図6の下側の図に示すように、制御装置10は、第1交差点X(又は第1位置S1)と第2交差点Yb(又は第2交差点に最も近い走行位置)の中点の近傍領域内でヨーレート(実線)が極大を示す地点Qbの近傍地点と、第1交差点X(又は第1位置S1)と第2交差点Yf(又は第2交差点に最も近い走行位置)の中点の近傍領域内でヨーレート(実線)が極小を示す地点Qf近傍地点との間の区間相当を評価区間DQとして設定する。
次に第3の手法を説明する。本実施形態の制御装置10は、各交差点に最も近い車両情報が極大又は極小を示すポイントを求めて、求めた極大又は極小の地点を基準として評価区間を設定する。図6に示す例を用いて説明する。制御装置10は、経時的に取得された車両情報の極大又は極小に対応する位置であって、かつ、第1交差点Xに最も近い位置X1を第1位置S1(図6においては位置のずれが生じているが、便宜のためにS1を指示する)とする。制御装置10は、経時的に取得された車両情報の極大又は極小に対応する位置であって、かつ、第2交差点Ybに最も近い位置Yb1とし、第2交差点Yfに最も近い位置Yf1とする。そして、制御装置10は、第1位置S1と第2位置Yb1との中点から第1位置S1までを上流側の評価区間を設定し、第1位置S1と第2位置Yf1との中点から第1位置S1までを下流側の評価区間を設定する。
上述した例では、車速の極大を用いた例を示すが、操舵角、ヨーレート、ヨー角、加速度の値を用いて評価区間を設定してもよい。異なる車両情報を用いた場合には、評価区間の端点Qb,Qfは若干ずれる。例えば、図6の上側の図に示すように、制御装置10は、経時的に取得された操舵角(一点鎖線)の極大又は極小に対応する位置であって、かつ、第2交差点Ybに最も近い位置Yb2とし、第2交差点Yfに最も近い位置Yf2とする。そして、制御装置10は、第1位置S1と第2位置Yb2との中点から第1位置S1までを上流側の評価区間を設定し、第1位置S1と第2位置Yf2との中点から第1位置S1までを下流側の評価区間を設定する。図6の下側の図に示すように、制御装置10は、経時的に取得されたヨーレート(実線)の極大又は極小に対応する位置であって、かつ、第2交差点Ybに最も近い位置Yb3とし、第2交差点Yfに最も近い位置Yf3とする。そして、制御装置10は、第1位置S1と第2位置Yb3との中点から第1位置S1までを上流側の評価区間を設定し、第1位置S1と第2位置Yf3との中点から第1位置S1までを下流側の評価区間を設定する。
このように、車両情報の値の変化に応じて評価区間を定義することにより、単一の交差点を通過するための車両操作区間を抽出できる。
なお、本手法は、交差点での減速乃至停止、操舵操作を前提としている。このため、本実施形態の制御装置10は、経時的に取得された車両情報の極大又は極小に対応する位置が、第1位置の近傍領域、第2位置の近傍領域、又は第1位置と第2位置の中点の近傍領域に存在しない場合には、交差点間距離が短いほど、評価区間の長さが短くなるように設定する。
具体的に、制御装置10は、青信号により交差点で減速しないために車速の極大が検出されない場合には、第1の手法又は第2の手法を用いることが好ましい。これにより、各交差点近傍や、その中点近傍において車両情報の特徴が見られるときには、車両情報の特徴を考慮した評価区間を設定し、他方、車両情報の特徴が見られないときには、車両情報の特徴を考慮することなく各交差点の位置関係に基づいて評価区間を設定するので、状況に応じた評価区間を設定できる。さらに、複数交差点が所定距離以内に存在している場合に、車両情報の特徴が検出できないために適切な評価区間が設定できないということが生じないようにできる。
上述したとおり、これら3つの手法においては、車速、操舵角、ヨーレートの他、前後加速度、左右加速度、ヨー角の車両情報を用いることができる。例えば、図6に示すように操舵角やヨーレートに変化があり車両が右左折をしている場合には、前後加速度、左右加速度、ヨーレートにも、交差点の位置に応じた特徴が見られる。これらの前後加速度、左右加速度、ヨー角の車両情報は、上記3つの手法において同様に用いることができる。
最後に、本実施形態の制御装置10の運転評価機能について説明する。制御装置10は、設定された評価区間の車両情報を分析して車両が交差点を直進する際の運転を評価する。制御装置10は、一時停止が必要な交差点で一時停止を正しく行ったか否かを診断する。具体的には、評価区間においての最低車速、評価区間への進入速度、評価区間からの離脱速度、評価区間内で一時停止をする際の減速時の加速度、一次停止後の発進時の加速度などの数値データを、直進時の運転の評価値として出力する。
制御装置10は、評価区間が短縮されたか否か、及び短縮された評価区間が第1交差点Xの上流側であるか又は下流側であるかの識別情報を、運転の評価の結果とともに出力する。これにより、変更された評価区間が第1交差点Xの上流側か下流側かの情報に、評価結果を対応づけることにより、交差点の間隔が狭い住宅街と、交差点の間隔が広い郊外とに分けて運転評価の結果を解析できる。また、上流側で隣接する交差点との間隔が短く上流側だけ評価区間の再設定が行われた場合、下流側で隣接する交差点との間隔が短く下流側だけ評価区間の再設定が行われた場合について、それぞれ運転の評価結果を解析できる。
続いて、図7に基づいて、本実施形態の運転評価装置100の制御手順を説明する。
ステップS10において、制御装置10は、評価対象となる交差点を特定する。本実施形態では、自車両の走行経路上であって進行方向前方に存在し、現在位置から最も近い交差点を、運転評価の対象として特定する。そして、制御装置10は、第1交差点Xの位置を基準に定義された第1位置S1と、第1位置S1から所定距離の位置にある第2位置Pb、Pfとの間を評価区間として設定する。
ステップS11において、制御装置10は、第1交差点Xと隣り合う他の交差点Yb、Yfとの距離が所定距離以内であるか否かの判断を記憶するフラグを初期化(ゼロ設定)する。
ステップS12において、制御装置10は、車両の現在位置と、走行経路上の交差点情報に基づいて、評価対象となる第1交差点の位置情報と、これに隣接する他の第2交差点Yの位置情報を取得する。
ステップS13において、制御装置10は、第1交差点Xと、その上流側(手前側)にある第2交差点Ybとの距離が所定距離以下であるか否かを判断する。1交差点Xと第2交差点Ybとの距離が所定距離以下である場合には、ステップS14へ進み、第1交差点、第2交差点の情報に近接交差点がある旨の隣接フラグを付する。この隣接フラグに、第1交差点Xに上流側の第2交差点Ybが隣接する旨の情報を付する。第1交差点Xと隣接する他の第2交差点Yとの距離が所定距離以下でない場合には、ステップS14〜16をスキップしてステップS17へ進む。
続くステップS15において、制御装置10は、第1交差点Xと第2交差点Ybとの間であって、第1交差点Xを通過する際の運転を評価するための評価区間を変更する。設定区間の変更処理は、上述した手法を用いることができる。ステップS16において、制御装置10は、設定された評価区間において検出された車両情報を、第1交差点Xへの進入時から通過における運転を評価するための評価対象データとして抽出する。評価対象データの抽出処理は、後段のステップS21において下流側の評価区間と一緒に行ってもよい。
次に、ステップS17において、制御装置10は、第1交差点Xの通過方向に隣接する(下流側に隣接する)第2交差点Yfと第1交差点Xとの距離が所定距離以下であるか否かを判断する。1交差点Xと第2交差点Yfとの距離が所定距離以下である場合には、ステップS18へ進み、第1交差点、第2交差点の情報に近接交差点がある旨の隣接フラグを付する。この隣接フラグに、第1交差点Xに下流側の第2交差点Ybが隣接する旨の情報を付する。
ステップS19において、制御装置10は、第1交差点Xと第2交差点Yfとの間であって、第1交差点Xを通過する際の運転を評価するための評価区間を変更する。設定区間の変更処理は、上述した手法を用いることができる。ステップS20において、制御装置10は、設定された評価区間において検出された車両情報を、第1交差点Xを通過してから離脱時における運転を評価するための評価対象データとして抽出する。
他方、ステップS17において、第1交差点Xと隣接する他の第2交差点Yとの距離が所定距離以下でない場合には、ステップS23へ進み、評価区間の変更を行うことなくデフォルトの評価区間を適用し、ステップS20へ進む。
ステップS21において、制御装置10は、ステップS16及びステップ20において抽出された評価対象データである車両情報に基づいて、車両が第1交差点Xを通過する際の運転を評価する。
最後に、ステップS22において、制御装置10は、運転の評価結果を出力する。評価結果には、対象となる交差点の識別情報、評価区間の変更の有無、変更された評価区間の端点が第1交差点の上流側又は下流側のどちらに属するかを識別する情報を付することができる。これにより、各状況に応じて運転評価を行うことができる。
続いて、評価区間の変更処理についてさらに説明する。上述した3つの手法は、隣接する各交差点の属性や、車両の走行状況に応じて適宜に採用できる。
例えば、隣接する交差点がいずれも一時停止を要求する交差点である場合には、交差点の位置に応じて変化する車両情報の特徴が取得しやすいので、車両情報の特徴を用いた第3の手法を用いることが好ましい。
具体的に、制御装置10は、第1交差点Xと第2交差点Yのいずれもが一時停止を求める交差点である場合には、経時的に取得された車両情報に含まれる車速の極小に対応する位置であって、かつ、第1交差点に最も近い位置を第1位置S1とする。さらに、制御装置10は、経時的に取得された車両情報に含まれる車速の極小に対応する位置であって、かつ、第2交差点に最も近い位置を第2位置Pb、Pfとする。そして、制御装置10は、第1位置S1と第2位置Pb、Pfとの中点から第1位置S1までを評価区間として設定する。なお、通過する交差点が一時停止を求めているか否かの情報は、ナビゲーション装置30の地図情報31、交差点情報33を参照して得てもよいし、外部装置60の路側装置63から取得してもよい。
これにより、1交差点Xと第2交差点Yのいずれもが一時停止を求める交差点を通過する際には、明確な車速変化の特徴に基づいて評価区間を適切に設定できる。
また、隣り合う交差点のいずれか一方が優先道路や信号交差点の場合には、車両が一時停止をしない可能性があり、車速が極小を取ることができない場合がある。このため、交差点間で車速が安定している(例えば、一定車速±所定値以内である)地点や車速が極大を示す地点が検出された場合には、車速の特徴を用いた第2の手法を用いることが好ましい。
具体的に、制御装置10は、第1交差点Xと第2交差点Yの間で取得された車両情報に含まれる車速の変化量が所定値未満である場合には、第1交差点と第2交差点の中点の近傍の所定領域内の位置であって、かつ経時的に取得された車両情報に含まれる車速が極大を示す又は車速の変化量が所定値以下の値を示す地点を第2位置Pb、Pfとし、第1位置S1から第2位置Pb、Pfまでを評価区間として設定する。これにより、車速が安定するという特徴が検出できた場合には、一時停止が行われない場合であっても、車速変化の特徴に基づいて評価区間を適切に設定できる。
さらに、交差点において一時停止が求められず、車速の安定状態も確認されない場合には、車両情報を用いることなく、第1の手法を用いて交差点の位置に基づいて評価区間を定義する。これにより、交差点間において渋滞が発生し、その渋滞状況が車両情報の特徴に影響を与えている場合には、車両情報を用いることなく評価区間を定義する。これにより、状況に応じた適切な評価区間を設定できる。
制御装置10の評価区間設定機能は、評価区間の定義情報を後述する運転評価機能へ送出する。この場合において、所定距離を短く変更して設定した評価区間が評価対象となる第1交差点Xの上流側であるか又は下流側であるかの識別情報を併せて送出する。
図8は、上述した評価区間の変更手法を選択する手順を示すフローチャートである。
図8に示すように、まず、車両情報に特徴があるか否かを検討する。デフォルトの評価区間の車両情報に極大、極小、最大、最小、停留点などの特徴点が存在するか否かを判断する。ここで車両情報に特徴が無い場合には、ステップS106へ進み、交差点間の位置関係に基づいて評価区間を設定する。ステップS106では、先述した第1の設定手法を用いて評価区間を設定する。具体的に、制御装置10は第1交差点Xと上流側の第2交差点Yb間の中点である第2位置Pbから第1交差点Xと下流側の第2交差点Yf間の中点である第2位置Pfまでの区間を評価区間として設定する。
ステップS101において、車両情報に特徴がある場合には、ステップS102へ進む。制御装置10は、第1交差点と第2交差点が一時停止を要求する交差点であるか否かの情報をナビゲーション装置30又は路側装置63から取得する。両方の交差点が一時停止を要求する場合には、ステップS104へ進み、車両情報を用いる第3の設定手法を選択する。
ステップS101において、制御装置10は、第1交差点Xに最も近く、車速が極小を示す地点と、上流側の第2交差点Ybに最も近く、車速が極小を示す地点との中点から第1位置S1までの区間を上流側の評価区間とする。同様に、制御装置10は、第1交差点Xに最も近く、車速が極小を示す地点と、下流側の第2交差点Yfに最も近く、車速が極小を示す地点との中点から第1位置S1までの区間を下流側の評価区間とする。上流側の評価区間と下流側の評価区間を併せて一つの評価区間としてもよいし、上流側又は下流側の第2交差点Yが第1交差点から所定距離よりも離隔している場合には、上流側の評価区間又は下流側の評価区間とデフォルトの評価区間を組み合わせてもよい。
ステップS102に戻り、二つの交差点が一時停止を求めるものでない場合には、制御装置10は、ステップS103へ進み、交差点間の車速が安定しているか否かを判断する。車速が安定しているか否かは、車速の変化量が所定値未満であるか否かによって判断できる。車速が安定していると判断されない場合には、ステップS106へ進み、車両情報を用いることなく、交差点間の位置関係に基づいて評価区間を設定する。
他方、車速が安定していると判断された場合には、ステップS105へ進み、第2の設定手法を選択する。制御装置10は、第1交差点Xと第2交差点Yの中点の近傍領域内であって、車速が極大を示す地点又は車速の変化量が所定値以下である第2位置Qを設定し、この第2位置Qから第1位置S1までの区間を評価区間とする。
評価区間が設定されたら、図7に示すステップ16,20へ進み、運転評価処理を実行する。
なお、図8の処理では、第1交差点Xの上流側の評価区間の設定手法と下流側の評価区間の設定手法とを分けて決定できる。つまり、第1交差点Xの上流側又は下流側について第1〜第3の何れかの設定手法により評価区間を更新し、他方については別の設定手法により評価区間を設定してもよい。
本発明の本実施形態は以上のように構成され、以上のように作用するので、以下の効果を奏する。
[1]本発明に係る本実施形態の運転評価装置100は、評価対象となる第1交差点Xの位置を基準に定義された第1位置S1と第2位置Pb、Pfとの間を評価区間として設定する際に、第1交差点Xと第2交差点Yとの距離が所定距離以下である場合には、この所定距離が第1交差点と第2交差点との距離よりも短くなるように第2位置Pb、Pfを変更した評価区間を設定する。本実施形態によれば、二つの交差点X,Yが近接している場合であっても、一つの交差点だけを含む評価区間において検出された車両情報に基づいて運転を評価できる。この結果、交差点の間隔にかかわらず運転評価の精度を維持又は向上させることができる。
[2]本発明に係る本実施形態の運転評価装置100によれば、経時的に取得された車両情報の極大又は極小に対応する位置であって、かつ、第1交差点Xと第2交差点Yの中点の近傍領域内の位置を第2位置Pb、Pfとし、第1位置S1から左右第2位置Pb、Pfまでを評価区間として設定する。このように、車両情報の変化の特徴に応じて評価区間を定義することにより、走行状況に応じた単一の交差点を通過するための車両操作区間を抽出できる。
[3]本発明に係る本実施形態の運転評価装置100は、経時的に取得された車両情報の変化量の値が所定値以下を示す位置であって、かつ、第1交差点Xと第2交差点Yの中点の近傍領域内の位置を第2位置Pb、Pfとする。そして、運転評価装置100は、第1位置S1から左右第2位置Pb、Pfまでを評価区間として設定する。このように、車両情報の変化の特徴に応じて評価区間を定義することにより、走行状況に応じた単一の交差点を通過するための車両操作区間を抽出できる。
[4]本発明に係る本実施形態の運転評価装置100は、各交差点に最も近い車両情報の極大又は極小を求めて、求めた極大又は極小の地点を基準として評価区間を設定する。これにより、車両情報の値の変化に応じて評価区間を定義することにより、単一の交差点を通過するための車両操作区間を抽出できる。
[5]本発明に係る本実施形態の運転評価装置100では、交差点間距離が短いほど、第2位置Pfを第1位置S1又は第1交差点Xに接近させる。これにより、第2交差点Yを通過するための運転による車両情報が、第1交差点Xを通過するための運転による車両情報に含まれないようにすることができる。つまり、評価対象である第1交差点Xを通過する際の運転の評価に、第2交差点Yを通過する際の運転が与える影響をより低減できる。
[6]本発明に係る本実施形態の運転評価装置100は、車両情報の極大又は極小に対応する位置が、第1位置S1の近傍の所定領域、第2位置Pb,Pfの近傍の所定領域、又は第1位置と第2位置の中点T1、T2の近傍の所定領域に存在しないと場合には、第1交差点Xと第2交差点Yとの距離が短いほど、評価区間の長さが短くなるように設定する。これにより、車速などの車両情報に基づいて評価区間を設定できない場合であっても、交差点間の距離に基づいて評価区間を設定できるので、運転行動や走行状況に想定外のことが発生した場合であっても評価不能となることを防ぐことができる。
[7]本発明に係る本実施形態の運転評価装置100は、隣接する交差点のいずれもが一時停止を求める交差点である場合には、経時的に取得された車両情報に含まれる車速の極小に対応する位置であって、かつ、第1交差点に最も近い位置を第1位置S1とする。隣接する交差点がいずれも一時停止を要求する交差点である場合には、交差点の位置に応じて変化する車両情報の特徴が取得しやすいため、明確な車速変化の特徴に基づいた評価区間を設定できる。
[8]本発明に係る本実施形態の運転評価装置100は、車速の変化量が所定値未満である場合には、第1交差点と第2交差点の中点の近傍の所定領域内の位置であって、かつ経時的に取得された車両情報に含まれる車速の極大又は車速の変化量が所定値以下の値を示す地点を第2位置Pb、Pfとする。そして、運転評価装置100は、第1位置S1から第2位置Pb、Pfまでを評価区間として設定する。これにより、車速が安定するという特徴が検出できた場合には、一時停止が行われない場合であっても、車速変化の特徴に基づいて評価区間を適切に設定できる。
[9]本発明に係る本実施形態の運転評価装置100は、車両情報として、車両の車速、車両の操舵角、車両のヨーレート、車両のヨー角、車両の前後方向の加速度、車両の左右方向の加速度を用いる。これらの車両情報は、車両が交差点を通過又は右左折するときに変化が生じる可能性が高い情報である。交差点の通過操作(運転)が行われる評価区間を、これらの車両情報に基づいてを設定することにより、車両の挙動に応じた適切な評価区間を設定できる。
[10]本発明に係る本実施形態の運転評価装置100は、車両が第1交差点Xの位置を基準として定義された近接領域Xarea以内に進入し、最初に取得された車両の現在位置である第1位置S1を評価区間の設定の基準とする。交差点Xの中心座標は、車両が実際に通過する経路上にはなく、車両の走行地点(現在位置の履歴地点)とずれが生じている場合があるが、第1位置S1を用いることにより、評価対象となる第1交差点Xの位置を実際の走行位置と合致させることができ、より適切な評価区間を設定できる。
[11]本発明に係る本実施形態の運転評価装置100は、評価区間が短縮されたか否か、及び短縮された評価区間が第1交差点Xの上流側であるか又は下流側であるかの識別情報を、運転の評価の結果とともに出力する。これにより、変更された評価区間が第1交差点Xの上流側か下流側かの情報に、評価結果を対応づけることにより、交差点の間隔が狭い住宅街と、交差点の間隔が広い郊外とに分けて運転評価の結果を解析できる。
[12]本実施形態に係る運転評価方法が、コンピュータである制御装置10,61に実行されることにより、上記作用効果を奏する。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
すなわち、本明細書では、本発明に係る運転評価装置の一態様として運転評価装置100を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本明細書では、本発明に係る運転評価装置の一態様として、CPU11、ROM12、RAM13を含む制御装置10を備える運転評価装置100を一例として説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
また、本明細書では、本願発明に係る交差点位置取得手段と、車両情報取得手段と、評価区間設定手段と、運転評価手段とを有する運転評価装置の一態様として、交差点位置取得機能と、車両情報取得機能と、評価区間設定機能と、運転評価機能とを実行させる制御装置10と、通信機能14とを備える運転評価装置100を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
また、本明細書では、本発明に係る運転評価装置の一態様である運転評価装置100と、車両コントローラ20と、ナビゲーション装置30と、各種センサ40と、出力装置50とを備える運転評価システム1000を一例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本明細書では、車両に搭載された運転評価装置100を例に説明するが、車載されていない外部のサーバや、車両に持ち込み可能なコンピュータなどの制御装置61を備える外部装置60を運転評価装置100として構成してもよい。