JP6327327B2 - 振動子、電子機器、移動体および発振器 - Google Patents
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上記水晶振動子は、水晶片を支える枕部が絶縁体から形成されていることにより、水晶片の他端部と枕部との接触状態が変化しても、枕部と励振電極との間の電荷の移動がなく電極間容量が変化しない。これにより、上記水晶振動子は、振動周波数(以下、単に周波数ともいう)の変化を防止できるとされている。
この導電性接着剤の硬化時の収縮作用により、上記水晶振動子は、水晶片の他端部が容器本体の枕部に押圧され、端子電極及び枕部を支点として水晶片が容器本体の底面側に撓む虞がある。
この結果、上記水晶振動子は、水晶片の広い範囲に亘って応力が生じている状態になる虞がある。
これにより、上記水晶振動子は、例えば、周囲の温度変化に伴う各構成要素の伸縮に起因してこの応力が変化することから、周波数変動などが生じ易く、振動特性が劣化する虞がある。
このことから、振動片は、例えば、固定部を接着剤によって容器などの外部部材に固定する場合、肉薄部及び段差部と、その周囲との接着剤の厚さに大きな差が生じることになる。
この結果、振動片は、接着剤が薄くて早く硬化し収縮量が小さい周囲側を支点にして、厚くて遅く硬化し収縮量が大きい肉薄部側の接着剤の収縮作用によって、一端部(固定端部)の反対側の他端部(自由端部)が持ち上がることになる。
これにより、振動片は、容器などの外部部材との干渉を回避できることから、周波数変動などが生じ難くなり、振動特性を向上させることができる。
この結果、振動片は、生産性を向上させることができる。
この結果、振動片は、外部部材からの駆動信号の印加によって、励振電極に挟まれた領域を振動させることができる。
この結果、振動片の製造方法は、外形形状の形成と肉薄部の形成とを一括して行うことができ、上記適用例に記載の効果を奏する振動片の生産性を向上させることができる。
この結果、振動片は、接着剤が薄くて早く硬化し収縮量が小さい周囲側を支点にして、厚くて遅く硬化し収縮量が大きい肉薄部側の接着剤の収縮作用によって、一端部の反対側の他端部が持ち上がることになる。
これにより、振動子は、振動片の容器との干渉を回避できることから、周波数変動などが生じ難くなり、振動特性を向上させることができる。
最初に、振動片の一例としての水晶振動片について説明する。
図1は、第1実施形態の水晶振動片の概略構成を示す模式斜視図である。図2は、図1の水晶振動片の模式平断面図であり、図2(a)は、Y’軸方向から見た平面図、図2(b)は、図2(a)のA−A線での断面図である。なお、分かり易くするために、各構成要素の寸法比率は実際と異なる。
水晶基板10の第1主面11側または第2主面12側の一端を含む一端部に(ここでは、第2主面12側の一端部12aの全部)に、一端部12aの周囲の厚さ(水晶基板10の第1主面11から第2主面12までの厚さ)より薄い肉薄部15が設けられている。
ここで、一端部12aは、第2主面12のZ’軸に沿って延びる両端部のうち、−X側の端部であり、+X側は他端部12bとなる。
水晶振動片1は、肉薄部15及び段差部15aと、その周囲19とを含む領域が、容器などの外部部材へ固定される際の固定部16となっている。
なお、肉薄部15の厚さt1は、水晶基板10の厚さt2の略半分(t1≒t2×1/2)であることが好ましい(詳細後述)。
詳述すると、マウント電極17は、第1主面11に設けられた励振電極13から、X軸方向に沿って−X側の一端部12aに引き出され、一端部12aの側面(端面)に沿って第2主面12側の肉薄部15に回り込んでいる。
マウント電極18は、第2主面12に設けられた励振電極14から、X軸方向に沿って−X側の一端部12aの肉薄部15に引き出され、一端部12aの側面に沿って第1主面11に回り込んでいる。
励振電極13,14及びマウント電極17,18は、例えば、Cr(クロム)を下地層とし、その上にAu(金)が積層された構成の金属被膜となっている。
このことから、例えば、図3の水晶振動片の固定状態を説明する模式断面図に示すように、水晶振動片1は、固定部16を接着剤130によって容器などの外部部材120に固定する場合、肉薄部15及び段差部15aと、その周囲19との接着剤130の厚さに大きな差が生じることになる。
この結果、水晶振動片1は、接着剤130が薄くて早く硬化し収縮量が小さい周囲19側を支点にして、厚くて遅く硬化し収縮量が大きい肉薄部15側の接着剤130の収縮作用によって、一端部12a(固定端部)の反対側の他端部12b(自由端部)が持ち上がることになる。
これにより、水晶振動片1は、容器などの外部部材120との干渉を回避できることから、周波数変動などが生じ難くなり、振動特性を向上させることができる。
この結果、水晶振動片1は、生産性を向上させることができる。
なお、肉薄部15の厚さt1は、容器などの外部部材120との干渉を回避でき、機械的強度を確保できるのであれば、水晶基板10の厚さt2の略半分より、厚くてもまたは薄くてもよい。
この結果、水晶振動片1は、外部部材120からの駆動信号の印加によって、励振電極13,14に挟まれた領域を厚みすべり振動させることができる。
なお、水晶振動片1は、肉薄部15が第2主面12側ではなく、第1主面11側に設けられていてもよい。
図4は、水晶振動片の製造方法の主要な製造工程を示すフローチャートである。図5(a)〜図5(e)は、水晶振動片の製造方法の主要な製造工程を説明する模式断面図である。
まず、図5(a)に示すように、上述した平板状の素板としての加工前の水晶基板10を用意する。この水晶基板10は、複数個取りに対応したウエハー状であってもよく、個別形成用の個片状であってもよい。
ついで、図5(b)に示すように、水晶基板10の第1主面11に外形形状をパターニングする第1マスク301を形成する。
詳述すると、例えば、Cr(クロム)を下地膜としたAu(金)/Cr(クロム)積層膜を用いた第1マスク301を、スパッタリング、蒸着などにより第1主面11の全面に成膜し、その上に感光レジストをスピンコートなどによって塗布し、フォトリソグラフィー技術を用いて水晶基板10の第1主面11側の所定の外形形状にパターニングし、不要な部分を除去する。
ついで、図5(c)に示すように、水晶基板10の第1主面11と表裏の関係にある第2主面12に、外形形状をパターニングする、第1マスク301と平面サイズが異なる第2マスク302を形成する(ここでは、第2マスク302の方が、第1マスク301より肉薄部15の分だけ小さい)。
詳述すると、例えば、第1マスク301と同様に、Cr(クロム)を下地膜としたAu(金)/Cr(クロム)積層膜を用いた第2マスク302を、スパッタリング、蒸着などにより第2主面12の全面に成膜し、その上に感光レジストをスピンコートなどによって塗布し、フォトリソグラフィー技術を用いて水晶基板10の第2主面12側の所定の外形形状にパターニングし、不要な部分を除去する。
ついで、図5(d)に示すように、水晶基板10を図示しないエッチング液に浸漬して、第1主面11側及び第2主面12側からウエットエッチングし、外形形状を形成するとともに、第1主面11側または第2主面12側(ここでは第2主面12側)の一端を含む一端部12aに、水晶基板10の厚さより薄い(換言すれば、一端部12aの周囲より薄い)肉薄部15を形成する。
このとき、肉薄部15の厚さt1が、水晶基板10の厚さt2の略半分(t1≒t2×1/2)に設定されていると、外形形状の形成(第1主面11側及び第2主面12側から水晶基板10の厚さの略半分までのエッチング)と、肉薄部15の形成(第2主面12側から水晶基板10の厚さの略半分までのエッチング)とが同時に終了することから、エッチング工程は、1度(1回)のウエットエッチングで済むことになる。
なお、エッチング液には、フッ化水素酸液、またはフッ化アンモニウムとフッ化水素酸の混合液であるバッファードフッ化水素酸液などのフッ酸含有液を用いる。
なお、各図中の端面(側面)の傾斜は、水晶のエッチング異方性によるものである。Z’軸方向を向く端面にも傾斜は付くが、本実施形態では省略してある。
ついで、図5(e)に示すように、第1マスク301及び第2マスク302を図示しない剥離剤により剥離し、水晶基板10を清浄にする。
後工程で、水晶基板10に励振電極13,14及びマウント電極17,18を形成することにより、図1、図2に示すような水晶振動片1を得る。
この結果、水晶振動片1の製造方法は、水晶基板10の外形形状の形成と肉薄部15の形成とを一括して行うことができ、水晶振動片1の生産性を向上させることができる。
次に、第1実施形態の変形例について説明する。
図6は、第1実施形態の変形例の水晶振動片の概略構成を示す模式斜視図である。なお、第1実施形態との共通部分には、同一符号を付して詳細な説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。なお、図6では、図1に対して水晶振動片を反転してある。
水晶振動片2は、水晶基板10の肉薄部15が第2主面12側の一端部12aの両端(+Z’側の端及び−Z’側の端)に設けられている。
この結果、水晶振動片2は、第1実施形態より機械的強度を向上させることができる。
これにより、水晶振動片2は、耐衝撃性を向上させることができる。
なお、水晶振動片2は、肉薄部15が第2主面12側ではなく、第1主面11側に設けられていてもよい。
また、水晶振動片2の製造方法は、第1実施形態の製造方法に準じるので説明を省略する。
次に、上述した振動片と、振動片が収容されている容器と、を備えている振動子の一例としての水晶振動子について説明する。
パッケージ20は、平面形状が略矩形で凹部22が設けられたパッケージベース21と、パッケージベース21の凹部22を覆う平板状のリッド23と、を備え、略直方体形状に形成されている。
リッド23には、パッケージベース21と同材料、または、コバール、42アロイなどの金属が用いられている。
水晶振動片1は、固定部16(肉薄部15(マウント電極17,18)及び段差部15aと、その周囲19)が、内部端子24a,24bに、例えば、銀粉、金粉、銅粉、アルミニウム粉、カーボン粉、グラファイト粉などの導電フィラーが混合された、エポキシ系、シリコーン系、ポリイミド系などの接着剤としての導電性接着剤30で固定されている。
これにより、水晶振動片1のマウント電極17,18と内部端子24a,24bとが電気的に接続されることになる。
ここで、導電性接着剤30は、薄く塗布されていれば、バインダー成分が少ないことから、硬化に要する時間が短くなる(硬化が早くなる)とともに収縮量は小さくなり、厚く塗布されていれば、バインダー成分が多いことから、硬化に要する時間が長くなる(硬化が遅くなる)とともに収縮量は大きくなる。
電極端子26a,26bは、図示しない内部配線により内部端子24a,24bと電気的に接続されている。詳述すると、電極端子26aは、内部端子24aと電気的に接続され、電極端子26bは、内部端子24bと電気的に接続されている。
なお、内部端子24a,24b、電極端子26a,26bは、例えば、W(タングステン)、Mo(モリブデン)などのメタライズ層にNi(ニッケル)、Au(金)などの各被膜をメッキなどにより積層した金属被膜からなる。
なお、パッケージベース21の気密に封止された凹部22内は、減圧された真空状態(真空度の高い状態)または窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスが充填された状態となっている。
この結果、水晶振動片1は、図7(b)に示すように、導電性接着剤30が薄くて早く硬化し収縮量が小さい周囲19側を支点にして、厚くて遅く硬化し収縮量が大きい肉薄部15側の導電性接着剤30の収縮作用によって、一端部12aの反対側の他端部12bが持ち上がることになる。
これにより、水晶振動子5は、水晶振動片1のパッケージ20との干渉(具体的には、内底面22aとの接触など)を回避できることから、周波数変動などが生じ難くなり、振動特性を向上させることができる。
これにより、水晶振動子5は、導電性接着剤30による水晶振動片1の固定箇所が1箇所となることから、固定箇所が2箇所の場合より熱応力の緩和を図ることができ、振動特性を更に向上させることができる。
次に、上述した振動片と、振動片を駆動する回路と、を備えている発振器の一例としての水晶発振器について説明する。
ICチップ40は、図示しない接続パッドが、Au(金)、Al(アルミニウム)などの金属ワイヤー41により、収容凹部22bの底面22cに設けられている内部接続端子22dと電気的に接続されている。
なお、ICチップ40の接続パッドと内部接続端子22dとの接続には、金属ワイヤー41を用いたワイヤーボンディングによる接続方法以外に、ICチップ40を反転させてのフリップチップ実装による接続方法などを用いてもよい。
そして、水晶発振器6は、この発振に伴って生じる発振信号をICチップ40、電極端子26a,26d(26c,26b)などを経由して外部に出力する。
なお、水晶発振器6は、水晶振動片1に代えて、変形例の水晶振動片2を用いても、上記と同様の効果、及び変形例の水晶振動片2特有の効果が奏された水晶発振器を提供することができる。
次に、上述した振動片を備えている電子機器として、携帯電話機を一例に挙げて説明する。
図9は、第4実施形態の携帯電話機を示す模式斜視図である。
携帯電話機700は、上記第1実施形態の水晶振動片1または変形例の水晶振動片2を備えている携帯電話機である。
図9に示す携帯電話機700は、上述した水晶振動片(1または2)を、例えば、基準クロック発振源などのタイミングデバイスとして用い、更に液晶表示装置701、複数の操作ボタン702、受話口703、及び送話口704を備えて構成されている。
これによれば、携帯電話機700は、水晶振動片(1または2)を備えていることから、上記第1実施形態及び変形例で説明した効果が奏され、優れた性能を発揮することができる。
なお、携帯電話機700の形態は、図示のタイプに限定されるものではなく、いわゆるスマートフォンタイプでもよい。
次に、上述した振動片を備えている移動体として、自動車を一例に挙げて説明する。
図10は、第5実施形態の自動車を示す模式斜視図である。
自動車800は、上記第1実施形態の水晶振動片1または変形例の水晶振動片2を備えている自動車である。
自動車800は、上述した水晶振動片(1または2)を、例えば、搭載されている各種電子制御式装置(例えば、電子制御式燃料噴射装置、電子制御式ABS装置、電子制御式一定速度走行装置など)の基準クロックを発生するタイミングデバイスとして用いている。
これによれば、自動車800は、水晶振動片(1または2)を備えていることから、上記第1実施形態及び変形例で説明した効果が奏され、優れた性能を発揮することができる。
また、厚みすべり振動の駆動方法は、圧電体の圧電効果によるものの他に、クーロン力による静電駆動であってもよい。
Claims (6)
- 第1主面および前記第1主面の裏側である第2主面を含む基板を有し、平面視で前記基板の一方の端部側であって、前記第1主面側に配置されている固定部、および前記第1主面側であって、平面視で前記固定部と離間して配置されている励振電極を備えている振動片と、
前記振動片が収容されている容器と、
前記固定部を前記容器に固定している接着剤と、
を備え、
前記固定部と前記励振電極とが並ぶ方向に対して交差し、且つ、前記第1主面に沿った方向から見たとき、
前記固定部は、
前記第1主面側の前記励振電極が設けられている領域の延長線上にある第1の辺と、
前記一方の端部の端縁と接続し、前記第1の辺よりも前記第2主面側にある第2の辺と、
前記第1の辺と前記第2の辺とを繋いでおり、前記第1の辺と前記第2の辺との間に段差を構成しているとともに、前記第1の辺の法線方向に対して傾斜している第3の辺と、
を有し、
前記接着剤は、平面視で、前記第1の辺、前記第3の辺、および前記第2の辺を含む領域と重なっていることを特徴とする振動子。 - 請求項1において、
前記第1の辺、前記第2の辺および前記第3の辺には、前記励振電極から引き出された電極が配置されていることを特徴とする振動子。 - 請求項2において、
前記容器は、内部に接続端子を有し、
前記固定部は前記接着剤を介して前記接続端子に固定されていることを特徴とする振動子。 - 請求項1ないし3のいずれか一項に振動子を備えていることを特徴とする電子機器。
- 請求項1ないし3のいずれか一項に振動子を備えていることを特徴とする移動体。
- 第1主面および前記第1主面の裏側である第2主面を含む基板を有し、平面視で前記基板の一方の端部側であって、前記第1主面側に配置されている固定部、および前記第1主面側であって、平面視で前記固定部と離間して配置されている励振電極を備えている振動片と、
前記振動片を駆動する回路と、
前記振動片および前記回路が収容されている容器と、
前記固定部を前記容器に固定している接着剤と、
を備え、
前記固定部と前記励振電極とが並ぶ方向に対して交差し、且つ、前記第1主面に沿った方向から見たとき、
前記固定部は、
前記第1主面側の前記励振電極が設けられている領域の延長線上にある第1の辺と、
前記一方の端部の端縁と接続し、前記第1の辺よりも前記第2主面側にある第2の辺と、
前記第1の辺と前記第2の辺とを繋いでおり、前記第1の辺と前記第2の辺との間に段差を構成しているとともに、前記第1の辺の法線方向に対して傾斜している第3の辺と、
を有し、
前記接着剤は、平面視で、前記第1の辺、前記第3の辺、および前記第2の辺を含む領域と重なっていることを特徴とする発振器。
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