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JP6315714B2 - 燃料電池システムの運転制御方法 - Google Patents

燃料電池システムの運転制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池、前記燃料ガスを供給する燃料ガス供給装置、及び前記酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給装置を備える燃料電池システムの運転制御方法に関する。
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる電解質膜の一方の面にアノード電極が、他方の面にカソード電極が、それぞれ配設された電解質膜・電極構造体(MEA)を備えている。電解質膜・電極構造体は、セパレータによって挟持されることにより、発電セル(単位セル)が構成されている。通常、所定の数の発電セルを積層して構成された燃料電池スタックを組み込む燃料電池システムが、例えば、燃料電池車両(燃料電池電気自動車等)に搭載されている。
燃料電池システムでは、カソード側からアノード側に不純物(窒素ガス等)が透過する場合がある。このため、特に燃料電池システムの起動直後に、発電セルに供給される燃料ガス濃度が低下し、迅速に所望の発電性能を発揮することができないおそれがある。
そこで、例えば、特許文献1に開示されている燃料電池システムが知られている。この燃料電池システムの運転は、制限設定部と、運転制御部によって制御されている。制限設定部は、水素極に供給される気体中の不純物濃度に関連する所定のパラメータに応じて燃料電池システムの出力制限を設定している。運転制御部は、設定された出力制限を超えない範囲で発電するよう、水素供給部及び酸素供給部を制御している。
これにより、水素極に供給される気体中の不純物濃度に基づいて、出力を制限することができ、不純物濃度が高い場合に過度の発電を抑制することができ、燃料電池スタックへの損傷を低減することができる、としている。
特開2004−172026号公報
通常、燃料電池システムを制御するためには、運転条件であるガス供給量やガス圧力を設定するための目標電流値と、実際に燃料電池から電流を引くための電流指令値とが用いられている。
しかしながら、特許文献1の燃料電池システムでは、出力制限をかける場合に、目標電流値又は電流指令値のいずれに制限をかけるのかが不明である。このため、例えば、通常運転時に、目標電流値に制限をかけてしまうと、ガス供給量やガス圧力も制限されてしまう。従って、出力加速要求がなされた際であっても、所望の出力加速が得られないという問題がある。一方、電流指令値に制限をかけてしまうと、電流を引くことができないにも関わらず、酸化剤ガス(空気)が過剰に供給され、燃料電池内には、過乾燥状態(ドライアップ)が発生するという問題がある。しかも、カソード側の圧力が過大となり、前記カソード側の圧力とアノード側の圧力との極間差圧が大きくなり過ぎるという問題がある。
本発明は、この種の問題を解決するものであり、簡単な制御で、迅速に電流を引くことができ、しかも酸化剤ガスの過剰供給を抑制して良好な運転を継続することが可能な燃料電池システムの運転制御方法を提供することを目的とする。
本発明に係る運転制御方法が適用される燃料電池システムは、燃料電池と、前記燃料電池に燃料ガスを供給する燃料ガス供給装置と、前記燃料電池に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給装置と、運転条件を算出するための目標電流値と前記燃料電池より電流を引くための電流指令値とを用いて燃料電池システムを制御する制御部と、を備えている。燃料電池は、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する。
燃料電池システムの起動時には、燃料電池に供給される燃料ガスの供給圧力を、前記燃料電池システムの起動完了後の前記燃料ガスの供給圧力よりも上昇させるとともに、前記燃料ガスの圧力に応じて、前記運転条件である酸化剤ガス供給流量を算出するための目標電流値に電流制限をかけている。
また、この運転制御方法では、目標電流値の電流制限を行う際には、前記電流制限にレートリミットを設けることが好ましい。
さらに、この運転制御方法では、燃料電池システムの起動完了後で、目標電流値に対する電流制限から、燃料電池より電流を引くための電流指令値に対する電流制限に変更される際、急激な変化を抑制するためのレートリミットを設けることが好ましい。
さらにまた、この運転制御方法では、燃料ガスの圧力が高い程、不純物濃度が低い程、又は前記燃料ガスの濃度が高い程、電流制限を緩和させることが好ましい。
また、この運転制御方法では、燃料電池システムの起動完了後には、燃料ガスの圧力に基づいて、燃料電池から電流を引くための電流指令値に電流制限をかけることが好ましい。
本発明によれば、燃料電池システムの起動時には、燃料電池に供給される燃料ガスの供給圧力を、通常運転時の前記燃料ガスの供給圧力よりも上昇させている。このため、燃料ガスのストイキを確保することができ、所望の電流値を素早く取り出すことが可能になる。しかも、燃料ガスの圧力に応じて、運転条件を算出するための目標電流値に電流制限をかけている。従って、酸化剤ガスが過剰に供給されることがなく、燃料電池の過乾燥状態(ドライアップ)を確実に抑制することができる。
本発明の実施形態に係る運転制御方法が適用される燃料電池システムの概略構成説明図である。 前記運転制御方法において、アノード圧力を上昇させる際のタイムチャートである。 前記運転制御方法において、目標電流値に電流制限をかける際のタイムチャートである。 前記運転制御方法において、アノード圧力を上昇させる際の別のタイムチャートである。 従来の運転制御方法において、電流指令値に電流制限をかける際のタイムチャートである。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る運転制御方法が適用される燃料電池システム10は、例えば、燃料電池電気自動車等の燃料電池車両(図示せず)に搭載される。
燃料電池システム10は、燃料電池スタック12を備える。燃料電池スタック12には、燃料ガスである、例えば、水素ガスを供給する燃料ガス供給装置14と、酸化剤ガスである、例えば、空気を供給する酸化剤ガス供給装置16と、冷却媒体を供給する冷却媒体供給装置18とが設けられる。燃料電池システム10は、さらにエネルギ貯蔵装置であるバッテリ20と、システム制御装置である制御部22とを備える。
燃料電池スタック12は、複数の発電セル24が水平方向又は鉛直方向に積層される。発電セル24は、電解質膜・電極構造体26を第1セパレータ28及び第2セパレータ30で挟持する。第1セパレータ28及び第2セパレータ30は、金属セパレータ又はカーボンセパレータにより構成される。
電解質膜・電極構造体26は、例えば、水分が含まれたパーフルオロスルホン酸の薄膜である固体高分子電解質膜32と、前記固体高分子電解質膜32を挟持するアノード電極34及びカソード電極36とを備える。固体高分子電解質膜32は、フッ素系電解質の他、HC(炭化水素)系電解質が使用される。
第1セパレータ28は、電解質膜・電極構造体26との間に、アノード電極34に水素ガスを供給するための水素ガス流路38を設ける。第2セパレータ30は、電解質膜・電極構造体26との間に、カソード電極36に空気を供給するための空気流路40を設ける。互いに隣接する第1セパレータ28と第2セパレータ30との間には、冷却媒体を流通させるための冷却媒体流路42が設けられる。
燃料電池スタック12には、水素ガス入口44a、水素ガス出口44b、空気入口46a、空気出口46b、冷却媒体入口48a及び冷却媒体出口48bが設けられる。水素ガス入口44aは、各発電セル24の積層方向に貫通するとともに、水素ガス流路38の供給側に連通する。水素ガス出口44bは、各発電セル24の積層方向に貫通するとともに、水素ガス流路38の排出側に連通する。水素ガス流路38、水素ガス入口44a及び水素ガス出口44bにより、アノード流路が構成される。
空気入口46aは、各発電セル24の積層方向に貫通するとともに、空気流路40の供給側に連通する。空気出口46bは、各発電セル24の積層方向に貫通するとともに、空気流路40の排出側に連通する。空気流路40、空気入口46a及び空気出口46bにより、カソード流路が構成される。
冷却媒体入口48aは、各発電セル24の積層方向に貫通するとともに、冷却媒体流路42の供給側に連通する。冷却媒体出口48bは、各発電セル24の積層方向に貫通するとともに、冷却媒体流路42の排出側に連通する。
燃料ガス供給装置14は、高圧水素を貯留する水素タンク50を備え、この水素タンク50は、水素ガス供給路52を介して燃料電池スタック12の水素ガス入口44aに連通する。水素ガス供給路52は、燃料電池スタック12に水素ガスを供給する。
水素ガス供給路52には、インジェクタ54及びエゼクタ56が直列に設けられるとともに、前記インジェクタ54及び前記エゼクタ56を跨いでバイパス供給路58が接続される。バイパス供給路58には、BP(バイパス)インジェクタ60が設けられる。BPインジェクタ60は、燃料電池スタック12の始動時や高負荷発電が要求された際等に、高濃度な水素を供給するために使用されるサブインジェクタである一方、インジェクタ54は、通常の発電時に主として使用されるメインインジェクタである。
燃料電池スタック12の水素ガス出口44bには、水素ガス排出路(オフガス配管)62が連通する。水素ガス排出路62は、アノード電極34で少なくとも一部が使用された水素ガスである水素排ガスを、燃料電池スタック12から導出する。水素ガス排出路62には、気液分離器64が接続されるとともに、前記気液分離器64の下流から分岐する水素循環流路66を介してエゼクタ56が接続される。水素循環流路66には、水素ポンプ68が設けられる。水素ポンプ68は、特に起動時に、水素ガス排出路62に排出された水素排ガスを、水素循環流路66を通って水素ガス供給路52に循環させる。
水素ガス排出路62の下流には、パージ流路70の一端が連通するとともに、前記パージ流路70の途上には、パージ弁72が設けられる。気液分離器64の底部には、主に液体成分を含む流体を排出する排水流路74の一端が接続される。排水流路74の途上には、ドレイン弁76が配設される。
燃料ガス供給装置14は、アノード流路の水素ガス圧力を検出するために、例えば、水素ガス供給路52に水素ガス入口44aの近傍に位置してアノード圧力センサ77を備え、前記アノード圧力センサ77の検出信号が制御部22に送られる。
酸化剤ガス供給装置16は、大気からの空気を圧縮して供給するエアポンプ(例えば、ターボ型コンプレッサ)78を備え、前記エアポンプ78が空気供給路80に配設される。空気供給路80は、燃料電池スタック12に空気を供給する。
空気供給路80は、エアポンプ78の下流側に位置して供給側開閉弁(入口封止弁)82a及び加湿器84を配設するとともに、燃料電池スタック12の空気入口46aに連通する。空気供給路80には、加湿器84を跨いでバイパス供給路86が接続される。バイパス供給路86には、開閉弁88が設けられる。
燃料電池スタック12の空気出口46bには、空気排出路90が連通する。空気排出路90には、供給空気と排出空気との間で水分及び熱を交換する加湿器84、排出側開閉弁(出口封止弁)82b及び背圧弁92が配設される。空気排出路90は、カソード電極36で少なくとも一部が使用された空気である排出空気を、燃料電池スタック12から排出する。空気排出路90の下流には、パージ流路70の他端及び排水流路74の他端が接続され、希釈部を構成する。
空気供給路80と空気排出路90とには、供給側開閉弁82aの上流側と排出側開閉弁82bの下流側及び背圧弁92の下流側とに位置して、バイパス流路94の両端が連通する。バイパス流路94には、前記バイパス流路94を流通する空気の流量を調整するBP流量調整弁96が配設される。空気供給路80と空気排出路90とには、供給側開閉弁82aの下流側及び排出側開閉弁82bの上流側に位置して、空気循環流路98が連通する。空気循環流路98には、循環ポンプ100が配置される。循環ポンプ100は、空気排出路90に排出された排出空気を、空気循環流路98を通って空気供給路80に循環させる。
酸化剤ガス供給装置16は、カソード流路の空気圧力を検出するために、例えば、空気供給路80の任意の位置、又は、空気排出路90の任意の位置に、カソード圧力センサ101を備える。カソード圧力センサ101の検出信号は、制御部22に送られる。
冷却媒体供給装置18は、燃料電池スタック12の冷却媒体入口48aに接続される冷却媒体供給路102を備え、前記冷却媒体供給路102の途上には、水ポンプ104が配置される。冷却媒体供給路102は、ラジエータ106に接続されるとともに、前記ラジエータ106には、冷却媒体出口48bに連通する冷却媒体排出路108が接続される。
このように構成される燃料電池システム10の動作について、以下に説明する。
燃料ガス供給装置14では、水素タンク50から水素ガス供給路52に水素ガスが供給される。この水素ガスは、インジェクタ54及びエゼクタ56を通って燃料電池スタック12の水素ガス入口44aに供給される。水素ガスは、水素ガス入口44aから水素ガス流路38に導入され、前記水素ガス流路38に沿って移動することにより電解質膜・電極構造体26のアノード電極34に供給される。
酸化剤ガス供給装置16では、エアポンプ78の回転作用下に、空気供給路80に空気が送られる。この空気は、加湿器84を通って加湿された後、燃料電池スタック12の空気入口46aに供給される。空気は、空気入口46aから空気流路40に導入され、前記空気流路40に沿って移動することにより電解質膜・電極構造体26のカソード電極36に供給される。
従って、各電解質膜・電極構造体26では、アノード電極34に供給される水素ガスと、カソード電極36に供給される空気中の酸素とが、電極触媒層内で電気化学反応により消費されて発電が行われる。
また、冷却媒体供給装置18では、水ポンプ104の作用下に、冷却媒体供給路102から燃料電池スタック12の冷却媒体入口48aに純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。冷却媒体は、冷却媒体流路42に沿って流動し、発電セル24を冷却した後、冷却媒体出口48bから冷却媒体排出路108に排出される。
次いで、アノード電極34に供給されて一部が消費された水素ガス(水素排ガス)は、水素ガス出口44bから水素ガス排出路62に排出される。水素排ガスは、水素ガス排出路62から水素循環流路66に導入され、エゼクタ56の吸引作用下に水素ガス供給路52に循環される。水素ガス排出路62に排出された水素排ガスは、必要に応じて、パージ弁72の開放作用下に希釈部に排出(パージ)される。
同様に、カソード電極36に供給されて一部が消費された空気(排出空気)は、空気出口46bから空気排出路90に排出される。排出空気は、加湿器84を通って空気供給路80から供給される新たな空気を加湿するとともに、背圧弁92の設定圧力に調整された後、希釈部に排出される。なお、空気排出路90に排出された空気は、必要に応じて、循環ポンプ100の作用下に空気循環流路98を通って空気供給路80に循環する。
次いで、本実施形態に係る燃料電池システム10の運転制御方法について、図2及び図3に示すタイムチャートに沿って、以下に説明する。
まず、例えば、イグニッションスイッチがONされることにより、制御部22に起動信号が入力される。このため、燃料電池システム10が起動され、例えば、燃料電池コンタンクタ(図示せず)がONされ、水素ガス量(燃料ガス量)及び空気量(酸化剤ガス量)が設定される。
そこで、図2に示すように、燃料電池システム10が起動されると、燃料電池スタック12に供給される水素ガスの供給圧力(アノード圧力)が、通常運転時のアノード圧力(従来)よりも上昇される。
従って、アノード圧力の上昇により、水素ガスのストイキ(アノードストイキ)を確保することができ、電流制限は、従来の電流制限よりも高くなっている。燃料電池スタック12から取り出し可能な電流値が、従来よりも大きくなるからである。
さらに、起動処理である起動パージ、すなわち、アノード側の水素ガス置換が行われている間、燃料電池スタック12に供給される水素ガス中の不純物濃度が低下していく。この不純物濃度が低下するのに伴って、電流制限が高くなっている。換言すれば、不純物濃度が低い程、あるいは、水素ガス濃度が高い程、電流制限を緩和させている。
次に、起動パージが終了した後(起動完了後)、アノード圧力が低下する。このため、目標電流値に応じて下降され、通常運転条件に移行する際、レートリミットを設けることにより、前記アノード圧力の急激な変動を抑制することが好ましい。通常運転時には、水素ガスの供給量に基づいて、燃料電池スタック12から電流を引くための電流指令値に電流制限がかけられる。目標電流値に電流制限がかけられると、圧力指令値も小さくなってアノード圧力を上げることができないからである。
一方、燃料電池システム10の起動直後には、水素ガスの圧力に応じて、運転条件(ガス流量及びガス圧力)を算出するための目標電流値に電流制限がかけられる。これにより、図3に示すように、燃料電池スタック12に供給される空気の流量(エア流量)は、前記燃料電池スタック12に供給される水素ガスの流量に対応した適正なエア流量と同一になる。
さらに、起動直後において、水素ガスの供給流量による目標電流値の電流制限には、レートリミットが設けられる。水素ガスの供給流量は、インジェクタ54(又はBPインジェクタ60)の動作に伴って脈動している。このため、電流制限値の変化をなだらかにすることにより、電流制限の脈動を低減させることができる。
また、図2に示す電流制限の制御に代えて、図4に示す電流制限を行うことができる。起動処理である起動パージ中には、アノード圧力の上昇に伴って電流制限が高く設定されており、前記起動パージが終了した際に、不純物濃度の低下が完了したと判断する。そして、アノード圧力が、目標電流値に応じて下降され、通常運転条件に移行する。その際、レートリミットを設けることにより、アノード圧力の急激な変動を抑制することが好ましい。
この場合、本実施形態では、図2に示すように、燃料電池システム10の起動時には、燃料電池スタック12に供給される水素ガスの供給圧力(アノード圧力)が、通常運転時の前記水素ガスの供給圧力よりも上昇されている。従って、水素ガスのストイキを確保することができ、燃料電池スタック12から所望の電流値を素早く取り出すことが可能になる。
しかも、水素ガスの圧力に応じて、運転条件(ガス流量及びガス圧力)を算出するための目標電流値に電流制限がかけられている。従って、図3に示すように、空気が過剰に供給されることがなく、燃料電池スタック12の過乾燥状態(ドライアップ)を確実に抑制することができる。
ここで、図5には、電流指令値に電流制御をかける従来制御によるタイムチャートが示されている。従来制御では、燃料電池スタック12に供給される水素ガスの流量に対応した電流指令値に、電流制限がかけられるため、前記燃料電池スタック12から引かれる電流値が制限されている。
しかしながら、目標電流値は、高く設定されており、燃料電池スタック12には、前記目標電流値に対応した流量の空気が供給されている。このため、燃料電池システム10の起動直後では、燃料電池スタック12に供給される空気流量は、適正な空気流量よりも多く、すなわち、過剰になってしまう(図4中、過剰領域S参照)。従って、燃料電池スタック12の過乾燥状態(ドライアップ)が惹起されるとともに、アノード流路側とカソード流路側との極間差圧が過大となるおそれがある。
また、本実施形態では、燃料電池システム10の起動直後には、水素ガスの供給流量に応じて目標電流値の電流制限を行う際、前記電流制限にレートリミットが設けられている。これにより、インジェクタ54(又はBPインジェクタ60)の動作に伴う脈動の影響を削減させることができ、運転制御が安定して遂行される。
さらに、燃料電池システムの起動完了後で、目標電流値に対する電流制限から、燃料電池スタック12より電流を引くための電流指令値に対する電流制限に変更される際、レートリミットが設けられている。このため、アノード圧力の急激な変化を抑制することが可能になる。
さらにまた、水素ガスの圧力が高い程、不純物濃度が低い程、又は前記水素ガスの濃度が高い程、電流制限を緩和させている。従って、目標電流値を有効に高く設定することができる。
また、燃料電池システム10の通常運転時には、水素ガスの圧力に基づいて、燃料電池スタック12から電流を引くための電流指令値に電流制限がかけられている。通常運転時には、目標電流値に電流制限がかけられないため、ガス環境を迅速に整えることができ、その後の出力加速に容易且つ確実に対応することが可能になる。
10…燃料電池システム 12…燃料電池スタック
14…燃料ガス供給装置 16…酸化剤ガス供給装置
18…冷却媒体供給装置 20…バッテリ
22…制御部 24…発電セル
26…電解質膜・電極構造体 28、30…セパレータ
32…固体高分子電解質膜 34…アノード電極
36…カソード電極 38…水素ガス流路
40…空気流路 50…水素タンク
52…水素ガス供給路 77、101…圧力センサ
78…エアポンプ 80…空気供給路
82a…供給側開閉弁 82b…排出側開閉弁
84…加湿器 90…空気排出路
92…背圧弁 94…バイパス流路
96…BP流量調整弁 98…空気循環流路
100…循環ポンプ

Claims (5)

  1. 燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池と、
    前記燃料電池に前記燃料ガスを供給する燃料ガス供給装置と、
    前記燃料電池に前記酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給装置と、
    運転条件を算出するための目標電流値と前記燃料電池より電流を引くための電流指令値とを用いて燃料電池システムを制御する制御部と、
    を備える燃料電池システムの運転制御方法であって、
    前記燃料電池システムの起動時には、前記燃料電池に供給される前記燃料ガスの供給圧力を、前記燃料電池システムの起動完了後の前記燃料ガスの供給圧力よりも上昇させるとともに、
    前記燃料ガスの圧力に応じて、前記運転条件である酸化剤ガス供給流量を算出するための前記目標電流値に電流制限をかけることを特徴とする燃料電池システムの運転制御方法。
  2. 請求項1記載の運転制御方法であって、前記目標電流値の電流制限を行う際には、前記電流制限にレートリミットを設けることを特徴とする燃料電池システムの運転制御方法。
  3. 請求項1又は2記載の運転制御方法であって、前記燃料電池システムの起動完了後で、前記目標電流値に対する電流制限から、前記燃料電池より電流を引くための前記電流指令値に対する電流制限に変更される際、急激な変化を抑制するためのレートリミットを設けることを特徴とする燃料電池システムの運転制御方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の運転制御方法であって、前記燃料ガスの圧力が高い程、不純物濃度が低い程、又は前記燃料ガスの濃度が高い程、前記電流制限を緩和させることを特徴とする燃料電池システムの運転制御方法。
  5. 請求項1記載の運転制御方法であって、前記燃料電池システムの起動完了後には、前記燃料ガスの圧力に基づいて、前記燃料電池から電流を引くための前記電流指令値に電流制限をかけることを特徴とする燃料電池システムの運転制御方法。
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