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JP6314752B2 - 電動ステアリング制御装置 - Google Patents

電動ステアリング制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、ハンドル軸に加わる操舵トルクに応じたアシストトルクをモータによって出力することで操舵特性を制御する電動ステアリング制御装置に関する。
電動ステアリング制御装置の一つとして、操舵トルクの検出値とモータ電流値から求めたアシストトルクの検出値との和から操舵トルクの目標値を求め、その目標値と操舵トルクの検出値との差が小さくなるようにモータを駆動することで、アシストトルクを発生させるものが知られている(特許文献1参照)。
特許第4161707号公報
しかしながら、操舵トルクの検出値にはノイズが重畳されるため、操舵トルクの検出値から操舵トルクの目標値を設定し、モータを制御しようとすると、モータの制御にもその影響が発生し、例えば振動が発生してしまうという問題があった。また、操舵トルクの検出値はドライバが操作した結果であることから、操舵トルクの検出値に基づく制御は後追いの制御となるため、応答性が悪いという問題もあった。
本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであり、操舵系のノイズに対するロバスト性、応答性を向上させる技術を提供することを目的とする。
本発明の電動ステアリング制御装置は、操舵目標値生成手段と、指令値生成手段と、モータ駆動手段とを備える。操舵目標値生成手段は、操舵トルクの目標値とアシストトルクから推定される状態量に基づいて操舵トルクの目標値を生成する。指令値生成手段は、操舵トルクの目標値と操舵トルクの検出値との偏差が小さくなるようにモータを制御するための指令値を生成する。モータ駆動手段は、指令値に基づいてモータを駆動させる。
つまり、従来技術と比較して、操舵トルクの検出値の代わりにノイズの重畳がない操舵トルクの目標値を用いて、その後の制御で使用する操舵トルクの目標値を設定している。
従って、本発明によれば、モータの制御がセンサに含まれるノイズの影響を受けることによって発生する制御系の振動を抑制することができる。特に状態量(例えば路面反力)の推定に使用する信号の1つであるアシストトルクは、その指令値を使用した場合、検出したトルク電流から求めたアシストトルクを使用する場合とは異なりノイズが重畳されないため、より一層、ノイズの影響を抑制することができる。また、操舵トルクの目標値は、ドライバが操作した結果ではなく、その予定値でもあることから、操舵トルクの目標値に基づく制御は先回りの制御となるため、制御の応答性を向上させることができる。
また、本発明では、操舵トルクの目標値を生成する際に使用する状態量として、路面反力の他、車両の横加速度や車両のヨーレート等の物理量に変換することもできる。これらの状態量は、ドライバが直感的に感じることができるため、操舵フィール(すなわち、状態量から操舵トルクの目標値への変換特性)の調整を直感的に行うことができる。
なお、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
電動パワーステアリングシステムの概略構成を表す構成図である。 ECUの制御機構の概略構成を表す構成図である。 第1実施形態におけるベースアシスト部の概略構成を表す構成図である。 目標操舵トルクTsを設定するためのトルクマップの一例である。 ベースアシスト部を簡素化して表す構成図である。 アシスト特性(操舵トルクTsからベースアシスト指令Tbへの伝達特性)を周波数に応じて示すグラフである。 操舵トルクTsからベースアシスト指令Tbへの伝達特性を示すグラフである。 操舵トルクTs開ループ特性(ナイキスト線図)である。 第2実施形態におけるベースアシスト部の概略構成を表す構成図である。 路面反力を横加速度に変換する変換係数に関する説明図である。
以下に本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[第1実施形態]
<構成>
本実施形態の電動パワーステアリングシステム1は、図1に示すように、ドライバによるハンドル2の操作をモータ6によってアシストするものである。ハンドル2は、ステアリングシャフト3の一端に固定され、ステアリングシャフト3の他端にはトルクセンサ4が接続されており、このトルクセンサ4の他端には、インターミディエイトシャフト5が接続されている。なお、以下の説明では、ステアリングシャフト3からトルクセンサ4を経てインターミディエイトシャフト5に至る軸体全体を、まとめてハンドル軸ともいう。
トルクセンサ4は、操舵トルクTsを検出するためのセンサである。具体的には、ステアリングシャフト3とインターミディエイトシャフト5とを連結するトーションバーを有し、このトーションバーのねじれ角に基づいてそのトーションバーに加えられているトルクを検出する。
モータ6は、ハンドル2の操舵力をアシスト(補助)するものであり、減速機構6aを介してその回転がインターミディエイトシャフト5に伝達される。すなわち、減速機構6aは、モータ6の回転軸の先端に設けられたウォームギアと、このウォームギアと噛み合った状態でインターミディエイトシャフト5に同軸状に設けられたウォームホイールとにより構成されており、これにより、モータ6の回転がインターミディエイトシャフト5に伝達される。逆に、ハンドル2の操作や路面からの反力(路面反力)によってインターミディエイトシャフト5が回転されると、その回転が減速機構6aを介してモータ6に伝達され、モータ6も回転されることになる。
また、モータ6は、本実施形態ではブラシレスモータであり、内部にレゾルバ等の回転センサを備え、モータ6の回転状態を出力可能に構成されている。本実施形態のモータ6は、回転センサからの回転状態として、少なくともモータ速度ω(回転角速度を示す情報で、以下ハンドル軸の回転速度の次元で扱う)を出力可能に構成されている。
インターミディエイトシャフト5における、トルクセンサ4が接続された一端とは反対側の他端は、ステアリングギアボックス7に接続されている。ステアリングギアボックス7は、ラックとピニオンギアからなるギア機構にて構成されており、インターミディエイトシャフト5の他端に設けられたピニオンギアに、ラックの歯が噛み合っている。そのため、ドライバがハンドル2を回すと、インターミディエイトシャフト5が回転(すなわちピニオンギアが回転)し、これによりラックが左右に移動する。
ラックの両端にはそれぞれタイロッド8が取り付けられており、ラックとともにタイロッド8が左右の往復運動を行う。これにより、タイロッド8がその先のナックルアーム9を引っ張ったり押したりすることで、操舵輪である各タイヤ10の向きが変わる。また、車両における所定の部位には、車両速度Vを検出するための車速センサ11が設けられている。
このような構成により、ドライバがハンドル2を回転(操舵)させると、その回転がステアリングシャフト3、トルクセンサ4、およびインターミディエイトシャフト5を介してステアリングギアボックス7に伝達される。そして、ステアリングギアボックス7内で、インターミディエイトシャフト5の回転がタイロッド8の左右移動に変換され、タイロッド8が動くことによって、左右の両タイヤ10が操舵される。
ECU15は、図示しない車載バッテリからの電力によって動作し、トルクセンサ4にて検出された操舵トルクTs、モータ6のモータ速度ω、および車速センサ11にて検出された車両速度Vに基づいて、アシストトルク指令Taを演算する。そして、その演算結果に応じた駆動電圧Vdをモータ6へ印加することにより、ドライバがハンドル2を回す力(ひいては両タイヤ10を操舵する力)のアシスト量を制御するものである。
本実施形態ではモータ6がブラシレスモータであるため、ECU15からモータ6へ出力(印加)される駆動電圧Vdは、詳しくは、3相(U,V,W)の駆動電圧Vdu,Vdv,Vdwである。ECU15からモータ6へこれら各相の駆動電圧Vdu,Vdv,Vdwを印加(各相の駆動電流を通電)することで、モータ6の回転トルクが制御される。ブラシレスモータを3相の駆動電圧で駆動(例えばPWM駆動)する方法やその3相の駆動電圧を生成する駆動回路(例えば3相インバータ)についてはよく知られているため、ここではその詳細説明は省略する。
ECU15は、直接的にはモータ6へ印加する駆動電圧Vdを制御することによりモータ6を制御するものであるが、モータ6を制御することで結果としてそのモータ6により駆動される操舵系メカ100を制御するものであるといえ、よってECU15の制御対象はこの操舵系メカ100であるといえる。なお、操舵系メカ100は、図1に示したシステム構成図のうちECU15を除く機構全体、すなわちハンドル2から各タイヤ10に至る、ハンドル2の操舵力が伝達される機構全体を示す。
次に、ECU15の概略構成(制御機構)を図2のブロック図に示す。なお、図2に示したECU15の制御機構のうち、電流フィードバック(FB)部42を除く各部、および電流FB部42の機能の一部は、実際には、ECU15が備える図示しないCPUが所定の制御プログラムを実行することによって実現されるものである。
つまり、CPUによって実現される各種機能を機能ブロック毎に分けて図示したものが図2である。ただし、これら各図に示した制御機構がソフトウェアにて実現されることはあくまでも一例であり、図2等に示した制御機構全体または一部を例えばロジック回路等のハードウェアにて実現するようにしてもよいことはいうまでもない。
ECU15は、図2に示すように、ベースアシスト部20と、トルク補正部40と、加算器41と、電流フィードバック(FB)部42と、を備えている。
ベースアシスト部20は、操舵トルクTsと車速Vに基づき、ドライバがハンドルを操作する操舵力を補助するアシスト力を決定するブロックである。また、ベースアシスト部20は、ドライバに与える操舵フィーリング(ハンドルの重さ、粘性感、切り/戻し時のヒス特性など)をマップ等で調整できる機能を有しており、調整された操舵フィールを実現するためのモータへのアシストトルク指令を生成する。
トルク補正部40は、ドライバのハンドル操作に対する車両制御特性や操舵メカ系の伝達をドライバの意図に沿うように(具体的には車両が適切に収斂するとか、スムーズな車両旋回を発生させるなど)するためのブロックである。トルク補正部40は、操舵トルクTsとモータ速度ωと車速Vに基づき、上述した不安定な挙動を抑制(収斂)するための補正トルク指令Thを生成する。
加算器41は、ベースアシスト部20で生成されたベースアシスト指令Tb*とトルク補正部40で生成された補正トルク指令Thとを加算することにより、アシストトルク指令Taを生成する。
電流FB部42は、アシストトルク指令Taに基づき、そのアシストトルク指令Taに対応したアシストトルク(アシスト操舵力)が操舵軸(特にトルクセンサ4よりもタイヤ10側)に付与されるようにモータ6へ駆動電圧Vdを印加する。具体的には、アシストトルク指令Taに基づいて、モータ6の各相へ通電すべき目標電流(相毎の目標電流)を設定する。そして、各相の通電電流Imを検出・フィードバックして、その検出値(各相の通電電流Im)がそれぞれ目標電流と一致するように駆動電圧Vdを制御(通電電流Imを制御)することで、操舵軸に対して所望のアシストトルクを発生させる。
なお、このようなトルク補正部40および電流FB部42は公知の技術(例えば、特開2013−52793号公報参照)であるため、ここでは説明を省略し、以下では、本発明の主要部に関わるベースアシスト部20について詳述する。
<ベースアシスト部>
ベースアシスト部20は、図3に示すように、サーボコントローラ21と、目標生成部22と、偏差演算器23とを備えている。すなわち、このベースアシスト部20は、現在出力しているベースアシスト指令Tbを考慮(フィードバック)して適切な操舵トルクTsになるような、ベースアシスト指令Tbを生成するものである。そして、目標生成部22は、ベースアシスト指令Tbと自車両の走行速度(車速V)とに基づいて、操舵トルクの目標値である目標操舵トルクTsを生成する。偏差演算器23は、操舵トルクTsと目標操舵トルクTsとの差であるトルク偏差(Ts−Ts)を演算する。サーボコントローラ21は、比例器、積分器、および微分器を備えた周知のPID制御器として構成されている。そして、トルク偏差(操舵トルクTsと目標操舵トルクTsとの差)が0に近づくよう、すなわち自ら(サーボコントローラ21)が出力している状態を帰還しながら安定したアシスト操舵力(アシストトルクまたはアシスト量ともいう)を発生させるための、そのアシスト操舵力を示すベースアシスト指令Tbを生成する。
ここで、目標生成部22は、加算器31と、ローパスフィルタ(LPF)32と、絶対値生成器(|u|)33と、トルク変換器34と、符号器(sgn)35と、乗算器36とを備えている。
加算器31は、ベースアシスト指令Tbと目標操舵トルクTsとを加算することにより、路面反力を求める。ローパスフィルタ32は、ドライバが操作する周波数帯(一般的には〜10Hz)より高い周波数帯を減衰するように設定され、例えばステアリング装置(操舵系メカ100)の固有の共振周波数(例えば14Hz程度)の外乱やノイズを減衰させる機能を有する。
絶対値生成器33は、ローパスフィルタ32を通過した路面反力(Ts+Tb)を入力し、その絶対値を出力する。そして、トルク変換器34は、路面反力の絶対値|Ts+Tb|と目標操舵トルクTsとの関係を示すトルクマップに従って、路面反力に応じた目標操舵トルクの絶対値|Ts|を出力する。符号器35は、ローパスフィルタ32の出力から路面反力(Ts+Tb)の符号を抽出する。乗算器36は、トルク変換器34が出力する目標操舵トルクの絶対値|Ts|に符号器35で抽出された符号を乗じた結果を、目標操舵トルクTsとして出力する。
ここで、トルク変換器34で使用されるトルクマップは、図4に示すように、路面反力の絶対値|Ts+Tb|の増加に従って目標操舵トルクの絶対値|Ts|が単調に増加するよう設定される。特に、路面反力の絶対値|Ts+Tb|が小さな領域においては目標操舵トルクの絶対値|Ts|の増加が大きくなり、路面反力の絶対値|Ts+Tb|の大きな領域においては目標操舵トルクの絶対値|Ts|の増加が小さくなるよう設定されている。
なお、図4には、単一の特性が示されているが、実際には、車速Vに応じて異なる特性が用意されており、車速が大きくなるに従って出力される目標操舵トルクの絶対値|Ts|は大きな値となる傾向を有する。
ここで、ベースアシスト部20の特性の理解を助けるために、図3に示すベースアシスト部20の構成を簡素化すると、図5に示すように表現できる。すなわち、図5においては目標生成部22におけるフィルタ(LPF32)やサーボコントローラ21の比例器や微分器を省略している。なお、Kiは、サーボコントローラ21を構成する積分器による積分定数である。
このような構成では、下記の式が成立する。ただし、pは、変換マップにおける動作点勾配を示す(図4参照)。
上記式[3]からは、ベースアシスト部20が1次のローパスフィルタの特性を有することが分かる。
このようなベースアシスト部20によると、操舵トルクTsからベースアシスト指令Tbへの伝達は図6に示すようになる。すなわち、アシストの増大によって低周波域のゲインが上がる特性を呈する。また高周波域のゲインについては変化することなく、折れ点周波数((k・Ki)/2π)が下がるという特性を呈する。
つまりベースアシスト指令Tbを帰還することによってサーボコントローラ(ここでは低周波になるほどゲインの高い性質を持つ積分器)のゲインに制限が掛かるとともに、その制限値(上限)が動作点勾配p(=k/(1−k))の上昇(すなわち目標操舵トルクゲインkの増加)に連れて低下することが分かる。比例器、微分器があれば高周波にもゲインが生じるが、LPF32により帰還情報を低周波に限定することでその低周波の帯域のゲインのみ増減するようになる。
なお、実際の目標生成部22において、LPF32を通過する路面反力Ts+Tbの低周波成分は、トルク変換器34によって特性が設定されることになる。
<モデルを用いたシミュレーション>
次に、操舵系メカを模したモデルを用いてベースアシスト部20による特性を解析した結果を、図7,図8に示す。ここでは、目標操舵トルクゲインkを0.05程度から4程度まで変化させている。
図7からは、既に帰還の特性を説明したとおり、LPF32の遮断周波数を10Hzにしたことで、概ね10Hzよりも低周波域において目標操舵トルクゲインkが減少するに従って利得が増加し、それよりも高周波域においては、利得の変化が少なくなっていることが分かる。
また、系の安定性については、図8のナイキスト線図に示すように、アシスト量を増加させてもクリティカルポイント(座標(−1,0))を避けているので、制御対象の操舵トルクを検出してベースアシスト部20と電流FB部42を通じてモータにアシストトルクを発生させる閉ループ系が安定であることが分かる。つまり、本実施形態の電動パワーステアリングシステム1では、アシスト量を増減しても安定性に寄与する操舵系の共振周波数より高い周波数帯の特性は変えずに、操舵フィールを調整したい低周波帯の特性のみが変化する構成となっている。このことから、ドライバは操舵フィールを調整する際に、制御系の安定性を意識することなく、自由に調整をすることができる。
<効果>
以上説明したように、本実施形態では、操舵トルクの予定値(目標操舵トルク)Tsとアシストトルクの指令値(ベースアシスト指令)Tbとから路面反力(Ts+Tb)を求め、この路面反力を用いて、サーボコントローラ21に追従させる目標操舵トルクTsを生成している。つまり、目標操舵トルクTsの生成に、ノイズが重畳され易い操舵トルクTsや通電電流Imを使用していないため、目標操舵トルクTsがノイズの影響を受けること、ひいてはその目標操舵トルクTsを用いた制御によって振動が発生することを抑制することができる。換言すれば、本実施形態では操舵系のノイズに対するロバスト性を向上させることができる。
また、本実施形態では、路面反力を求める際に、操舵トルクの予定値といえる目標操舵トルクTsを用いているため、ドライバの操作した結果を表す操舵トルクTsを用いる場合と比較して、制御の応答性を向上させることができる。
更に、本実施形態では、サーボコントローラ21の制御に使用する目標操舵トルクTsを、ステアの重さが決まる根本要因である路面反力から求めている。このため、操舵特性を調整する際に、ドライバは路面反力(路面負荷)に対してどのような操舵トルク特性を実現したいかという直感的に理解しやすい指標で、適合を行うことができる。
本実施形態では、目標操舵トルクTsの生成に使用する路面反力に対してLPF32を用いてドライバが操作する周波数帯(一般的には〜10Hz)より高い周波数のゲイン特性を減衰させる機能を持たせることで、操舵フィールに影響を与えることなく、高周波帯のノイズを除去する機能を持たせている。
[第2実施形態]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。
前述した第1実施形態では、トルク変換器34は、目標操舵トルクTsを求める際に、路面反力Ts+Tbを使用している。これに対し、第2実施形態では、路面反力Ts+Tbから求めた横加速度を使用している点で第1実施形態とは相違する。
なお、本実施形態では第1実施形態とはベースアシスト部の構成、特に目標生成部の構成が一部異なるだけである。
<ベースアシスト部>
本実施形態におけるベースアシスト部20aにおいて、目標生成部22aは、図9に示すように、図3に示す目標生成部22と比較して、トルク変換器34の代わりにトルク変換器34aを備える点、および絶対値生成器33とトルク変換器34aの間に横加速度(横G)推定器37が挿入されている点が異なっている。
横G推定器37は、絶対値生成器33の出力に所定の換算係数Ktrnsを乗じることで車両に加わる横加速度Ayを求める。なお、換算係数Ktrnsは、例えば、走行試験によって路面反力Ts+Tbと横加速度Ayを計測し、その計測結果を、図10に示すように、1次関数(直線グラフ)で近似したときのグラフの傾きから求めることができる。
トルク変換器34aは、図10に示した路面反力と操舵トルクの関係を、横加速度と操舵トルクの関係に変換したトルクマップを用いて、横加速度の絶対値|Ay|から目標操舵トルクの絶対値|Ts|を求める。
<効果>
以上詳述した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果に加え、以下の効果が得られる。
すなわち、本実施形態によれば、路面反力の代わりに、操舵動作においてドライバが直接的に知覚する車両の横加速度に基づいて操舵トルク、ひいては操舵フィールを調整することができる。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得る。
(1)上記実施形態では、LPF32を加算器31とトルク変換器34との間に配置されているが、これに限定されるものではない。例えば、LPF32を、加算器31に入力される目標操舵トルクTsやベースアシスト指令Tbに作用させるように配置してもよい。
(2)上記実施形態では、トルク補正部40が設けられているが、これを省略してもよい。
(3)上記実施形態では、路面反力を求める際に、ベースアシスト指令Tbを用いているが、通電電流Imから求めたアシストトルクを用いてもよい。
(4)上記第2実施形態では、路面反力から横加速度を求めているが、これに限定されるものではなく、操舵トルクとアシストトルクから推定できる物理量であれば、適用可能である。例えば、横加速度の代わりにヨーレートを用いてもよい。
(5)上記実施形態における一つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分散させたり、複数の構成要素が有する機能を一つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加または置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
(6)本発明は、上述した電動ステアリング制御装置の他、当該電動ステアリング制御装置を構成要素とするシステム、当該電動ステアリング制御装置のベースアシスト部としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した媒体、アシストトルクの生成方法など、種々の形態で実現することもできる。
1…電動パワーステアリングシステム 2…ハンドル 3…ステアリングシャフト 4…トルクセンサ 5…インターミディエイトシャフト 6…モータ 6a…減速機構 7…ステアリングギアボックス 8…タイロッド 9…ナックルアーム 10…タイヤ 11…車速センサ 20,20a…ベースアシスト部 21…サーボコントローラ 22,22a…目標生成部 23…偏差演算器 31…加算器 32…ローパスフィルタ 33…絶対値生成器 34,34a…トルク変換器 34a…トルク変換器 35…符号器 36…乗算器 37…横加速度推定器 40…トルク補正部 41…加算器 42…電流フィードバック部 100…操舵系メカ、

Claims (5)

  1. ハンドル軸に加わる操舵トルクの検出値に応じたアシストトルクをモータによって出力することで操舵特性を制御する電動ステアリング制御装置(15)であって、
    前記操舵トルクの目標値と前記アシストトルクとの和から路面反力を推定し、前記路面反力と前記操舵トルクの目標値との対応関係を示す予め用意された関数を用いて、前記路面反力から前記操舵トルクの新たな目標値を生成する操舵目標値生成手段(22)と、
    前記操舵トルクの目標値と前記操舵トルクの検出値との偏差が小さくなるように前記モータを制御するための指令値を生成する指令値生成手段(21,23)と、
    前記指令値に基づいて前記モータを駆動させるモータ駆動手段(42)と、
    を備えることを特徴とする電動ステアリング制御装置。
  2. ハンドル軸に加わる操舵トルクの検出値に応じたアシストトルクをモータによって出力することで操舵特性を制御する電動ステアリング制御装置(15)であって、
    前記操舵トルクの目標値と前記アシストトルクとの和から路面反力を推定し、前記路面反力に予め設定された換算係数を乗じることで車両の旋回運動を表す物理量を求め、前記物理量と前記操舵トルクの目標値との対応関係を示す予め用意された関数を用いて、前記物理量から前記操舵トルクの新たな目標値を生成する操舵目標値生成手段(22a)と、
    前記操舵トルクの目標値と前記操舵トルクの検出値との偏差が小さくなるように前記モータを制御するための指令値を生成する指令値生成手段(21,23)と、
    前記指令値に基づいて前記モータを駆動させるモータ駆動手段(42)と、
    を備えることを特徴とする電動ステアリング制御装置。
  3. 前記物理量は、車両の横加速度であること特徴とする請求項に記載の電動ステアリング制御装置。
  4. 前記物理量は、車両のヨーレートであることを特徴とする請求項に記載の電動ステアリング制御装置。
  5. 前記関数は車速毎に用意されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の電動ステアリング制御装置。
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