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JP2013052792A - 電動パワーステアリング制御装置 - Google Patents

電動パワーステアリング制御装置 Download PDF

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JP2013052792A JP2011192983A JP2011192983A JP2013052792A JP 2013052792 A JP2013052792 A JP 2013052792A JP 2011192983 A JP2011192983 A JP 2011192983A JP 2011192983 A JP2011192983 A JP 2011192983A JP 2013052792 A JP2013052792 A JP 2013052792A
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JP2011192983A
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Daiji Watabe
大治 渡部
Tomoyuki Hori
智之 堀
Motoaki Kataoka
資章 片岡
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Denso Corp
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Denso Corp
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    • B62D5/046Controlling the motor
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  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)
  • Power Steering Mechanism (AREA)

Abstract

【課題】制御系全体の安定化のために制御系に設ける補償機能を簡素な構成で実現できるようにすることを目的とする。
【解決手段】目標アシストトルク演算部20にて目標アシストトルク(目標電流)を演算し、モータ6の実電流Imをその目標電流に一致させるための電流指令である基本指令を電流制御部120が演算する構成において、目標アシストトルク演算部20に位相補償器を設けていた従来の構成に対し、目標アシストトルク演算部20には位相補償器を設けず、代わりに電流制御部120に対して電流安定化補償器31をアドオンする。電流安定化補償器31は、伝達関数がs(微分演算子)の4次以下の関数で表されるものであり、実電流Imに基づき、制御系全体を安定化させるための補償指令を生成する。そして、基本指令が補償指令によって補償されてなる電流指令が、駆動回路130に入力される。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両のハンドル操作(操舵)をモータにてアシストする電動パワーステアリングシステムにおいて、このシステムを制御する電動パワーステアリング制御装置に関する。
車両のハンドル操作(操舵)をモータにてアシストする電動パワーステアリングシステムにおいては、ドライバーのハンドル操作に応じて適切なアシストトルクをモータに発生させるべく、制御装置(ECU)が、ドライバーのハンドル操作等によってハンドル軸に加えられる操舵トルクや車両速度などの各種入力信号に基づいてアシストトルクを演算し、その演算結果に基づいてモータを駆動させる。
従来の電動パワーステアリングシステムにおける、モータを駆動制御するための制御機構としては、トルクセンサにより検出された操舵トルクに基づいてモータがアシストするトルクの目標値である目標アシストトルクを演算(換言すれば、その目標アシストトルクをモータに発生させるためにモータに流すべき目標電流を演算)する目標アシストトルク演算部と、モータに実際に流れる電流を検出してその検出値(実電流)を目標電流に一致させるための電流指令を生成してモータ側へ出力する電流制御部と、により構成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
図6に、目標アシストトルク演算部と電流制御部とからなる従来の制御機構の基本的構成例を示す。図6に示すように、従来の電動パワーステアリングシステム100の制御機構は、アシストトルクを発生させるモータ6と、ハンドルから操舵輪(車輪)に至る、ドライバーのハンドル操作が伝達されるメカ機構全体であるEPSメカ140と、を備えており、これらモータ6及びEPSメカ140をまとめて本制御機構における制御対象と見なすことができる。
EPSメカ140には、操舵トルクTsを検出するトルクセンサ及び車速Vを検出する車速センサが含まれており、モータ6には、モータ6の回転速度であるモータ速度ωを検出する回転センサが含まれている。尚、モータ6の伝達関数は、図示の如く、1/(Ls+R)(但し、Lはモータのインダクタンス成分、Rはモータの抵抗成分。)で表すことができる。
そして、その制御対象を制御すべく、目標アシストトルク演算部110が、操舵トルクTs、車速V、及びモータ速度ωに基づいて、目標アシストトルク(目標電流)を演算し、その目標電流とモータ6に実際に流れる実電流Imとの差である電流偏差を偏差演算器102が演算し、その電流偏差に基づいて電流制御部120が電流指令を演算し、その電流指令に応じて駆動回路130がモータ6への通電を行う。
目標アシストトルク演算部110は、制御系(制御機構)全体を安定化させるために操舵トルクTsに対して位相補償をかけるトルク安定化補償器(位相補償器)111と、そのトルク安定化補償器111による位相補償後の値(位相補償トルク)に、車速Vに応じた所定のゲインGa(比例項)を乗じることで、上記目標アシストトルクのベースとなるベースアシストトルクを演算するベースアシスト演算部112と、車両の不安定な挙動を安定化・収斂させることを主目的として上記ベースアシストトルクを補償するための各種補償トルクを演算するアシスト補償部113と、ベースアシストトルクを各種補償トルクで補正する(即ち各補償トルクを加算する)ことで最終的な目標アシストトルク(目標電流)を演算する加算器114と、を備えている。
尚、ベースアシスト演算部112は、実際には、位相補償トルクに対するベースアシストトルクが車速V毎(例えば20km/h毎)に一対一で対応付けられたマップを有し、そのマップを元に、線形補間によって、入力された位相補償トルク及び車速Vに対する目標アシストトルクを演算する。
アシスト補償部113は、路面から車輪に加わるトルク(路面負荷)を考慮して、車両の挙動安定化・収斂等の実現のための各種補償トルクを演算する。具体的には、ハンドルを旋回させた後にセルフアライニングトルクによってハンドルが戻される感覚を実現するための補償トルクを演算する戻し制御部115や、ハンドルから手を離したときのハンドルの収束(収斂)をよくするための補償トルクを演算するダンピング制御部116などの各種の補償用の制御部を備えている。そして、これら各制御部からの各補償トルクが、加算器114によってベースアシストトルクに加算されることによって、最終的な目標アシストトルクが得られる。この目標アシストトルクは、モータ6に通電すべき目標電流を示すものである。そのため、以下の説明では、説明の便宜上、目標アシストトルクと目標電流とは同義であるものとして扱う。
電流制御部120は、偏差演算器102により演算された電流偏差に基づき、その電流偏差が0となるように、即ち実電流Imが目標電流に一致するように、モータ6への通電をフィードバック制御するための、通電指令を生成する。具体的には、比例・積分の各要素を備えたPI制御器である電流制御器121を備え、この電流制御器121が、入力された電流偏差に対して比例演算及び積分演算等を行うことで、電流指令を演算する。尚、電流制御器121には、電流偏差の他に実電流Imも入力され、実電流Imも考慮しつつ電流指令値を演算する。この電流指令は、実際にはモータ6に印加する駆動電圧を示すものであり、この電流指令に従って駆動回路130がモータ6への通電を行うことで、電流指令が示す電流がモータ6に流れる。
このように構成された従来の電動パワーステアリングシステム100の制御機構において、目標アシストトルク演算部110は、本来、入力される操舵トルクTsに対してベースアシスト演算部112が比例演算等(実際にはマップに基づく演算)によってベースアシストトルクを演算することが主たる機能である。即ち、入力された操舵トルクTsに対してどの程度のアシストトルクをモータ6に発生させるかをマップ演算する。
しかし、単に操舵トルクTsに基づくマップ演算によりベースアシストトルクを演算するだけでは、制御系全体が不安定となる。即ち、電動パワーステアリングシステムは、一般に共振特性を有しており、故に制御系全体が不安定になりやすい。
そこで、従来の制御機構では、制御系全体を安定化させるために、目標アシストトルク演算部110内にトルク安定化補償器(位相補償器)111を設け、マップ演算する前の操舵トルクTsを位相補償するようにしている。
図7に、トルク安定化補償器111の伝達関数Gpの周波数応答(ボード線図)を例示する。図7に示すように、トルク安定化補償器111のゲイン特性は、0〜1Hz程度までは0dB近傍で、1Hzから10Hzあたりにかけて一旦低下し、その後再び上昇していって、高周波領域で再び低下していくような特性となっている。
トルク安定化補償器111の役割は、上記の通り制御系全体の安定化であるが、より具体的に言い換えれば、制御系全体におけるゲイン余有と位相余有の確保であるとも言える。即ち、仮に、トルク安定化補償器111がない場合に、ベースアシスト演算部112のゲインGaを上げていくと、制御系全体の一巡周波数応答を複素平面上のベクトル軌跡で表したとき、(−1,j0)の座標(クリティカルポイント)を超えて発散してしまう。つまり、ベクトル軌跡が負の実軸においてクリティカルポイントより左側で交わるようになってしまう。このように発散してしまうのは当然ながら避けるべきである一方、ゲインGaは十分に大きな値として所望のアシストトルクを実現させることが望まれる。
そこで、ベクトル軌跡が負の実軸においてクリティカルポイントより左側で交わることを避けつつ、ゲイン余有と位相余有をともに十分大きな値とするために、従来の電動パワーステアリングシステムでは、図6に示したように目標アシストトルク演算部110にトルク安定化補償器111を設けて操舵トルクTsを位相補償するようにしているのである。
図8に、電動パワーステアリングシステム100の制御系全体における、ハンドルに加えられるトルクであるハンドルトルクに対する、トルクセンサにて検出される操舵トルクTsの周波数応答(ボード線図)の一例を示す。図8において、一点鎖線で示されている波形は、トルク安定化補償器111を有しない場合の周波数応答であり、これに対して実線で示されている波形が、トルク安定化補償器111を有する場合の周波数応答である。
尚、図中、G0,G3,G6,G9,G12,G15は、ベースアシスト演算部112の比例ゲインGaであり、G0<G3<G6<G9<G12<G15の関係にある。図8のゲイン特性から、比例ゲインGaが大きくなるほどトルクセンサからの操舵トルクTsが小さくなること、即ちモータ6によるアシストトルクが増加していることがわかる。
図8に示すように、トルク安定化補償器111を有しない制御機構では、図中一点鎖線で示すように、ゲイン特性が共振特性を有するなど、ハンドルトルクに対するトルクセンサの特性が不安定なものとなる。換言すれば、制御系全体が安定していない、即ち、制御系全体の一巡周波数応答のベクトル軌跡が負の実軸においてクリティカルポイントより左側で交わっている状態にあると言える。
これに対し、トルク安定化補償器111を有する制御機構では、図中実線で示すように、共振特性が抑制されるなど、所望の特性となっている。換言すれば、制御系全体が安定している、即ち、制御系全体の一巡周波数応答のベクトル軌跡が負の実軸においてクリティカルポイントより右側で交わっている状態にあると言える。図7に例示したような周波数特性を持つトルク安定化補償器111を用いることで、ハンドルトルクに対するトルクセンサの特性を、図8に例示するような所望の特性にすることができるのである。
特開2004−216951号公報
しかしながら、このトルク安定化補償器(位相補償器)111の設計は難しく、設計に手間がかかる上に、伝達関数Gpの次数が高くて実装も困難である。下記式(1)に、図7に示した周波数特性を有するトルク安定化補償器111の伝達関数Gpの一例を示す。
即ち、図7に例示したように、ゲイン特性については一旦低下させてその後再び上昇させるといった複雑な特性にする必要があり、どの周波数帯域でどの程度低下させるか、またどの周波数帯域でどこまで上昇させるかなどの具体的設定等が難しく、その設計は実際には多くの工数を要する。
しかも、伝達関数Gpを低次で実現するのは不可能に近く、上記式(1)に例示したように、最低でも5次以上は必要となる。そのため、制御設計についての高い知識がないと設計することができず、よって設計するのに非常に手間がかかってしまう。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、制御系全体の安定化のために制御系に設ける補償機能を簡素な構成で実現できるようにすることを目的とする。
本発明者らは、従来の電動パワーステアリングシステムの制御機構(例えば図6)をあらためて見直したとき、目標アシストトルク演算部110と電流制御部120の役割がそれぞれ固定化されているという現状、特に実電流Imが単に電流フィードバック制御のためにしか用いられていないこと、即ち、従来よく知られているモータの電流フィードバック制御と同様に目標電流への追従のために用いられているにすぎないということを再認識した。
電動パワーステアリングシステムで用いられるモータは、車両で用いられる他の各種モータと比較して特殊な部類に入り、回転方向が頻繁に切り換わったり、発生させるべきアシストトルクも常に変動したりするなど、動作が非常に複雑である。にもかかわらず、従来の電動パワーステアリングシステムにおけるモータの制御は、一般的なモーションコントロールと同様に電流フィードバック制御によって行われている。
このような現状に対し、本発明者らは、電動パワーステアリングシステム全体をみたときにモータ制御がどうあるべきか、電流検出値(実電流)を他に有効利用できないか、電動パワーステアリングシステムならではの実電流の使い方が存在するのではないか、と考えた。
そこで、実電流の有効利用と、従来のトルク安定化補償器111は設計や実装が困難であるという現状の両面から、制御系全体の安定化を、従来のように目標アシストトルクを演算する制御ブロックにおいて位相補償器を設けて実現する代わりに、実電流を元に実現すること、即ち実電流を用いて制御系安定化のための補償手段を構成することを考え、本発明に至った。
即ち、上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、車両のハンドルに連結されて該ハンドルと共に回転する入力軸と、その入力軸の回転を車両の操舵輪に伝達することにより該操舵輪を操舵させる入力伝達手段と、入力軸に加えられる軸回転方向のトルクである操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、ハンドルの操作による操舵輪の操舵時に該ハンドルの操作をアシストするためのアシストトルクを入力軸又は入力伝達手段に与えるためのモータと、を備えた電動パワーステアリングシステムに設けられ、上記モータを制御することによりアシストトルクを制御する電動パワーステアリング制御装置であって、操舵トルク検出手段により検出された操舵トルクに基づき、該操舵トルクに応じた値のアシストトルクである目標アシストトルクを発生させるためにモータに流すべき目標電流を演算する目標電流演算手段と、目標電流演算手段により演算された目標電流とモータに実際に流れる電流である実電流との差に基づき、その差が0となるようにモータの通電電流を制御するための基本指令を生成する基本指令生成手段と、実電流に基づいて、前記電動パワーステアリングシステムの制御系全体を安定化させるために上記基本指令を補償するための、補償指令を生成する補償指令生成手段と、基本指令生成手段により生成された基本指令を、補償指令生成手段により生成された補償指令により補償することによって、最終的にモータ側へ出力すべき電流指令を生成する電流指令生成手段と、電流指令生成手段により生成された電流指令に応じてモータへの通電を行うことによりモータを駆動するモータ駆動手段と、を備えている。そして、補償指令生成手段は、入力される実電流に対する、出力される補償指令の伝達関数が、微分演算子sを用いて表したときにsの4次以下の関数を用いて表されるものである。
上記構成の電動パワーステアリング制御装置によれば、従来の位相補償器のように操舵トルクに対して位相補償をかけることにより制御系全体の安定化を図るのではなく、実電流をもとに補償量(補償指令)を生成して基本指令生成手段からの基本指令を補正することで、制御系全体の安定化を実現している。そして、それを実現するための補償指令生成手段は、4次以下の低次の伝達関数にて実現できる。
このように、実電流を用いた低次の補償指令生成手段によって制御系全体の安定化を実現することで、従来煩雑且つ困難であった、安定化のための制御器の設計が大幅に容易になり、実装も非常に楽になる。そのため、従来に比べて制御機構の設計・実装にかかる工数を飛躍的に低減することができる。
尚、「制御系全体」とは、目標電流演算手段により演算された目標電流に基づいて基本指令生成手段、補償指令生成手段、及び駆動手段を経てモータが駆動され、その結果操舵トルク検出手段により検出された操舵トルクが目標電流演算手段へフィードバックされる、一巡の閉ループ系全体を意味する。また、「sの4次以下の関数」とは、伝達関数が分数関数で表されるものである場合には、その分母及び分子の双方がsの4次以下の関数であることを意味する。
補償指令生成手段の具体的構成は種々考えられるが、設計の容易性の観点からは、その伝達関数の次数はより低い方がよく、例えば請求項2に記載のようにsの2次関数を用いて表されるものであるとよい。更に、この場合において伝達関数が分数関数で表されるものである場合には、分母がsの2次関数で分子が定数の分数関数であるような伝達関数で表される補償指令生成手段を構成するとよい。
このように、伝達関数がsの2次関数で表される補償指令生成手段を構成することで、制御系全体の安定化を適切に維持しつつ、制御機構の設計や実装にかかる工数をより低減することができる。
また、低次でありながら制御系全体の安定化を適切に図ることができる補償指令生成手段の伝達関数は、より具体的には、例えば請求項4に記載のように、その周波数応答におけるゲイン特性が、所定の境界周波数より低い低周波領域では略一定のゲインとなり、境界周波数より高い高周波領域ではゲインが単調減少していくような特性を有するものとするとよい。
更に加えて、その周波数応答における位相特性については、例えば請求項5に記載のように、周波数が境界周波数から0に近づくに従って位相が180度に近付き、周波数が境界周波数から高くなるに従って位相が0度に近付いていくような特性を有するものとするとよい。
このような周波数特性を持つ補償指令生成手段を構成することで、低次且つ簡素な構成でありながら、制御系全体の安定化を適切且つ確実に図ることができる。
実施形態の電動パワーステアリングシステムの概略構成を表す構成図である。 ECU内部の概略構成を含む、電動パワーステアリングシステムの制御機構の概略構成を表す構成図である。 電流安定化補償器の設計手順を説明するための説明図である。 電流安定化補償器の周波数特性を表すボード線図である。 実施形態の電動パワーステアリングシステムにおける、ハンドルトルクに対するトルクセンサ(操舵トルク)の周波数特性を表すボード線図である。 従来の電動パワーステアリングシステムの制御機構の概略構成を表す構成図である。 従来のトルク安定化補償器(位相補償器)の周波数特性を表すボード線図である。 従来の電動パワーステアリングシステムにおける、ハンドルトルクに対するトルクセンサ(操舵トルク)の周波数特性を表すボード線図である。
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の電動パワーステアリングシステム1の概略構成を表す構成図である。本実施形態の電動パワーステアリングシステム1は、ドライバーによるハンドル2の操作をモータ6によってアシストするものである。ハンドル2は、ステアリングシャフト3の一端に固定され、ステアリングシャフト3の他端にはトルクセンサ4が接続されており、このトルクセンサ4の他端には、インターミディエイトシャフト5が接続されている。
トルクセンサ4は、操舵トルクTsを検出するためのセンサである。具体的には、ステアリングシャフト3とインターミディエイトシャフト5とを連結するトーションバーを有し、このトーションバーのねじれ角に基づいてそのトーションバーに加えられているトルクを検出する。
モータ6は、ハンドル2の操舵力をアシスト(補助)するものであり、減速機構6aを介してその回転がインターミディエイトシャフト5に伝達される。即ち、減速機構6aは、モータ6の回転軸の先端に設けられたウォームギアと、このウォームギアと噛み合った状態でインターミディエイトシャフト5に同軸状に設けられたウォームホイールとにより構成されており、これにより、モータ6の回転(アシストトルク)がインターミディエイトシャフト5に伝達される。逆に、ハンドル2の操作や路面からの反力(路面負荷)によってインターミディエイトシャフト5が回転されると、その回転が減速機構6aを介してモータ6に伝達され、モータ6も回転されることになる。
また、モータ6は、本実施形態ではブラシレスモータであり、内部にレゾルバ等の回転センサを備え、モータ6の回転状態を出力可能に構成されている。本実施形態のモータ6は、回転センサからの回転状態として、少なくともモータ速度ω(回転角速度を示す情報)を出力可能に構成されている。
インターミディエイトシャフト5における、トルクセンサ4が接続された一端とは反対側の他端は、ステアリングギアボックス7に接続されている。ステアリングギアボックス7は、ラックとピニオンギアからなるギア機構にて構成されており、インターミディエイトシャフト5の他端に設けられたピニオンギアに、ラックの歯が噛み合っている。そのため、ドライバーがハンドル2を回すと、インターミディエイトシャフト5が回転(即ちピニオンギアが回転)し、これによりラックが左右に移動する。ラックの両端にはそれぞれタイロッド8が取り付けられており、ラックとともにタイロッド8が左右の往復運動を行う。これにより、タイロッド8がその先のナックルアーム9を引っ張ったり押したりすることで、操舵輪である各タイヤ10の向きが変わる。
また、車両における所定の部位には、車両速度Vを検出するための車速センサ11が設けられている。
このような構成により、ドライバーがハンドル2を回転させると、その回転がステアリングシャフト3、トルクセンサ4、及びインターミディエイトシャフト5を介してステアリングギアボックス7に伝達される。そして、ステアリングギアボックス7内で、インターミディエイトシャフト5の回転がタイロッド8の左右移動に変換され、タイロッド8が動くことによって、左右の両タイヤ10が操舵される。
ECU15は、図示しない車載バッテリからの電力によって動作し、トルクセンサ4にて検出された操舵トルクTs、モータ6のモータ速度ω、及び車速センサ11にて検出された車両速度Vに基づいて、モータ6に流すべき電流値を示す電流指令を生成する。そして、その電流指令に応じた駆動電圧Vdをモータ6へ印加することにより、ドライバーがハンドル2を回す力(延いては両タイヤ10を操舵する力)をアシストするためのアシストトルクをモータ6に発生させる。
本実施形態ではモータ6がブラシレスモータであるため、ECU15からモータ6へ出力(印加)される駆動電圧Vdは、詳しくは、3相(U,V,W)の駆動電圧Vdu,Vdv,Vdwである。ECU15からモータ6へこれら各相の駆動電圧Vdu,Vdv,Vdwを印加(各相の駆動電流を通電)することで、モータ6の回転が制御される。ブラシレスモータを3相の駆動電圧で駆動(例えばPWM駆動)する方法やその3相の駆動電圧を生成する駆動回路(例えば3相バイポーラ駆動回路)についてはよく知られているため、ここではその詳細説明は省略する。
ECU15は、直接的にはモータ6へ印加する駆動電圧Vdを制御することによりモータ6を制御するものであるが、モータ6を制御することで結果としてそのモータ6により駆動されるEPSメカ140を制御するものであると言え、よってECU15の制御対象はこのEPSメカ140であるとも言える。尚、EPSメカ140は、図1に示したシステム構成図のうちECU15及びモータ6を除く機構全体、即ちハンドル2から各タイヤ10に至る、ハンドル2の操舵力が伝達される機構全体を示す。
次に、ECU15の内部構成(制御機構)について、図2のブロック図を用いて説明する。図2において、モータ6及びEPSメカ140を除く、目標アシストトルク演算部20から駆動回路130に至る各ブロックが、ECU15により実現されるものである。尚、ECU15により実現される各ブロックのうち、駆動回路130を除く各部は、実際には、ECU15が備える図示しないCPUが所定の制御プログラムを実行することによって実現されるものである。つまり、図2における目標アシストトルク演算部20から補償演算部32に至る各ブロックは、CPUによって実現される各種機能を機能ブロック毎に分けて図示したものである。但し、これら各ブロックがソフトウェアにて実現されることはあくまでも一例であり、例えばロジック回路等のハードウェアにて実現するようにしてもよいことはいうまでもない。
また、図2において、図6に示した従来の制御機構と同じ構成については図6と同じ符号を付し、その詳細説明を省略する。そして、以下、図2に示す本実施形態の制御機構について、図6に示した従来の制御機構と異なる部分を中心に説明する。
ECU15は、図2に示すように、操舵トルクTs、車速V、及びモータ速度ωに基づいて目標アシストトルク(目標電流)を演算する目標アシストトルク演算部20と、その目標アシストトルク演算部20により演算された目標電流とモータ6に実際に流れる実電流Imとの差である電流偏差を演算する偏差演算器102と、その電流偏差及び実電流Imに基づいて、モータ6に通電すべき電流の基本量を示す基本指令を演算する電流制御部120と、実電流Imに基づいて、電動パワーステアリングシステム1の制御系全体を安定化させるための補償指令を生成する電流安定化補償器31と、電流制御部120により演算された基本指令を電流安定化補償器31により生成された補償指令により補償する(本例では加算する)ことでモータ6側へ最終的に出力する電流指令を演算する補償演算部32と、その電流指令に応じた電流をモータ6に流す(実際には駆動電圧Vdをモータ6に印加する)ための駆動回路130と、を備えている。
尚、図示は省略したものの、駆動回路130の内部又は駆動回路130からモータ6に至る通電経路中には、実電流Imを検出するための検出素子を含む検出回路が備えられており、その検出回路によって実電流Imが検出される。
目標アシストトルク演算部20は、図6に示した従来の目標アシストトルク演算部110からトルク安定化補償器(位相補償器)111を省いたものである。そのため、本実施形態の目標アシストトルク演算部20においてベースアシスト演算部112にて演算されるベースアシストトルクは、トルクセンサ4の検出値である操舵トルクTsに比例ゲインGaを乗じたものであって、位相補償がかけられたものではない。そのため、単に、そのベースアシストトルクを各補償トルクで補償してなる目標アシストトルクに基づいて、電流制御部120が電流フィードバック制御を行うだけの構成にすると、既述の通り制御系全体が不安定になってしまう。
そこで本実施形態では、目標アシストトルク演算部20を位相補償器を有しない構成にする代わりに、電流制御部120に対して、制御系安定化のための補償器である電流安定化補償器31をアドオンする。そして、従来は電流制御部120からの基本指令をそのまま電流指令として駆動回路130へ出力していたのに対し、本実施形態では、電流制御部120からの基本指令を、電流安定化補償器31により生成された補償指令によって補償する。具体的には、両指令を補償演算部32にて加算する。そして、その補償後の値を、最終的にモータ6側へ出力すべき電流指令として、駆動回路130へ出力する。
ところで、本実施形態のECU15のように、目標アシストトルク演算部20に位相補償器を設ける代わりに電流制御部120に電流安定化補償器31をアドオンする構成とした背景には、[課題を解決するための手段]の欄の冒頭部分で説明したように、従来の位相補償器はその伝達関数が高次で設計に手間がかかっていたことや、電流のフィードバック情報である実電流Imを単に電流フィードバック制御のためだけでなく他に(例えば制御系安定化のために)有効利用できないかと模索したことが挙げられる。そういった背景をもとに実現されたのが、図2に示した本実施形態の電動パワーステアリングシステム1の制御機構である。
電流安定化補償器31の具体的構成やその設計手順は種々考えられるが、本実施形態の電流安定化補償器31は、伝達関数Giが次式(2)で表されるものである。尚、sは周知の微分演算子である。
上記式(2)から明らかなように、電流安定化補償器31は、伝達関数Giが、分母がsの2次関数で分子が定数の分数関数で表されるものとなっている。つまり、式(1)に示した従来の位相補償器の伝達関数Gpと比較して、次数が5次から2次へと大幅に低減されている。
ここで、上記式(2)の伝達関数Giで表される電流安定化補償器31の具体的設計手順について、その一例を説明する。電流安定化補償器31を設計するにあたり、その最終的な目的は、制御系全体を安定化させることにある。何をもって制御系全体が安定であると言えるかについては種々考えられ、例えば、いわゆるナイキストの安定判別法としてよく知られているように、制御系全体の一巡周波数応答のベクトル軌跡が実軸上において(−1、j0)よりも右側と交わるようにすることが考えられる。或いは、制御系におけるある入力に対するある出力の関係が所望の特性を満たす(結果的には上記ナイキストの安定判別法によっても安定であると判断される)ようにすることも考えられる。
そこで本実施形態では、電流安定化補償器31を設計するにあたり、まず、電動パワーステアリングシステム1のベースモデルを設定し、そのベースモデルに電流安定化補償器31をアドオンしてなる設計モデルを設定した。その設計モデルを、図3に示す。
図3に示す設計モデルは、目標アシストトルク演算部20を構成するベースアシスト演算部112と、偏差演算器102と、電流制御器121と、設計対象である電流安定化補償器31と、補償演算部32と、EPSメカ140(ここではモータ6を含む)とからなる閉ループ系の制御モデルである。
このような設計モデルにおいて、電流安定化補償器31の伝達関数として、分母が2次関数で分子が定数の分数関数を設定した。但しその設定段階においては、当然ながら、伝達関数の各パラメータは未知である。また、制御系全体の特性(入出力伝達特性)として、ドライバーによってハンドル2に加えられるハンドルトルクに対する操舵トルクTsの特性(以下「ハンドルトルク→トルクセンサ特性」とも言う)に着目した。そして、そのハンドルトルク→トルクセンサ特性が所望の特性になるように電流安定化補償器31を設計すること、即ち伝達関数の未知のパラメータを決定することを試みた。
尚、ハンドルトルク→トルクセンサ特性について、所望の特性とは、本実施形態では、図8に実線で示した特性、即ち、位相補償器111を備えた従来の制御系におけるハンドルトルク→トルクセンサ特性(詳しくはゲイン及び位相の周波数応答)と同等の特性である。位相補償器111を備えた従来の制御系と同等の特性を有するように電流安定化補償器31を設計することで、結果として、ナイキストの安定判別法によっても安定であると判断されるような制御系が実現される。
図3に示した設計モデルに基づく、電流安定化補償器31の各パラメータの導出方法として、本例ではいわゆる最適化手法を用いた。即ち、図3の設計モデルの枠組みの中で、各パラメータを振りながらハンドルトルク→トルクセンサ特性を見て、ハンドルトルク→トルクセンサ特性が所望の特性となるように各パラメータを収束させていくことで、各パラメータの最適化を図った。そして、そのような最適化手法によって得られた電流安定化補償器31の伝達関数Giの一例が、上記式(2)である。
尚、最適化手法により各パラメータを収束させることで電流安定化補償器31を設計する際の設計ツールとしては、例えば、制御系設計CADとして周知のMATLABを用いることができる。
そして、このようにして得られた電流安定化補償器31の伝達関数Gi(上記式(2))の周波数応答(ボード線図)を、図4に示す。図4に示すように、ゲイン特性については、概ね、10Hz(本発明の境界周波数に相当)より低い低周波領域では略一定のゲインであって10Hzより高い高周波領域ではゲインが単調減少していくような特性となる。一方、位相特性については、例えば10Hzを中心にみたとき、周波数が10Hzから0に近づくに従って位相が180度に近付いていき、逆に周波数が10Hzから高くなるに従って位相が0度に近付いていくような特性となる。
図5に、本実施形態の電動パワーステアリングシステム1における、ハンドルトルク→トルクセンサ特性について、その周波数応答(ボード線図)の一例を示す。図5において、濃い実線で示されている波形が本実施形態の周波数応答である。尚、図5において薄い実線で示されている波形は、位相補償器を備えた従来のシステムの周波数応答であり、薄い一点鎖線で示されている波形は、安定化用の補償器を有しないシステムの周波数応答である。
図5から明らかなように、本実施形態の電動パワーステアリングシステム1の周波数応答(濃い実線)は、位相補償器を用いた従来のシステムの周波数応答(薄い実線)とほぼ同じ特性となっている。つまり、従来の位相補償器に代えて電流安定化補償器を用いることで、従来の位相補償器を用いたシステムと同等のハンドルトルク→トルクセンサが実現されている。
このように、本実施形態では、電流制御部120に対し、低次(本例では2次)の伝達関数で表される電流安定化補償器31をアドオンすることで、制御系全体の安定化が実現されている。
従って、本実施形態の電動パワーステアリングシステム1によれば、実電流Imを用いた低次の電流安定化補償器31によって制御系全体の安定化を実現することで、従来煩雑且つ困難であった、安定化のための制御器の設計が大幅に容易になり、実装も非常に楽になる。そのため、従来に比べて制御機構の設計・実装にかかる工数を飛躍的に低減することができる。
特に、電流安定化補償器31を、2次という非常に低い次数の伝達関数にて実現することもでき、そのようにすることで、制御機構の設計や実装にかかる工数をより低減することができる。
また、低次の伝達関数で実現できることで、ECU15が固定小数点演算により各種演算を行うように構成されていても、オーバーフローやアンダーフローの影響を抑制でき、所望の特性を確実に得ることができる。
尚、本実施形態において、ステアリングシャフト3は本発明の入力軸に相当し、EPSメカ140におけるステアリングシャフト3よりも下流側(車輪10側)の機構全体が本発明の入力伝達手段に相当し、目標アシストトルク演算部20は本発明の目標電流演算手段に相当し、電流制御部120は本発明の基本指令生成手段に相当し、電流安定化補償器31は本発明の補償指令生成手段に相当し、補償演算部32は本発明の電流指令生成手段に相当する。
[変形例]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態では、電流安定化補償器31を設計するために最適化手法を用いたが、これはあくまでも一例であり、電流安定化補償器31を設計するための具体的方法は特に限定されるものではない。例えば、H∞制御理論を用いて設計することも可能である。但し、H∞制御理論を用いて設計した場合、次数の高い伝達関数が導出される可能性もあるため、その場合は、その導出された伝達関数を、例えばハンケルノルムの理論等を用いて可能な限り低次元化するようにするとよい。
また、上記実施形態では、電流安定化補償器31の伝達関数として式(2)を例示したが、これもあくまでも一例であり、次数を含め、どのような伝達関数とするかは適宜決めることができる。但し、制御器設計の工数を低減させるという目的から、次数は少なくとも4次以下とする必要がある。
また、図4に示した電流安定化補償器31の周波数応答についても、あくまでも一例であり、結果として制御系全体を安定化することができる限り、具体的にどのような周波数応答をもたせるかについては特に限定されるものではない。
また、上記実施形態では、モータ6としてブラシレスDCモータを用いたが、ブラシレスDCモータを用いることはあくまでも一例であって、例えばブラシ付DCモータであってもよいし、他の各種モータであってもよい。ブラシ付DCモータを用いる場合、そのモータ速度ωは、例えばエンコーダ等の回転センサを用いたり、或いはモータの端子電圧とモータ電流を検出してこれら検出結果から推定演算すること等によって検出できる。
また、上記実施形態では、モータ6が回転センサを備え、その回転センサによってモータ速度が検出されるものとしたが、これも一例に過ぎず、回転センサをどこに備えるか、延いては必要な情報(モータ速度やモータ回転角などのモータ6の回転状態)をどのようにして検出するかは、適宜決めることができる。そのため、モータ6として例えばブラシ付DCモータを用いた場合は、モータ6に流れる電流に基づいて回転状態を推定する方法等を用いることによって回転状態を得るようにしてもよい。
また、上記実施形態では、電動パワーステアリングシステム1の方式として、インターミディエイトシャフト5の回転をモータ6でアシストする、いわゆるシャフトアシスト式の構成を例に挙げて説明したが、これもあくまでも一例であり、例えばタイロッド8の往復運動(即ちステアリングギアボックス7内のラックの往復運動)をモータでアシストする、いわゆるラックアシスト式のものにも適用できるなど、種々のアシスト方式の電動パワーステアリングシステムに対して本発明を適用することが可能である。
1…電動パワーステアリングシステム、2…ハンドル、3…ステアリングシャフト、4…トルクセンサ、5…インターミディエイトシャフト、6…モータ、6a…減速機構、7…ステアリングギアボックス、8…タイロッド、9…ナックルアーム、10…タイヤ、11…車速センサ、20,110…目標アシストトルク演算部、31…電流安定化補償器、32…補償演算部、102…偏差演算器、111…トルク安定化補償器(位相補償器)、112…ベースアシスト演算部、113…アシスト補償部、114…加算器、115…戻し制御部、116…ダンピング制御部、120…電流制御部、121…電流制御器、130…駆動回路、140…EPSメカ

Claims (5)

  1. 車両のハンドルに連結されて該ハンドルと共に回転する入力軸と、
    前記入力軸の回転を前記車両の操舵輪に伝達することにより該操舵輪を操舵させる入力伝達手段と、
    前記入力軸に加えられる軸回転方向のトルクである操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
    前記ハンドルの操作による前記操舵輪の操舵時に該ハンドルの操作をアシストするためのアシストトルクを前記入力軸又は前記入力伝達手段に与えるためのモータと、
    を備えた電動パワーステアリングシステムに設けられ、前記モータを制御することにより前記アシストトルクを制御する電動パワーステアリング制御装置であって、
    前記操舵トルク検出手段により検出された前記操舵トルクに基づき、該操舵トルクに応じた値の前記アシストトルクである目標アシストトルクを発生させるために前記モータに流すべき目標電流を演算する目標電流演算手段と、
    前記目標電流演算手段により演算された前記目標電流と前記モータに実際に流れる電流である実電流との差に基づき、その差が0となるように前記モータの通電電流を制御するための基本指令を生成する基本指令生成手段と、
    前記実電流に基づいて、前記電動パワーステアリングシステムの制御系全体を安定化させるために前記基本指令を補償するための、補償指令を生成する補償指令生成手段と、
    前記基本指令生成手段により生成された前記基本指令を、前記補償指令生成手段により生成された前記補償指令により補償することによって、最終的に前記モータ側へ出力すべき電流指令を生成する電流指令生成手段と、
    前記電流指令生成手段により生成された前記電流指令に応じて前記モータへの通電を行うことにより前記モータを駆動するモータ駆動手段と、
    を備え、
    前記補償指令生成手段は、入力される前記実電流に対する、出力される前記補償指令の伝達関数が、微分演算子sを用いて表したときにsの4次以下の関数を用いて表されるものである
    ことを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
  2. 請求項1に記載の電動パワーステアリング制御装置であって、
    前記補償指令生成手段の前記伝達関数は、sの2次関数を用いて表されるものである
    ことを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
  3. 請求項2に記載の電動パワーステアリング制御装置であって、
    前記補償指令生成手段の前記伝達関数は、分母がsの2次関数で分子が定数の分数関数である
    ことを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の電動パワーステアリング制御装置であって、
    前記補償指令生成手段の前記伝達関数は、その周波数応答におけるゲイン特性が、所定の境界周波数より低い低周波領域では略一定のゲインとなり、前記境界周波数より高い高周波領域ではゲインが単調減少していくような特性である
    ことを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
  5. 請求項4に記載の電動パワーステアリング制御装置であって、
    前記補償指令生成手段の前記伝達関数は、その周波数応答における位相特性が、周波数が前記境界周波数から0に近づくに従って位相が180度に近付き、周波数が前記境界周波数から高くなるに従って位相が0度に近付いていくような特性である
    ことを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
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