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JP6308330B2 - チタン合金、チタン材、セパレータ、セル、および固体高分子型燃料電池 - Google Patents

チタン合金、チタン材、セパレータ、セル、および固体高分子型燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、チタン合金、このチタン合金を備えるチタン材、このチタン材を備える固体高分子型燃料電池用セパレータ、このセパレータを備えるセル、およびこのセルを備える固体高分子型燃料電池に関する。
燃料電池は、水素と酸素との結合反応の際に発生するエネルギーを利用する。そのため、省エネルギーと環境対策との両面から、燃料電池の導入および普及が期待されている。燃料電池には、固体電解質型、溶融炭酸塩型、リン酸型、固体高分子型などの種類がある。
これらのうち、固体高分子型燃料電池は、出力密度が高く小型化が可能である。また、固体高分子型燃料電池は、他のタイプの燃料電池より低温で作動し、起動および停止が容易である。このような利点から、固体高分子型燃料電池は、自動車、家庭用の小型コジェネレーション等への利用が期待されており、近年、特に注目を集めている。
図1Aは、固体高分子型燃料電池(以下、単に「燃料電池」ともいう。)の斜視図であり、図1Bは、燃料電池に用いられる単セルの分解斜視図である。
図1Aに示すように、燃料電池1は、単セルの集合体(スタック)である。単セルでは、図1Bに示すように、固体高分子電解質膜2の一面に、アノード側ガス拡散電極膜(「燃料電極膜」とも呼ばれる;以下、「アノード」という。)3が、他面に、カソード側ガス拡散電極膜(「酸化剤電極膜」とも呼ばれる;以下、「カソード」という。)4が、それぞれ積層されている。その積層体の両面に、セパレータ(バイポーラプレート)5a、5bが重ねられている。
燃料電池には、隣接する2つの単セルの間、または数個の単セルごとに、冷却水の流通路を持つセパレータを配したものがある。本発明は、そのような水冷型燃料電池のセパレータに用いるチタン材も対象とする。
固体高分子電解質膜2としては、水素イオン(プロトン)交換基を有するふっ素系プロトン伝導膜が主として用いられている。
アノード3、およびカソード4は、いずれも、導電性を有する炭素繊維をシート状にしたカーボンシートを主体とする。カーボンシートに代えて、カーボンシートより薄いカーボンペーパー、またはさらに薄いカーボンクロスが用いられることもある。アノード3およびカソード4には、粒子状の白金触媒、黒鉛粉、および必要に応じて水素イオン(プロトン)交換基を有するふっ素樹脂からなる触媒層が設けられている場合もある。
セパレータ5aには、アノード3側の面に、溝状の流路6aが形成されている。流路6aには、燃料ガス(水素または水素含有ガス)Aが流されて、アノード3に水素が供給される。また、セパレータ5bには、カソード4側の面に、溝状の流路6bが形成されている。流路6bには、空気等の酸化性ガスBが流され、カソード4に酸素が供給される。これらガスの供給により、電気化学反応が生じて直流電力が発生する。アノード3およびカソード4に触媒層が設けられている場合は、燃料ガスまたは酸化性ガスとこの触媒層とが接触して反応が促進される。
固体高分子型燃料電池のセパレータに求められる主な機能は、次の通りである。
(1)燃料ガス、または酸化性ガスを、電池面内に均一に供給する「流路」としての機能(2)カソード側で生成した水を、反応後の空気、酸素等のキャリアガスとともに、燃料電池から効率的に系外に排出する「流路」としての機能
(3)電極膜(アノード3、カソード4)と接触して電気の通り道となり、さらに、隣接する2つの単セル間の電気的「コネクタ」となる機能
(4)隣り合うセル間で、一方のセルのアノード室と他方のセルのカソード室との「隔壁」としての機能
(5)水冷型燃料電池では、冷却水流路とこれに隣接するセルとの「隔壁」としての機能
固体高分子型燃料電池に用いられるセパレータの基材材料は、このような機能を果たすことができるものである必要がある。基材材料には、大きく分けて、金属系材料と炭素系材料とがある。
炭素系材料は、比重が小さいことにより、セパレータの軽量化を図れるという利点があるが、ガス透過性を有するという問題、および機械的強度が低いといった問題がある。
金属系材料としては、たとえば、チタンが用いられる。金属系材料からなるセパレータは、金属系材料の素材をプレス加工等により成形して得られる。金属系材料は、金属特有の性質として加工性に優れる。金属系材料からなるセパレータは、厚さを薄くすることができ、セパレータの軽量化が図れるという利点を有する。しかし、セパレータ表面の酸化によりセパレータの電気伝導性が低下し、セパレータと電極膜との接触抵抗が上昇し得るという問題がある。この問題に対して、以下の方策が提案されている。
特許文献1では、耐食性(耐酸化性)を向上させるために、チタン製のセパレータにおいて電極と接する面から不動態皮膜を除去し、その後、その面にめっき等により、金(Au)等の貴金属からなる薄膜層を形成することが提案されている。しかし、金等の貴金属を自動車等の移動体用燃料電池または定置用燃料電池に多量に使用することは、経済性、および資源量の観点から問題がある。このため、特許文献1で提案されるチタン製セパレータは普及していない。
特許文献2では、金等の貴金属を用いることなく、チタン製セパレータの耐食性(耐酸化性)を高くすることが試みられている。具体的には、特許文献2では、炭素からなる導電接点層が表面に形成されたチタン製セパレータが提案されている。導電接点層は、蒸着により形成される。しかし、蒸着により、このような導電接点層を形成するには、長時間を要するので、生産性が低下する。また、蒸着には、特殊な装置を要するため、設備コストが上昇する。このため、特許文献2で提案されるチタン製セパレータは、現状では、積極的には採用されていない。
特許文献3には、チタン製セパレータの表面に、導電性セラミックスが分散された金属被膜を形成することにより、表面の酸化による接触抵抗の上昇を低減することが提案されている。しかし、この金属被膜が形成された板材をプレス成形してセパレータを得ようとすると、金属被膜に分散されたセラミックスが成形を阻害し、加工時に、板材に割れまたは貫通孔が発生する場合がある。また、セラミックスがプレス金型を摩耗させるため、プレス金型を超硬合金のような高価な材質のものに変更する必要が生じる。このため、特許文献3で提案されるチタン製セパレータは、実用化には至っていない。
特許文献4には、白金族元素を含有するチタン合金基材を、非酸化性酸および酸化性酸を含む溶液に浸漬して酸洗することにより、その表面に白金族元素を濃化させ、その後、低酸素濃度雰囲気での熱処理を施すプロセスにより、セパレータ用チタン材を製造する方法が開示されている。このプロセスにより、セパレータ用チタン材の表面に白金族元素とチタン酸化物との混合層が形成される。この混合層により、チタン材に、5kgf/cm(4.9×10Pa)の荷重を付加した状態で7.4mAの電流を流したときのチタン材の接触抵抗は、10mΩ・cm以下と低くなるとされている。この技術は、非特許文献1にも記載されている。
特許文献4では、酸洗のため基材を溶液に浸漬する時間は、実施例で10分または30分とされている。このように、特許文献4で提案されるセパレータ用チタン材の製造方法では、酸洗に時間を要するとともに、熱処理の雰囲気が所定の条件を満たすように調整するために時間を要することから、生産性が低くなる。
特許文献5には、白金族元素を含有するチタン合金基材を、非酸化性酸を含む酸に浸漬して酸洗することにより、その表面に白金族元素が濃化した層を形成したセパレータ用チタン材が提案されている。特許文献5では、酸洗のため基材を溶液に浸漬する時間は、実施例では、いずれも、5分以上とされている。このため、酸洗は、連続的に行うことは困難であり、バッチ式で行う必要がある。
また、特許文献5では、酸洗後に表面に濃化した白金族元素成分とマトリックスとの密着性向上を目的として、真空雰囲気(低酸素濃度雰囲気)で350〜600℃に加熱する熱処理を行うことが好ましいとされている。このように、特許文献5で提案されるセパレータ用チタン材は、酸洗に時間を要するとともに、熱処理の雰囲気が所定の条件を満たすように調整するのに時間を要することから、連続生産することは困難であり、生産性が低くなる。
特許文献6には、白金族元素と希土類元素とを含有する、固体高分子型燃料電池のセパレータ用チタン材が開示されている。このチタン材は、希土類元素を含有することにより、短時間の酸洗処理で白金族元素が表面に濃化し、真空(低酸素濃度雰囲気)での熱処理を行わなくても、チタン材の初期の接触抵抗が低減するとされている。また、このチタン材では、白金族元素含有率が0.005質量%と極めて小さい場合でも、酸洗により白金族元素を表面に濃化させて、初期の接触抵抗を低減する効果が得られるとされている。
すなわち、特許文献1〜5の技術を基準として、特許文献6のチタン材では、下記(1)〜(3)の効果が得られる。
(1)表面処理時間の短縮
(2)チタン材の白金族元素含有率の低減
(3)真空(低酸素濃度雰囲気)での熱処理の省略を可能とすること
特開2003−105523号公報 特許第4367062号公報 特開平11−162479号公報 特許第4032068号公報 特開2006−190643号公報 特開2013−109891号公報
佐藤俊樹外3名、R&D 神戸製鋼技報、vol.55、No.3(2005)、p.48-51
しかし、特許文献6のチタン材は、たとえば、20kgf/cm(1.96×10Pa)の荷重を加えて測定した初期の接触抵抗は低いものの、繰り返し荷重(加重)を与えると、接触抵抗が上昇するという問題が生ずる。
さらに、特許文献6のチタン材は、成形時に肌荒れ(表面粗さの増大)が生じやすい。チタン材を用いたセパレータと他の部材(たとえば、アノード、およびカソード)との密着性を確保するため、チタン材の表面は平坦であることが必要である。
そこで、本発明の目的は、上記(1)〜(3)の効果を維持しつつ、繰り返し荷重を与えた後の接触抵抗が低く、かつ成形性に優れたチタン材を提供することである。本発明の他の目的は、酸洗により、上記チタン材を容易に得ることができるチタン合金を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、上記チタン材を含む固体高分子型燃料電池用セパレータ、このセパレータを備えるセル、およびこのセルを備える固体高分子型燃料電池を提供することである。
本発明の実施形態のチタン合金は、
質量%で、
白金族元素:0.005%〜0.15%、
希土類元素:0.0005%以上、0.0019%以下、
Ni:0〜1.0%、
Mo:0〜0.5%、
V:0〜0.5%、
Cr:0〜0.5%、および
W:0〜0.5%
を含有し、残部がTiおよび不純物からなり、
α相の平均結晶粒径が、2μm以上、300μm以下である。
本発明の実施形態のチタン材は、
上記チタン合金からなる母材と、
前記母材の表面に形成され、チタン酸化物、および白金族元素を主体とし、厚さが50nm以下である皮膜とを備える。
本発明の実施形態の固体高分子型燃料電池用セパレータは、上記チタン材を備える。
本発明の実施形態の固体高分子型燃料電池用セルは、上記セパレータを備える。
本発明の実施形態の固体高分子型燃料電池は、上記セルを備える。
本実施形態のチタン材では、初期の接触抵抗が低いとともに、繰り返し荷重による接触抵抗の上昇幅が小さい。このため、繰り返し荷重を与えた後の接触抵抗は低い。また、このチタン材は、上述の皮膜を備えていることにより、接触抵抗が低い。皮膜は、耐食性に優れるので、固体高分子型燃料電池内環境で、チタン材の接触抵抗は低く維持される。さらに、本実施形態のチタン材の成形性は良好であり、成形時に、チタン材の表面に肌荒れが生じ難い。このため、このチタン材は、固体高分子型燃料電池のセパレータに適用したときに、アノード、カソード等の他の部材との密着性が良好である。
本実施形態のチタン合金は、適切な条件で酸洗することによって、短時間で表面に白金族元素を濃化させて、上記皮膜を形成することができる。すなわち、このチタン合金を適切な条件で酸洗することより、このチタン材を容易に得ることができる。
本実施形態のセパレータは本実施形態のチタン材を含み、本発明のセルおよび固体高分子型燃料電池はこのセパレータを備えているので、これらのセパレータ、セル、および固体高分子型燃料電池では、上記チタン材による上記効果が得られる。
図1Aは、固体高分子型燃料電池の構造を模式的に示す斜視図である。 図1Bは、固体高分子型燃料電池を構成する単セルの構造を示す分解斜視図である。 図2は、接触抵抗の測定方法を説明するための図である。
本発明者らは、特許文献6に示されるように、チタン合金に、白金族元素および希土類元素を含有させると、白金族元素を短時間にかつ高濃度で表面に濃化できることを確認した。このようにして得られたチタン材は、低い初期接触抵抗を有するが、繰り返し荷重を与えると、接触抵抗が上昇することが判明した。
そこで、さらに鋭意検討を進めたところ、繰り返し荷重を与えた後の接触抵抗を低くするためには、希土類元素含有率に最適範囲があることを見出した。これは、繰り返し荷重を受けると、チタン材表面近傍の希土類元素が酸素と反応し酸化物を形成し、その結果、導電性が低下するためである。希土類元素含有率がチタンα相に対するその希土類元素の固溶限度内であっても、このような酸化は生じる。
また、チタンα相の結晶粒径も接触抵抗に影響することが判明した。具体的には、結晶粒径が大きいほど接触抵抗が小さい。これは、結晶粒界が電子の易動度を低くするためと考えられる。
さらに、希土類元素含有率が高く、かつ結晶粒径が2μm以上である場合、肌荒れが発生しやすく、加工後のチタン材表面の平坦性を実用的なレベルにすることが困難となることが判明した。これは、希土類元素が酸素と反応して形成された酸化物が加工時の不均一な変形を促進するばかりか、割れの起点となるためと考えられる。本発明者らは、白金族元素が短時間にかつ高濃度で表面に濃化する性質を損なうことなく、肌荒れを良好にするには、希土類元素含有率にさらなる最適範囲があることを見出した。
本発明は、以上の知見に基づいて完成したものである。以下、本発明の実施形態によるチタン合金、チタン材、セパレータ、セル、および固体高分子型燃料電池について詳細に説明する。以下の記載で、化学組成についての「%」は、質量%をいうものとする。
1.チタン合金
1−1.化学組成
1-1-1.白金族元素
本明細書において、白金族元素とは、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、およびPtをいう。白金族元素は、Tiより低い電気抵抗率を有し、固体高分子型燃料電池の運転環境において酸化および腐食が生じず電気抵抗率が上昇しない元素である。
チタン合金は、上述の白金族元素を1種または2種以上含有する。チタン合金の白金族元素含有率は、0.005〜0.15%である。ここで、「白金族元素含有率」とは、母材が実質的に1種のみの白金族元素を含有する場合は、その含有率をいうものとし、母材が2種以上の白金族元素を含有する場合は、各白金族元素の含有率の合計をいうものとする。
白金族元素含有率が0.005%未満であると、耐食性を高くし接触抵抗を十分に低減することができない。一方、白金族元素含有率が0.15%より大きいと、原料コストが多大となる。経済性と耐食性とのバランスを考慮すると、白金族元素含有率は、0.01〜0.05%とすることが好ましい。
白金族元素の種類は、特に限定しないが、Pd、RuおよびIrは、他の白金族元素に比して、安価であり、かつ単位含有率あたりの接触抵抗低減効果が大きいため好ましい。一方、Rh、OsおよびPtは非常に高価であるため、経済性の観点から好ましくない。
1-1-2.希土類元素
本明細書において、希土類元素とは、Sc、Y、およびLn族(La〜Lu)をいう。上記の希土類元素のいずれか1種または2種以上を母材としてのチタン合金に含有させることによって、酸洗により母材の表面に白金族元素を濃化させて、チタン材の接触抵抗を低減することができる。2種以上の希土類元素を母材に含有させる場合は、分離精製前の混合希土類元素(ミッシュメタル;以下、「Mm」と記す。)、およびジジム合金(NdおよびPrからなる合金)のような希土類元素の混合物または合金を用いることができる。Mmおよびジジム合金は、市場で入手できるものであれば、本発明のチタン合金の材料として用いることができる。この場合、Mmおよびジジム合金に含有される希土類元素の種類、およびMmおよびジジム合金中の各希土類元素の含有比は問わない。
本発明のチタン合金の希土類元素含有率は、0.0005%以上、0.0019以下である。ここで、「希土類元素含有率」とは、チタン合金が実質的に1種のみの希土類元素を含有する場合は、その希土類元素の含有率をいうものとし、チタン合金が2種以上の希土類元素を含有する場合は、各希土類元素の含有率の合計をいうものとする。
チタン合金が白金族元素および希土類元素を含有することにより、このチタン合金の活性態域でTiと希土類元素とを同時に非酸化性酸を含む水溶液中に溶解させ、チタン合金表面への白金族元素の析出を促進させることができる。希土類元素含有率が0.0005%以上であれば、この効果が十分に得られる。
希土類元素を含有するチタン合金が繰り返し荷重を受けると、希土類元素は導電性に乏しい酸化物となる。希土類元素含有率が高すぎると、この酸化物による接触抵抗の増大が無視できなくなる。また、希土類元素含有率が高すぎると、この酸化物により、加工時に、肌荒れ、または割れを発生するなど、成形性が低下する。この傾向は、後述するα相の平均結晶粒径が2μm以上である場合に顕著になる。希土類元素含有率が0.0019%以下であることにより、繰り返し荷重によるチタン材の接触抵抗の上昇を抑制するとともに、成形性を良好にできる。繰り返し荷重による接触抵抗の増大を抑制し、かつ成形性を良好にする効果は、希土類元素のうちLn族を用いたときに顕著に得られる。したがって、希土類元素として、Ln族を用いることが好ましい。
酸洗による白金族元素の表面への濃化を促進させるためには、希土類元素含有率の下限は、0.0006%とすることが好ましく、0.0008%とすることがより好ましい。また、繰り返し荷重による接触抵抗の上昇を抑えるとともに、成形性を良好にするためには、希土類元素含有率の上限は、0.0018%とすることが好ましい。
1-1-3.任意元素
チタン合金は、Ni、Mo、V、CrおよびWからなる群から選択される1種または2種以上を含有してもよい。これらの元素を含有させることにより、希土類元素との相乗効果によって、チタン合金の表面に白金族元素を濃化させることができる。これにより、優れた耐隙間腐食性を有するチタン材を得ることができる。これらの元素を含有させる場合、その含有率は、Ni:1.0%以下、Mo:0.5%以下、V:0.5%以下、Cr:0.5%以下、W:0.5%以下である。Ni含有率の好ましい上限は0.7%であり、Ni含有率の好ましい下限は0.001%である。Mo含有率の好ましい上限は0.4%であり、Mo含有率の好ましい下限は0.001%である。V含有率の好ましい上限は0.4%であり、V含有率の好ましい下限は0.001%である。Cr含有率の好ましい上限は0.4%であり、Cr含有率の好ましい下限は0.001%である。W含有率の好ましい上限は0.4%であり、W含有率の好ましい下限は0.001%である。
1-1-4.不純物元素
チタン合金の不純物元素としては、原料、溶解電極、および環境から導入されるFe、O、C、H、N等、およびスクラップ等を原料とする場合に、その原料から導入されるAl、Zr、Nb、Si、Sn、Mn、Cu等が挙げられる。これらの不純物元素は、本発明の効果を阻害しない含有率である限り、チタン合金に含有されてもよい。本発明の効果を阻害しない含有率とは、具体的には、Fe:0.3%以下、O:0.35%以下、C:0.18%以下、H:0.015%以下、N:0.03%以下、Al:0.3%以下、Zr:0.2%以下、Nb:0.2%以下、Si:0.02%以下、Sn:0.2%以下、Mn:0.01%以下、Cu:0.1%以下であり、これらの元素の含有率の合計で0.6%以下である。
1−2.α相の平均結晶粒径
チタン合金のα相(母相)の結晶粒径が大きいほど、このチタン合金の導電性は高くなる。α相の平均結晶粒径が2μm以上であると、導電性を十分に高くすることができる。一方、α相の平均結晶粒径が300μmを超えると、希土類元素含有率を最適化しても、このチタン合金を含むチタン材の延性が低下して、プレス成形時に割れやすくなる。このため、α相の平均結晶粒径は、2μm以上、300μm以下であるものとし、好ましくは、2〜200μmであり、より好ましくは、30〜120μmである。
後述のように、α相の平均結晶粒径は、熱処理(焼鈍)条件等により制御することができる。チタン合金に焼鈍を施す場合は、α相の平均結晶粒径は、焼鈍後のチタン合金の表面を研磨することなく、JIS−G 0551(2013年版)に規定される方法により測定する。α相の平均結晶粒径は、このチタン合金(チタン材)の切断面で測定してもよい。この場合でも、焼鈍後のチタン合金の表面を研磨することなく測定した場合と、実質的に同じ値が得られる。α相とβ相とが混在する場合は、β相を測定対象から除外して、平均結晶粒径を求める。
2.チタン材
本発明のチタン材は、上記チタン合金からなる母材と、この母材の表面に形成された皮膜とを含む。皮膜は、チタン酸化物、および白金族元素を主体とする。ここで、「チタン酸化物、および白金族元素を主体とする」とは、皮膜に占めるチタン酸化物および白金族元素の割合が、90%質量以上であることをいう。皮膜中の白金族元素は、金属として存在して、母材と皮膜の表面との間の通電経路を形成していると考えられる。
皮膜の厚さが50nmを超える場合は、固体高分子型燃料電池内の環境で、酸化物(白金族元素の酸化物を含む。)等の腐食生成物が多く形成されて、表面接触抵抗が低下するおそれがある。このため、皮膜の厚さは、50nm以下とし、好ましくは、20nm以下とし、より好ましくは10nm以下とする。一方、皮膜が薄過ぎると、耐食性が低下するおそれがある。このため、皮膜の厚さは、0.1nm以上とし、好ましくは、0.15nm以上とし、より好ましくは、0.2nm以上とする。
皮膜の厚さは、以下のようにして求める。まず、チタン材を厚さ方向に切断する。その切断面を電子顕微鏡(たとえば、TEM)により観察して、任意の10箇所の厚さ(母材と皮膜との境界から皮膜の表面までの距離)を測定する。その測定値を平均して、皮膜の厚さとする。電子顕微鏡像でコントラストにより、皮膜は母材から識別することができる。
3.本発明のチタン材を製造する方法
所望の形状を有するチタン材は、たとえば、溶解、鋳造、熱間圧延、冷間圧延、焼鈍、酸洗等の工程を実施して、得ることができる。
皮膜の形成方法は、特に限定されないが、たとえば、母材を非酸化性酸で酸洗または電解処理し、母材表面に白金族元素を濃化させることにより形成することができる。白金族元素は、母材から溶出し、母材の表面に再析出することにより濃化する。非酸化性酸として、たとえば、塩酸、硫酸等を採用できる。ふっ酸は、非酸化性酸であるが、母材に対する溶解力が強く、白金族元素の再析出効率が、塩酸、硫酸等に比して劣る。また、ふっ酸を用いると、酸洗時の水素の発生量が多く、母材に水素が吸収されやすくなる。このため、ふっ酸を用いて酸洗する場合は、ふっ酸の濃度、処理時間、処理温度等を十分に管理する必要がある。酸洗には、塩酸、硫酸、ふっ酸、スルフォミン酸等、複数種類の酸を混合して使用してもよい。電解処理の条件も特に限定されないが、たとえば、電流密度が0.1〜30mA/cmの範囲で処理することで、母材表面に白金族元素を均一に濃化させることができる。
酸洗に酸化性酸を用いる場合は、酸洗により発生した水素が母材の内部へ進入して吸収されることを防止できる。一方、酸洗に酸化性酸を使用すると、母材の表層部に酸化層が厚く形成され、皮膜を形成し難くなる。このため、母材内部への水素の吸収を防止する目的で酸洗に酸化性酸を使用する場合であっても、酸化性酸は可能な限り低濃度で使用することが好ましい。
皮膜を形成した後、母材と皮膜との密着性を向上させるために、熱処理を施すことが好ましい。皮膜は、チタン酸化物、および白金族元素を主体とするため、このチタン材を、酸化性雰囲気中で熱処理しても、表層部の酸化はほとんど進行しない。したがって、本実施形態のチタン材の製造時に、真空(低酸素濃度雰囲気)での熱処理を省略することができる。熱処理には、たとえば、オンラインの光輝焼鈍設備、またはバッチ式焼鈍炉を用いることができる。
熱処理温度を適切に設定することにより、α相の平均結晶粒径が2μm以上、300μm以下の範囲内に入るようにすることができる。
熱処理を施した後、必要に応じて表面を洗浄する目的で軽酸洗(たとえば、pH2〜3の水溶液による10分以内の酸洗)を施すことは可能である。軽酸洗は、チタン材の接触抵抗および成形性に影響を及ぼさない。
4.セパレータ、セル、および固体高分子型燃料電池
固体高分子型燃料電池用セパレータは、上記したチタン材を備える。固体高分子型燃料電池用セル(単位電池)は、上記したセパレータを備える。固体高分子型燃料電池は、上記したセルを備える。各セルは、固体高分子電解質膜と、固体高分子電解質膜の一方表面に重ね合わされたアノード(燃料電極膜)と、固体高分子電解質膜の他方表面に重ね合わされたカソード(酸化剤電極膜)とを含むものとすることができる。固体高分子型燃料電池は、セパレータを介して積層された複数のセルを含むものとすることができる。各セルのアノードおよびカソードに、それぞれ、燃料ガスおよび酸化剤ガスを供給することにより、固体高分子型燃料電池は、直流電力を発生する。
本発明のチタン材は、上述のとおり、繰り返し荷重による接触抵抗の増大が抑制される。したがって、本発明の固体高分子型燃料電池において、セパレータと、アノード、およびカソードとの接触抵抗の増大は抑制される。
さらに、本発明のチタン材は、上述のとおり、成形性が良好であるので、セパレータの形状に成形したときに、肌荒れが生じ難い。したがって、本発明の固体高分子型燃料電池において、セパレータと、他の部材(たとえば、アノードおよびカソード)との密着性を高くすることができる。
また、チタン材の表面に上記した皮膜が設けられているので、このチタン材を用いたセパレータは、初期の接触抵抗が低いとともに、固体高分子型燃料電池内環境において、優れた耐食性を示す。そのため、固体高分子型燃料電池内で、このセパレータの低い接触抵抗が維持される。したがって、このセパレータを用いた固体高分子型燃料電池は、初期電圧が高く、かつ、電圧の経時的な低下が小さい。
本発明の効果を確認するため、以下の方法によりチタン材の試料を作製し、評価した。
1.チタン材の作製
チタン材の素材とするチタンインゴットを用意した。表1に、チタンインゴット(素材)の化学組成を示す。これらのチタンインゴットは、実験室レベルで原料を融解および凝固して得た。素材1は、白金族元素、および希土類元素を実質的に含有していなかった。素材2の希土類元素含有率は、本発明の母材として規定される範囲より低かった。素材3、5、8、10、11、15および52の希土類元素含有率は、本発明の母材として規定される範囲より高かった。素材51の白金族元素含有率は、本発明の母材として規定される範囲より低かった。これらの点で、素材1〜3、5、8、10、11、15、51および52は、本発明の母材の化学組成の要件を満たしていなかった。素材4、6、7、9、12〜14および53〜60は、本発明の母材の化学組成の要件を満たしていた。
Figure 0006308330
これらのインゴットに対して、熱間圧延、冷間圧延、および700〜850℃の温度範囲での熱処理(焼鈍)を施し、0.2mmの厚さを有するチタン板に仕上げた。これらのチタン板について、焼鈍後の表面を研磨することなく、JIS−G 0551(2013年版)に規定される方法により、平均結晶粒径を測定した。
次に、酸液として、下記(a)〜(d)のいずれかの水溶液に、上記チタン板を浸漬することにより、酸洗を行った。
(a)塩酸濃度が7.5質量%である水溶液
(b)硫酸濃度が25質量%である水溶液
(c)硝酸濃度が4質量%で、ふっ酸濃度が1.5質量%である水溶液
(d)硫酸濃度が25質量%で、ふっ酸濃度が0.1質量%である水溶液
酸洗の際、酸液の温度は45〜70℃とし、チタン板の酸液への浸漬時間は0.3〜20分とした。これにより、チタン板の表面に酸化皮膜が形成された。この酸化皮膜が、チタン酸化物、および白金族元素を主体とするもの(本発明のチタン材における皮膜)であることを、TEM−EDXで分析することにより確認した。以下、単に、「皮膜」というときは、この酸化皮膜をいうものとする。また、この酸化皮膜の厚さを、TEM像より求めた。
このチタン板の両面(図1Bのセパレータ5a、5bのアノード側、およびカソード側に対応)に、幅2mm、深さ1mmの溝状のガス流路を、プレス加工により形成し、セパレータとして用いることができる形態にした。
2.接触抵抗の測定
(1)初期接触抵抗
図2は、接触抵抗の測定方法を説明するための図である。セパレータ形状に加工したチタン材(以下、「セパレータ」という。)21を、1対のカーボンペーパー(東レ(株)製 TGP−H−90)22で狭持し、これを1対の金めっきした電極23で挟んだ。カーボンペーパー22は、ガス拡散層(図1Bのアノード3、およびカソード4)に使用されるものであり、その面積は1cmであった。
次に、1対の金めっき電極23の間に荷重を加え、この状態で、この1対の金めっき電極23間に一定の電流を流して、このとき生じるカーボンペーパー22とセパレータ21との間の電圧降下を測定し、この結果に基づいて抵抗値を求めた。荷重は、20kgf/cm(1.96×10Pa)とした。得られた抵抗値は、セパレータ21の両面の接触抵抗を合算した値となるため、これを2で除して、セパレータ21の片面あたりの接触抵抗値(初期接触抵抗)とした。
(2)繰り返し荷重を与えた後の接触抵抗
初期接触抵抗を測定した後、荷重を除き、その後、上記の荷重(20kgf/cm)を加えて除くことを4サイクル繰り返した。4サイクル目の荷重を加えているときに、初期接触抵抗の測定と同様にして、接触抵抗を測定し、繰り返し荷重を与えた後の接触抵抗とした。
(3)燃料電池運転後の接触抵抗
次に、初期接触抵抗を測定済みのセパレータを用いて、単セルの固体高分子型燃料電池を作製した。セルには、固体高分子電解質膜を含む膜電極接合体(MEA)として、(株)東陽テクニカ製PFEC用スタンダードMEAであるFC50−MEA(イオン交換膜として、ナフィオン(登録商標)−1135を使用)を用いた。セパレータと、アノードおよびカソードとの間には、締め付け圧として、荷重が加えられていた。この燃料電池の運転後の接触抵抗を測定した。
セパレータを組み込んで運転する燃料電池は、単セルを積層した多セルの燃料電池とはしなかった。その理由は、単セルを積層した状態では、積層状態の差異が評価結果に反映され、測定値の再現性が低くなるためである。
この燃料電池に、アノード側燃料用ガスとして、純度が99.9999%の水素ガスを流し、カソード側ガスとして、空気を流した。水素ガス、および空気の燃料電池への導入ガス圧は0.04〜0.20bar(4000〜20000Pa)とした。燃料電池本体は、全体を70±2℃に保温するとともに、燃料電池内部の湿度制御は、入り側露点を70℃とすることで調整した。電池内部の圧力は、約1気圧(約1.01×10Pa)であった。
この燃料電池を、0.5A/cmの定電流密度で運転した。出力電圧は、運転開始から20〜50時間で最も高くなった。この最も高い電圧に達した後に、250時間運転を続け、その後、燃料電池の運転を、一旦停止した。その後、荷重、すなわち、締め付け圧を除いて再度加え、燃料電池の運転を再開した。そして、最も高い電圧に達した後に、250時間運転を続けた。その後、セルを解体してセパレータを取り出し、上述した方法により接触抵抗を測定し、発電運転後の接触抵抗とした。
接触抵抗の測定、ならびに燃料電池の運転時における電流および電圧の測定には、デジタルマルチメータ((株)東陽テクニカ製 KEITHLEY 2001)を使用した。
3.成形加工性評価
以下、評価対象のチタン板(酸洗を施したチタン板、および意図的に酸洗を施さなかったチタン板)を「チタン材」という。上記プレス加工とは別に、チタン材について、JIS Z 2247(2006年版)に規定されるエリクセン試験を行い、そのチタン材の側面を50倍に拡大して観察し、皺(凹凸)の有無を確認した。これを、加工による肌荒れの評価とした。肌荒れは、観察した視野に、皺が認められなかった場合を、「無」とし、1つでも皺が認められた場合を、「有」とした。
4.評価結果
表2Aおよび表2Bに、以上の評価結果を、母材の平均結晶粒径、酸洗条件、および酸化皮膜(皮膜)の厚さとともに示す。チタン材6および7に用いたチタン合金(母材)は本発明のチタン合金の要件を満たしたが、チタン材6および7は、本発明のチタン材の要件を満たさなかった。このため、表2Aおよび表2Bの区分の欄には、チタン材6および7について、「参考例」と記している。
Figure 0006308330
Figure 0006308330
本発明例のチタン材(チタン材4、9〜11、14、18〜20、51、53、56および58〜65)の接触抵抗は、初期、繰り返し荷重を与えた後、および燃料電池運転後のいずれも、10mΩ・cm以下と十分に低かった。
さらに、本発明例のチタン材は、いずれもエリクセン試験で肌荒れを生じなかった。
比較例であるチタン材1および2では、初期、繰り返し荷重を与えた後、および発電運転後のいずれの接触抵抗も大きかった。チタン材1で接触抵抗が大きかったのは、母材が白金族元素および希土類元素のいずれも実質的に含有していなかったことにより、酸洗によって表面に白金族元素を実質的に含有しない皮膜が形成されたためと考えられる。チタン材2で接触抵抗が大きかったのは、母材の希土類元素含有率が低かったことにより、酸洗によって表面に十分に白金族元素が濃化した皮膜が形成されなかったためと考えられる。
比較例であるチタン材3では、初期接触抵抗は小さかったが、繰り返し荷重を与えた後、および発電運転後の接触抵抗が大きかった。これは、母材の希土類元素含有率が高かったため、繰り返し荷重、および燃料電池の運転により、希土類元素が酸化したためと考えられる。さらに、チタン材3では、加工により肌荒れが生じた。これは、母材の希土類元素含有率が高かったことにより、希土類元素が不均一変形を助長したためと考えられる。
比較例であるチタン材5および57では、初期接触抵抗は小さかったが、繰り返し荷重を与えた後、および発電運転後の接触抵抗が大きかった。また、これらのチタン材の初期の接触抵抗は、本発明例のチタン材の平均的な初期接触抵抗より大きかった。これは、チタン材5および57では、母材のα相の平均結晶粒径が、25μm以下と小さかったことと関係していると考えられる。
参考例であるチタン材6では、初期、繰り返し荷重を与えた後、および発電運転後のいずれの接触抵抗も大きかった。これは、チタン材6では、酸洗処理を行っていないことから、皮膜が形成されていなかったためと考えられる。
参考例であるチタン材7では、初期、繰り返し荷重を与えた後、および発電運転後のいずれの接触抵抗も大きかった。これは、チタン材7では、酸洗処理により得られた皮膜の厚さが厚すぎた結果、接触抵抗が上昇したと考えられる。
比較例であるチタン材8、12、15〜17、21および55では、初期、繰り返し荷重を与えた後、および発電運転後のいずれも接触抵抗が10mΩ・cm以下と十分に低かった。しかし、チタン材8、12、15〜17、21および55では、加工により肌荒れを生じた。これは、母材の希土類元素含有率が高かったことにより、希土類元素が不均一変形を助長したためと考えられる。
比較例であるチタン材13では、初期接触抵抗は小さかったが、繰り返し荷重を与えた後、および発電運転後の接触抵抗が大きかった。また、チタン材13の初期の接触抵抗は、本発明例のチタン材の平均的な初期接触抵抗より大きかった。これは、チタン材13では、母材のα相の平均結晶粒径が25μm以下と小さかったことと関係していると考えられる。さらに、チタン材13では、加工により肌荒れを生じた。これは、母材の希土類元素含有率が高かったことにより、希土類元素が不均一変形を助長したためと考えられる。
比較例であるチタン材52では、初期、繰り返し荷重を与えた後、および発電運転後のいずれの接触抵抗も10mΩ・cm以下と十分に低かった。しかし、加工により肌荒れを生じた。これは、チタン材52では、母材のα相の平均結晶粒径が300μmを超えたことにより、延性が著しく低下したためと考えられる。
比較例であるチタン材54では、初期、繰り返し荷重を与えた後、および発電運転後のいずれも接触抵抗が大きかった。これは、チタン材54では、母材の白金族元素含有率が低かったため、酸洗によって表面に十分に白金族元素が濃化した皮膜が形成されなかったためと考えられる。
1:固体高分子型燃料電池、 5a、5b、21:セパレータ

Claims (5)

  1. 質量%で、
    白金族元素:0.005%〜0.15%、
    希土類元素:0.0005%以上、0.0019%以下、
    Ni:0〜1.0%、
    Mo:0〜0.5%、
    V:0〜0.5%、
    Cr:0〜0.5%、および
    W:0〜0.5%
    を含有し、残部がTiおよび不純物からなり、
    α相の平均結晶粒径が、2μm以上、300μm以下である、チタン合金。
  2. 請求項1に記載のチタン合金からなる母材と、
    前記母材の表面に形成され、チタン酸化物、および白金族元素を主体とし、厚さが50nm以下である皮膜とを備えた、チタン材。
  3. 請求項2に記載のチタン材を備える、固体高分子型燃料電池用セパレータ。
  4. 請求項3に記載のセパレータを備える、固体高分子型燃料電池用セル。
  5. 請求項4に記載のセルを備える、固体高分子型燃料電池。
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