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JP6399084B2 - 3d造形用光硬化性組成物および3d造形物の製造方法 - Google Patents

3d造形用光硬化性組成物および3d造形物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、3D造形用光硬化性組成物および3D造形物の製造方法に関する。
近年、3D造形物を製造する方法として、液体状の光硬化性組成物にレーザー光や紫外線を照射してその照射部分を硬化・積層させる方法や、インクジェットにより基材上に光硬化性組成物を着弾させ、着弾した光硬化性組成物に紫外線を照射して硬化させる方法が広く知られている。3D造形物は、製造が比較的容易であるため、最終製品を製造する前の、試作品として用いることができる。
光硬化性組成物が硬化してなる高分子量の線状ポリマーの一部を架橋させることで、ゴム状の性質をもった3D造形物を製造することができる。このゴム状の材料を用いた3D造形物からなる試作品について、最終製品の性状を試作段階でも確認するため、本物のゴムと同等の伸びと強度を持った3D造形物が望まれている。
2D光硬化物では、強度を有する硬化物を得るためのインク組成物として、官能基数が2以上6以下であるデンドリマーと、環状構造を有するモノマーとを含む活性光線硬化型インク組成物が特許文献1に記載されている。また、強度(耐スクラッチ性)を有する2D光硬化物を得るためのインク組成物として、ビニルエーテル、ジアリルフタレートのプレポリマー、カチオン重合開始剤および400nm以上の波長の光により増感機能を発現する増感剤を含有する活性光線硬化型インクジェット印刷用インク組成物が特許文献2に記載されている。
特開2009−114235号公報 特開2008−280460号公報
しかし、上記した3D造形物の製造方法では、光硬化性組成物をレーザーまたはUV(紫外線)などの光で極めて短い時間で硬化させて硬化物を得るため、不必要な架橋反応が起こり、均一な架橋構造を有する高分子量のポリマーを形成することが難しく、伸びと強度を両立した造形ゴムが得られない問題がある。
また、複数の層を積層して製造する3D造形物では、基材表面に硬化物を得る通常の2Dの硬化物と比べて、硬化物の厚さが数百倍以上となる。そのため、2Dの硬化物では問題にならない厚み方向の強度も重要である。
ゴムの特性を有する3D造形物では、造形物の伸びと強度を両立させることが重要である。しかし、特許文献1のインク組成物は、硬化性を出すことはできるものの、高分子量の線状ポリマーを成長させることが難しく、これをそのまま用いて3D造形物を作っても、伸びが低い造形物しかできない。また、特許文献2でも、硬化性等の観点から二官能以上のビニルエーテルがよいとされているため、高分子量の線状ポリマーを成長させることが難しく、このようなインクを3D造形用に用いても、造形物のゴム特性(伸びと弾性)は不十分である。
上記の課題に鑑み、本発明は、十分なゴム特性と、3D造形物の強度、特に厚み方向すなわち層間の強度とを兼ね備えたゴム材料を含む造形物を製造することができるような組成物、およびそのような組成物を用いた3D造形物の製造方法を提供することをその目的とする。
本発明の第一は、以下のインク組成物に関する。
[1] 単官能重合性化合物、多官能重合性化合物および光重合開始剤を含む3D造形用光硬化性組成物であって、前記多官能重合性化合物の平均官能基数は3以上であり、前記単官能重合性化合物(M)と前記多官能重合性化合物(m)とを(M)/(m)=92/8〜99.99/0.01のモル比で含む、組成物。
[2] 前記多官能重合性化合物の平均官能基数をaとしたとき、前記単官能重合性化合物(M)と前記多官能重合性化合物(m)とを(M)/(m)=(100−8×2/a)/(8×2/a)〜99.99/0.01のモル比で含む、[1]に記載の組成物。
[3] 前記多官能重合性化合物は分子量が10,000以上100,000以下である化合物を含む、[1]または[2]に記載の組成物。
[4] 前記多官能重合性化合物は官能基数が20以上である化合物を含む、[3]に記載の組成物。
[5] 前記単官能重合性化合物は、ラジカル重合性の官能基を有する化合物を含み、前記光重合開始剤は光ラジカル開始剤を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
[6] 前記単官能重合性化合物は、カチオン重合性の官能基を有する化合物を含み、前記光重合開始剤は光酸発生剤を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
本発明の第二は、以下の3D造形物の製造方法に関する。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の組成物に活性光線を照射する工程を含む、3D造形物の製造方法。
[8] 前記組成物を含むモデル材と、サポート材組成物を含むサポート材と、を用いる、[7]に記載の3D造形物の製造方法。
[9] 3D造形物の各層におけるモデル材およびサポート材の配置を表す複数の平面データに含まれる第1の平面データに基づいて、前記モデル材および前記サポート材の少なくともいずれか一方をインクジェットヘッドのノズルから基材上に吐出して第1の膜を形成し、該第1の膜を光硬化させて第1の硬化層を形成する工程と、該複数の平面データに含まれる第n(nは2以上の整数)の平面データに基づいて、前記モデル材および前記サポート材の少なくともいずれか一方をインクジェットヘッドのノズルから第n−1の硬化層上に吐出して第nの膜を形成し、該第nの膜を光硬化させて第nの硬化層を形成する工程とを有し、該第nの膜を形成し第nの硬化層を形成する工程を少なくとも1回以上行い、その後、サポート材を除去する工程をさらに有する、[8]に記載の3D造形物の製造方法。
[10] 3D造形物の各層の形状を表す複数の平面データに含まれる第1の平面データに基づいて、液体状の前記組成物に活性光線を照射して第1の硬化層を形成する工程と、該複数の平面データに含まれる第n(nは2以上の整数)の平面データに基づいて、該液体状の組成物に活性光線を照射して第n−1の硬化層上に第nの硬化層を形成する工程とを有し、該第nの硬化層を形成する工程を少なくとも1回以上行う、[7]に記載の3D造形物の製造方法。
本発明によれば、それを用いて製造した3D造形物がゴムのような伸びと弾性を有する3D造形用光硬化性組成物、およびそのような3D造形用光硬化性組成物を用いた3D造形物の製造方法が提供される。
図1はUV−IJ法による3D造形システムの1態様を示す模式図である。 図2はUV−IJ法による3D造形方法のフロー図である。 図3はUV−IJ法による3D造形方法の工程(その一)の側面図である。 図4AはUV−IJ法による3D造形方法の工程(その二)の側面図および図4Bはその上面図である。 図5AはUV−IJ法による3D造形方法の工程(その三)の側面図および図5Bはその上面図である。 図6AはUV−IJ法による3D造形方法の工程(その四)の側面図および図6Bはその上面図である。 図7AはUV−IJ法による3D造形方法の工程(その五)の側面図および図7Bはその上面図である。 図8は本発明の3D造形方法により得られるモデル材の斜視図である。 図9はSLA法による3D造形システムの1態様を示す模式図である。 図10はSLA法による3D造形方法のフロー図である。 図11AはSLA法による3D造形方法の工程(その一)の側面図および図11Bはその上面図である。 図12AはSLA法による3D造形方法の工程(その二)の側面図および図12Bはその上面図である。 図13AはSLA法による3D造形方法の工程(その三)の側面図および図13Bはその上面図である。 図14AはSLA法による3D造形方法の工程(その四)の側面図および図14Bはその上面図である。
以下に、例示的な実施形態を挙げて本発明を説明する。
1.3D造形用光硬化性組成物
本発明の3D造形用光硬化性組成物は、単官能重合性化合物、多官能重合性化合物および光重合開始剤を含む。
1-1.重合性化合物
本発明の3D造形用光硬化性組成物は、重合性化合物として、単官能重合性化合物および多官能重合性化合物を含む。
1-1-1.単官能重合性化合物
本発明の単官能重合性化合物は、分子内に1つの重合性基を有する重合性化合物である。
単官能重合性化合物は、モノマーであってもよく、数個の分子が重合したオリゴマー等であってもよい。単官能重合性化合物の分子量は、120〜500とすることで、後述するUV−IJ法による3D造形物の製造時にインクジェット出射性を高めることができるほか、SLA法による3D造形物の製造時に液体の対流を防いで硬化性を大きくし、破断強度を高めることが可能となる。また、単官能重合性化合物の分子量を160〜400とすることで、インクジェット出射性および硬化性をさらに高めることができる。
重合性基は、ラジカル重合性の官能基でも、カチオン重合性の官能基でもよい。ラジカル重合性の官能基には、エチレン基を有する官能基が含まれ、具体的には、エチレン基、プロペニル基、ブテニル基、ビニルフェニル基、(メタ)アクリル基、アリルエーテル基、ビニルエーテル基、マレイル基、マレイミド基、(メタ)アクリルアミド基、アセチルビニル基およびビニルアミド基からなる群から選択される1または複数の官能基を含みうる。カチオン重合性の官能基には、エポキシ基、オキセタン基、フリル基およびビニルエーテル基からなる群から選択される1または複数の官能基を含みうる。なお、「(メタ)アクリル」は「アクリル」、「メタクリル」の双方又はいずれかを意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」、「メタクリレート」の双方又はいずれかを意味する。
これらのうち、ラジカル重合性の官能基としては(メタ)アクリル基、アリルエーテル基、ビニルエーテル基およびマレイミド基からなる群から選択される1または複数の官能基が好ましく、(メタ)アクリル基およびビニルエーテル基からなる群から選択される1または複数の官能基がさらに好ましく、(メタ)アクリル基がさらに好ましい。カチオン重合性の官能基としてはエポキシ基、オキセタン基およびビニルエーテル基が好ましく、ビニルエーテル基およびオキセタン基がさらに好ましい。
単官能重合性化合物は、単独で用いてもよいし、複数の種類を組み合わせて用いてもよい。
前記(メタ)アクリル基を有する化合物の例には、メチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ペンチルアクリレート、イソアミルアクリレート、オクチルアクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、n-ステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエトキシエチルアクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、メトキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチル−フタル酸、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-エチルヘキシル−ジグリコールアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、などが含まれる。
単官能重合性化合物として、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、およびフェノキシエトキシエチルアクリレートから選択される1または複数の化合物(以下、化合物Aともいう。)の量を、インク全体に対して50質量%以上とすると、光硬化性を高めることができる。好ましくは、フェノキシエチルアクリレートの量を、インク全体に対して50質量%以上とすることができる。
化合物Aは、光重合することで線状の高分子量のポリマーを与える単官能モノマーである。熱重合と比べて、光重合では短時間で大量のラジカルが発生させるため、ラジカル濃度が高くなる。ラジカル濃度が高いと、ポリマーの生長反応の他に、水素引き抜きによるグラフト重合が発生して、不必要な架橋が生じ、その結果、ゴムとしての強度が低下することがある。また、光重合では、酸素阻害により高分子量のポリマーの生成が妨げられることは周知の事実である。化合物Aではこのような問題が生じにくい。化合物Aの重合物は、低重合度でも組成物の粘度を上昇させやすいため、酸素阻害の影響を少なくする。また、化合物Aを用いると、化合物Aに含まれる嵩張った置換基によって立体障害が生じ、グラフト反応が発生しにくくなるため、線状のポリマーが得られやすい。その結果、化合物Aを用いて3D造形物を作製すると、伸びと強度に優れた硬化物が得られると考えられる。
前記アリルエーテル基を有する単官能重合性化合物の例には、フェニルアリルエーテル、o-,m-,p-クレゾールモノアリルエーテル、ビフェニル-2-オールモノアリルエーテル、ビフェニル-4-オールモノアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル、シクロヘキサンメタノールモノアリルエーテル等が含まれる。
前記ビニルエーテル基を有する単官能重合性化合物の例には、ブチルビニルエーテル、ブチルプロペニルエーテル、ブチルブテニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、エチルエトキシビニルエーテル、アセチルエトキシエトキシビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、アダマンチルビニルエーテルなどが含まれる。
前記マレイミド基を有する単官能重合性化合物の例には、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、n−ヘキシルマレイミドなどが含まれる。
前記エポキシ基を有する単官能重合性化合物の例には、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェノール(ポリエチレンオキシ)5−グリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ラウリルグリシジルエーテル、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,4−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、ノルボルネンオキシドなどが含まれる。
前記オキセタン基を有する単官能重合性化合物の例には、2−(3−オキセタニル)−1−ブタノール、3−(2−(2−エチルヘキシルオキシエチル))−3−エチルオキセタン、3−(2−フェノキシエチル)−3−エチルオキセタンなどが含まれる。
1-1-2.多官能重合性化合物
本発明の多官能重合性化合物とは、分子内に2以上の重合性基を有する重合性化合物である。本発明において、多官能重合性官能基の平均官能基数(a)は3以上である。
多官能重合性化合物は、モノマーでもよいし、複数のモノマーが重合したオリゴマーもしくはプレポリマーまたはデンドリマーでもよい。多官能重合性化合物としてプレポリマーを用いるとき、その数平均分子量は10,000以上100,000以下であることが好ましく、10,000以上50,000以下であることがさらに好ましい。多官能重合性化合物の数平均分子量を大きくすることで、走査方向での光硬化時に、多官能重合性化合物の中に反応しない官能基が生じ、この反応しない官能基が硬化した層の表面に出やすくなる。この表面に出た部分は、次の層を形成するためのインク中の官能基と反応して、層間の重合に用いられるため、3D造形物の積層方向の強度を高めることができる。また、数平均分子量を100,000以下とすることで、インクジェットから組成物を射出する際に、インクの粘度が高くなることによる出射性の低下を防ぐことができる。
重合性基は、ラジカル重合性の官能基でも、カチオン重合性の官能基でもよい。ラジカル重合性の官能基には、エチレン重合性基等が含まれる。カチオン重合性の官能基には、エポキシ基、オキセタン基、フリル基およびビニルエーテル基等が含まれる。
前記エチレン重合性基とは、炭素−炭素間の二重結合により重合する性質をもつ重合性基をいい、多官能重合性化合物は、エチレン基、プロペニル基、ブテニル基、ビニルフェニル基、(メタ)アクリル基、アリルエーテル基、ビニルエーテル基、(メタ)アクリルアミド基、マレイル基、アセチルビニル基、ビニルアミド基およびマレイミド基からなる群から選択される1または複数の官能基を含みうる。これらのうち、多官能重合性化合物は、(メタ)アクリル基、アリルエーテル基、ビニルエーテル基およびマレイミド基からなる群から選択される1または複数の官能基を有することが好ましく、得られる3D造形物の伸びおよび強度を高める観点からは(メタ)アクリル基、ビニルエーテル基およびアリルエーテル基からなる群から選択される1または複数の官能基を有することが特に好ましい。これらのエチレン重合性基は、ラジカル重合性の官能基であるため、これらのエチレン重合性基を有する多官能重合性化合物は、ラジカル重合性の官能基を有する前記単官能重合性化合物と併用して用いることができる。ただし、本発明はエチレン重合性基を有する多官能重合性化合物とラジカル重合性の官能基を有する単官能重合性化合物の組み合わせに限定されることはなく、エチレン重合性基を有する多官能重合性化合物に対してラジカル重合性の官能基を有する単官能重合性化合物とカチオン重合性の官能基を有する単官能重合性化合物とを組み合わせて用いてもよい。これらの場合において、多官能重合性化合物は、炭素骨格1モルあたり3モル以上の上記エチレン重合性基を有することが好ましい。
カチオン重合性の官能基を有する多官能重合性化合物は、エポキシ基およびビニルエーテル基からなる群から選択される1または複数の官能基を有することが好ましい。カチオン重合性の官能基を有する多官能重合性化合物は、カチオン重合性の官能基を有する前記単官能重合性化合物と併用して用いることができる。ただし、本発明はカチオン重合性の官能基を有する多官能重合性化合物とカチオン重合性の官能基を有する単官能重合性化合物の組み合わせに限定されることはなく、カチオン重合性の官能基を有する多官能重合性化合物に対してラジカル重合性の官能基を有する単官能重合性化合物とカチオン重合性の官能基を有する単官能重合性化合物とを組み合わせて用いてもよい。これらの場合において、多官能重合性化合物は、炭素骨格1モルあたり3モル以上のカチオン重合性の官能基を有することが好ましい。
3D造形用光硬化性組成物に含まれる多官能重合性化合物は、1種類であっても、異なる種類の多官能重合性化合物の組み合わせであってもよい。上記の中でも光重合の感度が良好であることからアクリル基、メタクリル基、ビニルエーテル基、アリルエーテル基およびエポキシ基から選ばれる官能基を有する多官能重合性化合物を用いることが好ましい。
本発明においては、多官能重合性化合物の平均官能基数が3以上となるように、多官能重合性化合物の配合比率を調整する。平均官能基数とは、それぞれの多官能重合性化合物が有する官能基数の、多官能重合性化合物全体のモル数に占めるその多官能重合性化合物のモル分率で重みをつけた平均である。つまり、本発明の3D造形用光硬化性組成物に含まれる多官能重合性化合物が1種類のみであれば、平均官能基数はその化合物の官能基数であり、本発明の3D造形用光硬化性組成物が複数の多官能重合性化合物を含む場合は、それぞれの多官能重合性化合物の官能基数に、多官能重合性化合物全体のモル数に占めるその多官能重合性化合物のモル分率を乗算した値の合計となる。なお、このとき、ごく少量のみ含まれるような化合物については、その存在が3D造形物の物性に与える影響は少ないため、モル分率の計算から除外してもよい。
本発明では、平均官能基数が3以上である多官能重合性化合物を含む3D造形用光硬化組成部物を用いることで、ゴム性能がよい、すなわち、伸びと強度が両立された3D造形物が得られる。その理由は推測の域をでないが、次のように考えている。多官能重合性化合物が含む複数の架橋基は、分子距離的には極めて短い距離に位置している。そこに、単官能重合性化合物から生成した線状高分子の重合性末端が接近するため、一つの線状高分子に生じる複数の架橋点も、互いに短い距離に位置することになり、それぞれの架橋点は、マクロ的にみると多重に架橋される。そのため、伸びに影響する架橋間分子量を変化させないことで伸びを確保し、一方でそれぞれの架橋点による強度を高めることができるため、3D造形物のゴム性能が向上したのではないかと考えている。
また、本発明では、平均官能基数が3以上である多官能重合性化合物を含む3D造形用光硬化組成部物を用いることで、3D造形物の積層間の強度が向上した。その理由は推測の域をでないが、次のように考えている。多官能重合性化合物は、比較的大きい分子量を持っているため、第n層の光照射時には、液の増粘により、多官能重合性化合物の一部のみが反応し、他の部分は反応しない。この反応しなかった部分が光硬化中に表面に排斥されることにより、表面に重合性基がある状態になる。この表面に、第n+1の層の組成物が着弾し、光硬化するときに、第1層の表面に出た重合性基とも反応しながら、重合することになる。そのため、本発明では3D造形物の積層間の強度も強くなると考えられる。
本発明において、多官能重合性化合物として、官能基数が20以上である化合物を含むと、強度をより強くすることが可能となる。これは、上述した多重に架橋される架橋点のそれぞれにおける強度がさらに強くなることによると考えられる。また、多官能重合性化合物は、数平均分子量500あたり1.0モル以上の重合性基を有することが好ましい。
多官能重合性化合物の例には、多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能ビニルエーテル化合物、多官能アリルエーテル化合物および多官能エポキシ化合物などが含まれる。
多官能重合性化合物としての二官能(メタ)アクリレート化合物の例には、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
多官能重合性化合物としての三官能以上の(メタ)アクリレート化合物の例には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレートなどが含まれる。
多官能重合性化合物としての多官能(メタ)アクリレート化合物は、変性物であってもよい。変性物の例には、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート化合物;カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性(メタ)アクリレート化合物;およびカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のカプロラクタム変性(メタ)アクリレート化合物などが含まれる。
多官能重合性化合物としての二官能ビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールビニルエーテル、ブチレンジビニルエーテル、ジブチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ノルボルニルジメタノールジビニルエーテル、イソバイニルジビニルエーテル、ジビニルレゾルシン、ジビニルハイドロキノンなどを挙げることができる。
多官能重合性化合物としての三官能ビニルエーテル化合物としては、例えば、グリセリントリビニルエーテル、グリセリンエチレンオキシド付加物トリビニルエーテル(エチレンオキシドの付加モル数6)、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリビニルエーテルエチレンオキシド付加物トリビニルエーテル(エチレンオキシドの付加モル数3)などを挙げることができる。
多官能重合性化合物としての四官能以上のビニルエーテル化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンヘキサビニルエーテル、それらのオキシエチレン付加物などが挙げられる。
多官能重合性化合物としての二官能アリルエーテル化合物としては、例えば、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、グリセロール α,α’−ジアリルエーテル、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレートなどを挙げることができる。
多官能重合性化合物としての三官能アリルエーテル化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルなどを挙げることができる。
多官能重合性化合物としての四官能以上のアリルエーテル化合物としては、例えば、ダイソー社製のジアリルフタレートプレポリマー、ジアリルイソフタレートプレポリマーなどが挙げられる。
多官能重合性化合物としての二官能エポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6ヘキサンジオールジグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
多官能重合性化合物としての三官能エポキシ化合物としては、例えば、ポリグリセロールトリグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
多官能重合性化合物としての四官能以上のエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
1-1-3.重合性化合物の組成
以上の通り、本発明の3D造形用光硬化性組成物に含まれる重合性化合物は、単官能重合性化合物および多官能重合性化合物を含む。3D造形用光硬化性組成物中の単官能重合性化合物(M)と多官能重合性化合物(m)とのモル比率は、(M)/(m)=92/8〜99.99/0.01である。
単官能重合性化合物(M)と多官能重合性化合物(m)とのモル比率を(M)/(m)=92/8以上とすることで、十分な割合の単官能重合性化合物を3D造形用光硬化性組成物に含むことができる。これにより、線状ポリマーとして成長した単官能重合性化合物が重合した高分子鎖が形成され、ゴム特性としての伸び性を十分に有する3D造形物が得られる。一方で、単官能重合性化合物(M)と多官能重合性化合物(m)とのモル比率を(M)/(m)=99.99/0.01以下とすることで、十分な割合の多官能重合性化合物を3D造形用光硬化性組成物に含むことができる。これにより、多官能重合性化合物による架橋が形成され、ゴム特性としての弾性を十分に有する3D造形物が得られる。
なお、多官能重合性化合物の平均官能基数が多くなると、架橋に用いることのできる1分子あたりの官能基数が多くなる。そのため、多官能重合性化合物の比率を低くしても、十分な数の架橋が形成されるため、3D造形物は十分な弾性を有する。一方で、架橋の数を一定範囲に抑えることで、単官能重合性化合物の重合による線状ポリマーの伸長が架橋によって阻害されるのを抑制し、線状ポリマーによる伸びをより大きくすることができる。
そのため、前記多官能重合性化合物の平均官能基数をaとしたとき、単官能重合性化合物(M)と多官能重合性化合物(m)とを(M)/(m)=(100−8×2/a)/(8×2/a)〜99.99/0.01のモル比で含ませてもよい。通常用いられる2官能架橋剤を使用した場合と架橋剤の官能基量を同じとすることにより、架橋点間分子量を維持したまま架橋部の強度を高めることができ、破断強度および破断伸度が上昇する。また架橋部とその他の部分の粗密が形成され、より硬い部分と軟らかい部分の海島構造ができてゴム状の物性を発現しやすくなっていると本発明者らは推定している。
1-2.光重合開始剤
本発明の3D造形用光硬化性組成物は、光重合開始剤を含む。前記単官能重合性化合物および多官能重合性化合物のいずれかまたは双方に、ラジカル重合性の官能基を有するものを用いたときは、光重合開始剤として光ラジカル開始剤を用いることができる。前記単官能重合性化合物および多官能重合性化合物のいずれかまたは双方に、カチオン重合性の官能基を有するものを用いたときは、光重合開始剤として光酸発生剤を用いることができる。光ラジカル開始剤と光酸発生剤の両方を組み合わせて用いてもよい。特に、光重合性化合物としてビニルエーテル基を有する化合物を用いるときに、光ラジカル開始剤と光酸発生剤とを組み合わせて用いることができる。
光ラジカル開始剤には、開裂型と水素引き抜き型とがある。本発明の3D造形用光硬化性組成物は、少なくとも開裂型の光重合開始剤を含むことが好ましい。つまり、本発明の3D造形用光硬化性組成物は、(a)開裂型と水素引き抜き型の両方の光重合開始剤を含有していてもよく、(b)開裂型の光重合開始剤のみを含有していてもよい。所望の効果に応じて、光重合開始剤の態様を適宜使い分ければよい。
3D造形用光硬化性組成物が、(a)開裂型と水素引き抜き型の両方の光重合開始剤を含有している場合は、開裂型の開始剤を質量比として多く含有していることが好ましい。光重合開始剤における水素引き抜き型開始剤の割合は、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
3D造形用光硬化性組成物中に光重合開始剤として開裂型と水素引き抜き型の両方の種類の重合開始剤を含有していると、3D造形用光硬化性組成物の硬化速度が上昇する。この理由は定かではないが、開裂型と水素引き抜き型の光重合開始剤が並存すると、水素引き抜き型の重合開始剤が増感剤のような役割を果たすために重合速度が向上するものと考えられる。これは通常の印刷に比べ、はるかに大きな時間を要する3D造形物の製造において、重要である。
3D造形用光硬化性組成物が、(b)開裂型の光重合開始剤のみを含有している(水素引き抜き型の開始剤を含有していない)場合には、(a)開裂型と水素引き抜き型の両方の光重合開始剤を含有している場合と比較して、3D造形用光硬化性組成物の硬化物の伸びまたは弾性が向上することがある。この理由は定かではないが、以下のように考えることができる。単官能重合性化合物の重合により得られる線状高分子間で、水素引き抜き型の重合開始剤によってグラフト反応が発生すると、不規則な架橋が生じることがある。架橋が規則的であれば、硬化物を伸長させた際に均一に力を受けるため、高い伸縮性を維持することができる。ところが、硬化物中に不規則な架橋があると、硬化物を伸長させた際に組成物中の特定の部位に応力が集中する。そのため、架橋部位または線状高分子鎖の破断を招くために、かえって伸びまたは弾性が低下すると考えられる。
そのため、3D造形物の作製スピードを早めることが求められる場合には、3D造形用光硬化性組成物に、(a)開裂型と水素引き抜き型の両方の種類の重合開始剤を含有させることが好ましい。一方、硬化物の耐久性を重視する場合には、(b)開裂型の光重合開始剤のみを含有させる(水素引き抜き型の光重合開始剤を実質的に含有させない)ことが好ましい。
開裂型の光重合開始剤の例には、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン系;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類;2,4,6-トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系;ベンジルおよびメチルフェニルグリオキシエステルなどが含まれる。
水素引き抜き型の光重合開始剤の例には、ベンゾフェノン類(ベンゾフェノン、N,N-ジエチルベンゾフェノン、等)、チオキサントン類(2,4-ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントン等)、アントラキノン類(エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、アミノアントラキノン、クロロアントラキノン等)、アクリジン類(9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9,9'-アクリジニル)ヘプタン等)等が含まれる。
光酸発生剤の例には、公知のスルホニウム塩、アンモニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等が含まれる。具体的には、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩、ヨードニウム(4−メチルフェニル)(4−(2−メチルプロピル)フェニル)ヘキサフルオロホスフェート、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、3−メチル−2−ブテニルテトラメチレンスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等が含まれる。市販の光酸発生剤として、バイエル:UVI−6990、ダイセル・サイテック:Uvacure1591、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ:CGI−552、Ir250、旭電化工業:SP−150、152、170、172、CP−77、サンアプロ:CPI−100P、CPI−101A、CPI−200K、CPI−210S等を用いることができる。
また、本発明の3D造形用光硬化性組成物は、増感剤を含有してもよい。増感剤としては、例えば、400nm以上の波長の光により増感機能を発現するものを用いることができる。このような増感剤の例には、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン等のアントラセン誘導体等が含まれる。これらの増感剤のうち、市販の物の例には、川崎化成工業:DBA、DEA等が含まれる。
3D造形用光硬化性組成物における光重合開始剤の含有量は、活性光線や活性光線硬化性化合物の種類などにもよるが、0.01質量%〜10質量%であることが好ましい。
1-3.他のインク成分
3D造形用光硬化性組成物には、必要に応じて光重合開始剤助剤や重合禁止剤などがさらに含まれていてもよい。光重合開始剤助剤は、第3級アミン化合物であってよく、芳香族第3級アミン化合物が好ましい。芳香族第3級アミン化合物の例には、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジメチルアミノ-p-安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルアミノ-p-安息香酸イソアミルエチルエステル、N,N-ジヒドロキシエチルアニリン、トリエチルアミンおよびN,N-ジメチルヘキシルアミン等が含まれる。なかでも、N,N-ジメチルアミノ-p-安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルアミノ-p-安息香酸イソアミルエチルエステルが好ましい。3D造形用光硬化性組成物に、これらの化合物が、一種のみ含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
重合禁止剤の例には、(アルキル)フェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、t-ブチルハイドロキノン、ピロガロール、1,1-ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p-ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5-ジ-t-ブチル-p-ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、トリ-p-ニトロフェニルメチル、N-(3-オキシアニリノ-1,3-ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o-イソプロピルフェノール、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム等が含まれる。
3D造形用光硬化性組成物には、その硬化物と後述のサポート剤の硬化物との剥離を容易にするために、さらに剥離促進剤を含んでもよい。剥離促進剤は、インクの全質量に対して0.01質量%〜3.0質量%含有することが好ましい。0.01質量%未満では基材との剥離性が低下し、3.0質量%を超えると、硬化前の3D造形用光硬化性組成物の液滴が合一しやすくなり、インク滲みの原因となることがある。
剥離促進剤としては、シリコン界面活性剤、フッ素界面活性剤、セバシン酸ステアリルのような高級脂肪酸エステルが挙げられるが、好ましくは、シリコン界面活性剤である。また、剥離促進剤は、3D造形用光硬化性組成物、下記で述べるサポート材用組成物のいずれかに含有させればよいが、好ましくは両方に含有させることがより好ましい。
1-4.3D造形用光硬化性組成物の物性
後述するUV−IJ法を用いる場合、インクジェットヘッドのノズルからの吐出性の観点から、3D造形用光硬化性組成物の25℃における粘度は、150mPa・s以下であることが好ましい。高粘度になるとインクジェットでは吐出できなくなるからである。3D造形用光硬化性組成物の粘度は、回転粘度計によって測定することができる。
3D造形用光硬化性組成物の硬化物のガラス転移温度は、25℃未満であることが好ましい。硬化物にゴム状物質のような、伸び性と応力に対する反発性を付与するためである。また、冬場の気温を考えると、3D造形用光硬化性組成物の硬化物のガラス転移温度は、5℃以下であることが好ましく、0℃以下であることが好ましく、−25℃未満がより好ましい。
1−5.3D造形用光硬化性組成物の用途
本発明の3D造形用光硬化性組成物は、UV−IJ(ultra-violet inkjet)法またはSLA(stereolithography)法等による、3D造形物の製造に用いられる。
UV−IJ法では、インクジェットを用いて3D造形用光硬化性組成物を基材に塗布して、基材に着弾した3D造形用光硬化性組成物に活性光線を照射して硬化させる。その後、塗布と硬化を繰り返すことで、3D造形物を製造する。SLA法では、液体状の3D造形用光硬化性組成物に活性光線を照射して、照射された3D造形用光硬化性組成物を硬化させる。その後、硬化された3D造形用光硬化性組成物を一層分の厚さだけ降下させた後、再度活性光線を照射してその上の層を硬化させていく。3D造形用光硬化性組成物は、UV−IJ法において3D造形物を製造するための「モデル材」またはSLA法において硬化される組成物として用いられるか、またはこれらに含ませることができる。
2.3D造形物の製造方法
本発明の3D造形物の製造方法は、上記した3D造形用光硬化性組成物に活性光線を照射する工程を含む。UV−IJ法およびSLA法のいずれにおいても、本発明の3D造形用光硬化性組成物は、活性光線を照射して硬化させることができる。活性光線としては、特に限定されることはないが、UV−IJ法においては紫外線または電子線を、SLA法においてはレーザー光を、それぞれ好ましく用いることができる。
活性光線が紫外線である場合、活性光線照射部(紫外線照射手段)の例には、蛍光管(低圧水銀ランプ、殺菌灯)、冷陰極管、紫外レーザー、数100Pa〜1MPaまでの動作圧力を有する低圧、中圧、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプおよびLED(発光ダイオード)等が含まれる。硬化性の観点から、照度100mW/cm以上の紫外線を照射する紫外線照射手段;具体的には、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプおよびLED等が好ましく、消費電力が少ない点から、LEDがより好ましい。具体的には、Phoseon Technology社製 395nm、水冷LEDを用いることができる。
活性光線が電子線である場合、活性光線照射部(電子線照射手段)の例には、スキャニング方式、カーテンビーム方式、ブロードビーム方式等の電子線照射手段が含まれる。処理能力の観点から、カーテンビーム方式の電子線照射手段が好ましい。電子線照射手段の例には、日新ハイボルテージ(株)製の「キュアトロンEBC−200−20−30」、AIT(株)製の「Min−EB」等が含まれる。
活性光線が電子線である場合、電子線照射の加速電圧は、十分な硬化を行うためには、30〜250kVとすることが好ましく、30〜100kVとすることがより好ましい。加速電圧が100〜250kVである場合、電子線照射量は30〜100kGyであることが好ましく、30〜60kGyであることがより好ましい。
活性光線がレーザー光である場合、半導体励起固体レーザー、Arレーザー、He−Cdレーザーなどの紫外線レーザーを用いることが出来る。
2−1.UV−IJ法による3D造形物の製造方法
UV−IJ法による3D造形物の製造方法では、上述の3D造形用光硬化性組成物含むモデル材と、サポート材組成物含むサポート材と、を用いることが好ましい。3D造形物の造形過程において、3D造形用光硬化性組成物の硬化前後の物理的・化学的性質が変化する。そのため、上述の3D造形用光硬化性組成物を含むモデル材と後述するサポート材組成物を含むサポート材とを用いることによって、モデル材の形状を維持しながら製造していくことがより好ましい。3D造形用光硬化性組成物の硬化物とサポート材の硬化物とは、剥離が比較的容易である。
このとき、サポート材をインクジェットで吐出して3D造形物の空間部分を形作り、モデル材をインクジェットで吐出して3D造形物を形作る。サポート材とモデル材とを同時に吐出してもよいし、サポート材を先に吐出して、その後モデル材を吐出してもよい。インクジェットで吐出したサポート材およびモデル材の少なくとも一方を含む第nの膜を硬化させて第nの硬化層を形成し、その上に同様に吐出した第n+1の膜を硬化させると、第n+1の膜は、第nの硬化層とも接着して硬化するため、積層方向にも接着しながら硬化していく。こうしてすべての硬化層を形成したあと、サポート材の硬化物を除去することで、目的の3D造形物を得ることができる。
サポート材組成物は、特に限定されないものの、熱溶融性するもの、または光硬化性で、その硬化物が水溶性であるか、もしくは水膨潤性であるものが好ましい。また、サポート材の硬化物と、モデル材の硬化物とが剥離しやすいことが好ましい。
熱溶融性するものとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、エステルワックス、アミドワックス、PEG20000などのワックス類が挙げられる。光硬化性でその硬化物が水溶性、であるか、または水膨潤性であるものとは、例えば、光重合性官能基(炭素炭素不飽和基など)を有する水溶性化合物(水溶性モノマー)と、光開裂型開始剤と、水と、を主成分とする光硬化樹脂組成物でありうるが、特に限定されない。サポート材には、さらに水溶性高分子が含まれていてもよい。
サポート材に含まれる水溶性モノマーの例には、水溶性(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンジアクリレート、ポリオキシプロピレンジアクリレート、アクロロイルモルホリン、ヒドロキシアルキルアクリレート;水溶性のアクリルアミドとして、アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミドなどが含まれる。サポート材に含まれる水溶性高分子の例には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコールなどが含まれる。サポート材に含まれる光開裂型開始剤の例には、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパン-1-オンなどが挙げられるが、特に限定されない。
UV−IJ法による具体的な製造方法の例は、3D造形物の各層におけるモデル材およびサポート材の配置を表す複数の平面データに含まれる第1の平面データに基づいて、モデル材およびサポート材の少なくともいずれか一方をインクジェットヘッドのノズルから基材上に吐出して第1の膜を形成し、前記第1の膜を光硬化させて第1の硬化層を形成する工程と、前記複数の平面データに含まれる第n(nは2以上の整数)の平面データに基づいて、モデル材およびサポート材の少なくともいずれか一方をインクジェットヘッドのノズルから第n−1の硬化層上に吐出して第nの膜を形成し、第nの膜を光硬化させて第nの硬化層を形成する工程とを有し、第nの膜を形成し第nの硬化層を形成する工程を少なくとも1回以上行い、その後サポート材を除去する工程をさらに有する。
なお、上記UV−IJ法による具体的な製造方法は、CAD(Computer Aided Design)データを3D造形用データであるSTL(Stereo Lithography)データに変換する工程、およびSTLデータに基づいて前記複数の平面データを作成する工程をさらに有していてもよい。また、購入する等の方法で入手したSTLデータまたは複数の平面データを用いてもよい。
2−2.UV−IJ法による3D造形システムおよび装置
図1には、UV−IJ法による3D造形システムの例の概要が示される。図1に示されるUV−IJ法による3D造形システムは、インクジェット部1に、上下(図面Z方向)に駆動する駆動手段(図示省略)を備え3D造形物が配置される、基材からなるステージ11と、左右(図面XY方向)に移動可能にレール(図示省略)上に配置された、モデル材またはサポート材を吐出するインクジェット装置12と、を有する。
インクジェット装置12は、モデル材用インクジェットヘッド13と、サポート材用インクジェットヘッド14と、膜厚調整用ローラ15と、光源16とを備える。モデル材用インクジェットヘッド13およびサポート材用インクジェットヘッド14は、それぞれ吐出用のノズルを有する。モデル材用インクジェットヘッド13は、配管13aを介してポンプ13bと光硬化性組成物タンク13cに連通する。光硬化性組成物タンク13cには、本願発明の3D造形用光硬化性組成物を含むモデル材を入れることができる。サポート材用インクジェットヘッド14は、配管14aを介してポンプ14bと光硬化性組成物タンク14cに連通する。光硬化性組成物タンク14cには、サポート材を入れることができる。
図1に示すように、UV−IJ法による3D造形システムは、さらに演算制御部2と、CADデータ等の3D造形用データを入力するための入力装置4と、CADデータから変換されたSTLデータや、STLデータから得られたスライスデータを出力する出力装置5と、STLデータや仮想3D造形物等を表示する表示装置6と、3D造形物を製造するために必要な種々の情報、例えばロット番号と、CADデータ番号、STLデータ番号、モデル材およびサポート材を含む光硬化性組成物セットの番号等を関連付けて記録するための記憶装置3とを有する。
演算制御部2は、CADデータに基づいてSTLデータを算出するSTL演算手段21と、所望の3D造形物にあった光硬化性組成物セットを選択するよう情報を送る光硬化性組成物セット制御手段22と、ステージを駆動させる情報を送るステージ制御手段23と、モデル材またはサポート材を吐出させる情報を送るインクジェット制御手段24と、所望の厚さになるよう層を研磨する情報を送るローラ制御手段25と、吐出された光硬化性組成物を硬化させるために光照射するよう情報を送る光源制御手段26と、を備える。
演算制御部2は、CPU等の通常のコンピュータシステムで用いられる演算装置等で構成すればよい。入力装置4としては、例えばキーボード、マウス等のポインティングデバイスが挙げられる。出力装置5としては、例えばプリンタ等が挙げられる。表示装置6としては、例えば液晶ディスプレイ、モニタ等の画像表示装置等が挙げられる。記憶装置3としてはROM、RAM、磁気ディスクなどの記憶装置が使用可能である。
2−3.UV−IJ法による3D造形システムを用いた3D造形物の製造フロー
図1に示すUV−IJ法による3D造形システムを用いるUV−IJ法による3D造形方法について、図2のフロー図を参照しながら詳細に説明する。
(イ)ステップS101において、例えばCADデータを入力する。そしてステップS102において、CADデータを3D造形用データとしてのSTLデータに変換する。なお、STLデータから形成される仮想3D造形物を出力装置5上に表示して所望の形状が形成されるか否かを確認し、所望の形状が形成されない場合は、STLデータに修正を加えてもよい。
(ロ)ステップS103において、図3に示すように仮想3D造形物を図3のZ方向において複数の薄片状の層に微分割し、各層におけるモデル材の配置データを得る。また、各平面データにおいて、モデル材を支持または固定するためのサポート材の配置データも併せて作成する。モデル材のX,Y方向の周囲にサポート材を配置することで、いわゆるオーバーハング部分、例えば「K」の字の第二画目部分等を下方からサポート材で支持することができる。モデル材の配置データとサポート材の配置データを同じ層ごとに組み合わせて、本発明における「第1の平面データD1、第2の平面データD2、…第Xの平面データDX」を得る。
(ハ)ステップS105において、仮想3D造形物のデータや複数の平面データに基づいて、最適な光硬化性組成物セットを用意する。
(ニ)ステップS108において、第1の平面データD1に基づき、駆動手段を作動させてステージとインクジェット装置との相対的な位置を合わせる。
(ホ)ステップS110において、図4に示すように、第1の平面データD1に基づいてインクジェットの位置を制御して、ステージ上の適切な位置にモデル材(Ma)およびサポート材(S)の少なくともいずれか一方をインクジェットヘッドのノズルから吐出していき、第1の膜を形成する。各ノズルから吐出される1滴あたりの液滴量は、画像の解像度にもよるが、1pl〜70plが好ましく、2〜50plがより好ましい。その後、ステップS112において、活性光線を照射して第1の膜を光硬化させて第1の硬化層を得る。なお、第1の硬化層の厚みが均一であるか否かを確認し、均一でない場合は厚い部分を研磨して、第1の硬化層の厚さを均一にすることが好ましい。なお、硬化後の各硬化層の厚さは、1〜25μm程度であることが好ましい。
活性光線の照射は、3D造形用光硬化性組成物滴が記録媒体上に付着した後10秒以内、好ましくは0.001秒〜5秒以内、より好ましくは0.01秒〜2秒以内に行う。隣り合う3D造形用光硬化性組成物滴同士が合一するのを抑制するためである。活性光線の照射は、1層分の3D造形用光硬化性組成物を吐出した後に行われることが好ましい。
(ヘ)ステップS114において、形成すべき層がさらにあるかを判定する。形成すべき層がさらにある場合は、ステップS108に戻り、図5に示すように、ひとつの硬化層の厚さ分だけ、ステージ11の位置を下方(Z方向)に移動させる。その後、ステップS110、S112により第nの硬化層を第n−1の硬化層上に形成する。そして、図6、図7に示すように、最終層(第Xの硬化層)が積層されるまで、ステップS108、S110、S112、S114の手順を繰り返して複数の層を積層させる。ステップS114において、形成すべき層がこれ以上はない場合は、ステップS116に移行する。
(ト)ステップS116において、サポート材を除去する。例えば、サポート材を水で膨潤させて除去する。この除去工程と併せて、他の除去工程、例えばサポート材に高圧水を噴霧してモデル材からサポート材を除去してもよい。
以上により、図8に示すような、3D造形物Mを作製することができる。
[実施形態の変形例]
以上に記載した実施形態においては、モデル材用のインクジェットヘッドが1つの例を示したが、モデル材用のインクジェットヘッド数は1つに制限されない。例えばモデル材用に2つのインクジェットヘッドを設け、各インクジェットヘッドのノズルから物性が異なるモデル材を同時に吐出し、モデル材を混合させて複合材料として造形することもできる。
2−4.SLA法による3D造形物の製造方法
SLA法よる3D造形物の製造方法は、上述の液体状の3D造形用光硬化性組成物を用意する工程と、この3D造形用光硬化性組成物に活性光線を照射して光硬化させる工程と、を含むことが好ましい。
たとえば、上述の液体状の3D造形用光硬化性組成物の中に、基材からなる、上下移動な可能なステージを沈め、3D造形用光硬化性組成物に活性光線を照射して造形物の層ごと硬化させていく。1の層を硬化したら、テーブルをひとつの硬化層の厚さ分だけ下に下げ、再度活性光線を照射してその上の層を硬化していくことで、目的の3D造形物を製造することができる。
SLA法による具体的な製造方法の例は、3D造形物の各層の形状を表す複数の平面データに含まれる第1の平面データに基づいて、液体状の本発明の3D造形用光硬化性組成物に活性光線を照射して第1の硬化層を形成する工程と、複数の平面データに含まれる第n(nは2以上の整数)の平面データに基づいて、前記液体状の組成物に活性光線を照射して第n−1の硬化層上に第nの硬化層を形成する工程とを有し、前記第nの硬化層を形成する工程を少なくとも1回以上行う。
なお、上記SLA法による具体的な製造方法は、CADデータを3D造形用データであるSTLデータに変換する工程、およびSTLデータに基づいて前記複数の平面データを作成する工程をさらに有していてもよい。また、購入する等の方法で入手したSTLデータまたは複数の平面データを用いてもよい。
2−5.SLA法による3D造形システムおよび装置
本発明の3D造形用光硬化性組成物を用いて、SLA法によって3D造形物を製造するためのシステムおよび装置の例を、以下に説明する。
SLA法による3D造形物の製造では、液体状の3D造形用光硬化性組成物の中にテーブルを沈め、テーブル上の3D造形用光硬化性組成物に活性光線を照射して、製造しようとする3D造形物を形作っていく。
図9には、SLA法による3D造形システムの例の概要が示される。なお、SLA部31および演算制御部32の構成以外は図1と同様のため、重複する説明は省略する。図9に示されるSLA法による3D造形システムは、本発明の3D造形用光硬化性組成物を含む液体状の光硬化性組成物セットを入れる容器33と、上下(図面Z方向)に駆動する駆動手段(図示省略)を備え3D造形物が配置されるステージ34と、ステージの重力方向上方に配置された、活性光線を照射するための光学系と、を有する。
光学系の構成は、ステージ上を走査しながら活性光線を照射できれば特に限定されないが、たとえば、光源35と、光出射面36と、集光レンズ37と、活性光線の照射点を左右(図面XY方向)に走査する走査手段(図示省略)とを有する。
演算制御部32は、CADデータ等の3D造形用データを入力するための入力装置4と、CADデータから変換されたSTLデータや、STLデータから得られたスライスデータを出力する出力装置5と、STLデータや仮想3D造形物等を表示する表示装置6と、3D造形物を製造するために必要な種々の情報、例えばロット番号と、CADデータ番号、STLデータ番号、本発明の3D造形用光硬化性組成物を含む光硬化性組成物セットの番号等を関連付けて記録するための記憶装置3とを有する。
演算制御部32は、CADデータに基づいてSTLデータを算出するSTL演算手段41と、硬化させる層の高さにあわせてステージを上下させるステージ制御手段42と、STLデータにあわせて活性光線の照射点を走査させる情報を送るSLA制御手段43と、3D造形用光硬化性組成物を硬化させるために光照射するよう情報を送る光源制御手段44と、を備える。
2−6.SLA法による3D造形システムを用いた3D造形物の製造フロー
図9に示すSLA法による3D造形システムを用いる3D造形方法について、図10のフロー図を参照しながら詳細に説明する。
(イ)ステップS121において、例えばCADデータを入力する。そしてステップS122において、CADデータを3D造形用データとしてのSTLデータに変換する。なお、STLデータから形成される仮想3D造形物(仮想モデル材)を出力装置5上に表示して所望の形状が形成されるか否かを確認し、所望の形状が形成されない場合は、STLデータに修正を加えてもよい。
(ロ)ステップS123において、図3と同様に仮想3D造形物を図3のZ方向において複数の薄片状の層に微分割し、「第1の平面データD1、第2の平面データD2、…第Xの平面データDX」を得る。
(ハ)ステップS125において、仮想3D造形物のデータや複数の平面データに基づいて最適な光硬化性組成物セットを用意し、容器33に光硬化性組成物セットを充填する。
(ニ)ステップS128において、第1の平面データD1に基づき、駆動手段および走査手段を作動させてステージ34と活性光線の照射点との相対的位置合わせを行う。このとき、光源制御手段44は、活性光線の照射を停止するよう光源35に情報を送る。
(ホ)ステップS132において、図11に示すように、活性光線を照射しながら走査して、ステージ34上の光重合組成物を硬化させて第1の硬化層を形成する。
(ヘ)ステップS134において、形成すべき層がさらにあるかを判定する。形成すべき層がさらにある場合は、第2の層の形成に先立ってステップS128に戻り、図12に示すように、ひとつの硬化層の厚さ分だけ、ステージ34の位置を下方(Z方向)に移動させる。その後、ステップS132により第nの硬化層を第n−1の硬化層の上に形成する。そして、図13、図14に示すように、最終層(第Xの硬化層)が積層されるまで、ステップS128、S132の手順を繰り返して複数の層を積層させる。ステップS134において、形成すべき層がこれ以上はない場合は、処理を終了する。
以上により、図8に示すような、3D造形物Mを作製することができる。
以下において、実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。これらの実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
以下の成分を用いて、各実施例および比較例に係る3D造形用光硬化性組成物を調製した。
(実施例1)
3D造形用光硬化性組成物1の調製
以下の成分を混合および溶解させて3D造形用光硬化性組成物1を調製した。
[3D造形用光硬化性組成物1の組成]
フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートPO−A) 91.02g
トリメチロールプロパントリアクリレート(サートマー社製SR351) 7.38g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.10g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光重合開始剤 BASF社製) 1.50g
(実施例2)
3D造形用光硬化性組成物2の調製
以下の成分を混合および溶解させて3D造形用光硬化性組成物2を調製した。
[3D造形用光硬化性組成物2の組成]
フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートPO−A) 98.38g
トリメチロールプロパントリアクリレート(サートマー社製SR351) 0.02g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.10g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光重合開始剤 BASF社製) 1.50g
(実施例3)
3D造形用光硬化性組成物3の調製
以下の成分を混合および溶解させて3D造形用光硬化性組成物3を調製した。
[3D造形用光硬化性組成物3の組成]
フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートPO−A) 86.77g
トリメチロールプロパントリアクリレート(サートマー社製SR351) 11.63g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.10g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光重合開始剤 BASF社製) 1.50g
(実施例4)
3D造形用光硬化性組成物4の調製
以下の成分を混合および溶解させて3D造形用光硬化性組成物4を調製した。
[3D造形用光硬化性組成物4の組成]
フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートPO−A) 89.59g
トリメチロールプロパントリアクリレート(サートマー社製SR351) 8.81g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.10g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光重合開始剤 BASF社製) 1.50g
(実施例5)
3D造形用光硬化性組成物5の調製
以下の成分を混合および溶解させて3D造形用光硬化性組成物5を調製した。
[3D造形用光硬化性組成物5の組成]
イソステアリルアクリレート(大阪有機化学社製ISTA) 93.89g
トリメチロールプロパントリアクリレート(サートマー社製SR351) 4.51g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.10g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光重合開始剤 BASF社製) 1.50g
(実施例6)
3D造形用光硬化性組成物6の調製
以下の成分を混合および溶解させて3D造形用光硬化性組成物6を調製した。
[3D造形用光硬化性組成物6の組成]
フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートPO−A) 91.95g
ペンタエリスリトールトリアリルエーテル(ダイソー社製ネオアリルP−30) 6.45g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.10g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光重合開始剤 BASF社製) 1.50g
(実施例7)
3D造形用光硬化性組成物7の調製
以下の成分を混合および溶解させて3D造形用光硬化性組成物7を調製した。
[3D造形用光硬化性組成物7の組成]
フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートPO−A) 89.75g
ペンタエリスリトールテトラアクリレート(サートマー社製SR295) 8.65g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.10g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光重合開始剤 BASF社製) 1.50g
(実施例8)
3D造形用光硬化性組成物8の調製
以下の成分を混合および溶解させて3D造形用光硬化性組成物8を調製した。
[3D造形用光硬化性組成物8の組成]
フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートPO−A) 91.42g
ペンタエリスリトールテトラアクリレート(サートマー社製SR295) 6.98g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.10g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光重合開始剤 BASF社製) 1.50g
(実施例9)
3D造形用光硬化性組成物9の調製
以下の成分を混合および溶解させて3D造形用光硬化性組成物9を調製した。
[3D造形用光硬化性組成物9の組成]
フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートPO−A) 90.02g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学社製A−DPH) 8.38g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.10g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光重合開始剤 BASF社製) 1.50g
(実施例10)
3D造形用光硬化性組成物10の調製
以下の成分を混合および溶解させて3D造形用光硬化性組成物10を調製した。
[3D造形用光硬化性組成物10の組成]
フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートPO−A) 91.35g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学社製A−DPH) 7.05g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.10g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光重合開始剤 BASF社製) 1.50g
(実施例11)
3D造形用光硬化性組成物11の調製
以下の成分を混合および溶解させて3D造形用光硬化性組成物11を調製した。
[3D造形用光硬化性組成物11の組成]
フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートPO−A) 87.14g
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(新中村化学社製UA−510H) 11.26g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.10g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光重合開始剤 BASF社製) 1.50g
(実施例12)
3D造形用光硬化性組成物12の調製
以下の成分を混合および溶解させて3D造形用光硬化性組成物12を調製した。
[3D造形用光硬化性組成物12の組成]
フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートPO−A) 89.75g
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(新中村化学社製UA−510H) 8.65g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.10g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光重合開始剤 BASF社製) 1.50g
(実施例13)
3D造形用光硬化性組成物13の調製
以下の成分を混合および溶解させて3D造形用光硬化性組成物13を調製した。なお、8KX−078については溶媒を除去した後の固形分のみを添加した。
[3D造形用光硬化性組成物13の組成]
フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートPO−A)87.47g
多官能アクリレートポリマー(大成ファインケミカル社製8KX−078、官能基数88、分子量4万) 10.93g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.10g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光重合開始剤 BASF社製) 1.50g
(実施例14)
3D造形用光硬化性組成物14の調製
以下の成分を混合および溶解させて3D造形用光硬化性組成物14を調製した。なお、8KX−078については溶媒を除去した後の固形分のみを添加した。
[3D造形用光硬化性組成物14の組成]
フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートPO−A)69.43g
多官能アクリレートポリマー(大成ファインケミカル社製8KX−078、官能基数88、分子量4万) 28.96g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.10g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光重合開始剤 BASF社製) 1.50g
(実施例15)
3D造形用光硬化性組成物15の調製
以下の成分を混合および溶解させて3D造形用光硬化性組成物15を調製した。なお、8KX−077については溶媒を除去した後の固形分のみを添加した。
[3D造形用光硬化性組成物15の組成]
フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートPO−A)92.34g
多官能アクリレートポリマー(大成ファインケミカル社製8KX−077、官能基数167、分子量2万) 6.06g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.10g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光重合開始剤 BASF社製) 1.50g
(実施例16)
3D造形用光硬化性組成物16の調製
以下の成分を混合および溶解させて3D造形用光硬化性組成物16を調製した。
[3D造形用光硬化性組成物16の組成]
フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートPO−A) 92.61g
多分岐ポリアクリレート(大阪有機化学社製star−501、官能基数20〜99、分子量16000) 5.79g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.10g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光重合開始剤 BASF社製) 1.50g
(実施例17)
3D造形用光硬化性組成物17の調製
以下の成分を混合および溶解させて3D造形用光硬化性組成物17を調製した。1、6ヘキサンジオールジアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとのモル比は、1:1とした。
[3D造形用光硬化性組成物17の組成]
フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートPO−A) 91.18g
1、6ヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学社製A−HD−N) 2.82g
ペンタエリスリトールテトラアクリレート(サートマー社製SR295) 4.39g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.10g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光重合開始剤 BASF社製) 1.50g
(実施例18)
3D造形用光硬化性組成物18の調製
以下の成分を混合および溶解させて3D造形用光硬化性組成物18を調製した。1、6ヘキサンジオールジアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとのモル比は、1:1とした。
[3D造形用光硬化性組成物18の組成]
フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートPO−A) 93.39g
1、6ヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学社製A−HD−N) 1.41g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学社製A−DPH) 3.60g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.10g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光重合開始剤 BASF社製) 1.50g
(実施例19)
3D造形用光硬化性組成物19の調製
以下の成分を混合および溶解させて3D造形用光硬化性組成物19を調製した。トリメチロールプロパントリアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとのモル比は、1:2とした。
[3D造形用光硬化性組成物19の組成]
フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートPO−A) 92.42g
トリメチロールプロパントリアクリレート(サートマー社製SR351) 1.21g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学社製A−DPH) 4.77g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.10g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光重合開始剤 BASF社製) 1.50g
(実施例20)
3D造形用光硬化性組成物20の調製
以下の成分を混合および溶解させて3D造形用光硬化性組成物20を調製した。
[3D造形用光硬化性組成物20の組成]
2-エチルヘキシルオキセタン(東亜合成社製OXT−212) 91.68g
グリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製EX−314) 5.79g
2メチルアミノエタノール 0.03g
CPI−100P(光酸発生剤 サンアプロ社製) 2.50g
(実施例21)
3D造形用光硬化性組成物21の調製
以下の成分を混合および溶解させて3D造形用光硬化性組成物21を調製した。
[3D造形用光硬化性組成物21の組成]
2-エチルヘキシルオキセタン(東亜合成社製OXT−212) 93.89g
ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製EX−411) 4.51g
2メチルアミノエタノール 0.03g
CPI−100P(光酸発生剤 サンアプロ社製) 2.50g
(実施例22)
3D造形用光硬化性組成物22の調製
以下の成分を混合および溶解させて3D造形用光硬化性組成物22を調製した。
[3D造形用光硬化性組成物22の組成]
シクロヘキシルビニルエーテル(日本カーバイト工業社製CHVE) 89.46g
トリメチロールプロパントリビニルエーテル 5.34g
2メチルアミノエタノール 0.03g
CPI−100P(光酸発生剤 サンアプロ社製) 2.50g
(実施例23)
3D造形用光硬化性組成物23の調製
以下の成分を混合および溶解させて3D造形用光硬化性組成物23を調製した。
[3D造形用光硬化性組成物23の組成]
フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートPO−A) 91.02g
トリメチロールプロパントリアクリレート(サートマー社製SR351) 7.38g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.10g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光重合開始剤 BASF社製) 1.50g
(比較例1)
3D造形用光硬化性組成物24の調製
以下の成分を混合および溶解させて3D造形用光硬化性組成物24を調製した。
[3D造形用光硬化性組成物24の組成]
フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートPO−A) 92.67g
1、6ヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学社製A−HD−N) 5.73g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.10g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光重合開始剤 BASF社製) 1.50g
(比較例2)
3D造形用光硬化性組成物25の調製
以下の成分を混合および溶解させて3D造形用光硬化性組成物25を調製した。
[3D造形用光硬化性組成物25の組成]
フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートPO−A) 98.39g
トリメチロールプロパントリアクリレート(サートマー社製SR351) 0.01g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.10g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光重合開始剤 BASF社製) 1.50g
(比較例3)
3D造形用光硬化性組成物26の調製
以下の成分を混合および溶解させて3D造形用光硬化性組成物26を調製した。
[3D造形用光硬化性組成物26の組成]
フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートPO−A) 85.38g
トリメチロールプロパントリアクリレート(サートマー社製SR351) 13.02g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.10g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光重合開始剤 BASF社製) 1.50g
各実施例および比較例の3D造形用光硬化性組成物1〜22および24〜26をコニカミノルタIJ社製のピエゾヘッド512Lを搭載したUV硬化型プリンタに装填した。そして、ヘッド温度を「75℃以下であってインクの粘度が10mPa・sとなる温度」、あるいは75℃でもインクの粘度が10mPa・s超となる場合は「75℃」に設定した。そしてインクを1滴の液滴量42pl、8kHzの周波数の条件で長さ(X方向)80mm×巾(Y方向)10mmのベタ状に吐出し、高圧水銀灯で照度100mW/cmで1秒間光照射して層を形成し、次いでヘッドおよび光源を垂直方向に上昇させて形成した層状にヘッドからインクを吐出硬化して積層し、これを厚みが1mmになるまで繰り返してXY方向の物性測定用サンプルを作成した。
上記と同様に長さ(X方向)10mm×巾(Y方向)1mmのベタ状に吐出硬化した膜を厚み80mmになるまで積層してZ方向の物性測定用サンプルを作成した。
3D造形用光硬化性組成物23をエンビジョンテック社製光造形機perfectry desktopのバットに投入し、長さ(X方向)80mm×巾(Y方向)10mm×厚み(Z方向)1mmのXY方向物性測定用サンプルおよび長さ(X方向)10mm×巾(Y方向)1mm×厚み(Z方向)80mmのZ方向物性測定用サンプルを作成した。
(破断伸びと破断強度の測定)
上記作成した実施例および比較例のXY方向測定用サンプルおよぶZ方向測定用サンプルをテンシロンで以下の条件で引張試験を実施し破断時の伸びと強度を測定した。
引張速度:500mm/min
チャック間距離:5cm
(評価基準−破断伸び)
◎:破断伸びが200%以上。
○:破断伸びが150%以上200%未満。
△:破断伸びが100%以上150%未満。
×:破断伸びが100%未満。
(評価基準−破断強度)
◎:破断強度が3MPa以上。
○:破断強度が1MPa以上3MPa未満。
×:破断強度が1MPa未満。
(出射性)
3D造形用光硬化性組成物1〜22および24〜26を、コニカミノルタIJ社製のピエゾヘッド512Lを搭載したUV硬化型プリンタに装填した。そして、ヘッド温度を「75℃以下であってインクの粘度が10mPa・sとなる温度」、あるいは75℃でもインクの粘度が10mPa・s超となる場合は「75℃」に設定した。そして、1L相当のインクを、1滴の液滴量42pl、8kHzの周波数の条件で、60分間連続的に吐出させた。そして、欠ノズルの数をカウントして、インクの出射性を評価した。インクの出射性の評価は、以下の基準で行った。
◎:欠ノズルが発生しなかった。
○:欠ノズルが1個以上全体の3%未満発生した。
△:欠ノズルが全体の3%以上10%未満発生した。
×:欠ノズルが全体の10%以上発生した。
実施例1〜23および比較例1〜3のそれぞれについて、用いた単官能重合性化合物の種類、多官能重合性化合物の種類、官能基数および平均官能基数(a)、単官能重合性化合物と多官能重合性化合物とのモル比(%)、多官能重合性化合物の平均官能基数(a)から算出した100−8×2/aおよび8×/aの値、ならびに上記基準による評価結果を、表1に示す。
Figure 0006399084
なお、表中の略号は、それぞれの3D造形用光硬化性組成物の調製に用いた以下の重合性化合物を表す。
・単官能有機性化合物
POA:フェノキシエチルアクリレート
ISTA:イソステアリルアクリレート
OXT−212:2-エチルヘキシルオキセタン
CHVE:シクロヘキシルビニルエーテル
・多官能有機性化合物
SR351:トリメチロールプロパントリアクリレート
SR295:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
A−DPH:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
UA−510H:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(新中村化学社製UA−510H)
8KX−078:多官能アクリレートポリマー(大成ファインケミカル社製8KX−078)
8KX−077:多官能アクリレートポリマー(大成ファインケミカル社製8KX−077)
star−501:多分岐ポリアクリレート(大阪有機化学社製star−501)
HDDA:1,6ヘキサンジオールジアクリレート
EX−314:グリセロールポリグリシジルエーテル
EX−411:ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル
TMVE:トリメチロールプロパントリビニルエーテル
単官能重合性化合物(M)と多官能重合性化合物(m)とのモル比を(M)/(m)=92/8〜99.99/0.01の範囲にすることで、破断伸びおよび破断強度のいずれも良好な3D造形物が得られ、また出射性も良好だった。
単官能重合性化合物(M)と多官能重合性化合物(m)とのモル比を(M)/(m)=(100−8×2/a)/(8×2/a)〜99.99/0.01の範囲にすることで、破断伸びおよび破断強度がより良好な3D造形物が得られた。
多官能重合性化合物の分子量を10,000以上100,000以下とするか、多官能重合性化合物に官能基数が20以上である化合物を含ませると、破断伸びおよび破断強度がより良好となった。
本発明の3D造形用光硬化性組成物は光硬化性を有し、その硬化物はゴムのような伸びと弾性を有する。そのため、本発明のインク組成物から得られる画像又は3D造形物に独特の特性を付与することができる。
本出願は、2014年3月14日出願の日本国出願番号2014−052505号に基づく優先権を主張する出願であり、当該出願の明細書および図面に記載された内容は本出願に援用される。
1 インクジェット部
2 演算制御部
3 記憶装置
4 入力装置
5 出力装置
6 表示装置
11 ステージ
12 インクジェット装置
13 モデル材用インクジェットヘッド
14 サポート材用インクジェットヘッド
16 光源
31 SLA部
32 演算制御部
33 容器
34 ステージ

Claims (12)

  1. 単官能重合性化合物、多官能重合性化合物および光重合開始剤を含む3D造形用光硬化性組成物であって、
    それぞれの多官能重合性化合物が有する重合性官能基数の、多官能重合性化合物全体のモル数に占める当該多官能重合性化合物のモル分率で重みをつけた平均である平均官能基数は3以上であり、
    前記多官能重合性化合物の平均官能基数をaとしたとき、
    該単官能重合性化合物(M)と該多官能重合性化合物(m)とを(M)/(m)=(100−8×2/a)/(8×2/a)〜99.99/0.01のモル比で含む、組成物。
  2. 前記多官能重合性化合物は分子量が10,000以上100,000以下である化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記多官能重合性化合物は官能基数が20以上である化合物を含む、請求項に記載の組成物。
  4. 前記単官能重合性化合物は、ラジカル重合性の官能基を有する化合物を含み、前記光重合開始剤は光ラジカル開始剤を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 前記ラジカル重合性の官能基は、(メタ)アクリル基である、請求項4に記載の組成物。
  6. 前記単官能重合性化合物は、カチオン重合性の官能基を有する化合物を含み、前記光重合開始剤は光酸発生剤を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  7. インクジェット法により吐出可能な、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 剥離促進剤を含む、請求項7に記載の組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物に活性光線を照射する工程を含む、3D造形物の製造方法。
  10. 前記組成物を含むモデル材と、サポート材組成物を含むサポート材と、を用いる、請求項に記載の3D造形物の製造方法。
  11. 3D造形物の各層におけるモデル材およびサポート材の配置を表す複数の平面データに含まれる第1の平面データに基づいて、前記モデル材および前記サポート材の少なくともいずれか一方をインクジェットヘッドのノズルから基材上に吐出して第1の膜を形成し、
    該第1の膜を光硬化させて第1の硬化層を形成する工程と、
    該複数の平面データに含まれる第n(nは2以上の整数)の平面データに基づいて、前記モデル材および前記サポート材の少なくともいずれか一方をインクジェットヘッドのノズルから第n−1の硬化層上に吐出して第nの膜を形成し、
    該第nの膜を光硬化させて第nの硬化層を形成する工程とを有し、
    該第nの膜を形成し第nの硬化層を形成する工程を少なくとも1回以上行い、
    その後、サポート材を除去する工程をさらに有する、請求項10に記載の3D造形物の製造方法。
  12. 3D造形物の各層の形状を表す複数の平面データに含まれる第1の平面データに基づいて、液体状の前記組成物に活性光線を照射して第1の硬化層を形成する工程と、
    該複数の平面データに含まれる第n(nは2以上の整数)の平面データに基づいて、該液体状の組成物に活性光線を照射して第n−1の硬化層上に第nの硬化層を形成する工程とを有し、該第nの硬化層を形成する工程を少なくとも1回以上行う、請求項に記載の3D造形物の製造方法。
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