JP6394956B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Description
そこで、近年、上記のような「LiMeO2型」活物質に対し、遷移金属(Me)に対するマンガン(Mn)のモル比Mn/Meが0.5を超え、充電をしてもα−NaFeO2構造を維持できる活物質が提案された。
なお、この材料は、遷移金属(Me)の比率に対するリチウム(Li)の組成比率Li/Meが1より大きく、例えばLi/Meが1.25〜1.6であるように原料を混合して合成されることから、「リチウム過剰型」活物質とも呼ばれ、合成後の組成はLi1+αMe1−αO2(α>0)と表記できる。ここで、遷移金属(Me)の比率に対するリチウム(Li)の組成比率Li/Meをβとすると、β=(1+α)/(1−α)であるから、例えば、Li/Meが1.5のとき、α=0.2である。
そして、初回充電後、実際の作動電位で電池を使用すると、図4に模式的に示すような余剰容量が正極に生じ、この余剰容量分を補うために、初回の充放電にしか関与しない過剰容量分の負極材料を必要としていた。
そのため、負極材料を収容するために大きな体積が必要であり、これが、電池の高容量密度化を妨げる要因となっていた。
正極と負極と非水電解質を備えた非水電解質二次電池であって、
前記正極は、α−NaFeO 2 型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物を含有する正極活物質を有し、
前記リチウム遷移金属複合酸化物は、遷移金属(Me)に対するリチウム(Li)のモル比Li/Meが1より大きく、前記遷移金属(Me)として、Mn並びに、Ni及び/又はCoを含み、前記遷移金属(Me)に対するMnのモル比Mn/MeがMn/Me≧0.60であり、
サイクリックボルタモグラム(CV)を、走査電位範囲:2.0−4.45V(vs.Li/Li + )、走査速度:0.05mV/secで行ったとき、前記正極のCVにおける酸化側に、電流密度の極小点を挟んで2つのピークが存在し、前記正極の酸化側のCVにおける3.6V(vs.Li/Li+)より高い電位の領域の積分値に対する3.6V(vs.Li/Li+)より低い電位の領域の積分値の比が0.37〜0.51の範囲であり、
前記負極の容量に対する前記正極の容量の比が0.86〜0.95の範囲である非水電解質二次電池。
モル比Mn/Meが0.6以上のリチウム遷移金属複合酸化物は高容量である。Li/Meが1より大きいことにより、充電してもα−NaFeO2構造を維持できるものであるから、充放電サイクル性能にも優れている。
図1からわかるように、初回充電電位を4.5V(vs.Li/Li+)以上に設定した場合には、3.6V(vs.Li/Li+)を挟んで2つのピークが明確に現れることから、3.6V(vs.Li/Li+)を挟んでこれらのピークをそれぞれ含む2つの電位領域に分けることができる。そして、初回充電電位を4.45V(vs.Li/Li+)に設定した場合との対比により、これらの領域のうち、3.6V(vs.Li/Li+)より電位の低い(1)の領域が、初回充電電位を高く設定したことによって容量が大きく増える領域であり、3.6V(vs.Li/Li+)より電位の高い(2)の領域が、初回充電電位の設定値によって容量が大きく変化しない領域であることがわかる。
したがって、本発明は、モル比Mn/Meが0.6以上であるリチウム遷移金属複合酸化物を活物質とする正極の酸化側のCVにおいて、(2)の領域の積分値に対する(1)の領域の積分値の比(以下、「(1)/(2)」という。)を0.37〜0.51の範囲、好ましくは0.37〜0.48とし、負極に対する正極の容量の比(以下、「正極/負極容量比」という。)を0.86〜0.95とすることを特徴とする。
(1)/(2)が0.37〜0.51の範囲の場合、初回充電電位を高く設定することによる正極の容量密度の増加効果を生かすことができるとともに、正極の余剰容量に対応する初回充放電のみに必要な負極容量が適度に低減され、正極/負極容量比を1に近い0.86〜0.95とすることができるから、電池の体積当たりの容量密度が改善される。
(1)/(2)が0.51を超えると、初回充電電位を高く設定することにより正極容量密度は増大するが、初回充放電のみに必要な負極容量が増大するため、負極容量分を供給する負極材料の体積が大きくなり、電池の体積当たりの容量が低減する。
また、初回充電電位を高く設定したことによる負極へのMnの析出等の要因により、充放電サイクル性能が優れない傾向となる。
本発明に係る非水電解質二次電池におけるリチウム遷移金属複合酸化物の組成は、高い放電容量が得られる点から、遷移金属(Me)がCo、Ni及びMnを含み、モル比Mn/Meが0.6以上である。モル比Mn/Meは0.6〜0.75とすることが好ましい。
なかでも、初期効率及び高率放電性能が優れた非水電解質二次電池を得るために、遷移金属元素Meに対するLiのモル比Li/Meは、1.2より大きく且つ1.6より小さいこと、すなわち、組成式Li1+αMe1−αO2において1.2<(1+α)/(1−α)<1.6とすることが好ましい。放電容量が特に大きく、高率放電性能が優れた非水電解質二次電池を得ることができるという観点から、前記Li/Meが1.25〜1.5のものを選択することが好ましい。
炭酸塩前駆体から作製されるリチウム繊維金属複合酸化物粒子は、2次粒子の粒度分布における累積体積が50%となる粒子径であるD50が、5μm以上であることが好ましく、5〜18μmであることがより好ましい。また、水酸化物前駆体から作製されるリチウム遷移金属複合酸化物粒子は、D50が、8μm以下であることが好ましく、8〜1μmであることがより好ましい。
次に、リチウム遷移金属複合酸化物を製造する方法について説明する。
リチウム遷移金属複合酸化物は、基本的に、リチウム遷移金属複合酸化物を構成する金属元素(Li,Mn,Co,Ni)を目的とする組成通りに含有する原料を調整し、これを焼成することによって得ることができる。但し、Li原料の量については、焼成中にLi原料の一部が消失することを見込んで、1〜5%程度過剰に仕込むことが好ましい。
目的とする組成の酸化物を作製するにあたり、Li,Co,Ni,Mnのそれぞれの塩を混合・焼成するいわゆる「固相法」や、あらかじめCo,Ni,Mnを一粒子中に存在させた共沈前駆体を作製しておき、これにLi塩を混合・焼成する「共沈法」が知られている。「固相法」による合成過程では、特にMnはCo,Niに対して均一に固溶しにくいため、各元素が一粒子中に均一に分布した試料を得ることは困難である。これまで文献などにおいては固相法によってNiやCoの一部にMnを固溶(LiNi1−xMnxO2など)しようという試みが多数なされているが、「共沈法」を選択する方が原子レベルで均一相を得ることが容易である。そこで、後述する実施例で用いるリチウム遷移金属複合酸化物は、「共沈法」を採用して作製した。
焼成温度が高すぎると、得られた活物質が酸素放出反応を伴って崩壊すると共に、主相の六方晶に加えて単斜晶のLi[Li1/3Mn2/3]O2型に規定される相が、固溶相としてではなく、分相して観察される傾向がある。このような分相が多く含まれすぎると、活物質の可逆容量の減少を導くので好ましくない。このような材料では、X線回折図上35°付近及び45°付近に不純物ピークが観察される。従って、焼成温度は、活物質の酸素放出反応の影響する温度未満とすることが好ましい。活物質の酸素放出温度は、本発明に係る組成範囲においては、概ね1000℃以上であるが、活物質の組成によって酸素放出温度に若干の差があるので、あらかじめ活物質の酸素放出温度を確認しておくことが好ましい。特に試料に含まれるCo量が多いほど前駆体の酸素放出温度は低温側にシフトすることが確認されているので注意が必要である。活物質の酸素放出温度を確認する方法としては、焼成反応過程をシミュレートするために、共沈前駆体とリチウム化合物を混合したものを熱重量分析(DTA−TG測定)に供してもよいが、この方法では測定機器の試料室に用いている白金が揮発したLi成分により腐食されて機器を痛めるおそれがあるので、あらかじめ500℃程度の焼成温度を採用してある程度結晶化を進行させた組成物を熱重量分析に供するのが良い。
本発明者らは、本発明活物質の回折ピークの半値幅を詳細に解析することにより、前駆体が共沈水酸化物である場合においては、焼成温度が650℃未満の温度で合成した試料においては格子内にひずみが残存しており、650℃以上の温度で合成することで顕著にひずみを除去することができること、及び、前駆体が共沈炭酸塩である場合においては、焼成温度が750℃未満の温度で合成した試料においては格子内にひずみが残存しており、750℃以上の温度で合成することで顕著にひずみを除去することができることを確認した。また、結晶子のサイズは合成温度が上昇するに比例して大きくなるものであった。よって、本発明活物質の組成においても、系内に格子のひずみがほとんどなく、かつ結晶子サイズが十分成長した粒子を志向することで良好な放電容量を得られるものであった。具体的には、格子定数に及ぼすひずみ量が2%以下、かつ結晶子サイズが50nm以上に成長しているような合成温度(焼成温度)及びLi/Me比組成を採用することが好ましいことがわかった。これらを電極として成型して充放電をおこなうことで膨張収縮による変化も見られるが、充放電過程においても結晶子サイズは30nm以上を保っていることが得られる効果として好ましい。
Li1.18Co0.10Ni0.17Mn0.55O2
(Li/Me=1.44、Mn/Me=0.67)
Li1.13Co0.21Ni0.17Mn0.49O2
(Li/Me=1.30、Mn/Me=0.56)
Li1.18Co0.17Ni0.17Mn0.49O2
(Li/Me=1.44、Mn/Me=0.60)
Li1.20Co0.10Ni0.15Mn0.55O2
(Li/Me=1.50、Mn/Me=0.69)
負極材料としては、限定されるものではなく、リチウムイオンを放出あるいは吸蔵することのできる形態のものであればどれを選択してもよい。例えば、Li[Li1/3Ti5/3]O4に代表されるスピネル型結晶構造を有するチタン酸リチウム等のチタン系材料、SiやSb,Sn系などの合金系材料リチウム金属、リチウム合金(リチウム−シリコン、リチウム−アルミニウム,リチウム−鉛,リチウム−スズ,リチウム−アルミニウム−スズ,リチウム−ガリウム,及びウッド合金等のリチウム金属含有合金)、リチウム複合酸化物(リチウム−チタン)、酸化珪素の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えばグラファイト、ハードカーボン、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)等が挙げられる。
前記正極活物質、及び負極材料が本発明の正極及び負極の主要成分であるが、前記正極及び負極には、前記主要構成成分の他に、導電剤、結着剤、増粘剤、フィラー等が、他の構成成分として含有されてもよい。
集電体としては、アルミニウム箔、銅箔等の集電箔を用いることができる。正極の集電箔としてはアルミニウム箔が好ましい。集電箔の厚みは10〜30μmが好ましい。また、合材層の厚みはプレス後において、40〜150μm(集電箔厚みを除く)が好ましい。
本発明に係る非水電解質二次電池に用いる非水電解質は、限定されるものではなく、一般にリチウム電池等への使用が提案されているものが使用可能である。非水電解質に用いる非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトンまたはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
セパレータとしては、優れた高率放電性能を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。非水電解質電池用セパレータを構成する材料としては、例えばポリエチレン,ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を挙げることができる。
本発明の非水電解質二次電池の構成については特に限定されるものではなく、正極、負極及びロール状のセパレータを有する円筒型電池、角型電池、扁平型電池等が一例として挙げられる。
図2に角型電池の一例を示す。セパレータを挟んで巻回された正極及び負極よりなる電極群2が角型の電池容器3に収納され、正極リード4’を介して正極端子4が、負極リード5’を介して負極端子5が電池容器外に導出されている。
本発明の非水電解質二次電池は、特に電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)などの自動車用電源として用いる場合に、複数の非水電解質二次電池を集合して構成した蓄電装置(バッテリーモジュール)として搭載することができる。
図3に、非水電解質二次電池1が集合した蓄電ユニット20をさらに集合した蓄電装置30の一例を示す。
<正極活物質の合成>
硫酸コバルト7水和物14.08g、硫酸ニッケル6水和物21.00g及び硫酸マンガン5水和物65.27gを秤量し、これらの全量をイオン交換水200mlに溶解させ、Co:Ni:Mnのモル比が10:17:55となる2.0Mの硫酸塩水溶液を作製した。一方、2Lの反応槽に750mlのイオン交換水を注ぎ、CO2ガスを30minバブリングさせることにより、イオン交換水中にCO2を溶解させた。反応槽の温度を50℃(±2℃)に設定し、攪拌モーターを備えたパドル翼を用いて反応槽内を700rpmの回転速度で攪拌しながら、前記硫酸塩水溶液を3ml/minの速度で滴下した。ここで、滴下の開始から終了までの間、2.0Mの炭酸ナトリウム、及び0.4Mのアンモニアを含有する水溶液を適宜滴下することにより、反応槽中のpHが常に7.9(±0.05)を保つように制御した。滴下終了後、反応槽内の攪拌をさらに5h継続した。攪拌の停止後、12h以上静置した。
N−メチルピロリドンを分散媒とし、正極活物質として上記のリチウム遷移金属複合酸化物A、アセチレンブラック(AB)及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)が92.5:5:2.5の質量比率で含有している塗布用ペーストを作製した。該塗布ペーストを厚さ15μmのアルミニウム箔集電体の片方の面に塗布した。なお、塗布面積は12cm2であり、単位面積当たりに塗布されている活物質の質量を15mg/cm2とした。次に、ロールプレスを用いて電極の多孔度が35%となるようにプレスを行い,100℃で真空乾燥を実施した。このようにして正極板を作製した。
得られた正極板の正極合材密度は2.434g/ccであり、正極合材質量は0.200gであった。
正極の単極挙動を正確に確認する目的のため、対極、すなわち負極には金属リチウムをニッケル集電体に密着させて試験電池を作製した。
試験電池においては、非水電解質二次電池の容量が負極によって制限されないよう、負極には十分な量の金属リチウムを配置した。
非水電解質として、エチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)の体積比が3:7である混合溶媒に濃度が1mol/LとなるようにLiPF6を溶解させた溶液を用いた。セパレータとして、ポリアクリレートで表面改質したポリプロピレン製の微孔膜を用いた。外装体には、ポリエチレンテレフタレート(15μm)/アルミニウム箔(50μm)/金属接着性ポリプロピレンフィルム(50μm)からなる金属樹脂複合フィルムを用い、正極端子、負極端子の開放端部が外部露出するように電極を収納し、前記金属樹脂複合フィルムの内面同士が向かい合った融着代を注液孔となる部分を除いて気密封止し、前記電解液を注液後、注液孔を封止した。
試験電池の初回充放電を、25℃で、4.50V(vs.Li/Li+)まで0.1CmAの定電流で、その後、0.02CmAになるまで定電圧で充電し、0.1CmAの定電流で2.0Vまで放電することにより行った。なお、1CmAは40mA(3.33mA/cm2)であった。
続いて、以下の充放電条件により正極容量を確認したところ、41.9mAhであった。
温度:25℃
充電:0.1CmAの定電流(CC)で、4.45V(vs.Li/Li+)まで、その後、定電圧(CV)で0.02CmAになるまで
放電:0.1CmAの定電流CCで2.・0Vまで
1CmA=40mA(200mA/g)
正極容量を確認した試験電池を、以下の条件で初回容量確認試験及び充放電サイクル試験を行ったところ、サイクル後の容量維持率は98%であった。
まず、初回放電容量確認試験を行い、このときの放電容量を「初回放電容量」とする。
温度:25℃
充電:0.1CmAの定電流で4.45V(vs.Li/Li+)まで、その後、定電圧で0.02CmAになるまで
放電:1.0CmAの定電流で2.0Vまで
1CmAは40mA(200mA/g)
さらに、充放電サイクル試験を行い、10サイクル目の放電容量を「サイクル後の放電容量」とした。
充電:1.0CmAの定電流でそれぞれ4.45V(vs.Li/Li+)まで、その後、定電圧で0.05CmAになるまで
放電:1.0CmAの定電流で2.0Vまで
サイクル後の容量維持率は、初回放電容量に対するサイクル後の放電容量比で算出する。
以下の測定装置を用い、以下の条件で電位走査を行うことにより、CV測定を行った。なお、CV測定には、サイクル試験を行った後の上記試験電池を解体せずそのまま用いた。即ち、測定装置の作用極(WE)ケーブルは電池の正極端子に、対極(CE)ケーブル及び参照極(RE)ケーブル電池の負極端子に接続した。
装置名: Solartron社製、マルチスタット1470E型
走査電位範囲: 2.0−4.45V(vs.Li/Li+)
走査速度: 0.05mV/sec
サイクル: 3サイクル
試験温度: 25℃
極板面積(作用極): 12cm2
極板面積(対極): 12.6cm2
(1)の領域の積分値は12.7mJ/g、(2)の領域の積分値は26.3mJ/gであったので、酸化側のCVにおける(1)/(2)は0.48であった。
プラネタリーミキサーを用いて、水を分散媒とし、黒鉛質炭素材料、スチレンブタジエンゴム及びカルボキシメチルセルロースを97:2:1の質量比率で含有している負極ペーストを作製した。この負極ペーストをCu箔の片面に塗布し、乾燥およびプレスを実施して、負極板を作製した。負極ペーストの塗布量は、負極合剤質量が正極との関係で表1に示す所定の各質量比となるように調整した。実施例1においては、得られた負極板の合材密度は1.517g/ccであり、負極合材質量は0.133gであった。
前記試験電池の正極板に代えて前記負極板を用い、対極には金属リチウムをニッケル集電体に密着させて試験電池を作製した以外は、前記の正極単極試験用電池と同様の手順で試験電池を作製し、以下の充放電条件により負極容量を確認したところ、45.4mAhであった。
温度:25℃
充電:0.1CmAの定電流で、それぞれ0.02V(vs.Li/Li+)まで、その後、定電圧で0.02CmAになるまで
放電:0.1CmAの定電流で2.0Vまで
1CmA=40mA(200mA/g)
実際に正極及び負極が備えられた非水電解質二次電池を作製する場合は、改めて作製した前記正極板と改めて作製した負極板とを組み合わせ(正極/負極質量比:1.50、正極/負極容量比:0.92)、それ以外は前記の正極単極試験用電池と同様の手順で電池を作成し、初回充放電を、25℃で、電圧4.40Vまで0.1CmAの定電流で、その後、0.02CmAになるまで定電圧で充電し、0.1CmAの定電流で電圧2.0Vまで放電することにより行う。続いて、以下の条件で測定した1CmAでの電池容量は、38.2mAhである。なお、電圧4.40Vは4.50V(vs.Li/Li+)の電位を想定したものである。
充電:電流1CmA、電圧4.35Vの定電流定電圧充電、電流値が1/6に減衰した時点で充電終止
放電:電流1CmA、終止電圧2.0Vの定電流放電
以下の式により求めた前記の非水電解質二次電池の体積当たりの容量密度は、225mAh/ccである。
体積当たりの容量密度=電池の容量/(正極の体積+負極の体積)
正極の体積=正極合材質量/正極合剤密度
負極の体積=負極合材質量/負極合材密度
正極活物質として前記リチウム遷移金属複合酸化物Aを用い、合材質量が0.188g、容量が42.6mAhの正極板と、合材質量が0.141g、容量48.0mAhの負極板とを組み合わせ、正極/負極質量比を1.33、正極/負極容量比を0.89とした以外は、実施例1と同様の電池を作製し、初回充放電の充電電圧を4.45V(4.55V(vs.Li/Li+)の電位を想定)としたことを除いては、実施例1と同様の試験を行う。この非水電解質二次電池の体積当たりの容量密度は、226mAh/ccである。
なお、以下の実施例において、正極板の容量及び負極板の容量は、実施例1と同様に改めて作製した正極及び負極を用いて正極単極試験及び負極単極試験を行って求めた。正極単極試験における初回充放電時の充電電位は、それぞれの実施例で採用した初回充放電の充電電位と同じとした。
実施例2で用いた正極単極試験の結果、サイクル後の容量維持率は94%であり、CVにおける(1)/(2)が0.51であった。
合材質量が0.203g、容量が42.5mAh/gの正極板と、合材質量が0.132g、容量が44.8mAh/gの負極板とを、正極/負極容量比が0.95となるように組み合わせた以外は、実施例1と同様の電池を作製し、初回充放電の充電電圧を4.40V(4.50V(vs.Li/Li+)の電位を想定)としたことを除いては、実施例1と同様の試験を行う。この非水電解質二次電池の体積当たりの容量密度は、227mAh/ccである。
正極単極試験の結果、CVにおける(1)/(2)が0.48であった。
合材質量が0.250g、容量が34.2mAhの正極板と、合材質量が0.103g、容量が34.9mAh/gの負極板とを、正極/負極容量比が0.98となるように組み合わせた以外は、実施例1と同様の電池を作製し、初回充放電の充電電圧を4.35V(4.45V(vs.Li/Li+)の電位を想定)としたことを除いては、実施例1と同様の試験を行う。この非水電解質二次電池の体積当たりの容量密度は、177mAh/ccである。
正極単極試験の結果、サイクル後の容量維持率は107%であり、CVにおける(1)/(2)が0.24であった。
合材質量が0.183g、容量が38.2mAhの正極板と、合材質量が0.144g、容量が49.1mAhの負極板とを組み合わせ、正極/負極質量比を1.27、正極/負極容量比を0.78とした以外は、実施例1と同様の電池を作製し、初回充放電の充電電圧を4.40V(4.50V(vs.Li/Li+)の電位を想定)としたことを除いては、実施例1と同様の試験を行う。この非水電解質二次電池の体積当たりの容量密度は、203mAh/ccである。
正極単極試験の結果、CVにおける(1)/(2)が0.48であった。
比較例2と同じ合剤重量の正極板と負極板とを、正極の容量が41.4mAh、正極/負極容量比が0.84となるように組み合わせた以外は、実施例1と同様の電池を作製し、初回充放電の充電電圧を4.45V(4.55V(vs.Li/Li+)の電位を想定)としたことを除いては、実施例1と同様の試験を行う。この非水電解質二次電池の体積当たりの容量密度は、220mAh/ccである。
正極単極試験の結果、CVにおける(1)/(2)が0.51であった。
比較例2と同じ合剤重量の正極板と負極板とを、正極の容量が49.1mAh、正極/負極容量比が0.86となるように組み合わせた以外は、実施例1と同様の電池を作製し、初回充放電の充電電圧を4.50V(4.60V(vs.Li/Li+)の電位を想定)としたことを除いては、実施例1と同様の試験を行う。この非水電解質二次電池の体積当たりの容量密度は、223mAh/ccである。
正極単極試験の結果、サイクル後の容量維持率は94%であり、CVにおける(1)/(2)が0.52であった。
硫酸コバルト7水和物、硫酸ニッケル6水和物及び硫酸マンガン5水和物をCo:Ni:Mnのモル比が17:17:49となる硫酸塩水溶液から共沈炭酸塩前駆体を作製し、これに炭酸リチウムをLi:(Co,Ni,Mn)のモル比が1.44:1となるように加え、実施例1と同様の方法により、リチウム遷移金属複合酸化物B:Li1.18Co0.17Ni0.17Mn0.49O2(Mn/Me=0.60)を作製した。
合材質量が0.202g、容量が40.5mAhの正極板を作成し、この正極板と、合材質量が0.132g、容量が45.1mAhの負極板とを組み合わせ、正極/負極質量比を1.52、正極/負極容量比を0.90とした以外は、実施例1と同様の電池を作製し、初回充放電の充電電圧を4.40V(4.50V(vs.Li/Li+)の電位を想定)としたことを除いては、実施例1と同様の試験を行う。この非水電解質二次電池の体積当たりの容量密度は、213mAh/ccである。
正極単極試験の結果、サイクル後の容量維持率は100%であり、CVにおける(1)/(2)が0.37であった。
正極活物質として前記リチウム遷移金属複合酸化物Bを用い、合材質量が0.191g、容量が40.9mAhの正極板と、合材質量が0.139g、容量47.4mAhの負極板とを組み合わせ、正極/負極質量比を1.37、正極/負極容量比を0.86とした以外は、実施例1と同様の電池を作製し、初回充放電の充電電圧を4.45V(4.55V(vs.Li/Li+)の電位を想定)としたことを除いては、実施例1と同様の試験を行う。この非水電解質二次電池の体積当たりの容量密度は、212mAh/ccである。
正極単極試験の結果、サイクル後の容量維持率は98%であり、CVにおける(1)/(2)が0.41であった。
正極活物質として前記リチウム遷移金属複合酸化物Bを用い、合材質量が0.236g、容量が38.0mAhである正極板と、合材質量が0.111g、容量が37.9mAhの負極板とを組み合わせ、正極/負極質量比を2.12、正極/負極容量比を1.00とした以外は、実施例1と同様の電池を作製し、初回充放電の充電電圧を4.35V(4.45V(vs.Li/Li+)の電位を想定)としたことを除いては、実施例1と同様の試験を行う。この非水電解質二次電池の体積当たりの容量密度は、192mAh/ccである。
正極単極試験の結果、サイクル後の容量維持率は105%であり、CVにおける(1)/(2)が0.23であった。
正極活物質として前記リチウム遷移金属複合酸化物Bを用い、合材質量が0.185g、容量が40.8mAhである正極板と、合材質量が0.143g、容量が48.6mAhの負極板とを組み合わせ、正極/負極質量比を1.30、正極/負極容量比を0.84とした以外は、実施例1と同様の電池を作製し、初回充放電の充電電圧を4.50V(4.60V(vs.Li/Li+)の電位を想定)としたことを除いては、実施例1と同様の試験を行う。
この非水電解質二次電池の体積当たりの容量密度は、211mAh/ccである。
正極単極試験の結果、サイクル後の容量維持率は98%であり、CVにおける(1)/(2)が0.42であった。
硫酸コバルト7水和物、硫酸ニッケル6水和物及び硫酸マンガン5水和物をCo:Ni:Mnのモル比が21:17:49となる硫酸塩水溶液から共沈炭酸塩前駆体を作製し、これに炭酸リチウムをLi:(Co,Ni,Mn)のモル比が1.30:1となるように加え、実施例1と同様の方法により、リチウム遷移金属複合酸化物C:Li1.13Co0.21Ni0.17Mn0.49O2(Mn/Me=0.56)を作製した。
合材質量が0.243g、容量が35.5mAhの正極板を作成し、この正極板と、合材質量が0.107g、容量が36.4mAhの前記の負極板とを組み合わせ、正極/負極質量比を2.27、正極/負極容量比を0.98とした電池を作製し、初回充放電の充電電圧を4.35V(4.45V(vs.Li/Li+)の電位を想定)としたことを除いては、実施例1と同様の試験を行う。この非水電解質二次電池の体積当たりの容量密度は、174mAh/ccである。
正極単極試験の結果、サイクル後の容量維持率は100%であり、CVにおける(1)/(2)が0.17であった。
正極活物質として前記リチウム遷移金属複合酸化物Cを用い、合材質量が0.211g、容量が38.6mAhの正極板と、合材質量が0.127g、容量が43.2mAhの負極板とを組み合わせ、正極/負極質量比を1.66、正極/負極容量比0.89としたとした以外は、実施例1と同様の電池を作製し、初回充放電の充電電圧を4.40V(4.50V(vs.Li/Li+)の電位を想定)としたことを除いては、実施例1と同様の試験を行う。
この非水電解質二次電池の体積当たりの容量密度は、190mAh/ccである。
正極単極試験の結果、サイクル後の容量維持率は99%であり、CVにおける(1)/(2)が0.28であった。
正極活物質として前記リチウム遷移金属複合酸化物Cを用い、合材質量が0.203g、容量が39.3mAhの正極板と、合材質量が0.131g、容量が44.8mAhの負極板とを組み合わせ、正極/負極質量比を1.55、正極/負極容量比0.88としたとした以外は、実施例1と同様の電池を作製し、初回充放電の充電電圧を4.425V(4.525V(vs.Li/Li+)の電位を想定)としたことを除いては、実施例1と同様の試験を行う。この非水電解質二次電池の体積当たりの容量密度は、193mAh/ccである。
正極単極試験の結果、サイクル後の容量維持率は98%であり、CVにおける(1)/(2)が0.31であった。
正極活物質として前記リチウム遷移金属複合酸化物Cを用い、合材質量が0.199g、容量が39.0mAhの正極板と、合材質量が0.134g、容量が45.7mAhの前記の負極板とを組み合わせ、正極/負極質量比を1.48、正極/負極容量比を0.85とした以外は、実施例1と同様の電池を作製し、初回充放電の充電電圧を4.45V(4.55V(vs.Li/Li+)の電位を想定)としたことを除いては、実施例1と同様の試験を行う。この非水電解質二次電池の体積当たりの容量密度は、192mAh/ccである。
正極単極試験の結果、サイクル後の容量維持率は97%であり、CVにおける(1)/(2)が0.33であった。
正極活物質として前記リチウム遷移金属複合酸化物Cを用い、合材質量が0.193g、容量が39.0mAhの正極板と、合材質量が0.138g、容量が47.0mAhの前記の負極板とを組み合わせ、正極/負極質量比を1.40、正極/負極容量比を0.83とした以外は、実施例1と同様の電池を作製し、初回充放電の充電電圧を4.50V(4.60V(vs.Li/Li+)の電位を想定)としたことを除いては、実施例1と同様の試験を行う。この非水電解質二次電池の体積当たりの容量密度は、190mAh/ccである。
正極単極試験の結果、サイクル後の容量維持率は96%であり、CVにおける(1)/(2)が0.36であった。
1 非水電解質二次電池
2 電極群
3 電池容器
4 正極端子
4’正極リード
5 負極端子
5’負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置
Claims (2)
- 正極と負極と非水電解質を備えた非水電解質二次電池であって、
前記正極は、α−NaFeO2型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物を含有する正極活物質を有し、
前記リチウム遷移金属複合酸化物は、遷移金属(Me)に対するリチウム(Li)のモル比Li/Meが1より大きく、前記遷移金属(Me)として、Mn並びに、Ni及び/又はCoを含み、前記遷移金属(Me)に対するMnのモル比Mn/MeがMn/Me≧0.60であり、
サイクリックボルタモグラム(CV)を、走査電位範囲:2.0−4.45V(vs.Li/Li + )、走査速度:0.05mV/secで行ったとき、前記正極のCVにおける酸化側に、2つのピークを有し、
前記正極の酸化側のCVにおける3.6V(vs.Li/Li+)より高い電位の領域の積分値に対する3.6V(vs.Li/Li+)より低い電位の領域の積分値の比が0.37〜0.51の範囲であり、
前記負極の容量に対する前記正極の容量の比が0.86〜0.95の範囲であることを特徴とする非水電解質二次電池。 - 前記正極の酸化側のCVにおける前記の積分値の比が0.37〜0.48であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
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