以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.スペックルノイズについて
2.第1の実施の形態(照明装置全体のスペックルノイズを低減する例)
2.1.照明装置の構成について
2.2.内視鏡の構成について
2.3.コンデンサ光学系の具体例
3.第2の実施の形態(各光源のスペックルノイズを低減し、各光源で観察されるスペックルノイズのうち空間的な可干渉性に関係する部分を等しい程度にする例)
3.1.照明装置の構成について
3.2.内視鏡の構成について
3.3.検証例
4.第3の実施の形態(第1の実施の形態と第2の実施の形態の組み合わせ例)
(スペックルノイズについて)
本開示の実施形態に係る照明装置、照明方法及び内視鏡について説明するに先立ち、本開示で着目するスペックルノイズ(以下、単に「スペックル」ともいう。)について、簡単に説明する。
スペックルノイズは、(a)観察部位を照明する光源の波長幅と、(b)観察部位を照明する光源の輝度分布と、(c)観察部位の表面粗度と、に依存することが知られている。この3つの要因のうち、(a)は光源の時間的な可干渉性に関係し、(b)は、光源の空間的な可干渉性に関係する。従って、ここで問題として扱うスペックルは、光源の空間的な可干渉性に関係する。
輝度分布S(ξ)を持った光源により照らされた物体面の可干渉性は、以下の式1で表わされるVan Cittert Zernike(ファン・シッター−ゼルニケ)の定理に従うことが知られている。
ここで、上記式1において、
x:物体面上における位置
μ:複素コヒーレンス度(位置xと(x+Δx)との間の空間的な可干渉性を示すパラメータ)
S(ξ):光源の輝度分布
i:虚数単位
λ:波長
である。
上記式1の形状から明らかなように、物体面の空間的な可干渉性は、光源の輝度分布S(ξ)のフーリエ変換により与えられる。すなわち、光源の輝度分布の空間周波数スペクトルがコヒーレンス度である。従って、光源が点光源であれば、輝度分布S(ξ)はδ関数とみなすことができ、物体面のあらゆる点同士が干渉して、可干渉性が高くなる。このような光源(点光源)は、コヒーレント(coherent)な光源といわれる。一方、大きさ無限大の一様光源である場合には、輝度分布S(ξ)=1となって、そのフーリエ変換はδ関数となり、物体面上の同一位置でしか干渉しなくなり、可干渉性が低くなる。このような大きさが無限大の光源は、インコヒーレント(incoherent)な光源といわれる。照明装置に実際に用いられる光源は、空間的にコヒーレント光源とインコヒーレント光源の間に位置する部分的コヒーレントな光源であるため、見かけ上の光源の大きさが大きく、光源の輝度分布が一様であるほど、可干渉性が低くなる。
近年、光源として用いられるレーザは、その発光原理から、ランプ光源と比較して波長幅が狭く、発光部位の大きさが小さいため、光の空間的、時間的な可干渉性が高い。その結果、光源としてレーザを用いた場合には、スペックルノイズが大きく観測される傾向にある。
ここで、レーザ光を用いて白色光を得るためには、光の三原色であるR(赤色光)、G(緑色光)、B(青色光)をそれぞれ射出するレーザデバイスを用いたり、Bのレーザデバイスと青色励起の蛍光体による発光を加えたりすることが考えられる。しかしながら、各色のレーザデバイス毎にニアフィールドパターン(Near−Field Pattern:NFP)やファーフィールドパターン(Far−Field Pattern:FFP)が異なるため、色ムラが生じるとともに、ビーム形状を起因とする空間的可干渉性に相違が生じた結果、各色で観察されるスペックルノイズの大きさが異なってしまう。
また、光学系全体で保持される不変量の一つに、以下の式2で表わされるラグランジェの不変量がある。
L1=φ1×NA1 ・・・(式2)
L1:ラグランジェの不変量
φ1:光源の大きさ
NA1:光源の開口数(=n×sinΘ1)
n:屈折率
Θ1:光源の発散角
ここで、レーザを用いた光学系は、上記のラグランジェの不変量が小さいため、ライトガイドに結合する際に求められる大きな光源のサイズと大きな発散角の両立が難しい。
従って、レーザを用いて内視鏡のための照明光源を実現する場合には、上記のような点を十分に考慮することが求められる。
レーザのようなコヒーレントな光源を用いた場合に、ライトガイドの入射端に対してライトガイドへの光結合効率の向上のみを重視してビーム径を小さくすると、上記説明から明らかなように可干渉性が高くなり、スペックルノイズがより発生しやすくなってしまう。スペックル低減策としては、従来では、上記特許文献1〜特許文献5に示したように、照明装置に更なる機構を付加することで、スペックルノイズの低減を図られる。
しかしながら、本発明者らは上記内容について鋭意検討した結果、レーザ光のビーム径と輝度分布に着目することで、より簡便にスペックルノイズを低減可能であることに想到し、以下で説明する本開示の各実施形態に係る照明装置及び照明方法を完成するに至ったのである。以下では、本開示の各実施形態に係る照明装置及び照明方法と、かかる照明装置を用いた内視鏡について、詳細に説明する。
(第1の実施形態)
以下では、まず、照明装置全体での可干渉性を低減してスペックルノイズを発生しにくくすることが可能な照明装置及び照明方法と、この照明装置を有する内視鏡について、詳細に説明する。
<照明装置の構成について>
まず、図1A〜図9Bを参照しながら、本開示の第1の実施形態に係る照明装置の構成について説明する。図1Aは、本実施形態に係る照明装置の構成を模式的に示した説明図であり、図1Bは、ライトガイドの入射端を模式的に示した説明図である。図2〜図3は、本実施形態に係る照明装置の構成を模式的に示した説明図である。図4〜図7及び図9A〜図9Bは、コレクタレンズの瞳位置とレーザ光との位置関係を説明するための説明図である。図8は、ダイクロイックミラーの光軸上でのシフト量とスペックルとの関係を示したグラフ図である。
本実施形態に係る照明装置1は、図1Aに模式的に示したように、レーザ光源100と、結合光学系110と、光ファイバ120と、コリメート光学系130と、拡散部材140と、コンデンサ光学系150と、を有する。
レーザ光源100は、照明装置1において少なくとも1つ設けられ、所定波長のレーザ光を射出する。本実施形態に係る照明装置1において、かかるレーザ光源100としては、各種の半導体レーザや固体レーザを使用することが可能であり、これらのレーザと波長変換機構とを組み合わせたものを使用することも可能である。レーザ光源100から射出されるレーザ光の波長は、照明対象においてどのような対象物や現象を観察するかに応じて適宜選択されればよい。かかる波長の例としては、波長400〜700nm程度の可視光帯域や、ICG(Indocyanine green)蛍光造影法に用いられる近赤外帯域を挙げることができる。なお、かかるレーザ光を蛍光励起用の励起光とする場合、観察される蛍光は、励起光照射部位の自家蛍光や、照射部位に導入された各種蛍光試薬に起因する薬剤蛍光などを含んでもよい。
結合光学系110は、レーザ光源100から射出された上記レーザ光を、後段に設けられた光ファイバ120に光結合させるための光学系である。かかる結合光学系110の構成は特に限定されるものではなく、公知の様々な光学素子を適宜組み合わせて、レーザ光を光ファイバ120に対して光結合させるようにすればよく、レーザ光を光ファイバ120に光結合させるための集光レンズ(コレクタレンズ)を少なくとも1つ有している。
また、複数のレーザ光源100を組み合わせて白色の照明光を実現する場合、結合光学系110には、上記コレクタレンズに加えて、少なくとも1つのダイクロイックミラー又はダイクロイックプリズムが更に設けられる。複数のレーザ光源100から射出された複数のレーザ光は、ダイクロイックミラー又はダイクロイックプリズムにより合波されて、白色光が生成される。合波された光は、上記コレクタレンズによって集光されて、光ファイバ120に結合される。
なお、複数のレーザ光源100を組み合わせて用いる場合には、各レーザ光の光ファイバ120への入射開口数は、揃っていることが好ましい。しかしながら、各レーザのFFPが異なることにより、実際は揃えることが難しい。従って、かかる場合には、結合光学系110において、それぞれのレーザ光源100から射出されたレーザ光間で入射開口数を揃えるための開口数調整部が設けられる。この開口数調整部については、以下で改めて詳細に説明する。
光ファイバ120は、結合光学系110によって導光されたレーザ光を、後段に設けられたコリメート光学系130へと導光する。光ファイバ120の射出光は、回転対称なビームとなり、輝度分布の一様化に寄与する。この光ファイバ120は、特に限定されるものではなく、公知のマルチモード光ファイバ(例えば、ステップインデックス型マルチモードファイバ)を利用することが可能である。また、光ファイバ120のコア径についても特に限定されるものではなく、例えばコア径が1mm程度のものを利用可能である。
本実施形態に係る光ファイバ120では、光ファイバの入射端において複数光源間の開口数がなるべく一致するように、光ファイバ120の入射端へと導光される。このとき、レーザ光源から射出されるレーザ光をコリメートするレンズの焦点距離を最適化するなどして、光ファイバ120の射出端から射出されるレーザ光が、光ファイバの中心光軸近傍の光量が周辺部の光量と比べて低くなるようなドーナツ状の光線ではなく、光ファイバの中心光軸近傍が周辺部と同等の光量を有するような中実の光線とすることが望ましい。
コリメート光学系130は、光ファイバ120の出射端の下流側に設けられ、光ファイバ120から射出されたレーザ光を平行光束へと変換する。コリメート光学系130によりレーザ光が平行光束へと変換されることで、後段に設けられた拡散部材140において、拡散部材140の拡散角度によりレーザ光の拡散状態を容易に制御することが可能となる。コリメート光学系130の構成については、特に限定されるものではなく、公知の光学素子を適宜組み合わせて、レーザ光を平行光束へと変換するための公知の光学系を構成すればよい。
拡散部材140は、コリメート光学系130の後側焦点位置近傍に設けられ、コリメート光学系130から射出された平行光束を拡散させることで、2次光源を生成する。すなわち、拡散部材140における光の射出端が、2次光源として機能することとなる。
拡散部材140により生成される2次光源のサイズは、コリメート光学系130の焦点距離によって制御することができる。また、拡散板の拡散角度により出射光のNAを制御することが可能である。両者の効果により、上記式2で示したラグランジェの不変量を大きくすることが可能となり、所望の光源サイズと所望の照明範囲とを両立することが可能となる。
なお、2次光源の大きさを調整したい場合には、光ファイバからの出射NAとコリメート光学系の焦点距離より最適化すればよい。なお、後側焦点位置近傍が、実際にどのくらいの範囲となるかについては、特に限定されるものではないが、例えば、後側焦点位置を含み、その上流側及び下流側に焦点距離±10%程度の範囲とすることが好ましい。
拡散部材140から射出される光の発散角は、拡散部材140の持つ拡散角度によって制御される。いま、画角ω(度)の平行光束が拡散部材(例えば拡散板)を透過した場合の出射角度は、以下の式101で近似される。
ここで、上記式101において、
Θ:拡散部材出射角度
Θw:入射光の画角
Θd:拡散部材の拡散角度
である。
いま、拡散部材の拡散角度Θd=23度であり、光ファイバ120(マルチモードファイバ)のコア径w=1mmであるとする。入射光の画角Θwは、コリメート光学系130の焦点距離をfcolとすると、Θw=atan{(w/2)/fcol}で与えられるため、例えば、コリメート光学系の焦点距離を参考にfcol=7.9mmとすると、Θw=3.6度となる。かかるΘd及びΘwを上記式101に代入すると、拡散部材の出射角度Θ=23.27度となる。この結果は、拡散部材の出射角度Θにおいて、マルチモードファイバのコア径が上記程度であれば、画角Θwはほとんど影響を与えるものではなく、軸上、軸外の光は、共に拡散部材140に設定された拡散角度に制御されることを示している。
本実施形態において、拡散部材140の拡散角度は特に限定されるものではなく、照明装置1が実現すべきサイズや、照明装置1に適用可能な拡散部材が有する特性値などに応じて適宜決定すればよい。かかる拡散角度Θdは、例えば23度程度に設定することができる。
なお、具体的な拡散部材140の種類については、特に限定されるものではなく、公知の拡散素子を利用することが可能である。このような拡散部材の例として、例えば、フロスト型のすりガラスやガラス内に光拡散物質を分散させることで拡散特性を利用したオパール型の拡散板やホログラフィック拡散板を挙げることができる。ホログラフィック拡散板は、所定の基板上にホログラフィックパターンが施されたものであり、出射光の拡散角度を任意の角度に設定することができるため、特に好ましい。
拡散部材140から射出された光は、コンデンサ光学系150へと導光される。コンデンサ光学系150は、拡散部材140に形成された2次光源を、所定の近軸横倍率で、照明対象へと結像させる。かかる照明対象としては、例えば、コンデンサ光学系150の下流側に位置する、内視鏡ユニットに設けられたライトガイドの入射端を挙げることができる。図1Bに模式的に示したように、ライトガイドの入射端では、ファイバコア部とファイバクラッド部とから構成される光ファイバが、複数束ねられた構造となっている。ここで、本実施形態に係るコンデンサ光学系150は、従来とは異なり、照明対象(例えば、内視鏡ユニットに設けられたライドガイドの入射端)の面積をなるべく満たすように2次光源を結像させる。これにより、照明装置1全体としてスペックルノイズを低減させることができる。
コンデンサ光学系150の結像倍率(近軸横倍率)βは、コンデンサ光学系の焦点距離fと、焦点位置Fから物体面までの距離Xにより、以下の式102で表わされる。
β=f/X ・・・(式102)
ここで、コンデンサ光学系150が無収差の場合、コンデンサ光学系150の結像倍率βと、コンデンサ光学系150の入射開口数及び出射開口数は、以下の式103で表わされる関係式を満足する。
β=Y’/Y=NAcond/NAcond’ ・・・(式103)
Y:2次光源の大きさ
Y’:2次光源の像の大きさ
NAcond:コンデンサ光学系の入射開口数
NAcond’:コンデンサ光学系の出射開口数
一方、光ファイバを束ねたバンドルファイバであるライトガイドの許容開口数NALは、光ファイバのコア部の屈折率をn1とし、クラッド部の屈折率をn2としたときに、以下の式104で与えられ、一般的なライトガイドの許容開口数NA L は、0.56≦NAL≦0.88の範囲にある。
また、光源からの光をコンデンサ光学系150により集光して、コンデンサ光学系150の後段に設けられたライトガイドに効率よく入射させるには、以下の式105の関係を満足することが好ましい。
NAcond’≦NAL ・・・(式105)
その上で、本実施形態に係る照明装置1では、コンデンサ光学系150を透過した2次光源が入射するライトガイドの入射端の直径をφLGとし、2次光源の像の大きさをY’としたときに、以下の式106で表わされる関係が成立するように、2次光源の像の大きさが制御されることが好ましい。すなわち、2次光源の像がライトガイドの入射端を満たすようにすることが望ましい。以下の式106で表わされる関係式を満足することで、上記式105で表わされる関係式を満たしつつ、スペックルノイズの低減を図ることが可能となる。なお、2次光源の像の大きさは、マルチモードファイバの射出NAとコリメータの焦点距離により規定される。
0.8 ≦ Y’/φLG ≦ 1.2・・・(式106)
Y’/φLGが0.8未満となる場合には、ライトガイドの入射端の直径よりも2次光源の像が小さくなる。ライトガイドの入射端と射出端は一般的に共役となり、結果として、ライトガイドの射出光で照明する場合、被照射面から観察した時の見かけ上の光源サイズが小さくなり、スペックルが悪化してしまう。光結合効率の観点よりコア径よりも十分に小さくなるように2次光源は制御される場合、スポットサイズが小さい場合にスペックルが悪化してしまう可能性が高い。また、ライトガイドを途中で分岐して複数の出射端で照明する構成とした内視鏡の場合、分岐された出射端間の輝度分布が大きく異なってしまい、スペックルが悪化する不具合がある。
一方、Y’/φLGが1.2超過となる場合には、2次光源又は2次光源の像が、ライトガイドの入射端の直径よりも大きくなる。その場合、ライトガイド入射端面において、レーザ光のケラレが発生して、光結合効率が落ちてしまう。
なお、コンデンサ光学系で結像される2次光源の像が形成されるライトガイドの入射端の直径φLGと、2次光源の像の大きさY’とは、Y’=φLGの関係が成立することがより好ましい。
また、コンデンサ光学系150の近軸横倍率βは、2次光源の像の大きさY’が上記式106の範囲を満足するように適宜決定すればよいが、0.4≦β≦2.3を満たすことがより好ましい。
近軸横倍率βが0.4未満である場合には、拡散部材140の有効径が大きくなりすぎてしまい、装置が大型化してしまう可能性があるため、好ましくない。一方、近軸横倍率βが2.3超過である場合には、拡散部材140として大きな拡散角が必要となって、透過率が低下する可能性がある。また、拡散部材140として特殊な構造のものを別途入手しなくてはならず、コストが増加してしまう可能性がある。コンデンサ光学系150の近軸横倍率βが上記範囲となることで、照明装置を製造するにあたってのコストを抑えながら、装置の小型化を図ることが可能となる。また、式106を満たすように2次光源の像の大きさY’を調整する方法として、コンデンサレンズとライトガイドの入射端面の間隔を調整できる機構を設けても良い。
以上、図1A及び図1Bを参照しながら、本実施形態に係る照明装置1の構成について、詳細に説明した。
[照明装置の具体例]
次に、図2〜図9Bを参照しながら、本実施形態に係る照明装置の構成を具体的に説明する。
図2は、レーザ光源100として、赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ射出するレーザ光源を用い、拡散部材140として、ホログラフィック拡散板141を用いた場合の照明装置1の構成を模式的に示したものである。図3は、赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ射出するレーザ光源を用い、拡散部材140として、マイクロレンズアレイ143を用いた場合の照明装置1の構成を模式的に示したものである。
図2及び図3に示したように、RGB各色のレーザ光源から射出されたレーザ光は、ミラーMやダイクロイックミラーDMによって合波されて、コレクタレンズLへと導光される。図2及び図3に示したように、複数個のレーザを光源として用いる場合、例えば図4に模式的に示したように、コレクタレンズLの瞳位置において、各色のビーム径が異なっていることが生じうる。
先だって説明したように、RGBの各色がコレクタレンズLによって光ファイバ120に結合される際には、各色の光ファイバへの入射開口数が揃っていることが好ましい。この理由としては、次のことがあげられる。一般的に、入射開口数が最も大きいレーザ光に合わせてレンズのパワー配置は決定されるため、入射開口数が小さいレーザ光は、拡散板位置でのビーム径が小さくなってしまう。すなわち、ライトガイド入射端における輝度分布が、不均一になってしまう。各色の入射開口数を揃えるためには、例えば、コレクタレンズLの瞳位置において、各色の見かけ上のビーム径を合わせる方法がある。この方法は、例えば図5に模式的に示したように、最大の入射開口数となる位置(すなわち、ビーム径最大のレーザ光の端部)に、最ビーム径最少のレーザ光の端部が位置するようにすればよい。このようにすることで、ビーム径最大のレーザ光と、ビーム径最少のレーザ光とは、ある一点で互いに接することとなる。なお、図5において、2つのレーザ光は、ξ軸正方向側の端部で互いに接しているが、かかる位置は図5に示した場合に限定されるものではなく、ξ軸負方向側の端部で互いに接していてもよい。
また、出力の確保や時間的コヒーレンスの低減などの理由により、同一又は近い波長の複数レーザを合波している場合には、図6に模式的に示したように、少なくとも瞳の中心と、最大の入射開口数の位置とにビーム径最少のビームを配置すればよい。
図5や図6に模式的に示したように入射開口数を一致させることで、拡散部材140の位置に形成される2次光源の光量分布が均一化され、色によるスペックル発生量の差を低減することができる。換言すれば、拡散部材140に形成される各色の2次光源の最大ビーム径がほぼ等価になり、色によるスペックル発生量の差を低減することができる。
図5に示したような状況を実現するためには、結合光学系110の一つとして設けられたダイクロイックミラーDMを開口数調整部として利用し、レーザ光のコレクタレンズLへの入射位置を調整すればよい。
具体的には、図7に示したように、ビーム径のより大きなレーザ光を射出するレーザ光源Aと、ビーム径のより小さなレーザ光を射出するレーザ光源Bがある場合に、結合光学系110の中心光軸に対するダイクロイックミラーDMの配置位置光軸方向にシフトさせて、ビーム位置を図5に示したようにオフセットすればよい。これにより、図5に示したように、互いのビーム位置を合わせることができる。
実際に、かかる構成でダイクロイックミラーをシフトさせた結果を、図8に示す。図8の横軸は、結合光学系110の中心光軸に対するダイクロイックミラーDMのシフト量を示しており、図8の縦軸は、スペックル量に対応するスペックルコントラストレシオ(SCR)を示している。図8から明らかなように、シフトによりライトガイド入射端における輝度分布が一様に近づき、スペックルコントラストが低減されていることが分かる。
また、図6に示したような状況を実現するためには、例えば図9Aや図9Bに示したように、開口数調整部として、ミラーMや、λ/2波長板や、偏光ビームスプリッタPBSを更に利用して、ダイクロイックミラーDMへのレーザ光の入射位置を調整すればよい。
なお、ビーム径の大きいレーザ光を射出するレーザ光源については、かかる開口数調整部を設けることなく、上記式106を満たすようにコンデンサ光学系150の近軸横倍率を設定し、ビーム径の小さなレーザ光を射出するレーザ光源については、かかる開口数調整部を利用して、上記式106を満たすように開口数の調整を行うといった態様も実現可能である。
以上、図2〜図9Bを参照しながら、本実施形態に係る照明装置の構成を具体的に説明した。
<内視鏡の構成について>
続いて、図10を参照しながら、本実施形態に係る照明装置1が照明光源として用いられる内視鏡10の構成について、簡単に説明する。図10は、本実施形態に係る照明装置を備えた内視鏡の構成を模式的に示した説明図である。
以上説明したような照明装置1を光源として用い、コンデンサ光学系による光源の像を、任意の内視鏡ユニット900が備えるライトガイド901に結像させることで、スペックルノイズの低減された照明光を得ることが可能となる。ライトガイド901に導光された照明光は、ライトガイド901によって内視鏡本体903へと導光されて、内視鏡の先端部へと導かれる。
ここで、照明装置1が装着される内視鏡ユニット900については特に限定されるものではなく、一般的なライトガイド901を備えた内視鏡ユニット900であれば、任意のものが利用可能である。逆に、特定のライトガイド901を有する内視鏡ユニット900を利用したい場合には、ライトガイド901の許容入射開口数NALに応じて、本実施形態に係る照明装置1の2次光源の像の大きさY’や、コンデンサ光学系150の近軸横倍率βを設定すればよい。
以上、図10を参照しながら、本実施形態に係る照明装置1を備えた内視鏡10について、簡単に説明した。
<コンデンサ光学系の具体例>
次に、図11〜図12Cを参照しながら、本実施形態に係る照明装置1におけるコンデンサ光学系150について、具体例を挙げながら説明する。図11は、本実施形態に係るコンデンサ光学系のレンズデータを示した説明図であり、図12A〜図12Cは、本実施形態に係るコンデンサ光学系のレンズ構成例を示した説明図である。
本実施形態に係るコンデンサ光学系150の具体例のレンズデータを図11に示し、レンズ構成図を図12A〜図12Cに示した。図11に示した表において、fは、焦点距離であり、S1toHは、コンデンサレンズ系の第1面から前側主点位置までの距離であり、βは、近軸横倍率であり、OBJは、第1面から物体面までの距離であり、Xは、焦点位置Fから物体面までの距離である。また、図11の上段に示した表において、カラムA〜カラムCのレンズデータは、それぞれ図12A〜図12Cに示したレンズ構成図に対応している。
なお、図11〜図12Cに示したコンデンサ光学系150は、ライトガイドの入射面の直径φLG=2.0、許容開口数NAL=0.57のライトガイド901を用いる場合を想定しており、照明装置1の他の設定値は、以下の通りである。
マルチモードファイバ出射開口数NAM=0.22
コリメート光学系焦点距離fcol=7.6
2次光源の大きさY=3.34
拡散板角度=23度
図12A〜図12Cに示したように、本実施形態に係るコンデンサ光学系150の各具体例は、2次光源側の入射面(図12A〜図12Cにおいて、図中右側に位置する面)、及び、2次光源の像側の出射面(図12A〜図12Cにおいて、図中左側に位置する面)が、それぞれ平面であるレンズ系からなる。また、図11の下段に示した表及び図12A〜図12Cから明らかなように、かかるコンデンサ光学系150は、拡散部材140の側から順に、平面を拡散部材側に向けた正の平凸レンズと、1枚以上の正レンズと、平面をコンデンサ光学系150の後段側に向けた正の平凸レンズと、を有するレンズ系から構成されている。また、2次光源の像側に最も位置する平凸レンズの拡散部材140の側の面(図11の下段に示したレンズデータのうち、面番号S=7に対応。)は、非球面となっている。
なお、光軸を中心とする回転対称非球面は、以下の式107で表わされる。ここで、以下の式107において、Cは、曲率(1/r)であり、hは、光軸からの高さであり、Kは、円錐係数である。また、面番号S=7の非球面データは、図11下段に示した通りである。
本実施形態に係るコンデンサ光学系150では、図11〜図12Cに示したようなレンズを用いることで、低コスト化を図ることが可能となる。
特に、図12Bに示したレンズ構成の場合、β=0.6、Y=3.34であるため、Y’=2となり、式106を満足する。また、NA=0.57となり、式105も成立し、高効率でライトガイドに照明光を結合させることが可能である。また、ラグランジェの不変量が小さいレーザを光源とした照明光学系であっても、本光学系によりライトガイドに結合する際に求められる大きな光源のサイズと大きな発散角の両立を実現することが可能となる。
以上、図1〜図12Cを参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る照明装置、照明方法及び内視鏡について、詳細に説明した。
(第2の実施形態)
以下では、光源から射出されたレーザ光のスペックルノイズを低減することが可能な照明装置及び照明方法と、この照明装置を有する内視鏡について、詳細に説明する。
<照明装置の構成について>
まず、図13A〜図19を参照しながら、本開示の第2の実施形態に係る照明装置の構成について説明する。図13A〜図17及び図19は、本開示の第2の実施形態に係る照明装置の構成を模式的に示した説明図である。図18A及び図18Bは、コレクタレンズの瞳位置とレーザ光との位置関係を説明するための説明図である。
本実施形態に係る照明装置2は、図13Aに模式的に示したように、レーザ光源200と、光ファイバ220と、拡散部材240と、を少なくとも有する。また、本実施形態に係る照明装置2は、図13Bに模式的に示したように、レーザ光源200と光ファイバ220との間に結合光学系210を更に有するとともに、光ファイバ220と拡散部材240との間にコリメート光学系230を更に有することが好ましい。
レーザ光源200は、照明装置2において少なくとも1つ設けられ、所定波長のレーザ光を射出する。本実施形態に係る照明装置2において、かかるレーザ光源200としては、各種の半導体レーザや固体レーザを使用することが可能であり、これらのレーザと波長変換機構とを組み合わせたものを使用することも可能である。レーザ光源200から射出されるレーザ光の波長は、照明対象においてどのような対象物や現象を観察するかに応じて適宜選択されればよい。かかる波長の例としては、波長400〜700nm程度の可視光帯域や、ICG(Indocyanine green)蛍光造影法に用いられる近赤外帯域を挙げることができる。なお、かかるレーザ光を蛍光励起用の励起光とする場合、観察される蛍光は、励起光照射部位の自家蛍光や、照射部位に導入された各種蛍光試薬に起因する薬剤蛍光などを含んでもよい。
結合光学系210は、レーザ光源200から射出された上記レーザ光を、後段に設けられた光ファイバ220に光結合させるための光学系である。かかる結合光学系210の構成は特に限定されるものではなく、公知の様々な光学素子を適宜組み合わせて、レーザ光を光ファイバ220に対して光結合させるようにすればよく、レーザ光を光ファイバ220に光結合させるための集光レンズ(コレクタレンズ)を少なくとも1つ有している。
また、結合光学系210は、レーザ光源200と上記コレクタレンズとの間に、レーザ光源200から射出されたレーザ光を略平行化する(換言すれば、略平行光束とする)コリメートレンズを更に有することが好ましい。ここで、略平行とは、コリメートレンズから放射される光の放射角が最小化された状態であることをいい、コリメートレンズの焦点距離の位置と、レーザ光源200から射出されたレーザ光のビームウェスト位置とを一致させたときに達成される。
更に、赤色半導体レーザ、緑色発光の半導体励起固体レーザ及び青色反動レーザなど、複数のレーザ光源200を組み合わせて白色の照明光を実現する場合、結合光学系210には、上記コレクタレンズに加えて、少なくとも1つのダイクロイックミラー又はダイクロイックプリズムが更に設けられる。複数のレーザ光源200から射出された複数のレーザ光は、ダイクロイックミラー又はダイクロイックプリズムにより合波されて、白色光が生成される。合波された光は、上記コレクタレンズによって集光されて、光ファイバ220に結合される。
ここで、本実施形態に係る照明装置2では、レーザ光は、光ファイバ220の入射端面に、当該入射端面の法線に対して斜め方向から入射する。より詳細には、レーザ光(又は、合波された光)の集光角又は放射角が、光ファイバ220の開口数(すなわち、入射許容角)よりも小さい場合に、レーザ光は、光ファイバ220の開口数(入射許容角)の範囲内でレーザ光に角度をつけて、入射端面の法線に対して斜め方向から入射する。更により好ましくは、本実施形態に係る照明装置2は、レーザ光の入射端面での角度成分に入射端面の法線方向を含む。これにより、レーザ光源200から射出されたレーザ光のスペックルノイズを低減することが可能となる。なお、レーザ光の光ファイバ220への入射のさせ方については、以下で改めて詳細に説明する。
光ファイバ220は、結合光学系210によって導光されたレーザ光を、後段に設けられた図13Aにおける拡散部材240、又は、図13Bにおけるコリメート光学系230へと導光する。この光ファイバ220は、特に限定されるものではなく、公知のマルチモード光ファイバ(例えば、ステップインデックス型マルチモードファイバ)を利用することが可能である。また、光ファイバ220のコア径についても特に限定されるものではなく、例えばコア径が1mm程度のものを利用可能である。
本実施形態に係る光ファイバ220では、光ファイバの許容開口数の範囲で、なるべく大きな入射角度になるように、入射端面の法線に対して斜め方向からレーザ光が導光されるため、光ファイバ220の射出端から射出されるレーザ光の放射角は、入射端面でのレーザ光の集光角より大きなものとなる。
光ファイバ220の射出端から射出されるレーザ光の遠視野像(強度分布)は、光ファイバ220に入射するレーザ光の入射角度成分に入射端面の法線方向が含まれない場合は、光ファイバの中心光軸近傍の光量が周辺部の光量と比べて低くなるようなドーナツ状になる。一方、光ファイバ220に入射するレーザ光の入射角度成分に入射端面の法線方向が含まれる場合には光ファイバの中心光軸近傍が周辺部と同等の光量を有するような中実の形状なる。従って、本実施形態に係る照明装置2は、より好ましくは、光ファイバ220に入射するレーザ光の入射角度成分に入射端面の法線方向が含まれ、光ファイバ220の射出端から射出されるレーザ光の遠視野像(強度分布)が中実の形状となるように構成される。
コリメート光学系230は、光ファイバ220の出射端の下流側に設けられ、光ファイバ220から射出されたレーザ光を略平行化する。コリメート光学系230により光ファイバ220から射出されたレーザ光を略平行化することで、後段に設けられた拡散部材240において、拡散部材240の拡散角度によりレーザ光の拡散状態を容易に制御することが可能となる。なお、コリメート光学系230の構成については、特に限定されるものではなく、公知の光学素子を適宜組み合わせて、レーザ光を平行光束へと変換するための公知の光学系を構成すればよい。
拡散部材240は、光ファイバ220の後段(コリメート光学系230が設けられている場合には、コリメート光学系230の後段)に設けられ、光ファイバ220又はコリメート光学系230から射出されたレーザ光を拡散させることで、2次光源を生成する。すなわち、拡散部材240における光の射出端が、2次光源として機能することとなる。
ここで、拡散部材240から射出される光の発散角は、上記第1の実施形態において説明したように、拡散部材240の持つ拡散角度によって制御される。
本実施形態において、拡散部材240の拡散角度は特に限定されるものではなく、照明装置2が実現すべきサイズや、照明装置2に適用可能な拡散部材が有する特性値などに応じて適宜決定すればよい。
なお、具体的な拡散部材240の種類については、特に限定されるものではなく、公知の拡散素子を利用することが可能である。このような拡散部材の例として、例えば、フロスト型のすりガラスやガラス内に光拡散物質を分散させることで拡散特性を利用したオパール型の拡散板やホログラフィック拡散板やマイクロレンズアレイなどの拡散板や、複数の光ファイバが束ねられたバンドルファイバを挙げることができる。ホログラフィック拡散板は、所定の基板上にホログラフィックパターンが施されたものであり、出射光の拡散角度を任意の角度に設定することができる。また、マイクロレンズアレイは、出射光の拡散角度を任意の角度に設定することができる。なお、バンドルファイバによる拡散効果は限定的であり、入射端面の法線対し角度θで入射した光に対し、出射ビームは出射端面の法線に対し角度θの角度を持つコーン状の形状に散乱される。
以上、図13A及び図13Bを参照しながら、本実施形態に係る照明装置2の構成について、詳細に説明した。
[照明装置の具体例]
次に、図14A〜図19を参照しながら、本実施形態に係る照明装置の構成を具体的に説明する。
○レーザ光源が1つである場合
まず、図14A〜図15を参照しながら、レーザ光源200として、1つのレーザ光源を用いる場合を例に挙げて、説明を行う。
1つのレーザ光源200から射出されたレーザ光は、結合光学系210として設けられたコリメートレンズCLへと導光されて略平行化され、平行光束となる。平行光束となったレーザ光は、コレクタレンズLへと導光される。コレクタレンズLは、入射した平行光束を、マルチモード・シングルコアの光ファイバ220に光結合する。ここで、光ファイバ220の入射端面におけるレーザ光源200、コリメートレンズCL及びコレクタレンズLの中心光軸は、光ファイバ220の光軸(換言すれば、光ファイバ220の入射端面の法線)に対して斜め方向から入射している。2つの光軸のなす角の大きさは、θである。レーザ光を光ファイバ220の入射端面に斜め方向から入射させることで、レーザ光源200に起因するスペックルノイズを低減させることが可能となる。
いま、図14Bに示したように、光ファイバ220の入射端面におけるレーザ光の集光角をθbeamとし、図14Cに示したように、光ファイバ220の入射許容角をθfiberとした場合、本実施形態に係る照明装置2では、以下の式201、式201−2で表わされる関係が満たされることが、スペックル低減に好ましい。ただし、ここでは、θbeam<θfiberであるとする。
(θ+θbeam) ≦ θfiber ・・・(式201)
θ ≦ θbeam ・・・(式201−2)
上記式201で表わされる関係が満たされることで、光ファイバ220をレーザ光が損失無く伝搬し、かつ、より大きなθを選択することで、光ファイバ220から射出されるレーザ光はより放射角が大きくなる。
また、上記式201−2で表わされる関係が満たされることで、光ファイバ220に入射するレーザ光の角度成分に入射端面の法線方向が含まれて、光ファイバ220の射出端から射出されるレーザ光の遠視野像(強度分布)は、ドーナツ状ではなく中実の形状になる。
なお、上記式201において、より好ましくは、(θ+θbeam)=θfiberである。この場合は、θが最大の値となり、光ファイバ220の入射許容角に相当する、最大の放射角が得られる。また、(θ+θbeam)=θfiberで表わされる関係が、式201−2と同時に実現することにより、光ファイバ220から射出されたレーザ光は最大の放射角と中実形状の遠視野像(強度分布)となる。
光ファイバ220によって導光されたレーザ光は、光ファイバ220の出射端から射出されて、拡散部材240へと導かれる。拡散部材240は、光ファイバ220からのビームを投影して、拡散部材240上の拡散面(拡散部材240の出射端面)に二次光源を形成する。二次光源の拡散面おける強度分布(又はビームサイズ)は、光ファイバ220からの光が拡散面上に形成した強度分布(又はビームサイズ)に等しい。二次光源からの光は、観察野へと放射されて、照明対象を照明することとなる。なお、かかる照明装置2を内視鏡用光源として用いる場合、高視野角を得るために二次光源の放射角を大きくすることが多く、拡散角の大きい拡散部材が選択される。
照明対象に観察されるスペックルは、二次光源のビームサイズが大きく、中実形状(一様な強度分布)であるほど低減する。従って、上記式201を満たし、かつ、より大きなθを選択することで、スペックルノイズをより低減させることが可能となる。更に、上記式201−2で表わされる関係が満たされることで、よりスペックルノイズ低減させることが可能となる。
また、本実施形態に係る照明装置2では、図14A〜図14Cのように、レーザ光源200、コリメートレンズCL及びコレクタレンズLの中心光軸と光ファイバ220の光軸とが互いに交差する場合について図示しているが、図15に示したように、レーザ光の平行光束の中心軸は、コレクタレンズLに、コレクタレンズL及び光ファイバ220からなる光軸に対して平行に、かつ、ずれた位置に入射してもよい。
この場合、図15に示したように、平行光束のビーム幅をWAとし、コレクタレンズLの焦点距離をfとし、光ファイバ220の入射許容角をθfiberとし、コレクタレンズL及び光ファイバ220からなる光軸の中心からのシフト量をDAとした場合に、以下の式202、式202−2で表わされる関係が成立することが、スペックル低減に好ましい。ただし、ここでは、(WA/2)<(f×sin(θfiber))であるとする。
(WA/2)+DA ≦ (f×sin(θfiber)) ・・・(式202)
DA ≦ (WA/2) ・・・(式202−2)
上記式202で表わされる関係が満たされることにより、光ファイバ220をレーザ光が損失無く伝搬し、かつ、より大きなDAを選択することで、光ファイバ220から射出されるレーザ光はより放射角が大きくなる。
また、上記式202−2で表わされる関係が満たされることで、光ファイバ220に入射するレーザ光の角度成分に入射端面の法線方向が含まれて、光ファイバ220の射出端から射出されるレーザ光の遠視野像(強度分布)は、ドーナツ状ではなく中実の形状になる。
なお、上記式202において、より好ましくは、(WA/2)+DA = (f×sin(θfiber))である。この場合は、光ファイバ220の入射許容角に相当する、最大の放射角が得られる。また、(WA/2)+DA = (f×sin(θfiber))で表わされる関係が式202−2と同時に実現することにより、光ファイバ220から射出されたレーザ光は、最大の放射角と中実形状の遠視野像(強度分布)となる。
光ファイバ220によって導光されたレーザ光は、光ファイバ220の出射端から射出されて、拡散部材240へと導かれる。拡散部材240は、光ファイバ220からのビームを投影して、拡散部材240上の拡散面(拡散部材240の出射端面)に二次光源を形成する。二次光源の拡散面おける強度分布(又はビームサイズ)は、光ファイバ220からの光が拡散面上に形成した強度分布(又はビームサイズ)に等しい。二次光源からの光は、観察野へと放射されて、照明対象を照明することとなる。なお、かかる照明装置2を内視鏡用光源として用いる場合、高視野角を得るために二次光源の放射角を大きくすることが多く、拡散角の大きい拡散部材が選択される。
照明対象に観察されるスペックルは、二次光源のビームサイズが大きく、中実形状(一様な強度分布)であるほど低減する。従って、上記式202を満たし、かつ、より大きなDAを選択することで、スペックルノイズをより低減させることが可能となる。更に、上記式202−2で表わされる関係が満たされることで、よりスペックルノイズ低減させることが可能となる。
図16に示したように、光ファイバ220と、拡散部材240と、の間にコリメートレンズ(すなわち、コリメート光学系)230を配設してもよい。なお、図16では、レーザ光の平行光束の中心軸が、コレクタレンズLに対し、コレクタレンズL及び光ファイバ220からなる光軸に対して平行に、かつ、ずれた位置に入射する場合について図示しているが、レーザ光が光ファイバ220の入射端面に斜め方向から入射する場合についても、同様にコリメート光学系230を配設してもよいことは、言うまでもない。
○レーザ光源が複数存在する場合
続いて、図17〜図19を参照しながら、レーザ光源200として、複数のレーザ光源を用いる場合を例に挙げて、説明を行う。
以下では、赤色レーザ光を射出する赤色レーザ光源(Red)と、緑色レーザ光源(Green)と、青色レーザ光源(Blue)と、を用いて、白色光を実現する場合を説明する。
赤色レーザ光源から射出された赤色レーザ光は、図17に示したように、コリメートレンズCLで平行光束へと変換された後ミラーMで反射され、2つのダイクロイックミラーDMを透過しながら、コレクタレンズLへと導光される。
緑色レーザ光源から射出された緑色レーザ光は、コリメートレンズCLで平行光束へと変換された後ダイクロイックミラーDMで反射され、青色レーザ光用のダイクロイックミラーDMを透過しながら、コレクタレンズLへと導光される。
青色レーザ光源から射出された青色レーザ光は、コリメートレンズCLで平行光束へと変換された後ダイクロイックミラーDMで反射され、コレクタレンズLへと導光される。
いま、図17に示したように、赤色レーザ光の光軸をC1とし、緑色レーザ光の光軸をC2とし、青色レーザ光の光軸をC3とする。赤色レーザ光の光軸C1は、ミラーM、ダイクロイックミラーDM、コレクタレンズL及び光ファイバ220の光軸C0と同軸となるように配設されている。
図18Aは、図17のA−A断面におけるビーム配置例を示したものである。なお、図18Aでは、レーザ光源200(一次光源)のビーム断面形状は、真円形状であるものとしている。ここで、ビーム幅最大のビームは、ビーム中心軸C1を中心光軸C0に一致するように配設されており、図18Aでは、ビーム幅最大のビームが赤色ビームであり、そのビーム幅がW1であるとしている。すなわち、図18Aにおいて、各レーザ光のビーム幅は、W1>W2、W1>W3である。
図18Aにおいて、赤色ビームのビーム幅は、後段のコレクタレンズL、光ファイバ220を透過する範囲で選択されている。すなわち、コレクタレンズL、光ファイバ220で定められる透過許容ビーム幅をW0とすると、W0>W1の関係にある。
また、図18Aでは、許容ビーム幅をW0で示しており、ビーム幅W0で形づけられる半径R0の許容外周円の内部を進行するビーム(レーザ光)が、光ファイバ220を透過可能である。なお、許容外周円の形状は、コレクタレンズLと光ファイバ220とで決定される形状であり、通常の光軸中心C0に対し回転対称であるレンズをコレクタレンズLとして使用する場合、W0は半径R0=W0/2の真円形状となる。
ここで、図17及び図18Aに示したように、最大のビーム幅より狭い緑色及び青色の一次光源ビームのそれぞれのビーム中心位置(すなわちC2、C3)は、C0と一致させず、緑色及び青色の一次光源ビームは、中心光軸C0に対して平行移動して配置される。
緑色及び青色の一次光源ビームの平行移動の範囲は、赤色の一次光源ビームが形作る最大半径(図18AにおけるR1=W1/2)で示される円(ビームの最大外周円)の内部に、緑色及び青色の一次光源ビームが位置するように設定される。すなわち、中心光軸C0からの緑色の一次光源ビームの平行移動の距離をD2とすると、D2の範囲は、0<D2≦(R1−W2/2)となる。また、青色の一次光源ビームの平行移動の距離をD3とすると、同様に、D3の範囲は、0<D3≦(R1−W3/2)となる。
ここで、本実施形態に係る照明装置2では、図18Aに示したような光軸に対して直交する断面において、最大のビーム幅が形作るC0を中心とする最大半径の円(ビームの最大外周円)に、残りのビームが(図18Aにおける点Pや点Qで)内接していることが好ましい。
また、図17Aに示した例では、緑色、青色の一次光源ビームが、R1で示されるビームの最大外周円に内接するように配設されることが、好ましい。すなわち、緑色の一次光源ビームの平行移動の距離D2は、D2=(R1−W2/2)であり、青色の一次光源ビームの平行移動の距離D3は、D3=(R1−W3/2)である。
なお、図18Aにおいて、好ましくは、ビーム幅の狭い緑色、青色の一次光源ビームはC0を中心とする半径0からR1の範囲でビームが存在するように、緑色、青色の一次光源ビームを配置するとよい。すなわち、W2≧(W1/2)、W3≧(W1/2)で、赤色、緑色、青色の各一次光源ビームは、光軸中心C0を内包する。
これは、光ファイバ220の出力端から放射される光の遠視像において(すなわち、図17の光学系における拡散部材240での光強度分布において)、中心位置での輝度の低下を防ぎ、中実の形状にするためである。
光ファイバ220によって導光されたレーザ光は、光ファイバ220の出射端から射出されて、拡散部材240へと導かれる。拡散部材240は、光ファイバ220からのビームを投影して、拡散部材240上の拡散面(拡散部材240の出射端面)に二次光源を形成する。二次光源の拡散面おける強度分布(又はビームサイズ)は、光ファイバ220からの光が拡散面上に形成した強度分布(又はビームサイズ)に等しい。
以上の操作により、赤色、緑色、青色の一次光源ビームは、二次光源において、拡散面における強度分布(又はビームサイズ)がほぼ等しいので、各色(波長)で照明対象に観察されるスペックルノイズの大きさを等しい程度にすることが可能になる。
図18Bは、図17のA−A断面における別のビーム配置例を示したものである。図18Bに示した例では、それぞれの一次光源ビームの断面形状は、楕円形状となっている。
図18Bに示した例においても、最大のビーム幅より狭い緑色、青色の一次光源ビームのそれぞれのビーム中心位置(すなわち、C2、C3)は、C0と一致させず、緑色及び青色の一次光源ビームは、中心光軸C0に対して平行移動して配置される。
かかる場合においても、緑色、青色の一次光源ビームの平行移動の範囲は、赤色の一次光源ビームが形作る最大半径(R1=W1/2)で示されるC0中心とするビームの最大外周円の内部に、緑色、青色の一次光源ビームが位置するように配設される。それぞれの一次光源ビームは、好ましくは、図17Bに示したように、緑色、青色の一次光源ビームがC0中心とするビームの最大外周円に内接するように配置される。
更に、好ましくは、ビーム幅の狭い緑色、青色の一次光源ビームは、C0中心とする半径0からR1の範囲でビームが存在するように、緑色、青色の一次光源ビームを配置するとよい。すなわち、赤色、緑色、青色の各一次光源ビームは光軸中心C0を内包する。これは、光ファイバ220の出力端から放射される光の遠視像において(すなわち、図17の光学系における拡散部材240での光強度分布において)、中心位置での輝度の低下を防ぎ、中実の形状にするためである。
以上の操作により、赤色、緑色、青色の一次光源ビームは、二次光源において、拡散面おける強度分布(又はビームサイズ)がほぼ等しいので、各色(波長)で照明対象に観察されるスペックルノイズの大きさを等しい程度にすることが可能になる。
なお、上記図17〜図18Bに示したようなビームの平行移動は、第1の実施形態において説明したように、ダイクロイックミラーDMの移動により調整可能である。
また、図19に示したように、光ファイバ220と、拡散部材240と、の間にコリメートレンズ(すなわち、コリメート光学系)230を配設してもよい。
以上、図17〜図19を参照しながら、本実施形態に係る照明装置の構成を具体的に説明した。
<内視鏡の構成について>
続いて、図20を参照しながら、本実施形態に係る照明装置2が照明光源として用いられる内視鏡10の構成について、簡単に説明する。図20は、本実施形態に係る照明装置を備えた内視鏡の構成を模式的に示した説明図である。
以上説明したような照明装置2を光源として用い、射出された2次光源を、任意の内視鏡ユニット900が備えるライトガイド901に結合させることで、スペックルノイズの低減された撮影画像を得ることが可能となる。ライトガイド901に導光された2次光源からの照明光は、ライトガイド901によって内視鏡本体903へと導光されて、内視鏡の先端部へと導かれる。
ここで、照明装置2が装着される内視鏡ユニット900については特に限定されるものではなく、一般的なライトガイド901を備えた内視鏡ユニット900であれば、任意のものが利用可能である。
また、内視鏡の先端部まで照明装置2の光ファイバ220を延伸し、拡散部材240を設置することで2次光源からの照明光で観察野に照明してもよい。
以上、図20を参照しながら、本実施形態に係る照明装置2を備えた内視鏡10について、簡単に説明した。
<検証例>
以下では、図21〜図24を参照しながら、レーザ光源200(一次光源)の軸を光軸から平行移動させることでスペックルノイズを削減する場合について、スペックルノイズの削減度合いを具体的に検証した例を示す。
図21に示した例では、レーザ光源200として、緑色発光の半導体励起固体レーザを使用した。このレーザは、コリメートビームが放射されるレーザ光源である。また、図21では、幅1mmのスリットを用いることで、ビーム幅1mmの一次光源ビームを形成した。光ファイバ220としては、コア径1mmのステップインデックス型のマルチモードファイバを使用し、焦点距離30mmのコレクタレンズLを用いて、一次光源ビームを光ファイバ220の入射端面に集光した。
光ファイバ220の出射端面から5mmの位置に、拡散部材240としてホログラフィック拡散板を配置し、照明野を照明する二次光源を形成した。二次光源位置から300mmの位置にテストチャートを配置し、このテストチャートをCCDカメラで撮像することでスペックルを計測した。
図21に示した例では、ダイクロイックミラーDMを光軸方向に移動させることでコレクタレンズLに入射する光の光軸中心を移動させて、それぞれの移動位置において、スペックル量を測定した。得られた計測結果を、図22に示した。図22の横軸は、光ファイバ220の中心光軸C0からのズレ量を示しており、図22の縦軸は、スペックル量に対応するスペックルコントラストレシオ(SCR)を示している。
図22に示した結果から明らかなように、シフト量が大きくなるにつれて、スペックル量が減少していることがわかる。
図23に示した例では、拡散部材240として、バンドルファイバを使用した。また、レーザ光源200として、コリメートビームが放射される緑色発光の半導体励起固体レーザを使用した。また、図23に示した例では、幅1mmのスリットを用いることで、ビーム幅1mmの一次光源ビームを形成した。光ファイバ220としては、コア径1mmのステップインデックス型のマルチモードファイバを使用し、焦点距離30mmのコレクタレンズLを用いて、一次光源ビームを光ファイバ220の入射端面に集光した。
また、光ファイバ220の出射端面から10mmの位置に、拡散部材240としてバンドル径5mmのバンドルファイバを配置し、バンドルファイバの出射端面にて照明野を照明する二次光源を形成した。二次光位置から300mmの位置にテストチャートを配置し、このテストチャートをCCDカメラで撮像し、スペックルを計測した。
図23に示した例では、ダイクロイックミラーDMを光軸方向に移動させることでコレクタレンズLに入射する光の光軸中心を移動させて、それぞれの移動位置において、スペックル量を測定した。得られた計測結果を、図24に示した。図24の横軸は、光ファイバ220の中心光軸C0からのズレ量を示しており、図24の縦軸は、スペックル量に対応するスペックルコントラストレシオ(SCR)を示している。
図24に示した結果から明らかなように、シフト量が大きくなるにつれて、スペックル量が減少していることがわかる。
(第3の実施形態)
以下では、第1の実施形態で説明した、照明装置全体のスペックルノイズを低減するための方法と、第2の実施形態で説明した、光源から射出されたレーザ光のスペックルノイズを低減するための方法と、を組み合わせた例について、第3の実施形態として簡単に説明する。
<照明装置の構成について>
まず、図25を参照しながら、本開示の第3の実施形態に係る照明装置の構成について説明する。図25は、本実施形態に係る照明装置の構成を模式的に示した説明図である。
本実施形態に係る照明装置3は、図25に模式的に示したように、レーザ光源300と、結合光学系310と、光ファイバ320と、コリメート光学系330と、拡散部材340と、コンデンサ光学系350と、を有する。
レーザ光源300は、照明装置3において少なくとも1つ設けられ、所定波長のレーザ光を射出する。本実施形態に係る照明装置3において、かかるレーザ光源300としては、各種の半導体レーザや固体レーザを使用することが可能であり、これらのレーザと波長変換機構とを組み合わせたものを使用することも可能である。レーザ光源300から射出されるレーザ光の波長は、照明対象においてどのような対象物や現象を観察するかに応じて適宜選択されればよい。かかる波長の例としては、波長400〜700nm程度の可視光帯域や、ICG(Indocyanine green)蛍光造影法に用いられる近赤外帯域を挙げることができる。なお、かかるレーザ光を蛍光励起用の励起光とする場合、観察される蛍光は、励起光照射部位の自家蛍光や、照射部位に導入された各種蛍光試薬に起因する薬剤蛍光などを含んでもよい。
結合光学系310は、レーザ光源300から射出された上記レーザ光を、後段に設けられた光ファイバ320に光結合させるための光学系である。かかる結合光学系310の構成は特に限定されるものではなく、公知の様々な光学素子を適宜組み合わせて、レーザ光を光ファイバ320に対して光結合させるようにすればよく、レーザ光を光ファイバ320に光結合させるための集光レンズ(コレクタレンズ)を少なくとも1つ有している。
また、複数のレーザ光源300を組み合わせて白色の照明光を実現する場合、結合光学系310には、上記コレクタレンズに加えて、少なくとも1つのダイクロイックミラー又はダイクロイックプリズムが更に設けられる。複数のレーザ光源300から射出された複数のレーザ光は、ダイクロイックミラー又はダイクロイックプリズムにより合波されて、白色光が生成される。合波された光は、上記コレクタレンズによって集光されて、光ファイバ320に結合される。
なお、複数のレーザ光源300を組み合わせて用いる場合には、各レーザ光の光ファイバ320への入射開口数は、揃っていることが好ましい。しかしながら、各レーザのFFPが異なることにより、実際は揃えることが難しい。従って、かかる場合には、結合光学系310において、第1の実施形態及び第2の実施形態に示したような方法で、開口数調整部が設けられる。
光ファイバ320は、結合光学系310によって導光されたレーザ光を、後段に設けられたコリメート光学系330へと導光する。光ファイバ320の射出光は、回転対称なビームとなり、輝度分布の一様化に寄与する。この光ファイバ320は、特に限定されるものではなく、公知のマルチモード光ファイバ(例えば、ステップインデックス型マルチモードファイバ)を利用することが可能である。また、光ファイバ320のコア径についても特に限定されるものではなく、例えばコア径が1mm程度のものを利用可能である。
本実施形態に係る光ファイバ320では、光ファイバの入射端において複数光源間の開口数がなるべく一致するように、光ファイバ320の入射端へと導光される。このとき、レーザ光源から射出されるレーザ光をコリメートするレンズの焦点距離を最適化するなどして、光ファイバ320の射出端から射出されるレーザ光が、光ファイバの中心光軸近傍の光量が周辺部の光量と比べて低くなるようなドーナツ状の光線ではなく、光ファイバの中心光軸近傍が周辺部と同等の光量を有するような中実の光線とすることが望ましい。
コリメート光学系330は、光ファイバ320の出射端の下流側に設けられ、光ファイバ320から射出されたレーザ光を平行光束へと変換する。コリメート光学系330によりレーザ光が平行光束へと変換されることで、後段に設けられた拡散部材340において、拡散部材340の拡散角度によりレーザ光の拡散状態を容易に制御することが可能となる。コリメート光学系330の構成については、特に限定されるものではなく、公知の光学素子を適宜組み合わせて、レーザ光を平行光束へと変換するための公知の光学系を構成すればよい。
拡散部材340は、コリメート光学系330の後側焦点位置近傍に設けられ、コリメート光学系330から射出された平行光束を拡散させることで、2次光源を生成する。すなわち、拡散部材340における光の射出端が、2次光源として機能することとなる。
拡散部材340により生成される2次光源のサイズは、コリメート光学系330の焦点距離によって制御することができる。また、拡散板の拡散角度により出射光のNAを制御することが可能である。両者の効果により、上記式2で示したラグランジェの不変量を大きくすることが可能となり、所望の光源サイズと所望の照明範囲とを両立することが可能となる。
なお、2次光源の大きさを調整したい場合には、光ファイバからの出射NAとコリメート光学系の焦点距離より最適化すればよい。
拡散部材340から射出された光は、コンデンサ光学系350へと導光される。コンデンサ光学系350は、拡散部材340に形成された2次光源を、所定の近軸横倍率で、照明対象へと結像させる。かかる照明対象としては、例えば、コンデンサ光学系350の下流側に位置する、内視鏡ユニットに設けられたライトガイドの入射端を挙げることができる。ここで、本実施形態に係るコンデンサ光学系350は、従来とは異なり、照明対象(例えば、内視鏡ユニットに設けられたライドガイドの入射端)の面積をなるべく満たすように2次光源を結像させる。これにより、照明装置3全体としてスペックルノイズを低減させることができる。
コンデンサ光学系350の結像倍率(近軸横倍率)βは、コンデンサ光学系の焦点距離fと、焦点位置Fから物体面までの距離Xにより、上記式102で表わされる。
その上で、本実施形態に係る照明装置3では、コンデンサ光学系350を透過した2次光源が入射するライトガイドの入射端の直径をφLGとし、2次光源の像の大きさをY’としたときに、上記式106で表わされる関係が成立するように、2次光源の像の大きさが制御されることが好ましい。
また、コンデンサ光学系350の近軸横倍率βは、2次光源の像の大きさY’が上記式106の範囲を満足するように適宜決定すればよいが、0.4≦β≦2.3を満たすことがより好ましい。
以上、図25を参照しながら、本実施形態に係る照明装置3の構成について、詳細に説明した。
<内視鏡の構成について>
続いて、図26を参照しながら、本実施形態に係る照明装置3が照明光源として用いられる内視鏡10の構成について、簡単に説明する。図26は、本実施形態に係る照明装置を備えた内視鏡の構成を模式的に示した説明図である。
以上説明したような照明装置3を光源として用い、コンデンサ光学系による光源の像を、任意の内視鏡ユニット900が備えるライトガイド901に結像させることで、スペックルノイズの低減された照明光を得ることが可能となる。ライトガイド901に導光された照明光は、ライトガイド901によって内視鏡本体903へと導光されて、内視鏡の先端部へと導かれる。
ここで、照明装置3が装着される内視鏡ユニット900については特に限定されるものではなく、一般的なライトガイド901を備えた内視鏡ユニット900であれば、任意のものが利用可能である。逆に、特定のライトガイド901を有する内視鏡ユニット900を利用したい場合には、ライトガイド901の許容入射開口数NALに応じて、本実施形態に係る照明装置3の2次光源の像の大きさY’や、コンデンサ光学系350の近軸横倍率βを設定すればよい。
以上、図26を参照しながら、本実施形態に係る照明装置3を備えた内視鏡10について、簡単に説明した。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記第3の実施形態において説明した以外にも、第1の実施形態において説明した各種の技術的思想を、第2の実施形態に対して適用することは可能であり、第2の実施形態において説明した各種の技術的思想を、第1の実施形態に対して適用することも可能である。
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
レーザ光を射出する少なくとも1つのレーザ光源と、
前記レーザ光源から射出された前記レーザ光を光ファイバに結合させる結合光学系と、
前記光ファイバから射出された前記レーザ光を平行光束とするコリメート光学系と、
前記コリメート光学系の後側焦点位置近傍に配置され、前記平行光束を拡散させることで2次光源を生成する拡散部材と、
前記2次光源の像を所定の近軸横倍率でライトガイドの入射端に結像するコンデンサ光学系と、
を備える、照明装置。
(2)
前記コンデンサ光学系により前記ライトガイドの入射端に結像される前記2次光源の像の大きさをY’とし、前記ライトガイドの入射端の直径をφLGとしたとき、以下の式1で表わされる関係が成立する、(1)に記載の照明装置。
0.8 ≦ Y’/φLG ≦ 1.2 ・・・(式1)
(3)
前記コンデンサ光学系の前記近軸横倍率は、0.4〜2.3である、(1)又は(2)に記載の照明装置。
(4)
前記コンデンサ光学系により前記ライトガイドの入射端に結像される前記2次光源の像の大きさをY’とし、前記ライトガイドの入射端の直径をφLGとしたとき、Y’=φLGの関係が成立する、(2)又は(3)に記載の照明装置。
(5)
複数の前記レーザ光源が設けられ、
前記結合光学系は、それぞれの前記レーザ光源から射出された前記レーザ光間で、前記光ファイバへの入射開口数を揃える開口数調整部を有する、(1)〜(4)の何れか1つに記載の照明装置。
(6)
前記開口数調整部は、
ダイクロイックミラー又はダイクロイックプリズムを少なくとも有し、
前記ダイクロイックミラー又はダイクロイックプリズムへの前記レーザ光の入射位置、又は、前記結合光学系の中心光軸に対する前記ダイクロイックミラー又はダイクロイックプリズムの配置位置により、前記入射開口数を調整する、(5)に記載の照明装置。
(7)
前記結合光学系を透過した少なくとも1つの前記レーザ光は、前記光ファイバの入射端面に、当該入射端面の法線に対して斜め方向から入射する、(1)〜(6)の何れか1つに記載の照明装置。
(8)
複数の前記レーザ光源が設けられ、
少なくとも一つの前記レーザ光源では、前記コンデンサ光学系により前記ライトガイドの入射端に結像される前記2次光源の大きさをY’とし、前記ライトガイドの入射端の直径をφLGとしたとき、以下の式1で表わされる関係が成立し、
0.8 ≦ Y’/φLG ≦ 1.2 ・・・(式1)
前記少なくとも一つのレーザ光源以外のレーザ光源では、前記結合光学系は、それぞれの前記レーザ光源から射出された前記レーザ光間で、前記光ファイバへの入射開口数を揃える開口数調整部を有する、(1)〜(7)の何れか1つに記載の照明装置。
(9)
前記コンデンサ光学系は、前記2次光源が形成される側の面、及び、前記2次光源の像が形成される面がそれぞれ平面であるレンズ系からなる、(1)〜(8)の何れか1つに記載の照明装置。
(10)
前記コンデンサ光学系は、前記拡散部材の側から順に、平面を前記拡散部材側に向けた正の平凸レンズと、1枚以上の正レンズと、平面を前記コンデンサ光学系の後段側に向けた正の平凸レンズと、を有するレンズ系からなる、(9)に記載の照明装置。
(11)
前記コンデンサ光学系における前記2次光源が形成される側に最も位置する平凸レンズの前記拡散部材の側の面は、非球面である、(9)に記載の照明装置。
(12)
前記レーザ光源は、半導体レーザ又は固体レーザの少なくとも何れかである、(1)〜(11)の何れか1つに記載の照明装置。
(13)
前記拡散部材は、ホログラフィックパターンが施されたホログラフィック拡散板、又は、マイクロレンズアレイである、(1)〜(12)の何れか1つに記載の照明装置。
(14)
少なくとも1つのレーザ光源から射出されたレーザ光を、結合光学系を介して光ファイバに結合させることと、
光ファイバから射出された前記レーザ光を、コリメート光学系により平行光束とすることと、
前記コリメート光学系の後側焦点位置近傍に設けられた拡散部材により、前記平行光束を拡散させて2次光源を生成することと、
前記2次光源の像を所定の近軸横倍率でライトガイドの入射端に結像させることと、
を含む、照明方法。
(15)
レーザ光を射出する少なくとも1つのレーザ光源、前記レーザ光源から射出された前記レーザ光を光ファイバに結合させる結合光学系、前記光ファイバから射出された前記レーザ光を平行光束とするコリメート光学系、前記コリメート光学系の後側焦点位置近傍に配置され、前記平行光束を拡散させることで2次光源を生成する拡散部材、及び、前記2次光源の像を所定の近軸横倍率でライトガイドの入射端に結像するコンデンサ光学系を有する照明装置と、
前記照明装置から射出されたレーザ光が入射するライトガイドと、
を備える、内視鏡。