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JP6392724B2 - 顔料分散剤、顔料組成物、及び顔料着色剤 - Google Patents

顔料分散剤、顔料組成物、及び顔料着色剤 Download PDF

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Description

本発明は、顔料分散剤、顔料組成物、及び顔料着色剤に関する。
一般に、塗料、グラビアインキ、オフセットインキなどのビヒクル中に顔料(粒子)を安定した状態で混合分散させることは困難である。例えば、ビヒクル中に一旦分散した微細な顔料粒子は、そのビヒクル中で凝集する傾向がある。顔料粒子が凝集したビヒクルは、その粘度が上昇してしまうといった問題がある。また、凝集した顔料粒子が分散されたビヒクルを用いると、インキや塗料の着色力が低下したり、塗膜のグロスが低下したりするなどの種々の問題が生じやすい。
ところで、液晶カラーディスプレイや撮像素子などを製造するために使用されるカラーフィルターは、顔料分散液を用いて、例えば、以下のような方法で製造されている。まず、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)の三色の顔料を感光性樹脂液中にそれぞれ分散させたカラーフィルター用の顔料分散液(カラーフィルター(CF)用顔料着色剤)を用意する。これらのCF用顔料着色剤を、スピンコート法によってカラーフィルター用の基板に塗布して着色皮膜を形成する。次いで、フォトマスクを介して形成した着色皮膜を露光した後、現像して着色皮膜をパターン化し、基板に所望の画素を形成させればカラーフィルターを得ることができる。
カラーフィルターを製造するための顔料としては、緑色顔料、赤色顔料、及び青色顔料などがある。緑色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン(以下、「PG」と記す)36、PG7、PG58などのフタロシアニングリーンが一般的である。赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(以下、「PR」と記す)254などのジケトピロロピロール系レッド;PR177などのアントラキノン系レッド;PR242などのアゾ系レッドが一般的である。また、青色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(以下、「PB」と記す)15:6などのフタロシアニンブルーが一般的である。
なお、これらの顔料の色相と、液晶ディスプレイに要求される色特性には差があるため、補色用の顔料が併用されている。例えば、緑色顔料及び赤色顔料に対しては、C.I.ピグメントイエロー(以下、「PY」と記す)138、PY139、PY150などの黄色顔料が補色用の顔料として少量使用されている。また、青色顔料に対しては、C.I.ピグメントバイオレット(以下、「PV」と記す)23などの紫色顔料が補色用の顔料として少量使用されている。そして、カラーフィルターの良好な画素を形成するためには、主となる顔料と補色用の顔料とは、CF用顔料着色剤に均一な状態で存在することが望まれる。
しかし、顔料を併用する場合は勿論、通常の分散機を使用して上記の顔料を、感光性樹脂液などの分散媒体中に分散させることは困難であり、顔料の分散状態が良好ではない顔料分散液しか得られない場合がある。顔料の分散状態が良好ではないCF用顔料着色剤を用いて形成されたカラーフィルターの画素は光透過性が不十分になってしまい、カラーフィルターの画素としての光透過率が不足してしまう。すなわち、通常の分散機を使用して顔料を分散させて得られるCF用顔料着色剤は、カラーフィルターの画素を形成するための着色剤としては十分ではない場合があった。
一方、顔料の分散媒体であるフォトレジスト用の感光性樹脂としては、露光後の着色皮膜が現像液であるアルカリ水溶液で容易に現像可能となるように、酸価の高いアクリル系ポリマーが主として採用されている。しかしながら、前述の顔料と、酸価の高いアクリル系ポリマーとを含有する顔料着色剤は、顔料が凝集しやすく、粘度が高くなりやすいといった問題がある。また、経時的に顔料の凝集が進行して増粘するので、貯蔵安定性が低いといった問題もある。さらに、粘度が高い、又は顔料が凝集してチクソトロピックな粘性を示す顔料着色剤を用いてカラーフィルターを製造しようとすると、露光前の着色皮膜の中央部が盛り上がってしまうことがある。このため、基板の中央部に位置する画素と、周辺部に位置する画素とでは、色相にむらや濃度差が発生するという問題が生ずる。そして、この問題は、より大画面のカラーフィルターを製造しようとする際により顕著になる。
したがって、CF用顔料着色剤(フォトレジスト)は、高濃度に顔料を含みながらも、顔料の分散媒体である感光性樹脂への分散状態が良好であるとともに、一般的な常乾塗料や焼き付け塗料に比して低粘度であることが要求される。一般的には、顔料濃度が5〜20質量%であっても、顔料が凝集せず、その粘度が5〜20mPa・s程度であり、しかも貯蔵安定性が良好であることが要求される。
上記の要求を満たすべく、従来、顔料誘導体を顔料の分散剤として添加する方法や、顔料を顔料誘導体で処理して用いる方法などが提案されている。具体的には、顔料としてPR254などのジケトピロロピロール系レッドを用いる場合には、顔料分散剤としてジケトピロロピロールの置換誘導体を用いることが提案されている。また、顔料としてPR177などのアントラキノン系レッドを用いる場合には、顔料分散剤としてアントラキノンの置換誘導体を用いることが提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
特開平3−026767号公報 特開平9−272812号公報 特開2001−174616号公報 特開2009−029886号公報
近年、カラーフィルターの性能をさらに向上させたいとの要望がある。具体的には、着色画素の透明性をさらに改善する、着色画素の透過光のコントラストをアップさせる、或いは着色画素の顔料濃度を高めることが求められている。しかしながら、特許文献1〜4等で提案されたような従来の技術では、上記の性能を満足させるカラーフィルターを製造しうる顔料着色剤を得ることは困難であった。さらに、従来の技術で得られた顔料着色剤は、カラーフィルター用に限らず、形成される塗膜(着色皮膜)中に異物が発生することがあるため、改善が要望されている。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、顔料を含有するインキや塗料などの流動性を著しく改善可能であるとともに、顔料の粒子凝集を防止することができ、かつ、異物の発生を防止しつつ、優れた光沢及び鮮明性を示す着色物品を製造可能な顔料分散剤を提供することにある。また、本発明の課題とするところは、上記顔料分散剤を用いて得られる顔料組成物及び顔料着色剤を提供することにある。
すなわち本発明によれば、以下に示す顔料分散剤が提供される。
[1]下記一般式(1)で表される化合物である顔料分散剤。
Figure 0006392724
(前記一般式(1)中、Xは、下記式(X−1)又は(X−2)で表される基を示し、Yは、下記式(Y−1)又は(Y−2)で表される基を示し、Mは、金属原子を示し、nは0.2〜4の数を示す)
Figure 0006392724
(前記式(X−1)及び(X−2)中、*は、前記一般式(1)中のN=N−との結合位置を示し、前記式(Y−1)及び(Y−2)中、*は、前記一般式(1)中のO2S−との結合位置を示す)
また、本発明によれば、以下に示す顔料組成物が提供される。
]顔料と、前記[1]に記載の顔料分散剤と、を含有する顔料組成物。
]前記顔料100質量部に対する、前記顔料分散剤の配合量が、0.5〜40質量部である前記[]に記載の顔料組成物。
さらに、本発明によれば、以下に示す顔料着色剤が提供される。
]前記[]又は[]に記載の顔料組成物と、皮膜形成材料と、を含有する顔料着色剤。
]画像表示用、画像記録用、印刷インキ用、筆記用インキ用、プラスチック用、顔料捺染用、又は塗料用である前記[]に記載の顔料着色剤。
]カラーフィルター用である前記[]に記載の顔料着色剤。
本発明の顔料分散剤は、顔料を含有するインキや塗料などの流動性を著しく改善可能であるとともに、顔料の粒子凝集を防止することができ、かつ、異物の発生を防止しつつ、優れた光沢及び鮮明性を示す着色物品を製造可能なものである。このため、本発明の顔料分散剤は、オフセットインキやグラビアインキなどの印刷インキ、各種塗料、プラスチック、顔料捺染剤、電子写真用乾式又は湿式トナー、インクジェット記録用インキ、熱転写記録用インキ、カラーフィルター用レジスト、筆記具用インキなどに用いられるビヒクルに対して好適に使用することができる。また、本発明の顔料分散剤を用いれば、各種の塗料などの流動性を著しく改善し、顔料の粒子凝集を防止し、異物の発生が有効に防止された着色被膜を形成しうる顔料組成物及び顔料着色剤を提供することができる。さらに、本発明の顔料着色剤は、貯蔵時の増粘やゲル化が生じにくいとともに、優れた光沢と鮮明性を有する着色物を製造することができる。このため、本発明の顔料着色剤は、カラーフィルター用の顔料着色剤等として、特に好適である。
<顔料分散剤>
以下、好ましい実施形態を例に挙げて本発明の詳細について説明する。本発明の顔料分散剤は、下記一般式(1)で表される化合物であることを主要な特徴の一つとする。このような特徴を有する本発明の顔料分散剤は、種々の顔料に対して優れた親和性を有しており、有機・無機を問わず、様々な顔料を分散させるための顔料分散剤として好適に使用することができる。また、本発明の顔料分散剤は、優れた顔料分散効果を有しているので、種々の用途の顔料着色剤を調製するための材料として使用することができる。
Figure 0006392724
一般式(1)中、Xは、置換基を有してもよい芳香族化合物又は複素環化合物の残基を示す。なお、一般式(1)中の「N=N−」との結合部位は、上記の芳香族化合物の芳香族環又は上記の複素環化合物の複素環である。また、一般式(1)中のYは、塩基性窒素原子を有する炭素数2〜30の、脂肪族アミン、脂環族アミン、又はヘテロ脂環族アミンの反応残基を示す。なお、一般式(1)中の「O2S−」との結合部位は、上記の脂肪族アミン、上記の脂環族アミン、又は上記のヘテロ脂環族アミンの窒素原子である。また、一般式(1)中、Mは、金属原子を示す。さらに、一般式(1)中、nは0.2〜4の数を示す。一般式(1)中のnは、一般式(1)で表される化合物への「−SO2Y」で表される基の平均導入個数を意味する。
一般式(1)中、Xは下記式(X−1)又は(X−2)で表される基であることが好ましい。また、一般式(1)中、Yは下記式(Y−1)又は(Y−2)で表される基であることが好ましい。
Figure 0006392724
(前記式(X−1)及び(X−2)中、*は、前記一般式(1)中のN=N−との結合位置を示し、前記式(Y−1)及び(Y−2)中、*は、前記一般式(1)中のO2S−との結合位置を示す)
一般式(1)中、Mで表される金属原子の種類は特に限定されない。金属原子の具体例としては、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znなどを挙げることができる。なかでも、金属原子としてはNi及びZnが好ましい。また、一般式(1)中のnは0.5〜3の数であることが好ましく、1〜2の数であることがさらに好ましい。
本発明の顔料分散剤は、少量であっても顔料の分散剤として優れた作用を示す。また、本発明の顔料分散剤を用いて調製される顔料組成物及び顔料着色剤は、貯蔵時の増粘やゲル化が生じにくく、これらを用いて形成される塗膜中に異物が発生しにくい。本発明の顔料分散剤の具体例としては、下記式(A)〜(H)で表される化合物等を挙げることができる。
Figure 0006392724
Figure 0006392724
本発明の顔料分散剤のさらなる具体例として、下記式(1−1)〜(1−8)で表される化合物等を挙げることができる。
Figure 0006392724
Figure 0006392724
一般式(1)で表される化合物(顔料分散剤)は、例えば、以下のようにして合成することができる。まず、1−アミノアントラキノンのようなアミノ基を有する芳香族化合物又は複素環化合物を常法によりジアゾ化した後、2,4−ジヒドロキシキノリンとカップリングして下記一般式(2)で表される化合物を得る。次いで、公知の方法、例えば「番匠ら,工業化学雑誌63,1390(1960)」に記載された方法、すなわち下記式(2)で表される化合物を水に解こうし、酢酸ニッケル等の金属塩及び28%アンモニア水で95〜100℃で処理することにより、下記一般式(3)で表される化合物を得る。次いで、下記一般式(3)で表される化合物をクロロスルホン酸中、30〜40℃でクロロスルホニル化した後、氷水中に析出させ、ろ過及び氷水洗してクロロスルホニル化物の水ペーストを得る。得られたクロロスルホニル化物を、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン等の塩基性窒素原子を有するアミン化合物と水中にて50〜60℃で反応させれば、一般式(1)で表される化合物(顔料分散剤)を得ることができる。
Figure 0006392724
Figure 0006392724
一般式(2)及び(3)中、Xは、置換基を有してもよい芳香族化合物又は複素環化合物の残基(但し、N=N−との結合部位が芳香族環又は複素環である)を示し、Mは、金属原子を示す。
また、一般式(1)で表される化合物(顔料分散剤)は、以下のようにして合成することもできる。すなわち、一般式(2)で表される化合物をクロロスルホン酸中、50〜60℃でクロロスルホニル化した後、氷水中に析出させ、ろ過及び氷水洗してクロロスルホニル化物の水ペーストを得る。得られたクロロスルホニル化物を、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン等の塩基性窒素原子を有するアミン化合物と水中にて50〜60℃で反応させ、下記一般式(4)で表される化合物を得る。下記一般式(4)で表される化合物を水に解こうし、酢酸ニッケル等の金属塩及び28%アンモニア水で95〜100℃で処理することにより、一般式(1)で表される化合物(顔料分散剤)を得ることができる。なお、本発明の顔料分散剤には未反応の原料及びスルホン化物等の副生成物が少量含まれる可能性があるが、本発明の効果が得られる限りにおいて、これらの未反応の原料及び副生成物が若干含まれていてもよい。
Figure 0006392724
一般式(4)中、Xは、置換基を有してもよい芳香族化合物又は複素環化合物の残基(但し、N=N−との結合部位が芳香族環又は複素環である)を示し、Yは、塩基性窒素原子を有する炭素数2〜30の、脂肪族アミン、脂環族アミン、又はヘテロ脂環族アミンの反応残基(但し、O2S−との結合部位が窒素原子である)を示し、nは0.1〜2の数を示す。
上記合成方法において使用しうる、アミノ基を有する芳香族化合物及び複素環化合物の具体例としては、アニリン、トルイジン(o−、m−又はp−)、2,4−キシリジン、3,4−キシリジン、p−クレシジン、アニシジン(o−、m−又はp−)、アミノフェノール(o−、m−又はp−)、アントラニル酸、p−アミノ安息香酸、ニトロアニリン(o−、m−又はp−)、クロロアニリン(o−、m−又はp−)、2,5−ジクロロアニリン、3,4−ジクロロアニリン、3,5−ジクロロアニリン、2,3,4−トリクロロアニリン、2,4,5−トリクロロアニリン、2,4,6−トリクロロアニリン、3,4,5−トリクロロアニリン、2−クロロ−4−ニトロアニリン、5−クロロ−2−ニトロアニリン、2,6−ジクロロ−4−ニトロアニリン、o−フルオロアニリン、2,4−ジフルオロアニリン、m−トリフルオロメチルアニリン、2−クロロ−5−トリフルオロメチルアニリン、2−アミノチオフェノール、2−アミノ−5−ニトロベンゾニトリル、2−アミノ−3−ブロモ−5−ニトロベンゾニトリル、1−ナフチルアミン、3−アミノ−9−エチルカルバゾール、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−アミノチアゾール、2−アミノ−5−ニトロチアゾール、2−アミノベンゾチアゾール、2−アミノ−6−メトキシベンゾチアゾール、1−アミノアントラキノン、2−アミノアントラキノン、5−アミノ−2−ベンズイミダゾリノン、4−アミノフタルイミド、4−アミノ−N−メチルフタルイミド、o−(フェニルスルホニル)アニリン、2−エチルスルホニル−5−メトキシアニリン、2−エチルスルホニル−5−トリフルオロメチルアニリン、4−ベンジルスルホニル−o−アニシジン、3−アミノ−N,N−ジエチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド、3−アミノベンズアミド、3−アミノ−4−メチルベンズアミド、3−アミノ−4−メトキシベンズアミド、4−アミノベンズアミド、2−アミノ−4,4’−ジクロロジフェニルエーテル、4−ベンズアミド−2,5−ジメトキシアニリン、9−アミノアクリジン、6−アミノインダゾールなどを挙げることができる。これらのうちで、1−アミノアントラキノン、5−アミノ−2−ベンズイミダゾリノンが好ましい。
また、塩基性窒素原子を有するアミン化合物の具体例としては、N,N−ジメチルアミノメチルアミン、N,N−ジエチルアミノメチルアミン、N,N−ジプロピルアミノメチルアミン、N,N−ジブチルアミノメチルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジプロピルアミノエチルアミン、N,N−ジブチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジプロピルアミノプロピルアミン、N,N−ジメチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノブチルアミン、N,N−ジプロピルアミノブチルアミン、N,N−ジブチルアミノブチルアミン、N,N−ジメチルアミノラウリルアミン、N,N−ジエチルアミノラウリルアミン、N,N−ジブチルアミノラウリルアミン、N,N−ジメチルアミノステアリルアミン、N,N−ジエチルアミノステアリルアミン、N,N−ジエタノールアミノエチルアミン、N,N−ジエタノールアミノプロピルアミン、N−(3−アミノプロピル)シクロヘキシルアミン、N−(3−アミノプロピル)モルホリン、1−(3−アミノプロピル)−2−ピペコリン、N−アミノプロピルピロリジン、N,N−ジエチルアミノエトキシプロピルアミン、N,N,N”,N”−テトラメチルジエチレントリアミン、N,N,N”,N”−テトラエチルジエチレントリアミン、N,N,N”,N”−テトラ(n−プロピル)ジエチレントリアミン、N,N,N”,N”−テトラ(i−プロピル)ジエチレントリアミン、N,N,N”,N”−テトラ(n−ブチル)ジエチレントリアミン、N,N,N”,N”−テトラ(i−ブチル)ジエチレントリアミン、N,N,N”,N”−テトラ(t−ブチル)ジエチレントリアミン、3,3’−イミノビス(N,N−ジメチルプロピルアミン)、3,3’−イミノビス(N,N−ジエチルプロピルアミン)、3,3’−イミノビス(N,N−ジ(n−プロピル)プロピルアミン)、3,3’−イミノビス(N,N−ジ(n−ブチル)プロピルアミン)、3,3’−イミノビス(N,N−ジ(i−ブチル)プロピルアミン)、3,3’−イミノビス(N,N−ジ(t−ブチル)プロピルアミン)、3,3’−イミノビス(N,N−ジメチルプロピルアミン)、2,9−ジメチル−2,5,9−トリアザデカン、2,10−ジメチル−2,10−トリアザデカン、2,12−ジメチル−2,6,12−トリアザトリデカン、2,12−ジメチル−2,5,12−トリアザトリデカン、2,16−ジメチル−2,9,16−トリアザヘプタデカン、3−エチル−10−メチル−3,6,10−トリアザウンデカン、5,13−ジ(n−ブチル)−5,9,13−トリアザヘプタデカン、ジ(2−ピコリル)アミン、ジ(3−ピコリル)アミンなどを挙げることができる。これらのうちで、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N−(3−アミノプロピル)シクロヘキシルアミンが好ましい。
また、先の合成方法において使用することのできる、金属塩の具体例としては、塩化クロム、酢酸クロム、塩化マンガン、酢酸マンガン、塩化鉄、酢酸鉄、塩化コバルト、酢酸コバルト、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、塩化銅、酢酸銅、塩化亜鉛、酢酸亜鉛などを挙げることができる。
本発明の顔料分散剤の使用方法は特に制限されないが、以下に示すような使用方法が例示される。いずれの方法であっても、目的とする顔料分散効果を得ることができる。
(1)顔料と顔料分散剤とを予め公知の方法で混合し、得られた顔料組成物をビヒクルなどに添加して顔料をビヒクル中に分散させる。
(2)ビヒクルなどに顔料と顔料分散剤を所定の割合で別々に添加して、顔料をビヒクル中に分散させる。
(3)顔料と顔料分散剤をそれぞれビヒクルなどに別々に分散させた後、得られた各分散液を所定の割合で混合し、顔料をビヒクル中に分散させる。
(4)ビヒクルなどに顔料を分散させて得られた分散液に、顔料分散剤を所定の割合で添加して、顔料をビヒクル中に分散させる。
<顔料組成物>
本発明の顔料組成物は、顔料と、前述の顔料分散剤とを含有する。顔料100質量部に対する顔料分散剤の配合量は、0.5〜40質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがさらに好ましい。顔料分散剤の配合量が上記した範囲内よりも少ないと、目的とする分散剤の効果が十分に得られなくなる場合がある。一方、上記した範囲内よりも顔料分散剤の配合量が多いと、分散剤の効果が頭打ちになり、それ以上の効果が期待できず、材料がコスト高になるなど、生産性の面で不利になる場合がある。さらには、このような顔料分散剤を過剰に含有する顔料組成物を用いた塗料やインキにおいて、ビヒクルの諸物性が低下したり、顔料分散剤自体の色によって、顔料のもつ色相が大きく変化したりする場合もある。
本発明の顔料分散剤を用いることによって、有効な分散効果が得られる顔料の具体例としては、溶性・不溶性アゾ顔料、高分子量アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、アントラキノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キノフタロン顔料、メチン・アゾメチン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、金属錯体顔料などを挙げることができる。これらのなかでも、特に、色相が赤である顔料に使用した場合に、より顕著な効果が得られるので好ましい。このような色相が赤である顔料としては、ジケトピロロピロール顔料であるPR254及びアントラキノン顔料であるPR177が好ましい。
本発明の顔料組成物を製造する方法は特に限定されない。例えば、顔料と顔料分散剤を従来公知の方法により混合すれば、本発明の顔料組成物を得ることができる。なお、本発明の顔料組成物を製造する方法の具体例としては、以下に示す(1)〜(4)の方法を挙げることができる。
(1)顔料の紛末と顔料分散剤の粉末とを、分散機を使用せずに混合する方法。
(2)顔料と顔料分散剤とを、ニーダー、ロール、アトライター、横型ビーズミルなどの各種分散機で機械的に混合する方法。
(3)顔料の水系又は有機溶剤系のサスペンションに、顔料分散剤を溶解又は微分散させた液を添加及び混合し、顔料の表面に顔料分散剤を均一に沈着させる方法。
(4)硫酸などの強い溶解力を持った溶媒に顔料及び顔料分散剤を溶解させた後、水などの貧溶媒によって共析出させる方法。
顔料組成物を調製するのに用いる顔料分散剤の性状は、溶液、スラリー、ペースト、及び粉末のいずれであってもよい。いずれの性状の顔料分散剤を用いた場合であっても、所望の効果を得ることができる。
<顔料着色剤>
本発明の顔料着色剤は、前述の顔料組成物と、皮膜形成材料とを含有する。本発明の顔料着色剤は、例えば、微細化した前述の顔料組成物と、その用途に応じて選択された樹脂((共)重合体)、オリゴマー、又はモノマーなどの皮膜形成材料とを混合することで得ることができる。本発明の顔料着色剤は、画像表示用、画像記録用、印刷インキ用、筆記用インキ用、プラスチック用、顔料捺染用、塗料用などの着色剤として広範な分野で用いることができる。特に、着色画素の透明性が問題となる画像表示材料として、なかでもカラーフィルター用顔料着色剤として好適である。勿論、本発明の顔料着色剤は、電子写真用乾式又は湿式トナー、インクジェット記録用インキ、電着記録液、熱転写記録用インキ、筆記具用インキなどの画像記録剤用の材料としても有用である。これらの画像記録剤用の材料は、それぞれ、インクジェット記録方法、電着記録方式、電子写真方式などの各種の画像記録方法に使用される。本発明の顔料着色剤を用いれば、いずれの画像記録方法であっても高品位な画像を提供しうる画像記録剤用の材料を調製することができる。
以下、本発明の顔料着色剤のさらなる詳細について、画像表示用の顔料着色剤であるカラーフィルター用顔料分散液(カラーフィルター(CF)用顔料着色剤)を代表例に挙げて説明する。カラーフィルター用顔料分散液(フォトレジスト)を調製するには、まず、前述の顔料組成物を、皮膜形成材料を含有する液に添加し、プレミキシングする。次いで、分散処理すれば、カラーフィルター用顔料分散液を得ることができる。より具体的には、縦型媒体分散機、横型媒体分散機、ボールミルなどの分散機械を使用して均一に摩砕した顔料組成物を、皮膜形成性材料を含有する液に添加及び混合することで、カラーフィルター用顔料分散液を得ることができる。また、顔料と顔料分散剤を硫酸などに溶解させて得られた溶液と水を混合して、顔料と顔料分散剤とを含む顔料組成物を固溶体又は共析体として析出させて分離する。分離した顔料組成物を、皮膜形成材料や高分子分散剤などを含有する液に添加して混合した後、ダイノミルなどの横型湿式媒体分散機(ビーズミル)を使用して摩砕分散しても、カラーフィルター用顔料分散液を得ることができる。
本発明の顔料着色剤は、高分子分散剤をさらに含有してもよい。高分子分散剤としては、酸性の高分子分散剤が好ましい。本発明の顔料着色剤中の顔料の表面は、一般式(1)で表される塩基性の顔料分散剤で処理されている。このため、酸性の高分子分散剤を含有させることで、より低粘度かつ高コントラストなカラーフィルター用顔料分散液を得ることができる。なお、塩基性の高分子分散剤を含有させると、顔料が凝集し、顔料着色剤が増粘しやすくなる場合がある。
高分子分散剤としては、公知の分散剤を用いることができる。また、塩基性の高分子分散剤の具体例としては、以下商品名で、KF−10000(川研ファインケミカル社製);アルファレジンSA−300(アルファ化研社製);DISPERBYK−110、同111、同180(以上、ビックケミー社製);SOLSPERS−41000(Lubrizol社製);アジスパーPA−111(味の素ファインテクノ社製)等を挙げることができる。
高分子分散剤の配合量は、顔料100質量部に対して、2〜100質量部とすることが好ましく、10〜50質量部とすることがさらに好ましい。高分子分散剤の配合量が2質量部未満であると、良好な顔料分散安定性を得ることが困難になる場合がある。一方、高分子分散剤の配合量が100質量部超であると、形成される皮膜の現像性が低下する場合がある。
カラーフィルター用顔料分散液を調製するために用いる、皮膜形成材料を含有する液としては、従来公知のカラーフィルター用顔料分散液に含有される皮膜形成性重合体の溶液を用いることができる。また、皮膜形成材料を含有する液に用いられる液媒体としては、有機溶剤、水、及び有機溶剤と水との混合液などを挙げることができる。なお、カラーフィルター用顔料分散液には、必要に応じて、例えば、分散助剤、平滑化剤、密着化剤などの従来公知の添加剤を添加することができる。
本発明の顔料着色剤に含有される顔料組成物の量は、皮膜形成材料100質量部に対して5〜500質量部であることが好ましく、50〜250質量部であることがさらに好ましい。また、皮膜形成材料を含有する液としては、感光性の皮膜形成材料を含有する液、又は非感光性の皮膜形成材料を含有する液を、用途に応じて適宜選択して用いることができる。感光性の皮膜形成材料を含有する液の具体例としては、紫外線硬化性インキや電子線硬化インキなどに用いられる感光性の皮膜形成材料を含有する液などを挙げることができる。また、非感光性の皮膜形成材料を含有する液の具体例としては、凸版インキ、平版インキ、グラビアインキ、スクリーンインキなどの印刷インキに使用するワニス;常温乾燥又は焼き付け塗料に使用するワニス;電着塗装に使用するワニス;熱転写リボンに使用するワニスなどを挙げることができる。
カラーフィルター用顔料分散液は、高濃度に顔料を含みながらも、顔料の分散状態が良好であるとともに、一般的な常乾塗料や焼き付け塗料に比して低粘度であることが要求される。一般的には、顔料濃度が5〜20質量%であっても、顔料が凝集せず、その粘度が5〜20mPa・s程度であり、貯蔵安定性が良好であることが要求される。したがって、カラーフィルター用とする場合は、本発明の顔料分散液は上記の粘度条件を満たすことが好ましい。好ましくは、粘度が5〜15mPa・sであり、25℃で1ヶ月間放置した後(放置後)の粘度増加率が10%以内である。粘度が増加してしまうと、一定の膜厚に製膜することが困難になる。
感光性の皮膜形成材料の具体例としては、感光性環化ゴム系樹脂、感光性フェノール系樹脂、感光性ポリアクリレート系樹脂、感光性ポリアミド系樹脂、感光性ポリイミド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリエポキシアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、ポリエーテルアクリレート系樹脂、ポリオールアクリレート系樹脂などの感光性樹脂を挙げることができる。なお、これらの感光性樹脂を含有する液には、反応性希釈剤として各種のモノマーを添加してもよい。
皮膜形成材料として感光性樹脂を含有する顔料着色剤に、ベンゾインエーテル、ベンゾフェノンなどの光重合開始剤を添加し、従来公知の方法により練肉すれば、光硬化性の感光性顔料分散液とすることができる。また、上記の光重合開始剤に代えて熱重合開始剤を用いれば、熱硬化性顔料分散液とすることができる。
一方、非感光性の皮膜形成材料の具体例としては、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体、可溶性ポリアミド系樹脂、可溶性ポリイミド系樹脂、可溶性ポリアミドイミド系樹脂、可溶性ポリエステルイミド系樹脂、スチレン−マレイン酸エステル系共重合体の水溶性塩、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸系共重合体の水溶性塩、水溶性アミノポリエステル系樹脂などの樹脂及びその水溶性塩を挙げることができる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下、「部」及び「%」とあるのは特に断らない限り質量基準である。
<顔料分散剤の調製>
(実施例1)
2,4−ジヒドロキシキノリン10部及び水酸化ナトリウム5部を水600部に溶解し、1−アミノアントラキノン14部を常法によりジアゾ化したものを加え、20〜30℃で4時間カップリングさせた。ろ過及び水洗し、水ペースト96部(固形分24部)を得た。得られた水ペーストを水600部に入れ、撹拌分散させて分散液を得た。一方、酢酸ニッケル6部を水60部に溶解させた後、28%アンモニア水19部を加えて得たものを上記の分散液に添加した。90〜100℃で1時間金属塩化した後、ろ過、水洗、乾燥、及び粉砕して黄褐色粉末25部を得た。得られた黄褐色粉末10部をクロロスルホン酸100部に溶解した後、塩化チオニル10部を加え、30〜40℃で5時間反応させた。放冷後に氷水に投入し、ろ過した後に氷水で洗浄してクロロスルホニル化物の水ペーストを得た。得られたクロロスルホニル化物の水ペーストを、水200部及び氷100部の混合物に撹拌分散させ、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン7部を加えた。20〜30℃で5時間撹拌した後、60〜70℃で1時間加熱して反応させた。反応終了後、ろ過、水洗、及び乾燥することにより、下記式(A)で表される黄褐色の顔料分散剤(A)12部を得た。
Figure 0006392724
(実施例2)
2,4−ジヒドロキシキノリン10部及び水酸化ナトリウム5部を水600部に溶解し、1−アミノアントラキノン14部を常法によりジアゾ化したものを加え、20〜30℃で4時間カップリングさせた。ろ過、水洗、乾燥、及び粉砕して、黄褐色粉末24部を得た。得られた黄褐色粉末10部をクロロスルホン酸100部に溶解した後、塩化チオニル10部を加え、50〜60℃で5時間反応させた。放冷後に氷水に投入し、ろ過した後に氷水で洗浄してクロロスルホニル化物の水ペーストを得た。得られたクロロスルホニル化物の水ペーストを、水200部及び氷100部の混合物に撹拌分散させ、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン7部を加えた。20〜30℃で5時間撹拌した後、60〜70℃で1時間加熱して反応させた。反応終了後、ろ過及び水洗することにより、水ペースト70部(固形分14部)を得た。得られた水ペーストを水400部に入れ、撹拌分散させて分散液を得た。一方、酢酸ニッケル2.3部を水30部に溶解させた後、28%アンモニア水8部を加えて得たものを上記の分散液に添加した。90〜100℃で1時間金属塩化した後、ろ過、水洗、及び乾燥することにより、下記式(B)で表される黄褐色の顔料分散剤(B)14部を得た。
Figure 0006392724
(実施例3)
酢酸ニッケル6部に代えて、酢酸亜鉛6.2部を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、下記式(C)で表される黄褐色の顔料分散剤(C)12部を得た。
Figure 0006392724
(実施例4)
酢酸ニッケル2.3部に代えて、酢酸亜鉛2.4部を用いたこと以外は、前述の実施例2と同様にして、下記式(D)で表される黄褐色の顔料分散剤(D)14部を得た。
Figure 0006392724
(実施例5)
2,4−ジヒドロキシキノリン10部及び水酸化ナトリウム5部を水600部に溶解し、5−アミノ−2−ベンズイミダゾリノン9.3部を常法によりジアゾ化したものを加え、20〜30℃で4時間カップリングさせた。ろ過及び水洗し、水ペースト75部(固形分19部)を得た。得られた水ペーストを水600部に入れ、撹拌分散させて分散液を得た。一方、酢酸ニッケル5.5部を水60部に溶解させた後、28%アンモニア水19部を加えて得たものを上記の分散液に添加した。90〜100℃で1時間金属塩化した後、ろ過、水洗、乾燥、及び粉砕して赤色粉末20部を得た。得られた赤色粉末10部をクロロスルホン酸100部に溶解した後、塩化チオニル10部を加え、30〜40℃で5時間反応させた。放冷後に氷水に投入し、ろ過した後に氷水で洗浄してクロロスルホニル化物の水ペーストを得た。得られたクロロスルホニル化物の水ペーストを、水200部及び氷100部の混合物に撹拌分散させ、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン7部を加えた。20〜30℃で5時間撹拌した後、60〜70℃で1時間加熱して反応させた。反応終了後、ろ過、水洗、及び乾燥することにより、下記式(E)で表される赤色の顔料分散剤(E)12部を得た。
Figure 0006392724
(実施例6)
2,4−ジヒドロキシキノリン10部及び水酸化ナトリウム5部を水600部に溶解し、5−アミノ−2−ベンズイミダゾリノン9.3部を常法によりジアゾ化したものを加え、20〜30℃で4時間カップリングさせた。ろ過、水洗、乾燥、及び粉砕して、赤色粉末19部を得た。得られた赤色粉末10部をクロロスルホン酸100部に溶解した後、塩化チオニル10部を加え、50〜60℃で5時間反応させた。放冷後に氷水に投入し、ろ過した後に氷水で洗浄してクロロスルホニル化物の水ペーストを得た。得られたクロロスルホニル化物の水ペーストを、水200部及び氷100部の混合物に撹拌分散させ、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン7部を加えた。20〜30℃で5時間撹拌した後、60〜70℃で1時間加熱して反応させた。反応終了後、ろ過及び水洗することにより、水ペースト70部(固形分14部)を得た。得られた水ペーストを水400部に入れて、撹拌分散させて分散液を得た。一方、酢酸ニッケル2.4部を水30部に溶解させた後、28%アンモニア水8部を加えて得たものを上記の分散液に添加した。90〜100℃で1時間金属塩化した後、ろ過、水洗、及び乾燥することにより、下記式(F)で表される赤色の顔料分散剤(F)14部を得た。
Figure 0006392724
(実施例7)
酢酸ニッケル5.5部に代えて、酢酸亜鉛5.7部を用いたこと以外は、前述の実施例5と同様にして、下記式(G)で表される赤色の顔料分散剤(G)12部を得た。
Figure 0006392724
(実施例8)
酢酸ニッケル2.4部に代えて、酢酸亜鉛2.5部を用いたこと以外は、前述の実施例6と同様にして、下記式(H)で表される赤色の顔料分散剤(H)14部を得た。
Figure 0006392724
CHNの元素分析及びMALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法の略称)による質量分析により、調製した顔料分散剤(A)〜(H)が目的とする組成になっていることを確認した。なお、顔料分散剤(A)〜(H)についての元素分析の結果を表1に示す。表1に示すように、C、H、N、及びNi(又はZn)のいずれの元素についても、ほぼ計算値(理論値)に近い値が得られた。また、S分析により、スルホンアミド基の置換個数が「1」又は「2」の計算値(理論値)に近い値が得られた。また、顔料分散剤(A)については、質量分析によりm/z=1039のピークが検出された。このため、使用した原材料、元素分析、及び質量分析の結果から、目的とする組成の化合物が得られたことが確認された。
Figure 0006392724
<顔料組成物(1)〜(16)の調製>
(実施例9)
PR254(商品名「IRGAZIN RED L3660HD」、BASF社製)100部、実施例1で得た顔料分散剤(A)12部、平均粒子径5μmの塩化ナトリウム600部、及びジエチレングリコール150部を、加圧蓋を装着したニーダーに仕込んだ。ニーダー内に均一湿潤された塊ができるまで予備混練した後、加圧蓋を閉じ、圧力6kg/cm2で内容物を押さえ込みながら混練磨砕を開始した。内容物の温度が40〜45℃になるように冷却温度及び冷却水量を管理しながら4時間混練磨砕処理して磨砕物を得た。得られた磨砕物を80℃に加温した2%硫酸水溶液3,000部中に投入して1時間撹拌処理した後、濾過及び水洗して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除去した。濾過残を80℃の熱風乾燥機中で24時間乾燥して、顔料組成物(1)を得た。
(実施例10〜16)
顔料分散剤(A)に代えて顔料分散剤(B)〜(H)を用いたこと以外は、前述の実施例9と同様にして顔料組成物(2)〜(8)を得た。
(実施例17)
PR254に代えてPR177(商品名「PALIOGEN RED L4039」、BASF社製)を用いたこと以外は、前述の実施例9と同様にして顔料組成物(9)を得た。
(実施例18〜24)
顔料分散剤(A)に代えて顔料分散剤(B)〜(H)を用いたこと以外は、前述の実施例17と同様にして顔料組成物(10)〜(16)を得た。
顔料組成物(1)〜(16)を調製する際に用いた顔料と顔料分散剤の組み合わせを表2に示す。
Figure 0006392724
<顔料分散液(カラーフィルター(CF)用顔料着色剤)の調製>
(実施例25)
メタクリル酸/ベンジルアクリレート/スチレン/ヒドロキシエルアクリレートを、25/50/15/10のモル比で共重合させて得た、平均分子量が12,000、固形分濃度が40%のアクリル樹脂ワニスを使用し、以下に示す方法に従って顔料分散液を調製した。上記のアクリル樹脂ワニス50部、顔料組成物(1)20部、酸性の高分子顔料分散剤(商品名「DISPERBYK−110」、ビックケミー社製、固形分52%)15.4部、及び溶剤としてプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート20部を混合し、プレミキシングした後、横型ビーズミルを使用して分散処理してCF用顔料着色剤(実施例25)を得た。
(実施例26〜40)
顔料組成物(1)に代えて顔料組成物(2)〜(16)を用いたこと以外は、前述の実施例25と同様にしてCF用顔料着色剤(実施例26〜40)を得た。
(比較例1)
顔料分散剤(A)を使用しないこと以外は、前述の実施例9と同様にして、顔料分散剤で処理していないPR254を含有する組成物を得た。そして、顔料組成物(1)に代えて、上記で得たPR254を含有する組成物を用いたこと以外は、前述の実施例25と同様にしてCF用顔料着色剤(比較例1)を得た。
(比較例2)
顔料分散剤(A)に代えて、特許文献1に記載された下記式(I)で表される顔料分散剤(I)を用いたこと以外は、前述の実施例9と同様にして顔料組成物(17)を得た。そして、顔料組成物(1)に代えて、上記で得た顔料組成物(17)を用いたこと以外は、前述の実施例25と同様にしてCF用顔料着色剤(比較例2)を得た。
Figure 0006392724
(比較例3)
顔料分散剤(A)を使用しないこと以外は、前述の実施例17と同様にして、顔料分散剤で処理していないPR177を含有する組成物を得た。そして、顔料組成物(1)に代えて、上記で得たPR177を含有する組成物を用いたこと以外は、前述の実施例25と同様にしてCF用顔料着色剤(比較例3)を得た。
(比較例4)
顔料分散剤(A)に代えて、特許文献2に記載された下記式(J)で表される顔料分散剤(J)を用いたこと以外は、前述の実施例17と同様にして顔料組成物(18)を得た。そして、顔料組成物(1)に代えて、上記で得た顔料組成物(18)を用いたこと以外は、前述の実施例25と同様にしてCF用顔料着色剤(比較例4)を得た。
Figure 0006392724
<評価>
実施例25〜40及び比較例1〜4の各CF用顔料着色剤について、(1)流動性(貯蔵安定性)、(2)展色面のグロス、(3)塗膜中の異物、及び(4)コントラストを評価した。それぞれの評価方法を以下に示す。また、評価結果を表3に示す。
(1)流動性(貯蔵安定性)
E型粘度計を使用し、調製直後(初期)と、25℃で1ヶ月間放置した後(放置後)のCF用顔料着色剤の粘度(mPa・s)をそれぞれ測定して流動性の評価基準とした。なお、測定条件は、温度:室温(25℃)、ローターの回転数:6rpmとした。また、「放置後粘度/初期粘度(%)」を算出するとともに、得られた算出値を用い、以下に示す基準に従って「貯蔵安定性」を評価した。
○:「放置後粘度/初期粘度」が110%以下
×:「放置後粘度/初期粘度」が110%超
(2)展色面のグロス
バーコーター(巻線の太さ0.45mm)を使用して、CF用顔料着色剤をポリプロピレンフィルムに展色して展色面を形成した。形成された展色面のグロスを、目視観察、及びグロスメーターを使用して観察し、以下に示す基準に従って「展色面のグロス」を評価した。なお、展色面のグロスが高いものほど良好であると判定することができる。
◎:非常に良好
○:良好
×:不良
(3)塗膜中の異物
スピンナーを使用してCF用顔料着色剤をガラス基板に塗布し、90℃で2分間乾燥後、270℃で30分間加熱して塗膜を形成した。顕微鏡を使用し、形成された塗膜の表面(塗布面)を200倍で観察して異物の有無を確認し、以下に示す基準に従って「塗膜中の異物」を評価した。
◎:異物なし
○:わずかに異物あり
×:異物あり
(4)コントラスト
スピンナーを使用してCF用顔料着色剤をガラス基板に塗布し、90℃で2分間乾燥後、230℃で30分間加熱して塗膜を形成した。また、スピンナーの速度を変えて3枚の塗膜を形成した。コントラストメーター(アイシステム社製)を使用して形成した塗膜の明輝度及び暗輝度を測定し、コントラスト(明輝度/暗輝度)を算出した。さらに、分光光度計(商品名「U−2000A」、日立製作所社製)を使用して塗膜を測色し、色度xを測定した。色度xに対してコントラストをプロットして作成したグラフに近似直線を引き、色度x=0.650のコントラストを読み取った。比較例2のコントラスト又は比較例4のコントラストを「100%」として、各実施例及び比較例のコントラスト比(%)を算出した。そして、得られた算出値を用い、以下に示す基準に従って「コントラスト」を評価した。
◎:110%以上
○:90%以上110%未満
×:90%未満
Figure 0006392724
表3に示すように、実施例のCF用顔料着色剤は、比較例のCF用顔料着色剤と比較して、粘度が低く、貯蔵安定性が良好であり、展色面のグロスが良好であり、塗膜中に異物が発生せず、かつ、高コントラストであることが分かる。以上より、実施例の顔料分散剤が優れた効果を有することが明らかである。
さらに、実施例の顔料組成物を、オフセットインキなどの印刷インキ;ニトロセルロースラッカー、メラミンアルキッド塗料などの各種塗料;塩化ビニール樹脂などの合成樹脂の着色剤などに使用した。その結果、いずれの場合にも顔料は凝集せず、良好な分散性を示した。また、最近、高分散性であることが特に要求されている電子写真用乾式又は湿式トナー、インクジェット記録用インキ、熱転写記録用インキ、筆記具用インキなどの調製に実施例の顔料分散剤を用いた。その結果、いずれの場合にも優れた分散性を示した。
本発明の顔料分散剤は、印刷インキ(オフセットインキ、グラビアインキなど)、各種塗料、プラスチック、顔料捺染剤、電子写真用乾式又は湿式トナー、インクジェット記録用インキ、熱転写記録用インキ、カラーフィルター用レジスト、筆記具用インキなどに配合される分散剤として有用であり、その利用が期待される。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物である顔料分散剤。
    Figure 0006392724
    (前記一般式(1)中、Xは、下記式(X−1)又は(X−2)で表される基を示し、Yは、下記式(Y−1)又は(Y−2)で表される基を示し、Mは、金属原子を示し、nは0.2〜4の数を示す)
    Figure 0006392724
    (前記式(X−1)及び(X−2)中、*は、前記一般式(1)中のN=N−との結合位置を示し、前記式(Y−1)及び(Y−2)中、*は、前記一般式(1)中のO 2 S−との結合位置を示す)
  2. 顔料と、請求項1に記載の顔料分散剤と、を含有する顔料組成物。
  3. 前記顔料100質量部に対する、前記顔料分散剤の配合量が、0.5〜40質量部である請求項に記載の顔料組成物。
  4. 請求項又はに記載の顔料組成物と、皮膜形成材料と、を含有する顔料着色剤。
  5. 画像表示用、画像記録用、印刷インキ用、筆記用インキ用、プラスチック用、顔料捺染用、又は塗料用である請求項に記載の顔料着色剤。
  6. カラーフィルター用である請求項に記載の顔料着色剤。
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