JP6391326B2 - 電解コンデンサ用電解質、これを用いた電解液および電解コンデンサ - Google Patents
電解コンデンサ用電解質、これを用いた電解液および電解コンデンサ Download PDFInfo
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Description
即ち、本発明は、コンデンサ素子内に固体電解質層(J)が形成された電解コンデンサにおいて、前記固体電解質層(J)の隙間に含浸される電解コンデンサ用電解質(A)であって、前記電解質(A)が塩基性化合物(B)のカチオン(b)と酸性化合物(C)のアニオン(c)の塩であり、前記塩基性化合物(B)の共役酸のpKaが14.0以下であり、かつ、前記塩基性化合物(B)の沸点が90℃以上である電解コンデンサ用電解質(A);該電解コンデンサ用電解質(A)を含有する電解コンデンサ用電解液(E);該電解コンデンサ用電解質(A)または該電解液(E)が含浸されてなる電解コンデンサ用電解質層(K);該電解コンデンサ用電解質層(K)が形成された電解コンデンサである。
(B)の共役酸、すなわちカチオン(b)のpKaが14.0を超える場合は、電解質層(K)の導電性が低下し、電解コンデンサのESRが上昇する不具合が生じる。
(B)の沸点が90℃未満の場合は、コンデンサのリフロー条件下での(A)の揮発による膨れにより、電解コンデンサの耐熱性が低下する不具合が生じる。
rは好ましくは1〜40であり、より好ましくは1〜6であり、特に好ましくは1〜2である。rが40を超えると粘度が高くなり、取扱いが困難になる。rが2以上の場合はnは同一でも異なっていてもよい。
(1)アンモニア、脂肪族アミン類
(i)脂肪族モノアミン(好ましくは炭素数1〜48、官能基数1);
モノメチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン等の1級アミン;ジメチルアミン、メチルブチルアミン、メチルラウリルアミン、ジステアリルアミン等の2級アミン等;
(ii)脂肪族ポリアミン(好ましくは炭素数2〜18、官能基数2〜7);
エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の炭素数2〜6のアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリアルキレン(炭素数2〜6)ポリアミン等;
(iii)(ii)のアルキル(炭素数1〜4)又はヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)置換体;
ジアルキル(炭素数1〜3)アミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミン等;
(iv)脂環又は複素環含有脂肪族ポリアミン;
3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等;
(v)芳香環含有脂肪族アミン類(炭素数8〜15)
キシリレンジアミン等;
(i)脂環式モノアミン(好ましくは炭素数6〜48、官能基数1);
シクロヘキシルアミン等;
(ii)脂環式ポリアミン(炭素数6〜15、官能基数2〜3);
1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4´−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)等;
(3)複素環式アミン類(好ましくは炭素数4〜15、官能基数1〜3);
ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン等;
(4)芳香族アミン類(好ましくは炭素数6〜20、官能基数1〜3);
(i)非置換芳香族アミン
アニリン等のモノアミン;1,2−、1,3−及び1,4−フェニレンジアミン、2,4´−及び4,4´−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4´,4”−トリアミン、ナフチレンジアミン等のポリアミン等;
2,4−及び2,6−トリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタン、4,4´−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−2,5−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、3,3´−ジエチル−2,2´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノジフェニルエーテル等、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、及びこれらの異性体の種々の割合の混合物等;
4,4´−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼン等;
(5)ポリアミドポリアミン;
ジカルボン酸(ダイマー酸等)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン類(官能基数2〜7の上記アルキレンジアミン,ポリアルキレンポリアミン等)との縮合により得られるポリアミドポリアミン等;
(6)ポリエーテルポリアミン;
ポリエーテルポリオールのシアノエチル化物の水素化物等;
(7)エポキシ付加ポリアミン;
エポキシ化合物並びにモノエポキシド1モルをポリアミン類(上記アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミン等)に1〜30モル付加させることによって得られるエポキシ付加ポリアミン等;
アクリロニトリルとポリアミン類(上記アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミン等)との付加反応により得られるシアノエチル化ポリアミン、(ビスシアノエチルジエチレントリアミン等)等;
(9)マンニッヒ化ポリアミン;
フェノール類(フェノール、ノニルフェノール、トリス(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール等)とポリアミン類(官能基数2〜7の上記脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン等)のホルムアルデヒド縮合物等;
(10)その他のポリアミノ化合物;
(i)ヒドラジン類(ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン等);
(ii)ジヒドラジッド類(コハク酸ジヒドラジッド,アジピン酸ジヒドラジッド,イソフタル酸ジヒドラジッド,テレフタル酸ジヒドラジッド等);
(iii)グアニジン類(ブチルグアニジン,1,1,3,3−テトラメチルグアニジン等);
(iv)ジシアンジアミド等;
並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらの中で好ましいのは(1)の脂肪族アミン類および脂環式アミン類であり、より好ましくは脂肪族モノアミンおよび脂環式モノアミンである。また、アルキル基部分は直鎖状でも分岐状でもよい。
アミンとしては、L1−(H)rとして表現することができ、L1は前記一般式(2)におけるL1と同じものが挙げられる。
全アミン価とは1g中のアミンを中和するのに要する過塩素酸と等量の水酸化カリウムのmg数であり、サンプル中に含まれるアミンの含有量を表わす。測定方法は次の通りである。
ガラス瓶にサンプルを精秤する。サンプリング量は、予想全アミン価が0.5未満のときは7g、0.5以上2未満のときは4.5g、2以上のときは、2g又はそれ以下である。サンプリング後、酢酸50mLを加えて試料を溶解する。N/100過塩素酸標準溶
液にて電位差滴定を行う。同時に空試験も行う。
全アミン価=(K‘−B‘)×Y’×0.5611/Z
K‘:本試験に要したN/100過塩素酸標準溶液の滴定ml数
B‘:空試験に要したNN/100過塩素酸標準溶液の滴定ml数
Y‘:N/100過塩素酸標準溶液の力価
Z‘:試料採取量(g)
炭素数2〜15の2〜4価のポリカルボン酸:脂肪族ポリカルボン酸[飽和ポリカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、1,6−デカンジカルボン酸等)、不飽和ポリカルボン酸(マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等)]、芳香族ポリカルボン酸[フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等]、硫黄含有ポリカルボン酸[チオジプロピオン酸等]。
炭素数2〜20のオキシカルボン酸:脂肪族オキシカルボン酸[グリコール酸、乳酸、酒酪酸、ひまし油脂肪酸等];芳香族オキシカルボン酸[サリチル酸、マンデル酸等];
炭素数1〜30のモノカルボン酸:脂肪族モノカルボン酸[飽和モノカルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウラリル酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等)、不飽和モノカルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸等)];芳香族モノカルボン酸[安息香酸、ケイ皮酸、ナフトエ酸等]
アルキルリン酸エステルとしては、モノアルキルリン酸エステル(C21)及びジアルキルリン酸エステル(C22)が含まれる 。
モノメチルリン酸エステル、モノエチルリン酸エステル、モノプロピルリン酸エステル[モノ(n−プロピル)リン酸エステル、モノ(iso−プロピル)リン酸エステル]、モノブチルリン酸エステル[モノ(n−ブチル)リン酸エステル、モノ(iso−ブチル)リン酸エステル、及びモノ(tert−ブチル)リン酸エステル]、モノペンチルリン酸エステル、モノヘキシルリン酸エステル、モノへプチルリン酸エステル、モノオクチルリン酸エステル[モノ(2−エチルヘキシル)リン酸エステル等]等。
ジメチルリン酸エステル、ジエチルリン酸エステル、ジプロピルリン酸エステル[ジ(n−プロピル)リン酸エステル、ジ(iso−プロピル)リン酸エステル]、ジブチルリン酸エステル[ジ(n−ブチル)リン酸エステル、ジ(iso−ブチル)リン酸エステル、及びジ(tert−ブチル)リン酸エステル]、ジペンチルリン酸エステル、ジヘキシルリン酸エステル、ジヘプチルリン酸エステル、ジオクチルリン酸エステル[ビス(2−エチルヘキシル)リン酸エステル等]等。
アルキル(炭素数1〜15)ベンゼンスルホン酸(p−トルエンスルホン酸、ノニルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等)、スルホサリチル酸、メタンスルホン酸、三フッ化メタンスルホン酸等。
リン酸、四フッ化ホウ素酸、過塩素酸、六フッ化リン酸、六フッ化アンチモン酸、六フッ化ヒ素酸等
その他(C5)三フッ化メタンスルホニルイミド、三フッ化メタンスルホニルメチド等。
1価アルコール(メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、ベンジルアルコール、モノエタノールアミン、フルフリルアルコールなど)、2価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエタノールアミンなど)、3価アルコール(グリセリン、トリエタノールアミンなど)、4価以上のアルコール(ヘキシトールなど)等。
モノエーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン等)、ジエーテル(エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等)、トリエーテル(ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等)等。
アセトアミド(N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等)、プロピオンアミド(N,N−ジメチルプロピオンアミド等)、ピロリドン(N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等)、ヘキサメチルホスホリルアミド等。
N−メチル−2−オキサゾリジノン、3,5−ジメチル−2−オキサゾリジノン等。
γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等。
アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル、ベンゾニトリル等。
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等。
スルホラン、ジメチルスルホン等。
ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、芳香族溶媒(トルエン、キシレン等)、パラフィン溶媒(ノルマルパラフィン、イソパラフィン等)等。
アミジニウムカチオン(b1)としては、イミダゾリニウムカチオン(b11)およびイミダゾリウムカチオン(b12)等が含まれる。
1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2,4−ジエチルイミダゾリニウム、1,2−ジメチル−3,4−ジエチルイミダゾリニウム、及び1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム等。
1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−エチルイミダゾリウム、及び1−エチル−2,3−ジメチル−イミダゾリウム等。
テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、スピロ−(1,1’)−ビピロリジニウム及びスピロ−(1,1’)−ビピペリジニウム等。
メチルアンモニウム、エチルアンモニウム、プロピルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、エチレンジアンモニウム、エチレンジアミンモノアンモニウム、1,2−ジアンモニウムプロパン及び1,2−ジアミノプロパンモノアンモニウム等。
ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、メチルエチルアンモニウム、メチルプロピルアンモニウム、メチルイソプロピルアンモニウム、ジプロピルアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム、メチルホルミルメチルアンモニウム及びメチルホルミルエチルアンモニウム等。
トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、ジメチルプロピルアンモニウム、ジメチルイソプロピルアンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、メチルエチルプロピルアンモニウム、メチルエチルイソプロピルアンモニウム、ジプロピルメチルアンモニウム、ジイソプロピルメチルアンモニウム、ジメチルホルミルメチルアンモニウム、ジメチルホルミルエチルアンモニウム及びジエチルホルミルメチルアンモニウム等。
炭素数1〜4のアルキルを有するテトラアルキルホスホニウムカチオン{テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム及びトリエチルメチルホスホニウム等}等。
したがって、水を含有する場合、水の含有量は、電解液の重量に基づいて、好ましくは0〜10重量%、更に好ましくは0.05〜5重量%、特に好ましくは0.1〜4重量%である。なお、水分は、JIS K0113:2005の「8.カールフィッシャー滴定方法、8.1容量滴定方法」に準拠して測定される。
ドーパントとしては、例えば、無機酸(硫酸、硝酸、リン酸および縮合リン酸等)、ハロゲンイオン類(ヨウ素、臭素及び塩素等)、ハロゲン化物イオン類(テトラフロロホウ素及び過塩素酸等)、キノン化合物[クロラニル酸、p−クロラニル、p−ベンゾキノン、p−キノンジオキシム、ジクロロジシアノキノン(DDQ)、p−ナフトキノン、アントラキノン、クロロアントラキノン及びp−トルキノン等]、アルキル置換有機スルホン酸イオン類(メタンスルホン酸及びドデシルスルホン酸等)、環状スルホン酸イオン類(カンファースルホン酸イオン等)、アルキル置換又は無置換のベンゼンモノ又はジスルホン酸イオン類(ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸及びベンゼンジスルホン酸等)、スルホン酸基を1〜4個有するナフタレンスルホン酸のアルキル置換イオン類又は無置換イオン類(2−ナフタレンスルホン酸及び1,7−ナフタレンジスルホン酸等)、アントラセンスルホン酸イオン、アントラキノンスルホン酸イオン、アルキル置換又は無置換のビフェニルスルホン酸イオン類(アルキルビフェニルスルホン酸及びビフェニルジスルホン酸等)、置換又は無置換の芳香族高分子スルホン酸イオン類(ポリスチレンスルホン酸及びナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合体等)及び三酸化硫黄錯体等が挙げられる。
この電荷移動錯体が電子のキャリヤとして導電性を発現するため、ドーパントの濃度は高い方がよいが、過剰だと導電性が低下する。従って、ドーパントの使用量は、π共役系高分子化合物に対して5〜1000重量%が好ましく、更に好ましくは10〜800重量%である。
<製造例1>:ラウリルアミンEO8モル付加物(B2−1)の合成
撹拌及び温度調節機能の付いた2リットルのステンレス製オートクレーブに、ラウリルアミン(商品名:ファーミン20D、花王社製)185部(1.0モル)、水酸化カリウム(ナトリウム含量:300ppm)2.0部を投入し、混合系内を窒素で置換した。その後、減圧下(1〜5mmHg)、100℃にて1時間脱水を行った。次いで130℃にてエチレンオキシド352部(8.0モル)をゲージ圧が1〜3kgf/cm2となるように導入し、ラウリルアミンEO8モル付加物(B2−1)を得た。エチレンオキシド吹き込み開始から反応終了までの反応時間は12時間であった。(B2−1)の全アミン価は106.0であった。
撹拌及び温度調節機能の付いた2リットルのステンレス製オートクレーブに、シクロヘキシルアミン(東京化成工業(株)社製)99部(1.0モル)、水酸化カリウム(ナトリウム含量:300ppm)2.0部を投入し、混合系内を窒素で置換した。その後、減圧下(1〜5mmHg)、100℃にて1時間脱水を行った。次いで130℃にてエチレンオキシド88部(8.0モル)をゲージ圧が1〜3kgf/cm2となるように導入し、シクロヘキシルアミンEO2モル付加物(B2−2)を得た。エチレンオキシド吹き込み開始から反応終了までの反応時間は12時間であった。(B2−2)の全アミン価は307.0であった。
<実施例1>:フタル酸ラウリルアミンEO8モル付加物塩(A−1)の合成
フタル酸(東京化成工業(株)社製)35.84部をメタノール150部に分散させた分散液に製造例1で得られたラウリルアミンEO8モル付加物(B2−1)114.17部を滴下して、室温で3時間攪拌することで、フタル酸ラウリルアミンEO8モル付加物塩(A−1)のメタノール溶液を得た。得られた溶液を1.0kPa以下の減圧度で110℃で加熱蒸留し、溶媒のメタノールを除去することで、フタル酸ラウリルアミンEO8モル付加物塩(A−1)150.00部(収率100%)を得た。
フタル酸14.29部をメタノール150部に分散させた分散液に製造例2で得られたシクロヘキシルアミンEO2モル付加物(B2−2)15.72部を滴下して、室温で3時間攪拌することで、フタル酸シクロヘキシルアミンEO2モル付加物塩(A−2)のメタノール溶液を得た。得られた溶液を1.0kPa以下の減圧度で110℃で加熱蒸留し、溶媒のメタノールを除去することで、フタル酸シクロヘキシルアミンEO2モル付加物塩(A−2)30.00部(収率100%)を得た。
フタル酸19.83部をメタノール150部に分散させた分散液にピペリジン(東京化成工業(株)社製)(B3−1)10.17部を滴下して、室温で3時間攪拌することで、フタル酸ピペリジン塩(A−3)のメタノール溶液を得た。得られた溶液を1.0kPa以下の減圧度で110℃で加熱蒸留し、溶媒のメタノールを除去することで、フタル酸ピペリジン塩(A−3)30.00部(収率100%)を得た。
アゼライン酸(東京化成工業(株)社製)10.28部をメタノール150部に分散させた分散液に製造例2で得られたシクロヘキシルアミンEO2モル付加物(B2−2)19.72部を滴下して、室温で3時間攪拌することで、アゼライン酸シクロヘキシルアミンEO2モル付加物塩(A−4)のメタノール溶液を得た。得られた溶液を1.0kPa以下の減圧度で110℃で加熱蒸留し、溶媒のメタノールを除去することで、アゼライン酸シクロヘキシルアミンEO2モル付加物塩(A−4)30.00部(収率100%)を得た。
ジブチルリン酸エステル(商品名:DP−4、大八化学工業(株)社製)20.40部をメタノール150部に分散させた分散液に製造例2で得られたシクロヘキシルアミンEO2モル付加物(B2−2)19.60部を滴下して、室温で3時間攪拌することで、ジブチルリン酸エステルシクロヘキシルアミンEO2モル付加物塩(A−5)のメタノール溶液を得た。得られた溶液を1.0kPa以下の減圧度で110℃で加熱蒸留し、溶媒のメタノールを除去することで、ジブチルリン酸エステルシクロヘキシルアミンEO2モル付加物塩(A−5)40.00部(収率100%)を得た。
<比較例1>:フタル酸トリエチルアミン塩(F−1)の合成
フタル酸18.64部をメタノール150部に分散させた分散液にトリエチルアミン(東京化成工業(株)社製)11.36部を滴下して、室温で3時間攪拌することで、フタル酸トリエチルアミン塩(F−1)のメタノール溶液を得た。得られた溶液を1.0kPa以下の減圧度で110℃で加熱蒸留し、溶媒のメタノールを除去することで、フタル酸トリエチルアミン塩(F−1)30.00部(収率100%)を得た。
ジメチルカーボネート18.02部をメタノール6.33部に溶解させた溶液に2,4−ジメチルイミダゾリン9.81部を滴下して、120℃で15時間攪拌することで、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・メチルカーボネート塩のメタノール溶液を生成した。フタル酸16.61部を1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウムメチルカーボネート塩のメタノール溶液に加えることで塩交換反応を行い、フタル酸1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム塩(F−2)のメタノール溶液を得た。上記溶液を1.0kPa以下の減圧度で110℃で加熱蒸留し、溶媒のメタノールを除去することで、フタル酸1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム塩(F−2)28.33部(収率100%)を得た。
<実施例6〜12>
実施例1〜5で得られた電解質(A−1)〜(A−5)および有機溶媒(D)であるγブチロラクトン[和光純薬工業(株)社製]を表2に記載の通りの配合比率となるように配合し、電解液(E−1)〜(E−7)を得た。
<比較例3〜4>
比較例1〜2で得られた電解質(F−1)〜(F−2)および有機溶媒(D)であるγブチロラクトンを表2に記載の通りの配合比率となるように配合し、比較用電解液(E’−1)〜(E’−2)を得た。
<実施例13〜26、比較例5〜8>
実施例6〜12で得られた電解液(E−1)〜(E−7)および比較例3〜4で得られた比較用電解液(E’−1)〜(E’−2)を用いて、下記の方法でコンデンサ素子内に固体電解質層が形成されると共に、当該固体電解質層の隙間に電解液が含浸された電解コンデンサを作製して静電容量、ESR、耐電圧、漏れ電流および耐熱性を評価した。結果を表3〜4に示した。
巻取り型のアルミニウム電解コンデンサ素子(陽極化成皮膜電圧;100V、静電容量;8μF、サイズ;φ6.3mm×H5.8mm)を作成した。固体電解質組成物として、ポリチオフェンの水分散体として知られている、PEDOT/PSS(3,4―エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)をポリスチレンスルホン酸(PSS)水溶液中で重合してなる導電性ポリマー)の1.2重量%水分散体[商品名:CLEVIOS PH500、Heraeus社製]にコンデンサ素子を浸漬させ、引き上げた後、170℃で30分乾燥を行った。当該分散体の浸漬および乾燥をトータル3回繰り返すことにより、コンデンサ素子内に固体電解質層を形成した。
または、固体電解質用前駆体組成物として、ピロール[東京化成工業(株)社製]にコンデンサ素子を浸漬させ、引き上げた後、酸化剤である過硫酸アンモニウム[和光純薬工業(株)社製]の30重量%水溶液にコンデンサ素子を浸漬させ、化学重合法によりπ共役系高分子化合物の前駆体モノマーを重合させて、引き上げて水洗した後、170℃で30分乾燥を行うことにより、コンデンサ素子内に固体電解質層を形成した。
上記で得られた固体電解質層が形成されたコンデンサ素子を、実施例6〜12で得られた電解液および比較例3〜4の比較用電解液に室温で、5分間浸漬することにより、電解液が含浸された電解コンデンサ用電解質層を作製した。
(3)コンデンサ素子内に固体電解質層が形成されると共に、当該固体電解質層の隙間に電解液が含浸された電解コンデンサの作製
上記で得られた電解液が含浸されたコンデンサ素子をアルミニウム製ケースに収納し、その開口部を樹脂加硫のブチルゴムで封口することにより、コンデンサ素子内に固体電解質層が形成されると共に、当該固体電解質層の隙間に電解液が含浸された電解コンデンサを作製した。
<静電容量及びESRの評価>
上記で得られた電解コンデンサに、LCRハイテスタ[日置電機(株)製3532−50]を接続し、定電圧レベル0.4Vで周波数120Hzで静電容量を測定し、周波数100kHzでESRを測定した。結果を表3〜4に示す。
上記で得られた電解コンデンサに、直流電源装置[菊水電子工業(株)製PMC18−1A]で0.2mAの定電流モードで電圧を印加、自動昇圧し、放電により電圧が急落する直前の電圧を耐電圧とした。結果を表3〜4に示す。
上記で得られた電解コンデンサに、直流電源装置[菊水電子工業(株)製PMC18−1A]で6.3Vの定電圧モードで電流を印加した30秒後の電流を漏れ電流とした。結果を表3〜4に示す。
上記で得られた電解コンデンサを用いて、リフローTop温度255℃、230℃で30秒以上、200℃で70秒以上のリフロー条件下で耐熱評価を実施した。リフローは2回実施し、デジタルノギスでゴム膨れを測定しコンデンサの膨れとした。コンデンサの膨れが小さい程、電解コンデンサの耐熱性が良好であることを示す。結果を表3〜4に示す。
表3の結果から、本発明の電解液を使用した電解コンデンサ(実施例13〜19)は、比較例5〜6に比べて、同等の静電容量およびESRを有し、かつ耐電圧が高く、漏れ電流が低く、さらにリフロー条件下でのコンデンサの膨れが小さく耐熱性が高いことがわかった。
表4の結果から、本発明の電解液を使用した電解コンデンサ(実施例20〜26)は、比較例7〜8に比べて、同等の静電容量およびESRを有し、かつ耐電圧が高く、漏れ電流が低く、さらにリフロー条件下でのコンデンサの膨れが小さく耐熱性が高いことがわかった。
これは実施例13〜26では比較例5〜8と比べ、電解質の塩を構成する塩基性化合物の沸点が高いため、リフロー条件下で電解質の塩が分解した際に生じる塩基性化合物の揮発が抑制された結果、コンデンサの膨れが抑制され耐熱性が向上すると考えられる。また、塩基性化合物の沸点は構成分子の分子間力と密接に関係しており、塩基性化合物の沸点が高いことから分子間力が大きいため、電解液中の抵抗が上昇した結果、耐電圧が向上し、漏れ電流が抑制されると考えられる。さらに、電解質の塩を構成する塩基性化合物の共役酸、すなわちカチオンのpKaが小さいため、導電性高分子の脱ドープが抑制された結果、低いESRが維持されると考えられる。
Claims (6)
- コンデンサ素子内に固体電解質層(J)が形成された電解コンデンサにおいて、前記固体電解質層(J)の隙間に含浸される電解コンデンサ用電解質(A)であって、前記電解質(A)が塩基性化合物(B)のカチオン(b)と酸性化合物(C)のアニオン(c)の塩であり、前記塩基性化合物(B)の共役酸のpKaが14.0以下であり、かつ前記塩基性化合物(B)の沸点が90℃以上であり、前記塩基性化合物(B)が下記一般式(1)で表されるアンモニアのアルキレンオキシド付加物(B1)又は下記一般式(2)で表されるアミンのアルキレンオキシド付加物(B2)である電解コンデンサ用電解質(A)。
[式中、A1は炭素数2〜8のアルキレン基;mはA1Oの付加モル数を表し、1〜100の整数であり、mが2以上の場合のA1は同一でも異なっていてもよく、(A1O)m部分はランダム結合でもブロック結合でもよい。kは1または2である。kが2の場合はmは同一でも異なっていてもよい。Qはkが1の時は水素原子と炭素数1〜30である炭化水素基、または水素原子であり、kが2の時は水素原子である。]
[式中、L1はr個の活性水素を持つアミンから水素を除いた残基;A2は炭素数2〜8のアルキレン基;nはA2Oの付加モル数を表し、1〜100の整数であり、nが2以上の場合のA2は同一でも異なっていてもよく、(A2O)n部分はランダム結合でもブロック結合でもよい。rは1〜40の整数である。rが2以上の場合はnは同一でも異なっていてもよい。] - 一般式(1)または一般式(2)において、A1またはA2がエチレン基である請求項1に記載の電解質(A)。
- 前記固体電解質層(J)がπ共役系高分子化合物を含有する請求項1または2に記載の電解質(A)。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解コンデンサ用電解質(A)および有機溶媒(D)を含有する電解コンデンサ用電解液(E)。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解コンデンサ用電解質(A)または請求項4に記載の電解コンデンサ用電解液(E)が、前記固体電解質層(J)の隙間に含浸されてなる電解コンデンサ用電解質層(K)。
- コンデンサ素子内に、請求項5に記載の電解コンデンサ用電解質層(K)が形成された電解コンデンサ。
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