以下、実施の形態を図に基づいて詳説する。尚、同一あるいは類似する構成部材については同一あるいは類似する符号を用いて説明する。
[第1の実施の形態]
図1、図2に示すように、実施の形態の冷蔵庫1は、冷蔵庫本体であるキャビネット11を備えている。キャビネット11は、上段から冷蔵室12、野菜室13、庫内設定温度を切り換えることができる切替室14、冷凍室15より構成されている。また切替室14の左側には製氷室16が設けられている。
図1〜図3に示すように、冷蔵室12の前面開口部を覆うために、左右一対の左扉21、右扉22がそれぞれ左端部、右端部の上下をヒンジ部にて観音開き式に開閉するように取り付けられている。また、野菜室13、切替室14、冷凍室15、製氷室16には引出し式の扉23,24,25,26それぞれが設けられている。尚、野菜室13の背面には、図示していないが、冷蔵室12と野菜室13とを冷却するための冷蔵用蒸発器が配され、切替室14及び冷凍室15の背面には、同じく図示していないが、切替室14、冷凍室15、製氷室16を冷却するための冷凍用蒸発器が配されている。さらに、野菜室13の背面には、この冷蔵庫1を制御するためのマイクロコンピュータより成る制御部56も配されている。
左扉21、右扉22は共に、前面に開口する扁平な内板の開口部に着色透明のガラス製の前面板21A,22Aを取り付け、かつ内部空洞部に真空断熱材を配置し、真空断熱材で埋めきれない空洞部に発泡ポリウレタン断熱材(以下、単にウレタン断熱材とも記載する)あるいは予め成型された固体断熱材(例えばEPC)を配置した構造である。前面板21A,22Aの着色度は、外光を受けた状態で外から前面板21A,22Aの裏側の断熱材等の充填物が見えない濃さである。しかも、後述する操作ボタン名、冷却機能名、冷却強度等を透過表示するLED表示灯、温度値等の変化する数値を透過表示する7セグメントLED表示装置の点灯状態で光が透過して表側から見える濃さでもある。なお、7セグメントLEDに限定されることなく、LCDやELであっても良い。
左扉21の右端部、つまり、閉状態で右扉22の左端部に近接して対向する開放側の部分には、扉閉状態で、右扉22の左端部、つまり、開放側の部分とのシール状態を保持するための回転仕切り体31が設けられている。この回転仕切り体31の内部には、結露を防止するための結露防止ヒータが内蔵されている。
右扉22の前面板22Aの裏側には、前面板22Aの表からのタッチ操作により冷蔵庫を操作するための静電容量式の制御操作部50が設置されている。この制御操作部50には、冷蔵庫周囲の環境状態を検出ための赤外線受光部、ホームボタン、このホームボタンへのタッチを検知し、操作ボタン名、冷却機能名、冷却強度等を透過表示するLED表示灯、温度値等の変化する数値を透過表示する7セグメントLED表示装置等が設けられている。
左扉21の前面板21A、右扉22の前面板22Aの下辺近傍の裏面側それぞれに左右横方向に細長い開扉操作部51,52が設置されている。そして前面板21A,22Aの表面には開扉操作部であることまた開扉操作方向を示す開扉操作表示部51A,52Aが設けられている。ここでは、左扉21の開扉操作表示部51Aは左方向に指をタッチしたままスライドさせて開扉操作することを認識させる左向きの矢印マークが設けてある。右扉22の開扉操作表示部52Aは右方向に指をタッチしたままスライドさせて開扉操作することを認識させる右向きの矢印マークが設けてある。
キャビネット11の天板上面の前端近傍の左右2箇所それぞれ、左扉21、右扉22それぞれの上辺の開放側端部近傍に対応する位置それぞれに、開扉駆動部54,55それぞれが設置してある。これらの開扉駆動部54,55は電磁石によりプランジャ54A,55Aを前方に押し出すことによって左扉21、右扉22それぞれの開放側端部近傍の上辺を前方に押し出してそれぞれの扉を自動開放することができる。そして詳しくは後述するが、左扉21を開扉するためには左扉開扉操作表示部51Aの右端あるいは右端近くの矢印マークにタッチしたまま左方向に指をスライドさせれば、開扉操作部51がその連続的なタッチを感知してタッチ検知信号を制御部56に送り、制御部56では開扉操作指令であると判断すれば左扉21の開扉駆動部54を動作させ、左扉21を自動開扉する。一方、右扉22を開扉するためには右扉開扉操作表示部52Aの左端あるいは左端近くの矢印マークにタッチしたまま右方向に指をスライドさせれば、開扉操作部52がその連続的なタッチを感知してタッチ検知信号を制御部56に送り、制御部56では開扉操作指令であると判断すれば右扉22の開扉駆動部55を動作させ、右扉22を自動開扉する。
尚、本実施の形態の冷蔵庫における制御部56の行う冷却制御は一般的なものであり、特に限定されるものではないが、例えば、圧縮機、操作パネル、結露防止ヒータ、製氷室内部の製氷装置、冷蔵室ファン、冷凍室ファン、除霜ヒータがこの制御部56に接続され、制御される。
開扉操作表示部51A,52Aにおける矢印マークはこの表示に限定されるものではなく、そこにタッチして右方向あるいは左方向にスライドさせれば開扉操作になることが容易に認識できる表示であればマークの形状や形態は限定されない。
左扉21、右扉22において、開扉操作表示部51A,52Aそれぞれよりも下側の下端面部分には手のひらを上向きにして指を差し入れ、手前側に引く操作によって左扉21、右扉22それぞれを個別に手動開扉できるように把手61,62が設置してある。
次に、上記実施の形態の冷蔵庫における自動開扉動作について説明する。図4に示すように、開扉操作部51,52それぞれには、開扉操作表示部51A,52Aの左右横方向に5つ並べられた矢印マークそれぞれに前面板21A,22Aを挟んで対向するように静電容量式タッチセンサ51−1〜51−5,52−1〜52−5が列設されている。これらの静電容量式タッチセンサ51−1〜51−5,52−1〜52−5は、それぞれユーザのタッチによる静電容量変化を検知してタッチ検知信号を制御部56に送信するように設定してある。
そこで、ユーザが右扉22を開こうとして開扉操作表示部52Aの部分において左端の矢印マークに指をタッチし、タッチしたまま右方向にその指をスライドさせると、静電容量式タッチセンサ52−1〜52−5のうち静電容量の変化を検知したセンサそれぞれがタッチ検知信号をタッチの順に制御部56に送信する。そこで、制御部56は、図5のフローチャートの論理により開扉操作であるか否かを判断し、正規の開扉操作と判断すれば右扉の開扉駆動部55に開扉駆動信号を出力して右扉22を自動開扉させる。尚、左扉21の開扉操作の場合には、左扉21の開扉操作表示部51Aに対して右端若しくは右端近くの矢印マークにタッチしたまま左方向に指をスライドさせる操作に対して、同様の左扉21の開扉操作を判断する。
ここでの開扉判断の論理は次の通りである。左右のそれぞれ5つのセンサのうち少なくとも3つのセンサが所定時間(例えば、0.5秒あるいは1秒)内に、かつ、並び順にタッチ検知した場合に開扉操作であると判断して該当する扉を自動開扉するというものである。ここでは、右扉22の開扉操作について説明する。
右扉22の開扉操作表示部52Aの矢印マークのいずれか1つにタッチされると、開扉操作部52側の該当する静電容量式タッチセンサ(通常は左端若しくは左端近くの矢印マークにタッチされるので、ここでは左端のセンサ52−1とする)がタッチ検知してタッチ検知信号を制御部56に送信する。制御部56はこの信号を受信して開扉操作の判断処理をスタートする(ステップS0)。そしてまずタイマカウントを開始する(ステップS1)。
タイマがカウントアップするまでに続けて右隣り、右右隣りの静電容量式タッチセンサ52−2,52−3がタッチ検知して検知信号を送信すると、制御部56はそれらの信号を受信し、タッチされたセンサが右方向に連続する3つになり、左から右への右扉22の開扉操作方向としては順方向のスライド操作であると判断する。つまり、ステップS2でNO、ステップS3でYES、ステップS4でYES、ステップS5でYESの判断をする。この結果、制御部56は右扉22に対する正規の開扉操作であると判断して右扉の開扉駆動部55に対して開扉駆動指令を出力し、開扉駆動部54を動作させて右扉22を自動開扉する(ステップS6)。
尚、途中でスライドを止めてしまったり、スライドのスビードが遅かったり、スライドの長さが短かったりすれば、一定時間(例えば、0.5秒あるいは1秒)の内に3つ以上の矢印マークが順方向にタッチされたことを判断することができないので、この開扉操作の判断処理はいったん停止し、次のタッチ検知を待つことになる(ステップS2でNOに分岐してステップS7にジャンプして判断処理をストップする)。また、開扉操作表示部52Aにおいて右端側から左方向にスライド操作しても右扉は開扉されない(ステップS5でNOに分岐しステップS7にジャンプして判断処理をストップする)。
左扉21の開扉操作の判断処理も同様である。ただし、左扉21の場合、右扉22とは向きが逆であり、開扉操作表示部51Aにおける右端若しくは右端近くの矢印マークにタッチしてから左方向にスライドさせる場合に開扉操作と判断することになる。したがって、左端あるいはその近くの矢印マークから右方向にスライド操作しても左扉は開扉されない。
尚、上記の自動開扉制御では、制御部56が開扉操作を判断し、かつ、開扉駆動部54,55を駆動させる手順であったが、これに代えて、開扉操作部51,52の側にマイクロコンピュータを搭載させ、静電容量式タッチセンサ51−1〜51−5,52−1〜52−5がユーザのタッチによる静電容量変化を検知してタッチ検知信号をそのマイクロコンピュータに入力し、開扉操作部51,52において所定の時間内に一定方向のスライド操作があったと判断した時に、最終的に開扉操作ありと判断して左扉開扉あるいは右扉開扉の指令信号を制御部56に送信し、制御部56ではこの開扉指令を受信すると開扉駆動部54あるいは開扉駆動部55を開扉駆動させる手順を採用することもできる。
次に、図6、図7を用いて開扉操作部51,52の左扉21、右扉22それぞれへの組み込み方について説明する。尚、以下では、右扉22の開扉操作部52について述べるが、左扉21の開扉操作部51についても同様である。
まず、開扉操作部52は、W方向が短くL方向が長い細長い基板52Pの上に静電容量式タッチセンサ52−1〜52−5を長手方向L方向に並ぶように列設した構造である。そしてこの開扉操作部52をその長手方向L方向を左右方向にして前面板22Aの背面に密着する姿勢で右扉22の下端内部に設置する。
そこで、右扉22の下端部の左端近くに、下側に開口する操作部設置空間64が形成してある。この操作部設置空間64は、開扉操作部52の長手方向Lの長さよりも少しだけ左右横方向の幅が長くしてあり、開扉操作部52をその長手方向Lを横向きにした状態で下面開口部から上向きにスライド挿入できるようにしてある。そして開扉操作部52をその長手方向Lを左右方向に合わせた姿勢のまま操作部設置空間64にその下面開口部から上向きに挿入し、操作部設置空間64の上端に達するまでスライドさせて固定する。そして開扉操作部52を前面板22Aの背面に密着させた状態でテープなどで仮止めする。その後、右扉22の内部空洞部に断熱材22Bとして液状ウレタンを注入して発泡、固化させることにより操作部設置空間64内にこの開扉操作部52を固定する。左扉21に対する開扉操作部51についても同様の手順で取り付ける。
このような設置手順を採用することにより、特に開扉操作部51,52は左右横方向L方向に長く、上下方向W方向には短くなる姿勢で操作部設置空間64に設置、固定されるので、長手方向L方向で片浮きして、右側の静電容量式タッチセンサ52−5が前面板22Aの背面に密着していても左側の静電容量式タッチセンサ52−1が前面板22Aの背面に密着せずに浮いた状態で固定される、あるいは逆に左側の静電容量式タッチセンサ52−1が前面板22Aの背面に密着していても右側の静電容量式タッチセンサ52−5が前面板22Aの背面に密着せずに浮いた状態で固定される状態になるのを回避でき、図7に示すように左右横並びに列設されているすべての静電容量式タッチセンサ52−1〜52−5が前面板22Aの背面に等しく密着した状態で確実に固定できる。
[他の実施の形態]
冷蔵庫の最もシンプルな扉の構造としては、冷蔵室の前方に左開き若しくは右開きの片開き1枚の扉を配置し、この扉の構造として、断熱性の扉本体の前面に着色透明の非導電性の前面板を取り付け、冷蔵庫の冷却制御内容を変更する操作をするための制御操作部と開扉装置の開扉動作を操作するための開扉操作部を設ける構成にすることもできる。すなわち、図1〜図3に示した右扉22の構成を1枚扉に備えさせた構成にすることもできる(第2の実施の形態)。
また、制御操作部50、開扉操作部51,52は静電容量式のタッチセンサに限らず、感圧式センサ、赤外線センサ等の前面板21A,22Aの表面側に凹凸を作らずにユーザの操作に対して感応して該当する操作ができるものであれば限定されない(第3の実施の形態)。
また、制御操作部50と開扉操作部51,52とは異なる操作方法に対して操作入力に感応する設定が好ましい。例えば、制御操作部50であれば、該当箇所へのポイントタッチに感応して一つの操作入力を受け付けるが、開扉操作部51,52の場合には該当箇所を一定距離以上タッチしたままスライドさせなければ開扉操作入力と認識しない設定にすることができる(第4の実施の形態)。
また、開扉操作部51,52は指でタッチしてスライドさせる操作に代えて、複数箇所を所定の順にあるいは所定の方向に順にタッチする操作を検知するものとすることもできる(第5の実施の形態)。さらに、別の変更例として、開扉操作部は扉の下端部の代わりに、上端部に設けることも可能である(第6の実施の形態)。
さらに、他の実施の形態として、次のような変更例が可能である。図8に示すように、左右の扉21,22が観音開き式の冷蔵庫において、開扉操作部51,52に対する開扉操作表示部51A−1,52A−1を前面板21A,22Aの表面の地上から同じ高さ位置に設定し、左扉21の開扉操作表示部51A−1ではその左端近くから右端近くまでユーザが指をタッチしながらスライドさせれば左扉21を開扉させることができ、右扉22の開扉操作表示部52A−1でもその左端近くから右端近くまでユーザが指をタッチしながらスライドさせれば右扉22を開扉させることができる設定することができる。そしてこの場合には、図8に矢印A1に示すように左扉21の開扉操作表示部51A−1の左端近くから右扉22の開扉操作表示部52A−1の右端近くまで一方向に連続的に指をスライドさせる操作によって左右両扉21,22を同時に開放することができる(第7の実施の形態)。
また、図9に示すように、左右の扉21,22が観音開き式の冷蔵庫において、開扉操作部51,52に対する開扉操作表示部51A−2,52A−2を各扉21,22の前面板21A,22Aの開放端近くに設置し、各扉21,22の開放側とは反対方向へのスライド操作により各扉21,22それぞれを開扉できる設定にすることもできる。この場合、左扉21に対してはその右端が開放端であるので、開扉操作表示部51A−2はその右端側から左方向にスライドする表示にしている。また右扉22に対してはその左端が開放端であり、開扉操作表示部52A−2はその左端側から右方向にスライドする表示にしている。この設定にすることにより、開扉操作によって扉の開放端が開く方向にユーザは手指をスライドさせる操作になるので、ユーザの手指が開き始めた扉の開放端と干渉することが少なく、スムーズな開放操作が可能となる(第8の実施の形態)。
また、図10に示すように、冷蔵庫扉が片開きであっても、あるいは観音開き式の2枚扉であっても、その扉(ここでは扉22とする)の上下左右の四隅のいずれか近くに水平にあるいは垂直に、あるいは隅に向かって斜め方向に開扉操作部52を設置し、開扉操作表示部52A−3も扉22の前面板22Aのそれに対応する位置に設置し、かつ、開扉操作方向が当該扉の外側に向かう方向である場合に開扉動作する設定にすることができる(第9の実施の形態)。
例えば、図10(a)は扉22の開放端側の下端部において水平方向に開扉操作部52、開扉操作表示部52A−31を設置し、扉22の開放端側に向かい右方向にスライド操作することにより開扉できる設定例を示している。この変更例の場合、開扉操作部52、開扉操作表示部52A−31を扉22の開放端側の上端部に同様に設置することもできる。図10(b)は、扉22の開放端側の下端において垂直方向に開扉操作部52、開扉操作表示部52A−32を設置し、扉22の下端に向かい上から下にスライド操作することにより開扉できる設定例を示している。図10(c)は、扉22の開放端側の上端において垂直方向に開扉操作部52、開扉操作表示部52A−33を設置し、扉22の上端に向かい下から上にスライド操作することにより開扉できる設定例を示している。図10(d)は、扉22の回転ヒンジ端側の下端において垂直方向に開扉操作部52、開扉操作表示部52A−34を設置し、扉22の下端に向かい上から下にスライド操作することにより開扉できる設定例を示している。この変更例の場合、開扉操作部52、開扉操作表示部52A−31を扉22の回転ヒンジ端側の上端部に設置し、下から上にスライド操作することにより開扉する設定にすることもできる。さらに図10(e)は、扉22の四隅の1つ、開放端側の下隅部において斜め対角線方向に開扉操作部52、開扉操作表示部52A−35を設置し、扉22の下隅に向かい斜め上から斜め下にスライド操作することにより開扉できる設定例を示している。この変更例の場合、開扉操作部52、開扉操作表示部52A−35を扉22の四隅のうちの他の3つの隅のいずれかに設置し、各隅に向かい斜め下から上へ、また斜め上から下へスライド操作することにより開扉できる設定にすることもできる。
また、図11に示すように、冷蔵庫扉が片開きであっても、あるいは観音開きの2枚扉であっても、その扉22の前面板22Aの裏面側に設置する開扉操作部52に設ける静電容量タッチセンサ52−1〜52−5については、スライド操作方向A2とは異なる方向A3において隣り合うセンサ同士が一部オーバーラップする構成にすることができる。このセンサのオーバーラップ構成により、スライド操作時にタッチ不足がなくなり、隣り合うセンサ同士が同時にタッチされても静電容量の変化は面積の広いセンサの方で大きくなり、同時検知しなくなる効果がある(第10の実施の形態)。
また、図12、図13に示すように、冷蔵庫扉が片開きであっても、あるいは観音開き式の2枚扉であっても、その扉(ここでも扉22とする)に組み込む開扉操作部52は、スライド操作により開扉操作を検知するものであり、複数個のスライド検知用タッチセンサが円環状に若しくはマトリクス状に上下、左右に配設され、かつ、それらの複数個の電極が一定のパターンを描くようなスライド操作に対して開扉操作を検知するものとすることができる(第11の実施の形態)。
図12の例は、扉22に組み込む開扉操作部52における複数個のスライド検知用タッチセンサ52−1〜52−8を円環状に配置しており、このような開扉操作部52に対しては、円を描くように3つ以上の隣り合うタッチセンサが連続してタッチされると開扉動作するようにしている。したがって、矢印A4〜A6のいずれのスライド操作であっても、あるいはそれらとは逆方向のスライド操作であっても開扉動作できる。また図13の例は、扉22に組み込む開扉操作部52における複数個のスライド検知用の電極5211〜5244をマトリクス状に上下左右に配置しており、このような開扉操作部52に対しては、矢印A7〜A13に示すように3つ以上の上方向、下方向、あるいは斜め上方向、斜め下方向に隣り合う電極が連続してタッチされると開扉動作するようにしている。
さらに、図14に示すように、冷蔵庫扉が片開きであっても、あるいは観音開き式の2枚扉であっても(ここでは観音開き式を示している。)、その扉21,22の開扉操作部51,52はいずれも所定の一方向へのスライド操作による開扉操作を検知するものであり、左扉21にあってはその回転ヒンジ側から開放端側に向かい左から右にスライドされたときに開扉検知し、右扉22にあってもその回転ヒンジ側から開放端側に向かい逆に右から左にスライドされたときに開扉検知する構成である。この場合、開扉操作表示部51A,52Aそれぞれはスライド操作方向を示すために、それぞれ開放端に向かう矢印マークを施してある(第12の実施の形態)。この開放端に向かうスライド操作による開扉操作は、特にユーザが冷蔵庫の外側から冷蔵庫の中心部に来て開扉操作するのが通常であるので、その動線方向とスライド操作方向とが一致し、開扉操作しやすい効果がある。
さらに別の変更例として、次のような構成の可能である。人が冷蔵庫扉の前に立ったことを検知する人感検知手段(例えば赤外線センサ、人を認識するカメラ等)を扉に設け、その人感検知手段が人を検知した後に開扉操作をアクティブにする制御を制御部が行うようにしてもよい。これにより、水や静電気などで勝手に冷蔵庫扉が開くことを防ぐことができる(第13の実施の形態)。
さらに、冷蔵室12の前の回転式開き扉21,22ではなく、野菜室13や切替室14等の引出し式扉23,24等に冷蔵室扉21,22の開扉操作部51,52を設けることもできる(第14の実施の形態)。尚、この場合には、電気配線は、引出し式扉のスライドレールに沿って制御部56と接続することになる。
さらに、本発明の実施形態の冷蔵庫1は、以下に順次説明するように構成しても良い。
[第15の実施の形態]
図15に示すように、制御操作部(制御操作基板ともいう)50は、右扉22の縦方向の側面部である扉前面板を支持する扉の左右上下側面を構成する扉キャップに形成された挿入口50Vから収納部50R内に、G方向に挿入して収納することができる。開扉操作部(タッチオープン用スイッチ基板ともいう)52は、右扉22の縦方向の側面部の挿入口52Vから収納部52R内に、G方向に挿入して収納することができる。また、開扉操作部(タッチオープン用スイッチ基板)51は、左扉21の縦方向の側面部の挿入口51Vから収納部51R内に、H方向に挿入して収納することができる。
図15に示すように、把手(手掛け)61,62は、左扉21の下面部(下辺)と右扉22の下面部(下辺)にそれぞれ配置されており、把手61,62と開扉操作部51,52は、左扉21の下側の角部の位置と右扉22の下側の角部の位置にそれぞれ配置されていて扉の異なる辺に配置している。また開扉操作部51,52と把手61,62は、上下方向に異なる位置にあっても良い。
また上記右扉22は、後述する図19のように、例えば右扉22は、ガラス板である前面板22Aと内板22Kと扉キャップ72とで構成して、挿入口50Vを扉キャップ72に設けると良い。そして挿入口50Vと連続して扉キャップ72から前面板22Aの方向に延びるように収納部50Rを設け、その収納部50Rに基板を挿入するとよい。
なお収納部50Rの外側の前面板22Aと内板22Kと扉キャップ72との間の空間はウレタンなどの発泡断熱材や真空断熱材で埋めて断熱することが好ましい。
また挿入した制御操作部50や開扉操作部51は、挿入後後方から前面板22Aに押圧する弾性手段により前面板22Aに密着させてもよいが、横幅が長い基板である場合は(開扉操作部51など)は、直接前面板22Aの裏面に接着材等で接着させてもよい。そうすると操作感度を向上させることができる。
開扉操作部51,52の位置を示す矢印マークである開扉操作表示部51A,52Aは、LED51M,52Mを用いることができる。また、矢印マークとしては、ガラスに直接印刷したものでも良いし、フィルムに印刷したものをガラスの裏面に設けて光で見えるようにしてもよい。
図15に示す左扉21と右扉22を開けるための開扉操作部51,52は、静電スイッチを用いる。回転扉である左扉21と右扉22では、静電スイッチは電気配線を用いてキャビネット11側の制御部に対して電気的に接続できるので、温度差の比較的少ない冷蔵室の回転扉のために、開扉操作部51,52としては、静電スイッチを用いることができる。静電スイッチは、湿気に弱く温度差の少ない部分に用いる。
これに対して、引出し扉、例えば冷凍室15の引出し扉25を開けるための開扉操作部71や、引出し扉23を開けるための開扉操作部77は、ホールICのスイッチを用いる。引出し扉は、キャビネット11(冷蔵庫本体)から引き出して取り外すことができる構造であるので、電気配線を用いて開扉操作部77とキャビネット11側の制御部とを接続することができない。このため、例えば開扉操作部71,77としては、引出し扉にマグネットを配置して、引出し扉を押すとマグネットの位置が変わり、ホールICのスイッチが非接触でこのマグネットの位置が変わったことを検出できるようにする。このホールICからのマグネットの位置が変わったことを示す信号により、制御部は引出し扉を押し出す押し出し手段を操作させることで、引出し扉を開けることができる。
図19は、図15に示す右扉22の水平断面を示している。例えば右扉22は、ガラス板である前面板22Aと内板22Kと補強板71と扉キャップ72と、開扉操作部52の基板74を有している。この右扉22の内部には、断熱用のウレタン部材あるいは20mm厚の真空断熱材73が配置されている。基板74とガラス板22Gの隙間はゼロである。扉キャップ72がガラス板である前面板22Aの端部を覆って入る。ガラス板である前面板22Aは強化ガラスであるが、もしガラス板の端部がむき出し状態の場合には、ガラス板の露出している端部を保護するために、ガラス板の露出している端部にはC面カットを設ける。
そうすることで開扉操作部52を操作して自動的に扉が開放するため冷蔵庫の隣に配置している別のキッチン家具や、壁に前面板22Aの端部が接触する恐れがあるが端面が割れることを防止することができる。また前面板22Aの端部には接触することを防止するための端部を覆うことにより保護する防止手段を設けてもよい。また開扉操作部52の基板74は、前面板22Aの内面に対して隙間が無いように配置されている。なお、左右対称形状ではあるが、左扉21でも同様の構造である。また左右の開扉操作部52の基板の大きさは異ならせてもよい。例えば大きい扉側の基板を小さい扉の基板より大きくするとよい。
[第16の実施の形態]
図18に示すように、左扉21の内側の肉皿天井板の下端線の位置LLより下に、開扉操作部51を配置する。すなわち、図24は冷蔵庫本体の縦方向の断面を示している。図24に示すように、キャビネット11内では、冷却器からの冷気が通過する冷気ダクトが背面にあって、ダクトから扉側に向けて吹き出し口が設けられており図のように冷気が矢印方向に流れる。
キャビネット11には、肉皿99Tが配置されており、肉皿99Tの後ろ側には吹き出し口が設けられている。左扉21において、肉皿天井板の下端線の位置LLより下に、開扉操作部51を配置する。これにより、肉皿99Tを通過した冷気は、肉皿の前面を構成する前壁などの防風手段により左扉21内の開扉操作部51には到達しない。従って、冷気は、左扉21内の開扉操作部51(52)には到達しないので、開扉操作部51(52)が冷却されてしまって露付き現象を起こさない。
図24に示すように、肉皿99Tの上端より、ポケット枠の上端が上にある方が、冷気はドア背面に当たらない。これにより、開扉操作部51(52)を収容するために、開扉操作部51(52)の部分では断熱材が薄いことから結露しやすくなっている部分には、冷気が直接当たるのを防ぐことができる。従って、この露付きにより動作して信号を制御部に送ることが無く、開扉操作部51が不用意に動作して左扉21が勝手に開いてしまうのを防ぐことができる。このことは、図18に示す右扉22の開扉操作部52についても同様である。
またこの肉皿99Tはチルド室としても利用可能なものであって、扉と引き出し容器を有し、前方に引き出し操作することが可能である。このチルド室としては引き出し容器を収納可能な補強された収納ケースと扉とで密閉可能とする密閉空間により構成してもよく、この密閉収納空間内部の空間を減圧手段である真空ポンプで減圧する構成としてもよい。そうすることで肉皿99Tであって収納ケースの背面に設けられた冷気吹き出し口からの冷気を扉に直接到達させることを防止できるとともに吹き出し口の冷たい温度帯を密閉空間の減圧された断熱層により断熱することができ伝熱を防止することができる。この場合収納ケースで吹き出し口を覆うように設けるとよい。またこの密閉収納部の背面に設けられた吹き出し口からの冷気を風量調整手段であるダンパにより制御してもよく、露付きを防止するために庫内の温度を測定する温度センサにより温度が低くなったことを検知して、ダンパを閉塞して扉に冷気が当たりにくくするように制御するとよい。
さらには開扉操作部52を備える基板の後方には扉の内部に配置された真空断熱材が、基板と、肉皿99Tの後ろに配置される吹き出し口との間に配置されており、基板に結露させないように断熱することが良い。またこの基板は扉内部に形成される空気層を備える樹脂製の収納部に収納されており、この場合は特に結露がしやすくなるが、真空断熱材を備え、庫内の冷熱を断熱することにより結露を防止して扉が不意に開放されるご検知を防止することができる。またこの収納部の周囲には伝熱が優れた金属部材を配置することで外気の熱を収納部に伝え温めることで結露を防止させてもよい。
さらには右扉と左扉との間に配置しており片方の扉の開閉動作と連動して開閉する縦仕切りを備え、この縦仕切りの内部に熱源を収納してもよい。そしてこの基板や収納部を庫の熱源の近傍に配置することで熱を基板や収納部に伝えることができてより結露を防止することができる。この熱源は縦仕切りとともに上下方向に伸びており、基板または収納部の位置のヒータ密度を高めるなどして伝熱量を多くするとよい。そのヒータ密度はヒータ線を2重に配置したり、折り曲げて配置したり、縦仕切り内で基板側に熱が伝わるように良熱伝導性の金属(たとえばアルミニウム)をヒータから基板側に伸ばすように配置してもよい。
また、図18に示すキャビネット11内の吹出し口79Rの位置とは異なる位置に、開扉操作部51(52)を取り付けることにより、吹出し口79Rからの冷気は、左扉21内の開扉操作部51(52)には到達しないようにすることができる。従って、冷気は、左扉21内の開扉操作部51(52)には到達しないので、開扉操作部51(52)が冷却されてしまって露付き現象を起こさず、この露付きにより動作して信号を制御部に送ることが無く、開扉操作部51(52)が不用意に動作して左扉21(右扉22)が勝手に開いてしまうのを防ぐことができる。
[第17の実施の形態]
図16に示すように、制御操作部50と開扉操作部51は、左扉21において、1枚の基板99に配置することもできる。開扉操作部51(52)の検知部と検知信号処理部は、1枚の基板99で構成することができる。検知部と検知信号処理部は収納部50Rに一緒に収納する。マイクロコンピュータMCは同じ基板に配置するとよい。
制御操作部50と開扉操作部52は、右扉22において、別々の基板に配置することができ、制御操作部50とマイクロコンピュータMCが1枚の基板99Aに配置し、開扉操作部52は別基板の99Bに配置することもできる。これによりノイズが起こる可能性があるMCを別基板とすることで開扉操作部52が誤検知し勝手に扉が開くような誤動作を防止することができる。また収納部50Rを基板99Aと基板99Bとが別々に収納される区画した異なる収納部を有する場合には、基板99Bの電気信号線を別の場所の収納部(例えば基板99Aが収納された収納部)の制御手段(MC)に接続すればよい。特に別の場所の収納部から接続コネクタが予め基板99Bの収納部に伸びていて、基板99Bを収納部に収納したときに基板99Bの接続線と接続コネクタとをつなぐようにすると扉の組み立ての製造がしやすくなる。
なお、マイクロコンピュータMCは、同じ基板99B上でも、別の位置に配置された他の基板99Cに配置してもよい。そして基板99は、縦長形状でも横長形状でも良い。
図18に示す制御操作部50と開扉操作部51,52は、直接リード線では繋がないようにする。すなわち、制御操作部50と開扉操作部51,52は、別々の電気配線LA,LBを用いて、それぞれ制御部56の電源基板を介して繋ぐ。このようにするのは、制御操作部50から発生するノイズが、開扉操作部51,52の扉開閉動作を不用意に引き起こしてしまうことを、確実に防ぐためである。
図15に示す引出し扉23,24,25,26の把手(手掛け)は、各引出し扉の23,24,25,26の左または右側面部に配置することができる。把手(手掛け)は、引出し扉の前面部には配置されておらず、例えば引出し扉23の開扉操作部77と、引出し扉25の開扉操作部71が、それぞれ前面部に配置されているだけである。これにより、引出し扉の前面部には把手(手掛け)が無いことから、見栄えが良くなる。
[第18の実施の形態]
図17に示すように、右扉22では、制御操作部50と開扉操作部52の配置位置が、左右の横方向に関して異なっている。すなわち、制御操作部50は右扉22の右側面部寄りの位置にあり、開扉操作部52は右扉22の右側面部寄りの位置にある。これにより、制御操作部50は開扉操作部52の上側には配置されていないので、例えば、使用者が濡れた手でさわったりすることで制御操作部50から仮に水が垂れたとしても、この水が下部の開扉操作部52には掛からないようになっている。また、制御操作部50の収納部と開扉操作部52の収納部との間の距離Wbは、制御操作部50と開扉操作部52の間の距離Waに比べて小さく、距離Wbは最低限離間しなければならない距離である。
また制御操作部50は開扉操作部52の基板を収納する収納部は、上下方向にずらして、左右方向に重なるようにラップさせて配置してもよい。制御操作部50は開扉操作部52の基板も左右方向に重なるように配置してもよい。それぞれの基板上の静電容量式のスイッチSAとスイッチ52Aが重なっていなければ上方に配置された静電容量式SWから下方に配置された開扉操作部のスイッチに水が垂れることがない。そして収納部や基板をラップさせることでは扉の小さい面積の中で左右方向に重ねて配置することでレイアウトの自由度が増す。なおそれぞれの基板を左右方向に重ねて配置することは同じ収納部内に基板を配置した場合でも適用可能である。
開扉操作部51,52の電極は、制御操作部50の電極に比べて使用者が操作した場合の検出感度を異ならせてもよい。例えば開扉操作部51,52の電極の検出感度を制御操作部50の電極に比べて大きくすることで、開扉操作部51,52の操作感度を良くすることができる開扉操作部51,52の電極は、制御操作部50の電極の容量を異ならせてもよく、電極の面積を変更することで異ならせてもよい。開扉操作部51,52の電極は複数配置でなく、一つの電極により構成してもよい。
制御操作部50に対する操作と開扉操作部51,52に対する操作とは異なった操作方法を採用しているが、異なる操作方法としては、制御操作部50では、例えば0.5秒の長押し操作を行い、開扉操作部51,52では、例えば1秒の長押し操作をすることで操作の検知を行うようなことである。
[第19の実施の形態]
図21に示すように、制御操作部50のLEDは全部消灯していて、制御操作部50のどこかのスイッチを押すと、制御操作部50の複数のLEDあるいは全部のLEDが点灯する。このように点灯中は、その間、開扉操作部51,52のスイッチは操作を検知しても無効とする制御を有し、使用者の操作を受け付けず扉開放操作を無効にする構成とするとよい(有効であり操作できるようにしても良い)。点灯中は、その間、開扉操作部51,52のLEDはOFFであり点灯していない。そうでなく、制御操作部50のLEDが全部消灯中は、その間開扉操作部51,52のスイッチは有効であり操作できる(無効であり操作できないようにしても良い)。制御操作部50のLEDが全部消灯中は、間開扉操作部51,52のLEDはONであり点灯する。
上記のように制御スイッチが有効で間開扉操作部51,52を無効にする構成にすることで、制御操作部50を指で押しているときに不意に間開扉操作部51,52に肘が当たってしまい扉が不意に開放されることを防ぐ効果がある。
また制御スイッチのLEDが点灯し、間開扉操作部51,52のLEDを消灯する構成は、同時に点灯していると例えば子供が制御操作部50と間開扉操作部51,52を同時に押したくなる衝動に駆られ、扉が開放されてしまうことがあるが、この構成とすることで解決できる。
なお制御操作部50と開扉操作部51,52とも有効にして同時に押されたことを検知した場合であっても、開扉操作部51,52をすることを表示や音声などで報知することで注意を喚起することができる。
図17に示す制御操作部50の形の異なるスイッチSAとスイッチSBは、所定時間、同じ操作感度を同じにして同じ動作方法でONすることができる。同一操作方式のスイッチSAとスイッチSBが、基板の一面にある。また間開扉操作部51,52もスイッチSAと同一操作方式としてもよく、この構成とすることは各実施形態に採用可能である。
図18に示す制御操作部50の電気配線LAの束線と開扉操作部51,52の電気配線LBの束線とヒータ線は、一緒にまとめない。すなわち扉内ではそれぞれを離間させて配置しキャビネットに通じる扉ヒンジ箇所で近付けるようにするとよい。しかもAC線とDC線は、別々に束ねるとよい。これにより、ノイズを防止する。
図15に示す例えば右扉22の図19に示すガラス板である前面板22Aは、強化ガラスではあるが、補強板71を追加し、しかも飛散防止フィルムを配置しても良い。ガラス板22Aの端部を守るために、ガラス板22Aの端部を覆うようにキャップ72が配置されている。
しかし、図19と異なり、扉キャップがガラス板22Aの端部を覆っておらず、ガラス板22Gの端部がむき出し状態である場合には、ガラス板22Gの端部にカット面であるC面カットやR面を形成するとよい。ガラス板である前面板22Aは強化ガラスであるが、もしガラス板の端部がむき出し状態の場合には、ガラス板の端部を保護するために、ガラス板にはC面カットを設けることで開閉扉操作部を設けていることで不意に扉が開放されてしまった場合でも端部がどこかにあたって欠けることを防止することができる。なお、左右対称形状ではあるが、左扉21でも同様の構造である。
図17に示す開扉操作部51,52は、故障しないようにする必要があるので、図19に示すように、真空断熱材73を配置しており、この真空断熱材78の断熱厚みが20mm以上であり、縦仕切りで配置されているので、真空断熱材78には露が付かない。図示しないが、ヒータが開扉操作部51,52の付近に配置されており、開扉操作部51,52の裏に真空断熱材78を配置している。これにより、開扉操作部51,52が低温部からの影響により結露するのを回避する。
図17に示す制御操作部50のスイッチSA,SBは、操作感度を調整する機能を有し、感度や所定時間を変更する設定手段を有する。これにより、設定手段を用いることで、スイッチSA,SBまたは51A、51Bを操作した時の操作感度が異なるように設定できる。
[第20の実施の形態]
図20は、図15に示す例えば引出し扉23,25を示す平面図である。図15に示す例えば引出し扉23,25は、それぞれ開扉操作部77,71を有している。開扉操作部77,71の基板82は、引出し扉13,15の上面部から下向きに収納部81に挿入して収納できるように構成すると、引出し扉13,15の前面部には隙間が生じないのできれいであり、引出し扉13,15の前面部のガラス面の見栄えが良い。
図20の開扉操作部77,71は、基板82と電池83と、基板82を前面部の内面に押し付けるための弾性手段84を有しており、電池83は開扉操作部77,71に電源供給する。そうすると下記の電気配線を金属レールに沿って扉に案内する場合に比べてノイズが開扉操作部77,71に入り、勝手に扉が開放されることが防止できる。
図20の電池83に代えて、電源を別のところから電気配線を用いて取る電源式の場合には、電気配線を金属レールに沿って扉に案内し扉の開閉動作に応じて最大引き出し時の距離分の配線の長さを可動可能で変形可能に配置する構成とすると良い。
その場合引出し扉を案内する金属レールに沿ってノイズが電気配線に載る可能性があるため開扉操作部77,71に入る、または開扉操作部77,71から開放操作を指示するマイコンに入るノイズを除去するノイズ除去手段であるノイズフィルタを設けるとよい。また金属レールに沿って配置する電気配線の周囲に絶縁手段(ノイズ除去手段)を設け金属と直接接触させないことでノイズの除去をしてもよい(第21の実施の形態)
図16に示すように、ガラス板を有する引出し扉23,24,25,26の内、例えば引出し扉25は、引出し扉25のガラス製の前面部以外の箇所であって異なる素材の扉キャップ(例えば樹脂製)に、押しボタン100を備える。この樹脂製の押ボタン100を押すことにより、引出し扉15を開けることができる。
[第22の実施の形態]
図22は、引出し扉23(24,25,26)と冷蔵庫のキャビネット11を示す水平断面図であり、引出し扉23(24,25,26)と冷蔵庫のキャビネット11の間には、押圧部材120が配置されている。押圧部材120は、引出し扉23(24,25,26)と冷蔵庫のキャビネット11の間に隙間DHを設定している。使用者が、引出し扉23(24,25,26)を押圧部材120の力に抗して、矢印で示す押圧方向に押すことで、非接触の距離センサ130の発信部131が受信部132に近づく。これにより、距離センサ130は、距離を検知して、この検知した距離が、予め定めた距離よりも小さくなると、開扉操作部77(71)が制御部に指令をして、押出し手段により引出し扉を開けることができる。
図17に示すように、引出し扉23,24,25,26を開くための開扉操作部102,102,103,104が、例えば左扉22に配置されるようにしても良い。開扉操作部102,102,103,104は、引出し扉23,24,25,26の配置形状に合わせてデザインされている。これにより、使用者は、視覚的に把握し易く、姿勢を変えずに、必要な引出し扉を容易に開けることができる。
左扉21、右扉22、引出し扉23,24,25,26は、それらの前面部には把手(取っ手)を全く設けないようにして、オールフラットに形成することができる。
[第23の実施の形態]
図15に示すように、引出し扉23,24,25,26の間の隙間X、Yについては、隙間X>隙間Yになっている。すなわち、開扉操作部77を有する引出し扉23と開扉操作部72を有する引出し扉25の隙間Yは、開扉操作部の無い引出し扉24,26の隙間Xに比べて、小さく設定されている。つまり、把手140を有していて開扉操作部の無い引出し扉24,26の隙間Xは、手を入れるために、開扉操作部77を有する引出し扉23と開扉操作部72を有する引出し扉25の隙間Yに比べて大きく取っている。なお、開扉操作部77を有する引出し扉23と開扉操作部72を有する引出し扉25は、引出し扉の左右側面部に把手を設ければよい。この際、この把手は、ガラス板を支持しているキャップに凹部を設けることで形成できる。
ガラス板を有する引出し扉を開閉するために、図22に示す扉の変位量を検知する手段として、非接触の距離センサ130を用いるので、ガラス板を有する引出し扉を少し矢印方向に押せば、引出し扉を開けることができる。
図16に示すように、制御操作部50は、左扉22と右扉22の一方あるいは両方に配置することもできる。
[第24の実施の形態]
図23に示すように、左扉22と右扉22のガラス板(前面板22A、22A)の上部には、扉のフレームであって装飾部であるキャップ150が配置されている。このキャップ150は、外部(上方)に突出して設けられた突起151を有しており、この突起151は、押出し手段160の押部材162に突き当てるようになっている。突起151は、ガラス板である前面板21A、22Aからは離れた位置に設けられており、押出し手段160の押部材162が突起151を押して、左扉21あるいは右扉22を開けようとする際に、前面板21A、22Aは力の影響を受けない。キャップ150の内部には、補強リブ162,163,164,165が形成されており、補強リブ162,163にはガラス板(前面板21A、22A)がはまり込み、補強リブ163,164には断面コ字型の補強板169が固定されている。補強リブ165には内板170が配置されている。ガラス板である前面板21A(22A)と内板170の間には、補強のためにウレタンが埋め込まれる。
上述した各実施形態は、図に示す両開き扉を有する冷蔵庫に限らず、片開きの冷蔵庫にも適用できる。
[第25の実施の形態]
図25(A)は、冷蔵庫の例えば引出し扉25の平面を示しており、引出し扉25の両側には建物の壁200がある。引出し扉25の左右の側面部25Sには、凹状の把手201が設けられている。図25(B)では、引出し扉25の左右の側面部には、凹状の把手202が設けられているが、左右の側面部は、前側に傾斜する傾斜面25Gとなっている。これにより、左右に建物の壁200があっても、傾斜面25Gが形成されているので、隙間ができ、使用者は指を把手202に簡単に入れることができる。尚、このとき把手202は、図の右側にしめすように把持しやすいような形状としてもよい。
[第26の実施の形態]
図26は、引出し扉210,220,230の例を示しており、引出し扉220の上面部には、凹状の把手240が設けられている。引出し扉230はその前面部に開扉操作部77が設けられている。引出し扉230はその前面部に開扉操作部77が設けられているので、前面部の前面がガラス面にすることができる。引出し扉230と引出し扉220の隙間Cは、引出し扉210と引出し扉220の隙間Bに比べて小さくすることができ、見栄えが良くなる。
また、使用者が、例えば図15に示すタッチスイッチ式の開扉操作部51あるいは開扉操作部52から手を接触させたときでなく、手指を離した時に、左扉21あるいは右扉22が開くようにするとよい。また、使用者が、開扉操作部51あるいは開扉操作部52に手指をタッチ接触してから予め定めた所定時間を経過した時に、左扉21あるいは右扉22が開くようにしてもよい。
すなわち制御部は、使用者が開扉操作部51を押した時と異なるタイミングで扉開放を指示するように制御しており、使用者が開扉操作部51を押した時でなく離した時を検知して扉開放を指示してもよいし、開扉操作部51を押した時から所定時間経過した後に扉開放を指示するようにしてもよい。また開扉操作部51を離した時から所定時間経過した後に扉開放を指示するようにしてもよい。
これは、制御部は、開扉制御する際に、タッチセンサがタッチ操作を検知した後、非検知となった後に開扉制御する制御をすることでもあり、開扉制御する際に、タッチセンサがタッチ操作を検知してから所定時間が経過した後(例えば1秒いないであって、0.3秒が好ましい)に開扉制御すること構成とすることでもある。
このようにすることで、使用者が、開扉操作部51あるいは開扉操作部52に手指でタッチした時に左扉21あるいは右扉22が直ぐに開く場合に比べて、開扉操作部51あるいは開扉操作部52にタッチした手が、開いた左扉21あるいは右扉22に当たるのを抑制することができる。
特に、使用者が、開扉操作部51あるいは開扉操作部52を手指で長押しした場合には、開扉操作部51あるいは開扉操作部52にタッチした手が、開いた左扉21あるいは右扉22に当たってしまうが、上述したように、使用者が、開扉操作部51あるいは開扉操作部52に手指をタッチしてから予め定めた所定時間を経過した時に、左扉21あるいは右扉22が開くようにすることで、タッチした手が、開いた左扉21あるいは右扉22に当たるのを防ぐことができる。
また上述してきた扉の構造については詳細には下記のような構成でも良い。
図27は、図1に示した冷蔵庫1の冷蔵室1の観音開き式扉の一方の扉のみを分解して示す分解斜視図の略図である。図1に示した冷蔵庫1の冷蔵室12の観音開き式扉を構成する左扉21と右扉22および野菜室13、製氷室16、上部冷凍室14および冷凍室15のそれぞれの引出し式扉23〜25の構造は、基本的に図27に示す扉と同じであり、扉103bとして構造例を代表して説明する。
図27に示す冷蔵室12の扉103bは、当該扉103bの前面を全面的に覆うように設けられた外表面のガラス板121を有する。図27において、ガラス板121の設けられている側が扉103bの前面側であり、ガラス板121と反対側の後方が冷蔵室12の内部に向かう扉103bの後側である。
ガラス板121の上下左右の外周部には、上側扉キャップ131、下側扉キャップ133、左側扉キャップ135、および右側扉キャップ137がそれぞれ設けられている。これらの上下左右4個の扉キャップは、ガラス板121の上下左右の側面を、上下左右の外側から保持して固定する。これらの上側扉キャップ131、下側扉キャップ133、左側扉キャップ135、および右側扉キャップ137は、ガラス板121の4辺部分に固定するとともに、ガラス板121の4辺部分における装飾を施す装飾部として機能する。
図27に示すガラス板121の内側には、扉の内板を構成する扉内側構成体125が扉キャップに取り付けられることで、扉103bを全体的かつ一体的に組み立てている。この扉内側構成体125の内側であって、冷蔵室12の内部に向かう内側には、扉とキャビネットをシールする矩形状のシール手段であるガスケット127が設けられている。そして前記ガラス板121と扉キャップと扉内側構成体125との間の空間に発泡ウレタンなどからなる発泡断熱材が充填され、断熱性能を向上するとともに、発泡断熱材がガラス板121の内面に接着してガラス板121を固着し、ガラス板121が外れたり、反ったりしないように固定している。ガラス板121には塗料が塗られ、その裏側にガラスが割れて飛び散ることを防止する飛散防止シートが設けられ、この飛散防止シートとウレタンが接触することを防止する保護部材を設けてもよい。
次に、図28を参照して、静電容量型のスイッチを有する基板と扉との関係性の構造例を説明する。
図28は、前述してきた制御操作部50や開扉操作部51、52を構成する静電容量型のスイッチ(スイッチSA,SB,51A,52Aなどに該当)を有する扉(扉21、22など)の横断面図の模式図である。
図28に示す左側扉キャップ135は、扉103bの上下方向(図28の紙面垂直方向)に設けられた左側の装飾部であり、右側扉キャップ137は、扉103bの上下方向に設けられた右側の装飾部である。扉103bの上下方向は、図27に示すZ方向である。
図28に示すように、ガラス板121の一端部(左端部)150は、左側扉キャップ135によって全面的には覆われておらず、左側扉キャップ135から露出された状態になっているほぼむき出し状態の端部である。これに対して、ガラス板121の他端部(右端部)121fは、咥え込み部137aにより覆われていることにより、露出されていない端部である。
ガラス板121の一端部150の側面152の前側部分には、R面151が形成されており、直角形状にはなっていない。このR面151は、例えば1/4円周形状のR面である。例えば、R面151は、一端部150の一部を切除後に研磨して丸みを持たせることで形成することができ、このR面151はZ方向に連続して形成されている。
図28に示すように、左側扉キャップ135の側面153に比べて、ガラス板121の一端部150の側面152は、外側に突き出ていない。これにより、ガラス板121の側面152は左側扉キャップ135の側面153からは突き出していないので、ガラス板121の端部152を保護できる。
図28に示すように、左側扉キャップ135の側面153には、基板挿入部154が設けられている。この基板挿入部154は貫通穴であり、左側扉キャップ135の外側から、収納部材105の内部に基板110を挿入するために設けられている。基板110は、静電容量型のスイッチ101と冷蔵庫の情報を外部に通信したり、他の情報を外部から受信したりする通信手段102を搭載している。収納部材105は、ガラス板121の内面121Mと左側扉キャップ135の内面135Mにそれぞれ固定されている。この収納部材105は、基板110を収納可能な収納部を構成する部材である。そして基板挿入部154には蓋を設け、蓋で閉じることで収納部を密閉するように構成することができる。
前述したようにこの収納部の周囲に良熱伝導性のアルミなどの金属を設けたり、内部に補強用の金属65を配置することで結露を防止することができる。
基板110は、バネのような弾性手段103を用いて、収納部材105側からガラス板121の内面121Mに対して押し付けることで、内面121Mに対して密着して保持するようになっている。基板110は、左側キャップ135の支持部P2とは異なる位置P1に固定されている。これにより、静電容量型のスイッチ101を有する基板110は、左側キャップ135の支持部P2を避けて、ガラス板121の内面121Mに密着して固定することができる。このため、静電容量型のスイッチ101は、ガラス板121の内面121Mに隙間を空けることなく押し付けて配置できるので、使用者は、ガラス板121の表面から静電容量型のスイッチ101のオンオフ操作を確実に行える。
また静電容量型のスイッチ101をガラス板121の内面121Mに隙間を空けることなく押し付ける方法としては、弾性手段でなく、後方から前方に基板110を移動させるガイド手段を設けてもよく、例えば収納部を基板の挿入方向に向かった狭くなるように傾斜を設けたり、基板110に設けた突起が収納部に設けたガイド溝に挿入されてガイドさされることで押しつけるようにしてもよい。
また基板は基板を支持する支持容器に配置された構成でも良く、この支持容器内に発光手段であるLEDを配置し、基板の裏面からLEDを発光させるとよい。
なお静電容量型のスイッチは101は裏面に配置されたLED基板の表面に電極が配置されることで一体型になっていてもよく、LEDを配置した基板とは別に、他の基板に設けてもよい。その基板は弾性を有するフィルム状の透明フィルムに静電容量型のスイッチの電極を設けるとよい。そうするとLEDを透明電極の背面に配置することができ、電極の裏側から発光させることができる。
[第27の実施の形態]
図29は、第27の実施の形態の冷蔵庫の正面図であり、図30は、この冷蔵庫の開扉状態の斜視図であり、そして図31は、この冷蔵庫の冷蔵室部分の拡大斜視図である。
図29と図30に示すように、第27の実施の形態の冷蔵庫1では、冷蔵庫本体であるキャビネット11は、上段から冷蔵室12、野菜室13、庫内設定温度を切り換えることができる切替室14、冷凍室15により構成されている。また切替室14の左側には製氷室16が設けられている。
図29〜図31に示すように、冷蔵室12の前面開口部を覆うために、左右一対の左扉21、右扉22がそれぞれ左端部、右端部の上下をヒンジ部にて観音開き式に開閉するように取り付けられている。野菜室13、切替室14、冷凍室15、製氷室16には引出し式の扉23,24,25,26がそれぞれ設けられている。
左扉21、右扉22は共に、前面に開口する扁平な内板の開口部に着色透明のガラス製の前面板21A,22Aを取り付け、かつ内部空洞部に真空断熱材を配置し、真空断熱材で埋めきれない空洞部にウレタン断熱材あるいは固体断熱材を配置した構造である。前面板21A,22Aの着色度は、外光を受けた状態で外から前面板21A,22Aの裏側の断熱材等の充填物が見えない濃さである。しかも、前面板21A,22Aの着色度は、後述する操作ボタン名、冷却機能名、冷却強度等を透過表示するLED表示灯、温度値等の変化する数値を透過表示する7セグメントLED表示装置の点灯状態で光が透過して表側から見える濃さでもある。
右扉22の前面板22Aの裏側には、前面板22Aの表からのタッチ操作により冷蔵庫を操作するための静電容量式の制御操作部50が設置されている。この制御操作部50には、冷蔵庫周囲の環境状態を検出ための赤外線受光部、ホームボタン、このホームボタンへのタッチを検知し、操作ボタン名、冷却機能名、冷却強度等を透過表示するLED表示灯、温度値等の変化する数値を透過表示する7セグメントLED表示装置等が設けられている。
左扉21の前面板21A、右扉22の前面板22Aの下辺近傍の裏面側には、それぞれに左右横方向に細長い開扉操作部51,52が設置されている。そして前面板21A,22Aの表面には開扉操作部であることまた開扉操作方向を示す開扉操作表示部51A,52Aが設けられている。ここでは、左扉21の開扉操作表示部51Aは左方向に指をタッチしたままスライドさせて開扉操作することを認識させる左向きの矢印マークが設けてある。右扉22の開扉操作表示部52Aは右方向に指をタッチしたままスライドさせて開扉操作することを認識させる右向きの矢印マークが設けてある。
キャビネット11の天板上面の前端近傍の左右2箇所には、それぞれ左扉21、右扉22それぞれの上辺の開放側端部近傍に対応する位置に、開扉駆動部54,55がそれぞれ設置してある。これらの開扉駆動部54,55は電磁石によりプランジャ54A,55Aを前方に押し出すことによって、左扉21、右扉22それぞれの開放側端部近傍の上辺を前方に押し出してそれぞれの扉を自動開放することができる。そして、左扉21を開扉するためには左扉開扉操作表示部51Aの右端あるいは右端近くの矢印マークにタッチしたまま左方向に指をスライドさせれば、開扉操作部51がその連続的なタッチを感知してタッチ検知信号を制御部56に送り、制御部56では開扉操作指令であると判断すれば左扉21の開扉駆動部54を動作させ、左扉21を自動開扉する。一方、右扉22を開扉するためには右扉開扉操作表示部52Aの左端あるいは左端近くの矢印マークにタッチしたまま右方向に指をスライドさせれば、開扉操作部52がその連続的なタッチを感知してタッチ検知信号を制御部56に送り、制御部56では開扉操作指令であると判断すれば右扉22の開扉駆動部55を動作させ、右扉22を自動開扉する。
尚、本実施の形態の冷蔵庫における制御部56の行う冷却制御は一般的なものであり、特に限定されるものではないが、例えば、圧縮機、操作パネル、結露防止ヒータ、製氷室内部の製氷装置、冷蔵室ファン、冷凍室ファン、除霜ヒータがこの制御部56に接続され、制御される。
開扉操作表示部51A,52Aにおける矢印マークはこの表示に限定されるものではなく、そこにタッチして右方向あるいは左方向にスライドさせれば開扉操作になることが容易に認識できる表示であればマークの形状や形態は限定されない。
左扉21、右扉22において、開扉操作表示部51A,52Aそれぞれよりも下側の下端面部分には手のひらを上向きにして指を差し入れ、手前側に引く操作によって左扉21、右扉22それぞれを個別に手動開扉できるように把手61,62が設置してある。
次に、上記実施の形態の冷蔵庫における自動開扉動作について説明する。図32は、冷蔵庫1における開扉制御のブロック図である。図32に示すように、開扉操作部51,52のそれぞれには、開扉操作表示部51A,52Aの左右横方向に5つ並べられた矢印マークそれぞれに前面板21A,22Aを挟んで対向するように静電容量式タッチセンサ51−1〜51−5,52−1〜52−5が列設されている。これらの静電容量式タッチセンサ51−1〜51−5,52−1〜52−5は、それぞれユーザのタッチによる静電容量変化を検知してタッチ検知信号を制御部56に送信するように設定してある。
そこで、ユーザが右扉22を開こうとして開扉操作表示部52Aの部分において左端の矢印マークに指をタッチし、タッチしたまま右方向にその指をスライドさせると、静電容量式タッチセンサ52−1〜52−5のうち静電容量の変化を検知したセンサそれぞれがタッチ検知信号をタッチの順に制御部56に送信する。そこで、制御部56は、開扉操作であるか否かを判断し、正規の開扉操作と判断すれば右扉の開扉駆動部55に開扉駆動信号を出力して右扉22を自動開扉させる。尚、左扉21の開扉操作の場合には、左扉21の開扉操作表示部51Aに対して右端若しくは右端近くの矢印マークにタッチしたまま左方向に指をスライドさせる操作に対して、同様の左扉21の開扉操作を判断する。
ここでの開扉判断の論理は次の通りである。左右のそれぞれ5つのセンサのうち少なくとも3つのセンサが所定時間(例えば、0.5秒あるいは1秒)内に、かつ、並び順にタッチ検知した場合に開扉操作であると判断して該当する扉を自動開扉するというものである。ここでは、右扉22の開扉操作について説明する。
右扉22の開扉操作表示部52Aの矢印マークのいずれか1つにタッチされると、開扉操作部52側の該当する静電容量式タッチセンサ(通常は左端若しくは左端近くの矢印マークにタッチされるので、ここでは左端のセンサ52−1とする)がタッチ検知してタッチ検知信号を制御部56に送信する。制御部56はこの信号を受信して開扉操作の判断処理をスタートする。この結果、制御部56は右扉22に対する正規の開扉操作であると判断して右扉の開扉駆動部55に対して開扉駆動指令を出力し、開扉駆動部54を動作させて右扉22を自動開扉する。左扉21の開扉操作の判断処理も同様である。ただし、左扉21の場合、右扉22とは向きが逆であり、開扉操作表示部51Aにおける右端若しくは右端近くの矢印マークにタッチしてから左方向にスライドさせる場合に開扉操作と判断することになる。
次に、図29から図31を参照して、音声認識手段である2つの音声認識センサNS1,NS2と、人感センサHSと、照度センサLSについて説明する。
図29と図30に示すように、1つの音声認識センサNS1と、人感センサHSと、照度センサLSは、冷蔵庫1のキャビネット11の上面に配置されている。もう1つの音声認識センサNS2は、例えば右扉22の下部において、1つの音声認識センサNS1から距離を離して配置されている。これらの音声認識センサNS1,NS2としては、例えばコンデンサマイクを使用できるが、特に限定されない。
図30と図31に示すように、上側の音声認識センサNS1は、冷蔵庫1のキャビネット11の上面に配置されているが、下側の音声認識センサNS2は、例えば右扉22の下端部内に配置されているが、これに限らず2つの音声認識センサNS1,NS2の内のどちらか一方の音声認識センサを配置するだけでも良い。
図31に示す人感センサHSとしては、例えば赤外線センサを使用することができる。図31に示す上側の音声認識センサNS1と、人感センサHSと、照度センサLSは、それぞれ収納ケースCS1,CS2,CS3に収納されている。これにより、音声認識センサNS1と、人感センサHSと、照度センサLSは、キャビネット11の上面に重ねて配置したり、並べて配置することができ、埃などから保護できる。収納ケースC1,C2,C3は、キャビネット11の上面において、例えば開扉操作部51,52の間の位置に配置されているが、各センサの配置位置はこれに限定はされない。
なおこれらセンサは、開扉駆動部54,55のケース内に収納してもよいし、ドアを開閉する支点のヒンジをカバーするためのケースに収納してもよい。
図32は、冷蔵庫における開扉制御のブロック図である。図33のフロー図は、冷蔵室の左扉21と右扉22を自動的に開く場合を示している。
図32に示すように、2つの音声認識センサNS1,NS2と、人感センサHSと、照度センサLSは、上述した制御部56に対して電気的に接続されている。これにより、2つの音声認識センサNS1,NS2が音を受信した時の音声信号は、制御部56に送ることができる。人感センサHSの検知信号は、制御部56に送ることができる。照度センサLSの照度信号は、制御部56に送ることができる。
このように、2つの音声認識センサNS1,NS2を設けることにより、後で説明するが、図33に示すフロー図のようにして、使用者が音声で話しかけることにより、冷蔵室の左扉21と右扉22を使用者により手動ではなく、すなわち使用者が把手(取っ手)を持って扉を開ける以外に、音や音声を検知する等の異なる検知(操作)方法により、自動的に開けることができるようになっている。
また、図32に示すように、制御部56には、記憶部300と関連性入力登録手段310が接続されている。関連性入力登録手段310では、使用者が「収容物である食品等の名称」や、例えば「左扉21の収納ポケットの名称」、「右扉22の収納ポケットの名称」、「冷蔵庫1の庫内の収容場所の名称」等を入力して登録することができるようになっている。「収容物である食品等の名称」としては、例えば「牛乳」、「卵」、「バター」、「ジュース」、「わさび」、「豆腐」等である。「冷蔵庫1の庫内の収容場所の名称」としては、例えば図29に示す冷蔵室12、野菜室13、切替室14、冷凍室15、製氷室16等である。
図32に示す制御部56は、記憶部300には、上述した「収容物である食品等の名称」が、「冷蔵庫1の庫内のどの収容場所の名称」に入っているかの関連情報を記憶させるようになっている。一例としては、記憶部300には、使用者が、左扉21側の収納ポケットには、例えば「牛乳」、「卵」、「バター」をセット(記憶)させ、ステップS12では、右扉22側の収納ポケットには、例えば「ジュース」、「わさび」、「豆腐」をセット(記憶)させることができるようになっている。
ここで、冷蔵室の左扉21と右扉22を自動的に開く場合を示す図33のフロー図を参照して、使用者が音声により左扉21と右扉22を自動的に開く場合について具体的に説明する。
図33において、ステップS11では、使用者が予め関連性入力登録手段310の例えばキーボードやタッチパネル等を操作して、左扉21側の収納ポケットに関連して、例えば「牛乳」、「卵」、「バター」を入力して登録し、右扉22側の収納ポケットには、例えば「ジュース」、「わさび」、「豆腐」を入力して登録する。これにより、図32に示す制御部56は、図32に示す記憶部300に対して、左扉21側の収納ポケットに関連して、例えば「牛乳」、「卵」、「バター」をセット(記憶)させ、ステップS12では、右扉22側の収納ポケットには、例えば「ジュース」、「わさび」、「豆腐」をセット(記憶)させる。
図33のステップS13では、使用者が冷蔵庫に近づいたことを、例えば人感センサHSあるいは照度センサLS等で検知することで、制御部56には、人感センサHSから検知信号が送られるかあるいは照度センサLSから照度信号が送られる。このため、制御部56では、検知信号もしくは照度信号により、制御部56の音声認識機能開始のトリガがかかり、すなわち制御部56において音声認識機能を発揮するタイミングを発生させることで、制御部56の音声認識機能が働き始める。
このように、この音声認識機能開始のトリガは、人感センサHが冷蔵庫に近づく使用者を検知した場合に、人感センサHSから制御部56に検知信号を与えた時や、照度センサLSが、使用者により冷蔵庫の置かれているキッチンの照明を点けたことを検知した場合に、照度センサLSから制御部56に照度信号を与えた時である。
そして、図33のステップS14において、使用者が、音声で、「牛乳」、「卵」、「バター」の少なくとも1つを言うと、図32に示す音声認識センサNS1,NS2がこの音声を受信して、制御部56に音声信号を送ることから、制御部56が音声認識する。これにより、ステップS15において、制御部56は、「牛乳」、「卵」、「バター」の少なくとも1つが収容されている図32に示す左扉21の開扉駆動部54に対して開扉駆動指令を出力して、開扉駆動部54を動作させる。このため、ステップS16では、左扉21の収納ポケットは開扉駆動部54の動作により自動的に開くことができる。
同様にして、ステップS14において、使用者が、音声で、「ジュース」、「わさび」、「豆腐」の少なくとも1つを言うと、図32に示す音声認識センサNS1,NS2がこの音声を受信して、制御部56に音声信号を送ることから、制御部56が音声認識する。これにより、ステップS17において、制御部56は、「ジュース」、「わさび」、「豆腐」の少なくとも1つが収容されている右扉22の開扉駆動部55に対して開扉駆動指令を出力して、開扉駆動部54を動作させる。このため、ステップS18では、右扉22の収納ポケットは開扉駆動部54の動作も動作により自動的に開くことができる。
記憶部310では、例えば予め「牛乳」が入っている左扉21側の収納ポケットを関連付けて登録しておくことにより、「牛乳」の入っている冷蔵庫内の場所を知らない人でも、「牛乳」と言えば、左扉21側を自動的に開くことができる。これにより、「牛乳」の入っている冷蔵庫内の場所を知らない人が、誤って「牛乳」が入っていない右扉22を開くことが無くなる。このため、扉の開け閉めの回数が減り、省エネルギー効果が高まる。
また、製氷用の貯水タンクが、冷蔵庫内に配置されている場合には、使用者が例えば「貯水」と発声することで、貯水タンクが格納されている側の扉、例えば左扉21が開くので、使用者は貯水タンクを持ったまま庫内の貯水タンクの所定の収容位置に収容できる。これにより、使用者が貯水タンクを両手で持っていて両手がふさがっている場合であっても、貯水タンクを収容するために開けようとする例えば左扉21を、図29に示す把手61を使わなくても自動的に開くことができる。
なお、図29に示す引出し式の扉23,24,25,26についても、開扉駆動部をそれぞれ設けることにより、左扉21と右扉22と同様にして、音声により自動開扉することができる。
このようにして、使用者が、把手を掴んで左扉21、右扉22、引出し式の扉23,24,25,26を手動で開ける手動操作とは異なり、自動的に扉を開けることができるの
で、例えば使用者が両手で食品等を持っている場合等に、非常に便利である。
なお異なる扉を開放する音声を同時に認識した場合には、それら異なるドアの開放タイミングをずらして開放するなどして、使用者への扉の衝突防止を図るようにしてもよい。
また、上述した図33に示すステップS13において、制御部56に対して音声認識開始のためのトリガを与える例としては、使用者が発声する言葉(単語)を音声認識センサNS1、NS2により認識させることで得られる音声認識センサNS1、NS2からの音声信号である。使用者の発声する予め定めた言葉(単語)としては、例えば「プラス開けゴマ」等を採用することができる。すなわち、この制御部56に対して音声認識開始のためのトリガを与えるための好ましい例としては、例えば「開けゴマ」さらには「プラス開けゴマ」のような、通常会話では登場しない単語であることが望ましい。
すなわち、制御部56に対して音声認識開始のためのトリガを与える例が人の声の場合には、通常の会話内容において生じる単語により制御部56が音声認識動作を開始してしまう弊害を防ぐために、通常の会話では出てこない単語を用いることが望ましい。これにより、制御部56が、誤って音声認識動作を開始するのを防止できる。制御部56に対して音声認識開始のためのトリガを与える音声は、冷蔵庫で発生する異音、例えばコンプレッサ等の音や、扉解放時を通知するアラーム音、扉の開閉音、部屋で使用する掃除機や部屋で流れる音楽等の音とは異なる音に設定するとよい。また認識する音を声でない音に設定するときは、手を複数回(例えば2回)たたいた音を認識するように設定すると、冷蔵庫から発生する音と異なるから誤った開閉がなくなる。
次に、図34を参照して、図30に示す右扉22の下部に配置された音声認識センサNS2の配置例を説明する。図34は、例えば右扉22の横断面の模式図である。
図34に示すように、音声認識センサNS2は、例えばコンデンサマイクであり、右扉22の下部に配置されている。この音声認識センサNS2は、収納部材105内に配置されている。この収納部材105は、ガラス板121の内面121Mと左側扉キャップ135の内面135Mにそれぞれ固定されている。この収納部材105は、基板110を収納可能な収納部を構成する部材である。穴部154は例えば右扉22の左側扉キャップ135の下部に設けられている。使用者が発生する音声等は、穴部154を通じて音声認識センサNS2に達するようになっている。この穴部154は、単一の穴であっても、複数の穴で構成されても良い。これにより、音声認識センサNS2は、右扉22の下部内に内蔵するようにして配置でき、しかも穴部154を通じて外部の音声等を確実に拾うことができる。なお、この音声認識センサNS2は基板110に搭載していてもよく、穴部154を覆う蓋を備え、蓋に小さい穴を形成してもよい。
ところで、図32に示すように、制御部56は、発光部330と、音発生部340と、音声発生部350に接続されている。発光部330と音発生部340と音声発生部350は、音声認識センサNS1、NS2が検知した音(音声)により扉を開く場合には、使用者に対してこの扉が開くことを警告のために報知する報知手段である。
発光部330は例えばLED発光部であり、音発生部340は例えばブザーである。音声発生部350は例えばスピーカである。上述したように、図32に示す音声認識センサNS1、NS2の少なくとも一方が、使用者の音声を検出して、制御部56が、例えば左扉21あるいは右扉22を開ける指令を出すと、制御部56は、図32に示す発光部330を例えば「赤色」で発光させたり、音発生部340により警報音を発生させたり、あるいは音声発生部350により音声で「扉が開きます」等の警告内容を、使用者に対して報知することができる。これにより、使用者に対して、光、音、音声の少なくとも1つにより、扉が開くことを報知できるので、使用者が不意に扉に当たってしまうことを防ぐことができる。
また、図32に示すように、制御部56には人感センサHSが接続されている。この人感センサHSは、使用者が冷蔵庫に近づいたことを検知すると、制御部56に対して検知信号を出して人を検知したことを通知する。このように制御部56は、冷蔵庫に使用者が近づいたことを検知すると、図32に示す制御部56は、音声発生部350を介して、「扉を開けますか?」の問い合わせ内容を、音声ガイダンスで使用者に尋ねることができる。この場合に、使用者は、例えば「YES」と答えると、この「YES」は音声認識センサNS1、NS2により認識して、制御部56に音声信号を通知する。これにより、制御部56は、例えば右扉22の開扉駆動部55に対して開扉駆動指令を出力することで右扉22を開けることができる。同様にして、制御部56は、例えば左扉21の開扉駆動部54に対して開扉駆動指令を出力することで左扉21を開けることができる。
さらに、この左扉21と右扉22は、それぞれ開くスピードを異ならせることができる。左扉21と右扉22は、開扉駆動部54、55の駆動により、通常は、開くスピードをゆっくり遅く設定することで、扉が急激に開かないようになっている。
ところで、図35に示すように、制御部56には、身長計測センサ410が接続されている。この身長計測センサ410は、例えばフォトカプラのような光センサを用いることができ、使用者の大まかな身長を計測する。例えば、身長計測センサ410は、使用者の身長の値が、上段の側の左扉21と右扉22に達するまでの値であるか、達しない値であるかを区別して計測できればよい。これにより、制御部56は、身長計測センサ410が測定した使用者の身長の値に基づいて、上段側の左扉21と右扉22の開くスピードを異ならせることができる。
例えば、身長計測センサ410が計測した使用者の身長の値が、上段の側の左扉21と右扉22に達するまでの値である場合には、制御部56は、開扉駆動部54,55の動作をさらに遅くして、開扉駆動部54,55は上段側の左扉21と右扉22を、それぞれ通常の開けるスピードよりもさらにゆっくりとしたスピードで開ける。
これにより、左扉21と右扉22が使用者の頭部や身体に当たるのを避けることができる。また、身長計測センサ410が計測した使用者の身長の値が、上段の側の左扉21と右扉22に達しない値である場合には、開扉駆動部54,55は上段側の左扉21と右扉22を、それぞれ通常の開くスピードで開ける。
図32あるいは図35に示す制御部56が、音声発生部350を用いて、例えば「右扉を開けます」という警告内容を、使用者に対して報知した場合に、この使用者がもう一度この警告内容を確認したい時には、次のようにして行うことができる。使用者は、「もう一度」とか、「繰り返す」のような繰り返し催促内容を言うと、音声認識センサNS1、NS2が「もう一度」とか、「繰り返す」のような繰り返し催促内容の音声信号を制御部56に送る。制御部56は、音声認識センサNS1、NS2からの音声信号により、音声発生部350を用いて、少なくとももう一度「右扉を開けます」という警告内容を、使用者に対して報知する。これにより、使用者は、冷蔵庫側が発する警告内容を聞きそびれても、簡単に再度確認をすることができる。
また、使用者が、上段の冷蔵室の右扉22を開けて庫内を覗いている時に、例えば別の扉である左扉21が自動的に開いてしまう操作を、制御部56が受け付けないようになっている。これにより、使用者が、右扉22を開けて庫内を覗いていて、使用者が例えば「牛乳も出さなければ」とつぶやいてしまった時に、誤って「牛乳」の入っている側の左扉21が自動的に開いてしまうことを防ぎ、左扉21が使用者の例えば顔面に当たることを確実に防止することができる。
同様にして、使用者が、上段の冷蔵室の右扉22を開けて庫内を覗いている時に、例えば別の扉である「野菜も出さなければ」とつぶやいてしまった時に、誤って「野菜」の入っている野菜室の扉が自動的に出て、使用者の下腹部や膝等に当たってしまうことを防止できる。
また上記のように受け付けを無効にする以外には、ある扉が開放されているときに他の扉の開放スピードを通常のスピードより遅くするように設定することもよい。
また冷蔵庫から異音(コンプレッサー音、ブザー音)がなっている場合に、音声認識がうまく認識できなかった場合には、「もう一度、話してください」などの使用者に対しての指示の音声をスピーカーから流してもよい。
図35に示すように、制御部56には、近接センサ400が接続されている。この近接センサ400は、例えば左扉21と右扉22に配置されており、使用者が左扉21あるいは右扉22に手を近づけると、タッチスイッチである開扉操作部51,52や制御操作部50が例えばLEDランプ等を用いて光るようになっている。これにより、冷蔵庫が置かれている場所が暗所であっても、使用者は、開扉操作部51,52や制御操作部50の位置を目視で確認することができる。
また、この近接センサの機能と開扉操作部51,52の機能とを兼ねることができる。この場合には、図35に示すように近接センサ400を別途設ける必要は無い。
図36は、近接センサの機能を持たせた開扉操作部の動作例を示すフロー図である。この場合には、図36に例示するように、ステップS21において、図35の制御部56は、ソフトウェアにより近接センサを兼ねる開扉操作部51,52の静電スイッチの感度を上げて保持しておくことで近接センサとしても機能の維持をさせておく。
そして、図36のステップS22において、近接センサを兼ねる開扉操作部51,52が使用者の手指の接近を検知した時には、ステップS23において、制御部56の指令により、近接センサを兼ねる開扉操作部51,52が光るとともに、近接センサを兼ねる開扉操作部51,52の感度を元の状態に下げることで、近接センサを兼ねる開扉操作部51,52は開扉操作部としてのみ機能させる。ここで、近接センサを兼ねる開扉操作部51,52の感度を下げないと、近接センサを兼ねる開扉操作部51,52へのタッチ入力の前に感知してしまい、正確な入力ができなくなってしまうからである。
このように、近接センサを兼ねる開扉操作部51,52が使用者の手指の接近を感知して、近接センサを兼ねる開扉操作部51,52が光ることにより、近接センサを兼ねる開扉操作部51,52の位置が明確に分かるとともに、近接センサを兼ねる開扉操作部51,52を用いて入力可能になったことを使用者に知らせることができる。別途近接センサを設ける必要が無いので、部品点数を減らすことができる。
逆に、近接センサを兼ねる開扉操作部51,52が光る前では、制御部56は、近接センサを兼ねる開扉操作部51,52を用いて入力ができないようにして、使用者が入力を意図しないにもかかわらず、使用者の指が近接センサを兼ねる開扉操作部51,52に触れた時の誤入力を防止する。
[第28の実施の形態]
図37は、本発明の第28の実施の形態の冷蔵庫1の正面図である。図38は、この冷蔵庫1の開扉状態の斜視図である。図39は、この冷蔵庫1の冷蔵室部分の拡大斜視図である。
図37と図38に示すように、本発明の実施形態の冷蔵庫1は、冷蔵庫本体であるキャビネット11を備えている。キャビネット11は、上段から冷蔵室12、野菜室13、庫内設定温度を切り換えることができる切替室14、冷凍室15より構成されている。また切替室14の左側には製氷室16が設けられている。
図37から図39に示すように、冷蔵室12の前面開口部を覆うために、左右一対の左扉21、右扉22がそれぞれ左端部、右端部の上下をヒンジ部にて観音開き式に開閉するように取り付けられている。
また、野菜室13、切替室14、冷凍室15、製氷室16には引出し式の扉23,24,25,26それぞれが設けられている。
尚、野菜室13の背面には、図示していないが、冷蔵室12と野菜室13とを冷却するための冷蔵用蒸発器が配され、切替室14及び冷凍室15の背面には、同じく図示していないが、切替室14、冷凍室15、製氷室16を冷却するための冷凍用蒸発器が配されている。
さらに、図37と図38に示すように、野菜室13の背面には、この冷蔵庫1を制御するためのマイクロコンピュータより成る制御部56が、配置されている。
図37に示すように、左扉21と右扉22は、共に、前面に開口する扁平な内板の開口部に着色透明のガラス製の前面板21A,22Aを取り付け、かつ内部空洞部に真空断熱材を配置し、真空断熱材で埋めきれない空洞部にウレタン断熱材あるいは固体断熱材を配置した構造である。
ガラス製の前面板21A,22Aの着色度は、外光を受けた状態で外から前面板21A,22Aの裏側の断熱材等の充填物が見えない濃さである。しかも、ガラス製の前面板21A,22Aの着色度は、例えば制御操作部50における操作ボタン名、冷却機能名、冷却強度等を透過表示するLED表示灯、温度値等の変化する数値を透過表示する7セグメントLED表示装置の点灯状態で、光が透過して表側から見える濃さでもある。
図38に示すように、左扉21の右端部、つまり、閉状態で右扉22の左端部に近接して対向する開放側の部分には、扉閉状態で、右扉22の左端部、つまり、開放側の部分とのシール状態を保持するための回転仕切り体31が設けられている。この回転仕切り体31の内部には、結露を防止するための結露防止ヒータが内蔵されている。
右扉22の前面板22Aの裏側には、前面板22Aの表からのタッチ操作により冷蔵庫を操作するための静電容量式の制御操作部50が設置されている。この制御操作部50には、冷蔵庫周囲の環境状態を検出ための赤外線受光部、ホームボタン、このホームボタンへのタッチを検知し、操作ボタン名、冷却機能名、冷却強度等を透過表示するLED表示灯、温度値等の変化する数値を透過表示する7セグメントLED表示装置等が設けられている。この制御操作部50は、冷蔵庫1の冷却制御内容を変更する操作をするために、例えば右扉22に配置されている。制御操作部50のホームボタンは、ユーザ(使用者)が手の指でタッチすることで、各種の操作を冷蔵庫1の制御部56に指令をすることができるメニューボタンである。
図37に示すように、左扉21の前面板21Aと右扉22の前面板22Aの下辺近傍の裏面側には、それぞれに左右横方向に沿って、細長い開扉操作部51,52が設置されている。開扉操作部51,52は、扉のオープンボタンともいう。前面板21A,22Aの表面には、開扉操作方向を示す開扉操作表示部51B,52Bが設けられている。左扉21の開扉操作表示部51Bには、ユーザが指で左方向にタッチしたままスライドさせて開扉操作することを認識させる左向きの矢印マークが設けてある。右扉22の開扉操作表示部52Bには、ユーザが指で右方向にタッチしたままスライドさせて開扉操作することを認識させる右向きの矢印マークが設けてある。
図37と図38に示すように、開扉駆動部54,55は、キャビネット11の天板上面の前端近傍の左右2箇所の位置、すなわち左扉21と右扉22の上辺の開放側端部近傍に対応する位置に、それぞれが設置してある。
これらの開扉駆動部54,55は、電磁石によりプランジャ54B,55Bを前方に押し出すことによって左扉21と右扉22の開放側端部近傍の上辺を、前方に押し出して、左扉21と右扉22をそれぞれ自動開放することができる。左扉21を開扉するためには、左扉開扉操作表示部51Bの右端あるいは右端近くの矢印マークにタッチしたまま左方向に指をスライドさせれば、開扉操作部51がその連続的なタッチを感知して、タッチ検知信号を制御部56に送る。そして、制御部56では開扉操作指令であると判断すれば、左扉21の開扉駆動部54を動作させて、左扉21を自動開扉することができる。
同様にして、右扉22を開扉するためには、右扉開扉操作表示部52Bの左端あるいは左端近くの矢印マークにタッチしたまま右方向に指をスライドさせれば、開扉操作部52がその連続的なタッチを感知して、タッチ検知信号を制御部56に送る。そして、制御部56では開扉操作指令であると判断すれば、右扉22の開扉駆動部55を動作させて、右扉22を自動開扉することができる。
図37に示すように、冷蔵庫1の冷却制御内容を変更する操作をするための制御操作部50が、例えば右扉12に設けられていて、ユーザがこの制御操作部50を操作することで、冷蔵庫1の冷却制御内容を変更するようになっている。
右扉12では、開扉操作部52は、制御操作部50の下方に配置され、しかも開扉操作部52は、この制御操作部50の真下の位置ではなく、制御操作部50に対して左右方向にずらした位置に配置されている。言い換えれば、右扉22では、メニューボタンを有する制御操作部50の下方の位置には、開扉操作部52が配置
されているが、この開扉操作部52は、メニューボタンを有する制御操作部50の位置に対して、矢印QR方向にそって右方向に異なる位置にずらして配置されている。
これにより、ユーザが、制御操作部50のメニューボタンを指でタッチした場合に、ユーザの指が水に濡れている状態であってこの水が指から垂れたとしても、指から垂れた水が開扉操作部52には付着することが無い。このため、静電タッチ式の開扉操作部52が、指から垂れた水により反応してしまうことが無く、ユーザが指でタッチしていないのにも関わらず、開扉操作部52が勝手に反応することで制御部56が右扉22の開扉駆動部55を動作させてしまうといった誤動作を防止できる。このため、扉22を、勝手に自動開扉してしまうことを確実に防ぐことができる。
また、制御操作部50のメニューボタン(メニューキー)を押すことで、制御操作部50における他の操作ボタンが光ってその操作ボタンの操作が有効となる場合がある。このような場合であっても、開扉操作部52(オープンスイッチ)が制御操作部50に対して異なる場所(ずれた位置)にあることから、ユーザが指で制御操作部50における光って操作が有効になっている他の操作ボタンを触ったとしても、指から垂れた水は開扉操作部52には付着することが無い。このため、扉22を、勝手に自動開扉してしまうことを確実に防ぐことができる。
さらに、開扉操作部52と、制御操作部50のメニューボタン(メニューキー)のみをガラス製の前面板22Aに印刷して、制御操作部50のメニューボタンを除く他の要素は、LEDの点灯により浮き上がる構成にすると、冷蔵庫1の右扉22はすっきりとした外観となる。
尚、本実施の形態の冷蔵庫における制御部56の行う冷却制御は一般的なものであり、特に限定されるものではないが、例えば、圧縮機、操作パネル、結露防止ヒータ、製氷室内部の製氷装置、冷蔵室ファン、冷凍室ファン、除霜ヒータがこの制御部56に接続され、制御される。
図37と図39に示す開扉操作表示部51B,52Bにおける矢印マークはこの表示に限定されるものではなく、そこにタッチして右方向あるいは左方向にスライドさせれば開扉操作になることが容易に認識できる表示であればマークの形状や形態は限定されない。
図37に示すように、左扉21と右扉22には、把手61,62が設置されている。把手61,62は、開扉操作表示部51B,52Bの下側の下端面部分に設けられており、手のひらを上向きにして指を把手61,62に差し入れて、手前側に引く操作によって左扉21、右扉22を個別に手動開扉できる。
次に、上記実施の形態の冷蔵庫における自動開扉動作について説明する。
図40は、冷蔵庫1における開扉制御のブロック図である。図40に示すように、開扉操作部51,52は、それぞれ開扉操作表示部51B,52Bを有している。開扉操作表示部51B,52Bは、その左右横方向に沿ってそれぞれ5つ並べられた矢印マークを有している。開扉操作表示部51B,52Bには、静電容量式タッチセンサ51−1〜51−5,52−1〜52−5がそれぞれ列設されている。これらの静電容量式タッチセンサ51−1〜51−5,52−1〜52−5は、それぞれユーザのタッチによる静電容量変化を検知して、タッチ検知信号を制御部56に送信するように設定してある。
そこで、ユーザが右扉22を開こうとして開扉操作表示部52Bの部分において左端の矢印マークに指をタッチし、タッチしたまま右方向にその指をスライドさせると、静電容量式タッチセンサ52−1〜52−5のうち静電容量の変化を検知したセンサが、タッチ検知信号をタッチの順に制御部56に送信する。そこで、制御部56は、開扉操作であるか否かを判断し、正規の開扉操作と判断すれば、右扉の開扉駆動部55に開扉駆動信号を出力して右扉22を自動開扉させる。尚、左扉21の開扉操作の場合には、左扉21の開扉操作表示部51Bに対して右端若しくは右端近くの矢印マークにタッチしたまま左方向に指をスライドさせる操作に対して、制御部56は同様の左扉21の開扉操作を判断する。
図41は、図37から図39に示す左扉21の開扉操作部51と右扉22の開扉操作部52が、冷蔵庫1のユーザの人体を検知するための人体検知手段として機能させる例を示している。
この開扉操作部51と開扉操作部52は、ユーザの人体を検知したら、制御部56に人体検知信号を送る。これにより、制御部56は、開扉操作部51からの操作信号の入力を有効として、該当する左扉21の開扉制御を行い、開扉操作部52からの操作信号の入力を有効として、該当する右扉22の開扉制御を行うようになっている。
制御部56は、例えば人体検知手段である開扉操作部52を例に挙げると、開扉操作部52によりユーザの人体の検知をしたら、開扉操作部52の表示をオンする。制御部56は、開扉操作部52の点灯による表示を、右扉22の開扉操作の仕方により切り替えることができる。
人体検知手段である開扉操作部52は、すでに説明したように静電スイッチであり、静電スイッチがユーザの人体の検知をする際には、制御部56は、静電スイッチの感度を高く切り替えて実施することができる。人体検知手段である開扉操作部52は、人体が近づくと検知する近接センサであり、制御部56は、この近接センサである開扉操作部52の感度を切り替えて開扉操作部52を接触センサとして機能させて、右扉22の開扉操作を有効にするとともに、接触センサとしての開扉操作部52にユーザが指で触れたことを検知すると、制御部56は、右扉22の開扉操作を実際に行う。
上述したように、開扉操作部52の感度を切り替えることで、開扉操作部52を近接センサから接触センサとして機能させることを、以下において、図41の例を参照しながらより具体的に説明する。
図41(A)では、制御部56は、静電スイッチである開扉操作部52を「近接センサ」として機能させるために、制御部56は開扉操作部52の感度を「大」に設定することで、「近接センサ」としての機能は「有効」である。このため、制御部56は、開扉操作部52の本来の機能である右扉22のオープン(開扉操作)は「無効」にしている。しかも、制御部56は、開扉操作部52の点灯表示は、破線で示すように、オフ状態である。
次に、図41(B)では、ユーザが手の指HTを「近接センサ」としての開扉操作部52に近づけると、開扉操作部52は「近接センサ」として手の接近をオンして検知する。開扉操作部52は手の接近を検知すると、制御部56は、開扉操作部52の「近接センサ」としての感度を「大」から「小」に切り替えて設定する。このため、制御部56は、開扉操作部52の本来の機能である「接触センサ」として機能させるので、開扉操作部52に指HTで触れることによる右扉22のオープン操作(開扉操作)は、「有効」になる。しかも、制御部56は、開扉操作部52の点灯表示は、実線で示すようにオフ状態からオン状態になり、開扉操作部52を例えばLEDにより点灯させる。
次に、図41(C)では、ユーザが手の指HTを「接触センサ」としての開扉操作部52に直接接触(タッチ)すると、制御部56は、開扉操作部52の「接触センサ」としての感度である「小」の状態に維持して、このまま「接触センサ」として機能させる。そして、制御部56は、開扉操作部52の本来の機能である右扉22のオープン(開扉操作)は、「有効」のままである。しかも、制御部56は、開扉操作部52の点灯表示は、実線で示すようにオン状態であり、開扉操作部52を例えばLEDにより点灯している。
その後、図41(D)では、ユーザの手の指HTが、「接触センサ(タッチセンサ)」として機能する開扉操作部52に直接接触(タッチ)した状態から離れたことを、制御部56が認識すると、制御部56は、開扉操作部52からの操作信号の入力を有効として、開扉駆動部55を動作させることで、該当する右扉22の開扉制御を行う。これにより、右扉22は、自動的に開くことができる。
これにより、ユーザが開扉操作部52に直接接触(タッチ)しにくい動作の途中の状態、例えばユーザが冷蔵庫1に近づこうとしている状態において、制御部56は、開扉の指示の誤検知を防止するために、直接接触(タッチ)の有効・無効を判断できる。
また、開扉操作部52の点灯表示は、実線で示すようにオン状態にして、開扉操作部52を例えばLEDにより点灯できるので、ユーザにとっては、例えば開扉操作部52のLED点灯表示による開扉操作部52の視認性を向上できる。
さらに、ユーザの手の指HTが、「接触センサ(タッチセンサ)」として機能する開扉操作部52に直接接触(タッチ)した状態から離れたことを、制御部56に認識すると、制御部56は、開扉操作部52からの操作信号の入力を有効として、該当する右扉22の開扉制御を行うようになっている。このことから、ユーザの手が右扉22の開扉操作部52から離れた後に、右扉22が実際にオープンするので、右扉22のオープン動作によりユーザが突き指をしてしまうことを防止できる。
開扉操作部51,52における点灯表示のやり方としては、例えば図40に示す静電容量式タッチセンサ(電極)51−1〜51−5,52−1〜52−5の隙間から前方に表示させることができるようなLED(発光ダイオード)等の発光素子を配置すれば良い。また、静電容量式タッチセンサ(電極)51−1〜51−5,52−1〜52−5の中を、文字やマーク等の切り抜き部分を形成して、発光素子の光は、電極の裏面から切り抜き部分を通して前方に照らすようにしても良い。あるいは、発光素子の光は、導光板を使って電極の裏面から前方に照らすようにしても良い。
図41において、説明した右扉22のオープン動作は、図37における左扉21に配置されている開扉操作部51を用いた左扉21のオープン動作についても同じように行うことができる。
左右の開扉操作部51,52における点灯表示の色は、左右の開扉操作部51,52において、同じ色であっても、異なる色であっても良い。
左扉21や右扉22が、ゆっくり開く時と、早く開く時では、左右の開扉操作部51,52における点灯表示の色は、異なるようにして表示しても良い。
左扉21と右扉22の一方のみが開く時と、左扉21と右扉22が同時に開く時では、左右の開扉操作部51,52における点灯表示の色を変えることができる。特に、ユーザが開扉操作部51,52の内の片方を操作するだけで、左扉21と右扉22の両方をオープンさせる仕様にする場合には、左扉21と右扉22の内の片方のみが開く場合とは違い、異なる表示の色にしても良い。
この場合に、例えば開扉操作部51,52の感度を「大」にして開扉操作部51,52「近接センサ」として機能させる際には、人体が所定時間以上近接したことを検知した時には、左扉21と右扉22の片方のみが開くようにするだけでなく、左扉21と右扉22が同時に開くように仕様を変えるようにすることができる。また、左扉21と右扉22が同時に開くように仕様を変えるのと同時に、開扉操作部51,52を点灯表示させたり、開扉操作部51,52の色を異ならせたりすることができる。開扉操作部51,52の点滅表示等の開扉操作部51,52の点灯方法は、任意に変えることができる。
本発明の第1実施形態の冷蔵庫1では、ユーザ(使用者)がタッチをしにいく動作の途中で誤検知をしてしまうのを防止して、開扉の誤動作をしないようにすることができる。
[第29の実施の形態]
図42は、本発明の第29の実施の形態の冷蔵庫1を示している正面図である。図43は、図42に示す冷蔵庫1の人体検知手段を含む開扉制御のブロック図である。
人体検知手段500は、例えば遠隔検知センサ100と、近接センサとしても機能する開扉操作部52と、を有している。遠隔検知センサ100と、近接センサとしても機能する開扉操作部52は、例えば右扉22に配置されている。遠隔検知センサ100は、近接センサとしても機能する開扉操作部52の上部に位置されている。
遠隔検知センサ100は、ユーザの人体が冷蔵庫1から遠くの場所に居る場合に、人体を検知するための例えば赤外線センサである。これに対して、近接センサとしても機能する開扉操作部52は、ユーザの人体が冷蔵庫1に近づいた場合に、人体を検知する静電検知センサである。
図43に示すように、遠隔検知センサ100と、近接センサ(静電検知センサ)としても機能する開扉操作部52は、制御部56に接続されている。制御部56には、好ましくは切り替え手段99が接続されている。ユーザがこの切り替え手段99を操作することで、切り替え手段99から制御部56には選択信号が送られることにより、人体を検知するために、遠隔検知センサ100と、近接センサ(静電検知センサ)としても機能する開扉操作部52とのいずれを採用して、人体を検知するかを、ユーザが選択することができるようになっている。
また、図43に示すように、近接センサとしても機能する開扉操作部52は、静電検知センサあるが、この静電検知センサの感度を任意に変えて調整する感度調整手段199を備えていても良い。感度調整手段199は制御部56に接続されており、ユーザが感度調整手段199を操作することで、制御部56には感度調整信号を送る。これにより、制御部56は、静電検知センサである開扉操作部52の感度を、「大」から「小」の間で調整可能である。
静電検知センサである開扉操作部52の感度を変える方法としては、静電検知センサは、例えば1秒間に数10回、静電容量(コンデンサ容量)の充放電を繰り返すサイクルを有している。ユーザが静電検知センサである開扉操作部52に指を近づけるか、または接触することで、コンデンサ容量が変わることを利用している。これにより、ユーザが開扉操作部52に指を近づけるか、または接触すると、充放電のサイクルに変化が生じる。制御部56が充放電のサイクルの変化の度合いをチェックしており、予め閾値を設定することにより、この閾値を基準として、ユーザが開扉操作部52に指を近づけたか、または接触させたかを、制御部56は判断することができる。
また、ユーザが開扉操作部52から指を離した時を検知する場合も、制御部56が、充放電のサイクルに変化した時から通常に戻ったことを判断することで行うことができる。
上述したように、ユーザが、静電検知センサである開扉操作部52の感度を変更調整することができる。もし、冷蔵庫1を例えば台所のシンクの背面側に設置している場合には、ユーザがシンクの付近に居ると、常に遠隔検知センサ100が人体を検知してしまうことになる。このような場合には、ユーザがこの切り替え手段99を操作することで、切り替え手段99から制御部56には選択信号が送られて、遠隔検知センサ100ではなく、近接センサとしても機能する開扉操作部52を、人体の検知手段として選択することができる。これにより、ユーザがシンクの付近に居るだけでは、開扉操作部52は人体を検知しない。そして、ユーザの手の指が冷蔵庫1の近接検知センサとして機能する開扉操作部52に接近した場合だけ、開扉操作部52が人体を検知できる。これにより、ユーザが冷蔵庫1から比較的離れている場合の誤検知を防止できる。
遠隔検知センサ100を使用するので、図42に示すガラスの前面板22Aの裏面に印刷着色としては、赤外線を透過する印刷を採用したり、あるいはガラスの前面板22Aの裏面における赤外線を通す箇所には、印刷をしない様にするのが良い。
本発明の第2実施形態の冷蔵庫1では、ユーザ(使用者)がタッチをしにいく動作の途中で誤検知をしてしまうのを防止して、開扉の誤動作をしないようにすることができる。
ところで、冷蔵庫1の天井に配置したケースには音声認識手段があって、このケースには音声が伝わる穴がある。ソレノイドのケースの高さと同じかそれ以下になるように制御基板のケースが配置される。制御基板は天井壁の後ろが凹となる箇所に配置され、基板の支持部がウレタン内に埋まっている。ソレノイドも埋まっている。真空断熱材を折りまげて埋まっている部品を離間して配置し、ソレノイドの下側と基板の下側をおおうように配置され、折り曲げて全体に覆っている。また、天井照明は天井のウレタンの凹に埋まって配置されている。真空断熱材は天井照明と離間して配置している。
真空断熱材は天井の内壁と接して配置され、LEDは天井壁の外に配置されている。また、内壁の折れ曲がり部の箇所に配置している。
真空断熱材は、分割されて、ソレノイド、基板の下に配置していてラップされている。LEDは真空断熱材と離間していて、基板下の真空断熱材は内壁に接している。
天井壁の折れ曲がり部に傾斜していて、傾斜部にLEDを埋めこんで真空断熱材と接触しないようにしている。
図44は、上述した構造を有する冷蔵庫1の上部を示す前後方向に沿った断面図である。
図44に示すように、キャビネット(本体)11の天井部11Aには、ケース700が配置されている。天井部11Aの後部分11Bには、凹部分11Cが設けられており、ケース700はこの凹部分11Cに配置されている。ケース700は、例えば直方体形状を有しており、このケース700の内部空間には、制御基板710が傾斜して配置されている。制御基板710は、制御基板710の前側が後側に比べて上になるように傾斜して配置されている。制御基板710の前側には、音声認識手段720が搭載されている。
音声認識手段720としての例えばマイクロフォンである。このケース700の前側部分は、音声認識手段720に音声が伝わるようにするために、孔700Hを有している。これにより、音声認識手段720がケース700内に配置されているにもかかわらず、例えば使用者が発声する音声は、ケース700の孔700Hを通じて、音声認識手段720に確実に伝わることから、使用者の音声や音を認識できる。
図44に示すように、天井部11Aの前側には、開閉駆動部54(55)が設けられている。この開閉駆動部54(55)は、好ましくはソレノイドであり、閉駆動部54(55)は、それぞれケース762と、伸縮自在のロッド761を有している。開閉駆動部54(55)が駆動してこのロッド761が出ることで、この開閉駆動部54(55)は、左扉21(あるいは右扉22)の内側を押して開けるようになっている。
ケース700の高さは、開閉駆動部54(55)のケース762の高さと同じか、ケース700の高さは、開閉駆動部54(55)のケース762の高さに比べて、差DFだけ低くなっている。これにより、ケース700を天井部11Aに配置しても、冷蔵庫の全高が開閉駆動部54(55)のケース762よりも大きくならないようにしている。
図44に示すように、制御基板710は、複数の支持部711を有しており、この支持部711を用いて、傾斜した状態で、ウレタン等の断熱材730内に埋め込まれて支持されている。これにより、制御基板710は、断熱材730を用いて動かないように支持されている。また、開閉駆動部54(55)は、複数の支持部763を有しており、この支持部763を用いて、断熱材730内に埋め込まれて支持されている。これにより、開閉駆動部54(55)は、断熱材730を用いて動かないように支持されている。
図44に示すように、天井部11Aの内側には、ウレタン等の断熱材730と、真空断熱材340が重ねて配置されている。真空断熱材740は、断熱材730の下側に位置されており、真空断熱材740の途中部分は、ほぼ直角に折り曲げて配置されている。このように、真空断熱材740の途中部分は、ほぼ直角に折り曲げて配置されているので、真空断熱材740は、開閉駆動部54(55)の下側領域部分と、制御基板710の下側領域部分と、を覆うようにして配置でき、しかも真空断熱材740は、開閉駆動部54(55)の支持部763と、制御基板710の支持部711からは、離間されている。
図44に示す冷蔵庫1の天井照明750は、例えばLED(発光ダイオード)ランプを有しており、天井のウレタン等の断熱材730の凹部731に埋め込んで配置されている。このため、天井照明750は、天井の内壁755からは下側に突出していない。真空断熱材740は、この天井照明750からは、内壁755によって離間されている。
次に、図45から図47を参照して、本発明のさらに別の実施形態を説明するが、図45から図47に示す実施形態の冷蔵庫の箇所が、図44に示す実施形態の冷蔵庫の箇所と実質的に同様である場合には、同じ符号を記して、その説明を用いる。
図45から図47は、図44と同様に、それぞれ本発明の別の実施形態の冷蔵庫の上部を示す前後方向に沿った断面図である。
まず、図45に示す冷蔵庫1では、天井照明750は、天井の内壁755に接して配置されており、天井照明750のLEDランプ750aは、天井の内壁755の外側(庫内側)に配置されていることで、冷蔵室内に露出している。しかも、天井照明750は、天井の内壁755の折れ曲がり部756に配置されている。
そしてキャビネット(本体)11の天井部11Aの凹部分11Cの折れ曲がり部に対して天井の内壁755の折れ曲がり部を前側に位置させたから、キャビネット外壁の折れ曲がり部と内壁755の折れ曲がり部との前後方向の隙間にスペースを作ることができるため、その間に上下方向に真空断熱材を配置することができる。そのため真空断熱材740の途中部分の折り曲がり部をそのスペースに配置することができる。なお、上下方向に配置された真空断熱材は分割された別体であってもよい。またその上下方向に配置された真空断熱材を他の場所の前後方向に延びる真空断熱材に比べて薄くしてもよい。そうするとキャビネット外壁の折れ曲がり部と内壁755の折れ曲がり部との前後方向の隙間にスペースを小さくすることができるから、内壁755の曲がり部を後方に退避させることができ庫内の容量を多くすることができる。
なお外壁の折れ曲がり部の凹部分11Cの底部の前方側角と、内壁755の折れ曲がり部の上方側(凹部分11C側)の角と距離寸法は、他の折れ曲がり部を有さない天井部11Aの厚さ寸法より小さいため、ウレタン断熱材だけであると断熱性が悪くなるおそれがあるが上記真空断熱材を含む構成とすることにより断熱性を大幅に向上させることができる。
図46に示す冷蔵庫1では、真空断熱材770は複数部分に分割されており、真空断熱材770は第1部分771と、第2部分772に分かれている。第1部分771は、開閉駆動部54(55)の下側の領域部分を覆っており、第2部分772は、制御基板710の下側の領域部分を覆っている。天井照明750のLEDランプ750aは、真空断熱材770の第1部分771から離間していており、制御基板710側の真空断熱材770の第2部分772は、内壁部分777に接している。
また第1部分771と、第2部分772の真空断熱材は前後方向にラップするように配置されている。これはキャビネット(本体)11の天井部11Aの凹部分11Cの折れ曲がり部に対して天井の内壁755の折れ曲がり部を前側に位置させることにより、キャビネット外壁の折れ曲がり部と内壁755の折れ曲がり部との前後方向の隙間にスペースを作ることから、重ねることができる構成となっている。
なお外壁の折れ曲がり部の凹部分11Cの底部の前方側角と、内壁755の折れ曲がり部の上方側(凹部分11C側)の角との寸法は、他の折れ曲がり部を有さない天井部11Aの厚さ寸法より小さいときには、製造時に発泡断熱材であるウレタンが流れにくい場合があり、そのため、この間には真空断熱材を配置しないことで、ウレタンの流れる空間を確保して、ウレタンの充填を確実し、かつ充填速度を向上させることができる。
図47に示す冷蔵庫1では、天井の内壁755の折れ曲がり部780が、傾斜して形成されている。天井照明750は、傾斜している折れ曲がり部780の形状に合わせて例えば直角三角形状に作られており、天井照明750はこの折れ曲がり部780内に埋め込んで配置されている。真空断熱材740は分割されておらず一体物である。このように、天井照明750のLEDランプ750aは、折れ曲がり部780内に配置されていて、天井照明750は真空断熱材740に接触しておらずに離間している。
本発明の実施形態では、使用者が指で図1に示す開扉操作部51,52を一定時間以上継続してタッチすることにより開扉装置を作動させるようにしても良い。
例えば、図42に示す遠隔検知センサ100は、ユーザ(使用者)の人体が冷蔵庫1から遠くの場所に居る場合に、人体を検知するための例えば赤外線センサであるが、この遠隔検知センサの赤外線を扉前方に透過させるための前面板の印刷塗料を切り抜いた孔(開口)については、その孔に印刷塗料と同系色の赤外線透過部材を貼るなどして配置してもよい。また、その箇所には小さい孔(開口)が複数できるように塗料を塗るなどして塗料の切り抜きが目立たなくするとよい。またこれにより、ガラス板の背面に配置した赤外線センサである遠隔検知センサが正面から視認しにくくなるようにすることもできる。またこの塗料を赤外線を透過する塗料にしたり、スパッタやエッチングなどにより赤外線波長を透過させて可視光の一部を透過させにくくする半透過性手段を備えてもよい。その場合、半透過性手段として、波長が長い色が透過するものを利用するとよい。例えば青色の波長(450-495 nm)よりも波長が長い赤色の波長(例えば620-750 nm)を透過するように構成するとそれ以上の長い波長である赤外線の波長(例えば760〜830 nm以上)が透過しやすくなる。またその場合、赤外線センサの近傍にある表示手段の色は、同様に波長が長い色の発光手段(緑や黄色、赤色の発光ダイオードなど)を利用することでその光の表示も半透過性手段を透過させることができ、使用者に視認させることができるとともに、赤外線センサや、扉内部の部品が視認しにくくすることができる。
また、赤外線センサである遠隔検知センサは基盤に配置され、制御操作部50あるいは開扉操作部51,52と一緒に挿入されるようにしてもよい。その場合には、制御操作部50あるいは開扉操作部51,52の電極の一部を切り抜いたりスリットを設けて、その電極の裏側から赤外線が扉側に送信することができるようにするとよい。そうすることで、遠隔検知センサは、操作する使用者を検知しやすくなる。また、遠隔検知センサは、制御操作部50とタッチオープンSWの開扉操作部51,52との間に設けてもよい。
[第30の実施の形態]
図48は、本発明の第30の実施形態を示す冷蔵庫1の正面図である。図49は、図48に示す冷蔵庫1の平面図であり、図50は、図48に示す冷蔵庫1の側面図である。
図48〜図50に示すように、一対の左扉21と右扉22が、冷蔵庫1の冷蔵室12の前面開口部を覆う。このために、左扉21と右扉22は、それぞれ冷蔵庫本体であるキャビネット11の左端部、右端部の上下をヒンジ部にて観音開き式に開閉するように取り付けられている。
左扉21、右扉22は、共に前面に開口する扁平な内板の開口部に着色透明のガラス製の前面板21A,22Aを取り付け、かつ内部空洞部に真空断熱材を配置し、真空断熱材で埋めきれない空洞部に発泡ポリウレタン断熱材(以下、単にウレタン断熱材とも記載する)あるいは予め成型された固体断熱材(例えばEPC)を配置した断熱構造部材である。
図48〜図50に示すように、開扉操作部551,552が、左扉21の前面板21A、右扉22の前面板22Aの下辺近傍に、それぞれ設置されている。開扉駆動部54,55が、キャビネット11の天板上面の前端近傍の左右箇所であって、左扉21、右扉22の上辺の開放側端部近傍に対応する位置に、それぞれ設置されている。
これらの開扉駆動部54,55は、左扉21と右扉22を別々に強制的に開扉動作させる開扉装置である。開扉駆動部54,55は、電磁石によりプランジャ54A,55Aを前方に押し出すことによって、左扉21、右扉22のそれぞれの開放側端部近傍の上辺を、前方に押し出して、左扉21、右扉22を強制的に自動開放する。
一方の開扉操作部551は、左扉21の右下の位置に配置され、他方の開扉操作部552は、右扉22の左下の位置に配置されている。開扉操作部551は、左扉21のガラス製の前面板21Aの内部に配置され、開扉操作部552は、右扉22のガラス製の前面板22Aの内部に配置されている。
図51は、図48に示す開扉操作部551の基板553の構造例を示している。図52は、図51に示す開扉操作部551の基板553に配置された近接センサ560とガード電極570を示す図である。図53は、開扉操作部551の構造例を示す分解斜視図である。
図48に示す開扉操作部551と開扉操作部552は、同様の構造を有するが、左右対称形状であっても良いし、左右同じ形状であっても良い。図51は、開扉操作部551の基板553の形状例を示しているが、開扉操作部552と開扉操作部551は実質的に同様の形状であるので、図51から図53を参照して、開扉操作部551の基板553を代表して説明する。
まず、図53を参照すると、開扉操作部551は、基板組立体500Mと、基板組立体500Mを収納するためのオープンボックスと呼ばれるプラスチック製の収納空間部材585と、プラスチック製の蓋部材590を有している。プラスチック製の収納空間部材585の裏面585Rには、好ましくは金属体である例えばアルミ箔が貼ってある。プラスチック製の蓋部材590の内面には、アルミ箔等の金属体591が貼ってある。これにより、冷蔵庫1の本体側が生じる電磁波が、基板組立体500M側に、影響を与えないようにしている。
基板組立体500Mは、プラスチック製の遮蔽板599と、基板553と、操作銘板597、表示用のLED557を搭載したLED基板598から構成されている。基板553は、静電タッチスイッチ基板であり、遮蔽板599の前面側に支持され固定されている。基板553の前面側には、操作銘板597が配置されている。遮蔽板599の背面側には、表示用のLED基板598が支持され固定されている。このLED基板598には、複数個のLED577が搭載されている。遮蔽板599は、2つの基板553,LED基板598を支持する指示手段と、LED光を離間させる離間手段として機能する。
基板553と操作銘板597の対応する位置には、左右のスリット574,575(透光手段)が形成されている。スリット574,575の位置は、近接センサ560と中間領域部分589の間にある。この基板組立体500Mは、収納空間部材585の長方形の開口部分586を通じて収納空間部材585内に収納される。収納空間部材585の開口部分586は、蓋部材590により覆うようになっている。
図51(A)と図52に示すように、開扉操作部551の基板553は、縦長の長方形あるいは正方形であり、基板553は図51(A)に示す表面553Aと図51(B)に示す裏面553Bを有する。基板553には、電子部品の搭載部分571と、近接センサ560とガード電極570の配置部分572が設けられている。図51(A)と図52に示す電子部品の搭載部分571には、裏面に突出して離間手段の遮蔽板599の凹部に収納されるように必要な電子部品やコネクタ部品等が搭載される。また、基板553の表面には、突出はしないがほぼ平らな状態で金属製の電気接続部571bを形成させることで、ガラス扉の裏面に基板553を接触させることができる。
また、カバー手段であり、基板553を隠すための操作銘板597で覆うことにより電気接続部571bへの使用者が接触したときの誤動作やガラス扉に静電気が溜まったときのノイズを防止できる。またこの操作銘板597は着色されたもの、あるいは蒸着されたものであっても良い。
図51(A)に示す表面553A側の配置部分572には、第1の電極である近接センサ560と、第3の電極であるガード電極570と、第2の電極である中間領域部分589が配置されている。中間領域部分589は、近接センサ560とガード電極570の間に設けられている。近接センサ560とガード電極570と中間領域部分589は、金属の電極であるが、互いに電気的に絶縁されている。第2の電極である中間領域部分589は、近接センサ560を補助し、近接センサとしての機能を有している。ガード電極570は、近接センサ560の検知の有効範囲の変更を行う。
また、図51(B)に示すように、基板553の配置部分572に対応する裏面553Bには、第4の電極であるメッシュのグランドパターン573が配置されている。これにより、このグランドパターン573は、冷蔵庫本体からのノイズが、近接センサ560が発生する電磁界とガード電極570が発生する電磁界に影響を与えないようにする。
図51(A)と図52に示すように、近接センサ560の中央位置には、スルーホール560Cが形成されているが、このスルーホール560Cには、図51(B)に示すように導線パターン560Hが接続されている。ユーザが指で近接センサ560を押す(接触する)行為は、通常は近接センサ560の真ん中を目指して行われるので、スルーホール560Cは、スルーホール560Cが近接センサ560の真ん中の位置に形成されている。
このように、スルーホール560Cを近接センサ560のほぼ真ん中の位置に形成するのは、次の理由からである。すなわち、近接センサ560では、このスルーホール560Cが形成されている中央の領域が他の領域に比べて、最もスイッチ感度が高くなる。このことから、ユーザの指がスルーホール560Cのある近接スイッチ560の真ん中を押すことで、最も感度が良いところに指を接触できるようにしている。
図51と図52に示す近接センサ560は、静電タッチ(接触)用の電極であり、図49と図50に示す左扉21と右扉22の正面(前面)方向で、例えば約100mmに人体または物体が近づいたことを検知するための、静電容量式の検知手段である。この近接センサ560は、ユーザの人体の一部、具体的には例えば手の指が近づくと、この指の接近を検知する。近接センサ560は、静電容量式のタッチセンサであるが、相互キャパシタンス方式のタッチセンサや自己キャパシタンス方式のタッチセンサを用いることができる。
相互キャパシタンス方式では、1つの送信電極と1つの受信電極により構成され、送信電極に電流が供給されると電磁界が生成されて、電磁界が受信電極に受信される。例えば人体の指が近接センサ560の検知領域に近づくと、電磁界の一部が吸収されて受信電極に受信されるので、検知されるエネルギーの量が減ることで、近接センサ560は指の接近を検知できる。
自己キャパシタンス方式では、浮遊容量を持つ電極(近接センサ560)が1つ必要である。電極(近接センサ560)の浮遊容量は、この電極(近接センサ560)とその周りの導電体(人体の指)との間にある寄生容量の影響を受ける。人体の指が、近接センサ560に近づくと、寄生容量の影響を受けて浮遊容量の値が増加し、この増加した浮遊容量を計測することで、近接センサ560は指の接近を検知できる。
図51と図52に例示するように、近接センサ560は、例えば縦方向に長く形成されている長方形状のスイッチであり、近接センサ560の周囲に電極を囲うように、スリット574,575が形成されている。図52に示すように、このスリット574,575には、裏から基板598が覆われており、照明装置として機能するLED577が複数個間隔をおいて配置されている。
ただし、複数個のLED577の内のスリット574,575の4つの角部576Rに対応する4つのLED577は、スリット576内から外れたスリット576の外側の位置に配置されている。
図52に示すように、近接センサ560の一端部は、連結部分560Aにより配置部分572に連結され、近接センサ560の他端部は、連結部分560Bにより配置部分572に連結されている。近接センサ560の中央部には、電気接続用のスルーホール560Cが形成されている。このように近接センサ560の中央部分にスルーホール560Cを形成するのは、既に説明したように、スルーホール560Cを設けた近接センサ560の領域部分が、他の領域部分に比べて、検知感度が高い。ユーザの指が近接して接触する領域部分は、近接センサ560の中央部分であることから、スルーホール560Cを近接センサ560の中央部分に設けている。近接センサ560は,基板の配置部分のスリット574,575の領域572aに、点線の領域に電極が形成されることでほぼ長方形に形成されている。また、スリット574,575が近接センサ560の全体を囲っておらず、コの字状に形成されている。これは、スリット周囲の周囲部572bと接続する橋572abをつくることで、内側と外側を接続し基板が分割されずに1つの基板として保つ構成としている。
図51と図52に示すガード電極570は、配置部分572において、近接センサ560と中間領域部分589の周囲に、長方形状の枠型に形成されている。ガード電極570は、金属体であり、一対の短辺電極部分570Aと一対の長辺電極部分570Bから成る。ガード電極570は、近接センサ560が発生する電磁界とは反対方向の電磁界を発生する。
これにより、図49と図50に示すように、近接センサ560の発生する電磁界560Pは、ガード電極570の発生する反対方向の電磁界により拡がりが抑制される。このため、ガード電極570の発生する電磁界は、近接センサ560が発生する電磁界560Pの拡がりを抑制することで、ガード電極570は、人体の検知範囲の有効範囲を変更する検知範囲の有効範囲変更手段の役割をする。
ガード電極570は、人体の例えば指の接近を検知する際の近接センサ560の検知範囲を狭めて変更することで、近接センサ560の検知範囲の有効範囲を変更する。具体的には、ガード電極570が、近接センサ560の検知範囲の有効範囲を変更した結果、図49に示すように、左扉21の開扉操作部551の近接センサ560の発生する電磁界560Pは、近接センサ560の正面前方方向だけに導かれる。同様にして、右扉22の開扉操作部552の近接センサ560の発生する電磁界560Pは、近接センサ560の正面前方方向だけに導かれる。
このため、図49に示すように、近接センサ560の発生する電磁界560Pは、左右方向であるX方向には拡がらないよう絞っている。
しかも、図50に示すように、左扉21の開扉操作部551の近接センサ560の発生する電磁界560Pは、近接センサ560の正面前方方向だけに導かれる。同様にして、右扉22の開扉操作部552の近接センサ560の発生する電磁界560Pは、近接センサ560の正面前方方向だけに導かれる。このため、図50において、近接センサ560の発生する電磁界560Pは、上下方向であるZ方向には拡がらないように絞っている。
すなわち、図49と図50に示す近接センサ560の電磁界560Pは、人体の検知範囲の有効範囲を示しており、この人体の検知範囲の有効範囲は、近接センサ560の前方とは異なる方向の範囲(上下、左右に拡がる範囲)とは異なる範囲に相当する。つまり、人体の検知範囲の有効範囲は、近接センサ560の使用者の操作方向を少なくとも有効範囲とするものであって、操作方向と異なる方向の範囲を狭めるなど変更することで有効範囲を限定し、具体的には前方とは異なる方向の範囲の少なくとも一部(上下、左右、後方に拡がる範囲などの少なくとも一部)を除いた範囲である。
図54は、制御部556と、開扉操作部551,552と、開扉装置である開扉駆動部54,55等の電気接続を示すブロック図である。
図54に示すように、制御部556は、開扉操作部551,552の近接センサ560とガード電極570と、開扉駆動部54,55と、複数の照明装置としてのLED577に電気的に接続されている。
近接センサ560は、制御部556の制御により、制御部556は、近接センサ560を「高感度」状態に保持している。指が近接センサ560の検知領域である図49と図50に示す電磁界560Pに入ると、図54の制御部556は、近接センサ560に指が近づいていることの信号SGを近接センサ560から受けるようになっている。
そして、図54の制御部556は、この近接センサ560からの信号SGを受けると、指が近接センサ560に対して接近したと判断して、ガード電極570への通電を止めるとともに、近接センサ560の感度を「高感度」から「低感度」に変更して下げるようになっている。しかも、制御部556は、この近接センサ560からの信号SGを受けると、制御部556は、LED577を点灯させて近接スイッチ560の周囲を照明することで、近接スイッチ560の位置を照明により浮かび上がらせて、ユーザが近接スイッチ560の位置を視覚で確認できるようになっている。
また、LED577が点灯する効果としては、LED577で点灯表示することから、ユーザに対して操作箇所が視認できるようにでき、ガラス板の前面板21A(あるいは22A)に対して、操作部の操作位置を示す印刷などを施す必要が無い。
そして、指が近接センサ560に接近した状態から近接センサ560に接触すると、近接センサ560は接触スイッチとして機能して、近接センサ560は制御部556に対して、指が近接センサ560に接触した接触信号SHを送る。これにより、制御部556は、近接センサ560を接触センサとして機能させて、例えば左扉21の開扉操作を有効にして、制御部56は、開扉駆動部54を動作させて左扉21の開扉操作を実際に行うことができるようになっている。上述した操作手順は、右扉22についても同様である。
これにより、左扉21あるいは右扉22のガラス面の内側に配置されている近接スイッチ560の位置を、ユーザはLED577による照明による助けを受けて目視で確認しながら触れて、左扉21あるいは右扉22を開けることができる。
上述したように、制御部556は、近接センサ560の感度を、指が接近する際の「高感度」から「低感度」に切り替えることで、近接センサ560を接触センサとして機能させるようになっている。指が近接センサ560に近づく際には、制御部556は、静電スイッチ560を「近接センサ」として機能させるために、制御部556は近接センサ560の感度を「大」に設定することで、「近接センサ」としての機能は「有効」である。このため、制御部556は、近接センサ560を「接触センサ」として機能させないので、近接センサ560は、開扉操作部551,552の本来の機能である左扉21,右扉22のオープン(開扉操作)については「無効」である。
上述したように、ユーザの指を近接センサ560に近づけて、指が近接センサ560の人体の検知範囲の有効範囲としての電磁界560Pに入ると、近接センサ560は手の指の接近を制御部556に通知する。そして、近接センサ560から手の指の接近が制御部556に通知されると、制御部556は、近接センサ560としての感度を「大」から「小」に切り替えて設定する。しかも、制御部556は、近接センサ560の点灯表示は、オフ状態からオン状態になり、近接センサ560の位置はLED577により明示できる。このため、ユーザは近接センサ560の位置を目視で確認しながら、指で近接センサ560に確実に触れることができる。制御部56は、近接センサ560を本来の機能である「接触センサ」として機能させるので、近接センサ560に指で触れることにより、左扉21あるいは右扉22のオープン操作(開扉操作)は、「有効」になる。
上述した左扉21のオープン操作(開扉操作)は、右扉22のオープン操作(開扉操作)と同様であるので、その説明を省略する。
図51と図52に示すように、近接センサ560の周囲には、ガード電極570を配置することで、近接センサ560の人体の検知範囲の有効範囲である電磁界560Pは、左扉21と右扉22の正面方向(前方方向)で例えば約100mmの範囲に人の手や指が近づいたことを検知する。この際、近接センサ560の人体の検知範囲の有効範囲である電磁界560Pは、ガード電極570を配置することで、上下方向と左右方向には拡がらないように制限している。
図49に示すように、近接センサ560の人体の検知範囲の有効範囲の拡がりを左右方向(X方向)について制限することにより、図49に示すように、左扉21を矢印21Kで示す軌跡に沿って開けようとして指を左扉21の近接センサ560に近づける際に、閉じている右扉22の近接センサ560により指を検知しないようにすることができる。同様にして、右扉22を矢印22Kで示す軌跡に沿って開けようとして指を右扉22の近接センサ560に近づける際に、閉じている左扉21の近接センサ560により指を検知しないようにすることができる。
このため、右扉22の近接センサ560の人体の検知範囲の有効範囲である電磁界560Pは、移動手段としての左扉21を開く際の軌跡内に入らないようになっている。同様にして、左扉21の近接センサ560の人体の検知範囲の有効範囲である電磁界560Pは、移動手段としての右扉22を開く際の軌跡内に入らないようになっている。
これにより、左扉21あるいは右扉22を開く際に、開けないで閉じている側の右扉22あるいは左扉21の近接センサ560が、ユーザの指や左扉21あるいは右扉22を不用意に誤って検知してしまうのを防ぐことができる。
また、図50に示すように、近接センサ560の人体の検知範囲の有効範囲の拡がりを上下方向(Z方向)について制限することにより、移動手段としての引き出し式の扉23を矢印方向に引き出す際に、左扉21の近接センサ560の人体の検知範囲の有効範囲である電磁界560Pと右扉22の近接センサ560の人体の検知範囲の有効範囲である電磁界560Pは、引き出し式の扉23を開ける際の軌跡内に入らない。
これにより、引出し式の扉23を開ける際に、左扉21の近接センサ560と右扉22の近接センサ560が、ユーザの指や引出し式の扉23を不用意に誤って検知してしまうのを防ぐことができる。
ところで、図51と図52に示すガード電極570の大きさは、縦横のサイズが例えば30mm×30mm以上とすることができる。このようにガード電極570の大きさを設定することにより、ユーザが、例えば指ではなく肘で近接センサ560に接触して、左扉21あるいは右扉22を開けようとする場合に、肘が近接センサ560とガード電極570の両方同時に触れてしまうことを防ぐことができるようにしている。これにより、ユーザは、指でも肘でも左扉21あるいは右扉22を開けることができる。
次に、図55を参照して、左扉21と右扉22における基板553の収納構造例を説明する。図55は、左扉21と右扉22における基板553の収納構造例を示す図である。図55(A)は、左扉21と右扉22の正面図であり、図55(B)は、基板553の収納構造を示す左扉21の内側端面部21T(右扉22の内側端面部22T)の構造を示す斜視図である。図55(C)は、蓋部材590の例を示す図である。
図55(A)に示すように、左扉21と右扉22を閉じた状態では、左扉21の内側端面部21Tと右扉22の内側端面部22Tは、向かい合っている。各内側端面部21Tでは、収納空間部材585の長方形の開口部分586が位置されており、左扉21と右扉22の内部には、基板組立体500Mの収納空間部材585が位置されている。基板組立体500Mは、開口部分586から収納空間部材585内に挿入して収納するようになっている。
開口部分586は、基板組立体500Mを収納した後に、蓋部材590により閉じる。この蓋部材590の内面には、アルミ箔テープや鉄板のような金属体591が配置されている。金属体591は、近接センサ560が発生する人体の検知範囲の有効範囲としての電磁界を制限して、近接センサ560の検知範囲の有効範囲を変更する変更手段である。検知範囲の有効範囲変更手段としての金属体591は、隣接する移動手段である左扉21と右扉22との間に配置されている。
このように蓋部材590に金属体591を配置することにより、金属体591は、左扉21と右扉22との間において電磁界を遮断する。従って、左扉21の近接センサ560の電磁界とガード電極570の電磁界が、右側22の近接センサ560とガード電極570の電磁界側に影響を与えない。また、右扉22の近接センサ560からの電磁界とガード電極570の電磁界が、左側21の近接センサ560とガード電極570の電磁界側に影響を与えない。
次に、図48〜図50と図54を参照して、ユーザが、例えば左扉21を開ける場合の動作例を説明する。
ユーザが指を、図49と図50に示す左扉21側の近接センサ560に近づけて、図49と図50に示す人体の検知範囲の有効範囲としての電磁界560Pに入ると、高感度状態の近接センサ560は、指が近接センサ560に近づいていることを検知する。これにより、図54の制御部556は、近接センサ560に指が近づいていることを示す信号SGを受ける。
そして、図54の制御部556は、この近接センサ560からの信号SGにより、ガード電極570への通電を止めるとともに、制御部556は、近接センサ560の感度を下げて「高感度」から「低感度」に変更する。しかも、制御部556は、LED577を点灯して近接スイッチ560を照明することで、近接スイッチ560の位置を明示して、ユーザが近接スイッチ560の位置を視覚で確認できるようにする。
そして、指が近接センサ560に触れると、低感度の近接センサ560は、左扉21を開けるためのタッチスイッチ(接触スイッチ)として機能して、図54の制御部556に指が近接センサ560に接触した接触信号SHを送る。これにより、制御部556は、左扉21の開扉操作を有効にして、制御部556は、開扉駆動部54を動作させるので、左扉21の開扉ができる。
なお、ユーザが、右扉22を開ける場合の動作例は、上述した左扉21を開ける場合の動作例と同様であるので、説明を省略する。
このように、ユーザが指で接触センサとして機能する近接センサ560に触れた時には、制御部556は左扉21あるいは右扉22を自動的に開けることができる。
ユーザが近接センサ560のみに触れた時には、制御部556は、近接センサ560をタッチセンサ(接触センサ)として機能させて、左扉21の開扉操作を「有効」にすることで、左扉21の開扉操作を行う。このことは、右扉22についても同様である。
ところで、ユーザが、図51に示す近接センサ560とガード電極570の両方に不用意に触れた場合には、制御部556は、近接センサ560を接触センサとして機能させずに、左扉21の開扉操作を「無効」にすることで、左扉21の開扉操作を行わない。これにより、制御部556は、ユーザの例えば肘等が近接センサ560とガード電極570の両方に不用意に触れた場合には、左扉21の開扉操作を「無効」にして、左扉21の開扉操作を禁止することができる。しかも、水滴が図54と図51に示す近接センサ560とガード電極570の両方に付着した場合にも、制御部556は、近接センサ560を接触センサとして機能させずに、左扉21の開扉操作を「無効」にすることで、左扉21の開扉操作を行わない。上述した開扉操作の禁止は、右扉22についても同様である。
また、図54と図51に示すガード電極570と中間領域部分589の両方に、例えばユーザの肘が同時に触れた場合には、扉21の開扉操作を「有効」にして、左扉21の開扉操作を行うことができる。このことは、右扉22についても同様である。
上述したように、ガラス製の前面板21A,22Aを有する両開き型の左扉21と右扉22が、それぞれ静電タッチ型の接触センサを有しており、この静電タッチ型の接触センサは、人体の指等の近づいたことを検知する近接センサ560として使用する。図51に示すように、基板553では、静電タッチ用の電極である近接センサ560の周囲に、ガード電極570が、近接センサ560に対して間隔をおいて囲むように配置されている。
このガード電極570は、人体が接近する際に、近接センサ560の人体の検知範囲の有効範囲を変更するための、検知範囲の有効範囲変更手段である。ガード電極570は、近接センサ560が人体の近接を検知する際に発生している電磁界と反対方向の電磁界を発生させる。
これにより、ガード電極570は、近接センサ560が人体の近接を検知する際に発生している電磁界を、上下方向、左右方向について制限して、図49と図50に示すように、近接センサ560が発生する近接検知用の電磁界の拡がり範囲を制限している。従って、近接センサ560の発生する電磁界560P(近接検知範囲)は、近接センサ560の正面前方方向だけに制限できる。
このため、左扉21と右扉22を備えている両開き式の冷蔵庫の場合に、例えば左扉21の扉開閉により、右扉22の近接センサ560が誤検知してしまうのを防止し、右扉22の扉開閉により、左扉21の近接センサ560が誤検知してしまうのを防止できる。
また、両開き式の冷蔵庫ではなく、片開き式の冷蔵庫の場合には、冷蔵庫の側面に人体または物体が来た場合に、扉の近接センサが、その人体または物体を不用意に誤検知してしまうのを防げる。
[第31の実施の形態]
図56は、本発明の第31の実施の形態を示す冷蔵庫1の正面図である。
図56に示すように、一対の左扉21と右扉22が、冷蔵庫1の冷蔵室12の前面開口部を開閉可能に覆っている。このために、左扉21と右扉22は、それぞれ冷蔵庫本体であるキャビネット11の左端部、右端部の上下をヒンジ部にて観音開き式に開閉するように取り付けられている。
左扉21と右扉22は、共に前面に開口する扁平な内板の開口部に着色透明のガラス製の前面板21A,22Aを取り付け、かつ内部空洞部に真空断熱材を配置し、真空断熱材で埋めきれない空洞部に発泡ポリウレタン断熱材(以下、単にウレタン断熱材ともいう)あるいは予め成型された固体断熱材(例えばEPC)を配置した断熱構造部材である。
図56に示すように、一対の開扉操作部651,652が、左扉21の前面板21A、右扉22の前面板22Aの裏側の下辺近傍に、それぞれ設置されている。開扉操作部651,652は、ユーザの手指により、前面板21Aの表からのタッチ操作ができる。開扉操作部651は、静電容量式の近接センサ607と、静電容量式のタッチボタンの電極633を有している。開扉操作部652は、静電容量式の近接センサ608と、静電容量式のタッチボタンの電極633を有している。近接センサ607は、タッチボタンの電極633の上側に配置され、近接センサ608は、タッチボタンの電極633の上側に配置されている。
また、左扉21の前面板21Aの裏側には、ユーザの手指により、前面板21Aの表からのタッチ操作により冷蔵庫を操作するための静電容量式の制御操作部650が設置されている。
この制御操作部650には、例えば冷蔵庫周囲の環境状態を検出ための赤外線受光部、コントロールボタン(コントロールスイッチ)650CSとホームボタン(ホームスイッチ)650HS、このホームボタン650HSへのタッチを検知し、操作ボタン名、冷却機能名、冷却強度等を透過表示するLED表示灯、温度値等の変化する数値を透過表示する7セグメントLED表示装置等が設けられている。
図56に示すように、開扉駆動部54,55が、キャビネット11の天板上面の前端近傍の左右箇所であって、左扉21、右扉22の上辺の開放側端部近傍に対応する位置に、それぞれ設置されている。
これらの開扉駆動部54,55は、左扉21、右扉22を別々に強制的に開扉動作させる開扉装置である。開扉駆動部54,55は、電磁石によりプランジャ54A,55Aを前方に押し出すことによって、左扉21、右扉22のそれぞれの開放側端部近傍の上辺を、前方に押し出して、左扉21、右扉22を強制的に自動開放する。
図56に示すように、一方の近接センサ607を含む開扉操作部651は、左扉21の右下の位置に配置され、他方の近接センサ608を含む開扉操作部652は、右扉22の左下の位置に配置されている。近接センサ607を含む開扉操作部651は、左扉21のガラス製の前面板21Aの内部に配置され、近接センサ608を含む開扉操作部652は、右扉22のガラス製の前面板22Aの内部に配置されている。
図57は、図56に示す左扉21における近接センサ607を含む開扉操作部651の付近(あるいは右扉22における近接センサ608を含む開扉操作部652の付近)の構造例を示すV1−V1線における断面図である。図56に示す開扉操作部652の付近の構造例は、図56に示す開扉操作部651の付近の構造例と同様である。
図57に示すように、ガラス製の前面板21A,22Aの内面側には、遮蔽用のシート材621が印刷等により配置されている。このシート材621は、前面板21A,22Aを通じて、内部が見えるのを防ぐために配置されている。
図57に示すように、前面板21A,22Aの内面側には、第1基板631と第2基板632が、間隔をおいて前面板21A,22Aに対して平行に配置されている。
前側に配置された第1基板631の裏面には、近接センサ607(あるいは近接センサ608)とコネクタ629が配置され、第1基板631の表面には、静電容量式の複数のタッチボタン(電極)633が配置されている。第1基板631には、複数の貫通した孔634が形成されており、各孔634はタッチボタン633に対応した背後の位置に配置されている。近接センサ607,608は、近接センサ機能を有するマイクロコンピュータである。
図57に示すように、第1基板631の後側に配置されている第2基板632の表面には、複数のLED635とコネクタ636が配置されている。第2基板632のコネクタ636は、第1基板631のコネクタ629に対して中継束線628により接続されている。
各LED635は、第1基板631の各孔634に対向する位置に配置されている。これにより、各LED635が発生する照明用の光LLTは、各孔634を通じてタッチボタン633を背後から前面板21A(22A)側に向けて照明することができる。これにより、ユーザは近接センサ607(608)の位置と、各タッチボタン633の位置を、前面板21A(あるいは前面板22A)とシート材621を通じて、目視で確認できる。
図58は、図56に示す制御操作部650のV2−V2線における断面図である。
図58に示すように、ガラス製の前面板21Aの内面側には、遮蔽用のシート材621が印刷等により配置されている。このシート材621は、前面板21Aを通じて、内部が見えるのを防ぐために配置されている。前面板21Aの内側には、操作銘板661と、拡散フィルム662と、透明電極663と、基板664が、配置されている。前面板21Aから基板664に向けて、操作銘板661と、拡散フィルム662と、透明電極663の順番に間隔をおいて平行に配置されている。拡散フィルム662は、基板664に搭載されている複数のLED665が発生する照明用の光LLSを、前面板21A側へ拡散させる。
基板664の表面には、複数のLED665と、導光用の遮蔽板666と、フレキシブルプリント基板のコネクタ667が搭載されている。このコネクタ667は、フレキシブルプリント基板668により透明電極663に接続されている。各LED665は、両隣の遮蔽板666の間に配置されており、各LED665の照明用の光LLSは、遮蔽板666により透明電極663側へ照射されて、透明電極663を通った後に、拡散フィルム662により前面板21Aへ拡散される。これにより、ユーザは、前面板21Aとシート材621を通じて、透明電極663の電極の位置を目視で確認できる。
図59は、制御部656と、制御操作部650と、開扉操作部651,652と、開扉装置である開扉駆動部54,55の電気接続を示すブロック図である。
図59に示すように、制御部656は、制御操作部650と、第1基板631と第2基板632と、開扉駆動部54,55に電気的に接続されている。
図56に示す冷蔵庫1では、ユーザが冷蔵庫1の左扉21(あるいは右扉22)を開ける場合に、暗い環境であると、開扉操作部651,652の近接スイッチ607(608)の位置と、タッチボタン633の位置を視認し難い。このように、開扉操作部651,652の操作がし難いことを改善するために、図57に示すように、開扉操作部651,652のタッチボタン633の背面と近接センサ607(608)の背面には、照明光を供給するための照明手段としてのLED635が搭載されている。
このために、ユーザが指で、開扉操作部651,652のタッチボタン633をタッチ操作したい場合には、静電容量式の近接センサ607(あるいは近接センサ608)が人の近づいたことを検知する。制御部656は、近接センサ607(あるいは近接センサ608)から、人が近づいたことを知らせる信号を受けるので、制御部656の指令により、照明用のLED635が点灯するようになっている。
これにより、ユーザは、暗い環境でも開扉操作部651,652の近接スイッチ607(608)の位置と、タッチボタン633の位置を視認して、開扉操作部651,652のタッチボタン633を容易に操作でき、左扉21(あるいは右扉22)を開けることができるようになっている。
また、近接センサ607(あるいは近接センサ608)が人の近づいたことを検知すると、制御部656は、近接センサ607(あるいは近接センサ608)から、人が近づいたことを知らせる信号を受けるので、制御部656の指令により、図58に示す制御操作部650の照明用のLED665が点灯するようになっている。
これにより、ユーザは、暗い環境でも、制御操作部650の位置を視認して、制御操作部650を容易に操作できるようになっている。
ユーザが指で、開扉操作部651,652のタッチボタン633をガラス製の前面板21A,22Aの上から非接触でタッチ操作したい場合には、好ましくは図59の制御部656は、LED635の点灯時の明るさを複数段階にすることができる。
すなわち、近接センサ607(あるいは近接センサ608)が人の近づいたことを検知すると、図59の制御部656は、LED635を微点灯させる。そして、ユーザが指で開扉操作部651,652のタッチボタン633を非接触でタッチ操作して左扉21(あるいは右扉22)の開扉操作が成立した場合には、図59の制御部656は、LED635を完全に点灯させて光量を上げる。
その後、ユーザがタッチボタン633から指を離すと、制御部656は、開扉駆動部54(あるいは開扉駆動部55)が動作して、左扉21(右扉22)を開けるようになっている。
これにより、ユーザが指で開扉操作部651,652のタッチボタン633をタッチ操作して左扉21(あるいは右扉22)の開扉操作が成立した場合に、LED635は微点灯から完全な点灯にして光量を上げるので、ユーザは、この光量の変更、即ち好ましくは光量の増加により、開扉操作が成立したことを目視で確認することができる。
図59に示す制御操作部650は、例えばユーザが冷却制御内容を変更操作するために操作される。制御部656は、図58に示す制御操作部650のLED665を点灯させる動作開始時点(点灯タイミング)が、図57に示す開扉操作部651,652のLED635を点灯させる動作開始時点(点灯タイミング)に比べて異なり、予め定めた遅延時間だけ、遅れるように設定することができる。すなわち、制御操作部650のLED665の光り方のタイミングと開扉操作部651,652のLED635の光り方のタイミングは、変更することができる。
例えば、開扉操作部651,652のLED635の点灯タイミングが、制御操作部650のLED665の点灯タイミングよりも早くすることができる。しかし、逆に、制御操作部650のLED665の点灯タイミングが、開扉操作部651,652のLED635の点灯タイミングよりも早くするようにしても良い。
これにより、近接センサ607(あるいは近接センサ608)が人の近づいたことを検知すると、開扉操作部651,652のLED635だけではなく、制御操作部650のLED665をも点灯させることができる。
図56に示すように、左扉21と右扉22においては、近接センサ607,608の位置は、制御操作部650の位置よりも下に配置され、しかも近接センサ607,608は、開扉操作部651,652のタッチボタン633の近傍にそれぞれ配置されている。
これにより、ユーザが手の指を近接センサ607(あるいは近接センサ608)に近づけて、近接センサ607(あるいは近接センサ608)に接触した後に、そのままわずかな指を下げる移動により、開扉操作部651,652のタッチボタン633に触れることができるので、ユーザにとっては使い易い。
次に、図60は、図56に示す左扉21の近接センサ607がユーザの手指の接近を検知後に、手指が開扉操作部651のタッチボタン633に接触した場合に、左扉21の制御操作部650と開扉操作部651が、点灯する様子の例を示している。
図60(A)では、ユーザの手指は、まだ近接センサ607には全く接近していない状態である。この状態では、制御部656は、静電スイッチである近接センサ607を「近接センサ」として機能させるために、制御部656は近接センサ607の感度を「大」に設定して感度を上げておくことで、「近接センサ」としての機能は「有効」である。
この場合には、制御部656は、開扉操作部651のタッチボタン633の機能である左扉21のオープン(開扉操作)は「無効」にしている。しかも、制御部656は、制御操作部650の点灯表示と開扉操作部651の点灯表示は、破線で示すように、「オフ状態」にしている。そして、制御操作部650のコントロールスイッチ(コントロールボタン)650CSとホームスイッチ(ホームボタン)650HSの操作(開扉操作)機能は、「無効」になっている。
次に、図60(B)では、手指HTが近接センサ607に近づいている状態を示している。この状態では、近接センサ607は手指HTの接近を検知するので、制御部656は、近接センサ607の「近接センサ」としての感度を「大」から「小」に切り替えて感度を落として近接センサの機能を下げる。
このため、制御部656は、開扉操作部651のタッチボタン633を機能させるので、手指HTがタッチボタン633に対して、前面板の表から触れることによる左扉21のオープン操作(開扉操作)機能は、「無効」から「有効」になる。
しかも、制御部656は、制御操作部650の点灯表示と、近接センサ607の開扉操作部651の点灯表示は、実線で示すように、「オン状態」になり、図57に示すLED635と図58に示すLED665は、例えば微点灯する。すなわち、図58に示すLED665が微点灯することで、制御操作部650を背後から照明して光らせるとともに、図57に示すLED635が点灯することで、開扉操作部651を背後から照明して光らせる。
好ましくは、この点灯表示時間は、所定の時間例えば10秒間だけ点灯するようにして、この10秒間の間に手指HTが開扉操作部651のタッチボタン633に接触しない場合には、再びLED635,665が消灯するようにしても良い。
ただし、制御部656は、図58に示す制御操作部650のLED665を点灯させる動作開始時点(点灯タイミング)が、図57に示す開扉操作部651のLED635を点灯させる動作開始時点(点灯タイミング)に比べて異なり、予め定めた遅延時間だけ、遅れるように設定することができる。すなわち、制御部656は、制御操作部650のLED665の光り方のタイミングと開扉操作部651のLED635の光り方のタイミングは、変更することができる。
例えば、開扉操作部651のLED635の点灯タイミングが、制御操作部650のLED665の点灯タイミングよりも早くすることができる。しかし、逆に、制御操作部650のLED665の点灯タイミングが、開扉操作部651のLED635の点灯タイミングよりも早くするようにしても良い。このように点灯タイミングを異なるようにすることにより、ユーザに対して、制御操作部650の位置と、開扉操作部651の位置を区別して表示することができる。
そして、制御操作部650のコントロールスイッチ650CSとホームスイッチ650HSの操作機能は、オンになり「無効」から「有効」になる。
次に、図60(C)では、手指HTが開扉操作部651のタッチボタン633に接触した状態を示している。この状態では、制御部656は、近接センサ607の「接触センサ」としての感度である「小」の状態に維持させる。制御部656は、開扉操作部651のタッチボタン633の機能である左扉21のオープン操作(開扉操作)機能を、「有効」のままにしている。
そして、制御操作部650のコントロールボタン(コントロールスイッチ)650CSとホームボタン(ホームスイッチ)650HSの操作機能は、オンになり「有効」であるので、操作が可能である。
しかも、制御部656は、制御操作部650の点灯表示と、近接センサ607の開扉操作部651の点灯表示は、実線で示すように、「オン状態」を維持している。
この場合に、好ましくは図60(B)における制御操作部650の点灯表示の光量と近接センサ607の開扉操作部651の点灯表示の光量は比較的小さくして、微点灯としている。しかし、図60(C)における手指HTの接触時では、制御操作部650の点灯表示の光量と開扉操作部651の点灯表示の光量は、微点灯から上げて、より大きい光量による完全な点灯で光らせる。
これにより、ユーザが指で開扉操作部651のタッチボタン633をタッチ操作して左扉21の開扉操作が成立した場合には、LED635は微点灯から完全な点灯にして光量を上げるので、ユーザは、点灯量の増加により、開扉操作が成立したことを目視で確認することができる。しかも、ユーザは、制御操作部650の表示と開扉操作部651の表示をより確実に視認できるとともに、消費電力の省エネルギー効果を上げることができる。
上述したように、図60(B)に示すように近接センサ607に手指HTを近づけた場合と、図60(C)に示すタッチボタン633に手指HTを接触した場合では、制御部656は、制御操作部650の照明と開扉操作部651の照明を行うために、上述したように点灯時の光量を変更して上げることができる。
その後、図60(D)では、ユーザの手の指HTが、開扉操作部52のタッチボタン633から離れた状態を示している。この状態では、制御部656は、開扉操作部651のタッチボタン633からの操作信号の入力を有効として、開扉駆動部54を動作させることで、該当する左扉21の開扉制御を行う。これにより、左扉21は、自動的に開くことができる。
しかも、制御部656は、制御操作部650の点灯表示と、近接センサ607の開扉操作部651の点灯表示は、実線で示すように、「オン状態」を維持している。そして、制御操作部650のコントロールスイッチ650CSとホームスイッチ650HSの操作機能は、オフになり「有効」から「無効」になる。
上述したように、図60を参照して説明した左扉21のオープン動作と同様にして、図56に示す右扉22の開扉操作部652を用いた右扉22のオープン動作についても行うことができる。
尚、左扉21の開扉操作部651のタッチボタン633により左扉21を開くと、右扉22の開扉操作部652のタッチボタン633の機能が切り換えられて、開扉操作部652のスイッチ機能を無効になるようにして、右扉22が開かないようにすることができる。逆の場合も同様である。
ところで、ユーザが指で、開扉操作部651,652のタッチボタン633を非接触でタッチ操作したい場合には、好ましくは図59の制御部656は、LED635の点灯時の点灯色を変えることができる。すなわち、近接センサ607(あるいは近接センサ608)が人の近づいたことを検知すると、図59の制御部656は、LED635を第1発光色である例えば青色で点灯させる。そして、ユーザが指で開扉操作部651,652のタッチボタン633をタッチ操作して左扉21(あるいは右扉22)の開扉操作が成立した場合には、図59の制御部656は、LED635を第2発光色である例えば赤色で点灯させる。
その後、ユーザがタッチボタン633から指を離すと、制御部656は、開扉駆動部54(あるいは開扉駆動部55)が動作して、左扉21(右扉22)を開ける。
これにより、ユーザが指で開扉操作部651,652のタッチボタン633をタッチ操作して左扉21(あるいは右扉22)の開扉操作が成立した場合に、LED635は赤色から青色に点灯色を変更するようになっているので、ユーザは、点灯色の変更により、開扉操作が成立したことを目視で確認することができる。なお、第1発光色と第2発光色の種類は、任意に選択できる。
また、図60(B)に示すように近接センサ607に手指HTを近づけた場合では、LED635,665を点滅させ、図60(C)に示すタッチボタン633に手指HTを接触した場合では、LED635,665を常時点灯させるようにすることもできる。ユーザは、開扉操作が成立したことを目視で確認することができる。
また、図56に示す左扉21と右扉22が観音開き式で設けられているが、左扉21が開扉中には、制御部656は、右扉22における開扉操作部652のタッチボタン633のLED635は、常時点灯させるようにしても良い。同様にして、右扉22が開扉中には、制御部656は、左扉21における開扉操作部651のタッチボタン633のLED635は、常時点灯させるようにしても良い。これにより、ユーザは、暗い環境でも、開いていない側の右扉22(あるいは開いていない側の左扉21)の開扉操作部の位置を目視で確認して、開扉操作部を容易に操作できる。
上述した各実施形態で説明した内容は、冷蔵庫以外の家電器具、例えばランドリー器具や、調理器具等に採用可能であり、操作部としての発明としても有効である。
[第32の実施の形態]
図61は、本発明の第32の実施形態を示す冷蔵庫1の正面図である。図62は、図61に示す冷蔵庫1の平面図であり、図63は、図61に示す冷蔵庫1の側面図である。
図61〜図63に示すように、一対の左扉21と右扉22が、冷蔵庫1の冷蔵室12の前面開口部を覆う。このために、左扉21と右扉22は、それぞれ冷蔵庫本体であるキャビネット11の左端部、右端部の上下をヒンジ部にて観音開き式に開閉するように取り付けられている。
左扉21、右扉22は、共に前面に開口する扁平な内板の開口部に着色透明のガラス製の前面板21A,22Aを取り付け、かつ内部空洞部に真空断熱材を配置し、真空断熱材で埋めきれない空洞部に発泡ポリウレタン断熱材(以下、単にウレタン断熱材とも記載する)あるいは予め成型された固体断熱材(例えばEPC)を配置した断熱構造部材である。
図61〜図63に示すように、開扉操作部551,552が、左扉21の前面板21A、右扉22の前面板22Aの下辺近傍に、それぞれ設置されている。開扉駆動部54,55が、キャビネット11の天板上面の前端近傍の左右箇所であって、左扉21、右扉22の上辺の開放側端部近傍に対応する位置に、それぞれ設置されている。
これらの開扉駆動部54,55は、左扉21と右扉22を別々に強制的に開扉動作させる開扉装置である。開扉駆動部54,55は、電磁石によりプランジャ54A,55Aを前方に押し出すことによって、左扉21、右扉22のそれぞれの開放側端部近傍の上辺を、前方に押し出して、左扉21、右扉22を強制的に自動開放する。
図61に示すように、一方の開扉操作部551は、左扉21の右下の位置に配置され、他方の開扉操作部552は、右扉22の左下の位置に配置されている。開扉操作部551は、左扉21のガラス製の前面板21Aの内部に配置され、開扉操作部552は、右扉22のガラス製の前面板22Aの内部に配置されている。
また、左扉21の前面板21Aの内部には、ユーザの手指により、前面板21Aの表からのタッチ操作により冷蔵庫を操作するための静電容量式の制御操作部650が設置されている。この制御操作部650は、左扉21において、開扉操作部551の上部の位置に配置されている。
この制御操作部650には、例えば冷蔵庫周囲の環境状態を検出ための赤外線受光部、コントロールボタン(コントロールスイッチ)650CSとホームボタン(ホームスイッチ)650HS、このホームボタン650HSへのタッチを検知し、操作ボタン名、冷却機能名、冷却強度等を透過表示するLED表示灯、温度値等の変化する数値を透過表示する7セグメントLED表示装置等が設けられている。
図64は、図61に示す開扉操作部551の基板553の構造例を示している。図65は、図64に示す開扉操作部551の基板553に配置された近接センサ560とガード電極570を示す図である。図66は、開扉操作部551の構造例を示す分解斜視図である。
図61に示す開扉操作部551と開扉操作部552は、同様の構造を有するが、左右対称形状である。図64は、開扉操作部551の基板553の形状例を示しているが、開扉操作部552と開扉操作部551は実質的に同様の形状であるので、図64から図66を参照して、開扉操作部551の基板553を代表して説明する。
まず、図66を参照すると、開扉操作部551は、基板組立体500Mと、基板組立体500Mを収納するためのオープンボックスと呼ばれるプラスチック製の収納空間部材585と、プラスチック製の蓋部材590を有している。プラスチック製の収納空間部材585の裏面585Rには、好ましくは金属体である例えばアルミ箔が貼ってある。プラスチック製の蓋部材590の内面には、アルミ箔等の金属体591が貼ってある。これにより、冷蔵庫1の本体側が生じる電磁波が、基板組立体500M側に、影響を与えないようにしている。
基板組立体500Mは、プラスチック製の遮蔽板599と、基板553と、操作銘板597、表示用のLED557を搭載したLED基板598から構成されている。基板553は、静電タッチスイッチ基板であり、遮蔽板599の前面側に固定されている。基板553の前面側には、操作銘板597が配置されている。遮蔽板599の背面側には、表示用のLED基板598が固定されている。このLED基板598には、複数個のLED577が搭載されている。
基板553と操作銘板597の対応する位置には、左右のスリット574,575が形成されている。この基板組立体500Mは、収納空間部材585の長方形の挿入口である開口部分586を通じて、収納空間部材585内に収納されるようになっている。収納空間部材585の開口部分586は、蓋部材590により覆うようになっている。
図64(A)と図65に示すように、開扉操作部551の基板553は、長方形あるいは正方形であり、基板553は図64(A)に示す表面553Aと図64(B)に示す裏面553Bを有する。基板553には、電子部品の搭載部分571と、近接センサ560とガード電極570の配置部分572が設けられている。図1に示す開扉操作部551の基板553と開扉操作部552の基板553は、好ましくは左右対称形状にして共通部品とすることができる。
図64(B)に示す裏面553B側の電子部品の搭載部分571は、下端部分に、第1段部553Mと、第2段部553Nを有している。裏面553B側の電子部品の搭載部分571の下端部分は、階段状に形成されている。
しかも、裏面553B側の電子部品の搭載部分571には、2つのコネクタ部品CC1、CC2と、図示しないマイクロコンピュータ等の電子部品等が搭載される。コネクタ部品CC1は、第1段部553Mに配置され、コネクタ部品CC2は、第2段部553Nに配置されている。
すなわち、コネクタ部品CC1とコネクタ部品CC2は、水平方向に横並びにはなっておらず、コネクタ部品CC1の基板553の裏面553Bに取り付けられている位置が、コネクタ部品CC2の基板553の裏面553Bに取り付けられている位置に比べて、Z方向(上下方向)に関して下側の位置になっている。コネクタ部品CC1は、第1段部553Mに沿って配置され、コネクタ部品CC2は、第2段部553Nに沿って配置されている。
これにより、コネクタ部品CC1、CC2の位置が上下方向に関してずらしてあるために、メンテナンス時にコネクタ部品CC1、CC2を取り外したり取り付ける際に、工具を用いて着脱し易くなる。
また、コネクタ部品CC1、CC2の位置が上下方向に関してずらしてあるために、結露による水が、コネクタ部品CC1、CC2の間から流れ落ちやすくなっているので、コネクタ部品CC1、CC2のところで、結露による水が溜まってしまうのを防ぐことができる。また、基板の裏面からコネクタ部品CC1、CC2が離間しているから、収納部内に水がたまった場合も、コネクタ部品CC1、CC2が水にぬれない。
また、基板553の裏面553B側の電子部品の搭載部分571には、2つのコネクタ部品CC1、CC2と、図示しない電子部品等が搭載され、基板553の表面553Aには電子部品が搭載されないようになっている。電子部品としては、例えばノイズ除去コンデンサ、信号処理用コンデンサ、トランジスタ、マイクロコンピュータ等である。このように電子部品が基板553の表面553Aではなく、裏面553B側に配置されているので、図66に示すように、操作銘板597の内面が、電子部品に影響されずに、基板553の表面553Aに対して密着して配置することができる。
しかも、基板553の裏面553B側の電子部品の搭載部分571には2つのコネクタ部品CC1、CC2が配置されているが、コネクタ部品CC1、CC2と近接センサ560とガード電極570とを離して配置することで、コネクタ部品CC1、CC2からのノイズが近接センサ560とガード電極570に影響するのを防いでいる。
図64(A)に示す基板533の表面553A側の配置部分572には、第1の電極である近接センサ560と、第3の電極であるガード電極570と、第2の電極である中間領域部分589が配置されている。近接センサ560は、配置部分572の最も中央に位置され、ガード電極570は、配置部分572の最も外側に位置されている。中間領域部分589は、近接センサ560とガード電極570の間に設けられている。近接センサ560とガード電極570と中間領域部分589は、金属の電極であるが、互いに電気的に絶縁されている。第2の電極である中間領域部分589は、近接センサ560を補助し、近接センサとしての機能を有している。ガード電極570は、近接センサ560の検知の有効範囲の変更を行う。近接センサ560は、複数の電極から構成されているのではなく、1枚の長方形状の電極により構成されている。これにより、ユーザは手指によりタッチ操作し易い形状を採用できる。
また、図64(B)に示すように、基板553の配置部分572に対応する裏面553Bには、第4の電極であるメッシュのグランドパターン573が配置されている。これにより、このグランドパターン573は、冷蔵庫本体からのノイズが、近接センサ560が発生する電磁界とガード電極570が発生する電磁界に影響を与えないようにする。
図64(A)と図65に示すように、近接センサ560の中央位置には、スルーホール560Cが形成されている。このスルーホール560Cには、図64(B)に示すように導線パターン560Hが接続されている。この導線パターン560Hは、連結部分560Aの部分を通ってスルーホール560Cに対して接続されている。導線パターン560Hは、スリット574,575以外の場所である連結部分560Aの裏側部分を通って配置されている。この連結部分560Aは後で説明する。
ユーザが指で近接センサ560を押す(接触する)行為は、通常は近接センサ560の真ん中を目指して行われるので、スルーホール560Cは、スルーホール560Cが近接センサ560の真ん中の位置に形成されている。
このように、スルーホール560Cを近接センサ560の真ん中の位置に形成するのは、次の理由からである。すなわち、近接センサ560では、このスルーホール560Cが形成されている中央の領域が他の領域に比べて、最もスイッチ感度が高くなる。このことから、ユーザの指がスルーホール560Cのある近接スイッチ560の真ん中を押すことで、最も感度が良いところに指を接触できるようにしている。
図64と図65に示す近接センサ560は、静電タッチ(接触)用の電極であり、図62と図63に示す左扉21と右扉22の正面(前面)方向で、例えば約100mmに人体または物体が近づいたことを検知するための、静電容量式の検知手段である。この近接センサ560は、ユーザの人体の一部、具体的には例えば手の指が近づくと、この指の接近を検知する。近接センサ560は、静電容量式のタッチセンサであるが、相互キャパシタンス方式のタッチセンサや自己キャパシタンス方式のタッチセンサを用いることができる。
相互キャパシタンス方式では、1つの送信電極と1つの受信電極により構成され、送信電極に電流が供給されると電磁界が生成されて、電磁界が受信電極に受信される。例えば人体の指が近接センサ560の検知領域に近づくと、電磁界の一部が吸収されて受信電極に受信されるので、検知されるエネルギーの量が減ることで、近接センサ560は指の接近を検知できる。
自己キャパシタンス方式では、浮遊容量を持つ電極(近接センサ560)が1つ必要である。電極(近接センサ560)の浮遊容量は、この電極(近接センサ560)とその周りの導電体(人体の指)との間にある寄生容量の影響を受ける。人体の指が、近接センサ560に近づくと、寄生容量の影響を受けて浮遊容量の値が増加し、この増加した浮遊容量を計測することで、近接センサ560は指の接近を検知できる。
図64と図65に例示するように、近接センサ560は、例えば縦方向に長く形成されている長方形状のスイッチであり、近接センサ560の周囲に電極を囲うように、スリット574,575が形成されている。すなわち、スリット574,575は、近接センサ560の周囲を囲むようにしてZ方向に沿って形成されている。これにより、スリット574,575を設けることで、近接センサ560の位置が分かり易い。図65に示すように、このスリット574,575には、例えば透明フィルム体576が覆われており、透明フィルム体576には、照明装置として機能する発光素子であるLED577が複数個間隔をおいて配置されている。
ただし、図65に示すように、複数個のLED577の内のスリット574,575の4つの角部576Rに対応する4つのLED577は、スリット574,575内から外れた外側の位置に配置されている。このようにすることで、4つの角部576Rに対応する4つのLED577が発生する照明光は、スリット574,575に対して影を生じ無いようにして照射できる。
図65に示すように、近接センサ560の一端部は、連結部分560Aにより配置部分572に連結され、近接センサ560の他端部は、連結部分560Bにより配置部分572に連結されている。これらの連結部分560A,560Bは、近接センサ560と、その周囲部分である中間領域部分589とをつなげるように連結しており、「橋」ともいう。連結部分560A,560Bは、上述したLED577が配置されている場所以外の位置に、避けて設けられている。これにより、連結部分560A,560BがLED577の照明光を妨げることがない。
近接センサ560の中央部には、電気接続用のスルーホール560Cが形成されている。このように近接センサ560の中央部分にスルーホール560Cを形成するのは、既に説明したように、スルーホール560Cを設けた近接センサ560の領域部分が、他の領域部分に比べて、検知感度が高い。ユーザの指が近接して接触する領域部分は、近接センサ560の中央部分であることから、スルーホール560Cを近接センサ560の中央部分に設けている。
次に、図64と図65に示すガード電極570について説明する。
ガード電極570は、配置部分572において、近接センサ560と中間領域部分589の周囲に、長方形状の枠型に形成されている。ガード電極570は、金属体であり、一対の短辺電極部分570Aと一対の長辺電極部分570Bから成る。ガード電極570は、近接センサ560が発生する電磁界とは反対方向の電磁界を発生する。
これにより、図62と図63に示すように、近接センサ560の発生する電磁界560Pは、ガード電極570の発生する反対方向の電磁界により拡がりが抑制される。このため、ガード電極570の発生する電磁界は、近接センサ560が発生する電磁界560Pの拡がりを抑制することで、ガード電極570は、人体の検知範囲の有効範囲を変更する検知範囲の有効範囲変更手段の役割をする。
ガード電極570は、人体の例えば指の接近を検知する際の近接センサ560の検知範囲を狭めて変更することで、近接センサ560の検知範囲の有効範囲を変更する。具体的には、ガード電極570が、近接センサ560の検知範囲の有効範囲を変更した結果、図62に示すように、左扉21の開扉操作部551の近接センサ560の発生する電磁界560Pは、近接センサ560の正面前方方向だけに導かれる。同様にして、右扉22の開扉操作部552の近接センサ560の発生する電磁界560Pは、近接センサ560の正面前方方向だけに導かれる。
このため、図62に示すように、近接センサ560の発生する電磁界560Pは、左右方向であるX方向には拡がらないよう絞っている。
しかも、図63に示すように、左扉21の開扉操作部551の近接センサ560の発生する電磁界560Pは、近接センサ560の正面前方方向だけに導かれる。同様にして、右扉22の開扉操作部552の近接センサ560の発生する電磁界560Pは、近接センサ560の正面前方方向だけに導かれる。このため、図63において、近接センサ560の発生する電磁界560Pは、上下方向であるZ方向には拡がらないように絞っている。
すなわち、図62と図63に示す近接センサ560の電磁界560Pは、人体の検知範囲の有効範囲を示しており、この人体の検知範囲の有効範囲は、近接センサ560の前方とは異なる方向の範囲(上下、左右に拡がる範囲)とは異なる範囲に相当する。
次に、図67は、制御部556と、開扉操作部551,552と、開扉装置である開扉駆動部54,55等の電気接続を示すブロック図である。
図67に示すように、制御部556は、開扉操作部551,552の近接センサ560とガード電極570と、開扉駆動部54,55と、複数の照明装置としてのLED577に電気的に接続されている。
制御部556の制御により、近接センサ560を「高感度」状態に保持している。指が近接センサ560の検知領域である図62と図63に示す電磁界560Pに入ると、図67の制御部556は、近接センサ560に指が近づいていることの信号SGを近接センサ560から受けるようになっている。
そして、図67の制御部556は、この近接センサ560からの信号SGを受けると、指が近接センサ560に対して接近したと判断して、ガード電極570への通電を止めるとともに、近接センサ560の感度を「高感度」から「低感度」に変更して下げるようになっている。しかも、制御部556は、この近接センサ560からの信号SGを受けると、制御部556は、LED577を点灯させて近接スイッチ560の周囲を照明することで、近接スイッチ560の位置を照明により浮かび上がらせて、ユーザが近接スイッチ560の位置を視覚で確認できるようになっている。
そして、指が近接センサ560に接近した状態から近接センサ560に接触すると、近接センサ560は接触スイッチとして機能して、近接センサ560は制御部556に対して、指が近接センサ560に接触した接触信号SHを送る。これにより、制御部556は、近接センサ560を接触センサとして機能させて、例えば左扉21の開扉操作を有効にして、制御部56は、開扉駆動部54を動作させて左扉21の開扉操作を実際に行うことができるようになっている。上述した操作手順は、右扉22についても同様である。
これにより、左扉21あるいは右扉22のガラス面の内側に配置されている近接スイッチ560の位置を、ユーザはLED577による照明による助けを受けて目視で確認しながら触れて、左扉21あるいは右扉22を開けることができる。
上述したように、制御部556は、近接センサ560の感度を、指が接近する際の「高感度」から「低感度」に切り替えることで、近接センサ560を接触センサとして機能させるようになっている。指が近接センサ560に近づく際には、制御部556は、静電スイッチ560を「近接センサ」として機能させるために、制御部556は近接センサ560の感度を「大」に設定することで、「近接センサ」としての機能は「有効」である。このため、制御部556は、近接センサ560を「接触センサ」として機能させないので、近接センサ560は、開扉操作部551,552の本来の機能である左扉21,右扉22のオープン(開扉操作)については「無効」である。
上述したように、ユーザの指を近接センサ560に近づけて、指が近接センサ560の人体の検知範囲の有効範囲としての電磁界560Pに入ると、近接センサ560は手の指の接近を制御部556に通知する。そして、近接センサ560から手の指の接近が制御部556に通知されると、制御部556は、近接センサ560としての感度を「大」から「小」に切り替えて設定する。しかも、制御部556は、近接センサ560の点灯表示は、オフ状態からオン状態になり、近接センサ560の位置はLED577により明示できる。このため、ユーザは近接センサ560の位置を目視で確認しながら、指で近接センサ560に確実に触れることができる。制御部56は、近接センサ560を本来の機能である「接触センサ」として機能させるので、近接センサ560に指で触れることにより、左扉21あるいは右扉22のオープン操作(開扉操作)は、「有効」になる。
上述した左扉21のオープン操作(開扉操作)は、右扉22のオープン操作(開扉操作)と同様であるので、その説明を省略する。
図64と図65に示すように、近接センサ560の周囲には、ガード電極570を配置することで、近接センサ560の人体の検知範囲の有効範囲である電磁界560Pは、左扉21と右扉22の正面方向(前方方向)で例えば約100mmの範囲に人の手や指が近づいたことを検知する。この際、近接センサ560の人体の検知範囲の有効範囲である電磁界560Pは、ガード電極570を配置することで、上下方向と左右方向には拡がらないように制限している。
図62に示すように、近接センサ560の人体の検知範囲の有効範囲の拡がりを左右方向(X方向)について制限することにより、図62に示すように、左扉21を矢印21Kで示す軌跡に沿って開けようとして指を左扉21の近接センサ560に近づける際に、閉じている右扉22の近接センサ560により指を検知しないようにすることができる。同様にして、右扉22を矢印22Kで示す軌跡に沿って開けようとして指を右扉22の近接センサ560に近づける際に、閉じている左扉21の近接センサ560により指を検知しないようにすることができる。
このため、右扉22の近接センサ560の人体の検知範囲の有効範囲である電磁界560Pは、移動手段としての左扉21を開く際の軌跡内に入らないようになっている。同様にして、左扉21の近接センサ560の人体の検知範囲の有効範囲である電磁界560Pは、移動手段としての右扉22を開く際の軌跡内に入らないようになっている。
これにより、左扉21あるいは右扉22を開く際に、開けないで閉じている側の右扉22あるいは左扉21の近接センサ560が、ユーザの指や左扉21あるいは右扉22を不用意に誤って検知してしまうのを防ぐことができる。
また、図63に示すように、近接センサ560の人体の検知範囲の有効範囲の拡がりを上下方向(Z方向)について制限することにより、移動手段としての引き出し式の扉23を矢印方向に引き出す際に、左扉21の近接センサ560の人体の検知範囲の有効範囲である電磁界560Pと右扉22の近接センサ560の人体の検知範囲の有効範囲である電磁界560Pは、引き出し式の扉23を開ける際の軌跡内に入らない。
これにより、引出し式の扉23を開ける際に、左扉21の近接センサ560と右扉22の近接センサ560が、ユーザの指や引出し式の扉23を不用意に誤って検知してしまうのを防ぐことができる。
図64(A)と図65に示すガード電極570は、上述したように、ガード電極570は、金属体であり、一対の短辺電極部分570Aと一対の長辺電極部分570Bから成る。例えば、図61に示す左扉21の前面板21Aに水分が付着して、その水分がガード電極570の位置の前面板21Aまで付着して、ガード電極570は水分により静電容量の変化を検知すると、図67に示す制御部556は、近接センサ560による開扉駆動部(開扉装置)54,55の開扉動作を無効にするようになっている。
具体的には、例えばユーザが左扉21の前面板21Aの表面あるいは右扉22の前面板22Aの表面を濡れた布きんを用いて拭いた時に、ガード電極570が水分を検知すると、近接センサ560が濡れた布きんを感知してオン状態になったとしても、図67に示す制御部556は、近接センサ560による開扉駆動部(開扉装置)54,55の開扉動作を「無効」にすることで、左扉21あるいは右扉22が勝手に開かないようにしている。これにより、左扉21あるいは右扉22が不用意に開くのを防止している。
また、制御部556は、ユーザが指でガード電極570に触れた後に近接センサ560に触れると、近接センサ560による開扉駆動部(開扉装置)54,55の開扉動作を「無効」にする。さらに、制御部556は、ユーザが指でガード電極570に触れると同時に近接センサ560に触れると、近接センサ560による開扉駆動部(開扉装置)54,55の開扉動作を「無効」にする。
これにより、ガード電極570が誤って人体を検知した場合には、左扉21あるいは右扉22が不用意に開くのを防止している。
図61に示すように、左扉21の前面板21Aの内側では、制御操作部650が設けられ、制御操作部650の下部には開扉操作部551が設けられている。従って、制御操作部650と開扉操作部551の近接センサ551の間の位置には、開扉操作部551のガード電極570の短辺電極部分570Aが配置されている。この短辺電極部分570Aは、図64と図65にも示している。
これにより、例えばユーザが左扉21の前面板21Aの表面の制御操作部650を濡れた布きんを用いて拭いた時に、その水が前面板21Aに沿って垂れてガード電極570に達する。この場合には、ガード電極570の短辺電極部分570Aが水分を検知すると、近接センサ560が濡れた布きんを感知してオン状態になったとしても、図67に示す制御部556は、近接センサ560による開扉駆動部(開扉装置)54の開扉動作を「無効」にすることで、左扉21が勝手に開かないようにしている。これにより、左扉21が不用意に開くのを防止している。
ところで、図65に示すガード電極570の横方向の電極隙間間隔DFと縦方向の電極隙間間隔RFは、人体の指HTの幅MFよりも大きい。ガード電極570の横方向の電極隙間間隔DFと縦方向の電極隙間間隔RFは、好ましくは15mm乃至75mmの範囲において選択することができる。これにより、ユーザが指HTを近接センサ560に近づけて触れる際に、指HTが不用意にガード電極570に触れてしまうのを防止することができる。
また、ガード電極570の横方向の電極隙間間隔DFと縦方向の電極隙間間隔RFは、人体の曲がっている肘が当たってもガード電極570には触れない大きさである。これらのガード電極570の横方向の電極隙間間隔DFと縦方向の電極隙間間隔RFは、例えば30mm乃至75mmの範囲において選択することができる。このようにガード電極570の大きさを設定することにより、ユーザが両手で鍋や皿等を持っていて、指ではなく曲げた肘を用いて近接センサ560に接触して、左扉21あるいは右扉22を開けようとする場合であっても、肘が近接センサ560とガード電極570の両方同時に触れてしまうことを防ぐことができるようにしている。これにより、ユーザは、指でも肘でも左扉21あるいは右扉22を開けることができる。
次に、図68を参照して、左扉21と右扉22における基板553の収納構造例を説明する。図68は、左扉21と右扉22における基板553の収納構造例を示す図である。図68(A)は、左扉21と右扉22の正面図であり、図68(B)は、基板553の収納構造を示す左扉21の内側端面部21T(右扉22の内側端面部22T)の構造を示す斜視図である。図68(C)は、蓋部材590の例を示す図である。
図68(A)に示すように、左扉21と右扉22を閉じた状態では、左扉21の内側端面部21Tと右扉22の内側端面部22Tは、向かい合っている。各内側端面部21Tでは、収納空間部材585の長方形の開口部分586が位置されており、左扉21と右扉22の内部には、基板組立体500Mの収納空間部材585が位置されている。基板組立体500Mは、開口部分586から収納空間部材585内に挿入して収納するようになっている。
ただし、このように基板組立体500Mを収納空間部材585内に挿入して収納する場合には、図66に示すように、基板553の配置部分572側が、蓋部材590側に来るようにして、電子部品の搭載部分571側から開口部分586へ挿入して電子部品の搭載部分571側が収納空間部材585の奥側に達するようにする。
このように、近接センサ560とガード電極570は、基板553の表面に配置され、基板553の裏面には部品搭載部分571が設けられ、基板553が左扉21内に保持された状態では、部品搭載部分571は、挿入口である開口部分586側に位置される基板553の部分572とは反対側に位置されている。
これにより、基板組立体500Mを収納空間部材585内に挿入して収納する場合には、作業者は、部品搭載部分571の第1段部553Mと第2段部553Nの位置を目視で確認しながら、基板組立体500Mを収納空間部材585内に挿入できるので、基板組立体500Mを誤った挿入方向に挿入してしまうのを防ぐ。
開口部分586は、基板組立体500Mを収納した後に、蓋部材590により閉じる。この蓋部材590の内面には、アルミ箔テープや鉄板のような金属体591が配置されている。金属体591は、近接センサ560が発生する人体の検知範囲の有効範囲としての電磁界を制限して、近接センサ560の検知範囲の有効範囲を変更する変更手段である。検知範囲の有効範囲変更手段としての金属体591は、隣接する移動手段である左扉21と右扉22との間に配置されている。
このように蓋部材590に金属体591を配置することにより、金属体591は、左扉21と右扉22との間において電磁界を遮断する。従って、左扉21の近接センサ560の電磁界とガード電極570の電磁界が、右側22の近接センサ560とガード電極570の電磁界側に影響を与えない。また、右扉22の近接センサ560からの電磁界とガード電極570の電磁界が、左側21の近接センサ560とガード電極570の電磁界側に影響を与えない。
次に、図61〜図63と図67を参照して、ユーザが、例えば左扉21を開ける場合の動作例を説明する。
ユーザが指を、図62と図63に示す左扉21側の近接センサ560に近づけて、図62と図63に示す人体の検知範囲の有効範囲としての電磁界560Pに入ると、高感度状態の近接センサ560は、指が近接センサ560に近づいていることを検知する。これにより、図67の制御部556は、近接センサ560に指が近づいていることを示す信号SGを受ける。
そして、図67の制御部556は、この近接センサ560からの信号SGにより、ガード電極570への通電を止めるとともに、制御部556は、近接センサ560の感度を下げて「高感度」から「低感度」に変更する。しかも、制御部556は、LED577を点灯して近接スイッチ560を照明することで、近接スイッチ560の位置を明示して、ユーザが近接スイッチ560の位置を視覚で確認できるようにする。
そして、指が近接センサ560に触れると、低感度の近接センサ560は、左扉21を開けるためのタッチスイッチ(接触スイッチ)として機能して、図67の制御部556に指が近接センサ560に接触した接触信号SHを送る。これにより、制御部556は、左扉21の開扉操作を有効にして、制御部556は、開扉駆動部54を動作させるので、左扉21の開扉ができる。
なお、ユーザが、右扉22を開ける場合の動作例は、上述した左扉21を開ける場合の動作例と同様であるので、説明を省略する。
このように、ユーザが指で接触センサとして機能する近接センサ560に触れた時には、制御部556は左扉21あるいは右扉22を自動的に開けることができる。
ユーザが近接センサ560のみに触れた時には、制御部556は、近接センサ560をタッチセンサ(接触センサ)として機能させて、左扉21の開扉操作を「有効」にすることで、左扉21の開扉操作を行う。このことは、右扉22についても同様である。
ところで、ユーザが、図64に示す近接センサ560とガード電極570の両方に不用意に触れた場合には、制御部556は、近接センサ560を接触センサとして機能させずに、左扉21の開扉操作を「無効」にすることで、左扉21の開扉操作を行わない。これにより、制御部556は、ユーザの例えば肘等が近接センサ560とガード電極570の両方に不用意に触れた場合には、左扉21の開扉操作を「無効」にして、左扉21の開扉操作を禁止することができる。
しかも、水滴の付着により、図64に示す近接センサ560とガード電極570の両方が検知した場合にも、制御部556は、近接センサ560を接触センサとして機能させずに、左扉21の開扉操作を「無効」にすることで、左扉21の開扉操作を行わない。上述した開扉操作の禁止は、右扉22についても同様である。
また、両開き式の冷蔵庫ではなく、片開き式の冷蔵庫の場合には、冷蔵庫の側面に人体または物体が来た場合に、扉の近接センサが、その人体または物体を不用意に誤検知してしまうのを防げる。
ところで、図64に示す近接センサ560が、ユーザの指HTの近接を検知する「近接検知モード」と、近接センサ560が、ユーザの指HTの接触を検知する接触センサとして機能する「静電タッチモード」は、次のようにして切り替えることができる。
図64に例示するように、第1電極としての近接センサ560と、第2電極としての中間領域部分589が、制御部556のマイクロコンピュータ599Cに接続されている。
モードを切り替える場合としては、上述した「近接検知モード」から、「静電タッチモード」に切り替える時と、「静電タッチモード」から、「近接検知モード」に切り替える時がある。
「近接検知モード」から、「静電タッチモード」に切り替える時には、近接センサ560が指HTの近接を検知したら、マイクロコンピュータ599Cは、第1電極としての近接センサ560と、第2電極としての中間領域部分589との内部接続を切って、近接センサ560のみが、「静電タッチモード」における静電タッチセンサとして機能する。
逆に、「静電タッチモード」から、「近接検知モード」に切り替える時は、指HTが近接センサ560から離れて、「静電タッチモード」から所定時間、例えば10秒間経過するか、あるいはドアオープンからドアクローズ等でリセットされた時に、マイクロコンピュータ599Cは、第1の電極としての近接センサ560と、第2の電極としての中間領域部分589との内部接続を行うようになっている。
次に、図74は、本発明の実施形態における図51と図52に示す第1の電極としての近接センサ560に指HTを接触させて左側の扉21を開ける場合について、第1の電極としての近接センサ560と、第2の電極としての中間領域部分589の切替を行い、左扉21の制御操作部650と近接センサ560が、点灯する様子の例を示している。この様子は、右側の扉22についても同様である。
図74(A)では、ユーザの手指は、まだ近接センサ560には全く接近していない状態である。この状態では、制御部556は、静電スイッチである近接センサ560を「近接センサ」として機能させるために、制御部556は、近接センサ560をオンして近接センサ560の感度を「大」に設定して感度を上げておくことで、「近接センサ」としての機能は「有効」である。しかも、制御部556は、中間領域部分589をオンして中間領域部分589の感度を「大」に設定して感度を上げておくことで、「近接センサ」としての機能は「有効」である。
この場合には、制御部556は、開扉操作部651のタッチボタン633の機能である左扉21のオープン(開扉操作)は「無効」にしている。しかも、制御部556は、制御操作部650の点灯表示と近接センサ560の点灯表示は「オフ状態」にしている。そして、制御操作部650のコントロールスイッチ(コントロールボタン)650CSとホームスイッチ(ホームボタン)650HSの操作(開扉操作)機能は、「無効」になっている。
次に、図74(B)では、手指HTが近接センサ560に近づいている状態を示している。この状態では、近接センサ560は手指HTの接近を検知するので、制御部556は、近接センサ560をオン状態であり近接センサ560の「近接センサ」としての感度を「大」から「小」に切り替えて感度を落として近接センサの機能を下げるが、中間領域部分589をオフにする。
このため、制御部556は、近接センサ560を接触センサとして機能させるので、手指HTが接触センサとして機能する近接センサ560に対して、前面板の表から触れることによる左扉21のオープン操作(開扉操作)機能は、「無効」から「有効」になる。
しかも、制御部556は、制御操作部650のLEDの点灯表示と、近接センサ560のLEDの点灯表示は、「オン状態」になり、両方のLEDの点灯状態としては、例えば微点灯する。すなわち、図58に示すLED665が微点灯することで、制御操作部650を背後から照明して光らせるとともに、図52に示すLED577が微点灯することで、接触センサとして機能する近接センサ560を、スリット574,575を通じて背後から照明して光らせる。この場合に、好ましくは、この点灯表示時間は、所定の時間例えば10秒間だけ点灯するようにして、この10秒間の間に手指HTが接触センサとして機能する近接センサ560に接触しない場合には、再びLED635,577が消灯するようにしても良い。
ただし、制御部556は、図58に示す制御操作部650のLED665を点灯させる動作開始時点(点灯タイミング)が、図52に示す近接センサ560のLED577を点灯させる動作開始時点(点灯タイミング)に比べて異なり、予め定めた遅延時間だけ、遅れるように設定することができる。すなわち、制御部556は、制御操作部650のLED665の光り方のタイミングと近接センサ560のLED577の光り方のタイミングは、変更することができる。例えば、近接センサ560のLED577の点灯タイミングが、制御操作部650のLED665の点灯タイミングよりも早くすることができる。しかし、逆に、制御操作部650のLED665の点灯タイミングが、近接センサ560のLED577の点灯タイミングよりも早くするようにしても良い。このように点灯タイミングを異なるようにすることにより、ユーザに対して、制御操作部650の位置と、近接センサ560と中間領域部分589の位置を区別して表示することができる。
そして、制御操作部650のコントロールスイッチ650CSとホームスイッチ650HSの操作機能は、オンになり「無効」から「有効」になる。
次に、図74(C)では、手指HTが接触センサとして機能する近接センサ560に接触した状態を示している。この状態では、制御部556は、近接センサ560の「接触センサ」としての感度である「小」の状態に維持させる。制御部556は、接触センサとして機能する近接センサ560の機能である左扉21のオープン操作(開扉操作)機能を、「有効」のままにしている。しかも、制御部556は、近接センサ560のLEDの点灯表示の点灯状態としては、微点灯から光り方を変更して通常の点灯にする。
すなわち、図58に示すLED665が通常の点灯することで、制御操作部650を背後からより明るくなるように照明して光らせるとともに、図52に示すLED577が通常の点灯をすることで、接触センサとして機能する近接センサ560を、スリット574,575を通じて背後からより明るくなるように照明して光らせる。つまり、図74(C)における手指HTの接触時では、制御操作部650の点灯表示の光量と近接センサ560の点灯表示の光量は、微点灯から通常点灯に上げて、より大きい光量による完全な点灯で光らせることで、近接センサ560の点灯表示はより明るくなる。制御部556は、制御操作部650のLEDの点灯状態にも、微点灯から通常の点灯にする。
そして、制御操作部650のコントロールボタン(コントロールスイッチ)650CSとホームボタン(ホームスイッチ)650HSの操作機能は、オンになり「有効」であるので、操作が可能である。
これにより、ユーザが指で近接センサ560をタッチ操作して左扉21の開扉操作が成立した場合には、LED577は微点灯から完全な点灯にして光量を上げるので、ユーザは、点灯量の増加により、開扉操作が成立したことを目視で確認することができる。しかも、ユーザは、制御操作部650の表示とLED577の表示をより確実に視認できるとともに、消費電力の省エネルギー効果を上げることができる。
上述したように、図74(B)に示すように近接センサ560に手指HTを近づけた場合と、図74(C)に示すタッチボタン633に手指HTを接触した場合では、制御部556は、制御操作部650の照明と近接センサ560の照明を行うために、上述したように点灯時の光量を変更して上げることができる。
その後、図74(D)では、ユーザの手の指HTが、接触センサとして機能する近接センサ560から離れた状態を示している。この状態では、制御部556は、近接センサ560からの操作信号の入力を有効として、開扉駆動部54を動作させることで、該当する左扉21の開扉制御を行う。これにより、左扉21は、自動的に開くことができる。そして、制御部556は、接触センサとして機能する近接センサ560の機能を「無効」にする。
しかも、制御部556は、制御操作部650の点灯表示と、近接センサ560のスリット574,575におけるLED577の点灯表示は、実線で示すように、「オン状態」を維持している。そして、制御操作部650のコントロールスイッチ650CSとホームスイッチ650HSの操作機能は、オフになり「有効」から「無効」になる。
上述したように、図74を参照して説明した左扉21のオープン動作と同様にして、図56に示す右扉22の開扉操作部652を用いた右扉22のオープン動作についても行うことができる。
次に、図75を参照して、近接センサ560が指の接触を検知する原理を説明する。図75は、近接センサ560が指HTの接触を検知する原理を示す回路図である。
図75に示す接触検知回路888は、接触センサ(Cx)としての近接センサ560と、調整コンデンサ(Cmod)889と、クロック発生源890と、IDAC(電流出力デジタルアナログコンバータ)891と、ラッチ892と、タイマ893と、AND回路894と、カウンタ895を有している。IDAC891は、接触センサとしての近接センサ(Cx)560と調整コンデンサ(Cmod)889に、毎回同一の電流をパルス的に複数回流して、接触センサとしての近接センサ(Cx)560と調整コンデンサ(Cmod)889に電荷を少しずつ溜める。接触センサ(Cx)としての近接センサ560と調整コンデンサ(Cmod)889が同電位になるまで継続して電荷を溜めて、カウンタ895は、調整コンデンサ(Cmod)889に規定の電荷が溜まるまでのパルスの回数をカウントする。
指HTが、接触センサ(Cx)としての近接センサ560に触れると、接触センサとしての近接センサ(Cx)560の静電容量が増えるために、調整コンデンサ(Cmod)889に流れて溜まる電荷が少なくなり、調整コンデンサ(Cmod)889に電荷が溜まり終えるまでの時間がかかることから、カウンタ895がカウントするパルスのカウント数が多く(傾きが穏やか)なるため、結果傾きの変位が変わることになる。この傾きの変位の差分で指の有無を判定する。すなわち、カウンタ895がカウントするパルスのカウント数が、通常のカウント数(ベースカウント)より、一定の閾値を超えた値になった時に、制御部556は、指HTが接触センサ(Cx)としての近接センサ560に触れたと判断する。
次に、指HTが接触センサ(Cx)としての近接センサ560における感度の変更方法について説明する。
感度の変更方法としては、IDAC891の電流値を少なくすると、近接センサ(Cx)560に溜まる電荷量が同じであれば、充電し終わる時間が長くなり、緩やかになる。緩やかになると、同じ閾値で判断する場合には、感度が高くなる。
傾きが緩やかな状態(電流値が小さい)では、指が接触していない状態から指が接触した状態を検知する時は、傾きの変化が大きくなり、閾値を超えやすく感度が大きい。また、傾きが緩やかでない状態(電流値が大きい)では、指が接触していない状態から指が接触した状態を検知する時は、傾きの変化が小さくなり、閾値を超えにくく感度が小さい。
すなわち、手の指平全体で接触した時に初めて閾値を超えて検知する状態に比べて、電流値を小さくすることによって、指の先端のみで接触しても検知することができて、感度を上げることができる。また、閾値を小さくすることでも感度は上がるが、ノイズも検知してしまう課題があるので、上記の感度変更方法で感度を変更している。
次に、図76は、近接センサの基本構造を示す図である。
図76に示すように、近接センサ560と銅グランド569は、被覆層560R、ダイエレクトリック層560Dの間に位置されており、近接センサ560自体の静電容量CPと、指HTの静電容量CFを加えたものが、指が触った時の近接センサ560の静電容量CXである。
近接センサ560に指HTが静電タッチする動作では、指HTが触った時の近接センサ560の静電容量CXの変化を検知する。また、近接センサ560に指HTが近接することを検知する動作では、指が近づいた時の近接センサ560自体の静電容量CPの変化を検知する。指の近接時には、近接センサ560自体の静電容量CPを変えることで、近接距離(感度)を変える。近接時には、指が近接したことによるわずかな静電容量CPの変化を検知する。静電容量CPは、3次元方向の電界であり、電界に指があると、わずかに変化するから、全体の近接センサの静電容量CXが変わり、上述した検知により指の検知が可能となる。
次に、図77は、図74で示す第1の電極である接触センサとして機能する近接センサ560と、第2の電極である中間領域部分589について、近接モードと静電タッチモードの際の切り替え操作を説明する図である。
図77に示すように、第1の電極である接触センサとして機能する近接センサ560と、第2の電極である中間領域部分589は、マルチプレクサ556Rに接続されている。このマルチプレクサ556Rは、制御部556のマイクロコンピュータ556Mの指令により、近接センサ560と中間領域部分589を内部接続したり、内部接続を解除できるようになっている。
(1)近接モードから静電タッチモードへの切替動作時
近接モードから静電タッチモードへの切替動作を行う場合には、図74(A)から図74(B)に示すように、指HTが近接センサ560に近づいて、近接センサ56が指HTを検知すると、近接モードから静電タッチモードへ切り替わる。すなわち、図77のマイクロコンピュータ556Mの指令により、マルチプレクサ556Rは、近接センサ560と中間領域部分589を内部接続状態から、内部接続の解除状態にして、近接センサ560と中間領域部分589の接続を切る。これにより、近接センサ560のみが静電接触センサとして機能して使用することになり、中間領域部分589はオフになり使用しない。
(2)静電タッチモードから近接モードへの切替動作時
逆に、静電タッチモードから近接モードへの切替動作を行う場合とは、例えば静電タッチモードから10秒間経過したり、あるいは扉のオープンから扉のクローズ等でリセットされる場合である。この場合には、マイクロコンピュータ556Mの指令により、マルチプレクサ556Rは、近接センサ560と中間領域部分589の内部接続の解除状態から、内部接続状態に戻して、近接センサ560と中間領域部分589を接続することができる。
さらに、図48から図50を参照する。図48から図50には、第1の電極である近接センサ560と、第2の電極である中間領域部分589の近接検知有効範囲の変更例を示している。
近接センサ560の近接検知有効範囲は、第1の電極である近接センサ560だけを使用すると、小さい円HC1の範囲である。そして、近接センサ560に加えて、第2の電極である中間領域部分589をも併用することで、近接センサ560の近接検知有効範囲は、小さい円HC1から大きい円HC2まで範囲を広げることができる。
しかし、このように近接検知有効範囲を広げようとすると、大きい円HC2の近接センサの近接検知有効範囲では、移動手段である隣の扉21(あるいは22)や、扉の裏側のドアポケットに入るペットボトル等が近接センサ560の近接検知有効範囲に反応してしまい、扉を開ける指令が出てしまって、開けようとはしない側の扉が不用意に開いてしまう可能性がある。
そこで、近接センサ560の近接検知有効範囲の変更を行うために、近接検知有効範囲の変更手段として、図78と図51(B)に示す第4の電極であるグランドパターン573と、図51(A)に示す第3の電極であるガード電極570を、設けている。
図78は、近接センサ560と中間領域部分589における近接範囲の変更を説明する図である。
図78に示すように、図51(B)に示すように基板553の配置部分572に対応する裏面553Bには、第4の電極であるメッシュのグランドパターン573が配置されている。このグランドパターン(メッシュ電極)573は、近接センサ560と中間領域部分589の裏面側の基板553を覆っている。グランドパターン573と近接560と同じ電圧にすることで、近接センサ560と中間領域部分589からグランドパターン573に対しては、電界が形成されない。これにより、電界範囲を変更させて、近接センサ560により検知させたくない範囲を除くことができる。グランドパターン573からの電界は、近接センサ560と中間領域部分589方向に対してのみ電界が発生するようにしていて、近接センサ560と中間領域部分589からグランドパターン573に向かう電界を打ち消して、基板553の裏方向に向かう電界が無くなる(キャンセル)ようにしている。
これにより、図78(A)に示すように、基板553の裏に第4の電極であるグランドパターン573が配置されると、近接センサ560と中間領域部分589の近接検知範囲DL1が、図78(B)に示す近接検知範囲DL2に比べて大きくすることができる。グランドパターン573は、メッシュ金属シールド電極であり、図78(A)と図78(B)を比較すると、グランドパターン573の配置により、図78(A)では、図49に示す範囲Aの分だけ後ろ方向の電界が減少するか無くなる。
また、図51(A)に示すように、枠型のガード電極570を基板553に配置して、ガード電極570が、近接センサ560と中間領域部分589を囲むことで、図49に示す範囲Bの分だけ左右方向の電界が減少する。これにより、図48から図50に示すように、近接センサ560の近接検知有効範囲は、大きい円HC2から小さい形状HC3に変更でき、また、図50に示すように、上下方向には、範囲Cの分だけ減る。
そうすると、近接センサ560の近接検知有効範囲は、図50の小さい形状HC3で示すように、全体的に近接センサ560と中間領域部分589の近接検知範囲DL1の前方方向のみが伸びて、距離が長い範囲で、近接検知が可能である。そして、図53に示す金属体591を設けることでも、電界を作用させて、近接センサの近接検知有効範囲が、金属体591を超えないようにする機能もあり、より近接センサによる誤検知を防止できる。
[第33の実施の形態]
図69は、本発明の第33の実施の形態を示す冷蔵庫1の正面図である。
図69に示すように、冷蔵庫1は、冷蔵室12、野菜室13、切替室14、冷凍室15、製氷室16を有している。一対の左扉21と右扉22が、冷蔵室12の前面開口部を覆う。このために、左扉21と右扉22は、それぞれ冷蔵庫本体であるキャビネット11の左端部、右端部の上下をヒンジ部にて観音開き式に開閉するように取り付けられている。この例では、右扉22の幅は、左扉21の幅に比べて大きい。
左扉21、右扉22は、共に前面に開口する扁平な内板の開口部に着色透明のガラス製の前面板21A,22Aを取り付け、かつ内部空洞部に真空断熱材を配置し、真空断熱材で埋めきれない空洞部に発泡ポリウレタン断熱材(以下、単にウレタン断熱材とも記載する)あるいは予め成型された固体断熱材(例えばEPC)を配置した断熱構造部材である。
図69に示すように、1つの操作検知部701が、例えば左扉21に比べてサイズの大きい右扉22の前面板22Aの下部の位置に設置されている。
開扉駆動部54,55が、キャビネット11の天板上面の前端近傍の左右箇所であって、左扉21、右扉22の上辺の開放側端部近傍に対応する位置に、それぞれ設置されている。
これらの開扉駆動部54,55は、左扉21、右扉22を別々に強制的に開扉動作させる扉開閉装置(開扉装置)である。開扉駆動部54,55は、電磁石によりプランジャ54A,55Aを前方に押し出すことによって、左扉21、右扉22のそれぞれの開放側端部近傍の上辺を、前方に押し出して、左扉21、右扉22を強制的に自動開放する。
図70は、図69に示すZR−ZR線における操作検知部701の構造例を示す断面図である。
図69に示す操作検知部701は、図70に示すように、ガラス製の前面板22Aの内面側には、遮蔽用のシート材721が印刷等により配置されている。このシート材721は、前面板22Aを通じて、内部が見えるのを防ぐために配置されている。
前面板22Aの内面側には、第1基板731と第2基板732が配置されている。第1基板731と第2基板732は、間隔をおいて前面板22Aに対して平行に配置されている。
第1基板631の表面には、非接触センサとしての例えば4つの静電容量式の近接センサ711,712,713,714が配置され、裏面にはコネクタ729が配置されている。これらの近接センサ711,712,713,714は、例えば右扉22内の第1基板631上において二次元的(平面上)に配置されている。
図69に示すように、近接センサ711,712,713,714は、正方形の各角部に位置にそれぞれ配置されており、近接センサ711は、左上の角部に配置され、近接センサ712は、右上の角部に配置され、近接センサ713は右下の角部に配置され、そして近接センサ714は、左下の角部に配置されている。
これらの近接センサ711,712,713,714は、ユーザ(人体)の手指はもちろんのこと、掌(たなごころ、手の裏のこと)や手の側部や肘等を移動させる状態を、非接触で検知することができる。これにより、開扉駆動部54あるいは開扉駆動部55を駆動操作させることで、左扉21あるいは右扉22を開くようになっている。
近接センサ711,712,713,714は、静電タッチ(接触)用の電極であり、右扉22の正面(前面)方向で、ユーザの手や肘等が近づいたことを、前面板22Aを通じて非接触で検知する、例えば静電容量式の検知手段である。この近接センサ711〜714は、ユーザの人体の一部、具体的には例えば掌(たなごころ、手の裏のこと)や手の側部や肘等が近づくと、その接近を検知する。近接センサ711〜714は、静電容量式のタッチセンサであり、相互キャパシタンス方式のタッチセンサや自己キャパシタンス方式のタッチセンサを用いることができる。
図70に示すように、第2基板732の表面には、複数のLED735とコネクタ736が配置されている。第2基板732のコネクタ736は、第1基板731のコネクタ729に対して中継束線728により接続されている。
各LED735は、第1基板731の各孔734に対応する位置に配置されている。これにより、各LED635が発生する光は、各孔734を通じて近接センサ711〜714を背後から照明することができる。これにより、暗い環境であっても、ユーザは、各近接センサ711〜714の位置を、前面板22Aとシート材721を通じて目視で確認できる。
図71は、制御部756と、操作検知部701と、開扉装置である開扉駆動部54,55等の電気接続を示すブロック図である。
図71に示すように、制御部756は、操作検知部701と、開扉駆動部54,55と、複数個のLED735と、距離測定手段777に電気的に接続されている。
図69に示す冷蔵庫1では、ユーザが冷蔵庫1の左扉21(あるいは右扉22)を開ける場合に、暗い環境であると、ユーザが指で操作検知部701の非接触による操作をするのには、操作検知部701の各近接センサ711〜714の位置が見にくい。このように、各近接センサ711〜714の操作がし難いことを改善するために、各近接センサ711〜714の背面には、それぞれLED735を搭載している。
非接触センサ711〜714が、予め定めた特定の順番で手指はもちろんのこと、掌(たなごころ、手の裏のこと)や手の側部や肘の接近を検知すると、制御部756は、各近接センサ711,712,713,714から、人が近づいたことを知らせる信号を受けるので、制御部756は、開扉装置である開扉駆動部54あるいは開扉駆動部55により左扉21あるいは右扉22を開扉動作させるようになっている。
この際には、制御部756は、各近接センサ711,712,713,714から、人が近づいたことを知らせる信号を受けるので、制御部756の指令により、LED735が点灯できるようになっている。
これにより、ユーザは、暗い環境でも操作検知部701の各近接センサ711,712,713,714の位置を目視で確認して、各近接センサ711,712,713,714を容易に操作でき、左扉21(あるいは右扉22)を開けることができる。
上述したように、本実施形態の操作検知部701は、接触検知により人の操作検知を行うのではなく、非接触検知により左扉21あるいは右扉22を開けるようになっている。接触検知により扉を開ける場合には、接触検知部分に指を触れる必要があり、ユーザが手に何か持っている状態では、扉を開けにくいか、または肘で開ける必要がある。これに対して、操作検知部701は、接触検知部分に触れる必要の無い非接触操を採用していることにより、ユーザの動作や周囲環境の変化によるユーザの意図しない扉の開く動作を抑制できる。
図69と図70に示す操作検知部701の各近接センサ711,712,713,714は、ユーザの手指はもちろんのこと、掌(たなごころ、手の裏のこと)や手の側部や肘等を移動させる動作である、いわゆるジェスチャーを行うことで、左扉21あるいは右扉22を開くことを非接触で行うことができ、接触検知部分に触れる必要の無い非接触操作により、ユーザの動作や周囲環境の変化によるユーザの意図しない扉の開く動作を抑制できる。
図69に示すように、操作検知部701の各近接センサ711,712,713,714は、同じ間隔をおいて、上下方向(VT方向)と左右方向(HL方向)に、2次元的に配置されており、好ましくは正方形の4つの角部にそれぞれ位置されている。ユーザの手や肘等が、操作検知部701の各近接センサ711,712,713,714に対して、非接触で、特定の順番(上下方向、左右方向、斜め方向)で移動することで、図71の制御部756は、各近接センサ711,712,713,714で検知された手指はもちろんのこと、掌(たなごころ、手の裏のこと)や手の側部や肘の移動を認識する。これにより、制御部756は、例えば左扉21の開扉駆動部54を駆動して左扉21を開いたり、制御部756は、右扉22の開扉駆動部55を駆動して右扉22を開く機能を発揮させるようになっている。
操作検知部701は、右扉22のいずれかの仕切部に取り付けることができる。これにより、操作検知部701は、ガラス製の前面板の有無に関わらず、また扉の意匠や各種の動作表示に関わらずに配置できる。
操作検知部701の各近接センサ711,712,713,714は、1枚の第1基板731に設ける構造なので、製造を容易にすることができる。また、操作検知部701の各近接センサ711,712,713,714は、1枚の第1基板731に設けるのではなく、複数の基板上に設けることもできる。これにより、操作検知部701の各近接センサ711,712,713,714の配置上の自由度がより向上する。
次に、上述した冷蔵庫1の使用例を説明する。
以下に説明する使用例では、ユーザが両手の手指を用いて、物品、例えば皿や鍋等を持って両手が塞がっている状態で、手指を用いては、図69に示す近接センサ711〜714に対して接触により操作して、例えば左扉21(あるいは右扉22)を開扉動作することができない場合を説明する。
この場合には、近接センサ711〜714を非接触で操作することができるユーザの人体の部位としては、掌(たなごころ、手の裏のこと)や手の側部、あるいは肘等である。
上述のように、ユーザが、掌や手の側部、あるいは肘等を用いて、近接センサ711〜714を予め定めた特定の順番で検知させると、制御部756は、例えば左扉21の開扉駆動部54を駆動して左扉21を開くか、あるいは制御部756は、右扉22の開扉駆動部55を駆動して右扉22を開くことができる。
図72は、ユーザが、掌や手の側部、あるいは肘等の動作(ジェスチャー)により、近接センサ711〜714に対して予め定めた特定の順番で接近操作する例を示している。
この特定の順番とは、ユーザの掌や手の側部、あるいは肘が、近接センサ711〜714の内の少なくとも2つ以上の近接センサに近接して移動させる経路をいい、予め定められている。
図72(A)に示す特定の順番としては、ユーザの掌や手の側部、あるいは肘の右方向矢印で示す第1方向DD1に沿った移動により、2つの非接触センサ711,712が人体(掌や手の側部、あるいは肘)を順次検知し、かつ第1方向DD1とは異なる左方向矢印で示す第2方向(反対方向)DD2に沿った移動により2つの非接触センサ712,711が人体(掌や手の側部、あるいは肘)を順次検知することにより得られる。
この場合には、第1方向DD1と第2方向DD2は、第1特定方向F1を構成しており、この第1特定方向F1の特定の順番は、例えば制御部756に対して、開扉駆動部54により左扉21の開扉動作させる機能を指示する。
図72(B)に示す別の特定の順番としては、ユーザの掌や手の側部、あるいは肘の右方向矢印で示す第1方向DD1に沿った移動により、2つの非接触センサ711,712が人体(掌や手の側部、あるいは肘)を順次検知し、かつ第1方向DD1とは異なる下方向矢印で示す第3方向DD3に沿った移動により2つの非接触センサ712,713が人体(掌や手の側部、あるいは肘)を順次検知することにより得られる。
この場合には、第1方向DD1と第3方向DD3は、第2特定方向F2を構成しており、この第2特定方向F2の特定の順番は、例えば冷蔵庫1の収納室である例えば、図69に示す庫内設定温度を切り換えることができる切替室14内を急激に冷凍する、いわゆる「一気冷凍」機能を、制御部756に対して、指示する。この「一気冷凍」機能は、食品の水分が凍る−1℃〜−5℃の温度帯を一気に通過して、冷凍時の細胞損傷を抑え、うま味を保つ機能である。
上述したように、ユーザが、掌や手の側部、あるいは肘等の動作(ジェスチャー)により、近接センサ711〜714の内の少なくとの2つの近接センサに対して予め定めた特定の順番で接近操作することで、予め定めた機能として例えば左扉21を開けたり、右扉22を開けることができる。
これにより、近接センサ711〜714を左扉21あるいは右扉22に配置したとしても、ユーザが単に冷蔵庫1の前を通っただけでは、左扉21あるいは右扉22が開いてしまうことを防ぐことができる。
また、図73は、近接センサに対して別の予め定めた特定の順番で接近操作する例を示す図である。
図73に例示するように、ユーザが両手の手指を用いて皿や鍋等を保持して両手が塞がっている状態であり、両手の手指を近接センサ711〜714に対する近接操作に使えない時に、手の掌(たなごころ、手の裏のこと)や手の側部、や肘等を用いて、非接触で近接センサ711〜714を予め定めた特定の順番で検知させることで、予め定めた任意の機能を、制御部756に指示するようにすることもできる。
掌(たなごころ、手の裏のこと)や手の側部や肘をジェスチャーして動かす方向は、上下方向、左右方向、斜め方向を2つまたは3つ以上を、任意に組み合わせて用いることができる。
例えば、図73(A)では、第1方向(右方向)DD1と第4方向(斜め下方向)DD4の組み合わせを示し、図73(B)では、第5方向(下方向)DD5と第6方向(上方向)DD6の組み合わせを示している。
図73(C)では、第3方向(下方向)DD3と第7方向(上方向)DD7の組み合わせを示し、図73(D)では、第8方向(右方向)DD8と第9方向(左方向)DD9の組み合わせを示している。
これらの複数の方向のジェスチャーの組み合わせにより、制御部756は、例えば左扉21を開いたり、右扉22を開く等の各種の機能を、発揮できる。
ところで、図示した例では、操作検知部701は、4つの近接センサ711,712,713,714から構成されている。しかし、これに限らずに、操作検知部701は、2つの近接センサ、3つの近接センサ、5つ以上の近接センサから構成することもできる。これらの近接センサは、扉において二次元的(平面上)に配置することができる。
上述した冷蔵庫1では、観音開閉式の左扉21と右扉22を備え、左扉21と右扉22の前面側にはガラス板の前面板21A,22Aが配置されている。しかし、これに限らず、左扉21と右扉22の前面側は、ガラス板ではなく、鋼板等の金属板であっても良い。また、冷蔵庫としては、片開き式の1枚の扉を有するものであっても良い。
操作検知部701の各近接センサ711,712,713,714は、静電容量式であるが、これに限らず赤外線によりユーザの指を非接触で検知する方式を採用しても良い。
また、冷蔵庫には、例えば図69と図71に例示する距離測定手段777を、左扉21のガラス製の前面板21Aの裏側あるいは右扉22のガラス製の前面板22Aの裏側、冷蔵庫のフレーム、あるいは各貯蔵室を区分けしている仕切部分等に配置することができる。
この距離測定手段は777は、冷蔵庫1からのユーザの人体までの距離を測定するものである。例えば、冷蔵庫が設置される部屋の大きさによっては、距離測定手段777により測定される人体の距離が変更されることがある。広い部屋に冷蔵庫が設置されていれば、冷蔵庫1と人体との距離は大きくなるし、狭い部屋に冷蔵庫が設置されていれば、冷蔵庫1と人体との距離は小さくなる。
従って、距離測定手段777により測定される人体までの距離が変更されことに基づいて、制御部756は、非接触センサである近接センサ711,712,713,714が人体を検知できる動作が有効になる範囲を、変更できるように構成することができる。つまり、近接センサ711,712,713,714の検知の際の感度を、高感度から中感度程度の間で、調整することができるようになっている。
操作検知部701の各近接センサ711,712,713,714は、ガラス製の前面板を有していない通常構造の鋼板製の例えば右扉22にはめ込み式で取り付けることができる。このような構造を採用することで、操作検知部701は扉の任意の位置に配置できる。
操作検知部701は、図70に示す前面板22Aの内側であって、ウレタン断熱材内に設置することができる。これにより、操作検知部701は扉の任意の位置に配置できる。
操作検知部701は、右扉22の縁部分に配置されているプラスチック製のキャップ上またはキャップ下に取り付けることができる。これにより、操作検知部701は、ガラス製の前面板の有無に関わらず、また扉の意匠や、各種の動作表示部分が配置されていることに関わらずに配置できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、様々な実施形態との組み合わせることができ、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
なお、LEDの表示に合わせて操作位置を示す印刷などを施してもよい。この印刷は、LED光が透過する半透明な印刷などが好ましい。