JP6365476B2 - 車両制御装置 - Google Patents
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Description
CACC制御とは、車両(以下、「自車」と称呼する場合がある)が自身の直前に位置する先行車との間で無線通信(車車間通信)を行いながら先行車の加速度に関する情報を取得し、その情報を用いて自車を先行車に対して協調して追従走行させる制御である。
自車の周囲を複数の他車が走行している場合、自車が「自車の直前を走行している先行車」と通信を行いながらCACC制御を実行するためには、自車は自身が通信を行っている複数の他車の中から先行車を特定し、その特定した先行車を通信追従対象車として認識する必要がある。
特許文献1の車両制御装置が搭載された自車は、自車の速度である自車速を検出する自車速検出手段を備えている。
さらに自車はレーダセンサ及び無線通信手段を備えている。
自車はレーダセンサから出射され且つ先行車によって後方に反射された検出波を受信すする。そして車両制御装置は、受信した検出波に基づいて先行車の自車に対する相対速度を演算する。
さらに自車の車両制御装置は、自車速及び相対速度に基づいて、先行車の速度である先行車速度を演算する。
さらに自車は、無線通信手段を利用して自車の周囲に位置する他車と無線通信を行う。自車と無線通信を行っている通信車である当該他車は、自身の車速である通信車速度を無線通信によって自車へ送信する。従って、自車は当該他車(通信車)の速度である通信車速度を取得可能である。
最終先行車確率が1に近いほど通信車(他車)が先行車である確率は高く、最終先行車確率が0に近いほど通信車が先行車である確率は低くなる。
従って、最終先行車確率が1に近い場合は、車両制御装置は自車が無線通信を行っている通信車が先行車であると認識し、この先行車(通信車)を通信追従対象車として特定する。そして車両制御装置は、この通信追従対象車(先行車)と無線通信を行いながら自車をCACC制御する。
そのため特許文献1はこのような場合に、通信車である先先行車の直後に位置する非通信車である先行車を通信追従対象車であると誤判定するおそれがあった。
自車(10)の速度である自車速を検出する自車速検出手段(42)と、
前記自車の直前を走行し且つ同自車が追従走行すべき先行車(11)の同自車に対する相対速度を取得する相対速度取得手段(60、61)と、
前記自車速及び前記相対速度に基づいて前記先行車の速度である先行車速度を演算する先行車速度演算手段(20)と、
前記自車の周囲に存在する他車(11〜13)と無線通信を行って同他車から同他車の速度である通信車速度を含む他車通信情報を取得する通信車速度取得手段(80、81)と、
前記先行車速度及び前記通信車速度に基づいて、前記他車と前記先行車との類似度を演算する類似度演算手段(20)と、
前記他車が前記先行車である確率を前記類似度が大きくなるにつれてより高くなるように演算し、且つ、演算した確率に基づいて、前記他車が前記先行車であるか否かを判定する先行車特定手段(20)と、
前記先行車であると判定された前記他車との無線通信によって取得される前記他車通信情報に基づいて前記自車の加速度を制御することにより、同自車を同他車に追従して走行させる走行制御手段と、
を備える車両制御装置において、
前記先行車特定手段が、所定時間内における前記先行車速度の最大値と最小値との差である先行車速度変動量に1以上の所定の係数を乗じた値が前記所定時間内における前記通信車速度の最大値と最小値との差である通信車速度変動量より小さいとき、前記先行車速度変動量が前記通信車速度変動より大きいときと比べて前記確率を低めに算出する(ステップ403、404、413、414)ように構成されている。
しかし本発明の先行車特定手段は、先行車速度変動量に1以上の所定の補正係数を乗じた値が通信車速度変動量より小さいときに、先行車速度変動量が通信車速度変動より大きいときと比べて上記確率を低めに算出するように構成されている。
従って、本発明の先行車特定手段は、通信車である先先行車の直後に位置する先行車を通信車であると誤判定するおそれを小さくしながら、通信車である他車が先行車である確率を高い精度で算出できる。
本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の各実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
・他車:自車以外の車両
・先行車:自車が備えるセンサ(自車レーダセンサ、即ち、相対情報取得手段)により捕捉している自車の直前を走行している他車
・他車通信情報:自車と他車とが無線通信(車車間通信)を行うことにより当該自車が取得する当該他車に関する情報
・通信車:他車通信情報を送信してくる他車
・通信追従対象車:自車と無線通信を行うことにより当該自車が当該無線通信によって得られた他車通信情報に基づいて当該自車の加速度を制御し、以て、当該自車が追従走行すべき先行車
図1に示したように、本発明の実施形態に係る車両制御装置は自車10に搭載される。
車速センサ42は、自車の速度(自車速)Vjを検出し、その自車速Vjを表す信号を出力する。
車間距離Drは、自車10と先行車11と間の距離である。
相対方位θpは、自車10の位置を基準にした自車10の進行方向に対する先行車11の進行方向の角度(相対方位)である。
(A)通信車のブレーキ制御ECU40が取得した当該通信車の車速(通信車速度)Vcb。
(B)通信車のGPS装置70が取得した当該通信車の位置Pc。
(D)通信車の車両制御装置が「協調追従走行制御及び車間距離制御」の何れかの制御を実行している場合において、その制御を行うために算出している(当該通信車に要求している)加速度である要求加速度Gc。
(E)通信車の車速(他車速)Vcbを当該通信車の車両制御ECU20が時間微分することにより取得している当該通信車の実加速度Ga(=dVcb/dt)。
続いて車両制御ECU20による自車10の基本的な走行制御方法について説明する。
上述のように自車10は先行車11が通信車である場合にのみ、先行車11を通信追従対象車とするCACC制御を実行可能である。換言すると、通信車が先行車11以外の他車の場合には、自車10はCACC制御を実行できない。そのため自車10は、以下の方法によって通信車が先行車11か否かを判定する。
Vb(t)=k×{Vcb(t−dt)−Vfr(t−dt)}+(1−k)×Vb(t−dt)
k:フィルタ係数
dt:演算周期
t:現在時刻
以下、このようにして補正された通信車速度を通信車速度(バイアス補正後通信車速度)Vcと表記する。
このフローチャートの詳細な説明は後述することにし、まずはこのフローチャートの基本的な技術思想の概略を説明する。
これらの類似度g1n、g2n、g3nはいずれも、先行車11と通信車の類似度、即ち、通信車が先行車11である可能性を表す数値である。なおnは1〜3の数である。即ち、類似度g1n、g2n、g3nはそれぞれ三種類ずつ算出される。類似度g1n、g2n、g3nの大きさはいずれも0以上且つ1以下である。
しかし、このようにして算出した最終先行車確率は、特に、先行車が略一定の速度で走行している場合に先行車以外の通信車が同様に実質的に同じ一定速度で走行していると、その先行車以外の通信車と先行車との間の速度の類似度が高くなり、よって、最終先行車確率の信用度が低くなる。つまり、先行車以外の通信車を先行車であると誤認識する可能性が高くなってしまう。
この補正係数fnは、通信車速度Vc、相対速度Vr及び先行車速度Vfrの変動量が最終先行車確率Pnに及ぼす影響を踏まえて演算された数値であり、その大きさはいずれも0以上且つ1以下である。補正係数fnは、基本的には、速度変動量SHnが大きいほど「1」に近づき、非先先行車度apnが大きいほど「1」に近づくように算出される。
従って、補正係数fnを利用して求めた最終先行車確率Pnと閾値Pthに基づいてCPUが「通信車が先行車11である」と判定した場合は、その先行車11が実際に通信車である確率は高くなる。
ステップ301の処理は、図4のフローチャートに従って行われる。
自車10のCACCスイッチ22がオン位置にある場合、自車10のCPUは所定時間(例えば数msec)おきに図4のフローチャートに示したルーチンを繰り返し実行する。
仮に対象としている通信車が先行車11の直前に位置する先先行車(図示略)であり且つ非通信車である先行車11が先先行車に追従すべくACC制御を行っているとき、先先行車(通信車)のΔVcがΔVfrより大きくなり易いことが、経験的な事実として知られている。これは、例えば、先先行車が加速した後に先行車が加速し始めるからである。
即ち、ΔVfr×k1(ΔVfr)<ΔVcが成立している場合は、通信車が先行車11である可能性よりも、通信車が先先行車である可能性の方が高いと推測できる。
図5に示すように、ΔVfrが0から所定の大きさであるΔVfr1の間の大きさのときはk1=1である。しかしΔVfrがΔVfr1を超えるとk1は徐々に大きくなり、ΔVfrが所定の大きさであるΔVfr2を超えるとk1は1より大きい一定値となる。
従って図4のフローチャートでは、ΔVfrが所定の大きさであるΔVfr1を超えた場合は、超えない場合と比べて通信車が先行車11であると判定される可能性が高くなる。
そしてΔVcinvは(後述するステップ413でΔVinvとして選択された場合は)、ステップ414において速度変動量SHnの値を小さくするために利用される。換言するとΔVcinvは、CPUが「通信車が先行車11である」と判定する可能性を低くするために利用される。そのため、ステップ404で求めたΔVcinvの値が大きくなればなるほど、CPUが「通信車が先行車11である」と判定する可能性が低くなる。
上述の説明から明らかなように、ΔVcinvが0に設定された場合(且つΔVcinvがステップ413でΔVinvとして選択される場合)、CPUはステップ414において速度変動量SHnの値を大きめに算出する。即ち、CPUが「通信車が先行車11である」と判定する可能性が高くなる。
CPUはステップ406において、dVrmax/dt>0(今回のステップ406処理時のVrmaxが前回のステップ406処理時のVrmaxより大きければ、dVrmax/dt>0となる。逆に、今回のステップ406処理時のVrmaxが前回のステップ406処理時のVrmax以下であれば、dVrmax/dt>0とはならない。)、dVfr/dt>0及びdVc/dt<0の全てが成立しているか否かを判定する。
先行車11が加速し且つ自車10の速度が殆ど変化しない場合にdVrmax/dt>0及びdVfr/dt>0が成立する。その一方で、通信車が減速している場合にdVc/dt<0が成立する。即ち、dVrmax/dt>0、dVfr/dt>0及びdVc/dt<0の全てが成立するときは、先行車11の加速度の符号(プラスとマイナス)と通信車の加速度の符号とが互いに異なる。
そのため、dVrmax/dt>0、dVfr/dt>0及びdVc/dt<0の全てが成立する場合は、「通信車は先行車11らしくない」と推測できる。
先行車11が減速し且つ自車10の速度が殆ど変化しない場合にdVrmax/dt<0及びdVfr/dt<0が成立する。その一方で、通信車が加速している場合にdVc/dt>0が成立する。即ち、dVrmax/dt<0、dVfr/dt<0及びdVc/dt>0の全てが成立するときは、先行車11の加速度の符号と通信車の加速度の符号とが互いに異なる。
そのため、dVrmax/dt<0、dVfr/dt<0及びdVc/dt>0の全てが成立する場合も、「通信車は先行車11らしくない」と推測できる。
また図6(b)のグラフでは時刻taが経過すると、dVrmax/dt<0、dVfr/dt<0及びdVc/dt>0となる。従って、先行車速度Vfr、相対速度Vr及び通信車速度Vcが図6(b)のように変化する場合に時刻taを経過した時刻においてCPUがステップ407の処理を行うとき、CPUはYESと判定してステップ408へ進む。
この無効カウンタとは、ステップ406、407の判定結果に基づいて算出される「対象としている通信車が先行車11らしくない」度合を表すものであり、その数値が大きくなればなるほど「対象としている通信車が先行車11らしくない」度合が高くなる。
さらにCPUはステップ409においてΔVrbaseとして現時点におけるΔVrを設定する。即ち、図6(a)、(b)のグラフの時刻ta以前の現在時刻におけるΔVrをΔVrbaseとして設定する。
なお、後述するようにこのΔVrbaseは、ステップ411においてΔVrinvを求めるための値である。
さらにCPUはステップ408において、ΔVrbaseとして前回の図4のフローチャート処理時のステップ409又はステップ408で求めたΔVrbaseである前回値を保持する。ここで、例えば今回のステップ408の処理時刻が図6(a)、(b)のグラフの時刻tbであり且つ前回の処理時が時刻taの場合は、ΔVrbaseの前回値は時刻taにおけるΔVrとなる。また、例えば今回のステップ408の処理時刻が図6(a)、(b)のグラフの時刻tcであり且つ前回の処理時が時刻tbの場合は、ΔVrbaseの前回値は時刻tbにおけるΔVrbase、即ち時刻taにおけるΔVrとなる。即ち、ステップ408にて設定されるΔVrbaseは、時刻ta以前にステップ409で最後に取得されたΔVrとなる。
CPUが閾値invを超えたと判断した場合、即ち、「通信車が先行車11らしくない」可能性がある程度の高さで推測できると判断した場合は、CPUはステップ410でYESと判定してステップ411へ進む。
このΔVrinvはΔVcinvと同様に(後述するステップ413でΔVinvとして選択された場合に)、ステップ414において速度変動量SHnの値を小さくするために利用される。そのため、ΔVrinvの値が大きくなればなるほど、CPUは最終的にステップ414において速度変動量SHnの値を小さめに算出することになる。
上述したように、この場合は先行車速度Vfrと通信車速度Vcの加速度の符号が同じである。即ち、実際に通信車が先行車11である可能性が十分に考えられるため、ステップ414において速度変動量SHnの値を小さくする必要がない。
そのため、この場合はCPUはステップ412に進んでΔVrinvを0にする。
上述したように、この場合は先行車速度Vfrと通信車速度Vcの加速度の符号が互いに異なる。即ち、「通信車が先行車11らしくない」可能性がある程度の高さで推測できるため、ステップ414において速度変動量SHnの値を小さくする必要がある。
そのため、この場合はΔVrinvをゼロにしない。即ち、CPUはステップ411においてΔVrinv=ΔVr−ΔVrbaseを算出する。
その一方で、時刻ta以前の状況では「通信車が先行車11らしい」可能性がある程度推測できる(即ち、通信車が先行車11らしくない可能性が高いとは言えない)ため、この時間帯に取得されたΔVrをΔVrbaseとして現時点でのΔVrから差し引いてΔVrinvを算出する。このようにしてΔVrinvを算出すると、ΔVrbase=0のときよりも、ステップ411で「通信車が先行車11である」と判定される可能性が高くなる。しかし、このΔVrは「通信車が先行車11らしい」可能性がある程度推測できる時間帯のΔVrなので、このΔVrinvを用いて算出した通信車が先行車11であるか否かの判定結果が、現実と大きく乖離するおそれは小さいと考えられる。
そのため、この場合のステップ411では、時刻ta以前の時間帯にステップ409で最後に取得されたΔVrをΔVrbaseとした上でVrinv=ΔVr−ΔVrbaseを取得する。
このΔVinvは、ステップ414において速度変動量SHnの値を小さくするために利用される。
ステップ413で最も数値が大きいものを選ぶ理由は、ΔVinvを大きな値とすることにより、ステップ414で求められる速度変動量SHnをできるだけ小さくするためである。換言すると、最終的にCPUが「通信車が先行車11である」と誤判定する可能性を低くするためである。
ステップ414でΔVfr、ΔVr及びΔVcの中から最も数値が小さいものを選ぶ理由は、最終的に算出される速度変動量SHnをできるだけ小さくするためである。換言すると、最終的にCPUが「通信車が先行車11である」と誤判定する可能性を低くするためである。
図4のフローチャートではステップ414においてΔVrが速度変動量SHnの算出要素となっている。そのため、ΔVrが小さい場合、即ちCPUが先行車11と後続車を識別し難い場合は、ステップ414で算出される速度変動量SHnの値は小さくなり易い。その一方で、ΔVrが大きい場合、即ちCPUが先行車11と後続車を容易に識別できる場合は、ステップ414で算出される速度変動量SHnの値は大きくなり易い。
このようにステップ414においてΔVrを速度変動量SHnの算出要素とすることにより、ΔVrの大小に起因する先行車11と後続車の識別の困難度を速度変動量SHnの算出値に反映させている。従って、「通信車が後続車ではなく先行車11である」とCPUが誤判定するおそれを小さくできる。
逆に、速度変動量SHnが小さくなるほど、補正係数fnの値が小さくなる(「0」に近づく。)。換言すると、速度変動量SHnの値が小さくなるほど、最終的に「対象としている通信車が先行車11である」と判定される可能性が低くなる。
ステップ302の処理は図7のフローチャートに従って行われる。
ここで、dVc、dVfrは以下のように定義される。
dVc:現在の時刻tから微小時間t1だけ前の時刻(第1時刻=t−t1)から現在の時刻までの間の通信車速度Vcの変化量(=Vc(t)−Vc(t−t1)、図8のグラフを参照)。
dVfr:現在の時刻tから微小時間t1だけ前の時刻(第1時刻=t−t1)から現在の時刻までの間の先行車速度Vfrの変化量(=Vfr(t)−Vfr(t−t1)、図8のグラフを参照)。
仮に通信車が先先行車であり且つ先行車11が先先行車に追従走行する場合は、同じ時間帯における通信車速度VcのdVcと先行車速度VfrのdVfrとの間に差が生じることが経験的に知られている。従って、速度変化の乖離度e1の値が大きいほど、換言すると|dVc−dVfr|の値が大きいほど、「通信車が先先行車らしい(即ち、通信車が先行車11らしくない)」と推測できる。その一方で、速度変化の乖離度e1の値が小さいほど、換言すると|dVc−dVfr|が小さいほど、「通信車が先先行車らしくない(即ち、通信車が先行車11らしい)」と推測できる。なお、min(|dVc|、|dVfr|)は|dVc|と|dVfr|のうちの小さい方の値であり、速度変化の乖離度e1を正規化するための値である。
ここで、dVc’、dVfr’は以下のように定義される。
dVc’:現在の時刻tからオフセット時間toffだけ前の時刻から更に微小時間t2前の時刻(第2時刻=t−toff−t2)から、現在の時刻tからオフセット時間toffだけ前の時刻(=t−toff)までの間の通信車速度Vcの変化量(=Vc(t−toff)−Vc(t−toff−t2)、図8のグラフを参照)。
dVfr’:現在の時刻tから微小時間t2前の時刻(=t−t2)から、現在の時刻tまでの間の先行車速度Vfrの変化量(=Vfr(t)−Vfr(t−t2)、図8のグラフを参照)。
なお、この微小時間t2は微小時間t1と異なる長さであってもよいし、同じ長さであってもよい。また、オフセット時間toffは、先先行車が通信車であり且つ先行車が先先行車にACC制御により追従している非通信車である場合に、通信車速度(先先行車速度)Vcが変化してから先行車速度Vfrが変化し始めるまでの遅れ時間(例えば、0.5〜2s)であり、実験的に定められる値である。
仮に通信車が先先行車であり且つ先行車11が先先行車に追従走行する場合は、ある時間帯において通信車速度VcがdVc’だけ変化すると、それからオフセット時間toffだけ経過した後に、先行車速度VfrがdVc’と(ほぼ)同じだけ変化することが経験的に知られている。従って、速度変化の乖離度e2の値が小さいほど、換言すると|dVc’−dVfr’|がゼロに近づくほど、「通信車が先先行車らしい」と推測できる。その一方で、速度変化の乖離度e2の値が大きいほど、換言すると|dVc’−dVfr’|が大きいほど、「通信車が先先行車らしくない」と推測できる。なお、min(|dVc’|、|dVfr’|)は|dVc’|と|dVfr’|のうちの小さい方の値であり、速度変化の乖離度e2を正規化するための値である。
上述したように、速度変化の乖離度e1の値が小さいほど「通信車が先先行車らしくない」と推測できる。また、速度変化の乖離度e2の値が大きいほど「通信車が先先行車らしくない」と推測できる。
そのため、速度変化の乖離度e1≦速度変化の乖離度e2が成立する場合は、「通信車が先先行車らしくない」と推測できる。
その一方で、速度変化の乖離度e1≦速度変化の乖離度e2が成立しない場合は、「通信車が先先行車らしい」と推測できる。
この非先先行車度カウンタとは、速度変化の乖離度e1及び速度変化の乖離度e2に基づいて算出される「通信車が先先行車らしくない」度合を表すものであり、数値が大きくなればなる程「通信車が先先行車らしくない」度合が高くなる。
速度変化の乖離度e1及び速度変化の乖離度e2の数が所定値以上であれば、先行車11と通信車との乖離度を判定するのに十分な数の速度変化の乖離度e1及び速度変化の乖離度e2が既に取得されていると判断できる。
なお、ステップ704及びステップ705の何れかでNOと判定した場合は、CPUはステップ706を経ずにステップ707へ直接進む。
ステップ707でNOと判定した場合とは、先行車11と通信車との乖離度を判定するための速度変化の乖離度e1及び速度変化の乖離度e2の数が不十分な場合である。
図9に示すように、補正係数fn(n=1、2、3)を求めるためのルックアップテーブルは三種類(Mapf1、Mapf2、Mapf3)が用意されている。
即ち、図9の(a)及び(b)に例示されたテーブルMapf1は速度変動量SHnの変動量が小さいSH1に対し特に適合されたテーブルである。
図9の(c)及び(d)に例示されたテーブルMapf2は速度変動量SHnの変動量が中程度のSH2に対し特に適合されたテーブルである。
図9の(e)及び(f)に例示されたテーブルMapf3は速度変動量SHnの変動量が大きいSH3に対し特に適合されたテーブルである。
なお、図9に示したテーブル(Mapf1、Mapf2、Mapf3)のそれぞれは、非先先行車度apnが0.5及び0.7である場合のテーブルであるが、実際には、各テーブルは、非先先行車度apnの取り得る範囲(0〜1)のそれぞれの値に対して作成されている。また、各テーブルの引数である「速度変動量SHn及び非先先行車度apn」は各テーブルに対して共通である。
CPUは、ルックアップテーブルMapf1、Mapf2及びMapf3のそれぞれに基づいて三種類の補正係数f1、f2、及びf3をそれぞれ求める。
この平均化処理は図10のフローチャートに沿って行われる。
CPUがステップ1001でYESと判定した場合は、CPUはステップ1002へ進んで、これまでに取得した平均二乗誤差MSをバッファメモリから全て消去する。そしてCPUは、これまでに取得した平均二乗誤差MSの総和(合計値)及び総個数をいずれも「0」に設定する。
この初期値は大きな値の定数である。そのため、自車10の直前に位置する車両が先行車11から別の車両に変化したり、バッファメモリに蓄積された平均二乗誤差MSの個数が少なかったりした場合のように、通信車が先行車11であるか否かを正確に判定するためにはまだ平均二乗誤差MSのデータが少ない場合に、平均二乗誤差MSの平均値が小さな値となることがない。即ち、ステップ1008をこのような処理とすることにより、このような場合にCPUが「先行車速度Vfrと通信車速度Vcとが類似している」という誤判定を行うリスクを低くしている。
補正係数fn用のルックアップテーブルと同様にこのルップアップテーブルも、速度変動量SHnの大きさ(大、中、小)のそれぞれに特化した三種類(Mapg11、Mapg12、Mapg13)が用意されている(図示略)。
ルックアップテーブルMapg11、Mapg12及びMapg13のそれぞれは、平均二乗誤差MSの平均値(H2E)が小さいほど類似度g1n(n=1,2,3)の値が大きくなるように作成されている。
そしてCPUは、ルックアップテーブルMapg11、Mapg12及びMapg13に基づいて三種類の類似度g1nをg11、g12及びg13としてそれぞれ求める。従って、速度変動量SHnの程度が大中小のいずれの場合も、平均値(H2E)の程度に応じた類似度g1nを精度よく算出することが可能である。
補正係数fn用のルックアップテーブルと同様にこのルップアップテーブルも、速度変動量SHnの大きさ(大、中、小)のそれぞれに特化した三種類(Mapg21、Mapg22、Mapg23)が用意されている(図示略)。
ルックアップテーブルMapg21、Mapg22及びMapg23のそれぞれは、乖離度e1の平均値(He1)が小さいほど類似度g2nの値が大きくなるように作成されている。
そしてCPUは、ルックアップテーブルMapg21、Mapg22、Mapg23に基づいて三種類の類似度g2nをg21、g22及びg23としてそれぞれ求める。従って、速度変動量SHnの程度が大中小のいずれの場合も、平均値(He1)の程度に応じた類似度g2nを精度よく算出することが可能である。
即ち、CPUはステップ1101において、a=sum((Vfr(i)−ave(Vfr))2が所定の閾値x以下であるか否かを判定し、さらにステップ1102においてb=sum((Vc(i)−ave(Vc))2が所定の閾値y以下であるか否かを判定する。なお、sum(Z)は、変数Zの総和をとる関数であり、ave(Z)は変数Zの平均をとる関数である。
その一方で、CPUがステップ1101及び1102でYESと判定した場合は、ステップ310で取得した速度相関係数coefを平均化処理に利用すべく、CPUはステップ1103へ進む。即ち、CPUはステップ311へ進む。
補正係数fn用のルックアップテーブルと同様にこのルップアップテーブルも、速度変動量SHnの大きさ(大、中、小)のそれぞれに特化した三種類(Mapg31、Mapg32、Mapg33)が用意されている(図示略)。
ルックアップテーブルMapg31、Mapg32、Mapg33のそれぞれは、速度相関係数coefの平均値(Hcf)が1に近いほど類似度g3n(n=1,2,3)の値が大きくなるように作成されている。
そしてCPUは、ルックアップテーブルMapg31、Mapg32及びMapg33に基づいて三種類の類似度g3nをg31、g32及びg33としてそれぞれ求める。従って、速度変動量SHnの程度が大中小のいずれの場合も、類似度g3nを精度よく算出することが可能である。
CPUはステップ313において類似度g1n、g2n、g3n及び補正係数fnのnの値が同じものどうしを掛け合わせて最終先行車確率Pn(=P1、P2、P3)を算出する。
図3のフローチャートの処理開始から時間があまり経過していないときは、バッファメモリに蓄積された通信車速度Vc、相対速度Vr及び先行車速度Vfr等のデータ数が少ないので、この時点でCPUが通信車が先行車11であるか否かの最終判定を行うと、CPUが「真の通信追従対象車ではない通信車が先行車11である」という誤判定を起こし易い。そのため、図3のフローチャートの処理を開始してからの経過時間が時刻teに至るまでは、閾値Pthの値を大きくしている。その一方で、図3のフローチャートの処理開始から時間がある程度経過すればバッファメモリに蓄積されるデータ数が多くなるので、この場合は閾値Pthの値を多少低めにしても、CPUが「真の通信追従対象車ではない通信車が先行車11である」という誤判定を起こすおそれは低い。
そのため、閾値Pthの値を図12のグラフのように変化させている。
その一方で、他車11〜13の全てが通信車の場合は、CPUはステップ313において通信車と同数の最終先行車確率Pnを取得し、さらにステップ314において通信車と同数の最終先行車確率Pを取得する。さらにCPUは、ステップ315において各最終先行車確率Pと閾値Pthとを比較する。そして複数の最終先行車確率Pが閾値Pthを超えた場合は、CPUはステップ316において、閾値Pthを超えた複数の最終先行車確率Pの中で最も数値が大きい最終先行車確率Pと対応する一つの他車11〜13を通信追従対象車と判定する。従って、先行車11に対応する最終先行車確率Pが最大且つ閾値Pthを超えた場合に、CPUはステップ316で先行車11を通信追従対象車として特定する。
図5に示した補正係数k1を、ΔVfrの大きさに拘らず「1」としてもよい。
Claims (1)
- 自車の速度である自車速を検出する自車速検出手段と、
前記自車の直前を走行し且つ同自車が追従走行すべき先行車の同自車に対する相対速度を取得する相対速度取得手段と、
前記自車速及び前記相対速度に基づいて前記先行車の速度である先行車速度を演算する先行車速度演算手段と、
前記自車の周囲に存在する他車と無線通信を行って同他車から同他車の速度である通信車速度を含む他車通信情報を取得する通信車速度取得手段と、
前記先行車速度及び前記通信車速度に基づいて、前記他車と前記先行車との類似度を演算する類似度演算手段と、
前記他車が前記先行車である確率を前記類似度が大きくなるにつれてより高くなるように演算し、且つ、演算した確率に基づいて、前記他車が前記先行車であるか否かを判定する先行車特定手段と、
前記先行車であると判定された前記他車との無線通信によって取得される前記他車通信情報に基づいて前記自車の加速度を制御することにより、同自車を同他車に追従して走行させる走行制御手段と、
を備える車両制御装置において、
前記先行車特定手段が、所定時間内における前記先行車速度の最大値と最小値との差である先行車速度変動量に1以上の所定の係数を乗じた値が前記所定時間内における前記通信車速度の最大値と最小値との差である通信車速度変動量より小さいとき、前記先行車速度変動量が前記通信車速度変動より大きいときと比べて前記確率を低めに算出するように構成された、車両制御装置。
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