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JP6349722B2 - 振動デバイス、電子機器、および移動体 - Google Patents

振動デバイス、電子機器、および移動体 Download PDF

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Description

本発明は、振動デバイス、およびそれを用いた電子機器、並びに移動体に関する。
従来、集積回路チップ(発振回路素子)の能動面に加熱ユニットが設けられ、振動素子を集積回路チップの能動面に、フリップチップボンディング、あるいは導電性接着剤などを用いて、直接接続して加熱する構造の振動デバイスが開示されていた(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−213280号公報
前述の構成の振動デバイスでは、集積回路チップの能動面に直接振動素子が片持ち支持で固定されている。このように、直接振動素子が固定される場合は、温度変化などによって生じる振動素子の応力が固定部から放散されにくく、この応力の影響によって振動素子の振動特性の低下を生じてしまう虞がある。このような応力の振動素子への影響を減少させるためには、固定部の面積を小さくすることが有効である。
しかしながら、前述の片持ち支持の構成では、落下などによる衝撃が振動素子に加わった場合、衝撃応力が片持ちの固定部分に集中するため、振動素子が剥がれてしまうなどの不具合が生じ易く、固定部の面積を小さくすることができないという課題を有していた。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る振動デバイスは、基体と、一方端が前記基体に接続され、かつ前記一方端から延在していると共に、前記基体と離間する位置に支持部が設けられている弾性部材と、前記支持部に接続されている振動素子と、を備えていることを特徴とする。
本適用例によれば、基体に接続された弾性部材の、基体から離間して設けられている支持部に振動素子が接続されている。このように、振動素子は、基体に片持ち支持された弾性部材に支持されているため、温度変化などによって生じる振動素子の応力が弾性部材によって吸収、あるいは放散され、応力の影響による振動素子の振動特性低下を防止することができる。また、振動素子の応力を弾性部材によって吸収、あるいは放散することができるため、振動素子の固定面積も大きくすることが可能となり、加えて弾性部材で振動素子を支持していることによる衝撃力などの緩衝効果により、振動素子の支持強度を高めることが可能となる。
[適用例2]上記適用例に記載の振動デバイスにおいて、前記弾性部材は、平面視で細長形状に延在し、且つ曲げ部を備えているバネ部材であることが好ましい。
本適用例によれば、平面視で細長形状に延在し、且つ曲げ部を備えているバネ部材によって振動素子が支持されている。このような構成の弾性部材では、応力がかかったときの変形(撓み)の自由度が増すことから振動素子を支持した時の応力の吸収、あるいは放散がされ易く、振動素子の振動特性低下を防止することができる。また、衝撃力などの緩衝効果も大きくなることにより、振動素子の支持強度を高めることが可能となる。
[適用例3]上記適用例に記載の振動デバイスにおいて、前記弾性部材は、複数設けられ、複数の前記弾性部材は、前記延在の方向が、前記基体の中心を通る仮想直線で分割される一方の第1領域側であると共に、複数の前記支持部が前記第1領域に配置されていることが好ましい。
本適用例によれば、一方の第1領域(基体の一方側)に設けられた複数の弾性部材のそれぞれの支持部によって振動素子が固定されていることから、応力のかかった時の変形(撓み)の自由度が増し、振動素子の固定姿勢をより安定させることができると共に、振動素子の固定を確実に行うことが可能となる。
[適用例4]上記適用例に記載の振動デバイスにおいて、前記振動素子を搭載する空間を備えたベース基板を有し、前記基体は、前記ベース基板に接続されていることが好ましい。
本適用例によれば、基体がベース基板に接続されていることから、振動素子をベース基板が備えている空間に搭載することが可能となる。換言すれば、スペースの効率よく振動素子を搭載することができる。
[適用例5]上記適用例に記載の振動デバイスにおいて、前記基体は、前記ベース基板に設けられていることが好ましい。
本適用例によれば、基体がベース基板に設けられていることから、基体を個別に設けることなくベース基板の振動素子を搭載する空間に振動素子を収納することができる。換言すれば、限られたスペースである振動素子を搭載する空間に効率よく振動素子を搭載することができる。
[適用例6]上記適用例に記載の振動デバイスにおいて、前記基体は、発熱部材であることが好ましい。
本適用例によれば、基体に弾性部材が接続され、その接続部材に振動素子が固定されている。このような構成により、発熱部材である基体が生じる熱エネルギーを、弾性部材を介して振動素子に効率よく伝導することが可能となる。
[適用例7]上記適用例に記載の振動デバイスにおいて、前記基体と前記弾性部材とは、導電部材によって接続されていることが好ましい。
本適用例によれば、基体と弾性部材との電気的導通を取りつつ、弾性部材の固定を行うことができる。
[適用例8]上記適用例に記載の振動デバイスにおいて、前記基体は、一面に電極が設けられており、前記弾性部材は、前記電極に接続されていることが好ましい。
本適用例によれば、弾性部材を電極に直接接続できることから、弾性部材の実装におけるスペース効率を向上させることができる。
[適用例9]上記適用例に記載の振動デバイスにおいて、前記弾性部材と前記振動素子とは、導電性を備えた接続部材によって接続されていることが好ましい。
本適用例によれば、振動素子の応力緩和を図りつつ、電気的導通を容易に確保することが可能となる。
[適用例10]上記適用例に記載の振動デバイスにおいて、前記振動素子は、表裏面に励振電極が設けられており、一方の前記励振電極は、前記基体とワイヤーボンディングによって電気的接続がなされていることが好ましい。
本適用例によれば、一方の励振電極と基体との接続が、ワイヤーボンディングによって行われるため、弾性部材と振動素子のとの電気的接続を行う固定部を1か所設ければよい。これにより、振動素子の固定面積を更に小さくすることが可能となり、固定による振動素子の振動特性への影響をより小さくすることができる。
[適用例11]上記適用例に記載の振動デバイスにおいて、前記搭載する空間は、前記ベース基板と接合された蓋体によって気密に封止されていることが好ましい。
本適用例によれば、蓋体によって気密に封止された搭載する空間に、基体や振動素子が収納された振動デバイスを提供することができる。即ち、基体や振動素子が搭載する空間に気密に保持されることでより安定した特性を維持することが可能な振動デバイスとすることが可能となる。
[適用例12]本適用例に係る電子機器は、上記適用例のいずれか一例に記載の振動デバイスを備えていることを特徴とする。
本適用例によれば、応力による振動特性の低下や落下衝撃などによる振動特性の低下などを防止できる振動デバイスを用いているため、より安定した特性を維持することが可能な電子機器を提供することが可能となる。
[適用例13]本適用例に係る移動体は、上記適用例のいずれか一例に記載の振動デバイスを備えていることを特徴とする。
本適用例によれば、応力による振動特性の低下や落下衝撃などによる振動特性の低下などを防止できる振動デバイスを用いているため、より安定した特性を維持することが可能な移動体を提供することが可能となる。
本発明の振動デバイスの第1実施形態に係る振動子の概略を示し、(a)は平面図、(b)は正断面図。 (a)、(b)はSCカット水晶基板の切り出し方法を示す図。 基体としての発熱素子(発熱部材)の概略を模式的に示す正断面図。 板バネの一例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図。 第1実施形態に係る振動子の落下耐久性を示すグラフ。 本発明の振動デバイスの第2実施形態に係る振動子の概略を示し、(a)は平面図、(b)は正断面図。 板バネの一例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図。 本発明の振動デバイスの第3実施形態に係る振動子の概略を示し、(a)は平面図、(b)は正断面図。 本発明の振動デバイスの第4実施形態に係る発振器の概略を示す正断面図。 板バネの変形例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図。 電子機器の一例としてのモバイル型のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図。 電子機器の一例としての携帯電話機の構成を示す斜視図。 電子機器の一例としてのデジタルスチールカメラの構成を示す斜視図。 移動体の一例としての自動車の構成を示す斜視図。
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
図1を用い、本発明の振動デバイスの第1実施形態に係る振動子について説明する。図1は、本発明の振動デバイスの第1実施形態に係る振動子の概略構成を示し、図1(a)は平面図、図1(b)は正断面図である。なお、図を分かり易くするため、図1(a)は、蓋部材を省略(透視)した図とし、図1(b)は、振動素子の励振電極を省略した図としている。
<振動子>
図1(a)および図1(b)に示す第1実施形態に係る振動子1は、振動基板5を用いた振動素子15と、振動素子15支持する基体としての発熱素子20(発熱部材)と、振動素子15を基体としての発熱素子20に取り付けるために設けられた板バネ30と、振動素子15や発熱素子20などを収納するパッケージ13と、パッケージ13との間に収納空間(搭載する空間)としての内部空間14を形成する蓋体としてのリッド26と、を有している。以下、振動素子15、パッケージ13、基体としての発熱素子20、板バネ30、およびリッド26について順次詳細に説明する。
(振動素子)
本実施形態の振動素子15は、圧電材料の一例として、水晶により形成されたSCカット水晶基板(圧電基板)が用いられている。ここでSCカット水晶基板(圧電基板)について、図2を参照して説明する。図2は、SCカット水晶基板の構成を示す概略図である。なお、図が複雑になるため、図2(a)と、図2(b)とに分けて図示している。本例のSCカット水晶基板2は、図2(a)に示すように、直交座標系(X,Y,Z)の2回の回転(φ1、θ1)に続き、図2(b)に示すように、直交座標系(X’,Y’’,Z’)の1回の回転(η1)を経て得られる水晶基板である。水晶結晶は三方晶系に属し、互いに直交する結晶軸X,Y,Zを有する。X軸、Y軸、Z軸は、夫々電気軸、機械軸、光学軸と呼称される。Z軸は、Z軸の回りに120°毎にX軸、Y軸の組がある3回対称軸であり、X軸は2回対称軸である。図2(a)に示すように、水晶結晶の構成は、電気軸としてのX軸、機械軸としてのY軸、光学軸としてのZ軸からなる直交座標系(X,Y,Z)を用いて記述される。
図2(a)に示すように、SCカット水晶基板2は、まず直交座標系(X,Y,Z)のX軸の回りに所定角度φ1(例えば34°)回転し、この回転により得られた新たな直交座標系(X,Y’,Z’)のZ’軸の回りに所定角度θ1(例えば22°)回転し、この回転により得られた直交座標系を(X’,Y’’,Z’)とする。厚さ方向がY’’軸方向と平行であり、両主面がX’Z’面(X’軸とZ’軸とで構成する平面)を含む矩形状の基板を切り出すと、通常のSCカット水晶基板2が得られる。
また、図2(b)に示すように、上記の2回の回転に加え、直交座標系(X’,Y’’,Z’)のY’’軸の回りにη1回転させると新たな直交座標系(X’’,Y’’,Z’’)が得られる。この新たな直交座標系(X’’,Y’’,Z’’)において、厚さ方向がY’’軸方向と平行であり、両主面がX’’Z’’面(X’’軸とZ’’軸とで構成する平面)を含む矩形状の基板を切り出すことによってもSCカット水晶基板2を得ることができる。本例のSCカット水晶基板2は、矩形状のSCカット水晶基板2の一方の相対する二辺は、X’’軸と平行であり、他方の相対する二辺は、Z’’軸と平行であり、Y’’軸方向が厚さ方向となる水晶基板である。
そして、これらのSCカット水晶基板2から切り出された平板が、本実施形態の振動基板5(振動素子15)として用いられる。
なお、本発明に係る水晶基板は、前述のようなSCカットに限定されるものではなく、厚みすべり振動で振動するATカット、BTカット、等の他の圧電基板にも広く適用できる。例えば、ATカット水晶基板の場合は、Y軸およびZ軸共にX軸を回転軸として略35°15′回転させて、夫々Y’軸、およびZ’軸とする。したがって、ATカット水晶基板は、直交する結晶軸X、Y’、Z’を有する。ATカット水晶基板は、厚さ方向がY’軸方向に沿っており、Y’軸に直交するXZ’面(X軸およびZ’軸を含む面)を含む面が主面であり、厚みすべり振動を主振動として振動する。このATカット水晶基板を加工して、振動素子15の素板としての圧電基板を得ることができる。
図1に示すように、本実施形態の振動素子15は、前述したSCカット水晶基板2から形成された円板状の振動基板5の、互いに表裏の関係にある第1の主面と第2の主面に、種々の電極が形成されている。本実施形態では、電極として励振電極16,18、および接続電極17,19が形成されている。励振電極16は、略円形をなしており、振動基板5(振動素子15)における表の主面(第1の主面)の中央部に形成されている。また、接続電極17は、表の主面(第1の主面)の一方の外周端側に形成されており、一方の端部が励振電極16に接続され、他方の端部が振動基板5の外縁に向かって延設されている。また、励振電極18は、略円形であり、振動基板5(振動素子15)における裏の主面(第2の主面)の中央部にあって、平面視で、表側の励振電極16とほぼ重なるように形成されている。接続電極19は、裏の主面(第2の主面)の一方の外周端側に、平面視で、表の主面の接続電極17と略90°で交差するように形成されており、一方の端部が励振電極18に接続され、他方の端部が振動基板5の外縁に向かって延設されている。なお、接続電極19の延設方向と、接続電極17の延設方向とが交差する角度は、略90°に限らず、板バネ30に支持され、電気的接続が可能な位置に接続電極19が配置される角度であればよく、その角度は問わない。
(パッケージ)
図1(a)および図1(b)に示すベース基板としてのパッケージ13は、底板10と、底板10の一方の表面周縁部に設けられている枠状の側壁11とを有している。パッケージ13は、振動素子15を収納するものである。また、側壁11の上面には、接合材としてのシールリング40が設けられている。
ベース基板としてのパッケージ13は、上面に開放する収納空間としての凹部(内部空間14)を有している。凹部の開口は、接合材としてのシールリング40を介して側壁11に接合されている蓋部材としてのリッド26によって塞がれている。そして、パッケージ13の凹部の開口が塞がれて密封された内部空間14(収納空間)が形成される。密封された内部空間14は、その内部圧力を所望の気圧に設定できる。例えば、内部空間14に窒素ガスを充填しての大気圧としたり、真空(通常の大気圧より低い圧力(1×105Pa〜1×10-10Pa以下(JIS Z 8126−1:1999))の気体で満たされた空間の状態)としたりすることで、より安定した振動素子15の振動を継続することができる。なお、本実施形態の内部空間14は、上記の真空に設定されている。
枠状の側壁11は、略四角形状の周状に設けられており、換言すれば、上記凹部の上面に開口する開口形状が略四角形状をなしている。この板状の底板10と枠状基板12および側壁11とに囲まれた凹部が振動素子15を収納する内部空間(収納空間)14となる。側壁11の上面に設けられている接合材としてのシールリング40は、例えばコバール等の合金で形成されている。シールリング40は、蓋部材としてのリッド26と側壁11との接合材としての機能を有しており、側壁11の上面に沿って枠状(穂形態では略四角形状の周状)に設けられている。なお、側壁11の開口形状は、略四角形状に限定されるものではなく、他の形状であってもよい。
パッケージ13は、振動素子15やリッド26の熱膨張係数と一致、あるいは極力近い熱膨張係数を備えた材料によって形成され、本例では、セラミックを用いている。パッケージ13は、所定の形状に成形されたグリーンシートを積層し、焼結することによって形成される。なお、グリーンシートは、例えば所定の溶液中にセラミックのパウダーを分散させ、バインダーを添加して生成される混練物がシート状に形成された物である。
パッケージ13を構成する底板10の上面には、複数のPAD電極32(本実施形態では5個)が設けられている。PAD電極32は、例えば、銀・パラジウムなどの導電ペーストあるいはタングステンメタライズなどを用い、必要とされる形状を形成後に焼成を行い、その後ニッケルおよび金あるいは銀などをメッキすることによって形成される。PAD電極32は、後述する基体としての発熱素子20の電極パッド(図示せず)とボンディングワイヤー31を介して接続されている。また、PAD電極32の内の幾つかは、パッケージ13の外底部に形成される外部接続電極33と電気的に接続されている。なお、PAD電極32の設置数は、5個に限定されるものではなく、幾つであってもよい。
(発熱素子)
基体としての発熱素子(発熱部材)について図3を用いて概略を説明する。図3は、基体としての発熱素子(発熱部材)の概略を模式的に示す正断面図である。図3に示す発熱素子20は、板バネ30を介して接続される振動素子15を加熱し、振動素子15の温度を一定に保つ、所謂恒温機能を有している電子部品である。
図3に示すように、基体としての発熱素子(発熱部材)20は、半導体などから形成された基板135の機能面側に、パワートランジスターなどから構成される発熱体133、温度センサー140、機能素子139などが配設されている。発熱体133は、温度センサー140によって温度コントロールされ、一定温度を保つことができる。機能面上には、電気的に絶縁体である中間層134が設けられている。中間層134の上面には、発熱体133に対向するように設けられた熱伝導層119と、発熱体133あるいは機能素子139などと、接続配線層137や図示しない他の配線層あるいは貫通電極138などを用いて接続されたボンディングパッド128あるいは接続端子38(図1参照)が設けられている。熱伝導層119は、発熱体133に対向するように設けられることにより、広い面積で発熱体133からの熱(熱エネルギー)を熱伝導層119に伝えることができる。換言すれば、効率よく発熱体133の熱を熱伝導層119に伝えられる。なお、発熱素子20は、前述の中間層134を設けられていない構成など、他の構成であってもよい。
図1に示すように、基体としての発熱素子20は、パッケージ13を構成する底板10に樹脂接着剤(図示せず)などによって固定されている。発熱素子20は、熱伝導層119上に板バネ30が接続されている。そして、発熱素子20は、板バネ30を介して振動素子15と接続されている。この接続の詳細については、後述の(振動素子の接続)の項で説明する。発熱素子20に設けられているボンディングパッド128(図1では図示していない)は、電気的な接続電極であり、ボンディングワイヤー(金属配線)31によって、それぞれがパッケージ13の底板10に設けられているPAD電極32に電気的に接続されている。
(板バネ)
ここで、図4を参照しながら、板バネ30の詳細について説明する。図4は、板バネの一例を示し、図4(a)は平面図であり、図4(b)は正面図である。板バネ30は、振動素子15を保持すると共に、第1支持腕21および第2支持腕22を介して発熱素子20に接続される振動素子15を加熱し、且つ振動素子15の励振電極18と発熱素子20との電気的導通を取る機能を有している。
図4に示すような、板バネ30は、厚み0.05mm程度の板材から形成され、基部21bから一方側に弾性部材としての2つの支持腕として第1支持腕21および第2支持腕22が延設されている。第1支持腕21および第2支持腕22は、パッケージ13の長辺に沿った方向の振動素子15の中心を通る中心線(仮想線)に対して、略線対称の形状に設けられている。また、第1支持腕21および第2支持腕22は、基体としての発熱素子20と離間するとともに、該発熱素子20の中心Cを通る仮想線Qで分割された一方の領域である第1領域であって内部空間14内の中空に位置するように片持ち支持される。弾性部材としての第1支持腕21は、基部21bの一方端側から0.2mm〜0.3mm程度の細幅状に延設され、弾性部材としての第2支持腕22は、基部21bの一方端と反対側の他端側から0.2mm〜0.3mm程度の細幅状に延在されている。なお、板バネ30は、0.025mm〜0.20mmの厚みで形成されることが好ましい。このような厚みの板バネ30とすることで、成形が容易であり、且つ振動素子15を確実に保持することができると共に振動素子15の厚み方向の応力緩和に適した板バネ30とすることが可能となる。そして、板バネ30は、基部21bの部分が発熱素子20の機能面に載置され、機能面側に設けられた接続端子38(電極)と導電部材としての導電性接着剤27で接続されている。なお、図示のように、他の接続位置において導電性接着剤28を用いた接続を行ってもよい。
また、板バネ30と、発熱素子20との接続は、導電部材として金属接合材(例えば金バンプ)、または合金接合材(例えば、金錫合金、はんだなどのバンプ)を用いることができる。このような接続を行うことにより、板バネ30と発熱素子20との電気的接続を取った接続を容易に行うことができる。
第1支持腕21の基部21bと反対側の端部には、振動素子15を支持する第1支持部24が設けられている。同様に、第2支持腕22の基部21bと反対側の端部には、振動素子15を支持する第2支持部25が設けられている。第1支持腕21の基部21bと第1支持部24との間には、細幅状に延在しながら互い違いに折り返された複数の曲げ部21aが設けられている。同様に、第2支持腕22の基部21bと第2支持部25との間には、細幅状に延在しながら互い違いに折り返された複数の曲げ部22aが設けられている。このように、第1支持腕21および第2支持腕22に、それぞれ複数の曲げ部21a,22aを設けることにより、板バネ30の平面方向の撓み易さを増すことができ、振動素子15を板バネ30に接続したときに、振動素子15に生じる平面方向の応力の緩和をより効率的に行うことができる。なお、第1支持腕21および第2支持腕22は、図示のように振動素子15の外縁に沿った略円弧状に延在されることが好ましい。第1支持腕21および第2支持腕22は、略円弧状に構成されることで板バネ30の平面方向の自身の剛性を高めつつ、曲げ部21a,22aによる応力の緩和効果を得ることができる。
板バネ30は、銅合金の一例であるりん青銅板などのバネ性(弾性)を有する板材をエッチング加工などによって外形形成する。なお、板バネ30を形成する材料としては、弾性材であればよいが、銅、他の銅合金(例えばベリリウム銅)を用いることが好適である。銅、りん青銅板あるいはベリリウム銅などの他の銅合金は、高導電性であり、熱伝導性が良く且つ良好なバネ性を有していることから、弾性材として用いることにより、振動素子15と発熱素子20との導電性および熱エネルギーの伝導性を確保しつつ、振動素子15の応力緩和も行うことができる。
(振動素子の取り付け)
振動素子15は、パッケージ13の側壁11に囲まれた凹部内に収納されている。振動素子15は、平面視で、表の主面(第1の主面)の接続電極17と板バネ30の基部21bとが重なり、且つ裏の主面(第2の主面)側の接続電極19と第1支持腕21の第1支持部24とが重なるように配置される。そして、振動素子15は、第1支持部24と接続電極19とが、接続部材として、例えばポリイミド樹脂を含む導電性接着剤23によって接続されている。また、第2支持部25において、接続部材として樹脂接着剤34によって接続されている。この第2支持部25での接続は、電気的導通の必要がないため、接続部材としての樹脂接着剤34は、導電性を有していなくてもよい。このように樹脂を含む導電性接着剤23によって振動素子15が接続されることにより、導電性接着剤23に含まれる樹脂により、振動素子15の応力緩和を図ることができると共に、電気的導通を確保することが可能となる。
なお、導電性接着剤23に替えて、接続部材を金属接合材(例えば金バンプ)、または合金接合材(例えば、金錫合金、はんだなどのバンプ)とすることもできる。このような接続部材を用いることで、小面積で且つ接合面積のばらつきを抑えた振動素子15の導電接続を行うことができ、振動素子15の振動特性をより安定させることが可能となる。
また、表の主面に設けられている接続電極17は、平面視で板バネ30の基部21bと重なる部分の近傍から、ボンディングワイヤー(金属配線)29によって、底板10に設けられているPAD電極42と電気的に接続されている。PAD電極42は、パッケージ13の外底部に形成されている外部接続電極33の少なくとも一つと電気的に接続されている。
このように振動素子15は、板バネ30の基部21b、第1支持部24、および第2支持部25に保持され、パッケージ13の内部空間14の内で、第1支持部24、および第2支持部25で固定され、振動部分が中空領域に配置されている。振動素子15が板バネ30によって保持、固定され中空領域に配置されることで、例えば落下衝撃などが振動子1に加わった場合の衝撃力が板バネ30の弾性によって吸収され、振動素子15に加わる衝撃力を減少させる、所謂緩衝作用を大きくすることができる。
この効果について図5を用いて説明する。図5は、第1実施形態に係る振動子1の落下耐久性を示すグラフであり、縦軸は落下水準を示し、横軸は落下回数を示している。なお、横軸の落下回数は、落下サンプルをそれぞれ6方向に1回ずつ落下させた後、破壊が起きていないかを調べた状態を1落下cycleとしている。また、同図では、黒丸(●)が、板バネ30を用いた第1実施形態に係る振動子1、白丸(○)が、従来品である直接続構造の振動子を示しており、各5個のサンプルを用いた評価結果である。同図では、水準1、水準2の横軸に、それぞれの落下cycleごとに破壊の生じなかったサンプルをプロットし、破壊の生じたサンプルを「NG」の横軸にプロットしている。
図5に示すように、従来品においては、水準1の1cycleで破壊が3/5発生し、残りの2個も2cycleで破壊された。これに対し、板バネ30を用いた第1実施形態に係る振動子1においては、水準1の3cycleまでは全数に破壊が見られなかった。その後、4cycle以降で破壊が生じたが、従来品と比較して明らかに耐衝撃性が向上していることがわかる。
(蓋体としてのリッド)
リッド26は、板状の部材であり、パッケージ13の上面に開放する凹部(収納空間)の開口を塞ぎ、凹部の開口の周囲を、例えばシーム溶接法などを用いて接合されている。本例のリッド26は、板状であるため、形成が行い易く、さらには形状の安定性にも優れる。また、本例のリッド26には、コバールの板材が用いられている。リッド26にコバールの板を用いることで封止の際に、コバールで形成されているシールリング40とリッド26とが同じ溶融状態で溶融され、さらには合金化もされ易いため封止を容易に、且つ確実に行うことができる。なお、リッド26には、コバールに換えて他の材料の板材を用いてもよく、例えば、42アロイ、ステンレス鋼などの金属材料、またはパッケージ13の側壁11と同じ材料、などを用いることができる。
上述した振動デバイスの第1実施形態に係る振動子1によれば、基体としての発熱素子20に接続された板バネ30の、基体としての発熱素子20から離間した弾性部材としての第1支持部24および弾性部材としての第2支持部25に振動素子15が接続されている。このように、振動素子15が弾性部材で片持ち支持、接続されることにより、温度変化などによって生じる振動素子15の応力が板バネ30の撓みによって吸収、あるいは放散され、応力の影響による振動素子15の振動特性低下を防止することができる。
また、振動素子15の応力を板バネ30によって吸収、あるいは放散することができるため、振動素子15の固定面積(導電性接着剤23および樹脂接着剤34の平面積)を大きくすることが可能となり、加えて板バネ30で振動素子15を支持していることによる衝撃力などの緩衝効果により、振動素子15の支持強度を高めることが可能となる。
また、基体としての発熱素子20の一方側の領域に設けられた弾性部材として2つの支持腕(第1支持腕21、第2支持腕22)のそれぞれに設けられている支持部としての第1支持部24、第2支持部25によって振動素子15が支持、接続(固定)されていることから、振動素子15の固定姿勢をより安定させることができると共に、振動素子15の固定を確実に行うことが可能となる。
<第2実施形態>
次に、図6および図7を用い、本発明の振動デバイスの第2実施形態に係る振動子について説明する。図6は、本発明の振動デバイスの第2実施形態に係る振動子の概略を示し、(a)は平面図、(b)は正断面図である。図7は、第2実施形態に係る振動子に用いられている板バネを示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。なお、本第2実施形態の説明では、上述の第1実施形態と同じ構成については同符号を付けてその説明を省略することがある。
図6に示すように、振動子3は、振動基板5を用いた振動素子15と、基体として発熱素子20と、振動素子15を基体としての発熱素子20に取り付けるために設けられた板バネとしての第1板バネ30aおよび第2板バネ30bと、振動素子15や発熱素子20などを収納するパッケージ13と、パッケージ13との間に収納空間としての内部空間14を形成する蓋体としてのリッド26と、を有している。ここで、第2実施形態の振動子3と前述の第1実施形態の振動子1との相違は、振動素子15を基体としての発熱素子20に取り付けるために設けられた板バネが、第1板バネ30aおよび第2板バネ30bの二つに分かれて設けられていることである。したがって、本第2実施形態の説明では、構成の異なる板バネ(第1板バネ30aおよび第2板バネ30b)を中心に説明を行う。なお、本実施形態の発熱素子20には、それぞれの板バネ(第1板バネ30aおよび第2板バネ30b)と接続される二つの電極としての接続端子35,38が設けられている。
図6および図7に示すように、板バネは、第1板バネ30aと第2板バネ30bとが設けられている。第1板バネ30aと第2板バネ30bとは、パッケージ13の長辺に沿った方向の振動素子15の中心を通る中心線(仮想線)に対して、略線対称の形状に設けられている。また、第1板バネ30aおよび第2板バネ30bは、基体としての発熱素子20から離間するとともに、内部空間14内の中空に位置するように片持ち支持される。第1板バネ30aには、基部21bから一方側に弾性部材としての第1支持腕21が、0.2mm〜0.3mm程度の細幅状に先端部に向かって延設されている。同様に、第2板バネ30bには、基部22bから一方側に弾性部材としての第2支持腕22が、0.2mm〜0.3mm程度の細幅状に先端部に向かって延設されている。第1板バネ30aおよび第2板バネ30bは、厚み0.05mm程度の板材から形成されている。なお、板バネ30は、0.025mm〜0.20mmの厚みとすることが好ましい。このような厚みの板バネとすることで、成形が容易となり、且つ振動素子15を確実に保持(支持)することができると共に振動素子15の厚み方向の応力緩和に適した板バネ30とすることが可能となる。
そして、第1板バネ30aは、基部21bの部分が発熱素子20の機能面に載置され、機能面側に設けられた接続端子38と導電部材としての導電性接着剤27により電気的導通を取って接続されている。また、第2板バネ30bは、基部22bの部分が発熱素子20の機能面に載置され、機能面側に設けられた接続端子35と導電部材としての導電性接着剤28により電気的導通を取って接続されている。このように、板バネを二つの板バネ(第1板バネ30aおよび第2板バネ30b)に分けた構成を用いることで、振動素子15の励振電極16および接続電極17との接続を第2板バネ30bで行い、励振電極18および接続電極19と接続を第1板バネ30aで行うことができる。このように、それぞれの板バネ(第1板バネ30aおよび第2板バネ30b)によって、振動素子15の励振電極16,18との電気的接続を取ることができる。
なお、第1板バネ30aおよび第2板バネ30bと、発熱素子20との接続には、導電部材として金属接合材(例えば金バンプ)、または合金接合材(例えば、金錫合金、はんだなどのバンプ)を用いることができる。このような接続を行うことにより、板バネ30と発熱素子20との電気的接続を取った接続を容易に行うことができる。
第1支持腕21の基部21bと反対側の端部には、振動素子15を支持する第1支持部24が設けられている。同様に、第2支持腕22の基部21bと反対側の端部には、振動素子15を支持する第2支持部25が設けられている。第1支持腕21の基部21bと第1支持部24との間には、細幅状に延在しながら互い違いに折り返された複数の曲げ部21aが設けられている。同様に、第2支持腕22の基部22bと第2支持部25との間には、細幅状に延在しながら互い違いに折り返された複数の曲げ部22aが設けられている。このように、第1支持腕21および第2支持腕22に、それぞれ複数の曲げ部21a,22aを設けることにより、板バネ30の平面方向の撓み易さを増すことができ、振動素子15に生じる平面方向の応力の緩和をより効率的に行うことができる。
第1板バネ30aおよび第2板バネ30bは、りん青銅板などのバネ性(弾性)を有する板材をエッチング加工などによって外形形成する。なお、第1板バネ30aおよび第2板バネ30bを形成する材料としては、弾性材であればよいが、銅、ベリリウム銅などの銅合金を用いること好適である。銅、りん青銅板あるいはベリリウム銅などの銅合金は、高導電性であり、熱伝導性が良く且つ良好なバネ性を有していることから、弾性材として用いることにより、振動素子15と発熱素子20との導電性および熱エネルギーの伝導性を確保しつつ、振動素子15の応力緩和も行うことができる。
(振動素子の取り付け)
振動素子15は、パッケージ13の側壁11に囲まれた凹部内に収納されている。振動素子15は、平面視で、表の主面(第1の主面)の接続電極17と第1板バネ30aの第1支持部24とが重なり、且つ裏の主面(第2の主面)側の接続電極19と第1支持腕21の第1支持部24とが重なるように配置される。そして、振動素子15は、第1支持部24と接続電極19とが、および第2支持部25と接続電極17とが、接続部材(導電部材)として、例えばポリイミド樹脂を含む導電性接着剤23,34によって接続されている。このような、樹脂を含む導電性接着剤23,34による振動素子15の接続では、導電性接着剤23,34に含まれる樹脂により、振動素子15の応力緩和を図ることができると共に、電気的導通を確保することが可能となる。
なお、接続部材を、導電性接着剤23,34に替えて、金属接合材(例えば金バンプ)、または合金接合材(例えば、金錫合金、はんだなどのバンプ)とすることもできる。このような接続部材を用いることで、小面積で且つ接合面積のばらつきを抑えた振動素子15の導電接続を行うことができ、振動素子15の振動特性をより安定させることが可能となる。
上述した振動デバイスの第2実施形態に係る振動子3によれば、第1実施形態の振動子1の効果に加えて、以下の効果を有する。振動子3は、導電性接着剤23,34で第1板バネ30aの第1支持部24および第2板バネ30bの第2支持部25と振動素子15の接続電極17,19とを接続、固定されることにより振動素子15の励振電極16,18との電気的接続を取ることができる。このように、振動素子15の固定と電気的接続を同時に行うことができ、効率的な振動子3の組み立てを行うことができる。
<第3実施形態>
次に、図8を用い、本発明の振動デバイスの第3実施形態に係る振動子について説明する。図8は、本発明の振動デバイスの第3実施形態に係る振動子の概略を示し、(a)は平面図、(b)は正断面図である。なお、本第3実施形態の説明では、上述の第1実施形態と同じ構成については同符号を付けてその説明を省略することがある。
図8に示すように、第3実施形態の振動子4は、振動基板5を用いた振動素子15と、振動素子15を加熱する発熱素子50と、振動素子15を基体に取り付けるために設けられた板バネ30と、振動素子15や発熱素子50などを収納する基体としてのパッケージ13と、パッケージ13との間に収納空間としての内部空間14を形成する蓋体としてのリッド26と、を有している。ここで、第3実施形態の振動子4と前述の第1実施形態の振動子1との相違は、発熱素子50が、パッケージ13の外底部に接続されていることと、ベース基板としてのパッケージ13に基体としての枠状基板12が設けられ、この枠状基板12に板バネ30が接続されていることである。本第3実施形態の説明では、上述したような異なる構成を中心に説明し、板バネ30、振動素子15、および発熱素子50の構成の詳細の説明は省略する。
(パッケージ)
図8(a)および図8(b)に示すベース基板としてのパッケージ13は、底板10と、底板10の一方の表面周縁部に設けられている台部12aを備えた枠状基板12と、枠状基板12の一方の表面周縁部に設けられている枠状の側壁11と、側壁11の上面に設けられている接合材としてのシールリング40と、を有している。ここで、枠状基板12を構成する台部12aが、本実施形態における基体に相当する。パッケージ13は、振動素子15や板バネ30などを収納するものである。
ベース基板としてのパッケージ13は、上面に開放する凹部(内部空間14)を有している。凹部の開口は、接合材としてのシールリング40を介して側壁11に接合されている蓋部材としてのリッド26によって塞がれている。そして、パッケージ13の凹部の開口が塞がれて密封された内部空間14が形成される。密封された内部空間14は、その内部圧力を所望の気圧に設定できる。例えば、内部空間14に窒素ガスを充填しての大気圧としたり、第1実施形態と同様な真空としたりすることで、より安定した振動素子15の振動を継続することができ、本実施形態では上記の真空に設定されている。
パッケージ13を構成する枠状基板12は、平面視で側壁11よりも中心側に向かって突出した台部12aを有している。台部12aは、パッケージ13の一辺側に一辺に沿った内端面により、底板10の上面と段差を有している。この台部12aは、基体として機能し、ここに板バネ30の基部21bが接続される。台部12aが底板10の上面と段差を有しているため、板バネ30の第1支持腕21および第2支持腕22は、基体としての台部12aから離間するとともに、内部空間14内の中空に位置するように片持ち支持される。
台部12aの上面には、PAD電極36,39が形成されている。PAD電極36,39は、例えば、銀・パラジウムなどの導電ペーストあるいはタングステンメタライズなどを用い、必要とされる形状を形成後に焼成を行い、その後ニッケルおよび金あるいは銀などをメッキすることによって形成される。PAD電極36,39は、振動素子15の接続電極17,19と板バネ30を介して接続されるように設けられており、パッケージ13の外底部に形成される外部接続電極(図示しない)と電気的に接続されている。PAD電極36には、振動素子15の表の主面側の励振電極16の接続電極17から配線されたボンディングワイヤー29が接続されている。また、PAD電極39には、板バネ30の基部21bが、例えば樹脂を含む導電性接着剤27によって電気的接続を取りながら接続されている。
なお、その他のパッケージ13の構成である枠状の側壁11などは、第1実施形態と同様であるので、ここでの説明は省略する。
(振動素子の取り付け)
振動素子15は、パッケージ13の側壁11に囲まれた凹部内に収納されている。振動素子15は、平面視で、表の主面(第1の主面)の接続電極17と板バネ30の基部21bとが重なり、且つ裏の主面(第2の主面)側の接続電極19と第1支持腕21の第1支持部24とが重なるように配置される。そして、振動素子15は、第1支持部24と接続電極19とが、接続部材として、例えばポリイミド樹脂を含む導電性接着剤23によって接続されている。また、第2支持部25において、接続部材として樹脂接着剤34によって接続されている。この第2支持部での接続は、電気的導通の必要がないため、接続部材としての樹脂接着剤34は、導電性を有していなくてもよい。このような、樹脂を含む導電性接着剤23による振動素子15の接続では、導電性接着剤23に含まれる樹脂により、振動素子15の応力緩和を図ることができると共に、電気的導通を確保することが可能となる。なお、接続部材を、導電性接着剤23に替えて、金属接合材(例えば金バンプ)、または合金接合材(例えば、金錫合金、はんだなどのバンプ)とすることもできる。
また、表の主面に設けられている接続電極17は、平面視で板バネ30の基部21bと重なる部分近傍から、ボンディングワイヤー(金属配線)29によって、底板10に設けられているPAD電極36と電気的に接続されている。PAD電極36は、パッケージ13の外底部に形成されている外部接続電極33の少なくとも一つと電気的に接続されている。
(発熱素子の取り付け)
発熱素子(加熱素子)50は、平面視で台部12aおよび振動素子15の一部と重なるように配置され、パッケージ13(底板10)の外底部に、熱伝導性の良好な図示しない接合材によって接続されている。このような発熱素子50の配置では、発熱素子50の熱エネルギーが直に接続されている台部12aから板バネ30に伝導されることと、発熱素子50が接している底板10が加熱された熱エネルギーが対向する振動素子15に放射熱として加わることにより、振動素子15の加熱を効率よく行うことができる。
上述した振動デバイスの第3実施形態に係る振動子4によれば、第1実施形態の振動子1と同様な効果を有している。加えて、振動子4によれは、発熱素子50によって生じた熱エネルギーを底板10によって広い面積に拡散することができ、広い面積でパッケージ13を加熱することができる。これによりパッケージ13を均一な温度で暖める(加温する)ことが可能となる。
なお、前述の第1実施形態〜第3実施形態では、振動素子15として、外形形状が略円形の水晶基板を用いた例で説明したが、水晶基板の外形形状は、略円形でなくても適用することが可能である。例えば、外形形状が略正方形、あるいは矩形をなした振動基板を用いても前述と同様な効果を有している。
また、前述の第1実施形態〜第3実施形態では、振動素子15を形成する圧電材料として水晶を用いて説明したが、圧電材料としてはこれに限らず、例えばタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料を用いることもできる。また、振動素子15は、シリコンあるいはガラス基板上に振動素子を形成するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子でもよい。また、振動素子15は、シリコンあるいはガラス基板などの基板上に振動体を形成する振動素子であってもよい。
<第4実施形態>
次に、図9を用い、本発明の振動デバイスの第4実施形態に係る発振器について説明する。図9は、本発明の振動デバイスの第4実施形態に係る発振器の概略を示す正断面図である。なお、本実施形態の発振器に用いられている振動子は、前述の第1実施形態の振動子1と同じ構成である。したがって、以下の説明では、振動子1については、同符号を付してその詳細な説明は省略する。
図9に示す発振器150aは、プリント基板101a上に被せられた金属又は樹脂製のキャップ155によって形成された内部空間224を有している。キャップ155は、プリント基板101a上に半田123などを用いて接続されている。この内部空間224は、非気密、即ち大気開放されていてもよいし、気密空間であってもよい。内部空間224には、プリント基板101aに接続板105によって接続されている振動子1と、プリント基板101a上に接続されている回路素子110とを備えている。振動子1は、プリント基板101aに対向するように配置され、プリント基板101aに接続板105を介して接続されている。なお、接続板105は、振動子1とプリント基板101aとの電気的な接続を図る機能も有している。回路素子110は、振動子1内の基体としての発熱素子20(図示せず)を制御する機能を少なくとも有している。また、振動子1の裏面には、他の回路構成部品121を備えていてもよい。また、プリント基板101a上には、回路素子110に加えて、電子部品120を備えていてもよい。プリント基板101aの裏面(外面)には、外部接続端子122が設けられている。外部接続端子122は、図示しないが、回路素子110、電子部品120などと電気的接続がされている。
第4実施形態に係る発振器150aでは、前述した第1実施形態の振動子1の効果を有
することで、使用環境の温度変化による周波数の変動を抑制可能な、所謂周波数温度特性
の精度を高めた振動子1を用いた発振器150aを提供することが可能となる。即ち、使
用環境の温度変化による特性変動を減少させた発振器150aを提供することが可能とな
る。なお、第4実施形態では、発振器150aを例に説明したが、回路素子110の搭載
されていない、所謂温度補償型の発振器にも同様な構成を適用することが可能である。

<板バネの変形例>
ここで、図10を用いて、板バネの変形例について説明する。図10は、板バネの変形例を示し、図10(a)は平面図、図10(b)は正面図である。前述の実施形態では、平板状の板バネ30,30a,30bを例に説明したが、板バネは平板状に限らない。例えば図10に示すように、板バネ30cは、板厚方向に段加工(ディプレス)されて曲げられた段部Dが設けられている構成でもよい。板バネ30cには、第1支持腕21および第2支持腕22のそれぞれの先端部分に段部Dが設けられている。そして、第1支持腕21の段部Dの部分に第1支持部24が設けられ、第2支持腕22の段部Dの部分に第2支持部25が設けられている。なお、段部Dは、第1支持腕21および第2支持腕22のそれぞれの先端部分でなく、他の部位に曲げ部が設けられている構成でもよく、あるいは曲げられた部分が複数設けられている構成でもよい。
板バネ30cのように、段加工された段部Dが設けられていることにより、第1支持部24、および第2支持部25の位置だけで、第1支持腕21および第2支持腕22と振動素子15とが接することになる。即ち、第1支持腕21および第2支持腕22と振動素子15との接触箇所を限定することができる。これにより、第1支持腕21および第2支持腕22と振動素子15との不要な接触により、振動特性への影響を防止することが可能となる。
[電子機器]
次いで、本発明の一実施形態に係る振動子1,3,4、および発振器150aのいずれかを適用した電子機器について、図11〜図13に基づき、詳細に説明する。なお、説明では、振動素子15を備えた振動子1を適用した例を示している。
図11は、本発明の一実施形態に係る振動子1を備える電子機器としてのモバイル型(又はノート型)のパーソナルコンピューターの構成の概略を示す斜視図である。この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部1101を備えた表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1100には、信号処理のタイミング源としての機能を備えた振動子1が内蔵されている。
図12は、本発明の一実施形態に係る振動子1を備える電子機器としての携帯電話機(PHSも含む)の構成の概略を示す斜視図である。この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部1201が配置されている。このような携帯電話機1200には、信号処理のタイミング源としての機能を備えた振動子1が内蔵されている。
図13は、本発明の一実施形態に係る振動子1を備える電子機器としてのデジタルスチールカメラの構成の概略を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。ここで、従来のフィルムカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、デジタルスチールカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
デジタルスチールカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部1301が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部1301は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCD等を含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部1301に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送、格納される。また、このデジタルスチールカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニター1430が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリー1308に格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。このようなデジタルスチールカメラ1300には、信号処理のタイミング源としての機能を備えた振動子1が内蔵されている。
なお、本発明の一実施形態に係る振動子1は、図11のパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、図12の携帯電話機、図13のデジタルスチールカメラの他にも、例えば、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター等の電子機器に適用することができる。なお、第4実施形態で説明した発熱素子(加熱素子)106を備えた発振器150aなどを用いれば、通信基地局などの温度環境の厳しい条件下で使用される電子機器に好適である。
[移動体]
図14は移動体の一例としての自動車を概略的に示す斜視図である。自動車506には本発明の一実施形態に係る振動子1が搭載されている。例えば、同図に示すように、移動体としての自動車506には振動子1を内蔵してタイヤ509などを制御する電子制御ユニット508が車体507に搭載されている。また、振動子1は、他にもキーレスエントリー、イモビライザー、カーナビゲーションシステム、カーエアコン、アンチロックブレーキシステム(ABS)、エアバック、タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)、エンジンコントロール、ハイブリッド自動車や電気自動車の電池モニター、車体姿勢制御システム、等の電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)に広く適用できる。
1,3,4…振動デバイスとしての振動子、2…SCカット水晶基板(圧電基板)、5…振動基板、10…底板、11…側壁、12…枠状基板、12a…台部、13…パッケージ、14…内部空間(凹部)、15…振動素子、16,18…励振電極、17,19…接続電極、20…基体としての発熱素子、21…弾性部材としての第1支持腕、22…弾性部材としての第2支持腕、23…導電性接着剤、24…第1支持部、25…第2支持部、26…リッド、27,28…導電性接着剤、29,31…ボンディングワイヤー、30…板バネ、32…PAD電極、33…外部接続端子、34…導電性接着剤、35,38…接続端子、36,39,42…PAD電極、40…シールリング、50…発熱素子、101a…プリント基板、105…接続板、107…熱伝導層、110…回路素子、120…電子部品、121…他の回路構成部品、122…外部接続端子、123…半田、150a…振動デバイスとして発振器、155…キャップ、224…内部空間、506…移動体としての自動車、1100…電子機器としてのモバイル型のパーソナルコンピューター、1200…電子機器としての携帯電話機、1300…電子機器としてのデジタルスチールカメラ。

Claims (12)

  1. 発熱部材である基体と、
    前記基体に接合されており、前記基体に対して同じ側に延在する第1支持腕及び第2支持腕を有する弾性部材と、
    前記基体から離間した位置において、前記第1支持腕に設けられた第1支持部及び前記第2支持腕に設けられた第2支持部に接続された振動素子と、
    を含む、振動デバイス。
  2. 前記第1支持腕及び前記第2支持腕はそれぞれ、平面視で細長形状であり、かつ、曲げ部を有するバネ部材である、
    請求項1に記載の振動デバイス。
  3. 前記第1支持腕及び前記第2支持腕はそれぞれ、平面視で互いに連なる複数の曲げ部を有し、かつ、断面視で平板形状のバネ部材である、
    請求項1に記載の振動デバイス。
  4. 前記第1支持腕及び前記第2支持腕は、平面視で前記振動素子の外縁に沿って延在している
    請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の振動デバイス。
  5. 前記振動素子を搭載する空間を備えたベース基板を有し、
    前記基体は、前記ベース基板に接続されている、
    請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の振動デバイス。
  6. 前記基体と前記弾性部材とは、導電部材によって接続されている、
    請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の振動デバイス。
  7. 前記基体は、一面に電極が設けられており、
    前記弾性部材は、前記電極に接続されている、
    請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の振動デバイス。
  8. 前記弾性部材と前記振動素子とは、導電性を備えた接続部材によって接続されている、
    請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の振動デバイス。
  9. 前記振動素子は、表裏面に励振電極が設けられており、
    一方の前記励振電極は、前記基体とワイヤーボンディングによって電気的に接続されている、
    請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の振動デバイス。
  10. 前記ベース基板と接合された、前記搭載する空間を気密に封止する蓋体を含む、
    請求項に記載の振動デバイス。
  11. 請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の振動デバイスを含む、
    電子機器。
  12. 請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の振動デバイスを含む、
    移動体。
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