以下の実施の形態では特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
さらに、以下の実施の形態では便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。
また、以下の実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良いものとする。
また、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
また、以下の実施の形態において、構成要素等について、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲等についても同様である。
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
(実施の形態)
図1は実施の形態の半導体装置の構造の一例を示す断面図である。
本実施の形態の半導体装置は、図1に示すように、配線が形成されたパッケージ基板(配線基板)3上に複数の半導体チップが積層された半導体パッケージであり、本実施の形態では、上記半導体パッケージの一例として、パッケージ基板3の下面(裏面)3b側に外部接続端子となる複数のボール電極9が格子状に設けられたBGA(Ball Grid Array)6を取り上げて説明する。なお、ボール電極9は、例えば半田ボールである。
BGA6の詳細構造について説明すると、BGA6には、2つの半導体チップが積層された状態で搭載されている。これら2つの半導体チップのうち、下段側に配置された半導体チップがロジックチップ(マイクロコンピュータを備えた半導体チップ、マイコンチップ)1であり、一方、ロジックチップ1上に積層された上段側の半導体チップはメモリチップ2である。なお、ロジックチップ1とメモリチップ2は電気的に接続されており、上段側のメモリチップ2は、下段側のロジックチップ1によって制御される。したがって、本実施の形態のBGA6は、SIP(System In Package)タイプの半導体パッケージであるとも言える。
なお、ロジックチップ1は、突起電極である複数の銅(Cu)ポストバンプ(銅ピラーバンプ、金属バンプ、金属製突起電極)5を介してパッケージ基板3上にフリップチップ実装されている。つまり、後述する図8に示すように、ロジックチップ1は、素子が形成され、かつ複数の銅ポストバンプ5が配置された表面(第1主面)1aが、パッケージ基板3の上面(表面)3aと対向するように配置され、パッケージ基板3の上面3a上に実装されている。
さらに、ロジックチップ1には、複数の貫通電極1cが形成されている。貫通電極1cは、シリコンベース部分を貫通して形成され、かつチップの表裏面に形成された電極と電気的に接続されている。
図8に示すように、BGA6のロジックチップ1における貫通電極1cは、その一端がロジックチップ1の表面(素子形成面、下面)1a側において、表層の絶縁層1fに形成された配線部1gの一端と電気的に接続されている。さらに、配線部1gの他端は、ロジックチップ1の表面1aに形成されたパッド1dと電気的に接続されている。さらに、パッド1dは、銅ポストバンプ5と電気的に接続されている。また、貫通電極1cの他端は、ロジックチップ1の表面1aとは反対側の裏面(第2主面、上面)1b側に設けられたバンプ(電極パッド)1eと電気的に接続されている。つまり、ロジックチップ1の裏面1bに設けられたバンプ1eは、ロジックチップ1の裏面1bから表面1aにかけて、貫通電極1c−配線部1g−パッド1d−銅ポストバンプ5と電気的に接続されていることになる。
さらに、図8に示すように、ロジックチップ1の裏面1bに設けられたバンプ1eとメモリチップ2の表面2aに設けられたパッド2dとが電気的に接続されることにより、ロジックチップ1とロジックチップ1の裏面1b上に積層されたメモリチップ2とが電気的に接続されている。
具体的には、図10に示すように、ロジックチップ1の裏面1b上には、マトリックス状に配置された複数のバンプ(電極パッド)1eが形成されており、一方、メモリチップ2の表面2a上には、複数のバンプ1eに対応した複数のバンプ2eが配置され、メモリチップ2とロジックチップ1とが、バンプ1eと接続するバンプ2eを介してフリップチップ接続されている。
また、ロジックチップ1の裏面1bには、複数のバンプ1eが形成されている。さらに、BGA6の組み立て工程のうち、プローブ検査工程やフリップチップ実装工程での位置合わせに用いるチップ位置認識用の認識マーク1hが形成されている。
つまり、この認識マーク1hは、BGA6の組み立て工程におけるプローブ検査工程やフリップチップ実装工程において、ロジックチップ1の裏面(上面)1bに形成された認識マーク1hを認識して、ロジックチップ1の位置合わせを行うものである。
また、BGA6では、パッケージ基板3からロジックチップ1を介して上段側のメモリチップ2に電源・GND・信号を供給する構造となっている。
なお、一例として、銅ポストバンプ5のピッチは、100μm以下程度であり、一方、その反対側のバンプ1eのピッチは、50μm前後であり、これらの範囲で、銅ポストバンプ5の電極ピッチ>バンプ1eの電極ピッチの関係となっている。また、複数のバンプ1eのそれぞれの直下に配置されている複数の貫通電極1cの平面視のピッチもバンプ1eの電極ピッチと同じく50μm前後となっている。そして、パッケージ基板3とロジックチップ1とは、複数の銅ポストバンプ5を介して電気的に接続されている。
なお、図8に示すように、パッケージ基板3の上面3aには、複数のランド(第1パッド電極)3iとこのランド3iの外周部を覆うソルダレジスト膜(絶縁膜)3kとが形成されており、複数のランド3iそれぞれの露出する部分に、例えば導電性材料である半田7を介して銅ポストバンプ5が電気的に接続されている。
一方、パッケージ基板3の下面3bには、複数のランド3jとこのランド3jの外周部を覆うソルダレジスト膜(絶縁膜)3kとが形成されており、複数のランド3jそれぞれの露出する部分に、外部接続端子となるボール電極9が電気的に接続されている。
また、パッケージ基板3の上面3aの複数のランド3iと、下面3bの複数のランド3jとは、内部配線3gやスルーホール配線3hを介して電気的に接続されている。
また、図1に示すように、パッケージ基板3上に積層されたロジックチップ1とメモリチップ2は、例えばエポキシ樹脂等から成る封止体4によって樹脂封止されている。
次に、本実施の形態の半導体装置の製造方法について説明する。
図2は図1の半導体装置の組み立ての素子形成〜配線形成後の構造の一例を示す部分断面図、図3は図1の半導体装置の組み立ての銅ポストバンプ形成後の構造の一例を示す部分断面図、図4は図1の半導体装置の組み立てのウエハサポート取り付け〜裏面研摩後の構造の一例を示す部分断面図である。また、図5は図1の半導体装置の組み立てにおける裏面バンプ形成後の構造の一例を示す部分断面図、図6は図1の半導体装置の組み立てのテープ貼り付け〜キャリア取り外し後の構造の一例を示す部分断面図、図7は図1の半導体装置の組み立てのダイシング後の構造の一例を示す部分断面図である。さらに、図8は図1の半導体装置の組み立ての下段チップのフリップチップ実装後の構造の一例を示す部分断面図、図9は図1の半導体装置の組み立ての位置合わせ時の構造の一例を示す部分断面図、図10は図1の半導体装置の組み立ての上段チップのフリップチップ実装後の構造の一例を示す部分断面図である。
まず、図2のステップS1に示す素子形成を行う。ここでは、半導体基板である半導体ウエハ(以降、単にウエハとも言う)8の表面8aに素子1sを形成する。すなわち、シリコンから成るベース基板1r上の絶縁層1pと保護膜1qとからなる表面層にトランジスタなどの素子1sを形成する。
次に、ステップS2の貫通電極形成を行う。ここでは、まず、ウエハ8の表面8a上にメタル層1mを形成し、その後、ウエハ8内にメタル層1mと電気的に接続された複数の貫通電極1cを形成する。なお、それぞれの貫通電極1cの表面は、SiO2 (TiNも含む)などの絶縁膜1tによって覆われており、これによって、貫通電極1cの拡散を防止している。複数の貫通電極1cの電極間ピッチは、ここでは、例えば50μm程度である。
次に、ステップS3の配線形成を行う。ここでは、まず、表面(第1面)8a上の絶縁層1fにメタル層1nを形成する。すなわち、メタル層1m上に複数の貫通電極1cと電気的に接続されたメタル層1nを形成する。メタル層1nは、複数の配線層から成り、各配線層のそれぞれの間には層間絶縁膜が形成されている。
さらに、絶縁層1f上に、メタル層1nと電気的に接続された複数のパッド1dを形成する。パッド1dは、例えばここでは、アルミ(Al)で形成されたパッドである。
次に、図3のステップS4の銅ポストバンプ形成を行う。ここでは、メタル層1n上にメタル層1nと電気的に接続された複数の突起電極である銅ポストバンプ5を形成する。すなわち、絶縁層1f上に形成され、かつメタル層1nと電気的に接続された複数のパッド1d上に突起電極である銅ポストバンプ5を形成する。さらに、それぞれの銅ポストバンプ5上には半田7が形成されている。なお、ここでは、銅(Cu)からなるポストバンプを例に挙げて説明しているが、これに限定されるものではなく、他の金属ポストバンプであっても構わない。
また、複数の銅ポストバンプ5を、ここでは、例えば100μm以下のピッチで設ける。メモリチップ側に必要となる貫通電極1cの端子数の方が、パッケージ基板側に接続する銅ポストバンプ数より多いため、複数の銅ポストバンプ5のそれぞれの電極ピッチ>複数の貫通電極1cのそれぞれの電極ピッチの関係となる。
次に、プローブ検査を実施する。すなわち、銅ポストバンプ5を形成した後、複数の銅ポストバンプ5にプロービングを行って(図示しないテストプローブを当てて)、電気的試験である第1プローブ検査を行う。この第1プローブ検査は、ウエハ8に形成されたロジックチップ1の良否判定を行うものであり、ウエハ8のチップ領域に形成された複数のロジックチップ1に対して行う。
次に、図4のステップS5に示すウエハサポート取り付けを行う。ここでは、ウエハ8の表面8a側をキャリア11に接着剤12を介して貼り付ける。なお、キャリア11は、例えば石英ガラス等からなるガラスキャリアである。また、接着剤12は、例えば有機系接着剤である。ただし、接着剤12は、有機系接着剤に限定されるものではなく、導電性接着剤等を用いてもよい。
次に、図4のステップS6に示す裏面研摩(研削、バックグラインド)を行う。ここでは、ウエハ8の表面8aとは反対側の裏面8bを研摩(研削)し、ステップS2で予め形成しておいた複数の貫通電極1cのそれぞれの先端(一部)を露出させる。この時の研摩は、例えばポリッシングとケミカルエッチングなどである。
次に、図5のステップS7に示す裏面バンプ形成を行う。ここでは、まず、ウエハ8の裏面8bに露出した複数の貫通電極1cの先端の周囲に絶縁膜1uを形成する。この絶縁膜1uは、例えばSiO2 (TiNも含む)膜などである。さらに、複数の貫通電極1cの裏面8b側に露出した先端のそれぞれにバンプ1eを形成する。バンプ1eは、例えばメッキなどによって形成される。また、バンプ1eは、例えば金(Au)等からなる場合が多い。
これにより、ウエハ8の裏面8bには複数のバンプ1eが形成される。なお、複数のバンプ1eのそれぞれは、ウエハ8の裏面8bに露出する複数の貫通電極1cの先端に形成したものであるため、複数のバンプ1eの電極ピッチは、複数の貫通電極1cのピッチと同じである。そのため、ウエハ8の表裏面において、複数の銅ポストバンプ5のそれぞれの電極ピッチ>複数のバンプ1e(貫通電極1c)のそれぞれの電極ピッチの関係となっている。
次に、プローブ検査を実施する。ここでは、複数の銅ポストバンプ5と複数のバンプ1eとの電気的接続状態(導通状態)を検査する第2プローブ検査を実施する。なお、第2プローブ検査は、キャリア11をウエハ8に貼り付けた状態でウエハ8を支持し、この状態で複数のバンプ1eのそれぞれの電極間の導通確認を行う。
つまり、この第2プローブ検査は、ウエハ8内(チップ内)に形成された複数の貫通電極1cのそれぞれの良否判定を行うものである。
なお、第2プローブ検査では、図8に示すロジックチップ1の裏面1bに形成された認識マーク1hを認識し、この認識結果に基づいてロジックチップ1の裏面1bの複数のバンプ1eにプローブのテスト針を接触させてプローブ検査を行う。
上記第2プローブ検査完了後、図6のステップS8に示すテープ貼り付けを行う。ここでは、上記第2プローブ検査を実施したウエハ8の裏面8b側をダイシングテープ15に貼り付ける。
次に、ステップS9に示すキャリア取り外しを行う。ここでは、上記第2プローブ検査を終え、かつダイシングテープ15を貼り付けたウエハ8に対して、表面8a側に接着剤12を介して貼り付けられているキャリア11を、ウエハ8から取り外す(除去する)。さらにエッチングを行って接着剤12を除去する。この時、エッチングによって接着剤12を除去すると共に、他の異物なども除去することができ、複数の銅ポストバンプ5や素子形成面(表面8a)の洗浄を行うことができる。
次に、図7のステップS10に示すダイシングを行う。ここでは、ダイシングテープ15に支持されたウエハ8を切断し、複数の良品の半導体チップ(ここではロジックチップ1)を取得する。
次に、フリップチップ実装を行う。
ここでは、図8のステップS11に示すロジックチップ(下段チップ)1のフリップチップ実装を行う。最初に、パッケージ基板(配線基板、多連基板)3を準備する。なお、パッケージ基板3の上面3aには、ロジックチップ1の複数の銅ポストバンプ5に接続される複数のランド3iが形成されており、一方、パッケージ基板3の上面3aとは反対側の下面3bには複数のランド3iと電気的に接続された複数のランド3jが形成されている。
また、パッケージ基板3の上下面のそれぞれにはその表層にソルダレジスト膜3kが形成されており、各ランド3i,3jの一部が露出している。
パッケージ基板3を準備した後、上記第2プローブ検査で良品となったロジックチップ1をパッケージ基板3の上面3a上に搭載し加熱・加圧することにより、銅ポストバンプ5上に形成された半田7を介してパッケージ基板3と複数の銅ポストバンプ5とを電気的に接続する。その後、ロジックチップ1とパッケージ基板3との隙間に液状の封止樹脂であるアンダーフィル10を注入し充填する。なお、これについては、パッケージ基板3上に予め液状の封止樹脂であるアンダーフィル10を塗布しておき、ロジックチップ1を搭載することにより銅ポストバンプ5とパッケージ基板3との電気的な接続と、ロジックチップ1とパッケージ基板3との隙間の樹脂充填と、を同時に行ってもよい。
次に、プローブ検査を実施する。ここでは、ロジックチップ1とパッケージ基板3との電気的接続状態を検査する第3プローブ検査を実施する。なお、この第3プローブ検査では、ロジックチップ1の裏面1bに形成された認識マーク1hを認識し、この認識結果に基づいてロジックチップ1の裏面1bの複数のバンプ1eにプローブのテスト針を接触させて導通検査を行う。
この第3プローブ検査により、ロジックチップ1とパッケージ基板3の導通が確実に確保されているか否か確認することができる。
次に、図9のステップS12に示すメモリチップ(上段チップ)2の積層を行う。
まず、ロジックチップ1とメモリチップ2の位置合わせを行う。ここでは、上記第3プローブ検査の際に認識したロジックチップ1の裏面1bの認識マーク1hの認識結果に基づき、ロジックチップ1の裏面1bの複数のバンプ1eと、メモリチップ2の表面2aの複数のバンプ2eとの位置合わせを行う。そして、位置合わせが完了した後、図10に示すようにロジックチップ1上にメモリチップ2をフリップチップ実装する。
ここでは、ロジックチップ1の複数のバンプ1eと、メモリチップ2の複数のバンプ2eとの位置合わせを行って、ロジックチップ1の裏面1bとメモリチップ2の表面2aとが対向するようにロジックチップ1上にメモリチップ2を搭載してフリップチップ実装を行う。その後、ロジックチップ1とメモリチップ2との隙間にアンダーフィル10を充填する。
次に、樹脂封止工程において、ロジックチップ1とメモリチップ2と複数の銅ポストバンプ5と複数のバンプ2e等を封止樹脂で覆って封止体4を形成し、さらに、外部接続端子となるボール電極9の搭載を行う。搭載後、パッケージ基板3を個片に切り離し、図1に示すBGA6の組み立て完了となる。
次に、本実施の形態の上記プローブ検査で行う半導体ウエハの位置合わせ方法、およびフリップチップ実装で行う半導体チップの位置合わせ方法について説明する。図11は比較検討を行ったプローバの構造の一例を示す概念図、図12は図11のプローバに搭載されたウエハの表面側の構造を示す平面図と拡大平面図、図13は図11のプローバに搭載されたウエハの裏面側の構造を示す平面図、図14は図13のA部の構造を示す平面図と部分拡大平面図である。また、図15は比較検討を行った位置合わせ方法を示す概念図、図16は図15に示す位置合わせ時に認識する認識範囲を示す平面図と拡大部分平面図である。
図11に示すプローバ30は、ウエハ31のプローブ検査を行うものであり、ローダ・アンローダ30dに搬送されたウエハ31を取り出してX,Y,Z方向に可動自在のステージ30a上に載置し、プローバ30のテストヘッド30bに設けられた複数のプローブ針30cをウエハ31の電極に接触させて導通検査や電気的特性検査等を実施するものである。
この時、プローブ検査は、チップ単位のテスト端子(パッドまたはバンプ)にプローブ針30cを正確に接触させ、特性を検査する必要がある。そのため、ウエハ31をチップ単位で移動させるプローバ30は、1チップ分を認識し、高精度に移動する必要がある。したがって、チップ内の固有パターンなど、指定された位置合わせマークを認識することで1チップ分の移動が可能になる。
図12は、複数の貫通電極31dが形成されたウエハ31の表面31a側の構造を示したものであり、表面31a側には、その拡大図に示す複数の貫通電極31dの端子以外にスクライブライン31cが形成されており、チップの区分が認識可能になっている。また、チップ領域31e内は、上記端子等からなる固有パターンが繰り返されており、位置合わせ時に固有部分のパターンを認識して位置合わせする。加えて、チップ領域31eの角部に位置合わせ用の位置合わせマーク31fも形成されており、上記プローブ検査時の半導体31の位置合わせに用いられる。
一方、図13はウエハ31の裏面31b側の構造を示すものであり、貫通電極31dに接続された複数のバンプ31gのみが見えるだけである。したがって、ウエハ状態で、裏面31b側のバンプ31gにプローブ針30cを接触させて上記プローブ検査を行う際には、位置合わせ用のマークが必要になるが、上述のように裏面31b側には複数のバンプ31gのみが見えているだけであるため、上記プローブ検査でプローブ針30cをバンプ31gに接触させるのは困難である。例えば、ウエハ31の裏面31b側に対して、プローバ30において位置合わせのための認識を行うと、図14の拡大図のA部とB部に示すように、カメラが撮像した認識範囲Cと撮像範囲Dでその模様が同じであるため、類似パターンと判断し、プローバ30が誤認識する確率が高くなるという課題が起こる。
また、この課題は、チップ搭載工程において、チップ積層を行う際の上段側の半導体チップ(例えば、図9に示すメモリチップ2)の位置合わせの時にも生じる。例えば、図15に示す配線基板3にチップ32をフリップチップ実装し、さらにチップ32上に積層する上段の上記半導体チップの位置合わせのための認識を、カメラ34によって複数の貫通電極31dを認識して行うと、上述のプローブ検査の時と同様に、図14の認識範囲Cと撮像範囲Dとでその模様が同じであるため、誤認識する確率が高くなるという課題が生じる。
なお、下段側のチップ32の搭載については、フリップチップ接続用の電極間ピッチ(図8のパッド1d間のピッチであり、例えば100μm以下程度)が、貫通電極31d間のピッチ(例えば、50μm前後)に比べて遥かに大きいため、配線基板3に形成された位置合わせ用のマークを認識して位置合わせを行うことが可能である。
しかしながら、上段側に積層される上記半導体チップは下段のチップ32の狭ピッチ配列された複数の貫通電極31dに対してフリップチップ実装するので、チップ32の裏面にも位置精度を確保するための位置合わせ用のマークが必要となる。
なお、図16に示すように、チップ領域31e内に点画からなる位置合わせマーク35を形成したとしても、複数のバンプ31gの配列パターンとの比較で、位置合わせマーク35による認識範囲Cの模様と、バンプ31gによる撮像範囲Dの模様とが類似しているため、誤認識に至る可能性が高い。
次に、本実施の形態の特徴について説明する。
図17は図1の半導体装置の組み立てのフリップチップ工程における位置合わせ時の状態の一例を示す概念図、図18は図1の半導体装置の組み立てのフリップチップ工程におけるフリップチップ実装後の構造の一例を示す概念図、図19は図17の位置合わせ時の構造の一例を示す断面図、図20は図18に示すフリップチップ実装後の構造の一例を示す断面図である。また、図21は本実施の形態で用いられるウエハの表面側の構造を示す平面図、図22は図21のA部の構造を示す平面図と部分拡大平面図、図23は図21のA部の構造を示す平面図と部分拡大平面図である。さらに、図24は図1の半導体装置の組み立てのフリップチップ工程で用いられるチップ搭載機の構造の一例を示すブロック図、図25は図1の半導体装置の組み立ての検査工程で用いられるプローバ装置の構造の一例を示すブロック図、図26は図25のプローバ装置において検査時のウエハの保持状態の一例を示す部分断面図である。
本実施の形態では、図17および図18に示すようにロジックチップ1の裏面1bに位置合わせ用の認識マーク1hを形成している。そして、ロジックチップ1の裏面1b上にメモリチップ2をフリップチップ実装する際に、この認識マーク1hを含む認識範囲内の模様を認識してメモリチップ2の位置合わせを行う。
このように、ロジックチップ1の裏面1bに位置合わせ用の認識マーク1hを設けることにより、複数の貫通電極1cの一部を認識するよりも誤認識を減らすことができる。さらに、図19と図20に示すように、ロジックチップ1上にメモリチップ2を搭載した際、ロジックチップ1の複数の貫通電極1cとメモリチップ2の複数のバンプ2eとを高精度に位置合わせすることができる。ここで、図21は、図22に示すような認識マーク1hが形成されたウエハ8の裏面8b側を示すものであり、裏面8b側の各チップ領域には、それぞれ複数のバンプ1eが設けられていると共に、図22に示すようにチップ角部に認識マーク1hが形成されている。
なお、図22に示す認識マーク1hは、複数の貫通電極1cのそれぞれと接続されたバンプ1eによる点画であり、上方から眺めると、所謂L形状に見えるようになっている。
これにより、フリップチップ接続工程では、まず、ロジックチップ1の裏面1b上の認識マーク1hを含む認識範囲Cを、図19に示すカメラ14によって撮像して図22に示す認識範囲Cの模様を認識する。
ここで、認識範囲Cの模様は、複数のバンプ1eの配列模様のいずれの部分とも異なっている。すなわち、ロジックチップ1の裏面1b側において、カメラ14が撮像して認識すべき認識範囲Cの模様は、複数のバンプ1eの配列における撮像範囲Dの配列模様と同一ではない。
なお、「模様が異なる」とは、認識マーク1hを含む認識範囲Cの模様が、ロジックチップ1の裏面1bの複数のバンプ1eの配列模様のいずれの部分とも異なっているということである。あるいは、認識マーク1hを含む認識範囲Cの模様を複数のバンプ1eが配列された領域に重ねた時に、それぞれの模様が一致することがない(一致することが起きない)ということである。
図22に示す例では、認識マーク1hは、複数のパターン1haの集合体から成り、さらに、認識マーク1hを含む認識範囲Cは、複数のパターン1haが配列された第1領域1iと、パターン1haが配置されていない第2領域1jとを有している。
一方、撮像範囲Dは、複数のバンプ1eが配置された領域(第1領域1iに相当)のみを有しており、上記第2領域1jに相当する領域は有していない。
したがって、チップ上に形成された認識範囲Cの模様と撮像範囲Dの配列模様とは確実に異なっており、両者は、類似パターン(類似模様)ではない。
したがって、カメラ14がロジックチップ1の裏面1bを撮像した際に、撮像範囲Dの配列模様を、認識すべき認識範囲Cの模様と誤認識することを低減することができる。
また、チップ搭載機等の認識部においては、所定の場所のマークを認識する際、おおよその認識位置(設計値)は装置内に記憶されており、マークの(X,Y)座標を設定することによりマークを探す動作を行う場合が多い。しかしながら、その座標の周囲に類似パターンが形成されていると、認識部はこの類似パターンをマークとして誤認識する可能性がある。したがって、類似パターンと認識パターンとは、可能な限り離して配置する方が好ましい。
ここで、図23は、本願発明の課題(位置合わせマークの模様が、複数の電極パッドの配列模様と近似していると、認識時に誤認識が発生する)の一解決方法を示すものである。図23のA部は、バンプ1eの配列のうちの比較的誤認識し易い中央部付近を撮像した場合であり、撮像範囲Dのバンプ1eの配列模様と認識範囲Cの認識マーク1hの配列が近似しているため、誤認識する可能性が高い。
したがって、半導体チップの裏面の角部に認識マーク1hを配置することにより、複数のバンプ1eと認識マーク1hの位置を離して配置することができ、その結果、誤認識を防ぐことができる。
ところが、認識マーク1hをバンプ1eから離れた位置に配置することは、半導体チップの面積の増大を招くことになる。
そこで、図22に示す本願発明のように、認識範囲Cの認識マーク1hの模様を、撮像範囲Dの配列模様と確実に異なった模様とすることにより、認識マーク1hを複数のバンプ1eに近づけて配置することができ、その結果、半導体チップの面積を小さくすることができる。さらに、半導体チップを形成する半導体ウエハの大型化(ウエハサイズの大型化)を抑制することができる。
次に、図22に示す認識マーク1hが形成されたロジックチップ1上に、メモリチップ2をフリップチップ接続する際の詳細方法について説明する。
最初に、フリップチップ接続で用いられる図24に示すチップ搭載機13について説明する。チップ搭載機13は、図22に示すロジックチップ1の認識マーク1hを含む認識範囲Cの模様を撮像するカメラ14と、カメラ14により撮像した画像データを保存し、かつ上記画像データを処理する認識部16と、認識部16が処理した上記画像データを基に上段側のメモリチップ2を位置決めして搭載するチップ搭載部17とを有している。
フリップチップ接続時には、まず、チップ搭載機13のカメラ14によって、図22のロジックチップ1の裏面1b上の認識マーク1hを含む認識範囲Cを撮像して認識範囲Cの模様を認識する。この時、予め認識部16に保存された認識範囲Cの模様の画像データと、新たにカメラ14によって撮像した認識範囲Cの模様の画像データとを比較する。その際、認識範囲Cの模様と複数のバンプ1eの撮像範囲Dの配列模様とで、認識範囲Cの模様が、上記配列模様のいずれの部分とも異なっているため、撮像範囲Dの配列模様を、認識すべき認識範囲Cの模様と誤認識することはなく、認識部16によって認識範囲Cの模様を確実に認識することができる。
次に、チップ搭載部17により、認識範囲Cの模様を認識した結果に基づいて、図9に示すように、ロジックチップ1の複数のバンプ1eとメモリチップ2の複数の突起電極であるバンプ2eとの位置合わせを行う。
さらに、上記位置合わせ後、チップ搭載部17によってロジックチップ1上にメモリチップ2を搭載し、ロジックチップ1の複数のバンプ1eとメモリチップ2の複数のバンプ2eとを電気的に接続する。これにより、フリップチップ接続を完了する。
このように、ロジックチップ1の裏面1bに、バンプ1eの配列模様とは異なる模様を形成する認識マーク1hが形成されていることにより、認識範囲Cの模様における認識マーク1hを確実に認識することができ、ロジックチップ1の複数のバンプ1eとメモリチップ2の複数のバンプ2eとの位置合わせを高精度に行うことができる。
その結果、フリップチップ接続の信頼性を高めることができ、半導体装置(BGA6)の組み立て性を向上させることができる。
次に、本実施の形態のBGA6の組み立て工程におけるプローブ検査(第2プローブ検査または第3プローブ検査)時に、図22に示す認識マーク1hが形成されたロジックチップ1(半導体ウエハ8)とプローブ針との位置合わせを行う詳細方法について説明する。
最初に、上記プローブ検査で用いられる図25に示すプローバ装置18について説明する。プローバ装置18は、認識マーク1hを含む認識範囲Cの模様を撮像するカメラ19と、カメラ19により撮像した画像データを保存し、かつ上記画像データを処理する認識部20と、認識部20が処理した上記画像データを基に半導体チップにコンタクトする複数のプローブ針21と、複数のプローブ針21を介して上記半導体チップの電気特性を測定する測定部22とを有している。
プローブ検査時には、まず、プローバ装置18のカメラ19によって、図22のロジックチップ1の裏面1b上の認識マーク1hを含む認識範囲Cを撮像して認識範囲Cの模様を認識する。この時、予め認識部20に保存された認識範囲Cの模様の画像データと、新たにカメラ19によって撮像した認識範囲Cの模様の画像データとを比較する。その際、認識範囲Cの模様と複数のバンプ1eの撮像範囲Dの配列模様とで、認識範囲Cの模様が、上記配列模様のいずれの部分とも異なっているため、撮像範囲Dの配列模様を、認識すべき認識範囲Cの模様と誤認識することはなく、認識部20によって認識範囲Cの模様を確実に認識することができる。
その後、認識範囲Cの模様を認識した結果に基づいて、図9に示すロジックチップ1の複数のバンプ1e(または図5のウエハ8の裏面8bの複数のバンプ1e)と、図25の複数のプローブ針21との位置合わせを行う。
上記位置合わせ後、ロジックチップ1の複数のバンプ1eのそれぞれに複数のプローブ針21をコンタクトさせ、さらに測定部22によってロジックチップ1の電気特性を測定する。
このように、ロジックチップ1の裏面1bに、バンプ1eの配列模様とは異なる模様を形成する認識マーク1hが形成されていることにより、認識範囲Cの模様における認識マーク1hを確実に認識することができ、ロジックチップ1の複数のバンプ1eとプローバ装置18のプローブ針21との位置合わせを高精度に行うことができる。
その結果、プローブ検査における検査の信頼性を高めることができ、半導体装置(BGA6)の組み立て性を向上させることができる。
なお、図5に示すステップS7の裏面バンプ形成工程で、バンプ1eを形成した後に第2プローブ検査を行う場合は、キャリア11に貼り付けられたウエハ8の状態でプローブ検査を行う。このウエハ状態でのプローブ検査は、図26に示すように、プローバ装置18のステージ23上に、キャリア11を介してウエハ8を保持した状態でプローブ検査を実施する。
このウエハ状態でプローブ検査を実施する場合には、プローブ検査後、ウエハ8を、図7に示すようにダイシングして、上記プローブ検査(第2プローブ検査)で良品となったロジックチップ1を取得し、その後、この良品のロジックチップ1を図8に示すようにパッケージ基板3に搭載する。
なお、本実施の形態のBGA6の組み立てでは、上記第2および第3プローブ検査は、必ずしも実施しなくてもよい。また、上記第2および第3プローブ検査のうち、いずれか一方のみを実施してもよく、あるいは両方を実施してもよい。
また、図9に示す上段側のメモリチップ2のフリップチップ接続においても、認識マーク1hを撮像して行う位置合わせは、必ずしも実施しなくてもよい。ただし、その場合には、上記第2および第3プローブ検査のうちの少なくともいずれか一方において、認識マーク1hを撮像して行うプローブ針21との位置合わせを行う。
また、上記第1プローブ検査や上記第2プローブ検査において撮像する認識マーク1hを含む認識範囲Cの模様は、図9に示す上段側のメモリチップ2のフリップチップ接続において撮像する認識マーク1hを含む認識範囲Cの模様と共通化するとよい。すなわち、プローブ検査とフリップチップ接続で位置合わせのために撮像する認識マーク1hは共通のものを使用するとよい。
これにより、チップ裏面に工程毎に対して別々の認識マーク1hを形成することを避けることができ、半導体チップ内の領域を効率良く使用することができる。
次に、本実施の形態の認識マーク1hの形成方法について説明する。
図27は図1の半導体装置に組み込まれる半導体チップにおける認識マークの形成工程の一例を示す断面図、図28は図1の半導体装置に組み込まれる半導体チップにおける認識マークの形成工程の一例を示す断面図、図29は図1の半導体装置に組み込まれる半導体チップにおける認識マークの形成工程の第1変形例を示す断面図である。
さらに、図30は図22の貫通電極によるパターンのピッチと大きさの一例を示す概念図、図31は図1の半導体装置に組み込まれるロジックチップの裏面側の構造の一例を示す平面図である。
最初に、貫通電極形成工程とは別の工程で認識マークを形成する場合を説明する。図27のステップS21に示すように、まず、ウエハ8の表面8aに素子1sを形成する。すなわち、シリコンから成るベース基板1r上の絶縁層1pと保護膜1qとからなる表面層にトランジスタなどの素子1sを形成する。
次に、貫通電極形成を行う。ここでは、まず、ウエハ8の表面8a上にメタル層1mを形成し、その後、ウエハ8内にメタル層1mと電気的に接続された複数の貫通電極1cを形成する。なお、それぞれの貫通電極1cの表面は、SiO2 (TiNも含む)などの絶縁膜1tによって覆われており、これによって、貫通電極1cの拡散を防止している。
次に、パッド1dに銅ポストバンプ5を形成した後、ウエハ8に接着剤12を介してキャリア11を貼り付ける。さらに、ステップS22に示す裏面研摩を行う。すなわち、キャリア11によって保持されたウエハ8の裏面8bを研摩して複数の貫通電極1cの先端部を突出させる。
次に、図28のステップS23に示す裏面バンプ形成を行う。ここでは、各貫通電極1cのそれぞれの先端にバンプ1eを形成する。
次に、ステップS24に示すマーク形成を行う。例えば、メッキなどによってウエハ8の裏面8bに認識マーク1kを形成する。
このように、認識マーク1kを貫通電極形成工程とは別の工程で形成することにより、貫通電極1cの配列模様とは全く異なった模様で形成することが可能である。すなわち、認識マーク1hとは、大きさ、形、ピッチ等を全く変えて認識マーク1kを形成することができる。
なお、図30に示すように、マトリックス状に配列された複数の貫通電極1cは、JEDEC(Joint Electron Device Engineering Council standards)により、隣り合う電極間のピッチXが、X=50μm、ピッチYが、Y=40μm、電極の直径φが、φ=20μmと定められている。
したがって、認識マーク1kを貫通電極形成工程とは別の工程で形成する場合には、これらの数値に限られることなく、ピッチや大きさ、形等を変えて認識マーク1kを形成してもよいし、また、同一のピッチ、直径、形で形成してもよい。
一方、図29に示す第1変形例は、貫通電極形成工程で認識マーク1hを同時に形成する場合を示す図である。
最初に、ウエハ8の表面8aに素子1sを形成する。すなわち、シリコンから成るベース基板1r上の絶縁層1pと保護膜1qとからなる表面層にトランジスタなどの素子1sを形成する。
次に、ステップS31に示すように、貫通電極形成工程において貫通電極1cと一緒に認識マーク1h用の複数の貫通電極1vを形成する。まず、ウエハ8の表面8a上にメタル層1mを形成し、その後、ウエハ8内にメタル層1mと電気的に接続された複数の貫通電極1c,1vを形成する。なお、それぞれの貫通電極1c,1vの表面は、SiO2 (TiNも含む)などの絶縁膜1tによって覆われており、これによって、貫通電極1c,1vの拡散を防止している。
さらに、パッド1dに銅ポストバンプ5を形成した後、ウエハ8に接着剤12を介してキャリア11を貼り付ける。その後、ステップS32に示す裏面研摩を行う。すなわち、キャリア11によって保持されたウエハ8の裏面8bを研摩して複数の貫通電極1c,1vのそれぞれの先端部を突出させる。
次に、ステップS33に示すマーク形成(裏面バンプ形成)を行う。ここでは、ウエハ8の裏面8bに突出した複数の貫通電極1cのそれぞれの先端にバンプ1eを形成すると共に、複数の貫通電極1vのそれぞれの先端に認識マーク1hを形成する。なお、複数のバンプ1eおよび認識マーク1hは、例えば、メッキなどによって形成する。
なお、貫通電極形成工程で同時に認識マーク1hを形成する場合には、認識マーク1hは、点画(パターン1ha)の集合体、もしくは単一の点画となる。
このように認識マーク1hを貫通電極形成工程で同時に形成することにより、1枚のマスクを用いて貫通電極1cと同時に認識マーク用の貫通電極1vを形成することができるため、高精度に複数の認識マーク1hを形成することができる。
さらに、認識マーク1hを形成するための工程を省略することができ、その結果、効率よく認識マーク1hを形成することができる。
また、認識マーク1hを貫通電極形成工程で同時に形成する場合においても、隣り合う貫通電極1vのピッチや大きさを変えることも可能であり、また貫通電極1cと形を変えることも可能である。例えば、上記ピッチXのみを変えてもよく、上記ピッチYのみを変えてもよいし、あるいは上記ピッチXとYの両方を変えてもよい。
ただし、複数の貫通電極1vは、複数の貫通電極1cと同一のピッチ、直径、形で形成してもよい。
次に、図31を用いて、ロジックチップ1の裏面1bの形が略正方形の場合の認識マーク1hの形成位置について説明する。
ロジックチップ1では、その裏面1bの中央部に複数の貫通電極1cがマトリックス状に配置されている。したがって、複数の貫通電極1cの周囲にはセル領域を確保する必要がある。そこで、認識マーク1hは、図31に示すように、裏面1bの複数の貫通電極1cが配置された領域から離れた位置に形成することが好ましい。例えば、裏面1bの角部等の端部領域である。
これにより、セル領域を十分に確保することができる。
さらに、認識マーク1hを裏面1bの複数の貫通電極1cが配置された領域から離れた位置(裏面1bの端部)に形成することにより、認識マーク1hの認識率を高めることができる。すなわち、認識マーク1hが、複数の貫通電極1cに接続されたバンプ1eから十分に離れた位置に形成されていることにより、カメラ14,19で撮像した際に認識マーク1hの認識がし易く、認識マーク1hの認識率を高めることができる。
ただし、図22のロジックチップ1に示すように、複数のバンプ1e(貫通電極1c)が配置された領域から近い位置に認識マーク1hが形成されている場合には、バンプ1eと認識マーク1hとの距離が近いため、フリップチップ接続を行う場合のチップ搭載精度を高めることができる。
したがって、認識マーク1hの認識率を高めるために、認識マーク1hが複数のバンプ1e(貫通電極1c)から離れた位置に形成されている方が好ましいが、フリップチップ接続時のチップ搭載精度を高める必要がある場合には、認識マーク1hを複数のバンプ1e(貫通電極1c)に近い位置に形成してもよい。
次に、他の変形例について説明する。
図32は第2変形例の認識範囲の模様を示す平面図と拡大部分平面図、図33は第3変形例の認識範囲の模様を示す平面図と拡大部分平面図、図34は第4変形例の認識範囲の模様を示す平面図と拡大部分平面図、図35は第5変形例の認識範囲の模様を示す平面図と拡大部分平面図、図36は第6変形例の認識範囲の模様を示す平面図と拡大部分平面図である。また、図37は第7変形例の認識範囲の模様を示す平面図と拡大部分平面図、図38は第8変形例の認識範囲の模様を示す拡大平面図、図39は第9変形例の認識範囲の模様を示す拡大平面図、図40は第10変形例の認識範囲の模様を示す拡大平面図である。さらに、図41は実施の形態の第11変形例の半導体装置の構造を示す断面図、図42は実施の形態の第12変形例の半導体装置の構造を示す拡大部分断面図、図43は実施の形態の第13変形例の半導体装置の構造を示す断面図、図44は実施の形態の第14変形例の半導体装置の構造を示す断面図である。
なお、図32〜図37の変形例において、便宜上、チップ裏面の形が長方形であり、かつ認識マーク1hが、複数のバンプ1eが配置された領域から近い位置に形成されている場合を取り上げて説明するが、チップ裏面の形、および認識マーク1hと複数のバンプ1eとの配置関係については、図31に示すロジックチップ1と同様に正方形に近い形であってもよいことは言うまでもない。
図32に示す第2変形例は、認識マーク1hの変形例を示すものであり、認識マーク1hは、複数のパターン1haの集合体から成ると共に、平面視で+形状となっており、認識マーク1hを含む認識範囲Cは、パターン1haが配置されていない第2領域1jを4箇所(4隅)に有している。
一方、撮像範囲Dは、上記第2領域1jに相当する領域は有していないため、認識範囲Cの模様と撮像範囲Dの配列模様とは確実に異なっており、両者は、類似パターン(類似模様)ではない。
その結果、図24のカメラ14や図25のカメラ19がロジックチップ1の裏面1bを撮像した際に、撮像範囲Dの配列模様を、認識すべき認識範囲Cの模様と誤認識することを低減することができる。
また、図33に示す第3変形例も、認識マーク1hの変形例を示すものであり、認識マーク1hは、単一の第1パターン1hbから成ると共に、平面視で円形となっている。さらに、複数のバンプ1eのそれぞれの面積は等しいが、第1パターン1hbの面積と複数のバンプ1eのそれぞれの面積とは異なっており、第1パターン1hbの面積の方がバンプ1eそれぞれの面積より遥かに大きくなっている。
なお、第3変形例においても、認識マーク1hを含む認識範囲Cは、第1パターン1hbが配置されていない第2領域1jを有している。
一方、撮像範囲Dは、上記第2領域1jに相当する領域は有していないため、認識範囲Cの模様と撮像範囲Dの配列模様とは確実に異なっており、両者は、類似パターン(類似模様)ではない。
その結果、図24のカメラ14や図25のカメラ19がロジックチップ1の裏面1bを撮像した際に、撮像範囲Dの配列模様を、認識すべき認識範囲Cの模様と誤認識することを低減することができる。
また、第1パターン1hbの面積の方がバンプ1eそれぞれの面積より遥かに大きくなっており、第1パターン1hbとバンプ1eの大きさが明らかに異なっているため、認識マーク1hを含む認識範囲Cの認識率をさらに高めることができる。
また、図34に示す第4変形例も、認識マーク1hの変形例を示すものであり、認識マーク1hは、第1パターン1hbと第2パターン1hcと第3パターン1hdと第4パターン1heとを有している。ここで、第1パターン1hbを基準としたときに第2パターン1hcは第1方向1wに沿って配置されており、第3パターン1hdは第1方向1wと直交する第2方向1xに沿って配置されている。さらに、第4パターン1heは、第3パターン1hdを基準として第1方向1wに沿って配置されている。
なお、第1パターン1hbと第2パターン1hcと第3パターン1hdと第4パターン1heは、それぞれ平面視で円形であると共に、各パターンのそれぞれの面積は等しく、さらに、複数のバンプ1eのそれぞれの面積とは異なっている。
すなわち、第1パターン1hbと第2パターン1hcと第3パターン1hdと第4パターン1heの円形のそれぞれの面積(大きさ)は、複数のバンプ1eのそれぞれの面積(大きさ)とは明らかに異なっている。つまり、各パターンそれぞれの面積は、複数のバンプ1eのそれぞれの面積(大きさ)より明らかに大きい。
また、第1パターン1hbと第2パターン1hcとのピッチ間距離P1は、複数のバンプ1eのそれぞれのピッチ間距離P2よりも大きく、P1>P2の関係となっている。さらに、第1パターン1hbと第3パターン1hdとのピッチ間距離P3は、複数のバンプ1eのそれぞれのピッチ間距離P2よりも大きく、P3>P2の関係となっている。
すなわち、本第4変形例では、個々のパターンとそれぞれのバンプ1eとの大きさが全く異なり、かつ両者の隣り合うパターン(バンプ1e)との配置ピッチも全く異なるため、認識範囲Cの模様と撮像範囲Dの配列模様とは確実に異なっており、第4変形例では、両者は、さらに明確に異なった模様となっている。
したがって、図24のカメラ14や図25のカメラ19がロジックチップ1の裏面1bを撮像した際に、撮像範囲Dの配列模様を、認識すべき認識範囲Cの模様と誤認識することをさらに確実に低減することができる。
また、図35に示す第5変形例も、認識マーク1hの変形例を示すものであり、認識マーク1hは、単一の第1パターン1hbから成ると共に、平面視で円形となっている。さらに、複数のバンプ1eのそれぞれの面積は等しいが、第1パターン1hbの面積と複数のバンプ1eのそれぞれの面積とは異なっており、第1パターン1hbの面積の方がバンプ1eそれぞれの面積より遥かに大きくなっている。
したがって、認識範囲Cの模様と撮像範囲Dの配列模様とは確実に異なっており、両者は、類似パターン(類似模様)ではない。
その結果、図24のカメラ14や図25のカメラ19がロジックチップ1の裏面1bを撮像した際に、撮像範囲Dの配列模様を、認識すべき認識範囲Cの模様と誤認識することを低減することができる。
さらに、図35の本第5変形例の認識範囲Cは、その面積が第1パターン1hbの1つ分となっており、図22の認識範囲Cと比較して遥かに小さい。
したがって、認識範囲Cを狭くすることにより、セル領域の面積を大きく確保することができる。
また、図36に示す第6変形例も、認識マーク1hの変形例を示すものであり、認識マーク1hは、複数の第1パターン1hbから成ると共に、平面視でL型となっている。さらに、複数の第1パターン1hbそれぞれの面積は等しいが、複数のバンプ1eのそれぞれの面積とは異なっており、第1パターン1hbの面積の方がバンプ1eそれぞれの面積より遥かに小さくなっている。
また、複数の第1パターン1hbの配置ピッチと複数のバンプ1eの配置ピッチも異なっており、複数の第1パターン1hbの配置ピッチの方が、複数のバンプ1eの配置ピッチよりも遥かに小さい。
なお、本第6変形例においても、認識マーク1hを含む認識範囲Cは、第1パターン1hbが配置されていない第2領域1jを有している。
したがって、認識範囲Cの模様と撮像範囲Dの配列模様とは確実に異なっており、両者は、類似パターン(類似模様)ではない。
その結果、図24のカメラ14や図25のカメラ19がロジックチップ1の裏面1bを撮像した際に、撮像範囲Dの配列模様を、認識すべき認識範囲Cの模様と誤認識することを低減することができる。
さらに、本第6変形例においても、認識範囲Cが狭くなっているため、セル領域の面積を大きく確保することができる。
また、図37に示す第7変形例も、認識マーク1hの変形例を示すものであり、認識マーク1hは、複数の第1パターン1hbと第2パターン1hcから成ると共に、第1パターン1hbと第2パターン1hcが、第1方向1wおよび第2方向1xにおいて交互に千鳥配置で並んでいる。
なお、第1パターン1hbと第2パターン1hcの面積は等しく、かつ第1パターン1hbおよび第2パターン1hcのそれぞれの面積は、複数のバンプ1eのそれぞれの面積とも等しくなっている。
ただし、複数の第1パターン1hbと第2パターン1hcが交互に千鳥配置で並んでおり、第1パターン1hbと第2パターン1hcの配置ピッチが、複数のバンプ1eの配置ピッチの2倍程度の大きさとなっている。
したがって、両者の配置ピッチが全く異なるため、認識範囲Cの模様と撮像範囲Dの配列模様とは確実に異なっており、両者は、類似パターン(類似模様)ではない。
その結果、図24のカメラ14や図25のカメラ19がロジックチップ1の裏面1bを撮像した際に、撮像範囲Dの配列模様を、認識すべき認識範囲Cの模様と誤認識することを低減することができる。
次に、図38〜図40に示す変形例は、認識マーク1hの1つのパターン1haの平面視の形状の変形例を示すものである。まず、図38に示す第8変形例は、認識マーク1hの1つのパターン1haの形状が平面視で八角形の場合である。また、図39に示す第9変形例は、認識マーク1hの1つのパターン1haの形状が平面視で+形状の場合である。さらに、図40に示す第10変形例は、認識マーク1hの1つのパターン1haの形状が平面視で−形状の場合である。
このように、認識マーク1hの1つのパターン1haの形状を、図38〜図40に示す変形例の形状としても、図22に示す円形の場合と同様の効果を得ることができる。
次に、図41〜図44に示す変形例は、半導体装置の構造に関する変形例である。
まず、図41に示す第11変形例は、ロジックチップ1とその上に積層されたメモリチップ2とを樹脂封止ではなく、ケース24によって封止を行ったBGA(半導体装置)25を示すものである。このBGA25においても、その組み立てにおけるフリップチップ接続工程やプローブ検査工程において、図22に示すような認識マーク1hを含む認識範囲Cを認識することにより、積層するメモリチップ2のフリップチップ接続時の狭ピッチ電極の位置合わせや、プローブ検査時のプローブ針21(図25参照)の狭ピッチ電極との位置合わせを高精度に行うことができる。これにより、BGA25の組み立て性を向上させることができる。
また、図42の第12変形例の積層構造は、ロジックチップ1上に複数のメモリチップ2を積層した半導体装置を示すものである。すなわち、パッケージ基板3上に銅ポストバンプ5を介してロジックチップ1が搭載され、このロジックチップ1上に複数のメモリチップ2が積層された構造となっている。
この時、ロジックチップ1と、その上に積層される複数のメモリチップ2のそれぞれには、複数の貫通電極1c,2cが形成されている。貫通電極1c,2cは、シリコンベース部分を貫通して形成され、かつチップの表裏面の電極を電気的に接続するビア配線である。すなわち、ウエハ状態でチップに貫通孔を開け、導電材を埋め込んで形成した電極であり、多数の半導体チップを、狭パッドピッチを維持した状態で積層するのに有効とされている。
そこで、ロジックチップ1における貫通電極1cは、表面1aのパッド1dと接続された銅ポストバンプ5と、その反対側の裏面1b側に設けられたバンプ1eとを、表層の絶縁層1fに形成された配線部1gを介して電気的に接続している。
一方、メモリチップ2における貫通電極2cは、表面2aに設けられたパッド2dと、その反対側の裏面2b側に設けられたバンプ2eとを、同様に表層の絶縁層2fに形成された配線部2gを介して電気的に接続している。
なお、ロジックチップ1とその上段側の複数のメモリチップ2(第2半導体チップ、第3半導体チップ)の積層では、ロジックチップ1の貫通電極1cに直接接続されたバンプ1eと、メモリチップ2の表面2a側のパッド2dとが電気的に接続されている。さらに、2段目のメモリチップ2の貫通電極2cに直接接続された上面側のバンプ2eと、3段目のメモリチップ2の下面側のパッド2dとが電気的に接続された構造となっている。2段目のメモリチップ2と3段目のメモリチップ2は、同一チップである。
例えば、この3段目のメモリチップ2を2段目のメモリチップ2上に積層する際に、2段目のメモリチップ2の裏面2bに形成された認識マーク2hを認識して位置合わせを行うことにより、2段目のメモリチップ2と3段目のメモリチップ2との間で高精度に位置合わせすることができる。
ここで、図42に示す構造を樹脂封止で封止した半導体装置の一例として、図43の第13変形例のBGA26に示す。
また、図42に示す構造をケース24で封止した半導体装置の一例として、図44の第14変形例のBGA27に示す。
図43に示すBGA26や図44に示すBGA27においても、それぞれの組み立てにおけるフリップチップ接続工程やプローブ検査工程で、図22に示すような認識マーク1hを含む認識範囲Cを認識することにより、積層するメモリチップ2のフリップチップ接続時の狭ピッチ電極の位置合わせを高精度に行うことができる。さらに、プローブ検査時のプローブ針21(図25参照)の狭ピッチ電極との位置合わせを高精度に行うことができる。その結果、BGA26,27の組み立て性を向上させることができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、上記実施の形態および変形例において、組み立て工程でウエハを支持する支持部材として、キャリア以外のBGテープ等を用いても良い。
また、上記実施の形態および変形例では、半導体装置がBGAの場合を取り上げて説明したが、前記半導体装置は、配線基板上に複数の半導体チップを積層して成る構造のものであれば、BGAに限らず、例えばLGA(Land Grid Array)などであってもよい。
また、以下の実施の形態を含んでもよい。
(付記)
[項1]
(a)第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、を有する第1半導体チップと、第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、を有する第2半導体チップと、を準備する工程と、
(b)前記第1半導体チップの前記第2主面と前記第2半導体チップの前記第1主面とが対向するように前記第1半導体チップ上に前記第2半導体チップを搭載する工程と、を有し、
前記第1半導体チップの前記第2主面上には、マトリックス状に配置された複数の電極パッドと認識マークが配置され、
前記第2半導体チップの前記第1主面上には、前記第1半導体チップの前記複数の電極パッドに対応した複数の突起電極が配置され、
前記(b)工程は、
(b1)前記第1半導体チップの前記第2主面上の前記認識マークを含む認識範囲を撮像して前記認識範囲の模様を認識する工程と、
(b2)前記認識範囲の模様を認識した結果に基づいて前記第1半導体チップの前記複数の電極パッドと前記第2半導体チップの前記複数の突起電極との位置合わせを行う工程と、
(b3)前記第1半導体チップ上に前記第2半導体チップを搭載し、前記第1半導体チップの前記複数の電極パッドと前記第2半導体チップの前記複数の突起電極とを電気的に接続する工程と、を有し、
前記認識範囲の模様は、前記複数の電極パッドの配列模様のいずれの部分とも異なる半導体装置の製造方法。
[項2]
項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1半導体チップはマイクロコンピュータを備えたロジックチップであり、前記第2半導体チップはメモリチップである半導体装置の製造方法。
[項3]
項2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2半導体チップ上に第3半導体チップを搭載する半導体装置の製造方法。
[項4]
項3に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2半導体チップと前記第3半導体チップは同一チップである半導体装置の製造方法。
[項5]
項4に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第3半導体チップはメモリチップである半導体装置の製造方法。
[項6]
項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程の後、
前記第1半導体チップ、前記第2半導体チップおよび前記複数の突起電極を封止する封止工程を有する半導体装置の製造方法。