JP6223946B2 - バッテリー端子 - Google Patents

Description

本発明は、バッテリー端子に関する。

従来、車両等に搭載されたバッテリーに立設されたバッテリーポストに取り付けるためのバッテリー端子が知られている。従来のバッテリー端子として、例えば、特許文献１には、孔部にバッテリーポストを挿入した状態で締結させることにより、バッテリーポストに取り付けることができるバッテリーターミナルの構成が開示されている。

特開２００６−４９１６４号公報

ところで、上述の特許文献１に記載のバッテリーターミナルは、例えば、バッテリーポストに締結する際の作業性の向上の点で更なる改善の余地がある。

本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、バッテリーポストに締結する際の作業性を向上することができるバッテリー端子を提供することを目的とする。

上記目的を達成するために、本発明に係るバッテリー端子は、バッテリーポストが挿入されるポスト挿入孔、及び、当該ポスト挿入孔と連続するスリットが形成された環状部と、前記バッテリーポストの中心軸線に沿った軸方向と交差する方向であって前記スリットを横断する方向である環状部幅方向に沿って前記環状部の一端側から前記スリットを挟んで前記環状部の他端側まで延在して配置されると共に、前記環状部幅方向の一端側に前記環状部と当接する当接部が設けられ、前記環状部幅方向の他端側に前記軸方向に沿って屈曲し螺合溝が形成された螺合部が設けられる幅方向部材と、前記螺合部と螺合し前記軸方向周りの回転に伴って前記軸方向に沿って移動する締結部材と、前記締結部材の前記軸方向に沿った移動に伴って当該軸方向に沿って移動可能に設けられ、前記環状部の他端側で当該環状部と当接し、前記締結部材の前記軸方向周りの回転に伴って前記締結部材と前記幅方向部材との間に発生する前記軸方向の締付力を、前記当接部との間で前記環状部幅方向に沿って前記環状部の前記スリットの間隔を縮小する方向に当該環状部を押圧する前記環状部幅方向の押圧力に変換する押圧力変換部材とを備えることを特徴とする。

また、上記バッテリー端子では、前記幅方向部材は、前記環状部幅方向に沿って前記環状部の一端側から前記スリットを挟んで前記環状部の他端側まで貫通し前記環状部幅方向の一端側に前記当接部が設けられ前記環状部幅方向の他端側に前記螺合部が設けられる軸部を有し、前記押圧力変換部材は、前記軸方向に沿って前記螺合部が挿入される貫通部と、前記環状部の他端側で当該環状部と当接し前記軸方向周りの前記締結部材の回転に伴って当該締結部材と共に当該押圧力変換部材が前記軸方向に沿って前記軸部側に接近した際に、前記締結部材と前記軸部との間に発生する前記軸方向の締付力を、前記環状部を前記環状部幅方向の前記当接部側に押圧する前記環状部幅方向の押圧力に変換する方向に傾斜したテーパ面とを有するものとすることができる。

また、上記バッテリー端子では、前記環状部は、前記環状部幅方向の他端側の前記押圧力変換部材と当接する部位に形成され、前記押圧力変換部材の前記軸方向周りの回転を規制すると共に前記押圧力変換部材の前記軸方向に沿った移動を案内するガイド部を有するものとすることができる。

本発明に係るバッテリー端子は、押圧力変換部材の作用によって、締結部材の軸方向周りの回転に伴って発生する軸方向の締付力を、幅方向部材に設けられた当接部と押圧力変換部材との間で環状部のスリットの間隔を縮小させる環状部幅方向の押圧力に変換することで、環状部をバッテリーポストに締結することができる。つまり、バッテリー端子は、例えば、バッテリーポストの側方、すなわちバッテリーの側方に、締結部材を回転させるための工具をセットして回転操作するための作業スペースを確保しなくても、比較的作業スペースを取りやすいバッテリーポストの軸方向一方側（例えば、鉛直方向上方側）から当該工具をセットし操作することができる。この結果、バッテリー端子は、例えば、バッテリー周囲に作業スペースを確保しにくいような場合であっても、バッテリーポストに締結する際の作業性を向上することができる、という効果を奏する。

図１は、実施形態に係るバッテリー端子の概略構成を表す斜視図である。 図２は、実施形態に係るバッテリー端子の概略構成を表す分解斜視図である。 図３は、実施形態に係るバッテリー端子の概略構成を表す平面図である。 図４は、図３中のＬ１矢視図である。 図５は、図３中のＬ２矢視図である。

以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。

［実施形態］
図１は、実施形態に係るバッテリー端子の概略構成を表す斜視図である。図２は、実施形態に係るバッテリー端子の概略構成を表す分解斜視図である。図３は、実施形態に係るバッテリー端子の概略構成を表す平面図である。図４は、図３中のＬ１矢視図（側面図）である。図５は、図３中のＬ２矢視図（側面図）である。なお、図３、図４、図５は、バッテリー端子に加えてバッテリーの一部を含む図となっている。

図１〜図５に示す本実施形態に係るバッテリー端子１は、バッテリー５０のバッテリーポスト５１に組み付けられるものである。バッテリー端子１は、バッテリーポスト５１に取り付けられることにより、バッテリー５０と、このバッテリー５０が搭載される車両等の本体側の電線の末端に設けられた金具等とを電気的に接続するための部品である。

なお、以下の説明では、バッテリーポスト５１の中心軸線Ｘに沿った方向を軸方向という。またここでは、以下の説明を分かり易くするために、便宜的に当該軸方向と直交する２方向のうち一方を長辺方向（第１の幅方向）、他方を短辺方向（第２の幅方向）という。これら軸方向、長辺方向、及び、短辺方向は互いに直交する。

ここで、このバッテリー端子１が適用されるバッテリー５０は、例えば、車両等に蓄電装置として搭載されるものである。バッテリー５０は、図３、図４、図５等に示すように、バッテリー液や当該バッテリー５０を構成する種々の部品を収容するバッテリー筐体５２、当該バッテリー筐体５２に設けられた上述のバッテリーポスト５１等を含んで構成される。バッテリー筐体５２は、いずれか１つの面が開放された略矩形箱状の筐体本体と、上記開放された面を閉塞させる蓋部材とを含んで構成され、全体として略直方体形状に形成される。ここでは、バッテリー筐体５２は、長辺方向に沿った方向が長辺、短辺方向に沿った方向が短辺となるがこれに限らない。また、バッテリー筐体５２は、典型的には、筐体本体の鉛直方向上側の面が開放されており、当該鉛直方向上側の面を蓋部材によって閉塞させる。つまり、蓋部材は、典型的には、バッテリー筐体５２の鉛直方向上側の面を構成する。そして、バッテリーポスト５１は、鉛等により構成され、バッテリー筐体５２の蓋部材のポスト立設面５３に立設される。ポスト立設面５３は、バッテリー筐体５２においてバッテリーポスト５１が立設される面である。ここでは、当該ポスト立設面５３は、例えば、バッテリー５０が車両等に搭載された状態で、蓋部材の鉛直方向上側の上面である。バッテリーポスト５１は、略円柱形状であり、中心軸線Ｘがポスト立設面５３と直交するような位置関係で当該ポスト立設面５３上に突出するようにして立設される。より詳細には、本実施形態のバッテリーポスト５１は、ポスト立設面５３の角位置近傍に形成された凹部５４内に立設される。当該凹部５４は、ポスト立設面５３の角位置近傍において略矩形状に陥没した部分である。つまり、バッテリーポスト５１は、バッテリー筐体５２の上面であるポスト立設面５３に形成された凹部５４の底面に立設されている。バッテリーポスト５１は、典型的には、軸方向の先端側に進むにつれて径が小さくなるようテーパが付けられている。つまり、バッテリーポスト５１は、先端の外径が基端の外径より小さいテーパ形状となる。バッテリー端子１は、上記のように構成されるバッテリーポスト５１に締結される。

なお、以下の説明では、バッテリー５０が車両等に搭載された状態で、バッテリーポスト５１の軸方向が鉛直方向に沿った方向となり、上述の長辺方向、短辺方向が水平方向に沿った方向となる場合を説明する。

本実施形態のバッテリー端子１は、バッテリーポスト５１に締結する場合に、締結部材（後述の締結ナット２５）を軸方向一方側、ここでは、鉛直方向上側から締め付けていく形式の端子である。そして、本実施形態のバッテリー端子１は、軸方向に沿った方向に発生する締結部材による締付力を、軸方向と交差する環状部幅方向の押圧力に変換し、当該押圧力によってバッテリー端子１においてバッテリーポスト５１が挿入される部分を押圧することで、バッテリーポスト５１に締結されるものである。このとき、本実施形態のバッテリー端子１は、締結部材を鉛直方向上側から締め付ける構成とすることで、締結部材を締め付けるための工具の作業スペースをバッテリー５０の上方として、バッテリー５０の側方の作業スペースの低減を図り、これにより、作業性の向上を図ったものである。

具体的には、本実施形態のバッテリー端子１は、本体部２１と、スタッドボルト２２と、締付部２３とを備える。なお、以下の説明では、特に断りのない限り、バッテリー端子１がバッテリー５０のバッテリーポスト５１に取り付けられ、当該バッテリー５０が車両等に搭載された状態で軸方向、長辺方向、短辺方向となる方向を、それぞれ単に「軸方向」、「長辺方向」、「短辺方向」という。

本実施形態の本体部２１は、例えば、導電性を有する金属板のプレス折り曲げ加工等により、一対の環状部２１ａ、２１ｂ、一対のボルト保持部２１ｃ、２１ｄ、及び、屈曲連結部２１ｅが一体で形成される。

一対の環状部２１ａ、２１ｂは、略円環形状に形成され、それぞれバッテリーポスト５１が挿入される略円形状のポスト挿入孔２１ｆ、２１ｇ、及び、ポスト挿入孔２１ｆ、２１ｇと連続するスリット（間隙）２１ｈ、２１ｉが形成される。

一対のボルト保持部２１ｃ、２１ｄは、略矩形状に形成され、それぞれスタッドボルト２２が挿入される略円形状のボルト挿入孔２１ｊが形成される。ボルト保持部２１ｃは、環状部２１ａと連続するように一体で形成され、ボルト保持部２１ｄは、環状部２１ｂと連続するように一体で形成される。

そして、環状部２１ａと環状部２１ｂとは、それぞれボルト保持部２１ｃ、２１ｄが設けられている端部とは反対側の端部同士が屈曲連結部２１ｅを介して連続するように一体で形成される。これにより、本体部２１は、屈曲連結部２１ｅを挟んで、Ｕターン状に折り返された状態に形成され、環状部２１ａ、ボルト保持部２１ｃと環状部２１ｂ、ボルト保持部２１ｄとが軸方向に対向しそれぞれ上下に略平行に積層された状態となるように形成される。

なお、ここで、上下に積層された状態とは、典型的には、バッテリー端子１がバッテリーポスト５１に組み付けられた状態で、バッテリーポスト５１の軸方向に沿って積層されるような状態に相当する。また、積層方向は、典型的には、バッテリー端子１がバッテリーポスト５１に組み付けられた状態で、軸方向に沿った方向であり、ここでは後述のスタッドボルト２２の軸部２２ａが突出する側を積層方向上側、反対側を積層方向下側とする。また、積層方向上側とは、バッテリーポスト５１の先端側に相当し、積層方向下側とは、バッテリーポスト５１の基端側に相当する。ここでは、本体部２１は、環状部２１ａ、ボルト保持部２１ｃが積層方向上側、環状部２１ｂ、ボルト保持部２１ｄが積層方向下側となる。

一対の環状部２１ａ、２１ｂは、屈曲連結部２１ｅを介して上下に積層された状態でポスト挿入孔２１ｆとポスト挿入孔２１ｇとが積層方向に対向する位置関係となるように当該ポスト挿入孔２１ｆ、ポスト挿入孔２１ｇが形成される。ポスト挿入孔２１ｆ、ポスト挿入孔２１ｇは、板金が同一の方向、ここでは下側に折り返されることでそれぞれ内周壁面が形成される。ポスト挿入孔２１ｆ、ポスト挿入孔２１ｇは、それぞれの内周壁面に上述したバッテリーポスト５１のテーパに対応したテーパを有している。ここでは、ポスト挿入孔２１ｆとポスト挿入孔２１ｇとのうち後述するスタッドボルト２２の軸部２２ａが突出する側、すなわち、ポスト挿入孔２１ｆ側の内径が最小となり、反対側のポスト挿入孔２１ｇ側の内径が最大となる。ポスト挿入孔２１ｆ、ポスト挿入孔２１ｇは、バッテリーポスト５１が挿入された状態で、各内周面がバッテリーポスト５１と接触する。

また、一対の環状部２１ａ、２１ｂは、屈曲連結部２１ｅを介して上下に積層された状態でスリット２１ｈとスリット２１ｉとが積層方向に対向する位置関係となるように当該スリット２１ｈ、スリット２１ｉが形成される。スリット２１ｈ、スリット２１ｉは、屈曲連結部２１ｅにて連続しており、全体として屈曲連結部２１ｅ及び環状部２１ａ、２１ｂにおいて、当該屈曲連結部２１ｅからポスト挿入孔２１ｆ、ポスト挿入孔２１ｇまで延在している。言い換えれば、スリット２１ｈ、２１ｉは、ポスト挿入孔２１ｆ、２１ｇから環状部２１ａ、２１ｂの一部を分断するようにして屈曲連結部２１ｅまで延在して形成される。

さらに、一対の環状部２１ａ、２１ｂは、それぞれポスト挿入孔２１ｆ、２１ｇから屈曲連結部２１ｅまでの間の部分が後述の締付部２３によって締め付けられる締付端部２１ｋ、２１ｌを構成する。スリット２１ｈ、２１ｉは、この締付端部２１ｋ、２１ｌを短辺方向に沿ってポスト挿入孔２１ｆ、２１ｇから屈曲連結部２１ｅまで貫通する。締付端部２１ｋ、２１ｌは、長辺方向一方側の端部に、後述の当接部２４ｂが嵌合する略矩形状の切り欠き部２１ｍ、２１ｎが形成されている。

一対のボルト保持部２１ｃ、２１ｄは、折り曲げ加工の前に事前に各ボルト挿入孔２１ｊにスタッドボルト２２が挿入された状態で折り曲げ加工されることで、屈曲連結部２１ｅを介して上下に積層された状態で当該スタッドボルト２２を保持する。本体部２１は、各ボルト挿入孔２１ｊにスタッドボルト２２の軸部２２ａが挿入された状態で、ボルト保持部２１ｃから折り返された折返部２１ｏと、ボルト保持部２１ｄとの間にスタッドボルト２２の基部２２ｂ（軸部２２ａが立設される矩形板状の台座部分）を保持する（図５等参照）。

スタッドボルト２２は、ボルト保持部２１ｃとボルト保持部２１ｄとの間に保持された状態で、各ボルト挿入孔２１ｊから軸部２２ａが軸方向に沿って突出するようにして露出している。スタッドボルト２２は、各ボルト挿入孔２１ｊから露出した当該軸部２２ａに電線等の末端に設けられた端子金具等が電気的に接続される。

なお、以上の説明では、本体部２１は、導電性を有する金属板のプレス折り曲げ加工等により、一対の環状部２１ａ、２１ｂ、一対のボルト保持部２１ｃ、２１ｄ、及び、屈曲連結部２１ｅが一体で形成されるものとして説明したがこれに限らない。本体部２１は、例えば、屈曲連結部２１ｅを備えず、軸方向に対して上側分割体（環状部２１ａ、ボルト保持部２１ｃ）と下側分割体（環状部２１ｂ、ボルト保持部２１ｄ）との２層分割構造とし、別体に構成される上側分割体と下側分割体とを一体化する構成を有するものであってもよい。

締付部２３は、ポスト挿入孔２１ｆ、２１ｇ内にバッテリーポスト５１が挿入された状態で、一対の環状部２１ａ、２１ｂを当該バッテリーポスト５１に締結するものである。締付部２３は、幅方向部材としてのＬ字ボルト２４と、締結部材としての締結ナット２５と、押圧力変換部材としてのブラケット２６とを含んで構成される。

Ｌ字ボルト２４は、金属等によって略Ｌ字型の棒状に形成され、環状部幅方向に沿って環状部２１ａ、２１ｂの一端側からスリット２１ｈ、２１ｉを挟んで環状部２１ａ、２１ｂの他端側まで延在して配置される。ここで、環状部幅方向とは、バッテリーポスト５１の中心軸線Ｘに沿った軸方向と交差する方向、ここでは軸方向と直交する方向であって環状部２１ａ、２１ｂに形成されたスリット２１ｈ、２１ｉを横断する方向である。環状部幅方向は、典型的には、環状部２１ａ、２１ｂをバッテリーポスト５１に締結する際に環状部２１ａ、２１ｂを締め付ける方向（締め付け方向）に沿った方向に相当する。本実施形態の環状部幅方向は、バッテリー端子１がバッテリーポスト５１に取り付けられた状態で、長辺方向に沿った方向となっている。

具体的には、Ｌ字ボルト２４は、軸部２４ａと、当接部２４ｂと、螺合部２４ｃとを有し、これらが一体で形成される。軸部２４ａは、円柱棒状に形成され、環状部幅方向に沿って環状部２１ａ、２１ｂの一端側からスリット２１ｈ、２１ｉを挟んで環状部２１ａ、２１ｂの他端側まで貫通する。当接部２４ｂは、軸部２４ａの環状部幅方向の一端側に設けられる。ここでは、当接部２４ｂは、軸部２４ａが環状部幅方向に沿って環状部２１ａ、２１ｂの一端側からスリット２１ｈ、２１ｉを挟んで環状部２１ａ、２１ｂの他端側まで貫通するように本体部２１に組み付けられた状態で、切り欠き部２１ｍ、２１ｎ側に位置する端部に、当該軸部２４ａと一体で形成される。当接部２４ｂは、環状部幅方向に対する環状部２１ａ、２１ｂの一端側で環状部２１ａ、２１ｂと当接する部分である。ここでは、当接部２４ｂは、略矩形板状に形成され、Ｌ字ボルト２４が本体部２１に組み付けられた状態で、上述の締付端部２１ｋ、２１ｌの長辺方向一方側の端部に形成された各切り欠き部２１ｍ、２１ｎに嵌合して環状部２１ａ、２１ｂと当接する。螺合部２４ｃは、軸部２４ａの環状部幅方向の他端側に設けられる。ここでは、螺合部２４ｃは、軸部２４ａが環状部幅方向に沿って環状部２１ａ、２１ｂの一端側からスリット２１ｈ、２１ｉを挟んで環状部２１ａ、２１ｂの他端側まで貫通するように本体部２１に組み付けられた状態で、切り欠き部２１ｍ、２１ｎ側とは反対側の端部に、当該軸部２４ａと一体で形成される。螺合部２４ｃは、当該軸部２４ａの環状部幅方向の他端側の端部が軸方向に沿って略Ｌ型に屈曲することで形成される。螺合部２４ｃは、後述する締結ナット２５が螺合可能な螺合溝２４ｄが形成されている。

Ｌ字ボルト２４は、図２に二点鎖線で例示するように、螺合部２４ｃを短辺方向に沿って倒した状態（寝かせた状態）で、当該螺合部２４ｃ側を環状部２１ａ、２１ｂの切り欠き部２１ｍ、２１ｎ側から締付端部２１ｋと締付端部２１ｌとの間に挿入し、環状部幅方向に沿って環状部２１ａ、２１ｂの一端側から他端側まで貫通させた後、当該螺合部２４ｃを軸方向に沿うように起立させることで、本体部２１に組み付けられる。つまり、Ｌ字ボルト２４は、環状部幅方向に沿ってスリット２１１ｈ、２１ｉを横断するような位置関係で本体部２１に組み付けられる。Ｌ字ボルト２４は、本体部２１に組み付けられた状態で、当接部２４ｂが切り欠き部２１ｍ、２１ｎに嵌合すると共に螺合部２４ｃが締付端部２１ｋ、２１ｌを挟んで当接部２４ｂとは反対側に位置し、当接部２４ｂと螺合部２４ｃとが環状部幅方向（長辺方向）に対向する。そして、Ｌ字ボルト２４は、本体部２１に組み付けられた状態で、螺合部２４ｃの先端が軸方向一方側、ここでは、ポスト立設面５３とは反対側すなわち、鉛直方向上側を向く。

締結ナット２５は、Ｌ字ボルト２４の螺合部２４ｃと螺合するものである。締結ナット２５は、軸方向周りの回転に伴って、螺合部２４ｃとの螺合作用により、軸方向に沿って移動する。

ブラケット２６は、締結ナット２５に沿った移動に伴って当該軸方向に沿って移動可能に設けられ、環状部幅方向の押圧力を発生させるものである。ここでは、ブラケット２６は、螺合部２４ｃに組み付けられた状態で締結ナット２５に沿った移動に伴って当該軸方向に沿って移動し、環状部２１ａ、２１ｂの他端側、すなわち、螺合部２４ｃが位置する側で当該環状部２１ａ、２１ｂの締付端部２１ｋ、２１ｌと当接し、環状部幅方向の押圧力を発生させる。ブラケット２６は、締結ナット２５の軸方向周りの回転に伴って締結ナット２５とＬ字ボルト２４との間に発生する軸方向の締付力を、環状部幅方向の押圧力に変換する。ここで、環状部幅方向の押圧力とは、ブラケット２６と当接部２４ｂとの間で環状部幅方向に沿って環状部２１ａ、２１ｂのスリット２１ｈ、２１ｉの間隔を縮小する方向に当該環状部２１ａ、２１ｂを押圧する力である。

具体的には、ブラケット２６は、略矩形板状に形成される基部２６ａと、当該基部２６ａと一体で形成され当該基部２６ａの４辺のうち対向する２辺から鉛直方向下側へ延在する一対の直立部２６ｂとを含んで構成される。一対の直立部２６ｂは、短辺方向に対向する。ブラケット２６は、例えば、金属板のプレス折り曲げ加工等により、基部２６ａ、及び、各直立部２６ｂ全体として略コの字型に形成される。そして、ブラケット２６は、基部２６ａに形成される貫通部２６ｃと、各直立部２６ｂに形成されるテーパ面２６ｄとを有する。

貫通部２６ｃは、螺合部２４ｃが貫通する略正円形状の貫通孔であり、基部２６ａを軸方向に貫通するようにして形成される。ブラケット２６は、当該貫通部２６ｃに軸方向に沿って螺合部２４ｃが挿入されることで、軸方向に沿って移動可能に当該螺合部２４ｃに組み付けられる。ブラケット２６は、貫通部２６ｃに螺合部２４ｃが挿入されるような位置関係で当該螺合部２４ｃに組み付けられた状態で、各直立部２６ｂが基部２６ａより軸部２４ａ側に位置する。典型的には、ブラケット２６は、螺合部２４ｃに組み付けられた状態で、基部２６ａが鉛直方向上側、各直立部２６ｂが鉛直方向下側に位置する。

テーパ面２６ｄは、各直立部２６ｂの長辺方向の一方の端面にそれぞれ形成される。テーパ面２６ｄは、環状部２１ａ、２１ｂの他端側、すなわち、螺合部２４ｃが位置する側で当該環状部２１ａ、２１ｂの締付端部２１ｋ、２１ｌと対向する面に形成され当該締付端部２１ｋ、２１ｌと当接する当接面を構成する。そして、各テーパ面２６ｄは、軸方向周りの締結ナット２５の回転に伴って当該締結ナット２５と共に当該ブラケット２６が軸方向に沿って軸部２４ａ側に接近した際に、締結ナット２５と軸部２４ａとの間に発生する軸方向の締付力を、環状部２１ａ、２１ｂを環状部幅方向の当接部２４ｂ側に押圧する環状部幅方向の押圧力に変換する方向に傾斜している。ここでは、各テーパ面２６ｄは、軸方向に対して傾斜している。より詳細には、各テーパ面２６ｄは、ブラケット２６が螺合部２４ｃに組み付けられた状態で、基部２６ａ側から軸方向に沿って離間するのにしたがって徐々に締付端部２１ｋ、２１ｌ側から離間するような傾斜面（言い換えれば、各直立部２６ｂの環状部幅方向に沿った幅が徐々に狭まるような傾斜面）として形成される。

さらに、本実施形態の環状部２１ａ、２１ｂは、環状部幅方向の他端側のブラケット２６と当接する部位、すなわち、締付端部２１ｋ、２１ｌにおいて螺合部２４ｃが位置する側（螺合部２４ｃと対向する側）の端面にガイド部２１ｐを有する。ガイド部２１ｐは、ブラケット２６の軸方向周りの回転を規制すると共にブラケット２６の軸方向に沿った移動を案内するものである。ガイド部２１ｐは、締付端部２１ｋ、２１ｌそれぞれに、ブラケット２６の各テーパ面２６ｄが挿入される切り欠き部として形成される（図２等参照）。ここでは、各ガイド部２１ｐは、テーパ面２６ｄの傾斜と対応するような形状に形成されている。すなわち、各ガイド部２１ｐは、締付端部２１ｋに各テーパ面２６ｄに対応して一対が設けられ、締付端部２１ｌに各テーパ面２６ｄに対応して一対が設けられる。そして、各ガイド部２１ｐは、締付端部２１ｋ側に形成されるガイド部２１ｐの切り欠き量（環状部幅方向に沿った深さ）が締付端部２１ｌ側に形成されるガイド部２１ｐの切り欠き量より大きくなるように形成される。各ガイド部２１ｐは、各テーパ面２６ｄが挿入されることで、ブラケット２６の軸方向周りの回転を規制しブラケット２６の軸方向に沿った移動を案内することができる。

上記のように構成されるバッテリー端子１は、Ｌ字ボルト２４が本体部２１に組み付けられた状態で、当接部２４ｂが環状部２１ａ、２１ｂの締付端部２１ｋ、２１ｌの環状部幅方向一方側で切り欠き部２１ｍ、２１ｎに嵌合すると共に、螺合部２４ｃが当該締付端部２１ｋ、２１ｌの環状部幅方向他方側に位置し、当該螺合部２４ｃの先端が軸方向一方側（鉛直方向上側）を向いている。そして、バッテリー端子１は、ブラケット２６の貫通部２６ｃに螺合部２４ｃが挿入され、ガイド部２１ｐに各テーパ面２６ｄが位置するような位置関係で、螺合部２４ｃにブラケット２６が組み付けられる。そして、バッテリー端子１は、軸方向に対して、Ｌ字ボルト２４の軸部２４ａと締結ナット２５との間にブラケット２６が介在するような位置関係で螺合部２４ｃに締結ナット２５が組み付けられる。そして、バッテリー端子１は、スタッドボルト２２の軸部２２ａが露出するような位置関係でポスト挿入孔２１ｆ、２１ｇにバッテリーポスト５１が挿入されることで、バッテリーポスト５１に組み付けられる。そして、バッテリー端子１は、ポスト挿入孔２１ｆ、２１ｇの内周面とバッテリーポスト５１の外周面とが接触した状態で、締結ナット２５が軸方向一方側、ここでは、鉛直方向上側から締め付けられることで、スリット２１ｈ、２１ｉを挟んで環状部２１ａ、２１ｂの締付端部２１ｋ、２１ｌの両側が接近方向に締め付けられ、これにより、バッテリーポスト５１に締結される。

より詳細には、バッテリー端子１は、締結ナット２５が工具等によって軸方向（螺合部２４ｃ）周りに回転されることで、螺合作用により、締結ナット２５が軸方向他方側、ここでは、鉛直方向下側に移動する。バッテリー端子１は、締結ナット２５の軸方向他方側（鉛直方向下側）への移動に伴ってブラケット２６も軸方向他方側へ移動し、Ｌ字ボルト２４の軸部２４ａ側に接近する。このとき、ブラケット２６は、締付端部２１ｋ、２１ｌに形成されたガイド部２１ｐによって軸方向周りの回転が規制されつつ軸方向に沿った移動が案内される。バッテリー端子１は、ブラケット２６の軸方向の移動に伴って当該ブラケット２６に形成された各テーパ面２６ｄが環状部２１ａ、２１ｂの締付端部２１ｋ、２１ｌに当接する。バッテリー端子１は、締結ナット２５の回転に伴って当該締結ナット２５と共にブラケット２６が軸方向に沿って軸部２４ａ側に接近すると、各テーパ面２６ｄの作用によって、締結ナット２５と軸部２４ａとの間に発生する軸方向の締付力が、環状部２１ａ、２１ｂを環状部幅方向の当接部２４ｂ側に押圧する環状部幅方向の押圧力、言い換えれば、スリット２１ｈ、２１ｉの間隔を縮小する方向への押圧力に変換される（図５中の矢印Ａ参照）。これにより、バッテリー端子１は、各テーパ面２６ｄからの環状部幅方向の押圧力によって環状部２１ａ、２１ｂが環状部幅方向の当接部２４ｂ側に押圧される。このとき、当接部２４ｂは、各テーパ面２６ｄによる押圧力の反力を受ける反力部材として機能する。この結果、バッテリー端子１は、各テーパ面２６ｄによる押圧力によって、環状部２１ａ、２１ｂの締付端部２１ｋ、２１ｌがスリット２１ｈ、２１ｉの間隔を縮小する方向に押圧され、当該スリット２１ｈ、２１ｉの間隔が狭まる。

したがって、バッテリー端子１は、締結ナット２５の回転に伴ってテーパ面２６ｄが変換、発生させる押圧力によって、スリット２１ｈ、２１ｉの間隔が狭められることで、ポスト挿入孔２１ｆ、２１ｇの内周面とバッテリーポスト５１の外周面とが接触した状態でポスト挿入孔２１ｆ、２１ｇの径が縮小され、バッテリーポスト５１に締結される。そして、バッテリー端子１は、スタッドボルト２２の軸部２２ａに電線の末端に設けられた金具等が電気的に接続される。一方、バッテリー端子１は、締結ナット２５が逆回転に回転されることで、各テーパ面２６ｄによる押圧力が弱まり、スリット２１ｈ、２１ｉの間隔が広がり、ポスト挿入孔２１ｆ、２１ｇの径が拡大され、バッテリーポスト５１から取り外し可能な状態となる。

以上で説明したバッテリー端子１によれば、バッテリーポスト５１が挿入されるポスト挿入孔２１ｆ、２１ｇ、及び、当該ポスト挿入孔２１ｆ、２１ｇと連続するスリット２１ｈ、２１ｉが形成された環状部２１ａ、２１ｂと、バッテリーポスト５１の中心軸線Ｘに沿った軸方向と交差する方向であってスリット２１ｈ、２１ｉを横断する方向である環状部幅方向に沿って環状部２１ａ、２１ｂの一端側からスリット２１ｈ、２１ｉを挟んで環状部２１ａ、２１ｂの他端側まで延在して配置されると共に、環状部幅方向の一端側に環状部２１ａ、２１ｂと当接する当接部２４ｂが設けられ、環状部幅方向の他端側に軸方向に沿って屈曲し螺合溝２４ｄが形成された螺合部２４ｃが設けられるＬ字ボルト２４と、螺合部２４ｃと螺合し軸方向周りの回転に伴って軸方向に沿って移動する締結ナット２５と、締結ナット２５の軸方向に沿った移動に伴って当該軸方向に沿って移動可能に設けられ、環状部２１ａ、２１ｂの他端側で当該環状部２１ａ、２１ｂと当接し、締結ナット２５の軸方向周りの回転に伴って締結ナット２５と幅方向部材との間に発生する軸方向の締付力を、当接部２４ｂとの間で環状部幅方向に沿って環状部２１ａ、２１ｂのスリット２１ｈ、２１ｉの間隔を縮小する方向に当該環状部２１ａ、２１ｂを押圧する環状部幅方向の押圧力に変換するブラケット２６とを備える。

したがって、バッテリー端子１は、ブラケット２６の作用によって、締結ナット２５の軸方向周りの回転に伴って発生する軸方向の締付力を、Ｌ字ボルト２４に設けられた当接部２４ｂとブラケット２６との間で環状部２１ａ、２１ｂのスリットの間隔を縮小させる環状部幅方向の押圧力に変換することで、環状部２１ａ、２１ｂをバッテリーポスト５１に締結することができる。つまり、バッテリー端子１は、例えば、バッテリーポスト５１の側方、すなわちバッテリー５０の側方に、締結ナット２５を回転させるための工具をセットして回転操作するための作業スペースを確保しなくても、比較的作業スペースを取りやすいバッテリーポスト５１の軸方向一方側（例えば、鉛直方向上方側）から当該工具をセットし操作することができる。この結果、バッテリー端子１は、例えば、バッテリー５０周囲に作業スペースを確保しにくいような場合であっても、バッテリーポスト５１に締結する際の作業性を向上することができる。

より詳細には、以上で説明したバッテリー端子１によれば、Ｌ字ボルト２４は、環状部幅方向に沿って環状部２１ａ、２１ｂの一端側からスリット２１ｈ、２１ｉを挟んで環状部２１ａ、２１ｂの他端側まで貫通し環状部幅方向の一端側に当接部２４ｂが設けられ環状部幅方向の他端側に螺合部２４ｃが設けられる軸部２４ａを有し、ブラケット２６は、軸方向に沿って螺合部２４ｃが挿入される貫通部２６ｃと、環状部２１ａ、２１ｂの他端側で当該環状部２１ａ、２１ｂと当接し軸方向周りの締結ナット２５の回転に伴って当該締結ナット２５と共に当該ブラケット２６が軸方向に沿って軸部２４ａ側に接近した際に、締結ナット２５と軸部２４ａとの間に発生する軸方向の締付力を、環状部２１ａ、２１ｂを環状部幅方向の当接部２４ｂ側に押圧する環状部幅方向の押圧力に変換する方向に傾斜したテーパ面２６ｄとを有する。したがって、バッテリー端子１は、締結ナット２５の軸方向周りの回転に伴って締結ナット２５とＬ字ボルト２４との間に発生する軸方向の締付力を、当接部２４ｂとブラケット２６との間で環状部幅方向に沿ってスリット２１ｈ、２１ｉの間隔を縮小する方向に当該環状部２１ａ、２１ｂを押圧する環状部幅方向の押圧力に変換する構成を実現することができる。

さらに、以上で説明したバッテリー端子１によれば、環状部２１ａ、２１ｂは、環状部幅方向の他端側のブラケット２６と当接する部位に形成され、ブラケット２６の軸方向周りの回転を規制すると共にブラケット２６の軸方向に沿った移動を案内するガイド部２１ｐを有する。したがって、バッテリー端子１は、締結ナット２５の軸方向に沿った移動に伴ってブラケット２６が軸方向に沿って移動する際に、締付端部２１ｋ、２１ｌに形成されたガイド部２１ｐによって、ブラケット２６の回転を規制しつつ当該ブラケット２６の軸方向に沿った移動を案内する。この結果、バッテリー端子１は、ブラケット２６の位置を適正に保持することができるので、安定した締め付け位置を確保することができることから、この点でもバッテリーポスト５１に締結する際の作業性を向上することができる。またこの場合、バッテリー端子１は、ガイド部２１ｐが環状部２１ａ、２１ｂの締付端部２１ｋ、２１ｌに一体的にガイド部２１ｐを組み込むことができるので、例えば、バッテリー端子１を構成する部品点数を抑制することができ、製造コストを抑制することができる。

なお、上述した本発明の実施形態に係るバッテリー端子は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。

以上で説明でした環状部幅方向は、バッテリーポスト５１の中心軸線Ｘに沿った軸方向と直交する長辺方向であるものとして説明したがこれに限らず、軸方向と交差する方向であれば必ずしも直交しなくてもよい。また、以上の説明では、幅方向部材としてのＬ字ボルト２４は、軸部２４ａと、当接部２４ｂと、螺合部２４ｃとを有しこれらが一体で形成されるものとして説明したがこれに限らず、例えば、当接部２４ｂ、螺合部２４ｃが軸部２４ａとは別体に形成され当該軸部２４ａに一体的に組み付けられるものであってもよい。

１ バッテリー端子
２１ 本体部
２１ａ、２１ｂ 環状部
２１ｆ、２１ｇ ポスト挿入孔
２１ｈ、２１ｉ スリット
２１ｊ ボルト挿入孔
２１ｐ ガイド部
２３ 締付部
２４ Ｌ字ボルト（幅方向部材）
２４ａ 軸部
２４ｂ 当接部
２４ｃ 螺合部
２４ｄ 螺合溝
２５ 締結ナット（締結部材）
２６ ブラケット（押圧力変換部材）
２６ａ 基部
２６ｂ 直立部
２６ｃ 貫通部
２６ｄ テーパ面
５１ バッテリーポスト
Ｘ 中心軸線

Claims (3)

1. バッテリーポストが挿入されるポスト挿入孔、及び、当該ポスト挿入孔と連続するスリットが形成された環状部と、
   前記バッテリーポストの中心軸線に沿った軸方向と交差する方向であって前記スリットを横断する方向である環状部幅方向に沿って前記環状部の一端側から前記スリットを挟んで前記環状部の他端側まで延在して配置されると共に、前記環状部幅方向の一端側に前記環状部と当接する当接部が設けられ、前記環状部幅方向の他端側に前記軸方向に沿って屈曲し螺合溝が形成された螺合部が設けられる幅方向部材と、
   前記螺合部と螺合し前記軸方向周りの回転に伴って前記軸方向に沿って移動する締結部材と、
   前記締結部材の前記軸方向に沿った移動に伴って当該軸方向に沿って移動可能に設けられ、前記環状部の他端側で当該環状部と当接し、前記締結部材の前記軸方向周りの回転に伴って前記締結部材と前記幅方向部材との間に発生する前記軸方向の締付力を、前記当接部との間で前記環状部幅方向に沿って前記環状部の前記スリットの間隔を縮小する方向に当該環状部を押圧する前記環状部幅方向の押圧力に変換する押圧力変換部材とを備えることを特徴とする、
   バッテリー端子。
2. 前記幅方向部材は、前記環状部幅方向に沿って前記環状部の一端側から前記スリットを挟んで前記環状部の他端側まで貫通し前記環状部幅方向の一端側に前記当接部が設けられ前記環状部幅方向の他端側に前記螺合部が設けられる軸部を有し、
   前記押圧力変換部材は、前記軸方向に沿って前記螺合部が挿入される貫通部と、前記環状部の他端側で当該環状部と当接し前記軸方向周りの前記締結部材の回転に伴って当該締結部材と共に当該押圧力変換部材が前記軸方向に沿って前記軸部側に接近した際に、前記締結部材と前記軸部との間に発生する前記軸方向の締付力を、前記環状部を前記環状部幅方向の前記当接部側に押圧する前記環状部幅方向の押圧力に変換する方向に傾斜したテーパ面とを有する、
   請求項１に記載のバッテリー端子。
3. 前記環状部は、前記環状部幅方向の他端側の前記押圧力変換部材と当接する部位に形成され、前記押圧力変換部材の前記軸方向周りの回転を規制すると共に前記押圧力変換部材の前記軸方向に沿った移動を案内するガイド部を有する、
   請求項１又は請求項２に記載のバッテリー端子。

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