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JP6221576B2 - 水圧転写フィルム用活性剤組成物、及びこれを用いた加飾成形品の製造方法 - Google Patents

水圧転写フィルム用活性剤組成物、及びこれを用いた加飾成形品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、水圧転写フィルム用活性剤組成物、及びこれを用いた加飾成形品の製造方法に関する。
近年の消費者志向の変化に伴い、自動車内装材をはじめとし、建材、家電製品、OA機器などの各種部材に装飾する意匠には、多様化、高級化が求められている。このような各種部材への加飾方法は様々なものが知られているが、これらの部材は複雑な三次元形状を有するものが多いことから、複雑な三次元形状に適する水圧転写フィルムを用いた水圧転写法が好適に用いられている。ここで、水圧転写法は、水溶性や水膨潤性の基材フィルムに、所望の装飾層を印刷した水圧転写フィルムを用意し、該転写フィルムの装飾層に、主として有機溶剤から成る活性剤組成物を塗布して、該装飾層の少なくとも一部を溶解又は膨潤して軟化(活性化)させる。その前又は後に、前記転写フィルムを転写用の装飾層面を上面にして、水面上に浮遊させ、次いで、該転写フィルム上に被転写体となる物品を押圧して、水圧によって転写フィルムを被転写体の装飾処理をすべき被転写面に密着させた後、基材フィルムを除去して装飾層を転写するというものである(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、水圧転写法において、加飾転写フィルムは水上で大きく引き伸ばされて各種部材上に転写されるため、水圧転写前の加飾転写フィルムで表現していた意匠が損なわれる、またポリビニルアルコールに代表される水溶性や水膨潤性を有する基材上に意匠層を形成する都合から、フィルムを作製する時点で意匠が制限される、といった事情から、各種部材に付与しうる意匠に制限があり、上述したような意匠の多様化、高級化という要望に十分に対応できない場合があった。
このような状況下、本発明者らは、例えば水圧転写フィルムにアクリルポリマーポリオールに代表される特定の樹脂を用いた樹脂層を意匠層とは別に具備させることにより、従前の水圧転写フィルムでは達成困難であった意匠を被転写体に付与することが可能な水圧転写フィルムの開発を進めている(例えば、特願2012−218768など)。しかしながら、アクリルポリマーポリオールは比較的硬い性状を有しており、水圧転写の際に延伸しにくい傾向があるため、従前の水圧転写フィルムと同様に水圧転写を行うと、アクリルポリマーポリオールを用いて形成された層が十分に活性化しない状態で転写することになる。そのため、使用する活性剤組成物によっては、平板のような単純な形状の部材に対する水圧転写は良好に行えるものの、例えば自動車のハンドルのように曲率が大きい場合など、極めて複雑な形状を有する被転写体への水圧転写の際に、該被転写体に対して絵柄を十分に転写することができず、やや付きまわり性に不満が残る場合があった。
特開昭54−33115号公報
本発明は、水圧転写法において水圧転写フィルムを活性化させる活性剤組成物に着目し、様々な水圧転写フィルムに対応し、かつ該転写フィルムの優れた付きまわり性が得られる活性剤組成物、及びこれを用いた加飾成形品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記の発明により解決できることを見出した。すなわち本発明は、下記の活性剤組成物、及び加飾成形品の製造方法を提供するものである。
1.ブチルカルビトールアセテートを70質量%以上含む水圧転写フィルム用活性剤組成物。
2.さらにイソホロンを含む上記1に記載の活性剤組成物。
3.前記水圧転写フィルムが、水溶性フィルム上に、アクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物からなる樹脂層、並びに意匠層を少なくとも有するものである上記1又は2に記載の活性剤組成物。
4.下記の工程(a)〜(c)を順に有する加飾成形品の製造方法。
工程(a)水溶性フィルム上に意匠層を少なくとも有する水圧転写フィルムを、該水溶性フィルム側が水面に向くように水面に浮遊させる前又は後に、該意匠層側からブチルカルビトールアセテートを70質量%以上含む活性剤組成物を塗布する活性剤組成物塗布工程
工程(b)該工程(a)を経た水圧転写フィルム上に被転写体を押圧し、水圧によって該意匠層側の面と被転写体の被転写面とを密着させる工程
工程(c)該被転写体の被転写面に密着した水溶性フィルムを除去する脱膜工程
本発明の活性剤組成物によれば、様々な水圧転写フィルムに対応し、かつ該転写フィルムの優れた付きまわり性が得られ、また該活性剤組成物を用いた加飾成形品の製造方法により優れた外観を有する加飾成形品が得られる。
本発明の活性剤組成物が好適に用いられる水圧転写フィルムAの構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の活性剤組成物が好適に用いられる水圧転写フィルムAの構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の活性剤組成物が好適に用いられる水圧転写フィルムAの構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の活性剤組成物が好適に用いられる水圧転写フィルムAの構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の活性剤組成物が好適に用いられる水圧転写フィルムBの構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の活性剤組成物が好適に用いられる水圧転写フィルムCの構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の活性剤組成物が好適に用いられる水圧転写フィルムDの構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の活性剤組成物が好適に用いられる水圧転写フィルムDの構成の一例を示す概略断面図である。 水圧転写フィルムCを用いて、本発明の加飾成形品の製造方法により得られる加飾成形品の一例を示す概略断面図である。 水圧転写フィルムDを用いて、本発明の加飾成形品の製造方法により得られる加飾成形品の一例を示す概略断面図である。
〔水圧転写フィルム用活性剤組成物〕
水圧転写フィルム用活性剤組成物は、水圧転写フィルムにおける、被転写体に転写される意匠層の少なくとも一部を溶解又は膨潤して軟化(活性化)しうる組成物であり、また後述する被転写体の表面を溶解させる機能を有する組成物である。本発明の水圧転写フィルム用活性剤組成物は、ブチルカルビトールアセテート(沸点247℃)を70質量%以上含むものである。このブチルカルビトールアセテートの含有量は、75〜95質量%であることが好ましい。ブチルカルビトールアセテートの含有量が上記範囲内であると、様々な水圧転写フィルムに対応し、かつ該転写フィルムの優れた付きまわり性が得られ、結果として優れた外観を有する加飾成形品が得られる。
本発明の水圧転写フィルム用活性剤は、さらにイソホロン(沸点215℃)を含有することができる。また、イソホロンの含有量としては、5〜25質量%であることが好ましい。イソホロンの含有量が上記範囲内であると、様々な水圧転写フィルムに対応し、かつ該転写フィルムの優れた付きまわり性が得られ、結果として優れた外観を有する加飾成形品が得られる。
また、本発明の水圧転写フィルム用活性剤は、その他の成分として、アルコール類、エステル類、アセチレングリコール類、エーテル類、ケトン類、体質顔料、樹脂、及び可塑剤を含むことができる。
アルコール類としては、エチルアルコール(沸点78℃)、n−プロピルアルコール(沸点97℃)、イソプロピルアルコール(沸点82℃)、2−ブチルアルコール(沸点99℃)、n−ブチルアルコール(沸点117℃)、イソブチルアルコール(沸点108℃)などが好ましく挙げられる。
エステル類としては、酢酸エチル(沸点77℃)、酢酸プロピル(沸点102℃)、酢酸ブチル(沸点125℃)、酢酸イソブチル(沸点118℃)、酢酸sec−ブチル(沸点112℃)、酢酸tert−ブチル(沸点98℃)、シュウ酸ジブチル(沸点246℃)などが好ましく挙げられる。
アセチレングリコール類としては、メトキシブチルアセテート(沸点172℃)、エチルカルビトールアセテート(沸点217℃)などが好ましく挙げられる。
エーテル類としては、メチルセロソルブ(沸点124℃)、ブチルセロソルブ(沸点171℃)、イソアミルセロソルブ(沸点181℃)などが好ましく挙げられる。
ケトン類としては、メチルエチルケトン(沸点80℃)、メチルイソブチルケトン(沸点116℃)、ジブチルケトン(沸点187℃)、及びジイソブチルケトン(沸点168℃)などが好ましく挙げられる。
本発明においては、上記のその他の成分の中でも、活性化を調整する観点から、沸点190℃以下の成分を用いることが好ましく、沸点190℃以下のエーテル類である、メチルセロソルブ(沸点124℃)、ブチルセロソルブ(沸点171℃)、イソアミルセロソルブ(沸点181℃)がより好ましい。
体質顔料としては、沈降性硫酸バリウム、シリカなどが好ましく挙げられる。
樹脂としては、アクリレート系単量体の単独又は共重合体などの熱可塑性樹脂や、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、フタル酸アルキッド樹脂、フタル酸ジアリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂などが好ましく挙げられ、なかでも熱硬化性樹脂が好ましい。
また、可塑剤は樹脂層や意匠層を軟化させる機能を有する剤であり、例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソオクチルなどのフタル酸エステルが好ましく挙げられる。
本発明の水圧転写フィルム用活性剤組成物は、種々の水圧転写フィルムに用いることができ、とりわけアクリルポリマーポリオールを含む樹脂層を有する水圧転写フィルム、より具体的には水溶性フィルム上に、アクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物からなる樹脂層、並びに意匠層を少なくとも有する水圧転写フィルムの活性化に好適に用いられる。
本発明の活性剤組成物に含まれるブチルカルビトールアセテート、さらには所望により用いられるイソホロンは、いずれも溶解性が高く、かつ沸点が高く揮発しにくい化合物であるため、活性剤組成物中に例えば60質量%以上といった高濃度で含まれる場合、水圧転写フィルムの樹脂層や意匠層を形成する樹脂の種類によっては、意匠層が侵食されることで意匠性が低下したり、作業性が低下することがある。このような理由から、水圧転写フィルムの活性化に用いられる活性剤組成物において、ブチルカルビトールアセテートやイソホロンを高濃度で用いることは一般的とはいえなかった。
一方、上記のように、意匠の多様化、高級化という消費者の要望に対応するため、アクリルポリマーポリオールを含む樹脂層を具備する水圧転写フィルムの開発を進めているが、アクリルポリマーポリオールは比較的硬い性状を有しており、使用する活性剤組成物によっては、付きまわり性に不満が残る場合があった。しかし、溶解性が高く、かつ沸点が高く揮発しにくいブチルカルビトールアセテートを70質量%以上という高濃度で含む本発明の活性剤組成物を用いたところ、アクリルポリマーポリオールを含む樹脂層を具備する水圧転写フィルムに対して優れた活性化性能を発現し、優れた付きまわり性が得られ、結果として優れた外観を有する加飾成形品が得られることが分かった。このように、本発明の活性剤組成物は、とりわけアクリルポリマーポリオールを含む樹脂層を具備する水圧転写フィルムに対して好適に用いられる。
〔水圧転写フィルムA〕
本発明の活性剤組成物が好適に用いられる水圧転写フィルムとしては、水溶性フィルムを基材とし、該水溶性フィルム上に意匠層を少なくとも有する構成のものであれば特に制限はなく、該水溶性フィルム上に、アクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物からなる樹脂層、並びに意匠層を少なくとも有する構成のものが好ましく挙げられる。このような構成の水圧転写フィルムとして、水圧転写フィルムの樹脂層が低艶部分と高艶部分とを有し、該低艶部分と高艶部分が樹脂層の水溶性フィルム側の端面内に少なくとも存在し、該高艶部分がアクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物からなるものが好ましく挙げられる(以後、水圧転写フィルムAと称する場合がある。)。以下、水圧転写フィルムAについて、図1〜4を用いて説明する。
図1〜4は本発明の活性剤組成物が好適に用いられる水圧転写フィルムAの構成の一例を示す概略断面図である。水圧転写フィルムAは、水溶性フィルム1上に樹脂層2を有する。該樹脂層2は低艶部分2aと高艶部分2bとを有し、該低艶部分2aと高艶部分2bが樹脂層2の水溶性フィルム側の端面内(図1のSと示された面)に少なくとも存在し、該高艶部分2bはアクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物からなっている。
また、図1〜図4では、樹脂層の端面Sが水溶性フィルム1に接する態様を示しているが、水圧転写フィルムAにおける低艶部分2a及び高艶部分2bは、上記端面S内に存在すればよく、水溶性フィルム1に接している必要はない。例えば、水溶性フィルム1と樹脂層2の間に他の層がある場合には、低艶部分2a及び高艶部分2bが、該他の層に接した態様も水圧転写フィルムAの態様に含まれる。一方、水溶性フィルム1上に低艶層と高艶層とが単に積層されている態様とは区別される。
より具体的には、樹脂層2は、図1に示すように、パターン状に形成された低艶部分2aと、該低艶部分2aを被覆するとともに水溶性フィルム1上の低艶部分2aが設けられていない領域をも被覆するように形成された高艶部分2bとによって構成されていてもよく、また、図2に示すように、パターン状に形成された高艶部分2bと、該高艶部分2bを被覆するとともに水溶性フィルム1上の高艶部分2bが設けられていない領域をも被覆するように形成された低艶部分2aとによって構成されていてもよい。さらに、図3及び図4に示すように、パターン状に形成された低艶部分2aと、低艶部分2aが設けられていない領域の少なくとも一部を被覆するように形成された高艶部分2bとによって構成されていてもよい。このうち、図1、図3及び図4に示す態様においては、低艶部分2aが視覚的に凹部として認識されやすいため、意匠性の観点から好ましい。
また、水圧転写フィルムAは、図1〜図4に示すように、必要に応じて樹脂層2上に意匠層3を有していてもよく、図4に示すように、必要に応じて樹脂層2上にプライマー層4及び意匠層3を有していてもよい。
水圧転写フィルムAを用いて被転写体に加飾を施すと、水溶性フィルム1が除去されることで、樹脂層2の端面Sに存在する低艶部分2aと高艶部分2bとが露出してグロスマット(艶差)意匠が発現する。これによって低艶部分2aが形成された領域が凹部に見え、加飾成形品に立体感のある意匠を付与することができる。
水溶性フィルム1としては、水溶性又は水膨潤性を有するものであれば良く、従来水圧転写フィルムにおいて一般に使用されている水溶性フィルムの中から、適宜選択して用いることができる。
水溶性フィルム1を構成する樹脂としては、例えばポリビニルアルコール樹脂、デキストリン、ゼラチン、にかわ、カゼイン、セラック、アラビアゴム、澱粉、蛋白質、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルメチルエーテル、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸との共重合体、酢酸ビニルとイタコン酸との共重合体、ポリビニルピロリドン、アセチルセルロース、アセチルブチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどの各種水溶性ポリマーが挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種以上が混合されて用いられてもよい。なお、水溶性フィルム1には、マンナン、キサンタンガム、グアーガムなどのゴム成分が添加されていてもよい。
上記の水溶性フィルム1のうち、特に生産安定性と水に対する溶解性及び経済性の点から、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂フィルムが好ましい。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、PVA以外に、澱粉やゴムなどの添加剤を含有していてもよい。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、ポリビニルアルコールの重合度、ケン化度、及び澱粉やゴムなどの添加剤の配合量などを変えることにより、水溶性フィルムに対して転写用の印刷層を形成する際に必要な機械的強度、取り扱い中の耐湿性、水面に浮かべてからの吸水による柔軟化の速度、水中での延展又は拡散に要する時間、転写工程での変形のし易さなどを適宜調節することができる。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる水溶性フィルムとして好適なものは、特開昭54−92406号公報に説明されているようなものであり、例えば、PVA樹脂80質量%、高分子水溶性樹脂15質量%、澱粉5質量%の混合組成からなり、平衡水分3%程度のものが好適である。
また、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは水溶性ではあるが、水に溶解する前段階では水に膨潤して軟化しつつもフィルムとして存続することが好ましい。フィルムとして存続している状態にあるときに水圧転写を行なうことにより、水圧転写時の転写用の各層の過度の流動、変形を防止することができるからである。
水溶性フィルム1の厚さとしては、10〜100μmが好ましい。10μm以上であると、膜の均一性が良好で、かつ生産安定性が高くなる。一方、100μm以下であると、水に対する溶解性が適度であり、かつ印刷適性に優れる。以上の観点から、水溶性フィルム1の厚さは、20〜60μmの範囲がより好ましい。
なお、上記の水溶性フィルム1は、例えば紙、不織布、布などの水浸透性を有する基材と積層して使用することもできる。このような水浸透性を有する基材と水溶性又は水膨潤性を有する水溶性フィルムとを積層したときには、水圧転写フィルムを水面に浮かべる前に前記水浸透性を有する基材を水溶性又は水膨潤性を有する水溶性フィルムから分離させるか、又は水面に浮かべた後の水の作用によって水溶性又は水膨潤性を有する水溶性フィルムから前記水浸透性を有する基材が分離するように構成しておくことが好ましい。
水圧転写フィルムAは、上述のように、水溶性フィルム1上に樹脂層2を有し、該樹脂層2の水溶性フィルム側の端面S内に低艶部分2a及び高艶部分2bが存在する。この水圧転写フィルムを用いて加飾成形品を製造した場合、低艶部分2aの直上部又は直上部とその近傍(以下、単に「直上部及びその近傍」と称することもある)においては低艶領域が形成される。すなわち、低艶部分2aは、加飾成形品の一部(低艶部分2aの直上部及びその近傍)に低艶を発現させる機能を有する。
水圧転写フィルムAを用いて得られる加飾成形品のグロスマット意匠は、低艶部分2aにおける低艶領域とその周囲の高艶領域(高艶部分2bの直上部又は直上部とその近傍)との間で光沢度の差(艶差)を生じることに起因するものである。
低艶部分2aにおける低艶領域は視覚的に凹部として認識され、高艶部分2bにおける高艶領域は凸部として認識されるため、全体として、この低艶領域及び高艶領域によって視覚的に凹凸模様として認識される。
水圧転写フィルムAは、高艶部分2bにアクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物又はこれらの硬化物を用いることが特徴である。当該硬化物は完全硬化されたものであってもよいが、転写加工性などを考慮すると半硬化状態であることが好ましい。また、アクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物と該樹脂組成物の硬化物が混合された状態のものも好ましい態様である。
また、高艶部分2bを形成する樹脂組成物には、アクリルポリマーポリオールに加えて、さらにイソシアネートを含有させることもできる。イソシアネートはアクリルポリマーポリオールの硬化剤であって、イソシアネートを含有させることで、当該樹脂組成物の少なくとも一部を硬化状態又は半硬化状態とする。このことにより、加飾成形品の製造時における水圧転写フィルムを水面に浮遊させる工程で、水圧転写フィルムが溶解ないしは膨潤することで発生しやすくなる過度の展伸を抑制することができる。
上記アクリルポリマーポリオールは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により求められる、標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1,000〜100,000であることが好ましく、5,000〜80,000であることがより好ましく、20,000〜50,000であることが特に好ましい。アクリルポリマーポリオールの分子量が1,000以上であると、耐溶剤性が改善し、意匠層3を形成した際に高艶部分2bが溶解するなどの不具合が起こりにくくなり、100,000以下であるとインキ化した際に粘度が低下したり、ゲル化しにくくなるため作業性が向上する。
また、アクリルポリマーポリオールとしては、水酸基価が30〜130mgKOH/gのものが好ましく、50〜130mgKOH/gのものがより好ましく、60〜120mgKOH/gのものがさらに好ましい。アクリルポリマーポリオールの水酸基価が30mgKOH/g以上であると、水圧転写フィルム全体の過度の展伸を抑制することができる点で好ましく、130mgKOH/g以下であると、高艶部分2bの柔軟性が良好となり、ひび割れなどの不具合が生じない。なお、上記水酸基価は、無水酢酸を用いたアセチル化法によって測定することができる。
イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートであればよく、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、或いは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンジイソシアネート(MDI)、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂肪族(ないしは脂環式)イソシアネートなどのポリイソシアネートが用いられる。
このことから高艶部分2bは、図1に示すように、水溶性フィルム1上に、パターン状に形成された低艶部分2aと、該低艶部分2aを被覆するとともに水溶性フィルム1上の低艶部分2aが設けられていない領域をも被覆するように形成された高艶部分2bとからなる樹脂層2を有するほうが、水圧転写フィルム全体の過度の展伸を抑制することができる点で好ましい。
また、必要に応じて、イソシアネート基を適当なブロック剤により保護して不活性化し、加熱によりイソシアネート基が再生するブロックイソシアネートを使用してもよい。ブロック剤としては、例えばフェノール、アルコール、マロン酸ジメチル、アセト酢酸エチルなどの活性メチレン、オキシムなど、公知のブロック剤を用いてもよい。
ブロックイソシアネートを使用することにより、高艶部分2bにより高い成形性を付与することができ、所望形状に成形した後に成形品を加熱処理し、イソシアネート基を再生、ポリオールと反応、硬化することにより、低艶部分2a、意匠層3と良好な密着性を発現できる。
上記高艶部分2bを構成する樹脂組成物には、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル−ウレタン共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレンなどを含有させることが好ましい。高艶部分2bを柔軟にし、加飾成形品の製造時における転写加工性を向上させることができるためである。なお、ここで「(メタ)アクリル」とはアクリル又はメタクリルを意味する。
これらのうち、特にウレタン樹脂はアクリルポリマーポリオールとの相溶性が高く、好ましい。
また、上記高艶部分2bには、本発明の効果を阻害しない範囲内で着色剤を添加してもよい。着色剤としては、後述する意匠層で用いられるものと同様のものを用いることができる。
ウレタン樹脂としては、非架橋型のもの、すなわち、3次元架橋して網目状の立体的分子構造を持ったものではなく、線状の分子構造を持った熱可塑性樹脂となったものを選択することが好ましい。このような非架橋型のウレタン樹脂としては、ポリオール成分として、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリオールを主剤とし、イソシアネートと反応させてなる非架橋型ウレタン樹脂を使用でき、成形性、耐熱性、耐候性、低艶部分2aとの密着性などの観点から、ポリエステルポリオールと、ヘキサメチレンジイソシアネートなどのイソシアネートとの組合せにより合成されるものが特に好ましい。通常ポリオール1分子中の水酸基数及びイソシアネート1分子中のイソシアネート基はそれぞれ平均2である。
また、ウレタン樹脂としては、ポリオール成分、ポリアミン成分及びイソシアネートの組合せより合成されるウレタンウレア樹脂が好ましく用いられ、ポリオール成分やイソシアネートとしては、上述したものを用いることができる。
ウレタン樹脂としては、ガラス転移点が100℃以下のものが好ましく、20〜100℃のものがより好ましい。ウレタン樹脂のガラス転移点が100℃以下であると、高艶部分2bの常温における柔軟性に優れ、20℃以上であると、加熱により凝集力が著しく低下したり、高艶部分2bが水圧転写時に水に溶解することがなく、好ましい。
高艶部分2bを構成する樹脂組成物におけるアクリルポリマーポリオール又はアクリルポリマーポリオールに必要に応じて添加されるイソシアネートの合計量とウレタン樹脂との比率は、通常質量比で99:1〜50:50であり、95:5〜50:50であることが好ましく、90:10〜60:40であるとより好ましく、80:20〜68:32であることが特に好ましい。ウレタン樹脂の比率が高いと転写加工性が向上するが、該比率が高すぎると意匠性に劣る場合がある。特に、イソシアネートの含有量が高い場合には、ウレタン樹脂の比率を高くすることが転写加工性の点から好ましい。
高艶部分2bは、上述のアクリルポリマーポリオール、イソシアネート、ウレタン樹脂、及びその他の樹脂を溶媒に溶解した塗工液を、公知の方法で塗布し、必要に応じて乾燥し、硬化して形成することができる。高艶部分2bの厚みについては、通常、0.5〜20μm程度であり、好ましくは、1〜5μmの範囲である。
低艶部分2aは、相対的に上記の高艶部分2bよりも低い艶を有していれば特に制限はないが、該低艶部分の形成に用いられる樹脂組成物として、バインダー樹脂と艶消し剤とを含む樹脂組成物I、あるいはアクリルポリマーポリオール以外の樹脂を含む樹脂組成物IIが好ましく挙げられる。このような樹脂組成物を採用することにより、低艶部分2aと高艶部分2bとの艶差のコントラストを所望に応じて調整することができ、意匠の多様化に対応することが可能となる。
樹脂組成物Iに含まれるバインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂が挙げられ、具体例としては、アクリル樹脂、アルキッドなどのポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂(例えばポリエステルウレタン系樹脂)、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール(ブチラール系樹脂)、硝化綿などのニトロセルロース系樹脂が挙げられる。必要に応じて、低艶領域の発現の程度、低艶領域と高艶領域との艶差のコントラストを調整するため、これらの樹脂を1種類以上混合してもよいし、上記に限定されるものではない。
上記バインダー樹脂として、上記の高艶部分2bに用いる樹脂と同様のもの、すなわち、アクリルポリマーポリオールを主成分とする樹脂を用いることもできるが、このような樹脂の含有量は小さいことが好ましい。高艶部分2bと低艶部分2aで異なる樹脂系を用いることでより高い艶差を生じさせることができるためである。具体的には、バインダー樹脂に対して、高艶部分2bで用いる樹脂の比率が5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、もっとも好ましくは1質量%以下である。この程度であれば、艶差のコントラストを維持することができる。
また、上記バインダー樹脂は、物性を向上させるために、必要に応じて、成形性を損なわない程度に、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂又はその硬化剤(イソシアネートなど)をさらに添加することができる。
低艶部分2aは、例えば後述する意匠層3によって木目模様を表現しようとする場合には、木目の導管部分に同調させることで、艶差により導管部分が視覚的に凹部となった模様が得られる。
樹脂組成物Iに含まれる艶消し剤としては、シリカ、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸塩、及びケイ酸微粉末から選択される無機フィラーや、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又は尿素系樹脂から選択される有機フィラーが挙げられ、いずれか1種を用いてもよいし、2種以上を組合わせて用いることもできる。
艶消し剤の体積平均粒径は、好ましくは0.5〜25μmであり、より好ましくは1〜15μm、さらに好ましくは3〜10μmである。艶消し剤の体積平均粒径が25μm以下であれば、界面積が増大することによって加工時の応力が拡散し、界面に発生したボイドなどがエネルギーを吸収したり、粒子間距離が小さくなることによって粒子、又はボイド間で塑性変形が生じ、伸張時の白化を抑制することができる。また、艶消し剤の体積平均粒径が0.5μm以上であると、艶消し効果の観点から好ましい。なお、ここで言う体積平均粒径は、レーザー回折−散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径である。
低艶部分2a中の艶消し剤の含有量は、グロスマット効果と成形加工性とのバランスの観点から、0.5〜50質量%であると好ましく、10〜50質量%であるとより好ましく、25〜50質量%であるとさらに好ましい。
艶消し剤のJIS K 5101−13−1:2004に準拠して測定した吸油量としては、150〜400mL/100gが好ましく、180〜350mL/100gであることがより好ましく、230〜300mL/100gであることがさらに好ましい。吸油量が150mL/100g以上の艶消し剤を用いることが艶消し効果の観点から好ましく、また吸油量が400mL/100g以下の艶消し剤を用いることが適度なチキソ性を維持して低艶部分2aを形成する際の塗工適性を損なわないとの観点から好ましい。
なお、上記艶消し剤を表面処理することによって、バインダー樹脂と艶消し剤との密着性を向上させ、硬化した際に強靭な塗膜を形成させることができる。このような表面処理は成形加工時のクラックや白化を抑制できるため好ましい。処理の手法としては、上記効果を奏するものであれば特に制限はなく、有機材料による表面処理であっても、無機材料による表面処理であってもよい。特に、シランカップリング処理などが好適に挙げられる。
樹脂組成物IIに含まれるアクリルポリマーポリオール以外の樹脂としては、樹脂組成物Iに用いられるバインダー樹脂が好ましく挙げられる。樹脂組成物IIの場合も、アクリルポリマーポリオールを含有してもよいが、樹脂組成物IIを採用する場合、高艶部分2bと低艶部分2aで異なる樹脂系を用いることでより艶差を生じうることを考慮すると、その含有量は少ないことが好ましく、その含有量は5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、もっとも好ましくは1質量%以下である。
樹脂組成物IIにおいても、物性を向上させるために、必要に応じて、成形性を損なわない程度に、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂又はその硬化剤(イソシアネートなど)をさらに添加することができる。
また、樹脂組成物IIには、樹脂組成物Iで用いられる艶消し剤を用いることができるが、その含有量は少ないことが好ましく、具体的には10質量%以下であることが好ましく、0質量%、すなわち含まないことが好ましい。
樹脂組成物Iは、艶消し剤を積極的に使用することで、高艶部分と低艶部分とが明確に分かれて、より艶差のコントラストの強い意匠が得られる。一方、樹脂組成物IIは、アクリルポリマーポリオール以外の樹脂を含み、かつ艶消し剤の含有量を少なくすることで、樹脂組成物Iでは表現できない半透明感を有する意匠を表現することが可能となる。また、艶消し剤の含有量を少なくすることにより、とりわけ艶消し剤を用いないことにより、転写加工性が向上するという利点も得られる。
また、低艶部分2aを形成する樹脂組成物I及びIIには、意匠性を高めることを目的に、所望により着色剤を添加することができる。着色剤としては、特に制限はなく、水圧転写法に用いられる着色剤を用いることができる。具体的には、後述する意匠層3で用いられるものと同様のものを用いることができる。
低艶部分2aの厚さは、0.5〜30μmであることが好ましく、1〜20μmであるとより好ましく、1〜10μmであるとさらに好ましい。
水圧転写フィルムAの意匠層3は、上述の樹脂層2の上に所望により設けられる層である。意匠層3は、木目模様、石目模様、布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様などの各種絵柄を有するものであってよいし、ベタ印刷であってもよい。
意匠層3は、通常、バインダー樹脂と着色剤とを含有する。意匠層3のバインダー樹脂としては、低艶部分2aで用いられるバインダー樹脂と同様のものが挙げられる。
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルーなどの無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルーなどの有機顔料又は染料、さらには金属顔料、真珠光沢(パール)顔料、蓄光性顔料などの光輝性顔料などが用いられる。
水圧転写フィルムAは、所望により、樹脂層2と意匠層3との間にプライマー層4を設けることができる。
プライマー層4を形成する樹脂としては、低艶部分2aに含まれるバインダー樹脂と同様のものが挙げられ、例えば高艶部分2bと同様に、溶媒に溶解した塗工液を公知の方法で塗布するなどして形成することができる。
図1に示す水圧転写フィルムAは、例えば、水溶性フィルム1の上に低艶部分2aをパターン状に形成する工程(A)と、低艶部分2aを被覆するとともに水溶性フィルム1上の低艶部分2aが設けられていない領域をも被覆するように高艶部分2bを形成して樹脂層2とする工程(B)と、必要に応じて樹脂層2上に意匠層3を形成する工程(C)により製造することができる。
工程(A)において、低艶部分2aは公知の印刷方法によりパターン状に形成することができ、例えば、バインダー樹脂及び艶消し剤を含む樹脂組成物Iやアクリルポリマーポリオール以外の樹脂を含む樹脂組成物II、及び柱状凹部のセル形状を有するグラビア版材を用いて、グラビア印刷、好ましくはグラビアオフセット印刷を施して形成することができる。
工程(B)において、高艶部分2bは公知の塗布方法又は印刷方法によって形成したり、あるいは樹脂フィルムを低艶部分2a上にラミネートすることにより形成することができる。当該塗布方法としては、グラビアコート、リバースコートなどが挙げられ、印刷方法としては、グラビア印刷などが挙げられる。
工程(C)における意匠層3の形成方法は、工程(B)における塗布方法や印刷方法と同様である。
図2に示す水圧転写フィルムAは、例えば、低艶部分2aと高艶部分2bとを入れ替える以外は上記と同様にして製造することができる。
図3に示す水圧転写フィルムAは、例えば、水溶性フィルム1の上に低艶部分2aをパターン状に形成する工程(A)と、水溶性フィルム1上の低艶部分2aが設けられていない領域の少なくとも一部を被覆するように高艶部分2bを形成して樹脂層2とする工程(B)と、必要に応じて樹脂層2上に意匠層3を形成する工程(C)により製造することができる。また、上記工程(B)と工程(C)との間に、樹脂層2上にプライマー層を形成する工程を設けることで、図4に示す水圧転写フィルムAを製造することができる。
〔水圧転写フィルムB〕
本発明の活性剤組成物が好適に用いられる水圧転写フィルムとしては、水溶性フィルム上に意匠層と樹脂層とを順に有しており、該樹脂層がアクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物からなるものが好ましく挙げられる(以後、水圧転写フィルムBと称する場合がある。)。以下、水圧転写フィルムBについて、図5を用いて説明する。
図5は本発明の活性剤組成物が好適に用いられる水圧転写フィルムBの構成の一例を示す概略断面図である。水圧転写フィルムBは、水溶性フィルム1上に、少なくとも意匠層3及び樹脂層2をこの順に有する。そして、該樹脂層2はアクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物からなるものである。水圧転写フィルムBは、このような樹脂層2を有する構成とすることで、意匠層3を保護することが可能となる。よって、輝度の高い意匠層3を採用する場合には、高い輝度を得るという効果が顕著なものとなり、意匠性の優れた加飾成形品を製造することが可能となる。
また、図5に示すように、水圧転写フィルムBは、さらにプライマー層4を有していてもよく、プライマー層4を採用することにより、さらに高い輝度を得ることができる。該プライマー層4は、水溶性フィルム1と意匠層3の間に位置することが好ましい。
水圧転写フィルムBの水溶性フィルム1は、水圧転写フィルムAと同様のものが好ましく挙げられる。
水圧転写フィルムBの樹脂層2は、アクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物からなる層であり、図5に示すように、意匠層3と接触していてもよいし、意匠層3と樹脂層2との間に他の層が存在していてもよい。樹脂層2として、このような構成とすることで、活性剤組成物に含まれる溶剤から意匠層3を保護することができるので、とりわけ意匠層3を輝度の高い層とする場合には、高い光輝性を得るという効果が顕著となり、加飾成形品に優れた意匠を付与することができる。
樹脂層2で用いられるアクリルポリマーポリオールとしては、水圧転写フィルムAの高艶部分2bで用いられるものと同様のものが好ましく挙げられる。また、樹脂層2は、水圧転写フィルムAの高艶部分2bで用いられているその他の添加成分を含んでいてもよい。
樹脂層2は、上述のアクリルポリマーポリオール、必要に応じて添加されるイソシアネート、ウレタン樹脂、及びその他の樹脂を溶媒に溶解した塗布液を、公知の方法で塗布し、必要に応じて乾燥し、硬化して形成することができる。保護層3の厚さについては、通常、1〜25μm程度であり、好ましくは1〜10μmの範囲である。
水圧転写フィルムBの意匠層3は、水圧転写フィルムAと同様の構成とすることができる。また、輝度の高い意匠層3を採用する場合には、高い輝度を得ることができるという効果が顕著となる。そのため、水圧転写フィルムBの意匠層3においては、着色剤として光輝性顔料、すなわち上記の金属顔料、パール顔料、蓄光性顔料を用いることが好ましい。より詳細には、金属顔料としては、金、銀、白金、パラジウム、ニッケル、銅、アルミニウム、クロム、真鍮、錫などの金属や合金、あるいはこれらの金属酸化物からなるものであり、光輝性が高く、安価である点からアルミニウム、真鍮などの鱗片状箔片からなる金属顔料が好ましく挙げられる。また、パール顔料としては、酸化チタン又は酸化鉄で被覆された鱗片形状アルミナ顔料、酸化チタン又は酸化鉄で被覆された雲母顔料、塩基性炭酸鉛などの鱗片状箔片などが好ましく挙げられる。
水圧転写フィルムBは、さらにプライマー層4を有し、該プライマー層4が、水溶性フィルム1と意匠層3との間に位置することが、さらに高い輝度を得ることができる点で好ましい。該プライマー層4は、被転写体の被転写面に対し、後述するトップコート層を形成しない場合には、被転写体の最表面に位置する層である。一方、後述するようなトップコート層を設ける態様においては、プライマー層4が樹脂層2と意匠層3との間に位置し、トップコート層を形成する塗料に含まれる溶剤から意匠層3を保護するため、より高い輝度が得られる。
水圧転写フィルムBのプライマー層4を形成する樹脂組成物は、上記樹脂層2に記載されるものと同様のものを用いることが好ましい。すなわち、アクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物であることが好ましく、さらにウレタン樹脂を含むことが好ましい。
また、その塗工方法についても、樹脂層2と同様の方法を用いることができ、例えば、溶媒に溶解した塗工液を公知の方法で塗布するなどして形成することができる。
プライマー層4の厚さとしては、通常、0.1〜10μm程度であり、好ましくは0.5〜2μmの範囲である。
本発明の水圧転写フィルムBは、例えば、水溶性フィルム1の上にプライマー層4を形成する工程(A)と、その上に意匠層3を形成する工程(B)と、及び意匠層3上に樹脂層2を形成する工程(C)により製造することができる。
工程(A)〜(C)において、各層は公知の塗布方法又は印刷方法によって形成したり、あるいは樹脂フィルムをラミネートすることにより形成することができる。当該塗布方法としては、グラビアコート、リバースコートなどが挙げられ、印刷方法としては、グラビア印刷などが挙げられる。
〔水圧転写フィルムC〕
本発明の活性剤組成物が好適に用いられる水圧転写フィルムとしては、水溶性フィルム上に樹脂層と光輝性顔料を含む意匠層とを順に有しており、少なくとも該意匠層の樹脂層の側とは反対側の面に凹凸形状を有し、該樹脂層がアクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物からなるものが好ましく挙げられる(以後、水圧転写フィルムCと称する場合がある。)。以下、水圧転写フィルムCについて、図6を用いて説明する。
図6は本発明の活性剤組成物が好適に用いられる水圧転写フィルムCの構成の一例を示す概略断面図である。水圧転写フィルムCは、水溶性フィルム1、樹脂層2、及び光輝性顔料を含む意匠層3を順に有しており、該意匠層3の樹脂層2とは反対側の面に凹凸形状5を有しており、該樹脂層2がアクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物からなるものである。
水圧転写フィルムCの水溶性フィルム1は、水圧転写フィルムAと同様のものが好ましく挙げられる。
水圧転写フィルムCの樹脂層2は、水溶性フィルム1と後述する意匠層3との間に設けられ、アクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物からなる層である。樹脂層2を設けることにより、水圧転写フィルムCの製造時に凹凸形状5が良好に賦型しうる賦型性が得られ、また水圧転写時に意匠層3が伸展しすぎるのを抑制し、凹凸形状5に対応する凹凸感発現部を形成して凹凸感を保持することで、光輝性と高級感とを備える意匠性(以後、単に意匠性と称する場合がある。)が得られる。なお、凹凸形状5に対応する凹凸感発現部については、加飾成形品の製造方法についての説明において詳説する。
樹脂層2は、樹脂成形品に転写された後の意匠層3の表層側に位置する層となり、該意匠層3が樹脂層2を通して視認されるため、該意匠層3がより鮮明に視認できるよう、透明であることが好ましい。ここで、透明とは、無色透明のほか、着色透明や半透明をも含む概念である。また、樹脂層2は単層構成でもよく、二層以上の複層構成であってもよい。
樹脂層2で用いられるアクリルポリマーポリオールとしては、水圧転写フィルムAの高艶部分2bで用いられているものと同様のものが好ましく挙げられる。さらに、水圧転写フィルムCにおける樹脂層2で用いられるアクリルポリマーポリオールとしては、ガラス転移温度が80℃以上のものが特に好ましく挙げられる。樹脂層2を形成する樹脂としてアクリルポリマーポリオールを採用することにより、後述するエンボス加工によって凹凸形状5を賦型する際に優れた賦型性が得られ、優れた意匠性が得られる。ガラス転移温度の上限については特に限定的ではないが、転写加工性(追従性)を良好とする観点から145℃以下であることが好ましく、130℃以下であることがさらに好ましい。
ここで、ガラス転移温度は以下のようにして測定したものである。
示差走査熱量計を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定した。軟化点より20℃以上低い温度でピークが観測される場合にはそのピークの温度を、また軟化点より20℃以上低い温度でピークが観測されずに段差が観測されるときは該段差部分の曲線の最大傾斜を示す接線と該段差の高温側のベースラインの延長線との交点の温度を、ガラス転移温度として読み取った。
また、樹脂層2は、水圧転写フィルムAの高艶部分2bで用いられているその他の添加成分を含んでいてもよい。
樹脂層2の厚さとしては、0.5〜10μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましく、0.5〜2.5μmがさらに好ましい。樹脂層2の厚さが上記範囲内であれば、優れた賦型性や意匠性が得られるとともに、優れた転写加工性(追従性)も得られる。また、水圧転写時の活性剤の塗布の時間を確保し、より好適に被転写体に転写することができる。
水圧転写フィルムCの意匠層3は、光輝性顔料を含む層であり、光輝性を発現するとともに、少なくとも該意匠層3の樹脂層2とは反対側の面に凹凸形状5を有することで高級感を発現させる層である。
水圧転写フィルムCの凹凸形状5は、少なくとも意匠層3の樹脂層2の側とは反対側の面に存在するものである。水圧転写フィルムCは、凹凸形状5を有し、かつ水圧転写時に該凹凸形状5に対応する凹凸感発現部を形成して凹凸感を保持することで、光輝性に加えて高級感を発現しうる。凹凸形状5は、図6に示されるように、凹部が意匠層3の内に留まるものであってもよいし、樹脂層2、さらには水溶性フィルム1にまで至るものであってもよい。後述する凹凸形状5の深さを得て、優れた賦型性や意匠性を得る観点から、凹凸形状5は樹脂層2及び水溶性フィルム1まで至るものであることが好ましい。
凹凸形状5の深さとしては、優れた賦型性や意匠性を得る観点から、水圧転写フィルムCの全厚さに対して5〜80%が好ましく、より好ましくは10〜70%であり、さらに好ましくは20〜60%である。ここで、凹凸形状5の深さは、凹凸形状5の凹部の深さのことであり、凹部の深さは、意匠層3の樹脂層2を設ける側とは反対側の面を略直線とみたときの、該直線からの深さの最大値とする。
凹凸形状5の周期幅(ピッチ)は、10〜100μmが好ましく、より好ましくは20〜40μmである。凹凸形状5の周期幅(ピッチ)が上記範囲内であることにより、優れた賦型性や意匠性が得られる。ここで、凹凸形状5の周期幅(ピッチ)は、隣接する凸部間の離間距離のことである。
また、凹凸形状5の幅は、10〜100μmが好ましく、より好ましくは20〜40μmである。凹凸形状5の幅が上記範囲内であることにより、優れた賦型性や意匠性が得られる。ここで、凹凸形状5の幅は、凸部自体の幅のことである。
また、凹凸形状5は、エンボス加工により好適に設けることができる。
凹凸形状5としては、光輝性意匠の表現に応じたものとすればよく、後述する意匠層3の模様との組み合わせに応じて適宜選択すればよく、例えば、万線状溝、木目導管溝、木目年輪模様、砂目模様、石目模様、金属結晶面模様、布目模様、梨地模様、皮絞模様、マット面模様、ヘアライン模様、スピン調模様、文字、記号、幾何学図形などが好ましく挙げられる。
意匠層3は、好ましくはバインダー樹脂と光輝性顔料を含む光輝性インキにより形成される。意匠層3のバインダー樹脂としては、水圧転写フィルムAの低艶部分2aで用いられるバインダー樹脂と同様のものが挙げられる。
光輝性顔料としては、光の干渉によって光輝性を発現しうる顔料であれば特に制限されず、例えば、金属顔料、パール顔料、蓄光性顔料などが好ましく挙げられ、具体的には水圧転写フィルムBの意匠層で用いられる光輝性顔料が好ましく挙げられる。
光輝性顔料の平均粒径は、1〜20μmであることが好ましく、3〜15μmであることがより好ましい。光輝性顔料の平均粒径が上記範囲内であると、優れた光輝性が得られ、また凹凸形状との組み合わせにより高級感も得られやすい。
また、意匠層3の模様としては、上記の凹凸形状との組み合わせに応じて適宜選択すればよく、木目模様、石目模様、布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様などの各種絵柄を有するものであってよいし、ベタ印刷であってもよい。
意匠層3の厚さとしては、0.5〜5μmが好ましく、0.5〜3μmがより好ましく、0.5〜2μmがさらに好ましい。意匠層3の厚さが上記範囲内であると、優れた賦型性や意匠性が得られるとともに、優れた転写加工性(追従性)も得られる。
水圧転写フィルムCは、例えば、工程(A)水溶性フィルム1上に、アクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物により形成される樹脂層2を積層する工程、工程(B)該樹脂層2上に光輝性顔料を含む意匠層3を積層する工程、及び工程(C)該意匠層3の該樹脂層2の側とは反対側の面からエンボス加工を施し、少なくとも該意匠層3の該反対側の面に凹凸形状5を設ける工程により製造することができる。
工程(A)において、樹脂層2は、公知の塗布方法又は印刷方法、水溶性フィルム1との共押出法、あるいは樹脂フィルムを水溶性フィルム1にラミネートすることにより水溶性フィルム1の上に積層される。これらのうち、公知の塗布方法又は印刷方法によることが好ましい。
公知の塗布方法としては、グラビアコート、リバースコートなどが挙げられ、公知の印刷方法としては、グラビア印刷などが挙げられる。
工程(B)において、意匠層3は、バインダー樹脂と光輝性顔料とを含有する光輝性インキを用い、上記の樹脂層2を形成する方法として挙げた、公知の塗布方法又は印刷方法により形成することが好ましい。
凹凸形状5を形成する工程(C)において施されるエンボス加工は、通常80〜130℃の温度で、20〜100ton/m2、好ましくは20〜60ton/m2の圧力を加え、1〜10分間程度のプレス時間でエンボス加工装置により、あるいはエンボスロールなどによる連続的なエンボス加工により行なわれ、所望する凹凸形状5を形成する。
ここで用いられるエンボス版としては、上記の凹凸形状の深さ、周期幅(ピッチ)、及び幅を達成できる寸法を具備するものであれば特に制限はない。通常、エンボス版の凹凸形状の深さは、10〜80μm程度であり、好ましくは20〜60μm、より好ましくは30〜45μmである。
〔水圧転写フィルムD〕
本発明の活性剤組成物が好適に用いられる水圧転写フィルムとしては、水溶性フィルム上に光輝性顔料を含む意匠層と樹脂層とを順に有しており、少なくとも該樹脂層の意匠層の側とは反対側の面に凹凸形状を有し、該樹脂層がアクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物からなるものが好ましく挙げられる(以後、水圧転写フィルムDと称する場合がある。)。以下、水圧転写フィルムDについて、図7及び8を用いて説明する。
図7及び8は本発明の活性剤組成物が好適に用いられる水圧転写フィルムDの構成の一例を示す概略断面図である。水圧転写フィルムDは、水溶性フィルム1、光輝性顔料を含む意匠層3、及び樹脂層2を順に有しており、該意匠層3の樹脂層2とは反対側の面に凹凸形状5を有しており、該樹脂層2がアクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物からなるものである。また、樹脂層2は、2層以上の複層構成であることが好ましく、図8に示される水圧転写フィルムDは、樹脂層2a及び2bの2層の樹脂層2を有している。
水圧転写フィルムDの水溶性フィルム1は、水圧転写フィルムAと同様のものが好ましく挙げられる。
水圧転写フィルムDの意匠層3は、光輝性を発現し、水溶性フィルム1と樹脂層2との間に設けられる層であり、好ましくはバインダー樹脂と光輝性顔料を含む光輝性インキにより形成される層である。意匠層3を形成する光輝性インキは、上記の水圧転写フィルムCの意匠層3を形成する光輝性インキと同様のものが好ましく挙げられる。また、意匠層3の模様、厚さも、上記の水圧転写フィルムCの意匠層3と同様である。
水圧転写フィルムDの樹脂層2は、意匠層3の上に設けられ、該意匠層3の側とは反対側の面に凹凸形状5を有し、かつアクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物からなる層である。このような構成の樹脂層2を設けることにより、水圧転写フィルムの製造時に凹凸形状が良好に賦型しうる賦型性が得られ、また水圧転写時に意匠層3が伸展しすぎるのを抑制し、凹凸形状5に対応する凹凸感発現部を形成して凹凸感を保持することで、光輝性と高級感とを備える意匠性が得られる。
本発明において、樹脂層2は、樹脂成形品に転写された後の意匠層3の裏面側に位置する層となり、該意匠層3が樹脂層2を通して視認されることがない。よって、透明、半透明や不透明、あるいは着色の有無は問わず、所望の意匠に応じて選択することができる。また、樹脂層2は単層構成でもよく、二層以上の複層構成であってもよい。
水圧転写フィルムDにおいて、凹凸形状5は、少なくとも樹脂層2の意匠層3の側とは反対側の面に存在する。水圧転写フィルムDは、凹凸形状5を有し、かつ水圧転写時に該凹凸形状5に対応する凹凸感発現部を形成して凹凸感を保持することで、光輝性に加えて高級感を発現しうる。凹凸形状5は、図7に示されるように、凹部が樹脂層2内に留まるものであってもよいし、意匠層3、さらには水溶性フィルム1にまで至るものであってもよい。また、図8に示されるように、樹脂層2が二層以上の複層構成である場合、凹部は樹脂層2b内に留まるものであってもよいし、樹脂層2a、意匠層3、さらには水溶性フィルム1にまで至るものであってもよい。優れた賦型性や意匠性を得る観点から、凹凸形状5は意匠層3及び水溶性フィルム1まで至るものであることが好ましい。
凹凸形状5の深さとしては、優れた賦型性や意匠性を得る観点から、水圧転写フィルムDの全厚さに対して5〜80%が好ましく、より好ましくは10〜70%であり、さらに好ましくは20〜60%である。ここで、凹凸形状5の深さは、凹凸形状5の凹部の深さのことであり、凹部の深さは、樹脂層2の意匠層3を設ける側とは反対側の面を略直線とみたときの、該直線からの深さの最大値とする。
凹凸形状の周期幅(ピッチ)、幅、及び凹凸形状の模様は、上記の水圧転写フィルムCのものと同様であり、またエンボス加工により好適に設けることができることも同様である。
樹脂層2において用いられるアクリルポリマーポリオール、及びその他添加される成分については、水圧転写フィルムCと同様である。
樹脂層2は、2層以上の複層構成であることが好ましい。複層構成とすることで、賦型性や意匠性をさらに向上させることができる。賦型性や意匠性に加え、転写加工性(追従性)を考慮すると、2〜4層であることが好ましく、2〜3層であることがより好ましく、特に好ましくは2層である。また、水圧転写時の活性剤の塗布の時間を確保し、活性剤の樹脂層2や意匠層3への浸透の度合いを調整しやすく、より好適に被転写体に転写することができる。
樹脂層2が複層構成の場合、最表面の樹脂層2は、アルキッド樹脂とニトロセルロース樹脂とを含む樹脂組成物により形成されており、最表面以外の樹脂層2はアクリルポリオール樹脂を含む樹脂組成物及び/又はその硬化物からなるものであることが好ましい。最表面の樹脂層2と、最表面以外の樹脂層2との組み合わせによる相乗効果により、優れた賦型性や意匠性、及び転写加工性(追従性)が得られる。
樹脂層2の厚さとしては、0.5〜10μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましく、0.5〜2.5μmがさらに好ましい。この樹脂層2の厚さは、樹脂層2が複層構成の場合は、一層の樹脂層2の厚さである。樹脂層2の厚さが上記範囲内であれば、優れた賦型性や意匠性が得られるとともに、優れた転写加工性(追従性)も得られる。また、水圧転写時の活性剤の塗布の時間を確保し、より好適に被転写体に転写することができる。
水圧転写フィルムDは、例えば、工程(A)水溶性フィルム1上に、光輝性顔料を含む意匠層3を積層する工程、工程(B)該意匠層3上に、アクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物からなる樹脂層2を積層する工程、及び工程(C)該樹脂層2の該意匠層3の側とは反対側の面からエンボス加工を施し、少なくとも該樹脂層2の該反対側の面に凹凸形状5を設ける工程により製造することができる。
工程(A)において、意匠層3は、バインダー樹脂と光輝性顔料とを含有する光輝性インキを用い、公知の塗布方法又は印刷方法により形成することが好ましい。
公知の塗布方法としては、グラビアコート、リバースコートなどが挙げられ、公知の印刷方法としては、グラビア印刷などが挙げられる。
工程(B)において、樹脂層2は、上記の意匠層3の形成方法で例示した公知の塗布方法又は印刷方法のほか、意匠層3を設けた水溶性フィルム1との共押出法、あるいは樹脂フィルムを意匠層3を設けた水溶性フィルム1の該意匠層3側にラミネートすることにより意匠層3の上に積層される。これらのうち、公知の塗布方法又は印刷方法によることが好ましい。
凹凸形状を形成する工程(C)において施されるエンボス加工は、上記の水圧転写フィルムCのエンボス加工と同様である。
〔加飾成形品の製造方法〕
本発明の加飾成形品の製造方法は、工程(a)水溶性フィルム上に意匠層を少なくとも有する水圧転写フィルムを、該水溶性フィルム側が水面に向くように水面に浮遊させる前又は後に、該意匠層側からブチルカルビトールアセテートを70質量%以上含む活性剤組成物を塗布する活性剤組成物塗布工程、工程(b)該工程(a)を経た水圧転写フィルム上に被転写体を押圧し、水圧によって該意匠層側の面と被転写体の被転写面とを密着させる工程、及び工程(c)該被転写体の被転写面に密着した水溶性フィルムを除去する脱膜工程を順に有することを特徴とするものである。また、必要に応じて工程(d)被転写体の被転写面上にトップコート層を形成する工程を有してもよい。
活性剤塗布工程(a)は、水圧転写フィルムを水面に浮遊させる前又は後に、意匠層側からブチルカルビトールアセテートを70質量%以上含む活性剤組成物を塗布する工程である。この工程で、意匠層あるいは樹脂層に活性剤を塗布することにより、これらの層の表面が荒れ、被転写体と密着しやすくなる。本発明の加飾成形品の製造方法において、ブチルカルビトールアセテートを70質量%以上含む活性剤組成物としては、上記の本発明の活性剤組成物を好ましく用いることができる。
水圧転写フィルムは、水溶性フィルム側が水面側に向くように水面上に浮遊させる。水圧転写フィルムを水面に浮遊させるには、枚葉の印刷物を1枚ずつ浮遊させてもよく、また水を一方向に流し、その水面上に連続帯状の水圧転写フィルムを、連続的に供給して浮遊させてもよい。
水圧転写フィルムとしては、水溶性フィルム上に意匠層を少なくとも有する水圧転写フィルムであれば特に制限はなく、種々の水圧転写フィルムを用いることができるが、上記の水圧転写フィルムA〜Dを用いることが好ましい。本発明の活性剤組成物による効果が顕著になる、すなわち、アクリルポリマーポリオールという比較的硬い樹脂を用いる層を有する水圧転写フィルムであっても、転写フィルムの優れた付きまわり性が得られるという効果が顕著になるからである。
活性剤組成物の塗布は、スプレーコート法などにより行えばよく、その塗布量は通常1〜50g/m2であり、好ましくは3〜30g/m2であり、さらに好ましくは10〜20g/m2である。
工程(b)は、工程(a)を経た水圧転写フィルム上に被転写体を押圧し、水圧によって意匠層及び樹脂層を被転写体の被転写面に密着させる工程である。
水圧転写フィルムを浮かべ水圧を印加するための水は、水溶性フィルムの種類などに応じ、適宣水温を調整するのがよく、好ましくは25〜50℃程度、より好ましくは25〜35℃である。
また、本発明の水圧転写フィルムと被転写体との転写時間は、20〜180秒程度が好ましく、より好ましくは30〜120秒程度である。ここで、転写時間とは、本発明の転写フィルムを水に浮遊させてから、被転写体への転写が完了するまでの時間のことである。
被転写体としては、例えば、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、ポリカーボネート樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、繊維系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂、あるいはこれらを混合した樹脂のほか、鉄、アルミニウム、銅などの金属、陶磁器、ガラス、琺瑯などのセラミックス、木材などの材料からなる構造体を使用することができる。
被転写面の形状は、平面形状である二次元形状であってもよいし、凹凸形状や曲面形状などの三次元形状であってもよい。これらの中で、通常、樹脂製構造体が多用される。この樹脂製構造体は、成形時において離型剤が付着するとともに、ゴミや脂分なども付着することがあり、水圧転写フィルムの意匠層及び樹脂層を密着性よく転写させるために、予め脱脂液により被転写面を清浄化しておくことが好ましい。
工程(b)において、意匠層側から塗布した活性剤組成物は被転写体と接し、該被転写体の表面を溶解させることで、本発明の転写フィルムと被転写体との密着性は良好なものとなる。
(脱膜工程(c))
脱膜工程(c)は、被転写体の被転写面に密着した水溶性フィルムを除去する工程である。
水溶性フィルムの除去は、例えば、水を用いてシャワー洗浄することで行うことができる。この工程(c)により、被転写面に付着している水溶性フィルムは除去される。なお、シャワー洗浄の条件は、水溶性フィルムを形成する材料などにより異なるが、通常は水温15〜60℃程度、洗浄時間10秒〜5分程度が好ましい。そして、工程(c)の後、被転写体を十分乾燥し水分を蒸発させれば、被転写体の被転写面に転写された意匠層と樹脂層とによって、所望の意匠が付与された樹脂成形品が得られる。
(工程(d))
本発明の加飾成形品の製造方法は、工程(c)の後、さらに所望により、転写された意匠層や樹脂層の上に、トップコート層を形成する工程(d)を有することができる。
工程(d)において、前記工程(c)にて被転写体の被転写面に転写された意匠層や樹脂層に対し、表面強度向上、表面保護、表面艶調整などのために、必要に応じてトップコート剤を塗布して、トップコート層を形成することができる。トップコート剤としては、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂など、具体的にはウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂などを含む樹脂組成物が好ましく挙げられる。
トップコート層は、これらの樹脂組成物を塗装し、硬化させて形成することができる。塗装方法としては、スプレー塗装、静電塗装、刷毛塗り、浸漬塗装など公知の方法を用いることができる。また、硬化させる方法としては、使用する樹脂組成物により適宜選定すればよく、熱可塑性樹脂を用いる場合は数日間養生すればよく、熱硬化性樹脂を用いる場合は熱処理を行えばよく、紫外線硬化性樹脂を用いる場合は適切な紫外線を照射して行えばよい。
水圧転写フィルムC及びDを用いた加飾成形品を例にとって、本発明で得られる加飾成形品を説明する。
図9は、本発明の加飾成形品の製造方法により得られる加飾成形品の構成の一例を示す概略断面図であり、水圧転写フィルムCを用いた際の加飾成形品を示すものである。本発明の加飾成形品の製造方法により得られる加飾成形品20は、被転写体21、意匠層3、及び樹脂層2を順に有している。そして、意匠層3の凹凸形状5に対応する凹凸感発現部23を有することで、凹凸感が保持されており、これにより加飾成形品は光輝性と高級感とを備える意匠性を有するものとなっている。また、加飾成形品には、必要に応じてトップコート層22を設けることもできる。
また、図10は本発明の加飾成形品の製造方法により得られる加飾成形品の構成の一例を示す概略断面図であり、水圧転写フィルムDを用いた際の加飾成形品を示すものである。本発明の加飾成形品の製造方法により得られる加飾成形品20は、被転写体21、樹脂層2、及び意匠層3を順に有しており、樹脂層2の凹凸形状5に対応する凹凸感発現部23を有することで、凹凸感が保持されており、これにより加飾成形品は優れた光輝性と高級感とを備える意匠性を有するものとなっている。また、加飾成形品には、必要に応じてトップコート層22を設けることもできる。
これらの図9及び10で示す加飾成形品における、凹凸形状に対応する凹凸感発現部は、水圧転写の際に、本発明の水圧転写フィルムが若干伸展することにより、凹凸形状が全体的に緩やかな形状となり形成されるものであり、視覚的に凹凸感を保持するものである。本発明の水圧転写フィルムは、水圧転写の際に適度に伸展し、凹凸感発現部を形成することで、凹凸感を保持することとなり、優れた転写加工性(追従性)とともに、優れた意匠性をも得られる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
〔付きまわり性の評価〕
実施例及び比較例で得られた加飾成形品について、その付きまわり性を、下記の基準で評価した。結果を第1表に示す。
○ :被転写体に対して絵柄を極めて良好に転写することができ、優れた意匠を有する加飾成形品が得られた。
△ :被転写体に対して絵柄を転写することができ、実用上問題ない程度に良好な意匠を有する加飾成形品が得られた。
× :被転写体に対して絵柄を転写できたものの、転写の際の伸びが不十分であることに起因して、加飾成形品の端部にしわが入った。
実施例1
(水圧転写フィルムの作製)
水溶性フィルムとして、PVAフィルム(厚さ40μm)を用い、その片面の一部に、後述の木目柄の導管部と同調するパターンの厚さ1μmの低艶部分をグラビア印刷により形成した。低艶部分の形成には、バインダー樹脂である硝化綿とアルキッド樹脂との混合樹脂(硝化綿とアルキッド樹脂との質量比5:2)と、艶消し剤であるシリカ(体積平均粒径:5μm)とを質量比1:1で含むインキを使用した。次に、低艶部分上に、アクリルポリマーポリオール(重量平均分子量:30,000、水酸基価:80mgKOH/g)及びウレタンウレア樹脂(ガラス転移温度:40℃)の質量比80:20の混合樹脂を含む樹脂組成物を含むインキを塗布し、厚さ2μmの高艶部分を形成して、樹脂層を形成した。
次に、上記低艶部分の木目柄の導管部と同調するように、木目模様の意匠層をグラビア印刷により形成し、水圧転写フィルムを得た。意匠層は、バインダー樹脂として、硝化綿とアルキッド樹脂との混合樹脂(硝化綿とアルキッドの質量比5:2)を使用し、着色剤に弁柄及びカーボンブラックを所定の配合比率で使用した着色インキを用いた。
(加飾成形品の製造)
上述のようにして得た水圧転写フィルムの意匠層表面に、ブチルカルビトールアセテート100質量%の活性剤組成物を10g/m2塗布し、2分30秒静置した後、水溶性フィルム側が水面側を向くようにして2分間水面に浮遊させた後、水圧転写フィルム上に被転写体(直径35mm、長さ250mmの円柱形状の部材を被転写体として使用)を押圧し、水圧によって低艶部分及び高艶部分からなる樹脂層、及び意匠層を被転写体の被転写面に密着させる転写工程を経て、該被転写体の被転写面上より水溶性フィルムを除去する脱膜工程を行った。このようにして得られた加飾成形品は、最表面に低艶部分と高艶部分からなる意匠層が露出したものとなった。
実施例2〜6
実施例1において、活性剤組成物として第1表の組成のものを用いた以外は、実施例1と同様にして水圧転写フィルム及び加飾成形品を得た。得られた加飾成形品の付きまわり性の評価結果を第1表に示す。
比較例1
実施例1において、活性剤組成物として下記の組成のものを用いた以外は、実施例1と同様にして水圧転写フィルム及び加飾成形品を得た。得られた加飾成形品の付きまわり性の評価結果を第1表に示す。
(活性剤組成物の組成)
ブチルカルビトールアセテート 60質量部
ブチルセロソルブ 15質量部
フタル酸系アルキッド樹脂 6質量部
マイクロシリカ(体質顔料) 2質量部
フタル酸ジブチル 17質量部
比較例2〜9
実施例1において、活性剤組成物として第1表の組成のものを用いた以外は、実施例1と同様にして水圧転写フィルム及び加飾成形品を得た。得られた加飾成形品の付きまわり性の評価結果を第1表に示す。
*1,イソブタノール100質量%の活性剤組成物を使用した。
*2,イソブチルケトン100質量%の活性剤組成物を使用した。
*3,イソブタノール100質量%の活性剤組成物を使用した。
*4,エチルエトキシプロピオネート100質量%の活性剤組成物を使用した。
*5,ジブチルエーテル100質量%の活性剤組成物を使用した。
本発明の水圧転写フィルム用活性剤組成物は、様々な水圧転写フィルムに対応し、かつ該転写フィルムの優れた付きまわり性が得られ、優れた意匠を有する加飾成形品を提供することができる。得られた加飾成形品は、自動車内装材をはじめとし、建材、家電製品、OA機器などの各種部材に好適に利用することができる。
A 水圧転写フィルムA
B 水圧転写フィルムB
C 水圧転写フィルムC
D 水圧転写フィルムD
1 水溶性フィルム
2 樹脂層
2a 低艶部分
2b 高艶部分
3 意匠層
4 プライマー層
5 凹凸形状
20 加飾成形品
21 被転写体
22 トップコート層
23 凹凸感発現部

Claims (11)

  1. ブチルカルビトールアセテートを70質量%以上含み、さらにイソホロンを含む水圧転写フィルム用活性剤組成物。
  2. ブチルカルビトールアセテートの含有量が75〜95質量%である請求項1に記載の活性剤組成物。
  3. 前記水圧転写フィルムが水溶性フィルム上に、アクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物からなる樹脂層、並びに意匠層を少なくとも有するものである請求項1又は2に記載の活性剤組成物。
  4. 前記水圧転写フィルムの樹脂層が低艶部分と高艶部分とを有し、該低艶部分と高艶部分が樹脂層の水溶性フィルム側の端面内に少なくとも存在し、該高艶部分がアクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物からなるものである請求項3に記載の活性剤組成物。
  5. 前記水圧転写フィルムが水溶性フィルム上に意匠層と樹脂層とを順に有しており、該樹脂層がアクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物からなるものである請求項3に記載の活性剤組成物。
  6. 前記意匠層が光輝性顔料を含む層である請求項5に記載の活性剤組成物。
  7. 前記水圧転写フィルムが水溶性フィルム上に樹脂層と光輝性顔料を含む意匠層とを順に有しており、少なくとも該意匠層の樹脂層の側とは反対側の面に凹凸形状を有し、該樹脂層がアクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物からなるものである請求項3に記載の活性剤組成物。
  8. 前記水圧転写フィルムが水溶性フィルム上に光輝性顔料を含む意匠層と樹脂層とを順に有しており、少なくとも該樹脂層の意匠層の側とは反対側の面に凹凸形状を有し、該樹脂層がアクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物からなるものである請求項3に記載の活性剤組成物。
  9. 下記の工程(a)〜(c)を順に有する加飾成形品の製造方法。
    工程(a)水溶性フィルム上に意匠層を少なくとも有する水圧転写フィルムを、該水溶性フィルム側が水面に向くように水面に浮遊させる前又は後に、該意匠層側からブチルカルビトールアセテートを70質量%以上含み、さらにイソホロンを含む活性剤組成物を塗布する活性剤組成物塗布工程
    工程(b)該工程(a)を経た水圧転写フィルム上に被転写体を押圧し、水圧によって該意匠層側の面と被転写体の被転写面とを密着させる工程
    工程(c)該被転写体の被転写面に密着した水溶性フィルムを除去する脱膜工程
  10. 前記水圧転写フィルムが、アクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物からなるものである樹脂層、並びに意匠層を少なくとも有するものである請求項に記載の加飾成形品の製造方法。
  11. 下記の工程(a)〜(c)を順に有する加飾成形品の製造方法。
    工程(a)水圧転写フィルムが、水溶性フィルム上にアクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物からなる樹脂層、並びに意匠層を少なくとも有するものであり、該樹脂層が低艶部分と高艶部分とを有し、該低艶部分と高艶部分が樹脂層の水溶性フィルム側の端面内に少なくとも存在し、該高艶部分がアクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物からなるものであり、
    該水圧転写フィルムを、該水溶性フィルム側が水面に向くように水面に浮遊させる前又は後に、該意匠層側からブチルカルビトールアセテートを70質量%以上含む活性剤組成物を塗布する活性剤組成物塗布工程
    工程(b)該工程(a)を経た水圧転写フィルム上に被転写体を押圧し、水圧によって該意匠層側の面と被転写体の被転写面とを密着させる工程
    工程(c)該被転写体の被転写面に密着した水溶性フィルムを除去する脱膜工程
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