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JP6218031B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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JP6218031B2
JP6218031B2 JP2013258951A JP2013258951A JP6218031B2 JP 6218031 B2 JP6218031 B2 JP 6218031B2 JP 2013258951 A JP2013258951 A JP 2013258951A JP 2013258951 A JP2013258951 A JP 2013258951A JP 6218031 B2 JP6218031 B2 JP 6218031B2
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Description

本発明は、吸収による厚み方向の液透過性の低下を防止する吸収性物品に関する。
吸収性物品に内蔵される吸収体は、高吸収性ポリマーの利用により飛躍的な吸収量の増加が図られて今日に至っている。このような吸収体としては、パルプ繊維等の繊維集合体内に高吸収性ポリマー粒子を分散混入してなるものや、繊維集合体の繊維に高吸収性ポリマーを付着してなるもの、あるいは表層、中層、裏層等として高吸収性ポリマー粒子層を設けたもの等が知られている。
高吸収性ポリマーを含有する吸収体の一つの問題点として、ゲルブロッキングが知られている。ゲルブロッキングは、排泄液の吸収によりゲル化し膨張した高吸収性ポリマー同士が密着して通液間隙が減少し、厚み方向や平面方向の液透過性が低下する現象である。特に、ゲルブロッキングは一度の排泄量が多い場合や2度目以降の排泄時に発生し易く、吸収速度の低下や吸収阻害による漏れをもたらすという問題点がある。しかも、吸収量を増加させようとすると、ゲルブロッキングが発生し易くなる点も問題である。
また、ゲルブロッキングの影響が特に顕著となる構造の吸収性物品も存在している。具体的には、アウター使い捨ておむつの表面に敷いて尿吸収のために使用する尿とりパッド(パッドタイプ使い捨ておむつ)である。このような吸収パッドは少量排泄時におむつ全体を交換せずに済む利点がある。しかし、尿量が多い場合等、吸収パッドから横漏れすることもあり、その場合には、アウター使い捨ておむつも交換する必要があるため、本末転倒な結果となるだけでなく、下着等の衣類の交換も必要になる。
このような漏れを防止するために、吸収パッドの裏面を液透過性とし、排尿量が多いときには、吸収パッドの裏からアウター使い捨ておむつへ尿を積極的に逃がす方式も提案されている(特許文献1、2参照)。しかし、ゲルブロッキングが発生すれば、吸収パッドの裏からアウター使い捨ておむつへ尿を逃がすことができず、漏れを発生させるおそれがある。
特開2010−131087号公報 特開2011−019562号公報
そこで本発明の主たる課題は、吸収による厚み方向の液透過性の低下を防止することにある。
上記課題を解決した本発明は以下のとおりである。
<請求項1記載の発明>
吸収に伴い膨張する吸収体を備えた吸収性物品において、
前記吸収体は、第1の吸収部分と、第2の吸収部分と、第1の吸収部分の端部及び第2の吸収部分の端部が厚み方向に重なる重なり部分とを備え、
前記重なり部分における、前記第1の吸収部分及び第2の吸収部分の少なくとも一方に、相対的に膨張量が大きい大膨張部分と膨張量が小さい小膨張部分とを有しており、
吸収時、前記重なり部分では、前記膨張量の差により第1の吸収部分及び第2の吸収部分が部分的に離間して、第1の吸収部分及び第2の吸収部分の間に、厚み方向と交差する方向に貫通する隙間が形成されるように構成された、
ことを特徴とする吸収性物品。
(作用効果)
本発明の吸収性物品では、吸収時に吸収体の膨張を利用して隙間が形成され、この隙間がゲルブロッキングの有無に関係なく維持されるため、吸収による厚み方向の液透過性の低下は防止されるようになる。
<請求項2記載の発明>
前記第1の吸収部分は前記吸収体の前側に位置し、前記第2の吸収部分は前記吸収体の後側に位置し、前記重なり部分は股間部を含む部位に位置しており、
前記重なり部分では、前記第1の吸収部分及び第2の吸収部分のうち裏側に位置する吸収部分は、幅方向両側に位置する裏側支持部を有し、かつ表側に位置する吸収部分は、前記裏側支持部上に位置する表側支持部を有しており、
前記重なり部分では、前記第1の吸収部分及び第2の吸収部分のうち、前記裏側支持部及び前記表側支持部の少なくとも一方が大膨張部分とされ、それ以外の部分が小膨張部分とされている、
請求項1記載の吸収性物品。
(作用効果)
ゲルブロッキングが特に問題となるのは股間部であるため、隙間が形成される重なり部分が上述のように股間部を含む部位に位置することが望ましい。
<請求項3記載の発明>
前記第1の吸収部分及び第2の吸収部分のうち裏側に位置する吸収部分は、前記隙間の形成部位に、厚み方向に貫通する貫通部が形成されている、請求項1又は2記載の吸収性物品。
(作用効果)
前述のように重なり部分を利用して隙間を形成する場合、裏側に位置する吸収部分における隙間形成部位に貫通部を形成すると、厚み方向の液透過性をより高めることができる。
<請求項4記載の発明>
吸収に伴い膨張する吸収体を備えた吸収性物品において、
前記吸収体は、厚み方向と直交する方向に第1の吸収部分及び第2の吸収部分が並設されており、
前記第1の吸収部分及び第2の吸収部分の対向部分の少なくとも一方に、相対的に膨張量が大きい大膨張部分と膨張量が小さい小膨張部分とを有しており、
吸収時、前記膨張量の差により第1の吸収部分及び第2の吸収部分が部分的に離間して、第1の吸収部分及び第2の吸収部分の間に、厚み方向に貫通する隙間が形成されるように構成された、
ことを特徴とする吸収性物品。
(作用効果)
本発明の吸収性物品では、吸収時に吸収体の膨張を利用して隙間が形成され、この隙間がゲルブロッキングの有無に関係なく維持されるため、吸収による厚み方向の液透過性の低下は防止されるようになる。また、この形態は、前述の重なり部分を有する形態と比較して、第1の吸収部分及び第2の吸収部分の重なりを要しないため、重なり部分に起因する吸収体の厚み増を回避できる利点も有する。
<請求項5記載の発明>
前記第1の吸収部分及び第2の吸収部分は幅方向に並設されており、
前記第1の吸収部分及び第2の吸収部分の対向部分の少なくとも一方に、前後方向に間隔を空けて大膨張部分が設けられ、それらの間の部分が小膨張部分とされている、
請求項4記載の吸収性物品。
(作用効果)
第1の吸収部分及び第2の吸収部分の並設方向及び膨張量の多い部位は適宜定めることができるが、上述のように構成されていると、両吸収部分の離間を妨げる力が弱く、隙間が形成され易いという利点がある。
<請求項6記載の発明>
前記第1の吸収部分及び第2の吸収部分は前後方向に並設されており、
前記第1の吸収部分及び第2の吸収部分の対向部分の少なくとも一方に、幅方向に間隔を空けて大膨張部分が設けられ、それらの間の部分が小膨張部分とされている、
請求項4記載の吸収性物品。
(作用効果)
第1の吸収部分及び第2の吸収部分の並設方向及び膨張量の多い部位は適宜定めることができるが、上述のように構成されていると、両足間に挟まれることで受ける圧力により隙間が潰れ難いという利点がある。
<請求項7記載の発明>
前記吸収体の表側を覆う液透過性トップシート、及び前記吸収体の裏側を覆う液透過性バックシートを有し、前記トップシートを通して受け入れた液体を前記バックシートを通して裏側に排出可能である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
前述したように、トップシートを通して受け入れた液体をバックシートを通して裏側に排出するタイプの吸収性物品では、ゲルブロッキングが発生すると裏側への排出が困難となり、本末転倒な結果となる。よって、本発明はこのような裏面排出タイプの吸収性物品への適用が特に好適である。
以上のとおり、本発明によれば、吸収による厚み方向の液透過性の低下が防止される、等の利点がもたらされる。
吸収パッドの展開状態の内面側を示す平面図である。 吸収パッドの展開状態の外面側を示す平面図である。 図1のY−Y断面図である。 図1のZ−Z断面図である。 吸収体を概略的に示す(a)分解斜視図、(b)変形前の斜視図、(c)変形後の斜視図である。 吸収体を概略的に示す(a)分解斜視図、(b)変形前の斜視図、(c)変形後の斜視図である。 吸収体を概略的に示す(a)分解斜視図、(b)変形前の斜視図、(c)変形後の斜視図である。 吸収体を概略的に示す(a)分解斜視図、(b)変形前の斜視図、(c)変形後の斜視図である。 吸収体を概略的に示す(a)分解斜視図、(b)変形前の斜視図、(c)変形後の斜視図である。 吸収体を概略的に示す(a)分解斜視図、(b)変形前の斜視図、(c)変形後の斜視図である。 テープタイプ使い捨ておむつの展開状態の内面側を示す平面図である。 テープタイプ使い捨ておむつの展開状態の外面側を示す平面図である。 図11のiii-iii断面図である。 図11のiv-iv断面図である。 図1のv−v断面図である。 図1のii-ii断面図である。
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。なお、ホットメルト接着剤による接着箇所のうち説明上必要と認めた箇所については、平面図中には斜線模様を、また断面図中には点模様をそれぞれ付している。
<吸収パッドの例>
図1〜4は、吸収パッドの一例50を示している。この吸収パッド50は、後述する使い捨ておむつ1等のアウター使い捨ておむつの内面に敷いて使用されることを想定したものであり、股間部C2と、その前後両側に延在する腹側部分F2及び背側部分B2とを有するものである。なお、吸収パッドにおける「股間部」とは使用時に身体の股間と対応させる部分を意味し、殆ど多くの製品では前後方向中央部及びその前後近傍の部分である。具体的には、成人向け製品の場合、製品の前後方向中央を基準として前側に220mm、後側に30mmの範囲である。また、「腹側部分」及び「前側部分」は股間部よりも前側の部分を意味し、「背側部分」及び「後側部分」は股間部よりも後側の部分を意味する。
各部の寸法は適宜定めることができ、例えば、パッド全長L2(前後方向長さ)は450〜630mm程度、パッド全幅W2は135〜320mm程度(ただし、おむつの吸収面の幅より狭い)とすることができ、この場合における股間部C2の前後方向長さは150〜180mm程度、腹側部分F2の前後方向長さは120〜200mm程度、及び背側部分B2の前後方向長さは180〜280mm程度とすることができる。
吸収パッド50は、液不透過性バックシート51と、透液性トップシート52との間に、吸収体60が介在された基本構造を有している。
(バックシート)
吸収体60の裏側には、バックシート51が吸収体60の周縁より若干食み出すように設けられている。本吸収パッド50を吸収液が裏側に排出しないものとする場合には、バックシート51としては、ポリエチレンフィルムや、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシート等の液透過性シートを用いる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。この場合、バックシート51の裏面は、不織布からなる外装シートにより覆うことができる。
一方、本吸収パッド50を吸収液が裏側に排出するものとする場合には、バックシート51として、後述の液透過性トップシート52と同様の液透過性シートを用いる他、液不透過性シートの一部又は全部に切れ込みや貫通孔が形成されて液透過性とされたシートを用いることもできる。
(ズレ止め)
吸収パッド50の裏面には、使い捨ておむつの表面に連結するためのズレ止め部が設けられていないが、設けることもできる。このようなズレ止め部は、面ファスナーのフック材や粘着剤により形成することができる。
(トップシート)
吸収体60の表面側は、透液性トップシート52により覆われている。図示形態ではトップシート52の側縁から吸収体60が一部食み出しているが、吸収体60の側縁が食み出さないようにトップシート52の幅を広げることもできる。トップシート52としては、有孔または無孔の不織布や穴あきプラスチックシートなどが用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。
(脚周り立体ギャザー)
吸収パッド50の前後方向両端部では、液不透過性バックシート51および透液性トップシート52が吸収体60の前後端よりも前後両側にそれぞれ延在されて貼り合わされ、吸収体60の存在しないエンドフラップ部EFが形成されている。吸収パッド50の両側部では、液不透過性バックシート51が吸収体60の側縁よりも外側にそれぞれ延在され、この延在部からトップシート52の側部までの部分の内面には、脚周り立体ギャザーを形成するためのギャザーシート54の幅方向外側の付根部分54xが前後方向全体にわたり貼り付けられ、吸収体60の存在しないサイドフラップ部SFを構成している。これら貼り合わせ部分は、図3及び図4では点模様で示されており、ホットメルト接着剤の他、ヒートシール、超音波シールにより形成できる。
脚周り立体ギャザーシート54の素材としては、メルトブローン不織布等の各種不織布に撥水処理をしたものが好適に使用される。
ギャザーシート54の幅方向中央側の突出部分54cはトップシート52上にまで延在しており、その前後端部が倒伏状態でトップシート52に固定された倒伏部分54eとされ、この倒伏部分54eの前後方向中間部はトップシートに非固定の自由部分54fとされ、自由部分の幅方向中央側の端部には、細長状弾性部材54Gが前後方向に沿って伸張状態でホットメルト接着剤等により固定されている。この自由部分54fは、図4に二点鎖線で示されるように、細長状弾性部材54Gの収縮力により、物品内面(図示形態ではトップシート52表面)に対して起立する部分であり、その起立基端54bは脚周り立体ギャザーシート54の付根部分54xと突出部分54cとの境に位置する。細長状弾性部材54Gとしては、糸状、紐状、帯状等に形成された、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。
(平面ギャザー)
また、両側のサイドフラップ部SFにおける、脚周り立体ギャザーシート54の幅方向外側の部分54xと、液不透過性バックシート51との間には、細長状弾性部材57が前後方向に沿って伸張状態でホットメルト接着剤等により固定されており、この細長状弾性部材57の収縮によりサイドフラップ部SFにはいわゆる平面ギャザーが形成されている。この平面ギャザーにより、おむつの側部が弾性伸縮して脚周りにフィットするようになる。
(吸収体)
吸収体60としては、吸収に伴い膨張するものであり、部分的に膨張量に差を持たせることができる限り特に限定されないが、例えば、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、粒子状等の高吸収性ポリマーを混合、固着、積層等してなるものを用いることができる。必要に応じて、吸収体60はクレープ紙、液透過性不織布等からなる包装シート(図示せず)により包むことができる。また、吸収体60の形状は、股間部の幅が相対的に狭く括れた形状、あるいは長方形状、台形状等、適宜の形状とすることができる。
吸収体60における繊維目付け及び吸収性ポリマーの目付けは適宜定めることができるが、繊維目付けは150〜600g/m2程度とするのが好ましく、また吸収性ポリマーの目付けは50〜300g/m2程度とするのが好ましい。
(吸収体の第1の形態)
吸収体60は、図4及び図5に示すように、第1の吸収部分61と、第2の吸収部分62と、第1の吸収部分61の端部及び第2の吸収部分62の端部が厚み方向に重なる重なり部分63とを備えており、重なり部分63における、第1の吸収部分61及び第2の吸収部分62の少なくとも一方に、相対的に膨張量が大きい大膨張部分70と膨張量が小さい小膨張部分71とを有している。大膨張部分70は図5、図6中の点模様を付した部分であり、それ以外の部分が小膨張部分71である。尿等の吸収時には、重なり部分63では、膨張量の差により第1の吸収部分61及び第2の吸収部分62が部分的に離間して、第1の吸収部分61及び第2の吸収部分62の間に、厚み方向と交差する方向に貫通する隙間64が形成される。図示形態では、重なり部分63における裏側に位置する第2吸収部分に大膨張部分70があり、この大膨張部分70の盛り上がりにより表側に位置する第1吸収部分が全体的に持ち上がり、大膨張部分70の間の小膨張部分71と第1吸収部分との間に隙間64が形成されることになる。このように、吸収時に吸収体60の膨張を利用して隙間64が形成され、この隙間64がゲルブロッキングの有無に関係なく維持されるため、吸収による厚み方向の液透過性の低下は防止されるようになる。
大膨張部分70及び小膨張部分71の膨張量の差を生み出す手法は特に限定されず、吸収体60の素材構成により適宜設計すればよい。例えば、大膨張部分70及び小膨張部分71に吸水時体積膨張量の異なる高吸収性ポリマーを含有させたり、大膨張部分70及び小膨張部分71における高吸収性ポリマーの含有量に差を持たせたりすることができる。後者の場合、大膨張部分70の表面や裏面に高吸収性ポリマーを追加積層したり、小膨張部分71に高吸収性ポリマーを含有させない形態としたりすることもできる。また、小膨張部分71には無膨張の部分も含まれ、この無膨張の部分には、後述する貫通部のように端部の凹形状部分や貫通孔等の空間部分も含まれる。
厚み方向の膨張量の差i(隙間の大きさに等しい)は特に限定されないが、通常の場合3〜20mm程度、特に5〜15mm程度有していると好ましい。
第1の吸収部分61及び第2の吸収部分62は別々に形成したものを重ねるだけとする他、膨張により重なり部分63が剥離して隙間64が形成される限り一体的に形成することもできる。また第1の吸収部分61及び第2の吸収部分62を別々に形成する場合、両方一緒に包装シートで包装する他、個別に包装シートで包装することもできる。
第1の吸収部分61及び第2の吸収部分62の位置関係は適宜定めることができる。図示形態では、第1の吸収部分61は吸収体60の前側に位置し、第2の吸収部分62は吸収体60の後側に位置し、重なり部分63は股間部C2を含む部位に位置している。ゲルブロッキングが特に問題となるのは股間部C2であるため、隙間64が形成される重なり部分63がこのように股間部C2を含む部位に位置することが望ましい。
図示形態では、重なり部分63における裏側に位置する第2の吸収部分62に大膨張部分70及び小膨張部分71を設け、第2の吸収部分62の残りの部分及び第1の吸収部分61は全て小膨張部分71として形成しているが、これに限定されない。図示しないが、上下逆にして、重なり部分63における表側に位置する第1の吸収部分61に大膨張部分70及び小膨張部分71を設け、第1の吸収部分61の残りの部分及び第2の吸収部分62は全て小膨張部分71として形成することもできるし、重なり部分63における第2の吸収部分62に大膨張部分70及び小膨張部分71を設けるとともに、これら大膨張部分70及び小膨張部分71と対向するように、第1の吸収部分61にも大膨張部分70及び小膨張部分71を設けることもできる。
大膨張部分70の数及び配置は隙間64が形成される限り特に限定なく定めることができる。大膨張部分70を複数設けてその間の部分を隙間64形成部位とすることが望ましいが、図6に示すように大膨張部分70を一つのみ設け、その方側又は両側に小膨張部分71を設けることもできる。図5に示す吸収体は一つの好ましい例であり、重なり部分63では、第1の吸収部分61及び第2の吸収部分62のうち裏側に位置する吸収部分は、幅方向両側に位置する裏側支持部を有し、かつ表側に位置する吸収部分は、裏側支持部上に位置する表側支持部を有し、第1の吸収部分61及び第2の吸収部分62のうち、裏側支持部及び表側支持部の少なくとも一方(図示例は裏側支持部のみ)が大膨張部分70とされ、それ以外の部分は全て小膨張部分71とされているものである。
重なり部分63の対向面における大膨張部分70及び小膨張部分71の面積70s,71s(複数ある場合は個々の面積)は適宜定めることができるが、大膨張部分70は面積70sが小さいほど隙間64が潰れ易くなるため、重なり部分63のうち大膨張部分70の占める割合は1/4〜3/4、特に1/3〜2/3程度とすることが望ましい。また、重なり部分63の対向面における大膨張部分70及び小膨張部分71の平面形状は図示形態のような矩形とする他、矩形以外の多角形、円形等、任意の形状とすることができる。
重なり部分63を利用して隙間64を形成する場合、厚み方向の力が加わると隙間64が潰れ易いため、裏側に位置する第2の吸収部分における隙間64形成部位に貫通部65を形成すると、隙間64に入った液体が貫通部65を介して裏側に抜けることができるため、厚み方向の液透過性をより高めることができる。貫通部65は適宜の形状とすることができ、多数の貫通孔を配列しても良いが、図5及び図6に示すように、裏側に位置する第2の吸収部分62の端部を平面視で凹形状とし、裏側支持部間の部分全体を貫通部65とすると、隙間64の入り口は狭いがそのすぐ後ろは貫通部65により裏側に筒抜けとなり、厚み方向の液透過性はより一層向上する。
(吸収体の第2の形態)
前述の形態は重なり部分63を設けておいて膨張量の差iにより隙間64を形成するものであるが、重なり部分63が局所的に厚くなることや、厚み方向の圧力により隙間64が潰れるおそれがあることには改善の余地がある。そこで、以下に述べる第2の形態も提案される。
すなわち第2の形態の吸収体60は、図7に示すように、厚み方向と直交する方向に第1の吸収部分61及び第2の吸収部分62が並設されており、第1の吸収部分61及び第2の吸収部分62の対向部分の少なくとも一方に、相対的に膨張量が大きい大膨張部分70と膨張量が小さい小膨張部分71とを有している。大膨張部分70は図7〜10中の点模様を付した部分であり、それ以外の部分が小膨張部分71である。そして、尿等の吸収時には、膨張量の差iにより第1の吸収部分61及び第2の吸収部分62が部分的に離間して、第1の吸収部分61及び第2の吸収部分62の間に、厚み方向に貫通する隙間64が形成される。図示形態では、大膨張部分70の対向方向への張り出しにより一方の吸収部分が他方の吸収部分に対して側方に押し出され、大膨張部分70の間の小膨張部分71に隙間64が形成されることになる。このように、吸収時に吸収体60の膨張を利用して隙間64が形成され、この隙間64がゲルブロッキングの有無に関係なく維持されるため、吸収による厚み方向の液透過性の低下は防止されるようになるのは第1の形態と同様であり、特に本第2の形態では第1の吸収部分61及び第2の吸収部分62の重なりを要しないため、重なり部分63に起因する吸収体60の厚み増を回避できるといった利点や、厚み方向の圧力により隙間64が潰れ難いといった利点も有する。
大膨張部分70及び小膨張部分71の膨張量の差iを生み出す手法は特に限定されず、吸収体60の素材構成により適宜設計すればよい。例えば、大膨張部分70及び小膨張部分71に吸水時体積膨張量の異なる高吸収性ポリマーを含有させたり、大膨張部分70及び小膨張部分71における高吸収性ポリマーの含有量に差を持たせたりすることができる。後者の場合、大膨張部分70の表面や裏面に高吸収性ポリマーを追加積層したり、小膨張部分71に高吸収性ポリマーを含有させない形態としたりすることもできる。
大膨張部分70及び小膨張部分71の膨張量の差iを生み出す手法は特に限定されず、吸収体60の素材構成により適宜設計すればよい。例えば、大膨張部分70及び小膨張部分71に吸水時体積膨張量の異なる高吸収性ポリマーを含有させたり、大膨張部分70及び小膨張部分71における高吸収性ポリマーの含有量に差を持たせたりすることができる。後者の場合、大膨張部分70の対向面に高吸収性ポリマーを追加積層したり、小膨張部分71に高吸収性ポリマーを含有させない形態としたりすることもできる。また、小膨張部分71には、無膨張の部分も含まれ、この無膨張の部分には、後述する貫通部65のように端部の凹形状部分や貫通孔等の空間部分も含まれる。
並設方向の膨張量の差i(隙間64の大きさに等しい)は特に限定されないが、通常の場合3〜20mm程度、特に5〜15mm程度有していると好ましい。
第1の吸収部分61及び第2の吸収部分62は別々に形成したものを並べるだけとする他、膨張により部分的に剥離して隙間64が形成される限り一体的に形成することもできる。また第1の吸収部分61及び第2の吸収部分62を別々に形成する場合、図示形態のように両方一緒に包装シートで包装する他、個別に包装シートで包装することもできる。
第1の吸収部分61及び第2の吸収部分62の位置関係は適宜定めることができる。図7、図9に示す形態では、第1の吸収部分61及び第2の吸収部分62は幅方向に並設されており、第1の吸収部分61及び第2の吸収部分62の対向部分の少なくとも一方に、前後方向に間隔を空けて前後両側が大膨張部分70とされ、それらの間の部分が小膨張部分71とされている。このように配置されていると、両吸収部分の離間を妨げる力が弱く、隙間64が形成され易いという利点がある。また、図8、図10に示す形態では、第1の吸収部分61及び第2の吸収部分62は前後方向に並設されており、第1の吸収部分61及び第2の吸収部分62の対向部分の少なくとも一方に、幅方向に間隔を空けて幅方向両側が大膨張部分70とされ、それらの間の部分が小膨張部分71とされている。このように配置されていると、両足間に挟まれることで受ける圧力により隙間64が潰れ難いという利点がある。なお、いずれにせよ、ゲルブロッキングが特に問題となるのは股間部C2であるため、隙間64が形成される部位、つまり前後方向において大膨張部分70の間に位置する小膨張部分71は股間部C2を含む部位に位置することが望ましい。
図示形態では、対向部分における第1の吸収部分61及び第2の吸収部分62に対称的に大膨張部分70及び小膨張部分71を設けているが、これに限定されず、図10に示すようにいずれか一方の吸収部分の対向部分にのみ大膨張部分70を設け、残りの吸収部分は全て小膨張部分71として形成することもできる。また、図9に示すように、対向部分における小膨張部分71を、吸収部分の並設方向と直交する方向に複数設けることで、隙間64が複数形成される形態とすることもできる。
大膨張部分70の数及び配置は隙間64が形成される限り特に限定なく定めることができる。大膨張部分70を吸収部分の並設方向と直交する方向に複数設けてその間の部分を隙間64形成部位とすることが望ましいが、図10に示すように大膨張部分70を一つのみ設け、その方側又は両側に小膨張部分71を設けることもできる。
第1の吸収部分61及び第2の吸収部分62の対向面における大膨張部分70及び小膨張部分71の面積(複数ある場合は個々の面積)は適宜定めることができるが、大膨張部分70は面積が小さい程隙間64が潰れ易くなるため、図8及び図10に示す形態では、対向面における大膨張部分70の割合は1/4〜3/4、特に1/3〜2/3程度とすることが望ましく、図7及び図9に示す形態では、吸収時にできる隙間64(小膨張部分71)の前後方向長さの総和をaとし、大膨張部分70の長さをbとした場合、b≧aを満たすことが望ましく、aの長さは10〜50mm、特に20〜30mm程度とするのが望ましい。また、第1の吸収部分61及び第2の吸収部分62の対向面における大膨張部分70及び小膨張部分71の平面形状は図示形態のような矩形とする他、矩形以外の多角形、円形等、任意の形状とすることができる。
その他は、第1の形態と同様であるため敢えて説明を省略する。
<アウターの例>
図14に示すように、前述の吸収パッド 50は、テープタイプ若しくはパンツタイプの使い捨ておむつ、又は下履きやズボン等の衣類の内面に敷いて使用することができる。以下、図11〜図16に基づいてテープタイプ使い捨ておむつの一例について説明すると、この使い捨ておむつは、液不透過性バックシート1の内面と、透液性トップシート2との間に、吸収体3が介在されているものである。
(吸収体)
吸収体3としては、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。図示形態の吸収体3は一層構造とされているが、下層吸収体とその上に積層された上層吸収体とからなる二層構造であっても良い。また、必要に応じて、吸収体3はクレープ紙(図示せず)により包むことができる。また、吸収体3の形状は適宜定めることができるが、図示のような砂時計形状の他、長方形等のように、股間部の前側から後側まで延在する形状が好適である。吸収体3におけるパルプ目付けは100〜500g/m2程度、厚みは1〜15mm程度であるのが望ましい。また、高吸水性樹脂の目付けは0〜300g/m2程度であるのが望ましい。高吸水性樹脂含有率が少な過ぎると、十分な吸収能を与えることができず、多過ぎるとパルプ繊維間の絡み合いが無くなり、ヨレや割れ等が発生し易くなる。
(液不透過性バックシート)
液不透過性バックシート1は、吸収体3の周囲より外側に延在しており、吸収体3に吸収された排泄物の裏面側への移動を遮断するものである。バックシート1としては、ポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムの他、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシートも用いることができる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。バックシート1の単位面積あたりの重量は13〜40g/m2であるのが好ましく、厚みは0.01〜0.1mmであるのが好ましい。
おむつ外面を布のような外観、肌触りとするために、バックシート1の裏面全体は外装シート12で覆われており、両シート1,12の外周縁はおむつの外周縁まで及んでいる。外装シート12としては各種の不織布を用いることができるが、スパンボンド不織布が好適である。外装シート12は省略することもできる。
(トップシート)
トップシート2としては、有孔または無孔の不織布や穴あきプラスチックシートなどが用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。また、不織布の加工方法としては、スパンレース法、スパンボンド法、SMS法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等の公知の方法を用いることができる。透液性トップシート2に用いる不織布の繊維目付けは15〜30g/m2であるのが好ましく、厚みは0.05〜1mmであるのが好ましい。
トップシート2は、吸収体3の周囲より外側に延在しており、吸収体3側縁より外側に延在する部分がバックシート1にホットメルト接着剤等により固着されている。なお、図中の点模様は固着部分を表しているものである。
(脚周り立体ギャザー)
図13及び図14にも示されるように、物品内面の両側部(図示形態ではトップシート2の側縁部表面からその側方に延在するバックシート1の表面)には、脚周り立体ギャザー4を構成する脚周り立体ギャザーシート4sの幅方向外側の付根部分4xが前後方向全体にわたり貼り付けられている。脚周り立体ギャザーシート4sは、各種不織布(スパンボンド不織布が好適である)の他、バックシートに用いられるものと同様のプラスチックフィルム、又はこれらの積層シートを用いることができるが、肌への感触性の点で、撥水処理を施した不織布が好適である。脚周り立体ギャザーシート4sの幅方向中央側の突出部分4cは、前後方向両端部では倒伏状態で物品内面(図示形態ではトップシート2表面)にホットメルト接着剤等の手段により固着され、倒伏部分とされているが、これらの間の中間部は非固定の自由部分となっており、この自由部分の先端部等(展開状態における幅方向中央側の端部)には、細長状弾性伸縮部材4Gが前後方向に沿って伸張した状態でホットメルト接着剤等により固定されている。この細長状弾性伸縮部材4Gは図示例では所定の間隔を空けて複数本設けられているが、一本でも良い。細長状弾性伸縮部材4G(他の細長状弾性伸縮部材も同様)としては、糸状、紐状、帯状等に形成された天然ゴム又は合成ゴム、具体的にはスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。この自由部分は、細長状弾性伸縮部材4Gの収縮力が作用する結果、図4に示されるように、物品内面(図示形態ではトップシート2表面)に対して起立する脚周り立体ギャザーを構成する。この起立部分の基端4bは脚周り立体ギャザー4における幅方向外側の固定部分4xと内側の部分4cとの境に位置する。なお、図1中の右斜め上がりの斜線部分は脚周り立体ギャザー4の固着部分を示しており、左斜め上がりの斜線部分は後述するウエストギャザーシート30の固着部分を示している。
使い捨ておむつの前後方向両端部では、バックシート1、外装シート12、透液性トップシート2および脚周り立体ギャザーシート4sが吸収体3の前後端よりも前後両側にそれぞれ延在され、吸収体3の存在しないエンドフラップ部EFが形成されている。一方、使い捨ておむつの左右両側部では、バックシート1、外装シート12、透液性トップシート2および脚周り立体ギャザーシート4sが吸収体3の側縁よりも側方にそれぞれ延在され、吸収体3の存在しないサイドフラップ部SFが形成されている。サイドフラップ部SFのうち腹側部分Fのウエスト側部分及び背側部分Bのウエスト側部分にそれぞれ位置する部分は、それらの間の中間部分よりも側方に延出されており、これらの部分が、おむつの胴回り部分となり、中間部分が脚周り包囲部分となり、その両側縁が脚開口の縁Leとなる。
(ファスニングテープ)
背側部分Bのサイドフラップ部SFには、その側縁からそれぞれ突出するファスニングテープ5が取り付けられるとともに、腹側部分Fの胴回り部表面に幅方向に沿ってフロントターゲットテープ6が貼着されており、身体への装着に際しては、おむつ100を身体にあてがった状態で、両側のファスニングテープ5を腰の各側から腹側外面に回してフロントターゲットテープ6に止着する。フロントターゲットテープ6は省略することもでき、その場合にはファスニングテープ5はおむつ外面(図示形態の場合外装シート12)に直に止着される。
図11に示されるように、ファスニングテープ5は、背側部分Bのウエスト側サイドフラップ部SFにおけるシート間にホットメルト接着剤等の手段により固定された固定部5fと、サイドフラップ部SFの側縁のシート間から幅方向外側に突出する突出部5eとを有しており、この突出部5eは先端部5pと、この先端部5pよりも基端側の本体部5bとを有している。ファスニングテープ5の先端部5pの内面側(透液性表面シート2側)には、ターゲットテープ6との連結のための連結部として、表面にフック状突起を多数有するフック材(メカニカルファスナー(面ファスナー)の雄材)9,9がそれぞれ取り付けられており、フロントターゲットテープ6としてフック状突起が着脱可能に掛止される表面を有するもの(メカニカルファスナー(面ファスナー)の雌材)6が取り付けられている。おむつ外面の素材自体をフロントターゲットテープ6の代わりに用いたり、フック材9に代えて粘着剤層を用いるとともに、フロントターゲットテープ6として粘着性に富むような表面が平滑な樹脂テープを用いたりすることができる。
また、図11に示されるように、ファスニングテープ5には、上下方向中間部における幅方向外側縁から本体部5b内まで幅方向に沿うミシン目10が設けられており、このミシン目10を切り離すことにより各々が固定部、本体部、先端部及び連結部を備えた上段部及び下段部に分離することができるものである。ミシン目10に代えて、予め切断等により分離されていても良い。このようなファスニングテープ5は、上段部と下段部とを交差させた状態で、腹側部分のフロントターゲットテープ6に着脱自在に連結することができる。もちろん、このような上下2段分割タイプに限られず、2段分割しないタイプ等、他の公知のファスニングテープに応用することもできる。
(ウエスト立体ギャザー)
他方、図示形態の使い捨ておむつの後端部(図示例の場合はエンドフラップ部EF)には、おむつ内面(図示形態ではトップシート2表面)に対して起立するウエスト立体ギャザー(ウエスト漏れ防止帯に相当する)30が設けられている。より詳細には、図11にも示すように、ウエスト立体ギャザー30を構成するウエストギャザーシート32が、ウエスト側の端部が幅方向全体にわたりトップシート2表面にホットメルト接着剤等の接合手段により接合されて固定部分とされるとともに、股間側の部分のうち両端部がトップシート2と脚周り立体ギャザーシート4sとの間に挟まれて両シートに対してホットメルト接着剤等の接合手段により接合され(図1にはこれらの接合部分が右斜め下向きの斜線で示されている)、これら両端部の間に位置する本体部分は、脚周り立体ギャザーの自由部分と重なる部分が相互に接合されるが、おむつ表面には非固定とされている。また、本体部分の先端部が内向き(トップシート2側)に折り返されて折り返し部分の対向面相互がホットメルト接着剤等の固手段により固定され、かつこの折り返し部分のシート間に細長状弾性伸縮部材31が幅方向に沿って伸張した状態でホットメルト接着剤等の固手段により固定されている。細長状弾性伸縮部材31は図示例では所定の間隔を空けて複数本設けられているが、一本でも良い。この本体部分は、細長状弾性伸縮部材31の収縮力が作用する結果、図9に二点鎖線で示すように、おむつ表面(図示形態ではトップシート2表面)に対して起立するウエスト立体ギャザー30を構成する。この起立部分の基端はウエスト立体ギャザー30におけるウエスト側の端部の固定部分と内側の自由部分との境に位置する。細長状弾性伸縮部材31は省略し、ギャザーではないが漏れ防止機能を有する構造とすることもできる。
さらに、背側部分Bにおけるウエスト側部分(図示例の場合はウエスト側の端部であるエンドフラップ部EF)は、幅方向中間部が幅方向に弾性伸縮するウエスト伸縮部40として構成されている。図示例のウエスト伸縮部40は幅方向中央部にのみ設けられているが、幅方向全体にわたり設けたり、幅方向両側部にのみ設けたりすることもでき、また幅方向中央線WCに関して線対称に設けられているのが好ましい。より詳細には、ウエストギャザーシート30のウエスト側の端部が内向き(トップシート2側)に折り返され、折り返し部分の対向面相互がホットメルト接着剤等の固手段により固定され、かつこの折り返し部分のシート間に細長状弾性伸縮部材41が幅方向に沿って伸張した状態でホットメルト接着剤等の固手段により固定されている。この細長状弾性伸縮部材41は一本でも良いが図示例のように所定の間隔を空けて複数本設けるのが好ましい。この弾性伸縮部材41の本数は、1〜10本程度、特に2〜5本程度が適当であり、図示例では3本である。また、その間隔は2〜15mm程度、特に3〜7mm程度とするのが好ましい。さらに、細長状弾性伸縮部材41の太さは500〜1500dtex程度、特に800〜1300dtex程度(天然ゴムの場合0.1〜3mm程度、特に0.5〜3mm程度)とするのが好ましく、また取り付け時の伸張率は150〜250%程度、特に160〜200%程度とするのが好ましい。図示例では、ウエストギャザーシート30のウエスト側の端部を利用してウエスト伸縮部40の弾性伸縮部材41を取り付けているが、この弾性伸縮部材41をトップシート2とバックシート1との間や、バックシート1と外装シート12との間に挟んで固定することもできる。このようなウエスト伸縮部40を有することにより、おむつ背側部分Bにおけるウエスト側の端部が装着者の背中に弾力的に押し当てられ、おむつと装着者の背中との間に隙間が発生し難くなる。
(平面ギャザー)
サイドフラップ部SFの前後方向中間部には、バックシート1と外装シート12との間に細長状弾性部材7が前後方向に沿って伸張状態でホットメルト接着剤等により固定されており、この細長状弾性部材7の収縮によりサイドフラップ部SFにはいわゆる平面ギャザーが形成されている。この平面ギャザーにより、おむつの側部が弾性伸縮して脚周りにフィットするようになる。
左右各側における細長状弾性部材7の本数は適宜定めることができるが、1〜10本程度、より好ましくは3〜8本程度が適当であり、複数本とする場合には、その間隔は2〜15mm程度、特に6〜10mm程度とするのが好ましい。また、各細長状弾性部材7としては、糸状、紐状、帯状等に形成された、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができ、太さとしては500〜1500dtex程度、天然ゴムの場合0.1〜3mm程度、特に0.5〜3mm程度が好ましい。また、各細長状弾性部材7の固定時の伸長率は150〜250%程度であるのが好ましい。
本発明は、吸収パッド(パッドタイプ使い捨ておむつ)の他、テープタイプ使い捨ておむつや、パンツタイプ使い捨ておむつにも適用でき、使い捨ておむつ以外にも生理用ナプキンにも適用できるなど、吸収性物品全般に利用できるものである。
B2…背側部分、C2…股間部、F2…腹側部分、SF…サイドフラップ部、i…膨張量の差、 50…吸収パッド、51…バックシート、52…トップシート、54…ギャザーシート、54G…細長状弾性部材、54c…突出部分、54e…倒伏部分、54f…自由部分、54x…付根部分、57…細長状弾性部材、60…吸収体、61…第1の吸収部分、62…第2の吸収部分、63…重なり部分、64…隙間、65…貫通部、70…大膨張部分、71…小膨張部分。

Claims (7)

  1. 吸収に伴い膨張する吸収体を備えた吸収性物品において、
    前記吸収体は、第1の吸収部分と、第2の吸収部分と、第1の吸収部分の端部及び第2の吸収部分の端部が厚み方向に重なる重なり部分とを備え、
    前記重なり部分における、前記第1の吸収部分及び第2の吸収部分の少なくとも一方に、相対的に膨張量が大きい大膨張部分と膨張量が小さい小膨張部分とを有しており、
    吸収時、前記重なり部分では、前記膨張量の差により第1の吸収部分及び第2の吸収部分が部分的に離間して、第1の吸収部分及び第2の吸収部分の間に、厚み方向と交差する方向に貫通する隙間が形成されるように構成された、
    ことを特徴とする吸収性物品。
  2. 前記第1の吸収部分は前記吸収体の前側に位置し、前記第2の吸収部分は前記吸収体の後側に位置し、前記重なり部分は股間部を含む部位に位置しており、
    前記重なり部分では、前記第1の吸収部分及び第2の吸収部分のうち裏側に位置する吸収部分は、幅方向両側に位置する裏側支持部を有し、かつ表側に位置する吸収部分は、前記裏側支持部上に位置する表側支持部を有しており、
    前記重なり部分では、前記第1の吸収部分及び第2の吸収部分のうち、前記裏側支持部及び前記表側支持部の少なくとも一方が大膨張部分とされ、それ以外の部分が小膨張部分とされている、
    請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記第1の吸収部分及び第2の吸収部分のうち裏側に位置する吸収部分は、前記隙間の形成部位に、厚み方向に貫通する貫通部が形成されている、請求項1又は2記載の吸収性物品。
  4. 吸収に伴い膨張する吸収体を備えた吸収性物品において、
    前記吸収体は、厚み方向と直交する方向に第1の吸収部分及び第2の吸収部分が並設されており、
    前記第1の吸収部分及び第2の吸収部分の対向部分の少なくとも一方に、相対的に膨張量が大きい大膨張部分と膨張量が小さい小膨張部分とを有しており、
    吸収時、前記膨張量の差により第1の吸収部分及び第2の吸収部分が部分的に離間して、第1の吸収部分及び第2の吸収部分の間に、厚み方向に貫通する隙間が形成されるように構成された、
    ことを特徴とする吸収性物品。
  5. 前記第1の吸収部分及び第2の吸収部分は幅方向に並設されており、
    前記第1の吸収部分及び第2の吸収部分の対向部分の少なくとも一方に、前後方向に間隔を空けて大膨張部分が設けられ、それらの間の部分が小膨張部分とされている、
    請求項4記載の吸収性物品。
  6. 前記第1の吸収部分及び第2の吸収部分は前後方向に並設されており、
    前記第1の吸収部分及び第2の吸収部分の対向部分の少なくとも一方に、幅方向に間隔を空けて大膨張部分が設けられ、それらの間の部分が小膨張部分とされている、
    請求項4記載の吸収性物品。
  7. 前記吸収体の表側を覆う液透過性トップシート、及び前記吸収体の裏側を覆う液透過性バックシートを有し、前記トップシートを通して受け入れた液体を前記バックシートを通して裏側に排出可能である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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