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JP6217296B2 - 感光性樹脂組成物、ならびにそれを用いた塗膜 - Google Patents

感光性樹脂組成物、ならびにそれを用いた塗膜 Download PDF

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Description

本発明は感光性樹脂組成物、ならびにそれを用いた塗膜に関する。該塗膜は、タッチパネル、液晶表示装置、有機EL装置等に用いられる、保護膜、平坦膜、絶縁膜、または反射防止膜等の用途に好適に用いることができる。
近年、静電容量式タッチパネル、液晶表示装置、有機EL表示装置などに高屈折率を有する塗膜を設けることにより光の反射を抑制することで、透過率や視認性を向上させることが多くなってきている。高屈折率を有する塗膜とは、例えば高屈折率なハードコート層、保護膜(特許文献1)や、反射防止膜(特許文献2)などである。しかしハードコート層は高屈折率と高硬度の特性を両立することが難しいこと、反射防止膜は装置やプロセス上で生産コストが多くかかるなどの問題がある。
そこで最近は高屈折率な絶縁膜、保護膜、平坦化膜が開発されている。絶縁膜は上記装置において欠かせない金属配線間の絶縁をするための積層体であり、保護膜は金属配線、カラーフィルターや有機EL素子などを保護するための積層体であり、平坦化膜はカラーフィルターや有機EL素子を形成する際にその厚みに差が出ないよう、下地を平坦化するための積層体である。これら絶縁膜、保護膜や平坦化膜などのパターン形成には、必要とするパターン形状を得るための工程数が少なく、しかも充分な平坦性が得られるといったことから感光性樹脂組成物が広く使用されており、その屈折率を高めるために高屈折率を有するチタン、アンチモン等の金属酸化物微粒子を添加することが一般的に為されている(特許文献3)。これらのような用途においては、高い透過率や処方の自由度を持たせるために、ナノサイズの無機微粒子を均一分散した分散系材料での検討が進んでいる。一般に無機微粒子を均一で安定な分散体としようとする場合、分散剤や界面活性剤を添加するなどの手法が取られるが、現像性や感光性を持たせるために、樹脂など他の材料を添加する場合に、それらの材料と無機微粒子および分散剤との相溶性が悪い場合には、得られる樹脂組成物が白濁する等の問題が発生することがある。これによって、屈折率を高めながら高い透過率を得ることが困難である場合が多い。さらに、このような用途においては、パターニングが必要になることが多く、パターニングに使用されるアルカリ現像液などに対して溶解性の低い無機微粒子を分散した樹脂組成物においても、良好なパターニング性を示す材料が求められている。
特許文献4には、屈折率2.0以上の無機粒子と、分子内に水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方を有するアルカリ可溶性重合体を含む感光性樹脂組成物が開示されているが、上記白濁の問題点についてのアルカリ可溶性重合体の最適な特性について言及されていない。
またタッチパネル用保護膜としては高温高湿の過酷な環境下におかれても品質変化保護膜、すなわち耐湿熱密着性に優れた保護膜が要望されており、共重合体、モノマー、またはシラン化合物により、基板や透明導電膜への密着性を向上させるための検討がされている(特許文献5)が、当該技術では、無機微粒子を含まないために屈折率が不十分であり、かつ透明性や硬度、現像パターニング性について問題があるのが現状である。
そこで、良好な透明性、高屈折率を併せ持つ高品質の感光性樹脂組成物が望まれている。
特開2007−84815号公報 特開2009−134238号公報 特開2007−084815号公報 特開2011−151164号公報 特開2012−048185号公報
本発明の目的は、透過率、硬度、高屈折率、現像パターニング性に優れた感光性樹脂組成物と、それを用いた塗膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決しうる新たな手段について鋭意検討の結果、特定の無機微粒子(D)と、特定の樹脂(A1)と、4つ以上の官能基を有する多官能単量体を用いることで、前述の課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、酸性基含有樹脂(A)と、光重合開始剤(B)と、多官能単量体(C)と、無機微粒子(D)と、溶剤(E)とを含有することを特徴とする感光性樹脂組成物であって、無機微粒子(D)が、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アンチモン、および酸化セリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属酸化物微粒子を含み、樹脂(A)が芳香環を有する単量体、または脂環式基を有する単量体の少なくとも1種を共重合してなる、重量平均分子量1000以上20000以下である酸性基含有樹脂(A1)を含み、多官能単量体(C)が4つ以上の官能基を有する単量体を含むことを特徴とする感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、樹脂(A1)が、芳香環を有する単量体を共重合してなる、重量平均分子量1000以上20000以下である酸性基含有樹脂であることを特徴とする前記感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、樹脂(A1)の酸価が、30mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることを特徴とする前記感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、無機微粒子(D)が、酸化チタンであることを特徴とする前記感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、樹脂(A1)が、側鎖に水酸基を有し、かつエチレン性不飽和二重結合を有することを特徴とする前記感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、樹脂(A1)の水酸基当量が300以上900以下であり、かつ二重結合当量が300以上900以下であることを特徴とする前記感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、光重合開始剤(B)が、アセトフェノン系光重合開始剤またはオキシムエステル系光重合開始剤であることを特徴とする前記感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、多官能単量体(C)が、7つ以上の官能基を有する単量体を含むことを特徴とする前記感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、溶剤(E)が、1,3−ブチレングリコールジアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、およびシクロヘキサノールアセテートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする前記感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、さらに下記一般式(2)で表されるレベリング剤を含有することを特徴とする前記感光性樹脂組成物に関する。一般式(2):

[一般式(2)において、mは1〜10の整数であり、pは5〜30の整数であり、Xはアルキレン基、Yはアルキル基である。]
また、本発明は、さらにリン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、及びイオウ系酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤を含むことを特徴とする前記感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、さらに着色剤(H)を含むことを特徴とする前記感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、前記感光性樹脂組成物から形成されてなる塗膜に関する。
本発明の感光性樹脂組成物は、硬度、透過率、硬度、現像パターニング性に優れるため、タッチパネル、液晶表示装置、有機EL装置等の、保護膜、平坦膜、絶縁膜、または反射防止膜等の用途に好適である。
まず、本発明の感光性樹脂組成物について説明する。
なお、本願では、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド」を表すものとする。
本発明の感光性樹脂組成物は、酸性基含有樹脂(A)と、光重合開始剤(B)と、多官能単量体(C)と、無機微粒子(D)と、溶剤(E)とを含有することを特徴とする感光性樹脂組成物であって、無機微粒子(D)が、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アンチモン、および酸化セリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属酸化物微粒子を含み、樹脂(A)が芳香環を有する単量体、または脂環式基を有する単量体の少なくとも1種を共重合してなる、分子量1000以上20000以下である酸性基含有樹脂(A1)を含み、多官能単量体(C)が4つ以上の官能基を有する単量体を含むことを特徴とする。
本発明の感光性樹脂組成物の各種構成成分について説明する。
<酸性基含有樹脂(A)>
本発明の酸性基含有樹脂(A)は、その主鎖または側鎖に酸性基を有するものであって、芳香環を有する単量体、または脂環式基を有する単量体の少なくとも1種を共重合してなる、重量平均分子量1000以上20000以下である樹脂(A1)を含む。樹脂(A1)を含むことにより、優れた感光性樹脂組成物とすることができる。
また、樹脂(A1)は、酸価が、30mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることが好ましい。また、側鎖に水酸基を有し、かつエチレン性不飽和二重結合を有し、さらに水酸基当量が300以上900以下であり、かつ二重結合当量が300以上900以下であることがより好ましいものである。
《酸基の導入方法》
樹脂への酸基の導入方法としては、酸基を有するエチレン性不飽和単量体を共重合する方法、あるいは重合後に酸基を付与しうるエチレン性不飽和単量体を用いる方法等がある。
重合後に酸基を付与しうるエチレン性不飽和単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するエチレン性不飽和単量体、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体等が挙げられる。
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を用いる場合には、例えば水酸基を有するエチレン性不飽和単量体と、共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体とを共重合することによって得られた共重合体の水酸基に、多塩基酸無水物を反応させ、酸基(カルボキシル基)を導入することが出来る。あるいは、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を用いる場合には、例えばエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体と、共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、カルボキシル基を有する不飽和一塩基酸を付加反応させ、更に、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させ、酸基(カルボキシル基)を導入することが出来る。この方法では、水酸基と多塩基酸無水物を過不足なく反応させると水酸基が消失する。一方、水酸基の一部と多塩基酸無水物を反応させることで、側鎖に水酸基を有し、かつカルボキシル基等の酸基およびエチレン性不飽和二重結合を有する樹脂が得られる。
酸基を有するエチレン性不飽和単量体を用いる場合、その含有割合は、特に制限されないが、全エチレン性不飽和単量体成分の合計100重量%中5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%であるのがよい。
重合後に酸基を付与するためのエチレン性不飽和単量体を用いる場合、その含有割合は、特に制限されないが、全エチレン性不飽和単量体成分の合計100重量%中5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%であるのがよい。
酸基を導入することにより、得られる感光性樹脂組成物は、酸基とエポキシ基あるいは水酸基が反応してエステル結合が生じることを利用した架橋反応が可能な感光性樹脂組成物、あるいは未硬化部をアルカリ現像液で現像可能な組成物、とすることができる。前記酸基としては、特に制限されないが、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基等が挙げられる。これら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明における酸性基を有する樹脂(A)の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分中20重量%以上90重量%以下、好ましくは40重量%以上80重量%以下である。(A)の含有量が20%未満であると、現像パターニング性が悪化する場合があり、また90重量%を超えると硬度が低下する場合がある。
酸性基を有する樹脂(A)は、下記に示す樹脂(A1)を含むことを特徴とする。
[樹脂(A1)]
樹脂(A1)は、下記(1)に示す、芳香環を有する単量体(1−1)、または脂環式基を有する単量体(1−2)の少なくとも1種を共重合した共重合体であることを特徴とし、かつ重量平均分子量が1000以上20000以下であることを特徴とする。さらには、(2)〜(5)に示す単量体を共重合した共重合体であることが好ましい。樹脂(A1)が(1)で示すような芳香環を有する単量体、または脂環式基を有する単量体を共重合したものであることで、樹脂と無機微粒子やそれを分散する分散剤との相溶性が良化して、塗液が白濁することなく高い透過率の塗膜を得ることができる。
(1)芳香環または脂環式基を有する単量体
(1−1)芳香環を有するエチレン性不飽和単量体
芳香環を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、下記の<1>〜<4>、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
芳香環を有することで、無機微粒子との相溶性に優れ、現像パターニング性にも優れた組成物とすることができる。
<1>フェニル基を分子内に有する単官能(メタ)アクリレート
ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン(メタ)アクリレート、o−、m−、またはp−メチルスチレン(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェノールのEO1モル付加物の(メタ)アクリレート、フェノールのEO2モル付加物の(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシー3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、トリブロモフェノールのEO1モル付加物の(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO1モル付加物の(メタ)アクリレート等
<2>ビフェニル基を分子内に有する単官能(メタ)アクリレート
o−、m−、またはp−フェニルフェノールのモノ(メタ)アクリレート、3,3’−ジフェニル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルのモノ(メタ)アクリレート、o−、m−、またはp−フェニルフェノールのAO付加物のモノ(メタ)アクリレート、3,3’−ジフェニル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルのAO付加物のモノ(メタ)アクリレート等
<3>スチレン化フェノキシ基を分子内に有する単官能(メタ)アクリレート
2.5モルのスチレンがフェノールに付加したスチレン化フェノールのモノ(メタ)アクリレート、2.5モルのスチレンがフェノールに付加したスチレン化フェノールのAO付加物のモノ(メタ)アクリレート、3モルのスチレンがフェノールに付加したスチレン化フェノールのAO付加物のモノ(メタ)アクリレート等
<4>一般式(9)で表されるアクリレート等
一般式(9):

[一般式(9)中、Rは、水素原子、またはメチル基であり、Rは、炭素数2若しくは3のアルキレン基であり、Rは、ベンゼン環を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基であり、nは、1〜15の整数である。]
一般式(9)で示されるエチレン性不飽和単量体としては、例えば、
第一工業製薬社製ニューフロンティア CEA〔EO変性クレゾールアクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:メチル基、n=1または2、〕、NP−2〔n−ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:n−ノニル基、n=2〕、N−177E〔n−ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:n−ノニル基、n=16〜17〕、若しくはPHE〔フェノキシエチルアクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:水素原子、n=1〕、
ダイセル社製、IRR169〔エトキシ化フェニルアクリレート(EO 1mol)、R:水素原子、R:エチレン基、R:水素原子、n=1〕、またはEbecryl110〔エトキシ化フェニルアクリレート(EO 2mol)、R:水素原子、R:エチレン基、R:水素原子、n=2〕、
東亞合成社製アロニックス M−101A〔フェノールEO変性(n≒2)アクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:水素原子、n≒2〕、M−102〔フェノールEO変性(n≒4)アクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:水素原子、n≒4〕、M−110〔パラクミルフェノールEO変性(n≒1)アクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:パラクミル、n≒1〕、M−111〔n−ノニルフェノールEO変性(n≒1)アクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:n−ノニル基、n≒1〕、M−113〔n−ノニルフェノールEO変性(n≒4)アクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:n−ノニル基、n≒4〕、若しくはM−117〔n−ノニルフェノールPO変性(n≒2.5)アクリレート、R:水素原子、R:プロピレン基、R:n−ノニル基、n≒2.5〕、
共栄社製ライトアクリレート PO−A〔フェノキシエチルアクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:水素原子、n=1〕、P−200A〔フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:水素原子、n≒2〕、NP−4EA〔ノニルフェノールEO付加物アクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:n−ノニル基、n≒4〕、若しくはNP−8EA〔〔ノニルフェノールEO付加物アクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:n−ノニル基、n≒8〕、またはライトエステル PO〔フェノキシエチルメタクリレート、R:メチル基、R:プロピレン基、R:水素原子、n=1〕、
日油社製ブレンマー ANE−300〔ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:−ノニル基、n≒5〕、ANP−300〔ノニルフェノキシポリプロピレングリコールアクリレート、R:水素原子、R:プロピレン基、R:n−ノニル基、n≒5〕、43ANEP−500〔ノニルフェノキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−アクリレート、R:水素原子、R:エチレン基及びプロピレン基、R:−ノニル基、n≒5+5〕、70ANEP−550〔ノニルフェノキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−アクリレート、R:水素原子、R:エチレン基及びプロピレン基、R:n−ノニル基、n≒9+3〕、75ANEP−600〔ノニルフェノキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−アクリレート、R:水素原子、R:エチレン基及びプロピレン基、R:n−ノニル基、n≒5+2〕、AAE−50〔フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:水素原子、n=1〕、AAE−300〔フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:水素原子、n≒5.5〕、PAE−50〔フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、R:メチル基、R:エチレン基、R:水素原子、n=1〕、PAE−100〔フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、R:メチル基、R:エチレン基、R:水素原子、n=2〕、若しくは43PAPE−600B〔フェノキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−メタクリレート、R:メチル基、R:エチレン基及びプロピレン基、R:水素原子、n≒6+6〕、
新中村化学社製NK ESTER AMP−10G〔フェノキシエチレングリコールアクリレート(EO1mol)、R:水素原子、R:エチレン基、R:水素原子、n=1〕、AMP−20G〔フェノキシエチレングリコールアクリレート(EO2mol)、R:水素原子、R:エチレン基、R:水素原子、n≒2〕、AMP−60G〔フェノキシエチレングリコールアクリレート(EO6mol)、R:水素原子、R:エチレン基、R:水素原子、n≒6〕、PHE−1G〔フェノキシエチレングリコールメタクリレート(EO1mol)、R:メチル基、R:エチレン基、R:水素原子、n=1〕、
大阪有機化学社製ビスコート #192〔フェノキシエチルアクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:水素原子、n=1〕、あるいは、
日本化薬製SR−339A〔2−フェノキシエチレングリコールアクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:水素原子、n=1〕,若しくはSR−504(エトキシ化ノニルフェノールアクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:n−ノニル基〕等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
一般式(9)で示されるエチレン性不飽和単量体において、Rのアルキル基の炭素数は1〜20であるが、より好ましくは1〜10である。アルキル基は、直鎖状アルキル基だけでなく、分岐状アルキル基及び置換基としてベンゼン環を有するアルキル基も含まれる。Rのアルキル基の炭素数が1〜10のときはアルキル基が障害となりITOエッチング液、モリブデンエッチング液などの浸透を抑制し耐酸性が高まるが、炭素数が10を超えると、アルキル基の立体障害効果が高くなり、基材との密着をも妨げる傾向を示す。この傾向は、Rのアルキル基の炭素鎖長が長くなるに従い顕著となり、炭素数が20を超えると、基材との密着が極端に低下する。Rで表されるベンゼン環を有するアルキル基としては、ベンジル基、2−フェニル(イソ)プロピル基等を挙げることができる。側鎖ベンゼン環が一つ増えることによって、耐酸性がより改善され、現像性も向上する。
一般式(9)で示されるエチレン性不飽和単量体において、nは、1〜15の整数が好ましい。nが15を越えると、親水性が増して溶媒和の効果が小さくなると共に、樹脂(A1)の粘度が高くなり、これを用いた感光性樹脂組成物の粘度も高くなり、流動性に影響を与える場合がある。溶媒和の観点から、nは、1〜4が特に好ましい。
これらの芳香環を含む単量体のうち、無機微粒子との相溶性の観点から好ましいのは<1>および<2>であり、さらに好ましくは<1>である。上記芳香環を含むエチレン性不飽和単量体(1−1)の導入量は、樹脂(A1)で導入する全単量体の合計100重量%中5〜96重量%、好ましくは5〜70重量%、さらに好ましくは10〜70重量%であるのがよい。芳香環を含む単量体の導入量が5重量%以上であることにより、無機微粒子との相溶性が優れたものとなり、96重量%以下である場合は、現像パターニング性がより優れたものとなる。
(1−2)脂環式基を有するエチレン性不飽和単量体
脂環式基を有するエチレン性不飽和単量体とては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、一般式(12)にて示されるエチレン性不飽和単量体、または一般式(13)に示すエチレン性不飽和単量体が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。またこれらは単独で用いても2種以上を用いても良い。
一般式(12):
一般式(13):

[一般式(12)、一般式(13)中、Rは、水素原子、またはメチル基であり、R10は、炭素数2若しくは3のアルキレン基であり、mは、1〜15の整数である。]
一般式(12)に示されるエチレン性不飽和単量体としては、例えば、
日立化成社製ファンクリル FA−513A〔ジシクロペンタニルアクリレート、R:水素原子、R10:なし、m=0〕、またはFA−513M〔ジシクロペンタニルメタクリレート、R:メチル、R10:なし、m=0〕等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
一般式(12)にて示されるエチレン性不飽和単量体、または一般式(13)に示すエチレン性不飽和単量体は、硬度・耐酸性を付与することができ、樹脂の全構成単位の重量を基準として、一般式(12)にて示されるエチレン性不飽和単量体、または一般式(13)に示すエチレン性不飽和単量体は、現像パターニング性と硬度・耐酸性付与の観点から、全エチレン性不飽和単量体中、2〜40重量%が好ましい。2重量%未満では、現像パターニング性と硬度、耐酸が不足し、高品質な塗膜が得られないといった問題が生じる場合がある。また、現像時の疎水性が不足するために画素部のパターン剥れや欠けの問題が生じる場合がある。40重量%を越えると、アルカリ現像液への溶解速度が遅くなり、現像時間が長く塗膜の生産性が悪くなる場合がある。
一般式(13)に示される不飽和エチレン製単量体としては、例えば、
日立化成社製ファンクリル FA−511A〔ジシクロペンテニルアクリレート、R:水素原子、R10:なし、m=0〕、FA−512A〔ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、R:水素原子、R10:エチレン基、m=1〕、FA−512M〔ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、R:メチル基、R10:エチレン基、m=1〕、またはFA−512MT〔ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、R:メチル基、R10:エチレン基、m=1〕等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
これらの脂環式基を含む単量体(1−2)のうち、無機微粒子との相溶性の観点から好ましいのはシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートであり、さらに好ましくはシクロヘキシル(メタ)アクリレートである。
上記脂環式基を含むエチレン性不飽和単量体の導入量は、樹脂(A1)で導入する全単量体の合計100重量%中5〜96重量%、好ましくは5〜70重量%、さらに好ましくは10〜70重量%であるのがよい。脂環式基を含む単量体の導入量が5重量%以上であることにより、無機微粒子との相溶性が優れたものとなり、96重量%以下である場合は、現像パターニング性がより優れたものとなる。
また、後述する(2)〜(5)のエチレン性不飽和単量体が、置換基として芳香環あるいは脂環式基を含む場合は、(1−1)芳香環を有するエチレン性不飽和単量体あるいは(1−2)脂環式基を有するエチレン性不飽和単量体とみなすこととする。
(2)酸性基を導入するためのエチレン性不飽和単量体
酸性基を有する樹脂(A)にて記したように、酸性基を導入するには酸基を有するエチレン性不飽和単量体を用いる方法、あるいは重合後に酸基を付与しうるエチレン性不飽和単量体を、エチレン性不飽和単量体成分として重合する方法がある。前記酸性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、特に制限されないが、例えば、カルボキシル基、もしくはフェノール性水酸基を有するエチレン性不飽和単量体、または多塩基酸無水物等が挙げられる。これら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
酸性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸やイタコン酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(不飽和一塩基酸)、N−ヒドロキシフェニルマレイミド等のフェノール性水酸基を有するエチレン性不飽和単量体、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等の多塩基酸無水物等が挙げられるが、これらの中でも特に、(メタ)アクリル酸が好ましい。
重合後に酸基を付与しうるエチレン性不飽和単量体としては、酸基を有する樹脂(A)と同様の、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体、またはエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体等を用いることができる。
酸性基を有するエチレン性不飽和単量体の導入量は、樹脂(A1)で導入する全単量体の合計100重量%中4〜50重量%、好ましくは5〜40重量%であるのがよい。
重合後に酸基を付与するためのエチレン性不飽和単量体を用いる場合、その含有割合は、特に制限されないが、全エチレン性不飽和単量体成分の合計100重量%中5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%であるのがよい。
樹脂(A1)は酸価が30mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることが好ましい。さらに、樹脂(A1)は酸価が40mgKOH/g以上80mgKOH/g以下であることが最も好ましい。樹脂(A1)の酸価が30mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることで、樹脂と無機微粒子やそれを分散する分散剤との相溶性が良化して、塗液が白濁することなく高い透過率の塗膜を得ることができる。酸価が30mgKOH/g未満のときは、現像パターニング性が低下し、酸価が100mgKOH/gを超えるときは、無機微粒子やそれを分散する分散剤との相溶性が低下し、硬度も低下する場合がある。
(3)水酸基を導入するためのエチレン性不飽和単量体
樹脂(A1)に水酸基を導入する方法としては、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を共重合する方法(I)、あるいは水酸基を導入するためのエチレン性不飽和単量体を用いる方法(II)がある。
(I)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を共重合する方法
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−若しくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられる。
上記水酸基を有するエチレン性不飽和単量体の導入量は、樹脂(A1)で導入する全単量体の合計100重量%中4〜50重量%、好ましくは5〜40重量%であるのがよい。
(II)水酸基を導入するためのエチレン性不飽和単量体を用いて生成させる方法
方法(II)としては、例えば、酸基を有するエチレン性不飽和単量体で記載したカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体とを共重合し、側鎖のカルボキシル基をエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体で変性して水酸基を生成させる方法(II−1)、またはエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体とを共重合し、側鎖のエポキシ基を、酸基を有するエチレン性不飽和単量体で記載したカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体で変性して水酸基を生成させる方法(II−2)等が挙げられる。それぞれの方法で用いる単量体を下記に詳述する。
・エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体
方法(II−1)では酸性基を有するエチレン性不飽和単量体で記載したカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と上述したその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体とを共重合し、側鎖のカルボキシル基をエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体で変性して水酸基を生成させる方法である。エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル−α−エチルアクリレート、3−メチル−3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、4−メチル−4,5−エポキシペンチル(メタ)アクリレート、5−メチル−5,6−エポキシヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルなどが挙げられ、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。上記エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体の導入量は、樹脂(A1)で導入する全単量体の合計100重量%中4〜70重量%、好ましくは5〜60重量%であるのがよい。
また、方法(II−2)は、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体とを共重合し、側鎖のエポキシ基を、酸基を有するエチレン性不飽和単量体で記載したカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体で変性して水酸基を生成させる方法であるが、ここで用いられるエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体は、上述したものが好ましい。
樹脂(A1)は、方法(II)のようにして側鎖に水酸基を有する構造とすることが好ましい。方法(I)により主鎖に水酸基を有するより側鎖に水酸基を有することで、より金属微粒子やその分散剤との相溶性が良化し、透明性が高くなる。
また、樹脂(A1)の水酸基当量は、上記単量体の導入量を調整して、300以上900以下とすることが好ましい。より好ましくは400以上800以下である。水酸基当量が300未満であると十分な現像パターニング性改善効果が得られ難く、900を超えると金属微粒子やその分散剤との相溶性が悪化し、透明性が低くなる場合がある。
(4)エチレン性不飽和二重結合を導入するためのエチレン性不飽和単量体
エチレン性不飽和二重結合を導入する方法としては、上述した水酸基を生成させる方法(II−1)において、側鎖のカルボキシル基の一部をエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体で変性した場合に、側鎖に水酸基を有し、かつカルボキシル基等の酸基およびエチレン性不飽和二重結合を有する樹脂が得られ、側鎖のカルボキシル基の全部をエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体で変性した場合には、側鎖に水酸基を有し、かつカルボキシル基等の酸基を有さず、かつエチレン性不飽和二重結合を有する樹脂となる。方法(II−2)では、側鎖に水酸基を有し、かつカルボキシル基等の酸基およびエチレン性不飽和二重結合を有する樹脂が得られる。
また、上述したエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体と、共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、不飽和一塩基酸を付加反応させ、更に、生成した水酸基に、ラジカル重合性二重結合を有する多塩基酸無水物を反応させ、酸基(カルボキシル基)およびエチレン性不飽和二重結合を導入する方法が挙げられる。
・多塩基酸無水物
多塩基酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。カルボキシル基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解すること等もできる。また、多塩基酸無水物として、ラジカル重合性二重結合を有する、テトラヒドロ無水フタル酸、又は無水マレイン酸を用いると、更にラジカル重合性二重結合を増やすことができる。
また、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体に、他のカルボキシル基を有する不飽和一塩基酸のエチレン性不飽和単量体や、他のエチレン性不飽和単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体のイソシアネート基を反応させる方法等が挙げられる。
・不飽和一塩基酸
不飽和一塩基酸を使用した場合には、側鎖に水酸基を有し、かつ、カルボキシル基の酸基とエチレン性不飽和二重結合を有する樹脂が得られ、不飽和一塩基酸を使用しない場合には、側鎖に水酸基を有し、かつカルボキシル基等の酸基を有さず、かつエチレン性不飽和二重結合を有する樹脂となる。
不飽和一塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。
このとき用いる水酸基を有するエチレン性不飽和単量体としては、水酸基を導入するためのエチレン性不飽和単量体で記載した、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体に加え、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、(ポリ)γ−バレロラクトン、(ポリ)ε−カプロラクトン、及び/又は(ポリ)12−ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレートも使用できる。塗膜異物抑制の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又はグリセロール(メタ)アクリレートが好ましい。
・イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等を用いることができる。これらのエチレン性不飽和単量体は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
樹脂(A1)の二重結合当量は、上記単量体の導入量を調整して、300以上900以下とすることが好ましい。より好ましくは400以上800以下である。二重結合当量が300以上であると密着性がより良くなり、900以下であることにより、十分な硬度が得られるものとなる。
さらに、樹脂(A1)は、側鎖に水酸基を有し、かつエチレン性不飽和二重結合を有する樹脂であることが好ましい。
樹脂(A1)が側鎖に水酸基を有し、かつエチレン性不飽和二重結合を有することで、樹脂と無機微粒子やそれを分散する分散剤との相溶性が良化して、塗液が白濁することなく高い透過率の塗膜を得ることができる。
つまり本発明では、方法(II)で水酸基を導入することが好ましく、方法(II−2)が特に好ましい。方法(II)で水酸基を導入することで、方法(I)と比べて、樹脂と無機微粒子やそれを分散する分散剤との相溶性が良化して、塗液が白濁することなく高い透過率の塗膜を得ることができる。
(5)その他特定の単量体
下記一般式(14)で表わされるエチレン性不飽和単量体
一般式(14):

[一般式(14)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を表す。]
一般式(14)中、RおよびRで表される、置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基としては、特に制限はないが、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、t−アミル、ステアリル、ラウリル、2−エチルヘキシル等の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル等のアリール基;シクロヘキシル、t−ブチルシクロヘキシル、ジシクロペンタジエニル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル等の脂環式基;1−メトキシエチル、1−エトキシエチル等のアルコキシで置換されたアルキル基;ベンジル等のアリール基で置換されたアルキル基;等が挙げられる。これらの中でも特に、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジル等のような酸や熱で脱離しにくい炭化水素基が耐熱性の点で好ましい。なお、RおよびRは、同種の炭化水素基であってもよいし、異なる炭化水素基であってもよい。
下記一般式(14)で表わされるエチレン性不飽和単量体の具体例としては、例えば、ジメチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−プロピル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソプロピル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−ブチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソブチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−アミル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ステアリル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ラウリル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−エチルヘキシル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−メトキシエチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−エトキシエチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジフェニル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチルシクロヘキシル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ジシクロペンタジエニル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(トリシクロデカニル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソボルニル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジアダマンチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−メチル−2−アダマンチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート等が挙げられる。これらの中でも特に、ジメチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートが好ましく、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
下記一般式(14)で表わされるエチレン性不飽和単量体と共重合可能な他の化合物とを共重合して樹脂を得る際に、重合と同時に下記一般式(14)で表わされるエチレン性不飽和単量体の環化反応が進行してテトラヒドロピラン環構造が形成される。
下記一般式(14)で表わされるエチレン性不飽和単量体と共重合可能な他の化合物とを共重合してなる樹脂を得る際の単量体成分中における、下記一般式(14)で表わされるエチレン性不飽和単量体の割合は、特に制限されないが、全単量体成分中2〜60重量%、好ましくは5〜55重量%、さらに好ましくは5〜50重量%であるのがよい。下記一般式(14)で表わされるエチレン性不飽和単量体の量が多すぎると共重合の際、低分子量のものを得ることが困難になったり、あるいはゲル化し易くなったりするおそれがあり、一方、少なすぎると、透明性や耐熱性などの塗膜性能が不充分となるおそれがある。
樹脂(A1)は、その他上記(1)〜(5)以外のエチレン性不飽和重合体も使用できる。
・上記(1)〜(5)以外のエチレン性不飽和重合体
上記(1)〜(5)以外のエチレン性不飽和重合体としては例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、N−ビニルピロリドン、アクリルアミド類、その他のビニル化合物、及びマクロモノマー類が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、パラクミルEO変性(メタ)アクリレートが例示できる。
アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、アルコキシメチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
その他のビニル化合物としては、(メタ)アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル等が適用できる。
マクロモノマー類としては、例えば、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、ポリスチレンマクロモノマーなどのマクロモノマー類などが挙げられる。これらのエチレン性不飽和単量体は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
樹脂(A1)は重量平均分子量が1000以上20000以下である。さらに、樹脂(A1)は重量平均分子量が2000以上15000以下であることが最も好ましい。樹脂(A1)の重量平均分子量が1000以上20000以下であることで、樹脂と無機微粒子やそれを分散する分散剤との相溶性が良化して、塗液が白濁することなく高い透過率の塗膜を得ることができる。重量平均分子量が1000未満のときは、強い架橋構造を得ることができずに硬度が低下し、重量平均分子量が20000を超えるときは、無機微粒子やそれを分散する分散剤との相溶性が低下し、現像パターニング性も低下する。
この樹脂(A1)の合成は、重合開始剤の存在下、不活性ガス気流下、一般的には50〜150℃で2〜10時間かけて行われる。また、樹脂の合成は、必要に応じて溶剤の存在下で行っても差し支えない。
樹脂(A1)の合成に用いる重合開始剤としては、有機過酸化物やアゾ化合物等が使用できる。有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等が例示できる。また、アゾ化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。重合開始剤は、上記エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、好ましくは1〜20重量部の範囲で使用される。
樹脂(A1)の合成に用いる溶剤としては、水、水混和性有機溶剤、酢酸エステル、ケトン類、キシレン、エチルベンゼンなどを用いることができる。なお、水混和性有機溶剤としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等のアルコール系溶剤や、エチレングリコールまたはジエチレングリコールのモノまたはジアルキルエーテル等が挙げられる。また、酢酸エステルとしては、エチルセルソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが例示でき、ケトン類としては、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
前記樹脂(A1)の重合反応の方法としては、特に制限はなく、従来公知の各種重合方法を採用することができるが、特に、溶液重合法によることが好ましい。なお、重合温度や重合濃度(重合濃度=[単量体成分の全重量/(単量体成分の全重量+溶媒重量)]×100とする)は、使用する単量体成分の種類や比率、目標とするポリマーの分子量によって異なるが、好ましくは、重合温度40〜150℃、重合濃度5〜50%とするのがよく、さらに好ましくは、重合温度60〜130℃、重合濃度10〜40%とするのがよい。
本発明における樹脂(A1)の含有量は、酸性基含有樹脂(A)中20重量%以上100重量%以下、好ましくは40重量%以上100重量%以下である。(A)の含有量が20重量%以上であると、無機微粒子やその分散剤との相溶性が良化し、透過率がより優れたものとすることができる。
<光重合開始剤(B)>
光重合開始剤(B)としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)等のオキシムエステル系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系光重合開始剤、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤、ボレート系光重合開始剤、カルバゾール系光重合開始剤、イミダゾール系光重合開始剤等が用いられ、これらを単独で、あるいは2種以上混合して用いることができる。
なかでもアセトフェノン系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤は感度が高く、添加量が少なくて良いため、透過率が高くなることから、好ましい。
また、アセトフェノン系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤のなかでも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]、とりわけ、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]は、加熱工程時に黄変しないため、絶縁膜としての透過率が高く、特に波長400nm付近の透過率が高い感光性樹脂組成物を提供することができるため、より好ましい。これらはそれぞれを単独で用いても良く、ともに含んでいても良い。
光重合開始剤(B)は、感光性樹脂組成物の固形分の合計100重量%中、1〜30重量%の量で用いることが好ましく、透過率の観点から1〜10重量%の量で用いることがより好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、さらに増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。
増感剤は、光重合開始剤(B)100重量部に対して、0.1〜150重量部の量で用いることができる。
<多官能単量体(C)>
本発明の多官能単量体(C)は、1分子中に4つ以上の官能基を有する単量体を含むことを特徴とする。このような多官能単量体を含むことで、硬度に優れるものとなる。また透過率の維持、表面硬度と密着性のバランスなどの観点から1分子中に7つ以上の官能基を有する単量体を含むことが好ましい。
また、7〜16個のエチレン性不飽和二重結合を有する多官能単量体であることが好ましく、さらに8〜12個である場合、表面硬度と現像パターニング性に優れるため、より好ましい。
また、1分子中に4つ以上の官能基を有する多官能単量体は、ペンタエリスリトール誘導体であることが透過率の維持、および表面硬度の点で好ましい。
多官能単量体(C)の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分の合計100重量%中、5〜80重量%の量で用いることが好ましい。この場合、5重量%より多官能単量体(C)が少ないと、硬度アップ効果が得られ難く、80重量%より多いと透過率の低下、現像パターニング性の悪化が起こる場合がある。より好ましくは、10〜50重量%である。
《一般式(1)で表される多官能単量体(C1)》
4つ以上の官能基を持つ多官能単量体(C)としては、例えば、下記一般式(1)で表される多官能単量体であることが好ましい。
一般式(1):

[一般式(1)において、nは0〜5の整数であり、R1は水素原子またはメチル基であり、R2はアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、および(メタ)アクリロイルオキシ基からなる群より選ばれるいずれかである。ただし、n=0の場合、R2は(メタ)アクリロイルオキシ基である。]
一般式(1)で表される化合物の中でも、R2は(メタ)アクリロイルオキシ基、nが1〜6であることが、表面硬度の点において好ましく、nが2〜4であることが、表面硬度と現像パターニングの点において特に好ましく、nが2であることが最も好ましい。
一般式(1)で表される化合物であるものとしては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる化合物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと四塩基酸二無水物を反応させて得られる化合物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと多官能エポキシ化合物を反応させて得られる化合物等を挙げることができる。
多官能イソシアネートの具体例としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。
また、四塩基酸二無水物の具体例としては、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセリンビス(アンヒドロトリメリテートモノアセテート)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロヘキシセンテトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。
また、多官能エポキシ化合物の具体例としては、トリス(グリシジルフェニル)メタン、トリグリシジルイソシアヌレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラック型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
一般式(1)で表される化合物の中でも、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、ペンタペンタエリスリトールウンデカ(メタ)アクリレート、またはペンタペンタエリスリトールドデカ(メタ)アクリレートが好ましい。
これらのなかでも、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレートが最も好ましく、その他のものを混合して含むものであっても良い。
このような多官能単量体(C1)として市販品では、例えば、アロニックスM402(ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、ビスコート#802(トリペンタエリスリトールオクタアクリレート、テトラペンタエリスリトールデカアクリレート、およびペンタペンタエリスリトールドデカアクリレートの混合物、大阪有機化学工業株式会社製)を挙げることができる。
多官能単量体(C1)の含有量としては多官能単量体(C)中、20〜100重量%の量で用いることが好ましい。この場合、20重量%より多官能単量体(C1)が少ないと、表面硬度アップ効果が得られにくい。より好ましくは、40〜100重量%である。
《その他の多官能単量体》
本発明においては、4つ以上の官能基を有する多官能単量体以外の、その他の多官能単量体を含んでいても良い。
その他の多官能単量体としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル等が挙げられる。
また、酸性基を有する多官能単量体を含んでも良く、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類とのエステル化物等を挙げることができる。具体例としては、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート等のモノヒドロキシオリゴアクリレートまたはモノヒドロキシオリゴメタクリレート類と、マロン酸、こはく酸、グルタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸類との遊離カルボキシル基含有モノエステル化物;プロパン−1,2,3−トリカルボン酸(トリカルバリル酸)、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸、ベンゼン−1,3,4−トリカルボン酸、ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸等のトリカルボン酸類と、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のモノヒドロキシモノアクリレートまたはモノヒドロキシモノメタクリレート類との遊離カルボキシル基含有オリゴエステル化物等を挙げることができる。
また、下記一般式(15)により表わされる化合物も好ましく使用できる。
一般式(15):
(HC=C(R11)COO)−X−(OCOCH(R11)CHS(R12)COOH)
[一般式(15)中、R11は水素原子またはメチル基、R12は炭素数1〜12の炭化水素基、Xは(k+q)価の炭素数3〜60の有機基、kは2〜18の整数、qは1〜3の整数を示す。]
ここで、一般式(15)で表される化合物は、例えば、以下の方法により容易に得ることができる。
(1)Xで表される有機基を与える化合物をアクリル酸とエステル化してアクリル化させた後、得られた化合物にメルカプト化合物を付加させる方法
(2)Xで表される有機基を与える化合物をポリイソシアネート化合物で変性させた後、得られた化合物に水酸基を有するアクリレート化合物でアクリル化させた後、得られた化合物にメルカプト化合物を付加させる方法
(3)Xで表される有機基を与える化合物をアクリル酸とエステル化してアクリル化させた後、ポリイソシアネート化合物で変性させ、得られた化合物にメルカプト化合物を付加させる方法。
Xで表される有機基を与える化合物としては、ペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールのカプロラクトン変性物、ペンタエリスリトールのポリイソシアネート変性物、及びジペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールのカプロラクトン変性物、ジペンタエリスリトールのポリイソシアネート変性物を挙げることができる。
メルカプト化合物としては、例えば、メルカプト酢酸、2-メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、o−メルカプト安息香酸、2−メルカプトニコチン酸、メルカプトコハク酸などが挙げられる。
<無機微粒子(D)>
無機微粒子(D)は、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アンチモン、および酸化セリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属酸化物微粒子を含むものである。
このなかでも、無機微粒子が、酸化チタンの微粒子であることが特に好ましい。
無機微粒子は、分散性が比較的良好であることから、これらを用いることで屈折率の高い塗膜を得ることが出来る。
無機微粒子としては、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化鉄(Fe2O3、FeO、Fe3O4)、酸化銅(CuO、Cu2O)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化モリブデン(MoO3)、酸化インジウム(In2O3、In2O)、酸化スズ(SnO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化タングステン(WO3、W2O5)、酸化鉛(PbO、PbO2)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化セリウム(CeO2、Ce2O3)、酸化アンチモン(Sb2O5、Sb2O5)、酸化ゲルマニウム(GeO2、GeO)等の金属酸化物微粒子、窒化珪素、窒化ホウ素などの窒化物等がある。また、チタン酸バリウムなどのチタン酸塩、チタン/ケイ素複合酸化物、イットリウム安定化ジルコニアなど、2種以上の金属元素から構成される複合酸化物なども使用することが出来る。
本発明の無機微粒子は、これらのうち、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アンチモン、および酸化セリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属酸化物微粒子を含むものである。
無機微粒子としては、金属酸化物に異種の元素がドープされた化合物も使用することが出来る。このような化合物としては、タンタルドープ酸化チタンや、ニオブドープ酸化チタン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用しても良いし、2種以上を混合して使用することも出来る。
このような複合酸化物は、多成分の元素からなる化合物や固溶体だけではなく、核となる金属酸化物微粒子の周囲を他の金属元素で構成される金属酸化物で被覆したコアシェル構造を有するもの、1個の金属酸化物微粒子の中に他の複数の金属酸化物微粒子が分散しているような多成分分散型の構造を有するものを包含する。
上記、無機微粒子は、単独で使用しても良いし、2種以上を混合して使用することも出来る。
本発明においては、上記無機微粒子は、表面処理されているものであっても良い。表面処理とは、微粒子表面に存在する水酸基と反応し得る化合物を結合させる処理を言う。このような表面処理は、無機微粒子を溶媒に分散させ、加熱や酸性条件下で表面処理剤を混合し、作用させることにより行うことが出来る。
表面を疎水化する表面処理剤としては、特に限定されないが、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸などの脂肪族系、脂肪族石鹸などの界面活性剤系、後述するカップリング剤、シリコーン化合物またはフッ素化合物等を用いるものがある。
シリコーン化合物としては、ジメチコン、メチコン、アルキル変性シリコーン、シリコーンレジンなどが挙げられる。
フッ素化合物としては、フッ素変性アルキル化合物およびフッ素変性シリコーン化合物が挙げられ、例えばパーフルオロアルキルリン酸エステルとその塩、パーフルオロアルキルシラン、パーフルオロアルキルカルボン酸などがを含む。またフッ素化合物とともにアクリル酸アルキルや(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマーなどと併用した疎水化処理を施してもよい。
一般に、無機微粒子の製造方法としては、大きく分けると固相法、液相法、気相法の3種類が知られている。ナノサイズの微粒子を得る方法としては、液相法あるいは気相法が一般的に使用される。液相法は、溶液中で化学反応を生じさせ、結晶を成長させ微粒子を得るゾルゲル法や水などの液体を媒体として液体媒体中にて結晶を機械的に粉砕する機械粉砕法があげられる。気相法は、レーザー熱分解法、燃焼法、プラズマ蒸化法、噴霧燃焼法、ガス化燃焼法、瞬間気相生成法などがあげられ、気相中で反応を生じさせ、無機微粒子を合成する方法を言う。
無機微粒子の平均一次粒子径は、1nm〜1000nmが好ましく、3nm〜100nmがさらに好ましく、5nm〜30nmが特に好ましい。平均一次粒子径が1000nmを超えると、硬化物としたときの透明性が低下したり、被膜としたときの表面状態が悪化する傾向がある。また、粒子の分散性を改良するために各種の界面活性剤やアミン類を添加してもよい。
無機微粒子の平均一次粒子径は、透過型(TEM)電子顕微鏡を使用して、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で測定する。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその無機微粒子の一次粒子の粒径とする。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積(重量)を、求めた粒径の立方体と近似して求め、体積平均粒径を平均一次粒子径とする。
無機粒子は、有機溶媒分散物として用いるのが好ましい。有機溶媒分散物として用いる場合、他の成分との相溶性、分散性の観点から、分散媒は、有機溶剤が好ましい。このような有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類; アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類; 酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類; エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類; ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類; ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。中でも、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレンが好ましい。
(チタン)
本発明に特に好ましく用いられるチタンの酸化物微粒子分散液として市販されている商品としては、SA−TTO−S−4(10%)MiBrid Powder(ジメチコンで疎水化処理した微粒子(30nm)酸化チタン)(三好化成株式会社製)、MT−02(メチコンで疎水化処理した微粒子(20nm)酸化チタン)(テイカ株式会社製)、MT−01(酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム及びステアリン酸で疎水化処理した微粒子(10nm)酸化チタン)(テイカ株式会社製)、MT−10EX(酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム及びイソステアリン酸で疎水化処理した微粒子(10nm)酸化チタン)(テイカ株式会社製)、MT−100TV(酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム及びステアリン酸で疎水化処理した微粒子(15nm)酸化チタン)(テイカ株式会社製)、MT−100Z(酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム及びステアリン酸で疎水化処理した微粒子(15nm)酸化チタン)(テイカ株式会社製)、MT−150EX(酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム及びイソステアリン酸で疎水化処理した微粒子(15nm)酸化チタン)(テイカ株式会社製)、MTY−02(酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化珪素、水酸化珪素及びシリコーンオイルで疎水化処理した微粒子(10nm)酸化チタン)(テイカ株式会社製)、MTY−110M3S(酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化珪素、水酸化珪素及びシリコーンオイルで疎水化処理した微粒子(10nm)酸化チタン)(テイカ株式会社製)、MT−500SAS(酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化珪素、水酸化珪素及びシリコーンオイルで疎水化処理した微粒子(30nm)酸化チタン)(テイカ株式会社製)、MTY−700BS(シリコーンオイルで疎水化処理した微粒子(80nm)酸化チタン)(テイカ株式会社製)、STR−60C−LP(alumina及びorganopolysiloxaneで疎水化処理した微粒子(30×90nm)酸化チタン)(堺化学工業株式会社製)、STR−100C−LP(alumina及びorganopolysiloxaneで疎水化処理した微粒子(20×100nm)酸化チタン)(堺化学工業株式会社製)、STR−100A−LP(D.silica、alumina及びorganopolysiloxaneで疎水化処理した微粒子(20×100nm)酸化チタン)(堺化学工業株式会社製)、D−962(堺化学工業株式会社製)、ナノテック(シーアイ化成株式会社製)、等が挙げられる。その他、チタニウムの酸化物微粒子分散液は特許4692630号記載の方法で得ることができる。
(ジルコニア)
本発明に好ましく用いられるジルコニアの酸化物微粒子分散液として市販されている商品としては、日産化学工業(株)製ZR−40BL、ZR−30BS、ZR−30AL、ZR−30AH等、住友大阪セメント(株)製HXU−110JCを挙げることができる。その他、ジルコニアの酸化物微粒子分散液は特許4692630号記載の方法で得ることができる。
(アンチモン)
本発明に好ましく用いられるアンチモンの酸化物微粒子分散液として市販されている商品としては、日産化学工業(株)製セルナックスCX−Z330Hを挙げることができる。
(セリウム)
本発明に好ましく用いられるセリウムの酸化物微粒子分散液として市販されている商品としては、SI01−5 セリガードSC6832(メチコンで疎水化処理した微粒子(35nm)酸化セリウム)(大東化成工業株式会社製)等が挙げられる。
その他、併用することのできる無機微粒子分散液として市販されている商品を以下に示す。
(アルミニウム)
本発明に用いられるアルミニウムの酸化物微粒子分散液として市販されている商品としては、日産化学工業(株)製アルミナゾル−100、アルミナゾル−200、アルミナゾル−520、住友大阪セメント(株)製AS−150I、AS−150Tが挙げられる。
(ケイ素)
本発明に用いられるケイ素の酸化物微粒子分散液として市販されている商品としては、日産化学工業(株)製MA−ST−MS、IPA−ST、IPA−ST−MS、IPA−ST−L、IPA−ST−ZL、IPA−ST−UP、EG−ST、NPC−ST−30、MEK−ST、MEK−ST−L、MIBK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等、触媒化成工業(株)製中空シリカCS60−IPA等を挙げることができる。また粉体シリカとしては、日本アエロジル(株)製アエロジル130、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600、アエロジルOX50、旭硝子(株)製シルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122、日本シリカ工業(株)製E220A、E220、富士シリシア(株)製SYLYSIA470、日本板硝子(株)製SGフレ−ク等を挙げることができる。
(亜鉛)
本発明に用いられる亜鉛の酸化物微粒子分散液として市販されている商品としては、MZ−505S((ジメチコン/メチコン)コポリマーで疎水化処理した微粒子(30nm)酸化亜鉛)(テイカ株式会社製)、FINEX−K2−LP2((ジメチコン/メチコン)コポリマーで疎水化処理した微粒子(30nm)酸化亜鉛)(堺化学工業株式会社製)、Z−COTE HP1(ジメチコンで疎水化処理した微粒子(25nm)酸化亜鉛)(BASF社製)、SAMTUFZO−450(13%)(ジメチコン及びミリスチン酸で疎水化処理した微粒子(40nm)酸化亜鉛)(三好化成株式会社製)、SAS−UFZO−450(13%)(ジメチコン及びメチコンで疎水化処理した微粒子(40nm)酸化亜鉛)(三好化成株式会社製)、MZY−303S(シリコーンオイルで疎水化処理した微粒子(35nm)酸化亜鉛)(テイカ株式会社製)、MZ−306X(シリコーンオイルで疎水化処理した微粒子(35nm)酸化亜鉛)(テイカ株式会社製)、MZY−505S(シリコーンオイルで疎水化処理した微粒子(25nm)酸化亜鉛)(テイカ株式会社製)、MZY−510M3S(シリコーンオイルで疎水化処理した微粒子(25nm)酸化亜鉛)(テイカ株式会社製)、MZ−506X(シリコーンオイルで疎水化処理した微粒子(25nm)酸化亜鉛)(テイカ株式会社製)、MZ−510HPSX(酸化珪素、水酸化珪素及びシリコーンオイルで疎水化処理した微粒子(25nm)酸化亜鉛)(テイカ株式会社製)、FINEX−30S−LP2(organopolysiloxaneで疎水化処理した微粒子(35nm)酸化亜鉛)(堺化学工業株式会社製)、FINEX−30W−LP2(D.silica及びorganopolysiloxaneで疎水化処理した微粒子(35nm)酸化亜鉛)(堺化学工業株式会社製)、FINEX−50S−LP2(organopolysiloxaneで疎水化処理した微粒子(20nm)酸化亜鉛)(堺化学工業株式会社製)、FINEX−50W−LP2(D.silica及びorganopolysiloxaneで疎水化処理した微粒子(20nm)酸化亜鉛)(堺化学工業株式会社製)、ナノテック(シーアイ化成株式会社)等が挙げられる。
無機微粒子(D)の添加量は感光性樹脂組成物における固形分合計100重量%中、10〜80重量%が好ましく、20〜60重量%がさらに好ましく、30〜50重量%が特に好ましい。添加量が10重量%未満である場合は硬度、屈折率の向上などの効果が得られにくく、一方で80重量%を超える場合は、現像パターニング性が低下するなどの問題が起こることがある。
《分散剤》
また、無機微粒子を粉体で用いる場合には、これを分散するためにアクリル系分散剤やポリエステル分散剤を使用しても良い。
一般に、分散剤は無機微粒子に吸着する部位と、無機微粒子担体や分散媒である溶剤に親和性の高い部位との構造を持ち合わせ、この2つの部位のバランスで分散剤の性能が決まる。つまり、分散性を発現させるためには、分散剤の無機微粒子に吸着する性能と分散媒である溶剤への親和性がともに非常に重要である。
なかでもポリエステル分散剤は、無機微粒子表面への吸着能が高く、高い透明性と良好な現像パターニング性を得ることができるために好ましいものであり、ポリエステル骨格を有していれば、制限がない。
ポリエステル分散剤のなかでも、酸性基を有する分散剤であることが好ましく、特に、芳香族カルボキシル基を有する酸性樹脂型分散剤が好ましい。なかでも、片末端に水酸基を有する重合体と、芳香族トリカルボン酸無水物及び/又は芳香族テトラカルボン酸二無水物とを反応させてなる分散剤であることが最も好ましい。このような樹脂型分散剤としては、例えば、特許第4020150号明細書、特開2007−140487号公報、国際公開2008/007776号パンフレット、特開2010−163500号公報や特開2010−223988号公報等に開示されており、流動性と分散性の両立といった優れた効果を発揮する。
無機微粒子への吸着性の観点から、芳香族環を2つ以上有するテトラカルボン酸二無水物は、適した骨格であり、分散安定性にも優れることから好ましい。
特開2007−140487号公報等に記載の好ましい樹脂型分散剤としては、下記式で示されるポリエステル分散剤が挙げられる。
(HOOC−)−R54−(−COO−[−R56−COO−]−R55
[式中、R54は4価のテトラカルボン酸化合物残基、R55はモノアルコール残基、R56ラクトン残基、mは2または3、qは1〜50の整数、tは(4−m)を表す。]
また、WO2008/007776号パンフレット等に記載されている好ましい樹脂型分散剤としては、ポリオール(a)の水酸基と、ポリカルボン酸無水物(b)の酸無水物基を反応させてなる、ポリオール部位(A)とポリカルボン酸部位(B)を交互に有するポリエステル分散剤において、ポリオール部位(A)の一部又は全部が、S原子を介して、エチレン性不飽和単量体(c)をラジカル重合してなるビニル重合体部位(C)を有するポリエステル分散剤が上げられる。
このとき、主鎖のポリカルボン酸部位(B)が無機微粒子吸着基として、側鎖のビニル重合体部位(C)が無機微粒子担体親和基として、作用する。
ポリエステル分散剤は、ビニル重合体部位(C)を形成するエチレン性不飽和単量体(c)を、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物(a1)の存在下、ラジカル重合してなる片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a2)を少なくとも含むポリオール(a3)中の水酸基と、テトラカルボン酸二無水物(b1)を少なくとも含むポリカルボン酸無水物(b)中の酸無水物基とを反応させることによって得られる。
また、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(a1)を少なくとも含むポリオール(a4)中の水酸基と、テトラカルボン酸二無水物(b1)を少なくとも含むポリカルボン酸化合物(b)中の酸無水物基とを反応させてなるポリエステル(D)の存在下、ビニル重合体部位(C)を形成するエチレン性不飽和単量体(c)をラジカル重合することによっても得られる。
上記ポリエステル分散剤で用いられるエチレン性不飽和単量体(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート等、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド、およびN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類、及びこれらの混合物があげられる。
さらに本発明においては、上記に例示したエチレン性不飽和単量体の中でも、無機微粒子分散性の観点から、下記一般式(16)で表わされる単量体を使用できる。下記一般式(16)で表される単量体の使用量は、単量体全体に対して5重量%以上含まれることが好ましい。5重量%未満では溶剤に対する親和性の効果はなくなる。無機微粒子の分散性と現像耐性のバランスの観点から、10〜40重量%がより好ましく、15〜35重量%が最も好ましい。
一般式(16):

[一般式(16)中、R32は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状若しくは環状アルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよいフェニル基又は、下記一般式(16)で表される化合物であり、R31は、水素原子、又はメチル基である。]
一般式(17):

[一般式(17)中、R33は、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状アルキレン基であり、R34は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状若しくは環状アルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルケニル基、又は、置換基を有していてもよいフェニレン基であり、nは、1〜30の整数である。]
本発明に使用する分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物としては、例えば、1−メルカプト−1,1−メタンジオール、1−メルカプト−1,1−エタンジオール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール(チオグリセリン)、2−メルカプト−1,2−プロパンジオール、2−メルカプト−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メルカプト−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1−メルカプト−2,2−プロパンジオール、2−メルカプトエチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メルカプトエチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、等が挙げられる。
上記ポリエステル分散剤で用いられる片末端に2つの水酸基を有し、かつビニル重合体部位のビニル重合体は、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物を、目的とするビニル重合体の分子量にあわせて、1種類以上のエチレン性不飽和単量体と、任意に重合開始剤とを混合して加熱することで得ることができる。2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物は、エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、0.5〜30重量部を用い、塊状重合または溶液重合を行うのが好ましく、より好ましくは3〜12重量部、さらに好ましくは4〜12重量部、特に好ましくは5〜9重量部である。0.5重量部未満であると、ビニル重合体部位の分子量が高すぎて、無機微粒子担体および溶剤に対する親和性部位として、その絶対量が増えてしまい、分散性の効果自体が低下する場合があり、30重量%を超えると、ビニル重合体部位の分子量が低すぎて、無機微粒子担体および溶剤に対する親和性部位として、その立体反発の効果がなくなると共に、無機微粒子の凝集を抑えることが困難になる。
本発明に使用するポリカルボン酸無水物は、少なくともテトラカルボン酸二無水物を含んでいる。テトラカルボン酸二無水物の二つの無水物基は、ポリオールの水酸基と反応することによって、ポリエステル分散剤の主鎖に無機微粒子吸着基となるカルボキシル基を規則的に並べることができ、無機微粒子分散に有利である。
上記ポリエステル分散剤で用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−メチル−1−ナフタレンコハク酸二無水物、などの芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
本発明で使用されるテトラカルボン酸二無水物は上記に例示した化合物に限らず、カルボン酸無水物基を2つ持てばどのような構造をしていてもかまわない。これらは単独で用いても、併用してもかまわない。テトラカルボン酸二無水物は、ポリオールとの反応により、ポリエステルの一単位に二個のカルボキシル基を有する分散剤を形成するため、無機微粒子吸着性の観点から、ポリエステル分散剤の構成要素として好ましい。
さらに、本発明に好ましく使用されるものは、無機微粒子に対する吸着性の観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物であり、さらに好ましくは、芳香族環を二つ以上有するテトラカルボン酸二無水物である。芳香族カルボン酸は、脂肪族カルボン酸に比べて無機微粒子吸着能が高く、さらに、芳香族環を二つ以上有するカルボン酸は、無機微粒子吸着に適した骨格であり、耐熱性も高い。
<溶剤(E)>
溶剤としては、例えば1,2,3−トリクロロプロパン、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、N−メチルピロリドン、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジイソブチルケトン、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、p−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、m−ジエチルベンゼン、p−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、シクロヘキサノール、シクロヘキシルアセテート、メチルシクロヘキサノール等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
中でも無機微粒子の分散性安定性の観点から、1,3−ブチレングリコールジアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノールアセテートが好ましい。
溶剤(E)は、感光性樹脂組成物中の固形分合計100重量部に対して、200〜4000重量部の量で用いることができる。
<レベリング剤(F)>
本発明の感光性樹脂組成物には、透明基板上での組成物のレベリング性をよくするため、レベリング剤(F)を添加することが好ましい。一般にレベリング剤は、主鎖にポリエーテル構造又はポリエステル構造を有するジメチルシロキサンがある。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ−2122、ビックケミー社製BYK−330、BYK−323、BYK−348などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、感光性樹脂組成物の合計100重量%中、0.003〜0.5重量%用いることが好ましい。
主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの中でも、下記一般式(2)で表されるレベリング剤であることが好ましい。
一般式(2):

[一般式(2)において、mは1〜10の整数であり、pは5〜30の整数であり、Xはアルキレン基、Yはアルキル基である。]
一般式(2)で表されるレベリング剤を含むことで、無機微粒子と樹脂の相溶性が良化し、塗液の白濁を良化することができる。
具体例としては、ビックケミー社製BYK−348などが挙げられる。
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。
レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
レベリング剤は、感光性樹脂組成物の固形分の合計100重量%中、0.1〜10重量%の量で用いることが好ましい。0.1重量%未満では添加量が少ないために相溶性改善効果が得られにくく、10重量%を超える場合は感光性樹脂組成物中の樹脂や多官能単量体、光重合開始剤などが相対的に減少するため、硬度や現像パターニング性などの特性が悪化する傾向がある。
<酸化防止剤(G)>
本発明の感光性樹脂組成物は、酸化防止剤(G)を含有することが好ましい。酸化防止剤(G)は、加熱工程を経ることによる黄変等による透過率の低下を抑制することができる。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の黄変を防止し、透過率の高い塗膜を得る事ができる。
本発明における「酸化防止剤」とは、紫外線吸収機能、ラジカル補足機能、または、過酸化物分解機能を有する化合物であればよく、具体的には、酸化防止剤としてヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒドロキシルアミン系、サルチル酸エステル系、およびトリアジン系の化合物があげられ、公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤等が使用できる。本発明の酸化防止剤(G)は、塗膜の透過率と感度の両立の観点から、とくにフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤およびイオウ系酸化防止剤が好ましい。フェノール系のなかでも特に、立体障害性の高いヒンダードフェノール系酸化防止剤がより好ましい。
[フェノール系酸化防止剤]
例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、トリエチレングリコール−ビス{3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,6−ヘキサンジオール−ビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンゼンなどが挙げられ、単独又は2種以上を使用してもよい。
なかでも、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、及びトリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレートからなる群から選ばれるヒンダードフェノール系酸化防止剤は、光硬化性の面から好ましい。
[リン系酸化防止剤]
リン系酸化防止剤としては、市販されているものを使用できるが、トリス[2,4−ジ−(tert)−ブチルフェニル]ホスフィントリス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2−[(4,6,9,11−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−2−イル)オキシ]エチル]アミン、亜りん酸エチルビス(2,4−ジtert−ブチル−6−メチルフェニル)が挙げられ、これらからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましく、これらは1種又は2種以上を使用することができる。
[イオウ系酸化防止剤]
イオウ系酸化防止剤は分子中にイオウを含む酸化防止剤である。このような含イオウ系酸化防止剤としては市販されているものを使用できるが、3,3’−チオジプロパン酸ジオクタデシル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジパルミチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、4,4’−チオビス−3−メチル−6−tert−ブチルフェノール、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が挙げられ、これらからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましく、これらは1種又は2種以上を使用することができる。
これらの酸化防止剤(G)は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
酸化防止剤(G)の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分合計100重量%中、0.1重量%以上4重量%以下であることが好ましい。0.1重量%より少ない場合は、酸化防止剤(G)が不足するため黄変防止効果が得られにくく、4重量%より多い場合には紫外線露光時に発生するラジカルを補足してしまうため、感光性樹脂組成物の硬化が不十分となることがある。
<着色剤(H)>
本発明の感光性樹脂組成物は、着色剤(H)を用いることにより、パネルとした場合の色度を調整するために、感光性樹脂組成物の色相を補正することができる。
とくに、塗膜の形成工程、および感光性樹脂組成物の構成成分によっては、塗膜が黄味の色相にずれる場合があり、このような場合には、着色剤の展開により、色相調整を行うことにより、より優れた保護膜およびタッチパネル用絶縁膜を形成する事ができるために好ましい。
着色剤(H)としては、無機顔料および有機顔料等の顔料(H1)および油溶性染料、酸性染料、直接染料、塩基性染料、媒染染料、酸性媒染染料等の染料(H2)が挙げられ、耐熱性の点で顔料(H1)が好ましい
着色剤(H)のなかでも、顔料(H1)は、色度シフトを補正する効果が大きく、なかでも赤色顔料、青色顔料、および紫色顔料からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む場合、塗膜の色相を適正な色度範囲とすることが容易となり、より優れた保護膜およびタッチパネル用絶縁膜を形成する事ができるために好ましい。
例えば、感光性樹脂組成物が酸化物微粒子(D)を含有する場合、酸化物微粒子(D)の種類、含有量等にもよるが、色相について、a*が−0.7〜−0.01程度、b*が+0.01〜2.4程度シフトする場合がある。
このような場合、感光性樹脂組成物の色相がa*<0,b*>0となるため、色相をa*=0、b*=0とするために、赤味(a*が+方向)かつ青味(b*が−方向)へ色相を調整するために、赤顔料、青顔料、および紫顔料からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む顔料を用いることが好ましく、紫顔料、あるいは青色顔料と赤色顔料を用いた場合、より色相に優れた塗膜とすることができるために好ましい。
また着色剤(H)の含有量は、樹脂組成物の全固形分合計100重量%中、0.001重量%以上、1重量%未満が好ましい。含有量が0.001重量%以上であれば、充分な色度調整の効果が得られ、また1重量%以下だと、色度調整の効果が充分であり、かつ透過率の低下もなく、好ましいものである。
[顔料(H1)]
顔料(H1)としては、有機または無機の顔料を、単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。顔料(H1)のなかでも、発色性が高く、且つ耐熱性の高い顔料、特に有機顔料が好ましい。
また、顔料(H1))のなかでも、赤顔料、青顔料、および紫顔料からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが、塗膜の色相を適正な色度範囲とすることが容易となり、好ましい。
以下に、本発明の感光性樹脂組成物に好ましく用いることのできる有機顔料の具体例を、カラーインデックス番号で示すが、これらに制限されるものではない。
赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276などを挙げることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、206、207、209、224、242、または254であり、更に好ましくはC.I.ピグメントレッド177、209、224、242、または254である。
青色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79などを挙げることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、または15:6であり、更に好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6である。
紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50などを挙げることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、または23であり、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23である。
緑色顔料としては、例えばC.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55または58を挙げることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36または58である。
黄色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208などを挙げることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180、または185であり、更に好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、または180である。
《顔料(H1)の微細化》
本発明の感光性樹脂組成物に使用する顔料(H1)は、微細化して用いることが好ましい。微細化方法は特に限定されるものではなく、例えば湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法いずれも使用でき、本発明で例示するように湿式磨砕の1種であるニーダー法によるソルトミリング処理等を行い微細化することができる。顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)により求められる平均一次粒子径は5〜90nmの範囲であることが好ましい。5nmよりも小さくなると有機溶剤中への分散が困難になり、90nmよりも大きくなると十分なコントラスト比を得ることができない。このような理由から、より好ましい平均一次粒子径は10〜70nmの範囲である。
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料(H1)100重量部に対し、50〜2000重量部用いることが好ましく、300〜1000重量部用いることが最も好ましい。
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤は、顔料(H1)100重量部に対し、5〜1000重量部用いることが好ましく、50〜500重量部用いることが最も好ましい。
顔料をソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、顔料(H1)100重量部に対し、5〜200重量部の範囲であることが好ましい。
顔料分散体を作製するときには、顔料の凝集を防ぎ、顔料が微細に分散した状態を維持するため、顔料誘導体を添加することが好ましい。顔料誘導体の含有量は、顔料100重量部に対し、好ましくは0.5重量部以上、さらに好ましくは1重量部以上、最も好ましくは3重量部以上である。また、耐熱性、耐光性の観点から、顔料(H1)100重量部に対し、好ましくは40重量部以下、最も好ましくは35重量部以下である。
[染料(H2)]
本発明の着色感光性樹脂組成物は、着色剤(H)として染料(H2)も好ましく用いられる。染料(H2)は単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いてもよく、前述の顔料(H1)と併用しても良い。さらに、必要に応じて添加される酸化チタン等、タッチパネル構成部材の色度補正の観点から特に、赤染料、青染料、および紫染料からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
染料(H2)の形態としては、油溶性染料、酸性染料、直接染料、塩基性染料、媒染染料、または酸性媒染染料等の各種染料のいずれかの形態を有するものが挙げられる。
また前記染料をレーキ化して用いる場合や、染料と含窒素化合物との造塩化合物等の形態であっても良い。
染料(H2)としては、一般的に染料と言われるものであれば特に制約はないが、中でも、トリフェニルメタン系染料、ジフェニルメタン系染料、キノリン系染料、チアジン系染料、チアゾール系染料、キサンテン系染料、フラビン系染料、オーラミン系染料、サフラニン系染料、フロキシン系染料、メチレンブルー系染料等を用いることができる。
染料(H2)は、良好な分光特性を有し、発色性に優れるものの、耐光性、耐熱性に問題があり、高い信頼性が要求されるタッチパネルの構成部材として用いるには、その特性は十分なものではない場合がある。
そのため、これらの欠点を改善するために、塩基性染料の形態の場合は、有機酸や過塩素酸を用いて造塩化した造塩化合物にて用いることが好ましい。有機酸としては、有機スルホン酸、有機カルボン酸を用いることが好ましい。中でもトビアス酸等のナフタレンスルホン酸、過塩素酸を用いることが耐性の面で好ましい。
また、酸性染料、直接染料の形態の場合は、四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、一級アミン化合物等、及びこれらの官能基を有する樹脂成分を用いて造塩化した造塩化合物として用いること、あるいはスルホンアミド化してスルホン酸アミド化合物とした造塩化合物として用いることが耐性の面で好ましい。
<着色剤(H)の添加方法>
着色剤(H)の添加方法としては、着色剤をそのまま本発明の樹脂組成物に添加、または樹脂などの着色剤担体および/または溶剤中に混合した着色組成物として添加等、どのような方法を用いても制限されないが、中でも感光性樹脂組成物の透明性に優れる点で、着色組成物として添加することが好ましい。
着色組成物は、着色剤(H)を、酸性基含有樹脂(A)と、必要により併用することの出来るその他の樹脂として上述した熱可塑性樹脂や、エチレン性不飽和二重結合を有する樹脂等の着色剤担体および/または溶剤中に、好ましくは分散助剤と一緒に、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、またはアトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる(着色剤分散体)。2種以上の着色剤を含む場合には、これらの着色剤等を同時に着色剤担体に分散しても良いし、別々に着色材担体に分散したものを混合しても良い。また、染料等により、着色剤の溶解性が高い場合、具体的には使用する溶剤への溶解性が高く、攪拌により溶解、異物が確認されない状態であれば、上記のような微細に分散して製造する必要はない。
(分散助剤)
着色剤を着色剤担体中に分散する際に、適宜、色素誘導体、樹脂型分散剤、界面活性剤等の分散助剤を含有してもよい。分散助剤は、分散後の着色剤の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて着色剤を着色剤担体中に分散してなる着色組成物は、明度、コントラスト比、および粘度安定性が良好になる。
色素誘導体としては、有機顔料、アントラキノン、アクリドンまたはトリアジンに、塩基性置換基、酸性置換基、または置換基を有していても良いフタルイミドメチル基を導入した化合物があげられ、例えば、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報、特開2001−335717号公報、特開2003−128669号公報、特開2004−091497号公報、特開2007−156395号公報、特開2008−094873号公報、特開2008−094986号公報、特開2008−095007号公報、特開2008−195916号公報、特許第4585781号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独または2種類以上を混合して用いることができる。
色素誘導体の含有量は、分散性向上の観点から、着色剤(H)100重量部に対し、好ましくは0.5重量部以上、さらに好ましくは1重量部以上、最も好ましくは3重量部以上である。また、耐熱性、耐光性の観点から、好ましくは40重量部以下、さらに好ましくは35重量部以下である。
樹脂型分散剤は、着色剤に吸着する性質を有する着色剤親和性部位と、着色剤担体と相溶性のある部位とを有し、着色剤に吸着して着色剤の着色剤担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
また、無機微粒子の分散剤として上述した分散剤を用いることもできる。
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミー社製のDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、167、168、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2009、2010、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155、2163、2164またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、6919、21116またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、56000、76500等、チバ・ジャパン社製のEFKA−46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
樹脂型分散剤、界面活性剤を添加する場合には、着色剤(H)100重量部に対し、好ましくは0.1〜55重量部、さらに好ましくは0.1〜45重量部である。樹脂型分散剤、界面活性剤の配合量が、0.1重量部未満の場合には、添加した効果が得られ難く、含有量が55重量部より多いと、過剰な分散剤により分散に影響を及ぼすことがある。
<シランカップリング剤(I)>
本発明の感光性樹脂組成物は、さらにシランカップリング剤を併用してもよい。シランカップリング剤は、無機微粒子の表面処理剤としても、感光性樹脂組成物の密着促進剤としても使用することができる。
無機微粒子の表面処理剤として使用する場合は、無機微粒子の項で記載した効果が期待できる。
感光性樹脂組成物の密着促進剤として使用する場合は、ガラス、ITO等の基材との密着性が向上するために好ましい。
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、(3−カルバメートエチル)プロピルトリエトキシシラン、(3−カルバメートエチル)プロピルトリメトキシシラン、(3−カルバメートエチル)プロピルトリプロパキシシラン、(3−カルバメートプロピル)プロピルトリエトキシシラン、(3−カルバメートプロピル)プロピルトリメトキシシラン、(3−カルバメートプロピル)プロピルトリプロパキシシラン、(3−カルバメートブチル)プロピルトリエトキシシラン、(3−カルバメートブチル)プロピルトリメトキシシラン、(3−カルバメートブチル)プロピルトリプロパキシシラン、(3−カルバメートブチル)ブチルトリプロパキシシラン、(3−カルバメートブチル)プロピルメチルジエトキシシラン、(3−カルバメートペンチル)プロピルトリエトキシシラン、(3−カルバメートヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、(3−カルバメートオクチル)ペンチルトリブトキシシラン、(3−カルバメートエチル)プロピルシリルトリクロライド、(3−カルバメートエチル)プロピルトリメチルシラン、(3−カルバメートエチル)プロピルジメチルシラン、(3−カルバメートエチル)プロピルトリブチルシラン、(3−カルバメートエチル)エチル-p-キシレントリエトキシシラン、(3−カルバメートエチル)-p-フェニレントリエトキシシランなどが挙げられるが、これらに限られない。
これらのシランカップリング剤は、単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
またシランカップリング剤は、上記化合物の加水分解により生じたシラノール化合物であっても、それらが縮合したポリオルガノシロキサン化合物でも良い。
無機微粒子の表面処理剤として用いる場合、好ましくは、反応性官能基を有し、本発明の感光性樹脂組成物の樹脂と共に硬化し、硬化膜、成形体中に無機微粒子を固定化しやすい、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類や3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシシラン類である。
表面処理剤の添加量は、無機微粒子100重量部に対し、好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部である。
感光性樹脂組成物の密着促進剤として用いる場合、好ましくは、反応性官能基を有し、本発明の感光性樹脂組成物の樹脂と共に硬化し、安定性に優れ、ガラス、ITO等の金属基板密着性に優れることから、エポキシシラン類、(メタ)アクリロキシシラン類、またはカルバメートシラン類が好ましく、より好ましくは、
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、
3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロキシシラン類、
(3−カルバメートエチル)プロピルトリエトキシシラン、(3−カルバメートエチル)プロピルトリメトキシシラン、(3−カルバメートエチル)プロピルトリプロパキシシラン、(3−カルバメートプロピル)プロピルトリエトキシシラン、(3−カルバメートプロピル)プロピルトリメトキシシラン、(3−カルバメートプロピル)プロピルトリプロパキシシラン、(3−カルバメートブチル)プロピルトリエトキシシラン、(3−カルバメートブチル)プロピルトリメトキシシラン、(3−カルバメートブチル)プロピルトリプロパキシシラン、(3−カルバメートブチル)ブチルトリプロパキシシラン、(3−カルバメートブチル)プロピルメチルジエトキシシラン、(3−カルバメートペンチル)プロピルトリエトキシシラン、(3−カルバメートヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、(3−カルバメートオクチル)ペンチルトリブトキシシラン、(3−カルバメートエチル)プロピルシリルトリクロライド、(3−カルバメートエチル)プロピルトリメチルシラン、(3−カルバメートエチル)プロピルジメチルシラン、(3−カルバメートエチル)プロピルトリブチルシラン、(3−カルバメートエチル)エチル-p-キシレントリエトキシシラン、(3−カルバメートエチル)-p-フェニレントリエトキシシラン等のカルバメートシラン類
が好ましい。
なかでも、感光性樹脂組成物中に含まれる樹脂との反応性の観点から、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(3−カルバメートエチル)プロピルトリエトキシシラン、または(3−カルバメートエチル)プロピルトリメトキシシランが好ましく、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
またシランカップリング剤の重量平均分子量(Mw)は50以上5000未満であることが、ガラス基材、ITO上、その他の金属膜に対する密着性の点からより好ましく、シランカップリング剤の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分合計100重量%中、1重量%以上30重量%未満であることが、ガラス基材、ITO上、その他の金属膜に対する密着性の点からより好ましい。さらに好ましくは、1重量%以上10重量%未満である。
シランカップリング剤の重量平均分子量(Mw)が、50以上の場合、入手性の観点から好ましく、5000未満の場合、ガラス基材、ITO上、その他の金属膜に対する密着性が良好となるために好ましい。また、含有量が1重量%以上の場合、透明性と現像パターニング性が優れ、30重量%未満の場合、基材への密着性や硬度だけでなく、現像パターニング性にも優れるために好ましい。
<その他の成分>
本発明の感光性樹脂組成物には、その他必要に応じて貯蔵安定剤、光安定剤、酸化防止剤などを使用することもできる。
(貯蔵安定剤)
本発明の感光性樹脂組成物には貯蔵安定剤を含有することができる。貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、トリエチルホスフィン、トリフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、感光性樹脂組成物の合計100重量%中、0.1〜5重量%の量で用いることができる。
<感光性樹脂組成物の製法>
本発明の感光性樹脂組成物は、酸性基を有する樹脂(A)と、光重合開始剤(B)と、4つ以上の官能基を持つ多官能単量体(C)と、無機微粒子(D)と、溶剤(E)等を攪拌・混合して得ることが出来る。
本発明の感光性樹脂組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵、異物の除去を行うことが好ましい。
<<塗膜>>
本発明による感光性樹脂組成物をガラス基材、ITO上、モリブデン上、その他の金属膜上、有機膜上などにスピンコートなどの回転塗布、ダイコートなどの流延塗布、ロールコートによる塗布、ロール転写法による塗布などにより塗膜を形成することができ、印刷法またはフォトリソグラフィー法により、製造することができる。なかでもフォトリソグラフィー法により製造することが好ましい。
フォトリソグラフィー法により塗膜を形成する場合は、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型として調製した感光性樹脂組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ダイコート、ロールコート等の塗布方法により塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去し、硬化塗膜とすることができる。さらに、感光性樹脂組成物の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液が使用され、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記感光性樹脂組成物を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
また、本実施形態の感光性樹脂組成物は、保護膜用途、平坦膜用途、絶縁膜用途、反射防止膜用途、のいずれで使用されても良く、また膜形成もタッチパネル、液晶表示装置、有機EL装置いずれで形成されても良く、高屈折率でかつ良好な現像パターニング性を有するため、保護膜、平坦膜、絶縁膜、または反射防止膜の用途を兼ね備えて使用することが出来る。さらに、反射防止膜として使用する場合、感光性樹脂組成物の屈折率および膜厚は光学設計に応じて、種々の選択が可能であるが、特に屈折率を1.60〜1.80の範囲でかつ、膜厚0.05〜0.5μmで塗工することでさらに反射防止能を向上または骨見え現象を改善することができる。膜厚を1μm以下に薄くする場合は、塗膜硬度がダウンするため、使用目的に応じて適宜調整が必要である。また膜厚を0.5μm以下とすることで干渉縞の軽減効果も得られる。
以下に、実施例により本発明を説明する。なお、実施例中の「部」および「%」とは、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
実施例に先立ち、樹脂の重量平均分子量、樹脂の酸価、および顔料の平均一次粒子径の測定方法、二重結合当量、および水酸基当量の計算方法について説明する。
(樹脂の重量平均分子量)
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC−8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
(樹脂の酸価)
樹脂溶液0.5〜1gに、アセトン80mlおよび水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM−555」平沼産業製)を用いて滴定し、樹脂溶液の酸価(mgKOH/g)を測定した。そして、樹脂溶液の酸価と樹脂溶液の固形分濃度から、樹脂の固形分あたりの酸価を算出した。
(顔料の平均一次粒子径)
平均一次粒子径は、透過型(TEM)電子顕微鏡を使用して、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で測定した。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料一次粒子の粒径とする。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積(重量)を、求めた粒径の立方体と近似して求め、体積平均粒径を平均一次粒子径とした。
(樹脂の二重結合当量)
二重結合当量とは、分子中に含まれる二重結合量の尺度となるものであり、同じ分子量の化合物であれば、二重結合当量の数値が小さいほど二重結合の導入量が多くなる。二重結合当量は下記式により算出した。
[二重結合当量]=[二重結合を持つモノマー成分の分子量]/[二重結合を持つモノマー成分の樹脂中の組成比]
(樹脂の水酸基当量)
水酸基当量とは、分子中に含まれる水酸基量の尺度となるものであり、同じ分子量の化合物であれば、水酸基当量の数値が小さいほど水酸基の導入量が多くなる。水酸基当量は下記式により算出した。
[水酸基当量]=[水酸基を持つモノマー成分の分子量]/[水酸基を持つモノマー成分の樹脂中の組成比]
続いて、実施例および比較例で用いた樹脂溶液、無機微粒子の分散剤、無機微粒子分散液、微細化顔料、および顔料分散体の製造方法について説明する。
<樹脂(A1)溶液の製造方法>
(樹脂溶液(A1−1)の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと略すことがある)100部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管よりベンジルメタクリレート50.0部、メタクリル酸15.8部、メタクリル酸メチル20.0部、アゾビスイソブチロニトリル8.0部の混合物を2.5時間かけて滴下し重合反応を行い、重量平均分子量が約1000の樹脂溶液を得た。不揮発分が40重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して樹脂溶液(A1−1)を調製した。
(樹脂溶液(A1−2〜19)の調製)
樹脂溶液(A1−1)の使用する材料を、表1〜3に記載したものに変更した以外は、樹脂溶液(A1−1)と同様の方法にて合成反応を行い、樹脂溶液(A1−2〜19)を調製した。それぞれの酸価、分子量は、表1〜3に記載した通りである。
(樹脂溶液(A1−20)の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら100℃に加熱して、同温度で滴下管よりベンジルメタクリレート50.0部、メタクリル酸19.3部、メタクリル酸メチル20.0部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5.0部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40部、およびアゾビスイソブチロニトリル3.5部の混合物を2時間かけて滴下し、さらに100℃で5時間撹拌して重合反応を行った。
次にフラスコ内を空気置換し、グリシジルメタクリレート23.2部にジメチルベンジルアミン1.0部、およびメトキノン0.1部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30部に溶解して投入し、110℃で6時間反応を続け固形分酸価=60mgKOH/gとなったところで反応を終了し、重量平均分子量が約10000の樹脂溶液を得た。不揮発分が40重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して樹脂溶液(A1−20)を調製した。
(樹脂溶液(A1−21〜27)の調製)
樹脂溶液(A1−20)の組成、および配合量(重量部)を、表3、表4に記載したものに変更した以外は、樹脂溶液(A1−20)と同様の方法にて合成反応を行い、樹脂溶液(A1−21〜27)を調製した。それぞれの酸価、分子量は、表3、表4に記載した通りである。
(樹脂溶液(A1−28)の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管よりスチレン10.4部、グリシジルメタクリレート35.5部、ジシクロペンタニルメタクリレート20.8部、アゾビスイソブチロニトリル3.5部の混合物を2.5時間かけて滴下し重合反応を行った。
次にフラスコ内を空気置換し、アクリル酸18.0部にジメチルベンジルアミン1.0部、およびメトキノン0.1部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30部に溶解して投入し、120℃で5時間反応を続け固形分酸価=0.8mgKOH/gとなったところで反応を終了した。
さらにテトラヒドロ無水フタル酸31.6部、トリエチルアミン0.8部を加え120℃で4時間反応させ、重量平均分子量が約10000の樹脂溶液を得た。不揮発分が40重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して樹脂溶液(A1−28)を調製した。
(樹脂溶液(A1−29)の調製)
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、他方、モノマー滴下槽として、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート30部、メタクリル酸22.7部、メタクリル酸ベンジル30部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂製「パーブチルO」)4部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部をよく攪拌混合したものを準備し、連鎖移動剤滴下槽として、n−ドデカンチオール8部、PGMEA32部をよく攪拌混合したものを準備した。
反応槽にPGMEA30部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー滴下槽および連鎖移動剤滴下槽から滴下を開始した。滴下は、温度を90℃に保ちながら、それぞれ135分間かけて行った。滴下が終了してから60分後に昇温を開始して反応槽を110℃にした。3時間110℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=5/95(体積比)混合ガスのバブリングを開始した。次いで、反応槽に、メタクリル酸グリシジル26.4部、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)0.4部、トリエチルアミン0.8部を仕込み、そのまま110℃で9時間反応させた。その後、PGMEA30部を加えて室温まで冷却し、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が40重量%になるようにPGMEAを添加して樹脂溶液(A1−29)を得た。樹脂の重量平均分子量は10000、固形分当たりの酸価は80mgKOH/gであった。また二重結合当量は800、水酸基当量は800であった。
(樹脂溶液(A1−30)の調製)
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、他方、モノマー滴下槽として、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート30部、メタクリル酸22.7部、メタクリル酸シクロヘキシル30部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂製「パーブチルO」)4部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下「PGMEA」と称する場合がある)100部をよく攪拌混合したものを準備し、連鎖移動剤滴下槽として、n−ドデカンチオール8部、PGMEA32部をよく攪拌混合したものを準備した。 反応槽にPGMEA30部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー滴下槽および連鎖移動剤滴下槽から滴下を開始した。滴下は、温度を90℃に保ちながら、それぞれ135分間かけて行った。滴下が終了してから60分後に昇温を開始して反応槽を110℃にした。3時間110℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=5/95(体積比)混合ガスのバブリングを開始した。次いで、反応槽に、メタクリル酸グリシジル26.4部、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)0.4部、トリエチルアミン0.8部を仕込み、そのまま110℃で9時間反応させた。その後、PGMEA30部を加えて室温まで冷却し、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が40重量%になるようにPGMEAを添加して樹脂溶液(A1−30)を得た。樹脂の重量平均分子量は10000、固形分当たりの酸価は80mgKOH/gであった。また二重結合当量は800、水酸基当量は800であった。
<その他の樹脂(A2)溶液の製造方法>
(樹脂溶液(A2−1〜3)の調製)
樹脂溶液(A1−1)の組成、および配合量(重量部)を、表3に記載したものに変更した以外は、樹脂溶液(A1−1)と同様の方法にて合成反応を行い、樹脂溶液(A2−1〜3)を調製した。それぞれの酸価、分子量は、表4に記載した通りである。
(樹脂溶液(A2−4)の調製)
樹脂溶液(A1−20)の組成、および配合量(重量部)を、表3に記載したものに変更した以外は、樹脂溶液(A1−20)と同様の方法にて合成反応を行い、樹脂溶液(A2−4)を調製した。それぞれの酸価、分子量は、表4に記載した通りである。
(樹脂溶液(A2−5)の調製)
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、他方、モノマー滴下槽として、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート30部、メタクリル酸10部、メタクリル酸メチル28.6部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂製「パーブチルO」)4部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下「PGMEA」と称する場合がある)100部をよく攪拌混合したものを準備し、連鎖移動剤滴下槽として、n−ドデカンチオール8部、PGMEA32部をよく攪拌混合したものを準備した。
反応槽にPGMEA30部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー滴下槽および連鎖移動剤滴下槽から滴下を開始した。滴下は、温度を90℃に保ちながら、それぞれ135分間かけて行った。滴下が終了してから60分後に昇温を開始して反応槽を110℃にした。3時間110℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=5/95(体積比)混合ガスのバブリングを開始した。次いで、反応槽に、メタクリル酸グリシジル31.2部、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)0.4部、トリエチルアミン0.8部を仕込み、そのまま110℃で9時間反応させた。その後、PGMEA30部を加えて室温まで冷却し、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が40重量%になるようにPGMEAを添加して樹脂溶液(A2−5)を得た。樹脂の重量平均分子量は15000、固形分当たりの酸価は120mgKOH/gであった。また二重結合当量は600、水酸基当量は600であった。
表1〜4中の略語を下記に記す。
St:スチレンメタクリレート
PEA:フェノキシエチルアクリレート
BzMA:ベンジルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
MMA:メタクリル酸メチル
HEMA;2−ヒドロキシエチルメタクリレート
M−110:パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製アロニックスM110)
GMA:グリシジルメタクリレート
THP−DM:ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
BMA;n−ブチルメタクリレート
DCPMA:ジシクロペンタニルメタクリレート
パーブチルO:t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂製「パーブチルO」)
THPA:テトラヒドロ無水フタル酸
AA:アクリル酸
<無機微粒子(D)の分散剤の製造方法>
(分散剤1)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、および攪拌機を備えた反応容器に、1−ドデカノール62.6部、ε−カプロラクトン287.4部、および触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。固形分測定により98%が反応したことを確認し第一の工程を終了した。この反応生成物の重量平均分子量は2000であった。
上記反応生成物にピロメリット酸二無水物36.6部を追加し100℃で5時間反応させた。酸価の測定で97%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し第二の工程を終了した。シクロヘキサノンで固形分調整することにより不揮発分50重量%の溶液を調整し、重量平均分子量4000、酸価49mgKOH/gの分散剤1のシクロヘキサノン溶液を得た。
(分散剤2)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、n-ブチルアクリレート5部、tert-ブチルメタクリレート20部、2‐メトキシエチルアクリレート50部、メチルメタクリレート15部、を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール6部に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部をシクロヘキサノン45.7部に溶解した溶液を添加して、10時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。このとき、重量平均分子量が4000であった。次に、ピロメリット酸二無水物9.7部、シクロヘキサノン70部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.20部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。反応終了後、不揮発分を50重量%に調製し、重量平均分子量8,100、酸価50mgKOH/g、ビニル重合部位(C)のガラス転移温度22.5℃の分散剤2のシクロヘキサノン溶液を得た。
<無機微粒子(D)の分散液の製造方法>
(無機微粒子分散液(D−1〜3))
分散剤1、分散剤2を用い、表4に示す配合により無機微粒子の分散を行ない、分散液を作成した。分散方法は、前分散(ジルコニアビーズ(1.25mm)をメディアとして用い、ペイントシェイカーで1時間分散)と、本分散(ジルコニアビーズ(0.1mm)をメディアとして用い、寿工業(株)製分散機UAM−015で分散)の2段階で行なった。得られた無機微粒子分散体は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈して、表5の固形分に調整した。
TiO:テイカ(株)製「MT−05」(平均一次粒子径:10nm)
ZrO:日本電工(株)製「PCS−60」(平均一次粒子径:20nm)
<微細化顔料の製造方法>
(青色微細化顔料(H1−1))
フタロシアニン系青色顔料C.I.ピグメント ブルー 15:6(トーヨーカラー社製「リオノールブルーES」)100部、粉砕した食塩800部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水3000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、98部の青色微細化顔料(H1−1)を得た。得られた顔料の平均一次粒子径は28.3nmであった。
(赤色微細化顔料(H1−2))
ジケトピロロピロール系赤色顔料C.I.ピグメント レッド 254(BASF社製「IRGAZIN RED 2030」)120部、粉砕した食塩1000部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、60℃で10時間混練した。この混合物を温水2000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、115部の赤色微細化顔料(H1−2)を得た。得られた顔料の平均一次粒子径は24.8nmであった。
(紫色微細化顔料(H1−3))
ジオキサジン系紫色顔料C.I.ピグメント バイオレット 23(Clariant社製「Fast Violet RL」)120部、粉砕した食塩1600部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、90℃で18時間混練した。この混合物を温水5000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、118部の紫色微細化顔料(H1−3)を得た。得られた顔料の平均一次粒子径は26.4nmであった。
<顔料分散体の製造方法>
(青色顔料分散体(H−1))
下記に示した組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し青色顔料分散体(H−1)を得た。
・青色微細化顔料(H1−1) :18.0部
・銅フタロシアニン誘導体 : 2.0部


・樹脂型顔料分散剤 : 8.0部
(ビックケミー社製 BYK−111)
・樹脂溶液(A1−1) :60.0部
・シクロヘキサノン :12.0部
(赤色顔料分散体(H−2))
下記の組成の混合物を使用し、青色顔料分散体(H−1)と同様にして赤色顔料分散体(H−2)を得た。
・赤色微細化顔料(H1−2) :10.0部
・アントラキノン系顔料(C.I.ピグメント レッド 177) : 2.0部
(チバ・ジャパン社製「クロモフタールレッドA2B」)
・ジケトピロロピロール系顔料誘導体 : 4.0部

・樹脂型顔料分散剤 : 8.0部
(日本ルーブリゾール社製「ソルスパース 20000」)
・樹脂溶液(A1−1) :60.0部
・シクロヘキサノン :12.0部
(紫色顔料分散体(H−3))
下記の組成の混合物を使用し、青色顔料分散体(H−1)と同様にして紫色顔料分散体(H−3)を得た。
・紫色微細化顔料(H1−3) :20.0部
・樹脂型顔料分散剤 : 8.0部
(ビックケミー社製 BYK−111)
・樹脂溶液(A1−1) :60.0部
・シクロヘキサノン :12.0部
[実施例1]
(感光性樹脂組成物(R−1))
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、感光性樹脂組成物(R−1)を得た。

樹脂溶液(A1−1) :11.98部
無機微粒子分散液;(D−1) :44.99部
多官能単量体;DPCA30 : 4.00部
DPCA30;カヤキュア DPCA30(日本化薬社製)
カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
光重合開始剤;Irg369 : 0.40部
イルガキュア369(BASF社製);
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン
レべリング剤;BYK−330 2% : 1.00部
BYK−330 2%(ビックケミー社製);
ポリエーテル構造含有ジメチルシロキサンのPGMEA溶液(不揮発分2重量%に調整)
溶剤;PGMEA :37.63部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
[実施例2〜73、比較例1〜8]
(感光性樹脂組成物(R−2〜81))
表6〜15に示した組成、および配合量(重量部)に変えた以外は、感光性樹脂組成物(R−1)と同様にして、混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、感光性樹脂組成物(R−2〜81)を得た。なお、実施例1〜54及び62−73は参考例である。
表6〜15中の略語を下記に記す。
《無機微粒子(D)分散液》
・CX−Z330H(日産化学工業(株)製:アンチモンの酸化物微粒子の分散液(不揮発分30重量%)
・PMA−ST(日産化学工業(株)製):ケイ素の酸化物微粒子のPGMEA分散液(不揮発分30重量%)
《多官能単量体(C)》
・DPCA30;カヤキュア DPCA30(日本化薬社製)カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
・M402;アロニックス M−402(東亜合成社製);ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
・PET−4A:NKエステルA−TMMT(新中村化学社製)ペンタエリスリトールテトラアクリレート
・V#802;ビスコート#802(大阪有機化学社製)トリペンタエリスリトールオクタアクリレートとテトラペンタエリスリトールデカアクリレートとペンタペンタエリスリトールドデカアクリレートの混合物
・ATMPT;NKエステルATMPT(新中村化学社製)トリメチロールプロパントリアクリレート)
《光重合開始剤(B)》
・Irg369;イルガキュア369(BASF社製);2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン
・Irg907;イルガキュア907(BASF社製);2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン
・OXE−02;イルガキュアOXE−02(BASF社製);エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)―9H―カルバゾール―3―イル]―,1−(o―アセチルオキシム)
・OXE−01;イルガキュアOXE−01(BASF社製);1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]
《レベリング剤(F)》
・BYK−330 2%(ビックケミー社製);ポリエーテル構造含有ジメチルシロキサンのPGMEA溶液(不揮発分2重量%に調整)
・BYK−348 2%(ビックケミー社製);ポリエーテル構造含有ジメチルシロキサンのPGMEA溶液(不揮発分2重量%に調整)
・BYK−345 2%(ビックケミー社製);ポリエーテル構造含有ジメチルシロキサンのPGMEA溶液(不揮発分2重量%に調整)
《酸化防止剤》
・酸化防止剤1;トリス[2,4−ジ−(tert)−ブチルフェニル]ホスフィントリス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f]1,3,2]・ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]エチル]アミン
・酸化防止剤2;IRGANOX 1010 (BASF社製)
・酸化防止剤3;3,3’−チオジプロパン酸ジオクタデシル
《溶剤(E)》
・PGMEA;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
・1,3−BGDA:1,3−ブチレングリコールジアセテート
・EEP:3−エトキシプロピオン酸エチル
・CHXA:シクロヘキサノールアセテート
《シランカップリング剤(I)》
・KBM−403;KBM−403(信越化学工業社製);3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
<感光性樹脂組成物の評価>
以下に示す評価方法にて感光性樹脂組成物(R1〜R81)をそれぞれ評価した。結果を表 〜 に示す。
(透過率の測定)
感光性樹脂組成物(R1〜R81)を、100mm×100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製ガラス イーグル2000)に、スピンコーターを用いて230℃20分加熱後の仕上がり膜厚が2.0μmとなるように塗布した基板を得た。次に、100℃に加熱したホットプレート上で2分間保持した後、超高圧水銀ランプを用いて、照度20mW/cm、露光量100mJ/cmで紫外線露光を行った。塗布基板を230℃で20分加熱、放冷後、顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて、得られた塗膜の波長400nmにおける透過率を求めた。膜厚は、アルバック社製の触針式膜厚計DECTAC−3で測定した。

◎:透過率 90%以上 :非常に良好なレベル
○:透過率 85%以上90%未満 :良好なレベル
△:透過率 80%以上85%未満 :実用可能なレベル
×:透過率 80%未満 :実用には適さないレベル
(硬度の測定)
感光性樹脂組成物(R1〜R81)を、100mm×100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製ガラス イーグル2000)に、スピンコーターを用いて230℃20分加熱後の仕上がり膜厚が2.0μmとなるように塗布した基板を得た。次に、100℃に加熱したホットプレート上で2分間保持した後、超高圧水銀ランプを用いて、照度20mW/cm、露光量100mJ/cmで紫外線露光を行った。塗布基板を230℃で20分加熱、放冷した。この基板を、JIS K−5400−1990の8.4.1鉛筆引っかき試験により保護膜の鉛筆硬度を測定した。この値が2Hまたはそれより硬いとき、鉛筆硬度は良好といえる。

◎:3H以上
○:2H以上
△:H
×:F以下
(現像パターニング性の評価方法)
感光性樹脂組成物(R1〜R81)を、100mm×100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製ガラス イーグル2000)に、スピンコーターを用いて230℃20分加熱後の仕上がり膜厚が2.0μmとなるように塗布し、100℃に加熱したホットプレート上で2分間保持した、この塗布基板に対し超高圧水銀ランプを用いて、マスクパターンを通して照度20mW/cm、露光量100mJ/cmで紫外線露光後、0.04重量%水酸化カリウム水溶液(現像液温度26℃)を使用して圧力0.25MPaでスプレーし、露光されていない部分の樹脂塗膜が溶解し、基板面が露出するまでの時間を測定した。各実施例及び比較例の感光性樹脂組成物について現像し、下記の基準で評価した。

「現像時間」
◎:20秒未満
○:20秒以上、60秒未満
△:60秒以上120秒未満
×:120秒以上
(屈折率の測定)
感光性樹脂組成物(R1〜R81)を、100mm×100mm、0.7mm厚のPENフィルムにバーコーターを用いて塗布したのち、100℃で30分加熱し乾燥させた。得られたフィルムをアッベ屈折計(アタゴ製、NAR−4T)を用いて、波長589nmの屈折率を測定した。
(湿熱密着性の測定)
感光性樹脂組成物(R―1〜R81)を、100mm×100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製ガラス イーグル2000)、ITO基板(ジオマテック社製)に、スピンコーターを用いて230℃20分加熱後の仕上がり膜厚が2.0μmとなるように塗布した基板を得た。次に、100℃に加熱したホットプレート上で2分間保持した後、超高圧水銀ランプを用いて、照度20mW/cm、露光量100mJ/cmで紫外線露光を行った。塗布基板を230℃で20分加熱、放冷して評価用基板を作製した。エスペック(株)製の高度加速寿命試験装置EHS−411Mを温度120℃、相対湿度100%に設定し、炉内に48時間放置後、得られた基板をJIS K5600−5−6に準じた付着性(クロスカット法)試験により塗膜の密着性を評価し、碁盤目25個中の剥離個数を数えた。

○;碁盤目の剥離個数 1個未満
△;碁盤目の剥離個数 1個以上5個未満
×;碁盤目の剥離個数 5個以上
表16〜19に示すように本発明の特徴である酸性基を含む樹脂(A)と4つ以上の官能基を有する単量体と、特定の無機微粒子と、光重合開始剤(B)とを含有するときに、酸性基を含む樹脂(A)が、芳香環を有する単量体、または脂環式基を有する単量体の少なくとも1種を共重合し、重量平均分子量1000以上20000以下である樹脂(A1)を含む場合、当該感光性樹脂組成物は、透過率、硬度、現像パターニング性等においていずれも良好あるいは実用上差し支えのない結果となった。
また、樹脂(A)の酸価が30mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であるときは、さらに透過率が良化する結果となった。
また、実施例39〜49のように、側鎖に水酸基を有しており、さらにエチレン性不飽和二重結合を有することで透過率が優れる結果となり、とくに水酸基の導入方法、二重結合当量、水酸基当量を最適化することで非常に良化することが分かった。
さらに、実施例50〜67では、多官能単量体(C)、光重合開始剤(B)、溶剤(E)、レベリング剤(F)、酸化防止剤(G)、着色剤(H)などの種類を組み合わせることにより、屈折率が高く、透過率が非常に良好で、現像パターニング性が良好な感光性樹脂組成物を得ることが出来ている。
さらに、実施例68〜73では、シランカップリング剤(I)を密着促進剤として添加することでガラス、ITOといった基板に対する湿熱密着性が良好な感光性樹脂組成物を得ることが出来ている。
比較例1〜8では、本発明の要件から外れる例を挙げており、いずれも白濁し、透過率が悪くなっている。特に比較例2〜6、8では、樹脂の酸価、分子量、芳香環または脂環式基の有無のいずれかの要件を外れることで、透過率が悪化することを示していた。
以上の結果より、本願の感光性樹脂組成物により、透過率、硬度、高屈折率、現像パターニング性に優れた塗膜を得ることができ、該塗膜は、タッチパネルに用いられるオーバーコートに適した高品質の硬化膜である事が確認できた。

Claims (11)

  1. 酸性基含有樹脂(A)と、光重合開始剤(B)と、多官能単量体(C)と、無機微粒子(D)と、溶剤(E)とを含有することを特徴とする感光性樹脂組成物であって、
    無機微粒子(D)が、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アンチモン、および酸化セリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属酸化物微粒子を含み、樹脂(A)が芳香環を有する単量体共重合してなる、重量平均分子量1000以上20000以下である酸性基含有樹脂(A1)を含み、酸性基含有樹脂(A1)の酸価が、30mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であり、
    樹脂(A1)が、側鎖に水酸基を有し、かつエチレン性不飽和二重結合を有し、樹脂(A1)の水酸基当量が300以上900以下であり、かつ二重結合当量が300以上900以下であり、多官能単量体(C)が、7つ以上の官能基を有する単量体を含むことを特徴とする感光性樹脂組成物。
  2. 無機微粒子(D)が、酸化チタンであることを特徴とする請求項に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 酸性基含有樹脂(A)の含有量が、感光性樹脂組成物の固形分中、40質量%〜80質量%である請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. さらにポリエステル分散剤を含有する請求項1〜3いずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  5. ポリエステル分散剤が、芳香族カルボキシル基を有する酸性樹脂型分散剤である請求項4に記載の感光性樹脂組成物。
  6. 光重合開始剤(B)が、アセトフェノン系光重合開始剤またはオキシムエステル系光重合開始剤であることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の感光性樹脂組成物。
  7. 溶剤(E)が、1,3−ブチレングリコールジアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、およびシクロヘキサノールアセテートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載の感光性樹脂組成物。
  8. さらに下記一般式(2)で表されるレベリング剤を含有することを特徴とする請求項1〜7いずれか1項記載の感光性樹脂組成物。
    一般式(2):
    [一般式(2)において、mは1〜10の整数であり、pは5〜30の整数であり、Xはアルキレン基、Yはアルキル基である。]
  9. さらにリン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、及びイオウ系酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤を含むことを特徴とする請求項1〜8いずれか1項記載の感光性樹脂組成物。
  10. さらに着色剤(H)を含むことを特徴とする請求項1〜9いずれか1項記載の感光性樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10いずれか1項記載の感光性樹脂組成物から形成されてなる塗膜。

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