JP6209957B2 - 液体含有マスターバッチ - Google Patents
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Description
この多層構造ボトルは、最内層が油性内容物に対する濡れ性に優れており、この結果、ボトルを倒立させたり、或いは傾斜させたりすると、マヨネーズ等の油性内容物は、最内層表面に沿って広がりながら落下していき、ボトル内壁面(最内層表面)に付着残存することなく、綺麗に排出することができるというものである。
このように表面に液層を形成することにより滑り性等の表面特性を改質方法は、容器の形態に限らず、フィルム等の形態を有する成形体にも適用できるものであり、液体の種類を適宜選択することにより、表面の性質を大幅に改質することができる。
かかる容器は、上記樹脂組成物を内面形成用樹脂材料として用いて成形することにより、製造される。即ち、成形後に、格別の処理を行わずとも、容器の内面に前記樹脂組成物に含まれる潤滑液が偏析し、これにより、自動的に潤滑液の層が容器内面に形成されることとなり、極めて高い生産性で該容器を製造できるという利点がある。
また、特許文献5の実施例には(段落[0022]参照)、ポリアミド樹脂600gに、粘度が100万センチストークスのポリジメチルシロキサン(液体成分)400g及びカルボキシル基含有ポリオルガノシロキサン60gからなるマスターペレットを調製したことが開示されている。この特許文献5では、液体成分であるポリジメチルシロキサンを高濃度で含んでいるものの、この液体成分の粘度が著しく高く、例えばグリセリンエステルなどの低粘度液体には適用できない。
本発明の他の目的は、液層を表面に備えたプラスチック成形体を成形するために好適に使用される液体含有マスターバッチ及びその使用方法を提供することにある。
本発明のマスターバッチにおいては、
(1)前記液体(B)は、100mPa・s以下の粘度を有していること、
(2)前記液体(B)が前記マトリックス樹脂(A)100質量部当たり15〜65質量部で存在していること、
が好ましい。
かかる方法においては、
(3)前記マスターバッチ中のマトリックス樹脂(A)が、環状オレフィン系樹脂であり、前記成形用樹脂が、非環状オレフィン系樹脂であること、
が望ましい。
即ち、本発明では、マトリックス樹脂(A)としてガラス転移点(Tg)が35℃以上の樹脂が使用されているため、通常の保存環境下である室温付近では、低粘性の液体(B)はガラス状となっている樹脂中に閉じ込められた状態にある。この結果、多量の低粘性液体(B)が分散されている状態であっても、長期間にわたって、そのブリーディングを有効に回避することが可能となる。例えば、ガラス転移点(Tg)が35℃よりもかなり低いポリエチレンやポリプロピレンでは、室温付近では、分子同士の拘束が緩く、分子が可動し易く、このため、これをマトリックス樹脂(A)として使用した場合には、分散されている液体(B)は容易に分子間をすり抜けてしまい、この結果、ブリーディングを生じてしまうこととなる。
即ち、環状オレフィン系樹脂は、ポリエチレンやポリプロピレン等の非環状のオレフィン系樹脂と相容性が高く、これらの非環状のオレフィン系樹脂中に微分散する。しかるに、粘稠な内容物の絞り出しなどに適したスクイズボトルなどの可撓性容器は、主として上記の非環状オレフィン系樹脂を用いて成形され、しかも、このような可撓性容器において、容器の内面に所定の液体の層を形成することにより、粘稠な内容物に対する滑り性を高め、その排出性を著しく向上させることができる。
上記の説明から理解されるように、環状オレフィン系樹脂をマトリックス樹脂(A)として使用し、所定の液体を分散させた本発明のマスターバッチによれば、このマスターバッチを非環状オレフィン系樹脂(例えばポリエチレン)と混合することにより、液層を形成するに十分な量の液体を含む成形用樹脂組成物を調製することが可能となり、かかる成形用樹脂組成物を用いて成形することにより、内面に液層を備えた容器を得ることができ、液体による表面特性の改善効果を最大限に発揮させることができる。
本発明のマスターバッチは、マトリックス樹脂(A)中に液体(B)が分散された構造を有する。
本発明のマスターバッチにおいて、マトリックス樹脂(A)としては、ガラス転移点(Tg)が35℃以上の樹脂が使用される。即ち、ガラス転移点が低いものでは、室温付近での分子同士の拘束力が弱いため、マスターバッチを室温付近で保存したとき、保存中に内部に分散された液体(B)が容易にブリーディングしてしまい、ベタつきを生じ、その取扱いが困難となってしまうこととなり、内部に分散させる液体(B)の量が大きく制限され、さらには、その粘度も大きなものに制限されてしまうこととなる。
また、上記のようなガラス転移点を有するマトリックス樹脂(A)を用いて形成されるマスターバッチのガラス転移点は、後述する液体(B)が分散されているため、マトリックス樹脂(A)のガラス転移点よりも低くなる。液体(B)の存在により分子間の拘束力が弱くなるためである。従って、液体(B)のブリーディングを防止するためには、マトリックス樹脂(A)のガラス転移点はより高く、例えば50℃以上であることが好ましく、これにより、液体(B)が分散されているマスターバッチの状態でのガラス転移点をより高くしてマトリックス樹脂の分子間の同士の拘束力をより高くし、液体(B)のブリーディング防止効果をより一層高めることができる。
即ち、環状オレフィン系樹脂は、それ自体で種々の形態に成形可能であるばかりか、先に説明したように、粘稠な内容物が収容されるスクイズボトルなどの可撓性容器の成形に使用される非環状のオレフィン系樹脂(ポリエチレンやポリプロピレン等)との相溶性に優れており、環状オレフィン系樹脂がマトリックス樹脂として使用されるマスターバッチは、このような非環状オレフィン系樹脂と混合(希釈)して、容器成形用の樹脂組成物として使用することができるからである。
上記の非環状オレフィンとしては、エチレンが好適であるが、その他に、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、3−メチル1−ペンテン、1−デセン等の炭素数3〜20のα−オレフィンが、それぞれ、単独或いはエチレンとの組み合わせで使用される。
−ドデセン
08.13]−3−ヘキサデセン
09.14]−4−ヘキサデセン
即ち、本発明では、上記の環状オレフィンと非環状オレフィンとの共重合体であって、共重合比や重合度などの調節により、ガラス転移点が前述した範囲内にある環状オレフィン系樹脂がマトリックス(A)として好適に使用される。
上記のマトリックス樹脂(A)中に分散される液体(B)は、このマスターバッチを成形用の樹脂と混合して成形体を製造したとき、その表面に該液体(B)が析出した液層を形成し、かかる液層により、成形体の表面に液体(B)の種類に応じた表面特性を発現させるというものである。従って、かかる液体(B)は、当然、大気圧で揮散しないような沸点、例えば100℃以上の沸点を有するものであり、且つ成形体表面に付与しようとする表面特性に応じて選択される。
さらに、成形体が容器であり、粘稠な内容物に対する滑り性を高めるようとするときには、用いる液体(B)は、内容物に対して非混和性であり、内容物と混ざり合わないようなものが選択される。内容物に対して混和性であると、容器内面に露出した液体が内容物と混ざり合ってしまい、容器内面から脱落してしまい、目的とする表面特性を付与することが困難となってしまうからである。
上述した本発明のマスターバッチは、前述したマトリックス樹脂(A)と液体(B)との所定量を、例えば押出機の混練部等へ供給して混練し、溶融押出し、溶融押出物をペレタイザーなどにより切断し、所定の大きさのペレットとして保管、搬送或いは販売等を通して、使用に供される。即ち、製造直後から使用までの間に、液体(B)がブリーディングしてペレットがベタつくなどの不都合を生じることが有効に防止されている。
また、このようにして得られるマスターバッチのガラス転移点は、液体(B)が配合されているため、マトリックス樹脂(A)のガラス転移点よりも低くなることは先にも述べたが、このマスターバッチとマトリックス樹脂(A)のガラス転移点の差は、マトリックス樹脂(A)のガラス転移点や、液体(B)の種類、配合量によって定まる。本発明においては、このガラス転移点差が20℃以上となるように、これらが設定されているとき、マトリックス樹脂(A)のガラス転移点がより高く、且つマトリックス樹脂(A)による液体(B)のブリーディング防止性を最大限に発揮し得る点で、好適である。
このボトルは、図1において全体として10で示されており、螺条を備えた首部11、肩部13を介して首部11に連なる胴部壁15及び胴部壁15の下端を閉じている底壁17を有しており、このようなボトル10に粘稠な内容物を充填した後、首部11の上端開口部にアルミ箔等の金属箔19をヒートシールにより施し、所定のキャップ20を装着することにより、包装ボトルとして使用に供される。かかる包装ボトルでは、キャップ20を開封し、シール材が塗布された金属箔19を引き剥がし、ボトル10を傾倒乃至倒立させることにより、必要により胴部壁15をスクイズすることにより容器内容物の取り出しが行われる。
しかも、本発明のマスターバッチは、液体(B)を多量に含んでおり、このため、内層を形成するための成形用樹脂組成物中の液体(B)の濃度を高濃度(例えば3〜20質量%、特に3〜15質量%、最も好ましくは4〜10質量%)に設定することができ、液体(B)の液層による滑り性向上を安定して発揮させることができる。
例えば、かかる内容物としては、粘稠なペースト乃至スラリー状の流動性物質、例えば23℃での粘度が100cps以上のもの、具体的には、ケチャップ、水性糊、蜂蜜、各種ソース類、マヨネーズ、乳液等の化粧液、液体洗剤、シャンプー、リンス、コンディショナーなどが好適に使用される。
これらの内、水分含有のもの、例えばケチャップでは、液体(B)として、前述したグリセリン脂肪酸エステル、流動パラフィン、食用油脂の何れも好適に使用できる。中鎖脂肪酸トリグリセライド、グリセリントリオレート及びグリセリンジアセトモノオレートに代表されるグリセリン脂肪酸エステル、流動パラフィン、食用油脂は、揮散し難く、しかも、食品添加物として認可されており、さらには、無臭であり、内容物のフレーバ−を損なわないという利点もある。
また、マヨネーズ等の乳化系の内容物に対しては、乳化に時間を有する性質を示す液体が好適である。このような性質を有するものは、これらの中でも比較的分子量の高いものである。
尚、以下の実験例等で行った各種の特性、物性等の測定方法及びマスターバッチの作製、ならびに容器(ボトル)の成形に用いた樹脂等は次の通りである。
後述の方法で作製したマスターバッチ(マスターペレット)をガラス瓶に入れ、22℃60%RHの環境下で所定期間保管し、ペレット表面への液体成分の滲み出しの有無を目視にて評価した。液体の滲み出しが観察されなかったものを○、液体の滲み出しが観察されたものを×とした。
多層ボトルの最内層形成用樹脂として、後述の方法で作成したマスターバッチ(液体含有樹脂組成物)ペレットを高圧法低密度ポリエチレンに混合し、公知のダイレクトブロー成形法によりダイヘッド温度210℃にて多層ボトルを成形した。本ボトルの層構成は次の通りである。
最内層/接着層/ガスバリア層/接着層/最外層
ボトル成形時において、問題無く成形可能だったものを○、問題が生じたものを×とした。
マスターバッチ作製用マトリックス樹脂、ならびに作製したマスターバッチペレットのガラス転移点を、示差走査熱量計(PERKIN ELMER社製 Diamond DSC)を用いて測定を行った。
試料として、各々約10mgを準備し、25℃から−30℃まで降温速度10℃/minで走査し、−30℃にて5分間保持し、−30℃から200℃まで昇温速度10℃/minで走査した際に得られたプロファイルから、各マトリックス樹脂、ならびにマスターバッチのガラス転移点を求めた。ガラス転移点がこの範囲に観測できなかったものについては、−30℃以下と判断した。
環状オレフィン系樹脂A (COC−A、エチレン−テトラシクロドデセン共重合体)
MFR;15g/10min (260℃、2.16Kg)
密度;1.02g/cm3
ガラス転移点(Tg);67℃
環状オレフィン系樹脂B (COC−B、エチレン−テトラシクロドデセン共重合体)
MFR;30g/10min (260℃、2.16Kg)
密度;1.02g/cm3
ガラス転移点(Tg);74℃
環状オレフィン系樹脂C (COC−C、エチレン−テトラシクロドデセン共重合体)
MFR;15g/10min (260℃、2.16Kg)
密度;1.04g/cm3
ガラス転移点(Tg);128℃
高圧法低密度ポリエチレン (LDPE)
MFR;0.3g/10min (190℃、2.16Kg)
密度;0.922g/cm3
ガラス転移点(Tg);−30℃以下
中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)
表面張力:28.8mN/m (23℃)
粘度:33.8mPa・s (23℃)
沸点:210℃以上
引火点:242℃(参考値)
尚、液体の表面張力は固液界面解析システムDropMaster700(協和界面科学(株)製)を用いて23℃にて測定した値を用いた。なお、液体の表面張力測定に必要な液体の密度は、密度比重計DA−130(京都電子工業(株)製)を用いて23℃で測定した値を用いた。また、潤滑液の粘度は音叉型振動式粘度計SV−10((株)エー・アンド・デイ製)を用いて23℃にて測定した値を示した。
(最内層形成用ベース材料)
低密度ポリエチレン(LDPE)
MFR;0.3g/10min
密度;0.92g/cm3
(最外層形成用材料)
低密度ポリエチレン(LDPE)
MFR;0.3g/10min
(接着層形成用材料)
無水酸変性ポリエチレン
(ガスバリア層形成用材料)
エチレンビニルアルコール共重合体
(エチレン含量:32mol%、密度1.19g/cm3、Tg61℃)
マスターバッチ作製用マトリックス樹脂として、環状オレフィン系樹脂A(COC−A)を、液体として中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)をそれぞれ用いて、COC−A:MCT=100:25(質量部)となるように、二軸混練押出機((株)テクノベル製 ULTNano05)を用い、シリンダー温度200℃の条件下で溶融混練し、マスターバッチペレットA(MB−A)を作製した。
作製したペレットを3ヶ月間保管した後、マスターバッチの安定性評価を行った。ペレット表面への液体の滲み出しは観察されなかった。
また、作製したマスターバッチペレットAのガラス転移点測定を行った。
さらに、マスターバッチペレットA(MB−A)を低密度ポリエチレンに1:3の重量比となるように混合したものを最内層形成用樹脂として用い、多層ボトルを成形し、ボトル成形性評価を行った。問題無く成形可能であった。また、成形したボトルの内面はMCTの油膜が形成されていた。結果をまとめて表1に示す。
環状オレフィン系樹脂A(COC−A):中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)=100:42(質量部)とした以外は実験例1と同様の条件で二軸混練押出機を用いてマスターバッチペレットB(MB−B)を作製した。作製したペレットを3ヶ月間保管した後、マスターバッチの安定性評価を行った。ペレット表面への液体の滲み出しは観察されなかった。
また、作製したマスターバッチペレットBのガラス転移点測定を行った。
さらに、マスターバッチペレットB(MB−B)を低密度ポリエチレンに1:5の重量比となるように混合したものを最内層形成用樹脂として用い、実験例1と同様に多層ボトルを成形し、ボトル成形性評価を行った。問題無く成形可能であった。また、成形したボトルの内面はMCTの油膜が形成されていた。結果をまとめて表1に示す。
環状オレフィン系樹脂B(COC−B):中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)=100:25(質量部)とした以外は実験例1と同様の条件で二軸混練押出機を用いてマスターバッチペレットC(MB−C)を作製した。作製したペレットを3ヶ月間保管した後、マスターバッチの安定性評価を行った。ペレット表面への液体の滲み出しは観察されなかった。
また、作製したマスターバッチペレットCのガラス転移点測定を行った。
さらに、マスターバッチペレットC(MB−C)を低密度ポリエチレンに1:3の重量比となるように混合したものを最内層形成用樹脂として用い、多層ボトルを成形し、ボトル成形性評価を行った。問題無く成形可能であった。また、成形したボトルの内面はMCTの油膜が形成されていた。結果をまとめて表1に示す。
環状オレフィン系樹脂B(COC−B):中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)=100:42(質量部)とした以外は実験例1と同様の条件で二軸混練押出機を用いてマスターバッチペレットD(MB−D)を作製した。作製したペレットを3ヶ月間保管した後、マスターバッチの安定性評価を行った。ペレット表面への液体の滲み出しは観察されなかった。
また、作製したマスターバッチペレットDのガラス転移点測定を行った。
さらに、マスターバッチペレットD(MB−D)を低密度ポリエチレンに1:5の重量比となるように混合したものを最内層形成用樹脂として用い、多層ボトルを成形し、ボトル成形性評価を行った。問題無く成形可能であった。また、成形したボトルの内面はMCTの油膜が形成されていた。結果をまとめて表1に示す。
環状オレフィン系樹脂B(COC−B):中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)=100:67(質量部)とした以外は実験例1と同様の条件で二軸混練押出機を用いてマスターバッチペレットE(MB−E)を作製した。作製したペレットを3ヶ月間保管した後、マスターバッチの安定性評価を行った。ペレット表面への液体の滲み出しは観察されなかった。
さらに、マスターバッチペレットE(MB−E)を低密度ポリエチレンに1:7の重量比となるように混合したものを最内層形成用樹脂として用い、多層ボトルを成形し、ボトル成形性評価を行った。問題無く成形可能であった。また、成形したボトルの内面はMCTの油膜が形成されていた。結果をまとめて表1に示す。
環状オレフィン系樹脂C(COC−C):中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)=100:42(質量部)とし、シリンダー温度を220℃とした以外は実験例1と同様の条件で二軸混練押出機を用いてマスターバッチペレットF(MB−F)を作製した。作製したペレットを3ヶ月間保管した後、マスターバッチの安定性評価を行った。ペレット表面への液体の滲み出しは観察されなかった。
また、作製したマスターバッチペレットFのガラス転移点測定を行った。
さらに、マスターバッチペレットF(MB−F)を低密度ポリエチレンに1:5の重量比となるように混合したものを最内層形成用樹脂として用い、多層ボトルを成形し、ボトル成形性評価を行った。問題無く成形可能であった。また、成形したボトルの内面はMCTの油膜が形成されていた。結果をまとめて表1に示す。
環状オレフィン系樹脂B(COC−B):中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)=100:11(質量部)とした以外は実験例1と同様の条件で二軸混練押出機を用いてマスターバッチペレットG(MB−G)を作製した。作製したペレットを3ヶ月間保管した後、マスターバッチの安定性評価を行った。ペレット表面への液体の滲み出しは観察されなかった。結果をまとめて表1に示す。
マスターバッチ作製用マトリックス樹脂として、高圧法低密度ポリエチレン (LDPE)を、液体として中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)をそれぞれ用いて、LDPE:MCT=100:11(質量部)とした以外は実験例1と同様の条件で二軸混練押出機を用いてマスターバッチペレットH(MB−H)を作製した。作製したペレットを用いて、マスターバッチの安定性評価を行った。ペレット作製一日後から、ペレット表面への液体の滲み出しが観察された。3ヶ月後では、液体の滲み出しが顕著に進行していた。
また、マスターバッチペレットH(MB−H)を低密度ポリエチレンに1:1の重量比となるように混合したものを最内層形成用樹脂として用い、多層ボトルを成形し、ボトル成形性評価を行った。混合した樹脂がホッパー内でブロッキングをおこし、吐出量が安定しないため、安定した成形が困難であった。また、成形したボトルの内面はMCTの油膜が形成されていた。結果をまとめて表1に示す。
また、ボトル成形性評価の結果から、マトリックス樹脂(液体が未配合)のガラス転移点が35℃以上の樹脂を用いて作製した実験例1から7のマスターバッチでは、問題無く成形可能であったのに対し、マトリックス樹脂(液体が未配合)のガラス転移点が35℃未満の樹脂を用いて作製した実験例8では、液体のペレット表面への滲み出しが顕著に起こったため、ホッパーにて混合した低密度ポリエチレンとブロッキングがおこり、吐出量が安定せず、成形が困難であった。
ガラス転移点測定の結果から、マスターバッチ(液体含有樹脂組成物)のガラス転移点は、液体配合前のマトリックス樹脂のガラス転移点よりも低下していることが分かった。このガラス転移点の低下は、配合した液体がマトリックス樹脂中に相溶、あるいは部分相溶したためと解釈できる。本発明では、マスターバッチのマトリックス樹脂100質量部中に、最大で液体を67質量部含有させることが可能となるが、これは、マトリックス樹脂中に液体成分が相溶、ないし部分相溶していることが重要な役割をしていると推察される。また、マスターバッチ(液体含有樹脂組成物)の状態でのガラス転移点も35℃以上となっており、室温下でガラス状態となっているため、マトリックス中に分散された液体成分の滲み出しを有効に防止していると推察される。
11:首部
13:肩部
15:胴部壁
17:底部
19:金属箔
20:キャップ
Claims (5)
- ガラス転移点が35℃以上のマトリックス樹脂(A)中に、粘度(23℃)が1000mPa・s以下である液体(B)が分散されており、
前記マトリックス樹脂(A)が、環状オレフィン系樹脂であると共に、
前記液体(B)がグリセリン脂肪酸エステル、流動パラフィン又は食用油脂の何れかであり、前記液体(B)が前記マトリックス樹脂(A)100質量部当たり10〜70質量部で存在していることを特徴とする容器の成形に使用するマスターバッチ。 - 前記液体(B)は、100mPa・s以下の粘度を有している請求項1に記載のマスターバッチ。
- 前記液体(B)が前記マトリックス樹脂(A)100質量部当たり15〜65質量部で存在している請求項1または2に記載のマスターバッチ。
- ガラス転移点が35℃以上のマトリックス樹脂(A)中に、粘度(23℃)が1000mPa・s以下である液体(B)が分散されているマスターバッチを、ガラス転移点が35℃未満の成形用樹脂に混合し、該混合物を成形する工程を含むことを特徴とするマスターバッチの使用方法。
- 前記マスターバッチ中のマトリックス樹脂(A)が、環状オレフィン系樹脂であり、前記成形用樹脂が、非環状オレフィン系樹脂である請求項4に記載の使用方法。
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