JP6277819B2 - パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物および表面保護膜 - Google Patents
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Description
すなわち請求項1に係る発明は、
下記一般式(1)で表され、かつ下記(a)、(b)、(c)、(d1)、(d2)、および(e)からなる群より選択される少なくとも1つの条件を満たすパーフルオロアルキレンエーテル含有化合物である。
(a)下記一般式(1)におけるB 1 およびB 2 の少なくとも一方が、下記(B−1)乃至(B−3)からなる群より選択される2価の基である。
(b)下記一般式(1)におけるA 1 およびA 2 の少なくとも一方が、後述の(A−4)乃至(A−11)からなる群より選択される2価の基である。
(c)下記一般式(1)において[−(CF 2 ) n1 −(C(R 1 )(R 2 )) n2 −O−] m で表される構造が、後述の(m−3)、(m−4)および(m−8)からなる群より選択される構造である。
(d1)下記一般式(1)におけるX 1 が、下記一般式(1−1)で表される基を1つ以上有する1価の基である。
(d2)下記一般式(1)におけるX 2 が、下記一般式(1−2)で表される基を1つ以上有する1価の基である。
(e)下記一般式(1)におけるX 1 およびX 2 の少なくとも一方が、下記(X−7)および(X−8)からなる群より選択される少なくとも1種の反応性の架橋基を有する1価の基である。
n1は、1以上5以下の整数を、n2は、0以上2以下の整数を表し、n1とn2の総数は5以下である。mは、1以上の整数を表す。
A1およびA2は、それぞれ独立に下記一般式(2)で表される2価の基を表す。
B1およびB2は、それぞれ独立に単結合および下記(B−1)乃至(B−3)からなる群より選択される2価の基を表す。
X1は、下記(X−1)乃至(X−8)からなる群より選択される少なくとも1種の反応性の架橋基と、アルキル鎖、芳香族鎖、エーテル基(−O−)、カルボニル基(−CO−)、およびエステル基(−CO−O−)から選択される1種の鎖または2種以上の鎖を組合わせた構造からなる2価以上の有機基と、からなる1価の基を表すか、あるいは下記(X−1)乃至(X−8)からなる群より選択される少なくとも1種の反応性の架橋基と、上記一般式(1−1)で表される基と、アルキル鎖、芳香族鎖、エーテル基(−O−)、カルボニル基(−CO−)、およびエステル基(−CO−O−)から選択される1種の鎖または2種以上の鎖を組合わせた構造からなる2価以上の有機基と、からなる1価の基を表す。但し、前記B1が単結合または下記(B−1)である場合におけるX1は、前記反応性の架橋基を2つ以上有するかまたは前記反応性の架橋基を1つ以上有し且つ上記一般式(1−1)で表される基を1つ以上有する1価の基を表す。
X2は、下記(X−1)乃至(X−8)からなる群より選択される少なくとも1種の反応性の架橋基と、アルキル鎖、芳香族鎖、エーテル基(−O−)、カルボニル基(−CO−)、およびエステル基(−CO−O−)から選択される1種の鎖または2種以上の鎖を組合わせた構造からなる2価以上の有機基と、からなる1価の基を表すか、あるいは下記(X−1)乃至(X−8)からなる群より選択される少なくとも1種の反応性の架橋基と、上記一般式(1−2)で表される基と、アルキル鎖、芳香族鎖、エーテル基(−O−)、カルボニル基(−CO−)、およびエステル基(−CO−O−)から選択される1種の鎖または2種以上の鎖を組合わせた構造からなる2価以上の有機基と、からなる1価の基を表す。但し、前記B2が単結合または下記(B−1)である場合におけるX2も、前記反応性の架橋基を2つ以上有するかまたは前記反応性の架橋基を1つ以上有し且つ上記一般式(1−2)で表される基を1つ以上有する1価の基を表す。
上記一般式(1−1)および一般式(1−2)における、R1、R2、n1、n2、m、A1、A2、B1、B2、X1、およびX2は、前記一般式(1)におけるR1、R2、n1、n2、m、A1、A2、B1、B2、X1、およびX2と同義である。)
n3は、0以上5以下の整数を、n4は、0以上2以下の整数を、n5は、0以上の整数を、n6は、0または1を、n7は、0以上の整数を表す。但しn3、n4、n5、およびn6の全てが0であることはない。
尚、上記一般式(2)で表される2価の基は(*1)部分でパーフルオロアルキレンエーテル構造と結合する。)
請求項1に記載のパーフルオロアルキレンエーテル含有化合物が架橋重合された構造を有する表面保護膜である。
n1は、1以上5以下の整数を、n2は、0以上2以下の整数を表し、n1とn2の総数は5以下である。mは、1以上の整数を表す。
A1およびA2は、それぞれ独立に下記一般式(2)で表される2価の基を表す。
B1およびB2は、それぞれ独立に単結合および下記(B−1)乃至(B−3)からなる群より選択される2価の基を表す。
X1およびX2は、それぞれ独立に下記(X−1)乃至(X−8)からなる群より選択される少なくとも1種の反応性の架橋基を有する1価の基を表す。尚、X1およびX2はそれぞれ独立に上記一般式(1)からX1またはX2を除いた構造の基を1つ以上有していてもよい。但し、前記B1が単結合または下記(B−1)である場合におけるX1は、前記反応性の架橋基を2つ以上有するかまたは前記反応性の架橋基を1つ以上有し且つ上記一般式(1)からX1を除いた構造の基を1つ以上有する1価の基を表す。また、前記B2が単結合または下記(B−1)である場合におけるX2も、前記反応性の架橋基を2つ以上有するかまたは前記反応性の架橋基を1つ以上有し且つ上記一般式(1)からX2を除いた構造の基を1つ以上有する1価の基を表す。
上記一般式(2)において、R3およびR4は、それぞれ独立にフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。但し、R3とR4の両方がフッ素原子であることはない。
n3は、0以上5以下の整数を、n4は、0以上2以下の整数を、n5は、0以上の整数を、n6は、0または1を、n7は、0以上の整数を表す。但しn3、n4、n5、およびn6の全てが0であることはない。
尚、上記一般式(2)で表される2価の基は(*1)部分でパーフルオロアルキレンエーテル構造と結合する。
しかし、上記のフッ素樹脂材料ではウレタン結合を含むために耐熱性が得られず、高温環境での使用が行えないことがあった。
これは、パーフルオロアルキレンエーテル構造部分([ ]mで囲われている部分)と、末端の反応性の架橋基を有する部分(X1およびX2)とを結合するB1およびB2が、単結合および前記(B−1)乃至(B−3)からなる群より選択される2価の基で表され、B1およびB2にウレタン結合を含んでおらず、上記の単結合および(B−1)乃至(B−3)の何れかの構造であることにより、本実施形態では優れた耐熱性を奏するものと考えられる。
更に、本実施形態に係る化合物においてB1(またはB2)が単結合または前記(B−1)で表される2価の基である場合、X1(またはX2)が前記反応性の架橋基を2つ以上有するか、または前記反応性の架橋基を1つ以上有し且つ前記一般式(1)からX1を除いた構造の基を1つ以上有する。従って、この化合物を架橋重合することで、X1(またはX2)を起点として、一般式(1)からX1(またはX2)を除いた構造の基が少なくとも三つ又に架橋重合された架橋物が得られる。
本実施形態に係る一般式(1)で表されるパーフルオロアルキレンエーテル含有化合物の構造について、より詳細に説明する。
n1は、1以上5以下の整数を、n2は、0以上2以下の整数を表し、n1とn2の総数は5以下である。n1は更に1以上3以下が好ましく、n2は更に0以上1以下が好ましく、n1とn2の総数は更に1以上3以下が好ましい。
n3は、0以上5以下の整数を、n4は、0以上2以下の整数を、n5は、0以上の整数を、n6は、0または1を、n7は、0以上の整数を表す。但しn3、n4、n5、およびn6の全てが0であることはない。
尚、上記一般式(2)で表される2価の基は(*1)部分でパーフルオロアルキレンエーテル構造と結合し、(*2)部分で(−O−B1−X1)または(−O−B2−X2)と結合する。
また、X1(またはX2)は、前記B1(またはB2)が単結合または前記(B−1)である場合、即ちB1(またはB2)が反応性の架橋基を有しない場合には、下記反応性の架橋基を2つ以上有するか、または反応性の架橋基を1つ以上有し且つ前記一般式(1)からX1(またはX2)を除いた構造の基を1つ以上有する1価の基を表す。
尚、RX1としては上記の中でも水素原子、トリフルオロメチル基がより好ましい。
尚、(X−6)においてRX2で表されるアルキル基としては、炭素数1以上18以下のものが好ましく、更には炭素数1以上4以下のものがより好ましい。
RX2で表されるアルキル基は直鎖状、分子鎖状、環状の何れであってもよく、その具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロエキシル、2−エチルヘキシル、ラウリル、ステアリル等が挙げられる。
RX2としては上記の中でもメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルがより好ましい。
尚、(X−8)においてRX3で表されるアルキル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、更には炭素数1以上4以下のものがより好ましい。
RX3で表されるアルキル基は直鎖状、分子鎖状、環状の何れであってもよく、その具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、ラウリル、ステアリル等が挙げられる。
RX3としては上記の中でもメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルがより好ましい。
まず、X1およびX2の具体例として、一般式(1)からX1またはX2を除いた構造の基を有しない態様の例を挙げる。反応性の架橋基として前記(X−1)の架橋基を有する例としては、下記(X−1a)乃至(X−1f)が挙げられる。尚、下記(X−1a)乃至(X−1f)におけるRX1は、前記(X−1)におけるRX1と同義である。
次いで、本実施形態に係る一般式(1)で表されるパーフルオロアルキレンエーテル含有化合物の合成方法の一例について説明する。尚、本実施形態に係るパーフルオロアルキレンエーテル含有化合物を合成する方法は、下記の方法に限定されるものではない。
次いで、本実施形態に係る表面保護膜について説明する。
本実施形態に係る表面保護膜は、前述の本実施形態に係るパーフルオロアルキレンエーテル含有化合物が架橋重合された構造を有する。
本実施形態に係る表面保護膜は、少なくとも本実施形態に係るパーフルオロアルキレンエーテル含有化合物(以下単に「本実施形態に係る化合物」と称す)を含有する塗布液を基材上に塗布して架橋重合することで形成される。
一方、本実施形態に係る化合物として、X1およびX2における反応性の架橋基に前記(X−3)乃至(X−8)で示される架橋基(つまり、エポキシ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等)を有するものを用いる場合には、硬化剤として架橋剤を用いる方法や、反応性の架橋基同士が互いに反応し合う組合せ(例えばX1およびX2にエポキシ基を有する化合物と、X1およびX2にアミノ基、水酸基またはカルボキシル基を有する化合物との組合せ)で用いる方法により、架橋重合を行い得る。
反応性の架橋基として(X−3)で示される基(エポキシ基)を有する化合物に対して用い得る架橋剤としては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリカーボネートジオール、ポリエーテルジオール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
本実施形態に係る化合物として、固体、液体に関わらず溶媒に溶解し得るものを用いる場合には、本実施形態に係る化合物や、硬化剤(架橋剤)を要する場合であれば更にその硬化剤(架橋剤)、その他の添加剤等を溶媒に溶解して塗布液を調製し、基材上に塗布して架橋重合することで形成される。
また、本実施形態に係る化合物として、固体で溶媒に溶解しないものを用いる場合には、本実施形態に係る化合物や、硬化剤(架橋剤)を要する場合であれば更にその硬化剤(架橋剤)、その他の添加剤等を、溶解し得る温度にまで加熱し、架橋重合することで形成される。
但し、製造性の点からは、溶媒に溶解し得る化合物、または常温(25℃)で液体の化合物を用いて、表面保護膜を形成することが好ましい。
本実施形態に係る化合物を架橋重合して得られる架橋物(本実施形態に係る表面保護膜等)は、前述の通り耐熱性に優れた材料となる。尚、優れた耐熱性とは、具体的には高温環境下においても優れた耐傷性を示すことを意味する。
ここで、本実施形態に係る化合物を架橋重合して得られる架橋物における耐熱温度(使用し得る温度域)としては、60℃以上200℃以下であることが好ましく、80℃以上160℃以下であることがより好ましい。
上記のようにして得られる本実施形態に係る表面保護膜は、使用環境が常温(25℃)よりも高い温度となることが想定され、且つ異物との接触により表面に擦り傷が発生し得る物に対してであれば、特に限定されることなく用い得る。
例えば、画像形成装置における定着部材、中間転写部材、記録媒体搬送部材等に用いられる画像形成装置用の無端ベルトやロール、車のボディや窓ガラス、太陽光電池パネルや太陽光を反射させるパネル等が挙げられる。
ここで、本実施形態に係る表面保護膜の使用用途の一例である、画像形成装置用の無端ベルトについて説明する。
本実施形態に係る画像形成装置用無端ベルトは、ベルト状の基材と、前記ベルト状の基材上に設けられた、前述の本実施形態に係る表面保護膜と、を有する。
図1および図2に示すように、本実施形態の無端ベルト1は、基材2と、基材2の表面に積層された表面層3と、を有する無端状のベルトである。
尚、上記表面層3としては、前述の本実施形態に係る表面保護膜が適用される。
基材2に用いられる材質としては、耐熱性の材料が好ましく、具体的には、公知の各種プラスチック材料および金属材料のものの中から選択して使用される。
発熱層に用いられる材料としては、例えば非磁性金属が挙げられ、具体的には、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、錫、鉛、ビスマス、ベリリュウム、アンチモン、およびこれらの合金(これらを含む合金)等の金属材料が挙げられる。
発熱層の膜厚としては、5から20μmの範囲とすることが好ましく、7から15μmの範囲とすることがより好ましく、8から12μmの範囲とすることが特に好ましい。
本実施形態に係る画像形成装置用ロールは、円筒状の基材と、前記円筒状の基材上に設けられた、前述の本実施形態に係る表面保護膜と、を有する。
尚、上記表面層としては、前述の本実施形態に係る表面保護膜が適用される。
図4に示す定着部材としての定着ロール610としては、その形状、構造、大きさ等について特に制限はなく、円筒状のコア611上に表面層613を備えてなる。また、図4に示す通り、コア611と表面層613との間に弾性層612を有していてもよい。
次に、本実施形態の無端ベルトおよび本実施形態のロールを用いた本実施形態の画像形成装置について説明する。図3は、本実施形態に係る無端ベルトを定着装置の加圧ベルトとして備え、本実施形態に係る無端ベルトを中間転写ベルトとして備え、且つ本実施形態に係るロールを定着装置の定着ロールとして備えたタンデム式の、画像形成装置の要部を説明する模試図である。
画像形成装置101においては、感光体79の周囲に、反時計回りに帯電ロール83、現像器85、中間転写ベルト86を介して配置された1次転写ロール80、感光体清掃部材84が配置され、これら1組の部材が、1つの色に対応した現像ユニットを形成している。また、この現像ユニット毎に、現像器85に現像剤を補充するトナーカートリッジ71がそれぞれ設けられており、各現像ユニットの感光体79に対して、帯電ロール83の(感光体79の回転方向)下流側であって現像器85の上流側の感光体79表面に画像情報に応じたレーザー光を照射するレーザー発生装置78が設けられている。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置101内に設けられた定着装置72の概略構成図である。図4に示す定着装置72は、回転駆動する回転体としての定着ロール610と、無端ベルト620(加圧ベルト)と、無端ベルト620を介して定着ロール610を加圧する圧力部材である圧力パッド640とを備えて構成されている。なお、圧力パッド640は、無端ベルト620と定着ロール610とが相対的に加圧されていればよい。従って、無端ベルト620側が定着ロール610に加圧されてもよく、定着ロール610側が無端ベルト620に加圧されてもよい。
下記合成スキームに従って、パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物1a、1bを合成した。尚、パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物1a、1bの合成スキームに示されるRX1は水素原子を表す。また、フッ素原料1の水酸基含有量は830g/molである。
下記合成スキームに従って、パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物2を合成した。尚、パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物2の合成スキームに示されるRX1は水素原子を表す。また、フッ素原料2の水酸基含有量は830g/molである。
下記合成スキームに従って、パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物3を合成した。尚、パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物3の合成スキームに示されるRX1は水素原子を表す。また、フッ素原料3の水酸基含有量は830g/molである。
下記合成スキームに従って、パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物4を合成した。尚、パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物4の合成スキームに示されるRX1は水素原子を表す。また、フッ素原料4の水酸基含有量は830g/molである。
前記化合物4の合成スキームに従い、且つフッ素原料4の水酸基含有量を「1970g/mol」のものに変更し、パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物5を合成した。尚、合成スキームに示されるRX1は水素原子を表す。
下記合成スキームに従って、パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物6を合成した。尚、パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物6の合成スキームに示されるRX1は水素原子を表す。また、フッ素原料6の水酸基含有量は1970g/molである。
<表面保護膜形成用塗布液の調製>
下記の組成物を混合して、塗布液を調製した。
・前記パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物1aおよび1b:10部
・重合開始剤(BASF社製、商品名:DAROCURE1173):0.1部
・溶媒(2−ブタノン):10部
上記塗布液を90μm厚のポリイミドフィルムに塗布(キャスト)して、100℃で5分間乾燥することで溶剤を揮発させ、紫外線硬化装置にて紫外線照射を行い、硬化膜を得た。紫外線の照射条件は、窒素雰囲気下(酸素濃度1%以下)、高圧水銀灯を用い、1000mmJ/cm2の光量を照射した。
実施例1において用いたパーフルオロアルキレンエーテル含有化合物1aおよび1bを、前記パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物2、3、4、5、6にそれぞれ変更した以外は、実施例1に記載の方法により、表面保護膜を形成した。
実施例1において用いたパーフルオロアルキレンエーテル含有化合物1を、下記に示す構造の化合物(ウレタン結合を有し且つパーフルオロアルキレンエーテル構造を有する化合物)に変更した以外は、実施例1に記載の方法により、表面保護膜を形成した。
実施例1において用いたパーフルオロアルキレンエーテル含有化合物1を、下記に示す構造の化合物(−B1−X1および−B2−X2にそれぞれ反応性の架橋基を1つしか有さず、且つ一般式(1)からX1またはX2を除いた構造の基も有しない化合物)に変更した以外は、実施例1に記載の方法により、表面保護膜を形成した。
耐傷性と耐熱性を評価するため、上記実施例および比較例で得られた表面保護膜サンプルを200℃で10時間加熱した。加熱前(初期)、および加熱経時後、両方のサンプルについて以下の評価を行った。
上記実施例および比較例で得られた表面保護膜サンプル、およびこれらを200℃で10時間加熱したサンプルについて、引っ掻き式硬度計(ERICHSEN社製、先端直径0.75mm)を用いて、常温(25℃)において荷重2Nで引っ掻き試験を実施し、80℃で30秒加熱後に引っ掻き箇所を観察して、傷発生の有無を評価した。
B:保護膜サンプルに傷あり
A:保護膜サンプルに傷なし
上記実施例および比較例で得られた表面保護膜サンプル、およびこれらを200℃で10時間加熱したサンプルについて、水またはヘキサデカンを用いて、接触角を測定した。尚、上記接触角の測定は、接触角計(協和界面科学社製、型番:CA−S−ルガタ)を用いて、25℃においてθ/2法で行った。結果を表1に示す。
上記実施例および比較例で得られた表面保護膜サンプル、およびこれらを200℃で10時間加熱したサンプルについて、定着機の定着ロール表面にはりつけ、黒の未定着ベタ画像を通紙して定着性を確認した。なお、上記定着機として富士ゼロックス社製の商品名:DocuCentre C2101を用いた。評価基準は以下の通りであり、結果を表1に示す。
C:保護膜サンプルの全面にトナー付着
B:保護膜サンプルの約半分にトナー付着
A:保護膜サンプルにトナーの付着なし
上記実施例および比較例で得られた表面保護膜サンプル、およびこれらを200℃で10時間加熱したサンプルについて、ATR−IRを用いてスペクトルを測定し、加熱前(初期)および加熱経時後のIRチャートの差を比べた。尚、ATRプリズムとして、ダイヤモンドプリズムを用いた。
実施例4および比較例1で得られた表面保護膜サンプル(加熱前(初期))におけるIRチャートを図8および図9に示す。
Claims (2)
- 下記一般式(1)で表され、かつ下記(a)、(b)、(c)、(d1)、(d2)、および(e)からなる群より選択される少なくとも1つの条件を満たすパーフルオロアルキレンエーテル含有化合物。
(a)下記一般式(1)におけるB1およびB2の少なくとも一方が、下記(B−1)乃至(B−3)からなる群より選択される2価の基である。
(b)下記一般式(1)におけるA1およびA2の少なくとも一方が、下記(A−4)乃至(A−11)からなる群より選択される2価の基である。
(c)下記一般式(1)において[−(CF2)n1−(C(R1)(R2))n2−O−]mで表される構造が、下記(m−3)、(m−4)および(m−8)からなる群より選択される構造である。
(d1)下記一般式(1)におけるX1が、下記一般式(1−1)で表される基を1つ以上有する1価の基である。
(d2)下記一般式(1)におけるX2が、下記一般式(1−2)で表される基を1つ以上有する1価の基である。
(e)下記一般式(1)におけるX1およびX2の少なくとも一方が、下記(X−7)および(X−8)からなる群より選択される少なくとも1種の反応性の架橋基を有する1価の基である。
(上記一般式(1)において、R1およびR2は、それぞれ独立にフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。但し、R1とR2の両方がフッ素原子であることはない。
n1は、1以上5以下の整数を、n2は、0以上2以下の整数を表し、n1とn2の総数は5以下である。mは、1以上の整数を表す。
A1およびA2は、それぞれ独立に下記一般式(2)で表される2価の基を表す。
B1およびB2は、それぞれ独立に単結合および下記(B−1)乃至(B−3)からなる群より選択される2価の基を表す。
X1は、下記(X−1)乃至(X−8)からなる群より選択される少なくとも1種の反応性の架橋基と、アルキル鎖、芳香族鎖、エーテル基(−O−)、カルボニル基(−CO−)、およびエステル基(−CO−O−)から選択される1種の鎖または2種以上の鎖を組合わせた構造からなる2価以上の有機基と、からなる1価の基を表すか、あるいは下記(X−1)乃至(X−8)からなる群より選択される少なくとも1種の反応性の架橋基と、下記一般式(1−1)で表される基と、アルキル鎖、芳香族鎖、エーテル基(−O−)、カルボニル基(−CO−)、およびエステル基(−CO−O−)から選択される1種の鎖または2種以上の鎖を組合わせた構造からなる2価以上の有機基と、からなる1価の基を表す。但し、前記B1が単結合または下記(B−1)である場合におけるX1は、前記反応性の架橋基を2つ以上有するかまたは前記反応性の架橋基を1つ以上有し且つ下記一般式(1−1)で表される基を1つ以上有する1価の基を表す。
X2は、下記(X−1)乃至(X−8)からなる群より選択される少なくとも1種の反応性の架橋基と、アルキル鎖、芳香族鎖、エーテル基(−O−)、カルボニル基(−CO−)、およびエステル基(−CO−O−)から選択される1種の鎖または2種以上の鎖を組合わせた構造からなる2価以上の有機基と、からなる1価の基を表すか、あるいは下記(X−1)乃至(X−8)からなる群より選択される少なくとも1種の反応性の架橋基と、下記一般式(1−2)で表される基と、アルキル鎖、芳香族鎖、エーテル基(−O−)、カルボニル基(−CO−)、およびエステル基(−CO−O−)から選択される1種の鎖または2種以上の鎖を組合わせた構造からなる2価以上の有機基と、からなる1価の基を表す。但し、前記B2が単結合または下記(B−1)である場合におけるX2も、前記反応性の架橋基を2つ以上有するかまたは前記反応性の架橋基を1つ以上有し且つ下記一般式(1−2)で表される基を1つ以上有する1価の基を表す。)
(上記一般式(2)において、R3およびR4は、それぞれ独立にフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。但し、R3とR4の両方がフッ素原子であることはない。
n3は、0以上5以下の整数を、n4は、0以上2以下の整数を、n5は、0以上の整数を、n6は、0または1を、n7は、0以上の整数を表す。但しn3、n4、n5、およびn6の全てが0であることはない。
尚、上記一般式(2)で表される2価の基は(*1)部分でパーフルオロアルキレンエーテル構造と結合する。)
(上記(B−1)乃至(B−3)はそれぞれ(#2)部分でX1またはX2と結合する。)
(上記(X−1)におけるRX1は水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基を表す。上記(X−6)におけるRX2は水素原子、またはアルキル基を表す。上記(X−8)におけるRX3はアルキル基を表す。)
(上記一般式(1−1)および一般式(1−2)における、R1、R2、n1、n2、m、A1、A2、B1、B2、X1、およびX2は、前記一般式(1)におけるR1、R2、n1、n2、m、A1、A2、B1、B2、X1、およびX2と同義である。)
(上記(A−6)におけるoは1以上の整数を表す。尚、上記(A−4)乃至(A−11)はそれぞれ(*1)部分でパーフルオロアルキレンエーテル構造と結合する。)
(上記(m−3)および(m−4)におけるm1およびm2は、それぞれ独立に1以上の整数を表し、且つm1とm2の総数が前記一般式(1)におけるmである。上記(m−8)におけるmは、前記一般式(1)におけるmと同義である。) - 請求項1に記載のパーフルオロアルキレンエーテル含有化合物が架橋重合された構造を有する表面保護膜。
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